【発明の詳細な説明】
5-HT 1D選択性を有するトリプトアミン類似体
この発明は、5-HT受容体結合活性を有するトリプトアミン誘導体、並びにそ
れらの製造および使用に関する。発明の背景
神経細胞および他の細胞上に存在する受容体との相互作用を通して、5-ヒドロ
キシトリプトアミン(5-HT;セロトニン)は種々の生理学的効果を発揮する。
この相互作用における不均衡は、不安、抑鬱、幻覚、片頭痛、化学療法誘発悪心
のような状態、並びに、とりわけ性的活動性、心血管活性および温度調節の不調
の原因であると信じられている。5-HT受容体ポピュレーションの改善された理
解により、これらの効果に個々の型および亜型[sub-type]の5-HT受容体が選
択的に介在していることが明らかである。
例えば、片頭痛はエルゴタミン、ジヒドロエルゴタミンおよびメチセルギドを
用いて治療されており、これらは全て5-HT1型受容体に作用する。しかしなが
ら、それらの使用は、恐らくそれらが様々な他の型の5-HT受容体とも相互作用
するために、望ましからざる副作用に関連付けられる。サマトリプタン[sumatr
iptan]として知られる、ごく最近市販されているトリプトアミン類似体では、
改善された副作用プロフィールが観察される。このサマトリプタンは、5-HT
1Dとして知られる5-HT1受容体亜型に幾らか選択的に結合する(Glennon an
d Westkaemper,DN&P,1993,6(6):390を参照)。
5-HT 1D受容体の生理学的および臨床的な重要性は知られているので、例
えば、5-HT 1Dリガンドの投与が示唆されている片頭痛や他の適応症の治療
への医療用途、並びに、例えば、これらの受容体の同定および候補薬物のスクリ
ーニングへの調査および診断用途に、この受容体に強固にかつ選択的に結合しう
る化合物を提供することが好ましい。発明の要約
この発明は、式(I)のトリプトアミン類似体およびそれらの塩、溶媒和物ま
たは水和物を提供する:
ここで、
R1は、C8-11アルキル、C7-10アルコキシ、C8-11アルカノイルおよびC7-10
アルカノイルオキシから選択される鎖であって、この鎖がヒドロキシル、C1-4
アルキルまたはC1-4アルコキシで任意に置換され、かつこの鎖の中間の炭素の
1つが酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子で任意に置換されている
鎖を表わし;
R2およびR3は、各々独立にHまたはC1-3アルキルを表わし;かつ
R4は、H、C1-4アルキル、アリールまたはアリール
C1-4アルキルを表わす。
その側面の他のものにおいては、この発明は、式(I)の化合物の調製方法お
よびこの方法に有用な中間体の調製方法を提供する。
さらなる側面においては、この発明は、この発明の化合物を含有する、例えば
5-HT 1D受容体の同定、もしくはこの受容体のリガンドのスクリーニングに
おいて試薬として用いられるか、あるいは5-HT 1Dリガンドが示唆される状
態の治療に薬剤として用いられる組成物を提供する。
以下、添付の図1を参照して、この発明をより詳細に記述する。なお、図1は
、5-HT 1D受容体を示す細胞に対するこの発明の化合物の刺激効果を示すも
のである。発明の詳細な説明および好ましい態様
この発明は、比較的高い親和性および選択性で5-HT 1D受容体に結合する
トリプトアミン類似体を提供する。この望ましい特性の組合せを有する化合物は
、8ないし11原子の範囲の長さを有する、R1と称する基によって5-位が置換さ
れているトリプトアミン類似体である。
特に、式Iに関しては、基R1は直鎖C8-11アルキル、C8-11アルカノイル、5
-位にエーテル酸素が結合しているC7-10アルコキシ、および5-位にエステル酸
素が結合しているC7-10アルカノイルオキシから選択することができる。これら
の基は、適切には8-11、最も適切には8、9もしくは10原子の長さの鎖を有する
。
この発明の特定の態様においては、R1はC7-10アルコキ
シ、好ましくはC7-9アルコキシ、最も好ましくはC9アルコキシ(ノニルオキシ
)である。
R1を構成するアルキル、アルコキシ、アルカノイルまたはアルカノイルオキ
シ鎖は、ヒドロキシル;メチル、エチル、プロピル(n-およびi-)、ブチル(n-
、i-およびt-)のような、直鎖もしくは分岐C1-4アルキル;並びにメトキシ、
エトキシ、プロポキシ(n-およびi-)およびブトキシ(n-、i-およびt-)のよう
な、直鎖もしくは分岐C1-4アルコキシから選択される1以上の置換基、例えば
4個までの置換基、適切には1または2個の置換基で置換することができる。特
定の態様においては、R1は8-ヒドロキシオクチルオキシ基または7,7-ジメチル
オクチルオキシである。
R1を構成する基の炭素鎖中の炭素の1つに置換基が結合していてもよい。R1
置換基の選択においては、R1の全鎖長を8ないし11原子の範囲に維持すること
が、すなわちC7-10アルコキシおよびアルカノイルオキシ並びにC8-11アルキル
およびアルカノイルであることが望ましい。したがって、R1がアルコキシ置換
アルキル基を表わすのであれば、このアルキル基およびアルコキシ基は、全鎖長
が11を越えず、最も好ましくは7-10の範囲であるように選択されることが望まし
い。この発明の態様においては、R1のアルキル、アルコキシ、アルカノイルま
たはアルカノイルオキシ鎖は、C1-4アルキルまたはヒドロキシル基によって置
換されている。この発明の特定の態様においては、R1鎖は、1もしくは2のメ
チル基またはヒドロキシル基で置換されている。
