JPH08507687A - 遺伝子治療用の改良されたベクター - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
遺伝子の転移のための改良された組換えトランスボゾンのベクターが開示される。合成ベクターは、ベクターの増殖に使用したヘルパー細胞の中に見出されるレトロウイルスのヘルパー配列との相同組換えを減少するか、あるいはそれをまったく排除するように、切形とされ、ヒトにおける使用のために安全とされ、そして治療の遺伝子のためのいっそ多い空間を提供する。べクターは外来DNAを効率よく伝達し、安定であり、レトロトランスポゾンの転写プロモーターから豊富なRNAの発現を可能とし、そしてそれらの多様性のために、治療およびトランスジェニックスにおける多数の有用な応用を可能とする。一次の細胞において発現を得る組織特異的プロモーターをレスキューする方法、ゲノムをマッピングする方法および治療およびトランスジェニックの利用の他の技術が記載される。
Description
【発明の詳細な説明】
遺伝子治療用の改良されたベクター
技術分野
本発明は、遺伝子治療、遺伝子の転移および遺伝子の発現の分野に関する。本
発明は、従来のウイルスのベクターから到達可能な安全性および遺伝子の発現の
レベルを増加するために殊に有用である。
背景の技術
遺伝子治療は外来遺伝子を患者の細胞または組織の中に導入して、遺伝的障害
または他の疾患、例えば、癌またはエイズを処置することを包含する。遺伝子治
療を使用する初期の成功は、好ましいレトロウイルス由来のベクターを使用して
、癌細胞を標識することができる遺伝子を挿入するか、あるいは癌、あるいは重
症複合型免疫不全症のような疾患を処置することができる遺伝子を挿入すること
を包含した(Anderson,WF,1992,Science 256:808−813の中に概観されてい
る)。Rosenbergおよび彼の同僚により癌の遺伝子治療を使用する初期の実験に
おいて、進行した転移性黒色腫の2人の患者は遺伝子治療後に緩解を経験した(
Rosenberg,SA,1992,J.Amer.Med.Assoc.268,2416−2419)。しかしなが
ら、このようなレトロウイルスのベクターから延長した期間の間許容できるレベ
ルの発現を達成することは困難でありかつしばしば不可能である。
最近まで、遺伝子治療の実験は広い再調査後にのみ実施され、そして制限され
た数の患者のみが処置されてきている。このような注意のための主要な理由は、
患者の細胞および染色体の中に遺伝子を
送り込むために使用される、レトロウイルス誘導ベクターの使用に関連する問題
に由来する。最も困難な問題は、ドナー細胞の中に存在する、関係するレトロウ
イルス由来ヘルパー遺伝子配列を遺伝的に組換えられる、レトロウイルス由来ベ
クターの能力であった。レトロウイルスのベクターの配列+レトロウイルスのヘ
ルパー配列を一緒に組み合わせると、ウイルスのゲノムのほぼ全体が構成される
。これらの2つの部分が再結合するとき、感染性および発癌性のウイルスを生じ
、このウイルスは完全に発達した感染に進行し、マウスおよび霊長類において特
徴的なウイルス血症および癌に導くことができる。例えば、アメリカ保険協会(
The National Institutes of Health)において遺伝子治療の実験を行っている
3匹のサルはリンパ腫から死亡し、このリンパ腫は引き続いてウイルスを増殖す
るために使用した細胞内の組換え事象であることが突き止められた(Donahue,R
Eら、1992,J.Exp.Med.176,1125−1135)。さらに、レトロウイルスのベク
ターは細胞に入った後しばしば転写的に沈黙する。哺乳動物の細胞はウイルスの
プロモーターDNAのある種の領域(CPG島と呼ばれる)にメチル基をしばしば結合
させ、RNAの転写を明らかに妨害することが認められた(Hocben,RCら、1991,J
.Virol.65:904−912)。CpG残基のこのメチル化は、主として細胞、例えば、
ウイルスの中に入る外来DNAからの発現を排除する宿主の防御機構であると仮定
された。不都合なことには、それはまた治療の遺伝子を送り出すために使用され
たウイルスのベクターからの発現を減少し、こうしてそれらの有効性を減少する
。この問題は細胞に対して外来でないベクターの使用により克服することができ
る。
ウイルスのヘルパー配列に対する相同性をもたず、こうして複製コンピテント
ウイルスの生成に導く相同組換えの可能性を防止する
ベクターを発明することは非常に望ましいであろう。第2に、発癌性表現型をも
たないか、あるいは少なくとも大きく減少した発癌性表現型を有するベクターを
使用できれば、望ましいであろう。第3に、ベクターが細胞の中で調節された発
現を生成する増強された能力をもつ転写プロモーターを有した場合、最良であろ
う。第4に、ベクターがそれらの転写プロモーターの中でCpGメチル化「島」を
欠如し、そして生きている組織の中で通常発現される場合、最良であろう。最後
に、不必要な遺伝的配列の負荷を減少し(こうして外来治療遺伝子のためにより
多い空間を提供し)、有用なクローニング部位および調節部位を含め、そして一
般に変化可能なベクターを作り、それを広範な種類の遺伝物質の送り出しのため
に容易に適合させることができるようにすることによって、ベクターがヒト遺伝
子治療のための適当とされかつ便利とされた場合、最良であろう。すべてのこれ
らの目標が達成された場合、ヒト遺伝子治療は非常に安全とされ、かついっそう
効率的とされるであろう。これは、引き続いて、個体の病気の群、例えば、米国
単独において毎年癌で死亡する約百万人の人々の間における遺伝子治療の広い実
行を可能とするであろう。こうして、救命技術としての遺伝子治療の実行は、現
在入手可能なレトロウイルスのベクターを越えた技術の1つではなく、いくつか
の改良を必要とするであろう。
これらの技術的目標に到達する制限された進歩が最近報告された。例えば、Te
minおよび彼の同僚は異なる由来のウイルスを組み合わせて、ヘルパー細胞にお
ける相同性および相同組換えを減少することに成功した(米国特許第5,124,263
号)。オンコジーンの転写プロモーターはウイルスのベクターの3′末端におい
て欠失を作ることによって不活性化された。これらの変化は、より安全なヘルパ
ー細胞系の使用(米国特許第5,124,236号)と組み合わせると、相
同組換え速度を事実減少させたが、生ずるウイルスの力価は失望するものであっ
た。他の研究者らは、伝達のためのウイルスの遺伝子を作る核酸配列の間のオー
バーラップおよび相同性が少ない、より安全なヘルパー細胞系を案出した(Mark
owizら、1988,J.Virol.62,1120−1124:Markowizら、Virology 167,400−4
06;W09205266)。力価はウイルスの感染の有効性を制限するので、重要であり
、そして無傷のgagヘルパー遺伝子配列を大きい部分を有し、こうして相同組換
えおよびRCRのレベルを増加するレトロウイルスのベクターを使用すると、最高
の力価は達成される。この問題はウイルスのgag遺伝子の中に複数の突然変異を
導入することによって部分的に克服することができるが、ベクターは相同組換え
にまだ参加することができ、そして一般に完全にオンコジーンの転写プロモータ
ーを有する。レトロウイルスのベクター学の背景を、特許されたベクターおよび
一般のドメインの技術における最近の進歩と一緒に、出願人は概観した(Hodgso
n,CP,1993,Curr.0pin.Thera.Patents,3:223−235)、そのコピーを添付
しそしてそれをこの出願において、他の参考文献と一緒に、完全に記載されるよ
うに言及する。
従来、出願人はレトロトランスポゾンを使用する遺伝子転移の方法を包含する
特許出願(係属中)(米国特許出願第07/603,635号、1990年10月25日提出、お
よび引き続く継続出願;また、W092/07950)を提出し、これは細胞間の遺伝子
の転移および発現のための非ウイルス移動性遺伝要素(VL30)の最初の使用を記
載している。従来のベクターは複数競合オンコジーンのウイルス族から誘導され
た複製競合または欠陥ウイルスを使用し、こうして組換えおよび腫瘍形成を促進
した。現在までの選択のウイルス、モロニーネズミ白血病ウイルス(MoMLV)は
、また、現在ヒト遺伝子治療において使用され
ているものを包含する、ヘルパー細胞系において最も普通に使用されているベク
ターである(Miller,AD、およびButtimore,C,1986,Mol.Cell.Biol.6:28
95-2902;(米国特許(USA)第4,861,719号)。本発明は、ある数の修飾および改
良によりヒト遺伝子治療ために有用とされる、新しいレトロトランスポゾンVL30
ベクターを記載する。
遺伝子治療のための転位可能な遺伝的要素の使用は、McClintock(McClintock
,B,1957,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.21:197−216)により最
初に記載された、進展的な重要性を有する自然の延長であり、そして過去におけ
る遺伝子治療のベクターのための病原性因子の使用からの基本的新発展を表す。
出願人が前の出願に記載した移動性要素のVL30ベクターは、マウスの生殖細胞
系の中に100〜200コピーで存在するマウスのレトロトランスポゾンから作られた
。マウスにおけるこれらの遺伝子のいくつかのLTR転写単位およひ完全なゲノム
は出願人および他の研究者らにより特性決定され(Hodgson,CPら、1983,Mol.
Cell.Biol.3:2221−2231;Adams,SEら、1988,Mol.Cell.Biol.8:2989−
2998:Hodgson,CPら、1990,Nucleic Acids Res.18:673)、そしてLTRプロモ
ーターからの転写は、リポーター遺伝子、RNAブロッティング技術などを包含す
る、細胞培養における種々の方法により観察された(Norton,JD、およびHogan
,BL,Dev.Biol.125:226-228;Rotman,G.ら、1986,NucleicAcidsRes.14:645
−658)。VL30と他の型の転位可能な要素、例えば、ショウジョウバエ科(Droso
phila)(ショウジョウバエ)および酵母の中に見出されるものと比較すると、
それらは共通の特徴、例えば、プライマー結合部位を有することが示された。こ
れは、それらがレトロウイルスに類似する方法で複製することを示唆した。しか
し酵母、マウス
、およびショウジョウバエ科(Drosophila)の中に非常に豊富に見出される要素
は、レトロウイルスと比較して疾患表現型の顕著な欠如を有した。今日まで配列
決定されたマウスVL30ゲノムはウイルスの構造遺伝子をもたない(参照、Adams
ら、1988前掲;また、Hodgsonら、1990前掲)。その代わり、それらは未知の機
能をもつ内部の保存された配列を含有し、この配列は長いオープンリーディング
フレームを含有するように思われない。MoMLVプロウイルスと異なり、それらはi
n vivoで豊富に発現される。この開示において、転写にマイナスの効果を与えな
いで、驚くべき量の内部の配列を除去し、そして受容細胞においてVL30により送
り出されかつ発現することができる、促進配列または追加の有用な遺伝子と置換
することができることをわれわれは初めて証明する。これは引き続いてより多い
遺伝物質を後に付加できるようにする。表現型のそれらの顕著な欠如にかかわら
ず、VL30遺伝子はレトロウイルスの感染の存在下に、あるいはレトロウイルスの
ヘルパー細胞の中で、ウイルス粒子の中にコパッケージ(copackage)して細胞
ゲノムから逃れそしてウイルスの伝達の間に新規な宿主細胞の中に入るそれらの
生得的能力を使用して、移動化することができる。こうして、それらは非ウイル
ス遺伝情報を伝達する追加の手段を提供する。次いで、この情報は同一細胞内の
異なる位置に、同一生物の異なる細胞に生殖細胞系の中に、異なる器官の細胞に
、あるいは生物の間または種の間に伝達することができる。
工業的実行可能性
したがって、私の前の特許出願に記載するレトロトランスポゾンのベクターの
目的および利点に加えて、本発明は追加の商業的および工業的寄与を提供し、例
えば、
(a)比例的により大きい量のインサートDNAを伝達および発現することがで
きる、非常により小さいベクター、
(b)御しやすいクローニング部位、選択可能なマーカー遺伝子、転写プロモ
ーター、および/または発現の直接可視化を可能とするリポーター遺伝子、
(c)発現細胞から選択のプロモーターを捕捉することによって、組織特異的
、発生特異的、またはホルモン特異的発現を発生する方法、
(d)毒性または転位した遺伝子を受容細胞、例えば、癌細胞に、送り出し細
胞または遺伝子の挿入のために標的を向けない他の細胞に影響を与えないで、送
り出す方法、
(e)オリゴヌクレオチドにおける高度に特殊のコーディング固有性を種々の
遺伝子増幅技術から現在達成可能な特異性と組み合わせることによって作られた
、完全に合成の生成物であるベクターを案出し、こうして、本発明以前の技術水
準であったような、生きている生物の中で成長したDNAから入手可能な制限断片
をサブクローニングする正確さに劣る方法を使用するよりむしろ、当業者が望む
配列に精確に適合するように生物学的に活性なベクターを作ることができるよう
にする証明された方法および戦略、および
(f)レトロウイルスのヘルパー系に対して相同のわずかを除外したすべての
塩基対を排除し、こうして、複製競合レトロウイルスに導くことがある組換え事
象を防止する方法、
を提供する。
なお他の工業的寄与は次の説明および図面を考察すると明らかとなるであろう
。
発明の開示
本発明の一般的方法およびいくつかの好ましい態様は第1図および第2図にお
いて見られる。1つのこのような態様(第2a図)は大きく減少したVL30レトロ
トランスポゾンのゲノムを包含し、ここで非必須VL30配列のほとんどすべてが存
在しない。示す例において、広範な合成オリゴヌクレオチド配列は、遺伝子増幅
によりベクターを作るために、プライマー配列と組み合わせて使用された。VL30
プロトタイプ、NVL3の非必須配列の大部分は、この方法において排除されて、1
または2以上の外来遺伝子および/または転写プロモーターまたは他の調節配列
の挿入のための合成制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する、短い、機能的ベク
ター配列を生じた。第2b図は、わずかにより大きいパッケージング領域(+)
、および同様な多重クローニング部位を有する、同様なベクターを示す。全体の
戦略のいくつかの利点は次の通りである;(1)同時により大きい量の外来遺伝
物質の使用を可能としかつ相同組換え部位を排除する、ベクターを伝達するため
に必要なVL30配列の量の減少;(2)2以上の遺伝子を含めることを可能とする
、多重クローニング部位の含有、前記遺伝子はLTRプロモーターから、あるいは
内部のプロモーターからか、あるいは両方から転写される;(3)ベクターのプ
ロモーターから2つの遺伝子を発現するために使用できる2つの型の遺伝情報(
スプライスされたまたはスプライスされない)の可能な発現を許すスプライシン
グシグナルの含有;(4)内部の配列の減少により達成可能なRNAの発現の増加
;および(5)特許された方法の新規な使用(ポリメラーゼ連鎖反応、米国特許
第4,683,202号)、これは伝達、発現および複製を可能とする、完全な、生物学
的に活性なベクターの構成を提供する。
従来、遺伝子の増幅を使用して大きい、生物学的に活性なベクター作ることが
できることは明らかに知られていなかった。なぜなら
、遺伝子の増幅は誤りがちなプロセスであり(Saiki,RK,1968,Science 239:
487−491)、遺伝子の増幅の多数のラウンドにわたって、ならびに分子およびプ
ライマー人工物の末端における誤差により、突然変異が構成されるからである。
しかしながら、技術および材料において開示するように、遺伝子構成のプロセス
の間に所望の生成物を注意してゲル精製することによって、そして末端付近の制
限エンドヌクレアーゼの切断により断片の末端を「磨く(polishing)」ことに
よって、本発明は合成(オリゴヌクレオチドおよびin vivo増幅された)生成物
から完全に構成された生物学的に活性なベクターを達成する。このアプローチの
利点は、従来使用されたベクターの最も生物学的に活性な部分を構成するために
使用されてきている組換えDNA技術の普通のエンドヌクレアーゼ消化/結合型の
正確さに劣る方法に比較して、合成において可能とする正確さである。所望の精
確な配列のみが本発明に包含された。
好ましい形態において、選択可能な遺伝子(ネオマイシンリン酸転移酵素)を
多重クローニング部位の中にクローニングし(第2c図〜第2f図)、薬物G418
を使用する受容細胞の選択を可能とし、遺伝子は転位の証拠なしに反復して継代
することができた。選択可能な遺伝子は、長い末端の反復転写プロモーター(LT
R)からタンパク質として効率よく発現することができる(他の治療遺伝子を追
加の挿入されたプロモーターから推進することができる)ように(第2a図〜第
2e図)、あるいは選択された遺伝子を他のプロモーター、例えば、第2f図に
図解するSV40プロモーターから推進して、追加の(治療)遺伝子を強力なVL30プ
ロモーターから発現できるように、選択可能な遺伝子をまた適合させた。研究者
が多重クローニング部位(MCS)の中に挿入する(構造遺伝子と一緒に)好適なA
TG開始コドンが第1のこのような好適なコドンであり、こうして挿入
された遺伝子のすぐれた発現を可能とするように、ベクターを設計した。対照的
に、ネズミ白血病ウイルス誘導ベクターは転写開始部位の前に複数のATGコドン
を有し、それらのいくつかはATGの前にプリン塩基の3ヌクレオチドを有するこ
とができる。従来記載されたVL30ベクターでさえこのようなベクターにおいて利
用可能な独特部位の前にこのような部位を有した。このような好ましい開始部位
は、普通のレトロウイルスのベクターにおいてLTRプロモーターからの所望の遺
伝子の翻訳を混乱させることがある。ここにおいて使用する方法によると、ATG
開始部位のための第1の好適な関係を含有する遺伝子をここで容易に挿入するこ
とができる。
他の好ましい態様において、多重クローニング部位を含める。このような部位
を含有する本発明を当業者が利用できる方法の1つの例は、第2g図に図解され
ている。好ましい関係のATGコドンをもつインサートを(後者は挿入された配列
の翻訳を可能とするNcoI独特クローニング部位を含む)、可能ならば典型的なリ
ポーター遺伝子(β−ガラクトシダーゼ)、および/または普通の選択可能なマ
ーカー、例えば、ゼオシン(薬物耐性)(これはβ−ガラクトシダーゼとの融合
タンパク質であることができる)とともに含める。示す特定の修飾において、x
−gal、すなわち−ガラクトシダーゼ酵素により青色色素に変換される無色の物
質で細胞を染色することによって、VL30 LTRプロモーターからの発現の相対レベ
ルを決定できる。これにより、研究者は動物の培養した細胞または有機体の中で
調節研究を実行しそして普通の顕微鏡検査により結果を可視化することができる
。追加の特異性について、核局在化配列は酵素による染色をほとんど核に拘束さ
せることができる。
他の好ましいVL30ベクターが示されており、これらのベクターは、最小パッケ
ージング領域に加えて、いわゆるBボックスのモチー
フを包含する、RNAポリメラーゼ3プロモーターに似る1集団の反復を含有する
、付着した機能付与プロトタイプVLPPBNを包含する。これらはRNAポリメラーゼ
3または他の酵素によるか、あるいは逆転写のためのプライマー結合部位(配列
はtRNA末端に対して相補性であり、そしてtRNA末端は逆転写のためのポリメラー
ゼとして作用することが示された)として作用することによって、別のRNA転写
を可能とすることにおいて、それらは有用な調節要素である。1つの修飾は反復
した配列の単一のコピー(VLPPBNの中に見出される4コピー代わりに)を含み、
そして他はまた遺伝物質の挿入のための独特クローニング部位である8bpの配列
により中断された1コピーを含む(それぞれ、VLDNおよびVLCN、第2d図)。こ
れらの形態のベクターは細胞における調節作用の決定を可能とする。
開示する本発明の他の面は、ゲノムから追加のVL30または他のレトロエレメン
トLTRを、あるいはそれらを収容する種からクローニングされた配列をコピーす
る能力である。ここに開示する遺伝子の増幅法は、プライマーの中に高度に保存
されたVL30LTR末端を含めることによって、LTRの選択的遺伝子の増幅をさらに可
能とするであろう。こうして、ここに開示するように、示したプライマーまたは
それらに類似する他のものを使用して、ゲノムDNAまたはクローニングしたDNAか
らLTRをコピーすることが当業者にとって可能である。例えば、いくつかのVL30
素(例えば、NVLlまたはNVL2)は表皮成長因子の刺激またはオンコジーンの形質
転換に対して応答する(後者は癌細胞を不活性化するとき使用するための腫瘍特
異的プロモーターとして有用である)。このような特異的ポリメラーゼはそれら
に対して特異的な細胞型または刺激された細胞状態においてRNAから作られた相
補的DNAからコピーすることができる(逆PCRのための適用キットおよび使用説明
書はセツスパーキン−エルマー
・コーポレーション(Cetus Perkin−Elmer Corp.)、カリフォルニア州エメリ
ビレ、から入手可能である)。あるいは、相補的VL30プロモーターの完全なセッ
トは、普通のPCRを使用して、マウスからの細胞DNAから増幅することができる。
プライマーならびにここに記載するベクターおよび遺伝子の増幅方法は、ゲノム
の左側へのプロモーターの御しやすい挿入および運搬を可能とし、このゲノムか
らそれは含有された遺伝配列の発現を指令することができる(第3図)。多数の
VL30および種々の型の細胞の中に存在する他の移動性遺伝要素から、本発明の特
性の開示から、多数の新規なプロモーターを誘導することができ、それらのプロ
