JPH08503704A - Gp41変異体とhiv治療剤としてのそれらの使用 - Google Patents

Gp41変異体とhiv治療剤としてのそれらの使用

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JPH08503704A JP6513090A JP51309094A JPH08503704A JP H08503704 A JPH08503704 A JP H08503704A JP 6513090 A JP6513090 A JP 6513090A JP 51309094 A JP51309094 A JP 51309094A JP H08503704 A JPH08503704 A JP H08503704A
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Abstract

(57)【要約】 変異体gp41ポリペプチド、特にHIVのgp41ポリペプチドを投与することを含む、HIV感染を治療するための方法及び治療用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】 GP41変異体及びHIV治療剤としてのそれらの使用 連邦政府後援の研究に関する供述 本発明は、合衆国政府により少なくとも一部資金提供されたものであり、した がって政府は本発明に対し一定の権利を留保する。 発明の背景 本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染の治療に関するもので あり、ここでヒト免疫不全ウイルスというのは、HTLV−III、LAV、AR V、HIV−1、HIV−2及びLAV−2のような用語により呼称されるさま ざまなウイルス型及び系統の全てを含むものとする。 HIVは、後天性免疫不全症候群(エイズ)の病因学的作用因子である。HI Vの一例(現在HIV−1と呼ばれている)については、いくつかの論文、すな わち、Barre-Sinoussi et al.,Science 220:868,1983;Gallo et al.,Scien ce 224:500,1984;Popovic et al.,Science 224:497,1984;及びLevy et a 1.,Science 225:840,1984に一般的に記述されているが、これらの論文は各々 本明細書に参照文献として含まれている。HIV−1のさまざまな分離株が北米 、西欧及び中央アフリカから得られている。これらの分離株は、そのヌクレオチ ド配列において幾分か異なっているが、それらがコードするタンパク質は一般に 抗原的交差反応性をもつ。 HIV−1に関係する第2のウイルスが分離されHIV−2と名付けられた。 このウイルスは、各々本明細書に参照文献として含まれている、Guyader et al. ,Nature 326:662,1987;Brun-Vezinet et al.,The Lancet 1:128.1987; 及びClavel et al., Science 233:343,1986によって報告されている。HIV −2の遺伝学的構成はHIV−1のものと類似している。 サル免疫不全ウイルス(SIV又はSTLV−III)と呼称される、サルから 分離した一群のウイルスは、HIV−1及びHIV−2、特にHIV−2と関係 づけられている。各々本明細書に参照文献として含まれている、Daniel et al. ,S cience 228: 1201-1204(1985); Kanki et al.,Science 230: 951-954(1985) ; Chakrabarti et al.,Nature 328:543-547(1987);及びOhta et al.,Int'1 .J.Cancer 41:115-222(1988)を参照されたい。このウイルス群のメンバー は、そのゲノム配列においてわずかな差異を示し、その制限酵素地図の中にいく つかの差異を有する。 その他のレンチウイルスの場合と同様に、HIVは、膜貫通(TM)タンパク 質及び細胞外タンパク質へとプロセッシングされる外被前駆体タンパク質をコー ドする。TMタンパク質は、膜貫通ドメインからさらに下流に延び(Gallaher, W.R. et al., AIDS Res. Hum. Retroviruses 5:431-440(1989):Hunter及びSwa nstrom,Current Topics in Microbiology and Immunology 157:187-253 (1990 ))、結果として100を超えるアミノ酸から成る長い細胞質ドメインが形成さ れる。例えば、HIV−1、HIV−2及びSIVTMタンパク質の細胞質ドメ インは約150のアミノ酸から成る(Gallaher,W.R. et al., AIDS Res.Hum. Retroviruses 5:431-440 (1989);Hunter及びSwanstrom,Current Topics in M icrobiology and Immunology 157:187-253 (1990))。SIV及びHIV−2に ついては、いくつかの確立されたヒト細胞系統におけるウイルス複製にとって、 TMタンパク質の細胞質ドメインの大部分が必須でないことが報告されている( Chakrabariti et al.,Nature 328:543-547 (1987);Fukasawa et al.,Nature 333:457-461 (1988);Guyader et al., Nature 236:662-669 (1987);Hirsch etal., Cell 49:307-319 (1987))。末端が切断された(truncated)TMタン パク質を有するいくつかの天然SIV及びHIV−2分離株は、ある種の確立さ れたヒト細胞系統において、全長TMタンパク質を有するウイルスよりも良く増 殖する(Chakrabarti et al., J.Virol. 63:4395-4403, (1989):Hirsch etal. , Nature 341:573-574 (1989);Kodama et al., J.Virol. 63:4709-4714(1989 ))。末端が切断された(truncated)TMタンパク質が増大したフゾジェニック (fusogenic)能を有するということも報告されている((Earl et al., J.Viro l. 65:31-41 (1991);Kowalski et al., Science 237:1351-1355 (1987);Mul ligan. M.J. et al., J. Virol. 66:3971-3975 (1992);Mulligan et al.,J. V irol. 66:3971-3975 (1992))。 SIV及びHIV−2とは対照的に、今日までに配列決定された感染性HIV −1クローンは一般に全長TMタンパク質(gp41)を含んでいる。コンピュ ータ分析によると、gp41の細胞質ドメインは、二重膜との二次的会合を形成 することのできる2つの両親媒性αらせん構造(Venable et al., AIDS Res. Hu m, Retroviruses 5:7-22 (1989))を含んでいる(Haffar et al., Virology 18 0:439-441 (1991))。gp41の細胞質ドメイン内のαらせんの両方を欠失さ せる大きな端部の欠失が、ウイルスEnvタンパク質の生合成、プロセッシング 、輸送又は表面発現に多大な影響を与えることはないということが報告されてき た(Earl et al., J. Virol. 65:31-41 (1991))。変異体Envタンパク質の オリゴマー化(Earl et al., proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:648-652 (1990) )及び合胞体(syncytium)形成(Earl et al., J. Virol. 