JPH08509613A - 化学的に改変されたラムドイドバクテリオファージを用いる化合物の検出方法 - Google Patents

化学的に改変されたラムドイドバクテリオファージを用いる化合物の検出方法

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JPH08509613A JP6524503A JP52450394A JPH08509613A JP H08509613 A JPH08509613 A JP H08509613A JP 6524503 A JP6524503 A JP 6524503A JP 52450394 A JP52450394 A JP 52450394A JP H08509613 A JPH08509613 A JP H08509613A
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Abstract

(57)【要約】 標的分子へ結合している化学反応性アミノ酸残基を有する、化学的に改変したラムドイド尾部タンパク質を含有するタンパク質構築物を開示する。化学的に改変された尾部タンパク質をその外表面上に提示している感染性ラムドイドバクテリオファージも開示する。さらに、化学的に改変した尾部タンパク質を有する感染性ラムドイドバクテリオファージを利用する、溶液内の目的分子の検出方法および目的分子を産生する細胞の検出方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 化学的に改変されたラムドイドバクテリオファージを用いる化合物の検出方法 発明の分野 本発明は化合物の検出に関する。より詳細には、本発明は目的分子および目的 分子を産生する細胞の検出とアッセイのための、遺伝子的および化学的に改変し たラムドイドバクテリオファージを用いる方法に関する。 発明の背景 バクテリオファージは、目的分子の検出方法に使用されている。例えば、バク テリオファージM13を用いる方法は、様々な所望のタンパク質のアッセイに用 いられている。この方法において、M13ファージは、マイナーM13被覆タン パク質pIIIと融合しているタンパク質を有しており、タンパク質結合分子お よび抗体のスクリーニングに用いられている。(スコットら(1990)サイエ ンス249:385;デブリン(Devlin)ら(1990)サイエンス249:4 04)。M13から誘導された特別な系が、抗体を融合タンパク質としてファー ジ表面上に発現させるのに用いられており、ある抗原に対して所望の親和性を有 するファージ提示抗体の密度を上げる手法も開発されている(ジェラルドら(1 991)バイオ/テクノル(Bio/Technol.:1373;バーバスら(199 1)プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン ス・ユーエスエー88:7978)。しかしながら、M13による感染が即座に 確認できないことからM13のアッセイへの適用は、制限されている。これは、 M13の感染によって、感染された細胞に対する細胞の増殖に必要な成分が供給 されず、細胞を溶菌することがないからである。 バクテリオファージT4もまた、様々なタンパク質のアッセイに用いられてい る。例えばT4は神経成長因子(NGF)の検出に用いられている(オルガーら (1974)プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・ サイエンス・ユーエスエー71:1554−1558)。このアッセイにおいて 、T4 はグルタルアルデヒドを用いてNGFと化学結合させる。グルタルアルデヒドは リジンおよびシステイン残基と反応するのと同様、α−NH3基と反応する(ラ ボラトリー・テクニックス・イン・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー ・バイオロジー(エルスファイアー・サイエンス・パブリッシング社、アムステ ルダム(1988)第19巻参照)。NGFに対する抗体を用いてバクテリオフ ァージを非感染性とする。NGFが培地に添加された場合、T4−NGFが抗体 から置換され、そして大腸菌(Escherichia coli)を感染させ得るようになる。 バクテリオファージT4は広い範囲の化合物に対する抗体を検出するのにも用 いられている。例えば、ベッカーら(イムノケミストリー(1970):74 1)には、T4バクテリオファージをp−アゾベンゼンアルソネート(p-azoben zenearsonate)に対する抗体の検出に用いることが開示されている。フルウィル ツ(Hurwirtz)ら(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(1 970)17:273)はアンジオテンシンIIベータアミドとその抗体の検出 およびレベルの測定をバクテリオファージを用いて行っている。グラーリ(Gura ri)ら(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(1972) :247)は、バクテリオファージT4を核酸に対する抗体の検出に用いてい る。これらの検出方法には、アッセイしようとする抗体が標的とする化合物をフ ァージ表面上に非特異的に露出されるようT4ファージの化学的な改変をするこ とを含む。抗体はこのバクテリオファージを非感染性とし、これによってプラー ク生成を減少させるため、抗体存在量を測定することが可能となる。 T4の系はハプテンの濃度を測定するのにも用いられている(上記フルウィル ツらヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(1970)17: 273−277参照)。この系において、T4はその表面上へ所望のハプテンを 非特異的に発現するように化学的に改変される。抗ハプテン抗体を添加すると、 ファージの感染能が壊される。感染能はハプテンの存在下で回復する。 M13およびT4ファージの系は、ある化合物を検出するのに、その化合物の 存在下において感染可能となる性質に因って使用可能であるが、M13による感 染は通常すぐに確認できず、T4感染は致死的である。従って、これらの系は感 染した細菌細胞の生存に基づく迅速なスクリーニングもしくは選択方法、例えば 特定の細胞の型が選択されるような場合、またはファージの感染の目的が、栄養 要求性細菌細胞が与えられた増殖条件の元で自力で増殖し得るようにすることで ある場合には用いることができない。他の制限は、これらの検出方法のいずれも がファージのインビトロ組み立てをさせ得ないことおよびいずれもがファージの 特定の領域に非タンパク質である標的分子を提示し得ないことに因る。特にM1 3−誘導ファージミド系、例えばバーバスら(プロシーデイングス・オブ・ザ・ ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(1991)88: 7978)に用いられているごとき、感染細胞へ選択的な増殖優位性を付与する 遺伝子を担持するものを用いている。しかしながら、これらの系はペプチドまた はタンパク質の発現に限定されている。さらに、融合タンパク質がタンパク質を 提示するのに用いられているすべてのM13系においては、提示されているタン パク質が常に目的の分子であり、それゆえかかる分子の検出には有用ではない。 従って、バクテリオファージ感染を利用する効果的で正確なアッセイ方法であ って、素早い結果を示し、細菌細胞の死をもたらさないものが必要とされている 。さらに、バクテリオファージ感染を利用するアッセイ方法が、非タンパク質の 目的分子、生細胞を用いる場合に必要とされる。さらに、新規な選択およびスク リーニング技術が、所望の化合物をセルラインから連続的に産生させるのに必要 とされている。 