【発明の詳細な説明】
発明の名称 4-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オ
ン、4-アミノ-17β-(シクロプロピルアミノ)アンドロスト-4-エン-3-オン及び
C17-20リアーゼ及び5α-レダクターゼ阻害剤としての関連する化合物類
発明の背景
酵素ステロイドC17-20リアーゼは、二つの炭素側鎖を17β炭素位置に有して
いるステロイド中の17-20炭素-炭素結合を開裂し、テストステロンの生成のため
の重要な前駆体分子である5α-ジヒドロテストステロン及びエストロゲン類、主
としてエストロン及びエストラジオールを生成する。従って、この酵素を阻害す
る化合物類は、示された前駆体の生成を抑制するのに役立ち、それによって種々
のアンドロゲン性並びにエストロゲン性の病気の処置に有用である。そのような
酵素的な阻害剤を含める処置は、現在知られている種々の臓器剥離技術等のよう
に前駆体分子の起源に限られない。例えば、睾丸剔除術の場合は効果的に性殖腺
のアントロゲンを減少するものの、副腎アンドロゲン生産に対しては有意義な効
果を有しない。そのうえ、特定の症状に影響するのみならず永久的な内分泌の欠
落も生じるために置き換え療法に一生依存することを必要とするところの、広範
囲な療法(broad spectrum remedy)と比較して、酵素的な処置は、
症状の原因と信じられているさしあたってのホルモン不均衡に対し直接的である
という点で、焦点がずっと絞られた治療法である。
更にある種の乳癌はエストロゲン依存性であることが知られている。副腎切除
、卵巣切除、及び下垂体切除がこれまで用いられ、そして手術以外の技術も腫瘍
の退化を生じる。進行した乳癌を有する人患者は、エストロゲン生合成酵素阻害
剤を投与された場合、劇的に減少した血漿中のエストラジオール水準を示し、そ
して少なくとも副腎切除と同じくらい改良された治療効果を効果的に示している
(ジーン バン ウァウヴェ(Jean Van Wanve)とホール エイ.ジェイ.ジャ
ンセン、Journal of Medical Chemistry,32,10:2231-2239)。
前立腺の実質(器官の腫瘍部分をなす組織で支持結合織から区別していう)の
上皮中で発生した前立腺癌又は新生物組織病は、男性の間では最も一般的な悪性
のものの一つであって、全ての悪性の癌の最も高い癌特異的死亡の一つを示して
いる。転移性の前立腺癌を有する患者は、ホルモン療法に対し陽性に応答するこ
とが知られている。クックソン及びサロスディーによって試験された全ての患者
の60〜80%もの高さにつきアンドロゲン剥離が陽性の有益な応答を有していたこ
とが報告された(クックソン シー エス及びサロスディー エム エフ、Sout
h Med.J 87:1-6)。
より詳しくは、C17,20リアーゼ阻害剤類は、ホルモン依存性前立腺癌、前立
腺肥大、男性症、21-ヒドロキシラーゼ欠損による先天性の副腎肥厚、粗毛症(
多毛性早熟症)、ホルモン依存性乳癌、高いC17,20リアーゼ活性と相関してい
る多嚢卵巣症侯群、並びに子宮内膜の癌、肝細胞の癌、及び副腎の癌等の他の新
生物組織病の処置に有用であろう。
皮膚、男性性殖器及び前立腺を含めた哺乳類組織中に存在する酵素ステロイド
5α-レダクターゼは、テストステロン(17β-ヒドロキシ-アレドロスタン-4-エ
ン-3-オン)をジヒドロテストステロン、又はスタノロンとしても知られている
DHT(17β-ヒドロキシ-5α-アンドロスト-3-オン)に変換することを触媒す
る。DHTはテストステロンよりもより強力なアンドロゲンあり、ある種の組織
、特に成長を媒介する場合に末端臓器エフェクターとして作用する。DHT形成
は、5α-レダクターゼの作用によってある種の組織自体でも生じることが出来る
。アンドロゲン依存性の病気、例えば良性の前立腺肥大及びホルモン依存性癌を
含む前立腺癌の処置に於ては、DHTの抑制は非常に望ましいであろう。
テストステロンのDHT自体への変換は、種々のアンドロゲン性の病気、特に
DHT水準が過度の量蓄積する場合に関連していることがあり得る。例えば皮膚
のDHT高水準は、尋常性座瘡含む座瘡の病源と関連してきた。
C17-20リアーゼと5α-レダクターゼの両方を阻害する能力のある試薬は、D
HT生産を抑制するのみならずテストステロン形成も抑制する。主要なアンドロ
ゲン性のステロイドホルモンを抑制するのに、そのような化合物はアンドロゲン
病の治療に於て増大された有用性を有する。
発明のまとめ
本発明は、4-アミノ-17-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン
、4-アミノ-17-(シクロプロピルアミノ)アンドロスト-4-エン-3-オン及び関連
化合物、及び、例えば良性前立腺肥大、エストロゲン依存性乳癌及びアンドロゲ
ン媒介性の前立腺癌等のアンドロゲン及びエストロゲン媒介性の病気を含めたC17-20
リアーゼ及び/又は5α-レダクターゼの阻害によって影響される症状の治
療に於ける、これらの化合物の用途に関する。
より詳しくは、本発明は、次の一般式を有する化合物群及びそれらの製薬上受
れられる塩に関する。
式中AはO又はNHであり、各々のRは独立に水素及びC1〜C4低級アルキルか
らなる群から選択され、各々のXは独立に水素、ハロゲン、及びメチルからなる
群から選択され、点線は二重結合が存在する場合もあることを示している。好ま
しい化合物はRとXが水素である化合物類である。
発明の詳細な記載
本明細書で使用される「C1〜C4低級アルキル」という用語は、1〜4個の炭
素原子の直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味している。例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、n-プチル、s-プチル、t-プチル等である。
本明細書で「製薬上受け入れられる塩」という用語は、当業者に容易に決定さ
れ得るものであって、患者に対し有意義に毒性を呈することなく、かつ望ましい
製薬上の取り扱い性と処方性を有する酸付加塩を意味している。そのような塩は
無機又は有機であり得、水和物又は実質的に無水物であり得る。適当な塩を形成
