JPH08507754A - Mhc−1拘束性抗原提示におけるatp−ユビキチン依存蛋白分解の役割およびそのインヒビター - Google Patents
Mhc−1拘束性抗原提示におけるatp−ユビキチン依存蛋白分解の役割およびそのインヒビターInfo
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Abstract
(57)【要約】
主要組織適合遺伝子複合体クラスI分子による提示のための抗原のプロセシングを阻害する方法および薬物が本明細書に記載される。詳細には、ATP−ユビキチン依存蛋白分解経路のインヒビターが記載され、これはMHC−I抗原提示を阻害することができる。これらの方法および薬物は、自己免疫疾患の処置に、そして移植された臓器および移植片の拒絶の低減に有用であり得る。
Description
【発明の詳細な説明】
MHC−1拘束性抗原提示におけるATP−ユビキチン依存
蛋白分解の役割およびそのインヒビター
説明
背景
免疫系が身体組織を攻撃し破壊することが原因となる疾患は数多くある。これ
らの状態は重篤な病態を引き起こし、多くの場合死に至り得る。これらの疾患の
うち幾つか、例えば全身性エリテマトーデスは、個体の免疫系が自身の細胞に対
してそれが外来性または病原性であるかのごとく働くことが原因である。これら
の疾患をまとめて自己免疫疾患と称する。別の疾患は、身体組織中に存在する分
子、例えば治療薬に対して免疫系が応答することが原因である。さらに別の疾患
は、移植された体内の外来性組織に免疫系が応答する時に起こる。外来組織に対
する免疫反応は、移植における移植された臓器または移植片の機能不全の主要な
原因であり、この方法に対する主たる障壁である。
これらの疾患において破壊的免疫反応を引き起こす細胞はリンパ球であり、大
多数の例ではTリンパ球がこれらの反応に絶対的役割を果たしている。免疫反応
は、Tリンパ球が、抗原提示細胞の表面の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
分子に結合した抗原のフラグメントを認識する時に開始する。MHC分子に結合
した抗原性ペプチドはT細胞を刺激し、抗原−MHC複合体を有する細胞に対し
て応答するようこれらに命令する。
幾つかの異なった種類のTリンパ球がある。或る種の細胞表面分子の発現によ
って区別される二つの主なTリンパ球サブセットは、それらの特異性および機能
を異にしている。CD4分子を発現するT細胞はMHCクラス11分子により提
示される抗原に特異的であって、通常、抗体または炎症反応を剌激する。CD8
分子を発現するT細胞は、MHCクラスI分子により提示される抗原に特異的で
あって、宿主細胞を殺すよう機能する。このCD8+T細胞は、上記の免疫仲介
疾患の幾つかにおいて組織の損壊を仲介する。
免疫仲介疾患の処置への治療的アプローチは、リンパ球の反応の遮断を目的と
している。抗リンパ球グロブリンのような或る治療法は、T細胞の排除をめざし
ている。シクロスポリンAおよびステロイドのような別の治療法は、リンパ球活
性化を阻害することによりリンパ球の反応を遮断することをめざしている。細胞
相互作用分子に対するモノクローナル抗体による処置のような、さらに別の治療
法は、他の細胞とリンパ球との相互作用の遮断をめざしている。これらの治療法
には全て、有意な望ましくない副作用がある。薬物の幾つかには、付随する毒性
がある。例えばシクロスポリンは腎毒性を伴っており、ステロイドはクッシング
病を惹起する。モノクローナル抗体は抗体に対する免疫反応を伴い、持続的治療
を無効とする。全ての場合において、免疫抑制は感染に対する感受性の増大を招
き、これは致死的となり得る。T細胞の反応の制御または変化へのより良いアプ
ローチは治療上極めて有益となるであろう。
発明の要約
様々な自己免疫疾患の処置および移植された臓器または移植片の拒絶の防止に
有用な、細胞溶解性免疫反応を遮断する薬物および方法が、本明細書に記載され
る。これらの方法および薬物は、MHC−クラスI分子上の細胞およびウイルス
抗原の、T細胞に対する初期の提示を防止することによって、細胞性免疫の成立
を遮断する。この方法は、細胞内蛋白がプロセシングされてMHC−1分子に結
合する抗原性ペプチドになることを防止または減少させるための、ATP−ユビ
キチン依存蛋白分解経路のインヒビターを使用することからなる。
本発明は、ATP−ユビキチン依存蛋白分解経路の初期段階(ユビキチンの活
性化)および後期段階(細胞内蛋白の、ペプチドへの開裂)の阻害が、MHC−
1分子へのペプチドの結合の成立を遮断することにより、MHC1−抗原提示を
阻害し得るということを示す、出願人等の業績に由来する。この仕事は、MHC
−1提示のためのMHC−1で提示される抗原のプロセシングにおけるこのサイ
トゾル蛋白減成系の役割に対する強力な証拠を提供するものである。さらに、出
願人等は、ATP−ユビキチン経路の必須成分である、プロテオソーム(多触媒
プロテアーゼ複合体)の機能の新たな特徴を発見した。本出願人等の仕事の結果
、
抗体仲介性または炎症性反応に影響することなく細胞溶解性免疫反応を低下させ
るための方法および薬物が提供される。したがって本発明は、全身性免疫抑制と
いう付随する欠点を伴わない自己免疫疾患および移植体拒絶の防止に有用な治療
薬を提供するに相違ない。
詳細には、本出願人等は、抗原提示を剌激するとして古くから知られてきたガ
ンマインターフェロン(γ−IFN)が、プロテアソームの複数のペプチダーゼ
の相対活性を変え、その結果、MHC−1結合ペプチド上に見いだされる特徴的
カルボキシ末端残基を有するペプチドの生成を促進することを発見した。塩基性
残基のカルボキシ側で開裂させるトリプシン様ペプチダーゼ、および疎水性残基
の後ろで開裂させるキモトリプシン様ペプチダーゼは高い活性を有することが判
明し、一方、酸性残基の後ろで開裂させるペプチジルグルタミルペプチダーゼは
活性が低かった。さらに、プロテアソームに対するγ−IFNのこの効果は、M
HC遺伝子座の二つの遺伝子、LMP2およびLMP7の発現に依存する。
第二に、本出願人等は、MHC−I抗原提示は、ATP−ユビキチン依存蛋白
分解経路の初期段階であるユビキチン複合体形成の不活性化によって遮断され得
ることを立証した。非許容温度において、クラスI拘束性抗原提示は、熱不安定
性ユビキチン活性化酵素(E1)を発現する突然変異体セルライン中で阻害され
ることが判明した。
本出願人等はさらに、キモトリプシン様プロテアーゼのインヒビターであるキ
モスタチンが、抗原提示細胞によるMHC−I提示を阻害することを立証した。
その他のインヒビター、とりわけプロテアソームのキモトリプシン様およびトリ
プシン様活性のインヒビターが、さらに本明細書中に記載される。
図面の簡単な説明
図1は、U937細胞由来のプロテアソームのペプチダーゼ活性に及ぼすガン
マインターフェロン(γ−IFN)の効果を示す図である。上側の図は、対照細
胞およびγ−IFNで処置された細胞由来のプロテアソーム画分による、示され
た基質の加水分解を示している。下側の図は、同じプロテアソーム画分による基
質の開裂速度の動力学的分析を示している。
図2は、精製された20Sおよび26Sプロテアソームのペプチダーゼ活性に
及ぼすγ−IFNの効果を示す図である。
図3は、野生型およびMHC欠失リンパ芽球様細胞由来のプロテアソームのペ
プチダーゼの活性の相違を示す図である。上側の図はペプチダーゼ活性を示して
いる。下側の図は動力学的分析を示している。
図4は、開裂してMHC−I分子上に提示されるペプチドを生成する結合の前
にあるアミノ酸残基の頻度を示す図である。左側の図はカルボキシ末端のアミノ
酸の頻度を示している。右側の図はアミノ末端残基に先行するアミノ酸の頻度を
示している。
図5(A−D)は、突然変異体(ts20.10.2)および野生型(E36
.12.4)細胞による卵アルブミン(OVA)のMHCクラスI拘束性提示を
示す図である。
図6(A−B)は、H−2KbMHC重鎖の合成および成熟に及ぼす温度の効
果を示す図である。
図7(A−B)は、内因性合成されたOVA257-264ペプチドのMHCクラス
I拘束性提示を示す図である。
図8は、キモスタチンによる、卵アルブミン(左)および卵アルブミンペプチ
ド(右)のMHCクラスI拘束性提示の阻害を示す図である。
詳細な説明
本発明は、付随する感染の危険性を伴うTリンパ球機能の全身的抑制を回避す
る、細胞溶解性免疫反応の阻害のためのアプローチに関するものである。このア
プローチに係る方法および薬物は、自己免疫疾患の処置のために、そして移植さ
れた臓器または移植片のような外来組織の拒絶防止のために有用である。この戦
略は、T細胞活性を抑制するのではなく、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
I分子による抗原提示を阻害することである。この試みは、クラスI MHC拘
束性免疫反応にのみ選択的に作用し、抗体または他のCD4+T細胞仲介反応に
は作用しないという利点がある。その結果、患者の全身的免疫抑制および感染に
対する感受性が低くなるに相違ない。クラスI抗原提示に干渉する薬物は、他の
、
現存する治療法と組み合わせても有用であるに違いなく、これらの治療法におい
て用いられる用量を少なくすることができ、それは毒性を低下させるであろう。
詳細には、取り込まれた細胞またはウイルス抗原が、MHC−I分子に結合す
る、抗原性ペプチドと呼ばれる種類のペプチドへとプロセシングをされることを
阻害する方法および薬物が記載される。MHC−I結合ペプチドは、厳密な配列
およびサイズ要件を有する。抗原性ペプチドの不在下では、抗原は細胞表面に提
示されず、CD8+T細胞は刺激されない。この方法は、免疫反応の開始の遮断
および進行している免疫反応の停止の両方を行なわねばならない。
本発明は、MHC−Iに結合した抗原性ペプチドの生成の際の、ATP−ユビ
キチン依存蛋白分解経路の役割、とりわけプロテアソーム(多触媒プロテイナー
ゼ複合体)の役割を支持する、本出願人等の仕事(下記の実施例を参照されたい
)に基づくものである。免疫系に対する、細胞内およびウイルス蛋白の提示の最
初の段階は、それらがサイトゾル内で小さなペプチドに蛋白分解的に減成される
ことである(タウンゼントおよびボドマー、1989)。次いでこの抗原性フラ
グメントは特異的膜輸送体を介して小胞体の中に取り込まれ(モナコ、1992
;ポウィス等、1991;スピースおよびデマース、1991、ここでMHC−
I分子と結合する。次にこれらのペプチド−蛋白複合体は、細胞毒性T細胞への
提示のために細胞表面に輸送される。MHCクラスI分子に結合できるペプチド
には厳密なサイズおよび配列の制約があることから、抗原性ペプチドへの蛋白の
開裂は制御されている過程であると思われる。蛋白分解がリソソームまたはエン
ドソーム分画に存在しないことは明白である(モリソン等、1986)が、開裂
酵素の同定ならびにMHCクラスI分子上に提示される8−9残基のペプチドを
生成する蛋白分解工程の性格および正確な位置は明確に確立されていない。
最近の研究には、抗原性ペプチドの生成における、ATP−ユビキチン依存蛋
白分解経路の必須構成成分であるプロテアソームが関わっている。真核生物細胞
には幾つかの蛋白分解系が存在し、ATP−ユビキチン経路が蛋白減成の主要な
サイトゾル経路である(フィンレイおよびチャウ、1991;ハーシュコおよび
シーチャノーヴァー、1982;レクシュタイナー、1987)。この多段階過
程においては、蛋白基質がまず複数のユビキチン部分と共有結合的に複合体形成
することにより修飾され、それによりこれらは、26SプロテオソームまたはU
CDENと呼ばれる26S(1500kD)ATP依存蛋白分解複合体による迅
速な減成のための識別がなされる(ゴールドバーグおよびロック、1992;ゴ
ールドバーグ、1992;タナカ等、1992;ワクスマン等、1987;ハウ
等、1987)。この大きな構造は、その蛋白分解の核としての20S(約70
0kD)プロテアソームならびに多くのさらなる調節および触媒成分を含んでい
る(ゴールドバーグおよびロック、1992;オーロフスキー、1990;リヴ
ェット、1989;ワクスマン等、1987;ハウ等、1987;アーモン等、
1990;ドリスコルおよびゴールドバーグ、1990;イータン等、1989
)。20Sプロテオソームの正確な細胞内機能は明らかでない。単離された場合
、この粒子は蛋白およびオリゴペプチドを減成することができるが、ユビキチン
と複合体形成した蛋白を減成することはできない(ゴールドバーグ、1992;
タナカ等、1992;アーモン、1990;ドリスコルおよびゴールドバーグ、