R1を構成するアルキル、アルコキシ、アルカノイルまたはアルカノイルオキ
シ鎖は、鎖中の1以上の炭素原子を窒素、酸素または硫黄のようなヘテロ原子で
置換えることにより遮ることができる。R1の全鎖長は、8-11原子の範囲に維持
される。この発明の態様においては、R1のアルキル、アルコキシ、アルカノイ
ルまたはアルカノイルオキシ鎖は、炭素原子を酸素原子に置換えることにより遮
られている。特定の態様においては、R1は6-エチルオキシヘキシルオキシまた
は4-ブチルオキシブチルオキシ基を表わす。
R2およびR3は、独立に、HおよびC1-3アルキル、例えばメチルおよびエチ
ル、から選択される。この発明の態様においては、R2およびR3の少なくとも1
つはHである。この発明の好ましい態様においては、R2およびR3の両者がHで
ある。
R4は、独立に、H、C1-4アルキル、アリール、例えばフェニル、およびアリ
ールC1-4アルキル、例えばベンジルおよびフェネチル、から選択される。この
発明の特定の態様においては、R4はHである。
式(I)の特定の化合物には:
3-(2-アミノエチル)-5-ヘプチルオキシインドール
3-(2-アミノエチル)-5-オクチルオキシインドール
3-(2-アミノエチル)-5-ノニルオキシインドール
3-(2-アミノエチル)-5-デシルオキシインドール
3-(2-アミノエチル)-5-(7,7-ジメチルオクチルオキシ)インドール
3-(2-アミノエチル)-5-(4-ブチルオキシブチルオキシ)インドール
3-(2-アミノエチル)-5-(6-エチルオキシヘキシルオキシ)インドール
3-(2-アミノエチル)-5-(8-ヒドロキシオクチルオキシ)インドール
並びにそれらの(N-メチル-2-アミノエチル)−および(N,N-ジメチル-2-アミノ
エチル)‐類似体;
3-(2-アミノエチル)-5-オクタノイルインドール
3-(2-アミノエチル)-5-ノナノイルインドール
3-(2-アミノエチル)-5-デカノイルインドール
3-(2-アミノエチル)-5-ウンデカノイルインドール
並びにそれらの(N-メチル-2-アミノエチル)‐および(N,N-ジメチル-2-アミノ
エチル)‐類似体;および
3-(2-アミノエチル)-5-ヘプタノイルオキシインドール
3-(2-アミノエチル)-5-オクタノイルオキシインドール
3-(2-アミノエチル)-5-ノナノイルオキシインドール
3-(2-アミノエチル)-5-デカノイルオキシインドール
並びにそれらの(N-メチル-2-アミノエチル)‐および
(N,N-ジメチル-2-アミノエチル)‐類似体
が含まれる。
式(I)の化合物の酸付加塩には、無機酸、例えば塩酸、硫酸もしくはリン酸
、および有機酸、例えばコハク酸、マレ
イン酸、酢酸もしくはギ酸、とで形成されるものが含まれる。他の薬剤学的に許
容し得ない塩、例えばシュウ酸塩は、例えば、試薬用途での、あるいは引き続い
て薬剤学的に許容し得る酸付加塩に変換するための式(I)の化合物の単離に用
いることができる。この発明の溶媒和物および水和物もまた、この発明の範囲に
含まれる。
得られた化合物の塩から所望の化合物への変換は、標準技法を適用することに
より達成される。この標準技法においては、得られた塩の水溶液を塩基、例えば
炭酸ナトリウムもしくは水酸化カリウム、の溶液で処理して遊離塩基を放出させ
、次いでこの遊離塩基をエーテルのような適切な溶媒中に抽出する。次に、この
遊離塩基を水性部分から分離し、乾燥させ、必要な酸で処理して所望の塩を得る
。
式(I)の特定の化合物、例えばR1が置換されているC8-11アルキル、C7-1 0
アルコキシ、C8-11アルカノイルまたはC7-10アルカノイルオキシであるもの
、が対称中心を含み得ることは認識されるであろう。このような化合物は、2つ
(もしくはそれ以上)の光学異性体(エナンチオマー)として存在する。純粋な
エナンチオマーおよびラセミ混合物(各エナンチオマーの50%)の両者は、この
2種の不均等な混合物と共に、この発明の範囲に含まれる。さらに、全ての可能
なジアステレオマー形態(純粋なエナンチオマーおよびそれらの混合物)がこの
発明の範囲内にある。
この発明の化合物は、当該分野において周知の方法に類似した方法により調製
することができる。したがって、この発
明は、さらなる側面において、式(I)の化合物またはそれらの塩、溶媒和物も
しくは水和物の調製方法であって、
(a)R1がC7-10アルコキシであり、R2およびR3がHである場合に、
適切な開裂剤で処理することにより構造(II)の中間体を脱保護する
ことを包含する方法を提供する:
ここで、R4は上に定義された通りであり、prは保護基を表わす。
好ましい態様において、Prはアセチルもしくはトリフルオロアセチルを表わし
、開裂剤はHClのような無機酸またはKOHのような塩基である。
保護された構造(II)それ自体は、
(i)構造(III)の中間体を得る工程と:
ここでR4およびprはまさに定義された通りであり;
次いで、
(ii)構造(III)の中間体を対応するアルキルハライドと反応させる工程と
、
により調製することができる。
構造(III)は、対応する5-ベンジルオキシ構造を脱ベンジル化することによ
り得ることができ、対応する5-ベンジルオキシ構造それ自体は、5-ベンジルオキ
シ構造をアミド化して保護基Prを組み込むことにより得られる。
R2およびR3の両者がアルキル基である生成物を生成するには、(i)構造(
IV)の中間体を得、
次いで、(ii)構造(IV)の中間体を、R1がアルコキシ基である場合には適切
なアルキルハライドと、R1がアルカノイルオキシ基である場合には適切なアル
カノイルハライドと反応させることにより合成を進めることができる。
