【発明の詳細な説明】
オレフィンの製造
本発明はオレフィンの製造方法に関する。より詳細に述べると、本発明は、特
にアルカリ土類交換されたホージャサイト(faujasite)に基づく新規で改良さ
れた触媒の存在下にアルキル第三アルキルエーテルを分解することによって純粋
な第三オレフィンを製造する方法に関するものであるが、これに限定されるもの
ではない。さらに、この新規で改良された触媒は水蒸気で前処理することによっ
て、選択性が改善され、望ましくない副生成物の生成が減少する。
オレフィン、特に第三オレフィンは、例えば、石油供給物の水蒸気分解によっ
て得られた第三オレフィンを含む混合物からそのようなオレフィンを硫酸抽出す
ることによって商業的に製造することができる。この方法は高濃度の硫酸を使用
するため、抽出装置の製造において高価な材料の使用を必要とする。また、オレ
フィンの回収を促進するための酸の希釈と再循環の前の再濃縮が必要であり、費
用がかかる。さらに、濃硫酸による抽出中に第三オレフィンが、重合、水和など
のような副反応にさらされるため、この方法はつねに工業的に有利であるとはか
ぎらない。
また、酸触媒の存在下にそのような供給物から第三オレフィンを選択的に第一
アルコールと反応させて対応するアルキル第三アルキルエーテルを製造すること
によって、第三オレフィンを調製できることも知られている。第二オレフィンは
非常にゆっくりと反応し、第一オレフィンは完全に不活性であるため、第三アル
キルエーテルが主に形成される。そのようなアルキル第三アルキルエーテルはそ
の後簡単に分離でき、続いて分解して第三オレフィンと第一アルコールに戻すこ
とができる。
アルキル第三アルキルエーテルから第三オレフィンを製造するために、様々な
触媒を使用する方法が提案されている。例えば、シリカ又はその他のキャリヤー
上に担持されたアルミニウム化合物(米国特許第4,398,051号)、種々の担持体
上の燐酸(米国特許第4,320,232号)、及び>20m2/gの表面積のキャリヤー上
の弱い酸性成分を含む金属(英国特許第1,173,128号)である。さらに、
メチル第三ブチルエーテルの分解においてキャリヤーを単独で使用した場合(米
国特許第4,398,051号)及び第三アルキルエーテルアルカノールの分解において
H2SO4処理されたクレーを使用した場合(米国特許第4,254,290号)、劣った
結果が得られたと開示されている。
そのような方法の多くの欠点のうちの1つは、開示されている触媒は高温では
良好な触媒寿命を有しておらず、一方、アルキル第三アルキルエーテルの高い転
化率を維持するためには高温が必要であるが、その温度が次第に制限されること
である。さらに、触媒が老化するにつれてジアルキルエーテル副生成物の量が多
くなり、所望の第三オレフィンの収率が低下する。良好な触媒寿命を欠いている
のは、触媒が不安定であること、高温が良好な転化率のために必要でありこれが
汚れを促進すること、触媒そのものが汚れを促進することのいずれか又は全てに
よるものである。また、イオン交換樹脂のような多くの触媒が使用後に再生でき
ない。
より最近になって、第三オレフィン生成物の改善された収率を与える方法が発
見された。例えば、米国特許第4,691,073号には、アルキル第三アルキルエーテ
ルから第三オレフィンを製造する方法であって、クレーをHF及び/又はHCl
と反応させ、得られたクレー生成物を焼成することによって調製された触媒と前
記エーテルを接触させることを含む方法が開示されている。この方法は非常に高
い収率と第三オレフィン生成物の製造に対する高い選択性をもたらすが、これら
の触媒は比較的短い稼働時間でコークス及び/又はポリマーの蓄積の結果として
失活する傾向がしばしばある。また、多くのクレーのアルミノ珪酸塩構造は、触
媒の付着物の除去に必要な高温での再生の繰り返しに耐えられるほど十分に安定
ではない。
天然及び合成のホージャサイト触媒を使用してエーテル及びアルコールをオレ
フィン又は蒸留物範囲炭化水素(distillate range hydrocarbons)に転化又は
熱分解することは公知である。例えば、米国特許第4,467,133号(チャン(Chang
))には、メタノールを希土類交換ホージャサイト(例えば、ゼオライトX又は
Y)上に315℃(600°F)より低い温度で通すことによって、メタノールを蒸留
物範囲炭化水素混合物に転化することが開示されている。より詳細に述べると、