1990a;イータン等、1989;ドリスコルおよびゴールドバーグ、198
9)。
20Sプロテアソームは20−30kDの別個のサブユニット約15から成っ
ている。これは、疎水性、塩基性および酸性アミノ酸のカルボキシ側で特異的に
開裂させる3または4種の異なった中性ペプチダーゼを含んでいる(ゴールドバ
ーグおよびロック、1992;ゴールドバーグ、1992;タナカ等、1992
;オーロフスキー、1990;リヴェット、1989)。これらのペプチダーゼ
はそれぞれキモトリプシン様ペプチダーゼ、トリプシン様ペプチダーゼ、および
ペプチジルグルタミルペプチダーゼと呼称される。幾つかのサブユニットをコー
ドしているcDNAがクローニングされている(タナカ等、1992)が、どの
サブユニットがこれらの活性の原因であるかはわかっていない。
最近の研究は、20Sプロテアソームが、大きさおよびサブユニット構成の点
でMHCに連結した低分子量蛋白(LMP)粒子に似ていることを見いだした(
ドリスコルおよびフィンレイ、1992;ゴールドバーグおよびロック、199
2;モナコおよびマクデヴィット、1986;パーハム、1990;マルティネ
ス
およびモナコ、1991;オリッツ−ナヴァレッテ等、1991;グリン等、1
991;ケリー等、1991;モナコおよびマクデヴィット、1982;ブラウ
ン等、1991;ゴールドバーグ、1992;タナカ等、1992)。LMP粒
子は、MHC染色体領域にコードされている二つのポリペプチドLMP2および
LMP7を含んでいる。ガンマインターフェロン(γ−IFN)による細胞の処
理は抗原提示を剌激し(タウンゼントおよびボドマー、1989;ユーデルおよ
びベニンク、1992)、LMP2およびLMP7および他のMHC遺伝子の誘
導を惹起する(グリン等、1991;ケリー等、1991;モナコおよびマクデ
ヴィット、1982;ヤング等、1992)。免疫化学的研究は、LMP2およ
びLMP7が20Sプロテオソーム集団の小画分を表わす粒子の二つのサブユニ
ットであることを強く示唆する。しかしながら、これらの遺伝子の除去は、他の
MHC−遺伝子の除去とは対照的に、抗原提示を妨げないということから、免疫
反応におけるこれらのサブユニットの重要性は不確実である(アーノルド等、1
992;マンブルグ等、1992)。さらに、γ−IFNは、LMP2および7
を欠く突然変異体において、20Sおよび26Sプロテアソームのポリペプチド
構成を変えることができる(ヤング等、1992)。このように、プロテアソー
ムが抗原提示で役割を果たしているかどうかは不明確である(ゴールドバーグお
よびロック、1992;ドリスコルおよびフィンレイ、1992;ユーデルおよ
びベニンク、1992、26−28の考察を参照されたい)。
本明細書に記載される本出願人等の仕事は、20Sおよび26Sプロテアソー
ムならびにATP−ユビキチン蛋白分解経路の、MHC−1抗原提示のための抗
原性ペプチドの生成における役割に対する確固たる証拠を提供する。さらに、こ
の仕事は、抗原の蛋白分解経路およびプロテアソーム機能の新たな特徴を明らか
にし、これが本発明につながった。第一に、彼等は、抗原提示を剌激することが
知られているガンマインターフェロンが、MHC−1分子に結合できるペプチド
、即ち塩基性および疎水性カルボキシ末端残基を有するペプチドを生成させるプ
ロテアソームのペプチダーゼ活性、即ちトリプシン様およびキモトリプシン様活
性を選択的に増進することを示した(実施例1)。ガンマインターフェロンは、
精
製された20Sおよび26Sプロテアソームがペプチドを疎水性および塩基性残
基の後ろで開裂させる能力を2ないし6倍に増大させ、一方酸性残基の後ろでの
開裂を低下させた。彼等はさらに、ガンマインターフェロンによるこの増強がM
HC遺伝子産物、LMP2およびLMP7の発現に依存することを示した。した
がって、彼等の発見は、抗原提示におけるプロテアソームの役割を支持する証拠
を提供する。さらに彼等は、プロテアソームの3種のペプチダーゼは別々に調節
されている事、該ペプチダーゼの相対活性の変化はプロテアソームにより生成さ
れるペプチドの性質を変えることができ、この事がMHC−1抗原提示に利用さ
れ得る事、そして、MHC領域にコードされているサブュニットはペプチダーゼ
活性の調節に関与している事を示した。
第二に、本出願人等は、ATP−ユビキチン依存蛋白分解経路の初期段階であ
るユビキチンの複合体形成における欠陥は、MHC−I拘束性抗原提示の低下に
つながることを示した(実施例2)。ユビキチン活性化酵素E1における温度感
受性欠陥を示す細胞を使用して、彼等は、非許容温度は、サイトゾル中に導入さ
れた卵アルブミン(OVA)のクラスI拘束性提示を阻害するが、ミニ遺伝子か
ら合成されたOVAペプチドの提示には影響を及ぼさないことを見いだした。
これらの発見は、MHC−I抗原提示におけるATP−ユビキチン蛋白分解系
の役割の証拠を提供するものである。これらは、細胞内蛋白の蛋白分解の初期段
階(ユビキチンの複合体形成)または後期段階(ペプチドのカルボキシ末端のプ
ロセシング)におけるATP−ユビキチン系による遮断が、クラスI拘束性提示
を阻害し得ることを立証する。この蛋白分解経路中の他の段階の阻害もまた同様
の効果を産むと予想することは理にかなっている。
本出願人等によるプロテオソーム機能のこれらの特徴の発見、およびATP−
ユビキチン経路中の一つの段階での阻害が抗原提示を阻害し得るという彼等の証
明が、本発明につながった。この蛋白分解経路の一つまたは複数の段階を遮断す
るインヒビターはMHC−I拘束性抗原提示を阻害するであろうという事、そし
てこのようなインヒビターはCD8+の仲介する細胞溶解性免疫反応の低減に有
用であろうという事を予想するのは理にかなっている。このようなインヒビター
は、自己免疫疾患の治療または防止に、そして移植されたおよびその他の外来組
織の拒絶の低減に有用であるに違いない。プロテアソームのトリプシン様および
キモトリプシン様ペプチダーゼのいずれかまたは両者のインヒビター、ならびに
ユビキチン複合体形成のインヒビターは、これらの目的にとって特に有用である
と予想される。
本明細書に記載されるように、本出願人等は、疎水性残基の後ろでの開裂を選
択的に阻害するキモスタチンが、卵アルブミンのMHC−I提示を阻害すること
を示すことにより、本発明の実施可能性を立証した(実施例3)。サイトゾル中
に導入されたOVAペプチドの抗原提示は阻害されず、これは、キモスタチンが
OVA蛋白からペプチドへのプロセシングに影響を及ぼしていることを示してい
る。このおよび他のインヒビターを、以下の項においてさらに記載する。
ATP−ユビキチン依存蛋白分解経路のインヒビター
プロテアソームのペプチダーゼの様々なインヒビターが報告されている(例え
ば、タナカ等、1992;オーロフスキー、1990;ゴールドバーグ、199
2;リヴェット等、1989a[Arch.Biochem.Biophys.268巻:1−8頁
]および1989b[J.Biol.Chem.264巻:12215−12219頁]
;ディック等、1991)。これらには、キモトリプシン様およびトリプシン様
プロテアーゼの既知のインヒビター、ならびにチオール(またはシステイン)お
よびセリンプロテアーゼのインヒビターが包含される。加えて、プロテアソーム
活性の内因性インヒビターの幾つかが単離されている。これらには、ヒト赤血球
から単離された240kDおよび200kDインヒビターが包含される(ムラカ
ミおよびエトリンガー、1986;リー等、1991および精製されたCF−2
(実施例4に記載;ゴールドバーグ、1992)。これら既知のプロテアソーム
インヒビターに例示されるように、キモトリプシン様、トリプシン様、チオール
、およびセリンプロテアーゼの既知のインヒビターを包含するその他の分子は、
プロテオソームペプチダーゼのための検定を用いて試験することができる(実施
例を参照されたい)。
インヒビターは、天然から単離された、または合成の、ペプチドまたは非ペプ
チド分子であってよい。好ましくは、このインヒビターは、キモトリプシン様お
よびトリプシン様ペプチダーゼを選択的に阻害し、一方ペプチジルグルタミルペ
プチダーゼは相対的に影響されないままである。典型的なインヒビターは、主に
塩基性残基の後ろでの開裂を阻害する、ロイペプチンのようなペプチドアルデヒ
ド、または主に疎水性残基の後ろを阻害するキモスタチンである。アクチノマイ
セテスから最初に単離された(アオヤギおよびウメザワ、1975)これらの抗
生物質性インヒビターに加えて、サイマン等(WO91/13904)により記
載されるキモトリプシン様プロテアーゼのインヒビターのような、様々なペプチ
ドアルデヒドが合成されている。
新規な分子もまた取得して阻害活性について試験することができる。上記引用
文献に例示されるように、所定のプロテアーゼに対するインヒビターを得るため
の様々な戦略が当分野において知られている。化合物または抽出物ライブラリー
を、ペプチダーゼ検定を用いてインヒビターについてスクリーニングすることが
できる。別法として、プロテアーゼの基質についての知識に基づき、ペプチドお
よびペプチド様分子を設計することもできる。例えば、プロテアーゼの触媒部位
と相互作用すると思われる反応性基を有する基質類似体を合成することができる
(例えば、サイマン等、WO91/13904;パワーズ等、1986を参照さ
れたい)。インヒビターは、プロテオソームのキモトリプシン様活性を阻害する
Cbz−Gly−Gly−ロイシナルのような遷移中間体の安定な類似体(遷移
状態類似体)であってよい(オーロフスキー、1990;ケネディおよびシュル
ツ、1979もまた参照されたい)。キモスタチンのような既知のインヒビター
の変異体または類似体もまた合成することができる。
文献に報告されている様々な天然および化学的プロテアーゼインヒビター、ま
たはそれらに類似する分子が、二つのプロテアソームペプチダーゼの活性を阻害
すると思われる。これらには、α−ジカルボニル単位を含むペプチド、例えばα
−ジケトンまたはα−ケトエステル、ペプチドクロロメチルケトン、イソクマリ
ン、ペプチドスルホニルフルオリド、ペプチジルボロナート、ペプチドエポキシ
ドおよびペプチジルジアゾメタンが包含される(アンジェラストロ等、1990
;ベイ等、EPO363284;ベイ等、EPO364344;グラブ等、WO
88/10266;ヒグチ等、EPO393457;エウォルド等、1992;
ヘルナンデス等、1992;ヴラサク等、1989;ヒューディッヒ等、199
1;オダック等、1881;ヴィジャヤラクシュミ等、1991;カム等、19
90;パワーズ等、1989;オウェイダ等、1990;パワーズ等、1990
;ヒューディッヒ等、1989;オーロフスキー等、1989;ズニーノ等、1
988;カム等、1988;パークス等、1985;グリーンおよびシャウ、1
981;アングリカー等、1987;ピューリ等、1989;ハナダ等、198
3;カジワラ等、1987;ラオ等、1987;ツジナカ等、1988)。
ユビキチンの蛋白に対する複合体形成の様々なインヒビターもまた知られてい
る(ウィルキンソン等、1990を参照されたい)。ユビキチン複合体形成自体
は、ユビキチン活性化酵素(E1)、標的蛋白へのユビキチンの輸送を触媒する
ユビキチン−担体蛋白の群(E2)、およびユビキチン−蛋白リガーゼE3の活
動を含む、多段階過程である。これらの段階のうち任意の段階でユビキチン複合
体形成を遮断する分子もまた抗原提示のインヒビターであると予想される。好ま
しくは、これらの酵素の特異的インヒビター、例えば基質および遷移状態類似体
が使用される。例えば、基質アデニル酸ユビキチンの類似体であるアデノシル−
ホスホ−ユビキチノールは、E1の特異的且つ有効なインヒビターであることが
判明している(ウィルキンソン等、1990)。
インヒビターはインビトロまたはインビボで使用してMHC−I抗原提示を遮
断することができる。これらは、経口、静脈内、筋肉内、局所、および注入を包
含する任意の幾つかの既知の経路によって投与することができる(例えば、プラ
ットおよびストラッチャー、米国特許4510130号;バダラメンテ等、19
89;スタウブリ等、1988を参照されたい)。好ましくは、このインヒビタ
ーは低分子量の分子である。蛋白薬物のデリバリーに好適な媒質、例えばリポソ
ームもまた使用できる。当該薬物を、特異的組織を標的とさせるような媒質もま
た使用することができる。
実施例
以下の実施例は、本出願人等の仕事をより詳細に説明し、且つより個別的に本
発明を描写するものである。表は各実施例の末尾に掲げる。
実施例1 γ−IFNおよびMHC遺伝子による、プロテアソームのペプチダ
ーゼ活性の調節。
この研究は、細胞の抗原のプロセシングにおける、γ−IFN、プロテアソー