する無機酸の例には、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸及び金属塩、例えば
オルト燐酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムが含まれる。適当な塩を形成
する有機酸の例には、モノ、ジ、及びトリカルボン酸が含まれる。そのような酸
の例は、例えば酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、
グルタル酸、フマール酸、リンゴ
酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、
安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2-フェノ
キシ安息香酸、及びスルホン酸、例えばメタンスルホン酸や2-ヒドロキシエタン
スルホン酸が含まれる。
本発明の化合物は、式
〔式中R、X及び点線は上に定義の通りである。〕の適当な4,5-エポキシ化合物
で出発することによって得ることが出来る。6-位に二重結合を有さない本発明の
化合物を得るためには、示された4,5-エポキシ化合物を不活性溶媒、例えばジメ
チルスルホキシド中で触媒量の硫酸の存在下で、ナトリウムアジドと反応させる
。反応混合物を約60℃に加熱し、対応する4-アジド-4-エンを与える。このアジ
ド化合物を次に不活性水性溶媒中でトリフェニルホスフィンと加熱して所望のア
ミノ化合物を得る。水性テトラヒドロフランがこの反応の有用な溶媒の例である
。
本発明の4-アミノ-4,6-ジエン化合物を得る為には、上に述べたエポキシ化合
物を不活性溶媒、例えばジメチルスルホキシド中でナトリウムアジドと反応させ
る。反応は触媒量の強酸、例えば硫酸の存在下で100℃で加熱しながら実施され
る。どんな中間体を単離する努力もされないが、エポキシドが先ず開環して4-ア
ジド-4-エンを与えるようである。使用される反応条件下では、アジド化合物は
窒素を失い、推定上のアジリンが形成され、これが開環して所望の4-アミノ-4,6
-ジエンを与える。
上の出発物質として使用される4,5-エポキシ化合物は、30%過酸化水素水溶液
を使用して、適当な対応する4-エンの塩基触媒エポキシド化によって得られる。
1位に二重結合を含有している化合物については、エポキシドが形成された後に
その不飽和を導入することがより都合がよい。従って、例えば4,5-エポキシ-3-
ケトンをジクロロジシアノキノンで処理すると対応するΔ1エポキシド化合物を
与える。上に得られたエポキシド生成物は、般にα及びβエポキシド類の混合物
であって、βエポキシドが主要生成物である。いずれにせよ、エポキシド類がナ
トリウムアジドと前に記載した手順に従って更に反応すると、所望の4-アミノ生
成物を与える。
別の方法として、本発明の化合物類は、適当な4-ニトロ-4-エンステロイド化
合物を還元し、所望の4-アミノステロイドを得ることによって得ることが出来る
。4-ニ
トロ-4-エン化合物は、適当なステロイドを適当な条件下で熱力学的ジエノレー
トを生じるのに十分な条件下で強塩基と反応させ、これを次に任意の適当なニト
ロ化剤、例えば硝酸イソプロピルでニトロ化することによって得ることが出来る
。生じる4-ニトロ化合物を、次に任意の適当な手段、例えば、化学的又は接触的
に還元し、所望の4-アミノ-4-エンステロイドを与える。
本発明の化合物は、ステロイドC17-20リアーゼ及び5α-レダクターゼの阻害
剤として有用であり、したがってテストステロンを含めたアンドロゲン性ステロ
イドの形成を抑制する。その結果、これらは種々のアンドロゲン依存性の病気の
処置に有用である。C17-20リアーゼ阻害剤として、これらはまた種々のエスト
ロゲン依存性の病気の処置にも有用である。従って、本発明はアンドロゲン及び
エストロゲン依存性の病気にかかっている患者に、本発明の化合物の酵素阻害有
効量を投与することからなる、アンドロゲン及び/又はエストロゲン依存性の病
気を処置する方法も包含している。本明細書で使用する患者とは、ヒト、霊長類
、イヌ、ウシ、ネコ、ウマ、ヒツジ、マウス、ラット、及びブタを含めた温血動
物を意味している。
より詳しくは、アンドロゲン性抑制剤として本発明の化合物は、アンドロゲン
依存性の前立腺癌、男性症、アンドロゲン性脱毛症(禿頭病)、脂漏、及び女性
の粗毛
症(多毛性早熟症)の処置に有用である。本発明の化合物はまた5α-レダクター
ゼ阻害剤でもあるので、特にジヒドロテストステロン(DHT)で媒介される病
気、例えば良性前立腺肥大、アンドロゲン性脱毛症、脂漏、女性の粗毛症、多嚢
の卵巣症侯群、尋常性座瘡を含めた座瘡病の処置に有用性を有している。
エストロゲン生合成経路の成分であるステロイドC17-20リアーゼ阻害能力の
ため、本発明の化合物はエストロゲン生合成を抑制できる。その結果、本発明の
化合物は女性(雌)の排卵と着床を防止する不妊剤、並びに、挙動に対し芳香族
化が必要な出来事である男性(雄)のつがいになろうとする挙動を減少する不妊
剤しして有用である。本発明の化合物は循環しでいるエストロゲン水準を下げる
ことが出来るので、これらは生物活性エストロゲンが内分泌腫瘍に到達すること
を効果的に防止する。更に本発明の化合物は、内因性のエストロゲン生合成の能
力がある腫瘍に於けるエストロゲン生合成を減少することが出来るので、本発明
の化合物は、転移性の腫瘍を含めた乳癌に於ける軽快を誘発することが出来る。
更に本発明の化合物は、卵巣、子宮、及び膵臓の腫瘍、並びに乳汁漏泄(乳漏)
、マックーム・アルブライト(McCume-Albright)症侯群、良性の乳房病、及び
子宮内膜症等の病気の症状の処置に有用性を有する。C17,20リアーゼ阻害剤と
して、化合物は更に内皮細胞癌、肝細胞癌及び
副腎癌等の他の新生物組織病の処置に更に有用である。
本発明の化合物のステロイドC17,20リアーゼの阻害剤としての活性は、人又
は実験動物睾丸からのステロイドC17,20リアーゼ酵素のミクロソーム調製物を
使用して確立された。この目的に使用された人の睾丸は、治療的な睾丸剔除術か