発明の要旨 バクテリオファージの成分のひとつであるgpVタンパク質に化学結合してい る標的分子を有するラムドイドバクテリオファージがインビトロにおいて、標的 分子がファージの外表面上に提示されるように組み立てることができることを見 いだした。さらに、この化学的に改変されたラムドイドバクテリオファージはそ の大腸菌に対する感染能を保持している。これらの発見を利用して、本願発明、 すなわち溶液内の所望の分子を検出する方法、および連続的に所望の化合物を産 生するセルラインを選択もしくはスクリーニングする方法であって、遺伝的およ び化学的に改変したラムドイドバクテリオファージを利用する方法を完成した。 本明細書において、「ラムドイドバクテリオファージ」という語にはすべての ラムダ関連ファージおよび全ての誘導体、遺伝子工学による誘導体および、これ らに限定されないがΦ80、Φ81、ファージ21、82、424、432、λ imm434、λimm21、ファージミド、λEMBL、およびλgtのごと きそのハイブリッドを包含する。 本方法において、改変gpVタンパク質を含有するタンパク質の構築物が供給 される。本明細書において、「gpVタンパク質」は、ラムドイドバクテリオフ ァージに認められる主な尾部タンパク質ののいずれか、例えばgpVタンパク質 、gpV関連タンパク質および他のラムドイドウイルスの尾部内のラムドイドg pVタンパク質と等価なタンパク質(これらに制限されない)を含む。 gpVタンパク質は化学反応性アミノ酸残基にて、天然gpVのアミノ酸残基 が置換され、かかるアミノ酸残基が標的分子と化学結合するよう置換されている 。好ましい化学反応性アミノ酸残基はヒスチジン(His)、システイン(Cy s)、チロシン(Tyr)またはトリプトファン(Trp)である。最も好まし い反応性アミノ酸残基はシステインである、というのはシステインは選択的に改 変できるからである。これらの反応性の残基はgpVタンパク質の機能またはフ ァージの組み立てや構造に干渉しないのであればgpVアミノ酸配列のいずれの 位置に存在していてもよい。反応性残基の一つの態様としては、gpVタンパク 質のカルボキシ末端を置換したものがある。好ましい態様において、改変gpV タンパク質はカルボキシ末端のセリン残基に代えてシステイン残基を有するもの である。標的分子は、化学反応性アミノ酸残基と、直接または化学的な架橋剤、 例えば2価架橋剤を介して、のいずれかにより化学結合している。 本発明の好ましい態様において、標的分子はタンパク質、ペプチド、糖タンパ ク質、リポタンパク質、ホルモン、プロテオグリカン、プロテオリピド、リピド 、リポポリサッカライド、核酸、補因子、毒素、炭化水素、グリコリピド、テル ペン、抗生物質またはビタミンである。好ましい標的分子は酵素、酵素の基質、 免疫グロブリン、またはその結合性部分、リガンド、毒素、成長因子、サイトカ イ ン、受容体またはこれらのタンパク質のいずれかの類縁体またはフラグメントの ごときタンパク質である。 本発明の方法には、タンパク質構築物を含み、ファージの尾部の外表面に提示 されている標的分子を有する感染性ラムドイドバクテリオファージの組み立てを 含む。いくつかの態様において、組み立ての際にはファージの組み立てに必要な 酵素および成分を、組み立てに外因性のgpVタンパク質を必要とするラムドイ ドバクテリオファージを予め感染させた大腸菌細胞から得られたパッケージング エクストラクトとして供給する。本明細書において、「パッケージングエクスト ラクト」の語には少なくとも感染された大腸菌の細胞質の、組み立てに必要な酵 素およびラムダ成分を含有する部分を含む。 バクテリオファージ表面上の標的分子はその後、ファージが可逆的に非感染性 もしくは不活性となるようプロセシングされる。「可逆的に非感染性」の語は、 一時的に不活性化されたファージが再び感染性とされることをいう。本願発明の いくつかの点において、プロセシングはファージに連結した標的分子を、この標 的分子に特異的な結合分子によって処理することによって達成し得る。ある態様 においては、結合分子は免疫グロブリンまたはその結合部分であって、標的分子 上の抗原決定部位に特異的なもの、リガンド型標的分子と結合する受容体、受容 体型標的分子と結合するリガンドまたは標的分子を介してファージが固定化され るマトリックスである。固定化によってファージがラムダ細胞受容体と結合でき なくなる結果、ファージが非感染性となる。 非感染性バクテリオファージへ、その後目的分子を含有する可能性のある被験 溶液を作用させる。好ましい被験溶液には、細胞培養培地、細胞溶菌物または血 液、尿、血清、精液または涙腺分泌物等の生体試料が含まれる。溶液中に目的分 子があると非感染性バクテリオファージが再び感染性となる。 「目的分子」の語は活性または存在が所望されるいずれの分子でもよく、直接 または間接的に非感染性ファージを再び感染性とするものをいう。これはタンパ ク質、ペプチド、ホルモン、核酸、炭化水素、脂質、糖タンパク質、プロテオグ リカン、糖脂質、プロテオリピド、リポポリサッカライド、ビタミン、毒素、テ ルペン、抗生物質または補因子であってよい。 いくつかの態様においては、目的分子は酵素、酵素の基質、免疫グロブリン、 またはその結合部分、リガンド、毒素、成長因子、サイトカイン、受容体または これらのタンパク質のいずれかのアナログもしくはフラグメントのごときタンパ ク質である。本願発明のいくつかの観点においては、目的分子は標的分子を切断 する酵素である。結合分子に連結する標的分子の切断によりバクテリオファージ が自由になり、再びこのファージが感染性となる。他の態様においては、目的分 子は未結合の標的分子である。この場合には、ファージに連結し、結合分子と結 合している標的分子が、被験溶液内に存在する未結合標的分子と入れ替わること によって、ファージが自由になりそして再び感染性となる。 本願発明の他の態様においては、標的分子および目的分子が同一のリガンドで あり、結合分子がこのリガンドに特異的な受容体である。さらに他の態様におい ては、標的分子と目的分子が同一の受容体であり、結合分子がこの受容体に結合 するリガンドである。さらに他の態様においては、目的分子が標的分子と同一で はないが、結合分子と結合できるものであって、標的分子と置換するものである 。その他の態様において、標的分子および目的分子が同じ抗原決定基を有し、結 合分子が免疫グロブリンまたはその抗原決定基に結合する部分である。さらに他 の態様において、標的分子および目的分子が同じ免疫グロブリンまたはその結合 部位であり、結合分子がこの免疫グロブリンに結合される抗原決定基を有する。 本発明の方法においては、大腸菌細胞のごとき細菌細胞を処理したバクテリオ ファージと、このバクテリオファージが細胞内へ感染するのに十分な時間接触さ せる。その後感染された細胞を検出し、この感染が目的分子が溶液内へ存在する ことの指標となる。 いくつかの態様において、検出は細胞溶菌あるいはプラーク生成として認めら れる細胞の死を観察して行う。細胞の溶菌は、ファージDNAが細胞内へうまく 侵入した場合に、細胞のタンパク質生成作用が乗っ取られ、細胞成分の産生が犠 牲とされてウイルス成分を生成させるようにし、そしてファージ粒子へとこれら の成分を組み立て、そして組み立てられたウイルス粒子が放出される際に細胞を 破裂もしくは溶菌させることによって行われる。プラークは、固形培養ディシュ 上に塗られたいくつもの近辺の細胞が上記のようにして溶解し、濁った培養培地 上へ透明もしくは空隙のスポットが残されたものである。 感染の検出はまた、処理されたファージによって感染された細菌細胞が栄養要 求性株であって、ファージによって供給される遺伝子を必要であるような本発明 の態様においては、細菌細胞の生存および/または増殖を観察することによって も行われる。