JPH08507079A - ヒトの癌に対するシスプラチン/タモキシフェン併用治療 - Google Patents
ヒトの癌に対するシスプラチン/タモキシフェン併用治療Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は広範なヒトの癌の治療に有用な新しい組成物を提供する。この新しい組成物は相乗作用を有し、細胞毒性があり、プラチナ含有抗腫瘍形成剤とタモキシフェンとによって構成されている。本発明はまた、癌を治療する方法も提供する。つまり、本発明は本発明による新しい医薬品組成物を用いた非黒色腫癌を治療するための新しい方法を提供する。本発明の他の実施例は、シスプラチンなどのプラチナ含有抗腫瘍形成剤に対して発現する抵抗性を低下、または克服する方法を提供する。
Description
【発明の詳細な説明】
発明の名称 ヒトの癌に対するシスプラチン/タモキシフェン併用治療
発明の背景1. 発明の分野
本発明は一般的にはヒトの癌の臨床腫瘍学および薬物治療に関するものである
。より具体的には、本発明はタモキシフェンとシスプラチンを併用して、シスプ
ラチンに抵抗性のある癌とシスプラチンに抵抗性のない癌とを治療する新しい方
法に関するものである。2. 関連技術の説明
シス−ジアミネジタロロプラチナム(II)(シスプラチン)などのプラチナ配
位複合体抗腫瘍形成剤を用いての癌患者の治療は、この10年間かなり普及してき
ている。シスプラチンは睾丸癌、卵巣癌、および小細胞肺癌など、複数の悪性腫
瘍の治療において有益であることが証明されている抗腫瘍形成剤である。その作
用機序は現在の段階ではわかっていないが、シスプラチンがDNAと結合して、
種々のタイプの、DNAおよびRNA合成の両方に影響を及ぼす可能性のあるス
トランド間およびストランド内架橋を形成する能力と関係している可能性がある
。
癌患者は、最終的には、シスプラチンなどのプラチナ配位複合体による治療に
は抵抗性を示すようになる。患者が転移性の癌で死亡する場合、その転移性病巣
の細胞は、通常、単一の化学治療剤、あるいは複数の化学治療剤の組み合わせに
対するその極度の抵抗性によって特徴づけられる。一般的に薬物に抵抗性を示す
腫瘍は、一過性のものと永続的なものとに分類することができる。シスプラチン
に対する抵抗のメカニズムは明らかではないが、薬物蓄積の低下、シスプラチン
に結合してそれを不活性化させるメタロチオネインまたはグルタチオンの細胞内
濃度の増大、あるいは、シスプラチン−DNA内転性形成あるいは回復の低下に
関係しているかもしれない。
タモキシフェンは女性の乳癌の治療においては広範に用いられている抗エスト
ロゲン剤である。乳癌におけるタモキシフェンの確認されている作用機序は干渉
に結びつくエストロゲン受容体とエストロゲンに誘発される細胞成長との対立を
通じてである。
今日の癌治療における主要な問題のひとつは、癌細胞が化学治療剤に対して抵
抗性を形成する能力をもっていることである。これは、患者は初期においてはシ
スプラチンなどの化学治療剤に対して反応を示すことからも、特に残念なことで
ある。
プラチナ配位複合体抗腫瘍形成剤に対する抵抗性の予防、あるいはすでに発現
している抵抗性を克服する効率的で効果のある方法がなければ、先行技術は有効
性を欠いたままであろう。加えて、先行技術はプラチナ配位複合体抗腫瘍形成剤
の細胞毒性効果を発揮させる有効な方法がなければ、先行技術は有効性を欠いた
ままである。
発明の要約
本発明はヒトの癌治療用の物質の新規組成物を提供するものである。さらに、
本発明はプラチナ化学治療剤に対する抵抗性を低下させ、および/または克服す
るための新しい方法を提供する。
本発明はタモキシフェン(TAM)の新しい薬理的効果、つまり、シスプラチ
ン、あるいはシス−ジアミネジクロロプラチナム(DDP)に対する、ヒト悪性
腫瘍、黒色腫、および卵巣癌の抵抗性の発現を遅らせる能力を示すものである。
TAMが抵抗性の形成の根底にあるプロセスを変えることができることは、これ
まで実証されていない。
本発明の1実施例において、非黒色腫癌を治療するための、プラチナ抗腫瘍形
成化合物およびタモキシフェンによって構成されており、そのプラチナ抗腫瘍形
成化合物およびタモキシフェンが非黒色腫癌に対して相乗的な抗腫瘍形成効果を
発揮することを特徴とする組成物が提供される。
本発明の別の実施例においては、非黒色腫癌を有する個人に対して薬理的に有
効な量のプラチナ抗腫瘍形成化合物およびタモキシフェンを投与するステップで
構成され、上記プラチナ抗腫瘍形成化合物およびタモキシフェンがその非黒色腫
癌に対して相乗的な抗腫瘍効果を発揮することを特徴とする、非黒色腫癌を治療
するための方法が提供される。
本発明のさらに別の実施例においては、プラチナ抗腫瘍形成化合物に対する抵
抗性を形成しやすい個人に対してタモキ
シフェンを投与するステップで形成される、腫瘍性疾患を有する個人におけるプ
ラチナ抗腫瘍形成化合物への抵抗性を低下させる方法が提供される。
本発明のさらに別の実施例においては、個人に対してタモキシフェンを投与す
