JPH08508250A - カリウムチャンネル遮断化合物およびそれらの用途 - Google Patents

カリウムチャンネル遮断化合物およびそれらの用途

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Abstract

(57)【要約】 特異的な強力な一過性外向きカリウムチャンネルインヒビター、蜘蛛毒由来のポリペプチド、およびそれらの使用。

Description

【発明の詳細な説明】 カリウムチャンネル遮断化合物およびそれらの用途 発明の分野 本発明は、一過性の外向きカリウムチャンネルおよびその他のカリウムチャン ネルのインヒビターに関するものである。 発明の背景 以下のものは対応技術の記載であって、そのうちいかなるものも本請求項に対 する先行技術とは認められない。 カリウム(K+)チャンネルは、膜電位の変化に応答して、または陽イオンお よび/またはリガンドによる活性化に応答して細胞中または細胞外にK+を選択 的に移動させる、膜内在性蛋白である。K+チャンネルの主な役割は静止膜電位 の維持であり、もう一つの役割は、興奮性細胞における活動電位の再分極に対す るそれらの寄与に関連している。カリウムチャンネルは多様なイオンチャンネル 蛋白の群を表わし、幾つかの毒素は、主として(限定的ではないにせよ)1また はそれ以上のK+チャンネルを遮断することによって作用すると記載されている (ルーディ、「Kチャンネルの多様性および遍在」、25 ニューロサイエンス 、729、1988)。心臓の細胞は、極めて多様な相異なるK+チャンネルサ ブタイプを特徴とする。幾つかのK+チャンネルの型は、活動電位の最中の膜の 脱分極に応答して開口し、これらの異なったチャンネルにより運ばれる電流が総 計されて、静止電位に至る膜の再分極を引き起こす。これらの型のチャンネルの 一つである一過性外向きK+チャンネルは、膜の脱分極時に極めて迅速に(1− 10ミリセカンド以内)活性化し次いで迅速に(10−200ミリセカンド以内 )減衰(不活性化)する電流(Ito)を導く。Itoは、心臓の活動電位の初期再 分極に最も著しく寄与し、幾つかの非特異的薬理化合物、例えばアミノピリジン 類およびテジサミル、クラスIII抗不整脈薬によって遮断される(デュークス 等、「テジサミルは哺乳動物の心臓およびグリア細胞における一過性および遅延 性整 流K+流を遮断する」、254 J.Phrmacol.Exp.Ther.、 560、1990)。Itoの遮断は心臓の活動電位の延長を導く。Itoは、例え ばエスカンデ等、「成人心房細胞における二つの型の一過性外向き電流」、25 2 Am.J.Physiol.H142、1987に記載のようにして人間の 心細胞から記録された。心臓の活動電位の延長(およびそれによる不応性)は、 回帰性の心房性および心室性不整脈の抑制のための一つの機作であると言われて いる(リンチ等、「罹患している心筋のカリウム流を調節することの治療的可能 性」、6 FASEB J.、2952、1992)。遅延性整流K+チャンネ ルとして知られる別個のK+チャンネルサブタイプを遮断することによってその 殆どが作用する、現在入手し得るクラスIII抗不整脈剤は、点のねじれ(to rsades de pointes)として知られる心室性不整脈の発症を導 き得る心活動電位の過度の延長を引き起こすかも知れない(サンギネッティ、「 抗不整脈薬および降圧薬によるカリウムチャンネルの調節」、19 ハイパーテ ンション、228、1992)。 電圧依存性K+チャンネルの開口はまた、中枢のニューロンに特徴的なごく短 時間の活動電位の最中に細胞膜の再分極が起こる機作でもある。一過性外向きK+ 流(ニューロンにおいてはIAと称する)はこの工程において或る役割を果たし ている。蛇から誘導される毒素であるデンドロトキシンは、後根神経節ニューロ ンにおける遅延性非不活性化K+流を選択的に遮断し(ペナー等、「デンドロト キシン:モルモット後根神経節ニューロンにおける非不活性化カリウム流の選択 的遮断剤」、407 Pflugers Arch.、365、1986)、海 馬切片における一過性外向きK+流(IA)をも遮断する(ハリウェル等、「デン ドロトキシンの中心的作用:海馬における一過性Kコンダクタンスおよび局在化 したアクセプターへの結合の選択的低下」、83 Proc.Natl.Aca d.Sci.USA、493、1986)。デンドロトキシンによる、ニューロ ンにおける活動電位の持続時間の延長は、神経伝達物質の放出の増強をもたらす (ハーヴェイおよびアンダーソン、「デンドロトキシン類:カリウムチャンネル を遮断し神経伝達物質の放出を促進する蛇毒」、31 Pharmac.The r.、33、1985)。この分野におけるさらなる研究は、これがアルツハイ マー病のような認知障害の処置に対する薬理学的アプローチとして認められ得る ということを示唆した(ラヴレツキーおよびジャーヴィク、「一群のカリウムチ ャンネル遮断剤−アセチルコリン放出物質:アルツハイマー病への新たな可能性 か?総説」、12 J.Clinical Psychopharm.、110 、1992)。 発明の要約 本発明は一般に、一過性外向きカリウムチャンネル、例えば心細胞およびニュ ーロンにおいてそれぞれItoまたはIAと呼ばれる電流の、特異的且つ強力な新 規インヒビターまたは遮断剤に関するものである。さらに本発明は、1またはそ れ以上のカリウムチャンネル、例えば一過性外向きカリウムチャンネルにおいて 活性な、蜘蛛毒またはそれらの等価物から単離される新規なポリペプチドを特徴 とする。 詳細には、蜘蛛ヘテロポーダ・ヴェナトリア、およびオリオス・ファシキュラ トゥスの毒液から単離されるポリペプチド毒素の新規な活性の例が提供される。 本明細書中で単純に化合物1、2および3と呼称されるこれらのペプチドは、電 圧依存性の一過性外向きK+チャンネルの特異的且つ強力な遮断剤であり、これ らは対応する心細胞の細胞全体の電流(Ito)を遮断する。これらの物質、その フラグメント、またはこれらの毒素もしくはその等価物を使用するリガンド結合 検定(またはその等価物)を用いて発見された化合物は、それ自体、心不整脈の 処置に有用であり、学習と記憶の障害(例えばアルツハイマー病)、パーキンソ ン病、多発性硬化症、精神分裂病、癲癇、卒中および筋痙直の処置における有用 性がある。 一般に、本明細書に記載され特許請求される型の有用なK+チャンネル阻害ポ リペプチドは、蜘蛛ヘテロポーダ・ヴェナトリアおよびオリオス・ファシキュラ トゥスの毒液から単離することができる。カリウムチャンネルを遮断する、類似 のまたはホモローガスなアミノ酸(またはその他の化合物もしくは単量体)配列 を有するその他のポリペプチド(またはそれらの等価物)もまた単離することが できる。本出願人は、蜘蛛毒から誘導される毒素中に係るK+チャンネル遮断活 性の存在を確定したのは最初であると信ずるものであり、したがって、蜘蛛毒中 の他のこのようなポリペプチドについてスクリーニングすることは有用であり且 つ生産性があることを証明するものである。さらに本発明は、活性物質として、 共通の部位(即ち一過性外向きカリウムチャンネル)に作用する他の物質につい てスクリーニングするための、これらのポリペプチドの使用方法に関するもので ある。 中枢のニューロンにおけるIAチャンネルを選択的に遮断しそれにより神経伝 達物質の放出の増強を惹起する化学物質は、アルツハイマー病およびその他の神 経疾患の処置に有用であると、本出願人は信ずる。同様に、心細胞におけるIto チャンネルを選択的に遮断する物質は、心不整脈の処置に有用であると、本出願 人は信ずる。したがって、これらのポリペプチドおよび関連する化合物または物 質は、心不整脈、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、精神分裂 病、癲癇、卒中および筋痙直の処置に使用することができる。 したがって、第一の態様においては、本発明は、特異的で強力な一過性外向き カリウムチャンネルインヒビター、遮断剤またはアンタゴニストを特徴とする。 「一過性外向きカリウムチャンネル」という句は、様々な細胞内の特定のサブ タイプのカリウムチャンネル、例えばそれぞれ心臓および神経細胞における上記 の電流ItoおよびIAを特徴とするカリウムチャンネル、を定義する、よく容認 されている句である。 「特異的」とは、一過性外向きK+チャンネルの遮断が100nMまたはこれ 以下で半最大(IC50)であり、且つ一過性外向きK+チャンネルについてのI C50の少なくとも10倍大きな濃度において、他のK+チャンネル(例えば遅延 性整流、内向き整流、アセチルコリンにより活性化されるまたはATPにより阻 害されるK+チャンネル)、Na+またはCa2+チャンネルに影響を及ぼさないこ とを意味する。 「強力な」とは、与えられた一過性外向きK+チャンネルが100nM未満、 より好ましくは10nM未満、さらに好ましくは1nM未満の濃度で50%遮断 されることを意味する。 好ましい態様において、これらの物質は蜘蛛毒中に存在するポリペプチドであ るかまたはそれから誘導される。係るポリペプチドの個別的な例を本明細書中に 供するが、これらの例は本発明を限定するものではなく、当業者には、本明細書 に記載されるものを包含するがこれらに限定されない種々の蜘蛛毒中に、他のポ リペプチドが容易に同定され得ることが理解できるであろう。さらに、当業者は 、標準的な手法を用いて同等のポリペプチドが合成により生成できることを理解 するであろう。選択された一過性外向きカリウムチャンネルの遮断、阻害、また は拮抗において活性なペプチドの特異的部分は、標準的スクリーニング法を用い て容易に同定できる。例えば、特異的ペプチドフラグメントは種々のペプチダー ゼを用いて無傷のポリペプチドから合成または生成することができ、これらのフ ラグメントを、検定における阻害活性について下記のように検定することができ る。インヒビターとして活性なフラグメントは、様々なスクリーニング検定、お よび治療的適用に際し、本発明において有用である。 加えて、係るポリペプチドの類似体または突然変異蛋白が容易に合成できる。 これらは、元のポリペプチドの阻害または遮断活性に影響しない領域にアミノ酸 配列の修飾を含むことができる。