JPH085085B2 - ポリオレフィン発泡体の製造方法及びポリオレフィン発泡装置 - Google Patents

ポリオレフィン発泡体の製造方法及びポリオレフィン発泡装置

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JPH085085B2
JPH085085B2 JP4179152A JP17915292A JPH085085B2 JP H085085 B2 JPH085085 B2 JP H085085B2 JP 4179152 A JP4179152 A JP 4179152A JP 17915292 A JP17915292 A JP 17915292A JP H085085 B2 JPH085085 B2 JP H085085B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン発泡体
の製造方法及び中間発泡体を加工して最終発泡体を製造
するための発泡装置に関し、更に詳しくは、2段発泡の
第2発泡工程において、加熱と冷却とを均一に且つ効率
良く行い、成形性や表面平滑性に優れ、圧縮応力に富
み、且つ永久歪みの比較的小さいポリオレフィン発泡体
を製造する方法及びそのための装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンのブロック発泡体の製造
方法としては、ポリオレフィン樹脂、架橋剤及び発泡剤
の混和物を金型に充填し、加圧、加熱状態でその架橋
剤、発泡剤を完全に分解し、その後、除圧することによ
り、この混和物を一度に所望の密度に膨張させる方法
(以下、1段発泡と称す。)や、特公平2−42649
号公報等に開示されている如く、混和物を一次金型に充
填し、加圧下で加熱して発泡剤の15〜60%を分解す
ることにより1次膨張させ、その後、その発泡体を常圧
で加熱し、残余の発泡剤を分解して2次膨張させ、所望
密度の発泡体を得る方法(以下、2段発泡と称す。)
が、知られている。
【0003】しかし、上記1段発泡で高発泡体を得る場
合は、一度に所望密度の最終発泡体に膨張させるため、
得られる最終発泡体に変形が生じたり、また、金型から
取り出す際、その発泡体に割れが生じたりして、その製
品化率が極めて低くなるという問題があった。そのた
め、2段発泡が、上記1段発泡の製品化歩留りの低下を
改善すべく開発された。2段発泡では、所定の発泡倍率
の製品を一度に発泡膨張させずに、2段階に分けて発泡
膨張させることで、割れ等の製品化歩留りを低下させる
要因を除いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、斯る2段発泡
法においても、最終発泡体の表面平滑性の点で充分とは
いえなかった。この対策として、特開昭61−2664
41号公報に述べている如く、第2発泡工程終了後の最
終発泡体を温熱時に取り出し、第3工程となる冷却工程
にて冷却板(特開昭61−266441号公報の表現で
は加熱板となっているが、発泡体の温度から見た場合、
その機能としては冷却板といえる。)に挟んで冷却し、
発泡体の表面を平滑化する等の新たな工程を付加するこ
とが必要となっている。このように新たな工程を付加し
た場合、設備コストの増加、工程の複雑化等による生産
性低下は免れ得なかった。加えて、特開昭61−266
441号公報に記載の如く発泡体を温熱時に取り出す
と、発泡体自体が柔く、取り出し作業時に発泡体が変形
したり、表面に割れが発生したりして、製品歩留りが下
がるといった不具合もあった。
【0005】上記欠点を最も確実に解消する方法は、第
2発泡工程で最終発泡を終えた発泡体をその金型から取
り出すことなく、そのままの状態で冷却することであ
る。しかし、特公平2−42649号公報で述べられて
いる加熱方法、即ち、熱板に流路を設けた金型内に中間
発泡体を入れ、その流路に熱媒を流通させることによっ
て直接的に金型を加熱する方法では、金型を冷却するの
が困難であった。仮に、この熱媒流路に冷媒を流入させ
冷却させても、通常、高圧状態のスチーム等の熱媒から