かかる遺伝子の一例としてはλEMBL3が有するtrpEが示さ れるが、このベクターは当業者には良く知られているものであり、ファージは温 度感受性により溶源性となる変異テンペレートファージである。 本明細書において、「テンペレートファージ」の語は溶菌性にも溶原性にもな り得るファージを意味する。溶原性ファージは自らの核酸を宿主細胞のゲノム内 へ挿入させ静止しており、宿主ゲノムが複製するときのみ複製する。その溶菌ま たは成長相においては、宿主のゲノムからファージの核酸をみずから切り出し、 またはファージの核酸を宿主ゲノム内へ挿入せず、細胞成分を合成すべき細胞の タンパク質合成機構を乗っ取りその結果、ファージの子孫が組み立てられる。新 たなファージは、細胞が溶菌した時に細胞から遊離する。テンペレートファージ には温度感受性に寄与する変異を有していても良い。これは、低い増殖温度(例 えば約32℃以下)の場合のみ溶原性であり高い増殖温度(たとえば37℃以上 )の場合には溶菌性となる株である。この場合、低い増殖温度においては細菌細 胞の栄養要求性を緩和する遺伝子を有する溶原性ファージが、自身のDNAを細 菌細胞のゲノム内へ挿入し、生存のために当該細胞が必要とする遺伝子を提供す る。 感染の検出は、ファージが前段で述べた温度感受性のものであり、抗生物質耐 性遺伝子を有するものであるような本発明の一態様においては、細菌細胞の生存 および/または生育を観察することによっても行われる。大腸菌をこのファージ によって感染させると、細胞がファージの有する遺伝子によってコード化される 耐性を獲得し、抗生物質を含有する培地上でも増殖可能となる。 感染される細菌細胞が、それ自身で目的分子を産生する栄養要求性株であり、 目的分子と標的分子が同じである態様、またはさもなくば結合分子から互いに置 換し得る態様の場合には、細菌細胞の増殖はまた、ファージの感染の指標ともな り、それゆえ目的分子が被験溶液内に存在することの指標となる。この方法にお いて、標的分子はgpVタンパク質に化学的に連結させ、栄養要求性細菌細胞が 生存するのに必要なタンパク質をコード化する細菌遺伝子を有する感染性ファー ジ内へ組み込ませる。このファージは結合分子(標的分子に対する抗体のごとき )と結合させて不活性化した後、被験溶液に接触させられる(例えば変異細菌細 胞がすでに増殖している培地および/または細菌細胞自身との接触)。溶液が未 結合の目的化合物を含有するか、細胞が目的化合物を産生して分泌している場合 には、結合分子に連結している標的分子が溶液内の未結合目的分子とが交換され 、ここへ結合分子が結合する。遊離されたファージはその後細菌細胞を感染させ 、低い増殖温度(例えば約32℃)では細菌細胞の生存と増殖に必要な細菌遺伝 子を供給する。 本発明の一つの観点においては、ヒスチジン、システイン、チロシン、および /またはトリプトファンのごとき化学反応性アミノ酸残基をコードするよう改変 したgpVタンパク質を提供する。他の観点からは、改変gpVタンパク質をコ ード化する核酸を提供する。その他の観点においては、本発明には化学反応性ア ミノ酸残基を介して標的分子と連結している改変されたgpVタンパク質を提供 する。 本発明のある態様には、カルボキシ末端のセリン残基が化学反応性であるシス テインのごときアミノ酸残基によって置換されている遺伝子的に改変されたgp Vタンパク質を含む。好ましくは、この改変されたgpVタンパク質は配列表に 配列番号:1として示したアミノ酸配列を有する。 本発明のその他の態様は、外表面に標的分子を提示している化学的に改変され た感染性ラムドイドバクテリオファージを含む。本発明のいくつかの態様におい ては、このバクテリオファージはインビトロで組み立てられる。 他の態様において、バクテリオファージは薬剤耐性をコード化する遺伝子を有 する。感染される細菌は抗生物質である第1の化合物の存在下では増殖できない 。 バクテリオファージの感染によって、細菌が第1の化合物の存在下における増殖 能を獲得する。 本発明は、目的分子を産生する細胞を選択またはスクリーニングする他の方法 も提供する。この方法において、本発明のタンパク質構築物は他のウイルス成分 と共にインビトロで、外表面へ標的分子を提示する感染性ラムドイドバクテリオ ファージへと組み立てられる。標的分子はその後ファージが可逆的に非感染性と なるように処理される。この非感染性ファージを細胞と、細胞の産生する目的分 子がファージを再び感染性とし、そしてファージが細胞を感染させ得るために必 要な時間だけ接触させ、感染を検出する。感染は目的分子を産生する細胞の存在 の指標となる。 ある観点において、目的分子および標的分子は同一である。他の観点において 、インビトロで組み立てられるファージは温度感受性ラムドイドバクテリオファ ージであり、細胞成分の遺伝子を含有するものである。この細胞成分に対して栄 養要求性である細胞を32℃以下でファージと接触する。この低い温度において 、感染したファージは標的分子の産生細胞の指標として検出される。図面の簡単な説明 本発明の先に示した目的およびその他の目的、その様々な特徴および本願発明 自身は添付の図面を参照しながら以下の説明を読むことによりより完全に理解さ れるであろう: FIG.1Aはバクテリオファージラムダの概略図である; FIG.1Bは本発明の化学的に改変されたバクテリオファージラムダの概略 図である; FIG.2は改変したgpVタンパク質の核酸配列および対応するアミノ酸配 列を示す概念図である; FIG.3は改変したV遺伝子フラグメントの全長を有するPCRフラグメン トを得るための3’および5’プライマーの概念図である; FIG.4は本発明の改変されたgpVタンパク質をコード化する遺伝子を含 有するSYM1プラスミドの概念図である; FIG.5Aは本発明の方法の1態様の概略図である; FIG.5Bは本発明の方法の他の1態様の概略図である; FIG.5Cは本発明の方法の他の1態様の概略図である; FIG.6Aは本発明の方法の他の1態様の概略図である; FIG.6Bは本発明の方法の他の1態様の概略図である; FIG.6Cは本発明の方法の他の1態様の概略図である;好ましい態様の説明 gpVタンパク質内のアミノ酸残基のひとつを化学的に活性なアミノ酸残基と 置換し、この残基を標的分子と化学結合させることによって、インビトロにおい て尾部の外表面に標的分子が提示されている感染性ラムドイドバクテリオファー ジにうまく組立てられるタンパク質構築物が得られることが見いだされた。さら に、かようにして改変されたラムドイドは細菌を感染させる能力を保持している 。かかるファージを利用して、目的分子を検出する方法および目的分子を産生す る細胞を検出する方法を開発した。これらの方法においては、感染させるラムド イドバクテリオファージゲノムの性質および感染された細菌に特異的な要求性に 依存して、目的分子の存在の結果としての特定の細菌の死または増殖のいずれか が生じる。 ラムドイドバクテリオファージの1種であるバクテリオファージラムダは、半 径30nmの二十面体の頭部もしくはキャプシドと、150nmの長さで末端が 先細となった基部と1本の尾繊維を有する可動性の尾部から構成される(FIG .1A)。このバクテリオファージのゲノムは直鎖状のDNAである。DNAは キャプシド頭部内に認められ、接着性の両端を有しており、遺伝子地図によって 示されるその右側は尾部の上三分の1内へはみ出している。尾部は主に、V遺伝 子の産生物であるgpVタンパク質ユニット6つからなるディスク32個の管か ら構成されている。 本発明において、ラムドイドバクテリオファージはその尾部の外表面上に標的 分子を暴露または提示するように改変される(図1B)。この改変は、遺伝子改 変を施したgpVタンパク質に化学的に標的分子を結合させてタンパク質構築物 を生成させ、その後このタンパク質構築物をgpVタンパク質の代わりに、もし くはgpVタンパク質と共に用いてインビトロでバクテリオファージを組立てる ことによって達成できる。 