当該インヒビターのより保存的な領域において は、インヒビターの活性が有意に変化しないように、例えばグリシンのような小 型アミノ酸によってバリンのような他の小型アミノ酸を置換、または、正もしく は負に荷電したアミノ酸によって同様に荷電したアミノ酸を置換することができ る。 「誘導された」という語は単に、蜘蛛毒中に同定されるポリペプチドの一般構 造に基づいて化合物が合成できるということを指す。このような誘導体形成は当 分野においてよく認識される方法によって実施され、その個別的な例は一般的に 上記に提供されている。好ましくは、「誘導された」という語は、本明細書中に 記載されるポリペプチド毒素の所望調節活性を有する、上記のような類似体、突 然変異蛋白およびフラグメントを包含する。 上の発明は、蜘蛛ヘテロポーダ・ヴェナトリアおよびオリオス・ファシキュラ トゥスの毒液中に見いだされるポリペプチドによって例示される。本発明に係る 三つの個別的ポリペプチドおよび本発明にしたがってその中に存在する画分は、 ヘテロポーダ・ヴェナトリアのペプチド化合物1(配列番号1)、ヘテロポーダ ・ヴェナトリアのペプチド化合物2(配列番号2)、およびオリオス・ファシキ ュラトゥスのペプチド化合物3(配列番号3)を包含する。一つの例において、 本発明に係るポリペプチドは、心細胞および神経細胞中の一過性外向きK+チャ ンネルを遮断する。本発明は、ヘテロポーダ・ヴェナトリアのペプチド化合物1 および化合物2、およびオリオス・ファシキュラトゥスのペプチド化合物3と実 質上同じアミノ酸配列および実質上同じK+流遮断活性を有するポリペプチドを 包含する。 第二の態様において、本発明は、一過性外向きカリウムチャンネルを、既知の 特異的一過性外向きカリウムチャンネルインヒビター(例えば上記のもの)およ び一過性外向きカリウムチャンネル活性である可能性のある物質と接触させ、活 性である可能性のある物質による既知インヒビターの結合の阻害を検出すること によって、一過性外向きカリウムチャンネル活性物質についてスクリーニングす る方法を特徴とするものである。結合の阻害は、有用な一過性外向きカリウムチ ャンネル活性物質の指標である。このような活性物質は、容易にスクリーニング してそれらの特異性を決定することができる。 「活性物質」とは、一過性外向きカリウムチャンネルを通過する電流を増大さ せ(これがアゴニストとして作用する場合)または減少させる(これがインヒビ ターとして作用する場合)化合物である。 関連する態様において、本発明は、本明細書に記載される方法により例示され るように、有用なK+チャンネル活性物質について蜘蛛毒をスクリーニングする 方法を特徴とする。このような毒液は、所望活性を含む画分を決定するためにス クリーニングされる。 「K+チャンネル活性物質」とは、遅延性整流、内向き整流、Ca2+により活 性化されるまたはATP感受性K+チャンネルといったような他の任意の型のK+ チャンネルを増加または阻害する化合物を意味する。 好ましい態様において、このスクリーニング法は、心臓または神経組織由来の 一過性外向きカリウムチャンネルの使用を含む。 一過性外向きK+チャンネルに、好ましくはヘテロポーダ・ヴェナトリアのペ プチド化合物1および化合物2、およびオリオス・ファシキュラトゥスのペプチ ド化合物3の結合する部位と同じ部位で結合する化合物を同定するための方法も また本発明の範囲内にある。 第三の態様において、本発明は、生物に治療的有効量の特異的一過性外向きカ リウムチャンネルインヒビター、または蜘蛛毒由来のポリペプチド(またはその 等価物)を投与することにより、一過性外向きカリウムチャンネル活性を調節す ることによって治療上有用な結果が達成される、疾病または状態の処置方法を特 徴とするものである。処置されるべき個々の疾病は上に列挙されたものを包含す る(しかしながらこれらに限定される訳ではない)。 「調節する」とは、一過性K+チャンネル活性の低下を意味する。例えば、当 該チャンネルの細孔を遮断することによる、またはチャンネルの開閉の電圧依存 性を変化させることによる。 処置は、まず、患者(人間または人間以外)を、標準的な臨床方法によって、 疾病または状態に罹患していることを同定し、次いでこのような患者に本発明に 係る治療上入手し得る組成物を供する事を含む。 「治療上有効な」とは、患者の疾病または状態の1またはそれ以上の徴候を( ある程度)軽減する量を意味する。さらに、「治療上有効な」とは、その疾病ま たは状態に付随するまたはその原因である生理学的または生化学的パラメータを 、部分的にまたは完全に正常に復帰させる量を意味する。一般に、これは、その EC50ならびに患者の年齢、体格、および疾病に応じて、約1nmole/kg および1μmole/kgの分子の間の量である。 さらなる態様において、本発明は、特異的一過性外向きカリウムチャンネルイ ンヒビターまたは蜘蛛毒ポリペプチド(またはその等価物)を含む薬学上許容し 得る組成物を特徴とするものである。 さらに別の態様において本発明は、蜘蛛毒から取得し得る、カリウムチャンネ ル活性のインヒビターであるポリペプチド(またはその類似体)を特徴とするも のである。本発明はさらに、係るポリペプチドの特異なフラグメントを特徴とす る。上に定義されるような係る類似体は、それ自体当該毒液から取得し得るもの ではなく、単離されたポリペプチドの分析(本明細書中に例示されるような)に より誘導され、または他の毒液をスクリーニングすることにより取得することが できる。 「特異なフラグメント」とは、この出願の出願日現在知られる配列中に同一の ものが見いだされない部分を意味する。これらのフラグメントは、出願日現在存 在する、当該物の検出のためのポリペプチドデータベースの分析により、容易に 同定することができる。 「薬学上許容し得る組成物」とは、薬学上許容し得る担体、即ち該化合物を溶 解またはそれ以外の手段で投与し易くするために該化合物が添加される調製物中 の、治療的有効量の本発明化合物を意味する。薬学上許容し得る担体の例は、水 、食塩水、および生理学的に緩衝化された食塩水を包含する。このような薬用組 成物は適切な用量で提供される。係る組成物は一般に、FDAまたは米国以外の 国におけるこれに相当する機関により、特定の疾患の処置の際の使用が認可され ているものである。 「疾病または状態」とは、上に列挙される疾病および心または神経細胞に関わ る関連疾患を意味する。 係る化合物の殺虫剤としての使用もまた本発明の範囲内にある。本明細書に記 載の化合物は、恐らくは哺乳動物の心筋の一過性外向きK+チャンネルと構造上 類似のチャンネルの遮断によって、有意な殺虫作用を有すると、本出願人は信ず るものである。蜘蛛類は、強力な殺虫活性を有する様々な毒素を含有する毒液を 産生することが知られている(G.B.クイスタド等、「クモ(アラネアエ)、 ムカデ(チロポーダ)、サソリ(スコルピオニダエ)、およびヘビ(セルペンテ ス)の毒液の殺虫活性」、85 ジャーナル・エコノミック・エントモロジー、 33、1992)。これらの毒素は、犠牲となる昆虫を効果的且つ速やかに殺し または麻痺させる有効な毒素を産生させる進化の圧力に応答して進化してきた( H .ジャクソンおよびP.N.R.アッシャーウッド、「興奮性アミノ酸伝達の切 断要素のための手段としての蜘蛛毒」、11 トレンズ・イン・ニューロサイエ ンシズ、278、1988)。 本発明のその他の特徴および利点は、以下に述べる好ましい態様の説明および 特許請求の範囲から明らかであろう。 好ましい態様の説明 まず、図面を簡単に説明する。 図面。 図1は、80%A/20%Bで平衡化したヴィダックC18逆相HPLCカラ ム(10x250mm)上で分画したヘテロポーダ・ヴェナトリアの毒液(12 0μl)のクロマトグラフを示す図である。76%A/24%Bから65%A/ 35%Bに至る直線勾配で44分間溶出した(A=0.1%TFA(水性)、B =CH3CN中0.1%TFA)。この勾配は毒液注入の5分後に開始し、最終 ピークを溶出させるため39分においてカラムに50%Bを入れるために3分間 にわたり中断した。溶出液の吸光度を220nmにおいて監視した。画分(#1− 8、および最終画分)は、吸光度の線の下部にある番号により区別されている。 図2は、陽イオン交換カラム上で分画したペプチド化合物1および2のクロマ トグラムを示す図である。(図a)ペプチド化合物1については、50mM酢酸 ナトリウム(pH4.0)中0−0.32M NaClの直線勾配によって32 分間、続いて50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中0.32−1M NaC lの直線勾配によって5分間、カラムを展開した。(図b)ペプチド化合物2に ついては、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中0−0.3M NaClの 直線勾配によって3分間、続いて50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中0. 3−1M NaClの直線勾配によって35分間、カラムを展開した。溶離は1 ml/分であり、溶出液を280nmで監視した。画分をクロマトグラムに記載 のように集めた。 図3は、ヴィダックC−18逆相カラム(300オングストローム、10x2 50mm)上で分画したオリオス・ファシキュラトゥスの毒液(108μl)の クロマトグラムを示す図である。試料注入の5分後に、カラムを20−45%ア セトニトリル/0.1%TFAの直線勾配で75分間展開した。50分において 、100%アセトニトリル/0.1%TFAを7分間にわたってカラムに入れた 。流速は3.0ml/分であり、流出液を220nmで監視した。画分をクロマ トグラムに記載のように集めた。 図4は、陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製されたペプチド化合物3 のクロマトグラムを示す図である。試料注入の5分後に、50mM酢酸ナトリウ ム緩衝液(pH4.0)中0.25−1M NaClの直線勾配で75分間カラ ムを展開した。溶離は1ml/分であり、溶出液は280nmで監視した。画分 をクロマトグラムに記載のように集めた。 以下は、本発明に係る有用な化合物を発見し、例えば心不整脈ならびに記憶お よび学習の障害の処置に利用する方法および試験の詳細な説明である。鍵となる 方法は、化合物1、化合物2、または化合物3の結合した一過性外向きK+チャ ンネル上の部位での結合を修飾する化合物を同定するために、合成および天然の 産物両者の化合物を放射性リガンド結合技術(またはその等価物)によって迅速 にスクリーニングできる手段である。