水等の冷媒への切替え及び逆の切替えは、非常に困難
で、冷却の為の降温、次の中間発泡体を加熱する為の再
昇温に相当な時間がかかり、且つエネルギーの損失が大
きくなるという欠陥があった。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、製品化歩留りの優れた2段発泡法の利点を損うこと
なく、効率的に冷却と加熱とを行い、しかも成形性や表
面平滑性に優れ、圧縮応力に富み、且つ永久歪みの小さ
い最終発泡体を提供するポリオレフィン発泡体の製造方
法及びそのための発泡装置等を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本第1発明のポリ
オレフィン発泡体の製造方法は、ポリオレフィン、架橋
剤及び発泡剤を含む発泡性組成物を金型に充填し、加圧
下で加熱して上記発泡剤の一部を分解させ発泡を誘起せ
しめた後、高温熱時に除圧し上記金型から取り出して中
間発泡体を製造する第1工程と、その後、上記第1工程
で得られた中間発泡体を、内部に冷媒流路を設けた側方
型枠(11)と、該側方型枠を上下から固定し該側方型
枠と共に最終発泡体の形状寸法に対応した非密閉の空間
を形成するように配設され、且つ内部に冷媒流路を有す
る一対の平板(12)と、からなる冷却成形用型(1)
内に入れ、該冷却成形用型の上下に配設された一対の加
熱板(2)を、該各加熱板に設けられた流路に熱媒を注
入することにより加熱して、上記冷却成形用型を介して
常圧下で上記中間発泡体を加熱することで、上記発泡剤
の残部を分解させ発泡を誘起せしめ、次いで、上記冷却
成形用型の平板及び上記側方型枠の各冷媒流路に冷媒を
注入することにより、発泡体の外周面を均一に冷却し
て、最終発泡体を製造する第2工程と、からなることを
特徴とする。
【0008】本発明において、「ポリオレフィン」と
は、例えば、通常市販されている高圧法、中圧法又は低
圧法により製造されたポリエチレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレンとメチル、エチル、プロ
ピル若しくはブチルの各アクリル酸エステル(このエス
テルの含有量;45モル%以内)との共重合体、又はこ
れらのそれぞれ塩素含有率60重量%まで塩素化したも
の、更に、これら二種以上の混合物、又はこれらとアイ
ソタクチックポリプロピレン若しくはアタクチックポリ
プロピレンとの混合物等をいう。
【0009】本発明にいう「架橋剤」とは、上記ポリオ
レフィン中において少なくともポリオレフィンの流動開
始温度以上の分解温度を有するものであって、加熱によ
り分解され、遊離ラジカルを発生してその分子間に架橋
結合を生じせしめるラジカル発生剤である有機過酸化物
等をいう。例えばジクミルパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ビス−ターシャリーブチルパーオキシ
ヘキサン、1,3−ビス−ターシャリーパーオキシ−イ
ソプロピルベンゼン等である。本発明にいう「発泡剤」
とは、上記ポリオレフィンの流動開始温度以上の分解温
度を有するものをいい、例えば、アゾジカルボンアミ
ド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等である。
【0010】また、本発明において、発泡状態をコント
ロールする為に、尿素を主成分とする化合物、酸化亜
鉛、酸化鉛等の金属酸化物、低級若しくは高級脂肪酸又
は低級若しくは高級脂肪酸の金属塩等の発泡助剤等を添
加することができる。更に、物性改善の為にカーボンブ
ラック、亜鉛華、酸化チタン、その他常用の配合剤を添
加することもできる。
【0011】本発明のポリオレフィン発泡体の製造方法
において、第1工程における1次発泡時の発泡剤分解率
は特に限定されないが、15倍以上の最終発泡倍率を有
する発泡体を製造する場合、第2発明のように、第1工
程において、金型を50kg/cm以上の加圧状態で
加熱して、発泡剤を下式を満足する分解率となる如く分
解させ発泡を誘起せしめ、高温熱時に除圧し該金型から