直前に記載した合成経路の代わりとして、特にR2およびR3の両者がC1-4ア
ルキルである化合物を生成させるために、構造(V)の中間体を得、
ここでR1はアルキルもしくはアルコキシであり、R4は上に定義される通りであ
り、
次いで、対応するアミノエチルもしくは置換アミノエチルを生成させることによ
り式Iの化合物を調製することができる。この生成は、当該分野ではありふれた
標準法を用いて、すなわち中間体(V)をオキザリルクロライドと反応させ、続
いてNHR2R3と反応させてアミド化することにより達成することができる。得
られたグリオキシル酸アミドを水素化アルミニウムリチウムのような適切な還元
剤で還元することにより、所望の式(I)の化合物が得られる。
R2およびR3の両者がC1-4アルキルであり、R1がアルカノイルもしくはアル
カノイルオキシである化合物を生成させるには、5-ヒドロキシインドールから中
間体(VI)を調製する。この5-ヒドロキシインドールをO‐保護し、オキザリ
ルクロライドと反応させ、続いてNHR2R3と反応させてアミド化する。得られ
たグリオキシル酸アミドを、水素化アルミニウムリチウムのような適切な還元剤
と反応させることにより、中間体化合物(VI)が得られる。
中間体(VI)は、5-ヒドロキシを脱保護し、続いてアシルクロライドと反応さ
せることにより、R1がアルカノイルオキシであるN-置換3-アミノ‐エチル化合
物の生成に用いられる。あるいは、(VI)は対応するアルカノイルの生成に用い
られる。これは、無水トリフルオロ酢酸、続いて触媒、Pd(OAc)2、一酸
化炭素およびメタノールと反応させて5-メトキシカルボニル中間体を生成させる
ことにより行なわれる。この5-メトキシカルボニル中間体は、水およびメタノー
ル中においてLiOHで加水分解する際に対応する5-カルボキシ化合物に変換さ
れる。このカルボキシ中間体は、N-メチルメトキシアミンおよびカップリング剤
EDCIおよび触媒DMAP(ジメチルアミノピリジン)と反応させることによ
りワインレブ[Weinreb]アミドに変換される。次いで、このワインレブアミド
をグリニヤール試薬と反応させて、所望の、この発明のN-置換3-アミノエチル-5
-アルカノイル化合物を生成させる。下記スキームは、R2およびR3の1つもし
くは両者がC1-4アルキルで置換されている5-アルカノイル化合物の合成を示す
。
R4がH以外である生成物を生成させるために、i)ここに記述される方法に
より構造(VII)の化合物を得、
ここで、R1はアルコキシ、アルキル、アルカノイルもしくはアルカノイルオキ
シであり;ii)アミノエチル窒素を適切な保護基、例えばフタルイミドで保護し
て構造(VIII)の化合物を得、
iii)化合物(VIII)を所望のアルキル、アリールもしくはアリールアルキルハ
ライドと反応させ、次いでiv)適切な脱保護剤、例えば、保護基がフタルイミド
である場合にはヒドラジン、を用いて、アミノエチル基を脱保護することにより
合成を進めることができる。
R1がC8-11アルキルであり、R2、R3およびR4が水素である場合には、以下
の一般的な方法を利用することができる。この合成スキームは、5-位の置換基か
ら始まり、環化によるインドール環の形成、続く3-位の活性化、並びにそれに引
き続くアミノエチル基の付加に進む。合成は、商業上の源から、または合成によ
り、パラ位が所望のC8-11アルキル基で置換されているアニリンを得ることで始
まる。合成のこの工程で置換基を組み込むことにより、この置換基が続く反応条
件下で安定であるか、あるいは適当な保護基で保護されている限りにおいて、上
記アルキル基に様々な置換を導入し得ることは認識されるであろう。適切な置換
基には、ヒドロキシル、並びに全鎖長が8-11原子となるような炭素原子4個以下
の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルコキシ鎖が含まれる。さらに、上記C8-11
アルキル鎖は、ヘテロ原子が反応条件下で安定であるか、あるいは適切に保
護されている限りにおいて、1もしくはそれ以上の炭素が、窒素、酸素または硫
黄のようなへ前記ヘテロ原子で置換えられていてもよい。
パラ置換アニリンを、まず亜硝酸ナトリウムおよびHClと、次いで2-メチル
アセトアセテートおよびKOHと反応させることにより、5-アルキル置換2-アル
コキシカルボニルイ
ンドールが得られる。KOHのような適切な試薬を用いて2-アルコキシカルボニ
ル基を除去し、POCl3およびジメチルホルムアミド(DMF)で3-位を活性
化して5-置換3-ホルミルインドール化合物を得る。これを、ニトロメタンおよび
酢酸アンモニウムと反応させて5-置換3-(2-ニトロ)‐エテニルインドール化合
物に変換する。最後に、テトラヒドラフラン(THF)中において水素化アルミ
ニウムリチウム(LiAlH4)と反応させることにより、この発明の所望の3-
(2-アミノエチル)-5-アルキルインドール化合物が生成される。以下は、この
発明の5-アルキル化合物の合成を模式的に表わしたものである。
R1がC8-11アルカノイルであり、R2、R3およびR4が水素である場合には、
Strandtmann et al,J.Med.Chem.(1963)6:719に記載される一般的な手順を
用いることができる。
市販の、もしくは合成したC8-11アルカノイル置換ベンゼンジアゾニウム塩を
3-カルボニル-2-ピペリドンに結合させ、ヒドラゾンを得る。このヒドラゾンを
環化することにより6-アルカノイル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-オキソ‐β‐カル