蜘蛛の毒液からのK+チャンネル遮断剤に ついてのスクリーニングは類似の手法により実施することができる。加えて、係 るポリペプチドの有用な誘導体または類似体または突然変異蛋白を、この方法を 用いて容易にスクリーニングすることができる。 さらなる試験は、放射標識された化合物1、化合物2、または化合物3の結合 と競合する物質が、一過性外向きK+流の特異的活性物質として作用し、他のチ ャンネル型には有意な影響を及ぼさないことを確認するための、心および神経細 胞におけるイオン流の全細胞的記録を含むものである。 本発明において概説される手段により同定される物質の所望の性質は、以下の ものを包含する: 1)カリウムチャンネル、例えば心または神経の一過性外向きK+チャンネル の特異的且つ強力な遮断。特異的遮断とは、その物質が、心不整脈または学習お よび記憶の障害、または上に列挙されたその他の疾患の処置において治療的有用 性があると証明されている用量でItoまたはIAを遮断するインビトロの濃度に おいて他のイオンチャンネルまたはレセプターへの影響を示さないことを意味す る。 2)治療的用量において、心電図のQT期間の過度の延長、徐脈、過興奮性ま たは卒中を包含する有意な副作用が無いこと。 蜘蛛毒液の毒素の単離。 以下は、本発明に係る阻害性蜘蛛毒素が単離される方法の非限定的実施例であ る。当業者には、等価な方法を使用して、本発明に記載の有用な活性を有する他 のポリペプチド(またはその等価物)を単離および同定できることが理解できる であろう。等価な化合物とは、本明細書に記載の方法によって1またはそれ以上 のK+チャンネルの有用な活性を有すると同定されている類似体、突然変異蛋白 および誘導体として本明細書中に記載されている化合物である。当業者には、い ったん或る有用なK+チャンネル活性物質が同定され配列決定されたならば、こ れは下記のように全体をまたはフラグメントとして化学合成することができ、配 列の修飾を施すことができるということが理解できるであろう。さらに、このよ うなフラグメントまたはポリペプチド自身は、それらの活性の点で元のポリペプ チドと等価な他のこのような活性物質についてスクリーニングするために使用す ることができる。 毒液は、当業者に良く知られる標準法に従って、電気刺激による採取工程を経 て、蜘蛛ヘテロポーダ・ヴェナトリアおよびオリオス・ファシキュラトゥスから 取得する。用いられる方法は、腹部吐出物または血リンパによる全毒液の汚染か ら保護する方法であることが好ましい。このような方法は当業者に良く知られて いる。このようにして得られた全毒液は、以下に記載されるような精製に使用さ れるまで約−78℃の凍結状態で保存する。全毒液からの構成成分の精製は、C −4およびC−18ヴィダックカラムのような様々な調製用および半調製用カラ ム上で、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって達成する(レイ ニン・インストゥルメント・Co.Inc.、マック・ロード、ウォバーン、マ サチューセッツ、01801)。ピークの検出を220nmの単色で実施する。 画分のさらなる分析は、例えばウォーターズ990ダイオード列検出機(ミリポ ア・コーポレーション、ウォーターズ・クロマトグラフィー・ディヴィジョン、 34メイプル・ストリート、ミルフォード、マサチューセッツ、01757)に より収集される多色UVデータを用いて行なうことができる。カラムからの画分 を、自動分取装置およびISCO2159ピーク検出機(ISCO、4700ス ーペリアー、リンカーン、ネブラスカ、68504)を使用するといったような 既知の方法によって集める。この画分を、滅菌ポリエチレン実験器具のような適 当な大きさの容器に集める。次に、溶離液からの凍結乾燥、次いで水からの凍結 乾燥により、画分の濃縮を達成する。次いで、得られた構成成分の画分の純度を 、異なった型のカラムを用いるクロマトグラフィー分析により決定し、次にこの 系を、画分の最終精製に使用する。 ペプチドの配列決定。 本発明に係るポリペプチド、例えば本明細書に記載のようにして同定されたポ リペプチドは、既知の方法に従って配列決定することができる。一次構造を決定 する一般的戦略は、例えば以下の工程を含む:1)酵素の攻撃に対する基質の感 受性を高めるための、ジスルフィド架橋されたシステイン残基の還元およびS− ピリジル化;2)一段階または多段階の酵素的消化による該ペプチドの制御され た開裂;3)逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるペプチドフラ グメントの単離精製;4)N末端配列決定およびイオンスプレー質量分析による ペプチドフラグメントの特性決定。 研究中のポリペプチドのシステイン残基のS−ピリジルエチル化を、例えば溶 液中で行ない、その後該ポリペプチドのアミノ酸配列決定を実施することができ る。S−ピリジルエチル化のためのこのような方法の一つは、下記のようにして 達成することができる。 ポリペプチド約1ないし10μgを、4mM EDTAおよび3部の8Mグア ニジンHClを含有するトリスHCl(pH8.5)1部と混合することにより 製造した緩衝液50μlまでに溶解またはこれで希釈する。10%水性2−メル カプトエタノール2.5μlを加え、混合物をアルゴン下に暗所で2時間室温で インキュベートする。インキュベーションの後、4−ビニルピリジン2μl(ア ルゴン下に−20℃で保存された新鮮な試薬)を加え、混合物をアルゴン下の暗 所でさらに2時間室温でインキュベートする。次にこの混合物を、好ましくは短 い逆相カラム上のクロマトグラフィーによって脱塩する。次いで、回収されたア ルキル化ポリペプチドを既知の方法に従って配列決定する。 別法としてこのポリペプチドは、クラフト等、193 Anal.Bioch em.、306(1991)に記載のようにインサイトゥ還元およびS−ピリジ ルエチル化の後に配列決定することもできる。 ヘテロポーダ・ヴェナトリアの毒液由来のペプチド化合物1および化合物2、 ならびにオリオス・ファシキュラトゥスのペプチド化合物3に関する本明細書の 開示の恩恵を受けたならば、今度は、毒液全体からの単離/精製以外の方法によ って他のペプチドを取得することが可能である。本発明に係るポリペプチドは、 当該ポリペプチドまたはその一部分に対するコード化配列のクローニングにより 、組み替えDNA技術を用いて産生することができる。例えば、当該ポリペプチ ドについて現在知られているアミノ酸配列情報を利用するハイブリダイゼーショ ンプローブを当業者に良く知られる方法に従って使用して、このポリペプチド全 体のコード化配列をクローニングすることができる。組み替えDNA技術および インビトロ蛋白合成の組合せを使用して本発明に係るポリペプチドを産生するこ ともできる。このようなインビトロ蛋白合成法には、標準的メリフィールド化学 または当業者に良く知られる他の固相化学を使用するABI430A固相ペプチ ド合成機(アプライド・バイオシステムズ、Inc.、850 リンカーン・セ ンター・ドライヴ、フォスター・シティ、カリフォルニア、94404)の使用 が包含されるが、これに限定される訳ではない。 等価ペプチド。 当該ポリペプチドの機能に影響を及ぼさない、または実質上影響を及ぼさない 、或る種のアミノ酸置換をそのポリペプチドに施し得るということは、当分野で は良く知られている。可能である正確な置換はポリペプチド毎に異なる。許容し 得る置換の決定は、当業者に良く知られる方法に従って達成される。このように 、 実質上同じアミノ酸配列および実質上同じK+チャンネル遮断活性を有するポリ ペプチドは全て本発明の範囲内にある。 生物活性。 当該ポリペプチドまたはそのフラグメントは、心不整脈の処置またはアルツハ イマー病のような記憶および学習の障害ならびに上記の他の疾病において有用で ある。このような適応のために使用される場合、このペプチドおよびフラグメン トは、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(最新版、マック ・パブリッシング・カンパニー、イーストン、PA)に開示されるような当分野 で知られる標準的調合法に従って調合される。調合品の性質は、投与経路および 必要とされる用量に依存するであろう。特定の適応のための用量の最適化は、ペ プチド薬剤のために一般的に実施されているような標準的最適化技術を用いて達 成することができる。 一般に、静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内のいずれかの注射による投与が好 ましい。注射のためには、ペプチドまたはフラグメントを、リンゲル溶液、ハン ク溶液、またはその他の型の生理食塩水のような液体媒質中に調合する。調合物 は、投与のために再構成することのできる凍結乾燥調製物をも包含する。対象に 本発明に係る活性化合物を提供する別の手段は、経粘膜および経皮投与を包含し 、この場合、調合物は、洗浄剤のような透過促進剤、およびさらなる賦形剤を含 む。適正に調合された経口投与もまた本発明の範囲内にある。 ペプチド化合物1、2および3を使用するスクリーニング検定。 さらに、該ペプチドおよびその生物活性フラグメントは、小分子またはその他 の候補薬物が、化合物1、2または3の、心または神経の一過性外向きK+チャ ンネルへの結合を阻害する能力を評価するためのスクリーニング検定において有 用である。本明細書中、以下に記載されるのは、本発明に係る化合物1、2また は3が有用である、競合的結合のための好適な検定である。この検定における使 用のためには、一般に、ポリペプチド化合物1、2または3(または活性フラグ メント)を放射標識された型で供給し、候補化合物が、放射標識された化合物1 、2または3と競合する能力を評価する。 以下の実施例は本発明の例示を意図するものであり、本発明を限定する意図で はない。 実施例1 ヘテロポーダ・ヴェナトリアの毒液画分。 粗製毒液の75−120μlアリコートをAにより1mlに希釈し、希釈され た画分を、20%Bで平衡化したヴィダックC18カラム(10x250mm) に適用することにより、ヘテロポーダ・ヴェナトリアの毒液およそ900μlを 分画した。(A=0.1%TFA(水性);B=CH3CN中0.1%TFA) 。