65:31-41 (1991); Kowalski et al., Science 237:1351-1355 (1987))も損なわれなかったと報告 されている。 HIVはすでに世界のかなりの部分の人が感染しており、これに感染した人々 の治療を開発することに向けて、多大な努力がなされてきた。合成薬の研究に加 えて、エイズ療法を考案するべくHIV−1及びHIV−2の変異株を利用する ことに向けて研究努力が行なわれてきた。(Trono et al., Cell, 59:113-120, (1989))。 gagp24コア遺伝子変異体又はキャプシド標的のGagヌクレアーゼ融合 分子を用いた細胞内「免疫化」が、可能性ある抗レトロウイルス戦略として記述 されてきた(Trono et al., Cell 59:113-120 (1989);Natsoulis et al., Nat ure 352:632-635 (1991))。 発明の要約 本発明は、患者の体内の感染性HIVレベルを低下させるのに有効な量のgp 41ポリペプチドの変異体を投与することにより、ヒト免疫不全ウイルス(HI V)に感染した患者を治療する方法に関する。gp41ポリペプチドは、以下で 記述するような、さまざまな粒子によって送り込むことができる。 変異gp41ポリペプチドは、ポリペプチド自体として又は変異gp41をコ ードする核酸を含む発現可能に構成された遺伝子として投与することができる。 使用される核酸は、患者の細胞を形質転換することのできる核酸であってよく、 ウイルスベクターの一部として投与されうる。使用される核酸はさらに、CD4 −結合ポリペプチドをコードする配列、gp120−結合ポリペプチドをコード する配列、又は標的細胞への治療用ペプチドの進入を可能にするそのフラグメン トを含んでいてよい。このような薬物は、薬学的に許容可能な担体と共に投与さ れる。 本発明の一部として同様に含まれるのは、患者の体外で細胞を形質転換させ、 形質転換した細胞を患者に戻すための方法である。好ましくは、細胞は核酸で形 質転換される前に患者から取り出され、患者の体に戻される。 または、核酸を患者に直接投与することもできるし、及び/又はヒト免疫不全 ウイルスI型の誘導体であるウイルスベクターの中に入れて送り込むこともでき る。 本発明はさらに、感染細胞内でのHIVのウイルス複製又はEnvタンパク質 の集合を停止させるのに有効である、野生型gp41の −アミノ酸844〜856; −アミノ酸814〜856; −アミノ酸796〜856; −アミノ酸776〜856; −アミノ酸753〜856;又は −アミノ酸710〜856; なる領域のうちの少なくとも1つの領域の中の少なくとも1つのアミノ酸の欠失 を有している変異体gp41ポリペプチドを投与することにより、HIV感染者 を治療する方法を含む。好ましくは、かかる欠失は、上述の欠失を40〜60パ ーセント、より好ましくは60〜80%、そして最も好ましくは80〜100% 含むことになる。 本発明の一部として同様に含まれているのは、ヒト免疫不全ウイルスI型(H IV)に感染した患者に対し投与するよう適合された治療用組成物である。これ らの組成物には、人間の患者の細胞を形質転換するための発現可能な遺伝子構築 物中の変異gp41ポリペプチドをコードする核酸、又は薬学的に許容可能な担 体中の変異gp41ポリペプチドが含まれる。 治療用組成物は、患者の細胞を形質転換することのできるウイルスベクターの 一部として核酸を含むことができる。核酸はさらに、CD4−結合ポリペプチド をコードすることのできる配列、gp120−結合ポリペプチドをコードする配 列又はそのフラグメントを含んでいてよい。 変異gp41とは、以下に記述する検定のうちの1つによって確認されるよう に、gp41をHIVウイルス粒子の構築及び感染の阻害物質として有効なもの にする欠失、挿入、置換又はその他の修飾を有するgp41のことである。 本発明に含まれる変異gp41ポリペプチドは、その他のHIV系統由来の同 等の変異gp41タンパク質であってもよい。変異部位を番号で呼称した場合、 当業者であれば、アミノ酸及び核酸の相同性に基づいて、図1とは異なる配列を もつHIV及びタンパク質内の同等の変異を同定することが可能である。 Envタンパク質の取込み及び/又はウイルス複製を停止させ、かつHIV感 染者のための有用な療法であるような変異は、以下の方法において記述されてい る技術を用いて、決定することのできるものである。特に有用であるのは、トラ ンスフェクション、感染、RT検定、放射線免疫沈降法、イムノブロット法そし てパルスチェイス分析操作である。具体的には、有用な変異体gp41ポリペプ チド及びポリペプチドをコードする核酸は、Envタンパク質の取込みを停止さ せ、かつ、正常なgag及びpolタンパク質レベルを結果としてもたらすが、 粒子内のgp120及びgp41タンパク質の低下をもたらすようなものである 。ウイルス複製を停止させる有用な変異体gp41ポリペプチドは、共形質転換 検定において、野生型ウイルスに比べウイルス複製を減少させる、つまり好まし くは10%、最も好ましくは20%以上減少させるものである。 本発明のその他の特徴及び利点は、本発明の好ましい態様についての以下の記 述及び請求の範囲から明らかになることだろう。 好ましい態様の説明 まず、図面の簡単な説明を行なう。 図面 図1は、gp41ポリペプチドをコードするDNAの配列及びgp41ポリペ プチドの一次アミノ酸配列を示す。 図2は、gp41変異体の構成を表す図である。HIV−1Env前駆体タン パク質はHXB2R3内の856のアミノ酸を含んでいる。黒色の部域は親水性 領域を表わす。矢印はgp120とgp41の間の切断部位を示す。各図形の終 りにある番号は、アミノ酸813の後に終結するTM812を除いて、各構成体 によりgp160内で合成されうる最後のアミノ酸を表わしている。 図3は、ウイルス感染力検定を表わす一連のグラフである。細胞を含まない野 生型及び変異体ウイルスを、トランスフェクションを受けたCOS−7細胞の上 清から調製し、SupT1(図3A)、MT−2(図3C)、H9(図3B)及 び新鮮なPBMC(図3D)上で試験した。逆転写酵素(RT)値は、1分あた りの計数(cpm)単位で測定した0.1mlの培養上清からの試料のものを表わし ている。 図4は、イムノブロットによるウイルスタンパク質の分析を示す。(a)精製 及び分析したもの、(b)他のHIV−1陽性ヒト血清でブロットされた、細胞 溶解物(cell)及びショ糖勾配精製されたウイルス粒子(virus)。 図5(a)は、放射線免疫沈降法によるウイルス蛋白質の分析を示す。〔35S 〕システイン代謝により標識されトランスフェクションを受けたCOS−7細胞 からの細胞溶解物(cell)および上清(sup)をHIV−1−陽性血清と反応さ せた。 (b)gp120に対するマウスモノクローナル抗体を用いた間接的免疫蛍光法 により検出されたHIV−1Envタンパク質の表面発現を示す:a及びbは偽 トランスフェクションを受けた細胞である;c及びdは野生型でトランスフェク ションを受けた細胞である;e及びfはTM742でトランスフェクションを受 けた細胞である;g及びhはTM709でトランスフェクションを受けた細胞で ある。対応するノマルスキー(Nomarsky)写真(a、c、e及びg)は、蛍光写 真(b、d、f及びh)に隣接している。 図6は、発現可能な位置においてgp41をコードする核酸を伴うウイルス構 成体を示す。I.抗HIV治療薬として使用するためのgp41ポリペプチド 特定の作用メカニズムに束縛されたくはないが、変異体gp41ポリペプチド は、HIV感染細胞内の感染性ウイルス粒子内へのウイルスenvタンパク質の 取込みを妨げることから、抗−HIV治療薬として有用なものであると考えられ る。以下の例が示すように、gp41のカルボキシ末端ドメインを欠失させるか 又はその他の形で破壊する変異体は、この特性を有し、抗HIV治療薬である。 かかる変異体でenvタンパク質合成が停止されることはないが、ウイルスEn vタンパク質の感染性粒子内への取込みは、著しく阻害される。このようにEn vタンパク質を適切に取込むことができない結果として、非感染性粒子が生み出 される。