【発明の詳細な説明】
発明の名称 アルツハイマー病型の痴呆症の処置にお
けるオルニチンアミノトランスフェラー
ゼの阻害剤の用途
本発明はオルニチンアミノトランスフェラーゼのある種の阻害剤の用途からな
り、より好ましくは、アルツハイマー型の痴呆症(DAT)の処置の為のある種
の5-置換オルニチン誘導体単独、及びそれと他の試薬との組合せからなる。
発明の背景
アンモニウムイオン(NH4 +)は、酸-塩基バランスの維持に主要な役割を果す
が、高濃度で毒性である。体によって、異なる反応によって多くの前駆体(核酸
、蛋白質、アミノ酸、ヘキソサミン類、第一級アミン類)からアンモニウムイオ
ンは造られ、そして腸内細菌による食物蛋白質の分解等の外的な供給源によって
体に導入される。
体のなかで造られる尿素〔CO(NH2)2〕の約20%が腸の中に拡散し、そこ
で細菌によってアンモニア及び二酸化炭素に変換される。アンモニアは吸収され
、そしてアンモニアを除去する主要な経路であるオルニチン(尿素)サイクルを
経て、肝臓中で尿素に変換し直される。従って、肝臓の急性及び慢性の病気は肝
臓が体からアンモニアを除去する能力を損なう。
高水準のアンモニアは、容易に血液脳関門を通過し、
脳病(脳の変性病)を生じる。神経に由来する脳病の一つの原因は、尿管の細菌
感染(例えば神経性膀胱)である。別の原因は急性又は慢性の肝臓病のためアン
モニアの解毒が不足することであり、これは肝臓が原因の脳病につながる。この
病気の発病学の重要な要因は、外来の(胃腸からの)アンモニアとして同定され
ている。
蛋白質、核酸、アミノ酸及びヘキソサミン類は、大脳アンモニアの別の供給源
であることが長く示唆されてきた。第一級アミンの酸化的脱アミノ化(モノアミ
ン類、シアミン類、及びポリアミン類)、グリシン開裂系を経るグリシンの異化
作用、プリン類及びピリミジン類及びグルコサミン-6-ホスフェートの脱アミノ
化は、とりわけ良く知られたアンモニア発生反応であり、これらは脳のアンモニ
アの定常状態水準に寄与し得る。
アルツハイマー型の痴呆症(DAT)は、(幾つかの仮説はたてられているが
)未知の病因の別の種類の変性性の脳病である。DAT患者の脳中のアンモニア
の濃度が高くなっているのみならず、アンモニアは脳のなかで過剰に外的に発生
されられているという最近の報告もある。ホイヤー エス.等、Neurosci.Lett
.117,358-362(1990)。動脈アンモニア水準が適当にマッチされた対照の検体
よりもDAT患者中で有意義に高いという二つの報告が存在する。フィッシュマ
ン エム.等、Am.J.Psychiatry 142:71-73(1985);フィシュマン エム.等
、J.
Am.Ger.Soc.37: 1102(1989)。DATの診断基準に適合する患者であるが肝
臓病も尿管の感染もない患者は、血漿100mlあたり208±136μgのアンモニアの水
準を有する。正常な範囲は20〜94μg/100mlであり、患者の83%が正常な限界よ
り高い血液アンモニア濃度を有していた。ブランコニエル アール.ジェイ.等
、Am.J.Psychiatry 143: 1313(1986)。進行したDATにかかっている患者
中の、そして初期の痴呆症を有する者として臨床的に診断された患者、早発性の
DATでは100%の確率で、静脈中と動脈中とでアンモニアの差があることが報
告されている。健康な志願者が72±7μg・kg-1・min.-1の脳による平均アンモニア
消費量を示している。これと対称的に、進行したDATを有する患者の脳から、
27±3μg・kg-1・min.-1のアンモニアが放出された。早発性のDATと思われる患
者は、循環系にむけて256±162μg・kg-1・min.-1のアンモニアを放出した。これ
らの発見は、アンモニアの解毒の機構が欠けている場合又はそうでない場合の脳
中の過剰なアンモニア生産があることを示唆している。ホイヤー エス.等、Neu
rosci.Lett.117: 358-368(1990)。
本発明は、過アンモニア血症が、少なくともDATの症状と進行にとって、重
要な因子であると認識するものである。本明細書中の後に更に記載されるように
、脳の過アンモニア血症は、DATであることの証と考えられ
るこれらの因子に影響し得る。
脳の過アンモニア血症とDAT
a)アンモニア中毒に於けるシナプス伝達
アンモニアはDATを有する患者に損なわれている脊堆動物の中枢神経系の主
要な興奮性(グルタメート作動性)及び主要な抑制性(GABA作動性)神経系機能
と干渉しあうことが出来る。
実験結果に基づいて0.5μmol・g-1の脳にアンモニアが増加すること、即ち2〜5
倍の増加は、興奮性及び抑制性のシナプス伝達を攪乱するのに、そして急性のア
ンモニア中毒ラーベ(Raabe)試験と関連する脳病を開始させるのに十分である
。ラーベ ダブリュ.,Neurochem.Pathol.6: 145-166(1987)。従って、ゆっ
くりと進行している病原機構が、生理学的水準より僅かに上である脳アンモニア
濃度に於てさえ、始まり得ることが明らかであるようである。
グルタメートで媒介される興奮性のシナプス伝達は、アンモニアによって減少
される。この効果が前シナプス膜の末端に於けるグルタメートの枯渇と関連して
いるかどうかは、現在明らかではない。
抑制的なシナプス伝達も、Cl-依存抑制性(例えばGABA作動性)のニューロン
を過分極(hyperporalization)することによりアンモニアによって減少させら
れる。この効果は、アンモニアによるニューロンからのCl-の押
出しの不活性化と関連している。同じ作用によって、アンモニアはCa2+及び電
位依存性のCl-電流の過分極作用も減少させる。GABA作動性及び他の抑制性ニュ
ーロンの大きな割合が抑制性の入力を制御するので、アンモニアは「脱抑制化」
によってニューロンの興奮の増加を生じる。
b)グルコース利用の減少
過アンモニア血症状態を有する、即ち、エネルギー代謝の速度の減少及びアル
ツハイマーII型の神経膠症として特徴付けられる神経膠星状細胞の変化を伴う、
脳のグルコース利用の損傷を有する、実験的な及び人の病気の最も人目をひく発
見は、DATの脳にも同じように特徴的である。PET(陽電子発生断層撮影法)
研究に於て、脳のグルコース利用は、頭頂側頭皮質中で主として減少されること
が発見された。全体の脳のグルコース利用は、早発性の場合には正常な酸素消費
を有しながら約50%だけ消失するが、遅発性のDATの場合には、酸素消費が減
少する。DATでの脳のエネルギー代謝の損傷とエネルギー代謝に関与する酵素
が損なわれることは、幾つかの研究者によりその後報告されている。
c)グリア(神経膠)機能との干渉
星状細胞の異常はDATに特徴的である。反応性の星状細胞が、β-アミロイ
ド蛋白質の細胞外蓄積を促進することを含め、DATの神経病理学的な事象を媒
介し得
るという考えを支持する観測が報告された(フレデリクソン,Neurobiol.Aging
13: 239-253(1992))。
アンモニアによって損傷された星状細胞は、グルタミンシンセダーゼ(合成酵
素)活性の減少につながり、これは門洞静脈吻合を有するラット中に於て、15%
だけこの酵素の活性の減少があることから証拠づけられる(バターウォース ア
ール.エフ.等、J.Neurochem.51: 486-490(1988))。しかし、このシンセ
ターゼ活性の減少は、星状細胞に対し更にダメージを生じ得る。グルタミンシン
セターゼが、細胞内アンモニアの調節及び酸-塩基バランスに於て臨界的に関与