ボリンを形成させ、これを塩基触媒加水分解によって、対応する3-(2-アミノエ
チル)-5-アルカノイル-2-カルボキシトリプトアミンに変換する。HClで還流
して脱カルボキシル化することにより、所望の3-(2-アミノエチル)-5-アルカ
ノイルインドールが得られる。アルカノイル‐ベンゼンジアゾニウム塩が、C1- 4
アルキルもしくはC1-4アルコキシのようなアルカノイル鎖上に置換基を有して
いてもよいことは認識されるであろう。適切な置換基は、結合、環化、加水分解
および脱カルボキシル化反応の条件下で安定なものである。さらに、このアルカ
ノイル鎖は、ヘテロ原子が反応条件下で安定であるか、もしくは当該分野ではあ
りふれている適切な保護基によって保護されている限りにおいて、1つもしくは
それ以上の炭素が窒素、酸素または硫黄のようなヘテロ原子で置換えられていて
もよい。以下は、この発明の5-アルカノイル化合物の合成を模式的に表わしてい
る:
試薬として用いるため、この発明の化合物は、戻して使用するための包装され
た形で保存することができる。この化合物、特に好ましくはノニルオキシ化合物
は、5-HT受容体ポピュレーション内での5-HT 1D受容体の同定に用いるこ
とができる。これは、選択された化合物の存在下もしくは非存在下において受容
体をインキュベートし、次いで得られた調製物を、3H-5-HTまたは3H-8-OH
-DPATのような放射標識5-HTリガンドとインキュベートすることにより達
成することができる。これにより、5-HT 1D受容体は、この発明の選択され
た化合物と共に予備インキュベートした際には標識されない受容体として現われ
る。この発明の好ましい態様においては、この手順は、5-HT 1Dβ受容体お
よび、リガンドとしての、化合物3-(2-アミノエチル)-5-ノニルオキシインド
ールを同定する目的で用いられる。
この発明の他の態様においては、化合物は標識された形態で提供される。これ
は、例えば、その構造内に3Hもしくは14Cを取り込むことにより、または125I
に結合させることにより標識された、放射標識された形態のようなものである。
このような放射標識された形態は、5-HT 1A受容体と5-HT 1D受容体と
の区別に直接用いることができる。さらに、この発明の化合物の放射標識された
形態は、試験リガンドがこの発明の放射標識化合物を置換える能力を測定するこ
とによって、より能力の高い5-HT 1Dリガンドのスクリーニングに用いるこ
とができる。
この発明の化合物のサマトリプタン様結合プロフィールは、
5-HT 1Dβリガンドの使用が示唆される様々な状態の治療、例えば、片頭痛
、群発性頭痛および門脈圧亢進[portal tension]、門脈血流の増加に特徴付け
られ、かつ典型的には肝硬変に関連付けられる状態、の治療に有用でありうる医
薬としてのそれらの有用性を示している。
医療において用いるためには、この発明の化合物は、通常、標準的な医薬組成
物の形態で投与される。したがって、この発明は、さらなる側面において、構造
(I)の化合物、またはそれらの薬剤学的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは水
和物、および薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物を提供する。
この発明の化合物は、都合のよい経路、例えば、経口、非経口、頬、舌下、鼻
腔、直腸または経皮投与により、それに応じて適した医薬組成物として投与され
る。
経口投与されたときに活性化される化合物およびそれらの薬剤学的に許容し得
る塩は、液体、例えばシロップ、懸濁液もしくはエマルジョン、錠剤、カプセル
およびロゼンジとして処方することができる。
液体製剤は、一般に、懸濁剤、保存剤、調香剤または着色剤を含む、適切な薬
剤学的液状担体、例えばエタノール、グリセリン、非水性溶媒、例えばポリエチ
レングリコール、オイル、または水中に、この化合物または薬剤学的に許容し得
る塩を含む懸濁液または溶液からなる。
錠剤の形態にある組成物は、固形製剤の調製に日常的に用いられるあらゆる適
切な薬剤学的な担体を用いて調製するこ
とができる。そのような担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、
乳糖、ショ糖およびセルロースが含まれる。
カプセルの形態にある組成物は、日常的なカプセル化手段を用いて調製するこ
とができる。例えば、活性成分を有するペレットは標準的な担体を用いて調製す
ることができ、その後ハードゼラチンカプセルに充填される;あるいは、あらゆ
る適切な薬剤学的担体、例えば水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩もしくはオイル
、を用いて分散液もしくは懸濁液を調製することができ、この分散液もしくは懸
濁液をソフトゼラチンカプセルに充填する。
典型的な非経口組成物は、無菌水性担体または経口投与する上で許容し得るオ
イル、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、アラ
キス油もしくはゴマ油中に、この化合物または薬剤学的に許容し得る塩を含む溶
液または懸濁液からなる。あるいは、この溶液を凍結乾燥し、投与直前に適切な
溶媒で戻してもよい。
鼻腔投与のための組成物は、エアロゾル、ドロップ、ジェルおよび粉末として
、都合よく処方することができる。エアロゾル製剤は、典型的には、生理学的に
許容し得る水性もしくは非水性溶媒中に活性物質を含む溶液または細かい懸濁液