チャ
ンは、低級アルコール(C1〜C4アルコール)又は低級ジアルキルエーテルをデ
ィーゼル燃料としての使用に適する蒸留物範囲(C10 +)炭化水素に転化する方
法を開示している。この方法は、供給物流れを多数の開示されているアルミノ珪
酸塩触媒のうちの1つの上に通すことを含むが、そのアルカリ金属分は水素又は
第IB〜VIII族金属で交換されている。この開示の焦点は、好ましいゼオライト
としてのゼオライトY及び好ましい交換カチオンとしての希土類金属に置かれて
いる。第6欄の実施例1は、REYゼオライトを使用してメタノールをC10〜C29 +
オレフィンに転化することを示している。メタノールが少なくとも10個の炭
素原子を有するオレフィンに転化されることによって証明されるように、この方
法は供給物流れ中の成分の脱水素とオリゴマー化をもたらすことは、明らかであ
る。これは本発明の方法とは全く異なる。本発明においては、アルカリ土類金属
交換ホージャサイト、例えば、ゼオライトY、を触媒として使用し、これは(チ
ャンのように)蒸留物範囲炭化水素をあまり生成せず、むしろアルキルエーテル
を対応するオレフィンに選択的に転化する。
出願中の国際出願PCT/US93/05399の対応出願である米国特許第5,254,785号に
は、アルカリ土類交換ホージャサイトに基づく触媒を使用してアルキルエーテル
を対応するオレフィンに転化する方法における選択性の改善が教示されているが
、水蒸気には全く言及されていない。
この触媒を使用してオレフィンを製造する際に、触媒の選択性がさらに改善で
き、同時に望ましくない副生成物の形成を減少させることができれば望ましい。
触媒を前処理するために水蒸気を添加することによって、選択性のさらなる改善
と副生成物の形成の減少が達成される。
発明の要約
本発明によれば、アルキルエーテルを対応するオレフィンに選択的に転化する
方法であって、元のアルカリ金属分の少なくとも50重量%が少なくとも1種のア
ルカリ土類金属で交換されているホージャサイト触媒とエーテルを接触させるこ
とを含み、接触の前に触媒を水蒸気で前処理して触媒の選択性を改善し望ましく
ない副生成物の収量を減少させることを特徴とする方法が提供される。
アルキルエーテルは例えば少なくとも5個の炭素原子を有するものでよく、5
〜12個の炭素原子を有するものが好ましく、5〜8個の炭素原子を有するものが
より好ましい。この方法は、第三ブチルメチルエーテル又は第三アミルメチルエ
ーテルのような第三アルキルエーテルを対応するオレフィンに転化するのに特に
適するが、これらに限定されるものではない。
本発明によれば、1種のエーテル又は複数種のエーテルの混合物を対応するオ
レフィンに転化することができる。エーテルは、特定された触媒と接触する供給
物の1成分を構成することができる。従って、本発明は、少なくとも約5個の炭
素原子を有する少なくとも1種のジアルキルエーテルを主要割合で含む供給物流
れをクラッキング又は分解して対応するオレフィンを製造する方法も提供する。
本発明によれば、触媒は飽和するまで水蒸気で前処理される。典型的には、蒸
気処理(steaming)は、100〜400℃(212〜752°F)、好ましくは100〜232℃(
212〜450°F)、最も好ましくは121〜177℃(250〜350°F)の温度、0.1〜15h
r-1WHSV)好ましくはO.3〜5hr-1WHSV、最も好ましくはO.5〜3hr-1W
HSVの空間速度、及び大気圧から4140kPag(600psig)、好ましくは大気圧か
ら1720kPag(250psig)、最も好ましくは103〜1030kPag(15〜150psig)の圧力
で行われる。
転化、クラッキング、又は分解は蒸気相で行うのが好ましい。エーテルと触媒
の接触に対して好ましい温度は51〜315℃(125〜600°F)の範囲内である。
本発明の方法は、一般に、高い収率及び出発エーテルに対応するオレフィンの
製造に対する高い選択性と組み合わされたより長い触媒寿命という利点を提供す
る。さらに、メチル第二ブチルエーテル、ジメチルエーテル、及びイソブタンの
ような望ましくない副生成物の製造が少なくとも20%、好ましくは少なくとも30
%、そして最も好ましくは少なくとも40%減少する。エーテルと触媒の接触は、
一般に、エーテルの大部分を対応するオレフィンに転化するのに十分な温度と圧
