【発明の詳細な説明】
尿素誘導体及びチオ尿素誘導体とその製造方法
本発明は、新規の尿素誘導体とチオ尿素誘導体と、これらの誘導体の製造のた
めの方法と、これらの誘導体を含む調剤組成物とに係わる。
本発明は、次式(I):
(式中、
Yが、アミノ、C1−C6モノアルキルアミノ、3−ピロリン−1−イル、ピロリ
ジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イルから選択された
1つの基によって置換されたアリール基又はヘテロアリール基であり、このアリ
ール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロゲン、C1−C6アルキル、トリハロ−
C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6
アルキルスルホニルから独立して選択された1つから3つの置換基によって任意
に置換されることが可能であり、
mが、ゼロ、1、又は、2であり、
Xが、酸素又は硫黄であり、
R1とR2との各々が独立してC1−C6アルキル基であるか、又は、R1とR2とが一緒
になって、ハロゲンとC1−C4アルキルとから独立して選択された1つもしくは2
つの置換基によって各々の炭素原子が任意に置換されることが可能なC2−C4アル
キレン鎖を形成し、
nが、1、2、又は、3であり、
Qが酸素又は硫黄であり、
Wが、非置換のアリール基もしくはヘテロアリール基、又は、ハロゲン、C1−
C6アルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチ
オ、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択された1つから4つの置換基に
よって任意に置換されるアリール基もしくはヘテロアリール基である)
を有する化合物、又は、その調剤上許容可能な塩を提供する。
本発明は、その範囲内に、式(I)の化合物の可能な異性体と立体異性体とを
各々単独で又は混合物として含み、更に、式(I)の化合物の代謝生成物と代謝
前駆物質、すなわち生体前駆
物質を含む。
本明細書では、上記アルキル基と、上記アルコキシ基、上記アルキルチオ基及
び上記アルキルスルホニル基の脂肪族部分とが、分枝鎖又は直鎖であってよい。
C1−C6アルキル基は、例えば、C1−C4アルキル基であり、特に、メチル、エチ
ル、プロピル、又は、ブチルである。
C1−C4アルキル基がメチル又はエチルであることが好ましい。
C1−C6アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又は
、イソプロポキシであり、特にメトキシ又はエトキシである。
C1−C6アルキルチオ基は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、
又は、ブチルチオであり、特にメチルチオ又はエチルチオである。
C1−C6アルキルスルホニル基は、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニ
ル、プロピルスルホニルであり、特にメチルスルホニルである。
ハロゲン原子は、例えば、塩素、臭素、フッ素であり、特に臭素である。
トリハロ−C1−C3アルキル基は、例えば、トリクロロ−C1−C3アルキル基又は
トリフルオロ−C1−C3アルキル基であり、特にトリフルオロ−メチルである。
アリール基としてのY又はWの各々は、フェニル環又はナフチル環であること
が好ましく、フェニル環が特に好ましい。
ヘテロアリール基としてのY又はWの各々は、窒素と硫黄と酸素とから独立し
て選択された1つから3つ(好ましくは1つ)のヘテロ原子を含む5原子又は6
原子のヘテロ単環であり、特にチエニル環又はピリジル環である。
R1とR2とが一緒になって、C2−C4アルキレン鎖を形成し、且つ、Xが酸素であ
る時には、結果的に得られる5原子か6原子か7原子の1,3−ジオキソアルキ
ル環が、各々に、次の化学式
ルキルとから独立して選択された1つ又は2つの置換基によってその炭素原子の
各々が任意に置換されることが可能なC2−C4アルキレンを表す)によって表され
ることが可能な、1,3
−ジオキソラン環、1,3−ジオキサン環、又は、1,3−ジオキセパン環である
。
同様に、R1とR2とが一緒になって、C2−C4アルキレン鎖を形成し、且つ、Xが
硫黄である時には、結果的に得られる5原子か6原子か7原子の1,3−ジチオ
アルキル環が、各々に、次の化学式
ルキルとから独立して選択された1つ又は2つの置換基によってその炭素原子の
各々が任意に置換されることが可能なC2−C4アルキレンを表す)
によって表されることが可能な、1,3−ジチオラン環、1,3−ジチアン環、又
は、1,3−ジチエパン環である。
本発明の化合物の調剤上許容可能な塩は、無機酸(例えば、硝酸、塩酸、臭化
水素酸、硫酸、過塩素酸、リン酸)又は有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、
グリコール酸、乳酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、マロン酸、リンゴ酸、マレ
イン酸、
酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸)との酸付加
塩を含む。
上記のように、本発明は更に、その範囲内に、式(I)の化合物の調剤上許容
可能な生物前駆物質(又は、プロドラッグ(pro-drug)として知られる)、即ち
、上記の式(I)とは異なった式を有するが、人間に対する投与時に生体内で式
(I)の化合物へと直接的又は間接的に変換される化合物も含む。
本発明の好ましい化合物は、
式中の
mが、ゼロ、又は、1であり、
nが1、2、又は、3であり、
Qが酸素又は硫黄であり、
Xが酸素又は硫黄であり、
R1とR2とが一緒になって、ハロゲンとC1−C4アルキルとから独立して選択され
た1つもしくは2つの置換基でその各炭素原子が置換されているか又は置換され
ていないC2−C4アルキレン鎖を形成し、
Yが、モルホリン−4−イル基か3−ピロリン−1−イル基かピロリジン−1
−イル基によって置換されたアリール基であ
り、このアリール基が、更に、ハロゲン、C1−C4アルキル、トリフルオロメチル
、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4アルキルスルホ
ニルから独立して選択された1つから3つの置換基によって任意に置換されるこ
とが可能であり、
Wが、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオか
ら独立して選択された1つから3つの置換基によって置換されたフェニル環又は
ピリジル環である
上記式(I)の化合物、又は、その調剤上許容可能な塩である。
本発明の更に好ましい化合物は、
式中の
mが、ゼロ、又は、1であり、
nが1又は2であり、
Qが酸素であり、
Xが酸素であり、
R1とR2とが一緒になって、ハロゲンとC1−C4アルキルとから独立して選択され
た1つ又は2つの置換基でその少なくとも1つの炭素原子が置換されたC2−C3ア
ルキレン鎖を
形成し、
Yが、モルホリン−4−イル基か3−ピロリン−1−イル基によって置換され
たアリール基であり、このアリール基が更に、ハロゲン、C1−C4アルキル、トリ
フルオロメチル、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、C1−C4