るステップで構成される、腫瘍性疾患を有する個人におけるスラチナ抗腫瘍形成
剤に対する抵抗性を克服するための方法が提供される。
本発明のさらに別の実施例においては、腫瘍性疾患を有する個人から骨髄を取
り出すステップと、該骨髄に細胞生化学的に有効な量のプラチナ含有抗腫瘍形成
化合物およびタモキシフェンを接触させるステップと、そして、該接触済みの骨
髄を該個人に戻すステップとで構成される、骨髄内の腫瘍形成性黒色腫細胞を殺
す方法が提供される。
他の、そしてさらなる目的、特徴、および利点は、開示の目的で示される本発
明の現時点における好ましい実施例の説明と、関連図面を参照することによって
明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
図面は必ずしも実寸通りではない。本発明の一定の特徴については寸法的に誇
張したり、明瞭性および便利さを考えて概要図の形態で示してある。
図1は患者のコンピュータ化された断層撮影の写真を示している。これら走査
写真は肝臓の2つの連続したレベルを示しており、1A)は治療前、1B)はD
DPによる1サイク
ル後、そして1C)はTAM/DDPのみによる1サイクル後の状態を示してい
る。
図2は別の患者のコンピュータ化断層撮影の写真を示している。これらの走査
写真は胸の、2つの連続したレベルを示している。矢印は肋骨近くの軟組織を示
している。2)治療前、2B)DDPのみによる2サイクル後、および2C)T
AM/DDPによる1サイグル後。
図3はT−289ヒト黒色腫細胞におけるDDPへの抵抗性形成に対するTAM
の影響を示している(□、DDPのみ;●、DDP+TAM)。各点はトリプリ
ケート培養から判定された不特定T−289細胞に対するDDPの作用性を示して
いる。
図4は、2008ヒト卵巣癌細胞におけるDDPへの抵抗性形成に対するTAMの
作用を示したものである(■、DDPのみ;□、DDP+TAM)。各点は、そ
れぞれトリプリケート培養で行われた、3回の実験で判定された不特定2008細胞
に対するDDPの平均的な作用性を示している。
図5は、ヒト黒色腫T−289細胞に対するDDPとTAMとの間の相互作用に
関する細胞破壊の関数としての組み合せ指数(CI)を示したものである。各デ
ータ・ポイントはトリプリケート培養を用いて行われた最低3回の実験の平均値
を示している。垂直方向のバーは標準偏差(SD)で、バーがない場合は、SD
は符号のサイズ以下であった。
図6は、ヒトの卵巣2008細胞に対するDDPとTAMの相
互作用に関する細胞破壊の関数としてのCIを示している。各データ・ポイント
は、トリプリケート培養を用いて行われた最低3回の実験の平均値を示している
。垂直方向のバーは標準偏差である。
図7はヒト小細胞肺癌UMC5細胞に対するDDPとTAMとの間の相互作用
に関する細胞破壊の関数としてのCIを示している。各データ・ポイントは、ト
リプリケート培養を用いて行われた最低3回の実験の平均値を示している。垂直
方向のバーは標準偏差である。
発明の詳細な説明
本発明は非黒色腫を治療するための組成物を提供するものであり、上記組成物
はプラチナ抗腫瘍形成化合物とタモキシフェンにより構成され、上記プラチナ抗
腫瘍形成化合物とタモキシフェンは非黒色腫癌に対して相乗的な抗腫瘍性効果を
発揮する。本発明の組成物および方法の説明において用いられる相乗作用、ある
いは相乗的という用語は相加的な生物学的効果より大きいことを意味している。
したがって、タモキシフェンがプラチナ含有抗腫瘍形成化合物と相乗作用を有す
ると述べる場合、その組み合わせが、いずれの形態にせよ、いずれかの薬を単独
で用いた場合より大きな細胞毒性をつくりだすことを意味している。
本発明による新規組成物は、広範な非黒色腫癌における抗腫瘍形成作用を相乗
作用させるために用いることも可能である。好ましくは、この新規組成物は卵巣
癌、小肺細胞悪性腫
瘍、膀胱癌、睾丸癌、および頭部および首の鱗状細胞癌を措置に用いられる。
一般的に、新規組成物によるプラチナ含有抗腫瘍形成剤は抗腫瘍形成効果を有
するいかなるプラチナ配位複合体であってもよい。最も好ましくは、本発明によ
る組成物に基づくプラチナ含有抗腫瘍形成剤はシスプラチンまたはカルボプラチ
ン(CBDCA)であり、テトラプラチンおよびトポテカンを含んでいても良い
。
一般的に、プラチナ含有抗腫瘍形成剤およびタモキシフェンの、本発明による
新規組成物内における濃度は、その組み合わせによる相乗的な細胞毒性効果を可
能にするような程度であればよい。好ましくは、プラチナ含有抗腫瘍形成剤の量
は1μMから10μM程度である。同様に、新規組成物の成分として、あるいは本発
明による方法において用いられるタモキシフェンの濃度は0.1μMから2.0μM程度
の範囲である。
タモキシフェンは本発明による組成物および方法において有効な、好ましい抗
エストロゲンである。しかしながら、当業者なら、他の抗エストロゲンおよびタ
モキシフェンに類似した化合物も、本発明による組成物あるいは方法として有益