ら得られた。特定すると、ミクロソームをヒト、シノモルガス(cynomolgus)猿
、イヌ、ラット、又はアシミック(無胸腺症)ヌードマウス睾丸組織から単離さ
れた。試験されるべき化合物をジメチルスルホキシド中に溶解し、0.05M燐酸カ
リウム緩衝液中に希釈し、試験化合物の所望濃度を得た。燐酸カリウム緩衝液は
、人、猿、及びイヌのリアーゼ検定に対してはpH7.4、そしてラット及びアシミ
ックヌードマウルのリアーゼ検定対してはpH7.2であった。検定はまた1mMのNADP
H、5mMグルコース-6-ホスフエート、1lU/mlのグルコース-6-ホスフェートテヒ
ドロゲナーゼ(NADPH再生系)、及びミクロソーム蛋白質を合計容量で0.2ml含有
していた。対照検定は、ジメチルスルホキシドを含めた全ての成分を含有してい
たが、試験化合物を含有していない。全ての検定は二重に実施した。時間に依存
するC17,20リアーゼ不活性化を測定する為に試験化合物を20〜60μg/mlミクロ
ソーム蛋白質、緩衝液、及び上に記載したNADPH再生系とともに34℃で0〜40分間
培養した。アリコート(180μl)を取出し、そしてトリチウム化ステロイド基質
+標
識していないステロイド基質に添加して200μlの合計検定容量を与え、その後34
℃で6分間培養ることによって酵素活性が検定された。試験化合物による可逆的
な阻害の測定については、反応を基質の添加によって開始した。ヒト、シノモル
ガス猿、及びイヌのリアーゼについて使用された放射性標識化基質は、[7-3H]
-17α-ヒドロキシプレグネノロン、11.2Ci/mモル、0.2μCi合計活性/検定であっ
た。標識していない17α-ヒドロキシプレグネノロンを加えて、ヒト及びサルの
酵素に対しては1.0μM又は0.3μMの合計濃度を与え、イヌの酵素に対しては0.08
μMを与えた。17α-ヒドロキシプレグネノロンのヒト、サル及びイヌのリアーゼ
に対するKmの値は、それぞれ0.30μM、0.11μM、及び0.06μMである。齧歯類の
酵素に対して使用された放射性標識基質は[1,2-3H]-17α-ヒドロキシプロゲス
デロンであった(47〜57Ci/mモル;0.2μCi/検定)。標識していない17α-ヒド
ロキシプロゲステロンを加えて、合計濃度をラット酵素についでは0.1μM(Km=0
.1μM)、アシミックヌードマウス酵素については0.03μM(Km=0.03μM)の合計
濃度を与えた。合計検定容量は200μlであった。完全な検定は34℃で6分間培養
された。各反応は5mlのクロロホルム:メタノール(2:1)の添加によって停止し
た。この時点で基質及び生産物を表わしているキャリヤーステロイド類及び0.8m
lの水も加えた。ヒト、サル及びイヌのリアーゼ検定に対するキャリ
アーステロイドは、17α-ヒドロキシプレグネノロン、デヒドロエピアンドロス
テロン、及びアンドロステンジオールであった。齧歯類のリアーゼ検定に対する
キャリアーステロイドは17α-ヒドロキシプロゲステロン、アンドロステンオー
ル及びテストステロンであった。ステロイド類をモーアとウィルソンの方法で抽
出し(Methods in Enzymol.,Eds.オマリー,B.W.及びハードマン,J.G.,36,
1975,466-474頁)、ステロイド類を含有している有機層を窒素ガスを使用して
蒸発させ、残留物をヘキサン中の18%テトラヒドロフラン(v/v)中に溶解し、
ステロイドをヘキサン中のテトラヒドロフラン(v/v)18〜22%勾配を使用してS
i 60(5-um)カラム(250×4mm)上のHPLCによって分離した。ステロイドピーク
に於ける放射能をラジオマチックモデルHSフロ-ワン(Flo-One)デテクターによ
って測定した。
各培養物に対する酵素活性を基質の生成物への変換%から計算し、結果を対照
に対する阻害%として表現した。適当なコンピュータープログラム中の二つのパ
ラメーターの等式にこれらのデータをフィットさせることによってIC50値を測定
した。時間依存性阻害剤に対するKi及びkinactをキッツ-ウィルソン(kitz-Wils
on)プロットのグラフによる分析によって測定した。本発明の化合物がヒトリア
ーゼを使用して上の手順で試験された時に次の結果が得られた。
シノモルガス猿C17,20リアーゼを使用して、4-アミノ-17β-(シクロプロピ
ロキシ)-アンドロスト-4-エン-3-オンは、286nMのKi及び0.0007秒-1のkinactを
示した。同様に、4-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)-アンド
ロスタ-4,6-ジエン-3-オンは、339nMのKi、と0.0009秒-1のkinactを生じた。
本発明の化合物のステロイド5α-レダクターゼの阻害剤としての活性は、実験
室の前立腺組織から5α-レダクターゼ酵素のミクロソーム調製物を使用して測定
した。特定すると、ミクロソームをシノモルガス猿前立腺組織から単離した。ミ
クロソーム調製物の蛋白質濃度を、試料の使用に先立って測定した。シノモルガ
スサル前立腺5α-レダクーゼ活性の個々の検定は、0.1M燐酸カリウム-クエン酸
ナトリウム緩衝液(K-Na緩衝液1:1)、pH5.6、0.1%牛血清アルプミン(w/v)、1
.0mMナトリウムEDTA、7〜96μgのミクロソーム蛋白質、1.0mMのNADPH、5.0mMグ
ルコース-6-燐酸、1IU/mlグルコース-6-燐酸デヒドロゲナーセ、[1,2-3H]-テ
ストステロン(0.15μCi)、非標識テストステロンを含有しており、所望の基質
濃度及び阻害剤濃度を生じ、阻害剤はジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し
た後、k-Na緩衝液中で希釈し、最終検定濃度0.1%(v/v)DMSOを生じた。同じ緩
衝液とDMSOを有するが阻害剤を有しないものを対照検定に使用した。バックグラ
ンドの放射能は、酵素以外の全ての成分を含有している検定から測定された。検
定は二重に実施した。反応はテストステロンの添加によって開始し、そしてダブ
ノフ(Dubnoff)シェイカーインキュベーター中で25℃で20分間培養した。阻害
の為に試験されるべき化合物は、テ
ストステロンと同時に添加した。検定の合計容量は100μlであった。