しているということは、よく確立されていることである。この酵素の機能のどん
な乱れもアンモニア毒性の増幅が後に続く。従って増加した細胞内pH及び星状細
胞の膨張が過アンモニア血症のラットの於て観測されることは、驚くことではな
い。スウェイン エム.エス.等、Am.J.Physiol.261: R1491-51496(1991)
。
DAT病理に於て小膠細胞が役割を有することの証拠が増加している。マクグ
リー ピー.エル.等、Can.J.Neurol.Scl.18: 376-379(1991)。これらの
細胞は、多くの変性細胞中で観られ、事実上全ての老人性のプラークは、小膠細
胞又はプラーク中の細胞処理物を有している。小膠細胞の侵略は脳がそれ自体細
胞の破片を除去する試みとしての徴候である。β-アミロイド前駆体蛋白
質は、小膠細胞中で形成されるようであるので、これらの細胞は二つの方法でβ
-アミロイド蛋白質蓄積物の形成に寄与し得る。即ち神経終末の膜の食細胞作用
、及びそれらに固有のβ-アミロイド前駆体蛋白質による。
d)過アンモニア血症及びエクサイトトクシック(毒性刺激性)アミノ酸
恐らく、硬変症とDAT患者の間のアミノ酸パターン最も顕著な差異は、硬変
症の全ての脳領域に於て数倍のグルタミンの増加があるが、DAT患者の脳に於
てはこのアミノ酸の濃度の変化がないことである。同様にDATを有する患者の
脳脊髄液(CSF)中にグルタミンの増加は検出されないが、一方、このアミノ
酸の水準は門脈全身的脳病を有する実験動物のCSF中で増加される。これらの
発見は、DAT患者の脳が、ある水準以上にはグルタミン形成を増強することが
出来ないことを示唆しており、そしてこれはDATの脳がアンモニア形成速度に
於ける僅かな増加に対してさえもかなりの感受性を有することの証としてとられ
得る。アンモニア水準の増加の為、2-オキソグルタレートの(グルタメートデヒ
ドロゲナーゼによって触媒される)還元的なアミノ化は、DATに於ても、そし
て肝臓性の脳病に於ても、行なわれ得る。恐らくこの「余分な」グルターメート
は、DATの脳でない後者の病気に於ては、その制限されたグルタミン合成活性
の為に、グルタミンとして脳から単に除去さ
れることが出来る。2-オキソグルタレートからのグルタメート形成は、トリカル
ボン酸サイクルのこの基質の平衡濃度を減少させることによって、同時にエネル
ギー代謝を損なう。
DAT患者の脳では、グルタメート濃度はグルタミン作動性ニューロンの消失
の為に、対照に於けるよりも低く、しかしクルダメートのCFS水準は、DAT
においても(ポマラ エヌ.等、Am.J.Psychiatry 149: 251-254(1992))、
そして門脈の全身的な脳病に於ても(テルリエン ジー.等、Metabolic Brain D
is.6: 65-74(1991))、両方とも上昇している。これは、このアミノ酸の強め
られた細胞外濃度を示している。2-オキソグルタレートの還元的アミノ化による
強められたグルタメート形成の述べられた可能性を無視しても、細胞外グルタメ
ート濃度の増加は、アンモニアによる乱された星状細胞機能の為グルタメートを
神経周辺の星状細胞に取込むことの故障の結果である可能性が最も強い。グルタ
メートの神経毒性効果が取込み場所の抑制によって強められることは、よく確立
されているので、神経膠の取込み機構の混乱は、DATに於けるエキサイトトキ
シック(毒性刺激性)細胞ダメージに対する主要な理由であり得る。
早発性DATを有する患者の脳からのアスパルテートの放出は、病気のある段
階の間、エキサイトトキシックダメージの更に別の原因の徴候である。平均年令
60才を
有する患者は、アスパルテートの正常なCSF水準を有していた(ポマラ エヌ
.等、Am.J.Psychiatry 149: 251-254(1992))。
DAT脳の皮質と海馬中のグルタメート受容体の選択的な消失に対する証拠が
存在する。過アンモニア血症ラットの小脳中に於て、グルタメートの高及び低親
和性結合場所の両方の数の減少が認められた。この減少は、カイネート(kainat
e)又はキスカレート(quisqualate)の結合場所の変更が全くなしに、N-メチル
-D-アスパルテート特異的結合場所に於てのみの減少であった。これらの効果は
、正常な動物からの膜調製物を、酢酸アンモニウムと共に培養した時に似たよう
なことが起こった。ミュシモール(muscimol)(GABA受容体アゴニスト)の結合
は、同じ実験条件下で増強された。ラグハベンドラ ラオ(Raghavendra Rao).
V.L.等、Neurosci.Lett.130: 251-254(1991)。これらの観測もまたアンモ
ニアがグルタメート作動性及びGABA作動性ニューロンの両方の機能に影響する能
力があることを示している。
本発明の化合物は、1988年2月5日に出願されたヨーロッパ特許出願88400275.
9、公開番号0 326 766の5-置換オルニチン誘導体類という名称の出願中に記載さ
れており、この出願は本明細書に取込む。これらの化合物は、その出願中では、
オルニチンの条件的欠乏を処置するのに、そしてアンモニア中毒の場合に有効で
あると開示さ
れている。
オルニチンは尿素サイクル中の基質である。尿素サイクルは、体から除去され
るためにアンモニウムイオンを尿素に取込むのに有効である。本発明の化合物は
、オルニチン:2-オキソ酸アミノトランスフェラーゼ(OAT)を不活性化する
。長時間にわたるOATの不活性化の為に組織オルニチン濃度の水準を強めるこ
とによる肝臓中の尿素形成は、そして恐らく幾つかの他の組織中での尿素形成は
、その結果であって、それによって血液及び脳脊髄液中のアンモニアの濃度を下
げると信じられる。これらの化合物は、例えば肝硬変、電撃性(急性)の肝臓疾
患、及び尿管/膀胱感染など、上昇した血中及び脳脊髄液中のアンモニア濃度と
関連する数多くの良く知られた人の病気に有用である。
にもかかわらず、アンモニアを下げることによって利益を受ける症状に対して
は、DATは以前には考えられていなかった。実際、殆どのアルツハイマー病患
者が通常は正常な肝臓機能を有しているので、OAT阻害剤の使用は、DATの
処置の為の特に有効な方法をなしていない。従って、本発明の化合物の使用は、
非常に求められているDATの処置に対する新しいアプローチをなす。
本発明の目的は、DATを処置することによって本発明の化合物の新しい用途
を提供することである。本発明の別の目的は、本発明の化合物のエナンチオマー
の為の
合成を提供し、そして更に別の目的はDATの処置に有用な組合せ療法を提供す
ることである。
本発明のまとめ
本発明は、式
〔式中、Rは −CH2F、−CHF2、−CHCIF、−C≡CH、−CH=C
H2又は−CH=C=CH2基である〕、又はその立体異性体類、又はその製薬上
受入れられる酸付加塩の、OAT不活性化剤、好ましくは置換オルニチン誘導体
類、そしてより好ましくは5-置換オルニチン誘導体による、DATの処置のため
の新規な用途に関する。DATの処置はOAT阻害剤と患者の脳中アンモニア水
準を下げるのに有用な他の試薬とを投与することからなる組合せ療法でもよい。
本発明の詳細な記載
本明細書で使用する「DAT」又は「アルツハイマー型の痴呆症」とは、短期
間及び長期間の記憶を損なうことがある進行的に悪くなる生物体の精神的症侯群
を意味する。この変性の痴呆症は、穏やかなもの(仕事又は社会的な活動は出来
ないが、単身で生きることが出来る)、中程度(ある程度の監督が必要である)
