JPH08503400A - M−edta製剤とその使用方法 - Google Patents

M−edta製剤とその使用方法

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JPH08503400A
JPH08503400A JP6512342A JP51234294A JPH08503400A JP H08503400 A JPH08503400 A JP H08503400A JP 6512342 A JP6512342 A JP 6512342A JP 51234294 A JP51234294 A JP 51234294A JP H08503400 A JPH08503400 A JP H08503400A
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Abstract

(57)【要約】 ミノサイクリンとEDTAの混合物からなる医療用組成物(M-EDTA)と、この組成物を用いてカテーテル開口部を開口しておく方法を開示した。また、M-EDTA溶液を使用して、ポリサッカリド濃度が高いグリコカリックス形成物(グリコカリックス・ブドウ球菌株の微生物など)を阻害する方法も開示した。ミノサイクリン、EDTAまたはその両方を含有する溶液によって医療用装置を前処理し、表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌などの感染性微生物の付着を防止することもできる。この組成物によって、ポリサッカリド濃度が高いグリコカリックスの形成物を分解したり、予防することができる。グリコカリックスが形成されている、表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌による感染症を、M-EDTA溶液で治療する方法も開示した。ミノサイクリンとEDTAは、生理食塩水などの薬理的に許容できる担体溶液中に溶解することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 M-EDTA製剤とその使用方法 技術分野 本発明は、医療用抗菌製剤でフラッシングあるいは被膜することができるカテ ーテルなどの留置医療器具に関する。さらに、本発明はカテーテルの開通性を維 持したり、感染症を防止するするのに有用な医療用製剤に関する。また本開示は さらに、本発明の医療用製剤を脈管カテーテルの管理維持に使用する方法に関す る。 背景技術 脈管カテーテルを始めとする留置医療装置は、入院患者または慢性疾患患者の 処置、管理に必要不可欠のものとなっている。残念ながら、脈管カテーテルが院 内感染による敗血症の主たる原因となっているのが実状である。したがって、脈 管カテーテルなどの留置医療装置によって得た利得が、感染性合併症によって無 に帰してしまうこともしばしば発生している。また、感染症のため中心静脈カテ ーテル(CVC)の内腔が、塞栓によって閉塞することが原因で、カテーテルを外 さなければならなくなることも多い。 現在、カテーテルの内腔をヘパリンでフラッシングすることがカテーテルの標 準管理法となっている。しかしながら、ヘパリンには抗菌活性がない。したがっ て、ヘパリンのフラッシングにより予防しても、感染症と塞栓閉鎖とが依然とし て発症することが多い。この問題を効果的に防止するためには、中心静脈カテー テルに関連する感染症の病因と病原菌を知ることが肝要である。カテーテルに病 原菌集落が形成されるのを抑制するためには、三つの重要な要因を考慮しなけれ ばならない。先ず第一は、不活性なカテーテル表面に付着する微生物が存在しな いように抑制することである。この微生物の典型例としては、ブドウ球菌属とカ ンジダ属を挙げることができる。第二は、微生物の繊維性グリコカリックス(or ganisms fibrous glycocalyx)として知られる付着細胞がポリサッカリドを産生 するのを抑制することである。第三は、カテーテルを包み込もうとする作用があ る、宿主によるトロンビン鞘(thrombin sheath)の形成を抑制することである 。このトロンビン鞘は微生物の粘着性基質となるため、微生物がより強くカテー テルに付着し、したがってカテーテル部位で集落形成と感染症との原因となる。 本発明者らは、本明細書において、これら重要な状況三つすべてを抑止する独特 な性能を有するM-EDTA溶液を開示するとともに、カテーテル由来の感染症とその 発症を抑制する効果的な方法を提供する。 CVC由来の感染症の75%は、表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌が原因となってい る。この他に10%〜15%がカンジダ属によって発症している。抗ブドウ球菌性抗生 物質を用いると、CVC由来の感染症を減少させることはできるが、代わりに真菌 (カンジダ)による感染症が高率で発生することが認められている。ブドウ球菌 とカンジダにより産生される繊維性グリコカリックス物質は、これらの微生物が カテーテル表面に付着し、粘着するを促進して、上記で挙げたタイプの感染症を 発病させて、これを除去するどころか問題を悪化させてしまう。これらの微生物 による生物膜層は、繊維性グリコカリックス物質、実際には主としてポリサッカ リドからなっている。グリコカリックスは感染部位で保護鞘となり、感染症の除 去治療を効果的に妨害する。このようなグリコカリックスを効果的に分解する薬 剤があれば、特にグリコカリックスが形成されている部位で発現したカテーテル 感染症を治療する問題の解決になるはずである。 各種の異なる微生物によって、組成が異なるグリコカリックスが産生される。 例えば、縮小条虫(Hymenolepis diminuta)(サナダ虫)のよって産生されるグ リコカリックスは大部分がタンパク質からなっていて、0.02M-EDTAまたは3Mの KCl12により処理すると除去することができると報告されている。しかしながら 、この物質とは組成が異なる、集落を形成して、カテーテル感染症を起こすこと を特徴とする微生物によって形成されるグリコカリックス物質がある。例えば、 ブドウ球菌属の数種の菌株が産生するグリコカリックスは主としてポリサッカリ ドからなり、タンパクは低濃度〜微量しか含まれていない13(Tojo et al.at pg . 716,Table 1)。カテーテル感染症に共通する微生物が産生するグリコカリッ クスはしたがって、サナダ虫、すなわち縮小条虫のグリコカリックスとは組成が 異なる。カテーテルで集落を形成し、カテーテル感染症を起こすことを特徴とす る感染性微生物のグリコカリックスを減少あるいは除去する効果的な医療用製剤 は、まだ同定されるに至っていない。 このような感染性微生物は、それ自体グリコカリックス保護層に包埋し、宿主 の食細胞作用からブドウ球菌や真菌を保護する防護物ないし隠れ場所を提供する ことを特徴としている。これらの臨床的に重要な病原菌からグリコカリックスが 形成されるのを消滅あるいは防止する薬剤または組成物は、カテーテル由来の典 型的なブドウ球菌感染症やカンジダ感染症を防止する重要な突破口になるはずで ある。 さらにまた、トロンボゲン形成(thrombogenesis)と感染症との間に相関関係 があることも観察されている。留置脈管カテーテル模式的に、フィブリン鞘(fi brin sheath)で包まれ、このフィブリン鞘がカテーテルの内表面と外表面を被 覆するように作用する。このフィブリン鞘により、ブドウ球菌やカンジダのカテ ーテル表面に対する付着力を増進する。これらの特定病原菌とは異なり、グラム 陰性菌はフィブリンやフィブロネクチンに対する付着力が乏しい。したがって、 フィブリンの形成を阻害する組成物は、留置カテーテル部位において上記病原菌 が集落を形成するのを阻止するのに特に有用であろう。 また、CVCを長期間施術する場合、カテーテルの中心部から管内に集落が形成 されると、やがてカテーテル由来の感染症や敗血症が発症する。本発明者らはCV Cの長期施術患者について実験を行った(カテーテルの定量的培養物による研究 )。これによると、培養物が陽性であり、対応するコントロールが陰性であると 判定されたCVCの内表面で形成される集落と生物膜は、10日間以上留置したカテ ーテルの外表面より二倍以上多かったことを立証された(EMにより定量)。この 実験結果を本明細書で開示する。このデータは、非トンネル(nontunneled)、 非カフ(noncuffed)経皮CVCによるものである。トンネル(tunneled)CVC(Hic kman/Broviac)および開口部(ports)においては、内側での集落形成が一層顕 著であった。ブドウ球菌、真菌に対して、ならびにカテーテル中心部で微生物が 管内集落を形成する際に観察されるようなポリサッカリド濃度が高いグリコカリ ックスの形成に対して効果的な、医療用抗凝血製剤が開発されれば、CVCの長期 施術由来のトロンボン形成と敗血症の治療排除を解決することになる。 EDTAは血液採取の際に用いられる抗凝血剤であるが、同時に抗菌効果と抗ブド ウ球菌効果(単独、および併用)を持つとされている。Root9はEDTAを脈管カテ ーテルに使用する実験を行い、ヘパリン単独と比較し、さらに試験管内でバンコ マイシン−ヘパリン製剤を使用する場合と比較して、EDTAが抗菌剤であると報告 した。これらの研究者らはEDTAには若干の殺菌作用があるとの所見を得た。しか しながら、生体内のカテーテル由来の感染症に見られるような細菌のグリコカリ ックスを治療できるもの、あるいは治療できる可能性のあるものは観察あるい報 告されていない。 グリコペプチド抗生物質(バンコマイシンおよびテイコプラニン(teicoplani n))は、試験管内および組織内においてブドウ球菌に対して活性を有する。バ ンコマイシンは、現在のところ表皮ブドウ球菌と耐性黄色ブドウ球菌の治療に用 いられる標準抗生物質である。しかしながら、これらの抗生物質はグリコカリッ クスなどの、生物膜層に包埋している付着性ブドウ球菌に対しして活性を持たな い。さらに、これらの薬剤でフラッシングされるカテーテルは初期菌株のブドウ 球菌を撲滅するが、感染症を持続させる耐性種の微生物に対しては一般に効果が ない。したがって、バンコマイシンなどの抗生物質でフラッシングしてもカテー テル感染症に対しては限られた治療価値しかない。 カテーテルを維持するための理想的な予防薬剤、あるいは処理方法は、微生物 が産生するポリサッカリド濃度が高いグリコカリックスの形成を阻害消滅し、さ らにブドウ球菌および真菌の感染性増殖を阻害するものでなくてはならない。 