3分後、勾配を1分間にわたり24%Bに変化させ、5分において44分間に わたる24%から35%Bに至る直線勾配を開始した。流速は3.5ml/分で あり、流出液を220nmで検出した(図1)。以下の画分が集められた:画分 1(5および16分の間に溶出するピーク)、画分2(16および19分の間に 溶出するピーク)、画分3(19および23.5分の間に溶出するピーク)、画 分4(23.5および26.5分の間に溶出するピーク)、画分5(26.5お よび29.5分の間に溶出するピーク)、画分6(29.5および33分の間に 溶出するピーク)、画分7(33および37分の間に溶出するピーク)、画分8 (37および39分の間に溶出するピーク)、および最終ピーク(39および4 6分の間に溶出するピーク)。毒液の構成成分の大部分が溶出し終わった後の3 9分において、カラムに50%Bを3分間にわたって入れた。もはやピークが溶 出しなくなってから(〜7分間)、カラムを4分間かけて20%Bに戻し、次の クロマトグラフィーのために平衡化した。8回のクロマトグラフィー実施から得 た同じ画分を合し凍結乾燥した。画分6および7の主要なピークが、下記実施例 2および4にそれぞれ記載の化合物1および2に相当する。 実施例2 ヘテロポーダペプチド化合物1。 粗製のヘテロポーダ・ヴェナトリア毒液(〜50μl)を逆相HPLCカラム (ヴィダック、C−18 300A、22x250nm)に適用し、220nm での検出および流速15ml/分による、80%Aおよび20%Bから65%A および35%Bに至る二相直線勾配プログラムを用いて60分間操作した(A= 0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、B=アセトニトリル)。所望の画分が4 3ないし44分から集められた。個々のクロマトグラフィー実施からプールされ た画分を凍結乾燥により濃縮した。 ペプチド化合物1の構造を以下の方法により決定し確認した。ウォーターズ・ ピコータグ・システムを使用して、PTCアミノ酸分析を1−10nmolで三 重に実施した。天然および還元された/ピリジルエチル化されたペプチドの両者 について、パルス−液体シークエネーター(ABI)によりN末端配列決定を実 施した。マススペクトル分析はSCI−EX API IIIイオンスプレー質 量分析機から得た。 N末端配列決定に好適な化合物1のピリジルエチル化誘導体は、クラフト等、 193 Anal.Biochem.、306(1991)の方法に従ってイン サイトゥで製造した。 データを総合すると、下に示されるペプチド化合物1の構造が支持される。 配列番号1: 30残基、6個のシステイン、3個のジスルフィド結合。 理論質量=3412.86(アミド)。 実測質量=3412.70(イオンスプレー質量分析)。 予測pl=3.76。 実施例3 ヘテロポーダペプチド化合物1。 やはりペプチド化合物1を、HEMA−IEC BIO SBカラム(10μ m、4.6x150cm;オールテク・アソシエイツ、ディアフィールド、IL 60015)上の陽イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製した。 逆相クロマトグラフィーからのペプチド化合物1を含有する凍結乾燥された物質 を50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)3mlに溶解し、三つに等しく分けて 以下のようにクロマトグラフィーに付した。50mM酢酸ナトリウム(pH4. 0)中で平衡化したHEMA−IEC BIO SBカラムに1mlをロードし た。5分後、50mM酢酸ナトリウム中0−0.32M NaClの直線勾配で このカラムを32分間、引続き50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中0.3 2−1M NaClの直線勾配で5分間展開した(図2a)。10分後にカラム を5分間で出発条件に戻し、次のクロマトグラフィーのために平衡化した。溶出 は1ml/分であり、溶出液は280nmで監視した。画分をクロマトグラムに 記載のように集めた。残り2mlの粗製化合物1を上記のようにクロマトグラフ ィーに付し、三つのクロマトグラフィーから得られる同じ画分を合した。 陽イオン交換カラムから26.5および29分の間に溶出した主要な吸収ピー クをヴィダックC−18逆相カラム(10x250mm、300オングストロー ム)上で脱塩した。プールされた画分(〜10ml)を、20%アセトニトリル /0.1%TFA中で平衡化した逆相カラムにロードした。10分後、カラムを 20−35%アセトニトリル/0.1%TFAの直線勾配で30分間3.5ml /分の流速で展開し、溶出液を220nmで監視した。35.5および38分の 間に溶出する画分を凍結乾燥すると、精製されたペプチド化合物1 641μg が得られた。このペプチドの測定された質量は3412.72であった(電気ス プレーイオン化)。 実施例4 ヘテロポーダペプチド化合物2。 粗製のヘテロポーダ・ヴェナトリア毒液(〜50μl)を逆相HPLCカラム (ヴィダック、C−18、300A、22x250mm)に適用し、220nm での検出および流速15ml/分による、80%Aおよび20%Bから65%A および35%Bに至る二相直線勾配プログラムを用いて60分間操作した(A= 0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、B=アセトニトリル)。所望の画分が4 6ないし48.5分から集められた。個々のクロマトグラフィー実施からプール された画分を凍結乾燥により濃縮した。 粗製の毒液50μlから誘導された上の分画からの物質を逆相HPLCカラム (ヴィダック、C−18、300A、22x250mm)に適用し、220nm での検出および3.5ml/分の流速による、75%Aおよび25%B+(A= 0.1%TFA、B=アセトニトリル)の無勾配プログラムを用いて操作した。 所望の画分は55ないし68分から集められた。個々のクロマトグラフィー実施 からプールした同じ画分を凍結乾燥により濃縮した。 ペプチド化合物2の構造を以下の方法により決定し確認した。ウォーターズ・ ピコ−タグ・システムを使用して、PTCアミノ酸分析を1−10nmolで三 重に実施した。天然および還元された/ピリジルエチル化されたペプチドの両者 について、パルス−液体シークエネーター(ABI)によりN末端配列決定を実 施した。マススペクトル分析はSCI−EX API IIIイオンスプレー質 量分析機から得た。 N末端配列決定に好適な化合物2のピリジルエチル化誘導体は、クラフト等、 193 Anal.Biochem.、306(1991)の方法に従ってイン サイトゥで製造した。 データを総合すると、下に示されるペプチド化合物2の構造が支持される。 配列番号2: 31残基、6個のシステイン、3個のジスルフィド結合。 理論質量=3599.05(アミド)。 実測質量=3599.38(イオンスプレー質量分析)。 予測pl=5.41。 実施例5 ヘテロポーダペプチド化合物2。 やはりペプチド化合物2を、HEMA−IEC BIO SBカラム(10μ m、4.6x150cm)上の陽イオン交換クロマトグラフィーによってさらに 精製した。最初の逆相クロマトグラフィーからのペプチド化合物2を含有する凍 結乾燥された物質を50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)3mlに溶解し、三 つに等しく分けて以下のようにクロマトグラフィーに付した。50mM酢酸ナト リウム(pH4.0)中で平衡化したHEMA−IEC BIO SBカラムに 1mlをロードした。5分後、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中0−0 .3M NaClの直線勾配でこのカラムを3分間、引続き50mM酢酸ナトリ ウム(pH4.0)中0.3−1M NaClの直線勾配で35分間展開した( 図2b)。5分後にカラムを10分間で出発条件に戻し、次のクロマトグラフィ ーのために平衡化した。溶出は1ml/分であり、溶出液は280nmで監視し た。画分をクロマトグラムに記載のように集めた。残り2mlの粗製化合物2を 上記のようにクロマトグラフィーに付し、三つのクロマトグラフィーから得られ る同じ画分を合した。 陽イオン交換カラムから30および34分の間に溶出した主要な吸収ピークを 2部に分けてヴィダックC−18逆相カラム(10x250mm、300オング ストローム)上で脱塩した。カラムを25%アセトニトリル/0.1%TFAで 平衡化し、出発溶媒で10分間、引続き25−35%アセトニトリル/0.1% TFAの直線勾配により20分間、流速3.5ml/分で溶離した。溶出液を2 20nmで監視し、ペブチド化合物2は26.5ないし29分から単一ピークと して溶出した。次に、陽イオン交換カラム由来の残りのプールを脱塩し、同じ画 分を合した。このプールを凍結乾燥して、1.88mgの精製されたペプチド化 合物2を得た。このペプチドの測定された質量は3599.52であった(電気 スプレーイオン化)。 実施例6 オリオス・ファシキュラトゥス毒液の分画。 全毒液を1.5mlの20%アセトニトリル/0.1%TFAで希釈し、この 試料を同じ緩衝液で平衡化したヴィダックC−18カラム(300オングストロ ーム、10x250mm)にロードすることによって、およそ108μlのオリ オス・ファシキュラトゥス毒液を分画した。試料注入の5分後に、カラムを20 −45%アセトニトリル/0.1%TFAの直線勾配で75分間展開した(図3 )。毒液の構成成分の大部分が溶出し終わった後の50分において、カラムに1 00%アセトニトリル/0.1%TFAを7分間にわたって入れた。流速は3. 0ml/分であり、溶出液を220nmで監視した。画分をクロマトグラムに記 載のように集めた。40および42分の間に溶出したペプチド化合物3を含有す る画分(#21)を凍結乾燥し、残留物を2mlの50mM酢酸ナトリウム、0 .25M NaCl(pH4.0)に溶解した。 実施例7 オリオス・ファシキュラトゥスの化合物3。 ペプチド化合物3をHEMA−IEC BIO SBカラム(10μm、4. 6x150cm、オールテク・アソシエイツ、ディアフィールド、IL 600 15)上の陽イオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製した。