ム、およびMHCコード化蛋白の役割を解明するために着手された。下に記載さ
れる仕事は、20Sおよび26Sプロテアソーム複合体のペプチダーゼ活性のパ
ターンが、γ−IFNにより細胞を処置した後に、そしてLMP2および7遺伝
子を含むMHC領域の発現時に、変わることを証明している。このような触媒活
性の変化は、MHCクラスI蛋白と特異的に結合する型のペプチド配列の生成に
好都合であるに違いない(フォーク等、1991)。
γ−インターフェロンはプロテオソーム活性を変化させる。
γ−IFNがプロテアソームの機能を調節しているか否かを知るために、γ−
IFNで処理されたU937細胞および対照U937細胞(ヒト単球ライン)由
来の可溶性抽出物のおよびプロテアソームの幾つかの加水分解活性を調べた。こ
の処理は、MHCクラスI遺伝子およびMHC領域にコードされている蛋白(即
ちLMP2またはTAPI)の著しい誘導を惹起したが、単離されたプロテアソ
ームまたは細胞抽出物の、125I−ラクトアルブミンまたはユビキチン化125I−
ラクトアルブミンを酸可溶性フラグメントに減成する能力には、有意な相違は見
いだされなかった。しかしながら、異なるペプチド基質を加水分解するプロテア
ソームの能力には、γ−IFN処置後に明らかな変化が見いだされた。蛍光生成
ペプチド基質:「キモトリプシン様」ペプチダーゼに対してはSuc−LLVY
−MCA[配列番号3](疎水性)、「トリプシン様」ペプチダーゼに対しては
Boc−LRR−MCA(塩基性)、そしてペプチジルグルタミルペプチダーゼ
に対してはCbz−LLE−MNA(酸性)を用いてプロテアソームの加水分解
活性を測定した。
γ−IFN処理されたU937細胞由来のプロテアソームに富む画分、ならび
に粗製抽出物は、対照細胞由来の類似の調製物よりも、疎水性ペプチドSuc−
LLVY−MCAを2ないし3倍速く、そして塩基性ペプチドBoc−LRR−
MCAを3ないし4倍速く加水分解した(図1)。γ−IFN処置のこれらの効
果は、ATPの不在下で観察された。動力学的分析は、γ−IFNが、疎水性基
質を加水分解するプロテアソームの最大能力(Vmax)において2倍の増大を、
そして塩基性基質に関するVmaxにおいては6倍の増大を惹起することを示した
(図1)。さらに、これらの基質に対するKmに些少の増大(平均50%)が常
に見られたが、これらの効果はペプチド加水分解の加速の説明とはなり得ない(
図1)。精製された20Sプロテアソームを用いた類似の研究において、極めて
似通ったVmaxの変化が観察された(下記参照)。Suc−LLVY−MCAま
たはBoc−LRR−MCA(各々)よりもゆっくりと減成される様々な他の疎
水性および塩基性ペプチドの開裂は、これら標準基質の加水分解と同様の様式で
、γ−IFN処置後に増大した(第1表)。このように、これらの活性部位の特
異性は変化しないように見えるものの、γ−IFN処置された細胞由来のプロテ
アソームは一般に、疎水性および塩基性残基の後ろでの開裂に、より有効である
。
これらの条件の下で、これらの塩基性および疎水性ペプチドを加水分解する細
胞の総合的能力は増大する。しかしながら、プロテアソームの合計含有量に変化
は見られなかった。粗製抽出物がこれらのペプチドを加水分解する能力は、これ
らの基質に対する活性の約80%が核を遠沈させた後の細胞抽出物に含まれる、
プロテアソーム画分と類似の様式で変化した。残りのペプチダーゼ活性の殆ど(
計15%)は、ミクロソームの膜と強固に結び付いたプロテアソームに帰するも
のであり、γ−IFN処置はさらに、ミクロソームおよび核画分中のプロテアソ
ームによるSuc−LLVY−MCAおよびBoc−LRR−MCAの開裂を増
強した。
γ−IFN処置後にプロテアソームのペプチダーゼ活性の全てが増大する訳で
ないことは注目に値する。γ−IFN処置されたU937細胞由来の粗製抽出物
およびプロテアソーム画分は、対照とほぼ同様の速度で酸性基質Cbz−LLE
−MNA(100mM)を開裂した。しかしながら、さらなる動力学的分析は、
この基質に対するVmax値にほぼ30%の再現性ある低下があることを示した(
図
1)(Kmの低下と同様に)。このように、プロテアソームの幾つかの触媒部位
が、γ−IFNによって別個の様式で調節されている。
20Sおよび26S複合体の挙動
細胞内でプロテアソームは、専らユビキチン複合体形成蛋白を減成する26S
(1500kD)複合体の一部として、または、複数の蛋白分解活性を有するに
も拘らずUb複合体形成蛋白を自身だけでは加水分解できない20S粒子のいず
れかとして見いだされる(ゴールドバーグおよびロック、1992;ゴールドバ
ーグ、1992;タナカ等、1992;アーモンら、1990;ドリスコルおよ
びゴールドバーグ、1992;イータン等、1989;ドリスコルおよびゴール
ドバーグ、1989;マシューズ等、1989)。γ−IFNが20Sおよび2
6Sプロテアソームの両方の触媒活性を変化させるのかどうかを調べるために、
これらの構造を、陰イオン交換およびゲル濾過カラムを用いるFPLCによって
精製した(図2)。プロテアソームの20Sおよび26S型の良好な分離が達成
された。20S画分の非変性PAGEは特徴的な700kDバンドを示し、一方
20Sの試料は1500kDバンドおよび幾らかの700kD物質を含んでいた
。予想されたように、これらの26S調製物はATPの存在下でユビキチン化12 5
I−ラクトアルブミンを減成したが、遊離の1251−ラクトアルブミンに対して
は殆どまたは全く活性を示さなかった。対照的に、20S画分はこの蛋白を減成
したが、ユビキチン化されていると減成しなかった。20Sおよび26S型はい
ずれも三種のペプチダーゼ活性を示し、これはATPにより数倍に刺激され得た
。ATP(2mM)は20SプロテアソームによるSuc−LLVY−MCAの
減成を刺激し、そして対照細胞由来の26Sプロテアソームによる同じ基質の減
成を5倍に刺激した。ATPの存在下において、対照およびγ−IFN処置調製
物の間に20Sプロテアソームについて有意な相違が維持された。
インターフェロン処置は、20Sおよび26Sの両方のプロテアソームのペプ
チダーゼ活性に、より粗製の調製物で見いだされたと同様の変化を惹起した。増
大%は26S画分について幾分小さい傾向があったものの、両方の型に関して、
疎水性および塩基性基質の開裂は、γ−IFNによって有意に増大した。興味深
いことに、酸基質の開裂はいずれの粒子によっても増大せず、26S粒子による
その加水分解はγ−IFN処置後に50%低下した(図2)。対照してみると、
γ−IFN処置後に、ATPの存在下または不在下のいずれにおいても遊離125
I−ラクトアルブミンまたはユビキチン化125I−ラクトアルブミンを減成する
20Sまたは26S粒子の能力に一貫した相違は観察されなかった。総合すると
、これらの発見は、γ−IFNは、蛋白消化の全体速度に影響を及ぼすことなく
、20Sおよび26Sプロテアソームの両者によりなされるポリペプチドの開裂
のパターンを変化させるということを示唆する。
MHC欠損細胞におけるプロテアソーム活性
MHC領域にコードされている二つの蛋白LMP2およびLMP7がプロテア
ソームと結び付く(ドリスコルおよびフィンレイ、1992;ゴールドバーグお
よびロック、1992;モナコおよびマクデヴィット、1986;パーハム、1
990)ということから、そして、γ−IFNがこれらの成分の発現を刺激する
ということから、本出願人等は、MHC−遺伝子座のこの部分の除去がプロテア
ソームのペプチダーゼ活性およびそれらのγ−IFNの反応に影響を及ぼすか否
かを研究した。この目的のために彼等は、721ヒトBリンパ芽球様細胞から、
そしてこれらの細胞の変異体であってLMP2およびLMP7遺伝子を含むMH
C領域にホモ接合の除去を有する721.174から、プロテアソーム画分を単
離した(デマース等、1985)。突然変異体細胞由来のプロテアソームは、野
生型細胞のおよそ40%の速度で塩基性基質を、そして70%の速度で疎水性基
質を減成することがわかった(図3)。二種類の基質のVmax値は、突然変異体
細胞由来のプロテアソームで50%以上低下した(図3)。プロテアソームの合
計含有量は二つの細胞型において似通っているように見え、125I−リゾチーム
またはユビキチン化125I−リゾチームを酸可溶性産物に減成するプロテアソー
ムの能力に明確な差異は見られなかった。さらに、徐々に減成されるさらに幾つ
かの疎水性および塩基性基質(第1表で研究されたものと同一の基質)の分解も
また、MHC除去突然変異体では40%ないし80だけ低かった。これらのペプ
チダーゼ活性における低下とは対照的に、MHC除去変異体由来のプロテアソー
ム
は、一貫して野生型細胞由来の同様の調製物より約40%早く酸性基質Cbz−
LLE−MNAを開裂させた(図3)。この基質については、少しではあるが一
貫したVmaxの増大が観察された(図3)。
三種のペプチダーゼ活性における同様の変化が、突然変異体および野生型細胞
由来の粗製抽出物およびプロテアソームミクロソームまたは「核」画分に見いだ
された。このように、細胞の全ての画分のプロテアソームのペプチダーゼ能はM
HCコード化遺伝子およびγ−IFNによって調節されるように見える。MHC
コード化遺伝子の発現が、プロテアソームによる塩基性および疎水性開裂を増し
、一方で酸性開裂を抑制するという発見は、U937細胞がγ−IFNにより処
理された場合に得られる結果と近似する。これらの観察は、プロテアソーム活性
におけるγ−IFN依存性変化が、少なくとも部分的には、MHCコード化蛋白
、恐らくはLMP2およびLMP7プロテアソームサブユニットの発現によって
仲介されているという可能性を浮上させる。この仮説を検証するために、本出願
人等は、721および721.174変異体を用いてγ−IFN処理がLMP遺
伝子の不在下でこれらのペプチダーゼ活性を変化させ得るか否かを調べた。
γ−IFNで処理された野生型細胞においては、疎水性および塩基性基質の減
成速度の増大があり、酸性基質を開裂させる能力の低下があった。即ち、野生型
リンパ球由来のプロテアソームは、U937細胞と同じように応答した(但し相
対的変化は単球ラインの方が大きく見えた)。しかしながら、MHC除去細胞の
γ−IFN処理は、野生型細胞由来のプロテアソームで見られた大きな変化とは
対照的に、塩基性基質Boc−LRR−MCAの減成を全く変化させなかった。
721.174突然変異体では、γ−IFNは、疎水性ペプチドSuc−LLV
Y−MCAの開裂において、野生型親細胞よりずっと小さな増大を惹起した。細
胞間のこれらの相違は、幾つかの異なった塩基性および疎水性ペプチドについて
明白であった(第2表)。驚くべき事に、野生型親細胞(およびU937ライン
)においてγ−IFNが酸性基質の開裂を再現性をもって低下させたにも拘らず
、突然変異体リンパ芽球においてはγ−IFNはプロテアソームによる酸性基質
の加水分解を実際に穴進させた(第2表)。明らかに、プロテアソームの三つの
触
媒部位の活性におけるIFN誘導性変化は、直接的または間接的にMHC依存性
である。
蛋白分解およびプロテアソーム機能
1)プロテアソームの触媒機能はガンマーインターフェロンによって質的に調
節され、これらの作用はMHCコード化遺伝子の存在を必要とする事;そして2
)これらの粒子の異なるペプチダーゼ部位は、別個の様式で調節され得るという
事、という二つの新たな一般的結論が、これらの実験から浮上した。γ−IFN
処理の後に、単球およびリンパ芽球、そして恐らくは他の多くの細胞内のプロテ
アソームは、疎水性および塩基性残基の後ろでペプチドを加水分解する、より高
い能力を示すが、酸性残基の後ろで開裂させる能力は低下する。
かつての研究は、プロテアソームに可逆的に結合してその三つのペプチダーゼ
の活性を協調的に剌激(デュビール等、1992;マー等、1992b)または
阻害(ドリスコル等、1992;リー等、1991)することのできる幾つかの
細胞因子を証明した(ゴールドバーグおよびロック、1992;ゴールドバーグ
、1992;タナカ等、1992)。対照的に、γ−IFNは、恐らくは遺伝子
発現を調節しそれによりプロテアソームのサブユニット組成を変化させるため、
これらの触媒部位の各々に別々に影響を及ぼす(下記参照)。興味深いことに、
γ−IFNが、20Sまたは26Sプロテアソームのいずれかによる蛋白基質12 5
I−ラクトアルブミンまたはユビキチン複合体化125I−ラクトアルブミンから
酸可溶性フラグメントへの消化速度を変化させることは見いだされなかった。こ
れらの発見は、インビボにおいて、プロテアソームによるポリペプチドまたはユ
ビキチン化蛋白の、初期の、恐らくは律速的な開裂は、γ−IFNにより変化を