本発明の目的は、生物膜に包埋している移動性(free-floating)ならびに付 着性微生物に対して効果的な活性を有する抗ブドウ球菌剤および抗真菌剤(抗カ ンジダ剤)の両方を提供し、ポリサッカリド(多糖類)濃度が高い繊維性グリコ カリックス生物膜層の形成を阻害する抗凝血剤および/または方法を提供するこ とにある。上記薬剤は、トロンボンにより内腔が閉塞するのを防止し、且つトロ ンボンの形成を防止する。本発明の第二の目的は、ヒトに毒性を懸念することな く内腔に投与できる薬剤と、付着性ブドウ球菌とカンジダを殺菌する方法を提供 することにある。この方法ではカテーテルに由来しない感染症の治療に用いるこ とを特徴とする医療用薬剤(バンコマイシン、Ampho B、Azolesなど)を使用しな いことが好ましい。 本発明において、ミノサイクリン/二ナトリウムEDTA(minocycline/disodium EDTA。以下、M-EDTAと称する)の混合剤により上記すべての目的を達成するこ とができることを立証する。 発明の要旨 本発明により、ミノサイクリンとEDTAを含有する独特にして効果的な医療用製 剤を提供する。これらの合剤は、生体内でカテーテルなどの医療装置を開孔させ ておくことに有効であることが立証されている。本発明の説明で用いる「開孔性 (patency)」なる語は、支障なく開いている、開通している、または開口して い る、特にカテーテルの開口部が微生物由来の、ポリサッカリド濃度が高い繊維性 グリコカリックスの形成により妨げられていないことを意味する。最良の実施態 様においては、薬学的に有効量のミノサイクリンとEDTAとが、薬学的に許容し得 る担体溶液中に溶解している製剤である。 この製剤中のEDTAは強力なグリコカリックス阻害力を有し、またミノサイクリ ンは高濃度で殺真菌効果と、ポリサッカリド濃度が高いグリコカリックス生物膜 層を浸透する独特の性能を持っている。したがって、ミノサイクリンとEDTAの合 剤は、独特な効果を有する抗凝血力、抗菌力、グリコカリックス阻害力、抗細菌 力、および抗真菌力を持っていて、トロンボンの形成、微生物の付着および装置 由来の感染症を予防する。 本発明者らは、ミノサイクリンが意外にも、バンコマイシンの少なくとも6倍 効果的に、ポリサッカリド濃度が高い微生物由来のグリコカリックス生物膜層に 浸透する活性を有することを立証する。さらにまた本発明者らは、生体内のカテ ーテル移植部位において、ポリサッカライド濃度が高い微生物由来のグリコカリ ックスが形成されるのを効果的に予防溶解することを立証する。 本発明のさらに異なる実施態様において、ミノサイクリンを抗菌剤として使用 する方法を提供する。ミノサイクリンは、実際の生体内実験において(グリコカ リックス中に包埋している(実施例4))付着ブドウ球菌を殺菌し、抗菌剤とし てはバンコマイシンより優れていること(表3)が立証されている。 カテーテルを開口しておくために使用する場合、本発明の医療用製剤は、体液 が支障なく流れる流路を必要とするほとんど全ての装置と、効果的に併用するこ とができる。例えば、この種の装置としては中心静脈カテーテル、末梢静脈カテ ーテル、動脈カテーテル、スワン−ガンツ(Swan-Ganz)カテーテル、血液透析 カテーテル、臍カテーテル(umbilical catheter)、経皮非トンネルシリコンカ テーテル、カフトンネル(cuffed tunneled)中心静脈カテーテル、ならびに皮 下 中心静脈開口部(subcutaneous central venous port)が挙げられる。 最良の実施態様において、M-EDTA溶液はEDTA濃度約10〜約100mg/ml(好まし くは、約20〜約60mg/ml)およびミノサイクリン濃度約0.001〜約100mg/ml(好 ましくは、約2〜約9mg/ml)を含有して調製される。装置またはカテーテルフ ラッシング溶液としてのこの製剤は、最も好ましくはEDTA約30mg/mlとミノサイ クリン約3mg/mlを含有する。ミノサイクリンは、好ましくは市販のミノサイク リン100mgバイアル(Minocin Intravenous,レダリー社(Lederle,Carolina,P uerto Rico))などの中身に、水を加えてミノサイクリン製剤に調製する。担体 溶液は例えば、食塩水、好ましくは市販の無菌食塩水からなる。 本発明のさらに異なる実施態様において、カテーテルフラッシング溶液を提供 する。最も好ましくは、カテーテルフラッシング溶液は薬学的に許容し得る担体 溶液中に、グリコカリックス阻害濃度のEDTAとミノサイクリンを含有する。具体 的には、フラッシング製剤中のEDTA濃度は約1〜約100mg/mlであり、ミノサイ クリン濃度は約0.001〜約100mg/mlである。最も好ましくは、カテーテルフラッ シング溶液はEDTA約30mg/mlとミノサイクリン約3mg/mlを含有する。 フラッシング製剤の担体溶液の例としては、食塩水、好ましくは無菌食塩水が 挙げられる。本発明のカテーテルフラッシング製剤は、ポリサッカリド(多糖類 )濃度が高いグリコカリックスの形成を阻害する目的に、有利に使用することが できる。このため、組成の少なくとも50%がポリサッカリドであるグリゴカリッ クスなど、ポリサッカリド濃度が高いグリコカリックスの存在を特徴とする感染 症を効果的に治療および/または消滅することができる。 本発明の説明のために、「グリコカリックス阻害濃度」なる語は、ポリサッカ リド濃度が高いグリコカリックス形成物を退化、溶解またはその他の手段で阻害 するに有効な、ミノサイクリン、EDTAまたはそれらの合剤の濃度であると定義す る。ポリサッカリド濃度が高いグリコカリックスの例としては、黄色ブドウ球菌 および表皮ブドウ球菌を原因としてブドウ球菌感染症が発病していることを特徴 とするものが挙げられる。 本発明のさらに異なる実施態様において、生物膜耐性装置、ならびにミノサイ クリンまたはEDTAのいずれか一つで被膜した生物膜耐性装置を調製する方法を提 供する。最も好ましくは、装置をミノサイクリンとEDTAの合剤で被膜する。一実 施態様における方法は、装置をミノサイクリンとEDTAを含有する被膜用製剤で被 膜することからなっている。この方法はグリコカリックス形成を阻害することを 所望するほとんど全ての表面を被膜することに用いることができる。しかしなが ら、この方法は特にカテーテル装置の被膜に用いることを意図している。この方 法により、ブドウ球菌を特徴とするものなど、ポリサッカリド濃度が高い(ポリ サッカリド含量少なくとも約50%)グリコカリックスに耐性である装置が提供さ れることを期待している。各種カテーテルはいずれも、当業者によく知られてい る塗膜術を用いる方法により処理または被膜することができる。本発明で調製処 理することができるカテーテルの例としては、中心静脈カテーテルおよび三重内 腔カテーテル(triple Iumen catheter)が挙げられる。 最良の実施態様において、ミノサイクリンおよびEDTAを含有する医療用製剤を 用いて生物膜耐性医療装置を調製する方法は、最も好ましくは生体適合性(bioc ompatible)を有する付着性塗膜用担体溶液により、ミノサイクリンまたはEDTA のうち少なくともいずれか一つの溶液を調製すること、および装置の表面にミノ サイクリン、EDTAまたはこれらの合剤の薄膜を形成するに充分な時間、所望の医 療装置の表面をこの溶液で処理することからなる。カテーテル表面に生物膜耐性 被膜を調製するのに、この方法を用いることが最も好ましい。 上記の代わりに、先ず装置表面を界面活性剤で処理する方法によってもM-EDTA 製剤の塗膜を造ることができる。界面活性剤の例としては、塩化トリドデシルメ チルアンモニウム(tridodecylmethyl ammonium chloride)が挙げられる。予め 表面に界面活性剤を含ませてあるカテーテルが、Bioguard Cookカテーテルとし て市販されている。この界面活性剤を含有している装置を、ミノサイクリン、ED TAまたはM-EDTAの溶液中に、溶液が装置表面に浸透するに充分な時間浸漬する。 例とした挙げると、本発明者らはミノサイクリン約60mgおよび/またはEDTA約60 mg/mlを含有する溶液の場合室温で約15分間浸漬するだけで、装置表面に溶液の 被膜ができることを見いだしている。このようにした装置は風乾し、使用前にガ ス滅菌することが好ましい。 本発明の説明で用いる「生物膜耐性」装置または表面なる語は、一般にグリコ カリックスと称されている形成物など、ポリサッカリド濃度が高い(ポリサッカ リド50%以上)形成物を産生する微生物の付着または増殖を阻害する表面または 装置であると定義する。グリコカリックスを産生する微生物には、ブドウ球菌属 微生物、特に黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌がある。しかしながら、ポリ サッカリド濃度が高い物質を産生する微生物はすべて、本明細書で説明する装置 、表面、医療用製剤および方法により同様に阻害されている。 本発明の方法により、カテーテル開口部のポリサッカリド濃度が高いグリコカ リックス形成を特に効果的に阻害する。一実施態様における方法は、EDTAおよび ミノサイクリンのうち少なくとも一つのグリコカリックス阻止濃度と、薬理的に 許容し得る担体溶液を含有する製剤で、定期的にカテーテルを洗浄することから なっている。方法の一実施態様において、フラッシング溶液中のEDTAのグリコカ リックス阻止濃度は、約0.01mg/ml〜約100mg/mlである。最も好ましいEDTA濃 度は約30mg/mlである。上記方法の一実施態様において、カテーテルはトンネル カテーテルまたは非トンネルカテーテルとして説明することができる。カテーテ ル保全方法の一部として、カテーテルを前記製剤により約24〜約48時間ごとに少 なくとも一回フラッシングすることが最も好ましい。 方法のさらに異なる実施態様において、医療用製剤はミノサイクリンを含有し ている。製剤に含有されるミノサイクリンのグリコカリックス阻止濃度は約0.00 1mg/ml〜約100mg/mlの濃度である。ミノサイクリンの最も好ましい濃度は、 約3mg/mlである。 詳しく説明すると、微生物由来のグリコカリックス形成物、特にポリサッカリ ド濃度が高い(ブトウ球菌由来の)グリコカリックス形成物をカテーテル内腔で 消滅させる方法は、担体溶液中にミノサイクリンとEDTAを溶解してM-EDTA製剤を 作り、ポリサッカリドグリコカリックスを低減するに充分な、有効治療量のM-ED TA製剤でカテーテルをフラッシングすることからなる。