逆相クロマ トグラフィーからのペプチド化合物3を含有する溶液(1.5ml)を、同じ緩 衝液で平衡化したHEMA−IEC BIO SBカラムにロードした。5分後 、このカラムを50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)中0.25−1M NaClの直線勾配で75分間展開した(図4)。溶出は1ml/分であり、溶 出液を280nmで監視した。画分をクロマトグラムに記載のように集めた。 陽イオン交換カラムから27および32分の間に溶出した物質の主要なピーク (画分#4)をヴィダックC−18逆相カラム(10x250mm)300オン グストローム)上で脱塩した。この画分(〜4.5ml)を0.1%TFAで平 衡化した逆相カラムにロードした。3分後、このカラムを0−15%イソプロパ ノール/0.1%TFAの直線勾配で3分間、引き続き15−30%イソプロパ ノール/0.1%TFAの直線勾配で30分間、そして30−50%イソプロパ ノール/0.1%TFAの直線勾配で5分間展開した。溶出は1.0ml/分で あり、溶出液を220nmで監視した。43および45分の間に溶出した画分を 凍結乾燥すると70μgの精製されたペプチド化合物3が得られた。このペプチ ドの測定された質量は3786.64であった(電気スプレーイオン化)。 還元され誘導体化されたペプチド化合物3についてN末端配列分析を行なった 。配列は以下の通りである: 配列番号3: 34残基、6個のシステイン、3個のジスルフィド結合。 実測質量=3786.64(イオンスプレー質量分析)。 アミノ酸33および34の実体の信頼性は低い。 実施例8 ヘテロポーダ・ヴェナトリアおよびオリオス・ファシキュラトゥス ペプチド画分、ならびに化合物1、2および3のK+チャンネル遮断活性。 本発明に係るペプチド画分および化合物1、2および3が一過性外向きK+チ ャンネルを遮断する能力は以下の方法によって立証される。 ラット心室筋細胞を先に記載の方法に従って分離した(カンプ等、「ジヒドロ ピリジン(+)−202−791による心カルシウムチャンネルの電位および用 途依存性調節」、64 Circ.Res.、338、1989)。この方法は 、切り取ったラットの心臓を心臓全体を酵素的に消化するためのコラゲナーゼお よびプロテアーゼを含有する溶液で逆行潅流して、標準的電圧固定実験における 使用に好適な一つ一つの心筋細胞を分離することを含むものである。細胞全体の 電流は、他の文献に詳説される電圧固定法を用いて、分離された筋細胞から記録 する(ハミル等、「細胞および無細胞膜片からの高分解能電流記録のための改良 されたパッチクランプ技術」、391 Pflugers Arch.、85、 1981)。細胞を0.5mlの記録室に入れ、以下の組成を有する緩衝溶液に 浸 漬する:(単位mM)NaCl、132;MgCl2、1.2;CaCl2、1. 8;KCl、4;HEPES、10;グルコース、10;pH=7.4。K+流 が記録された殆どの実験において、Ca2+流はCaCl2の削除およびこの溶液 への1mM Co2+の添加によって遮断された。市販のパッチクランプ増幅器( アキソン・インストルメンツ・アキソパッチ 1D)を用いて筋細胞を電圧固定 し、データの獲得および分析をパーソナルコンピューターを用いて行なう。細胞 は−60mVの電位で固定した。試験電位(500ミリセカンドの持続)を−4 0ないし+30mVの範囲の電位まで適用した。これらの技術を用いて、内向き 整流K+流;迅速に活性化し不活性化しない遅延性整流K+流;および電圧依存一 過性外向きK+流(Ito)を包含する幾つかのK+流をこれらの細胞で記録するこ とができる。実施例1に記載されるように調製した毒液画分1−8および最終画 分の乾燥した画分残留物を各々水1mlに溶解した。次に各々10μlの試料を 緩衝溶液3mlで希釈して心臓のK+流に及ぼす影響を試験した。これらの条件 の下でペプチド画分2−9は電圧依存的にItoを遮断した。遮断は試験電位−1 0mVにおいて完成し、遮断は試験電位+30mVで対照値の30ないし70% に低下した。有力なペプチドである画分6(化合物1)および7(化合物2)を 、上記実施例3および5に記載のように単離精製した。化合物1は電圧依存的に Itoを遮断し、脱分極試験電位が低いほど大きな遮断が起こった。この事は、Ito を50%阻害するのに要する濃度(IC50)および三つの異なる試験電位にお けるこの電流の最大遮断を測定することにより定量された。試験電位−10mV 、+20mVおよび+50mVにおけるItoの最大遮断はそれぞれ100%、7 9%および69%であった。Itoの遮断についてのIC50は、−10mVで16 nM、+20mVで35nM、そして+50mVで138nMであった(n=4 −6)。Itoの遮断と合致して、化合物1(30nM)は90%再分極において 測定された分離されたラット心室筋細胞の活動電位の持続を34±5%延長した (n=5)。活動電位持続の選択的延長はクラスIII抗不整脈活性を示すもの である(ヴォーガン・ウィリアムズ、「抗不整脈の原理としての遅延性心室再分 極」、6 Eur.Heart J.145、1985)。他の心臓電流に及ぼ す化合物1ま たは2の効果を測定してそれらの特異性を評価した。0.2−1.0μMの濃度 において、化合物1または化合物2は、標準的全細胞電圧固定法を用いて測定さ れた以下の心臓電流に影響を及ぼさなかった: − ラット心室筋細胞における超迅速遅延性整流K+流(IKur)。 − モルモット心室筋細胞における緩徐遅延性整流K+流(IKs)。 − ラットおよびモルモットの心室筋細胞における内向き整流K+流(IKi) 。 − ラット心室筋細胞におけるナトリウム流(INa)。 − ラットおよびモルモットの心室筋細胞におけるL型Ca2+流(ICa-L)。 分離されたヒト心室筋細胞において、化合物1(0.2μM)は、ラット心室 筋細胞での所見と同様に、やはりItoを遮断したがIKurは遮断しなかった。 化合物3は類似の活性を有し、1μMでの試験電位<0mVでItoを完全に遮 断し、一方遅延性整流または内向き整流K+流には影響しなかった。化合物1お よび化合物2の効果はこの毒素を洗い流した場合には実質上覆された。 さらに化合物1または2を、分離された非心臓細胞から記録される他の幾つか のK+チャンネルに及ぼす作用について試験した。0.2−1.0μMにおいて 化合物1または2は、 − ラット神経細胞(プルキニエニューロン、小脳顆粒細胞、海馬錐体細胞、 交感神経節細胞)、GH3下垂体細胞、またはウサギ破骨細胞の迅速遅延性整流 K+流(IK)、 − ラット小脳顆粒細胞または交感神経節細胞の一過性外向き電流(IA)、 − ツメガエル卵母細胞において発現されたクローニングされたチャンネル( Kv1.4)、 への影響を及ぼさなかった。 このように、化合物1および2が心筋細胞の一つの型のチャンネル(電圧によ り活性化される一過性外向きK+流)についてかなり特異的であることが示され た。一過性外向きK+流(神経細胞において)の阻害が報告されているその他の 唯一の毒素はデンドロトキシンである(ハリウェル等、「デンドロトキシンの中 心的作用:海馬における一過性Kコンダクタンスの選択的縮小および局在化した アクセプターへの結合」、83 Proc.Natl.Acad.Sci.US A、493、1986)。しかしながら、本発明者等はデンドロトキシン(2μ M)がラット心臓のItoに影響を及ぼさない事を示した。故に、化合物1、2お よび3は、心臓のItoを特異的に遮断することが記載された最初の毒素である。 実施例9 化合物1および2の神経への効果。 神経活動に作用する本発明に係る化合物1および2の能力は、海馬切片に及ぼ すそれらの電気生理作用によって立証される。 雄性スプラーグ−ドーレイラット(100−200g)を断頭により殺した。 脳を頭蓋から摘出し、直ちに、冷却し(4−6℃)酸素を送り込んだ(95%O2 /5%CO2)NaCl、126;KCl、2.5;NaH2PO4、1.24; MgSO4、1.3;CaCl2、2.4;NaHCO3、26;グルコース、1 1(単位mM)から成る人工脳脊髄液(aCSF)中に入れ、先に記載のように (ミューラー等、「アリールアミン蜘蛛毒はラット海馬切片においてNMDAレ セプター仲介シナプス伝達に拮抗する」、9 シナプス、244、1991)海 馬の切片を作成した。切片は室温下に酸素を送り込んだ200mlのaCSFの 容器に維持した。1時間の回復時間の後、一枚の切片を小容量(〜300μl) の記録室に移した。記録の安定性を増すため小さな白金の重りを切片に乗せた。 この切片をaCSFで覆い、流下系により2ml/分の新鮮な酸素供給されたa CSFの流れを維持した。切片はaCSFの流れに浸漬するように保持して、切 片への薬物の接近による問題の可能性が最小となるようにした。記録室の温度は 細胞外の場の電位の記録については33℃に維持した。二極性同軸刺激電極を、 視覚的誘導の下にCA1−CA2の境界付近の放線状層に留置した。シナプスの 応答を喚起するため、3−50Vの単相50マイクロセカンドのパルスを30秒 毎に切片に送り、個々の記録部位から最大振幅の電位が得られるまで応答を調べ た。次に、半最大応答が惹起されるよう電圧を設定した。記録は、これもまた視 覚的誘導により留置した、0.9%NaClで満たした2−3MWガラス微小電 極で行なった。シナプスの応答は、CA1錐体細胞層(集団スパイク)から、ま たは放線状層(場の興奮性シナプス後電位(EPSP)および求心性斉射(AV ) )から記録し、デジタル化し、そしてIBM PCを基礎とするデータ獲得およ び保存システム中に入力した。毒素は燐酸緩衝化食塩水(PBS:NaCl、1 40mM;KCl、2.5mM;KH2PO4、1.5mM;Na2HP04、8. 1mM;pH7.4)で所望最終濃度の100−1000倍とし、次いで、注射 筒容器に移して希釈および混合により所望最終濃度を達成した。全ての薬物およ び毒素は流下により30分間適用し、この間に応答の大きさは一般にプラトーに 達した。全ての波形をデジタル化しディスクに保存した。細胞外記録された応答 の大きさを、薬物適用の直前の5分間(対照、薬物前)で、そして薬物適用後の 5分間(薬物後25−30分)で再び平均した。 化合物1は集団スパイクの大きさの持続的増大をもたらし、これは新鮮なaC SFで洗浄した間にも回復しなかった。