タンパク質構築物は、比較的非反応性の天然由来のアミノ酸を化学反応性アミ ノ酸残基に置換するようgpVタンパク質の遺伝子を変化させて作成する。かか る化学反応性アミノ酸残基にはヒスチジン、システイン、チロシン、およびトリ プトファンが含まれる。これらの反応性アミノ酸残基は、gpVタンパク質の配 列内のいずれの位置にあってもよく、複数のアミノ酸残基がかかる反応性残基と 置換していてもよい。システインは好ましい反応性アミノ酸残基である、という のは天然のgpVタンパク質配列にはシステイン残基が存在せず、この残基は選 択的に改変することができるからである。天然の配列にはヒスチジン残基も含ま れないが、5個のチロシン残基と6個のトリプトファン残基が含まれる。例えば 、配列表の配列番号1はgpVタンパク質アミノ酸配列であるが、このカルボキ シ末端の246位のセリン残基がシステイン残基(FIG.2)と置換されてい る。この改変されたgpVタンパク質は以下のようにして調製することができる 。 V遺伝子の核酸配列は既知である(サンガーら(1982)ジャーナル・オブ ・モレキュラー・バイオロジー162:729)。この遺伝子をPCR法によっ てクローン化と改変を同時に行って(「PCRプロトコールズ、ア・ガイド・ト ゥー・メソッズ・アンド・アプリケーションズ」(インニスら編集)アカデミッ ク・プレス、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ(1990)第84 〜91頁のスキャルフ「クローニング・ウイズ・PCR」参照)、カルボキシ末 端のSer246のコドンがCysのコドンであるTGTに置き換わっているV遺 伝子の全長を得た。改変されたV遺伝子を配列表に配列番号2として示した。改 変されたV遺伝子を発現ベクター(pKK223−3、ファルマシア、アメリカ 合衆国ニュージャージー州ピスカタウエイ)内へクローン化し、FIG.4に示 したpSYM1プラスミドを得た。このプラスミドを、大腸菌の形質転換に用い た。形質転換株を誘導し(サムブルックら、「モレキュラークローニング:ア・ ラボラトリー・マニュアル(1989)p17.13、コールド・スプリング・ ハー バー・ラボラトリー、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー参照)、 その後改変したgpVタンパク質のソースとして溶菌した。必要であればgpV タンパク質をカツラらの方法(ヴィロロジー(1977)76:129)によっ てさらに精製してもよい。 部分的に精製した遺伝子改変されたgpVタンパク質を次いで、選択された標 的分子と化学結合させてタンパク質構築物を形成した。標的分子は改変したgp Vタンパク質とその反応性アミノ酸残基を介して、ファージの組み立てもしくは 感染性を破壊することなく結合できるものであればいかなる分子であってもよい 。かかる標的分子にはタンパク質、ペプチド、炭化水素、ホルモン、糖タンパク 質、プロテオグリカン、リポタンパク質、プロテオリピド、脂質、リポポリサッ カライド、毒素、補因子、核酸、糖脂質、テルペン、抗生物質またはビタミン類 を含む。有用な標的タンパク質には免疫グロブリンまたはその一部分(Fab、 Fv(Fab’)2等)、受容体またはその一部(エストロゲン受容体およびイ ンシュリン受容体等)、リガンド(キリアリー・ニューロトロピック・ファクタ ー(Ciliary neuronotropic factor))および黄体形成ホルモン等)、酵素(β −ラクタマーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼおよびヘキソキナーゼ等)、酵 素基質(プレインターロイキン−1、プロインシュリンおよびエリスロポイエチ ン等)、サイトカイン(マクロファージ凝集抑制因子およびインターロイキン類 等)、成長因子(繊維芽細胞成長因子および顆粒球コロニー刺激因子等)または 毒素(百日咳毒素およびボツリニウム毒素等)を含む。 標的分子のgpVタンパク質へのカップリングは当業者に知られている共有結 合のごとき化学的結合法によって達成される。例えば、gpVタンパク質のシス テイン残基のスルフヒドリル基と、標的分子内にあるいずれかのシステイン残基 のスルフヒドリル基を酸化して両者の間にジスルフィド結合を形成させてもよい 。または標的分子をヒスチジンのイミダゾイル基、チロシンのヒドロキシ基、ま たはトリプトファンのインドイル基と化学的に反応させてもよい。 標的分子をgpVタンパク質の反応性アミノ酸残基と化学的に架橋させてもよ い。架橋は多くの公知である架橋剤、例えば米国特許5112615(本明細書 に含まれる)に記載のごとき架橋剤を用いて行えばよい。有用な架橋剤の1種は βマレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのごとき2官 能性のものであり、これは当業者に公知の方法によって用いればよい(例えば「 ラボラトリー・テクニックス・イン・バイオケミストリー・アンド・モレキュラ ー・バイオロジー」エルスフィアー・サイエンス出版社、アムステルダム(19 88)第19巻参照)。 本発明のバクテリオファージを得るために、タンパク質構築物をその他のラム ドイドファージ成分およびインビボでファージの組み立てに必要とさせる酵素と 接触させる。ファージの組み立て方法は当業者によく知られている(例えばホー ン(1979)メス・エンザイモル(Meth.Enzymol.68:299−309参 照)。インビトロ組み立てに際し、未改変gpVタンパク質の改変gpVタンパ ク質に対する比のコントロールが可能であり、ファージ粒子当たりのタンパク質 構築物の数を制限して導入することができる。 ラムドイド成分および組み立て酵素は細胞溶菌物として(またはパッケージン グ抽出物として)形態発生の段階に欠損を有するラムドイドファージで予め感染 させた大腸菌から供給される。例えば、遺伝子V内にプロファージ変異体が感染 している細菌が誘導された場合、プレカーサーファージ粒子が蓄積する。誘導は 感染したファージがλV -Clts Sam7のごとき温度に感受性のジェノタ イプを有する場合には温度をずらせば生じる。λC1857 Sam7(ニュー ・イングランド・バイオラボズ、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ベヴァリー )のごとき市販のラムダファージからV-誘導体を得るには、ファージを変異さ せればよい(カツラ(1976)モレク・ジェン・ジェネット(Molec.Gen.Gene t.148:31)参照。大腸菌JM105(ストラタジェン、アメリカ合衆国 カリフォルニア州ラ・ジョラ)はpSYM1プラスミドを有しているが、これに 変異ファージ群を感染させた。32℃において出現するコロニーを、gpVタン パク質を誘導するIPTGを含有するプレートおよびIPTGを含有しないプレ ート上にレプリカを取った。IPTGを含有するプレート上では増殖するが、I PTGを含有しないプレート上では増殖しないコロニーをV-遺伝子のソースと して 選択した。V遺伝子の変異は、欠損しているgpVタンパク質、本発明において は、標的タンパク質と結合しているgpVタンパク質を添加すれば補うことがで きる。 組み立てられたファージを次いで、非感染性とする。非感染性は、バクテリオ ファージ上の標的分子を指向する結合分子を添加して達成される。有用な結合分 子には抗体またはFv、Fabまたは(Fab’)2フラグメントのごときその 結合部位を含む。かかる抗体および生化学的にまたは遺伝子工学的に産生される フラグメントは当業者には公知である(例えばアンティボディーズ:ア・ラボラ トリー・マニュアル(ハーロウとレーン編集)コールド・スプリング・ハーバー ・ラボラトリー、アメリカ合衆国ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバ ー(1988))。 