一実施例において、M-ED TA製剤は、濃度約0.001〜約100mg/ml(好ましくは、約2〜約9mg/ml)のミノ サイクリンと、濃度約10〜約100mg/ml(好ましくは、20 60mg/ml)のEDTAを含 有している。したがって、前記M-EDTA製剤の治療有効量とは、前記溶液約1〜約 10ml(好ましくは、約2〜約3ml)である。 この方法によれば、モニターするカテーテルまたは装置の容積にもよるが、カ テーテルまたは装置のフラッシング一回あたりEDTA約30mg/mlとミノサイクリン 約3mg/mlを含んでいる前記のM-EDTA製剤約3ml用量を使用する。例えば、標準 サイズのトンネルCVCカテーテル(Hickman/Brovia)は、少なくとも約24時間〜 約48時間ごとに一回M-EDTA製剤約2〜約3mlで定期的にフラッシングする。この 方法の最良の実施態様では、少なくとも約4時間ごとに一回など、より頻繁に本 明細書で説明するM-EDTA製剤でフラッシングしている。 カテーテルフラッシング用M-EDTA製剤は、冷蔵温度で保管すると調製後少なく とも1ケ月は治療上有効である。M-EDTA製剤を使用する場合、室温に戻してから 動物あるいは患者に使用する。 前記製剤は黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌や真菌がカテーテル表面に付着し たり、集落を形成するを防止するのに有効であり、これらの感染性微生物からグ リコカリックス形成物が既に形成されてしまっている場合、これを処理消滅する のに有効であることが認められている。 本発明の抗菌耐性医療装置は、ミノサイクリン、EDTAまたはM-EDTA合剤によっ て被膜された医療装置であると説明することができる。この被膜は本発明者らに よって、生体内の留置カテーテルの特徴である医療装置開口部を開口させておく のに有効であることが立証されている。したがって、この被膜は開口部または注 入口(portals)を少なくとも一個を持つ医療装置に特に効果がある。これら装 置の最良の実施態様において、装置はM-EDTAによって被膜されている。被膜用M- EDTA溶液は1ml当り、ミノサイクリン約60mgおよびEDTA約69mgを含有している。 本発明の説明には、次の略語が使用されている。 CVC= 中心静脈カテーテル(Central Venous Catheters) MRD= 改良ロビン装置(Modified Robbin's Device) M-EDTA= ミノサイクリンとEDTAとの合剤 D10/W= 10%デキストロースと水の混合物 簡単な図面の説明 図1はコントロールカテーテルセグメントを表皮ブドウ球菌を産生する粘液に 暴露した後、24時間デキストリナーゼに浸漬したものから採取した、ブドウ球菌 と生物膜の走査電子顕微鏡写真である。(実施例6の結果) 図2はカテーテルセグメントを表皮ブドウ球菌を産生する粘液に暴露した後、 24時間ウロキナーゼに浸漬したものから採取した、生物膜層の走査電子顕微鏡写 真である。(実施例6の結果) 図3はカテーテルセグメントを表皮ブドウ球菌を産生する粘液に暴露した後、 24時間EDTAに浸漬したものの典型的に透明な表面の走査電子顕微鏡写真である。 白色の粒子は粉じんの粒子である。(実施例6の結果) 図4はカテーテルセグメントをコントロール溶液(食塩水)で塗膜した後、表 皮ブドウ球菌を産生する粘液に暴露したものから採取した、生物膜層の球菌の形 態を高倍率で撮影した走査電子顕微鏡写真である。(実施例7の結果) 図5は、球菌の形態と生物膜を示す図4のカテーテルのうち、異なる領域を低 倍率で撮影したものである。(実施例7の結果) 図6は、デキストリナーゼで前処理をしたカテーテル表面の顕微鏡写真である 。カテーテル表面をデキストリナーゼで前処理または塗膜したものを、ブドウ球 菌に暴露した時の走査電子顕微鏡写真である。写真では、厚い生物膜層上に沢山 の球菌形成物が見える。これらの球菌形成物は、ブドウ球菌が集落を形成してい ることを示している。 図7は、コントロール(食塩水処理)カテーテルセグメント表面上に繊維性グ リコカリックスが形成されているのを示す電子顕微鏡写真である。4時間生理食 塩水でフラッシングする前。 図8は、ミノサイクリンで塗膜したカテーテルセグメント表面上に異常(dera nged)繊維性グリコカリックスが存在しているのを示す電子顕微鏡写真である。 4時間食塩水でフラッシングする前。 図9は、コントロール(食塩水処理)カテーテルセグメント表面上の繊維性グ リコカリックスを示す電子顕微鏡写真である。4時間食塩水でフラッシングした 後。 図10は、ミノサイクリンで塗膜したカテーテルセグメント表面上の繊維性グリ コカリックスを示す電子顕微鏡写真である。4時間食塩水でフラッシングした後 。 図11は、EDTAの安定性(A)とミノサイクリンの安定性(B)を示す。 最良の実施態様の詳細な説明 本発明は、ミノサイクリン、EDTAおよびその合剤の治療に有効な処方を提供す るものである。本発明者らはこれらの処方が、表面で微生物が形成する集落に随 伴することを特徴とする「生物膜」またはポリサッカリド濃度が高いグリコカリ ックスの形成を防止する上で特に有用であることを見いだした。特に、これらの 処方は、ポリサッカリド濃度が高いグリコカリックス形成物を分解し、その形成 を阻害する上で最も効果的である。この特徴により本発明の製剤は、ポリサッカ リド濃度が高いグリコカリックスが既に形成されてしまっている、あるいはこれ から形成されようとするブドウ球菌感染症の治療、ならびにブドウ球菌や真菌感 染症の予防治療に有用であると考えられる。 本発明はさらに、ブドウ球菌または真菌感染症を防止する、M-EDTAで処理また は塗膜したカテーテルなどの医療装置を提供するものである。 本開示で説明する実験に使用したミノサイクリン(M)は、レダリ−社(Lede rle,Minocine(登録商標)(静注用100mg);Carolina,Puerto Rico)から入 手した。本開示で説明する実験に使用した二ナトリウムEDTAは、アボット社(Ab bott Co.,Endrate(登録商標)(静注用150mg);Chicago,IL)から入手した 。医療用M-EDTA製剤の実験では、ヒトのカテーテル使用方法を予測するものとし て15、16常習的に用いられ、且つ受け入れられているスクリーニング器具である 改良ロビン装置を使用した。このモデルは、テキサス州ヒューストン市のM.D.ア ンダーソン癌センターで製作された。 本明細書で説明する実験には、次の薬剤を使用した。 本発明の説明にはある程度の特異性を持たせているが、開示内容を参考にすれ ば当業者にとって多くの代案、改良や変法ができることは明かである。したがっ て、このような代案、改良および変法で、本発明の趣旨と範囲内に入るものはす べて、本明細書で述べる特許請求範囲内とする。 次の実施例により本発明の最良の実施態様を説明するが、これをもって本発明 の特許請求範囲を限定するものと解釈してはならない。 次に述べる実施例は、本発明者らが見いだした本発明の実施に良く機能する技 術を説明するもので、したがって最良の実施態様をなすものと考えられることは 、当業者にも理解されることであろう。しかしながら、当業者がさらに本開示内 容を見ると、開示された特定の実施態様を変更しても、本発明の趣旨と範囲を逸 脱することなく類似または同様の結果を得ることができることを理解するであろ う。 実施例1−M-EDTA製剤の調製 本実施例において、カテーテルや医療装置のフラッシング溶液として使用する M-EDTAの医療用製剤の調製方法を詳細に説明する。EDTAはシグマ社から入手した 。ミノサイクリンはレダリー社から入手した。 次のようにして、食塩水溶液中にミノサイクリン約3mg/mlとEDTA約30mg/ml を含有するるM-EDTA溶液を調製した。食塩水により、別個にEDTA(60mg/ml)溶 液とミノサイクリン(3mg/ml)溶液を調製した。EDTAは、エデテートカルシウ ム二ナトリウム(Edetate Calcium Disodium)(Versenste(登録商標);3M Ri ker社、Northridge,CA)200mg/mlを水と混合するか、あるいはエデテートニナ トリウム(Edetate Disodium)(Endtrate(登録商標);Abbott社、Chicago,I L)またはDisotate(登録商標);Forest社、Maryland Heights,MO)非経口濃 縮剤150mg/mlを水と混合して調製した。この代わりに、EDTA末(シグマケミカ ル社、St.Louis,MO)と水を混合してEDTA60mg/mlを調製した。ミノサイクリ ンはレダリー社から入手し、ミノサイクリン濃度約3mg/mlとなるに充分な量の 食塩水と混合した。 ミノサイクリンの6mg/ml溶液と、EDTAの60mg/ml溶液とを等量づつ混合して 、ミノサイクリン3mgと、EDTA30mgを含有する溶液を調製した。その後、この溶 液のpHを生理的に許容し得る7.4とした。溶液は無菌容器に保存した。 M-EDTAは、調製完了後使用時まで4℃で冷蔵した。このように調製した溶液は 、4℃で少なくとも1ケ月間は化学的に安定であり、薬理的に活性を保持できる と考えられる。製剤は、室温(37℃)で少なくとも72時間は非常に安定である( 表1および図11)。さらに、この製剤は一旦室温に戻してから、患者や動物に投 与しなくてはならない。 実施例2 改良ロビン装置モデル 本実施例において、本発明のミノサイクリンとEDTAとの製剤の抗菌力と治療有 用性を検討するために用いた実験モデルを説明する。 改良ロビン装置(MRD)は試験管内モデルで、表皮ブドウ球菌がカテーテルセ グメント上で生物膜を形成し、集落を形成するのを検討する目的で使用した。こ れは良く確立されたモデルで、Nickel et al.15およびEvans and Holmes16で記 述されており、当業者がカテーテル表面の生体内効果を予測するものとして認め ている実験モデルである。 MRDは、2×10mmの内腔を持つ長さ42cmのアクリルブロックからなっている。MR Dには等間隔で設けられた25個のサンプル注入口(specimen plugs)があり、そ の各々はカテーテルのラテックス製セグメントに接続している。カテーテルセグ メントの前部表面は(0.3cm2)、これと接続しているチューブと注入バッグから フラッシュされてくる注入物(infusate)に接触する。次に説明する実施例で、 このモデルを使用して数件の実験を行った。 