であることは分かるであろう。例えば、DDPE(N,N−ジエチル−2−[4
−(フェニルメチル)フェノキシ]エタナミンは抗エストロゲン結合部位および
ミクロゾーム性および核内結合部位の中和剤である。DDPEはシスプラチンと
相乗作用して、相乗的な細胞毒性効果をつくりだすと共に、
システムラチン抵抗性を克服することもできる。DDPEの濃度は1μMから10
μMの範囲が望ましい。
新規組成物の投与方法は経口、静脈内、その他の適切な方法であってよい。プ
ラチナ含有抗腫瘍形成化合物はタモキシフェンと一緒に注射で投与することもで
きる。また、プラチナ含有抗腫瘍形成化合物はタモキシフェンとは別に投与する
こともできる。当業者なら、本発明による組成物および方法が相乗的な細胞毒性
あるいは抵抗性の低下を実現できるいろいろな方法で投与が可能であることは分
かるであろう。
投与量は年齢、体重、および同時並行的に行われる治療があればそのタイプ、
そして癌の特性などによる。本発明による方法において有益な組成物はカプセル
、錠剤、液体、経口投与用の懸濁液またはエリキシル剤、あるいは溶液、懸濁液
または乳剤などの無菌液体形態などのいずれでもよい。食塩水あるいはりん酸緩
衝食塩水、あるいは、本発明の方法において用いられる化合物が適切な可溶性を
示すことができる担体など、いずれも不活性担体でも用いることができる。本発
明による新規組成物は、薬理的に受け入れられる担体に入れて投与することがで
きる。薬理的に受け入れられる担体とは、本発明による組成物が溶けることがで
き、投与される量において個人に対して毒性を示さない溶媒であればいずれのも
のでも使用できる。本発明による方法において有効な本発明の新規の薬理的に有
効な量とは、非黒色腫瘍に対して相乗的な細胞毒性を発揮できるプラチナ含有抗
腫瘍形成剤およびタモ
キシフェンの量である。同様に、プラチナ含有抗腫瘍形成剤に対する抵抗性を措
置するために単独で用いられた場合、薬理的に有効なタモキシフェンの量とは、
腫瘍形成性疾患を有する個人においてプラチナ含有抗腫瘍形成剤に対する抵抗性
を低下、あるいは克服する量である。
本発明はまた、上記非黒色腫癌を有する個人に対して薬理的に有効な量のプラ
チナ含有抗腫瘍形成剤およびタモキシフェンを投与するステップで構成され、上
記プラチナ含有抗腫瘍形成剤およびタモキシフェンが該非黒色腫癌に対して相乗
的な抗腫瘍効果を発揮することを特徴としている。プラチナ含有抗腫瘍形成剤は
好ましくはシスプラチンあるいはカルボプラチンである。
一般的に、プラチナ含有抗腫瘍形成剤およびタモキシフェンはどのような順番
で投与されても構わない。好ましくは、プラチナ含有抗腫瘍形成剤を投与する前
にタモキシフェンを投与する。最も好ましくは、タモキシフェンをプラチナ含有
抗腫瘍形成剤投与の24時間前に投与する。
本発明はまた、腫瘍形成性疾患を有し、プラチナ含有抗腫瘍形成剤に対する抵
抗性を形成しやすい個人においてプラチナ含有抗腫瘍形成剤に対する抵抗性を低
下させる方法も提供する。同様に、本発明はまたタモキシフェンの投与を内容と
する、腫瘍形成性疾患を有する個人においてプラチナ含有抗腫瘍形成剤に対する
抵抗性を克服する方法も提供する。
一般的に、本発明によるプラチナ含有抗腫瘍形成剤への抵
抗性を低下、あるいは克服する方法は、いずれの腫瘍形成性疾患の措置において
も有益である。好ましくは、これらの方法は、黒色腫、卵巣癌、小細胞肺悪性腫
瘍、膀胱癌、睾丸癌、および頭部および首の鱗状細胞癌の治療に対して用いるこ
とができる。
プラチナ含有抗腫瘍形成剤に対する抵抗性と低下、あるいは克服する方法は、
一般的には、いずれのプラチナ配位複合体含有抗腫瘍形成剤に対して起きる抵抗
性の措置においても用いることができる。好ましくは、プラチナ含有抗腫瘍形成
化合物はシスプラチンおよびカルボプラチンによって構成されるグループから選
択される。
本発明の別の実施例は、腫瘍形成性疾患を有する個人から骨髄を取り出すステ
ップと、該骨髄を細胞レベルで有効な量のプラチナ含有抗腫瘍形成剤およびタモ
キシフェンと接触させるステップと、そして、該接触済み骨髄をその個人に戻す
ステップとによって構成される、骨髄内の非黒色腫瘍形成細胞を破壊する方法で
ある。
実施例1 DDPおよびタモキシフェン組み合わせのイン・ビボでの利用
患者を最初DDPだけで措置する臨床テストが実施された。DDPだけの投与
に対して抵抗性を示すと認められた場合、TAMの添加がすでに形成されている
DDP抵抗性を克服できるかどうかを判定するために、DDPとTAMの組み合
わせで措置された。
1990年6月から1992年3月まで、それまでDDPまたはTAMによる措置を受
けたことがなかった24名の患者が治療を受けた。記入が求められたデータには、
黒色腫に関する組織学的データ、判定可能な疾患に関するデータ、署名付き提供
情報に関する同意(signed informed consent)、および措置を受ける前4週間
に受けた抗腫瘍治療に関するデータなどである。患者に対しては、正常な血液お