モーターは特定の発生、空間、一時的、またはホルモンの状態に対して応答し、
そして他の細胞において同様な方法において発現を付与するために有用であろう
。こうして、クローニングしそしてここに記載するLTRプロモーターの捕捉のこ
の技術を直ちに使用するために、特定のVL30プロモーターからの特定の発現のた
めの理由を理解することは不必要である。この技術において、プロモーターの捕
捉に使用するベクターは遺伝子治療のベクターとしてまた適合される。なぜなら
、レトロトランスポゾンの伝達の間に、ベクターの3′末端におけるLTRのプロ
モーター(U3)領域はまた5′末端に対してコピーされ、両方のLTRを均一と
するからである。増幅されたLTR遺伝子断片をゲルから単離し、それを示す2つ
の酵素(NotIおよびKpnI)で消化し、そしてその断片を他のゲルから再単離する
ことによって、それを同様に消化しそして精製されたベクター断片、例えば、VL
PPBNの中に自動的に直接クローニングする。
なお他の好ましい態様において、いくつかのU3(プロモーター)領域の配列
を排除し、そして多重クローニング部位を付加することによって、右のLTRをさ
らに修飾する(第4図)。これはその直
ちの使用(前ではなく、転位のときヌルプロモーターとして)を可能とし、ある
いはまた事実上任意のプロモーター−エンハンサー型の要素を、個々にあるいは
前方または後方の向きで2以上の数で、挿入できる部位としてのその使用を可能
とする。この態様の他の使用は任意の遺伝子(例えば、毒性分子をエンコードす
る)を細胞、例えば、癌細胞に、送り出す細胞に毒性を与えないで、送り出すこ
とを可能とすることである。この適用された使用において、ヘルパー細胞として
その使用をまた可能とする方法で(すなわち、ウイルスのヘルパー配列の同時導
入または連続的導入により)受容細胞をトランスフェクションするか、あるいは
VL30遺伝子をそうでなければ導入する。このベクターは毒素、例えば、リシンA
鎖(または同様な毒素、例えば、ジフテリア毒素)の合成エクソン1をエンコー
ドする遺伝配列をLTRプロモーター配列と一緒に有する3′−LTRカッセトを含有
する。受容細胞は毒性分子を生成しないであろう。なぜなら、そのエクソン2は
エクソン1から上流に(すなわち、逆の順序で)存在するが、RNAをパッケージ
しかつ輸出し、ここでRNAの3′末端はDNAの中に逆転写され、このDNAにおいて
5′−LTRはここでエクソン1を包含し、こうしてそれが受容細胞においてのみ
細胞内毒素を生成できるようにするからである。この態様の1例は癌患者からの
腫瘍浸潤リンパ球であり、これは毒性リシン遺伝子を有するウイルス粒子を伝達
する。腫瘍の中で受容細胞が毒性から死亡した後、以前に毒性の分子は細胞外の
環境において無毒となる。なぜなら、それは別の細胞に入ることができるように
する第2のポリペプチド鎖を欠如するからである。しかしながら、それがが隣接
する腫瘍細胞にギャップ接合または他の細胞間接続により転移される場合、それ
はその細胞をまた毒性化するであろう。この機構、および他の理解に劣る機構は
殺す作用を増幅するであろう。この
系は外来遺伝子を有するTIL細胞がつくられる間に自己選択される。なぜなら、
毒性構成体をもたない未感染のTILはヘルパーTILからの感染により殺されるであ
ろうからである。しかしながら、ヘルパー細胞TILは、同一のエンベロープサブ
タイプ(例えば、両栄養性エンベロープ)をもつTILを生成する他のウイルス粒
子により重感染を防止する、ウイルス排除の原理のために殺されないであろう。
こうして、毒性分子は、TIL遺伝子治療の現在の方法に類似する、腫瘍浸潤リン
パ球により特定の標的に安全に送り出されることができる。TILが腫瘍部位への
それらの道を見出しそして腫瘍細胞を感染した後、これらの感染した細胞はいわ
ゆる「バイスタンダー作用」のために殺される未感染の腫瘍細胞と一緒に死亡す
るであろう(WO93/02556,Freemanら)。この態様は、ドナー細胞における同時
の発現なしに、遺伝子または遺伝子生成物を送り出すただ1つの例である。
本発明によれば、当業者はクローニングした遺伝子を独特部位の中に挿入し、
ベクターをウイルスのヘルパー細胞の中にトランスフェクションし、ウイルスを
ヘルパー細胞から収穫し、ここに記載するベクターおよびそれらの誘導体を含有
するウイルス粒子で子孫の細胞を感染し、そして挿入された遺伝子の生成物を生
成する受容細胞を選択することができる。本発明の特定の利点はベクターの大き
さを扱うことである。例えば、第2b図に示すVLPPBNは転写されたRNAのわずか
の1および3/10キロ塩基を有し、しかもそれは完全に発現可能な遺伝情報をウ
イルス粒子を経て伝達し、ベクターのゲノムを二本鎖DNAの中に転写し、受容細
胞のDNAの中に挿入し、そしてLTR転写プロモーターから遺伝物質を発現すること
ができることをわれわれは示した。ベクターVLPPB(第2a図)はまた有効であ
り、そして転写されたRNAのほぼ1.059キロ塩基のみを有する。こ
れはわれわれが知る最小のレトロベクターである。そうでなければヒトにおける
使用に対してベクターを危険とする相同組換えのための機会を減少することに加
えて、ベクターの大きさは、ウイルス粒子の10〜11kbのパッケージング限界を越
えないで、より大きい遺伝子の挿入を可能とする。例えば、筋ジストロフィーの
処置のためのジストロフィンのミニ遺伝子(6〜9kb)をこのベクターの中に挿
入することができる。追加の利点は、レトロウイルスの遺伝子が存在しないので
、ある種のオンコジーンの作用、例えば、複製競合レトロウイルスおよび誘導さ
れたウイルスのベクター、例えば、脾臓壊死ウイルスおよびMoMLVに関連するも
のを防止するために、3′−LTRを不活性化することは不必要であるということ
である。これは引き続いて、また、レトロウイルスのベクターを使用したとき力
価を増加することが示された(ある種の条件下に)ピンポン技術(WO88/08454
)を使用するベクターの安全な増幅を可能とする。他の利点は、モロニーネズミ
白血病ウイルス誘導ベクターにおける17と比較して、U3プロモーター領域の中
にわずかに2つのCpGメチル化部位が存在するだけであるということである。こ
れは、局在化された領域または島を有効とするために8〜12のCpG残基を一般に必
要とする、メチル結合阻害タンパク質による結合のための島をつくるためには十
分ではない。こうして、VL30遺伝子はin vivoで発現されるが、レトロウイルス
の遺伝子はしばしば沈黙している。
この説明は多数の特性を含有するが、これらは本発明の範囲を限定すると解釈
すべきでなく、本発明のある種の典型的な態様の例示を単に提供すると解釈すべ
きである。
したがって、本発明のある種の目的は、次のことを包含する:
a.1または2以上の遺伝子が、簡素化された移動性遺伝要素、例えば、ウイ
ルスの構造遺伝子の配列を含有しないVL30から、移動
性要素のLTR転写プロモーター、あるいは研究者が準備する内部のプロモーター
を使用して発現される、細胞、組織、または生物の中に遺伝子の中に導入するた
めに使用できる、上の種類のレトロトランスポゾンのベクターを提供する、およ
び
b.上の種類の子孫の系統を提供する、
c.種々のウイルス源および非ウイルス源から同様な種類を生産する方法を提
供する。
本発明のこれらおよび他の利点は以下の明細書から明らかとなるであろう。添
付図面を参照する好ましい態様の説明は、有意なレベルにおける発現のために大
きい遺伝子の効率よくかつ正確な伝達を可能とする物質を使用することが重要で
ある、種々の応用、例えば、遺伝子治療ために有用である方法において、本発明
の再現を当業者にとって可能とする。
本発明の範囲は、与えられた実施例によるのではなく、添付する請求の範囲お
よびそれらの法的同等の態様により決定されるべきである。
図面の簡単な説明
図面において、密接に関係する図面は同一数字を有するが、異なるアルファベ
ットの添字を有する。
第1図は、例としてベクターVLPおよびVLPPを使用してベクターを構成する方
法および戦略を示す線図的図解である。
第2a図〜第2i図は、一般的適用を意図するベクターの地図(a−i)を示
す線図的図解である。
第3図は、長い末端の反復転写プロモーターを捕捉するための戦略を示す線図
的図解である。
第4図および第5図は、ドナー細胞においてではなく、受容細胞
において毒性のまたは転位された遺伝子生成物を生成する遺伝子を導入する方法
を描写する線図的図解である。
第6図は、ヘルパー細胞がベクターを受容細胞に伝達する方法を示す線図的図
解である。
第7図および第8図は、ベクターが効率よくかつ安定に導入され、そして受容
細胞においてVL30転写プロモーターからRNAとして豊富に発現される物理的証拠
を示す黒白写真である。
第9図は、レトロベクターの相同組換えの線図的図解である。
第10A図、第I0B図および第10C図は、ヘルパー細胞によるVL30の伝達の黒白
写真である。
第11A図は、合成ベクターの発現を図解する黒白写真である。
第11B図は、相対的力価および合成ベクターによるタンパク質の発現を示す表
である。
第12A図、第12B図、第12C図および第12D図は、種々の細胞の型におけるVL
30RNAの発現の黒白写真である。そして
第13A図、第13B図および第13C図は黒白写真であり、ここで第13A図はある
数のベクターの発現を示すRNAブロットを例示するが、第13B図および第13C図
はin vivoにおけるニワトリDNAの中へのVL30ベクターの挿入を示すゲルを図解す
る。
第14図は、癌細胞中の遺伝子を発現するために有用であるベクター、例えば、
図解するMMVの内側に他のゲノムを送り出す方法を図解する。
本発明を実施する最良のモード
1.定義
生物学および遺伝学の用語の次の定義は本発明を理解するとき有用であろう:
DNA:デオキシリボ核酸、細胞の染色体の遺伝物質。
RNA:リボ核酸、生活環の一部分の間のRNA腫瘍ウイルスおよびレトロトランス
ポゾンの遺伝物質。
DNA配列:4つのDNAモノマーの任意の組み合わせから構成された線状配列。DN
Aモノマー、アデニン、グアニン、シトシンおよびチミジンのヌクレオチドは遺
伝情報をコードし、アミノ酸、プロモーター、コントロールまたは遺伝子生成物
のコーティングを包含する。特定のDNA配列は既知の特定の機能を有し、例えば
、特定のポリペプチド、特定の遺伝特性をコードするか、あるいは特定の表現型
の発現に影響を与える。
遺伝子:タンパク質生成物をコードするか、あるいは転写をコントロールまた
は転写に影響を与えそして少なくとも1つのDNA配列からなる遺伝物質の最小の
、独立に機能的な単位。
キメラ:組換えDNA技術により生成されるハイブリッド遺伝子;また、正常の
細胞ならびにベクターを含有する遺伝子操作された細胞を有する動物(また、モ
ザイク動物と呼ばれる)を呼ぶ。
遺伝子型:細胞または生物の遺伝的構成。
表現型:遺伝子型および環境の相互作用から生ずる細胞または生物により所用
される形態学的、生理学的および生物学的特性の集合。
表現型の発現:生成物、例えば、ポリペプチドまたはタンパク質の生産を生ず
るか、あるいは接合体または生物の自然の表現型の発現を変更する、1または2
以上のDNA配列のコードの発現。
染色体:遺伝的核酸から完全にまたは部分的に構成された線維または糸状構造
体。
レトロウイルス:その正活環の間のある時点においてDNAへのRNAの逆転写を必
要とするウイルス;詳しくはレトロウイルス科、ま
たはRNA腫瘍ウイルス。この族はRNAゲノムおよびRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆
転写酵素)を含有するすべてのウイルスを包含する。
レトロトランスポゾン:長い末端の反復をもつ、細胞の可動性遺伝要素。
ベクター:通常疾患または自然の遺伝情報を伝達する因子;ここにおいて、特
記しない限り、外来遺伝子(DNAまたはRNA)構成体を伝達する遺伝因子に制限さ
れる。
ゲノム:因子または生物のための、1組の染色体、一倍体または二倍体。
形質導入:ここではウイルス、レトロトランスポゾン、または外因性(付加さ
れた)遺伝子の伝達に制限される(特記しない限り、ウイルス粒子またはウイル
スの機能による)。
ヘルパー細胞系:これに関して、遺伝子操作されたか、あるいはいくつかまた
はすべてのレトロウイルスのトランス作用の機能またはタンパク質、例えば、逆
転写酵素、ウイルスのコアタンパク質、エンベロープ糖タンパク質を発生するこ
とができる遺伝子、および/または逆転写などをプライミングするtRNAを自然に
含有する細胞系。ヘルパー細胞系の例は、psi2または“Ψ2”PA317を包含する
。
複製競合レトロウイルス:シスおよびトランス機能のために必要なすべての遺
伝子を有するレトロウイルス;完全な、追加のウイルスの機能なしに複製するこ
とができる。
非複製コンピテント(欠陥)レトロウイルス:複製するために補助的機能を必
要とするか、あるいはそれ自体で複製することができないレトロウイルス。これ
に関して、それは通常トランス作用機能、例えば、前述のものを必要とする。
トランスジーン:通常ベクターの中に挿入された、外来遺伝子。
シス作用性要素:機能するために核酸の同一片上に位置しなくてはならない遺
伝要素、例えば、転写プロモーターまたは増強要素、プライマー結合部位など。
トランス作用性要素:シスに位置する必要がない、すなわち、どこにも、例え
ば、細胞のゲノムの中に、位置することができる遺伝要素。トランスの例は、レ
トロウイルスのコアタンパク質、ポリメラーゼ、およびエンベロープ糖タンパク
質遺伝子である。
psi配列:粒子をパッケージしそしてウイルスまたはレトロトランスポゾンのR
NAを伝搬することができるパッケージング機能をエンコードする遺伝情報の配列
、また、包膜またはパッケージング配列と呼ばれる。
RCR:複製コンピテントレトロウイルス。
CpG:デオキシシチジン残基および引き続くグアノシン残基、または5′−CG
−3′から成る線状DNA配列。
VL30:3〜5kbの内部のDNA配列により分離された長い末端の反復から成り、
ほとんどのmus種の染色体DNAの中に100〜200コピーで組込まれて見出される、VL
30族からのレトロトランスポゾン配列。
NVL3:Carterら、前掲、に記載されており、そしてAdamsら、前掲、により完
全に配列決定された、マウスからの特定のVL30遺伝配列。
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応、遺伝子の増幅のための特許された技術。
遺伝子の増幅:遺伝配列のコピー数をin vitroで増加するある数の技術の任意
のものを呼ぶ。
dNTPs:デオキシヌクレオチド三リン酸、DNAに対する4つの前
駆体(dCTP,dATP,dGTP,TTP)。
MoMLV:モロニーネズミ白血病ウイルス、遺伝子の転移および遺伝子治療のた
めのベクターとしてしばしば使用されるマウスのオンコジーンのレトロウイルス
。
ALV:トリ白血病ウイルス、および時々遺伝子の転移のためのベクターとして
使用される鳥類のレトロウイルス。
SNV:牌臓壊死ウイルス、ベクターの構成において時々使用される他のレトロ
ウイルス。
neo:原核生物においてネオマイシン薬物耐性、および真核生物においてG418
薬物耐性を付与する、ネオマイシンリン酸転移酵素遺伝子。
ATCC:アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(The American Type
Culture Collection)米国マリイランド州ロックビレ、本発明を可能とするため
に使用できる株、例えば、特許されたヘルパー細胞PA317のための寄託機関。
PuXXATG:プリン含有ヌクレオチドが3塩基対前に存在し、このATGが翻訳開始
のために好適な関係とされている、翻訳開始コドン(ATG)を呼ぶ。
両栄養性エンベロープ:ヒトの細胞、および多数の他の種の細胞を感染するこ
とができる、ウイルスのエンベロープ糖タンパク質のサブタイプを呼ぶ。
レトロベクター:RNA鋳型をDNAにコピーするために逆転写酵素を使用して伝達
されたベクター(すなわち、レトロトランスポゾンのベクター、レトロウイルス
誘導ベクター、合成ベクター、レトロポゾンのベクターなど)。
2.第1図〜第11図の説明
ベクターVLPおよびVLPPを作る戦略は合成オリゴヌクレオチドの
プライマーの対の使用、およびプライマーの間の領域をコピーするためのポリメ
ラーゼ連鎖反応法(PCR)使用を包含した(第1図および第2図)。合成オリゴ
ヌクレオチドはそれらの遠位末端の中にエンコードされた制限エンドヌクレアー
ゼ部位を有したが、それらの近位末端はVL30要素、NVL3から誘導された既知のVL
30ベクター配列からコピーすべき領域に対して相補的であった、Adamsら、前掲
。VL30ゲノムの推測する必須のまたは所望の領域のみがコピーされ、これらは複
数のLTR、組込み部位、パッケージングシグナル、およびプライマー結合部位を
含んだ。パッケージングシグナルの精確な境界(存在する場合)は未知であるの
で、わずかに異なる量の左のLTRをフランキングする遺伝物質を有する2つのベ
クターを作った。ベクターVLPおよびVLPPを構成した後、合成リンカー(BamHl)
を添加し、次いでPCR増幅したネオマイシン耐性遺伝子(neo)添加して、VLPBN
およびVLPPBNを生成した。プライマーにおけるわずかの変動は合成RNAスプライ
シングシグナルの含有を生じた(ベクターVLPBNSおよびVLPPBNS)。いくつかのD
ra3制限部位を含有する反復領域を欠失することによって、拡張されたパッケー
ジング領域(1)の中に修飾をもつ追加のベクターを作った。VLDは4つ代わり
に1つのみのDra3反復の組を含有する。VLCは平滑Dra3部位の中に挿入されたCla
l合成リンカーを有し、それを中断しかつ便利なクローニング部位を提供する。V
LSN(第2f図)は選択可能なneoマーカー遺伝子のための内部のプロモーターを
提供する。いくつかのneoマーカー構成体は、初期のトランスフェクション段階
後に、非ベクター含有細胞を殺すためにG418薬物で選択することによって、ベク
ターを回収するために有用である。第2g図は次の系の融通性を例示する本発明
のいくつかの追加の利点を兼備するベクターVLPPBGZを示す:(1)ポーター遺
伝子(β−ガラクトシダーゼ、またはβ−
gal);そのリポーターに融合された異なる選択可能なマーカー(zeo、ブレオマ
イシンまたはフレオマイシン耐性をエンコードする);(2)Ncol部位がベクタ
ー内の第1の好適なATGコドンを表すように、選択した遺伝子をベクターの中に
容易に挿入できるようにするクローニング部位(NcoI)(エンコードされたタン
パク質の翻訳を可能とする);(3)細菌ならびに哺乳動物細胞の中で使用する
ための大腸菌(E.coli)細菌のプロモーター;(4)T7バクテリオファージ
のプロモーター;(5)β−gal活性をほとんど核内に存在させ、細胞の染色を
促進させる、核局在化シグナル;および追加の遺伝子をクローニングするための
、右末端における延長された多重クローニング部位。この例は第2図の基本的態
様を個々の研究者が拡張して多数の個々の実行可能モードを提供できる方法を例
示する。例えば、第2g図に示すベクターは、薬物またはホルモンで刺激する間
に種々の細胞の型においてLTRプロモーターから可能な発現の相対的レベルを決
定するために有用であろう。第2h図はいっそう工業的に実行可能なモードを示
す:1)VLIL2EN、これはVL30LTRから発現したサイトカイン(1L2)遺伝子およ
び内部のリボソーム入口部位から発現したneo遺伝子を含有するので、両方の遺
伝子は単一の、多シストロン性メッセンジャーRNAから発現させることができる
;2)VLATG(FまたはR、それぞれ、前方および逆方向)、このベクターは4
つの誤ったATG開始コドンおよびスプライスアクセプター部位(前方の向き)、
および逆の向きのちょうど1つの好ましいATGコドンを含有する;3)VLOVBGHは
LTRから発現した選択可能なneo遺伝子を含有するが、ニワトリオバルブミン遺伝
子のプロモーターを使用して内部のプロモーターからウシ成長ホルモンの遺伝子
を発現させる。プロモーターはここにおいてタンパク質の発現を卵白の中に向け
るために使用する。転写開始部位の−900前
にプロモーター配列を含めることによって、ステロイドホルモンをまたトランス
ジーンの発現の調節において使用することができる;4)VLSVPはSV40の初期の
プロモーターの前にBamHI部位を有し、これはマーカーを推進し、したがってLTR
プロモーターおよびクローニング部位は選択した遺伝子のために保存される。第
2i図は工業的に重要なクローンを示し、ここで全体のVL30パッケージング配列
は無傷のままであり、選択可能なマーカーはゲノムの右または3′末端付近に治
療遺伝子をクローニングするための部位と一緒に位置する。1つの態様において
、VLBEN、内部のリボソーム入口部位を含めて第2プロモーターの必要性を排除
するが、他の態様において、neoをSV40の初期の転写プロモーターにより推進し
、そしてこれはまた細菌の複製起点を含有するので、示すものに加えてプラスミ
ド配列を有することが必要である。ベクター、VLPSNOはまたLTRのただ1つのコ
ピーを有するので、クローニングプロセスの間の組換えの傾向が少ない。これに
より、ヘルパー細胞による増殖の第1ラウンドはクローンのトランスフェクショ
ン後に実施して、VL30RNAの一時的バーストを生成しなくてはならない。次いで
、要素は通常のように増殖する。このクローンおよびそれから誘導された他のも
のはゲノムのマッピングために有用であろう。なぜなら、それはファージパッケ
ージング生物の存在下に、VL30をフランキングするゲノムの配列と一緒に、抽出
することができるからである。それはインサイチュ・ハイブリダイゼーションと
組み合わせて挿入の染色体部位局在化することができる。
第3図はプロモーターのトラップを示し、これにより研究者は転写ブロモータ
ーをエンコードするVL30の部分を捕捉しそして組込み、そして種々の態様、例え
ば、VLPPBNにおいて独特NotIおよびKpnIを使用して(この場合において)ベクタ
ーの中に挿入する。所望の