実施例3−表皮ブドウ球菌の阻害 本実施例において、カテーテルなどの医療装置の内外で表皮ブドウ球菌を阻害 する本発明の有用性を立証する。本実験では実施例2で説明したモデルを使用し た。これら実験の結果は、本発明が生体内においてカテーテルの開口性を処理維 持する有用性、より詳しくは、カテーテル表面に表皮ブドウ球菌が付着したり、 グリコカリックスが形成されるのを阻害する有用性があることが立証されている 。 実施例2で説明した改良ロビン装置のサンプル注入口(specimen plugs)に、 カテーテルセグメントを置いた。カテーテルセグメントをサンプル注入口に置い た後、装置全体をエチレンオキシドで滅菌した。10%デキストローズ/水で満た した500mlバッグを、表皮ブドウ球菌4×108CFU/mlで感染させた(D10/Wの1ml 当り、8×103CFUを産生)。この感染注入物を流速50ml/hrで3時間MRD中を(腫 動ポンプを用いて)フラッシングさせた。浮遊している、あるいは付着が緩いブ ドウ球菌をすべて取り除く目的で、感染バッグを外し、新しい無菌の(D10/Wを 入れた)バッグを用いてMRDのフラッシングを行った。流速40ml/hrで24時間D10 /WによりこのMRDのフラッシングを行った。この後、同一サイズのカテーテルセ グメントを次の溶液の一つを含むチューブに入れる処理を行った。 1. ウロキナーゼ(5000単位/ml) 2. ヘパリン(1000単位/ml) 3. EDTA(50mg/ml)、および 4. トリプシン(20,000単位/ml) 4時間および24時間後、カテーテルの代表的なセグメントを装置から外し、Kh oury et al.(1991)14が記述している切屑音波破砕法(scrape-sonication tec nique)を用いて定量的に培養して、微生物をカテーテル表面から分離した。Kho ury et al.の引用文献は、この目的のため引用することにより本発明の一部とす る。実験の温度条件は37℃であった。 この実験結果は表2に示す。これらの結果は、カテーテル表面をEDTAで処理す ると、処理後4時間でカテーテル表面に付着している表皮ブドウ球菌が集落を形 成するのを防止する効果があったことを示している。これとは対照的に、カテー テルセグメントをウロキナーゼ、ヘパリンおよびトリプシンで処理すると、処理 後4時間における付着表皮ブドウ球菌か集落を形成するのを防止する効果、およ び付着そのものを防止する効果は著しく劣っていた。 実施例4-M-EDTAおよび生物膜形成の防止 本実施例では、M-EDTA製剤により医療装置の表面にでグリコカリックス濃度が 高い生物膜が形成されるのを防止する効果を立証するとともに、ミノサイクリン およびEDTA製剤の抗ブドウ球菌活性を立証する。 本実施例は、次の点を変えた以外は、実施例3と同様にして行った。 1. ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌)に対する暴露度を 強化して、D5/Wのブドウ球菌3×106CFUCFUにより、MRDを6時間(実施例3 では3時間)フラッシングした。 2. カテーテルセグメントを37℃で、下記の種々の10%ブイヨン溶液に暴露 することにより、カテーテルのセグメントに付着しているブドウ球菌の成長を促 進して、増殖させた。この10%ブイヨン溶液は、無菌H2O 9mlにトリプチケース( trypticase)大豆ブイヨン1mlを添加して調製したEDTAの10%ブイヨン溶液(30mg /mlの10%ブイヨン溶液)、ヘパリンの10%ブイヨン溶液(10%ブイヨン中に、100 単位/ml)、ウロキナーゼの10%ブイヨン溶液(10%ブイヨン中に、5000単位/ml )、ミノサイクリンの10%ブイヨン溶液(10%ブイヨン溶液中に、3mg/ml)、ミノ サイクリン/EDTAの10%ブイヨン溶液(10%ブイヨン溶液中に、ml当り3mg/30mg) 、バンコマイシンの10%ブイヨン溶液(10%ブイヨン溶液中に、3mg/ml)、バン コマイシン/ヘパリンの10%ブイヨン溶液(10%ブイヨン溶液中に、バンコマイシ ン3mg+ヘパリン100単位/ml)、またはD5/Wブイヨン(50mg/mlの10%ブイヨ ン溶液)。 これらの実験結果を、表3(表皮ブドウ球菌)および表4(黄色ブドウ球菌)に 示す。 表3で見られるように、ウロキナーゼ、ヘパリンおよびデキトローズ各々単独 の溶液は、カテーテル処理後4または24時間において表皮ブドウ球菌が付着する のを防止根絶するのに、等しく効果がなかった。ミノサイクリンおよびミノサイ クリン/EDTAは、処理後4時間において表皮ブドウ球菌が付着するのを防止根絶 する効果を認めた。4時間における効果は、ミノサイクリン/EDTAがミノサイク リン単独よりもやや優れていた。EDTA単独とバンカマイシン/ヘパリンの、4時 間における防止効果は最低限度のものにすぎなかったが、24時間後ではより効果 的であることを認めた。バンコマイシン単独では4および24時間後ともに等しい 、部分的な防止効果を認めた。M-EDTAは、バンコマイシン、バンコマイシン/ヘ パリン、ミノサイクリン単独またはEDTA単独を含み、実験対象薬剤のいずれより も優れていた。 表4は、ミノサイクリンおよびミノサイクリン/EDTAが黄色ブドウ球菌の付着 に対して最も効果的な阻害剤であり、処理後4時間では付着菌の集落が0であっ たこと示している。EDTA単独、バンコマイシン単独およびバンコマイシン/ヘパ リンは、黄色ブドウ球菌の付着を防止する効果が著しく劣っていた。これら後者 の3製剤は、特に処理後24時間では若干の部分的な抗付着活性を認めた。 これらのデータ(表3および表4)は、ミノサイクリンが単独使用、EDTAとの 併用いずれの場合でもカテーテル表面で表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌が 付着したり、集落を形成するのを阻害する効果があることを示している。 実施例5 − M-EDTAおよびカンジダ・アルビカンス(C.albicans)付着の阻害 本実施例において、グリコカリックスや生物膜を形成する、カンジダアルビカ ンスなどの他の微生物を阻害するM-EDTA処方の有用性を立証する。 本実施例では、実施例1で説明したM-EDTAフラッシング処方を用いた。次の変 更を行った以外は、実施例4と同様にして実施した。使用した微生物は、カテー テル由来のカンジダ血症患者の血流から採取した。D5/Wの1mlにつき、カンジ ダアルビカンス4×102CFUを感染させて感染注入物(infected infusate)を作り 、 これによるMRDのフラッシングを6時間行った。実験結果は表5に示す。 本実施例は、ミノサイクリン/EDTAが独特な抗ブドウ球菌剤であり、また抗真 菌剤であることを示している。バンコマイシン(基準抗ブドウ球菌剤)は、単独 使用、ヘパリンとの併用いずれの場合でも、抗カンジダアルビカンス活性を示さ ず、カンジダ・アルビカンスに対してはデキストローズ、ウロキナーゼまたはヘ パリン溶液と大差はなかった。 EDTA単独では24時間後若干の抗カンジダアルビカンス活性を認め、一方ミノサ イクリン単独では4時間後若干の活性があり、24時間後でも同様であると考えら れる。ミノサイクリンとEDTAとの併用(M-EDTA)では、抗カンジダアルビカンス 活性の相乗効果が認められ、4および24時間暴露した後真菌の付着を事実上すべ てを根絶する阻害効果があった。したがってM-EDTAは、カテーテル表面にブドウ 球菌や真菌が付着するのを防止する独特の薬剤である(ブドウ球菌と真菌は、カ テーテル由来感染症の病因の95%〜100%を占める)。 これらの結果は、ミノサイクリンとEDTAとの合剤溶液は、塞栓溶解剤(ウロキ ナーゼ)、抗凝血剤(ヘパリン、EDTA)または抗ブドウ球菌製剤(ミノサイクリ ン、バンコマイシン、バンコマイシン/ヘパリン)などいずれの薬剤よりも、表 皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌および真菌がカテーテル表面に付着するのを防止 するより効果的な、より効果が早い薬剤であることを示している。 実施例6−表皮ブドウ球菌の生物膜形成およびヘパリン、 ウロキナーゼとデキストリナーゼによる処理 本実施例においては、カテーテル表面に集落を形成した表皮ブドウ球菌を走査 電子顕微鏡で分析することにより、表皮ブドウ球菌のグリコカリックス生物膜を 分解するヘパリン、ウロキナーゼ、およびデキストリナーゼの相対的な活性を検 討する。 カテーテル1個のうち、各部分のセグメントを表皮ブドウ球菌に暴露した後、 24時間にわたってヘパリン、ウロキナーゼまたはデキトリナーゼに暴露して、走 査電子顕微鏡で観察した。集落が形成されているカテーテル表面を24時間EDTAに 暴露したものにおいては、後に24時間ヘパリン、ウロキナーゼまたはデキストリ ナーゼに暴露した集落を形成した表面に較べて、生物膜(グリコカリックス)が 減少しているのが認められた(図1=デキストリナーゼ、図2=ウロキナーゼ、 図3=EDTA)図4=生理食塩水)。 実施例7−EDTA)デキストリナーゼまたは食塩水による カテーテル表面の前処理と、表皮ブドウ球菌による生物膜の形成 本実施例において、表皮ブドウ球菌の特徴である形生物などの、ポリサッカリ ド濃度が高い生物膜形成物の形成、およびカテーテル表面上のこれら微生物の付 着について、カテーテル表面をEDTAまたはデキストリナーゼで化学的に前処理を したものと、食塩水のコントロールと比較して効果を検討する。 カテーテル表面を、実施例5で説明した濃度のEDTA、デキストリナーゼまたは コントロール(食塩水)で被膜した後、表皮ブドウ球菌を産生する粘液(slime )に暴露した。 EDTA被膜の表面には、なんらの生物膜または微生物が認められなかった。しか しながら、デキストリナーゼで前処理をしたカテーテル表面では生物膜形成物が 観察された(図4および5=生理食塩水、図3=EDTA)図6=デキストリナーゼ で前処理)。 実施例8−カテーテルのミノサイクリン被膜 および微生物集落の形成 本実施例において、カテーテル表面にミノサイクリンを用いて、集落形成に対 する抗菌効果を検討する。 カテーテル表面を、ミノサイクリン、バンコマイシンまたはセメントにH2Oを 添加しものからなるコントロールにより被膜した。その後、カテーテル表面をブ ドウ球菌の臨床単離物に暴露した。この実験では改良ロビン装置を使用した(実 施例2参照)。改良ロビン装置は脈管カテーテルを刺激(stimulates)するので 、このモデルにより生体内効果を予測することができる。 