5α-レダクターゼ反応は、5mlのクロロホルム-メタノール(2:1)及び0.9ml水
の添加によって停止した。キャリヤーステロイドをそれぞれ2.5μgのテストステ
ロン、ジヒドロテストステロン及び3,17-アンドロステンジオールの形で添加し
た。ステロイド代謝物を次にモーアとウィルソン(Methods in Enzymology,オ
マレイ,B.W.及びハードマン,J.G.編,36,1975 466-474頁)の手順に従って抽出
した。ステロイドを含有している有機層を窒素ガスを使用して蒸発させ、残留物
を3%(v/v)ヘキサン中イソプロパノール中に溶解した。ステロイドを次に3%〜
7.5%のヘキサン中イソプロパノール勾配、続いてヘキサン中75%(v/v)イソプ
ロパノールの等濃度(isocratic)条件でリクロソープ(LiCrsorb(R))DIOL誘導
体シリカゲルカラム(10μm;4×250mm)上のノーマルフェーズHPLCによって分離
した。ステロイドピーク中の放射能をパッカード(Packard(R)ラジオマチックモ
デルHSフロ-ワン(Flo-One(R))デテクターを使用して測定した。IC50値は六
つの濃度の阻害剤を使用して得られたが、一方Ki値は、四つの阻害剤濃度から
決定した。これらの実験のデータを、適当な二パラメーターコンピューターモデ
ルにあてはめ、実際のIC50とKi値を測定した。
検定はこれらの条件下で30分まで時間と線形であった。
IC50測定値についてはKm水準に於ける単一のテストステロン濃度を使用した
。テストステロン濃度は、阻害機構の測定の為にそしてKi値の為に0.5Km〜8km
の範囲で変化した。複数の実験中で測定されたテストステロンのKm値は、シノ
モルカス猿5α-レダクターゼについては、0.025μM〜0.091μMまで変化した。
シノモルガスサル5α-レダクターゼに対して上の手順を使用して4-アミノ-17
β-(シクロフロピロキシ)-アンドロスト-4-エン-3-オンは、IC50が7.4nM、
Kiが7.8±0.7nmを与えた。同様に4-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)-アン
ドロスタ-4,6-ジエン-3-オンは、IC50が2.8nMを生じた。
本発明の化合物の前立腺癌の処置に対する治療剤としての有用性をホーエンW.
等、Prostate 1:95-104(1980);バン ステーンブラッゲ J.J.等、Urology 131
:812-817(1984)中に記載された生体内腫瘍モデルによって実証した。このモ
デルに於ては、人の前立腺腫瘍キセノグラフ(xenograph)(PC-82)がアシミッ
クマウス中で生育された。腫瘍は、連続して移植可能であり、アンドロゲン応答
性であり、生育が遅く(即ち腫瘍容量が二倍になるのに20〜30日)、そして穏や
かに分化したヒトの前立腺の腺癌である。これらの腫瘍は、18日の半減期で次の
アンドロゲン剥雑(切除)に続いて退化するであろう(バン ウィールデン,W.M
.等、prostate 23:149-164(1993)。
アンドロゲン依存性ヒト前立腺癌の上の腫瘍モデルを、30及び100mg/kg/日の
毎日の経口処置に続く前立腺腫瘍増殖の抑制について4-アミノ-17β-(シクロプ
ロピロキシ)-アンドロスト-4-エン-3-オンを評価する為に使用した(表2参照
)。二つの対照群を試験し、これらには、投与の為の賦形剤のみを受けるもの、
そしてバイラテラルに去勢された別のものが含まれる。腫瘍容量を式:
V(mm3)=d1×(d2)2/2
を使用しで、ディジタルカリパスを使用して週あたり3回測定した。ここでd1
は長さであり、d2は幅である。腫瘍容量の相対変化%は、0週を100%に等しく
セットして、賦形剤対照群の平均腫瘍容量に基づいて決めた。
表2に於て、対照マウスの去勢された群は、PC-82前立腺腫瘍のアンドロゲン
依存性を確立し、一方、これらのデータは、4-アミノ-17β-(シクロプロピロキ
シ)-アンドロスト-4-エン-3-オンでの毎日の経口投与処置に続くヒト前立腺腫
瘍増殖の長い抑制を確立している。その結果、4-アミノ-17β-(シクロプロピロ
キシ)-アンドロスト-4-エン-3-オンは、人の前立腺腫瘍のアンドロゲン依存性
の成長減少を誘発する。
前に記載した種々のアンドロゲン及びエストロゲン依存性の病気の処置に於て
、本発明の化合物は、所望の特定の効果を達成する為に、処置される患者に経口
投与できる。本発明の化合物はまた製剤組成物の形態で投与でき、持続性投与デ
バイス中に入れることもできる。
本明細書で「有効阻害量」という用語は、患者の治療効果を生じるのに十分な
酵素阻害効果が達成される量である。投与される化合物の精確な量は、広い範囲
で変化し、患者の種類と大きさに主として依存する。例えば処置される患者及び
処置される症状のひどさに依存して、投与される化合物の有効阻害量は、約0.62
5〜200mg/kg体重/日で変化し、好ましくは約0.5〜100mg体重/日で変化する。経
口投与の為の単位適量は、例えば10〜500mgの本発明の化合物を含有しうる。別
の方法として、本発明の化合物は非経口的、例えば静脈内、腹腔内、筋肉内、皮
下経由で投与することができ、インフラントからの放
出並びに活性成分の注入及び/又は組織又は腫瘍場所に直接いれられる組成物も
含まれる。
本発明の方法を実施するにあたって、活性成分は好ましくは組成物中に入れら
れ、その組成物は、約5〜90重量%のシクロプロピルステロイドと製薬担体を含
有している。製薬担体という用語は、動物への内部投与に製薬活性化合物を処方
するのに有用であって使用条件で実質的に無毒かつ非刺激性である既知の製薬賦
形剤をさす。所望の組成物の特定の種類のものを製造するのに有用であることが
知られた適当な賦形剤を含有することができる適当な投与用賦形剤の既知の製造
技術によって、組成物を製造出来る。例えば、錠剤、ロゼンジ剤、カプセル、散
剤、エロゾルスプレー、水性又は油性懸濁液、シロップ、エルキシル、及び注射
用溶液が適した投与の為の賦形剤であり得る。適当な製薬担体と処方技術は、「
Remington's,Pharmaceutical,Sciences」ペンシルバニア州イーストンのマック