受けないことを示唆している。その代わり、このサイトカインは、この経路の後
期段階、即ち、続いて起こる酸可溶性蛋白フラグメントから短いペプチドへの開
裂に作用すると思われる。このように、三つのペプチダーゼの相対活性の変化が
、プロテアソームにより生成され且つさらなる蛋白分解的プロセシングおよび/
またはMHC−クラスI分子への運搬に利用される、オリコペプチドの性質を変
化させるに違いない(下記参照)。
塩基性および疎水性配列の後ろの加水分解速度の増大および酸性残基の後ろで
の開裂の低下をもたらすプロテアーゼの構造的変化を規定することが重要であろ
う。γ−IFNにより誘発されるこれらの活性の主要な変化は、明らかに、LM
P2および7遺伝子を含むMHC領域の一部分の存在を必要とする。この領域の
除去単独(γ−IFN処置無し)では、γ−IFNにより誘発されるペプチダー
ゼ活性とは逆の変化が惹起された。さらに、γ−IFNは二つのMHCコード化
サブユニットLMP2およびLMP7の発現を刺激し、細胞内の「LMP粒子」
(即ち、LMPサブユニットを含むプロテアソーム)の量を増加させることが知
られている。これらの発見の最も簡単な説明は、γ−IFNにより誘発される触
媒の性質の変化が、これらMHCコード化サブユニットのプロテアソーム内への
取り込みに起因するということである。LMP2および/またはLMP7蛋白は
、それ自身に「トリプシン様」または「キモトリプシン様」部位を含んでいるか
も知れない。もしそうであるならば、これらの部位がγ−IFN不在下で存在し
ているペプチダーゼ部位を補足し、またはそれらをより高い触媒効率の部位と交
換させることができる。この趣旨において、酵母では、プロテアソームの「キモ
トリプシン様」活性が、LMP2に極めてホモローガスなプロテアソームサブユ
ニット遺伝子内の点突然変異によって不活性化されるということは興味深い(ド
リスコル等、1992;リー等、1991;マー等、1992)。これとは別に
、LMP2またはLMP7をプロテアソーム中に組み込むと、トリプシン様また
はキモトリプシン様触媒部位を含む他のサブユニットの活性が増大するかも知れ
ない。同様に、これらのMHCコード化サブユニットの組込みは、プロテアソー
ムのペプチジルグルタミル触媒部位を含むサブユニットの活性にとって替わり、
またはこれを低下させるかも知れない。
これらの発見はLMPコード化サブユニットの機能を示唆してはいるが、γ−
IFNは、明らかに、LMP2およびLMP7遺伝子を欠く突然変異体のプロテ
アソーム活性に幾らかの変化を誘発する。これらの細胞において、γ−IFNは
キモトリプシン活性に小さな(しかしながら再現性のある)増大を惹起した。加
えて、突然変異体のペプチジルグルタミル活性は、野生型細胞でこの活性が低下
したにも拘らず、γ−IFN処理の際増大した。これらの機能的変化は、LMP
2およびLMP7を含まない、プロテアソームサブユニット組成における他の変
化を介して起こるに違いない。恐らくは、γ−IFNは、MHC領域のこの部分
以外にコードされているサブユニットの合成を低下させまたは抑制することがで
き、または、他の手段でプロテアソーム構造を修飾し得るのであろう。事実、ピ
ーターソンおよび共同研究者等(ヤング等、1992)は、γ−IFNがLMP
遺伝子を欠く突然変異体のプロテアソームサブユニットのパターンを変化させる
ことを報告している。
LMP2およびLMP7蛋白が細胞のプロテアソームの一つのサブセットにの
み存在し(ブラウン等、1991)、このサブセット内に、これらのサブユニッ
トのうち1個だけを含む幾つかの粒子が存在し得、他の粒子は両方を含み得ると
いうことは注目に値する。γ−IFNによるこれらのサブセットまたはプロテア
ソームの誘導は、3日以内に細胞の総ペプチダーゼ活性に大きな変化をもたらす
ことが観察されていることから、いずれの場合においても、LMP2およびLM
P7含有集団は、恐らく、それらの加水分解活性の点で、既に存在している集団
とは非常に大きく異なっているであろう。したがって、ここで見いだされた触媒
活性の変化は、恐らくプロテアソームのLMP含有およびLMP欠失サブセット
の間の活性の実際の相違を過小評価しているであろう。
かつてプロテアソームは、一般に、特徴的な酵素の性質を有する単一構造型と
して考察されてきた。この見方は、これらの粒子の機能的異質性および可塑性を
強調するこの発見に照らす時、明らかに単純すぎ、または誤っている。これらの
発見は、多くの細胞において、プロテアソームの性質は、γ−IFNレベルが上
昇し免疫反応が活性化される、感染または敗血症またはその他の状態の最中に、
インビボで変化することを示唆している。プロテアソームの性質のこれらの変化
は、このサイトカインの用量および暴露の期間にも依存するに違いない。細胞内
のプロテアソームの機能的に別個のサブクラスの存在は、他の多くの生物学的状
況においても重要であり得る。事実、恐らくは機能上別個の変化をもたらし、本
発明において報告されたものとは異なった生理学的結果となる、細胞の発達中の
プロテアソームサブユニット組成の変化に関する報告がある(アーン等、199
1;シェラー、1990)。
抗原提示に対する関係
正常な蛋白代謝回転の一部として、サイトゾルまたは核内のプロテアソームに
より生成されるペプチドの殆どは、非プロテアソームペプチダーゼによって速や
かに遊離アミノ酸へと消化されねばならない。しかしながら、或る画分は、TA
P1−2複合体により小胞体(ER)中に輸送され、直接またはさらなる蛋白分
解的プロセシング後にMHC−クラスI分子と結合するように見える(タウンゼ
ントおよびボドマー、1989;ユーデルおよびベニンク、1992;モナコ、
1992;ポウィス等、1991;スピースおよびデマース、1991)。γ−
IFNにより誘発されるまたはMHC除去によりもたらされるプロテアソーム活
性の変化は、細胞のおよびウイルスの蛋白の減成中にプロテアソームにより生成
されるペプチドを変化させ、それによりT細胞への提示に利用されるペプチドの
レパートリーを変化させるに違いない。塩基性、疎水性、および酸性残基の後ろ
での開裂の相対速度のこれらの変化は、異なったペプチド群、または同じペプチ
ドを、非常に異なった比率で生成させる結果を産むに違いない。詳細には、「キ
モトリプシン様」および「トリプシン様」活性における2ないし6倍の増大なら
びにペプチジルグルタミル活性の低下は、塩基性または疎水性カルボキシ末端の
末尾を有する短いペプチドをより多く、そして酸性カルボキシ末端の末尾を有す
るペプチドをより少なく生成させるに違いない。
γ−IFNまたはMHCコード化遺伝子の発現による触媒性質のこれらの変化
は、このようにMHC−クラスI分子に結合することが知られているペプチドの
まさにその型を生成させるのに好都合であるようである。抗原性ペプチドのC末
端残基は、幾つかのMHC−蛋白−ペプチド複合体のX線解析からも明白である
ように(ロツシュケおよびフォーク、1991;フレモント等、1992;シル
ヴァー等、1992;ツァング等、1992)、特異的MHC−クラスI分子へ
のそれらの結合において重要な役割を果たしている(フォーク等、1991;ギ
ュオ等、1992;ハント等、1992;ジャーデツキー等、1991;マツム
ラ
等、1992;パーハム、1992)。クラスI分子と結合することが見いださ
れた天然においてプロセシングを受けるペプチドの大半が疎水性または塩基性C
末端を有し、酸性C末端を有するものは実際全く無いという事は、非常に印象的
である(図4)。この結論は、MHC−結合ペプチドについての刊行されている
文献の、本出願人等による調査に基づいている。さらに、疎水性C末端に対する
、さらに強い偏向が、MHC−クラスI蛋白の二つの特異的サブタイプから溶出
され得るペプチドの平均集団の配列において明らかである。この、塩基性および
疎水性残基の優位性は、MHC−結合ペプチドのN末端に先行するアミノ酸では
見られなかった(図4)。
LMP2およびLMP7サブユニットについて、幾つかの免疫学的役割が考え
られた。LMPサブユニットはプロテアソーム粒子を小胞体(ER)に振り向け
、そこでこれらはTAP−1/2輸送体と隣接するであろうということが提唱さ
れた。しかしながら、本出願人等および他の研究者(ヤング等、1992)は、
LMP遺伝子の喪失またはLMP発現のγ−IFN刺激がプロテアソームの亜細
胞分布に影響を及ぼすという証拠を見いださなかった。代わりに、本出願人等は
、γ−IFN処理およびMHC除去が、細胞の可溶性画分中のプロテアソームの
ペプチダーゼ活性、ならびにER(計10%)および核画分と結び付いたプロテ
アソームの小集団の活性を変化させるということを発見した。ER中へ輸送され
るために、可溶性プロテアソームにより生成されたこれらの抗原性ペプチドは、
サイトゾルのエキソペプチダーゼによる完全な加水分解に、なんとかして抵抗せ
ねばならない。
より近年に、MHC除去細胞(721.174のような)は、もしそれがTA
P−1および−2輸送体に対する遺伝子によってのみトランスフェクトされるな
らば、抗原を提示できるのであるから、LMPは抗原提示で重要な役割を果たし
ていないという議論がなされた(アーノルド等、1992;マンブルグ等、19
92)。しかしながらこの仕事は、これらの突然変異体細胞から単離されたプロ
テアソームは依然としてトリプシン様およびキモトリプシン様活性を表わすとい
うことを示している。これらの発見は、何故MHC除去細胞が依然としてクラス
I分子上に抗原を提示できるのかということを説明し得る。この結果は、MHC
除去突然変異体細胞による抗原プロセシングおよび提示の効率の低下の予想につ
ながる。これは実際にハマーリングおよび共同研究者等によって報告された(マ
ンブルグ等、1992)。これに反して、LMPの発現を増大させ、それにより
プロテアソームにより生成されるペプチドのパターンを変化させるγ−IFNの
働きは、輸送体およびMHC−クラスI蛋白の誘導と共に、抗原提示の増強に寄
与し得る。
方法
γ−IFNによる細胞の処理
10%FCSおよび抗生物質を含有するRPMI1640培地中、37℃で7
2時間、1000U/mlのヒト組み替えγ−IFN(バイオジェン・Inc.、
ケンブリッジ、MAの好意により提供された)の存在下または不在下で、150
cm3のフラスコ中でU937細胞(0.15x106/ml)を増殖させた。予
備実験において、この濃度のγ−IFNは、U937細胞においてプロテアソー
ムペプチダーゼ活性の最大変化を惹起することが見いだされた。突然変異体(7
21.174)および野生型(721)細胞を、ペプチダーゼ活性の最大変化を
惹起することが見いだされている3000U/mlのγ−IFNの存在下または
不在下で3日間増殖させた。
ペプチダーゼ検定
10%トリクロロ酢酸に可溶性の放射性ペプチドの産生を測定することにより
、125I−ヒトラクトアルブミンまたはユビキチン複合体形成125I−ラクトアル
ブミンの加水分解を検定した(ワクスマン等、1987)。プロテアソーム画分
または粗製抽出物(0.1mg/ml)および精製プロテアソーム(5μg/m
lの20Sまたは15μg/mlの20S)を、ATP 2mMまたはアピラー
ゼ(残余のATPを分解するため)5U/mlの存在下で放射性基質と共に緩衝
液B(図1の詳細な説明を参照されたい)中で、37℃で60または120分間
インキュベートした。非放射性ラクトアルブミン(20μg/ml)を、Ub−125
I−ラクトアルブミンを含有する反応混合物に加えた。
粗製の細胞抽出物およびプロテオソームに富む画分の調製。
抽出物を調製するために、細胞を700xgで5分間遠心することにより集め
、2回洗浄し、ホモジナイゼーション緩衝液(50mMトリス、5mM MgC
l2、1mMジチオトレイトール(DTT)、2mM ATP、250mMシュ
クロース、pH7.4)中に再懸濁した。細胞懸濁液を、ダウンスホモジナイザ
ー(フィートン)に数回かけ、その後ガラスビーズと共に3分間撹拌することに
より、ホモジナイズした。10000xgで20分間遠心した後、上清(「粗製
抽出物」)を100000xgで1時間遠心して「ミクロソームペレット」を得
た。ミクロソーム後上清を100000xgで5時間遠心することにより「プロ
テアソーム画分」を得た。ペレットを約10容量の緩衝液A(50mMトリス、
5mM MgCl2、1mM DTT、2mM ATP、20%グリセロール)
に再懸濁し、ホモジナイズし、14000rpmで15分間遠心した。粗製抽出
物中の蛋白の20%を含有する上清を、蛋白分解活性の検定前に、粗製抽出物と
同じ1mg/mlの濃度(ブラッドフォード、1976)に調節した(緩衝液A
で透析後)。培養細胞の各組について、二組の抽出物を調製し、平行して分析し