、又はひどいもの(連続した監視が必要である)でありうる。
短期記憶を損なうことは、新しい情報を修得することが出来ないことであり、
例えば5分後に三つの事柄の記憶を患者が出来ないことによって実証され得る。
長期記憶が損なわれることは、過去に知られて情報を思い出すことが出来ないこ
とであり、例えば患者が彼等の出生地、職業、昨日何が起こったか等の個人的な
過去の情報を思い出すことが出来ないこと、又は一般的な知識の事実を思い出す
ことができないことによって示すことが出来る。典型的には、抽象的な思考、判
断が損なわれること、人間性の変化又はより高い皮質機能の撹乱が存在する。
本明細書で「患者」とは、温血動物、例えばラット、マウス、犬、猫、モルモ
ット、霊長類、及び人等を意味する。「処置」という用語、又はその(変形)語
形は、患者の病気又は症状を防止又は軽減することを意味する。
「立体異性体」という用語は、空間中のその原子の配向のみに於て異なる個々
の分子の全ての異性体に対する一般用語である。それは、鏡像異性体(エナンチ
オマー類)、幾何(シス/トランス)異性体類、及び互いに鏡像でない一つを越
えるキラル中心を有する化合物の異性体類(ジアステレオマー類)を含んでいる
。本発明に於ては、式Iの化合物のラセミ混合物は、四つのエナンチオマーを有
しており、四つのエナンチオマーのうちのたった一つが他のものより好ましいも
のであり得る。
「組合せ療法」という用語は、二又はそれ以上の試薬
の同時又は連続的な投与を意味し得る。例えば、同時投与は、二又はそれ以上の
試薬が含有されている一つの投与形態を意味しうるものであり、一方連続的な投
与は、異なる時間に於て、そして多分異なる投与経路においてさえも患者に投与
される別々の投与形を意味し得る。
本発明の化合物との組合せ療法に於て、DATの処置に有用である任意の試薬
を使用し得る。好ましくは、DAT患者の脳中のアンモニア水準を下げるのに有
用な試薬が使用される。例えは、尿素サイクルを通じてアンモニアの分泌を促進
するのに有用な試薬、例えばオルニチン、シトルリン及びアルギニンが使用され
得る。好ましくは、尿素サイクルと独立にアンモニア脳中水準を下げると信じら
れている試薬、例えばL-アセチルカルニチンとL-カルニチンを使用する。
殆どの発明に於てそうであるように、好ましい具体例が存在する。本発明に於
ては、RがCH2Fであり(ヨーロッパ特許第326766の実施例1)、最も好まし
いのは、(S/S)-2,5-ジアミノ-6-フルオロヘキサン酸と思われるそれらのエナ
ンチオマーの一つである。
実施例1
2,5-ジアミノ-6-フルオロ-ヘキサン酸はヨーロッパ特許第326,766号に記載さ
れるようにして得られる。エナンチオマーはHPLC等の任意の適当な方法を用
いて分離されるか、又は以下の別法を用いることが出来る。(2R,5R)-6-フルオロ-2,5-ジアミノヘキサン酸二塩酸塩の不斉合成
(2R,5R)及び(2S,5S)-メチル-3-アミノ-2-ピペリドン-6-カルボキシレート
2,5-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン-3,6-ジオン[J.Med.Chem.1974,
17,481-487、ピー.エー.スタルム、ディー.ダブリュ.ヘンリー、抗フィラ
リア剤、ジエチルカルバマジンの橋かけされた類似体としてのジアザビシクロオ
クタン類とジアザビシクロヘプタン類](10.75g,0.0768モル)を無水メチルア
ルコール中の塩化水素酸の溶液(560ml、0.27M)に溶解した。混合物を20℃で18
時間攪拌し、次に炭酸銀(21.5g、0.082モル)で中和し、セライトの詰め物上で
瀘過した。溶媒を蒸発させ、残留物を一夜乾燥した。表題化合物は白色固体とし
て得られる。(12.8g、97%収率)。1
H NMR(360MHz,CD3OD)δ ppm:3.85(m,1H,CHCOO);3.55(m,1H,CHNH2
);3.40(s,3H,CH3);1.9と1.4(2m,2×2H CH2CH2)
MS: モノTFA誘導体類:m/e=269(MH+);286(MNH4 +)
キラルGC: 145℃,1バールH2,TFA誘導体類。
2ピーク: 15.63分及び16.64分。(2R,5R)及び(2S,5S)-メチル-3-(フェニルアセチル)アミノ-2-ピペリド ン-6-カルボキシレート
フェニル酢酸(10.2g,0.075モル)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(13.5
g,0.075モル)、ピリジン(7.2ml,0.061モル)及び4-ジメチルアミノピリジン
(0.9g,0.0073
モル)の無水ジクロロメタン(400ml)中の混合物に、(2R,5R)及び(2S,5S
)-メチル-3-アミノ-2-ピペリドン-6-カルボキシレート(12.8g,0.0744モル)
を加える。反応混合物を20℃で24時間撹拌し、次に生成するジシクロヘキシル尿
素を瀘去し、瀘液を蒸発させる。残留物をメチルアルコール/酢酸エチル(5/95
)を溶離液として使用するシリカゲル-Lのフラッシュクロマトグラフィにより精
製する。表題化合物は白色固体として得られる(19.61g,93%収率)。1
H NMR(200MHz,CD3OD)δ ppm:
7.87(m,5H,Ph);6.55(d,1H,NH);6.40(s,1H,NH-1);4.35(m,1H,
H-3);4.12(m,1H,H-6);3.77(s,3H,COOMe);3.54(s,2H,COCH2Ph)
;2.5(m,1H,H-4A);2.2(m,2H,H-5);1.5(m,1H,H-4B)。
HPLC:キラルパックAD,250×4.6mm,21℃,EtOH/MeOH/ヘプタン:25/45/30,1m
l/分,210nm、
二つのピーク 7.26分及び21.51分。
元素分析C15H18N2O4(290.31)に対する
計算値:C 62.06,H 6.25,N 9.65
実測値:C 62.50,H 6.26,N 9.73
融点138℃。(2R,5R)及び(2S,5S)-3-(フェニルアセチル)アミノ-2-ピペリドン-6-メ チルアルコール
無水ジエチルエーテル(50ml)及びテトラヒドロフラン
(12.5ml)中の(2R,5R)及び(2S,5S)-メチル-3-(フェニルアセチル)アミ
ノ-2-ピペリドン-6-カルボキシレート(1.451g,0.005モル)のスラリーに、水
素化ホウ素リチウム(0.109ml,0.005モル)及び水素化ホウ素トリ第三ブチルリ
チウム(0.5ml,1M,0.0005モル)を加える。反応混合物を12時間還流し、次に
メチルアルコールを加え(5ml)そして溶媒を蒸発させる。残留物をシリカゲル
上のフラッシュクロマトグラフィによりメチルアルコール/酢酸エチル(8/92)
を溶離液として使用して精製する。再結晶後、表題化合物が白色固体として得ら
れる(2.275g,97%収率)。1
H NMR(200MHz,CD3OD))δ ppm:7.7(m,5H,Ph);4.05(m,1H,H-3
);3.25(m,3H,CHCH2O);1.55(m,4H,H-4,H-5)。
HPLC:キラルパックAD,250×4.6mm,21℃,EtOH/ヘプタン:60/40,1ml/分,21
0nm、
二つのピーク:5.37分及び6.48分。
元素分析C14H18N2O4(262.311)に対する
計算値:C 64.11,H 6.92,N 10.68
実測値:C 64.12,H 6.86,N 10.68