500nMの化合物1に対する平均の応 答は35±9%増加(平均値士S.E.M.、n=5の切片)であった。これら 切片のうち2枚においては、同時に記録された場のEPSPは平均16%増大し たが、求心性斉射は変化しなかった。 精製された化合物2を用いて同様の結果が得られ、最終濃度1μMで適用する 時集団スパイクの大きさに25±7%(平均値±S.E.M.、n=9の切片) の増大をもたらした。これら切片のうち2枚においては、同時に記録された場の EPSPは平均12%増大したが、求心性斉射は変化しなかった。 総合すると、これらの結果は、化合物1および2が、シェーファー側枝−CA 1錐体細胞シナプスのシナプス伝達において長時間の増大をもたらすことを立証 する。これらのデータでは、作用部位をシナプス前およびシナプス後の間で識別 することはできず、作用機作を明確に指摘することもできない。このようなシナ プス伝達における増大は、電圧感受性のカリウムチャンネルの遮断に起因するも のであり得る。 多くのK+チャンネル遮断物質は、静脈内注射(i.v.)された場合、また は脳室内(i.c.v.)注射により投与された場合、卒中を引き起こし得る。 例えば、デンドロトキシンは約0.24μg/マウスに相当する0.008μg /gをi.c.v.注射した場合、マウスに痙攣および死を誘発する(H.シュ ヴァイツ等、「ブラックマンバ(デンドロアスピス・ポリレピス)毒液由来のペ プチド毒素の精製および薬理学的特性」、28 トキシコン、847、1990 )。これとは対照的に、化合物2は、1μg(n=3)または2μg(n=1) の化合物2がi.c.v.注射された聴原性発作傾向のマウスにおいて、痙攣ま たは発作を誘発しなかった。10、15または24μg(各用量でn=1)の用 量でi.v.注射した後、化合物2はマウスに一過性の運動失調を誘発したが、 痙攣は観察されなかった。 実施例10 その他のK+チャンネル遮断毒素。 化合物1、2および3は、特異的K+チャンネルを遮断する、蜘蛛毒から単離 された最初に報告された毒素の例である。ヘテロポーダ・ヴェナトリアおよびオ リオス・ファシキュラトゥス以外の種の蜘蛛由来の毒液が、哺乳動物細胞におい てItoまたは他の型のK+チャンネルを強力に遮断する、構造上関連しない毒素 (ペプチドおよび非ペプチド)を含むかも知れない。 無脊椎動物の毒液および脊椎動物毒液から単離される他の幾つかの毒素が詳し く特性決定されている。例えば、蜂アピス・メリフェラの毒液から、K+チャン ネルを遮断する2種類の毒素が単離された。アパミンは低コンダクタンスCa2+ により活性化されるK+チャンネルを遮断し、一方MCD(肥満細胞顆粒減少) ペプチドは、非不活性化遅延性整流K+チャンネルを遮断する(ストロング、「 カリウムチャンネル毒素」、46 Phrmac.Ther.、137、199 0)。その他のK+チャンネル特異的遮断毒素が、サソリおよび蛇により産生さ れる毒液から単離されている。例えば、サソリであるレイウルス・キンクエスト リアトゥス由来の毒液は少なくとも2種の毒素、カリブドトキシンおよびレイウ ロトキシンを含み、これらはそれぞれ高コンダクタンスおよび低コンダクタンス のCa2+により活性化されるK+チャンネルを遮断する(ストロング、「カリウ ムチャンネル毒素」、46 Phrmac.Ther.、137、1990)。 ニューロンの非不活性化遅延性整流K+チャンネルを遮断する毒素もまたマンバ 蛇の毒液から単離された(ハーヴェイおよびアンダーソン、「デンドロトキシン 類:カリウムチャンネルを遮断し神経伝達物質の放出を促進する蛇毒」、31、 Pha rmac.Ther.、33、1985)。グリーンマンバ蛇(デンドロアスピ ス・アングスティセプス)由来のデンドロトキシンおよびブラックマンバ(D. ポリレピス)由来のトキシン1は、共に、やはり同じ型のK+チャンネルを遮断 するブンガラス・マルティシンクトゥスの毒液から単離される阻害性シナプス前 神経毒であるβ−ブンガロトキシンと、かなりの配列相同性を共有する(モクジ ドロフスキー等、「カリウムチャンネルを標的とするペプチド毒素の新たな薬理 学」、105 J.Membrane Biol.、95、1988)。上に記 された毒素は、非不活性化遅延性整流K+チャンネルの遮断以外にも作用を有す ることが報告されている。例えば、β−ブンガロトキシンはホスホリパーゼA2 活性をも示し(モクジドロフスキー等)、デンドロトキシンは、海馬ニューロン においてナトリウム流および緩徐な不活性化を行なう一過性K+流をも遮断する (リーおよびマッカードル、「デンドロトキシンはマウス海馬ニューロンにおい てナトリウムおよび一過性カリウム流を阻害する」、64 Biophys.J .、A198、1993)。 上に記された毒素は、正常細胞および罹患組織の細胞の生理学において特異的 K+チャンネルの役割を決定する際に有用であった。しかしながら、高度に特異 的且つ強力な調節物質が発見されていない既知のK+チャンネルが幾つか存在す る。蜘蛛毒は、このような新規チャンネルリガンドの発見のための未開発の資源 である。 蜘蛛毒中のK+チャンネル特異的毒素の存在は、上記実施例8に記載のように 、分離された哺乳動物の心および神経細胞に標準的全細胞電圧固定記録法を使用 して測定されるK+流について、全毒液、標準HPLC法により分離された毒液 画分、および単離された毒素を試験することによって調査される。 実施例11 神経組織中の一過性外向きK+チャンネル上の化合物1/化合物 2/化合物3部位に結合する化合物のスクリーニング方法。 化合物1、2もしくは3または関連ペプチドを当分野において既知の方法(ラ クトペルオキシダーゼ、ボルトン−ハンター、クロラミンT等)により125Iで 標識する。化合物1/化合物2/化合物3結合部位に作用する候補化合物を、下 記の技術を用いて、[125I]化合物1、[125I]化合物2、もしくは[125I ]化合物3または125Iで標識された関連ペプチドの特異的結合を置換するそれ らの能力を測定することにより評価する。 生成物のライブラリー(例えば天然産物のライブラリーおよび主要製薬会社の 化合物ファイル)をスクリーニングするための高処理量検定として以下の検定を 利用し、Itoチャンネル上の化合物1/化合物2/化合物3結合部位における活 性を有する新たなクラスの化合物を同定することができる。次に、これら新たな クラスの化合物を、神経のItoチャンネル上の化合物1/化合物2/化合物3結 合部位を標的とする薬物開発プログラムのための化学的模範構造として利用する 。この検定により同定された化合物は、アルツハイマー病のような学習および記 憶の障害、ならびに上に列挙されたその他の疾病に対する新規な治療的アプロー チを提供するものである。ペプチドは、定量的結合検定に使用される場合、その 生物活性が保持されることを証明することが重要である。ヨウ素化された(127 I)化合物1、化合物2、および化合物3は、心臓のItoの遮断に関してそれら の正常な活性を保持する。例えば、127I−化合物1は、電圧依存的にラット心 室筋細胞のItoを遮断し、およそのIC50は−10mVで25nM、+20mV で70nM、そして+50mVで150nMであった。 ラット脳膜をウィリアムズ等の方法(「NMDAレセプターに対する[3H] MK−801の結合に及ぼすポリアミン類の効果:ポリアミン認識部位の存在に 対する薬理学的証拠」、36 Molec.Pharmacol.、575、1 989)に従って、以下のように調製する:体重100−200gの雄性スプラ ーグ−ドーレイラット(シモンセン・ラボラトリーズ)を断頭によって殺す。2 0匹のラットから得た脳(小脳および脳幹を除く)を、5mM K−EDTA( pH7.0)を含有する0.32Mシュクロース300ml中でガラス/テフロ ンホモジナイザーにより4℃でホモジナイズする。このホモジネートを1000 xgで10分間遠心し、上清を除去し30000xgで30分間遠心する。得ら れたペレットを5mM K−EDTA(pH7.0)250mlに再懸濁し氷上 で15分間撹拌し、次いで30000xgで30分間遠心する。ペレットを5m M K−EDTA(pH7.0)90mlに再懸濁し、15mlのアリコートを0 .9Mおよび1.2Mシュクロース(各10ml)の不連続シュクロース勾配上 に積層する。この勾配を95000xgで90分間遠心し、0.9M/1.2M シュクロース中間面のシナプス原形質膜(SPM)画分を集める。膜を5mM K−EDTA(pH7.0)500mlに再懸濁することにより洗浄し、32℃ で30分間インキュベートし、100000xgで30分間遠心する。30分間 のインキュベーションを含む洗浄工程を3回反復する。最終ペレットを5mM K−EDTA(pH7.0)60mlに再懸濁し、アリコートとして−80℃で 保存する。[125I]化合物1、2または3による結合検定を実施するため、シ ナプス原形質膜(SPM)のアリコートを融解させ、32℃で30分間インキュ ベートすることにより1回洗浄し、100000xgで30分間遠心する。SP Mを緩衝液A(20mM K−HEPES、1mM K−EDTA、pH7.0 )に再懸濁する。この反応混合物に[125I]化合物1、2または3を加える。 結合検定はポリプロピレン試験管中で実施する。最終的インキュベーション容量 は200μlである。非特異結合を100μMの非放射活性化合物1、2または 3の存在下で測定する。三重の試料を32℃で2時間インキュベートする。氷冷 緩衝液A10mlの添加により検定を停止し、引続きグラスファイバーフィルタ ー(シュライヒャー・アンド・シュエル、No.30)で濾過する。フィルター をさらに10mlの緩衝液Aで洗浄し、125Iについてガンマ計数することによ り放射性を測定する。 上の検定を確認するため、以下の実験をもまた実施する: (a)100nMの[125I]化合物1、2または3を含有する緩衝液A20 0μlをグラスファイバーフィルターを通過させることにより、このフィルター への[125I]化合物1、2または3の非特異結合の量を測定する。フィルター はさらに10mlの緩衝液Aで洗浄し、フィルターに結合した放射性をシンチレ ーションカウンターにより測定する。有意な量の[125I]化合物1、2または 3の非特異結合が存在する場合は、この結合を制限するため、フィルターを非標 識化合物1、2または3で前洗浄する。