取り出して中間発泡体を製造するのが好ましい。 第1工程の発泡剤分解率(%)=(9〜12)×(100/最終発泡倍率) このようにすることにより、250〜450μmと比較
的気泡径が大きく、且つ5〜20%の連泡率を有する発
泡体となし、圧縮応力に富み、且つ永久圧縮歪みの小さ
い製品が得られる。
【0012】上記において、第1工程での圧力が50k
g/cm2 未満では、本発明の発泡剤分解率とした場
合、発泡体を10倍付近まで膨張させる条件となり、発
泡膨張時に1次金型より発泡体の洩れが生じ、1次膨張
品の変形原因になり、更にこれが製品化率の低下を招く
ので好ましくない。2段発泡法では、通常、「一次の高
圧下で、一部発泡剤の加熱分解により形成する無数の核
気泡を除圧膨張時に70〜90μmの微細セルに成長さ
せ、更に、2次の常圧発泡膨張で、この微細セルを10
0〜150μmの平均気泡径へと均一に成長させる。」
と、いう気泡形成メカニズムのため、得られる発泡体は
均一微細な独立気泡体となり、このような発泡体は一般
的に圧縮硬さに乏しく、且つ永久歪みが比較的大きいと
いう欠点を有している。
【0013】これに対し、本第2発明では、第1次発泡
工程での発泡剤の分解率を前式を満足する分解率とする
ことで、第1発泡工程で発泡剤分解時に形成される核気
泡の数密度が高くなり、核気泡間の間隔、即ちその気泡
壁を薄くすることができる。このように形成される気泡
壁と、除圧時に惹起される爆発的膨張と、が相まって、
その爆発的膨張時の微細セル成長過程においては、一部
気泡壁の破壊を発生誘起させることができる。その結
果、微細セルが集合し、セルサイズが大きくなると共に
破壊された気泡壁のストランドが残存した気泡壁へ融着
し、その気泡壁を補強し圧縮応力に富み、且つ比較的永
久歪みの小さい発泡体を提供することが可能となる。例
えば、15倍の最終発泡倍率の場合の分解率は60〜8
0%であり、60%未満では平均気泡径が小さくなり過
ぎて圧縮応力に乏しくなり、一方、80%を越えると、
一次及び二次発泡体の変形、割れが生じることとなる。
【0014】尚、発泡剤の分解量を調整する手段として
は、金属酸化物等の発泡助剤の添加量を調整する等の方
法があるが、最も簡単且つ確実な方法としては、1次発
泡の加熱温度を130〜170℃程度の比較的低温に設
定しておき、その加熱時間によりコントロールする方法
がある。また、2次発泡での加熱温度は、発泡剤を完全
に分解し発泡させることが大切であり、且つポリオレフ
ィンに悪影響を及ぼさない範囲で設定するのが好まし
く、通常、160〜190℃程度であり、その加熱時間
は、通常、20〜60分間程度である。
【0015】本第3発明のポリオレフィン発泡装置は、
中間発泡体を加工して最終発泡体を製造するためのもの
であり、冷却成形用型(1)と、該冷却成形用型の上下
に配設され、内部に熱媒流路を有する一対の加熱板
(2)と、を具備し、上記冷却成形用型(1)は、内部
に冷媒流路を設けた側方型枠と、該側方型枠を上下から
固定し、該側方型枠(11)と共に最終発泡体の形状寸
法に対応した非密閉の内部空間を形成するように配設さ
れ、且つ内部に冷媒流路を有する一対の平板(12)
と、を備えることを特徴とする。
【0016】本発明のポリオレフィン発泡装置におい
て、一次発泡型のキャビティや、冷却成形用型の側方型
枠と一対の平板とから形成される非密閉の内部空間の形
状は、特に限定されないが、第4発明のように、一次発
泡型内のキャビティと、冷却成形用型の側方型枠と一対
の平板とで形成される非密閉の内部空間とは、共に最終
発泡体に略相似形であり、且つ該冷却成形用型の該内部
空間は、縦、横及び高さの各寸法のいずれもがこの冷却
成形用型内で最終発泡させた発泡体の発泡直後の夫々の
寸法に対し、1〜10%小さくした寸法であるのが好ま
しい。尚、この場合の「縦、横及び高さ」とは、明確に
これが概念されないような立体形状の場合は、三次元的
にみて略相似形状という意味に用いる。尚、本発明にい
う「非密閉の内部空間」とは、該空間内において中間発
泡体が2次膨張する際、空間内に残存する空気を発泡体
の膨張圧により外部へ排除しうる構造を意味し、通常、
側方型枠部の側面に上記内部空間と外部雰囲気とを連通