よび腎機能、東部協同オンコロジー・グループ(ECOG)パフォーマンス状態
が0−2の範囲、そして推定生き残り期間が最低3か月間であることが求められ
た。重度静脈血栓症あるいは肺塞栓症を有する患者は除外された。
完全な反応は、少なくとも4週間で、疾患のすべての証拠が完全に消失するこ
とと定義された。部分的な反応は標的患部の平均的直径の50%以上の現象が最低
4週間継続することとされた。混合的反応は一部の標的患部の直径が50%以上減
少するのに対して、他の患部は安定しているか、あるいはサイズが増大した場合
と定義された。安定的減少とは他の患部が成長、あるいは出現せずに、標的患部
のサイズが50%以下で減少するか、あるいは25%以下で増大することと定義され
た。進行性疾患とは、標的患部のサイズが25%以上増大することと定義された。
患者は、その患者がDDPを1サイクル受けたあと進行性疾患を持つか、あるい
はDDPだけで2サイクル治療を受けた後、安定した疾患を持つようになった場
合、DDPに対して抵抗性があると判断された。
DDP、100mg/mlを十分な量の0.9%塩化ナトリウム溶液に混合して、最終的
濃度が最高1mg/mlとなるようにし、2時間かけて投与された。20mEqの塩化カリ
ウムおよび2g硫化マグネシウムを含んだ5%デキストロース/0.45%食塩水1
リットルで構成される前処理用水和剤が4時間をかけて投与された。また、20mE
qの塩化カリウムおよび2gの硫化マグネシウムを含む5%デキストロース/0.4
5%食塩水2リットルで構成される後処理水和物が150ml/時間の量で投与された
。患者は3週間に1度ずつ措置された。TAMが投与されたサイグルで、最初の
日に40mg.p.o.4回投与量が投与され、その後、毎日20mg p.o.投与された。
最初の7名の患者は、嫌悪感および吐き気を抑えるために、ロラゼパム、メタタ
ロプラミド、ベナドリル、およびデキサメタコンの組み合わせで措置された。次
の患者はオンダンセントロンをベースとする処方を受けた。
患者は最初DDPだけで措置し、3週間毎に反応の評価を行った。DDPだけ
の処方で病状が進行した患者は、DDPだけの2サイクルの処置で病状が安定し
た患者と同様、DDP+TAMでの処方の候補者とした。DDPだけの処置で反
応を示した患者に対しては、完全な反応が達成されるか、あるいは進行性の疾患
が併発するまで続けられた。
治療前の特徴を表1に示す。2名の患者のみが以前に化学療法を受けたことが
あり(そのうちの1名は免疫治療も受けていた)、たった患者のには前に放射線
治療を受けていた。
患者の多くの動作状態(performance state)は良好で転移パターンは黒色腫を
示していた。
反応データを表2に示す。24名の患者全員に対して、DDPだけでの反応の評
価が行われた。ひとりの患者は完全な反応を示したが、2名の患者は部分的な反
応を示しただけであ
った。完全な反応は15か月間以上続いた。部分的な反応を示した患者のうちの1
名は治療後6か月以上も安定した状態を示したが、他の患者は4か月の治療後に
病状が進んだので、TAM/DDPの措置に切り替えた。DDPだけで完全な反
応を示した患者は病状の唯一の部位としていくつかの皮下の小結節をもっていた
だけであった。肺および後部腹膜リンパ腺疾患をもっていた患者では部分的な反
応が観察された。
最初にDDPのみで措置を受けた24名のうちの20名がTAMとDDPとの組み
合わせで措置を受けた。2名の患者は毒性の点から受け入れられなかったので、
組み合わせによる治療を拒絶し、それぞれDDPだけの治療を受けた。
完全な反応を示した患者はさらに治療を受けず、部分的な反応を示した2名の
患者のうちの1名は治療後6か月以上安定した状態を示し、組み合わせによる治
療を受けなかった。20名の患者の内の19名について反応の評価が行われた。1名
の患者は、TAMとDDPとの組み合わせによる治療は受けたが、反応の評価を
行う前に自殺してしまった。
評価を受けた19名の患者の内、17名は進行性の疾患を持っており、2名はDD
Pだけの治療を受けている間、病状は安定していた。3名の患者は部分的な反応
を示したが、他の3名は混合した反応を示し、全体的な反応率は35%であった。
これにより、何の反応も示されない(p<0.001)というゼロ仮定(null hypoth
esis)の可能性を排除することが可能になった。1名の患者は、TAMおよびD
DPによる4サイクルの治療で部分的な反応を示し、そして、後外科的処理は不
要である病状であった。TAMとDDPに対する反応は肝臓(図1)、骨、およ
び軟組織(図2)疾患を有する患者において用いられた。部分的な反応は6−8
週間継続した。反応を示さなかったり、反応を示した後、再度病状が進行した患
者、そして、混合した反応を示した人々はTAM/DDP/カルムスチン/ダカ
ルバジンの4つの薬による措置を受けた。この処方で措置を受けた12名の患者の
間に反応は認められなかった。
DDP/TAMの組み合わせによる治療で直面した毒性を表3に示す。DDP
だけか、あるいはDDPとTAMとの組