アルキルスルホニルから独立して選択された1つ又は2つの置換基によって任意
に置換されることが可能であり、
Wが、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、メチルチオから独立し
て選択された2つ又は3つの置換基によって置換されたフェニル環又はピリジル
環である
式(I)の化合物、又は、その調剤上許容可能な塩である。
本発明の好ましい化合物の例は、場合に応じて単一の異性体又は異性体の混合
物としての、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{2−[4−(
3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イ
ル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{2−[4−(
ピロリジン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル
}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{5,5−ジメチ
ル−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−
2−イル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{5,5−ジメチ
ル−2−[4−(ピロリジン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2
−イル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{5,5−ジメチ
ル−2−[4−(ピペリジン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2
−イル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{2−[4−(
3−ピロリン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(メチルチオ)フェニル]−N′−{2−[4−(3−ピ
ロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル}メ
チル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{2−[4−(
3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジチアン−2−イル}メチル尿
素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{2−
[4−(ピロリジン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イル}メチル尿素
、
N−[2,6−ビス(メチルチオ)フェニル]−N′−{5,5−ジメチル−2
−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2−イ
ル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(メチルチオ)フェニル]−N′−{2−[4−(3−ピ
ロリン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−(3−ブロモ−4−モルホリン−4−イル)フェニル−1,3−ジオキ
サン−2−イル]メチル尿素
と、これらの調剤上許容可能な塩とである。
本発明の化合物は、次の手順を含む方法によって得ることが可能であり、即ち
、
(a)式中のY、m、X、R1、R2、nが上記定義の通りである次式(II)
の化合物を、式中のQとWとが上記定義の通りである次式(III)
Q=C=N−W (III)
のイソシアネート又はイソチオシアネートと反応させ、式中のY、m、X、R1、
R2、n、Q、Wが上記定義の通りである式(I)の化合物を得ること、又は、
(b)式中のY、m、X、R1、R2、n、Qが上記定義の通りである次式(IV)
の化合物を、式中のWが上記定義の通りである次式(V)
H2N−W (V)
のアミンと反応させ、式中のY、m、X、R1、R2、n、Q、Wが上記定義の通り
である式(I)の化合物を得ること、又は、
(c)式中のm、R1、R2、n、Q、Wが上記定義の通りであり、且つ、Zがニ
トロ基で置換されたアリール基又はヘテロアリール基であり、このアリール基又
はヘテロアリール基が、更に、ハロゲン、C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3ア
ルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6ア
ルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニルから選択された1つから3つの置換基に
よって任意に置換されることが可能である、次式(VI)
の化合物を、還元し、式中のm、X、R1、R2、n、Q、Wが上記定義の通りであ
り、且つ、Yが、アミノ基で置換されたアリール基又はヘテロアリール基であり
、このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロゲン、C1−C6アルキル、
トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチ
オ、C1−C6アルキルスルホニルから選択された1つから3つの置換基によって任
意に置換されることが可能である、式(I)の化合物を得ることと、
更に、必要に応じて、式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換し、及び
/又は、必要に応じて、式(I)の化合物を塩化し、及び/又は、必要に応じて
、式(I)の異性体の混合物を単一の異性体に分割することによって得ることが
可能である。
式(II)の化合物と式(III)の化合物との間の反応と、式(IV)
の化合物と式(V)の化合物との間の反応とは、各々に、類似のプロセスであり
、当業界で公知の方法で行うことが可能である。
例えば、これらの反応は、適切な有機溶媒(例えば、酢酸エチル、n−ヘキサ
ン、又は、これら2つの溶媒の適切な混合物)中で、約0℃からその反応混合物
の還流温度の範囲内の温度において、行うことが可能である。
上記方法の(c)で説明された通りの、式(I)の化合物を与えるための式(V
I)の化合物の還元は、例えば、約0℃から約30℃の範囲内の温度において、有
機溶媒(例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルム
アミド、又は、これらの混合物)の存在下で、還元剤としてNaBH4又はKBH4をNiC
l2又はCoCl2と共に使用することによって、好ましくは、約20℃の温度において
、メタノールとジメチルホルムアミドとの混合物の存在下で、NaBH4とNiCl2とを
使用することによって、従来の方法で行われることが可能である。
異なった置換パターンを有する式(I)の別の化合物への式(I)の化合物の変
換は、例えば、
(d)式中のm、X、R1、R2、n、Q、Wが上記定義の通りであり、且つ、Y
がアミノ基で置換されたアリール基又は
ヘテロアリール基であり、このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロ
ゲン、C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコ
キシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択された
1つから3つの置換基によって任意に置換される、式(I)の化合物を、
式中、互いに同一であるか又は異なっているLとL1との各々が脱離基である
、シス形の次式(VII)
L−CH2−CH=CH−CH2−L1 (VII)
の化合物と反応させ、
式中のm、X、R1、R2、n、Q、Wが上記定義の通りであり、且つ、Yが、3
−ピロリン−1−イル基で置換されたアリール基又はヘテロアリール基であり、
このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロゲン、C1−C6アルキル、ト
リハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ
、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択された1つから3つの置換基によ
って任意に置換される、式(I)の別の化合物を得ること、又は、
(e)上記方法の(d)で説明した手順によって得られた式
(I)の化合物を還元して、式中のm、X、R1、R2、n、Q、Wが上記定義の通
りであり、且つ、Yが、ピロリジン−1−イル基で置換されたアリール基又はヘ
テロアリール基であり、このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロゲ
ン、C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキ
シ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択された1
つから3つの置換基によって任意に置換される、式(I)の別の化合物を得るこ
とによって、実現することが可能である。
化合物(VII)中の脱離基LとL1とが、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素
又は臭素)又はエステル化ヒドロキシ基(例えば、メシルオキシ基又はトシルオ
キシ基)であることが可能である。
上記方法の(d)で説明された通りの式(I)の化合物と式(VII)の化合物と
の間の反応は、公知の方法によって行われることが可能であり、例えば、任意に
適切な陽子捕捉剤(例えば、トリエチルアミン又は炭酸カリウム)の存在下で、
極性有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド
、又は、ジメチルスルホキシド)中で、概ね室温から概
ね還流温度の範囲内の温度において行うことが可能である。
上記方法の(e)で説明された通りの式(I)の化合物の還元は、例えば、低
圧下で、約20℃から約60℃の範囲内の温度において、不活性有機溶媒(例えば、
エタノール、メタノール、酢酸エチル、又は、ジオキサン)中で、例えば、木炭
上のパラジウム、PtO、ロジウム、又は、ラネーニッケルを触媒として使用して
、公知の手順に従った接触水素化によって行うことが可能である。
式(I)の化合物の塩化と、本発明の化合物の異性体の混合物の単一の異性体
への分離は、従来通りの手順で行われることが可能である。
式(II)の化合物は、それに対応する置換アリールケトンから得ることが可能
であり、こうしたアリールケトンは、製品として入手可能であるか、又は、当業
界で公知の方法によるアルカリ金属フタルイミド(好ましくはカリウムフタルイ
ミド)によるハロゲン(例えば、臭素)の置換と、ケタル化又はチオケタル化と
、上記フタルイミド基の最終的な加水分解によって、製品として入手可能な開始
材料から当業で公知の方法によって容易に調製することが可能である。
或いは、式(II)の化合物は、次式(VIII)又は次式(VIIIa)の化合物のア
ルカリ加水分解によって得られ、
前式中のm、X、R1、R2、nが上記定義の通りであり、且つ、Yが、C1−C6モ
ノアルキルアミノ、3−ピロリン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジ
ン−1−イルから選択された1つの基によって置換されたアリール基又はヘテロ
アリール基であり、このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロゲン、
C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、
C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択された1つか
ら3つの置換基によって任意に置換され、
Z′が、アミノ基によって置換されたアリール基又はヘテロアリール基であり
、このアリール基又はヘテロアリール基は、更
に、ハロゲン、C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−
C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニルから選択された
1つから3つの置換基によって任意に置換される。
式(II)の化合物を与えるための式(VIII)又は式(VIIIa)の化合物のアル
カリ加水分解は、水性アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物(例えば、Na
OH、KOH、又は、Ba(OH)2)を使用して、適切な助溶剤(例えば、エタノール、ジ
オキサン、ジグリム、ポリエチレングリコール)の存在下で、約50℃からその混
合物の還流温度の範囲内の温度で、行うことが可能である。好ましい条件は、約
100℃から約140℃の範囲内の温度で、高濃度の水性水酸化ナトリウム又は水性水
酸化カリウム及びポリエチレングリコールを使用することである。
式(VI)の化合物は、
式中のZ、m、X、R1、R2、nが上記定義の通りである次式(IX)
の化合物を、上記定義の通りの式(III)の化合物と反応させることによって、
得ることが可能である。
この反応は、式(III)の化合物との式(II)の化合物の反応に関して上記で
説明した手順と同じ手順に従うことによって行うことが可能である。
本発明は更に、次式(VIIIa)の化合物を提供し、
前式中で、
Z′が、アミノ基によって置換されたアリール基又はヘテロアリール基であり
、このアリール基又はヘテロアリール基は、更に、ハロゲン、C1−C6アルキル、
トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチ
オ、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択された1つから3つの置換基に
よって任意に置換され、
mが、ゼロ、1、又は、2であり、
Xが酸素又は硫黄であり、
R1とR2との各々が独立してC1−C6アルキル基である
か、又は、R1とR2とが一緒になって、ハロゲンとC1−C4アルキルとから独立して
選択された1つもしくは2つの置換基によって各々の炭素原子が任意に置換され
るC2−C4アルキレン鎖を形成し、
nが、1、2、又は、3ある。
式(VIIIa)の化合物は、式(I)の化合物の製造における新規性のある中間物
である。
式(VIIIa)の化合物は、本発明の更に別の目的である新たな方法によって得
ることが可能であり、この方法は、
(1)式中のZが、ニトロ基によって置換されたアリール基又はヘテロアリール