させる小孔を各辺に1〜2個設けることが一般的であ
る。
【0017】一次発泡型のキャビティと冷却成形用型等
の内部空間との形状を最終発泡体の形状に略相似形とす
ることによって、発泡体の3次元膨張をできるだけ均一
に惹起せしめることができる。これに伴って、経時収縮
で最終発泡体の表面の収縮斑による凹凸及び寸法誤差の
発生を防ぐことができるからである。特に、冷却成形用
型の内部空間の寸法を1〜10%小さくすることによっ
て、発泡膨張した最終発泡体が、その自己膨張力でこの
内部空間の壁面に余すところなく均一に接触し押しつけ
られることで、該内部空間の形状通りに成形可能となる
とともに、最終製品形状のバラツキが小さくなる。加え
て、加熱や冷却での熱移動効率も向上する。
【0018】尚、内部空間寸法が1%未満でしか小さく
ない場合には、発泡体の自己膨張力による該内部空間内
壁面への該発泡体の押圧力が不充分となり、発泡体側面
が凹凸になったり角部が形成されなかったりして、二次
金型通りに成形され難くなると共に加熱効率や冷却効率
も悪化する。一方、10%を超えて小さくした場合に
は、その後の冷却により発泡体が収縮しても、なお発泡
体外寸が該空間内寸より相当大きく、冷却成形用型から
の発泡体の取出しが困難になったり、冷却用型の開放時
に発泡体の中央部が浮き上がったりして、変形割れ発生
の原因となる。
【0019】また、上記冷却成形用型の一対の上記平板
における上記最終発泡体との接触面は、本第5発明のよ
うに、微細な凹凸からなる平滑面とすることができる。
この平滑面の平滑度(Rmax )としては、通常、3〜1
00μm程度である。これにより、発泡膨張時に無理な
抵抗をかけることなく膨張させることができ、極めて成
形状態の良好な発泡体を得ることができるし、またその
取出しも容易である。更に、従来のように型内での発泡
体の滑りを良くするために金属硝酸塩水溶液等をコーテ
ィングする必要もなく、そのためそれに伴う発泡体の洗
浄もいらなくなるので、大きな省力化につながる。尚、
上記発泡体接触面の平滑性を出す方法としては、JIS
規格B0601の4S〜20Sの梨地加工するか、又は
テフロンコーティング加工等とするのが望ましい。
【0020】更に、本発明のポリオレフィン発泡装置
は、本第6発明の如く、冷却成形用型が加熱板へ着脱可
能な如く取り付けられており、更に該型の側方型枠と一
対の平板とは分離できるようにするのが好ましい。長期
間の使用により、その面の平滑性が損われても、平板自
体が加熱板や側方型枠から容易に分離できるので、交換
したり再加工処理したりするに適し、また目的、用途に
応じたものを適宜交換して使用できるからである。
【0021】
【作用】本発明は、第1工程で得られた中間発泡体を、
内部に冷媒流路を設けた側方型枠と、この側方型枠を上
下から固定し該側方型枠と共に最終発泡体の形状寸法に
対応した非密閉の空間を形成するように配設され、且つ
その内部に冷媒流路を有する一対の平板と、からなる冷
却成形用型内に入れ、この冷却成形用型の上下に配設さ
れた一対の加熱板に設けられた流路に熱媒を注入するこ
とによって、冷却成形用型を介して常圧下に上記中間発
泡体を加熱して上記発泡剤の残部を分解させ、その後、
上記冷却成形用型の平板及び側方型枠の冷媒流路に冷媒
を注入する。従って、発泡体の外周面で加熱と冷却とを
均一に効率良く行うことができる。
【0022】そして、このように最終発泡完了後の発泡
体を金型から取り出すことなく連続して冷却成形する方
式であるので、発泡体の表面平滑性を向上させるための
新たな冷却工程を付加する必要もない。また、冷却成形
用型内の冷媒流路に冷媒を流して冷却する一方、この冷
却成形用型を挟み込む加熱板内に熱媒通路を設け、これ
に熱媒を流通させて加熱する。従って、加熱から冷却或
いは冷却から加熱への切替えが円滑に行なえ、更に所定
の加熱温度や冷却温度に到達する時間も短くでき、生産
効率を上げることができる。
【0023】更に、本発明のように、冷却成形用型の平
板を介して発泡体を加熱する方式では、その熱移動効率
の悪さが懸念されるが、本第2発明の如く、1次発泡工