メチルメタクリレート(セメント)1グラムを、無菌H2O 0.5mlおよび次のう ちの一つと混合した。 1. ミノサイクリン60mg 2. バンコマイシン60mg 3. コントロール(セメント+H2Oの単独) カテーテルのラテックス製セグメントを、改良ロビン装置のサンプル注入口に 置き、カテーテル内腔にセメント単独、セメントとミノサイクリンの併用または セメントとバンコマイシンの併用を等量づつ充填した。24時間後、水に5%デキス トローズを含む混合物からなる1リットル注入バッグを、表皮ブドウ球菌を産生 する粘液、1ml当り105〜108集落形成単位(CFU: colony forming units)を含む 5mlで感染させた。この粘液はカテーテル由来の菌血症患者から採取した。嬬動 ポンプを使用して、感染注入物を改良ロビン装置のカテーテルセグメントを経由 して、流速60ml/hrで2時間フラッシングした。 カテーテルセグメント各々は、30mm2のシリコンからなり、内腔にはセメント が充填されていた。2時間経過後、カテーテルセグメントの一部を(コントロー ルおよび抗生物質で被膜されているもの)サンプル注入口から外し、内腔のセメ ントを取り除いた後、感染液に暴露した表面をロールプレート法(roll plate t echnique)を用いて半定量的(semiquantitatively)に培養した。残ったセグメ ントは食塩水で4時間フラッシングした後ロールプレート法で培養した。 電子顕微鏡観察により、被膜していないコントロールカテーテルセグメントの 表面上に付着しているブドウ球菌と形成されている生物膜層を記録した。細菌を 接種した血液寒天プレートを培養し、この上にディスクの形をしたセメントを置 き、その周囲にできる阻止円を測定した。その結果、少なくとも1週間セメント から抗生物質が濾出していたことが認められた。抗生物質で被膜したカテーテル セグメントでは、細菌を接種した寒天プレート上に置いたディスク状のカテーテ ルセグメント(セメントなし)の周囲に少なくとも1週間阻止円が形成され続け たことが認められた。この実験結果を、表6に示す。 ミノサイクリンで被膜したカテーテルセグメント上では、コントロールやバン コマイシンで被膜したカテーテルセグメントと比較して、付着した表皮ブドウ球 菌数が著しく少なかった(表6参照)。しかしながら、繊維性グリコカリックス は、ミノサイクリン被膜のカテーテル表面では阻害されなかった。これらの所見 は走査電子顕微鏡観察でも確認された。以下の図を参照されたい。図7−フラッ シュ前の、コントロールカテーテルセグメント表面の繊維性グリコカリックスを 示している。図8−フラッシュ前の、ミノサイクリン被膜によるカテーテルセグ メント表面の異常)繊維性グリコカリックスを示している。図9−フラッシュ後 の、上記以外のコントロールカテーテルセグメント(食塩水)表面の繊維性グリ コカリックスを示している。および、図10−フラッシュ後の、ミノサイクリン被 膜によるカテーテルセグメント表面の繊維性グリコカリックスを示している。 これらのデータは、カテーテルをミノサイクリン単独で被膜することにより、 ブドウ球菌の付着を著しく減少できたことを示している。ミノサイクリン被膜の 表面では、繊維性グリコカリックスの形成を阻止することはできなかった。 実施例9−ミノサイクリンの安定性 および医療用EDTA製剤 本実験は、本発明の医療用M-EDTAフラッシング溶液の特性決定を目的として実 施する。M-EDTA溶液は約4℃で冷蔵すると、比較的長期間、即ち少なくとも1ケ 月間は力価を保持できると考えられている。 本発明の溶液について、室温条件(37℃)で力価保持試験を行った。M-EDTA溶 液は室温で少なくとも72時間、比較的に完全な抗細菌および抗真菌力価を保持す ること観察された。したがって、これらの処方薬剤は病院で常用するのに適当な 保存寿命を持っていると考えられる(表1および11参照)。 実施例10 カテーテル由来の感染症防止を対象とするM-EDTAと ヘパリンとの比較臨床実験 本実施例では、ヒトのカテーテル由来の感染症と閉塞を対象として、M-EDTAフ ラッシング溶液の効果と、ヘパリンフラッシング溶液(現在使用されている基準 製剤)の効果とを相対的に比較する実験の概略を述べる。 実験は、中心静脈カテーテル(CVC)の感染症と閉塞を防止するM-EDTAフラッ シュ溶液の有用性を、ヘパリンフラッシュ溶液と比較して立証することを目的と する。 本実験の材料および方法は、次の基準に基づいて選定する。受け入れ基準 1. 化学療法剤、血液産物または周期的な注入物の注入に用いられている、 新しく(7日間以下)、機能している中心静脈カテーテルを装着している患者で あること。 2. CVCが閉塞した場合あるいは発熱があった場合、外来科に来院して受診 できる患者であること。 3. 実験計画期間に充分な平均寿命があり、実験期間中カテーテルを正しく 装着していることができる患者てあること(患者11人当りの実験期間は6ケ月間 )。 4. 経皮/トンネル(percutanceous/tunneled)群のカテーテルは、Hickm an/Broviac型に限る。排除基準 1.閉塞した中心静脈カテーテルを装着している患者。 2.現在局所または全身カテーテル感染症を持っている患者。 3.三重内腔カテーテル(triple lumen catheters)を装着している患者。 4.ポリウレタンまたはテフロンカテーテルを装着している患者。 5.現在ワルファリン(warfarin)を服用している患者。 6.静脈塞栓症のためこれまでのカテーテルを外さなければならなかった患者 。 7.4時間留置しても、現在の疾患について毎日行っている治療に支障がない こと。 8.グロショング(Groshong)カテーテルを装着している患者。 治療計画: 患者はランダムに振り分け、二重盲検法により次の通りM-EDTAま たはヘパリンいずれかによりCVCのフラッシングを行う。 1.トンネルCVC(Hickman/Broviae)には次のいずれかを使用する。 (a)毎日、M-EDTA 2m1s(ミノサイクリン3mgおよびEDTA 30mg/mlを含有) (b)毎日、ヘパリン(100U/ml)2mls 2.注入口には次のいずれかを使用する。 (a)3週間毎、M-EDTA 2m1s(ミノサイクリン3mgおよびEDTA 30mg/mlを含 有) (b)3週間毎、ヘパリン(100U/ml)2mls 終了時点と治療の評価: 患者はすべて6ケ月間追跡し、二つの終了時点で評 価する。すなわち、カテーテル感染症/集落形成および閉塞である。カテーテル 感染症には、CVC由来の局所感染症またはカテーテル由来の全身性敗血症を含める 。陽性の末梢血液培養物がない場合または敗血症の臨床症状(発熱、寒けまたは 低血圧)がない場合、カテーテルの集落形成に、陽性のカテーテル定量的培養物 (フラッシング法)と、CVCから採取した血液の陽性の定量的培養物を含めるも のとする。実験期間中に発熱した患者は評価するともに、CVCおよび末梢静脈か ら血液を採取して定量培養を行う。カテーテルが閉塞した場合、CVCから採血で きない、液体を注入できない、あるいはその両方ができない、の観察にしたがっ て完全閉塞か部分閉塞のいずれかに分類する。感染カテーテルをこのようなサブ グループ分類したら、評価はサブグループ毎に別個に行う。 統計上の留意点: 本発明者らが最近行ったサーベィランス研究では(表7参 照)、小児の腫瘍患者における、CVC由来の敗血症の発生率は15%〜20.5%の範囲 である(表6参照)。成人患者の治療の臨床有用性を立証する場合には、この範 囲を用いることとなる。 この実験の結果は、ヒトの留置カテーテルの処理と、感染症が起こらない管理 方法の臨床プロトコルを開発ために使用される。 実施例11−生体内で使用するM-EDTA被膜装置の調製 本実施例において、M-EDTA溶液が医療装置、最も好ましくはカテーテルの被膜 材料として有用であることを立証する。 被膜法は各種あるがそのいずれを用いても、M-EDTA溶液から装置の保護被覆を 造ることができる。例えば、方法の一つにカテーテルなどの医療装置を、ミノサ イクリンとEDTAの溶液中に浸漬する方法がある。本実施例では、特にM-EDTAを被 膜したカテーテルの調製方法を説明する。 TDMACC界面活性剤を塗布したバイオガード・クック(Bioguard Cook)カテーテ ルを、次を含有する抗生物質溶液中に浸漬した。 1.ミノサイクリン60mg+EDTA 60mg/ml 2.ミノサイクリン60mg/ml 3.EDTA 60mg/ml カテーテルは、上記した三つの溶液各々に約15分間浸漬した。上記三つの溶液 で処理しなかったバイオガード・クック(つまり、抗生物質で被膜していない) は、陰性のコントロールとして使用した。クロルヘキシジン(chlorhexidine) とサルファダイアジン銀(silver sulfadiazine)で被膜したアローガード(Arr ow Gard)カテーテルは陽性のコントロール装置として使用した。アローガード カテーテルは抗菌剤で被膜してある。このカテーテルはMaki et al.の臨床実験 で言及されており、クロルヘキシジンとサルファダイアジン銀で被膜していない 標準ポリウレタン三重内腔CVCと比較して、カテーテル由来の血流感染症の発生 率を5倍減少させたと報告されている。その他の医療装置被膜方法 前述のように、本発明の製剤は医療装置の表面を処理する被膜材料として有利 に使用することができる。一般に、ポリエチレン、ダクロン、ナイロン、ポリエ ステル類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ラテックス、シリコン エラストマー類などの熱可塑性材料またはポリマー材料からなる表面を持つ医療 装置は、本発明のM-EDTA製剤による被膜に馴染みやすい。金属製の表面を持つ装 置も、上記に開示した合剤による被膜に馴染みやすい。このような装置、例えば 下記で列記するタイプの留置カテーテルは、本発明の抗生物質化合物を含有する セメント混合物によって被膜することができる。上記の代わりに、バイオガード ・クック・カテーテルなどの界面活性剤を既に塗布してある装置を利用すること もできる。この場合、装置表面に界面活性剤が存在するために、装置中に材料の 被膜を造ることできるのである。M-EDTA製剤を適用するのに、特に好適な装置の 具体例としては、脈管内、腹膜内、胸膜内および尿路内カテーテル;心臓弁;心 臓ペースメーカー;脈管シャント;および整形、眼内または陰茎プロテーゼが挙 げられる。 上記で説明したM-EDTA被膜製剤(EDTA60mg/ミノサイクリン60mg)により医療 装置表面を被膜するには、各種の方法を用いることができる。