基であり、このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロゲン、C1−C6ア
ルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6
アルキルスルホニルから独立して選択された1つから3つの置換基によって任意
に置換され、mが、ゼロ、1、又は、2であり、且つ、nが、1、2、又は、3
である次式(X)
の化合物を、式中のRが、C1−C6アルキル基であるか、又は、ハロゲンとC1−C4
アルキルとから独立して選択された1つもしくは2つの置換基によって各々の炭
素原子が任意に置換されるC2−C4アルキレン鎖である、次式(XI)又は次式(XI
I)
R−XH (XI) HX−R−XH (XII)
の化合物と反応させ、それによって、その式中のZ、m、X、nが上記定義の通
りであり、R1とR2とが同一であり、各々がC1−C6アルキル基であり、且つ、R1と
R2とが一緒になって、ハロゲンとC1−C4アルキルとから独立して選択された1つ
又は2つの置換基によって各々の炭素原子が任意に置換されるC2−C4アルキレン
鎖を形成する次式(XIII)
の化合物を得ることと、及び
(2)式(XIII)の化合物の還元からなる。
式(X)の化合物と式(XI)又は式(XII)の化合物との間の反応
が、約50℃からその混合物の還流温度の範囲内の温度において、酸触媒(例えば
、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸
、トリフルオロ酢酸、酸性イオン交換樹脂、又は、これらの混合物)の存在下で
、例えばトルエンとキシレンとジグリムとニトロメタンとから選択された有機溶
媒中で行われることが可能である。この反応中に形成される水は、例えば、上記
溶媒がトルエンもしくはキシレンである場合には共沸蒸留によって、又は、分子
ふるいもしくはAl2O3のような乾燥剤を使用することによって、或いは、この代
わりに、例えばトリメチルオルトホルメート又はトリエチルオルトホルメートの
ようなトリアルキルオルトホルメートとの反応によって、除去することが可能で
ある。好ましくは、この反応は、例えば分子ふるいの存在下でトルエン中のトリ
フルオロメタンスルホン酸を使用することによって、又は、トリメチルオルトホ
ルメートの存在下でニトロメタン中のトリフルオロメタンスルホン酸を使用する
ことによって行うことが可能である。
段階(2)で定義された通りの式(XIII)の化合物の還元によって式(VIIIa
)の化合物を得ることは、典型的には、例えば、
約20℃から約60℃の範囲内の温度で、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、ジオキサ
ン、メタノール、又は、エタノール)の存在下で、Pd/C又はPtO中において、接
触水素化によって行うことが可能である。式(VIIIa)の化合物は式(VIII)の
化合物に容易に変換され得る。式(VIII)の化合物への式(VIIIa)の化合物の
変換と、異なったY部分を有する式(VIII)の別の化合物への式(VIII)の化合
物の任意の変換とが、例えば、(3)上記定義の通りの式(VIIIa)の化合物を
上記定義の通りの式(VII)の化合物と反応させ、それによって、式中のm、X
、R1、R2、nが上記定義の通りであり、且つ、Yが、3−ピロリン−1−イル基
によって置換されたアリール基又はヘテロアリール基であり、このアリール基又
はヘテロアリール基が、更に、ハロゲン、C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3ア
ルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキル
スルホニルから独立して選択された1つから3つの置換基によって任意に置換さ
れる式(VIII)の化合物が得られ、更に必要に応じて、
(4)段階(3)で得られる通りの式(VIII)の化合物を還元し、それによって
、式中のm、X、R1、R2、nが上記定義の通
りであり、且つ、Yが、ピロリジン−1−イル基によって置換されたアリール基
又はヘテロアリール基であり、このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、
ハロゲン、C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6ア
ルコキシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択さ
れた1つから3つの置換基によって任意に置換される、式(VIII)の化合物が得
られ、又は、必要に応じて、
(5)式(VIIIa)の化合物を、還元剤の存在下で、C1−C5アルキルアルデヒド
と反応させ、それによって、式中のm、X、R1、R2、nが上記定義の通りであり
、且つ、Yが、C1−C6モノアルキルアミノ基によって置換されたアリール基又は
ヘテロアリール基であり、このアリール基又はヘテロアリール基が、更に、ハロ
ゲン、C1−C6アルキル、トリハロ−C1−C3アルキル、ヒドロキシ、C1−C6アルコ
キシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニルから独立して選択された
1つから3つの置換基によって任意に置換される式(VIII)の化合物が得られる
。
段階(3)で説明した反応は、公知の方法によって行うこと
が可能であり、例えば、極性有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム
、ジメチルホルムアミド、又は、ジメチルスルホキシド)中で、室温から還流温
度までの範囲内の温度において、適切な陽子捕捉剤(典型的には、トリエチルア
ミン、又は、炭酸カリウム)の存在下で、行うことが可能である。
段階(4)で説明した還元は、例えば、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、ジオ
キサン、メタノール、又は、エタノール)中で、約20℃から約60℃までの範囲内
の温度で、例えばPd/C又はPtOを用いて、低圧接触水素化によって行うことが可
能である。
段階(5)で説明した反応は、公知の方法によって行うことが可能であり、例
えば、還元剤(例えば、ハロゲンとPd/C、又は、NaBH3 CNとZnCl2、又は、NaBH4
と(水性)H2 SO4)の存在下において、約0℃から約40℃の範囲内の温度で、C1
−C5アルキルアルデヒドを使用して行うことが可能である。
式(VIIIa)の中間化合物は、更に、例えば、EP-A-0 500 348で既に開示され
ている好ましい種類の化合物、即ち、次式(I)の化合物とその調剤上許容可能
な塩のような公知の化合物の製造プロセスにおける中間物質としても有効であり
、
前式中で、
Aが、C1−C4ジアルキルアミノ基によって置換されたアリール基であり、
mが、ゼロ、1、又は、2であり、
XとYとが同一で、且つ、酸素又は硫黄であり、
R1とR2との各々が独立してC1−C6アルキル基であるか、又は、R1とR2とが一緒
になって、ハロゲンとC1−C4アルキルとから独立して選択された1つ又は2つの
置換基によって各々の炭素原子が任意に置換されることが可能なC2−C4アルキレ
ン鎖を形成し、
nが、1、2、又は、3であり、
Qが酸素又は硫黄であり、
Bが、非置換のアリール基、又は、ハロゲン、C1−C6アルキル、ハロ−C1−C3
アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルスルホニル
から独立して選択された1つから4つの置換基によって置換された
アリール基である。
式(III)のイソシアン酸塩とイソチオシアン酸塩は公知の化合物であるか、
又は、公知の方法によって、対応するアミノ化合物から得ることが可能である。
式(IV)の化合物は、公知の方法によって式(II)の化合物をホスゲン又はチ
オホスゲンと反応させることによって得ることが可能である。
式(V)のアミンは公知の化合物もしくは製品として入手可能な化合物である
か、又は、既知でない場合には、当業界で公知の方法によって、製品として入手
可能な開始材料から容易に合成することが可能である。
式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XIII)の化合物は製品として入手可能な
化合物であるか、又は、当業界で一般的な知識に基づいて、製品として入手可能
な開始材料から容易に合成することが可能である。調剤
本発明の化合物は、コレステロールの細胞内エステル化(Suckling K.E.Stan
ge E.F.,J.Lip.Res.(1985)26, 647)を調節し、従ってコレステリルエス
テルの細胞内蓄積を調節す
る、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ酵素(ACAT−EC 2.3.1
.26)に対するインヒビター活性を示す。
アテローマ性動脈硬化症斑内でのエステル化コレステロールの蓄積が主たる事
象の1つであるアテローマ性動脈硬化症の進行過程中において、この酵素の活性
が最大に達する(Brecher P.,Chan C.,B.B.A.(1980)617. 458)。
ACATはコレステロールの腸内吸収において重要な役割を演じ、この酵素の顕著
な活性が幾つかの動物種から採取された腸粘膜細胞において観察されている(He
ider J.G.,Pickens C.E.,Kelly LA.,J.Lip.Res.(1983)24,1127)。
本発明の化合物は、そのACAT抑制性活性のために、抗脂肪血症活性(antidysl
ipidaemic activity)を有し、直接的なアテローマ性動脈硬化症治療剤としても
働き、アテローマ性動脈硬化症斑の進行を抑制することが可能である。従って、
これらの化合物は、冠状動脈性心疾患(CHD)(例えば、心筋硬塞、アンギナ)
の予防に特に有効である。
更に、本発明の化合物は、脂肪血症治療剤としても有効であり、実際に、総血
清コレステロールとトリグリセリドとを低下させる高い活性を有する。
本発明の化合物のACATインヒビターとしての活性は、F.B.Bell(Atheroscle
rosis−1981−38,81)に概ね従って、ウサギの腸粘膜から採取されたミクロソ
ーム標本に関して、本発明人の実験室で評価されている。下記の表は、ACAT酵素
に対する試験管内インヒビター活性が既に立証されている公知の化合物CL 27708
2(J.Med.Chem.,1986,29,1131,1133)と比較する形で、本発明による化合
物の次のような代表的なグループを一例として試験することによって得られた試
験結果を示している。
(−)−N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4
R,5R)−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチ
ル−ジオキソラン−2−イル]メチル尿素(インターナルコード FCE 28110)
、
(−)−N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4
R,5R)−2−[(4−ピロリジン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチル
−ジオキソラン−2−イル]メチル尿素(インターナルコード FCE 28228)、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,
3−ジオキサン−2−イル]メチル尿素(インターナルコード FCE 28326)、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−[3−ブロモ−4−モルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−ジオ
キサン−2−イル]メチル尿素(インターナルコード FCE 27913)。
ウサギの腸粘膜から採取されたミクロソームにおけるACAT抑制に関するIC50(
酵素活性の50%抑制を生じさせる濃度)の値は、本発明の化合物がCL 277082より
も高い効果を有するということの証拠を与える。
従って、人間又は哺乳動物が、治療有効量の式(I)の化合物又はその調剤上
許容可能な塩を投与するという方法によって治療されることが可能である。それ
によって、人間又は哺乳動物が被っている疾病又は疾患が好転させられることが
可能である。こうして人間又は哺乳動物の病状が改善されることが可能である。
成人に対する経口投与に適した本発明の化合物の薬用量レベルは、当該患者の
病状と体重と年齢とに応じて、1日につき1回から3回の投与において、投与1
回当たり約20mgから約500mgの範囲内であってよい。例えば、N−[2,6−ビス
(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4R,5R)−2−[4−(3−
ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]
メチル尿素が、この範囲内の薬用量で経口投与されるのに適している。本発明の
化合物の毒性は無視できるものであり、従って、治療に安全に使用されることが
可能である。9時間に
亙って絶食させたハツカネズミとネズミとを、次第に増加する薬用量の単一の投
与によって経口的に処置し、その後で収容して通常の給餌を行った。この処置後
の7日目に、例えば経口投与後のハツカネズミに関して、関連の急性毒性(LD50
)を評価した。
本発明の化合物は様々な投与形態で投与することが可能であり、例えば、経口
投与の場合には、錠剤、カプセル、糖衣錠、フィルム被覆錠剤、液体溶液、懸濁
液の形で投与されることが可能である。
本発明は、調剤上許容可能な賦形剤(基剤又は希釈剤であってよい)と組み合
わされた本発明の化合物から構成される調剤組成物を含む。
本発明の化合物を含む調剤組成物は、典型的には、従来通りの方法によって製
造され、調剤的に適切な形態で投与される。
例えば、この調剤組成物の固体経口投与形態は、その活性化合物と共に、希釈
剤(例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーン
スターチ、又は、ジャガイモデンプン)と、潤滑剤(例えば、シリカ、タルク、
ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、
及び/又は、ポリエチレングリコール)と、結合剤(例えば、デンプン、アラビ
アガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又は、ポ
リビニルピロリドン)と、解離剤(例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸
塩、又は、ナトリウムデンプングリコレート)と、発泡合剤と、染料と、甘味料