[fine suspension]を包含し、通常、無菌形態の単一もしくは複数投与量が密
封容器内に収容されて提供される。これは、噴霧装置を用いて使用するためのカ
ートリッジまたはリフィルの形態をとることができる。あるいは、この密封容器
は、単一投与量鼻腔吸入器または、使用後廃棄することを意図した、秤量バルブ
を備えたエアロゾル分配器のような一体型分配装置であってもよい。投与形態が
エアロゾル分配器を包含する場合には、噴射剤が含まれることがあり、それは圧
縮空気のような圧縮ガス、またはフルオロクロロハイドロカーボンのような有機
噴射剤であってもよい。エアロゾル投与形態は、ポンプ噴霧器の形態をとること
もできる。
頬または舌下投与に適した組成物には、錠剤、ロゼンジ、および香錠が含まれ
、これらにおいては、活性成分は砂糖、アラビアゴム、トラガカント、もしくは
ゼラチン、およびグリセリンのような担体と共に処方される。
直腸投与のための組成物は、カカオバターのような従来の座剤基剤を含む座剤
の形態であることが好都合である。
この組成物は、錠剤、カプセルまたはアンプルのような単位投与形態にあるこ
とが好ましい。
経口投与のための各投与単位は、式(I)の化合物またはそれらの薬剤学的に
許容し得る塩を、遊離塩基として算出して1ないし250mg含むことが適切であ
る(並びに、非経口投与のための各投与単位には、01.ないし25mg含まれるこ
とが好ましい)。
この発明の薬剤学的に許容し得る化合物は、通常、式(I)の化合物またはそ
れらの薬剤学的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは水和物を、遊離塩基として計
算して、例えば、1mgないし500mg、好ましくは10mgないし400mg、例え
ば10mgないし250mgの経口投与量、あるいは0.1mgな
いし100mg、好ましくは0.1mgないし50mg、例えば1mgないし25mgの静
脈内、皮下もしくは筋肉内投与量で、1日当り1ないし4回投与する、(成人患
者用の)毎日投与計画に沿って投与される。この化合物は、連続治療の期間、例
えば1週間もしくはそれ以上、投与されることが適切である。例1
3-(2-アセトアミドエチル)-5-ヒドロキシインドール
標題の化合物は、この後例証される化合物の調製における中間体として用いら
れる。この中間体を生成させるために、10%HCl(30mL)中の遊離塩基とし
ての5-ベンジルオキシトリプトアミン(1.9g、7.13ミリモル)の懸濁液をNa
OAC(20g)で処理し、溶液体積を水で約80mLに調節した。この混合液を室
温で30分間撹拌した;氷片数個、次いで無水酢酸(20mL)を加え、この反応混
合液を1時間撹拌した。沈殿した物質を集め、水で洗浄し(2×20mL)、この
固体をCH2Cl2/MeOHから再結晶して、1.62g(74%)の標題化合物の5-
ベンジルオキシ類似体を、mp 133-134℃の白色固体として得た。
次いで、このベンジルオキシ類似体(2.2g)7.13ミリモル)の完全EtOH
(50mL)溶液を、パール水素化ボトル[Parr hydrogenation bottle]におい
てラネーニッケル(4.4g)で処理し、40p.s.i.で一晩水素化した。セライトパ
ッド[Celite pad]を通過させて濾過することにより触媒を除去し、濾液を減圧
下で濃縮してオイルを得た。このオイ
ルを、CH2Cl2/MeOH(90:10)の溶媒系を用いるカラムクロマトグラフ
ィーで精製して、標題の化合物1.48g(95.1%)をオイルとして得た。例2
3-(2-アミノエチル)-5-ヘプチルオキシインドール・ヘミオキザレート
10%HCl(30mL)中の遊離塩基としての5-ベンジルオキシトリプトアミン
(1.9g、7.13ミリモル)の懸濁液をNaOAC(20g)で処理し、溶液体積を
水で約80mLに調節した。この混合液を室温で30分間撹拌した;氷片数個、次い
で無水酢酸(20mL)を加え、この反応混合液を1時間撹拌した。沈殿した物質
を集め、水で洗浄し(2×20mL)、この固体をCH2Cl2/ヘキサンから再結
晶して、アセチル化誘導体を白色固体として得た。
このN-アセチル化合物(2.2g、7.13ミリモル)の完全EtOH(50mL)溶
液を、パール水素化ボトルにおいてラネーニッケル(4.4g)で処理し、40p.s.i
.で一晩水素化した。セライトパッドを通過させて濾過することにより触媒を除
去し、濾液を減圧下で濃縮してオイルを得た。このオイルを、CH2Cl2/Me
OH(90:10)の溶媒系を用いるカラムクロマトグラフィーで精製して、フェノ
ンをオイルとして得た。
2-ブタノン(40mL)中にこのフェノン(0.45g、 2.07ミリモル)、1-ブロ
モヘプタン(1.75g) 11.59ミリモル)、無水K2CO3(0.94g、6.83ミリモル
)、およびMeOH(7mL)を含む撹拌された混合液を、N2の存在下で還流
しながら一晩加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合液を濾過し、濾液を
減圧下で濃縮してオイルを得た。このオイルのCH2Cl2(50mL)溶液を、2
N NaOH(1×30mL)、続いて水(1×30mL)で連続的に洗浄した。有機
部分を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で溶媒を除去してオイルを得た。このオ
イルを、CH2Cl2/MeOH(90:10)の溶媒系を用いるカラムクロマトグラ
フィーで精製して、O‐アルキル化生成物をオイルとして得た。さらに精製する