応答を示すVL30を発現するマウス細胞からRNAを単離した後、一般的VL30プライ
マー(例えば、下の技術および材料の節に記載するもの)を逆転写酵素およびDN
Aポリメラーゼ活性と一緒に使用して、被検細胞の中で発現される特定のVL30U3
プロモーター領域を増幅する。プライマーはNotIおよびKpnIプライマー配列、例
えば、例示するものを有して、LTRのPCR生成物の方向的クローニングが可能であ
る。コピーされたLTRをもつプラスミドをヘルパー細胞の中にトランスフェクシ
ョンした後、左のLTRにおけるもとのVL30プライマーは新しい配列のU3領域を
含有するVL30RNAを発現するであろう。伝達後、レトロトランスポゾンのコピー
のプロセスは新しいU3配列を自然に選択し、そして両方のLTR末端に対してそ
れをコピーし、それを複製の各新しいラウンドでコピーされる新しいプロモータ
ーとする。こうして、ベクターのプロモーターはそれを捕捉した細胞からVL30の
それに変化されている。これは任意の細胞の型において発現されるVL30プロモー
ターを獲得するために有用であることが期待される。捕捉の他の特定の利点は、
現在のベクター、NVL3のプロモーター(または他のプロモーター)が複製の第1
ラウンドの間に保存された、伝達の間のヘルパー細胞による効率よい発現を可能
とし、そして引き続く使用の間の特定の発現を許すということである。
第4図は、欠失を右のLTRU3プロモーター領域において行う追加の態様を示す
。1または2以上の独特エンドヌクレアーゼ部位の挿入は、プロモーターまたは
遺伝子をいずれかの向きで挿入できるようにする。しかしながら、上の遺伝子増
幅法、あるいは同様な戦略を使用して作られた合成配列のような配列はLTRの中
に挿入することができる。挿入された配列は、遺伝子の一部分をコードする合成
または天然のエクソンであることができるエクソン(エクソン1)
と多分一緒に、転写のプロモーターを含む。レトロトランスポゾンの伝達の間に
、それは右LTRからU3領域を自然にコピーし、それをまた左のLTRに配置するの
で、受容細胞のエクソン1はエクソン2の前に配置され、それは受容細胞におい
て正しく配列された遺伝子として初めて機能することができる。この戦略は癌細
胞のような細胞のための意図される。例えば、1つの態様において、キラーリン
パ球、例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)はヘルパー配列およびベクター配列で
トランスフェクションすることができる。遺伝子配列は転位されていないので、
ベクターはTILを殺さないであろう。しかしながら、TILは腫瘍の中に移動した後
、転位することができるRNAを含有するウイルス粒子を解放するであろう。組込
み後、転位した配列は効力のある毒素、例えば、リシンAを発現し、腫瘍の中の
細胞およびその付近のものを殺すが、他の(非分割の)細胞は影響を与えないま
まにする。なぜなら、ウイルス粒子は受容細胞、例えば、癌細胞の中に入りそし
て組込まれるように思われるからである。癌の処置に対する追加のアプローチは
、細胞の癌の形質転換に対する対応するVL30プロモーター、例えば、NVL1または
NVL2プロモーター(Carterら、Nucleic Acids Res.18:6243-6254,1983)を治
療遺伝子、例えば、サイトカイン遺伝子と組み合わせて使用することである。興
味あることには、遺伝子を取り上げないTILはそれを行うものにより殺され、有
効なTILの集団を濃縮しそして自己選択および濃縮の新しい方法を提供するであ
ろう。これはウイルス排除の原理であり、それを既に発現しているウイルスの同
一の型による細胞の再感染を阻止する。最後に、この例のリシン毒素は癌細胞の
死亡後に付近の細胞にひどい影響を及ぼさない。なぜなら、リシン毒素は細胞の
内側でのみ有効でありそしてリシンの細胞内毒素のサブユニットのみが含まれ、
細胞の中への侵入を阻止するからで
ある。それを有効とするために、遺伝子の増幅方法、例えば、ここに記載する方
法(ベクターの構成について)を使用して、研究者がVLPPBN)または他の適当な
ベクター、例えば、例示したもの、のNotI−KpnI断片のフレームワーク内に含め
ようとする任意の細胞のための合成エクソンを作る。
第5図は、また、ドナー細胞においてではなく、受容細胞において毒性分子を
生成する遺伝子を導入する方法を図解する。このような方法は次のようにして達
成することができる(1)欠失を右のLTRにおいて行いそして遺伝子からのエク
ソンを欠失領域におけるクローニング部位の中に挿入する(第2エクソンを上流
に挿入する);(2)第1細胞の型(ドナー細胞)の中にトランスフェクション
されたとき、トランスフェクションされたDNAは細胞のDNAの中に組込み、エクソ
ン2がエクソン1の前に存在する左のLTRからRNA転写体を作る(非機能的);(
3)ヘルパー細胞であるドナー細胞はLTR転写体を受容細胞に伝達するヴィリオ
ンを生成する(受容細胞において、エクソン1を含有するU3領域は組込み前に
左のLTRにコピーされ、転位を生ずる。新しい転写体をスプライスしてエクソン
1−エクソン2mRNAを生成し、これを翻訳して毒性分子、例えば、リシン、ジフ
テリア毒素などを生成する);そして(4)受容細胞は死亡し、毒性分子を解放
し、これは細胞外の環境において無毒となる。このような細胞内毒素は種々の細
胞接合を介して付近の細胞に広がることができ、いわゆる傍観者作用(bystande
r effect)を可能とする。
第6図は、ヘルパー細胞がベクター、例えば、レトロウイルスのベクターまた
は本発明のレトロトランスポゾンの誘導体を普通に伝達する方法を示す。ウイル
スのコアタンパク質(gag)、ウイルスのポリメラーゼ、逆転写酵素(pol)、お
よびウイルス粒子を取り囲む
、エンベロープ糖タンパク質(env)をコードするウイルスの遺伝子をヘルパー
細胞の中に挿入する。ベクターは、また、トランスフェクション、エレクトロポ
レイション、または他の機構により挿入される。ヘルパー細胞の中で発現される
ベクターRNAはヴィリオンの中に特別にパッケージされ、ヴィリオンは細胞表面
から発芽しそして受容細胞を感染する。多数のヘルパー細胞は一般的源、例えば
、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マリイランド州ロックビレ
(この機関はここに開示するベクター、またはこの方法により作られる他のもの
を提供するであろう)から広く入手可能である。しかしながら、好ましいヘルパ
ー細胞は、パッケージング配列に加えて、それらの両方の左および右のLTR、関
連するプロモーター、および組込み配列を欠如するものである。VIAGENE特許さ
れた細胞(WO9205266)により例示される、これらの型のヘルパー細胞は、ここ
に記載するベクターに対する相同性をもったとしても非常にわずかの相同性をも
ち、そして内因性ネズミレトロエレメントおよびウイルスを伝達しないという追
加の利点を有する。このような細胞系は本発明の一部分ではまったくないが、こ
こに開示する本発明とともにそれらを同時に使用すると、複製競合レトロウイル
スの不存在下の伝達に対する追加の利点が付与されるであろう。
第7図および第8図は、受容細胞のDNAの中に組込んだ後、DNAまたはRNAのブ
ロッティング技術によりベクターを生化学的に可視化できる方法を示す。第7a
図〜第7b図は、受容細胞の中への転移後のVLPPBNのDNAの安定な組込みを示す
。第7a図は独特2kbのXhoI断片(neo遺伝子のプローブと反応する)を示し、
この断片はVLPPBNの組込み後に細胞のDNAから(レーンCは陰性の対照2細胞の
クローンであり、レーン1〜5はVLPPBNで形質導入されている)、高分子量の細
胞のDNAと連合したままであるフランキングする異種
細胞のVL30配列と一緒に、常に解放される。これは受容細胞への挿入後のベクタ
ーの特徴的な正確さおよび安定性を示す。これは、また、LTR中のXhol部位が広
範にメチル化されず、これらの部位はXhoI消化に対して屈折性(refractilc)と
ならないことを示す。第7b図および第7c図は、ベクター内を消化しない酵素
Bg12およびStulを使用する同様な消化を示す。このパターンは、第7a図に示す
同一クローンのゲノム内の多数の部位における組込みを示す。小さい数の組込み
体(通常1〜3)は各場合において見られる。第7d図は、MoMLVおよびトリ白
血病ウイルス(ALV)と比較して、NVL3プロモーター(U3)におけるCpG配列の
メチル化についての制限された可能性を示す。第8a図はトランスフェクション
されたPA317ヘルパー細胞におけるneoを含有するRNAの発現を示す(レーン1、p
SV2neo陽性対照、トランスフェクションされた;レーン2、トランスフェクショ
ンされていない対照;レーン3〜5、VLPPBNを含有する個々のトランスフェクシ
ョンされたクローン)。ベクターからのXhoIインサートから成る一般的VL30プロ
ーブに対して前のプローブを再ハイブリダイゼーションさせた後、マウスの内因
性の、発現されたVL30RNA(5kb)がベクターRNA(2.4kb)と一緒に見られる。
比較により、第8c図および第8d図は、PA317生産体ヘルパー細胞で感染(形
質導入)された後のΨ2ヘルパー細胞の同等のブロットを示す。この場合におい
て、形質導入後のベクターRNAの増加(内因性VL30RNAに関する)は、第7b図お
よび第7d図(それぞれ、トランスフェクションおよび形質導入された)の間の
両方の相対的発現を比較することによって理解することができる。驚くべきこと
には、各形質導入されたクローンにおけるこの切形ベクターからのRNAの量は、
細胞に対して内因性のすべての活性VL30遺伝子座からのVL30RNAの全体の発現に
匹敵し、ベクターRNAの顕著に効率
よい転写を証明する。第8図は、VLPPBNが受容細胞の中に入った後の期待される
大きさ(2.3キロ塩基対)の豊富なRNAの発現を示す。今日まで、ベクターの転位
または欠失の証拠は観察されてきていない(N>20)が、多少は誤りがちな、逆
転写のプロセスから生ずることが期待される。ベクターの力価は、2またはPA31
7ウイルスのヘルパー細胞を使用して、ベクターにより形質導入されたヘルパー
細胞の大量培養のための培地の1mlにつき、一般に1.65×104〜2×105感染単位
の領域であった。
第9図は、ベクターを使用して標的の配列をその同等の細胞の配列との相同組
換えのために送り出すことができる方法を図解する。ターゲッティング配列を修
飾または挿入(ボックスのX出記号化されている)と一緒に、複数のT残基でフ
ランキングされたベクターの中に挿入する。ベクターRNAが細胞の中には一致後
、3′末端におけるポリアデニル化配列はポリ(U)と水素結合し、逆転写酵素
のためのプライマーとして作用し(cDNA合成反応に等しい)、合成ベクター配列
をコピーする代わりにターゲッティング配列を直接コピーするであろう。ターゲ
ッティング配列の5′末端における同様なポリU配列は、また、プライマーとし
て作用し、ヴィリオン逆転写酵素/RNアーゼH活性により5′−ベクター配列の
消化を発生させ、そしてターゲッティングDNA配列のみをしばしば含有するであ
ろうターゲッティング配列の自然の末端をつくるであろう。ベクターの組込み配
列なしにターゲッティングcDNA配列を効率よく送り出しそしてそれらを逆転写す
るベクターの能力は、現在よく理解されていない細胞の機構により、それらの相
同遺伝子座の中に配列を導入できるようにする。
第10図は、ベクターの発現およびベクター生産細胞により伝達される内因性VL
30RNAの発現を示す。第I0A図はRNAブロットを示す
:neo選択PA317ベクター生産細胞系からの全体の細胞RNA(レーン5〜8)、電
気泳動しそしてVL30プローブにハイブリダイゼーションさせた;5)VLPBN、6
)VLPPBN、7)VLCN、8)VLDN。5kbのRNAは内因性VL30RNAであり、ベクターRN
Aは可変大きさであり、neo遺伝子のみをもつベクターについて、通常約2〜2.5kb
である。第I0B図および第I0C図は、ベクター生産細胞からの上澄みRNAから作
ったRNAブロット(レーン1〜5)あるいはVL30プローブ(B)またはneoプロー
ブ(C)にハイブリダイゼーションした、種々のPA317誘導生産細胞系からの全
体の細胞RNA(6〜10)を示す。レーン1=NIH3T3対照;2=PA317対照;3=PA3
17/VLPPBN;4=PA317/VLIL2EN、(ヒトcDNAおよび内部のリボソーム入口部位
−neoを含有するVLCN);5=PA317/RVIL2EN(レトロウイルス誘導陽性の対照
、本発明の一部分ではない);6=NIH3T3全体の細胞RNA(対照);7=PA317全
体の細胞RNA(対照);8=全体の細胞PA317/VLPPBNRNA;9=全体の細胞PA317/V
LIL2ENRNA;9=全体の細胞PA317/RVIL2EN(対照)RNA。
第11図は、GPE86細胞(Markowitzら、Virology 167:400−406,1988)の中で
発現された種々のベクター(A)ならびに(A)と同一の細胞集団から観察され
た力価およびタンパク質の発現(B、表)を示す。第11A図;レーン1=VLPBN
;レーン2=VLPBNS:レーン3=VLPPBN;レーン4=VLPPBNS;レーン5=VLCN
;レーン6=VLDN:レーン7;RVlL2EN(レトロウイルスMLV誘導ベクターの
対照);レーン8:VLIL2EN。プローブ=neo。第11B図はneoタンパク質の発現
および力価(コロニー形成単位/ml、科学的表示)を示す。タンパク質の決定お
よび力価は、第11A図におけるRNAブロット実験において使用したのと同一の細
胞を使用して実施した(EE=10累乗した)。
第12図は種々の細胞の型においてRNAとしてのVL30の発現を示す;A)正常の
ヒトの乳上皮(NHME)細胞(VL30プローブ):レーン1)未感染のNHME対照、2
)VLPPBNで形質導入されたNHME、3)PA317未感染の対照、4)VLPPBNで形質導
入されたPA317ベクター生産細胞。5kbのシグナルは共伝達される内因性VL30を
表す;2.3kbはベクターRNAの発現を示す。B)ロブスタインバー−ウイルスで永
久分裂能化されたヒト末梢血リンパ球(PBL)(noプローブ):1)PA317/VLPP
BN対照、2)PBL陰性対照、3)VLPPBNで形質導入されたPBL。C)形質導入され
たVL30ベクターを発現するヒト線維肉腫および結腸癌(VL30プローブ):1)PA
317/VLPBN対照、2)PA317/VLPBN対照、3)PA317対照、4)HT1080/VLPBN(
線維肉腫)、5)HT1080/VLPPBN、6)SW620(結腸癌)/VLPPBN;D)Cと同一
、プローブ=neo。注:D6の中に存在しないレーンC6におけるベクターのよ
り小さい形態は、ベクターRNAのプロセシング、またはスプライシングを示す。
第13A図はGPE86ヘルパー細胞中のRNAの発現(neoプローブ)を示す。レーン
1=対照(ベクターなし);2=VLPBN;3=VLPBNS;4=VLPPBN;5=VLPPBNS
;6=VLDN;7−VLCN;8=VLIL2EN;9=VLATGSAF;10=VLATGSAR。第13B図
および第13C図はニワトリの血液中の0VALBGH(オバルブミン−bGH)の存在のた
めのアッセイする遺伝子増幅反応のゲルの写真を示す:(第13B図)対照の希釈
系列、レーン1はマーカーのラムダHind3である(上のバンドの*は特性表示で
ある);(第13C図)第0日の胚として接種した6羽のトリ。
第14図はMVMパルボウイルスのゲノムをベクターの中に含有させる方法を図解
する。パルボウイルスのゲノムは、受容細胞においてベクターからウイルスDNA
を切除するトランスアクチベーターのタ
ンパク質をエンコードする遺伝子を含有する。このウイルスの転写ブロモーター
は癌細胞において強く活性化される。切除後、ウイルスは複製しそしてタンパク
質、例えば、ガンシルビル(gancyclovir)薬物を使用する癌の治療のために有
用な、ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ酵素を発現する。
3.技術および材料
A.細胞系およびプラスミド
細胞系NIH3T3,C3H10T1/2,2BAGおよびPA317をアメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクション、マリイランド州ロックビレ、から入手し、そして10%(v/
v)仔ウシ血清を含有するダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)の中で増殖させ
た。この培地はPA317細胞の場合においてHT(20μμMのハイポキサンチンおよ
び30Mのチミジン)を含有する。プラスミドpSV2neoおよびpGEM3は、それぞれ、
ATCCおよびプロメガ・バイオテク(Promega Biotech)、ウイスコンシン州ミル
ウォーキー、から入手した。プラスミドpNVL3(Carter,ATら、Nucleic Acids R
es.11:6243-6254)はJ.Nortonにより提供された腎臓であった。Ψ2細胞はR
.Mulliganにより提供された腎臓であった。
B.プライマーおよび増幅反応
オリゴヌクレオチドのプライマーは、ゲノシス・バイオテクノロジーズ・イン
コーポレーテッド(Genosys Biotechnologies,Inc.)、テキサス州ヒュースト
ン、により作られた。遺伝子増幅反応は100μlの10mMのTris HCl,pH8.3、50mM
のMgCl2,200mMのデオキシヌクレオチド三リン酸、2.5単位のtaqDNAポリメラー
ゼ(テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)から)、10ngのプラスミ
ドpNVLOVHGH(完全なNIH3T3ゲノムを含有する)および1gの各プライマーの中
で実施した。〔注:任意の適当なVL30鋳型、例えば、多
数のクローニングされたVL30DNA配列の1つ、またはマウスのゲノムDNAを鋳型と
して使用できる〕。反応は35サイクルの変性(94℃、1分間)、プライマーのア
ニーリング(56℃、2分間)、およびプライマーの延長(72℃、3分間)を通し
て進行した。ほとんどの場合において、アニーリング温度は計算した変性温度よ
り5℃低かった。プライマーの配列は次の通りであった(5″−3″):
4.LTR置換のために作った追加のプライマー。
5.遺伝子増幅した断片のサブクローニング
遺伝子増幅した断片を1%アガロースゲルの中に入れ、そして各
DNA断片をゲルから切り出しそしてジーンクリーン(Geneclaen)IIキット(BIO
101 Inc.、カリフォルニア州ラジョラ)を使用して精製した。例えば、DNA断片
P1/P7およびP5/P6(第1図)を制限エンドヌクレアーゼNotIで消化し
、1%アガロースゲル上に流し、そしてジーンクリーンII法でさらに精製した。
結合反応(P1/P7およびP5/P6、またはP1/P2およびP5/P6)
は(2つのNotI消化断片に接合するために)66mMのTris HCl,pH7.6,10mMのMg
Cl2,1mMのDTT,1mMのATPおよび1〜2単位のT4DNAリガーゼ(ベーリンガー・
マンハイム・バイオケミカルス(Boehringer Mannheim Biochemicals))を含有
する10μlの体積中で4℃において16時間実施した。結合した生成物を1%アガ
ロースゲル上に流し、所望のバンドをゲルから切り出し、そしてジーンクリーン
II法により精製した。次いで、断片をBglIIで消化し、上のようにして精製し、
プラスミドpGEM3ベクター(Promega,Inc.、ウイスコンシン州マディソン)の中
にBamHI部位に結合し、大腸菌(E.coli)SUREコンピテント細胞(Stratagene、
カリフォルニア州ラジョラ)の中に形質転換し、そしてルリア・ブロス−寒天−
アンピシリンのプロットの中で選択した。2つのクローンを制限酵素分析(XhoI
,NotI,XbaI,KpnIおよびHindlII)により選択した。Paclオーバーハンギング
末端をT4DNAポリメラーゼでブランティングした後、BamHIリンカー(pCGGATCCG
)をPacI部位の中に導入し、pVLPBおよびpVLPPBを生成した。次いで(BamHI/Bg
lII消化)neo増幅断片N5/N3(スプライスアクセプター部位なし)またはN
5/N3S(スプライスアクセプター部位)をBamHI消化、仔ウシ腸アルカリ性ホス
ファターゼ(CIP)処理pVLPBの中に結合して、pVLLPBNおよびpVLPBNSを生成する
か、あるいはBamHIおよびCIP処理pVLPPBの中に結合して、pVLPPBNおよびpVLPPBN
Sを生成した。neo−ベクターの
向きをBamHI制限酵素分析により決定した。Dra3によりVLPPBNを完全に消化し、
次いで希釈および再結合により、VLDNをつくった。Dra3の追加の処理はヌクレオ
シド三リン酸の存在下のT4DNAポリメラーゼによる上の消化を制限し、次いでCla
lをコードする8bpのリンカー(Boehringer Mannheim)を添加し、次いでClalで
消化し、次いでベクター断片をゲル単離し、そして再結合すると、VLCNが生成し
た。
6.核酸法
全体のRNAを80%のコンフルエント細胞から記載されているようにして単離し
た(Chromezynski,P、およびSacchi,N,1987,Anal.Biochem.162:156-159
)。neo(pSV2NEOの0.76kbのPvu2断片)またはVL30(pVLPBの0.9kbのXhol断片)
のハイブリダイゼーションのプローブを、ニック翻訳により作った(N5000,Ame
rsham、イリノイ州アーリントンハイツ)。核酸のハイブリダイゼーション、リ
ン酸カルシウム/DNA共沈のトランスフェクション、6g/mlのポリブレンの存
在下の感染および力価の決定を記載されているように実施した(Ausubel,FM、
ら、1989,Currnt Protcols in Molcular Biology(Greene PublishingAssoc.