と、湿潤剤(例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩)と、一般的
に、調剤調合に使用される無毒性で調剤的に不活性の物質とを含むことが可能で
ある。
上記の調剤製品は公知の方法で製造することが可能であり、例えば、混合プロ
セス、造粒プロセス、打錠プロセス、糖衣プロセス、又は、フィルム被覆プロセ
スによって製造することが可能である。経口投与用の液体分散は、例えば、シロ
ップ、乳剤、懸濁液であってよい。シロップは、例えば、サッカロースか、グリ
セリン及び/又はマンニトール及び/又はソルビトールと組み合わせたサッカロ
ースを、基剤として含む。特に、糖尿病患者に投与されるシロップは、物質代謝
によってグルコースに変化することがない生成物、又は、物質代謝によるグルコ
ースへの変化が微量である生成物、例えばソルビトールを、基剤として含むこと
が可能である。
上記懸濁液又は乳剤は、基剤として、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム
、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又は、ポリビニ
ルアルコールを含んでよい。下記の実施例は本発明を説明するものであるが、本
発明を限定しない。実施例1
窒素中で室温において、無水ジクロロメタン50ml中にシス−2−ブテン−1,
4−ジオールジメシレート(1.10g,4.5mmol)を含む溶液に対して、(−)−N
−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4R,5R)−2
−(4−アミノフェニル)−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]メチル
尿素(5.75g,13.5mmol)を分割して加えた。その結果として得られた溶液を20
時間に亙って撹拌し、その後で水50mlで抽出した。その有機層を分離し、硫酸ナ
トリウム上で乾燥させた。溶媒の除去後に、残渣をシリカゲル上でのカラムクロ
マトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル溶離液)で精製し、酢酸エチルから
結晶化し、(−)−N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′
−[(4R,5R)−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5
−ジメチル−ジオキソラン−2−イル]メチル尿素
2.0gを得た。
白色の粉末、
m.p.172−173℃、
αD=−14.6(c=1.03,EtOH)。
同様に次の化合物を調製することが可能である。
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−
2−イル]メチル尿素。白色の粉末。m.p.177−178℃。
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[2−[4−(
3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジチオラン−2−イル]メチル
尿素。
N−[2,6−ビス(1−メチルチオ)フェニル]−N′−[(4R,5R)−
2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキソ
ラン−2−イル]メチル尿素。実施例2
エチルアルコール(100ml)中に(−)−N−[2,6−ビス(1−メチルエチ
ル)フェニル]−N′−[(4R,5R)−2−[4−(3−ピロリン−1−イ
ル)フェニル]−4,5−ジメチル−ジオキソラン
−2−イル]メチル尿素(6.50g)を含む溶液に、Pd−C 10%(350mg)を加え、
その混合物を、理論量の水素が吸収され終わるまで、室温でParr装置において水
素添加した。その反応混合物を濾過し、真空中で濃縮し、白色の固体を得、この
固体をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル溶離液)で精製し
、酢酸エチルから結晶化し、(−)−N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)
フェニル]−N′−[(4R,5R)−2−[(4−ピロリジン−1−イル)フ
ェニル]−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]メチル尿素3.50gを得た。
白色の粉末、
m.p,193−195℃、
αD=−8.7(c=1.00,EtOH)。
同様に次の化合物を調製することが可能である。
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−[4−(ピロリジン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2
−イル]メチル尿素、
白色の粉末、
m.p.167−168℃。実施例3
室温におけるメチルアルコール(100ml)とジメチルホルムアミド(100ml)と
の中に(−)−N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[
(4R,5R)−2−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジメチル−ジオキソラン
−2−イル]メチル尿素(3.64g,7.99mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(1.20g
,31.7mmol)とを含む撹拌した懸濁液に、約10分間に亙って塩化ニッケル六水和
物(3.78g,15.9mmol)を分割して加えた。
その反応混合物を90分間に亙って撹拌し、その後で、減圧下での蒸留によって
約140mlの溶媒を取り除いて濃縮した。希釈した水性水酸化アンモニウムとジ
エチルエーテルとを加え、有機層を分離し、水とブラインとで洗浄し、無水硫酸
ナトリウム上で乾燥させ、その溶媒を減圧下で蒸発させた。
その粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(メチルアルコ
ール/クロロホルム溶離液)で精製し、酢酸エチルから結晶化し、(−)−N−
[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4R,5R)−2−
(4−アミノフェニル)−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]メチル尿
素2.5gを得た。白色の粉末、
m.p.174−175.5℃、
αD=−15.8(c=0.79,EtOH)。
同様に次の化合物を調製することが可能である。
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−(4−アミノフェニル)−1,3−ジオキサン−2−イル]メチル尿素
、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4R,5R)
−2−(4−アミノフェニル)−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]メ
チル尿素、
N−[2,6−ビス(メチルチオ)フェニル]−N′−[(4R,5R)−2−
(4−アミノフェニル)−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]メチル尿