程で1/3程度以上の発泡剤を分解させ、その残分発泡
剤を第2工程で分解させるので、換言すれば、第2工程
を成形、冷却主体の工程とするので、その加熱時の熱移
動効率の低下は、さほど問題とはならない。却って、平
板を介して加熱することによって、金属製熱板の熱伝導
度が極めて高いことから、熱板での熱媒流路付近とその
他の部分とでの温度差が緩和できるので、均一加熱を可
能とする長所を有する。また、第1工程の発泡分解率を
所定の適当な範囲とすることで、250〜450μmと
比較的気泡径が大きく、且つ5〜20%の連泡率を有す
る発泡体となるので、圧縮応力に富み、且つ永久圧縮歪
みの小さい製品が得ることができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (1)ポリオレフィン発泡装置(二次型)の構成 図1は、本発明に係るポリオレフィン発泡装置の一実施
例を示すもので、発泡成形部は、冷却成形用型1と、加
熱板2と、から構成される。冷却成形用型1は、一対の
側方型枠11a、11bと、一対の平板12a、12b
と、からなる。平板12a、12bが側方型枠11a、
11bをボルト4、4で上下から固定して非密閉の内部
空間3を形成している。この内部空間3は、最終発泡体
に略相似形であり、且つ冷却成形用型1の内部空間3を
構成する縦、横、高さの各寸法が、最終発泡体と略相似
形である1次発泡型で得た中間発泡体を最終発泡した発
泡体の発泡直後の夫々の寸法に対し、1〜10%小さく
した寸法に設定したものである。側方型枠11には、冷
媒流路111が形成されている。平板12a、12bに
も、同様に冷媒流路121を設けている。
【0025】符号5は、冷却成形用型1を上下の加熱板
2、2に固定するボルトを示す。側方型枠11は、図1
の如く上型枠11aと下型枠11bに二分割され、加熱
板2、2のいずれかが上方又は下方へ移動すると、冷却
成形用型1の開放状態となり、発泡冷却完了後の発泡体
の取出しができるようになっている。平板12a、12
bは、図2(一方の上側平板を省略した説明図)のよう
に、蛇行した貫通孔121を有する中板122を通常の
板状体123で両側からサンドイッチ状に挟み込んだ構
造であり、この貫通孔121が最終的に冷媒流路121
(図1)となる。尚、符号12aに示す如く、その冷媒
流路121内に管状体1211a、1211bを挿入
し、補強してもよい。
【0026】加熱板2は、肉厚の金属板で構成され、注
入した熱媒で加熱できるように、その内部には熱媒流路
21が設けられている。ここで、加熱板2は、図3に示
すように、金属製箱状体22と、この箱状体23内であ
って底板23にロー付けされ熱媒の流路を構成する管状
体24と、を備えるものとすることができる。この管状
体24が金属製底板23aにロー付けされるので、熱伝
導に優れ、また、この箱状体内に熱の不良導体である空
気が充満されるので、熱のロスも少なくなる。図3に示
すように、箱状体内にリブ25を設けて補強することも
できる。更に、この金属製箱状体内に、断熱材(例え
ば、発泡セラミック等)を充填配置したものとすること
もできる。
【0027】(2)ポリオレフィン発泡体の製造 実施例1 メルトインデックス1.0のポリエチレン100重量部
(以下、部という。)に、アゾジカルボンアミド5部、
ジクミルパーオキサイド(濃度40%)2部及び酸化亜
鉛0.5部からなる組成物を表面温度100℃のロール
上で混練して混和物を得た。この混和物6kgを一次型
(410mm×410mm×40mm)に充填し70k
g/cmの加圧下で、且つ160℃で30分間加熱し
た後、高温熱時に除圧し10倍程度に発泡膨張した中間
発泡体(880mm×880mm×86mm)を得た。
この高温状態の中間発泡体を、図1に示すような一対の
加熱板2で挟まれた冷却成形用型1(内部空間寸法:1
000mm×1000mm×100mm)に入れ、熱媒
流路21にスチームを導通させることにより165℃に
維持された加熱板2を用いて、この冷却成形型1を介し
て30分間加熱した。
【0028】尚、冷却成形用型1の上下に取り付けられ