出版社(Mack,Publishing,Company,Eaaston,Pennsylvania)のような標準教科書
に見られる。
経口投与には、化合物をカプセル剤、丸薬、錠剤、トローチ、散剤、溶液、懸
濁液、又は乳濁液のような固体又は夜体製剤に処方できる。固体単位適量形式は
、活性化合物と、担体、例えば、潤滑剤、及び乳糖、庶糖、及びトウモロコシ澱
粉のような充填剤を含有する通常のゼラチン型のカプセル剤であり得る。別の態
様で、化合物
類は、アラビアゴム、コーンスターチ、アルギン酸、及びステアリン酸又はステ
アリン酸マグネシウムのような潤滑剤と組み合わせた、乳糖、庶糖及びコーンス
ターチのような慣用の錠剤基剤と一緒に錠剤化できる。
非経口投与のためには化合物は、界面活性剤や他の製薬上受け入れられる賦形
剤を有する又は有しない油中水等の滅菌液であり得る製剤担体を有する、生理学
的に受け入れられる希釈液中の化合物の溶液又は懸濁液の注射可能用量として投
与されてもよい。これらの製剤に使うことのできる油の例は石油エーテル、動物
、植物又は合成由来の、例えば、ピーナツ油、大豆油、及び鉱物油である。一般
に、水、食塩水、水性テキストロース及び関連した糖液類、エタノール類及びプ
ロピレングリコールやポリエチレングリコールのようなグリコール類が液体担体
として、特に注射可能溶液として望ましい。
化合物は皮膚貼剤、徐放性注射剤又は移植製剤の形で投与することができ、そ
れらは活性成分を徐々に放出させるように処方することができる。活性成分を小
丸薬または小さい円柱に圧縮することができ、そして皮下又は筋肉内に徐放性注
射剤又は移植剤としてインフラントすることができる。移植剤には生物分解可能
な重合体及び合成シリコーン類、例えば、ダウーコーニング社(Dow-Corning,Co
rporation)製のシラスチック(R)シリコンゴムのような不活性物質を用いてもよ
い。さらに適当な製剤
担体についての情報及び処方技術はRemington's,Pharmaceutical,Sciencesのよ
うな標準教科書に見られる。
次の実施例は、本発明の範囲内の化合物の製造を例示する為に与えられるが、
これらは、決して本発明を限定するように解釈されるべきでない。
実施例14-アジド-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン
水浴中で15℃に冷却されたメタノール80mlとジクロロメタン60ml中の17β-(
シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン(10.9g,33.44mM)の溶液に
、30%の過酸化水素(8.2ml)を加え、次に水3.8ml中の水酸化ナトリウム0.58g
の溶液を加えた。室温で4時間後、溶液の殆どを除去し、残留物を水300mlで希
釈し、ジクロロメタン1立で抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で
乾燥し、瀘過して液体に濃縮し、これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO2,
トルエン-5%酢酸エチル)で精製し、α及びβエポキシドの混合物を得た(5.6g
,48.7%)。IR 1724cm-1;MS(Cl)m/z 345(100%,M++1);1H NMR(CDCl3)0.3
8-0.60(4H,m,2xシクロプロピルCH2)、0.77(主要)+0.78(3H,pr s,C18-Me)、1.15
(s,C19-Me),2.97(主要)+3.04(1H,pr s,C4-H)、3.25-3.33(1H,m,OC
H)、3.45(1H,dd,C17α-H)。
ジメチルスルホキシド(DMSO)(80ml)中の上のエポキシ
ド(3.6g,10.4mM)の激しく攪拌した混合物に、ナトリウムアジド(11g,169mM
)を加え、次に濃硫酸(0.74ml)を加えた。60℃で90分攪拌後、反応混合物を室
温に冷却し、冷水中に注いだ。固体を瀘過で集め、水洗し、乾燥し、黄色の固体
を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2,トルエン-20%ヘキサ
ン)で精製し、4-アジド-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-
オン(1.56g,42.7%)融点103.5-105.5℃(水性Me2CO)を得た。IR 2116,1674
,1592cm-1;MS(Cl)m/z 370(3%,M++1)、342(50%,M++1-N2),284(100%,
M++1-N2-C3H6O);1H-NMR(CDCl3)0.38-0.60(4H,m-2xシクロプロピル(CH2)
,0.79(3H,s,C18-Me),1.18(s,C19-Me),3.02(1H,dq,C6-H),3.25-3
.33(1H,m,OCH),3.4(1H,t,C17α-H);13C NMR(CDCl3)88.83,128.46
,155.09,193.22。
実施例24-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン
4-アジド-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン(1.32g
,3.57mM)、トリフェニルホスフィン(1.14g,4.97mM)、テトラヒドロフラン
(25ml)及び水(8ml)の攪拌溶液を、還流で15時間加熱した。反応混合物を冷
やし、溶媒の殆どを蒸発させた。残留物をジクロロメタン中に溶解し、SiO2のカ
ラムに装填してフラッシ
ュクロマトグラフィーにかけ(トルエン-10%酢酸エチル)、4-アミノ-17β-(
シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン(0.53g,43.1%)を得た。融
点85-88℃。IR 344G,3363,1672,1584cm-1;MS(Cl)m/z 344(100%,M++1)
,1H NMR(CDCl3),0.38-0.61(4H,m,2xシクロプロピル(CH2),0.74(s,C18