野生型ウイルスとの関係における変異体のこの優性として作用する性質 は「優性ネガティブ(dominant negative)」特性とも呼ばれる。 さらに、gp41とEnvタンパク質との間の相互作用を分断するカルボキシ 末端ドメインの外側の変異、特に膜貫通ドメイン内の変異は、効果的な療法を生 み出す可能性がある。 この目的のために有用ないくつかのgp41ポリペプチドには、カルボキシ末 端から12より大であり147以下のアミノ酸を除去する欠失が含まれている。 ウイルスの集合の阻害にとって最も有用であるのは、カルボキシ末端細胞質ドメ インの104から147までのアミノ酸を除去するような変異である。 当業者であれば、(天然に存在する(野生型)gp41配列に対する欠失、置 換又は付加を含む)その他のgp41変異を本発明により使用することが可能で あるということも理解できよう。多数の変異体候補を製造するための技術は、当 業者にとっては周知のものである。有用なさまざまな技術がCurrent Protocolsi n Molecular Biology (編集:Ansebel et al., 1989, Green Publishing Assoc iates, John Wiley & Sons,NY,pp8.1-8.4)に記述されている。その後、実施 例2、3及び4に記載され、以下で示される優性ネガティブ検定を用いた技術を 含むさまざまな技術により、取込みを阻害するその能力から、変異体候補プール をスクリーニングすることができる。 同様に抗HIV治療薬として有用であるのは、感染細胞における病原性HIV のウイルス複製を阻害するgp41変異である。ウイルス複製の阻害は、不適切 なウイルス形態形成をしたか又は全く形態形成ができなくなった結果と考えられ る。機構の如何に関わらず、複製を妨げる能力は、本発明によるgp41変異体 の有用な特性である。この特性を有する変異体は、変異誘発(上述)とそれに続 く実施例2、3、4によるスクリーニング及び以下に示す優性ネガティブ変異体 検定によって同定することができる。この機構による治療薬にとって有用な変異 としては、細胞質ドメインの大部分のカルボキシ末端部分を破壊する変異が挙げ られる。例えば、カルボキシ末端の最後の12のアミノ酸を除去するgp41内 の変異がこの目的のために有用であることが確認されてきた。 gp41由来の抗HIV治療薬として有用な付加的なポリペプチドについては 、「その他の態様」の中で記述される。II.gp41ポリペプチドの治療的投与 以下の実施例においてさらに詳細に記述するように、本発明によるgp41変 異体は、いわゆる「トランス優性」式に機能しうることから有効なHIV治療薬 である。特定的に言うと、MA変異体は、HIV感染細胞内で、そのままでは病 原性の粒子成分と物理的に結びつけられた状態になると思われる。その結果、細 胞が製造する適切に集合した感染性粒子の割合は、細胞内の変異体gp41レべ ルに比例して減少する。変異体gp41が充分余剰に細胞に送り込まれた時点で 、変異体gp41を取込むことによる不活性なウイルス粒子の発生率は、野生型 gp41の取込みの発生率よりもはるかに高いものとなる。 クローニングされた遺伝子が入手可能であることにより(Rekosh et al., Pro c. Natl. Acad. Scl. USA 85:334 (1988),Chanda et al., Vaccines:207 (19 89)、及びHammarskjold et al., Journal of Virology 63:1959 (1989))、標 準的な技術を用いて(Scopes,R. Protein Purification:Principles and Prac tice1982,Springer-Verlag,NY)、実質的に純粋なgp41ポリペプチド変異 体を産生させることが可能である。かくして、本発明の一態様は、許容可能な希 釈剤、担体又は賦形剤と一緒に、及び/又は単位用量形態でgp41ポリペプチ ド変異体を含む薬剤である。ポリペプチドをHIV感染者に投与するための適当 な製剤又は組成物を提供するには、従来の薬学的方法を利用することができる。 ポリペプチドの実質的に純粋な調製物とは、細胞内に天然に存在するときに混 在しているタンパク質を実質的に含んでいない(例えば治療用組成物の形でgp 41変異体を処方するのに必要な程度に含んでいない)調製物のことである。 gp41タンパク質変異体のフラグメント又は類似体も、本明細書に記述され ている方法でHIV感染者に投与することができる。この目的にとって有用であ るフラグメント又は類似体としては、先行する項目及び実施例の中で記述されH IV感染者の治療のために有用なものであるgp41の変異体のフラグメント及 び類似体が含まれる。HIV感染者の治療にとって有用となるフラグメント及び 類似体は、他のものの中から、以下の実施例で示されている検定を用いて決定さ れる。 gp41ポリペプチド変異体は同様に、T細胞のCD4レセプターを結合する のに充分なgp120タンパク質又はそのフラグメントに対して融合させた、望 ましいgp41変異体ポリペプチドフラグメントから成る融合タンパク質の形で HIV感染者に対して投与することもできる。セイツ(sates)用途のためのg p120及びCD4の両方の遺伝子の配列は、Rokosh et al., Proc. Natl. Aca d. Sci,USA 85:334 (1988),、Chanda et al., Vaccines:207 (1989)及びHamm arskjold et al., Joaurnal of Virology 63:1959 (1989)から得ることができ る。この融合タンパク質は、感染を受けていないT細胞、単球、マクロファージ 又はHIVの感染を受けCD4レセプタを発現するその他の型の細胞の中への、 gp41ポリペプチド変異体の送り込みを可能にする。 gp41ポリペプチドは同様に、gp120を結合するのに充分であるCD4 タンパク質又はそのフラグメントに融合させた、gp41ポリペプチド変異体又 は治療に有用なフラグメント又は誘導休から成る融合タンパク質の形で、HIV 感染者に投与することもできる。この融合タンパク質は、その表面上でgp12 0を発現する感染したT細胞の中に、gp41ポリペプチドを送り込むことを可 能にする。gp41−gp120融合ポリペプチド又はgp41−CD4融合ポ リペプチドは、適当なベクターにコードされた融合体を生成するための標準的な 分子生物学技術を用いて生成することができる(Sambrook et al., Molecular C loning:A Laboratory Manual ,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yo rk (1989))。 gp120フラグメント又はCD4フラグメントのいずれかが、エンドサイト −シスを通してのgp41ポリペプチド変異体の内在化を可能にすることができ る。かかる遺伝子融合構成体の有用性は、とりわけ以下で実施例中に記述されて いる方法を用いて決定することができる。本発明は、薬学的に許容可能な担体中 で単独に融合ポリペプチドを投与すること、又は許容可能な担体中で両方の融合 体を一緒に投与することを含んでいる。 したがって、本発明の製剤は、例えば、非経口投与、静脈内投与、皮下投与、 筋内投与、頭蓋内投与、眼窩内投与、眼内投与、心室内投与、嚢内投与、脊髄内 投与、槽内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、エアゾル又は経口投与によって適用 できる。 治療用製剤は、溶液又は懸濁液の形態であってもよい。経口投与のためには、 製剤は、錠剤又はカプセルの形態をしていてよく、鼻腔内製剤については、粉末 、鼻腔用滴剤又はエアゾルの形態であってよい。 製剤を作るための当該技術分野における周知の方法は、例えば、「Remington の薬剤科学」の中に見い出される。