融点158℃。(2R,5R)及び(2S,5S)-6-フルオロメチル-3-(フェニルアセチル)アミノ-2 -ピペリドン
5mlの無水ジクロロメタン中の(2R,5R)及び(2S,5S)-3-
(フェニルアセチル)-アミノ-2-ピペリドン-6-メチルアルコール(52.4mg,0.2
ミリモル)の懸濁液を−78℃に冷却する。ジメチルアミノサルファートリフルオ
ライド(53.2mg,0.4ml,0.4ミリモル)をその混合物にゆっくりと加える。−78
℃で5分後、反応混合物を室温に到達させ更に16時間攪拌する。反応を氷水で冷
却する。有機層をジクロロメタン(25ml)で希釈し、水で洗浄する。有機層を硫
酸ナトリウム上で乾燥し、瀘過し、溶媒を蒸発させる。残留物を溶離剤としてメ
チルアルコール/酢酸エチル8/92を使用して中性酸化アルミニウム活性III上の
フラッシュクロマトグラフーィで精製する。クロロホルム/ペンタン中で再結晶
後、表題化合物が白色結晶として得られる(0.024g,45%収率)。1
H NMR(360MHz,CD3OD)δ ppm:7.3(m,5H,C6H5);6.47(d,1H,NHCO
CH2Ph);6.27(s,1H,NH);4.35(dAB.HA,JHAF=46.4Hz);4.33(dAB,1H
,JHBF=47.33Hz);4.24(m,1H,H-3);3.75(m,1H,H-6);3.6(s,2H,CH2
Ph);2.42(m,1H,H2)。19
F NMR(338.8MHz,CHCl3)δ ppm:-62.82(dt,JHF=46.8Hz)
HPLC:キラルパックAD,250×4.6mm,21℃,EtOH/ヘプタン:60/40,0.5ml/分,
210nm、
二つのピーク:12.8分及び14.8分。
元素分析C14H17N2O2F(264.30)に対する
計算値:C 63.62,H 6.48.N 10.60
実測値:C 63.17,H 6.56,N 10.52。(2R,5R)及び(2S,5S)-6-フルオロメチル-3-(フェニルアセチル)アミノ-2 -ピペリドン及び(2S,5S)-6-フルオロメチル-3-アミノ-2-ピペリドン
燐酸緩衝液pH7.0(11ml,0.1M)中の(2R,5R)及び(2S,5S)-6-フルオロー
メチル-3-(フェニルアセチル)アミノ-2-ピペリドン(0.097g,0.37ミリモル)
の溶液に、湿ったペニシリンアシラーゼ(0.040g)を加える。30分攪拌後、酵素
を除去し、溶液をジグロロメタンで洗浄し、(2R,5R)-6-フルオロメチル-3-(
フェニルアセチル)アミノ-2-ピペリドン(0.057g)を除去する。水相を蒸発さ
せると白色固体として(2S,5S)-6-フルオロメチル-3-アミーノ-2-ピペリドン
を得る(0.023g)。
HPLC:キラルパックAD,250×4.6mm,21℃,EtOH/ヘプタン:60/40,0.5ml/分,
210nm、
一つのピーク:14.8分。(2R,5R)-6-フルオロ-2,5-ジアミノヘキサン酸二塩酸塩、及び(2S,5S)-5- フルオロメチルオルニチンニ塩酸塩、
塩酸(1ml,6N)中の(2S,5S)-6-フルオロメチル-3-アミノ-2-ピペリドン(
0.020g,0.17ミリモル)の溶液を2.5時間還流する。溶液を水(2ml)で希釈し、
ジクロロメタン(4ml)で4回洗浄し、水相を蒸発させ、残留物をメチルアルコ
ール/ジエチルエーテル中で再結晶化する。表題
化合物は白色結晶として得られる(15mg、82%収率)。1
H NMR(360MHz,CD3OD)δ ppm:4.4(m,2H,CH2F);3.8(m,1H,H-2)
;3.3(m,1H,H-5);1.7(m,4H,CH2CH2)。19
F NMR(338.8MHz,CHCl3)δ ppm:-69.15(dt,3J=23Hz,2J=47Hz)。
実施例2
本発明の化合物で処理する効能を試験する為に、血中アンモニア濃度を、参照
により本明細書に取込まれるエイチ.エフ.ブロエレス(H.F.Proelss)等、Cl
in.Chem.19: 1162-1169(1973)の方法に従って、アンモニア特異的電極を使
用することによって、静脈血液中で測定できる。加水分解方法によって結合され
たアンモニアが解放されることを最小限にする為に、血液試料は即座に冷却され
、そして等容量の0.4M過塩素酸と混合することによって除タンパクを行なった。
0.2M過塩素酸で混合物を1:1希釈した後に、タンパク質を遠心分離で除去する。
透明な懸濁液中のアンモニア濃度は以下の様に測定されるであろう。0.5mlのア
リコートを室温で20μlの10M水酸化ナトリウムと混合する。アンモニア特異的な
電極(マサチューセッツ州ケンブリッジのオリオンリサーチInc.から得られる
もの等)を混合物中に挿入し、アンモニアで発生される電位差を測定する。既知
の濃度の塩化アンモニウムの溶液をアンモニア特異的電極の目盛補正
の為に使用する。
実施例3
β-アミロイドプラークの蓄積を防止又は減少する、従ってアルツハイマー型
の老人性痴呆症及びβ-アミロイドプラークの形成と関連することが知られてい
る他の症状、例えばダウンズ症侯群の処置に於ける有用性に対する本発明の化合
物の活性は、β-アミロイドプラーク形成の種々のインビトロ及び生体内モデル
で実証することが出来る。例えば、本発明の化合物が、β-アミロイド蓄積物が
蓄積するのを防止又は減少する能力は、以下の様に検定1〜3として記載される
幾つかの細胞及び細胞の無いインビトロ方法によって実証できる。これらの検定
は、元来のβ-APPが細胞によって発現され、そして処理されて11-12 KDaのC
-末端断片及びβ-アミロイドを生じるという事実を利用している。β-APP発
現の内部的水準は、所望によりβ-APP cDNA配列、例えばβ-APP(751
)を標準の方法を使用して、その細胞中にトランスフェクシヨンすることによっ
て強めることが出来る。
インビトロ検定
検定#1:イムノプレシピテーション細胞
:CHO−KI(チャイニースハムスダーの卵巣;ATCCオリジン)細胞
ラインであって、多量のβ-APP-695を発現する為に安定にトランスフェクシ
ョンさ
れ、「CP-6-36」と呼ばれているものをβ-APP蓄積物のスクリーニングに使用
した。他の哺乳類の培養基細胞ラインも使用することが出来、使用した。例えば
、人の神経細胞ラインSK−N−ML(ATCCオリジン)は、同じ検定条件下
で良好な結果を与えた。β-APP-695でのトランスフェクシヨンはβ-A4生産
の必要条件ではなく、これは単にβ-A4シグナルを強める。実験の準備に於て
、CP-6-36細胞を10cmの皿中で低密度に種付けし、37℃/5CO2インキュベータ
ー中で集密的細胞単層(皿あたり〜1.5×107細胞)に2〜4日間増殖させた。増殖
培地は、DMEM21/クーンズF12(1:1)+10%FBS(胎児牛血清)+50U/mlの
ペニシリン及び50μg/mlのストレプトマイシンからなっている。処理
: 全ての化合物は最初に200μMの投与量でCP-6-36細胞上でスクリーニン
グした。試験に先立って、試験されるべき各化合物の20mM原料を溶媒として細胞
培養等級のDMSOを使用して製造した。各20mM原料化合物を、次に、アミノ酸シス
テインとメチオニンを欠いている無血清EMEM培地中に100倍希釈し(「Cys-/Met-
EMEM」)、培地中に化合物の最終濃度200μMを与えた。実験を始める為に細胞単
層を3回3ml/皿のCys-/Met-EMEMで洗浄し、次に15分間、3ml/皿の同じ培地と共に