およびWiely Interscience、ニューヨーク州ニューヨーク)。
7.VL30ベクターの設計
NVL3転写単位をベクターの構成の鋳型として選択した。なぜなら、そのLTR転
写プロモーターはマウスおよびヒトの細胞において豊富なRNAを構成的に発現す
るからである。鋳型のプラスミドは、非順列の形態の全体のNVL3ゲノム(Carter
ら、1983,Nucleic AcidsRes.18:6243−6254)を包含するpNVL3の誘導体(J.
Nrton博士から提供された)であるpVL0VHGHであった〔注:NVL3はまたプロレト
ロトランスポゾンとしてマウスのゲノムの中に見出されるので、
鋳型はNIH3T3細胞のような源から容易に入手可能である〕。選択的遺伝子の増幅
を使用して推定上の非必須DNAの大きさを最小にし、オリゴヌクレオチドのプラ
イマーの中にコードされる多重クローニング部位(MCS)の中に外来遺伝子が挿
入されるようにできるだけ多くの空間を残した(レトロウイルスのパッケージン
グは10〜11kbの全体のベクター大きさに制限される)。VL30と無傷のMoMLVとの
間の相同性は、左のLTR/(−)−プライマー結合部位の接合部において11bpの
直接の相同性;(+)−プライマー結合部位/右のLTRの境界において17/19bp
の相同性;および包膜ヘアピン領域において24/30bpの相同性にほとんどの制限
された。他の協奏相同性は観察されなかった。こうして、ヘルパー細胞の型、例
えば、上に列挙したビアジーン(Viagene)細胞(これは包膜領域および3′−L
TR配列を欠如する)は、ベクター配列との意味のある相同性をほとんどもたない
。
VL30中のパッケージング配列の正確な境界は知られていないので、われわれは
LTRを越えて611bpに延長した領域を利用した(第1a図)。この領域はMoMLVの
パッケージングエンハンサー領域(Armentano,D、ら、J.Virol.61:1647−1
650;Benderら、1987,J.Virol.61:1639−1646)に対する相似により決定し
、その領域は仮定のヘアピン構造をかなり越えて延長しそして、少なくとも10倍
パッケージングを増強する、レトロウイルスgag遺伝子の中に入る。ベクターを
含む必須シス作用性領域の増幅のための戦略を第1a図に示す。多重クローニン
グ部位の中に配置された遺伝子が翻訳のために好適な関係で第1AUGコドンを含有
でき(例えば、PuXXAUGまたはPuXXAUG)こうしてこのようなコドンが研究者によ
りそこに積極的に配置されるように、基本的ベクター(pVLPP)を設計した。こ
れは遺伝子をLTRプロモーターから効率よく翻訳できるようにし、そ
して翻訳がクローニング部位から上流の好適なAUGコドンによりしばしば混乱さ
れる、MoMLV翻訳単位と基本的に異なる。オリゴヌクレオチドのプライマーは多
重クローニング部位および1つの場合において合成コンセンサススプライスアク
セプター部位を含有した。(Damell,J.E.,Baltimore,D.およびLodish,II.
F.(1986)Molecular Cell Biology(Scientiffic American Books)ニューヨ
ーク州ニューヨーク)pp305−369)。鋳型はLTR付近の上流に潜在的ドナー部位
を含有した(SD、第2a図)。方向的クローニングのためにそしてPaclクローニ
ング部位のTATA様残基を除去するために、BamHIリンカーをPacl部位に挿入し、p
VLPPBを発生させた。増幅されたneo遺伝子を含有する2つの二次ベクターを構成
した(pVLPPBNおよびpVLPPBNS)。オリゴヌクレオチドの中にコードされた合成
スプライスアクセプター部位を含有するベクターを、設計の末端においてSで表
した。この推定上のスプライスベクターは、LTR転写のスプライスされたおよび
スプライスされない形態からRNAの2つの型を発現させることを意図した。pVLPP
BNベクターRNA内に含有された第1好適な(Kozak,M,1978,Cell 15:1109−11
23)翻訳開始コドン(PuXXAUG)から、neo遺伝子は発現された。VLPBNSから作ら
れる同様なベクター(表示においてより短いパッケージング配列および1つのP
をもつもの)を、VLPBNSから出発して、同様な方法で作った。
8.合成VL30ベクターの発現
第1b図に示すneoベクターをPA317レトロウイルスのヘルパー細胞(Millerお
よびButtimore,1988,Mol.Cell.Biol.6:2895−2902)の中に、リン酸カル
シウム法(Grahamおよびvan der EB,1973,Virology,52:456−467)を使用し
てトランスフェクションした。pSV2NEOプラスミドDNAを、また、陽性の対照とし
てヘルパ
ー細胞の中にトランスフェクションした。興味あることには、合成ベクターVLPP
BN調製物を使用して実施した3つのトランスフェクションは、薬物G418で選択し
たときpSV2NEO対照プラスミドと同一であるか、あるいはそれより多いコロニー
を生成した(示されていない)。この結果が示すように、neo遺伝子の転写およ
び翻訳は有効でありそして遺伝子増幅法はほとんどの場合において有効であった
。なぜなら、各実験は別々のベクター構成体を提供したからである。RNAブロッ
ト分析を図面の凡例に記載する。
9.組込まれたVL30ベクターDNA配列
VLPPBN形質導入されたΨ2ヘルパー細胞系をクローニングしそしてDNAブラン
ティングにより検査して、コピー数および組込みを決定した(第7a図)。ベク
ターのLTRは、MoMLVにおける17CpGおよびトリ白血病ウイルスにおける7と比較
して、U3プロモーター領域においてわずかに2つのCpG残基を含有する(第3
d図の比較を参照のこと)。胚形成の間に転写的に不活性であるMoMLVと異なり
、トリのウイルスは大人および発育する動物の組織の中に有意なレベルでしばし
ば発現される(Cookら、1993,Poultry Sci.印刷中)。シトシンのメチル化は
主として中和性侵入性DNAのための機構であることが示唆された(Bestor,TH,1
990,Phil.Trans.R.Soc.(London)B326;179−187)。したがって、これら
のようなVL30配列のメチル化の可能性の欠如は、in vivoでマウス細胞の中で有
意な量のVL30RNAが発現される理由を説明する助けとなる(Norton,JD)およびH
ogan,BL,1988,Dev.Biol.125:223-228)が、レトロウイルスの配列は転写
的に沈黙している。
10.合成VL30ベクターの伝達可能性
ベクターを有するPA317ヘルパー細胞からの濾過した(0.45m)培地をΨ2環
境栄養性ヘルパー細胞に移した。選択後、培地を再び
PA317細胞に移し、そしてG418で選択した。最後に、Ψ2およびPA317ヘルパー細
胞の形質導入された形態を許容性ピンポン(Bestwickら、1988,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.(USA)85:5404−5408)実験において2週間同時培養し、ここでベク
ターを2つの適合性細胞系の間で前後に伝達させてベクターのコピー数を増幅し
た。大量培養物の力価は環境栄養性および混合したヘルパー細胞の型について平
均104であり、そして両栄養性ヘルパー細胞のための2〜4×104〜1.6×106であ
った。
本発明のベクターのPCRポテンシャルを確認するために、ベクターをΨ2ヘル
パー細胞(これらは複製競合ウイルスを時々生成する)の中におよびPA317ヘル
パー細胞系の中に形質導入した。PA317を使用してヒト遺伝子治療のために複製
競合ウイルスを含有しない系統を発生させるるが、それは許容性環境下に野生型
ウイルスをなお発生することができる(Muenchau,DD、ら、1990,Virol.176:
262−265。3つのVLPPBNベクター調製物の系統、またはレトロウイルスの対照BA
G−ウイルスのベクターの系統(ATCC,#CRL9560)を10ml(105-6IFU)の濾過し
た測定を介して受容NIH3T3細胞に移し、そして薬物耐性コロニーをG418処理によ
り選択した。耐性コロニーの大量培養物をほぼコンフルエンスに増殖させ、そし
て各々からの培地を濾過し、そしてNIH3T3細胞の第2プレートに移した。3つの
VLPPBNベクター調製物のいずれも、Ψ2またはPA317細胞において、第2継代の
とき薬物耐性(PCR)を生成しなかった(<1IFU/10ml)。しかしながら、2つ
の継代速いPCRについて陰性と試験された系統(データは示されていない)の二
次継代のとき、対照BAGレトロウイルスのベクターは約200CFU/mlを生じた。複
製競合レトロウイルスはBAG受容細胞において検出されたが、VL30ベクター感染
細胞において検出されず、Ψ2ゲノムの受動的キャリーオーバー(c
arryover)を表すことができた(Mann R、ら、1983,Cell 33:153−159)、あ
るいは組換えまたは内因性レトロウイルスが起こり、複製競合レトロウイルスの
生成を生じた。
これらの結果はVL30誘導合成ベクターの有用性および相対的安全性を示す。
11.右の(3′)LTRクローニングカッセト
3′LTR領域にクローニング部位およびプロモーターの欠失を挿入するために
、ベクターのNotIに示すからLTRの内側の欠失およびMCS部位までにスパニングす
る合成オリゴヌクレオチドを使用してDNAポリメラーゼ(クレノー断片、Boehrin
ger Mannheim)により、合成二本鎖オリゴヌクレオチドを作る。オリゴ3LTR5MCS
をオリゴMCSP3Pと200mMのデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下にアニーリン
グし、そしてクレノーDNAポリメラーゼにより延長する。全長の生成物をアガロ
ースゲルから前述の技術により単離し、そしてBgl2酵素で消化し、その後それを
再び上のようにゲル精製する。NVL3鋳型、例えば、pNVL3またはpNVLOVHGHをプラ
イマーBGL2RU5およびKPN1IRU5を用いる前述した遺伝子増幅のために使用する。
生ずる断片をアガロースゲルから記載したように単離し、Bgl2で消化し、ゲルか
ら再単離し、前述のクレノー生成物に結合し、そして再びゲルから再単離する。
この生成物をNotIおよびKpnI酵素で消化し、再びゲルから再単離し、そしてベク
ター、例えば、VLPPBNの大きいNotI−KpnI消化断片の中に結合する。生ずる3′
−LTRはU3領域に大きい欠失を有し、これはLTRの中になお残留し、“CAAT”お
よび“TATA”転写部位を定める、基本的プロモーターに加えて、物体、例えば、
前方または逆プロモーターのためのクローニング部位としてを使用することがで
きる。これにより、研究者は提供されたBelIまたはBgl2制限エンドヌクレアーゼ
部位の中にVL30または他の転写プ
ロモーターをクローニングすることができる。
12.特定の細胞の型からプロモーターを捕捉すること
異なるマウスの組織、発育段階、あるいは種々の因子による刺激の段階は、そ
れらの転写プロモーターにより規定されるVL30RNAの特定のサブセットを時々発
生するであろう。これらのプロモーターは研究者または遺伝子治療にとって同様
な転写応答を誘発するために非常に有用であることがある。ある数の同様な方法
により所望の高度に特異的なプロモーターをクローニングすることが可能である
〔上の(11.)に記載する3′−LTRクローニングカッセト、または同等のカッセ
トを使用する〕。
第1に、RNAを標的細胞から単離し、そして特定のVL30プロモーターの配列を
決定する(例えば、保存されたLTR配列、例えば、(+)PBS−逆位反復、および
U3−Rなどを使用する、逆転写酵素−PCRによる)。次いで、1組のプライマ
ーを案出してVL30のU3領域の増幅を可能とする。使用するプライマーはBclIお
よび/またはBgl2制限エンドヌクレアーゼ認識配列において終わって、3′−LT
Rクローニングカッセトの中へのクローニングを可能とする。この方法または同
様な方法は研究者に所望の転写特異性を有するプロモーター、例えば、筋肉細胞
、エストロゲン刺激細胞、または発育する脳細胞を提供するであろう。この方法
の主要な利点は、プロモーターが容易に作られそしてVL30フォーマットにおいて
有用であるということである(すなわち、特定の細胞の遺伝子をクローニングし
、そのプロモーターを特性決定し、次いでそれをVL30ベクターにおいて可能な使
用に適合させることは不必要である)。VL30の多様性は、特定の遺伝子治療の応
用ために非常に有用である苦心して作った配列の可能性を実際に提供する。さら
に、ヒト細胞において効果的に機能するVL30プロモーターの能力は、それらをヒ
トの薬物に
高度に適合可能とする。
13.特定の細胞の型から全体のLTRを捕捉すること
プロモーターを捕捉する方法に加えて、全体のまたは無傷のLTRをそれを発現
する細胞から捕捉することが可能である。それを行うために、細胞をまずヘルパ
ー(MoMLVまたは同等のもの)ウイルスで感染させる(逆に、内因性ウイルスを
動物または細胞内で、例えば、5−アザシチジンの刺激により活性化する)。ウ
イルス粒子を収獲し、そしてRNACarterら、1983に記載されているように部分的
に崩壊したヴィリオンの内因性逆転写反応を使用して逆転写する。次いで、逆転
写により発生した無傷のLTRを増幅する(直接にPCRによるか、あるいはCarterら
、前掲、に記載されているように高分子量のcDNAのゲル単離後に)。好ましい例
として、プライマー3LTR5および3HETLTRを使用して、末端において前もってプロ
グラミングした合成NotIおよびKpnI独特制限エンドヌクレアーゼ部位をもつLTR
をコピーして、好ましいベクターの中への急速な方向的クローニングを可能とす
る。
別の方法は細胞からRNAを直接単離し(Chomezynskiら、前掲)、それをdNTPS
およびモロニーネズミ白血病ウイルの逆転写酵素の存在下に逆転写し(Ausubel
ら、前掲)、そして増幅の前にゲルから大きいcDNAを単離するか、あるいはプラ
イマー、例えば、上に示唆したものを使用して複合混合物からLTR領域を直接増
幅することである。多数の場合において、逆転写およびPCR反応を実施するため
の助言および反応条件について標準の源、例えば、Ausubel前掲、の最近のバー
ジョンを調べることは助けとなる。さらに、製造業者(Cetus Perkin−Elmerお
よびInvitrogen)は、PCRおよび逆転写PCRのような反応のための詳細なキットお
よび使用説明書を提供する。
LTRをクローニングするために、ベクター、例えば、VLPPBNまたはVLPPをNotI
およびKpnIで消化し、そして大きい断片を濾過から単離する。プラスミド断片を
またアスパラギン酸プロテアーゼで処理して(詳細について、Ausubel前掲、参
照のこと)非特異的クローニングを減少する場合、クローニングは容易となるで
あろう。LTR断片およびベクターを組み合わせた後、ATPおよびリガーゼを標準の
リガーゼ反応において添加する(Ausubel前掲)。大腸菌(E.coli)SUREコンピ
テント細胞(または同等の細胞、Stratagene,Inc.)を形質転換した後、期待す
る断片を有するアンピシリン耐性コロニーを制限エンドヌクレアーゼの消化によ
り決定することができる。次いで、これらの断片を特定のプロモーター活性をも
つ遺伝子のためのベクターとして使用することができる。構成体をその中にトラ
ンスフェクションする最初のヘルパー細胞はNVL3と同一の転写特異性をもつベク
ターを伝達するであろう。なぜなら、それは5′末端において所定位置にもとの
プロモーターをまだ有するからである。しかしながら、受容細胞は3′末端にお
ける配列と置換したプロモーターを有するであろう。新しいプロモーターのR領
域が5′−LTRのそれと有意に異なる場合、逆転写において困難に直面すること
があるか、あるいはハイブリッドのR領域が生ずることがある。これは、逆転写
を可能とするために十分な類似性が存在するかぎり、U3プロモーター領域に影
響を与えないであろう。
14.すべての可能なVL30プロモーター源としてマウスの細胞DNAを使用して異種V
L30配列からプロモーターを捕捉すること
プライマー3LTR5および3PHETLTRを使用して、遺伝子増幅反応を実施する。ゲ
ノムDNAを95℃において1分間変性した後、プライマーを36℃において1分間ア
ニーリングし、次いで2つの追加のラウンドのための72℃、94℃および36℃の延
長、変性およびアニーリン
グの温度を使用して遺伝子増幅を実施し、その後アニーリング末端を残りの35サ
イクルについて55℃に変化させる。特定の鋳型についてマグネシウムおよびヌク
レオチドの濃度ならびにアニーリング温度を変化させて最適条件を決定すべきで
ある。増幅後、断片を前述したようにゲルから単離し、NotIおよびKpnIで消化し
、そしてベクター、例えば、VLPPBNの大きいNotI−KpnI断片の中に結合する。
15.ベクターを使用して相同組換えを実施する方法
レトロベクターは非配列特異的方法でゲノムの中に遺伝子を正確に組込むため
に有用である。しかしながら、遺伝的欠陥の修復は、レトロウイルスを使用して
通常不可能である、遺伝情報の1または2以上の塩基対の正確な変化をしばしば
必要とする。その代わり、相同組換え法を使用し、ここで挿入された遺伝子と内
因性遺伝子座との間の相同性は適当な場所の中への治療遺伝子の挿入を案内する
自然の細胞のプロセスのための基礎である。不都合なことには、相同組換えはレ
トロウイルスの形質導入と比較して非効率的方法であり、物理的トランスフェク
ションの方法および引き続く個々の細胞のクローンの注意したスクリーニングを
必要とする。こうして、単一のコピーを正確にかつ効率よく相同遺伝子座の中に
挿入する方法を置換することが非常に望ましいであろう。
相同組換えベクターを作るために、ゲノムの中に正確に組換えるべき遺伝配列
をまず標準の組換えDNA技術を使用して構成する(Ausubelら、前掲)。選択する
配列または配列の変化を、第9図に示すように、ゲノムの相同領域から単離した
配列の中にまたは間に、正確に所望の配列の立体配置で挿入する。次に、標的配
列およびゲノムに対するフランキング相同性をレトロウイルス、例えば、VLPPBN
、か、あるいは同様なレトロトランスポゾンまたはレトロウイルス誘導ベクター
の中に挿入する。1つの好ましい方法において、相同
領域の3′末端がいくつかのT残基から成るT−トラクトを含有するように、配
列を構成する(好ましくは8またはそれ以上のTを使用すべきである)。多数の
場合において、相同領域の5′末端に複数のTを含有するトラクト(あるいは、
ポリプリンのトラクト)を含めることが望ましいことがある。逆転写と共同して
これらの配列の一方または両方は、相同配列および標的DNA配列を含有する領域
の逆転写のためのプライマーとして使用するであろう。この方法はブライマーと
してオリゴd(T)を使用するcDNAのin vitro合成に非常に類似する。なぜなら
、ベクターRNAはポリアデニル化され、そして折り返してT−トラクトからの第
1鎖の相補的DNAの合成をプライムするからである〔T残基(またはRNA中の
U残基)と塩基対合することによって〕。また、ポリプリンはレトロベクターRN
Aの第2鎖の合成の天然のプライマーであり、それゆえまた好ましいプライマー
である。第2鎖の合成が所望の遺伝子座において開始しない場合、それは第1鎖
cDNAの折り返しにより自然に起こるであろう。これはin vitroのcDNA合成の間に
第2鎖を発生させるために使用される同一の原理である。他の好ましい方法はブ
ライミング領域、例えば、Tトラクトを使用せず、ベクターを単に相同組換えさ
せて、いくつかまたはすべての配列の排除を生じさせることである。cDNA合成の
開始の正確な部位は相同組換えのために重要ではないので、これらの機構のいず
れかを好ましく使用することができる。こうして、二本鎖cDNAが生じ、これはベ
クター配列のいくつかまたはすべてを含まず、よく確立された自然の機構により