例えば最も簡単な 方法の一つはは、装置表面にM-EDTA製剤をフラッシュする方法である。一般に、 表面を簡単なフラッシング法で被膜するには、移植する装置にアクセスできる便 利さがなくてはならない。例えば、カテーテルは一般に、EDTAとミノサイクリン の溶液のフラッシングに馴染みやすい。被膜製剤としての有効濃度は、ミノサイ クリンの場合約0.001〜約100mg/mlの範囲で、好ましくは約60mg/mlであり、ED TAの場合約1〜約100mgg/mlの範囲で、好ましくは約60mg/mlである。被膜溶 液にはさらに、無菌水または通常の滅菌食塩溶液を加えるのが普通である。 装置の被膜方法のうちで好ましいものは、先ず医療装置の表面に、塩化トリド デシルメチルアンモニウム(tridodecylmethyl ammonium chloride: TDMAC)界 面活性剤を吸収させた後、M-EDTA製剤の被膜層を造る方法である。この装置をM- EDTAで被膜する方法では、先ずTDMACなどのカチオン界面活性剤をカテーテル表 面に吸収させる、つまりポリエチレン、シラスティックエラストマー類、ポリテ トラフルオロエチレン、またはダクロンなどのポリマー製表面を持つ医療装置を 、TDMACの5重量%溶液中に室温で30分間浸漬する。その後装置を風乾し、水で 洗って過剰のTDMACを取り除く。この代わりに、予めTDMACが被膜してあるカテー テルが市販されている。例えば、TDMACが被膜されている動脈カテーテルが、ク ック・クリティカル・ケアー社(Cook Critical Care,Bloomington,Indiana)か ら発売されている。この装置には吸収されたTDMAC界面活性剤の被膜がすでにあ るので、そのままM-EDTA合剤溶液と共に15分間〜1時間インキュベートし、無菌 水で洗って結合していないM-EDTAを除いて、移植時まで無菌包装中で貯蔵する。 一般にM-EDTA浸漬溶液は、pH7.4〜7.6の緩衝水溶液または無菌水中に、EDTA約10 mg/ml〜約100mg/ml(好ましくは、約60mg/ml)と、ミノサイクリン約10mg/ml 〜約100mg/ml (好ましくは、約60ml/ml)を含有している。 溶液中の薬剤を、界面活性剤で被膜されている移植用医療装置と結合させる方 法と薬剤が、アメリカ合衆国特許番号第4,442,133号、第4,678,660号および第4, 749,585号で開示されている。これらの特許はこの目的のため引用することによ りその全文を本発明の一部とする。医療装置をM-EDTA製剤で被膜する、さらに別 の有用な方法では、先ず表面を選択して、これを塩化ベンザルコニウム(benzaa lkonium chloride)で被膜し、続いてM-EDTAをイオン結合する。例えば、Solomo n,D.D.and Sherets,R.J.(1987)17および米国特許番号第4,442,133号18参 照。 医療装置の表面を抗生物質で被膜するさらに別の方法が、米国特許番号第4,89 5,566号(電離指数pKa6未満の負に負荷された基、負に負荷された基に結合して いるカチオン抗生物質を有する医療装置基板)、米国特許第4,917,686号(抗生 物質が膨潤剤に溶解されていて、この膨潤剤が医療装置表面材料のマトリックス に吸収される)、米国特許第4,107,121号(イオノゲンのヒドロゲルで医療装置 を造り、その後ヒドロゲルが抗生物質を吸収またはイオン結合する)、米国特許 第5,013,306号(抗生物質を、医療装置のポリマー製表面層に積層する)、およ び米国特許第4,952,419号(移植体表面にシリコン油の薄膜を貼り、このシリコ ン薄膜を持つ表面に抗生物質粒子を接触させる)に開示されている。 溶液を固体表面に被膜する方法は、上記以外にも数多くのものが無数の特許や 、医学専門誌の論文に掲載されている。明らかなように、本開示に接した通常の 技量を有する当業者が、本発明のミノサイクリンとEDTAの被膜製剤を医療装置表 面に被膜する、いくつかの異なる方法を知っていることもあろう。 表8に掲げるタイプの医療装置、特にカテーテルはM-EDTA溶液で被膜し、使用 時まで無菌包装中で貯蔵しておくことができる。 実施例12−医療用ミノサイクリン-EDTA製剤によって、 カテーテルを開口しておく方法 本実施例において、患者に装着した留置カテーテルを開口しておくために使用 できる方法の一実施例を説明する。この方法のM-EDTA用量では、患者は相対的に 低い、医療的に許容し得る濃度のEDTAとミノサイクリンに暴露されるだけである が、本発明者らは小児科領域において効果があることを立証した。しかしながら 、この方法は成人患者にも適用し得る可能性がある。 患者に装着した留置カテーテルは、ミノサイクリン/EDTA溶液でフラシングす る。カテーテルの「フラッシング」とは、カテーテル中でミノサイクリンが濃度 約9.0mg、EDTAが濃度約90mgとなるに充分な量のM-EDTA溶液をカテーテルに充填 することである。例えば、容量約2〜3mlのカテーテルの場合、溶液中にはEDTA が濃度約10mg/ml〜約30mg/ml、ミノサイクリンが濃度約1〜約3mg/mlで含有 されている。したがって、カテーテルを約3mlのM-EDTA溶液でフラッシングすれ ば、ミノサイクリン3〜9mg)EDTA約30〜90mgを含む用量となる。M-EDTA溶液は 、実施例1で述べた様にして調製する。 カテーテルの「フラッシングは」、M-EDTA溶液2〜3mlをカテーテルに添加し て行う。その後溶液はカテーテルを通して拡散し、カテーテルが移植されている 患者に到達する。溶液中のEDTAとミノサイクリン濃度は、患者が医療的に許容し 得るものより遥かに下回る濃度の薬剤に暴露される程度にしかすぎない。 カテーテルのフラッシングは、少なくと24〜72時間毎に(好ましくは、24時間 毎)定期的に反復実施して、カテーテル表面に微生物が集落を形成したり、生物 膜の形成が始まらないようにしなければならない。 実施例13 ガス滅菌後の抗生物質被膜カテーテルの効力 本実施例において、滅菌工程に対する被膜装置の安定性を立証する。次の実験 を行って、ミノサイクリン、EDTAおよびその合剤で被膜したカテーテルに対する ガス滅菌の影響を検討した。 実施例11と同様にして、M-EDTAで被膜されたカテーテルを調製した。このよう にして調製してカテーテルを、三つの代表群に分類した。試験管内において改良 カービィーバゥワー法(Kirby-Bauer technique)により、カテーテルを被膜し ている抗生物質の活性を測定した。このカービィーバゥワー法(Kirby-Bauer te chnique)は、Sherertz et al.が((1989)Antimicrob.Agents Chemother.,33 ;1174-1178)で説明しているが、この文献は特に、この目的のため引用するこ とにより本発明の一部とする。第一群のカテーテルは、浸漬後ガス滅菌を行うこ となく、直ちに試験した。第二群のカテーテルは、24時間後ガス滅菌を行うこと なく試験を行った。第三群はガス滅菌を行って、その24時間後に試験した。 改良カービィーバゥワー法は、カテーテル由来の表皮ブドウ球菌血症の単離物 を産生する粘液をトリプチケース大豆ブイヨン(trypticase soy broth)中で系 統別に増殖し、得た溶液をリン酸緩衝食塩水で10CFU mlに希釈することからなる 。ブドウ球菌懸濁液に棉棒を置いた後、この棉棒でトリプチケース大豆の寒天プ レートの表面全体をこすった。カテーテルは一本づつ、表皮ブドウ球菌で覆った 寒天に押し付けて、20mmづつに切断して、37℃で一晩インキュベートした。カテ ーテルの長軸に直角な阻止円の直径を測って、阻止円の大きさを測定した。 表9のデータは、M-EDTA製剤で処理したカテーテルの滅菌後阻止円の大きさは、 最大であったことを示している(0時間=40;24時間=34)。 生体内実験用として、カテーテルを長さ2cmのセグメントに切断した後、EDTA の60mg/ml溶液、ミノサイクリンの60mg/ml溶液各々に浸漬し、さらにミノサイ クリン60mg/mlとEDTA60mg/mlの混合物を含む溶液中に15分間浸潰した。カテー テルはすべて、一時間放置して乾燥し、ガス滅菌を行った。 表9にこれらの実験結果を示す。これらのデータは、M-EDTA被膜の抗表皮ブド ウ球菌活性が、無処理のカテーテルおよびアローガードカテーテルと比較して優 れていることを示している。 *クロルヘキシジン・グルコネートおよびサルファダイアジン銀により被膜。 実施例14 黄色ブドウ球菌のガス滅菌後における抗生物質被膜カテーテルの効力 本実施例において、ガス滅菌などの滅菌工程に対する、これまで説明されてき たM-EDTA被膜の安定性を、特に装置が保持する抗菌活性を測定することにより立 証する。 実施例13のプロトコルと同様にして、(カテーテル由来の菌血症から採取した 菌株の、黄色ブドウ球菌を用いて)本実験で使用するカテーテルを調製した。こ の実験では、0時間カテーテル、およびミノサイクリン単独またはEDTA単独で被 膜したカテーテルは対象から除外した。 *クロルヘキシジン・グルコネートおよびサルファダイアジン銀により被膜。 本実施例は、ミノサイクリン−EDTAで被膜したカテーテルの抗生物質活性が、 ガス滅菌によって影響されなかったこと、およびこれらのカテーテルの黄色ブド ウ球菌を阻害する活性は、アロー敗血症カテーテルの2倍であったことを示して いる。 実施例15 カテーテル由来の微生物に対するM-EDTA被膜カテーテルの比較効力 本実施例において、M-EDTAカテーテルの広範囲活性を立証する。M-EDTA被膜の カテーテルおよびアローガードカテーテルを使用して、実施例13および14と同様 にして阻止円を(改良カービィーバゥワー法により)測定して、表皮ブドウ球菌 、黄色ブドウ球菌、カンジダアルビカンスおよびグラム陰性菌(シュドーモナス ・アルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、キサントモナス・マルトフィリア (Xanthomonas maltophilia)およびアシネトバクター属(acinetobactor speci es))など、カテーテル由来の各種微生物に対する各種被膜の効果を検討した。 これらの実験では、M-EDTAを被膜したカテーテルは、各種の属の細菌と真菌に対 するばかりでなく、同一属中の各種菌株に対するなど、広範囲の活性をもってい いることを示している。これらの実験の判定基準として、阻止円15mmは優れた静 脈効果とした。