た。この二組について得られた結果の平均を、個々の実験の結果として採用した
。
図1の詳細な説明
図1の上側の図は、対照細胞およびγ−IFNで処理された細胞からのプロテ
アソーム画分による、示された基質(100μM)の加水分解を示している(マ
ンブルグら、1992)。ペプチダーゼ活性は、蛍光生成ペプチド基質からの7
−アミノ−4−メチルクマリン(MCA)またはメトキシナフチルアミン(MN
A)の放出によって決定した(イシウラ等、1985)。プロテアソーム画分(
最終蛋白濃度:緩衝液B(50mMトリス、5mM MgCl2、5mM DT
T、pH7.4、アピラーゼ5U/mlを含有)0.1ml中50μg/ml)
を37℃で40または60分間インキュベートした。1%ドデシル硫酸ナトリウ
ム1mlの添加により反応を停止させた。疎水性および塩基性基質の減成の増大
は高度に有意であった(n=6の異なる実験でP<0.01)。粗製抽出物にお
いては、極めて類似の変化(P<0.02、n=3)がSuc−LLVY−MC
Aおよび
Boc−LRR−MCAについて観察されたが、一方Cbz−LLE−MNAの
減成は有意に変化しなかった。単位=1時間当り蛋白1mg当りの開裂した基質
のmM。
図1の下側の図は、上で使用されたものと同じプロテアソーム画分による基質
の開裂速度(v)の動力学的分析(ラインウィーヴァー−バーク法)を示してい
る。異なる基質濃度(S)を用いて、上側の図と同様にインキュベーシヨンを行
なった。Suc−LLVY−MCAについてのVmaxは0.7単位であり、γ−I
FN有りでは1.6であり;Boc−LRR−MCAについては0.3単位であり
γ−IFN有りでは1.9であり;Cbz−LLE−MNAについては0.3単位
でありγ−IFN有りでは0.2であった。Suc−LLVY−MCAについて
のKmは0.2mMであり、γ−IFN有りでは0.3mMであり;Boc−LR
R−MCAについては0.4mMでありγ−IFN有りでは0.5mMであり;C
bz−LLE−MNAについては0.10mMでありγ−IFN有りでは0.06
mMであった。
図2の詳細な説明
図2は、U937細胞から精製された20Sおよび26Sプロテアソーム中の
ペプチダーゼ活性に及ぼすγ−IFN処理の効果を示している。結果は三つの異
なる実験の代表である。対照調製物およびγ−IFN処理細胞由来の調製物の間
の相違は全て統計学的に有意(P<0.01)であったが、20SによるCbz
−LLE−MNAの開裂では有意な差異は見られなかった。単位および検定条件
は図1の場合と同じであるが、プロテアソームの最終濃度は2.5−3.0μg/
ml(26S)または8−10μg/ml(20S)であった。20Sおよび2
6Sプロテアソームは、Qセファロース陰イオン交換およびスーパーロース6ゲ
ル濾過FPLCクロマトグラフィー(ファルマシア)によりプロテアソーム画分
から単離した(ドリスコルおよびゴールドバーグ、1989;マシューズ等、1
989)。26Sに富む画分を、Ub−125I−ラクトアルブミンのATP依存
減成を支持する能力によって同定した。常法により、30μgの26Sおよび9
0μgの20Sをプロテアソーム画分5mgから取得した。
図3の詳細な説明
図3の上側の図は、野生型(721)およびMHC欠損(721.174)リ
ンパ芽球様細胞由来のプロテアソームのペプチダーゼ活性の相違を示している。
三種類の基質(100μM)の加水分解速度を、図1で実施したようにプロテア
ソーム画分中で測定した。三つの活性全ての相違は統計学的に有意であった(P
<0.01、n=4の異なる調製物)。
図3の下側の図は、野生型および突然変異体細胞由来の同じプロテアソーム画
分による、異なった濃度(S)における全ての基質の開裂の動力学的分析を示し
ている。Suc−LLVY−MCAについてのVmaxは6.5単位(野生型)対2
.4(突然変異体)であり;Boc−LRR−MCAについては1.6単位対0.
7であり;Cbz−LLE−MNAについては0.7単位対1.2であった。Su
c−LLVY−MCAについてのKmは0.5mM(野生型)対0.3mM(突然
変異体)であり;Boc−LRR−MCAについては0.3mM対0.5mMであ
り;Cbz−LLE−MNAについては0.4mM(野生型および突然変異体)
であった。二つの異なる実験において極めて類似の結果が得られた。
図4の詳細な説明
図4の左側の図は、MHCクラスI分子と結合する44のペプチドのカルボキ
シ末端のアミノ酸の頻度を示している。データは、公開されているペプチドの配
列から集めた(フォーク等、1991;ギュオ等、1992;ハント等、199
2;ジャーデッキー等、1991;マツムラ等、1992)。これらの配列は、
MHCクラスI分子から溶離し精製された個々のペプチドのエドマン分解、また
は、合成の抗原性ペプチドの機能分析および既知のMHC結合モチーフに対する
アラインメントのいずれかによる、異なった研究において決定された。この分析
に含まれるMHCクラスI分子は二つの群:一般に疎水性C末端残基を有するペ
プチドに結合するKb、Db、Kd、LdおよびHLA−A2.1、ならびに一般に
塩基性C末端残基を有するペプチドに結合するHLA−B27およびHLA−A
W68、に分類される。
図4の右側の図は、MHCクラスI結合ペプチドのN末端の前にあるアミノ酸
の頻度を示している。左側の図中の39個のペプチドが誘導された蛋白配列が求
められた。データは、EMBL(ハイデルベルク、ドイツ)およびナショナル・
バイオメディカル・リサーチ・ファウンデーション(ベセスダ、Md)データベ
ースから集められた。
実施例2 ユビキチン複合体形成の欠陥によるMHC−I抗原提示の阻害。
殆どの細胞蛋白の完全な減成の律速段階は、それらのユビキチンとの共有結合
による複合体形成である(ハーシュコおよびシーチャノーヴァー、1992;レ
ヒトシュタイナー、1987)。この工程により、蛋白は、プロテアソームと呼
ばれる20S(700kD)の減成粒子を含む26S(1500kD)蛋白分解
複合体による速やかな加水分解のための識別がなされる(ゴールドバーグ、19
92;ゴールドバーグおよびロック、1992)。細胞蛋白の完全な加水分解に
加えて、サイトゾルの或る系は、内因性合成された細胞およびウイルス蛋白から
抗原性ペプチドを生成させる(タウンゼント等、1985;タウンゼント等、1
986;モリソン等、1986;モーア等、1988;スピースおよびデマース
、1991;ポウィス等、1991)。これらのペプチドは、新たに合成された
小
胞体内のクラスI主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と結合し、次いでペ
プチド−クラスI複合体は細胞毒性T細胞への提示のために細胞表面へ輸送され
る(ユーデルおよびベニンク、1992;モナコ、1992)。間接的な証拠は
、20S(700kD)プロテアソームに酷似し恐らくは同一である蛋白分解粒
子(LMP)の役割を示唆してはいるが(ゴールドバーグおよびロック、199
2;モナコ、1992;パーハム、1990;ヤング等、1992)、抗原性ペ
プチドがどの様に産生されているのかは詳しく知られていない。故に本出願人等
は、ATP−ユビキチン依存蛋白分解系がMHCクラスI拘束性抗原(Ag)提
示に関与しているかどうかを試験した。ユビキチン複合体形成に際し温度感受性
の欠陥を示す細胞を使用して、本出願人等は、非許容温度が、サイトゾル中に導
入された卵アルブミン(OVA)のクラスI拘束性提示を阻害するが、ミニ遺伝
子から合成されたOVAペプチドの提示には影響を及ぼさないことを発見した。
これらの結果は、抗原性ペプチドの産生におけるユビキチン依存蛋白分解経路の
関連を意味するものである。
化学的に突然変異生成させたチャイニーズハムスター肺細胞セルラインE36
の変異体であるTs20細胞は、熱不安定性ユビキチン複合体形成酵素E1を発
現する(クルカ等、1988)。E1は、細胞蛋白へのユビキチンの複合体形成
の必須第一段階である、ユビキチンのATP依存活性化を触媒する(ハーシュコ
およびシーチャノーヴァー、1992;レヒトシュタイナー、1987)。ユビ
キチン−蛋白複合体形成および蛋白減成は、ts20細胞において非許容温度(
41℃)で低下する(クルカ等、1988;グロッパー等、1991)。E1は
ts20細胞中41℃で不可逆的に不活性化する。
ユビキチン複合体形成の遮断がクラスI拘束性Ag提示に影響を及ぼすかどう
かを決定するために、ts20およびE36細胞をH−2KbおよびICAM−
1に対するcDNA遺伝子でトランスフェクトし、該細胞がOVA特異的Kb−
拘束性マウスT細胞ハイブリドーマラインRF33.70にAgを提示できるよ
うにした(ロック等、1990)。トランスフェクトさせたセルラインts20
.10.2(突然変異体)およびE36.12.4(野生型)を41℃または3
7
℃で1時間インキュベートし、その後ピノソームの浸透溶解によりOVAをサイ
トゾル中に導入した(タウンゼント等、1986)。OVAの導入中およびその
後のインキュベーションは37℃で実施したが、そうすることにより、OVAへ
の暴露中およびその後の群間の変数としての温度が排除された。この細胞に1時
間Agをプロセシングさせ、その後アルデヒド固定によりAgプロセシングを停
止させた。41℃でのインキュベーションは突然変異体によるOVAの提示を大
きく低下させた(図5A)が、野生型(図5B)細胞では低下させなかった。
これらの結果を説明するために幾つかの仮説を提示することができる。これら
の可能性を調査した。上の抗原提示細胞(APC)は、飲作用によってOVAを
獲得した(タウンゼント等、1986)。よって、突然変異体細胞によるOVA
の提示は、41℃への暴露が飲作用を遮断するならば阻害され得たはずである。
41℃または37℃でインキュベートされた突然変異体細胞は、液相飲作用の通
常使用されるマーカーであるポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の取り込みに
よって決定されるように(ウィレイおよびマッキンレイ、1987)、細胞外液
の取り込みの点で相違しなかった(0.94±0.27nl/106細胞(41℃
)対0.96±0.47nl/106細胞(37℃)。四つの実験の平均値±SD
。)。PVPとのインキュベーション条件は、OVAについて上に記載された条
件と同一であった。このように、突然変異体細胞がOVAを提示しなかったのは
、飲作用の欠陥に起因するものではなかった。
上の理由に代わって、41℃でインキュベートされた突然変異体細胞の、サイ
トゾルOVA提示の不能性は、抗原性OVAペプチド−Kb複合体の生成または
提示における遮断に起因するものであったかも知れない。41℃でのインキュベ
ーションは、突然変異体(図5C)または野生型(図5D)細胞が、培地に添加
された外因性OVA257-264ペプチド(卵アルブミンのアミノ酸257−264
)を提示する能力に影響を及ぼさなかった。これらの条件の下で、合成OVA25 7-264
ペプチド(これは卵アルブミン由来の天然にプロセシングされたエピトー
プを表わす)は、細胞表面でKbに直接結合する(フォーク等、1991;ロッ
ク等、1992)。故に、APC表面でのOVAペプチド−Kb複合体の提示は
、ユ
ビキチン複合体形成の遮断により有意な影響を受けなかった。
抗原性ペプチドが、新たに合成されたクラスI分子に結合した後に、このペプ
チドークラスI複合体は、ゴルジ体を介してT細胞への提示のために細胞表面に
輸送される。故に、本出願人等は、突然変異体細胞中でのH−2Kbの合成およ
び輸送に及ぼす41℃の影響を調べた。41℃または37℃で1時間インキュベ
ーションした後に細胞を[35S]−メチオニンで放射標識し、組み立てられたKb
分子に特異的なmAb(Y−3)によってH−2Kb分子を連続的に免疫沈降さ
せた(タウンゼント等、1990)。引続きウサギ抗重鎖抗血清(エキソン8)
によって沈降させた(スミスおよびバーバー、1990)。同様の量の組み立て
られたH−2Kbを、二種類の温度でインキュベートした突然変異体細胞から免
疫沈降させた(図6A)。さらに本出願人等は、ペプチドとの組み立てに利用で
きる可能性のある、類似の量の遊離重鎖(図6A)およびβ2−ミクログロブリ
ンを、両方の温度で見いだした。
組み立てられたKb分子の、ゴルジ体を介した輸送を分析するために、細胞を
41℃または37℃で1時間インキュベートし、次いでパルス放射標識し、37
℃でチェイスした。H−2Kb分子を免疫沈降させ、二次元IEF/SDS−P
AGEに付した。突然変異体または野生型細胞のいずれにおいても、温度はKb
分子の電荷または分子量異質性の程度に影響しなかった(図6B)。クラスI分