-Me),1.15(s,C19-Me),3.25-3.33(m,OCH),3.44(t+hr s,C17α-H+N
H2)、13C NMR(CDCl3),83.95,132.87,138.90,194.33。この化合物は次の
構造を有している。
実施例34-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスタ-4,6-ジエン-3-オン
60℃に加熱したDMSO(50ml)中の、実施例1の最初のパラグラフに記載される
ように得られるエポキシド(2.4g,5.92mM)の激しく攪拌した混合物に、ナトリ
ウムアジド(6.28,95.5mM)を加え、次に濃硫酸0.42mlを加えた。温度を100℃
に上昇させた。60分この時間で経過した後、反応を室温に冷却し、南水500mlに
注いだ。生じる沈殿
を瀘去し、水で洗浄し、乾燥し、フラッシュクロマトグラフィーで精製し(SiO2
,トルエン5〜20%酢酸エチル)、4-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アン
ドロスタ-4,6-ジエン-3-オン(1.7g,84.0%)を得た。
IR 3454,3358,1670,1640,1592cm-2;MS(Cl)m/z342(70%,M++1),234(1
00%,M++1-C3H6O)1H NMR(CDCl3)0.38-0.64(4H,m,2xシクロプロピル CH2)
0.84(3H,s,C18-Me),1.06(3H,s,C19-Me),3.0-3.9(br s,NH2),3.25
-3.35(m,OCH),3.48(t,C17α-H),5.95(1H,dd);6.30(1H,dd);13C
NMR 88.66,121.90,132.15,132.75,135.69,194.37。この化合物は次の構
造式を有する。
実施例44-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4エン-3-オン
17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン(9.70g,29.5mM)
、カリウム第三ブトキシド(7.0g,62.4mM)、及び硝酸イソプロピル(2.99ml)
を実施例1の方
法で反応させ、17β-(シクロプロピロキシ)-4-ニトロ-アンドロスト-4-エン-3
-オン、融点137-38(メタノール)を生成した。
IR (CHCl3),1695,1622(m),1535,1373cm-1。
MS(Cl)374(100%,M+10,316(20%,M+1-c-C3H5-O)。1
H-NMR(CDCl3)0.38-0.61(4H,m),0.80(3H,s,C18-Me),1.29(s,C19-M
e),3.25-3.33(1H,m,シクロプロピル-CHO),3.44(1H,t,C17-H)。この
化合物を次の構造を有している。
上のニトロ化に対する出発物質は欠のようにして造られる。
−3℃に予め冷却したアセトン(1.9立)中の17β-シクロプロピロキシ-アン
ドロスト-5-エン-3β-オール(19.36g,58.9mM)の溶液をジョーンズ試薬20mlで
処理する。過剰の試薬をメタノールで分解した。固体を瀘過で除去した。瀘液を
緑色の油に濃縮し、これをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製
して17β-シクロプロピロキシ-アンドロスト-4-エン-3-オン(11.0g,57%)
を得た。
上の酸化に対する出発物質(17β-シクロプロピロキシ-アンドロスト-5-エン-
3β-オール)は、アンゲルアストロとブロームに対する米国特許4,996,897号に
記載される。
4-ニトロ化合物の還元は次の方法で化学的に行ない得る。
上で造られた、又は他の既知の技術で造られた17β-シクロプロピロキシ-4-ニ
トロアンドロスト-4-エン-3-オン(1.0g,2.71mM)の酢酸10ml中の溶液を、亜鉛
末1.0gで処理する。一緒にしたもの(混合物)を室温で1.5時間激しく攪拌する
。亜鉛塩を瀘過で除去し、酢酸エチルで洗浄する。一緒にした瀘液及び洗液を一
緒にし、濃縮して黄色の固体とし、次にこれを酢酸エチルに再溶解して1M塩酸1
50mlで3回抽出する。一緒にした酸抽出物を水酸化ナトリウムpH14で中和し、エ
ーテルで抽出する。次に一緒にした有機を相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮
して、4-アミノ-17-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン(0.59
g)、融点100〜102℃(水性メタノール)を与える。
IR 3354,1662,1620,1581cm-1。
MS(Cl) 344(100%,M+1)。
1H-NMR 0.37-0.61(4H,m),0.79(3H,s,C18-Me),1.16(s,C19-Me),3
.25-3.33(m,シクロプロピル-CHO),
3.44(t,C17-H)。
この化合物は次の構造を有している。
別の方法として、4-ニトロ化合物の還元は次の方法で接触的に行なうことが出
来る。無水エタノール125ml中の17β-シクロプロピロキシ-4-ニトロアンドロス
ト-4-エン-3-オン(4.36g,11.6mM)の溶液をリンドラー触媒で処理し、次にキノ
リン80μlで処理する。混合物を水素雰囲気下で1気圧で約117時間攪拌する。反
応混合物を木炭を上に置いたセライトを通して瀘過し、固体を無水エタノールで
洗浄する。一緒にした瀘液及び洗液を濃縮して茶色の液体(3.7g)とし、塩化メ
チレンに溶解し、ヘキサン:酢酸エチル(20:80)で調製したシリカゲルのカラ
ムの上に置き、そして200mlのフラクションを取りながらヘキサン:酢酸エチル
(20:80)中で溶離しながらフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
生成物含有フラクションを一緒にし、濃縮して淡黄色のガラス状物を生成し、
これを放置すると結晶化する(2.3g)。結晶をメタノール中に再溶解し、綿を通
して瀘