阻止円10〜l5mmは中等度の効果、阻止円>10mm無効とした。表皮ブドウ球菌(Staphyloccus epidermis) 表11のデータは、五つの菌株の表皮ブドウ球菌において、M-EDTAで被膜したカ テーテルの阻止円は、被膜がM-EDTAではないカテーテル(アローガードカテーテ ル)と比較して、著しく大きいことを示している。 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) 表12は上記の阻止円実験において、異なる五つの菌株の黄色ブドウ球菌を使用 することにより得たデータを示している。この表のデータでは、M-EDTAで被膜し たカテーテルの阻止円が、M-EDTA被膜ではないカテーテルと比較して著しく大き かったことが分かる。 カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) 表13は阻止円実験プロトコルにおいて、微生物としてカンジダ・アルビカンス を使用し、M-EDTA被膜のカテーテルとM-EDTA被膜ではないカテーテルの阻害活性 を比較して得たデータを示している。「Ampho B」(発明者、名称を知らせるこ と)は広範囲抗生物質を表す。表13のデータは、コントロールや他の三つのタイ プ(被膜)のカテーテルと比較して、M-EDTAで処理したカテーテルは優れた抗カ ンジダ・アルビカンス阻害活性を有していることを示している。 表14は五つの菌株のカンジダ・アルビカンスを対象とした実験の結果を示し、 この表でもM-EDTAで被膜したカテーテルには広範囲の抗菌活性があることが分か る。 アシネトバクター(Acin:Acinetobacter) 表15はこれまで説明してきたM-EDTA被膜の、アシネバクター阻害効力を示して いる。 M=ミノサイクリン;CFTZ=セフタジダイム TMP-SMX=トリメトプリン−サルファメトキサゾール M-EDTAで被膜したカテーテルの効力はアローガードより著しく高かった。 (p=0.016)シュドーモナス・アエルギノーザ(PSA)菌系(P.Aeruginosa Strains) 表16はM-EDTAで被膜したカテーテルの、シュドーモナス・アエルギノーザ(PS A)菌株に対する効力を示している。 M-EDTAで被膜したカテーテルの効力はアローガードより著しく高かった。 (p=0.009)キサントモナス・マルトフィリア(XMAL)菌株(X.Maltophilia Strains) 表17はM-EDTAカテーテルの、キサントモナス・マルトフィリア菌株に対する効 力を示している。 M-EDTAで被膜したカテーテルの効力はアローガードより著しく高かった。 (p=0.0016) 上記の結果は、M-EDTAを被膜したカテーテルには、CVC由来の感染症の原因と なる各種の微生物に対して広範囲の活性があることを示している。このM-EDTA被 膜カテーテルの活性は、アローガードカテーテルのそれよりも、優れた、広範囲 の抗菌活性である。 実施例16 被膜とされたM-EDTAの(血清中の)保存寿命と安定性 表皮ブドウ球菌を対象として、阻止円測定法を用いてM-EDTAで被膜したカテー テル、ならびにコントロールおよびアローカテーテルの、相対的な抗菌活性を基 線(baseline)(第一日−D1)において試験した。その後同じカテーテルを37℃ の血清中に置き、第3日、第7日、第15日および第30日において、経時(over t ime)阻害効力を試験した。(表17)。さらにまて、同じカテーテルのセグメン トを25℃で30および60日間保存した後、上記の被膜を持つカテーテルの保存寿命 を 示すものとして抗菌活性を測定した。(表18)。 M-EDTAで被膜したカテーテルの安定性 上記の実験は、M-EDTAで被膜したカテーテルが37℃の血清中で少なくとも2週 間、25℃では少なくとも2月間優れた抗菌(特に、抗表皮ブドウ球菌)効力を維 持することを示している。反面、アローガードカテーテルの効力は、血清(37℃ )中にいれた3日以内から急速に劣化する。 実施例17 ラビットモデルにおけるM-EDTAで被膜したカテーテルの生体内効力 ミノサイクリン+EDTAで被膜したポリウレタンカテーテルを対象とする動物実 験を説明する。この実験結果は、これまで説明してきた広範な試験管内データと 一致する。現在市販されている唯一の抗生物質で被膜したカテーテルは、アロー 社(Arrow)の製品である。これはクロルヘキシジン・グルコネート(chlorhexi dine gluconate)とサルファダイアジン銀(silver sulfadiazine)で被膜した カテーテルである。このカテーテルは、Maki et al.が行った臨床実験で使用さ れて、カテーテル由来の敗血症の発生率を5分の1に低下させると報告されたも のである。 本実施例においては、確立されたラビット生体内モデルを使用した(Shererts et al.Journal of Infectious Diseases 167;98-106,1993)。カテーテルは無 菌条件下で経皮的にラビットに挿入した。挿入直後カテーテル由来の黄色ブドウ 球菌血症患者の血流から採取した105集落形成単位(CFU)を含む1mlの黄色ブド ウ球菌をカテーテル挿入部位に接種した。挿入から7日後カテーテルを取り外し 、カテーテルの皮下部分と先端部分とを定量的なカテーテル培養により培養した 。M-EDTAで被膜したカテーテルの調製 カテーテルは先ず、カチオン界面活性剤であるトリドデシルメチルアンモニウ ムクロライド(tridodecylmethyl ammonium chloride:TDMAC)で前処理をした (実施例11)。塩化ベンザルコニウムなどの他の界面活性剤を用いてもよい。カ テーテルを界面活性剤で処理すると、その後に抗生物質のミノサイクリン(mino )やEDTAなどのアニオン物質を表面に結合することができる。本実験においては 、TDMACで既に被膜しているポリエチレンカテーテルを、EDTA60mg/mlとミノサ イクリン60mg/mlの溶液中に浸漬した(Bio-Guard AB Coating,Cook Critical Care,Bloomington,Ind.)。これらのポリエチレンカテーテルは、Cook Criti calCare社(Bloomington,Ind.)が製造したものであって、5.0フレンチスケー ル(Fr)(18ゲージ(ga));15cm(5 7/8インチ(in))であった。この生体 内実験では、カテーテルは6cmセグメントに切断してから、M-EDTA溶液で処理し た。 溶液A 3バイアル(各々100mg)のミノサイクリンを、米国薬局方収載の無菌 注射用水0.8mlで希釈して、濃度120mg/mlのミノサイクリン溶液2.4mlを得た。 溶液B EDTA150mg/mlを含む1.6mlを、0.4mlの無菌水に添加して、濃度120mg /mlのEDTA溶液2mlを得た。最後に、溶液A 2mlを溶液B 2mlに添加して、ミノサ イクリン60mg/mlとEDTA60mg/mlを含有する溶液4mlを造った。 使用したカテーテルはすべて、Arrow社またはCook社製のポリウレタンタイプ のものであった。この実験では、カテーテルを標準的半定量ロールプレート培養 法(Maki et al.,1977,N.Engl.J.Med.,296;1305-1309)または音波法(S herets et al.,1990,J.Clin.Microbiol.,28;76-82)のいずれかで培養し て次の結果を得た。 表19および20のデータでも、M-EDTAで被膜したカテーテルが黄色ブドウ球菌の 集落形成に対して阻害活性があることを示した。 定量的音波破砕法(quantitative sonication technique)(Shererts et al. が記述している(1990))により培養したカテーテルセグメントを用いて得たデ ータを表21に示す。このデータでも、カテーテルその他の装置をミノサイクリン とEDTAの合剤で被膜することにより、黄色ブドウ球菌の集落形成を阻害する効力 を得ることができることを証明している。 これらの実験により、アローガード・カテーテルを使用する場合集落の形成を 部分的にしか防止できないが、M-EDTAで被膜したカテーテルでは完全に防止でき ることが分かる。 実施例18 M-EDTAカテーテルの生体内効力 本実施例において、M-EDTAで被膜した装置の生体内抗菌活性を証明する。M-ED TAで被膜したカテーテルは実施例17と同様にして調製した。M-EDTAで被膜したカ テーテル(実施例13と同様のもの)、クロルヘキシジングルコネートとサルファ ダイアジン銀で被膜したカテーテル、またはTDMAC単独で被膜し抗生物質を添加 しないカテーテルを挿入し、挿入部位に104集落形成単位の黄色ブドウ球菌を接 種した。 本実験では、Shererts et al.(1993)が説明したラビットモデル、即ち年齢 2〜3ケ月、体重2〜3kgのニュージーランド白ラビットを使用した。表22のデ ータは、アローガードカテーテルが部分的な抗黄色ブドウ球菌活性しか示さない のに比較して、M-EDTAの抗球菌活性が優れており、阻害活性も完全であることを 示している。 実施例19 M-EDTAで被膜したカテーテルと、クロルヘキシシジン/サルファダイアジン銀で 被膜したカテーテルの生体内比較実験 本実施例では、Shererts et al.(1990)が説明している音波破砕定量的培養 法によってカテーテルを培養した。Shererts et al.の文献は、この目的のため に引用することにより本発明の一部とする。音波破砕法は定量的培養法であって 、Raad et al.(1992)(Diagn.Microbiol.Infect.Dis.,15;13-20)によ っても言及されている。M-EDTAカテーテルは、実施例11と同様にして被膜した。 クロルヘキシジン/サルファダイアジン銀で被膜したカテーテルは、Arrow Inte rnational,Inc.(300 Bernville Road,Reading,PA 19603)(Arrow Goldカ テーテル)から市販されている。表23のデータにおいてもまた、本発明のM-EDTA で被膜された装置には、有効な抗菌活性、特に抗黄色ブドウ球菌活性があること を示している。さらにまた、アローガードカテーテルと比較して、M-EDTA装置の 抗菌活性が優れている。 実施例20−M-EDTAで被膜したカテーテルの生体内抗菌活性 本実験は、実施例18で説明したラビットモデルを用いて行った。黄色ブドウ球 菌(PI菌株)104集落形成単位(CFU)を用いて、カテーテル挿入部位を感染させ た。