力の条件下に行われる。60重量%を越えるエーテルのオレフィンへの転化率を得
ることができ、90重量%を越える転化率が好ましい。
図面の簡単な説明
第1図は、水蒸気による前処理をともなうCaY触媒(本発明)とともなわな
いCaY触媒(比較例)の有効活性のグラフである。
第2図は、CaY触媒を使用して水蒸気による前処理を行った場合と行わなか
った場合の対応するメチル第二ブチルエーテルへの転化率(%)のグラフである
。
第3図は、CaY触媒を使用して水蒸気による前処理を行った場合と行わなか
った場合の対応するジメチルエーテルへの転化率(モル%)のグラフである。
第4図は、CaY触媒を使用して水蒸気による前処理を行った場合と行わなか
った場合の対応するイソブタン濃度(重量ppm)のグラフである。
第5図は、水蒸気による前処理を行った場合と行わなかった場合の比較例のZ
SM5触媒の有効活性のグラフである。
第6図は、比較例のZSM5触媒を使用して水蒸気による前処理を行った場合
と行わなかった場合の対応するメチル第二ブチルエーテルへの転化率(%)のグ
ラフである。
第7図は、比較例のZSM5触媒を使用して水蒸気による前処理を行った場合
と行わなかった場合の対応するジメチルエーテルへの転化率(モル%)のグラフ
である。
第8図は、比較例のZSM5触媒を使用して水蒸気による前処理を行った場合
と行わなかった場合の対応するイソブタン濃度(重量ppm)のグラフである。
発明の詳細な説明
本発明の方法において使用できる触媒は、天然又は合成のホージャサイト、例
えば、ゼオライトYに基づく。これは本技術分野においてよく知られているアル
カリ金属含有結晶性アルミノ珪酸塩であり、米国特許第3,130,007号に記載され
ている。好ましいホージャサイトは、3対1乃至6対1の範囲内のシリカ対アル
ミナモル比及び/又は約6オングストロームより大きい細孔寸法を有する。
このゼオライト物質は、ゼオライト中にもともと存在するアルカリ金属、例え
ばナトリウムを、1種のアルカリ土類金属又は複数種のアルカリ土類金属の混合
物で、アルカリ金属の少なくとも50重量%がアルカリ土類金属で置換されるよう
にベース交換(base exchanging)することによって、エーテルの分解(転化)
反応用に活性化できる。元のアルカリ金属イオンのできるだけ多く、例えば、少
なくとも75重量%が交換されるように交換を行うのが好ましく、少なくとも85重
量%が交換されるのがより好ましい。ゼオライトの元のアルカリ金属分が約1重
量%未満の水準まで減少し、交換の程度が約90%以上であるような交換が最も好
ましい。適するアルカリ土類交換金属はカルシウム、バリウム、及びストロンチ
ウムであり、カルシウムが最も好ましい。
ベース交換は、例えば、ゼオライト(好ましくは予め焼成されているもの)を
溶解されたアルカリ土類金属塩を含む水溶液と1回以上、好ましくは環境温度か
ら約85℃(185°F)までの温度で、接触させることによって行うことができる
。塩が水中で可溶性であってイオンの移動が起こり得る限りは、塩化物、臭化物
、炭酸塩、硫酸塩、又は硝酸塩のような広い範囲の様々な塩を使用することがで
きる。塩化カルシウムが好ましい塩である。溶液中の塩の濃度は例えば約0.1乃
至約25重量%の範囲内である。濃度は、理論量よりもわずかに過剰な量の交換カ
チオンを与えるのに十分であるのが好ましい。
例えば約60分から約24時間の範囲内でよい交換接触期間の後、交換されたゼオ
ライトを交換溶液から分離し、洗浄し、乾燥する。この交換は、アルカリ金属イ
オンの最大数をアルカリ土類金属イオンで交換するために必要であれば、1回以
上繰り返すことができる。
いわゆる初期湿り法(incipent wetness method)のようなその他の交換方法
も使用することができる。この方法では、ゼオライトに交換溶液を注入してペー
ストを形成し、その後これを乾燥する。
触媒は追加のバインダーを使用しない方法において使用することができ、或い
はバインダー又はアルミナ、シリカ、クレー、又はアルミナ/シリカ混合物のよ
うなキャリヤー物質と配合することができる。結合された触媒は、粉末化された
触媒を水及び好ましくは5〜40重量%のバインダーと混合してペーストを形成し
、そしてペーストを押し出し乾燥して小さいペレットを形成することによって調
製できる。結合された触媒はその後、343〜593℃(650〜1100°F)で好ましく