子の細胞内成熟の間の電荷および分子量の変化はゴルジ体における複合糖の添加
と結び付いているのであるから、これらの発見は、H−2Kbの組み立ておよび
輸送は、通常、突然変異体細胞において41℃のインキュベーション後に起こる
という事を示す。この事は、Ag提示の阻害が抗原性OVAペプチドの産生の選
択的欠陥に起因するものであることを示唆している。
この点をさらに調査するため、図5に記載のように処理された突然変異体細胞
を、OVAとインキュベーションするか、または、開始Metの先行するOVA257-264
ペプチドをコードしているミニ遺伝子を含む組み替えワクシニアウイル
ス(OVA257-264Vac)に感染させた。内因性合成されたOVA257-264ペプ
チドの提示は41℃でのインキュベーションによる影響を受けなかった(図7A
)
が、一方、先に示したように、OVAの提示は阻害された(図7B)。1時間の
感染の後、ワクシニア感染細胞によるOVA257-264+Kbの提示は、OVAとイ
ンキュベートされた細胞による提示より有意に低かった(図7Aおよび7B中の
37℃の群を比較されたい)。よって、OVA257-264ペプチドの過剰産生が、
ワクシニア感染を受けた突然変異体細胞による提示に及ぼす41℃のインキュベ
ーションの効果の欠如を説明するとは考えにくい(図7の詳細な説明をも参照さ
れたい)。この発見は、突然変異体細胞を41℃でインキュベーションすること
により惹起されたユビキチン複合体形成の低下が、サイトゾルから小胞体へのO
VA257-264ペプチドの輸送、その後のOVA257-264ペプチドおよびH−2Kb
の組み立て、または細胞表面へのクラスI−ペプチド複合体の輸送のいずれにも
影響しなかった事を示している。
この発見の最も単純な解釈は、ユビキチン複合体形成が、クラスI拘束性提示
のためのOVAのプロセシングにおいて重要な役割を果たしているということで
ある。関連する研究において、本出願人等は、ユビキチン依存経路はATP、ユ
ビキチン、ウサギ網状赤血球由来のプロテアソーム画分、および卵アルブミン上
の遊離アミノ基を必要とすることから、無細胞抽出物に添加されたOVAがユビ
キチン依存経路により減成されることを見いだした。
プロテアソーム中の二つのMHCコード化蛋白の存在は、プロテアソームが細
胞およびウイルス抗原のプロセシングに関わっているという仮説を導いた(パー
ハム、1990;ヤング等、1992)。しかしながら、最近のデータは、これ
らのサブユニットはクラスI拘束性Ag提示に必須でないことを示している(ハ
マリング等からの私信)。ユビキチン複合体化蛋白は26Sプロテアソーム複合
体により減成される(ゴールドバーグ、1992;ゴールドバーグおよびロック
、1992)のであるから、これらの発見は、クラスI拘束性提示のためのAg
のプロセシングにおけるこの構造の関わりを直接意味する。即ち、免疫系は、ク
ラスIのためのATP−ユビキチン−プロテアソーム依存経路およびクラスII
拘束性提示のための液胞経路という、抗原性ペプチドを供給するための、基本的
且つ系統発生上古い、細胞の二つの減成経路を利用している。
図5の詳細な説明
図5は、突然変異体(ts20.10.2)および野生型(E36.12.4
)細胞によるOVAのMHCクラスI拘束性提示を示している。Ts20.10
.2(AおよびC)およびE36.12.4(BおよびD)細胞を41℃(塗り
つぶし)または37℃(白抜き)でインキュベートし、次にOVA有り(Aおよ
びB)または無し(CおよびD)でインキュベートした。OVAと共にインキュ
ベートされた示された数のAPCをRF33.70と共に培養し(AおよびB)
、または対照APC(5x104)をRF33.70および示された濃度のOV
A257-264ペプチドと共に培養した(CおよびD)。
Ts20.10.2(突然変異体)およびE36.12.4(野生型)細胞(
2x106細胞/ml)を41℃または37℃で1時間インキュベートした。O
VAをサイトゾル中に導入するため、かつて記載されたように、細胞を高張性培
地中、20mg/ml OVAと共に37℃で10分間インキュベートし、低張
性培地で処理し、次いで氷冷無血清RPMI1640で洗浄した(タウンゼント
等、1986;マイカレック等、1991)。洗浄されたAPC(2x106細
胞/ml)を37℃で1時間インキュベートして、細胞表面のプロセシングされ
たAgを発現させた。この37℃のインキュベーション中に、前に41℃でイン
キュベートした突然変異体細胞に、若干のユビキチン複合体形成活性の回復(三
つの実験の平均値±SDが16±10%)が起こった。ユビキチン複合体形成お
よび/またはAgプロセシングのさらなる回復を防止するため、APCを1%パ
ラホルムアルデヒドで固定し、かつて記載されたように、RF33.70(105
細胞)を含む二つのミクロ培養(200μl)に加えた(マイカレック等、1
991)。対照APCは、高張性培地からOVAを除くこと以外は上の記載の通
りとした。RF33.70を刺激して、APC表面上のプロセシングされたOV
A+Kbが認識された時にIL−2を産生させた(ロック等、1990b)。先
に記載のようにミクロ培養を調製し、インキュベートし、そしてIL−2含有量
を検定した(マイカレック等、1991)。
H−2Kb cDNA、pBG367−Kbは、ジェラルド・ワネック博士の好
意により提供された。ベクターpcDL−SRcα296はナオコ・アライ博士
により提供された(タケベ等、1988)。H−2Kb cDNAをpcDL−
SRα296ベクターのXhoI/BamHI部位にサブクローニングした。p
HBAPr−1−ネオベクター中のマウスICAM−I cDNAは、ヘドリッ
クおよびブライアン両博士により提供された(シュー等、1989)。E36お
よびts20細胞を、リポフェクチン試薬(BRL)を用いてH−2KbおよびI
CAM−Iで同時トランスフェクトし、ts20細胞をトランスフェクション後
に37℃で増殖させること以外はかつて記載されたようにG418(ジブコ)に
よる選択を実施した(ダング等、1990)。G418耐性クローンを、mAb
YN1/1.7.4(ダング等、1990)およびB8−24−3(ケーラー
等、1981)によってそれそれICAM−IおよびH2Kbの発現についてス
クリーニングした。トランスフェクトされたセルラインts20.10.2およ
びE36.12.4をそれぞれ31℃および37℃で継代した。
図6の詳細な説明
図6は、H−2Kbの合成および成熟に及ぼす温度の影響を示している。図6
Aでは、突然変異体(ts20.10.2)および野生型(E36.12.4)
細胞を41℃または37℃で1時間インキュベートし、次に37℃で15分間代
謝的に放射標識した。H−2KbをY−3(ジョーンズおよびジェインウェイ、
1981)により免疫沈降、引続き抗エキソン8(スミスおよびバーバー、19
90)(トロント大学のブライアン・バーバー博士からの好意による寄贈)によ
り連続的に沈降させ、一次元SDS−PAGEにより分析した。Y−3はH−2
Kbのα1およびα2ドメインにより形成された立体配座的エピトープを認識し
、組み立てられたH−2Kb分子のみに結合するが、一方、抗エキソン8抗血清
は、H−2KbのC末端細胞質ドメイン(エキソン8によりコードされている)
に対して生成され、組み立てられたH2Kb分子および遊離の重鎖の両方に結合
する。H−2Kb重鎖(H)およびβ2−ミクログロブリン(L)の位置ならびに
相対分子量標準(Mrx10-3)を図6に示す。
4000万の細胞をメチオニンを含まない培地中41℃または37℃で1時間
インキュベートし、次いで0.7mCiの[35S]−メチオニン(>1000C
i/mmol、NEN)により37℃で15分間放射標識した。界面活性剤溶菌
液、免疫沈降およびSDS−PAGEを、最初の免疫沈降の前および後にそれぞ
れIgGソルブ(5回)およびPA−セファロース(1回)によるさらなる前洗
浄工程を含めること以外は、本質的には記載に従って実施した(タウンゼント等
、1990)。
図6Bにおいては、ts20.10.2およびE36.12.4細胞を41℃
または37℃で1時間インキュベートし、37℃で10分間代謝的にパルス放射
標識し、次いで37℃で50分間チェイスした。H−2KbをY−3により免疫
沈降させ、二次元IEF/SDS−PAGEにより分析した。チェイスの時刻0
において作成された免疫沈降を分析すると、単一の未成熟の重鎖のスポットが示
され、これは上に示された、より酸性で且つより大きな分子量の型へとチェイス
された。H−2Kbの重鎖をHで示し、β2−ミクログロブリンをLで示す。
細胞を、上記のようにインキュベートし[35S]−メチオニンにより10分間
パルス放射標識した。次いでこの細胞をコールドなメチオニン(15mg/ml
)の存在下に37℃で50分間チェイスした。細胞溶解液を調製し、Y−3によ
る免疫沈降を上記のように実施した。二次元IEF/SDS−PAGEのために
、この免疫沈降物をイモビライン・ドライストリップ・キット(ファルマシア)
を用いて分析した。ゲルをオートフラワー(ナリオナル・ダイアグノスティクス
)中でインキュベートし、放射標識された蛋白をオートラジオグラフィーにより
−80℃で可視化した。
図7の詳細な説明
図7は、内因性合成されたOVA257-264ペプチドのMHCクラスI拘束性提
示を示している。Ts20.10.2細胞を41℃(塗りつぶし)または37℃
(白抜き)で1時間インキュベートし、次いでOva257-164Vacにより37
℃で1時間感染させる(図7A)か、またはOVAと共にインキュベート(図7
B)した。示された数のAPCをRF33.70と共にインキュベートした。
Ts20.10.2細胞(7x105細胞/ml)を41℃または37℃で1
時間インキュベートし、次いで組み替えワクシニアウイルス(10PFU/細胞
)により37℃で1時間感染させた(図7A)。TS20.10.2細胞を41
℃および37℃でインキュベートし、OVAで処理し、次いで上記のように37
℃でインキュベートした(図5の詳細な説明を参照されたい)。ワクシニアウイ
ルスに感染したAPCまたはOVAと共にインキュベートしたAPCを1%パラ
ホルムアルデヒドで固定し、図5の詳細な説明に記載のようにRF33.70(
105細胞)と共にミクロ培養中でインキュベートした。同じくそこに記載の通
り、ミクロ培養を調製し、インキュベートし、そしてIL−2含有量について検
定した。インフルエンザ核蛋白遺伝子を含む組み替えワクシニアウイルスに感染
したAPCはRF33.70を刺激しなかった。
3時間感染させた細胞はRF33.70の刺激において64倍有効であるため
、Ova257-264Vacを用いた経時実験は、1時間感染した細胞表面上のOV
A257-264ペプチド−Kb複合体の量は限定的であることを示した。
Ova257-264Vacは、合成オリゴヌクレオチドをpSc11におけるワク
シニアウイルスp7.5初期/後期プロモーターの後ろに挿入することにより組
み立てられ(チャクラバティ等、1985)、これは、制限部位SalIおよび
NotIがSmaI部位に代わって置き換えられるように修飾された。このオリ
ゴヌクレオチド:
(配列番号1)は、SalI部位、有効な翻訳のためのコザック共通配列、開始
コドン、ペプチドSIINFEKL(配列番号2)をコードしているヌクレオチ
ド、2個の停止コドン、および、pSC11には存在せず、故にこのプラスミド
中の挿入物の存在を決定する簡単な方法を提供するNotI部位から成っていた
。鎖をアニーリングした後、この合成オリゴヌクレオチドをT4ポリヌクレオチ
ドキナーゼで燐酸化した。pSC11をSa1IおよびNotIで消化し、精製
し、そしてT4リガーゼを用いてこのオリゴヌクレオチドとライゲーションした
。次いで、ワクシニアウイルスとプラスミドとの相同的組み替え、選択、および
組み
替え体の増殖を、記載のように実施した(モスおよびアール、1991)。
実施例3 キモスタチンによるMHC−1提示の阻害。
抗原提示細胞
この実験の抗原提示細胞(APC)は、正常マウス血清(1%)およびリポ多
糖(10μg/mlx72時間)を添加した培地で継代したマウスBリンパ芽球
様細胞セルライン(LB27.4)であった。リポ多糖を含有させたこと以外は
、これはロック等、1990bに記載されている。
インヒビター処理および抗原のローディング。
LB27.4細胞を血清を含まないよう洗浄し、キモスタチン(200μg/
ml;ベーリンガー・マンハイム、インディアナポリス、IN)の存在下または
不在下に37℃で1時間インキュベートした。次いで、この細胞を、抗原卵アル
ブミン(30mg/ml)または卵アルブミンのアミノ酸257−264に相当