非経口投与のための製剤は、例えば賦形剤、 無菌水又は食塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール 、植物油、又は水素添加ナフタレンを含んでいてもよい。当該因子の放出を制御 するのに、生物学的適合性と生分解性のあるラクチド重合体、ラクチド/グリコ シド共重合体又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体を使用す ることができる。これらの因子のための可能性のあるその他の有用な非経口送り 出しシステムとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合休粒子、浸透圧ポンプ、移 植可能な輸注システム、リポソームがある。吸入用の薬剤は、例えばラクトース のような賦形剤を含んでいてもよいし、或いは例えばポリオキシエチレン−9− ラウリルエーテル、グリココレート、デオキシコレートなどを含む水性溶液であ ってもよいし、又は鼻腔用滴剤の形での投与のための油性溶液又は鼻腔内に塗布 するゲルであってもよい。IIB.変異MAポリペプチドをコードすることを含むgp41の構成 特に好ましい態様は、上記のgpポリペプチドのいずれかをコードし、(患者 の細胞の形質転換の後)gp41ポリペプチド変異体を発現することのできる遺 伝子構築物を患者に投与することを特徴とする。 好ましいウイルス粒子を例示している以下のHIVの例に加えて、当業者であ れば、本発明が、例えばMN、HXB2、LAI、NL43、MFA、BRVA 及びZ321のような、充分に性質が解明されている多くの他のHIV系統を使 用するこのとのできるものであるということを、容易に認識できることだろう。 さらに、宿主生体の細胞に進入し、進入が完了するとそこで発現されるように 活性化されうる又は活性化されたその他のウイルス粒子(すなわち核酸粒子)も 数多く存在する。IIC.ウイルスベクター内のgp41変異体の治療用投与 HIV感染を受けた細胞に対する適切な親和性を有するレトロウイルスベクタ ー又はその他のウイルスベクターを、gp41ポリペプチド変異体のための遺伝 子運搬機構として使用することができる。この目的のために有用な数多くのベク ターが一般に知られており、記述されている(Miller,Human Gene Therapy 15- 14 (1990);Friedman,Science 244:1275-1281 (1989);Eglitis及びAnderson ,Biotechniques 6:608-614 (1988);Tolstoshev及びAnderson,Current Opini on in Biotechnology 1:55-61 (1990);Sharp,The Lancet 337:1277-1278 (1 991);Cornetta et al., Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:3 11-322 (1987);Anderson,Science 226:401-409 (1984);Moen,Blood Cells 17 :407-416 (1991);及びMiller及びRosman,Biotechniques 7:980-990 (1989 ))。レトロウイルスベクターは特によく開発され、臨床的に使用されてきてい る(Rosenberg et al.N.Engl.J.Med.323:370 (1990))。 この目的のために役立つと考えられるレトロウイルス構成体、パッケージング 細胞株及び運搬機構としては、モロニーマウス白血病ウイルスベクター;自己不 活性化ベクター;2重コピーベクター;選択マーカーベクター;及び自殺機構ベ クター、のうちの1つ又はその組合わせが含まれるが、これらに制限されるわけ ではない。gp41輸送のためのモロニーマウス白血病レトロウイルス機構は、 最終的にT細胞を発生させる造血細胞に対してgp41タンパク質の送り出しを 目的とすることから、特に有用である。gp41ポリペプチドの送り出しはさら に、gp160遺伝子からの発現を誘導するのにHIV−LTRが使用されてい るレトロウイルス構成体を利用することによって、直接HIVの感染を受けてい る細胞に制限することができる。かかる構成体からの適切な発現を達成するため には、モロニーマウス白血病ベクターの3′LTRを欠失させなくてはならない 。HIV−LTRにより誘導される、全HXB2R3構成体又はgp160en v遺伝子のいずれかを含むように、ベクター構築の戦略をたてうる(図6参照) 。 gp41ポリペプチドのフラグメント又は誘導体は同様に、レトロウイルス遺 伝子輸送治療法又はもう1つの適当なウイルスベクターシステムによって投与す ることもできる。フラグメント又は誘導体は、上述の通りに定義づけされる。g p41の有用なフラグメント又は誘導体は、上述のとおり、遺伝子治療ベクター における完全なgp160遺伝子の代わりにこれらのフラグメント又は誘導体を コードする核酸を挿入することによって投与することもできる。かかる構成体は 、上述のウイルス感染力に対するgp41の効果を試験するための方法を用いて 、他のもののなかで、試験を行ってもよい。 gp41のレトロウイルスによる送り出しは、免疫不全の結果としてB細胞腫 瘍の共通の二次的外観を示すHIV−1感染個体において、特に適切である。こ れらの個体は、B細胞腫瘍の治療のための慣例に従って、常套手段として、骨髄 摘出、処置及び再移植を受けることができる。この時点で、幹細胞をトランスフ ェクションするのに、遺伝子治療ベクターの送り出しのための標準的技術を使用 することができる。このようなトランスフェクションの結果、患者の体内のHI Vの感染レベルを低下させるのに役立つgp41を合成するT細胞がもたらされ る。IID.gp41をコードする核酸の治療用送り出しのためのウイルスを用いない 方法 患者のゲノムDNA内への挿入又は自己複製のために必要とされる適切な配列 を含み、HIV−LTRの調節下にある、gp41をコードする核酸又はそのフ ラグメントを、以下の遺伝子移送技術を用いて患者に投与することができる:マ イクロインジェクション法(Wolff et al., Science,47:1465 (1990));リン 酸カルシウムトランスファー法(Graham and Van der Eb.Virology 52:456(19 73);Wigler et al., Cell 14:725 (1978):Felgner et al., Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 84:7413 (1987));リポフェクション法(Felgner et al., Proc .Natl.Acad.Sci.USA 84:7413 (1987);Ono et al., Neuroscience Lett 11 7:259 (1990);Brigham et al., Am.J.Med.Sci.298:278 (1989);Staubin gerand Papahadjopoulos,Meth.Enz.101:512 (1983));アシアロロソヌコイ ド(asialorosonucoid)−ポリリジン接合(Wu and Wu,J.Biol,Chem.263:1 4621 (1988);Wu et al., J.Biol.Chem.264:16985 (1989));及び電気穿孔 法 (Neumann et al., EMBO J.7:841 (1980))。これらの文献は、本明細書に参 照文献として含まれる。III.実験方法 1.DNA構成体 HXB2R3からの2.75kbのEcoRI−BamHIフラグメント(T M709を生成するため)及び0.4kbのBamHI−XhoIフラグメント (TM752、TM775、TM795、TM812及びTM844を生成する ため)(Yu et al., J.Virol.66:4966-4971 (1992))をpGEM7Zf(+ )(Promega,Madison,Wis)へとサブクローニングした。一本鎖ウラシル含有 DNAを調製し、製造業者のプロトコル(Bio-Rad,Richmond,Calif.)