過する。水を結晶化が始まるまで滴下し、その後結晶を一夜冷蔵庫に入れる(12
〜18時間)。結晶を瀘過によって集め、冷たいメタノール水溶液中で洗浄し、再
度水で洗浄し、次に真空で乾燥して4-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アン
ドロスト-4-エン-3-オンを明るい黄色の固体1.97gとして得る。
IR(KBr)ν 3458,3372,1674,1622(m),1585cm-1。
元素分析 C22H33NO2に対する
計算値:C:76.92;H:9.68;N:4.08
実測値:C:76.86;H:10.04;N:4.08。1
H-NMR(CDCl3)δ 0.38-0.61(4H,m,2xCH2),0.79(3H,s,C18-Me),1.15
(s,C19-Me),3.27+3.44+約3.4(4H,シクロプロキシ-H,C17-H,NH2,m+t,v
br.)。13
C-NMR(CDCl3)δ 88.96,132.92,138.74,194.30.UV(EtOH)λ 294(ε 7
570,1g.ε 3.879)。
MS/Cl 344(100%,M+1),286(30%,M+1-C3H5OH)。
実施例54-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン塩酸塩
4-アミノ-17β-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オンを酢酸エ
チル20ml中に溶解し、ジオキサン中の4M塩酸(約2ml)で処理する。溶媒をロ
ータリーエバポレーター上で除去する。生じる固体を酢酸エチルで滴定して、ゼ
ラチン状の物質を与え、蒸気浴中で固体が分
離するまで加熱する。混合物を室温に冷却し、およそ等割合のヘキサンで希釈す
る。固体を瀘過し、酢酸エチル:ヘキサン(1:1)中で洗浄し、乾燥しで表題化
合物を得る。
IR(kBr)ν 2675,1662,1641cm-1。
NS(Cl)344(100%,M+1),286(30%,M+1,シクロプロピル-OH)。
1H-NMR(CDCl3)0.38-0.61(4H,m,2xCH2),0.79(3H,s,C18-Me),1.25
(s,C19-Me),3.24(1H,m,シクロプロピル-H).3.42(1H,t,C17).9.74
(2H.v.br.,NH・HCl)。
元素分析 C22H34ClNO2に対する
計算値:C:69.54,H:9.02,N:3.69;
実測値:C:69.06,H:8.89,N:3.94。
実施例617β-シクロプロピルアミノ-4-アミノブレグナ-4-エン-3-オン
第三級ブタノール60ml中の17β-シクロプロピルアミノ-4-エン-3-オン{17β-
シクロプロピルアミノ-アンドロスト-4-エン-3-オンか?}(4.61g,14.07mモル
)及びカリウム第三ブトキシド(4.74g,42.22mモル,3モル当量)の溶液を還流
で1時間加熱した。硝酸イソプロピル(1.43ml,14.07mモル,1モル当量)を全
部一度に溶液を攪拌しながら加える。反応をゆっくりと室温に冷却し、その後、
氷酢酸20ml及びジクロロメタン20mlを反応混合物に加える。反応を室温に一夜放
置する。反応混合物を瀘過し、フィルターケーキをジクロロメタンで白色になる
まで洗浄する。瀘液を追加のジクロロメタン(200ml)で希釈し、その後1/2飽和
濃度の塩化ナトリウム水溶液(200ml)で洗浄し、続いて等量部の水性1/2飽和塩
化ナトリウムと水性飽和重炭酸ナトリウム(200ml)からなる溶液で洗浄する。
有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮し、シリカゲル上のクロマト
グラフィで精製し(19:1ジクロロメタン:メタノール)、17β-(シクロプロピ
ルアミノ)-4-ニトロアンドロスト-4-エン-3-オンを固体の黄色のフォームとし
て得る。
1H-NMR(300MH2,CDCl3)δ 0.75(s,3H,C18-Me);1.30(s,3H,C18-Me)
ppm.
13C-NMR(75MHz,CDCl3)δ 6.46,7.20,11.70,17.64,20.79,23.54,27.0
7,29.62,29.68,30.84,33.03,34.06,35.11,37.54,39.16,42.40,52.37
,53.75,68.84,146.66,160.73,187.47ppm。
IR(KBr)3435,2944,2870,1695,1533,1371,1013,766cm-1。
MS(EI)372(M+)。
この化合物は次の構造を有している。
上の手順で造った17β-シクロプロピルアミノ-4-ニトロアンドロスト-4-エン-
3-オン(670mg,1.80mモル)を無水エタノール11mlに溶解し、リンドラー触媒(5
.95 Pd+5.4%Pb)(268mg)で処理し、続いてキノリン(3μl)で処理する。溶
液をH2雰囲気下で大気圧(約760mm/mg)で18時間激しく攪拌する。反応混合物を
瀘過し、エタノール100ml、及びジクロロメタノール100mlで洗浄する。溶媒を真
空で除去し、生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィ(47:3CH2Cl2:CH2OH)
で精製し、黄色の油を得、これは黄色味がかった固体に結晶化する。融点149〜1
50℃(Et2O)。
IR(KBr):3474,3366,2945,1616,1577,1441,1369,1170,1011cm-1
MS(Cl/CH4)[M++H]343。
1H-NMR(33 MHz,CDCl3)δ 0.73(s,3H,C18-Me),1.15(s,3H,C19-Me)
,2.66(t,J=9.3Hz,1H,C17-H)。
13C-NMR(75MHz,CDCl3)δ 6.464,7.185,11.289,20.803,23.682,24.757
,29.683,29.753,30.914,32.860,34.899,35.307,37.904,42.453,52.910
,
54.549,69.014,132.938,138.860,194.343。