ことなく、得られたオイルを2N HCl(10mL)中で還流しながら20時間加
熱した。反応混合液を室温まで冷却した後、2N NaOH(20mL)を添加し
、反応混合液をCH2Cl2で抽出した(2×30mL)。合わせた有機部分を水で
洗浄し(1×30mL)、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で溶媒を除去してオイル
を得た。得られたオイルを、CH2Cl2/MeOH(90:10)の溶媒系を用いる
カラムクロマトグラフィーで精製した。カラムからの画分を合わせ、減圧下で蒸
発させて、3-(2-アミノエチル)-5-ヘプチルオキシインドールをオイルとして
得た。無水Et2O(5mL)中のこのオイルを、コハク酸の飽和エーテル溶液に
添加した。得られた塩を濾過により集め、無水Et2Oで洗浄し(2×10mL)、
MeOH/Et2Oから再結晶して、mp 192-194℃、分析(C34H52N4O2・
C2H2O4・0.25H2O):C、H、Nである白色固体を得た。例3
3-(2-アミノエチル)-5-オクチルオキシインドールオキザレート
1-ブロモヘプタンの代わりに1-ブロモオクタンを用いることを除いて、例2に
記載される方法で、3-(2-アミノエチル)-5-オクチルオキシインドールオキザ
レート(白色固体、mp 136-139℃、分析(C18H28N2O))を生成した。同
様に、1-ブロモデカンから3-(2-アミノエチル)-5-デシルオキシインドールを
生成させた。例4
3-(2-アミノエチル)-5-ノニルオキシインドールオキザレート
例1において生成した中間体(0.45g、2.07ミリモル)を、撹拌しながら、1-
ブタノン(40mL)中に含まれる1-ブロモノナン(1.75g、11.59ミリモル)、
無水K2CO3(0.94g、6.83ミリモル)、およびMeOH(7mL)と混合し、
N2の存在下で一晩還流しながら加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合
液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮してオイルを得た。このオイルのCH2Cl2(
50mL)溶液を、2N NaOH(1×30mL)、続いて水(1×30mL)で連続
的に洗浄した。有機部分を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で溶媒を除去してオ
イルを得た。このオイルを、CH2Cl2/MeOH(90:10)の溶媒系を用いる
カラムクロマトグラフィーで精製して、O‐アルキル化生成物0.53gをオイルと
して得た。さらに精製することなく、得られたオイルを2N HCl(10mL)
中で還流しながら20時間加熱した。反応混合液を室温まで冷却した後、2N N
aOH(20mL)を添加し、反応混合液をCH2Cl2で抽出した(2×30mL)
。合わせた有機部分を水で洗浄し(1×30mL)、乾燥
させ(MgSO4)、減圧下で溶媒を除去してオイルを得た。得られたオイルを
、CH2Cl2/MeOH(90:10)の溶媒系を用いるカラムクロマトグラフィー
で精製した。カラムからの画分を合わせ、減圧下で蒸発させて、標題の化合物の
遊離塩基0.16g(31%)をオイルとして得た。無水Et2O(5mL)中のこのオ
イルを、コハク酸の飽和エーテル溶液に添加した。得られたコハク酸塩を濾過に
より集め、無水Et2Oで洗浄し(2×10mL)、MeOH/Et2Oから再結晶
して、標題化合物をmp 148-150℃、分析(C21H32N2O5):C、H、Nの
白色固体として得た。例5
3-(2-アミノエチル)-5-(8-ヒドロキシオクチルオキシ)‐インドール
塩酸塩
H2O(15mL)中に、セロトニン・クレアチニン・スルフェート一水和物(1
g、2.58ミリモル)、K2CO3(0.712g、5.16ミリモル)を含む撹拌混合液に
、ジ-tert-ブチル‐ジカルボネート(0.56g、2.58ミリモル)を添加した。得ら
れた混合液を室温で24時間撹拌した。この反応混合液をEtOACに抽出し(3
×16mL)、H2O(11mL)、5%HCl(11mL)および塩水[brine soluti
on](20mL)で洗浄した。有機部分を乾燥させ(MgSO4)、蒸発堅固させ
て、0.69g(96%)のN-t-BOC‐セロトニンを黄色/褐色の泡:mp 52-54
℃として得た。
アセトニトリル(9mL)中にN-t-BOC‐セロトニン(0.69g、2.50ミリモ
ル)、1-ブロモ-8-テトラヒドロピラニルオキシオクタン(0.73g、2.50ミリモ
ル)およびK2C
O3(0.66g、4.56ミリモル)を含む混合液を、撹拌しながら、N2の存在下で、
還流しながら24時間加熱した。室温まで冷却した後、濾過により固体を除去し、
減圧下で溶媒を除去してオイルを得た。このオイルを、EtOAc/ヘキサン(
1:3)を溶出液として用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
この生成物(0.82g、67%)を黄色オイルとして集め、ヘキサンと共にすり砕い
て、3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(8-テトラヒドロピラニルオキシオク
チルオキシ)インドール、黄色固体、mp 56-58℃を得た。
2mL EtOH中に、3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(8-テトラヒド
ロピラニルオキシオクチルオキシ)インドール(100mg、0.2ミリモル)および