素。実施例4
室温において、酢酸エチル(75ml)中に[2−[4−(3−ピロリン−1−イ
ル)フェニル]−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル]メチルアミ
ン(5.0g,17.3mmol)を含む溶液に、2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニ
ルイソシアナート(3.71ml,17.3mmol)を滴状に加えた。その反応混合物を室温
で5時間に亙って撹拌した。
揮発物を減圧下で除去し、その残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフ
ィー(n−ヘキサン/酢酸エチル70:30溶離液)で精製し、n−ヘキサン/酢酸
エチルから結晶化し、N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N
′−[5,5−ジメチル−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−
1,3−ジオキサン−2−イル]メチル尿素7.2gを得た。m.p.177−178℃。
同様に適切な式(III)の化合物を使用することによって、次の化合物を調製
することが可能である。
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−[4−(ピロリジン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2
−イル]メチル尿素、m.p.167−168℃、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−[4−(ピペリジン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2
−イル]メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[2−[4−(
3−ピロリン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イル]メチル尿素、
N−[2,6−ジ(メチルチオ)フェニル]−N′−[(4S,5S)−2
−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキソラ
ン−2−イル]メチル尿素、m.p.172−173℃、αD=+14.7(c=1.01,EtOH)、
N−[2,6−ビス(メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチル−
2−(3−ブロモ−4−モルホリン−4−イル)フェニル−1,3−ジオキサン
−2−イル]メチル尿素、m.p.128−130℃、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4R,5R)
−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキ
ソラン−2−イル]メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4R,5R)
−2−[4−ニトロフェニル]−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]メ
チル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{2−[4−(
3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジチアン−2−イル}メチル尿
素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−{2−[4−(
ピロリジン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(メチルチオ)フェニル]−N′−{5,5−ジメチル−2
−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2−イ
ル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(メチルチオ)フェニル]−N′−{2−[4−(3−ピ
ロリン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イル}メチル尿素、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[5,5−ジメチ
ル−2−(4−ニトロフェニル)−1,3−ジオキサン−2−イル]メチル尿素
、
N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[2−(4−ニ
トロフェニル)−1,3−ジチオラン−2−イル}メチル尿素。実施例5
N−[5,5−ジメチル−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]
−1,3−ジオキサン−2−イル]メチルアセトアミド(1.5g,4.5mmol)と、水
性NaOH 35%(10ml)と、PEG-400(10ml)との混合物を、窒素雰囲気中で、4時
間に亙って、撹拌しながら還流させた。冷却後に、その反応混合物を水(200ml
)中に注入し、ジエチルエーテルで抽出した。その有機層を
水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸
発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(クロロホル
ム/イソプロピルアルコール溶離液)で精製し、[5,5−ジメチル−2−[4
−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−1,3−ジオキサン−2−イル]メ
チルアミン1.15gを得た。白色の粉末、m.p.130−132℃。
同様に次の化合物が調製可能である。
[(4R,5R)−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5
−ジメチルジオキソラン−2−イル]メチルアミン、
[5,5−ジメチル−2−[4−(ピロリジン−1−イル)フェニ
ル]−1,3−ジオキサン−2−イル]メチルアミン、
[5,5−ジメチル−2−[4−(ピペリジン−1−イル)フェニル]−1,3
−ジオキサン−2−イル]メチルアミン、
[2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イル]
メチルアミン、
[(4R,5R)−2−[4−(ピロリジン−1−イル)フェニル]−4,5−
ジメチルジオキソラン−2−イル]メチルアミン、
[(4R,5R)−2−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジメチルジオキソラ
ン−2−イル]メチルアミン、
[5,5−ジメチル−2−(4−ニトロフェニル)−1,3−ジオキサン−2−
イル]メチルアミン、
[2−(4−ニトロフェニル)−1,3−ジチオラン−2−イル]メチルアミ
ン。実施例6
窒素雰囲気中で室温において、無水ジクロロメタン500ml中にシス−2−ブテ
ン−1,4−ジオールジメシレート(8.55g,35mmol)を含む溶液に対して、(−
)−N−[(4R,5R)−2−(4−アミノフェニル)−4,5−ジメチルジオ