他の有用な結合分子には受容体とリガンドを含む。標的分子がある受容体のリ ガンドである場合には、受容体は固定化剤として提供される。結合分子としての 受容体はミセル内またはリポソーム内に存在させてもよく、または細胞表面上に 、その形状を保持するよう存在させてもよい。かかる受容体含有リポソームはジ ョーゴウシら(Georgoussi)ら、(バイオケム・バイオフィズ・アクタ(Bioche m.Biophys.Acta )(1990)1055:69)の方法に基づいて調製できる。 この方法でファージに存在させ得る受容体はニコチニックアセチルコリン受容体 (チャクら(1992)メス・エンザイモル(Meth.Enzymol.)207:546 )、イノシトール1,4,5−トリホスフェート受容体(カマタら(1992) ジェイ・バイオケム(J.Biochem.111:546)、肝臓バソプレッシン受容 体(ジョーゴウシ、同)およびラット卵巣の黄体放出ホルモン受容体(クサダら (1986)ジェイ・バイオル・ケム(J.Biol.Chem.261:16161)を 含むがこれらに限定されない。リガンドには標的分子と競争的に結合し得るいず れの分子であってもよい。リガンドを結合分子として用いる場合、以下に示すよ うに固定化せねばならない。 他の有用な結合分子はアセチルコリン、γ−アミノブチル酸、インシュリンお よびグルカゴンのごとき酵素の基質である。 これに代わって、ファージを標的分子との結合を介してマトリックスのごとき 結合分子へ固定化することによって非感染性としてもよい。マトリックスには市 販の物質、例えばエピクロロヒドリンで架橋されたデキストランからなるゲル( 商標セファデックス)、アガロースから調製される特別なゲル(商標)セファロ ースおよびアガロースが含まれるが、これらに限定されない。ファージがマトリ ックスに固定化された場合には、細胞へ結合することも細胞を感染させることも できない。マトリックスへの固定化は、さまざまな化学的架橋方法のうちのひと つを用いて達成される(例えばウイルチェック(Wilcheck)ら、(1984)メ ス・エンザイモル104:3;および米国特許第5112615号参照、本文献 は明細書に含まれる)。 本発明の方法は、固定化もしくは不活性化したファージをマトリックスもしく は結合分子から目的分子によって放出あるいは遊離させるようにデザインすれば よい。この方法によれば、目的分子の存在がファージの比活性により検出および 定量できる。例えば、目的分子が標的分子を切断し得る酵素である場合、結合分 子から遊離してファージは再び感染性となる(FIG.5A−5C)。標的分子 は抗体によって認識される抗原決定部位を有するものでも(FIG.5A)、マ トリックスと結合しているリガンドでも(FIG.5B)、または受容体が結合 するリガンドであっても(FIG.5C)よい。標的分子を切断するいずれの酵 素でもファージを遊離させ、感染性とする。これらのファージが細菌を感染させ る能力を次いで、例えばデイビスらのプレート方法(アドバンスド・バクテリア ル・ジェネティクス(1980)コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ ー、アメリカ合衆国ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー、p71参 照)に基づいて測定すればよい。 目的分子が、標的分子に結合する抗体分子が認識する抗原決定基を有する場合 には、本発明の方法はFIG.6Aまたは6Bに概略したように行う。結合した 標的分子(およびこのために不活性化されたファージ)は、未結合目的分子が溶 液内に存在することによって再び活性化される。結合分子が、精製すればその三 次元的コンフォメーションが失われる受容体である場合には、リポソーム、ミセ ル、または細胞の表面上に存在させなくてはならない。 本発明の方法は、リガンドまたは改変した酵素のごとき所望の生成物を産生す る細胞種を、かかる生成物を産生しない細胞群より選択するのに用いることもで きる。例えば、部分的に精製された遺伝子的に改変され、標的分子と架橋してい るgpVタンパク質を、インビトロ組み立て反応において予めλC1856V- trpE+ のごときファージで感染させておいた大腸菌(上記のごとく得られる )と接触させる。標的分子に対する抗体又は受容体に結合し得るリガンド、また は標的分子に特異的である細胞の受容体を用いて、改変したバクテリオファージ を非感染性とするか、または目的分子が基質を切断する酵素である場合には、標 的分子を上述のごとくマトリックスへ化学結合させてもよい。 クローン化された酵素または抗体の変異体からなるライブラリーを、このバク テリオファージの有するマーカー遺伝子を欠損する大腸菌の株内へ形質転換させ る。「クローン化した酵素または抗体」は、酵素または抗体をコード化する、ク ローン化遺伝子の発現により産生される酵素または抗体をいう。クローン化酵素 または抗体遺伝子は、フォスター(Foster)の(メス・エンザイモル(1991 )204:114)に記載されたごとき様々な方法のうちのひとつによって変異 誘発し得る。クローン化酵素または抗体はまた、周囲の培地内に排泄されなけれ ばならない。クローン化された酵素が排泄されるようないくつかの方法は科学文 献に記載されている(例えば、シャルマーズ(Chalmers)ら(1990)アップ ル・エンバイロン・マイクロバイオル(Appl.Environ,Microbiol.56:10 4;ラザロニ(Lazzaroni)ら、(1981)ジェイ・バクテリオル(J.Bacteri ol .)145:1351;およびランプ(Rampf)ら、(1991)エフイービー エス・レター280:27参照)そして、クローン化された抗体フラグメントが 排泄される方法も開示されている(例えばワルド(Ward)ら、(1989)ネイ チャー341:544)。 変異された酵素を用いる場合、標的分子はかかる酵素の天然基質の類縁体であ る。この類縁体は野生型の酵素では切断されないが、この類縁体を切断し得る変 異された酵素がライブラリー内に存在する場合にはファージが遊離され、改変さ れた特異性を有する酵素を排泄する細胞に感染し、細胞が増殖できるようになる 。 変異された抗体を用いる場合、標的分子にはこの抗体に対するエピトープまた は抗原決定基を有する。抗体は通常はその抗原を切断しないが、変異ライブラリ ー内に存在する変異された抗体はその抗原を切断する場合がある。この場合、フ ァージが放出され、改変された活性を有する抗体を排泄する細胞を感染させて、 細胞の増殖を可能にする。固定化剤が抗体である場合、抗原上の異なるエピトー プを認識し、排泄された抗体の結合に干渉しないものでなくてはならない。 本願発明の方法にはM13やT4のごときバクテリオファージを用いる方法と 比していくつかの有利な点がある。第1にラムドイドバクテリオファージはイン ビトロで組み立てられ、従って標的分子がタンパク質またはペプチドである必要 がないこと。実際に、gpVタンパク質に結合し得るいかなる分子であっても、 それがインビトロの組み立てまたは組み立てられたバクテリオファージの細菌へ の感染能を完全に妨害しないものでありさえすれば用い得る。 第2に、この方法は結果を感染細菌の死に求めなくともよい。というより、所 望の化合物を排泄/分泌する細胞を単離するのに用い得るところがM13および T4系と異なる。ラムドイドバクテリオファージの温度感受性株と、増殖のため にバクテリオファージが有する特定の遺伝子産物を要求する細菌細胞群を用いる ことによって、所望の化合物を排泄/分泌する細胞が、非活性化バクテリオファ ージラムダを感染性とし、これが該細胞を感染させ、そしてより低い温度として 細胞の増殖を可能とする。