この化合物は次の構造式を有している。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1994年10月25日
【補正内容】
−原文27−
5. 式
〔式中、各々のRは、独立に水素及びC1〜C4低級アルキルからなる群から選択
され、各々のXは、独立に水素、ハロゲン、及びメチルからなる群から選択され
、点線は二重結合が存在する場合もあることを示している。〕の化合物を製造す
る方法に於て、式
〔式中、R、X及び点線は上に定義される通り〕のエポキシドを、不活性溶媒中
で、触媒量の強酸の存在下で、ナトリウムアジドと反応させ、
(a) 6,7-位置が飽和されているときは、続いて約60℃に加熱して、対応する4-
アジド-4-エンを与え、続いて
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年5月9日
【補正内容】
−原文3〜3/1頁−
皮膚、男性性殖器及び前立腺を含めた哺乳類組織中に存在する酵素ステロイド
5α-レタクターゼは、テストステロン(17β-ヒドロキシ-アンドロスタン-4-エ
ン-3-オン)をジヒドロテストステロン、又はスタノロンとしても知られている
DHT(17β-ヒドロキシ-5α-アンドロスト-3-オン)に変換することを触媒す
る。DHTはテストステロンよりもより強力なアンドロゲンであり、ある種の組
織、特に成長を媒介する場合に末端臓器エフェクターとして作用する。DHT形
成は、5α-レダクターゼの作用によってある種の組織自体でも生じることが出来
る。アンドロゲン依存性の病気、例えば良性の前立腺肥大及びホルモン依存性癌
を含む前立腺癌の処置に於ては、DHTの抑制は非常に望ましいであろう。
テストステロンのDHT自体への変換は、種々のアンドロゲン性の病気、特に
DHT水準が過度の量蓄積する場合に関連していることがあり得る。例えば皮膚
のDHT高水準は、尋常性座瘡含む座瘡の病源と関連してきた。
C17-20リアーゼと5α-レダクターゼの両方を阻害する能力のある試薬は、D
HT生産を抑制するのみならずテストステロン形成も抑制する。主要なアンドロ
ゲン性のステロイドホルモンを抑制するのに、そのような化合物はアンドロゲン
病の治療に於て増大された有用性を有する。
出願EP-A-509,259は、C17-20リアーゼに対する同じ
−原文3〜3/1頁−
活性を有し、3-オキソ及び4-アミノ置換基を有する4-ブレグネン誘導体であるC17-20
リアーゼ阻害剤を開示している。出願EP-A-469,547及び出願EP-A-469,548
は、3-オキソ及び4-アミノ及び4-置換アミノ置換基を有する5α-レダクターゼ阻
害剤を開示している。前者は、4,6-プレグナジエン誘導体を記載するが、後者は
対応する4-プレグネンを記載する。出願EP-A-291,717は17-シクロプロピロキシ
置換基を有し、アンドロスタンの5.3-エノール並びに3-オキソ-4-エン誘導体で
ある、C17-20リアーゼ阻害剤を記載する。出願EP-A-288,053は17-シクロプロピ
ルアミノ置換基を有する類似の化合物を開示している。
発明のまとめ
本発明は、4-アミノ-17-(シクロプロピロキシ)アンドロスト-4-エン-3-オン
、4-アミノ-17-(シクロプロピルアミノ)アンドロスト-4-エン-3-オン及び関連
化合物、及び、例えば良性前立腺肥大、エストロゲン依存性乳癌、及びアンドロ
ゲン媒介性の前立腺癌等のアンドロゲン及びエストロゲン媒介性の病気を含めた
C17-20リアーゼ及び/又は5α-レダクターゼの阻害によって影響される症状の
治療に於ける、これらの化合物の用途に関する。
−原文34頁−
式
〔式中、Aは、O又はNHであり、各々のRは、独立に水素及ひC1〜C4低級ア
ルキルからなる群から選択され、各々のXは、独立に水素、ハロゲン、及びメチ
ルからなる群から選択され、点線は二重結合が存在する場合もあることを示して
いる。〕の化合物又は製薬上受入れられる塩の阻害有効量を、良性前立腺肥大の
処置を必要とする患者に投与することからなる、良性前立腺肥大の処置方法。
33. 化合物が4-アミノ-17β-(シクロプロポキシ)アンドロスト-4-エン-3-
オンである請求項32記載の方法。
34. 化合物が4-アミノ-17β-(シクロプロポキシ)アンドロスタ-4,6-ジエ
ン-3-オンである請求項32に記載の方法。
35. 化合物が4-アミノ-17β-(シクロプロピルアミノ)アンドロスト-4-エ
ン-3-オンである請求項32に記
−原文34頁−
載の方法。
36. 式
〔式中、Aは、O又はNHであり、各々のRは、独立に水素及びC1〜C4低級ア
ルキルからなる群から選択され、各々のXは、独立に水素、ハロゲン、及びメチ
ルからなる群から選択され、点線は二重結合が存在する場合もあることを示して
いる。〕の化合物又は製薬上受入れられる塩の阻害有効量を、乳癌の処置を必要
とする患者に投与することからなる、乳癌の処置方法。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(31)優先権主張番号 08/231,434
(32)優先日 1994年5月2日
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,UZ,VN
(72)発明者 ゲッツ,シンシア,エイ.
アメリカ合衆国 オハイオ州 45014 フ
ェアフィールド,オーククノールコート
1543
(72)発明者 アンゲラストロ,マイケル,アール.
アメリカ合衆国 オハイオ州 45241 シ
ンシナチ,ロードアルフレッドコート
5028
(72)発明者 ジョンストン, ジェイ. オニール
アメリカ合衆国 オハイオ州 45150 ミ
ルフォード,クロックトクリーク/フォッ
クスウッド 9
(72)発明者 カレン, ティモシー ティー.
アメリカ合衆国 オハイオ州 45236 シ
ンシナチ,ディアクロス パークウェイ
9251 アパートメント 2ビー
(54)【発明の名称】 4−アミノ−17β−(シクロプロピロキシ)アンドロスト−4−エン−3−オン、4−アミノ−
17β−(シクロプロピルアミノ)アンドロスト−4−エン−3−オン及びC▲下17−20▼リアー
ゼ及び5α−レダクターゼ阻害剤としての関連する化合物類