キソラン−2−イル]メチルアセトアミド(28.5g,10.8mmol)を分割して加え
た。その結果として得られた溶液を20時間に亙って撹拌し、その後で、水400ml
で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の除去後に
、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチ
ル溶離液)で精製し、iPrOHから結晶化し、(−)−N−[(4R,5R)−2−
[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチルジオキソラン
−2−イル]メチルアセトアミド8.2gを得た。
白色の粉末、
m.p.148−149℃、
αD=−17.9(c=1.00,MeOH)。
同様に次の化合物を調製することが可能である。
N−[2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]ジチオラン−2−イ
ル] メチルアセトアミド、
N−[5,5−ジメチル−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]
−1,3−ジオキサン−2−イル]メチルアセトアミド、白色の粉末、m.p.131
−132℃。実施例7
ジグリム(116ml)中に(−)−N−[(4R,5R)−2−(4−アミノフェ
ニル)−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]アセ
トアミド(5.0g,18.9mmol)と微粉砕した水素化ホウ素ナトリウム(4.40g,116
mmol)とを含む溶液を、3モル硫酸(20ml,60mmol)と40%水性ホルムアルデヒ
ド(9.5ml,137mmol)とジグリム(10ml)との撹拌された混合物に対して、温度
維持(+16℃から+19℃)と両立する割合で加えた。この添加が完了した後で、
その混合物を減圧下で濃縮し、残渣を6N水性水酸化ナトリウムに溶解し、ジエチ
ルエーテルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリ
ウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣をヘキサンに溶解し、濾過し、
ヘキサンで洗浄し、(−)−N−[(4R,5R)−2−(4−ジメチルアミノ
フェニル)−4,5−ジメチルジオキソラン−2−イル]アセトアミド5.0gを得
た。
白色の粉末、
m.p.124−126℃、
αD=−18.6(c=1.01,MeOH)。
同様に次の化合物を調製することが可能である。
N−[2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5,5−ジメチル−1,3−ジオ
キサン−2−イル]アセトアミド、
N−[2−(4−ジメチルアミノフェニル)ジチオラン−2−イ
ル]アセトアミド。実施例8
60℃に温めた乾燥ニトロメタン(20ml)中に2−アセトアミド−4′−ニトロ
アセトフェノン(16.6g,7.48mmol)とD(−)2,3−ブタンジオール(17.0ml
,18.7mmol)とトリメチルオルトホルメート(32.7ml,29.9mmol)とを含む撹拌
した懸濁液に対して、トリフルオロメタンスルホン酸(6.6ml,7.48mmol)を加
えた。その結果得られた溶液を60分間に亙って撹拌した。冷却後に、反応混合物
を氷で冷却した炭酸カリウム水溶液中に注入し、ジエチルエーテルで抽出した。
有機層を水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減
圧下で蒸発させた。この粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィ
ー(ジイソプロピルエーテル/酢酸エチル溶離液)で精製し、(−)−N−[(
4R,5R)−2−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジメチルジオキソラン]メ
チルアセトアミド14.0gを得た。
白色の粉末、
m.p.112−114℃、
αD=−18.7(c=1.10,MeOH)。
同様に次の化合物を調製することが可能である。
N−[5,5−ジメチル−2−[4−(ピペリジン−1−イル)フェニル]−
1,3−ジオキサン−2−イル]メチルアセトアミド、
N−[5,5−ジメチル−2−(4−ニトロフェニル)−1,3−ジオキサン−
2−イル]メチル−アセトアミド。実施例9
60℃に温めた乾燥トルエン中に2−アセトアミド−4′−ニトロアセトフェノ
ン(9.78g,44.0mmol)とL(+)2,3−ブタンジオール(4.0ml,44.0mmol)
とを含む撹拌した懸濁液に対して、トリフルオロメタンスルホン酸(3.0ml,34.
1mmol)を加えた。その結果得られた溶液を60分間に亙って130℃に加熱し、この
時に、トルエンと水と僅かな量のブタンジオールとの混合物約10mlを蒸発によっ
て取り除いた。
冷却後に、反応混合物を、氷で冷却した0.5N水性水酸化ナトリウム溶液中に注
入し、ジエチルエーテルで抽出した。
有機層を水とブラインとで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を
減圧下で蒸発させた。
その粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジイソプロピル
エーテル/酢酸エチル溶離液)で精製し、
(+)−N−[(4S,5S)−2−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジメチル
ジオキソラン]メチルアセトアミド7.10gを得た。
白色の粉末、
m.p.112−114℃、
αD=+18.8(c=1.00,MeOH)
化合物N−[2−(4−ニトロフェニル)ジチオラン−2−イル]メチルアセ
トアミドと、N−[2−(4−ニトロフェニル)−1,3−ジチアン−2−イル
]メチルアセトアミドとを、同様に製造することが可能である。実施例10
一般的な調剤方法を使用して、次の組成を有するカプセルを製造することが可
能である。
(−)−N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N′−[(4
R,5R)−2−[4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−4,5−ジメチ
ルジオキソラン−2−イル]メチル尿素
200mg
デンプン 8mg
微晶質セルロース 23mg
タルク 8mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 319/06 9454−4C C07D 319/06
339/06 9455−4C 339/06
405/10 207 9159−4C 405/10 207
211 9159−4C 211
409/10 207 9159−4C 409/10 207
413/10 317 9159−4C 413/10 317
(72)発明者 セベリノ,デイノ
イタリー国、20149・ミラノ、ビア・アレ
ツサンドロ・マニヤスコ、6
(72)発明者 キアリ,アウグスト
イタリー国、50144・フイレンツエ、ピア
ツツア・サン・ジヤコピーノ、7
(72)発明者 ギゼツリ,ジヤンカルロ
イタリー国、ベレーゼ、21052・ブスト・
アルシジオ、ビア・カルデイナル・ユージ
エニオ・トシ、5