相同組換えを起こさせる(フランキング相同配列の間の組換え)。こうして、ベ
クターは、ベクター配列のいくつかあるいは好ましくはすべての排除を生ずる新
規な機構により、配列の侵入および逆転写を可能とする。選択可能な遺伝子、例
えば、neoの含有はフランキング配列の相
同性のために特定の遺伝子座にneoをターゲッティングさせることが従来示され
た(また、ノックアウトと呼ばれる、なぜなら、それは正確な挿入突然変異によ
り遺伝子活性を排除するからである)。これはトランスジェニックならびに疾患
の細胞および動物モデルを生成する有用な手段である。記載するように遺伝子を
送り出すためにレトロベクターを使用する主要な利点はは次の通りである:1)
効率、および2)所望の遺伝子座への遺伝子の単一のコピーの送り出し。
16.ベクターの力価を増加し、そして競合阻害によりレトロウイルスの疾患に対
する耐性を増加し、そしてベクターで細胞を容易にマークすること
従来、パッケージング細胞系のヴィリオンを包含するヴィリオンの中にVL30レ
トロエレメントをコパッケージングされることが示された(Hatzoglouら、Human
Gene Therapy,1;385-、1990)。しかしながら、どれだけ多くのVL30RNAがコ
パッケージングされるか、あるいはヘルパー細胞がベクターを増殖させる能力の
ためのそれがどれだけの作用を有するは知られていなかった。ヒト遺伝子治療に
おいて使用される改良されたヘルパー細胞(Miller,PCT WO8808454)はまた内
因性VL30を伝達することは示されなかった。ヒト遺伝子治療において使用する細
胞系(PA317)は、また、ベクターの転移の間に有意な量の汚染する内因性VL30
を伝達することをここで初めて開示する(第10図)。上澄み(ウイルス)の画
分から抽出されたヴィリオンRNAのRNAブロットは、多くの内因性(5kb)VL30RN
Aがパッケージングされそして伝達されることを明らかにしたが、ブロットをneo
遺伝子のプローブで再プロービングしないかぎり、存在する場合わずかのベクタ
ーRNAが検出された(2.3〜2.5kb)。こうして、100−200コピー/細胞で反復し
た内因性VL30配列は、競合
レトロトランスポゾンのベクター、例えば、VL30ベクターから、あるいはレトロ
ウイルスのベクターから達成可能な力価に影響を与えるであろう、多くの競合VL
30RNAを生成することができる。幸いにも、マウスVL30レトロトランスポゾンか
ら生ずる悪い作用は動物またはヒトにおいて観察されなかった。この現象の1つ
の面は、VL30レトロトランスポゾンが事実上ヒト遺伝子治療のために承認される
ことである。なぜなら、それらの存在はこれらの承認された細胞を使用してすべ
ての遺伝子治療の実験において避けられないからである。他の面は、内因性VL30
要素か本発明のベクター、例えば、レトロウイルス誘導ベクターより有意に高い
力価で伝達されること;および内因性VL30の「スタッファー(stuffer)」領域
がこうして認識されそしてここにおいて高い力価ために有用であるパッケージン
グ配列と表示されることである。例えば、ヒト遺伝子治療において、薬物選択が
不必要であるように、あるいは不必要な発現された遺伝子を導入しないで遺伝子
治療を直接効率よい方法で投与して細胞をマークすることができるように、ベク
ターを効率よい伝達することは望ましいであろう。第10B図が図解するように、
内因性VL30ベクターを発現するヘルパー細胞の1回の投与への1回の暴露後、ヒ
ト受容細胞はRNAの形態で大量の伝達された配列を発現しており、そして所望の
薬物選択なしに結果が観察された。しかしながら、ブロットをneo遺伝子と再ハ
イブリダイゼーションして共伝達されたベクターを検出するとき、ただ1つ(高
い力価のレトロウイルス誘導ベクターの対照)のレーンは暴露後に有意なシグナ
ルを与えた。こうして、内因性VL30配列はそれら自体、薬物選択あるいは受容細
胞において効率よく発現させるために他の型の濃縮を必要としない、非常に効率
よいベクターとして使用することができる。また、この結果が示すように、内因
性VL30配列は伝達の効率を増加することが
できる可変長さ(ほぼ4kb)の領域を含有する。第2図に示すベクターから排除
された、この遺伝物質(NVL1,2および3のスタッファー領域を含む(それら
の個々の要素はNIH3T3細胞またはベクター生産細胞の中で発現されたVL30環境(
milieux)の主要部分である)は、こうしてVL30増強パッケージング領域と表示
する。こうして、当業者はこのスタッファー領域(VL30LTRの間の全体の領域と
して規定される)、あるいはそれから誘導された一部分を使用して、普通ののベ
クター、あるいは示す合成ベクターから達成可能なパッケージング効率を増強す
ることができる。第10図に示す結果のなお他の面は、ネズミヘルパー細胞を使用
するとき、かなりの汚染が起こることである。汚染を回避する1つの可能な方法
は、非ネズミ細胞系、例えば、ヒト細胞系を使用して、内因性VL30(および起こ
るうる他のネズミのレトロエレメント)により引き起こされる競合排除を回避す
ることである。例えば、Jolly(PCT W09205266)はベクターの伝達のためのイヌ
D17誘導およびヒトHT1080誘導の細胞系を開示した。ここにおいて示す証拠は、
VL30内因性配列により引き起こされるウイルス粒子において観察される競合パッ
ケージングの使用に対して知られている最初の直接の証拠である。また、それは
明らかにここにおいて定義するVL30の増強されたパッケージング配列の優秀性の
第1証明である。それは、また、ヒト遺伝子治療において使用されるパッケージ
ング細胞、例えば、PA317の汚染の最初の明瞭な証明である。また、このデータ
は、レトロウイルスの感染、例えば、白血病ウイルスまたはHIVウイルスの競合
阻害因子として作用する、内因性VL30(またはそれらに類似するか、あるいはそ
れらから誘導される他のレトロベクター)の新しい使用を証明する。これは野生
マウスにおいて自然の生物学的役割であることがあるが、実験はヒトにおけるウ
イルスの感染を阻止する新しい方法を教示し、
これはウイルスのパッケージングの競合阻害因子をヒト細胞の中に導入すること
による。これはよく知られているエンベロープのサブタイプに関係するウイルス
排除の現象により引き起こされるレトロウイルスの感染を阻止する古い方法と異
なる。
17.ヘルパーウイルスを使用しないで治療遺伝子を細胞の中に形質導入すること
上の節に示すように、生物学的実在物、例えば、ヘルパー細胞は重大な潜在的
汚染源である。このような汚染は、ウイルス、細菌、およびマイコプラズマ、な
らびにレトロトランスポゾンおよび他のレトロエレメントを包含する。それゆえ
、合成ベクター、例えば、ここに記載するベクターを他の精製した生化学的成分
、例えば、逆転写酵素およびリポソーム、および/またはコートタンパク質また
は細胞の侵入を獲得する目的のための他の因子と組み合わせることによって、そ
れらの使用を完全に排除することが非常に望ましいであろう。
1つの好ましいモードにおいて、ベクター、例えば、VLPPBNまたは他のレトロ
ベクターを含有する(細胞tRNAプライマーと一緒に)細胞RNAを精製しそし
て精製した逆転写酵素とおよびカチオン性リポソーム〔または商用調製物、例え
ば、LipotectinR(BRL Inc.、マリイランド州ベセスダ)製造業者の使用説明書
に従い〕または特定のリポソーム、例えば、ホスファチジルセリンまたはホスフ
ァチジルイノシトールと組み合わせる。この調製物はRNA前駆体の不存在下のRNA
の逆転写を可能としない。4つのデオキシヌクレオチド三リン酸をリポソームの
中に含有させるか、あるいはそれらは細胞の中への侵入後に細胞により提供され
ることができる。リポソーム調製物を受容細胞を取り囲む細胞培地に添加し、そ
して細胞または組織の中に入らせる。いったん細胞の中に入ると、逆転写酵素/
ベ
クターRNA/プライマー複合体は細胞のデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下
に逆転写される。この複合体は、モロニーネズミ白血病ウイルスの逆転写酵素(
または他の未修飾の逆転写酵素)中のインテグラーゼ活性の存在のために、細胞
DNAの中に自然に組込まれる。
他の好ましい態様において、ベクターRNAはまた他の源、例えば、T7またはS
P6バクテリオファージのポリメラーゼから発生させることができる。事実、ベ
クターVLPPBNなど(第2図)はベクター配列をフランキングする2方向のRNAポ
リメラーゼプロモーター(SP6およびT7)とともに来て、プローブおよびウイ
ルス様トランスジェニックのヒト以外の動物をin vitroで発生させることができ
る。RNAはバクテリオファージのプロモーターからポリメラーゼキット(Ribopro
be、製品#P1071,Promega,Inc.、ウイスコンシン州マディソン、または同様な
キット)とともに含有される製造業者の使用説明書に従い発生させる。また、RN
A開始部位がベクターのU3−R境界またはその付近に存在するように、それが
全長のVL30RNAの有用な模擬物であるように、ベクターを修飾することが望まし
いことがある。ある場合において、キャッピング試薬、例えば、商業的に入手可
能なキャッピングキット(Stratagene,#200350、カリフォルニア州ラジョラ)
により、製造業者の使用説明書に従い、使用前にベクターRNAを酵素的にキャッ
プすることが望ましいことがある。例えば、キャッピングは翻訳の効率を増加し
そしてプロセシング/安定性のために重要であることがあることが示された(Ni
elson,DA、およびShapiro,DJ,1986,Nucleic Acids Res.14:5963;Banerje
e,AK,1980,Microbiological Reviews 44:175−205;Filipowicz,1978,FEB
SLett.96:1−11)。さらに、(−)−鎖のプライマーは、また、ウイルス送り
出し系と適合性の合成核
酸分子であることができるか、あるいはそれは細胞RNAからtRNA画分として精製
することができる(VLベクターはRNAプライマー結合部位を有する)。一緒に使
用するとき、合成ベクターはここに記載する合成「ヘルパー」化学物質と一緒に
、複雑化生物学的実在物、例えば、内因性レトロウイルスを含有すべきでない、
完全に合成の系を構成する(しかしながら、細胞RNAをベクターRNA源として使用
する場合、研究者はレトロエレメントが存在しうることを気づくべきである)。
これらの革新技術は一緒に遺伝子治療をより大きい安全性およびより少ない確認
の問題で実行できるようにする。これは少ない実際的応用性をもつ複雑な手順よ
りむしろ実際的医学として遺伝子治療を使用できるようにするので、とくに重要
性を有する。さらに、リポソーム調製物または同様な化学的ベヒクルは細胞の酵
素活性、例えば、ヘルパー細胞を使用してベクターを伝達するとき存在するリボ
ヌクレアーゼの不存在下に安定化することができる。合成系は出発物質の入手可
能性により制限されない。なぜなら、大量のRNAが高度に精製された形態で酵素
的機構、例えば、記載した機構により発生させることができるからである。さら
に、合成RNAはベクター以外のレトロエレメントによる汚染の危険が少ない。こ
うして、安全なかつ効率よいベクターの送り出しがここに記載するような合成系
により可能である。
18.ベクターを使用しない遺伝子の伝達方法
RNAの転写体、例えば、SP6またはT7バクテリオファージRNAを、前述したよ
うに、リポソームの中に逆転写酵素およびRNAにアニーリングすることができる
分子と一緒にパッケージングしてプライマーを得ることができる(例えば、3′
−ポリ(A)トラクトからのmRNAのコピーを可能とするオリゴdTプライマー)。
この手順を使用して発生されたcDNAはレトロウイルスまたはレトロトランスポ
ゾンのシス作用性シグナルを使用しないで細胞DNAの中に組込むことができるか
、ランダムDNAの組込みのための自然のリコンビナーゼの機構は逆転写酵素仲介
機構ほどしばしば正確でない。この困難を克服するために、好ましい方法は、VL
30または他のレトロベクターのRNAの末端に見出されるRまたは反復領域をRNAベ
クター配列の末端に含有させ、cDNAが円またはコンカテマーとして複製できるよ
うにすることである。接合したLTRの接合部に見出される組込み配列がプライマ
ー結合部位と一緒に含有される場合、逆転写酵素はこれらの配列、例えば、第2
図の合成ベクター上に見出される配列を特異的に認識し、そしてそれらを受容細
胞のゲノムの中に特異的に組込む。
19.パッケージングと遺伝子の発現との間の平衡を調節する方法
主としてタンパク質の発現に使用される細胞RNAと異なり、すべての型のレト
ロベクターは2つの主要な役割を有する:伝達およびタンパク質の発現。これら
の2つの活動は同時に効率よい行われるので、それらが取る方向(ポリリボソー
ムを経る翻訳に向かうか、あるいはヴィリオンによるパッケージングに向かう)
に影響を及ぼす因子は力価ならびにタンパク質の発現のレベルに強力な作用を有
することができる。例えば、ベクターRNA、例えば、VLPPBNを考慮せよ。ベクタ
ーの中に挿入された長い領域が翻訳される場合、大きいポリソームが形成するこ
とができ、情報を反復してタンパク質分子にコピーする。しかしながら、5′−
非翻訳領域におけるAUG(イニシエイター)コドンの後に停止コドン、例えば、U
AG,UGAまたはUAAが急速に存在する場合、リボソームは分離し、RNAを解放する
であろう。こうして、RNAはもう一度パッケージングのために適当となる。いく
つかのAUGコドンの各々の後に連続的に停止コドンが来る場合、反復した開始お
よび停止を期待することができ、ベクタ
ーRNAを反復して逆流させ、そしてそれをパッケージングのためにいっそう適当
とする。しかしながら、LTR内で開始するベクターRNAからタンパク質を翻訳しよ
うとする場合、1または2以上の混乱するAUGコドン(所望のタンパク質のため
の翻訳の独特の開始部位に先行する)の存在は翻訳効率を有意に減少するであろ
う。なぜなら、翻訳のために提案された機構は5′−キャップ構造の認識、引き
続く第1AUGコドンに対する走査を含むと信じられるからである。時には、第1A
UGコドンは認識されず、そして走査は連続する。AUGコドンの前にイニシエイタ
−AUGコドンに対して5′−のプリンの3位置が存在する場合、それは翻訳開始
のために好ましい部位である。AUGの次にG塩基が存在する場合、それはいっそ
う好ましい。こうして、AUGコドンおよびそれに引き続く停止コドンはベクターR
NAが取る方向(パッケージングに向かうか、あるいは翻訳に向かう)に強力な影
響を有することができる。これは従来ベクター学者に認識されていなかった。パ
ッケージング効率へのATGコドンの作用は第11図に示されている。neo遺伝子のた
めのオープンリーディングフレームの左への単一の追加のATGコドンの挿入は、
ベクターの伝達可能性をほぼ3倍増加させた(VLCNに対してVLDNを比較する)。
遺伝子治療のために、高い力価ならびに強いタンパク質の発現の両方を有する
ベクターを有することは殊に望ましいであろう。これはAUG開始コドンを5′−
リーダー配列のスプライシングと組み合わせることによって達成することができ
る。スプライスしないベクターは、翻訳がしばしば失敗するので、効率よくパッ
ケージされる。受容細胞において、AUGコドンおよびパッケージングシグナルを
含有する5′−イントロンのプロセシングは、殊にそれが混乱するATGコドンの
除去を生ずる場合、タンパク質生成物のいっそう効率
よい翻訳を可能とする。こうして、RNA分子の多少の百分率(100%より低い)を
スプライスさせるスプライスドナーおよびアクセプター部位をRNAの5′末端に
有することは望ましいであろう。理想的には、生産体(ドナーまたはヘルパー)
細胞ではなく、受容細胞において効率よいスプライシングを有することは望まし
いであろう。第2図に示す合成ベクターはパッケージングシグナルの直前にスプ
ライスドナー部位のコンセンサス配列を有する。スプライスアクセブター配列を
独特制限エンドヌクレアーゼ部位、例えば、VLCNまたはその誘導体のClal部位、
あるいはVLDNのDra3部位の中に挿入することは可能である。しかしながら、これ
がより大きい作用を有するためには、また、スプライス領域の外側に存在する混
乱AUGコドンのいくつかまたはすべてを突然変異誘発することは望ましい。これ
は部位特異的突然変異誘発の技術を使用して実施することができる(Ausubel、
前掲;あるいは、例えば、製造業者の使用説明書とともに商業的に入手可能なキ
ット、Stratagene,#2005、カリフォルニア州ラジョラ;参照、Felt,K.ら、19
92,Strategies 5:26−28)。あるいは、例えば、LTRにおいて、遠い上流に存
在するスプライスドナーを使用することが可能である。記載する二分作用を増強
しかつパッケージングおよび翻訳の両方の高いレベルを達成するために、また、
AUGおよび/または停止コドンをベクターのイントロン内に配置することは望ま
しい。オリゴヌクレオチドの試料の組を、次の構造的特徴を有する領域をつくる
ために下に例示する:VLCNの中への挿入のためのClal適合性末端;多数の有利な
ATGコドン、それらのすぐ後に不全翻訳のための停止コドン;AKVウイルスのスプ
ライスアクセプター部位に対して相同のスプライスアクセプター部位(細胞にお
ける部分的であるが、完全ではないスプライシングを与えるために);およびい
くつかの独特かつ有用な制限エンドヌ
クレアーゼ部位。
ATGSACU上鎖、アニールの際Clalがオーバーハング、Clal部位なし5'−
CGGAAATGATCATGGAATGATAAGATGACCTAACTAATAGCCCATCTCTCCAAGATCGATCAGGCCTAGATC
T-3'
ATGSACB下鎖
5'−
CGAGATCTAGGCCTGATCGATCTTGGAGAGATGGGCTATTAGTTAGGTCATCTTATCATTCCATGATCATTT
C-3'
2つのオリゴヌクレオチドを市販のホスホルアミダイト化学薬剤を使用して化
学的に合成した。当業者は、また、これらの配列またはそれらに類似する他の配
列を多数の会社(例えば、Genosys、テキサス州ヒューストン)から取り寄せる
ことができる。配列は単に塩溶液の存在下に2つの分子を共インキュベーション
することによってアニーリング(ハイブリッド化)することができる。生ずるハ
イブリッドの核酸分子(リン酸化されていない)は消化したプラスミド、pVLCN
、またはpVLIL2ENのClalに対する結合のための基質である(これらはClalで消化
した後脱リン酸化すべきでない)。結合は典型的には3:1モル比のインサート
/プラスミドを使用して、4℃において、20マイクログラム/mlのDNA濃度にお
いて実施される。結合後、プラスミドを再びClalで切断し、そして0.8%のアガ
ロースゲル上で電気泳動させる。結合の前後に、消化した物質および未消化の物
質を比較すると、所望のベクターを含有する、閉じた円の(緩和された)DNAを
表す消化不可能なバンドを同定することができる。ゲルからバンドを切除し、大
腸菌(E.coli)を形質転換し、そして標準の技術を使用して候補のクローンを
同定する(Ausubelら、前掲)。オリゴ配列内に含有された独特部位のいずれか
をもつ
プラスミドの分析的消化は、向きおよび同一性の確立を促進するために有用であ
ろう。AUGコドンをスプライシング戦略と組み合わせることによって、個々の研
究者の要求に対して適当な、殊に好ましい型のベクターを獲得することができる
。この戦略は任意のレトロトランスポゾンまたはレトロウイルス誘導ベクターに
適用することができる(例えば、高い力価およびタンパク質の発現の増加を達成
するために)。上に描写した例において、AKVスプライスアクセプター部位を使
用した。なぜなら、それはヘルパー配列の中に見出されるMoMLVスプライスアク
セプターとわずかに異なるからである(相同組換えを不能とさせる)。しかしな
がら、研究者は選択する任意の他のスプライスアクセプターを使用することがで