培養(37℃、5%CO2)することによって、細胞をシステインとメチオニン欠乏
にさせた。この培地は、皿から吸引され、次に200
μMで化合物を含有している培地3ml/皿を加えた。これらの扁平培地(プレート
)及び対照の皿(1%DMSOを含有していて化合物を含有しない3ml/皿のCys-/Met-
EMEM)を上記の様に15分間培養した。この培地を吸引し、次に各皿に、今や〜15
0μCi/mlの35S-トランス標識(35S標識したシステインとメチオニン)を含有
している前の段階からの培地の追加3mlを加えた。細胞を4時間上記の様に培養
した。収穫
: 4時間の標識期間の終りに於て、細胞を顕微鏡下で全体の外観のため、
及び化合物の大まかな毒性効果をチェックするために観測し、その後細胞の皿を
氷上に置いた。状態調整した各皿からの培地を15mlの円錐形のねじキャップ付き
試験管に写し、2000rpmで10分間遠心分離し、同様な試験管の組に移し、全ての
ペレット化された細胞を残した。標識化された細胞の単層を2ml/皿の燐酸緩衝
食塩水(PBS)で3回洗浄した。次に細胞溶解を促進する1mlの緩衝液(5%トリト
ンX-114;20mMトリス、pH7.5;300mMのNaCl;プロテアーゼ阻害剤類)を各皿に
加え、続いて氷上で10分間培養した。細胞の層を皿から掻き落とし、1.5mlのミ
クロ遠心管(microfuge tube)に移した。溶菌物を次に氷上で4分間超音波処理
し、ミクロ遠心管(microfuge tube)中で高速で10分間スピンさせ、次に15mlの
円錐形のねじキャップ付き試験管に移し、細胞の破片のペレットをあとに残した
。イムノプレシピテーション
: イムノプレシピテーションの為の準備のため上で
収穫した溶菌物を5mlの1×RIPA緩衝液中に希釈し(10mMトリス,pH8.0,150mM N
aCl; 0.125%NaN3; 1%トリトンX-100; 1%デオキシコレート; 0.1SDS)、状態調
整した培地試料を希釈なしで免疫沈殿させた。状態調整した培地及び溶菌物の両
方を、先ず5μlの正常なウサギ血清を各試料に加えることによって予備透明化し
、室温で10分間揺らし、続いてRIPA緩衝液中で100μlの10%プロテインA-セフ
ァロース(PAS)を添加し、室温で1.5時間揺らした。試料を次に3000rpmで遠心
し、上澄みを新たな15mlの試験管に移した。予備透明化溶菌物を、次に30μlの
βAPPのカルボキシ末端を認識する抗体を各試験管に添加することによってイ
ムノプレシピテーションさせ、室温で10分間揺らし、続いて100μlの10%PASを添
加し、室温で1.5時間揺らせた。予備透明化状態調整培地試料を同じ様にイムノ
プレシピテーションさせたが、45μlのβA4を認識する抗体をカルボキシ末端に
向けられた抗体の代りに使用した。次に全ての試料を1分間3000rpmで遠心分離し
、PAS抗体複合体をペレット化し、そして生じるペレットを十分に、高塩緩衝液
(50mMトリスpH7.5;500mM NaCl;5mM EDTA;0.5%ノニデットP-40)で4回、低
塩緩衝液(50mMトリス,pH7.5;150mM NaCl;5mM EDTA;0.5ノニデットP-40)で
3回、そして10mMトリス緩衝液pH7.5で2回洗浄した。ゲル電気泳動
: 洗浄したペレットを5分間50μlの2×ラエムリ(Laemli)ゲル
負荷緩衝液中で中で沸騰した。これらの試料並びに分子量マーカーをトリス/ト
リシンレザボア緩衝液を有する16.5%SDS-ポリアクリルアミドゲル上に装填した
。このゲルを90ボルトで〜18−20時間走らせ、メタノール/20%酢酸で固定し、
65℃で2時間瀘紙上で乾燥した。結果を見ることが出来るようにオートラジオグ
ラフーィーを使用した。分析:
結果はオートラジオグラムの分析によって得られる。正に作用する化合
物は、対照試料と比較して4kDaのβA4蛋白質を抑制し、対照試料に対し9〜12kD
aのC末端蛋白質バンドの水準を増加するものである。βA4の抑制の又はC末端
バンドの増加の定量化は、対照バンドに対し正規化されたバンドのデンシトメー
ター走査によって行なうことが出来る。負に作用する化合物は、対照試料のバン
ドと比較して、4kDaのβA4又は9〜12kDaのC末端蛋白質バンドの収率に於て変
化を示さないものである。追加的な試験
: もし化合物が活性であるとわかるなら(即ちゲル分析によりC
末端断片の増加を伴った4kDaのβA4形成の実質的な抑制)、そのときは投与量
応答試験を行なって、上記の効果を誘発するのに必要な化合物の最も低い投与量
を測定する。典型的に使用される投与量範囲は、12.5〜300μMであり、これらの
投与量の変
化を例外として、実験は上に記載したのと同じ様になされる。もし化合物が僅か
に活性であるにすぎないか、又は全く活性でないことが判ったなら、実験はより
高い投与量、典型的には400μMを使用して繰返される。もし化合物が毒性である
こと、即ち、細胞が顕微鏡下で観測すると不健康であるようにみえるか又は溶菌
物がゲル分析の後良好に標識されないようにみえるなら、そのときは化合物はよ
り低い投与量、例えば25、50及び100μMで再度試験され、毒性でない投与量で化
合物の効果を測定する。検定#2: ラジオイムノアッセイ RIAの為の培地の製造及びセパック(Sepak)濃度
培養した哺乳類の細胞、例えばチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞
又は人の神経細胞SK-N-ML細胞は、β-アミロイドを生じ、そしてこのペプチドを
培養基の培地に分泌する。もし細胞がβ-アミロイド形成の潜在的な抑制剤で処
理されれば、処理された細胞の培地中に可溶性のβ-アミロイドは見出されない
であろう。検定#1の様に、200μMから始めて種々の投与量の抑制化合物を試験
できる。CHO細胞については、野性型及びβ-APP-695トランスフェクショ
ン物の両方について、10cmのプレート(平板培養基)が2mlのEMEM(血清無し)
中で4〜6時問37℃で評価されるべき化合物の存在下又は非存在下で培養される。
培地を除去し、1500rpm(ソル
ボールRT6000B)で10分間遠心分離し、任意の細胞/破片を除去する。培地は即座
に使用するか又は-20℃で貯蔵する。
セパックC18段階を塩及び他の望まれない汚染物を除去する為、そしてβ-ア
ミロイドペプチドを濃縮する為に実施する。培地試料(2ml)をC18セパックカ
ートリッジを通過させ、そしてカートリッジを、0.1%TFA中の5%CH3CNの2ml
中で洗浄する。通過物及び5%CH3CN洗浄液をすてる。カートリッジを0.1%TFA
中の2mlの25%CH3CNで溶出し、続いて0.1%TFA中の50%CH3CN中で2ml溶出する
。両方の溶出物を集め、スピードバック中で乾燥し、RIA中で検定する為に、
水中の10%イソプロパノール125μl〜250μl中に取上げる。25%CH3CNフラクシ
ョンは、培地からのフェノールレッドの殆どを含有しているが、β-アミロイド
ペプチドは含有していない。50%CH3CNフラグションはβ-アミロイドペプチドを
含有している。 125I標識化β-アミロイド1-40の製造及びHPLC精製
:
合成β-アミロイド1-40(10μg)をクロラミンT法によって125I(1mCi)で
標識した。反応を室温で実施した。エッペンドルフ試験管中で10μl125I(NaOH
溶液中1mCi)を10μlのβ-アミロイド1-40(20%イソプロパノール中1mg/ml)及