ピリジニウムp-トルエンスルホネート(5.1mg、0.02ミリモル)を含む混合液
を55℃で5時間加熱した。減圧下で溶媒を除去し、EtOAc/ヘキサン(1:3
)の溶媒系を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して、70mg(80%)
の3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(8-ヒドロキシオクチルオキシ)インド
ールをオイルとして得た。
乾燥Et2O(2mL)中に3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(8-ヒドロキ
シオクチルオキシ)インドール(70mg、0.17ミリモル)を含む混合液に、3M
HCl(10mL)のエーテル溶液を添加した。この混合液を5時間撹拌した。
沈殿生成物を濾過し、Et2Oで洗浄した。この塩を完全EtOH/Et2Oから
再結晶し、30mg(51%)のHL
-110、mp 180-182℃、分析(C18H28N2O2・HCl):C、H、Nを得た。例6
3-(2-アミノエチル)-5-(7-メチルオクチルオキシ)‐インドール塩酸
塩
アセトニトリル(20mL)中に、N-t-BOC-セロトニン(276mg、1ミリモ
ル)、1-ブロモ-7-メチルオクタン(310mg、1.5ミリモル)およびK2CO3(2
07mg、1.5ミリモル)を含む混合液を、撹拌しながら、N2の存在下で、24時間
還流した。室温に冷却した後、濾過により固体を除去し、減圧下で蒸発させてオ
イルを得た。このオイルをカラムクロマトグラフィー(25%EtOCAc/ヘキ
サン)で精製して、2.93mg(73%)の3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(
7-メチルオクチルオキシ)インドールをオイルとして得た。
3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(7-メチルオクチルオキシ)インドール
(403mg、1ミリモル)のEtOAc(5mL)溶液に、3N HClを含むEt
OAc(15mL)中を添加した。この混合液を2時間撹拌した。沈殿生成物を濾
別し、EtOAcおよびEt2Oで洗浄して、332mg(70%)の3-(2-アミノエ
チル)-5-(7-メチルオクチルオキシ)インドール塩酸塩を得た。解析サンプル
は、MeOH/Et2Oから再結晶させた:mp 193-195℃(分解)。(C19H30
N2O・HCl):C、H、Nについて分析、算出。例7
3-(2-アミノエチル)-5-(7,7-ジメチルオクチル
オキシ)インドール塩酸塩
アセトニトリル(20mL)中に、N-t-BOC-セロトニン(276mg、1ミリモ
ル)、1-ブロモ-7,7-ジメチルオクタン(310mg、1.5ミリモル)およびK2CO3
(207mg、1.5ミリモル)を含む混合液を、撹拌しながら、N2の存在下で、24
時間還流した。室温まで冷却した後、固体を濾過により除去し、減圧下で溶媒を
蒸発させてオイルを得た。このオイルを、カラムクロマトグラフィー(25%Et
OAc/ヘキサン)で精製し、3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(7,7-ジメ
チルオクチルオキシ)インドールをオイルとして得た。
3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(7,7-ジメチルオクチルオキシ)インド
ール(403mg、1ミリモル)のEtOAc(5mL)溶液に、3N HClを含
むEtOAc(15mL)を添加した。この混合液を2時間撹拌した。沈殿生成物
を濾別し、EtOAcおよびEt2Oで洗浄して、(63%の)3-(2-アミノエチ
ル)-5-(7,7-ジメチルオクチルオキシ)インドール塩酸塩を得た。
解析サンプルは、MeOH/Et2Oから再結晶した:mp 173-175℃(C20H33
N2OCl・0.5H2O)について分析、算出。例8
3-(2-アミノエチル)-5-(6-エチルオキシヘキシルオキシ)‐インドー
ル塩酸塩
アセトニトリル(20mL)中にN-t-BOC‐セロトニン(276mg、1ミリモル
)、1-ブロモ-6-エチルオキシヘキ
サン(310mg、1.5ミリモル)およびK2CO3(207mg、1.5ミリモル)を含む
混合液を、攪拌しながら、N2の存在下で、24時間還流した。室温まで冷却した
後、濾過により固体を除去し、減圧下で溶媒を蒸発させてオイルを得た。このオ
イルをカラムクロマトグラフィー(25%EtOCAc/ヘキサン)で精製して3-
(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(6-エチルオキシヘキシルオキシ)‐インド
ールをオイルとして得た。
EtOAc(5mL)中に3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(6-エチルオ
キシヘキシルオキシ)‐インドール(403mg、1ミリモル)を含む溶液に、3N
HClを含むEtOAc(15mL)を添加した。この混合液を2時間攪拌した
。沈殿生成物を濾別し、EtOAcおよびEt2Oで洗浄して3-(2-アミノエチ
ル)-5-(6-エチルオキシヘキシルオキシ)‐インドール塩酸塩を得た。解析サ
ンプルは、MeOH/Et2Oから再結晶した:mp 179-181℃。(C18H29N2
O2Cl)について分析、算出。例9
3-(2-アミノエチル)-5-(4-ブチルオキシブチルオキシ)‐インドール