する合成ペプチドのいずれかを含有する電気穿孔緩衝液(燐酸緩衝化食塩水、1
mMヘペス、0.4Mマンニトール;さらにキモスタチンを適当な群に添加した
)に再懸濁した。次に、この再懸濁された細胞を、ジブコBRL(ガイサースバ
ーグ、MD)からのセル−ポレイター上で、4℃で、高オーム、キャパシタンス
1180の設定で電気穿孔に付した。細胞を4℃で4回洗浄し、引続きキモスタ
チンの存在下または不在下に37℃で2時間インキュベートした。この2時間の
インキュベーションの後に、細胞を1%パラホルムアルデヒドにより室温で10
分間固定し、その後洗浄した。
抗原提示検定
示された数の固定された抗原提示細胞を、105のRF33.70細胞(OV
A+Kb特異性T−Tハイブリドーマ)と共に、200μlのミクロ培養中で2
個ずつインキュベートした。37℃で18時間後、培養上清のアリコート(10
0μl)を収穫し、ロック等、1990aおよび1990bに記載のように、H
T−2細胞を用いてIL−2含有量について検定した。
図8の詳細な説明
図8は、卵アルブミン(OVA。左側の図)および卵アルブミンペプチド(右
側の図)のMHC−I提示を示している。左側の図では、APCをキモスタチン
有り(白抜きの丸)または無し(塗りつぶした丸)で処理し、卵アルブミンと共
に電気穿孔した。右側の図では、APCをキモスタチン有り(白抜きの丸)また
は無し(塗りつぶした丸)で処理し、卵アルブミンペプチドと共に電気穿孔した
。
左側の図は、キモスタチンが、クラスIMHC分子による卵アルブミンの提示
を阻害することを証明している。右側の図は、キモスタチンが、電気穿孔された
ペプチドの提示を阻害しないことを証明している。この結果は、抗原提示の阻害
が、卵アルブミン蛋白から卵アルブミンペプチドへのプロセシングをキモスタチ
ンが阻害することによって起こっていることを示すものである。
実施例4 プロテアソームの内因性インヒビターの単離。
実施例7に示されるように、プロテアソームの蛋白分解活性を阻害する、プロ
テアソームの40kDaポリペプチド調節物質が、網状赤血球から精製され、そ
してこれは、その放出が蛋白分解を活性化すると思われる、ATP結合蛋白であ
ることが示された。単離されたインヒビターは250kDaの多量体として存在
し、かなり不安定である(42℃において)。これはATPまたは加水分解を受
けないATP類似体の添加により安定化されるが、精製されたインヒビターはプ
ロテアソーム機能の阻害にATPを必要とせず、ATPアーゼ活性を欠く。この
インヒビターは、1500kDaの蛋白分解複合体の必須構成成分に相当するこ
とが示された。網状赤血球がATPを涸渇すると、1500kDa UCDEN
は見いだされない。これに代わり、ギャノス等は、CF−1、CF−2およびC
F−3と表示される3個の構成成分を同定した(J.Biol.Chem.、2
63巻12412−12419頁(1988))。本明細書に記載のように単離
されたインヒビターは、多くの基準によりCF−2と同一であるように思われる
。これらの発見は、このインヒビターがUCDEN複合体のATP依存機作にお
いて役割を果たしているという考えを示している。例えば、蛋白の分解中に、こ
の1500kDa複合体中で、ATPの加水分解が40kDaインヒビターの機
能的放出を導き、これが一時的なプロテアソーム活性を可能にし、そしてユビキ
チン化蛋白がこの機作の引金を引くということが考え得る。
この精製された因子は、蛍光生成テトラペプチドおよび蛋白基質の両方のプロ
テアソームによる加水分解を阻害することが示された。インヒビター、プロテア
ソームおよび部分精製されたCF−1をATPおよびMg2+の存在下で混合する
と、1500kDa複合体が再構成され、Ub−125I−リゾチームの減成が起
こった。
この、プロテアソームの複数のペプチダーゼ活性のインヒビターの単離は、薬
理学的介入のための魅力的な部位を利用可能とする。後述するように、これは、
プロテアソームインヒビターの開発に有用な情報を提供するためにその構造的お
よび機能的特徴が評価される、天然のインヒビターを提供する。
材料および方法
DEAEセルロース(DE−52)、CMセルロース(CM−52)、および
ホスホセルロース(P11)はファットマンから入手した。Ub−複合体形成酵
素(E1、E2およびE3)はUb−セファロース親和カラムクロマトグラフィ
ーを用いて単離し(ハーシュコ等、J.Biol.Chem.、258巻8206−82
15頁(1983))、Ub−125I−リゾチーム複合体の製造に使用した(ハ
ーシュコおよびヘラー、Biochem.Biophys.Res.Comm.、128巻1079−
1086頁(1985))。使用された他の全ての材料は前記実施例に記載の通
りであった。
精製
フェニルヒドラジン注射により誘導されたウサギの網状赤血球を調製した(前
記の通りに、またはグリーン・ヘクタールズ(オレゴン、WI)から購入)。こ
れらは、記載に従って2,4−ジニトロフェノールおよび2−デオキシグルコー
スと共にインキュベーションすることにより、ATPを涸渇させた(シーチャノ
ーヴァー等、Biochem.Biophys.Res.Comm.、81巻1100−1105頁(
1978))。次に溶菌液を調製し、DE−52クロマトグラフィーに付した。
0.5M KClによって溶出した蛋白(ハーシュコ等、J.Biol.Chem.、25
8巻8206−8214頁(1983))を硫酸アンモニウムを用いて80%飽
和まで濃縮し、10000xgで20分間遠心し、そして20mMトリス
HCl(pH7.6)、1mM DTT(緩衝液A)に懸濁した。同じ緩衝液に
対して充分透析を行なった後、蛋白(画分II)を0.5mM ATP中−80
℃で保存するか、またはさらに分画した。
画分II(−200mg)をUb−セファロースカラムに適用し、Ub複合体
形成酵素を特異的に溶出させ(ハーシュコ等、J.Biol.Chem.、258巻82
06−8214頁(1983))、Ub−リゾチームの作成に使用した(ハーシ
ュコおよびヘラー、Biochem.Biophys.Res.Comm.、128巻1079−10
86頁(1985))。吸収されなかった画分を硫酸アンモニウムを用いて38
%飽和とし、ギャノス等により記載のように20分間混合した(ギャノス等、J
.Biol.Chem.、263巻12412−12419頁(1988))。
沈澱した蛋白を、10000xgで15分間遠心することにより集めた。ペレッ
トを緩衝液Aに再懸濁し、再度硫酸アンモニウムで38%飽和とした。沈澱した
物質を上のように集め、次いで10%グリセロールを含有する緩衝液Aに懸濁し
た。この緩衝液に対して透析した後、0−38%のペレットを、10%グリセロ
ールを含有する緩衝液Aで平衡化したモノQ陰イオン交換カラム上でクロマトグ
ラフィーに付した。蛋白を、20から400mMに至るNaCl直線勾配60m
lを用いて溶離した。プロテアソームのペプチダーゼ活性を阻害した画分をプー
ルし、濃縮し、次いで、100mM NaClおよび0.2mM ATPを含有
する緩衝液Aで平衡化したスーパーロース6(HR 10/30)ゲル濾過カラ
ムクロマトグラフィーに付した。このカラムに流速0.2ml/分で流し、1m
lの画分を集めた。二回目の、より狭いモノQクロマトグラフィー勾配(50か
ら300mMに至るNaCl)により、このインヒビターのさらなる精製を達成
し、これは、SDS−PAGEおよびクマシー染色後に40kDaのバンドのみ
が見える、インヒビターの鋭いピークを与えた。プロテアソームに対する阻害活
性を有する画分をプールし、20mM KH2PO4(pH6.5)、10%グリ
セロール、1mM DTTおよび1mM ATPを含有する緩衝液Bに対して透
析した。次にこの試料を、緩衝液Bで平衡化した2mlのホスホセルロースカラ
ムに適用した。カラムをこの緩衝液4ml、その後この緩衝液4ml、その後N
a
Cl 20、50、100、400または600mMのいずれかを含有する緩衝
液B4mlで洗浄した。
部分的に純粋なCF−1を得るために、100ないし240mMのNaClか
ら溶出したモノQ画分をプールし、1mlに濃縮し、そして100mM NaC
lおよび0.2mM ATPを含有する緩衝液Aで平衡化したスーパーロース6
カラムに適用した。およそ600kDaにおいて溶出した画分をCF−1含有画
分として使用した。
二つの38%硫酸アンモニウム沈澱の上清からプロテアソームを単離した。こ
の上清を硫酸アンモニウムで80%飽和とし、20分間混合した。沈澱した蛋白
を遠心によって集め、緩衝液Aに再懸濁し、この緩衝液に対して充分透析した。
このプロテアソームを、先に記載のようにモノQ陰イオン交換クロマトグラフィ
ーにより分離し、その後スーパーロース6上でゲル濾過した(ドリスコルおよび
ゴールドバーグ、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻789−791頁(1
989))。
網状赤血球の画分IIを、50mMトリスHCl(pH7.6)中、2mMA
TP、5mM MgCl2の存在下に37℃で30分間インキュベートすること
により、1500kDa蛋白分解複合体を生成させた。38%飽和とした硫酸ア
ンモニウムで沈澱化させた後、ペレットを10分間の10000xgで集め、緩
衝液Aに懸濁し、そしてモノQ陰イオン交換およびスーパーロース6クロマトグ
ラフィーによって単離した。
検定
個々のカラム画分を1mM ATPの存在下に37℃で10分間プロテアソー
ムとプレインキュベートすることにより、プロテアソームの阻害を測定した。プ
レインキュベーションの後、反応管を氷上に置き、125I−リゾチームまたはS
uc−LLVY−MCAのいずれかを添加した。125I−リゾチームについては
37℃で60分間、Suc−LLVY−MCAについては10分間反応を実施し
た。蛋白の加水分解を10%トリクロロ酢酸に可溶性の放射活性の産生を測定す
ることにより、そしてペプチドの加水分解をメチルクマリル−7−アミドの放出
により、検定した(ドリスコルおよびゴールドバーグ、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA、86巻789−791頁(1989))。Ub複合体化125I−リゾチ
ームの減成を、27℃で60分間検定した。反応は5mM EDTAまたは2m
M ATPおよび5mM MgCl2を含み、10%トリクロロ酢酸の添加によ
り反応を停止させた。
結果
インヒビターの単離
プロテアソームがインビボでどのように調節されているか、そしてこれがUb
複合体減成複合体にどのように機能しているかを理解するために、本出願人等は
、その活性に影響する因子を単離しようと試みた。網状赤血球の画分IIを、0
−38%または40−80%で沈澱する画分中へ、硫酸アンモニウムを用いて分
離した。後者の画分をプロテアソームの単離に使用した。この粒子(ATP涸渇
網状赤血球からこのようにして得られた)は125I−リゾチームおよびSuc−
LLVY−MCAに対して認め得る活性を示し、これはATPとは独立していた
(イータン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻7751−7755頁
(1989);ドリスコルおよびゴールドバーグ、J.Biol.Chem.、265巻
4789−4792頁(1990))。プロテアソームまたは0−38%画分の
いずれも、Ub複合体化125I−リゾチームに対して有意な活性を示さなかった
(イータン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻7751−7755頁
(1989);ドリスコルおよびゴールドバーグ、J.Biol.Chem.、265巻
4789−4792頁(1990))。しかしなから、かつて報告されたように
、ユビキチン化リゾチームのATP依存減成は、プロテアーゼおよび0−38%
画分をATPの存在下で一緒にプレインキュベートした後に観察された。
次に、0−38%沈澱化物質をモノQ陰イオン交換を用いて分離し、各々の画
分を、Suc−LLVY−MCAまたは125I−リゾチームに対するプロテアソ
ーム活性に影響を及ぼす能力について検定した。カラム画分をプロテアソームと
共に10分間プレインキュベートし、次いでいずれかの基質を添加した。いずれ
のカラム画分も、それ自身だけでは有意な加水分解活性を示さなかった。阻害活
性のピークは240ないし280mM NaCl近辺で溶出された。これは両基
質に対する蛋白分解活性を有意に低下させた。リゾチームおよびペプチドの加水
分解は同程度に阻害された。
阻害活性をさらに精製するために、活性な画分をプールし、ゲル濾過によるク