カテーテルは、音波破砕法により培養した。(Shererts et al.(1990)) 。本実験では、EDTA(実施例17)で被膜したアローガード(Arrow Gard)および クック(Cook)カテーテルを使用した。コントロールカテーテルとしては、やは り、TIDMACで被膜し抗生物質やEDTAを含有していないクックカテーテルを使用し た。結果を表24に示すが、この表においてもEDTAで被膜したカテーテルが生体内 で黄色ブドウ球菌による感染症の抑止に効果があることが分かる。 さらに、年齢2〜3ケ月、体重2〜3kgのニュージーランド白ラビットの皮下 部位にカテーテルを挿入した。黄色ブドウ球菌の悪性菌株(PI菌株)10集落を含 む1m lを挿入部位に注射した。ラビットは第7日目で殺した。無菌的にカテーテルを 取り除き、先端部2cmを音波破砕法により培養した。結果を表24に示すが、この 表においてもM-EDTAが生体内で黄色ブドウ球菌感染症に効果があることが読み取 れる。アローカテーテルによる防止が中途半端であるのと比較して、M-EDTAで被 膜したカテーテルはブドウ球菌の集落形成とカテーテルによる感染症の予防に効 果があるとした従前の実験結果が、今回の実験結果によっても確認された。 文献 特に下記の文献は、特定した目的のため、引用することにより本明細書の一部 をなすものとする。 1.Harper WE and Epis JA(1987)、臨床標本から採取した細菌単離物に対す るクロルヘキシジン/EDTA/トリスの効果。Microbios.,51:107-112. 2.Said AA et al.(1987)、EDTAとポリミキシンに対するシュドーモナスエ ルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)感受性による、H1外膜タンパクの発現。 J.Med.Microbiol.,24:267-274. 3.Root JL et al.(1988)、表皮ブドウ球菌の試験管内増殖に対するジソジ ウムEDTAの阻害効果;Hickmanカテーテルの感染症予防との関連。Antimicrob.A gents Chemother.,32:1627-1631. 4.Clumeck N et al.(1984)、リファンピン(rifampin)とミノサイクリン 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───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI //(A01N 37/44 47:12)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.微生物の増殖に対する耐性を持ち、かつ、EDTAとミノサイクリンの少なく とも一つによってコートされている移植可能な医療用装置。 2.グリコカリックスの形成に対する耐性を持ち、かつ、EDTAとミノサイクリ ンの少なくとも一つによってコートされているカテーテル。 3.EDTAによってコートされている請求項1に記載の移植可能な装置または請 求項2に記載のカテーテル。 4.ミノサイクリンによって被膜されている請求項1に記載の医療用装置また は請求項2に記載のカテーテル。 5.ミノサイクリンとEDTAによって被膜されている請求項1に記載の医療用装 置または請求項2に記載のカテーテル。 6.医療用装置またはカテーテルを用意する工程と、 該装置またはカテーテルの表面を、ミノサイクリンとEDTAの少なくとも一つを 含有する製剤で処理する工程と、 によって製造されるものとしてさらに定義される請求項1に記載の医療用装置 または請求項2に記載のカテーテル。 7.前記製剤がミノサイクリンとEDTAとを含有する請求項6に記載の医療用装 置またはカテーテル。 8.前記製剤がミノサイクリンを約10〜約100mg/mlおよびEDTAを約10〜約100 mg/mlを含有する請求項7に記載の医療用装置またはカテーテル。 9.前記製剤がミノサイクリンを約60mg/mlおよびEDTAを約60mg/mlを含有す る請求項8に記載の医療用装置またはカテーテル。 10.界面活性剤でコートされている請求項6に記載の医療用装置またはカテー テル。 11.前記界面活性剤が塩化トリドデシルメチルアンモニウムである請求項10に 記載の医療用装置またはカテーテル。 12.前記界面活性剤が塩化ベンザルコニウムである請求項10に記載の医療用装 置またはカテーテル。 13.請求項1または6に記載の医療用装置または請求項1または6に記載のカ テーテルであって、さらに中心静脈カテーテル、末梢静脈内カテーテル、動脈カ テーテル、スワンガンツカテーテル、血液透析カテーテル、臍カテーテル、経皮 非トンネルシリコンカテーテル、カフ・トンネル中心静脈カテーテル、または皮 下中心静脈開口部として定義される医療用装置またはカテーテル。 14.請求項1または6に記載の医療用装置または請求項1または6に記載のカ テーテルであって、さらに排尿カテーテルまたは腹膜カテーテルとして定義され る医療用装置またはカテーテル。 15.ミノサイクリンと少なくとも約10mg/mlのEDTAとの混合物。 16.EDTAを約10mg/ml〜約100mg/ml含有する請求項15に記載の混合物。 17.ミノサイクリンを約0.001mg/ml〜約100mg/ml含有する請求項15に記載の 混合物。 18.EDTAを約30mg/mlおよびミノサイクリンを約30mg/ml含有する請求項17に 記載の混合物。 19.EDTAを約60mg/mlおよびミノサイクリンを約60mg/ml含有する請求項17に 記載の混合物。 20.食塩水からなる担体溶液中に、ミノサイクリンを約3mg/mlおよびEDTAを 約30mg/ml含有する請求項15に記載の混合物。 21.EDTAを少なくとも約10mg/ml含有する溶液からなり、ポリサッカリド・グ リコカリックスの形成を阻害するために使用するEDTA溶液。 22.EDTAを約30mg/ml含有する請求項21に記載のEDTA溶液。 23.ミノサイクリンを約0.001〜約100mg/ml含有し、カテーテル感染症を防止 するために使用するミノサイクリン溶液。 24.ミノサイクリンを約3mg/ml含有する請求項23に記載のミノサイクリン溶 液。 25.ミノサイクリンを約0.001〜約100mg/mlおよびEDTAを約10〜約100mg/ml 含有し、カテーテル感染症とポリサッカリド・グリコカリックスの形成を防止す るために使用する、ミノサイクリンとEDTAとの溶液。 26.EDTAを約30mg/mlおよびミノサイクリンを約3mg/ml含有する、請求項25 に記載のEDTAとミノサイクリンとの溶液。 27.医療用装置またはカテーテルを請求項19に記載の混合物でコートし、装置 またはカテーテルの表面上で前記コートされた被膜を乾燥することよりなる、グ リコカリックス耐性を有する装置またはカテーテルの製造方法。 28.前記装置またはカテーテルが留置カテーテルである請求項27に記載の製造 方法。 29.前記装置またはカテーテルがポリサッカリド濃度が高いグリコカリックス の形成に対する耐性を有する、請求項27に記載の製造方法。 30.前記装置またはカテーテルがブドウ球菌のグリコカリックスの形成に対す る耐性を有する、請求項29に記載の製造方法。 31.前記装置またはカテーテルが中心静脈カテーテルまたは三重内腔カテーテ ルである請求項27に記載の製造方法。 32.ミノサイクリンとEDTAを含有する医療用製剤を用いて生物膜耐性を有する 医療用装置を製造する製造方法であって、 医療用装置を用意する工程と、 ミノサイクリンを少なくとも約10mg/mlおよびEDTAを少なくとも約10mg/ml含 有する製剤を調製する工程と、 前記装置の表面を前記医療用製剤で処理して装置表面上に製剤の薄膜を形成す る工程と、 を含む製造方法。 33.前記医療用装置がカテーテルである請求項32に記載の製造方法。 34.前記生物膜が微生物性グリコカリックスである請求項32に記載の製造方法 。 35.前記生物膜がポリサッカリド濃度が高いグリコカリックスである請求項32 に記載の製造方法。 36.前記生物膜がブドウ球菌のグリコカリックスである請求項32に記載の製造 方法。 37.前記医療用製剤がミノサイクリンを約10〜約100mg/mlおよびEDTAを約10 〜約100mg/ml含有する請求項32に記載の製造方法。 38.前記医療用製剤がミノサイクリン約60mg/mlおよびEDTAを約60mg/ml含有 する請求項32に記載の製造方法。 39.薬学的に許容し得る担体溶液中にEDTAを少なくとも10mg/ml含有する製剤 でカテーテルを定期的にフラッシングすることにより、カテーテル上にポリサッ カリド・グリコカリックスが形成されるのを防止する方法。 40.前記製剤がEDTAを約10mg/ml〜約100mg/ml含有する請求項39に記載の方 法。 41.前記製剤がミノサイクリンを含有する請求項39に記載の方法。 42.前記製剤がミノサイクリンAを約0.001mg/ml〜約100mg/ml含有する請求 項39に記載の方法。 43.前記製剤がEDTAを約30mg/mlおよびミノサイクリンを約3mg/ml含有する 、請求項39に記載の製造方法。 44.前記カテーテルがトンネルカテーテルまたは非トンネルカテーテルであ る、請求項39に記載の製造方法。 45.前記カテーテルが4〜24時間毎に一回フラッシングされる、請求項39に記 載の製造方法。 46.カテーテルから微生物グリコカリックスの形成物を除去する方法であって 、担体溶液中にミノサイクリンとEDTAを溶解して、M-EDTA製剤を調製することと 、定期的にM-EDTA製剤をカテーテルにフラッシングすることとからなる方法。 47.前記溶液がミノサイクリンを0.001〜100mg/mlおよびEDTAを10〜100mg/m l含有する、請求項46に記載の方法。 48.前記溶液がミノサイクリンを3mg/mlおよびEDTAを30mg/ml含有する、請 求項46に記載の方法。 49.前記微生物グリコカリックスがブドウ球菌グリコカリックスである、請求 項46に記載の方法。 50.前記ブドウ球菌グリコカリックスが表皮ブドウ球菌グリコカリックスまた は黄色ブドウ球菌グリコカリックスである、請求項49に記載の方法。 51.前記カテーテルを約24時間毎に一回、約1〜10mlの請求項48に記載の溶液 でフラッシングする、請求項46に記載の方法。
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