き、そして本発明の範囲は与えた例に限定されることを意図しない。第2H図は
VLATGSAFのための合成構成体を概略的形態で示す。VLATGSARは、インサートの方
向が逆転されている以外、同一である。第13A図は、親ベクターVLIL2EN、およ
びVLATGSA(FまたはS)の誘導体を包含する、ある数のベクターからのRNAの発
現を示す。これらのデータが証明するように、スプライスされたRNAおよびスプ
ライスされないRNAの混合物を合成スプライス部位をもつこのようなベクターか
ら得ることができる。合成スプライス部位をもつ他のベクター(VLPBNSおよびVL
PPBN)はスプライシングの証拠を明らかにしなかったが、より大きい定常状態の
RNAのレベルで発現された。ATGSAインサートをもつベクターは、インサートの前
方の向きでRNAをスプライスしたように思われたが、インサートが前方または後
方の向きのいずれかにかかわらず減少したRNAレベルで発現された。しかしなが
ら、親ベクターはまた減少したレベルで発現され、減少はATGSAインサートなら
びにIL2ENインサートの両方により引き起こされうることを示す。
上の開示、およびそれらの説明はベクター学者には従来知られていなかった。
例えば、Mulliganらは高い力価を与えかつきわめてすぐれたタンパク質の発現を
提供したスプライシングレトロウイルスのベクターを開示した(WO92/07943;G
uildら、および米国特許出願第07/607,252号)。しかしながら、高い発現につ
いての理由は、環境的にスプライスアクセプター部位に関連するが、開示されな
かった。事実、潜在的スプライス部位は偶発的にベクターの中に明らかに含有さ
れた。同様なベクターはそれ以来他の研究者により構成されてきている。本発明
の開示によれば、研究者は記載した方法を理解することによってベクターを操作
して発現とパッケージングの正しいブレンドを得ることができる。
従来、5′−非翻訳領域におけるATGコドンは同様によく理解されなかった。
例えば、Millerら(Bio/Techniques7;980−1989)のベクター(および本発明
者に知られているすべての他のレトロウイルス誘導ベクター)は5′−非翻訳領
域にATGコドンを含有したが、ベクターは多少機能し、こうして困難は明らかに
無視された。種々の遺伝子からのタンパク質の発現のときのスプライシングの有
益な効果はある時期の間逸話的に理解された。しかしながら、タンパク質の劣っ
たLTR誘導発現は現在までレトロウイルスのベクター学の持続した問題であり、
初期の遺伝子治療の実験の解釈を混乱させている(例えば、Anderson,C.,Scie
nce 259:1391−,1993、参照)。したがって、翻訳およびパッケージングが一
緒にどのように働くかについての開示が与えられると、今や研究者はここに記載
する方法を使用してタンパク質の発現および伝達を改良することができる。好ま
しい態様は合成またはレトロトランスポゾンのベクターであるが、本発明はレト
ロウイルス誘導ベクターに等しく適用される。
第11図は種々のベクターからのRNAおよびタンパク質からのデータを示す。Cla
lリンカーの形態のVLDNベクターへの単一のAUGコドンの付加(VLCNを生成する)
は、タンパク質の発現への衝撃を最小にして、力価をほぼ2〜3倍増加した。VL
PPBNの延長したパッケージング領域を除去すると、力価が減少した(参照、VLPB
N対VLPPBN)。ヘルパー細胞の中に存在する天然の(内因性)VL30配列を使用す
ると、クローニング空間が減少したが、伝達効率(力価)は増加した。研究者は
ここで天然のVL30要素、例えば、NVL3を使用して、クローニング空間を犠牲にし
てより高い力価を得ることを教示される。こうして、ここに示すべクターのスペ
クトルから、研究者は最も必要な特性を選択するように教示される。第2図に示
すベクターのいずれも、規定のスプライスドナー部位および翻訳開始部位の間に
既知のまたは優勢のスプライスアクセプターを当然もたない。
20.ゲノムのマッピング
ヒトゲノムのマッピングおよび配列決定ならびにモデル種のゲノムは、国際的
な科学的に重要となった。すぐれた地図を確立するために、多数の隣接する遺伝
子座を染色体上で確立しなくてはならない。これはベクター(例えば、ここに教
示するもの)を細胞の中に形質導入することによって達成することができる。例
えば、第12A図、レーン1は未感染のヒトHT1080線維芽細胞のRNAブロットを示
すが、レーン2はヘルパー細胞および種々のベクターで感染後の同一細胞を示す
。内因性VL30の発現はこれらのヒト細胞中のマウスVL30の存在を示す。これらの
細胞を感染するためにベクターを使用すると、ハイブリダイゼーションにより、
例えば、染色体の塗布またはインサイチュ・ハイブリダイゼーション法により染
色体上の特定の遺伝子座をVL30配列の同一性により指摘することができる(Ausu
belら、前掲、に記載されている)。好ましい方法において、薬物耐
性を使用して、ベクターで標識された独特遺伝子座を有するクローンまたは大量
培養物を確立する。この方法で感染した細胞の多数のクローンを薬物選択により
、例えば、VLPPBNで感染後に、精製し、そして遺伝子座を記載する方法により同
定することができる。こうして、蛍光インサイチュ・ハイブリダイゼーション(
FISH)により得られた染色された染色体の検査した後、特定の染色体に沿って組
込まれたベクター配列の順序列は達成することができる。VL30LTRの末端は既知
の配列を有するので、それらは非対称PCR技術(Ausubelら、前掲)により延長し
て、組込み部位をフランキングするゲノムDNA配列を得ることができる。いくつ
かの他の技術をこの方法と組み合わせていっそう強力な用途を得ることができる
。例えば、バクテリオファージのラムダCOS(パッケージング)シグナルまたは
他のファージのパッケージングシグナルをベクターと組み合わせて、制限消化物
から遺伝子座を回収することができる。これを実施する1つの方法は、合成C0S
配列を消化ゲノムDNAの断片の間に結合することである。感染した(例えば、ヒ
ト)細胞のクローンまたは大量培養物からのゲノムDNAを消化して(例えば、40k
bの)断片を生成し、それらのいくつかは埋め込まれたVL30遺伝子座を含む。こ
れらをC0Sオリゴマーに結合し、次いでin vitroパッケージング(例えば、Strat
agene Gigapackキット)によるか、あるいはDNAの非常に大きい片のパッケージ
ングを可能とする他のファージのための同様な技術により、バクテリオファージ
のラムダのヘッドの中にパッケージする。ファージは細菌細胞を感染し、ここで
それらはCOS粘着末端において環状化しそして、ベクターの中にまた含有される
プラスミド複製起点の領域の存在のために、プラスミドとして複製し始める。好
ましい態様において、リポーター遺伝子、例えば、β−galを含有させてクロー
ンの可視化を容易にする。こうして、真
核細胞のクローンは適当な染色体遺伝子座においてマークされ、そして同時にそ
れは大腸菌(E.coli)または同様な原核生物または酵母の宿主の中にクローニ
ングされて、プラスミドまたはコスミドとして増殖し、また遺伝子座をマークす
る宿主配列をフランキングする。追加の改良において、VL30はまた真核性複製起
点、例えば、SV40ウイルスoriをを含有して、真核細胞における環状のマークさ
れた遺伝子座の増殖を可能とする。この場合において、DNAを前述のように消化
して真核性染色体フランキング領域を含有させるが、次いでそれを低い濃度(好
ましくは<20μg/ml合計DNAの濃度)において結合して環状化を可能とする。
次いで、それはを真核細胞の中にトランスフェクションし、そして薬物、例えば
、ベクターの中に含有されているneoで選択して、遺伝子座のエピソームのコピ
ーをもつ真核細胞を得る。逆に、それを前述したようにコスミドまたはファージ
ミドとして増殖させるが、次いで真核細胞に転移することができる。これは発現
を可能とするために十分に無傷であるフランキング領域における遺伝子の発現を
可能とする。選択に生き残る真核細胞のみはマークされた遺伝子座を含有するも
のである。正しいVL30転写単位は環状のエピソームの染色体の中に埋め込まれる
。追加の態様において、クローンは、DNAのより大きい片のクローニングを可能
とするファージ増殖系、例えば、ファージP1パッケージング系と組み合わせて
使用する。この場合において、適当な修飾を製造業者の使用説明書(Genome Sys
tems Inc.、セントルイス、MO63143−9934)に従い作って効率よいパッケージン
グを可能とする。これはDNAのなおより大きい片の増殖を可能とする。追加の改
良において、マークしたDNAを真核性の二重の小さい染色体または環状ミニ染色
体の中にクローニングする。一次ベクター(染色体をマークするために使用した
もの)上に見出される薬物のマーカーを使
用して、クローンを選択する。これはDNAのメガ塩基大きさの片の増殖を可能と
する。この態様において、必要とするクローンはより少ないであろう。なぜなら
、各々はDNAのより大きいセグメントをスパンするからである。追加の改良にお
いて、DNAをゲノムから抽出するとき、リンカーを環の接合点に挿入する。合成
リンカーまたは制限部位の既知の配列は相補的PCRプライマーを使用する接合点
から2方向の配列決定を可能とし、環の接合点(ゲノム要素の末端)を正しく同
定する。追加の改良において、ゲノムDNAの中に挿入されたVL30LTRの転写活性を
使用して、遺伝子座から下流で付近の遺伝子を発現することができる。このRNA
を使用して天然の遺伝子の発現/挿入のためのプローブを作るか、あるいは遺伝
子座内にエンコードされたタンパク質を発現することができる。発現における興
味ある変化を細胞の表現型の変化に関係付けて、興味ある新しい遺伝子を同定す
ることができる。こうして、ここにおいて提供されるベクターおよび方法を使用
して、序列された方法でヒトゲノムをマッピングおよび配列決定するか、あるい
は視的または生物学的に同定された、多数の隣接する、近位の、またはオーバー
ラップするクローンを使用して、特定の遺伝子の中に選択可能な突然変異をつく
ることができる。このような仕事を促進するために、第2i図に示すようにいく
つかの改良を含有するベクターVLPSN0を使用する。まず、VL30ゲノムを内部の配
列をフランキングする単一のLTRで交換する。NVL3の前のSanB1部位をNotlリン
カーを介して独特Notl部位に変換し、その中にSV40ori−初期のプロモーター領
域を含有する配列を挿入する。この配列を使用して真核細胞の中でneo遺伝子を
転写するが、また、それは大腸菌(E.coli)細胞の中でカナマイシン耐性マー
カーとして機能する。neo遺伝子の右に、ベクターのプラスミドの形態を大腸菌
(E.coli)細胞の中で複製させる、細菌
プラスミドの複製起点が存在する。単一のLTRはVL30の中への外来遺伝子のクロ
ーニングの間の相同組換えを防止する(こうして真正の組換え体/LTR欠失突然
変異体の回収を促進する)。容易さのために、独特Bgl2(BamHI,Bgllと適合性
)およびSall制限エンドヌクレアーゼ部位は、インサート直ちの5′−フランキ
ング配列の中に位置する。これは外来DNAを本質的に同一の部位の中にクローニ
ングさせ、VL30ベクターのパッケージングシグナルの崩壊を最小にする。こうし
て、このベクターは、治療遺伝子を伝達または発現するために、あるいは染色体
の遺伝子座を作りそしてトランスフェクションされたプラスミドまたはファージ
伝達プラスミドとして、あるいは培養細胞の中で遺伝子を発現できる真核性ウイ
ルスとして回収するために使用することができる。
21.造血性幹細胞を使用して動物を再構成しそして疾患、例えば、鎌状赤血球貧
血を処置または治療する方法
造血性幹細胞(発育しそして血液のリンパ系、骨髄、および赤血球の細胞の系
列のすべての細胞に分化する原始血球)を単離しそして部分的に精製する種々の
方法が案出された。一般に、これらの骨髄または末梢血から幹細胞を、例えば、
幹細胞を認識する抗体(例えば、CD34)をレスキューすることを包含する。この
ような方法は、遺伝子操作された血液幹細胞(BSC)を血液の中に再導入するこ
とを潜在的に可能とするであろう。例えば、動物を照射して骨髄を殺し、次いで
オートロガスまたは異種骨髄幹細胞またはそれらの誘導体(種々の血球系列の子
孫、あるいは完全に分化した血球)動物の中に導入することができる。幹細胞を
照射した動物の中に独占的に再導入する場合、動物は細胞中の変更された遺伝物
質に関して永久的に変化されるであろう。血液または血液治療が可能である多数
の普通の疾患が同定されてきている。主要な問題は、未分化の状態で
生活可能に止まるためにストロマまたは細胞の他の型を必要としうる、BSCを同
定しそして精製することであった。BSCの培養を促進できるいくつかの成長因子
が同定されてきている。例えば、インターロイキン3,6およびスチール(Stee
l)因子の組み合わせが使用される。有望な発見は、白血病阻害因子(LIF)は培
養においてBSCを維持するために有用であるということである。
しかしながら、未分化のBSCを効率よく形質導入するために、よりすぐれた方
法が望ましい。幹細胞の中への普通のベクターの形質導入は、増殖しかつ未分化
を維持する能力をそれらが欠如することによりひどく妨害される。1つの可能性
は、BSCが培養において正常に分割するとき、それらが分化することである。こ
うして、多能性の状態が損失される。BSCが時には自己更新する場合、レトロベ
クターを挿入する有糸分裂の細胞は未分化の状態で保存され、そして永久的に変
更した骨髄をもつ動物を再増殖するために使用できるであろう。理想的には、単
一の幹細胞のクローンを形質導入すべきである。不都合なことには、レトロウイ
ルスのベクターは原始細胞中で転写的にしばしば不活性化される。さらに、非有
糸分裂の状態のBSCはレトロウイルスの誘導体による感染に対して屈折的である
。しかしながら、血球中のMoMLV誘導ベクターの有用性は、血液栄養性であると
いう事実により多少増強される。これは重症複合型免疫不全症(アデノシンエア
ミナーゼ欠乏症)に影響を与える、初期の治療実験の部分的成功に対して疑い無
く重要である。しかしながら、非幹細胞を使用する治療はBSCを正しくかつ効率
よく固定しかつ変更することが不可能であるために、長期間続けなくてはならな
い。マーカーの実験は1つまたは2つのBSCが動物を再構成することを示した。
しかしながら、同定し、形質導入し、培養において維持しそして操作した細胞を
伝達する技術は効率ではない。リンパ球
をレトロウイルスのベクターで処理することは、いくつかの自己更新が起こるこ
と証明し、こうしていくつかの明らかに自己更新する細胞(多分BSC)は感染細
胞の大量培養物においてターゲッティングされてきている。しかしながら、この
ターゲッティングは偶発的でありそして明確な、効率よいターゲッティングでは
ない。理想的には、ベクターが効率よく導入されると同時に細胞が未分化の状態
に止まるように、細胞を培養の間に導入して効率よく増殖させるべきである。こ
うして、血球および原始細胞を包含する種々の細胞系列の中で発現することが知
られている特別のベクターを使用して、小さい集団または単細胞のクローンを培
養において完全に特性決定することができ、そしてこれらを使用して普通の疾患
、例えば、前述の疾患に悩まされている個体、あるいは血液に対して外来である
が、血液ブウメ(blood−boume)治療が可能な個体の血液を再構成することがで
きる。
有望な新しい技術が最近案出され〔Rogersら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA
)90:5777−5780,1993〕、この技術によると、当業者はBSCの増殖を調節し、
こうしてレトロウイルス、例えば、VLATGSAF,VLPPBN,VLCN、または他のレトロ
ウイルスを自己更新の間に導入することができる。この方法の主要な利点は、CD
34+精製BSCの使用を必要としないことである。この方法において、骨髄栓をRog
ers(前掲)に記載されているようにほぼ30日間in vitroで培養し、処方された
マイコフェノール酸の処置を使用してすべての有糸分裂の細胞を破壊する。次い
で、腫瘍壊死因子(TNF)をマイコフェノール酸の不存在下に添加してBSCの増殖
を誘発する。
われわれはここで開示するように、TNF(または他の増殖誘発因子)の影響下
の増殖の初期の段階の間に、レトロベクターの粒子(例えば、VL30誘導または他
のレトロベクターを生産するヘルパー細胞
系)を含有する上澄み液を添加して、有糸分裂のBSCをベクターに暴露する。理
想的には、ベクターはマーカー、例えば、neo、β−ガラクトシダーゼなどを含
有して、後に細胞のクローンの同定を可能とする。BSCは培養における有糸分裂
の細胞の大部分であることが明らかであるので、それらはベクターにより主とし
て影響を受ける。分化した細胞は寒天中でコロニーを形成し、そして究極的に終
わりの分化後に死亡するので、骨髄を培養において6カ月間(分化する、非幹細
胞の生存より長い)増殖させた後、形質導入されたBSCから生ずる細胞のクロー
ンを同定することができる。薬物選択(選択可能なマーカー、例えば、neoの場
合において)または生体染色(リポーター遺伝子、例えば、β−ガラクトシダー
ゼの場合において)を使用して、それぞれ、細胞を精製または可視化することが
できる。次いで、このような長期間生き残るBSCを使用して骨髄を再構成するこ
とができる。好ましい態様において、ベクターをVL30、あるいは合成ベクター、
例えば、ここに記載するNVL3誘導ベクター(これらは培養においてヒトリンパ球
中の発現される)から誘導する。高いレベルのLTR誘導転写を望む場合、BVL−1
のLTR転写プロモーター(Hodgsonら、1983)または示されたBVL−1に類似する
プロモーター(Parkら、Blood 82:77−83,1993)の使用を置換して、血液因子
のエリトロポイエチンに応答して、赤血球の分化の間に殊に転写的に活性化する
ことができる。前述の遺伝子の増幅法は、また、置換またはライブラリーから(
または組織から直接)の捕捉を可能とし、こうして研究者は動物を除外した特別
の物質(または動物の細胞、細胞系または組織)直接アクセスしないで特定の細
胞系列中で発現される天然のネズミの同等物にプロモーターを適合させることが
できる。あるいは、他の遺伝子、例えば、グロブリンからの内部のプロモーター
を使用して、現存するタンパク質また
はサブユニットを競合しようと望むことがある細胞中のタンパク質(例えば、グ
ロブリン遺伝子のプロモーター)の等モル比を得ることができる。本発明の主要
な利点は、ヒト血球中で発現して(第12B図)、in vivoで遺伝子操作された細
胞の選択に使用できるという能力である。
22.長い末端の反復をもたないレトロエレメントおよびレトロポゾンを使用する
遺伝子の転移
パッケージングシグナルおよびレトロウイルス粒子を介して細胞間で伝達する
ことが必要であるレトロウイルスの遺伝子を欠如する、多数のレトロエレメント
がヒトおよび他の種のゲノムの中に見出される。われわれは、VL30のパッケージ
ングシグナルがこのRNAを標準のヘルパー細胞を介して効率よく伝達させる方法
を示した。しかしながら、レトロエレメントの他の型はまた逆転写およびゲノム
の中への挿入の能力を有するが、パッケージングの能力を欠如する。したがって
、ここに含有される技術および開示から、パッケージングシグナル、例えば、VL
PBNの中に含有されるものは、単独であるいはVLPPBNの中に含有される増加した
パッケージングシグナル、あるいは内因性VL30遺伝子座の同定されたスペーサー
領域の中に含有される特別の増強された機能と組み合わせて、他の型のレトロエ
レメントにおいて利用して、ヴィリオンを介するレトロトランスポジションを可
能とすることが理解される。なぜなら、レトロトランスポジションのために必要
な他の機能はこれらは要素の中に既に存在するからである。このようにして、要
素、例えば、LINES(ヒトおよび関係する種における長い介在する要素)、ALU(