同様に、この方法は細菌変異体または遺伝子操作され た細菌であって、目的分子を排泄または分泌するものを非分泌群から分離するの にも用い得る。 第3に、この方法によれば特異的なタンパク質を選択的に改変することが可能 であり、従って標的分子を選択的に提示することができる点においてT4系と異 なる。非特異的改変によっては、変異されたファージの多くの部分が恒久的に非 感染性とされる。例えば、神経成長因子(NGF)をバクテリオファージT4と 結合させた場合、76%のファージが非感染性とされる(オルガー(Olger)ら (1974)プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・ サイエ ンス・ユーエスエー71:1554−1558)。 第4に、先の段落で説明した方法から発展して、改変された基質を切断し得る クローンを探すため、酵素ライブラリーをスクリーニングするのにも用い得る。 バクテリオファージをこの改変基質を介して固定化させ、改変された特異性を有 する酵素を有する株をライブラリーから単離することが可能となる。 以下の実施例は本発明の好ましい製造および実施態様を説明するものであるが 、本発明の範囲を限定するものではない。同じ結果を得るために異なる方法によ ってもよい。実施例 1.改変V遺伝子の調製およびその発現 V遺伝子は発現ベクターpkk223−3(ファルマシア、アメリカ合衆国ニ ュージャージー州ピスカタウエイ)内へのクローン化およびスキャルフのPCR プロトコル(「PCRプロトコル集 ア・ガイド・トゥー・メソッド・アンド・ アプリケイションズの「クローニング・ウイズ・PCR」の項(イニーズ(Inni s)ら、アカデミック・プレス、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ (1990)pp84−91))を用いての改変を同時に行った。得られたプラ スミドをFIG.4(pSYM1)に示す。この方法に用いたプライマーをFI G.3および配列表の配列番号3および4に開示する。V遺伝子の5’末端にア ニールするプライマー(配列番号3)をEcoRI制限エンドヌクレアーゼ切断 部位を有するようデザインした。V遺伝子の3’末端とアニールするプライマー (配列番号4)はHindIIIおよびPstI制限エンドヌクレアーゼ切断部 位を有するようデザインした。さらに、このプライマーにはV遺伝子の最後のコ ドンの1個の塩基が置換されている。この置換はSer246をCys246に置換す るものである。 プラスミドは次いで、大腸菌JM109株を形質転換するのに用いられ(ヤニ ッシューペロン(Yanish-Perron)ら、(1985)ジーン33:103)、次 いで改変したgpVタンパク質の発現をIPTGの添加により誘導する(サムブ ルックら、「モレキュラークローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(19 89)p17.13、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、アメリ カ合衆国ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー)。超音波処理により 得た細胞抽出物を改変gpVタンパク質のソースとして供給する。必要な場合に は、改変されたgpVをさらにカツラら(ウィロル(Virol.)(1977)76 :129)の方法によって精製してもよい。 2.抗体カラムの調製 V−遺伝子タンパク質構築物の標的分子に対する抗体は、本質的に「アンティ ボディーズ:ア・ラボラトリー・マニュアル」(ハーロウとレーン編集、コール ド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、アメリカ合衆国ニューヨーク州コー ルド・スプリング・ハーバー(1988))に記載されているように調製した。 簡単に述べると、特異的な抗体をタンパク質Aビーズ(シグマ・ケミカル・カン パニー、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス)と混合する。1ミリリットル のビーズにつき2mgの抗体を混合した。ビーズ液を優しく室温にて1時間混合 した。次いでビーズを洗浄し、ジメチルピメリミデート(シグマ・ケミカル・カ ンパニー)2官能性架橋剤を用いて架橋させた。化学的な架橋は抗体で被覆した ビーズを30分間、20mMのジメチルピメリミデート(シグマ・ケミカル・カ ンパニー)のごとき2官能性架橋剤を用いて抗体に対し化学的に架橋した。化学 的架橋は抗体被覆ビーズを30分間20mMのジメチルピメリミデートの存在下 で振とうして行う。架橋反応はビーズを0.2Mのエタノールアミンで洗浄し、 その後2時間室温で0.2Mエタノールアミンの存在下、インキュベーションす ることによって止める。 3.毛様体神経発育因子の検出 ウサギ毛様体神経発育因子(CNTF)をウサギ座骨神経よりリン(Lin)ら 、(サイエンス(1989)246:1023−1025)の方法によって単離 した。4−マレイミドベンゾフェノンを用いてCNTFをシステイン残基を介し て改変gpVタンパク質のカルボキシ末端にある単一のシステイン残基に化学的 に架橋させた(タオ(Tao)ら(1986)バイオケミストリー25:7633 −7639)。インビトロラムダパッケージング抽出物を、λCltsV- 度感 受性ジェノタイプを有する大腸菌から調製した(ホーン(Hohn)(1979)メ ス・エンザイモル(Meth.Enzymol.68:229−309)。CNTF−gp Vタンパク質構築物をこのパッケージング抽出物へ添加し、次いで非改変gpV タンパク質を添加した。得られたインビトロで組立たファージは、CNTFをそ の尾部に露出している。反応混合物を上述のごとく調製した抗CNTF抗体カラ ムに流して精製した。CNTFに対する抗体はリンら(同)の記載に基づいて調 製した。CNTF−修飾ファージはフルウィッツ(Hurwitz)ら(ユーロ・ジェ イ・バイオケム(Eur.J.Biochem.)(1970)17:273)の記載のごとく 抗CNTF抗体 を用いて不活性化される。改変ファージと抗体との適当な比率はオルガーらの方 法(プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン ス・ユーエスエー(1974)71:1554)によって実験的に決定する。不 活性化されたファージを、CNTFを含有することが予測される細胞抽出物(被 験溶液)とオルガーら(同)の記載する条件下にてインキュベートする、ファー ジの感染性はデイビスらのプレート法によって(アドバンスド・バクテリアル・ ジェネティクス、コールド・スプリング・ハーバーラボラトリー、アメリカ合衆 国ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー)アッセイする。感染性ファ ージの数の増加はもとの試料内のCNTFの量と直接相関する。 4.インターロイキン−1β変換酵素の検出 インターロイキン−1βの前駆体(pIL−1β)を大腸菌内にクローン化し た(マーチ(March)ら(1985)ネイチャー315:641−647)。こ の前駆体を大腸菌からブラックらの方法(ジェイ・バイオル・ケム(J.Biol.Che m.)263:641−647)を用いて単離し、そのシステイン残基のひとつを 介して改変したgpVタンパク質のシステイン残基と、上記のごとく化学的に架 橋させた。インビトロラムダパッケージング抽出物をλCltsV -を有する大 腸菌から上述のごとく得る。pIL−1β−gpVタンパク質構築物をパッケー ジング抽出物へ添加し、次いで未改変gpVタンパク質を添加する。得られるイ ンビトロ組立ファージにはpIL−1βを含有しており、反応混合物を上述のご とく得られる抗−IL−1β抗体のカラムにかければ精製できる。