び80μlの0.1M Naホスフェート,pH7.4に加え、混合した。反応を30μlのクロラ
ミン-T(0.1M Naホスフ
ェート中1mg/ml,pH7.4)を加え、1分間混合及び培養することによって開始した
。反応は、150μlのメタ重亜硫酸Naを加えることにより停止した(0.1M燐酸ナト
リウム2mg/ml,pH7.4)。
反応混合物(280μl)を等容量の水で希釈し、セパックC18カートリッジ上で
走らせ、標識されたペプチドを分離した。このセパックを5%CH3CN(各々1ml)
中で2回洗浄し、50%CH3CN(各々1ml)中で3回溶出し、そして再度95%CH3CN
(各々1ml)中で洗浄した。殆ど全ての標識化されたペプチドが最初の50%CH3CN
溶出中に溶出した。この溶出液を−70℃で貯蔵し、RIAで必要とされるHPLCで
精製した。
標識化ペプチドを逆相HPLCによってC8カートリッジ(4.6mm×3cm、ブランリ
ー)上で精製した。このカラムを0.5ml/分の琉速に於て30分以内に0.1%TFA
中の5%から45%のCH3CNの線形勾配中で走らせた。フラクション(0.5ml)を集
め、計数した。標識化ペプチドを含有しているピークフラクションを−20℃で貯
蔵し、RIA中で三日以内に使用した。ラジオイムノアッセイ
: RIA中で使用した緩衝液は1)RIA緩衝液:0.1%
のBSA及び0.1%のトリトン-X-100を含有している0.1M燐酸ナトリウム,pH7.4、
2)試料緩衝液:水中の10%イソプロパノール、 3)トレーサー緩衝液:0.1%
トリトン-X-100中に0.1%のBSAを含有して
いる0.2M燐酸ナトリウム,pH7.4である。競合リガンド非存在下でおよそ30%の
標識化ペプチドが結合する希釈度で、β-アミロイド特異的抗体を使用した。抗
体の希釈物はRIA緩衝液中で造った。RIA中で使用した抗体には、人β-ア
ミロイド1-40合成ペプチドに対し発生させられた三つの異なる血清を含んでいる
(BA#1、BA#2、6514)。BA#1は最終希釈度1/900で使用し、BA#
2は1/1600で使用し、6514は1/2500で使用する。HPLCで精製した標識化ペプチド
をトレーサー緩衝液中で希釈して、50μl中に7000と9000cpmの間を与える。β-
アミロイド1-40の高い濃度(2.5μM)の存在下で、全置き換えを行なった。β-
アミロイド1-40標準は、試料緩衝液中で製造された。検定容量は200μlである。
成分は次の順序で加えられた。
RIA緩衝液中100μlのAb
同じ緩衝液中の50μlの未知の試料又は標準又はTD
50μlの標識化ペプチド (トレーサー緩衝液中7000〜9000cpm)
試料は混合され4℃で一夜培養された。遊離物の計数から結合物の計数を分離
するため、検定はポリエチレングリコール(PEG)で停止させた。各検定試験管
に50μlの正常な兎血清を加え、続いて800μlのPEG(RIA緩衝液中15.8%のMW
6000〜8000のもの)を加えた。試料を4℃で10分間培養し、3200rpmで20分間遠心
分離した。(ソ
ルボールRT600B)。上澄みを吸引し、ペレットをγ計数器中で計数した。
分析: 抗体結合からの結果は、標識化β-アミロイドトレーサーの置き換えに
基づいて解釈される。正の結果は、トレーサーの置き換えが観測されないもの、
即ち、培地が分泌されたβ-アミロイドを含有せず、試験された化合物がβ-アミ
ロイド生産を抑制するのに効果的であること、を示している。負の結果は、抗体
結合に対するトレーサーの置き換えがみられ、未処理対照細胞と同等である。
酵素連結した免疫サイドイッチ検定(ELISA)も活性化合物を同定する為
に使用できる。β-アミロイド蛋白質を製造している、培養された哺乳類の細胞
(例えば CHO CP−6又はSK−N−MC)を製造し、そして細胞蛋白質の放
射性標識が除かれたことを除いて、検定#1について記載したように化合物で処
理した。処理細胞培養基からの状態調整された培地を収穫し、低速遠心分離によ
って細胞破砕物を透明にした。状態調整した培地を次にβ-アミロイド特異的抗
体を使用して96個のウェルのELISAフォーマット中で検定した。一つのβ-
アミロイド抗体は、培地試料中に存在するβ-アミロイドに対する捕獲試薬とし
て役立てられる。β-アミロイド蛋白質上の異なるエピトープを認識する第二の
β-アミロイド特異的抗体は、デテクター複合体成分として
役立てられる。第二のβ-アミロイド抗体はストレプトアビジンで検出できるビ
オチンとコンジュゲート化される。西洋山葵パーオキシダーゼに結合される第三
の抗体は、β-アミロイド:抗体:ストレプトアビジン複合体を検出する為に使
用される。o-フェニレンジアミン基質+H2O2及びクエン酸塩ホスフェートpH5
は、0D490nmに於て混合物中の比色変化を読むことによって定量される。典型的
には、標準の合成β-アミロイド1-40蛋白質に加えて、96個ウェルのプレート中
で各培地試料の一連の三倍希釈物を造る。正の結果は、反応性即ちOD490nmに於
ける吸収がすこししか又は全く得られないものが、試験された化合物による抑制
の結果、培地試料中にβ-アミロイド蛋白質が存在しないことを示すことである
。部分的に活性な抑制剤は、OD490nmで未処理細胞からの対照培地試料と同等の
吸収を示さないが、幾らか吸収は示す。厳密な定量化は、標準に対して試料の値
を比較することによって達成できる。
生体内検定
β-アミロイドプラークの蓄積を防止又は減少する本発明の化合物の活性は、
β-アミロイドプラーク蓄積のトランスジェニックマウスモデルに於て、そして
β-アミロイドプラークの形成に対し自然の遺伝的な素質を有する犬を用いる犬
モデルで実証出来る。アルツハイマー病と関連する細胞病理学的性質を示し、神
経細胞中の人
β-APP(751)又はβ-APP(770)を過剰発現するトランスジェニックマウ
スが、例えばPCT/US91/04447に記載されている。そのような動物モデル中で記憶
の喪失等のβ-アミロイド蓄積と関連する細胞病理及び/又は症侯群を減少する
ことは、アルツハイマー病等のβ-アミロイドプラーク形成及びダウンズ症侯群
と関連する記憶の喪失から生じる治療的な症状を処置する化合物の能力を実証す
るのに使用することが出来る。
トランスジェニックマウス中の細胞病理学は、動物の年令の増加と共により頻
繁になるので、2ケ月の年令のマウスが望ましい。2ケ月の動物は、抑制薬が無
い場合の時間と共に増加する病気が、最少である。実験中で全ての動物は単一の
純粋な系統のペディグリーからのものであった。マウスの一つの群(n=12)は、
賦形剤のみを受ける。第二の群(n=12)は低投与量の薬剤を受ける。第三の群(
n=12)は中程度の投与を受け、第四の群(n=12)は高投与量を受ける。体重、化
合物の半減期等を考慮に入れて、上の検定から適量を決定する。理想的には、マ
ウスは数ケ月間処理される。化合物を投与する方法は、注射、経口、徐放性のイ
ンプラント等、化合物プロフィールによって支配される。治療の評価は実験処置
を知らされない研究者によって脳の冠状中心線区域中のβ-アミロイド免疫反応
性蓄積物の頻度を測定する免疫-組織化学を用いてなされる。病理学上の別のマ
ーカーである
Alz50免疫反応性は、試験中で全てのマウスからの脳の組織セクションの同じ数
を使用して発生の頻度について記録される。薬剤作用の正の結果は、両方の病理
学的マーカーが存在しないか、又は頻度が減少することである。β-アミロイド