み合わせによる血液毒性は軽微で、グレード3または4の好中球減少症あるいは
血小板減少症は示されなかった。DDPだけの措置にTAMを追加した場合、特
に毒性の増大は認められなかった。同様に、腎臓毒性は一般的には認められず、
TAMの投与によって影響を受けなかった。この処方は、嫌悪感および吐き気を
示す一部の患者には、一定の困難を伴った。TAMの投与は嫌悪感や吐き気を増
大させることはなかったが、この問題は患者側の立場から見ると、最も対処が難
しい問題であった。入院期間中、オンドンセトロンを添加すると嫌悪感と吐き気
は劇的に減少した。耳に対する毒性および抹消神経症は認められなかった。これ
はDDP2ないし3投与量を受けた患者はほとんどいなかったという事実に起因
する可能性が最も高い。音楽家であった1名の患者は聴覚に受け入れがたい異常
が生じたために1回の投与後DDPに基づく治療を継続することを拒否した。2
番目の患者は全部で545mgのDDPを投与された後、補聴器を必要とした。静脈
血栓あるいは肺塞栓症を示した患者はいなかった。
本発明はDDPだけによる治療にTAMを追加することにより、悪性腫瘍を有
する患者のかなりの部分で、すでに形成されている抵抗性を克服することができ
ることを明確にするものである。TAMおよびDDPの組み合わせによって措置
された患者の多くは、DDPによる治療1サイクル後に進行性の病状を示すか、
あるいは2サイクル後に安定した病状を示すという点で、DDPだけによる治療
に対して抵抗性があるとされていた。反応が期待できなかった状況下での31%と
いう全体的な反応率は統計的には有意である(p<0.001)。
TAMの追加の結果として得られる反応はTAMの独立した抗腫瘍効果による
ものではなかった。TAMだけで措置を受けた203名の黒色腫患者のうちで報告
された反応率は6%に過ぎなかった。
抵抗性を示す腫瘍をもった患者において予想されるように、DDPだけでの治
療の失敗後に実施されるTAMとDDPとの組み合わせに対する臨床的な反応は
、質および継続性の観点から興味深いものであった。1名の患者においては、部
分的な反応から残り全ての病巣を外科的に手術して取り去ることが可能になり、
この患者は12か月強の期間完全な快癒状態にある。他の2例の部分的反応は、そ
れぞれ、6週間、および8週間持続された。混合的な反応を示した患者は明らか
にDDPだけの治療では標的患部は病状の進行を示したが、それらの患部はTA
M/DDPの組み合わせによる治療には反応を示し、他の患部は進行するか、あ
るいは安定状態を保っ
た。したがって、TAMはDDPに抵抗性を示す腫瘍をイン・ビボで反応性を与
えることはできるにもかかわらず、反応性を示す患者の割合と、反応の程度を最
大限に高めるために、投薬スケジュールは個々の患者に合わせて工夫しなければ
ならないことは、当業者には明らかであろう。
実施例1の調査のデザイン自体が反応に対してずれており、別の設定をすれば
、反応率はさらに高かったであろう。すべての患者は、彼らが明らかに抵抗性を
示すようになるまでDDPだけで措置を受けた。DDPに対する抵抗性は急速に
発現する。イン・ビトロで抵抗性を示す細胞を1ログ(log)破壊するのに必要
な濃度を患者内でつくりだすことは可能であろうが、イン・ビトロで抵抗性を克
服するのに必要な濃度を、標準的な容量である1日あたり20mgで患者の体内につ
くりだすのは不可能である。10mg.p.o.のTAMを1日2度ずつ繰り返し投与
すると、0.29μM程度の定常的な血漿濃度をつくりだすことはできる。しかしな
がら、イン・ビトロのデータでは、DDPに抵抗性を示す患者においては1.0μM
以上の血漿濃度が必要であることが示されている。したがって、当業者であれば
、DDP/TAMの組み合わせに対する反応率は、最初により高い濃度のタモキ
シフェンで措置を受けた患者の方が高く、DDPに対する抵抗性はDDPとTA
Mの両方の用量を増大させることによって克服できるであろうことはすぐ分かる
であろう。
実施例2 タモキシフェンおよびDDPのイン・ビトロでの効果
TAMとDDPとの間の相乗効果は、他のヒトの悪性腫瘍、ヒト小細胞肺癌株
UMC−5およびヒト卵巣癌細胞株2008でも観察された。T−289黒色腫細胞に
おいても観察されたように、UMC−5細胞(CI30−0.38)および2008細胞(
CI30−0.63)の両方で、TAMとDDPとの間の強い相乗効果が認められた。
TAMがDDPに対する抵抗性を克服する上で、DDPと相乗作用を示すので
あれば、TAMは同様のメカニズムによってDDPに対する抵抗性の発展を遅ら
せることもあり得るであろう。TAMは、細胞培養体に同時に与えることによっ
て、T−289と2008細胞の両方でDDPに対する抵抗性の発展を遅らせることが
できる。
T−289黒色腫細胞は体外移植組織腫瘍から得られたもので、7年以上経過し
たものであった。2008細胞は子宮漿腺癌種(タイプ・サイト)を有する患者から
取り出した卵巣癌細胞株である。細胞は10%仔ウシ胎児血清、50μg/mlゲンタマ