た平板12a、12bの発泡体との接触面はテフロンコ
ーティングが施されており、この型の内壁面には硝酸金
属塩水溶液等の滑剤は一切散布されていない。加熱完了
後、加熱板2に供給していたスチームを止め、同時に冷
却成形用型1の冷媒流路111、121に常温の冷却水
を流通させた。尚、この場合、加熱板2の熱媒流路21
内の熱媒は、そのままの状態であるが、圧縮空気等によ
り除去することもできる。
【0029】その結果、冷却成形用型1の側方型枠11
部分は約3分後に50℃前後まで降温し、発泡体側方外
周部は約30分後に90℃まで降温した。この時点で、
最終発泡体を取り出すと同時に冷却水を止め、再び加熱
板2へスチームを流通させた。尚、この場合、冷媒流路
111、121内の冷媒は、圧縮空気等により除去する
が、そのままの状態とすることもできる。これにより加
熱板2が再び165℃となるのに約18分要した。従っ
て、冷却開始→冷却完了→冷却成形用型の再昇温に要し
た時間はたった48分であった。また、最終発泡体の型
からの取出しも容易であった。得られた最終発泡体は、
密度が0.06g/cc、発泡倍率が約15倍のもの
で、縦、横が995〜1000mm、厚さが98〜10
1mmと略均一で、冷却成形用型1の内部空間3の形状
と殆ど同じで、その外周表面は平滑性に優れ、極めて美
麗なものであった。
【0030】比較例1 実施例1と同様の方法で得られた中間発泡体を、図4に
示す2次金型6(内部空間寸法:1000mm×100
0mm×100mm)に入れ、金型上面及び下面を構成
する金属板61、62の熱媒流路611、621にスチ
ームを導通させることによりその金属板を165℃に維
持し、この中間発泡体を30分加熱した。尚、上記金属
板の発泡体との接触面には発泡膨張をスムーズに行なえ
るよう、予め硝酸金属塩水溶液が滑剤として散布されて
いる。
【0031】加熱完了後、金属板61、62に供給して
いたスチームを止め、配管切替えにより該金属板の熱媒
流路611、621に冷却水配管を接続し、この熱媒流
路611、621に冷却水を供給した。熱媒流路61
1、621内に残存するスチームの圧力を低下させ、冷
却水を流通するのに10分の時間を要した。更に、金型
枠部の温度が50℃前後まで降温するのに40分の時間
を要した。発泡体側方外周部は約60分後に90℃まで
降温し、この時点で、最終発泡体を取り出すと共に冷却
水を止め、再び配管をスチームに切替えて、熱媒流路6
11、621にスチームを供給した。しかし、ウォータ
ーハンマリング現象発生のため、スチーム圧は徐々にし
か増加させざるを得なかった。再び金属板を165℃に
するのに、結局約40分要した。得られた発泡体は、実
施例1と同様に、寸法、形状、外周表面状態共優れたも
のであったが、冷却開始→冷却完了→再昇温に100分
の時間を要し、実施例1の2倍の時間がかかった。
【0032】実施例2〜3及び比較例2〜3 実施例1と同様の混和物の所定量(表1に示す。)を、
表1に示す所定の型寸法をもつ一次金型を用いて、実施
例1と同様の条件で加工した。更に、実施例1と同様の
条件、設備で2次発泡、冷却成形を行った。尚、二次型
寸法の大きさを表1に示す。これらの結果を表1に示
す。表1において、2次発泡膨張完了直後の発泡体寸法
〔C〕は、二次発泡完了直後の発泡体を冷却することな
しに強制的に金型より取り出し、縦、横、高さのそれぞ
れについて各3ヶ所の寸法を測定し、その平均値で表し
たものである。また、最終発泡体寸法のバラツキは冷却
完了後の発泡体の縦、横、高さについてそれぞれ最大部
分と最小部分を測定し、その差で表したものである。表
1中の*印を付した数値は、第2発明の範囲から外れる
ものである。
【0033】以上の結果によれば、表1に示すように、
二次型縮小率が不適切な比較例2及び3では、最終発泡
体の寸法バラツキが大きかった。また、比較例3では発
泡体上面に長さ200mm、深さ10mmの割れが発生
し、しかも最終発泡体の型からの取出しが窮屈であり、
相当無理に取り出す必要があった。一方、実施例1及び
2では、上記のような不具合はなく(バラツキはあるも
のの、大変少ない。)、良好であった。
【0034】