トランスジェニックマウスに独特の生理学的及び/又は挙動的な相関も、薬剤作
用を実証するのに使用出来る。
幾つかの犬の種族は、β-アミロイド蓄積を有することが報告されている(ギ
アコンネ等、Neuroscience Letters 114巻、178〜183頁(1990))。年老いた人
でない霊長類は、β-アミロイド病理学を示し、記憶が損なわれることを示す(
コルク等、American Journal of Pathology 137巻,1383-1392(1990);ポドリ
スニ等、American Journal of Pathorogy 138巻,1423-1425頁(1991))。犬及
び人でない霊長類での試験は、幾らか異なる実験計画に従われる可能性が最も高
く、薬剤の適用時間がより長い。
実施例4
DAT患者に於ける認識及び非認識の挙動的機能不全についての本発明の化合
物を使用する処置の有効性の試験をする為に、ADAS(アルツハイマー病の評
価スケール)を参照により本明細書に取込まれるダブリュ.ジー.ローゼン等、
Am.J.Psychiatry 141: 1356〜1364(1984)の方法に従って使用できる。認識
の機能は17の項目
について評価できる。これらには記憶の機能、言語機能、及び思考過程の実施任
務、及び構築の実施が含まれる。非認識挙動は23の項目について等級付けを受け
、これらには気分の状態(抑欝、不安)、無意欲症状、社交の技術、協力、毎日
の生活の活動に対する率先性、精神病的な症状、運動の活動、扇動、集中と夜の
錯乱が含まれる。
実施例5
この実施例は、本発明の化合物との組合せ療法に有用な、そして単独で使用さ
れる他の試薬を決定するのに有用な手順を記載している。材料と方法
化学物質類: 通常の実験化学薬品は、ベーカーケミカル(オランドのデベン
ター)、又はメルク社(ドイツ国ダルムシュタット)から得られた。L-カルニチ
ン、L-アセチルカルニチン、N-アセチル-L-グルタメート、及びアミノ酸L-オル
ニチン、L-アルギニン、及びL-シトルリンは、シグマケミカルカンパニー(ミズ
リー州セントルイス)から得られた。5-フルオロメチルオルニチン・2H2O(5-F
MOrn)は本発明の化合物である。[(+)-5-メチル-10,11-ジヒドロ-5H-ジベン
ゾ[a,d]シクロヘプテン-5,10-イミン]は、バイオブロックサイエンティフ
ィック社(フランスのイルキルヒ)からのものであった。(R)-4-オキソ-5-ホ
スホノ-ノルバリン(ホイッテン等、J.Med.Chem.(1990)11: 2961-2963はマ
リオンメレルダウ
インコーポレイテッドの製品である。
実験動物: 雌のCD1マウス(フランスのセントアウビン-レス-エルベウフSt
.Aubin-les-Elbeufのチャールスリバー)を標準化された条件下で(水及び標準
の齧歯類食物を自由に与え、22℃60℃の相対湿度、12時間明るく12時間暗いサイ
クル)10匹の群に保った。薬剤レギメン及び酢酸アンモニウム中毒
: マウスは、通常は13又は15mmol・kg- 1
酢酸アンモニウム(1.00g、それぞれ10mlの水中1.15g、体重10gあたり0.1ml)
の腹腔内注射16時間前に5-フルオロメチルオルニチンの腹腔内投与によって予備
処理される。アミノ酸及び他の化合物を酢酸アンモニアで中毒させる前通常1時
間に於て、アミノ酸と他の化合物類を皮下投与(s.c.)で与えた(これらと異な
る処置は表の解説部分で述べられる)。
酢酸アンモニウムで中毒させた後、間代性の発作の様子、正向反射の消失、昏
睡、及び強直(緊張)性の後足ののびが記録される。生存動物は中毒2時間後に
正常な挙動を示す。組織調製
: マウスの断頭を行ない、脳を迅速に(10秒未満)単離し、液体窒素
中で凍結させ、分析まで-80℃で貯蔵した。アンモニア、グルタミン及びグルタ
メートの測定の為に凍結した脳を10容量の氷冷0.2M過塩素酸中でホモジナイズし
た。2℃で1時間後、ホモゲネートを遠心分離し、上澄み液をその日のうちに検
定手順に供し、
グルタメートの加水分解、又はアンモニアの他の加水分解放出可能形態を最少に
するようにした。アミノ酸とアンモニア
: グルタミン及び過塩素酸のグルタメートアリコートの
測定の為、前に出版された逆相HPLC法(セイラー及びクノーゲン1985)のイソク
ラティック溶離を使用することにより脳の抽出物を分離した。アンモニア測定の
為には、アンモニア選択的電極(米国ケンブリッジのオリオンリサーチインコー
ポレイテッド製)を使用した。塩化アンモニウムの標準溶液を試料の各々のシリ
ーズの為の目盛決め曲線を確立するために作った(詳細については、セイラー等
、1992年を参照)。
10匹のCD1マウス群(雌22±3g体重)は5μmol・kg-1の5FMOrn(腹腔内投与)又
は生理的食塩水を受ける。15時間後3%NaHCO3に溶解の上記薬物を皮下投与し更
に1時間後13mmol・kg-1の酢酸アンモニウム(水中)を腹腔内投与した。
アスタリスク(*)は単一の薬剤と、組合せ処置との間に、統計的に有為差(
p≦0.05)があることを示している(ノンパラメトリック統計(シーゲル,1956
))。
各群は10匹の雌CD1マウス(20±2g体重)からなる。15mmol・kg-1酢酸アンモニウ
ム投与(腹腔内)16時間前の0.1mmol・kg-1(腹腔内投与)5FMOrnでの予備処理。
アミノ酸及び関連化合物は酢酸アンモニウム前1時間に皮下投与された。
アスタリスク(*)は単一薬剤での処置群と、5FMOrnとの組合せ処置群との間
の統計的有為差(p=0.05)を示す;ノンパラメトリック統計(シーゲル,1956
)。
酢酸アンモニウム、5FMOrn及びオルニチン、アルギニン及びシトルリンは、水
中に溶解された。カルニチン、アセチルカルニチン及びN-アセチルクルタメート
は2%NaHCO3中に溶解された(10g体重あたり0.1ml)。
薬理学的末端用途の為には、式Iの化合物はそれらの製薬上受入れられる酸付
加塩の形態で優先的に投与される。勿論化合物の有効適量は用いられる各化合物
の個々の効力、処置される病気のひどさと性質、及び処置される特定の対象に従
って変化する。一般に、効果的な結果は、一日体重キログラムあたり全身的に投
与される式Iの化合物の約0.01mg〜約20mgの適量で化合物を投与することによっ
て達成できる。治療はより低い適量で開始されるべきである。その後、投与物は
、固体投与形、例えばカプセル、錠剤又は散剤、又は液体投与形、例えば溶液又
は懸濁液で、経口投与できる。化合物を滅菌溶液又は懸濁液の形態で非経口的に
注射することも出来る。組
合せ療法の為には、式Iの化合物の投与と同時又は連続的に投与される治療剤が
、好ましくは一日体重キログラムあたり約0.1mg〜約100mgの適量で投与される。
本発明の方法を実施するにあたり、式Iの化合物及び/又は組合せ療法の治療
剤は、好ましくは本発明の化合物又はその製薬上受入れられる塩約5〜約90重量
%と製薬上の担体を含む組成物中に入れられるのが好ましい。「製薬上の担体」
という用語は、使用条件下で実質的に無毒で非刺激性であり、動物への内部投与
のために製薬活性化合物を処方するのに有用である製薬上の賦形剤の既知のもの
を指している。組成物は錠剤、カプセル、エリキシル、シロップ、エマルジョン
、懸濁液、水和剤及び発泡粉末の製造のための知られた技術によって造ることが
出来、所望の組成物の特定の種類の製造に有用なことが知られている適当な賦形
剤を含有できる。