マウス、ヒト、および他の種における短いレトロポゾン)、および、そうでなけ
れば細胞の間を動くことができない、長い末端の反復をもたない同様な要素を介
して遺伝子を伝達および/または発現することができる
。
23.胚幹細胞:幹細胞のベクターを使用する骨髄および血液の再構成
BSCの純粋な培養物についての調査の間に明らかに見過ごした考察は、血球が
胚形成の間に非常に急速に分化することができることである。例えば、胎児接合
体を使用して出発して、ちょうど1〜3日のインキュベーション後に、赤血球の
島はひよこの胚において視ることができる。したがって、血液幹細胞は多能性ES
細胞から急速に分化する。さらに、殊にこのような細胞がそれらの可能性に関し
て既に制限されている場合、原始血球のマーカー、例えば、CD34を調査すること
は不必要であることがある。このような制限はまたそれらを既に部分的に分化ま
たは制限されている血液子孫としてマークすることができるか、あるいはそれら
は永久分裂能をもたないことができる。多能性についての制限は潜在的に悪影響
を及ぼすので、血液幹細胞を使用する技術を多能性胚幹(ES)細胞を使用する技
術と置換することが望ましい。例えば、ES細胞を植物のレクチン、例えば、ConA
で刺激する場合、それらはリンパ系細胞に分化する。血液の系列への分化のため
に通常必要な因子は骨髄およびその関連するストロマの中に存在するので、ES細
胞を骨髄の中に挿入してそれらが成熟血球に分化できるようにすることが望まし
い。成功するための主要な要素は次の通りである:(1)ES細胞のすぐれた系統
(すなわち、非異数体、非分化)を維持する:および(2)ES細胞を適当な微環
境の中に挿入する)。あるいは、Rogersら、前掲、に記載されている骨髄培養物
からBSCを増殖する方法は、また、培養形態の添加されたES細胞の中でBSCを培養
するために使用できる。上の手順の1つの変法において、Rogersが記載するマイ
コフェノール酸の処理をTNFの存在下に反復して、骨髄培養物中の増殖するBS
Cを殺す。次いで遺伝子操作したES細胞(好ましくは単一のクローン)を培養物
に添加し、そして細胞をマイコフェノール酸の不存在下にTNFの中で増殖させて
、ES細胞から誘導されたBSCの発芽後成長を可能とする。1つの変法において、
マイコフェノール酸の処理を任意の時間に反復して、増殖しているが、BSCの一
部分とならないES細胞(例えば、培養物の周囲のES細胞)を殺し、導入された
ES細胞から誘導された静止状態の血液幹細胞を節約する。幹細胞のベクター、例
えば、本発明のVL30ベクターVLPPBNを使用して、培養においてES細胞を選択的に
形質導入することができる(Cosgroveら、J.Cellular Biochem.17E:235,199
3)。また、このような細胞は組織適合性抗原に関して、遺伝子のノックアウト
法(Cosgroveら、Cell 66:1051−1066:Beonoistら、W09211753)によるか、あ
るいは本発明を使用する組織適合性遺伝子の挿入により修飾することができる。
こうして、ES細胞を使用して、個体の受容体のための血液の組織適合性抗原を設
計し、ここに記載するベクターを使用して新しい組織適合性因子を送り出すこと
ができ、ならびに治療遺伝子を骨髄移植受容体に送り出すことができる。ヒトES
細胞は、いったん単離されると、多数の受容体の中への挿入のために組織適合性
修飾することができる。こうして、血液をこれらは原始細胞から移植してES細胞
を介して遺伝的欠陥を補正することができる。過去において、主要な問題はBSC
が純粋培養において効率よく増殖しないことである。しかしながら、ES細胞は線
維芽供給層の存在下に、あるいは白血病阻害因子日LIF)の存在下に増殖し、し
たがって、この問題は回避される。しかしながら、ES細胞の有効な遺伝子治療を
悪化する他の問題は、これらおよび同様な胚癌細胞(Robertsonら、Nature 323
:445−448,1986;Stewertら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:4098-4102
)が遺伝子を細胞に伝達するために使用し
たMoMLVレトロウイルスのベクターからの転写を急速に不活性化するであろうと
いう事実である。これはクローンを同定するために面倒なスクリーニング法を必
要とした(Robertson、前掲、を参照のこと)。さらに、MoMLVベクターはBSC中
で転写的に不活性化される(Challitaら、J.Cellular Biochemisty,17E:229
,1993)。しかしながら、Cosgroveら、前掲、に例示されているように、本発明
はVL30レトロトランスポゾンおよびそれらの合成誘導体がES細胞の中でRNAおよ
びタンパク質を選択的に発現できるようにさせ、クローンの回収を可能とし、そ
して従来要求された面倒なスクリーニング法を省略する。より重要なことには、
内因性VL30レトロトランスポゾンはまたマウスにおいてin vivoで効果的に発現
されるので、in vivoのレトロウイルスのベクターの不活性化の問題(Richards
およびHuber,Human Gene Therapy,4:143-150,1993、において概観されてい
る)がまた克服される。こうして、本発明の主要な利点は、ベクターとしてのES
細胞の使用における改良を本発明が可能とすることである。多能性細胞を使用す
る作業の本発明の利点は、それらが永続的に自己革新するので、いったんそれら
が確立されたなら、それらをin vivoで補充する必要がけっしてないことである
。血液幹細胞のCD34精製のような技術は不必要である。血液の多数の疾患、例え
ば、鎌状赤血球貧血、タラセミア(thallassemias)、免疫学的および凝固の障
害は、ここに記載する物質および方法を使用して血液を修飾することによって潜
在的に処置することができる。等しく重要なことには、血液に制限される多数の
他の疾患は、血液が各器官に滋養を与え、こうして多数の成分および酵素活性を
このような組織に送り出すことができるので、血液を通して遺伝子治療が可能で
ある。
24.一次細胞における発現:哺乳動物の発現系、およびトランスジ
ーンへの適用
レトロウイルス誘導ベクターの主要な困難は、それらが形質転換された細胞お
よびリンパ球様細胞において容易に発現されるが、一次細胞におけるあるいはin
vivoでの発現が劣ることである(RichardsおよびHuber、前掲、参照)。内部の
プロモーターの使用は非リンパ球様細胞におけるそれらの性能を限界的に改良す
るが、それらはLTRの中に位置するエンハンサー要素の阻害によりまだ制限され
る。理想的には、選択するベクターは活性クロマチンの領域の中に外来遺伝子を
挿入すべきであり、そして転写エンハンサーは高度にメチル化されるべきではな
い。より理想的には、エンハンサーは乳腺において非常に活性であり、標的遺伝
子座(例えば、組換え生成物の)においてより高いレベルの遺伝子の発現を可能
とすべきである。最も理想的には、ホルモン調節発現が可能であり、研究者は哺
乳動物のプロモーターまたはベクターの転写単位(LTR)をもつフランキングエ
ンハンサーを使用できるべきである。
幸いにも、ここに記載する新規なベクター(例えば、表現型VLPPBN)は関係に
依存してこれらは所望の特性のいくつかまたはすべてを有する。第12A図はVL30
プローブにハイブリダイゼーションしたRNAブロットを開示し、正常のヒト乳上
皮細胞(NHME)(CloneticsReserch、カリフォルニア州ラジョラ、から)におい
てNVL3プロモーターからのRNAの豊富な発現を明らかにする。発現はインスリン
の刺激により有意に増加することが発見された。同様な実験において、NVL3LTR
ブロモーターは乳MCF7細胞においてインスリンおよび/または基本的ヒト線維芽
成長因子により調節向上されうることが示された。
この好ましい態様(組換え遺伝子生成物の生産のための乳房細胞培養系)の有
用性は、既に開示されたトランスジェニック方法を使
用するか、あるいはレトロトランスポゾンのベクター、例えば、VL30を多能性胚
幹細胞(ES細胞)において選択可能に発現させる独特の納涼を使用して(Cosgro
ve,Chakraborty,Grukenmeyer)およびHodgson,1993,J.Cellular Biochem.
17E:235)(これらの細胞は胚の中に注入しそしてキメラおよびトランスジェニ
ック動物を発生させるために使用できる)、また、全動物に拡張することができ
る。第12図が証明するように、本発明のベクターはRNAとして一次細胞の型(例
えば、リンパ球または乳房細胞)、ならびにヒト細胞を包含する形質転換された
細胞の中でRNAとして容易に発現される。neoタンパク質の選択可能な発現は、ヒ
ト線維芽、乳房上皮、およびリンパ球の一次培養物において検出さた。エプスタ
インーバー−ウイルスで形質転換された、選択したヒト末梢血リンパ球(大部分
B細胞)は、ノザンブロット分析により検出したとき有意なベクターRNAを発現
した。重要なことには、乳房上皮はまたLTRプロモーターから有意な量のRNAを発
現した。次いで、本発明は遺伝子生成物の乳腺の発現のために使用できる。タン
パク質の乳房の発現が、乳から抽出できる組換え物質の生成の重要なモードであ
る。こうして、乳房のベクターは有用なトランスジェニック動物の生産における
主要な能力工程である。さらに、ES細胞は同一ベクターを使用する薬物選択によ
り得ることができるので、本発明から作られたES細胞誘導トランスジェニックは
価値のあるタンパク質の乳房細胞または乳の生産を可能とする。1つのモードは
本発明のベクター、例えば、VLPPBNの自然の乳房の発現の性質を使用してLTR誘
導タンパク質の発現、例えば、neoタンパク質およびRNAがヒト乳房細胞の中で培
養において発現される例示する例を可能とすることである。他のモードはLTRの
乳房特異性を使用して、既知の乳房特異性をもつ内部のプロモーター、例えば、
カゼイン、乳漿の酸性タンパク質
のプロモーター、ラクトフェリンのプロモーターなど(これらは乳腺において活
性化されることが知られておりそして組換えタンパク質の乳房特異的発現を可能
とする)からの発現を増強することである。接合体に乳房発現のための遺伝子を
送り出すために使用されてきているトランスフェクションの方法、例えば、マイ
クロインジェクションを越えた利点は、配列がLTRの活性な乳房のエンハンサー
配列によりフランキングされる単一のコピーの遺伝子として組込まれるので、こ
のようなトランスジェニック動物においてしばしば観察される発現の多数の変動
性を減少できるということである。ES細胞における発現のために前もって選択で
きることは、殊に大きいトランスジェニック動物のコストを考慮するとき、動物
の選択の方法を越えた、理解できる1つの利点である。こうして、トランスジェ
ニック動物の生産の経費のかかる方法の前に、数百または数千のクローンをin v
itroで前もってスクリーニングできるES細胞の段階において選択を実施すること
は有利である。
多少異なる乳房の発現方法において、乳管をヘルパー細胞またはヘルパーウイ
ルスで潅流して、増殖する細胞の形質導入を可能とする(理想的には、増殖が最
適であるときの発育の間)。好ましくは、乳腺は生理的食塩水ですすいで初乳ま
たは乳の物質を除去した後、乳首管を経て潅流する。理想的には、乳房は発育の
非常に初期の段階にあり、そしてベクター生産体細胞は発育の間の早い時期に乳
房の脂肪パッドの中に直接注入して、増殖の初期の段階において始原細胞を遺伝
的に変更できるようにすべきである。ベクターを作るベクター生産体細胞、また
はこのような培養物からの培地の上澄みをまた潅流して乳首管に入れ、それが乳
房の腺胞に入ることができるようにし、ここでそれを増殖する乳房細胞に暴露す
る。理想的には、腺は効率よい形質導入を可能とするように高度に増殖性の状態
であるべきである。この状態は妊娠の間に自然に誘発されるか、あるいはホルモ
ンで誘発させることができる。ホルモンで刺激して初期の系列を感染させかつ乳
房の発育の後期の段階の間に増殖するようにする直前に、あるいは間に、ベクタ
ー生産体細胞または上澄みは乳房の脂肪パッドの中に注入することができる。こ
の方法において、純粋なトランスジェニック動物の系統を発育することを必要と
しないで、タンパク質をキメラ動物の乳の中で生産することができる。ここに例
示したベクターは好ましい態様であるが、記載する方法および手順は与えた例に
範囲を限定することを意図しない。
25.本発明を使用するRNAおよびタンパク質のスプライシングおよび発現
本発明のベクターは少なくとも1つのカノニカル(canonical)スプライスド
ナー部位、第2図にSDと識別する、を含有する。しかしながら、各細胞系は関係
する特定の発現のために利用できるスプライシングのための独特の能力を有する
。第12C図(6)はVLPPBNにより形質導入された細胞からのVL30配列を含有する
少なくとも3つのメッセンジャ−RNAを示す。RNAは結腸癌細胞がベクターが異常
な部位でスプライスする能力を表すことができる。第13図は、また、ベクターVL
ATGSAF(節19において説明した)から発現するか、オリゴヌクレオチドが逆向
きで挿入された、対照実験のベクターVLATGSARから発現しない、スプライスされ
たおよびスプライスされないmRNA配列を示す。これらのベクターはATGコドンお
よび引き続く停止コドンを含有して、パッケージングを促進するが、ATGSAFはま
たSDから下流にスプライスアクセプター部位を含有して、スプライスしたmRNAを
促進し、このmRNAは上流に位置する多数の誤ったATGコドンからの妨害なしにタ
ンパク質の効率よい翻訳を可能とする(ATGSARはATGスプライスアクセプター配
列が逆に挿入されている陰性
の対照である)。さらに、推定上のSD部位がまたLTRの中に存在する。両方のス
プライされたおよびスプライスされないmRNAが観察され、2以上の遺伝子をLTR
プロモーターから発現させることができ、そしてプロモーターの妨害により引き
起こされる問題に導くことがある内部のタンパク質の必要性を減少することを示
す。こうして、別のスプライシング経路は本発明の目的である。
26.動物の胚の中へのin vivoの遺伝子の導入
トランスジェニック動物を発生する能力は、遺伝子を胚の中に直接導入してキ
メラまたはモザイク動物を発生させる方法により大きく促進され、このような動
物は次いで飼育して特性がヘテロ接合性またはホモ接合性に示すトランスジェニ
ック子孫を発生させることができるであろう。この技術は鳥類の種、例えば、ニ
ワトリのために殊に有利であり、ここでレトロウイルス(Salterら、Virology 1
57:236−240,1987)、マイクロインジェクション(Loveら、Bio/Technology
12:60−63,1994)および始原胚芽細胞(Vickら、Proc.R.Soc.Lond.B251:
179−182,1993)は首尾よく使用されたが、好ましくなかった。さらに、それは
鳥類の卵中のタンパク質の発現を可能とし、ここで前記タンパク質は精製しそし
て動物に対して有害なまたは侵入性の手順を使用しないで工業的目的で使用する
ことができる。
好ましい態様において、ヘルパー細胞からの上澄み、またはベクター生産体細
胞を含有する上澄みを初期(第0日)のひよこの胚の胞胚葉の中に直接注入し、
そして卵を終わりまでインキュベーションする。0.2mlまでの細胞培養流体およ
び≧1×104細胞を障害なく第0日の胚の中に注入できる。注入を促進するため
に、気室の上の卵の大きい端の中に孔を開けることができる(0.5cm、無菌の歯
科用ドリルを使用する)。気室の内側膜を通して胞胚葉を可視化した
後(37℃において卵の1時間のインキュベーションは膜を通して胞胚葉を容易
に見られるようにし、このときそれはそれ自体膜の直く下にかつ膜に対向して位
置する)、ベクターの流体を皮下注射針(例えば、18〜20ゲージの針を装備する
1mlのツベクリン注射器)を使用して胞胚葉の中に直接注入する。操作後、孔を
ファースト・エイド・テープ(3M Company、ミネソタ州セントポール)を使用す
るか、あるいは孔の上にガラスを溶融するための電気接着剤ガンからの熱い接着
剤のヘッドを使用して孔の上にカバースリップをシールすることによって閉じる
。解化後、PCRを動物の血液について実施して、遺伝子が動物細胞の中に挿入さ
れて、モザイクまたはキメラ動物をつくったかどうかを決定する。第13B図およ
び第13C図は、VLOVBGHを含有する1〜5×104PA317細胞に暴露した動物のニワ
トリの血液からのPCRの結果を示す。6羽のPCR処置した動物のうちの5羽はOVBG
H構成体の挿入について陽性であり、ここで0VBGHはベクターVLPPBN中のオバルブ
ミン遺伝子のプロモーターおよびウシ成長ホルモンのcDNAから成っていた。DNA
ブロット分析の感度が低いこの方法は、6羽の動物のうちの少なくとも2羽にお
いて期待するバンドを明らかにした。6羽の動物のうちの5羽は6カ月間生きて
おりかつ健康に止まる。1羽の雄の動物は挙動の異常を有し、引き続いて殺した
。ベクターVL0VBGHは輸卵管特異的オバルブミンプロモーターを使用して、ホル
モンの生産および卵の中への分泌のために輸卵管における特別にウシ成長ホルモ
ンを発現するように設計する。このような発現は、適当なシグナルタンパク質が
タンパク質配列上に存在して輸卵管の中への分泌を可能とすることを必要とする
。動物は通常発育しそして卵を産み、卵は最初に通常より多少小さかった。先行
技術(例えば、Loveら、前掲)は、キメラ、例えば、上のキメラを飼育してトラ
ンスジェニックを生産できることを
教示する。体の遺伝子治療、またはモザイクの同様な戦略は肝臓におけるタンパ
ク質の生産をニワトリにおいてを可能とした(Cookら、J.Poultry Sci.72:55
4−567,1993)、ただしトランスジーンの発現を可能とするか、ウイルスの新形
成からニワトリを死亡させるウイルスを使用した(トリ肉腫−白血病ウイルス)
。複製競合ウイルスのベクター、例えば、Cookらの上に引用した例のベクターを
使用する追加の問題は、転位がしばしば起こり、発現を妨害する遺伝子構造の変
化を生ずることである。したがって、典型的には長期間安定である本発明のベク
ターはレトロウイルス誘導ベクターに対して好ましい。
27.ベクターを使用するヒトまたは動物の遺伝子ライブラリーの調製
本発明のベクターは6〜10kbの外来遺伝子配列を潜在的に輸送することができ
、そして前述したように形質導入後に多数の型の哺乳動物細胞および組織におい
てそれらを発現することができる。受容細胞の中で遺伝子の同定または表現型の
発現を可能とする遺伝子の発現ライブラリーをつくることは望ましいであろう。
好ましい態様において、ヒトまたは動物のDNAを酵素、例えば、Mbo1およびSau3A
制限エンドヌクレアーゼで消化し、ここでこれらの制限エンドヌクレアーゼはDN
Aをそのメチル化状態に依存して非常に短い断片(平均大きさ、約256bp)に消化
する。DNAは、ライブラリーの目的に依存して、部分的にのみ消化して2〜10kbの
平均大きさをもつ断片をつくる(短い断片は短い遺伝子または個々のエクソンま
たはエクソンの群の発現にいっそう有用であることがあるが、長い断片はより大
きい遺伝子または遺伝子断片を発現することができるであろう)。DNA(これは
、上の例において、Mbo1およびSau3A酵素のオーバーハング配列のために、BamHl
合性末端を有する)をゲルまたは
勾配から単離し、そして選択したベクターの適合性部位の中にクローニングする
。研究者がそれ自身の内因性プロモーターから遺伝子を発現しようとする場合、
遺伝子をベクター、例えば、VLPPBNのBamHl部位の中にクローニングすることが
できる(第2図)。VL30プロモーターからのRNAの発現を望む場合、遺伝子をベ
クター、例えば、VLSVP(これはSV40ウイルスの(初期)プロモーター推進プロ
マイシン耐性遺伝子(選択のため)をもつVLPPBである)のBamHl部位の中に挿入
することができる。こうして、挿入された遺伝子中の、あるいはベクター中のAT