イシン、2mM L−グルタミン、10nMヒドロコルチゾン、5μg/mlインシュリン
、5μg/mlヒト・トランスフェリン、10nMエストラジオール、および5ng/mlセ
レニウムによって補強された75cm2フラスコを用いてRPMI 1640内で培養され
た。
実施例3 DDPに対する抵抗性の誘発
DDPに対する抵抗性は、DDPを常時存在させる状態で、さらにTAMを併
用した場合と、しない場合との両方の条件下でT−289および2008細胞の両方を
成長させることによって誘発された。最初の選別はIC90に等しい濃度、つまり
、コロニー形成を抑制する濃度で行われた。したがって、最初の濃度は0.1,0.2
5および0.5μM DDP、および1.0,2.5および5.0μM TAMであった。これら
の細胞は群を形成するまで成長させられ(約7日)、その時点でうまく群を形成
した培養を1:4に分割して、同じ濃度のDDP±TAMに再び接触させた。3
回の選別を行った後、これらの細胞を徐々に高い濃度のDDP±TAMに接触さ
せた。各選別を行う度に一定の細胞を取り出して、薬品を含まない培養液内部で
3週間成長させ、DDPに対する感受性を判定するための群形成アッセイで用い
られた。
実施例4 コロニー形成アッセイ
細胞は完全な培養液(2008)、あるいは、1%アガロース層(T−289)上に
層状化された0.2%アガロース/培養液を含む組織培養皿に入れた。この培養皿
にDDPを少しずつ濃度を高めてDDPを加え、5%のCO2存在下、37℃の温
度で10日間培養された。10日間後、コロニーを数え、各DDP濃度は薬品を加え
ない比較用培養皿の割合で示してある。
図3は、ヒト黒色腫T−289細胞におけるDDP±TAMに対する抵抗性の発
現を経時的に示している。この細胞株は比較的成長が遅く(2倍化に要する時間
が48−72時間)、薬品に露出させる度に正常な成長速度を取り戻すためにか
なりの時間を要した。DDPに対する抵抗性は選別の200日後に明らかになり、
その時点で、DDPだけで措置された細胞はDDPに対して2.3倍の抵抗性を示
した。DDP+TAMで措置された細胞では1.5倍の抵抗性が示されただけであ
った。その後、DDPに対する抵抗性は、DDPだけで措置された細胞において
は、DDP+TAMで措置された細胞と比較して、2.75倍の速度でDDPに対す
る抵抗性が現れた。抵抗性発現の速度における違いは統計的には有意であった(
p<0.01)。
実施例5 DDPに抵抗性を示す細胞へのタモキシフェンの作用
2008細胞株はより早い速度で成長し(23時間で2倍化)、このことは選別実験
を実施し易くなった。図4はDDPに対する抵抗性が、この細胞株においては時
間の線形関数として発現したことを示している。DDPに対する感受性の違いは
、最低のDDP濃度での選別後(38日目)明らかとなり、そして3回の選別後、
統計的に有意となった(103日目)。DDPに対する抵抗性形成の速度は、3回
繰り返されたこの実験のすべてでTAMによって低下された。DDPだけが存在
する場合と、DDP+TAMが存在する場合の、抵抗性形成速
度の平均的な比率は3.46±1.42(p<O.05)であった。したがって、T−289黒
色腫細胞株と2008卵巣癌細胞株の両方で、細胞をDDPとTAMの両方に同時に
接触させると、抵抗性形成の速度とその抵抗性の程度の両方が低下した。
DDPに対する抵抗性形成のTAMに誘発される遅れは、両方の薬品を投与さ
れた培養体において、破壊された細胞が多数あり、体細胞抵抗性発生変異を起こ
す可能性のある細胞が少なかったからではない。実施例3では、細胞培養体は、
次の措置を行う前に正常な成長速度を回復して、群状態に達するようにされた。
したがって、同じ数の細胞が各ステップで選択的な圧力に露出された。したがっ
て、薬の選択によって選別毎に細胞破壊が多くなったことはDDPに対する抵抗
性の発現におけるTAMによって誘発された遅延には直接かかわりはない。
本発明は、TAMおよびDDP間の相互作用の複雑な性質についてより深い洞
察を与えてくれる。TAMは、卵巣癌および小細胞肺癌などのようなDDPに対
して感受性のある腫瘍においてばかりでなく、従来DDPに対して抵抗性がある
腫瘍と考えられている腫瘍である黒色腫においても、DDPとの相乗効果がある
。同様に、TAMはDDPに対して感受性のあるタイプの腫瘍とDDPに対して
抵抗性のあるタイブの腫瘍との両方におけるDDPに対する抵抗性の発現を遅ら
せることができる。患者の体内で実現できるTAMおよびDDPの濃度で、抵抗
性発現に対する相乗効果と遅れの両方が
観察された。
本発明では、メジアン効果分析の手法を用いて、DDPおよびTAMの間の相
互作用の性質について調べられた。これら2つの薬品の間では、ヒト黒色腫細胞
株の破壊に関してだけでなく、イン・ビトロでのヒト卵巣および小細胞肺癌細胞
株に対しても、高度に相乗的な相互作用が存在する。
実施例6 コロニー形成アッセイ
T−289黒色腫細胞株および2008細胞株は実施例3で用いられたものと同じで