IL−1βに 対する抗体はリンらの方法(同)にて、Cys124とつながる合成ペプチドを用 いて得る。この領域に対する抗体に結合するファージはCys124以外のシステ イン残基において、改変したgpVと架橋されているpIL−1βを有する可能 性が最も高い。Cys124がICE切断部位の近くに位置しており、この残基か らの架橋がICE活性に影響を及ぼす可能性があるため、重要である。pIL− 1βで改変されたファージは架橋により不活性化され、架橋によりアガロース上 に固定化される(ウイルチェックら(1984)メス・エンザイモル104:3 )。固定化されたファージはIL−1β転換酵素(ICE)を含有すると考えら れる 培地と共に、オルガーら(プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデ ミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(1974)71:1554)に記載の 条件下でインキュベートした。ファージの感染性はデイビスらのプレート法によ って(アドバンスド・バクテリアル・ジェネティクス、コールド・スプリング・ ハーバーラボラトリー、アメリカ合衆国ニューヨーク州コールド・スプリング・ ハーバー)アッセイする。感染性ファージ数の増加はもとの試料内のICEの存 在量と正比例している。 5.顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を切断し得る大腸菌分泌抗体の選択 抗体のFvフラグメントは抗原結合活性の最小限の構造である(プラクトン( Pluckthun)ら(1989)メス・エンザイモル178:497)。G−CSF (シグマ・ケミカル社、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス)に対して作成 した、ネズミ抗体軽鎖の可変領域(VL)および重鎖の可変領域(VH)をコード 化するヌクレオチド配列を、シャウドハリー(Chaudhary)が開示するごときP CR法(プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ エンス・ユーエスエー(1990)87:1066)によってクローン化した。 G−CSFに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマセルラインを ハーロウとレーン(アンティボディーズ:ア・ラボラトリー・マニュアル、コー ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、アメリカ合衆国ニューヨーク州コ ールドスプリングハーバー(1988)pp139−243)の記載するごとく 作成した。VLおよびVH領域を発現ベクターpASK22(プルクサン(Pluckt hun)ら、同)内へクローン化した。G−CSFを改変したgpVのシステイン 残基へと、上述のごとくに化学的に架橋した。インビトロラムドイドパッケージ ング抽出物はλCltsV- trpE+ を有する大腸菌より上述のごとく得られ た。G−CSF−gpVをこのパッケージング抽出物へ添加し、次いでgpVを 添加する。得られるインビトロ組立ファージにはG−CSFを含有しており、こ れは上述のようにして得られた抗G−CSF抗体カラムを通して精製した。G− CSF改変ファージは既述のごとくアガロースへ架橋されると不活性化される。 固定化(不活性化)ファージを大腸菌Sym3(λ-,F+trpE recA hfl A)とと もにインキュベートする、これは変異されたクローン化抗体フラグメントの群で 形質転換されている。クローン化された抗体フラグメントにはさまざまな方法の うちの一つによって、例えばフォスターの開示した方法(メス・エンザイモル( 1991)204:114)にて変異を誘発できる。形質転換された細胞をトリ プトファンを含まない補充デイビス最少培地(ディフコ・マニュアル第10版、 ディフコ・ラボラトリーズアメリカ合衆国ミシガン州デトロイト(1982)p 572)上に撒く。大腸菌Sym3は増殖にトリプトファンが必要であるため、 大腸菌Sym3がトリプトファン欠損培地上で増殖できるようにするtrpE + 遺伝子を搭載するラムドイドバクテリオファージに感染されなければほとんど増 殖しない。したがって、G−CSFを切断し得る抗体フラグメントを分泌する大 腸菌Sym3の形質転換体は細胞に感染するであろうラムドイドバクテリオファ ージに近いものを放出し、プレート上の他の細胞と比較した際の感染細胞の成長 速度を強力に高める。この細胞は可視コロニーとなる。このスクリーニングの第 2ラウンドでは、所望の目的分子を産生する株の単離が可能である。 当業者はルーチンの実験のみを用いて、ここに開示した特異的な基質および方 法の等価物を得ることが可能であることを認識あるいは確認できるであろう。か かる等価物もまた本発明の範囲であり、以下に示す請求の範囲に含まれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12Q 1/02 9453−4B C12Q 1/70 1/70 9162−4B C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 クレア、ロベルト アメリカ合衆国02178マサチューセッツ州、 ベルモント、アンハースト・ロード45番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 外表面上に改変されたgpVタンパク質を有し、該改変されたgpVタン パク質が化学反応性アミノ酸残基と、このアミノ酸残基に化学結合している標的 分子を含むものである、感染性ラムドイドバクテリオファージ。 2. 改変されたgpVタンパク質がヒスチジン、システイン、トリプトファン およびチロシンからなる群から選択される化学反応性アミノ酸残基を有する、請 求項1のラムドイドバクテリオファージ。 3. 化学反応性アミノ酸残基がシステインである請求項1のラムドイドバクテ リオファージ。 4. 化学反応性アミノ酸残基が、改変gpVタンパク質の末端に位置している 、請求項1のラムドイドバクテリオファージ。 5. 標的分子がタンパク質、ペプチド、リポタンパク質、ホルモン、糖タンパ ク質、プロテオグリカン、グリコリピド、プロテオリピド、脂質、リポポリサッ カライド、炭化水素、補因子、毒素、炭化水素、核酸、テルペン、抗生物質及び ビタミンからなる群から選択される、請求項1のラムドイドバクテリオファージ 。 6. 標的分子がタンパク質である請求項5のバクテリオファージ。 7. 標的分子が酵素、酵素の基質、免疫グロブリン、リガンド、毒素、成長因 子、サイトカイン、ホルモンおよび受容体からなる群から選択されるタンパク質 である、請求項6のラムドイドバクテリオファージ。 8. 標的分子がアミノ酸残基と架橋剤によって化学結合されている請求項1の ラムドイドバクテリオファージ。 9. インビトロで組立られるラムドイドバクテリオファージ。 10. (a)化学反応性アミノ酸残基を有する改変されたgpVタンパク質; および (b)該化学反応性アミノ酸残基に化学に結合している標的分子 を含有するタンパク質構築物。 11. 化学反応性アミノ酸残基がヒスチジン、システイン、チロシンおよびト リプトファンからなる群から選択される請求項10のタンパク質構築物。 12. 化学反応性アミノ酸残基がgpVタンパク質のカルボキシ末端に存在す る、請求項10のタンパク質構築物。 13. 化学反応性アミノ酸残基がgpVタンパク質のカルボキシ末端のシステ インである請求項11のタンパク質構築物。 14. 標的分子が化学反応性アミノ酸残基へ架橋されている、請求項11のタ ンパク質構築物。 15. 