G開始コドンはNVL3ブロモーター開始(またはゲノム)RNAからのタンパク質の発
現を可能とする。この手順の他の変更は、スプライシングシグナルを含有させて
遺伝子をスプライスされたRNAとして発現させることである。生産体細胞、例え
ば、PA317を介する形質導入後、遺伝子は要求に依存してヒトまたは動物の細胞
の中で発現させることができる。ライブラリーは、DNAまたはRNAのハイブリダイ
ゼーションを経て、ならびに所望のタンパク質に対する種々の抗体を使用するエ
ピトープのスクリーニングによりスクリーニングすることができる。こうして、
この態様は発現ライブラリー、例えば、大腸菌(E.coli)GTllバクテリオファ
ージを使用して作ったライブラリーに対する代替態様であり(Ausuberら、前掲
、参照)、ここでタンパク質の発現は動物におけるように変更することができな
い。別の態様は細胞RNAから作られたcDNAから誘導されたベクター遺伝子配列を
含有させることである。この場合において、BamHlまたは他の適当な制限酵素と
適合性のリンカーをcDNAの末端に取り付けて、ベクターの中への円滑なクローニ
ングを可能とする。このような配列は天然のATGコドンおよび中断されないオー
プンリーディングフレームを含有し、真核細胞の中でクローニングされたタンパ
ク質の生産を可能とする。なお他の態様
は、スクリーニング法として対抗−選択を使用して、問題の遺伝子を発現する細
胞を得ることである。すなわち、(例えば、栄養要求性)突然変異を有する例の
ための受容細胞を、補充した培地の中で、ベクターのライブラリーを使用する形
質導入の間そして引き続いてマーカー薬物、例えば、neoを使用する大量培養に
おいてベクターについて選択する間に増殖さる。しかしながら、増殖は初期の選
択プロセス後に補充しない。これは選択する遺伝子(例えば、栄養要求性標的遺
伝子)を発現するクローンの発芽後成長を可能とする。これは選択可能な表現型
が存在するが、既知の抗原または抗体が存在しない遺伝子のクローニングを可能
とする。すべての要求されることは次の通りである:(1)影響を受けた個体(
または細胞培養物において発生した突然変異)からの対抗−選択可能な細胞系、
および(2)ベクターのフォーマットにおけるヒト(または他の生物)遺伝子の
ライブラリー。この型の手順はヒト遺伝子治療を大きく促進することが期待され
る。なぜなら、疾患の表現型を補正する選択した遺伝子は、機能的および有用な
遺伝子治療のベクターの中で既に発現されており、前記ベクターは急速にかつ容
易に回収することができる(全体のベクターのPCR増幅または逆PCRによるか、あ
るいは形質導入可能なフォーマットでVL30クローンをレスキューするためにネズ
ミまたは霊長類のC型レトロウイルスまたはヘルパーを使用する重感染により)
からである。これらのベクターを使用して影響を受けた個体の細胞をex vivoま
たはin vivoで処置する。こうして、影響を受けた遺伝子の前もって同定しない
で、有用な遺伝子治療は可能である。この手順は多数の5,000に及ぶ遺伝疾患の
処置のために、あるいは他の分子または感染因子、例えば、オンコジーン、細菌
およびウイルスを変調、除去または破壊するために使用できる認識配列、例えば
、抗体のレスキュー(抗原生産遺伝子
として)のために使用できる。特別の態様は抗体がまた触媒である態様である。
この方法は抗体技術を使用して新しい酵素を生産して、所望の反応の遷移状態を
模擬するように設計された分子に対して抗体を作り、次いでこの酵素を使用して
ベクターを使用する遺伝子治療の結果として複雑な代謝の仕事を実行することが
できる。さらに、ここに記載するスクリーニングの簡素化された型は個々のベク
ターの構成、スクリーニング、有効性についての発現の試験を排除する。ベクタ
ーの所望の増殖および調節の特性は、その代わり、影響を受けた細胞の大量形質
導入により直接決定することができる。組換えDNA法、およびライブラリーをス
クリーニングする手順はAusubel前掲、に記載されている。殊に好ましい態様に
おいて、これらの方法は前述の幹細胞技術と組み合わせ、ここで治療遺伝子は欠
陥ES細胞または他の幹細胞において機能を回復し、次いで欠陥器官または組織、
例えば、血液を再構成する。
28.ベクター学のための力価増加遺伝子についてスクリーニングする方法:競馬
(horserace)技術
多数の型のDNA配列は、例えば、レトロウイルスのヴィリオンの中へのパッケ
ージングを増強することによって、効率よいベクター学を促進するために助けと
なる。例えば、ライブラリー、例えば、前の節におけるライブラリーを、ピンポ
ン(Bestwick、前掲)によるか、あるいは相補的ヘルパー細胞系(例えば、Ψ2
またはPA317)の間の濾過した簡単な系統的継代により、環境栄養性から両栄養
性などに反復して継代することができる。各工程において薬物(選択可能なマー
カー)の選択を伴う数回の継代後、最も効率的に継代されたベクターは非効率的
にパッケージおよび伝達されたものよりも優勢であろう。こうして、競馬の生き
残りは最も効率的であろう。VL30ゲノムのサブクローニングの節により構成され
たベクターを、
また、競馬法により選択することができる。
29.エピソームのベクターの自己切除:細胞の中への送り出し、腫瘍特異的発現
、および組込まれたまたは自律的存在
VL30の既知のプロモーターの中には、NVLIおよびNVL2(Cacterら、前掲)を包
含する、腫瘍特異的または形質転換特異的発現のためのプロモーターが存在する
。したがって、これらのエンハンサー−プロモーターの組み合わせは、癌細胞に
おいて増強した発現を得るために本発明の方法の中に組込むことができる。しか
しながら、癌細胞または形質転換された細胞により非常に強く誘発される遺伝子
の増幅された、エピソームのコピーを得ることは、また、望ましいであろう。例
えば、遺伝子は傍観者作用、また、代謝共同と呼ばれる、により付近の細胞を殺
すこの機構により発現させることができる。これはウイルスのベクター、例えば
、マウスの小さいウイルス(MVM)を使用して可能であるが、このウイルスの力
価は非常に低く(約102/ml)、ヒトの遺伝子操作の道具としてほとんど無用と
する。しかしながら、MVM減少ゲノム(第14図)を示すようにVL30ベクターと
組み合わせることによって、ヘルパー細胞またはここに記載するような他の機構
を使用して、パルボウイルスのゲノムを含有するレトロベクターをレトロベクタ
ーと同一の効率で細胞の中に送り出すことが可能である。いったん細胞の内部に
入ると、レトロベクターは、パルボウイルスのゲノムを包含する、それ自身のDN
Aのコピーを作る。パルボウイルスの自己切除は、細胞の機構をベクターから活
性化されたウイルスのタンパク質、NS(非構造的)と一緒に含有させることによ
って可能である。好ましい態様に示すP4およびP38プロモーター、MVM、は形
質転換された細胞の中で強く活性化される。P38プロモーターは治療遺伝子、例
えば、ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子(これは薬物、例えば、ガンシクロビア
)に
よる腫瘍細胞の傍観者作用の殺しために有用である)を発現することができる。
治療遺伝子を含有する切除されたMVMミニゲノムは一本鎖DNAゲノムとして自律的
に複製し、コピー数を増幅する。プロモーターは細胞の形質転換された状態に対
して応答して、その通常の活性の100〜1000倍程度に高く、強く活性化される。
パルボウイルスのゲノムの必須部分は逆位末端反復(ITR)、P4プロモーター
およびNS遺伝子、P38プロモーター、およびP38プロモーターからの発現に連鎖
した構造または治療遺伝子である(MVMミニゲノムの複製のためのシス作用性配
列として十分である正確な配列は、TamおよびAstelI,Virology 193:812−824
,1993、に詳細に記載されている)。
好ましい態様の変異型において、別のパルボウイルス、アデノ関連ウイルス2
(例えば、AAV2)をレトロベクター、例えば、VLPPBNの中に含有させる。このパ
ルボウイルスは、また、受容細胞の中でベクターDNAの形成後に、ゲノムから切
除する。しかしながら、それはヒトゲノム内に、しばしば特定の部位に、組込む
することができ、それを細胞内で永久的とする。こうして、複製競合ウイルスを
生成する傾向のあるDNAウイルスのヘルパー系を使用することを必要としないで
、任意の遺伝子をこれらのベクターによる発現のために細胞に送り出すことがで
きる。
30.チャイニーズボックス:レトロトランスポゾン内のトランスポゾンなど
レトロエレメントに加えて、細胞は、また、DNAに基づくトランスポゾン、例
えば、最初に特性決定された移動性遺伝要素の中に入るトウモロコシのAc/Ds要
素を有する(McCIintock,Cold Harbor Symposium of Quantitative Biology,1
6:13-47,1952;前掲、21:197−,1957)。レトロエレメントど同様に、いく
つかのDNAに
基づく転位可能な要素は転位を促進する酵素活性のための遺伝子(トランスポサ
ーゼ)をエンコードするが、他の転位可能なDNA要素は他のトランスポゾンに頼
ってその機能を提供する。したがって、DNAに基づく転位可能な要素はそれをレ
トロベクター、例えば、ここに記載する好ましいベクターの中に取り囲むことに
よって細胞の中に伝達することができる。ゲノムの中に挿入した後、転位可能な
DNA要素は自由に切除しそして細胞ゲノム内をさまよう。場合に応じて、切除し
たDNAは損失させ、これによりこれは所望の遺伝子を細胞の中に選択により入れ
、そして不必要な選択可能なマーカーを引き続いてマーカーを有する転位可能要
素の切除により排除する便利な方法なる。逆に、単一の組込み遺伝子は細胞内を
動くことができ、選択しあるいは自然におけるように自発的に発生できるように
する遺伝子の発現のためのある数の態様を提供する。基本的前提条件は、トラン
スポサーゼの機能を、シスまたはトランスで提供して、トランスポゾンを切除で
きるようにしなくてはならないということに示す。移動性遺伝要素のこの組み合
わせは、細胞の間を動く能力をもつDNAに基づく要素を本質的に提供する。他方
において、RNAに基づく移動性要素が可動化するか、あるいは逆転写酵素なしに
細胞内で動くことができるある種の配列を切除する能力を与えられることができ
ることを概観できる。レトロエレメント、例えば、好ましいベクターがDNAトラ
ンスポゾンの中に含有される逆の場合はそれほど直接実際的ではない。この場合
において、DNAトランスポゾンは細胞の中に入りそして組込まれる。次いで、逆
転写酵素(これは細胞内に見出すことができるか、あるいはウイルス、ヘルパー
配列などにより外因的に提供されることができる)の存在下に、レトロエレメン
トRNAはウイルス粒子の中に逆転写またはパッケージされるであろう。しかしな
がら、この要素は、DNA要素およびトラ
ンスポサーゼ酵素が一緒に細胞の中にトランスフェクションされて、ゲノムの中
への安定な組込みを促進する場合に、有用であることがある。こうして、DNAト
ランスポゾンを組込みのための、あるいはその内部からレトロエレメントを送り
出すのためのプラットホームとして使用できる。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
// A61K 48/00 8314−4C
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(32)優先日 1993年7月26日
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 08/130,638
(32)優先日 1993年10月1日
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 08/194,208
(32)優先日 1994年2月7日
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,CA,
CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,HU,J
P,KP,KR,LK,LU,MG,MN,MW,NL
,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,
SK,UA,US
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.(a)所望の遺伝子配列を決定し、 (b)所望の配列またはその一部分を含有する合成オリゴヌクレオチドを構成 し、 (c)前記配列を、必要に応じて、任意の所望の核酸鋳型からの追加の配列を フィルインするための酵素DNA重合のためのプライマーとして利用し、 (d)前記配列を、必要に応じて、反復した重合により増幅し、そして (c)前記配列を追加の治療の遺伝子配列と一緒に結合して、複製、RNAまた はタンパク質としての遺伝子の発現、および細胞間の遺伝情報の伝達をすること ができる生物学活性ベクターを生成する、 ことを含んでなる、生物学的に活性な遺伝子転移ベクターを合成する方法。 2.次の特性: (a)ウイルスの遺伝子ではない、 (b)ネズミ白血病ウイルスのウイルスヘルパー配列に対して減少した相同性 、 (c)伝統的ウイルス由来ベクターと比較してベクターの大きさが小さいこと による、増加した量の外来遺伝子配列を伝達することができる、 (d)in vivoで、あるいは遺伝子治療、研究またはトランスジェニックスに おいて普通に使用される細胞型において、RNAとして効率よく発現することがで きる、 (e)容易に置換されて遺伝子の組織特異的、ホルモン特異的、 または発生特異的発現を提供できる、長い末端の反復転写プロモーターを含有す る、 の少なくとも1つを有する、マウスVL30レトロトランスポゾンに基づく一連の別 個の遺伝的ベクター。 3.長い末端の反復プロモーターが、 (a)ゲノムDNAからか、あるいはそれを発現する細胞中のRNAから増幅され、 そして (b)転写プロモーターとしてあるいは無傷の長い末端の反復として、ベクタ ークローニングカッセトの中にクローニングして、ベクターから所望の発現を提 供する、 ことを特徴とする特定の長い末端の反復転写プロモーターをレスキューする方法 。 4.任意の所望の転写プロモーターを新規に生成しそしてそれを長い末端の反 復カッセトの中にクローニングして特定の発現を得る方法。 5.転写プロモーターが分子、例えば、ドナー細胞においてではなく、受容体 において発現を提供するために伝達の間に転移により構造的に変更される毒素の ごとき分子をコードする遺伝子の一部分を含有し、こうしてドナー細胞を損傷し ないで毒性遺伝子の伝達を可能とする、請求の範囲4の方法。 6.ベクターの中に含有される標的配列の相同体がベクターよりむしろ標的細 胞中の逆転写のための基質であり、こうして無傷のベクターの組込みよりむしろ 相同組換えのための改良された基質を提供する、受容細胞中の1または2以上の 標的配列との相同組換えのための核酸の導入を可能とする方法。 7.細胞内に1または2以上のレトロトランスポゾンまたは合成誘導体を含め ることによって、ウイルスの伝達のための競合を提供 する、レトロウイルスの感染の広がりに対する細胞の抵抗を増加する方法。 8.細胞をヘルパー細胞、例えば、PA317に暴露し、遺伝的に個別のレトロト ランスポゾン(発現される選択可能なマーカーなしに)を受容細胞、例えば、ヒ ト細胞の中に、高い効率で挿入することを特徴とする、ベクター、例えば、レト ロウイルスを添加しないで細胞を遺伝的に標識する方法。 9.ベクターを、 (a)ゲノムの中に組込み、 (b)インサイチュ・ハイブリダイゼーションにより特定の染色体を可視化し 、 (c)LTR末端からの配列決定によりフランキング配列を同定するために使用 し、 (d)ベクターおよび両側に隣接する配列を含有するバクテリオファージまた はプラスミドの中にフランキング配列をクローニングまたはレスキューするため に使用し、そして (e)培養した細胞の中でフランキング遺伝子を発現させ、こうしてそれらの 同定および表現型の発見を可能とするために使用する、 ことを特徴とする複合ゲノムをマッピングする方法。 10.ベクターDNAまたはRNAならびに逆転写酵素を経る複製およびゲノムの中へ の組込みのために必要なプライマーまたは酵素を含有する脂質キャリヤー粒子を 準備することによって、ヘルパー細胞を置換する、ベクター、例えば、レトロウ イルス誘導ベクターまたはレトロトランスポゾン誘導ベクターあるいはレトロエ レメントの特性をもたないRNA配列を伝達する方法。 11.短いオープンリーディングフレームをもつATGコドンを含め ることによってRNAをパッケージングに向けるか、あるいはスプライスドRNAを準 備することによってRNAを所望のタンパク質の翻訳に向ける、ことを特徴とする 翻訳開始コドンおよびスブライシングシグナルを使用してパッケージングとベク ターRNAの翻訳との間の平衡を調節する方法。 12.毒性薬物、例えば、マイコフェノール酸で処置した後in vitroにおいて骨 髄栓の中で静止状態であるが、サイトカイン、例えば、腫瘍壊死因子(TNF)で 処置したとき増殖する、細胞の集団から誘導された骨髄細胞の中にベクターを導 入する、ことを特徴とする骨髄から誘導された遺伝的に修飾された造血性幹細胞 (HSC)で、HSCを精製しないで、血液を再構成する方法。 13.幹細胞のベクター、例えば、請求の範囲2において例示する任意のベクタ ーをES細胞の中に導入し、ES細胞を1または2以上の特性について選択し、そし てES細胞を正しい微環境の中に移植して、例えば、成熟血球への成熟のために骨 髄の中に移植して、それらの成熟を可能とする、ことを特徴とする遺伝的に修飾 された胚幹(ES)細胞で組織を再構成する方法。 14.哺乳動物およびホルモン(インスリン様および線維芽成長因子)の特異性 を含有する、ベクター、例えば、VLPPBNを、 (a)形質導入により哺乳動物細胞の中に導入し、そして (b)哺乳動物細胞の中であるいはトランスジェニックのヒト以外の動物の乳 の中でタンパク質を発現するために利用する、ことを特徴とする哺乳動物細胞お よび乳腺の中でRNAおよびタンパク質を発現する方法。 15.ホルモンを利用してタンパク質の生産をコントロールする、請求の範囲15 の方法。 16.組織特異的またはホルモン特異的転写プロモーター、例えば 、ニワトリオバルブミン遺伝子のプロモーターを使用して遺伝子を発現し、そし てシグナルペプチドを経てそれらを輸卵管および卵白の中に分泌させる、鳥類お よび他の産卵種の輸卵管または卵白の中で遺伝子の挿入および発現を行う方法。 17.幹細胞のベクター、例えば、VLPPBNを多能性細胞または胚細胞および/ま たは胚の中に導入してトランスジェニック動物を生産する、トランスジェニック のヒト以外の動物を作る方法。 18.配列をレトロベクターの中にクローニングしておよび/または真核細胞の 中で発現させて、 (a)抗体のスクリーニング、 (b)ハイブリダイゼーション法、 (c)核酸またはタンパク質の配列決定、および (d)特性の表現型の発現または遺伝的相補性の分析、 による遺伝子の研究または同定を可能とする、生きている細胞からゲノムまたは 相補的DNA配列を含有する遺伝子ライブラリーを作りそして使用する方法。 19.選択したまたは未選択の遺伝子配列を含有するベクターの多継代が最も効 率よいベクターの出現を生ずる、パッケージング配列を同定する方法。 20.細胞の中に、ウイルスまたはベクター、例えば、DNAトランスボゾン(ウ イルスまたはベクターが非常に低い力価を有するか、あるいは力価をまったくも たないとき)を送り出し、これにより、 (a)ウイルスまたはベクターをレトロベクター内に取り囲み、 (b)レトロベクターを細胞の中に導入し、そして (c)取り囲まれたウイルスまたはベクターをベクターまたはその遺伝子座か ら切り出し、そしてそれらは自律的に複製する(ウイルス)か、あるいはゲノム (DNAトランスボゾン)内で転位する、こ とを特徴とする方法。
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