は約10分から例えば24時間までの期間焼成することによって、さらに活性化する
のが好ましい。イオン交換プロセスはそのような結合されたゼオライトの調製前
又は調製後に行うことができるが、調製後に行うのが好ましい。
本発明の方法においてこの特定の触媒を使用してクラッキング(転化)される
エーテルは、5〜12個の炭素原子を含むのが好ましく、5〜9個の炭素原子を含
むのがより好ましく、5〜8個の炭素原子を含むのが最も好ましい。好ましいエ
ーテルには、第三ブチルメチルエーテル及び第三ブチルエチルエーテル、及びメ
チル及びエチルエーテルを含む第三アミルの対応物のような第三アルキルエーテ
ルが含まれる。この方法の商業的適用において一般に使用できる供給物流れは少
なくとも70重量%から100重量%までのエーテル、例えば第三アルキルエーテル
、を含むのが好ましい。(存在する場合)供給物流れの残りの部分は、例えば、
飽和及び不飽和炭化水素の混合物及びメタノール又は第三アルキルアルコールの
ようなアルコールを主に含むことができる。
分解(転化)反応は、アルカリ土類交換触媒の床の1つ以上が充填されている
適当な反応器中で行うことができる。
供給物の導入の前に、水蒸気を反応器に100〜400℃(212〜752゜F)、好まし
くは100〜232℃(212〜450゜F)、最も好ましくは121〜177℃(250〜350゜F)
の温度、0.1〜15hr-1WHSV、好ましくは0.3〜5hr-1WHSV、最も好ましく
は0.5〜3hr-1WHSVの空間速度、及び大気圧から4140kPag(600psig)、好ま
しくは大気圧から1720kPag(250psig)、最も好ましくは103〜1030kPag(15〜15
0psig)の圧力で供給する。この流れは、反応器の出口で凝縮物が見られるまで
維持する。この時点で触媒が飽和され、蒸気処理を止める。同じ蒸気処理方法を
、非常に良好な触媒活性を有するが選択性の悪いその他のゼオライトにも適用す
ることができる。
その後、エーテルを通常の運転条件で反応器に供給する。この方法用の反応器
運転温度は一般に比較的低く、51〜315℃(125〜600゜F)の範囲が好ましく、1
15〜260℃(240〜500゜F)がより好ましく、137〜193℃(280〜380゜F)が最
も好ましい。運転圧力は例えば大気圧から約1.72MPag(250psig)の範囲内でよ
く、344〜862kPag(50〜125psig)が好ましい。所望の運転温度を反応器中で維
持又は調節できるように、反応器に適当な温度制御装置を設けることができる。
連続プロセスにおいては、0.5〜100WHSVの範囲内の触媒単位重量単位時間
当たりの有機供給物の重量で表される空間速度で反応を行うのが好ましく、1
〜20WHSVがより好ましい。
この方法は、第三アミルメチルエーテルを含む留分を2−メチル−2−ブテン
又は2−メチル−1−ブテンのような対応するイソペンテンオレフィンに転化す
るのに特に適しており、またメチル第三ブチルエーテルを含む留分をイソブチレ
ンに転化するのに特に適している。この方法の特別な利点は、分解(転化)生成
物が、イソブタン又はイソペンタンのようなそれらの対応オレフィンから分離す
るのが非常に難しい対応するアルカン副生成物を非常に低い含有率でしか含んで
いないということである。
触媒は水蒸気による前処理をせずに使用することができるが、この前処理工程
によって選択性が改善され、副生成物の収量が減少する。水蒸気前処理を使用す
ることによって、副生成物の収量は少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%
、最も好ましくは少なくとも40%減少する。例えば、第三ブチルメチルエーテル
のイソブチレンへの転化反応における副生成物には、メチル第二ブチルエーテル
、ジメチルエーテル、及びイソブタンが含まれる。
以下の実施例によって本発明を説明する。実施例1−水蒸気前処理前のCaY触媒の調製
カルシウム交換ゼオライトYを以下のようにして調製した。20重量%のアルミ
ナをバインダーとして含むゼオライトY(LZY−52、UOPから入手可能)
のペレットの108.3gを45.72cm(18インチ)のガラス製カラムに充填した。その
後、カラムに65.5℃(150゜F)の温度の超高純度水(pH6.7)の100mlを流した
。
3500mlの超高純度水中217gの塩化カルシウムの溶液を調製し、この溶液を65.