【表1】
【0035】実施例4〜5及び比較例4〜6 実施例1において一次発泡の加熱時間を種々変更し、一
次発泡工程での発泡剤分解率を変えた。これらの条件を
表2に示す。各加工条件につき100個の発泡体を作
り、その時の製品化歩留り、及び物性について調査し
た。その結果を表2に示す。ここで、表2中*印の付し
た数値は、本発明の範囲から外れるものである。また、
同表中、「一次金型での発泡体洩れ」欄及び「1次、2
次発泡体の変形、割れ」欄の数字の単位は数である。
尚、一次発泡工程における発泡剤分解率(%)は、一次
発泡前の発泡性混和物の発泡剤分解率を「0」、二次発
泡終了後の発泡体の発泡剤分解率を「100」とし、下
式より算出した。 X={(V −V )/(V −V )}×100 :発泡性混和物の体積(cm )、V :一次発泡
完了直後の中間発泡体体積(cm )、V :二次発泡
完了直後の最終発泡体体積(cm 平均気泡径の測定は、各発泡体につき100個の気泡の
直径を測定し、その平均値で示したものである。25%
圧縮応力の測定は、JIS K6767の方法により行
った。斯る測定によって得られた値が大きいと、圧縮応
力が大きくなり、圧縮応力に富むことになる。また、連
泡率の測定はエアーピクノメーター法(ASTM D2
856)に準拠して行った。更に25%圧縮永久歪みの
測定は、JIS K6767により行った。
【0036】
【表2】
【0037】表2の結果によれば、比較例4では1次分
解率が50%と小さいので、発泡体の洩れ、変形はない
ものの、平均気泡径が小さ過ぎ(所望のものではな
い。)、25%圧縮応力が小さく、連泡率も低く、且つ
25%圧縮永久ひずみも大きい。比較例5及び6では、
最終発泡体の物性は満足するものの、いずれも発泡体の
洩れ、変形が生じた。一方、実施例4及び5では、この
ような不具合は全くなく、効率良く優れた性能品を製造
できた。尚、本発明においては、前記具体的実施例に示
すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内
で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記
実施例では、一対の加熱板と1つの冷却成形用型を1組
とするが、加熱板と冷却成形用型とを順次積層し、更に
他端に加熱板を積層し、固定して、即ち1つの加熱板と
1つの冷却成形用型とを1組としこれを順次複数組み合
わせ且つ両端には加熱板を配設して、複数の中間発泡体
を同時に加熱、冷却できる構成とすることができる。こ
の固定方法は特に限定されず、例えば、上記実施例の如
く、各部材をボルトで固定してもよいし、複数の加熱板
をステー、長尺状固定ボルト等により同時に固定しても
よい。また、側方型枠は、一対のものでなく1つからな
ってもよいし、3以上でもよい。更に、側方型枠及び平
板に設けられる冷媒流路の断面形状、大きさ、数も特に
限定されないし、その流入口及び出口の数も種々選択さ
れる。また、平板の構造もサンドイッチ型でなく、内部
に冷媒流路を有する厚肉の一板状体とすることもでき
る。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明の製造方法及び発
泡装置によれば、上下の加熱板と冷却成形用型とを個別
に組み合わせているので、冷却と加熱を各々分担するこ
とができ、そのため効率的に加熱と冷却とを行うことが
できる。また、冷却成形用型が形成する内部空間を最終
発泡体の形状寸法に対応させているので、成形性や表面
平滑性に優れる製品を得ることができる。更に、第1工
程の発泡剤分解率を一定範囲内におさめ、比較的気泡径
が大きく、且つ適度な連泡率をもつ発泡体とすることが
できるので、圧縮応力に富み、且つ永久歪みの少ない最
終発泡体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリオレフィン発泡体の製造装置
の発泡成形部を示す説明断面図である。
【図2】図1で冷媒流路を有する平板の概略説明図であ
る。
【図3】熱媒流路を有する加熱板の概略説明図である。