に従っ て部位特異的変異誘発のためにこれを用いた。変異誘発のために使用されたプラ イマーの配列は以下の通りであった:TM709,5'-GAA TAG AGT TAG CTA GCG ATA TTC ACC AT-3';TM752,5'GTC CCA GAT AAG TGC CTA GGA TCC-3';TM775,5'-GT T ACA ATCTAG AGT AAG TC-3';TM795,5'-TAG GAG ATT CCA CTA AAA TTT GAG GG C TTC-3';TM812,5'-GTG GCA TTG AGC TAG CTA ACA GCA C-3';TM844,5'-GCC CTG TCT TAT TCC TTA AGG TAT GTG GCG AA-3'。変異体を制限酵素切断及びDN A配列決定によりスクリーニングした。gp41変異を含んだ2.7kbのSa lI−BamHIフラグメント及び0.4kbBamHI−XhoIフラグメン トをHXB2R3のベクター内にクローニングして戻した。 2.細胞及び血清 L−グルタミン及びD−グルコースそして10%のウシ胎児血清を含むダルベ ッコの修正イーグル培地の中に、COS−7細胞を維持した。RPMI1640 培地と10%のウシ胎児血清の中にSupT1及びH9細胞を維持した。RPM I1640培地と15%のウシ胎児血清の中にMT2細胞を維持した。PBMC をLSM(Organon Teknica Corp., Durham,NC)上での密度勾配遠心分離によ り分離し、RPMI1640と20%ウシ胎児血清及び20単位/mlのインター ロイキン−2(Becton Dickinson Labware,Bedford,Mass)の中にこれを維持 した。感染検定のために使用する前に2日間、5μg/mlのフィトヘムアグルチ ニンPH A−P(Sigma,St.Louis,MO)でPBMCを処理した。HIV陽性血清及びヒ ツジ抗gp120血清については以前に記述されている(Yu et al., J.Virol ,66:4966-4971 (1992))。ショ糖勾配精製された粒子を用いたイムノブロット 法のためには、もう1つのプールしたHIV陽性血清を用いた。マウスモノクロ ーナル抗−gp120抗体は、Du Pont 社(Wilmington,DE)から入手した。 3.トランスフェクション、感染及び逆転写酵素(RT)の検定 トランスフェクション及びRT検定は、以前に記述された通りに行なった(Yu et al., J.Virol.66:4966-4971 (1992))。簡単に言うと、以前に記述された DEAE−デキストラン法(Yu et al., J.Vairol.66:4966-4971 (1992))に より、亜集密性COS−7細胞(5×106)をトリプシン処理し、2μgの野 生型又は天然変異体プラスミドDNAを用いてトランスフェクションした。トラ ンスフェクション又は感染を受けた細胞からの培養上清を用いて、ポリエチレン グリコール法によりウイルスペレットを濃縮し、これを以前に記述された通り逆 転写酵素(RT)検定に付した(Yu et al., J.Virol.66:4966-4971 (1992) )。 4.ウイルスタンパク質の放射線免疫沈降分析 トランスフェクションから60時間後に、COS−7細胞を、10%のウシ胎 児血清及び〔35S〕システイン(0.1mCi/ml;Du Pont,Mass)を含む、シス テインを含まないRPMI1640培地の中で12時間インキュベートさせた。 次に細胞を細胞溶解緩衝液(0.15MNaCl、0.05Mトリス−HClpH7 .2、1% トライトンX−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1 %SDS)で溶解させ、40000rpm(Beckman Ti70ローター)で1時間遠心 分離して細胞砕片を除去した。培養上清を1000×gで30分間予備清浄し、 40000rpmで(Beckman Ti70ローター)1時間遠心分離させてウイルスペレ ットを除去した。タンパク質A−セファロースCL−4B(Sigma,St.Louis,M O)で予め吸収されたHIV陽性血清と、細胞溶解物及び培養上清を4℃で12 時間反応させた。次に試料を、細胞溶解緩衝液(オキシコール酸ナトリウムを含 有しない)で3回、洗浄緩衝液(0.15MNaCl、0.05Mトリス−HCl pH7.2)で1回洗浄した。各々の試験管に60μlの試料緩衝液(0.08M トリス−HClpH6.8、0.1MDTT、2% SDS、10% グリセロール 、0.2%のブロモフェノールブルー)を加えた。ロードの前に2分間、試料を 煮 沸し、12%のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ り分離させた。 5.粒子の精製及びイムノブロット法によるウイルスタンパク質の分析 トランスフェクションから72時間後に、トランスフェクションを受けたCO S−7細胞からの培地を30分間1000×gで遠心分離した。0.2μmのろ 過ユニット(Nalge Company,Rochester,NY)を通して上清をろ過し、2000 0rpm (Beckman SW28ローター)で3mlの20%シュークロースクッションを通 してこれを2時間遠心分離した。ウイルスを含まない上清を廃棄し、残留液を乾 燥した綿棒で遠心分離管から除去した。ウイルス沈殿物を試料緩衝液内で溶解さ せ、12%のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により 分離させた。ショ糖勾配による粒子のさらなる精製のため、ウイルス沈殿物をT NE緩衝液(0.01Mトリス−HClpH7.2、0.、1MNaCl、0.00 1MEDTA)の中に溶解させ、ショ糖勾配の上に重畳させた。ショ糖勾配は、 2.5%の増分で60%から20%まで減少したTNE緩衝液内の2mlのショ糖 の段階的重畳によって調製された。試料を20000rpm(Beckman SW28ロータ ー)で20時間遠心分離し、遠心分離管の底から18の分画を滴下式に収集した 。最高のRT活性を有する分画を用いて粒子を分離し、前述のようにこれらの分 画をイムノブロット法により分析した。 6.間接免疫蛍光検定 トランスフェクションから60時間後に細胞をリン酸緩衝溶液で2回洗浄し、 gp120に対する1:10希釈のマウスモノクローナル抗体(Du Pont 社,Wi lmington,DE)を用いて室温で60分間インキュベートした。次に細胞をリン酸 緩衝溶液で3回洗浄し、蛍光イソチオシアン酸塩接合ヤギ抗マウス抗体(Becton Dickinson,San Jose,Calif)の1:25希釈液を用いて室温で45分間イン キュベートした。細胞をリン酸緩衝溶液で3回洗浄し、蛍光顕微鏡下での検査の 前に1%のパラホルムアルデヒドで固定させた。 7.優性ネガティブ変異体検定 一定の与えられたgp41変異体によって付与された、優性ネガティブ表現型 が存在するか否かを決定するために、野生型又は野生型+変異体DNAをSup T1細胞内にトランスフェクションする。トランスフェクションを受けた細胞の 上清中のRT活性によって、ウイルス複製をモニターする。 SupT1細胞(107)をリン酸緩衝食塩水で一度洗浄し、EDAE−デキ ストラン600μg及びDNA6μgを含むTD緩衝液3mlの中に再懸濁させる 。各々のSupT1トランスフェクションのために使用されるDNAは、以下の ようなものである:偽(mock)、pUC18(6μg);野生型HXB2R3( 1μg)及びpUC18μg;野生型+変異体HXB2R3(1μg)、及び上 述の通りの適切なベクター中の変異体(約5μg)。 トランスフェクションは室温で20分間行なう。トランスフェクションを受け たCOS−7細胞の細胞を含まない上清を用いることにより、SupT1細胞で ウイルス感染力を試験する。逆転写酵素(RT)検定(上述のもの)において使 用される試料は、トランスフェクション又は感染を受けた細胞の上清からのポリ エチレングリコール沈降させたウイルスペレットから調製される。