ある。UMC5小細胞肺癌細胞株もヒト由来のものである。細胞は実施例2の場
合と同様に培養された。
1時間対薬品露出を用いてのコロニー形成アッセイは、1皿あたり20,000個の
細胞の割合で60mm組織培養中に蒔種し、それらが付着するように2時間放置して
行われた。これらの皿に薬品を入れて、1時間培養して、その後、皿を洗浄し、
細胞をトリプシン化によって収穫し、その後1度洗浄して薬品を取り除き、その
後、0.2%低溶解温度アガロースを37℃を含んだ5mlの完全な培養液中に再懸濁
させた。この細胞懸濁液を良くかき混ぜ、その後、予め用意された、固体化1%
アガロースの基層を含む35mm皿にトリプリケート(3倍体)で1皿あたり1mlの
割合で分注した。
この細胞を含んだ層を室温で固体化させ、その後、培養皿を5%CO2の存在
下、37℃で培養させた。5日後に、124
μm以上のコロニーをカウントした。継続的な露出を用いたコロニー形成アッセ
イは細胞を0.2%アガロース内に細胞数4000個/mlの割合で細胞を懸濁させ、それ
らを薬品を含んだチューブに分注し、その後、それらを35mm皿に入れることによ
って行われた。
実施例7 メディアン効果分析
TAMとDDPとの間の相互作用の性質を判定するためにメディアン効果分析
が用いられた。CIは細胞破壊の高められたレベルでのコロニー形成アッセイを
用いて判定された。薬品はIC50の比率と同じ比率で、つまり、細胞破壊が50%
となるCIで、組み合わせられ、それぞれの薬品に対する値はグロノジェニック
・アッセイによって判定された。組み合わせは、各実験で各薬品を単独で用いた
場合の細胞毒性と比較された。各データ・ポイントはそれぞれトリプリケート培
養を用いて行われた最低3回の実験の平均値を示している。
実施例8 黒色腫細胞に対するTAM/DDPの作用
図5は、T−289黒色腫細胞株に対するDDPとTAMの相互作用に関するC
Iを図示したものである。細胞破壊50%でのCIが0.26±0.02(SD)(p<0.
01)であることは、TAMとDDPとの間の著しい相互作用を示している。
実施例9 卵巣癌細胞に対するTAM/DDPの作用
図6は、ヒト卵巣癌細胞株2008に対するDDPとTAMの組み合わせのCIプ
ロットを示している。この組み合わせは細胞破壊が低い範囲で相乗作用を発揮し
、0.63±0.07(SD)(p<0.01)のCI50を達成した。というのは、細胞破壊
のレベルが高かった(生存コロニーが少数であった)ことに関連したマウンティ
ング・エラーと、相互作用が、各薬品を単独で使用した場合の曲線と組み合わせ
の場合の曲線とがよく適合している容量−反応領域でしか分析できないからであ
る。CIプロットは曲線の中央部分で最も信頼性が高く、細胞破壊が80%以上の
領域では、比較的信頼性が低い。
実施例10 小細胞肺癌株に対するTAM/DDPの作用
UMC小細胞肺癌株に対するDDPおよびTAMの組み合わせのCIプロット
を図7に示す。このCIプロットも相互作用の相乗効果の高さを示しており、0.
38±0.13(SD)(p<0.01)のCI50値を達成した。
本発明はヒトの黒色腫、卵巣癌および小細胞肺癌細胞株に対する細胞毒性に関
してのTAMとDDPとの間の高度に相乗的な相互作用を示している。
メディアン効果分析は、2つの細胞毒性薬剤間の相互作用の性質の確認と、種
々の細胞破壊レベルでの相互作用の強度の定量化との両方のための数学的に厳密
な方法を提供する。
メディアン効果分析は、これら3つのヒト細胞株に対して、この相互作用が相乗
的であることを示した。その相乗作用の強度は、黒色腫株(CI50 0.26)と小
細胞肺癌株(CI500.38)の両方に対して、卵巣癌株(0.63)に対してよりも高
かった。
この相乗的な相互作用の他のいくつかの特徴は、臨床的な意義を持っている可
能性を示唆している。3つの細胞株のすべてに対して、相乗効果は、細胞破壊が
最低のレベルでも明らかに存在した。このように、TAMは、腫瘍に対するDD
P伝達が最低限何とか十分であるような状況下でも、イン・ビボで腫瘍細胞のD
DPに対する感受性を高めている。第2に、これら薬品の標準的な用量で措置さ
れた患者の血漿液内で簡単に実現できるDDPおよびTAM両方の濃度で、相乗
作用が観察された。
本発明が上に述べた課題を実行し、上記目的および利点、およびそれらと本質
的に付随した目的および利点を達成するのによく適合していることは、当業者な
ら容易に理解できるであろう。これら実施例、およびここに述べられている方法
、手順、措置、分子、および特殊な化合物は現在の段階での好ましい実施例を示
すものであり、具体例であって、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
特許請求の範囲で定義されるような本発明の精神を逸脱しない変更やその他の使
用法は、当業者には自ら明らかであろう。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ハウエル,スティーヴン,ビー.