5℃(150゜F)の温度で1分間当たり2mlの速度で充填されたゼオライトの床に
通した。充填されたゼオライトをその後追加の純水で、ネガティブ硝酸銀テスト
(negative silver nitrate test)の結果が流出液中に塩素イオンが本質的に含
まれていないことを示すようになるまで、洗浄した。その後、交換されたゼオラ
イトを真空下環境温度で一晩乾燥させ、その後真空下100℃(212゜F)で8時間
乾燥した。
分析によって、ゼオライト中にもともと存在したナトリウムイオンの約90重量
%がカルシウムイオンによって交換されたことが示された。実施例2−蒸気処理をしない比較例のCaY触媒の性能
実施例1の交換されたゼオライトを粉砕し20〜40メッシュにふるい分けし、縦
30.48cm横0.635cm(縦12インチ横0.25インチ)のステンレス鋼反応器カラムに充
填し、これを供給ラインに接続した。反応器を高温の空気が循環するオーブンに
入れ、流出液回収器ラインにも接続した。
95+%の第三ブチルメチルエーテルを含む供給物流れを予熱し、約174.9℃(34
5゜F)に維持された一定温度、620.5kPag(90psig)の圧力、及び約3〜5の範
囲内のWHSVで反応器の入り口に送った。反応器の排出液から取り出した反応
生成物は、95%を越える第三ブチルメチルエーテルからイソブチレンへの初期転
化率を示した。イソブチレンへの転化率の%が90%より下がるまで、圧力と温度
の一定条件下にプロセスを続けた。実施例3−蒸気処理をした本発明のCaY触媒の性能
供給物流れの導入の前に触媒を蒸気処理したことを除いて、上述の条件下に実
施例2を繰り返した。触媒は、WHSV=2、174℃(345゜F)、及び大気圧で
飽和するまで蒸気処理した。実施例2及び3−比較
結果が第1〜4図中に示されており、これらの図は蒸気処理を行った場合と行
わなかった場合の触媒性能の効果を示す。比較の目的のために、変化する条件下
に触媒の各充填物の相対性能を図示するように値を展開した。値は、米国特許第
4,691,073号に開示されている、新しい通常の弗化水素(HF)処理されたアタ
パルジャイト(attapulgite)クレーの第三ブチルメチルエーテルに関する360゜
Fでの初期活性に対して規格化されている。有効活性(effective activity)と
呼ばれるこの値は実験的に以下のように決定される。
A=C−ln(1−C/100)−t(T)+n
C=MTBEの転化率%
T=゜F単位の温度
t=温度規格化ファクター(δC/δT)
n=100%に対して規格化するための定数
蒸気処理されたCa−Yの初期活性は蒸気処理されていない触媒よりも約7%
低いが、ジメチルエーテル(DME)、ブテン、及びイソブタンのような主要副
生成物は大幅に減少している。DMEの生成は75%減少し、メチル第二ブチルエ
ーテル(MSBE)の転化率(ブテン形成の目安として使用)は42%減少し、イ
ソブタンは100%減少した(10ppm未満で検出不能)。蒸気処理された触媒のエー
テル分解活性は75時間の運転後に蒸気処理されていない触媒と同じ水準まで戻っ
た。しかしながら、この点から、同じ傾きの失活が観察されたが、副生成物の形
成は大幅に減少した水準のままだった。実施例4及び5−蒸気処理を行った場合と行わなかった場合の比較用のZSM5 触媒の性能
使用した触媒がZSM5であったことを除いて、上述の条件下に実施例2及び
3を繰り返した。触媒は、WHSV=2、174℃(345゜F)、及び大気圧で飽和
するまで蒸気処理した。実施例4及び5−比較
結果が第5〜8図中に示されており、これらの図は蒸気処理を行った場合と行
わなかった場合のZSM5触媒性能の効果を示す。比較の目的のために、有効活
性を上述のようにして決定した。
蒸気処理されたZSM5の初期活性は蒸気処理されていない触媒よりも約3%
低いが、ジメチルエーテル(DME)、ブテン、及びイソブタンのような主要副
生成物は大幅に減少している。DMEの生成は59%減少し、メチル第二ブチルエ
ーテル(MSBE)の転化率(ブテン形成の目安として使用)は19%減少し、イ
ソブタンは69%減少した。蒸気処理された触媒のエーテル分解活性は7時間の運
転後に蒸気処理されていない触媒と同じ水準まで戻った。この点から、同じ傾き
の失活が観察されたが、副生成物の形成は大幅に減少した水準のままだった。
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フロントページの続き
(72)発明者 ローゼンフェルド、ダニエル・デイビッド
アメリカ合衆国、テキサス州 77059、ヒ
ューストン、メイサ・バーディ・ドライブ
16018