この検定は、 以前に記述された通りに行なわれる(Yu et al., J.Virol.64:5688-5693,19 90)。IV.治療用gp41の作用様式 本明細書に示されている結果は、gp41の細胞質ドメインがHIV感染にお いて重要な役割を果たすことを表わしている。gp41の細胞質ドメインからの 43(TM812)、61(TM795)、81(TM775)、104(TM 752)及び147(TM709)アミノ酸の切除は、非感染性粒子を生み出し た(図3)。これらの変異体粒子の分析によると、野生型粒子と比較した場合に その他のウイルス構造タンパク質が正常なレベルで存在していたにもかかわらず 、ウイルスEnvタンパク質の取込みは著しく損なわれていた(図4)。gp4 1(TM844)からの最後の12個のアミノ酸の切除では、ウイルスの集合及 び放出又はウイルスEnvタンパク質の取込みが著しく減少させられることはな かった(図4)。しかしながら、変異体TM844ウイルスの感染力は、野生型 ウイルスに比べ顕著に減少した(図3)。この事実は、gp41の細胞質ドメイ ンが集合以外のウイルス複製段階においても機能しうるということを示唆してい る。TM844ウイルスの失活は、SupT1及びMT2細胞よりもH9細胞及 び新鮮なPBMCにおいてさらに顕著であったことから(図3)、細胞因子はウ イル ス複製におけるgp41細胞質ドメインの機能にも影響を及ぼし得たと思われる 。システインプロテアーゼとして作用しうるVifによってgp41の細胞質ド メインが分割されるということが示唆されてきた(Guy et al., J.Virol.65: 1325-1331 (1987))。推定切断部位は、変異体TM844の中に導入された停止 コドンにきわめて近い(Guy et al., J.Virol.65:1325-1331,(1987))。野 生型gp41がTM844gp41よりも遅く移動したという事実(図3)は、 少なくとも我々の研究における粒子精製段階においてはgp41の細胞質ドメイ ンの分割が起こらなかったということを示唆している。 gp41のC−末端からの147のアミノ酸の除去は、COS−7細胞内のウ イルスEnvタンパク質の定常状態レベルを顕著に低下させた(図5)。パルス チェイス実験により示されているように、変異体Envタンパク質の合成は著し く影響を受けなかった。したがって、TM709Envタンパク質の安定性は、 見かけ上野生型Envタンパク質に比べて減少した。最近になって、gp41の 細胞質ドメイン内の変異が、変異Envタンパク質の安定性を低下し得るという ことが報告された(Gabuzda et al., J.Virol.66:3306-3315 (1992))。TM 709gp120は、野生型gp120よりもやや遅く移動し(図5)、このこ とは、この変異体内でのこのgp120のポリペプチド翻訳後の修飾が野生型g p120のものと異なるものである可能性があるということを示唆していた。変 異体Envタンパク質の安定性の減少及び変異体gp120の異常な修飾は、g p41の細胞質ドメインがEnvタンパク質の細胞内輸送を媒介するために重要 であるということを表わしている可能性がある。V.実施例 本発明を例示するために以下の実施例を示すが、本発明はそれらに限定されな い。実施例1:gp41変異体の構築 野生型プロウイルスクローンHXB2R3については、以前に記述されている (Yu et al., J.Virol.66:4966-4971 (1992))。gp41コーディング領域 内の異なる位置で枠内停止コドンが生成された(図1、配列番号1及び図2)。 T M709内の停止コドンは、推定上の膜貫通領域下流の2つのアミノ酸である。 恐らく停止トランスファーシグナルにとって重要であると思われる、707及び 709の位置にある2つの正に帯電したアルギニン残基は保存された。TM75 2及びTM775はそれぞれgp41細胞質ドメインの最初の45個及び68個 のアミノ酸を保持した。予想された両親媒性2−らせん(Venable et al., AIDS Res.Hum.Retroviruses 5:7-22 (1989))は、TM752及びTM775TM タンパク質の細胞質ドメインから欠失させられた。TM795及びTM812内 の変異は、gp41細胞質ドメインの最初の88及び106個のアミノ酸を保存 し、予想された遠位両親媒性α−らせん(Venable et al., AIDS Res.Hum.Ret roviruses 5:7-22 (1989))を欠失させた。TM844における停止コドンは、 推定上のVif分割部位(Guy et al., J.Virol.65:1325-1331 (1991))のす ぐ上流にあり、gp41の最後の12のアミノ酸が削除される。重複するrev 読み取り枠のアミノ酸は、いずれの変異体においてもヌクレオチド置換により影 響されなかった。実施例2:gp41変異体ウイルスの感染力 野生型及び変異体プラスミドDNAでのトランスフェクションの後のCOS− 7細胞からウイルスが生成され(データは示さず)、このことは、gp41の細 胞質ドメイン内の変異がウイルスの集合及び放出を遮断しないということを示唆 した。変異体ウイルスの感染力を、いくつかのT−リンパ球様細胞系統及びPB MCで増殖する野生型ウイルスと比較した。以前に記述されたように(Yu et al ., J.Virol.66:4966-4971 (1992))、細胞を含まない野生型及び変異体ウイ ルスを調製し、感染力について分析した。変異体TM844を除いて、いずれの 変異体も、SupT1、MT2、及びH9細胞又は新鮮なPBMC内で生産的感 染を樹立しなかった(図3)。TM844の感染を受けたMT−2及びSupT 1細胞においてはウイルス産生が検出されたが、これらの細胞内のTM844複 製の速度は、野生型ウイルスのものに比べ非常に緩慢であった(図3)。TM8 44ウイルスは、SupT1細胞内で野生型ウイルスよりも少なくとも対数2の 規模で感染力が低かった(データは示さず)。TM844ウイルス複製は、H9 細胞及びPBMC内でさらに一層顕著に阻害され、そのため変異体ウイルス産生 は、 30日の追従期間中、野生型ウイルス産生レベルに達することはなかった(図3 )。実施例3:イムノブロットによる粒子タンパク質の分析 変異体ウイルスの欠損を研究するため、イムノブロット法により、野生型及び 変異体のトランスフェクションを受けたCOS−7細胞の培養上清から収穫した 粒子を分析した。野生型粒子についてそうであったように、gag遺伝子でコー ドされたタンパク質p24及びp17、及びpol遺伝子でコードされたタンパ ク質p66、p51及びp34は、プールしたHIV陽性ヒト血清を用いて、変 異体粒子のすべてにおいて容易に検出された(図4a)。しかしながら、野生型 粒子とは際だった対照を見せて、検出されたenv遺伝子でコードされたタンパ ク質(gp120)のレベルは、ヒツジ抗gp120血清(図4a上図)又はプ ールされたHIV陽性血清(図4a下図)によって検出されるとおり、変異体粒 子TM709、TM752、TM775又はTM795において顕著に低下した 。変異体gp41は、HIV陽性血清によってこれらの変異体粒子内に検出され なかった(図4a、下図)。変異体TM812については、HIV陽性血清によ って、いかなるgp41も検出されず、野生型粒子に比べ少ない量のgp120 が検出された(図3a、下図)。野生型及び変異体TM844粒子には、比較可 能な量のgp120及びgp41が検出された(図3a)。TM844gp41 は、野生型gp41よりもわずかに速く移動した(図3a)。 野生型TM844及びTM752粒子を同様にショ糖勾配により精製し、もう 1つのプールしたHIV陽性血清を用いてイムノブロットにより分析した。この プールしたHIV陽性血清は、記述された検定条件下で上で用いられた上述のも のに比べ、gp120に対しより良好に反応した。変異体TM844粒子内で検 出されたgp120及びgp41の量は、ショ糖勾配による精製の後もなお、野 生型粒子の量に匹敵するものであった(図4b)。