ロマトグラフィーに付した。インヒビターは、見かけ分子量約100−150k
Daの鋭いピークとして溶出した。
次にこの活性画分をプールし、プロテアソームの基質加水分解活性を阻害する
能力について検定した。インヒビター濃度が上がるにつれて、プロテアソーム活
性は125I−リゾチームおよびSuc−LLVY−MCAの両方の基質について
直線的に低下したが、阻害の程度は、調製試料間で大きく変動していた。
インヒビターは1500kDa蛋白分解複合体の構成成分である。
インヒビターと同様に、1500kDa蛋白分解複合体(CF−2)の一つの
構成成分が、約250kDaの分子量を有すると報告された。インヒビターがC
F−2に対応するかどうかを試験するため、ゲル濾過により得られたインヒビタ
ーをホスホセルロースクロマトグラフィーに付した。イータン等は、CF−2が
ホスホセルロースに対して親和性が殆ど無く、100mM未満のNaClにより
溶出されることを記載した。これに合致して、本出願人等は、阻害活性がフロー
スルーおよび20mMNaCl溶出液中に回収されることを見いだした(即ち、
CF−2活性が報告された領域)。次いで個々のホスホセルロース画分を、ユビ
キチン化リゾチームの減成を再構成する能力について検定した。個別的にまたは
合した場合、プロテアソームおよびCF−1含有画分はユビキチン化リゾチーム
の迅速な分解を支持しなかった。しかしながら、この混合物をインヒビター活性
のピークと合すると、Ub−125I−リゾチームの減成速度は明確に上昇した。
他のいずれのホスホセルロース画分もこの工程を剌激しなかった。
これらの結果は、インヒビターがCF−2に対応する事、そしてそれ故にUb
−ライゲーションした蛋白の加水分解にとって必須である事を強く示唆する。C
F−2の珍しい性質の一つは、これが42℃に加熱される時かなり不安定である
が、ATPにより安定化されることである(ギャノス等、J.Biol.Chem.、
263巻12412−12419頁(1988))。プロテアソームのインヒビ
ターがCF−2に対応するかどうかをさらに試験するため、精製されたインヒビ
ターをATPまたは加水分解され得ない類似体AMPPNP有りまたは無しで4
2℃でプレインキュベートした。プロテアソームを添加し、10分後にペプチダ
ーゼ活性を検定した。阻害の程度は、ヌクレオチド添加無しのプレインキュベー
ション中に速やかに低下した。ATPまたはAMPPNPいずれかの存在は、こ
の活性喪失を防止した。さらに、Ub−複合体化リゾチームの減成を再構成する
この物質の能力もまた、42℃のインキュベーション中に速やかに低下し、AT
PまたはAMPPNPの添加(示されていない)がこの活性化を防止した。Ub
−複合体の減成の阻害および再構成は類似の不活性化速度を示し且つATPによ
り同じように安定化されたことから、これら二つの機能は恐らく、ATPと結合
するらしい一つの分子に存在していると思われる。
ATPは阻害因子を安定化するが、これはプロテアソームの阻害に必須である
訳ではない。ATP有りまたは無しでこのインヒビターを20分までプロテアソ
ームとプレインキュベートした後に、同じような程度の阻害が観察された。それ
にも拘らず、ATPによる安定化のためにこのヌクレオチドは全てのインキュベ
ーションに対して画一的に添加された。
SDS−PAGEにより分析する時、インヒビター調製物は40kDaの主要
なバンドを示した。この40kDaサブユニットが1500kDa複合体のサブ
ユニットのいずれかに対応するかどうかを試験するため、画分IIをMg2+−A
TPと共にインキュベートすることにより1500kDa複合体を生成させ、陰
イオン交換およびゲル濾過クロマトグラフィーにより単離した。これらの活性画
分のSDS−PAGEは、この複合体についてかつて報告されたものと類似の多
くのポリペプチドを示した(ハウ等、J.Biol.Chem.、262巻8303−8
313頁(1987);ギャノス等、J.Biol.Chem.、263巻12412−
125419頁(1988);E.イータン等、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、86巻7751−7755頁(1989))。しかしながら、容易に見える
40kDaのバンドが、この画分において明らかであった。プロテアソー
ムに付随する蛋白の問題にさらに取り組むため、画分IIを抗プロテアソームモ
ノクローナル抗体を用いて免疫沈降させ、SDS−PAGEにより分析した。U
b複合体減成活性は、画分IIの免疫沈降時に除去されることがかつて見いださ
れている(マシューズ等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻2597−
2601頁(1989))。免疫沈降物のSDS−PAGEの際、本出願人等は
、他の、より高い分子量のバンドと共に、20ないし34kDaの範囲の特徴的
なプロテアソームサブユニットの組を観察した。重要なことに、インヒビターの
バンドに類似し、且つ部分精製複合体において見られたバンドに類似する、40
kDaのバンドが、この免疫沈降物中に検出された。
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(1992)。
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巻331−40頁(1988)。
等価物。
当業者は、常套的実験法以上のものを使用せずに、本明細書に記載の発明の個
別的態様に対する多くの等価物を認め、または確かめることができるであろう。
このような等価物は以下の請求項により包含されることが意図されている。
配列表
(1) 一般的情報
(i) 特許出願人:ザ・プレジデント・アンド・フェローズ・オブ・
ハーバード・カレッジ
ダナ・ファーバー・キャンサー・インスティテュート
(ii) 発明の名称:MHC−1拘束性抗原提示におけるATP−ユビキチン
依存蛋白分解の役割およびそのインヒビター
(iii) 配列の数:3
(iv) 連絡先:
(A) 名宛人:スターン・ケスラー・ゴールドステインアンドフォックス
(B) 通り:スイート600、ニューヨーク・アベニュー1100番
(C) 市:ワシントン
(D) 州:ディー・シー
(E) 国:アメリカ合衆国
(F) ZIP:20005−3934
(v) コンピューター解読書式
(A) 媒体型:フロッピーディスク
(B) コンピューター:IBM PC適合
(C) オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−DOS
(D) ソフトウエア:パテントイン・リリース#1.0、
バージョン#1.25
(vi) 本出願のデータ:
(A) 出願番号:未帰属
(B) 出願日:27−JAN−1994
(C) 分類:
(viii) 弁理士/代理人情報
(A) 氏名:ゴールドステイン、ジョージ・エイ
(B) 登録番号:29,021
(C) 参照/整理番号:1448.003PC00
(ix) 電話連絡先情報:
(A) 電話番号:(202)371−2600
(B) ファックス番号:(202)371−2540
(2) 配列番号1の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:50
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:両形態
(xi) 配列:配列番号1:
(2) 配列番号2の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:8
(B) 型:アミノ酸
(D) トポロジー:両形態
(xi) 配列 配列番号2:
(3) 配列番号3の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:4
(B) 型:アミノ酸
(D) トポロジー:両形態
(ix) 配列の特徴
(A) 特徴を表す記号:修飾部位
(B) 存在位置:1..4
(D) 他の情報:/note=配列Leu Val Val Tyrは、構造Suc-Leu Val Val
Tyr-MCAを持った修飾ペプチドの一部である。
(xi) 配列:配列番号3:
(xi) 配列:配列番号3:
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,UZ,VN
(72)発明者 ロック、ケネス・エル
アメリカ合衆国02167マサチューセッツ州、
チェスナット・ヒル、ウォルナット・ヒ
ル・ロード145番
【要約の続き】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.抗原提示細胞においてMHC−I抗原提示を阻害する方法であって、該細 胞を、阻害剤が該細胞に入るのに好適な条件下で、ATP−ユビキチン依存経路 による細胞内蛋白の蛋白分解を阻害するインヒビターと接触させることからなる 方法。 2.該インヒビターがプロテアソームのペプチダーゼを阻害し、該ペプチダー ゼが、 a)塩基性残基の後ろでの開裂; b)疎水性残基の後ろでの開裂;および、 c)a)およびb)の組合せ、 より成る群から選ばれる活性を有する、請求項1に記載の方法。 3.該インヒビターがペプチドアルデヒドである、請求項2に記載の方法。 4.ペプチドアルデヒドがキモスタチンおよびロイペプチンより成る群から選 ばれる、請求項3に記載の方法。 5.該インヒビターが細胞内蛋白のユビキチン複合体形成を阻害する、請求項 1に記載の方法。 6.該インヒビターが、 a)ユビキチン活性化酵素とも呼称されるE1; b)ユビキチン−担体蛋白とも呼称されるE2;および、 c)ユビキチン−蛋白リガーゼとも呼称されるE3、 より成る群から選ばれる蛋白を阻害する、請求項5に記載の方法。 7.E1のインヒビターがアデニル酸ユビキチンの基質類似体である、請求項 6に記載の方法。 8.組織を、インヒビターが組織内の抗原提示細胞に入るのに好適な条件下で 、ATP−ユビキチン依存経路による細胞内蛋白の蛋白分解を阻害するインヒビ ターと接触させることからなる、哺乳動物組織の細胞溶解性免疫反応を阻害する 方法。 9.該インヒビターが、 a)塩基性残基の後ろでの開裂および疎水性残基の後ろでの開裂より成る群か ら選ばれる、プロテアソームのペプチダーゼによる開裂; b)ユビキチン複合体形成;および、 c)a)およびb)の組合せ、 より成る群から選ばれる、蛋白分解における一つの工程を阻害する、請求項8に 記載の方法。 10.該インヒビターが、 a)ユビキチン活性化酵素とも呼称されるE1; b)ユビキチン−担体蛋白とも呼称されるE2;および、 c)ユビキチン−蛋白リガーゼとも呼称されるE3、 より成る群から選ばれる蛋白を阻害する、請求項9に記載の方法。 11.個体に、該インヒビターが個体内の抗原提示細胞に入るのに好適な条件 下で、ATP−ユビキチン依存経路による細胞内蛋白の蛋白分解を阻害するイン ヒビターを投与することからなる、個体の細胞溶解免疫反応を阻害する方法。 12.該インヒビターが、 a)塩基性残基の後ろでの開裂および疎水性残基の後ろでの開裂より成る群か ら選ばれる、プロテアソームのペプチダーゼによる開裂; b)ユビキチン複合体形成;および、 c)a)およびb)の組合せ、 より成る群から選ばれる、蛋白分解における一つの工程を阻害する、請求項11 に記載の方法。 13.個体に、該インヒビターが個体内の抗原提示細胞に入るのに好適な条件 下で、ATP−ユビキチン依存経路による細胞内蛋白の蛋白分解を阻害するイン ヒビターを投与することからなる、個体の自己免疫疾患の治療または防止の方法 。 14.該インヒビターが、 a)塩基性残基の後ろでの開裂および疎水性残基の後ろでの開裂より成る群か ら選ばれる、プロテアソームのペプチダーゼによる開裂; b)ユビキチン複合体形成;および、 c)a)およびb)の組合せ、 より成る群から選ばれる、蛋白分解における一つの工程を阻害する、請求項13 に記載の方法。 15.個体に、該インヒビターが個体内の抗原提示細胞に入るのに好適な条件 下で、ATP−ユビキチン依存経路による細胞内蛋白の蛋白分解を阻害するイン ヒビターを投与することからなる、個体による外来組織の拒絶を低減する方法。 16.該インヒビターが、 a)塩基性残基の後ろでの開裂および疎水性残基の後ろでの開裂より成る群か ら選ばれる、プロテアソームのペプチダーゼによる開裂; b)ユビキチン複合体形成;および、 c)a)およびb)の組合せ、 より成る群から選ばれる、蛋白分解における一つの工程を阻害する、請求項15 に記載の方法。 17.外来組織が、移植された臓器または移植片である、請求項15に記載の 方法。
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