高い非特異結合が依然として問題とな るならば、検定を、濾過ではなく遠心で停止させ、ペレット中の放射性の量をシ ンチレーションカウンターにより測定することになるであろう。 (b)SPMを緩衝液Aに再懸濁することにより飽和曲線を作成する。検定緩 衝液(200μl)は75μgの蛋白を含有する。半対数単位で10nMないし 100μMの範囲の9種の濃度の[125I]化合物1、2または3を使用する。 データから飽和曲線を作成し、見かけのKD値及びBmax値をスキャッチャード分 析によって決定する(スキャッチャード、「小さな分子およびイオンに対する蛋 白の引力」、51 Ann.N.Y.Acad.Sci.、660、1949) 。[125I]化合物1、2または3の結合の協同性をヒルプロットの組み立てに より決定する(ヒル、「電流の作用の下での筋肉および神経におけるイオン濃度 の変化に対する、興奮様式の理論による新たな数学的処理」、40 J.Phy siol.、190、1910)。 (c)SPMを緩衝液Aに再懸濁することにより、蛋白(レセプター)濃度に 対する結合の依存を測定する。検定緩衝液(200μl)は、そのKD値に等し い濃度の[125I]化合物1、2または3、および漸増する濃度の蛋白を含有す る。[125I]化合物1、2または3の特異的結合は、存在する蛋白(レセプタ ー)の量と直線的に相関していなければならない。 (d)SPMを緩衝液Aに再懸濁することにより、リガンド−レセプター結合 の経時変化を測定する。検定緩衝液(300μl)は、そのKD値に等しい濃度 の[125I]化合物1、2または3、および100μgの蛋白を含有する。三重 の試料を異なる時間の長さだけ32℃でインキュベートする。平衡に達する時刻 を測定し、この時間をその後の全ての検定にきまって使用する。 (e)結合部位の薬理学を競合実験によって分析することができる。このよう な実験においては、[125I]化合物1、2または3の濃度および蛋白の量は一 定に保ち、被験(競合する)薬物の濃度を変化させる。この検定は、競合する薬 物のIC50および見かけのKDの決定を可能にする(チェングおよびプラソフ、 「阻害定数(Ki)と、酵素反応の50%阻害を引き起こすインヒビターの濃度 (IC50)との関係」、22 J.Biochem.Pharmacol.、3 099、1973)。競合する薬物の結合の協同性はヒルプロット分析により決 定する。 [125I]化合物1、2または3の特異的結合はItoチャンネル上の新規な部 位への結合を表わす。化合物1、2または3に関連するペプチドは、[125I] 化合物1、2または3の結合と競合的様式で競合しなければならず、この検定に おけるそれらの力価は、Ito遮断の機能検定におけるそれらの阻害力価(例えば 、分離された神経または心細胞におけるItoの阻害)と相関せねばならない。逆 に、Itoチャンネル上の他の部位での活性を有する化合物は、[125I]化合物 1、2または3結合と競合的に置換してはならない。むしろ、非競合的相互作用 を示唆する[125I]化合物1、2または3結合の複雑なアロステリック調節の 存在を予想することができる。 (f)[125I]化合物1、2または3を平衡に到達させた後(上記(d)を 参照されたい)その結合を測定することにより、解離速度の評価に対する研究を 行ない、反応混合物に大過剰の非放射性競合薬物を加える。次いで[125I]化 合物1、2または3の結合を様々な時間間隔で検定する。この検定により、[12 5 I]化合物1、2または3の結合の会合および解離速度が決定される(ティテ ラー、「複ドパミンレセプター:ドパミン薬理学におけるレセプター結合の研究 」、マーセル・デッカー、Inc.、ニューヨーク、1983)。さらなる実験 は、これらのパラメータの温度依存性を理解するために、反応温度を変化させる こと(20℃ないし37℃)を含む。 実施例12 心組織における一過性外向きK+チャンネル上の化合物1/化合 物2/化合物3部位に結合する化合物のスクリーニング方法。 化合物1、化合物2、化合物3および関連ペプチドを当分野において既知の方 法により125Iで標識する(ラクトペルオキシダーゼ、ボルトン−ハンター、ク ロラミンT等)。[125I]化合物1、[125I]化合物2、[125I]化合物3 または125Iで標識された関連ペプチドの特異的結合を置換する能力を下記の技 術を用いて測定することにより、化合物1/化合物2/化合物3結合部位におい て作用する候補化合物を評価する。 生成物のライブラリー(例えば天然産物のライブラリーおよび主要製薬会社の 化合物ファイル)をスクリーニングするための高処理量検定として以下の検定を 利用し、心臓のItoチャンネル上の化合物1/化合物2/化合物3結合部位にお ける活性を有する新たなクラスの化合物を同定することができる。次に、これら 新たなクラスの化合物を、心臓のItoチャンネル上の化合物1/化合物2結合/ 化合物3部位を標的とする薬物開発プログラムのための化学的模範構造として利 用する。この検定により同定された化合物は、回帰性の上室性および心室性心不 整脈の処置に対する新規な治療的アプローチを提供するものである。 心筋線維膜小胞を、カンプおよびミラー(「心筋線維膜小胞に対する電圧依存 性のニトレンジピンの結合」、32 Mol.Pharmacol.、278、 1987)により改良されたドイル等(「羊の心原形質膜におけるサクシトキシ ン結合および「急速な」ナトリウムチャンネル阻害」、249 Am.J.Ph ysiol.、H328、1985)ならびにジョーンズおよびベッシュ(「犬 の心筋線維膜小胞の分離」、5 メソッズ・イン・ファーマコロジー、1、19 84)の方法に従って調製する。心筋線維膜小胞を、新鮮な牛またはその他の適 当な哺乳動物の心組織から0−4℃で調製する。心臓を1cm3の小片に切り、 肉挽器でペーストに加工する。このペーストを、30mM N−2−ヒドロキシ エチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)−15mMトリ スを加えたpH7.4に緩衝化した4倍容量の0.75MコリンCl中でホモジ ナイズした。ホモジナイズは、テクマーT185シャフトを有する300mlポ リプロピレン遠心瓶中で30秒間2回行なった。このそして他の全ての緩衝液は プロテイナーゼインヒビター:0.2mMフェニルメチルスルホニルフルオリド 、1mM EGTA、および1mMジチオトレイトールを含有する。得られたホ モジネートをソーヴァル遠心機のGSAローター中27000xgで20分間遠 心する。上清を捨て、ペレットを10mM HEPES−5mMトリス(pH7 .4)に再懸濁し、前記のように再遠心する。この遠心から得られたペレットを 10mM HEPES−トリスに再懸濁し、テクマーのT185シャフトにより 設定5で30秒間ずつ3回ホモジナイズする。得られたホモジネートをGSAロ ー ター中14000xgで20分間遠心する。次に上清をGSAローター中275 00xgで70分間遠心する。 この予備遠心の後、膜を50%シュクロース、150mM KCl、100m MトリスCl、および5mMピロ燐酸Naに懸濁する。これらの小胞を、30% 、21.5%および9.5%シュクロースのさらなる段階を有する4段階不連続 勾配の底にロードする。この勾配をベックマン50.2Tiローター中1930 00xgで1.5時間遠心する。9.5%−21.5%シュクロース中間層の薄 膜は、表面筋線維膜に富む。この薄膜を集め、150mM KCl、0.8mM MgSO4および10mMトリスCl(pH7.4 @22℃)を含有する緩衝 液中に希釈し、次いで193000xgで35分間遠心する。得られたペレット をローディング緩衝液に再懸濁し、再度遠心する。最終ペレットをローディング 緩衝液に再懸濁して最終蛋白濃度2mg蛋白/mlとし、液体N2中で凍結し、 使用時まで−70℃で保存する。 膜小胞(20−40μg蛋白)に150mM KClを加え、150mM K Clを含有する結合緩衝液1ml中に50倍に希釈する。この小胞を37℃で5 分間プレインキュベートし、次に、異なる濃度の[125I]化合物1、2または 3(1nM−1μM)の存在下で平衡条件が達成されるのに要する時間(正確な 時間は予備実験により決定される)だけさらにインキュベートする。氷冷結合緩 衝液4mlを添加し、次いでファットマンGF/Cフィルター上で急速濾過し、 引続き氷冷結合緩衝液さらに4mlで3回洗浄することにより、結合反応を停止 させる。フィルターに付随する放射性を標準的ガンマ計数技術を用いて測定する 。特異的[125I]化合物1、2または3結合は、合計の結合から、1−10μ Mのコールド化合物1、2または3の存在下で測定された結合を差し引いたもの として定義される。 上の検定は、実施例8の(a)−(f)項に概説された方法を用いて確認され る。 実施例13 組み替えレセプター結合検定。 以下は、本発明に係る有用な化合物のための迅速なスクリーニング検定の一例 である。この検定においては、人間のような適当な生物由来のItoチャンネル結 合部位(レセプター)をコードしている遺伝子クローンまたはcDNAを標準的 手法を用いて取得する。このようなレセプターはクローニングされており、当分 野において知られている。このクローンの別々のフラグメントを適当な発現ベク ター中で発現させて、化合物1、2または3と結合する能力を保持するレセプタ ーから取得し得る最も小さなポリペプチドを生成させる。このようにして、これ らの化合物のための新規な化合物1/化合物2/化合物3レセプターを含むポリ ペプチドを同定することができる。係る実験は、Itoチャンネルを発現する安定 にトランスフェクトされる哺乳動物細胞セルライン(例えばHEK293細胞) を利用することにより容易にすることができる。 別法として、選択された化合物と接触する(または隣接する)化合物1/化合 物2/化合物3ペプチドレセプターのアミノ酸残基を修飾してそれにより同定可 能とするという方法により、化合物1/化合物2/化合物3レセプターを、化学 的に修飾された化合物1、2または3と化学反応させることもできる。次いで、 化合物1、2または3と相互作用すると判明し、且つ該分子との結合に充分であ るアミノ酸を含んでいる化合物1/化合物2/化合物3レセプターのフラグメン トを、標準的発現ベクターを用いて上記のように組み替えにより発現させること ができる。 所望の結合性質を有する組み替えポリペプチドを、標準的化学的手法を用いて 固相支持体に結合させることができる。