標的分子がタンパク質、ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、ホ ルモン、プロテオグリカン、プロテオリピド、グリコリピド、脂質、リポポリサ ッカライド、補因子、毒素、炭水化物、核酸、テルペン、抗生物質、およびビタ ミンからなる群から選択される請求項10のタンパク質構築物。 16. 標的分子が免疫グロブリン、リガンド、受容体、酵素、酵素の基質、ホ ルモン、毒素、サイトカインおよび成長因子からなる群から選択される、請求項 15のタンパク質構築物。 17. 請求項10のタンパク質構築物の改変gpVタンパク質をコード化する 核酸。 18. 請求項11のタンパク質構築物の改変gpVタンパク質をコード化する 核酸。 19. 配列番号:1のアミノ酸配列をコード化する請求項18の核酸。 20. (a)標的分子が化学結合している化学反応性アミノ酸残基を有する改 変gpVタンパク質を含むタンパク質構築物を供給する; (b)改変gpVタンパク質を有し、バクテリオファージの外表面上に標的分子 を有する感染性ラムドイドバクテリオファージをインビトロで組立てる; (c)バクテリオファージに連結した標的分子を加工して、このバクテリオファ ージを可逆的に非感染性とする; (d)該非感染性バクテリオファージを被験溶液に作用させる、この被験溶液に は非感染性バクテリオファージを感染性にする目的分子を含有している; (e)作用後のバクテリオファージで細菌細胞を感染させる;そして (f)感染細胞を検出する、 工程からなり、感染を目的分子が溶液内に存在することの指標とする、溶液中の 目的分子を検出する方法。 21. 供給工程(a)が、ヒスチジン、システイン、チロシンおよびトリプト ファンからなる群から選択される化学反応性アミノ酸残基を有する改変gpVタ ンパク質を供給することを含む、請求項20の方法。 22. 供給工程(a)が、標的分子が連結している化学反応性アミノ酸残基を そのカルボキシ末端に有する改変gpVタンパク質を供給することを含む、請求 項20の方法。 23. 供給工程(a)が、標的分子が連結しているシステイン残基をそのカル ボキシ末端に有する改変gpVタンパク質を供給することを含む、請求項22の 方法。 24. 供給工程(a)が、標的分子と架橋している化学反応性アミノ酸残基を 有するgpVタンパク質を供給することを含む、請求項20の方法。 25. 供給工程(a)が、2官能性架橋剤を介して標的分子が連結されている 化学反応性アミノ酸を有するgpVタンパク質を供給することを含む、請求項2 4の方法。 26. 組立工程(b)が、gpVタンパク質構築物へ、組立に外因性のgpV タンパク質を必要とするラムドイドバクテリオファージの変異体を感染させた細 菌細胞から得られ、ラムドイドバクテリオファージ成分とラムドイドバクテリオ ファージをインビトロで組立てるために必要な酵素を含有しているパッケージン グ抽出物を作用させる操作を含む請求項20の方法。 27. 加工工程(c)が、標的分子と結合する結合分子をバクテリオファージ へ作用させる操作を含み、標的分子の結合によりラムドイドバクテリオファージ が非感染性とされる請求項20の方法。 28. 加工工程(c)が、バクテリオファージへ、免疫グロブリン、受容体お よびリガンドからなる群から選択される結合分子を作用させること含む、請求項 27の方法。 29. 加工工程(c)が、標的分子をマトリックス上に連結することによって バクテリオファージを固定化することを含む、請求項20の方法。 30. 作用工程(d)が、非感染性バクテリオファージへ、培養培地、血液、 血清、唾液、精液および涙腺分泌物からなる群から選択される被験溶液を作用さ せることを含む、請求項20の方法。 31. 作用工程(d)が、非感染性バクテリオファージへ、タンパク質、ペプ チド、ホルモン、核酸、炭化水素、脂質、糖タンパク質、プロテオグリカン、グ リコリピド、プロテオリピド、リポポリサッカライド、ビタミン、毒素、テルペ ン、抗生物質または補因子からなる群から選択される目的分子を作用させること を含む、請求項20の方法。 32. 作用工程(d)が、非感染性バクテリオファージへ被験溶液を作用させ ることを含み、被験溶液がバクテリオファージに連結する標的分子を切断する酵 素である目的分子を含む請求項27の方法。 33. 作用工程(d)が、非感染性バクテリオファージへ被験溶液を作用させ ることを含み、被験溶液内に未結合標的分子である目的分子を含み、未結合標的 分子とバクテリオファージに結合している標的分子とが、結合分子に対して競合 する、請求項20の方法。 34. 作用工程(d)が、非感染性バクテリオファージへ被験溶液を作用させ ることを含み、被験溶液が結合分子に対して標的分子と置換する目的分子を含有 する請求項27の方法。 35. 標的分子および目的分子がリガンドであり、結合分子がこのリガンドへ 結合する受容体である、請求項27の方法。 36. 標的分子と目的分子が同一の抗原決定基を有しており、結合分子がこの 抗原決定基に結合する免疫グロブリンである、請求項27の方法。 37. 標的分子と目的分子が結合分子上の抗原決定基と結合する免疫グロブリ ンである、請求項27の方法。 38. 検出工程(f)が細胞死の検出を含み、細胞死をバクテリオファージを 感染性とする目的分子の存在の指標とする、請求項20の方法。 39. 検出工程(f)が細胞の溶菌を検出することを含む請求項38の方法。 40. 組立工程(b)が、工程(e)において感染させる細胞が必要とする遺 伝子を搭載する温度感受性ラムドイドバクテリオファージのインビトロ組立であ り、感染工程(e)が約32℃以下の温度で、生存のために該バクテリオファー ジが有する遺伝子を必要とする細菌細胞を感染させるものであり;そして検出工 程(f)が感染された細菌細胞の成長を見ることであり、成長が目的分子が溶液 内に存在することの指標となる、請求項20の方法。 41. 標的分子と目的分子が同一である請求項40の方法。 42. 組立工程(b)が、感染工程(e)において細胞に必要とされる遺伝子 を搭載する温度感受性ラムドイドバクテリオファージのインビトロで組立であり 、該遺伝子が細胞の生合成に必要な細胞性遺伝子および薬剤耐性遺伝子からなる 群から選択される、請求項40の方法。 43. (a)化学反応性アミノ酸残基および該アミノ酸残基に結合している標 的分子を有する改変gpVタンパク質を含有するタンパク質構築物を供給する; (b)改変gpVタンパク質を有し、標的分子をその外表面上に有する感染性ラ ムドイドバクテリオファージをインビトロで組立てる; (c)バクテリオファージが可逆的に非感染性となるよう、バクテリオファージ に結合している標的分子を加工する; (d)細胞が産生する目的分子が非感染性バクテリオファージを感染性とし、感 染性となったバクテリオファージが細胞に感染するのに十分な時間、細胞を加工 したバクテリオファージと接触させる;そして (e)感染された細胞を検出する、感染は目的分子を産生する細胞の存在の指標 となる 工程を含む、目的分子を産生する細胞を選択する方法。 44. 組立工程(b)が、接触工程工程(d)において接触させる細胞の生存 に必要な遺伝子を有する温度感受性ラムドイドバクテリオファージインビトロ組 立であり;接触工程(d)で、この細胞約32℃以下の温度で感染させ、そして 検出工程(e)で、感染された細胞の増殖を検出する、細胞の増殖が目的分子を 産生する細胞の存在の指標となる、請求項42の方法。 45. 目的分子と標的分子が同一である、請求項42の方法。 46. 組立工程(b)が、工程(d)において接触させる細胞に必要とされる 遺伝子を有する温度感受性ラムドイドバクテリオファージのインビトロ組立であ り、該遺伝子が細胞生合成遺伝子および薬剤耐性遺伝子からなる群から選択され る、請求項43の方法。
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