これとは対照的に、変異体T M752粒子内で検出されたgp120の量は、野生型粒子内に見られるものよ りも著しく少ないものであった(図4b)。TM752粒子内で検出されたgp 120の量は、野生型粒子試料の4倍希釈に比較した場合、野生型粒子内で検出 されたものの20%未満であると推定された(図4b)。gp41は、変異体T M752粒子の中では検出されなかった。(図4b)。同じHIV陽性血清を用 いて細胞溶解物を分析した場合、野生型及びTM752のトランスフェクション を受けたCOS−7細胞の中で、比較可能な量のgp120及び野生型及び末端 切除されたgp41が検出された(図4b)。このことは、変異体TM752粒 子内のEnvタンパク質の検出の減少が、HIV陽性血清の免疫反応性低下を原 因とするものではないことを示唆している。実施例4:ウイルスEnvタンパク質の合成、プロセッシング、輸送及び細胞表 面での発現の分析 変異体TM709及びTM752粒子内のEnvタンパク質の取込みの減少が 、トランスフェクションを受けた細胞内の変異体Envタンパク質の発現の低下 に起因するものであったか否かを調べるために、野生型及び変異体TM709、 TM752及びTM844のトランスフェクションを受けたCOS−7細胞内の ウイルスタンパク質の発現を、放射免疫沈降法により分析した。COS−7細胞 内でのトランスフェクションの後、野生型のトランスフェクションを受けた細胞 内でgp160及びgp120が検出された(図5a)。類似した量のGagポ リタンパク質(p55)に対し数値変換された場合、類似した量のgp160及 びgp120が同様に、TM844及びTM752のトランスフェクションを受 けた細胞の中で検出された(図5a)。TM844及びTM752のgp120 の移動は、野生型gp120と同様であり(図5a)、このことは、TM844 及びTM752内の変異体が変異体Envタンパク質の発現及び処理に影響を及 ぼさなかったということを示唆していた。TM844及びTM752のトランス フェクションを受けた細胞の上清中にはgp120が検出できたことから、TM 844及びTM752のEnvタンパク質の輸送は著しい影響を受けていなかっ た(図5a)。TM709のトランスフェクションを受けた細胞内で検出された gp160及びgp120の量は、野生型のトランスフェクションを受けた細胞 の中で検出されたものよりもはるかに少なかった(図5a)。さらにTM709 のgp120は、野生型のgp120に比べてやや遅く移動した(図5a)。T M709のgp120が、TM709のトランスフェクションを受けたCOS− 7細胞の培養上清の中で検出された(図4a)。このことは、細胞表面へのEn vタンパク質の輸送がなおもTM709のトランスフェクションを受けた細胞内 で 起こり得たことを示唆している。 野生型、TM752及びTM709のトランスフェクションを受けたCOS− 7細胞内のgp120の細胞表面発現も同様に、間接免疫蛍光染色法によって解 析した。マウスモノクローナル抗−gp120抗体により、野生型及びTM75 2のトランスフェクションを受けた細胞の表面上で比較可能なレベルのgp12 0が検出された(図4b)。このことはすなわち、gp120の表面固定がTM 752内の細胞質ドメインの切除によって影響されなかったことを表している。 この観察された事実は、(TM752と同じく)gp41のC末端からの最後の 104個のアミノ酸の切除がウイルスEnvタンパク質の表面発現に影響を及ぼ さなかったという以前の報告(Earl et al., J.Virol.65:31-41 (1991))と 一致している。TM752とは対照的に、細胞表面上でEnvタンパク質を発現 する変異体TM709の能力は、TM709のトランスフェクションを受けたC OS−7細胞の表面上でgp120の免疫蛍光染色が欠如していたことによって 示されているように、大幅に低下した。VI.その他の実施態様 gp41ポリペプチド 前述のとおり、本発明は、この出願の他の箇所で記述されている変異体HIV gp41タンパク質又はかかる変異体に対して相同性を有するタンパク質(又は タンパク質をコードする核酸)を用いた治療法を含んでいる。同様に、アレル変 異体;天然変異体;誘発変異体;高い緊縮性条件(例えば少なくとも40ヌクレ オチドのプローブ長で40℃で2×sscにて洗浄)の下で自然に発生するgp 41コーディング核酸に対しハイブリッド形成するDNA(高低緊縮性のその他 の定義については、本書に参考として含まれているCurrent Protocols in Molec ular Biology,John Wiley & Sons,New York,1989,6.3.1-6.3.6を参照のこと )によりコードされたタンパク質が、本発明に含まれる。この用語は同様に、関 係のない配列と共にgp41を含むキメラポリペプチドをも含んでいる。 また、本発明には、gp41の生物学的に活性なあらゆるフラグメント又は類 似休が含まれる。「生物学的に活性な」というのは、図2及び図7に示され明細 書の第I節で記述された構成体がコードするgp41の特徴である、治療上有用 な抗HIV活性を有することを意味している。gp41フラグメント又はgp4 1類似体の治療上有用な活性は、例えば優性ネガティブ変異体といったような、 本出願において記述されている検定などのさまざまな検定のうちの1つ(又は複 数)において決定することができる。優性ネガティブ検定において、1日〜10 日の検定期間で、野生型に比べ最も好ましくは5分の1以上、好ましくは4分の 1以上の減少を有するか、または、抗HIV活性についてのあらゆるin vivo又 はin vitroのgp41検定(記述されているもののような)において、抗原誘発 されていない野生型HIVでの対照感染に対する抗HIV活性に比較して、少な くとも2分の1の減少を有するgp41類似体が、生物学的に活性であり本発明 において有用であるとみなされる。 好ましい類似体には、例えば同じクラスのもう1つのアミノ酸による1つのア ミノ酸の置換(例えばグリシンに対するバリン、リジンに対するアルギニンなど )といった保存的なアミノ酸置換のみ、又はin vivo又はin vitroの系で(例え ば上述の感染力及び優性ネガティブ検定を用いて)測定されるような、ポリペプ チドの関連する抗HIV活性を破壊しない単数又は複数の非保存的アミノ酸置換 、欠失又は挿入のみによって指示された、gp41変異体配列と異なった配列を 有する変異体gp41(又はその生物学的に活性なフラグメント)が含まれてい る。好ましい類似体には同様に、ペプチドの安定性を増大させる目的で修飾され たgp41(又はその活性フラグメント)も含まれる;かかる類似体は、例えば 、ペプチド配列内に単数又は複数の脱飽和ペプチド結合又はD−アミノ酸を含ん でいるてもよい。 類似体は、アミノ酸配列の相違、配列に影響を及ぼさない修飾又はその両方に よって、天然に存在するgp41と異なっていてもよい。本発明の類似体は一般 に、天然に存在するgp41の配列の全部又は一部分と、少なくとも65%、よ り好ましくは80%、より一層好ましくは90%、そして最も好ましくは95% 、さらには99%の相同性を示す。比較される配列の長さは一般に少なくとも約 15個のアミノ酸残基、好ましくは40個以上のアミノ酸残基となる。修飾には 、in vivo又はin vitroのペプチドの化学的誘導体合成、例えばアセチル化、グ リコシル化又はカルボキシル化が含まれる。同様に本発明に包含されるのは、例 えばホスホチロシン、ホスホセリン又はホスホトレオニンといった、ホスホリル 化ア ミノ酸残基を有する同一の一次アミノ酸配列のものである。類似体は、その一次 配列の変更という点で、天然に存在するgp41と異なっている可能性がある。 これらには、天然の及び誘導された遺伝的変異体が含まれる。同様に本発明に含 まれているのは、天然には存在しないL−アミノ酸以外のアミノ酸、例えばD− アミノ酸、天然には存在しないアミノ酸又は合成のアミノ酸、例えばβ又はγア ミノ酸である。あるいは、ペプチド分子を環化することにより、増大した安定性 を付与することができる。 