アメリカ合衆国 92014 キャリフォーニ
ア,デル マー,ノウガレス ドライヴ
13612
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. プラチナ抗腫瘍形成化合物およびタモキシフェンにより構成され、上記 プラチナ抗腫瘍形成化合物およびタモキシフェンが非黒色腫癌に相乗効果を発揮 することを特徴とする非黒色腫癌治療用の組成物。 2. 該非黒色腫癌が、卵巣癌、小細胞肺悪性腫瘍、睾丸癌、膀胱癌および頭 部および首の鱗状細胞癌により構成されるグルーブから選択されることを特徴と する請求項1の組成物。 3. 該プラチナ抗腫瘍形成化合物がシスプラチンとカルボプラチンとにより 構成されることを特徴とする請求項1の組成物。 4. 該シスプラチンが該組成物中に1μMから10μM程度の範囲で含まれてい ることを特徴とする、請求項3の組成物。 5. 該カルボプラチンが該組成物中に5μM程度から20μM程度の範囲で含ま れていることを特徴とする請求項3の組成物。 6. 該タモキシフェンが該組成物中に0.1μM程度から1μM程度の量で含ま れていることを特徴とする請求項1の組成物。 7. 該タモキシフェンが該組成物中に0.1μM程度から1μM程度の量で含ま れており、さらに該プラチナ含有抗腫瘍形成化合物がシスプラチンであり、該組 成物中に 含まれているシスプラチンの量が1μM程度から10μM程度であることを特徴とす る請求項1の組成物。 8. さらに薬理的に受け入れ可能な担体を含んでいる請求項1の医薬品組成 物。 9. さらに薬理的に受け入れ可能な担体を含んでいる請求項8の医薬品組成 物。 10. 該非黒色腫癌を有する個人に対し薬理的に有効な量のプラチナ抗腫瘍形 成化合物とタモキシフェンの組み合わせを投与するステップで構成され、該プラ チナ抗腫瘍形成化合物とタモキシフェンが該非黒色腫癌に対して相乗効果を発揮 することを特徴とするイン・ビボで非黒色腫癌を措置するための方法。 11. 該非黒色腫癌が、卵巣癌、小細胞肺悪性腫瘍、膀胱癌、睾丸癌、および 頭部と首の鱗状細胞癌とにより構成されるグループから選択されることを特徴と する請求項10の方法。 12. 該プラチナ抗腫瘍形成化合物がシスプラチンとカルボプラチンとによっ て構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項10の方法。 13. 該シスプラチンが1μM程度から30μM程度の量で投与されることを特徴 とする請求項12の方法。 14. 該カルボプラチンが5μMから20μM程度の量で投与されることを特徴と する請求項12の方法。 15. 該タモキシフェンが0.1μMから1μM程度の量で投与 されることを特徴とする請求項10の方法。 16. 該タモキシフェンが0.1μMから1μM程度の量で該組成物中に含まれ、 該プラチナ含有抗腫瘍形成化合物がシスプラチンであり、該シスプラチンが該組 成物中に1μMから10μM程度の量で含まれていることを特徴とする請求項10の方 法。 17. 上記プラチナ抗腫瘍形成化合物投与の前にかなりのタモキシフェン血漿 液レベルが達成されるように、該タモキシフェンが該プラチナ抗腫瘍形成化合物 より前に投与されることを特徴とする請求項10の方法。 18. 腫瘍形成性疾患を有する個人から骨髄を取り出し、該骨髄を細胞レベル で有効な量のプラチナ含有抗腫瘍形成化合物およびタモキシフェンと接触させ、 そして該接触済み骨髄を該個人に戻すステップによって構成されることを特徴と する骨髄内の非黒色腫抗腫瘍形成細胞を破壊する方法。 19. 抗腫瘍形成疾患を有する個人において、該個人がプラチナ抗腫瘍形成化 合物に対する抵抗性形成の影響を受けやすいことを特徴とする、該個人に対して タモキシフェンを投与するステップで構成されるプラチナ抗腫瘍形成化合物に対 する抵抗性を低下させる方法。 20. 該疾患が黒色腫、卵巣癌、小細胞肺悪性腫瘍、睾丸癌、膀胱癌および頭 部と首の鱗状細胞癌により構成されるグループから選択されることを特徴とする 請求項19の方法。 21. 該プラチナ抗腫瘍形成化合物がシスプラチンとカルボプラチンとによっ て構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項19の方法。 22. 該タモキシフェンが0.1μMから1μM程度の量で投与されることを特徴 とする請求項19の方法。 23. 該個人にタモキシフェンを投与するステップで構成される、腫瘍形成性 疾患を有する個人におけるプラチナ抗腫瘍形成剤に対する抵抗性を克服する方法 。 24. 該疾患が黒色腫、卵巣癌、小細胞肺悪性腫瘍、睾丸、膀胱および頭部お よび首の鱗状細胞癌より構成されるグループから選択されることを特徴とする請 求項23の方法。 25. 該プラチナ抗腫瘍形成化合物がシスプラチンとカルボプラチンとによっ て構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項23の方法。 26. 該タモキシフェンが0.1μMから1μM程度の量で投与されることを特徴 とする請求項23の方法。
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