好ましい投与経路は経口投与である。経口投与には、活性化合物をカプセル剤
、丸薬、錠剤、トローチ剤、ロセンジ剤、溶融剤、散剤、溶液、懸濁液、又は乳
濁液のような固体や液体の製剤に処方できる。固体単位適量形式は、通常の硬殻
又は軟殻ゼラチン型のものであって、例えば表面活性剤、潤滑剤、及び乳糖、庶
糖、燐酸カルシウム、及びトウモロコシ澱粉のような不活性充填剤を含有してい
るカプセル剤でありうる。別の態様では、本発明化合物類を、乳糖、庶糖、及び
トウモロコシ澱粉の
ような慣用の錠剤基剤で、アラビアゴム、トウモロコシ澱粉、又はゼラチンのよ
うな結合剤;投与後の錠剤の崩壊と溶解を助けるための崩壊剤、例えばバレイシ
ョ澱粉、アルギン酸、トウモロコシ澱粉、及びグアーゴム;錠剤造粒の流れを改
良し、錠剤ダイス及びパンチ表面への錠剤材料の接着を予防するための潤滑剤、
例えば滑石、ステアリン酸、又はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カル
シウム又はステアリン酸亜鉛;錠剤の美観を増強し、患者に受け入れやすくする
ための染料、着色剤及び風味料と組み合わせて、錠剤化できる。経口液体適量形
式の使用に適した付形剤は、水とアルコール、例えばエタノール、ベンジルアル
コール、及びポリエチレンアルコールのような増量剤を包含し、また製薬上受け
入れられる表面活性剤、懸濁剤、又は乳化剤を加えても加えなくてもよい。
本発明の活性化合物は、製薬担体を伴った生理学的に受け入れられる増量剤中
のその化合物の注射適量として非経口的に、すなわち皮下、静脈内、筋肉内、又
は腹腔内に投与できる。その製薬担体は、減菌液体又は液体混合物であって、例
えば水、食塩水、水性デキストロース及び関連糖溶液;エタノール、イソプロパ
ノール、又はヘキサデシルアルコールのようなアルコール;プロピレングリコー
ルやポリエチレングリコールのようなグリコール類;2,2-ジメチル-1,3-ジオ
キソラン-4-メタノール
のようなグリセロールケタール;ポリエチレングリコール400のようなエーテル
類;油、脂肪酸、脂肪酸エステル又はグリセリド;又はアセチル化脂肪酸グリセ
リドであり、また石鹸や洗剤のような製薬上受け入れられる表面活性剤;ベクチ
ン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又
はカルボキシメチルセルロースのような懸濁剤;又は乳化剤その他の製薬上受け
入れられる助剤を加えたもの又は加えないものでありうる。本発明の非経口処方
剤に使用できる油類の例は、石油、動植物、又は合成起源のもの、例えば落花生
油、大豆油、ごま油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ベトロラタム、及
び鉱油である。適当な脂肪酸は、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリ
ン酸を含む。適当な脂肪酸エステルは、例えばオレイン酸エチルとミリスチン酸
イソプロピルである。適当な石鹸類は脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム及びト
リエタノールアミン塩類であり、適当な洗剤は陽イオン洗剤、例えばジメチルジ
アルキルアシモニウムハライド類、アルキルピリジニウムハライド類;陰イオン
洗剤、例えばアルキル、アリール、及びオレフィンスルホネート類、アルキル、
オレフィン、エーテル、及びモノグリセリドサルフェート類、及びスルホサクシ
ネート類;非イオン性洗剤、例えば脂肪酸アミンオキシド、脂肪酸アルカノール
アミド、及びポリオキシエチレンポリプロピレン共重
合体類;及び両性洗剤、例えばアルキル-β-アミノプロピオネート類、及び2-ア
ルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩類、並びに混合物を含む。本発明の非
経口組成物類は、典型的には溶液中に式Iの化合物を約0.5ないし約25重量%を
含有する。防腐剤と緩衝剤も有利に使用できる。注射部位の刺激を最小限化ない
し排除するために、このような組成物類は約12ないし約17の親水/親油バランス
(HLB)をもつ非イオン性表面活性剤を含有できる。このような処方剤中の表面
活性剤量は、約5ないし約15重量%の範囲にある。表面活性剤は、上のHLBをもつ
単一成分でもよく、また所望のHLBをもつ二つ以上の成分の混合物でもよい。非
経口処方剤に使用される表面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エス
テルの部類、例えばソルビタンモノオレエートや、プロピレンオキシドとプロピ
レングリコールとの縮合で生成する疎水性基剤とエチレンオキシドとの高分子量
アダクトである。
また、本発明の化合物類は局所的に投与できる。これは、好ましくはエタノー
ルやジメチルスルホキシド(DMSO)のような経皮吸収を促進することが知られて
いる溶媒を使用して、またその他の付形剤を加えて、又は加えずに、単に投与化
合物の溶液を調製することによって達成できる。好ましくは、局所投与は貯液型
や多孔性膜型、又は固体基剤変形型のパッチを使用して達成されよう。
適当な幾つかの経皮デバイスは米国特許第3,742,951号、第3,797,494号、第3,
996,934号、及び第4,031,894号に記載されている。これらのデバイスは、一般に
片面を構成する裏張り材、他方の表面を構成する活性剤透過性の接着層、及び両
表面の間に挟まれた少なくとも一つの活性剤含有貯液層を含む。その代わりに、
透過性接着剤層全体に分布する複数のミクロカプセル中に活性剤を含有できる。
何れの場合も、活性剤は、貯液又はミクロカプセルから膜を通して、受容者の皮
膚や粘膜と接触している活性剤透過性接着剤層へ継続的に運ばれる。活性剤が皮
膚を通して吸収される場合、活性剤の制御された、所定の流れが受容者に投与さ
れる。ミクロカプセルの場合、カプセル封入剤も膜として機能しうる。
本発明に従って化合物類を経皮投与するためのもう一つのデバイスでは、製薬
上活性な化合物は基材中に含有され、そこから緩慢で、一定の制御された所望の
速度で送り出される。基材は拡散又はミクロ多孔性の流れによる化合物の放出に
対して透過性である。放出は、速度制御的である。膜を必要としない、このよう
な系は、米国特許第3,921,636号に記載されている。これらのシステムでは、少
なくとも二つの型の放出が可能である。基材が非多孔性の時に、拡散による放出
が起こる。製薬上有効な化合物は、基材自体の中に溶解し、拡散する。製薬上有
効な化合物が基材の多孔内の液相を通して運ばれる
時には、ミクロ多孔性の流れによる放出が起こる。
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TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,H
U,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,MG,MN
,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,
SD,SE,SK,UA,US,VN
(72)発明者 ドウセップ,ジーン−ベルナード
フランス国 エフ―68280 サンドホッフ
ェン ル ドウ アルプス,29
(72)発明者 ジャン,カリン,シー
フランス国 エフ―67000 ストラスブー
ル ボルバード クレマンソー,7