塩酸塩
アセトニトリル(20mL)中にN-t-BOC-セロトニン(276mg、1ミリモル
)、1-ブロモ-4-ブチルオキシブタン(310mg、1.5ミリモル)およびK2CO3
(207mg、1.5ミリモル)を含む混合液を、撹拌しながら、N2の存在下で、24
時間還流した。室温まで冷却した後、濾過により固体を除去し、減圧下で溶媒を
蒸発させてオイルを得た。この
オイルをカラムクロマトグラフィー(25%EtOCAc/ヘキサン)で精製して
3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(4-ブチルオキシブチルオキシ)‐インド
ールをオイルとして得た。
EtOAc(5mL)中に3-(N-t-BOC-2-アミノエチル)-5-(4-ブチルオ
キシブチルオキシ)‐インドール(403mg、1ミリモル)を含む溶液に、3N
HClを含むEtOAc(15mL)を添加した。この混合液を2時間攪拌した。
沈殿生成物を濾別し、EtOAcおよびEt2Oで洗浄して3-(2-アミノエチル
)-5-(4-ブチルオキシブチルオキシ)‐インドール塩酸塩を得た。解析サンプ
ルは、MeOH/Et2Oから再結晶した:mp 174-176℃。(C18H30N2O2
Cl・0.25H2O)について分析、算出。例10
アルカノイルハライドを適当に選択する以外は例2に記載される通りにして、
以下のエステル化合物を生成した。
(i)3-(2-アミノエチル)-5-ヘプタノイルオキシインドール、
ヘプタノイルクロライドから;
(ii)3-(2-アミノエチル)-5-オクタノイルオキシインドール、
オクタノイルクロライドから;
(iii)3-(2-アミノエチル)-5-ノナノイルオキシインドール、
ノナノイルクロライドから;
(iv)3-(2-アミノエチル)-5-デカノイルオキシインドール、
デカノイルクロライドから;例11
結合親和性および選択性の比較
5-HT 1Dβリガンドおよび5-HT 1Aリガンドに対して特異的に受容性
を有する細胞型を用いて、例2−10の化合物を評価した。このアッセイプロトコ
ルは、一般に、5-HT1A受容体を発現する細胞および5-HT1Dβ受容体を発
現する細胞から調製される膜を、それぞれ、3H-8-OH-DPATまたは3H-5H
Tと共にインキュベートすることを要していた。レベルの増加した試験化合物を
、放射性リガンドおよび組換え細胞から調製される膜ホモジネートと共にインキ
ュベートした。37℃で15分間インキュベートした後、減圧濾過によりインキュベ
ーションを終了させた。濾紙を緩衝液で洗浄し、液体シンチレーション分光を用
いて濾紙の放射活性をカウントした。5-HT 1Aまたは5-HT 1Dβ受容体
に対する試験化合物の親和性を、データのコンピュータ補助解析並びに受容体へ
の放射性リガンドの結合の50%を阻害するために必要な化合物の量を測定するこ
とにより決定した。10-11Mないし10-5Mの範囲の濃度の試験化合物(例2)を
評価した。比較のため、サマトリプトン、および試験化合物と構造的に関連する
他の化合物も評価した。R2、R3およびR4が各々Hである式Iの構造に関連し
て、結果を下記表1に示す。
表に示された結果から明らかなように、5-位鎖の伸長によって、5-HT 1D
β受容体に対する結合親和性および選択性のいずれか一方または両方が増強され
る。
5-HT 1Dβ受容体での例4のノニル化合物のアゴニスト活性を決定するた
めに、5-HT 1Dβが存在するCHO細胞の培養物を有する24ウェルプレート
に、この化合物を様々な濃度(10-12ないし10-6M)で適用した。このCHO細
胞は、酵素アデニレートサイクラーゼを非特異的に刺激する薬剤であるフォルス
コリン[forskolin]にさらしたものである。
様々な濃度の化合物にさらして10分後のウェル中のcAMPの減少を測定するこ
とにより、フォルスコリン刺激アデニレートサイクラーゼ活性の阻害における化
合物の能力を決定した。cAMPのレベルは、cAMPに特異的な抗体および放
射性ヨウ化cAMPを含むラジオイムノアッセイキットを用いて決定した。コン
ピュータ補助解析にかけられた阻害曲線データ(図1)から、フォルスコリン刺
激アデニレートサイクラーゼ活性の50%を阻害する化合物の量を決定した。比較
のために、10-65-HTの効果を同じ実験でアッセイした。アッセイの結果、ノニ
ル化合物は有能であり、5HT 1Dβ受容体で完全なアゴニストであることが
示された。
上記機能的アッセイを用いて、下記表に示すさらなる化合物の活性を同様にし
て決定した:
表1に示される参照化合物(R1=CH3(CH2)10O−)もまたこの機能的
アッセイで評価され、アゴニスト活性がより劣っていることが見出された(EC50
=3500nM)。このような活性の結果は、表1に示される結合データから予期
し得るものであり、さらに、最適な生物活性のために、5′-置換基は8ないし11
原子の範囲の鎖長を有するべきであるという発見を支持する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C
Z,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU,
LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ
,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 グレンノン、リチャード・エイ
アメリカ合衆国、バージニア州 23235、
リッチモンド、ジャンラー・ドライブ
349