次に、この固相、または親和マトリック スを、化合物1、2または3と接触させて、それらの化合物がカラムに結合でき ることを証明し、そして該化合物を固相から除去し得る条件を決定することがで きる。次に大量の化合物のライブラリーを用いてこの方法を反復し、親和マトリ ックスに結合でき、且つその後化合物1、2または3と同様の方法ではずすこと のできる化合物を決定することができる。しかしながら、化合物1/化合物2/ 化合物3ペプチド結合に使用される条件とは異なる条件の下で結合できる化合物 を取得するために、別の結合および解放条件を利用することもできる(例えば、 特に病的状態においてより良い擬生理的条件に遭遇する条件)。確かに結合する 化 合物を、液体媒質または抽出物中に存在する化合物の極めて膨大な収集から、こ うして選択することができる。 上記の化合物1/化合物2/化合物3結合ポリペプチドに結合することのでき る化合物がいったん同定されたならば、次いでそれらの化合物を上記の様々な検 定で容易に試験し、それらが、またはそれらの単純な誘導体が、上記の心臓およ び神経学的疾患の治療的処置のための有用な化合物であるか否かを決定すること ができる。 別法においては、天然化合物1、2または3レセプターをカラムまたはその他 の固相支持体に結合させることができる。次いで、レセプター上の他の部位に結 合する試薬による競合をしない化合物を同定することができる。このような化合 物はレセプター上の新規な結合部位を規定する。その他の既知の化合物により競 合する化合物は、したがって既知の部位に結合し、または既知の結合部位と部分 的に重複する新規な部位に結合する。とにかく、このような化合物は既知の化合 物とは構造的に別個であり、したがって治療薬として有用であるかも知れない新 規な化学的クラスのアゴニストまたはアンタゴニストを規定し得る。 調合物および投与。 本明細書において証明されるように、本発明に係る有用な化合物は神経学的疾 患または異常の処置に使用することができる。これらの化合物は典型的には人間 の患者の治療に使用されるが、これらは他の脊椎動物、例えば他の霊長類、農場 の動物、例えば豚、牛および家禽、および競技用動物および愛玩動物、例えば馬 、犬および猫における類似のまたは同一の疾病の処置に使用することができる。 治療的および/または診断的適用において、本発明に係る化合物は、全身的お よび局所的または限局的投与を包含する様々な投与様式のために調合することが できる。技術および調合物は一般に、レミントンズ・ファーマシューティカル・ サイエンシズ、マック・パブリッシング・Co.、イーストン、PAに見いだす ことができる。 全身的投与のためには経口投与が好ましい。別法として、注射、例えば筋肉内 、静脈内、腹腔内、および皮下注射を用いることもできる。注射のためには、本 発 明に係る化合物を液体溶液、好ましくはハンク溶液またはリンゲル溶液のような 生理学的に共存し得る緩衝液中に調合する。別法として、本発明に係る化合物は 、USP標準による規定と同等に安全であるとして一般に許容されている1また はそれ以上の賦形剤(例えばプロピレングリコール)中に調合される。加えて、 当該化合物は個体で調合され、使用直前に再溶解または懸濁することができる。 凍結乾燥型もまた包含される。 全身的投与は経粘膜または経皮的手段によってもよく、または該化合物を経口 投与することもできる。経粘膜または経皮投与のためには、浸透されるべき障壁 に対して適切な浸透剤を当該調合物に使用する。このような浸透剤は一般に当分 野において既知であり、例えば経粘膜投与のためには胆汁酸およびフシジン酸誘 導体を包含する。加えて、浸透を促進するために洗浄剤を使用することができる 。経粘膜投与は例えば鼻腔用スプレーを介してよく、または座剤を用いることが できる。経口投与のためには、当該化合物をカプセル剤、錠剤および強壮剤のよ うな常套的経口投与剤型に調合する。 局所投与のためには、本発明に係る化合物は当分野において一般に知られるよ うに、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに調合される。 投与されねばならない本発明に係る種々の化合物の量は標準的手法によって決 定することができる。一般にこれは約1および50mg/kg(処置される動物 )の間の量である。 その他の態様は以下の請求項の範囲内にある。 配列表 (1)一般的情報 (i)出願人:マイケル・シー・サングウィネッティ アラン・ミューラー (ii)発明の名称:カリウムチャンネル遮断化合物およびそれらの用途 (iii)配列の数:3 (iv)連絡先: (A)宛名:ライオン・アンド・ライオン (B)通り:ウェスト・シックスス・ストリート611番 (C)市:ロサンゼルス (D)州:カリフォルニア (E)国:アメリカ合衆国 (F)ZIP:90017 (v)コンピューター解読書式: (A)媒体型:3.5”ディスケット,記憶容量1.44Mb (B)コンピューター:IBM適合 (C)オペレーティング・システム:IBM MS-DOS(バージョン5.0) (D)ソフトウエア:ワードパーフェクト(バージョン5.1) (vi)本出願のデータ: (A)出願番号: (B)出願日: (C)分類: (vii)優先権主張出願のデータ: 下記に記載の出願を含めての優先権主張出願の総数:1 (A)出願番号:08/033,388 (B)出願日:1993年3月18日 (viii)弁理士/代理人情報 (A)氏名:ワーバーグ,リチャード・ジェイ (B)登録番号:32,327 (C)参照/整理番号:206/093 (ix)電話連絡先情報 (A)電話番号:(213)489−1600 (B)ファックス番号:(213)955−0440 (C)テレックス:67−3510 (2)配列番号1の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:30 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列:配列番号1: (2)配列番号2の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:31 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列:配列番号2: (3)配列番号3の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列:配列番号3:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 45/00 AED 7431−4C A61K 49/00 Z 49/00 8310−2J G01N 33/566 G01N 33/566 9455−4C A61K 37/02 ADS (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CN,CZ,FI,GE,HU,JP,KG ,KP,KR,KZ,LK,LV,MD,MG,MN, MW,NO,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,S K,TJ,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 ミューラー,アラン・エル アメリカ合衆国84105ユタ州、ソルト・レ イク・シティ、イースト・ソーントン・ア ベニュー1363番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.特異的な強力な一過性外向きカリウムチャンネルインヒビター。 2.一過性外向きカリウムチャンネル活性物質についてスクリーニングする方 法であって、 当該一過性外向きカリウムチャンネルを、既知の特異的一過性外向きカリウム チャンネルインヒビターおよび一過性外向きカリウムチャンネル活性である可能 性のある物質と接触させ、そして、 一過性外向きカリウムチャンネル活性である可能性のある物質による既知の特 異的一過性外向きカリウムチャンネルインヒビターの結合の阻害を検出する(こ こで、結合の阻害は、有用な一過性外向きカリウムチャンネル活性物質を示す) 、 工程からなる方法。 3.一過性外向きカリウムチャンネル活性の調節が治療上有用である疾病また は状態の処置方法であって、 治療上有効な特異的一過性外向きカリウムチャンネルインヒビターを投与する 、 工程からなる方法。 4.一過性外向きカリウムチャンネル活性の調節が治療上有用である疾病また は状態の処置方法であって、 蜘蛛の毒素中に存在するインヒビターに相当する治療上有効なカリウムチャン ネルインヒビターを投与する、 工程からなる方法。 5.該チャンネルが一過性外向きカリウムチャンネルである、請求項4に記載 の方法。 6.カリウムチャンネルの調節において活性な、蜘蛛毒から得られるインヒビ ターまたは当該ポリペプチドの特異なフラグメントもしくは類似体。 7.カリウムチャンネル活性物質についてスクリーニングする方法であって、 当該カリウムチャンネルを、蜘蛛毒から誘導される既知のカリウムチャンネル インヒビターおよびカリウムチャンネル活性である可能性のある物質と接触させ 、 そして、 当該可能性のある物質による既知のインヒビターの結合の阻害を検出する(こ こで、結合の阻害は、有用なカリウムチャンネル活性物質を示す)、 工程からなる方法。 8.該外向きカリウムチャンネルインヒビターが、化合物1、化合物2、およ び化合物3より成る群から選ばれる、請求項2に記載の方法。 9.該一過性外向きチャンネルインヒビターが、化合物1、化合物2、および 化合物3より成る群から選ばれる、請求項3に記載の方法。 10.該一過性外向きカリウムチャンネルが、心臓または神経組織由来である 、請求項2に記載の方法。 11.化合物3、またはその薬学上許容し得る塩より成る組成物。 12.化合物1、化合物2および化合物3より成る群から選ばれる化合物を含 む薬学上許容し得る組成物。 13.化合物1、化合物2および化合物3より成る群から選ばれる請求項1に 記載のインヒビター。 14.蜘蛛毒から単離されるカリウムチャンネルインヒビターの殺虫剤として の使用方法であって、 蜘蛛毒中に存在するインヒビターを昆虫またはその環境に適用する、 工程からなる方法。
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