実質的に全長のポリペプチドに加えて、本発明には同様に、ポリペプチドの生 物学的に活性なフラグメントも含まれている。本書で使用されているように、ポ リペプチドに適用される「フラグメント」とは、通常、長さが少なくとも約10 の隣接するアミノ酸、典型的には少なくとも約20の隣接アミノ酸、より典型的 には少なくとも約30の隣接アミノ酸、普通は少なくとも約40の隣接アミノ酸 、好ましくは少なくとも約50の隣接アミノ酸、そしてさらに好ましくは少なく とも約60〜80以上の隣接するアミノ酸である。gp41のフラグメントは、 当業者にとって既知の方法により生成されうる。gp41の生物学的活性を示す 候補であるフラグメントの能力は、以下に記述する方法によって評価可能である 。同様に含まれるのは、ポリペプチドの治療上の活性にとって必要とされない付 加的なアミノ酸を含むか、オールターナティブmRNAスプライシング又はオー ルターナティブタンパク質プロセッシングの結果得られる付加的なアミノ酸を含 む、タンパク質のプロセッシングにおいて通常除去されるアミノ酸を含有するg p41ポリペプチドである。 本発明は同様に、gp41タンパク質に対して相同性を有するか又はgp16 0遺伝子に対して相同性を有し、かつHIV感染を受けた個体の治療にとって有 用であるポリペプチド(又はポリペプチドをコードする核酸)を含む。相同性を 有すると考えられる配列は、70%相同な配列である。相同性というのは、2つ のポリペプチド分子又は2つの核酸分子の間の配列類似性のことである。比較さ れる2つの配列の双方における位置が、同じ塩基又はアミノ酸の単量体サブユニ ットによって占有されている場合、例えば2つのDNA分子の各々の中の1つの 位置がアデニンにより占有されている場合、分子はその位置において相同である 。2つの配列の間の相同性は、2つの配列により共有される、整合している位置 、 つまり相同な位置の数の関数である。例えば、2つの配列中の位置の10のうち 6が一致しているか、又は相同である場合、2つの配列の相同性は60%である 。一例を挙げると、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは50%の相同性 を共有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07H 21/04 B 8615−4C C12N 7/01 15/09 C12P 21/02 C 9282−4B // C07K 14/155 8318−4H 特許法第30条第1項適用申請有り 1992年7月19日〜24 日に開催された、「VIII Internation al Conference on AIDS」におい て文書をもって発表 (72)発明者 リー チュン ホウ アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ニ ュートン ファリナ ロード 80

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.患者の体内のHIVレベルを低下させるのに有効な量の変異gp41ポリぺ プチドを投与することにより、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した患者 を治療する方法。 2.薬学的に許容される担体中に前記変異gp41ポリペプチドを含む治療用組 成物を、前記患者に投与することを特徴とする、請求の範囲1に記載の方法。 3.発現可能な遺伝子構成物中に前記変異gp41ポリペプチドをコードする核 酸を含む治療用組成物を、前記患者に投与することを特徴とする、請求の範囲第 1項に記載の方法。 4.前記核酸が前記患者の細胞を形質転換できるものである、請求の範囲3に記 載の方法。 5.前記核酸が、前記患者の細胞を形質転換できるウイルスベクターの一部を構 成している、請求の範囲4に記載の方法。 6.前記核酸がさらに、CD4−結合ポリペプチドをコードする配列を含んでい る、請求の範囲3に記載の方法。 7.前記核酸が、gp120−結合ポリペプチドをコードする配列をさらに含ん でいる、請求の範囲3に記載の方法。 8.前記患者から細胞を取り出すこと、前記細胞を前記核酸で形質転換すること 及び形質転換された細胞を前記患者の体内に戻すことを特徴とする、請求の範囲 4、5、6又は7のいずれかに記載の方法。 9.前記核酸を前記患者に直接投与することを特徴とする、請求の範囲4、5、 6又は7に記載の方法。 10.前記ウイルスベクターがヒト免疫不全ウイルスI型である、請求の範囲5に 記載の方法。 11.変異MAポリペプチドが、 −前記野生型のアミノ酸5〜16; −前記野生型のアミノ酸11〜20; −前記野生型のアミノ酸21〜31; −前記野生型のアミノ酸32〜43; −前記野生型のアミノ酸57〜67; −前記野生型のアミノ酸66〜77; −前記野生型のアミノ酸79〜90; −前記野生型のアミノ酸91〜103; −前記野生型のアミノ酸105〜114; −前記野生型のアミノ酸116〜128; なる野生型MAポリペプチドの少なくとも一つの領域内の少なくとも一つのアミ ノ酸の欠失または置換、または −Trp36及びAla37のArg36及びPro37への置換、 −Arg20のThr20への、そしてGlu18、26、27、28、30及 び32のAsn18、26、27、28、30及び32への置換、又は −Arg20に対するThr20の、そしてLys18、26、27、28、3 0及び32に対するAsn18、26、27、28、30及び32の置換、のい ずれかを含んでいる、請求の範囲1、2又は3のいずれかに記載の方法。 12.前記gp41ポリペプチドは、感染した細胞内でHIVのウイルス複製を阻 止するのに有効な、アミノ酸844〜856のうちの少なくとも1つ又は複数を 含む領域の欠失を有している、請求の範囲11に記載の方法。 13.前記変異gp41ポリペプチドは、HIV感染細胞内でウイルス複製を阻止 するのに有効な、アミノ酸814〜856のうちの少なくとも1つ又は複数を含 む領域の欠失を有している、請求の範囲11に記載の方法。 14.前記変異gp41ポリペプチドは、HIV感染細胞内のウイルスEnvタン パク質の集合を阻止するのに有効な、アミノ酸796〜856のうちの少なくと も1つ又は複数を含む領域の欠失を有している、請求の範囲第11項に記載の方 法。 15.前記変異gp41ポリペプチドは、HIV感染細胞内のウイルスEnvタン パク質の集合を阻止するのに有効な、アミノ酸776〜856のうちの少なくと も1つ又は複数を含む領域の欠失を有している、請求の範囲第11項に記載の方 法。 16.前記変異gp41ポリペプチドは、HIV感染細胞内のウイルスEnvタン パク質の集合を阻止するのに有効な、アミノ酸753〜856のうちの少なくと も1つ又は複数を含む領域の欠失を有している、請求の範囲第11項に記載の方 法。 17.前記変異gp41ポリペプチドは、HIV感染細胞内のウイルスEnvタン パク質の集合を阻止するのに有効な、アミノ酸710〜856の欠失を有してい る、請求の範囲1又は2に記載の方法。 18.薬学的に許容される担体の中に変異gp41ポリペプチドを含み、ヒト免疫 不全ウイルスI型(HIV)に感染した患者に投与するように適合された治療用 組成物。 19.人間の患者の細胞を形質転換するための、発現可能な遺伝子構成の中に変異 gp41ポリペプチドをコードする核酸を含み、ヒト免疫不全ウイルスI型(H IV)に感染した患者に投与するように適合された治療用組成物。 20.前記患者の細胞を形質転換させることのできるウイルスベクターの一部とし て前記核酸を含む、請求の範囲13に記載の治療用組成物。 21.前記核酸には、CD4−結合ポリペプチドをコードすることのできる配列が さらに含まれている、請求の範囲13に記載の治療用組成物。 22.前記核酸には、gp120−結合ポリペプチドをコードする配列がさらに含 まれている、請求の範囲13に記載の治療用組成物。
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