【図4】従来の2次発泡装置を示す説明断面図である。
【符号の説明】
1;冷却成形用型、11;側方型枠、11a;上型枠、
11b;下型枠、111;冷媒流路、12a、12b;
平板、121;冷媒流路、1211;管状体、122;
中板、123;板状体、2;加熱板、21;熱媒流路、
22;金属製箱状体、23;底板、24;管状体、2
5;リブ、3;内部空間、4;ボルト、5;ボルト、
6;2次金型。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン、架橋剤及び発泡剤を含
    む発泡性組成物を金型に充填し、加圧下で加熱して上記
    発泡剤の一部を分解させ発泡を誘起せしめた後、高温熱
    時に除圧し上記金型から取り出して中間発泡体を製造す
    る第1工程と、 その後、上記第1工程で得られた中間発泡体を、内部に
    冷媒流路を設けた側方型枠(11)と、該側方型枠を上
    下から固定し該側方型枠と共に最終発泡体の形状寸法に
    対応した非密閉の空間を形成するように配設され、且つ
    内部に冷媒流路を有する一対の平板(12)と、からな
    る冷却成形用型(1)内に入れ、該冷却成形用型の上下
    に配設された一対の加熱板(2)を、該各加熱板に設け
    られた流路に熱媒を注入することにより加熱して、上記
    冷却成形用型を介して常圧下で上記中間発泡体を加熱す
    ることで、上記発泡剤の残部を分解させ発泡を誘起せし
    め、 次いで、上記冷却成形用型の平板及び上記側方型枠の各
    冷媒流路に冷媒を注入することにより、発泡体の外周面
    を均一に冷却して、最終発泡体を製造する第2工程と、
    からなることを特徴とするポリオレフィン発泡体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 第1工程の1次発泡において、金型を5
    0kg/cm以上の加圧状態で加熱して、上記発泡剤
    を下式を満足する分解率となる如く分解させて発泡を誘
    起せしめ、高温熱時に除圧し上記金型から取り出して上
    記中間発泡体を製造し、上記最終発泡体の最終発泡倍率
    が15倍以上である請求項1記載のポリオレフィン発泡
    体の製造方法。 第1工程の発泡剤分解率(%)=(9〜12)×(100/最終発泡倍率)
  3. 【請求項3】 冷却成形用型(1)と、該冷却成形用型
    の上下に配設され、内部に熱媒流路を有する一対の加熱
    板(2)と、を具備し、 上記冷却成形用型(1)は、内部に冷媒流路を設けた側
    方型枠と、該側方型枠を上下から固定し、該側方型枠
    (11)と共に最終発泡体の形状寸法に対応した非密閉
    の内部空間を形成するように配設され、且つ内部に冷媒
    流路を有する一対の平板(12)と、を備え、中間発泡
    体を加工して最終発泡体を製造することを特徴とするポ
    リオレフィン発泡装置。
  4. 【請求項4】 上記冷却成形用型の側方型枠と一対の上
    記平板とで形成される非密閉の内部空間は、最終発泡体
    に略相似形であり、且つ該冷却成形用型の該内部空間を
    構成する縦、横及び高さの各寸法のいずれもが、上記最
    終発泡体と略相似形のキャビティを有する1次発泡型で
    得た中間発泡体を最終発泡させた発泡体の発泡直後の夫
    々の寸法に対し、1〜10%小さくした寸法であること
    を特徴とする請求項3記載のポリオレフィン発泡装置。
  5. 【請求項5】 上記冷却成形用型の一対の上記平板にお
    いて、上記最終発泡体との接触面は、微細な凹凸からな
    る平滑面となっている請求項3又は4記載のポリオレフ
    ィン発泡装置。
  6. 【請求項6】 上記冷却成形用型は、上記加熱板へ着脱
    可能に取り付けられており、且つ該冷却成形用型の上記
    側方型枠と一対の上記平板とは、分離可能である請求項
    3〜5記載のポリオレフィン発泡装置。
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