JPH08503215A - アルキル化により多核芳香族物質の突然変異原性を減らす方法 - Google Patents

アルキル化により多核芳香族物質の突然変異原性を減らす方法

Info

Publication number
JPH08503215A
JPH08503215A JP6512195A JP51219594A JPH08503215A JP H08503215 A JPH08503215 A JP H08503215A JP 6512195 A JP6512195 A JP 6512195A JP 51219594 A JP51219594 A JP 51219594A JP H08503215 A JPH08503215 A JP H08503215A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mutagenicity
catalyst
polynuclear aromatic
aromatic compound
alkylation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6512195A
Other languages
English (en)
Inventor
ブラックバーン、ゲーリー・レイ
マックラー、カール・ロバート
ロイ、ティモシー・アーマンド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ExxonMobil Oil Corp
Original Assignee
Mobil Oil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mobil Oil Corp filed Critical Mobil Oil Corp
Publication of JPH08503215A publication Critical patent/JPH08503215A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G29/00Refining of hydrocarbon oils, in the absence of hydrogen, with other chemicals
    • C10G29/20Organic compounds not containing metal atoms
    • C10G29/205Organic compounds not containing metal atoms by reaction with hydrocarbons added to the hydrocarbon oil
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2/00Preparation of hydrocarbons from hydrocarbons containing a smaller number of carbon atoms
    • C07C2/54Preparation of hydrocarbons from hydrocarbons containing a smaller number of carbon atoms by addition of unsaturated hydrocarbons to saturated hydrocarbons or to hydrocarbons containing a six-membered aromatic ring with no unsaturation outside the aromatic ring
    • C07C2/64Addition to a carbon atom of a six-membered aromatic ring
    • C07C2/66Catalytic processes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 多核芳香族化合物含有物質の変異原性を減らす方法である。この方法は、アルキル化剤の存在下、初期の変異原性指数より低いレベルまで多核芳香族化合物含有物質の変異原性を減らすのに十分なアルキル化条件下、ある初期変異原性指数を有する多核芳香族化合物含有物質を酸触媒と接触させる工程を含む。また、3〜7の環を有する多核芳香族化合物を含む炭化水素を含む精製プロセスのストリームの変異原性を減らす方法も提供される。この方法は、コールタール系物質に特に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】 アルキル化により多核芳香族物質の突然変異原性を減らす方法 本発明は、アルキル化により多核芳香族物質の変異原性(突然変異誘発性、mu tagenicity)を減らす方法に関する。 原油の精製において、種々の精製処理操作で改質するために適当なフラクショ ンを回収する常套の処理は、蒸留により始まり、その場合、原油は最初に常圧蒸 留塔で蒸留され、蒸留塔の塔底からの残留物はしばしば減圧蒸留塔で更に分離さ れる。この操作において、一般的に、ガスおよびガソリンが常圧蒸留塔の塔頂生 成物として回収され、重質ナフサ、ケロシンおよび軽油が留出サイドストリーム として取り出され、また、残留物質が常圧蒸留残油(reduced crude)として塔 底から回収される。この減圧原油は、しばしば減圧蒸留塔に仕込まれる。潤滑油 精製における減圧蒸留工程は、約550゜F(288℃)〜1050゜F(56 6℃)の沸点範囲内の1またはそれ以上の潤滑油粗原料ならびに減圧残渣油副生 成物を生成する。 減圧蒸留に続く潤滑油の精製において、それぞれの粗原料は、芳香族炭化水素 に対して選択的である溶媒、例えばフルフラール、フェノールまたはクローレッ クス(Chlorex)を用いて抽出され、望ましくない成分が除去される。減圧残渣 油は、溶媒抽出の前にアスファルト性物質を除去するために、通常、追加の工程 、典型的にはプロパン脱アスファルト工程を必要とする。基礎原料となるように 更に処理するために生成される生成物はラフィネート(raffinate)として知ら れている。溶媒精製からのこのラフィネートは、その後、脱ロウされ、次に、仕 上げられた潤滑油基礎原料に処理される。 この溶媒抽出工程は、炭化水素混合物を2つの相に分離する;即ち、比較的高 い水素の炭素に対する割合を有する物質、しばしばパラフィン類物質と呼ばれる ものを含む先に説明したラフィネート相、および比較的低い水素の炭素に対する 割合を有する物質、しばしば芳香族類物質と呼ばれるものを含むエクストラクト (extract)相である。フルフラールは、適当な溶媒抽出剤の代表的なものであ る。その性質は、広い沸点範囲の非常に芳香族性の油および非常にパラフィン性 の油の双方と共に使用することを可能にする。ディーゼル燃料ならびに軽質およ び重質潤滑剤原料は、しばしばフルフラールにより精製される。 フルフラール溶媒抽出装置のラフィネートは更に処理され、他方、この操作か らのエクストラクトはしばしば広い範囲の工業的用途で使用される。これらの芳 香族エクストラクトの用途は、エクストラクトの特定の性質によりしばしば変わ る;これらの性質は、多くの場合、使用する原料および装置の条件の関数である 。例えば、エイチ・エフ・ワインデル(H.F.Weindel)およびアール・アール・ ターク(R.R.Terc)による「ア・ニュー・ルック・アト・オイルズ・イン・ラバ ー(A New Look at Oils in Rubber)」(ラバー・ワールド(Rubber World)、 1977年12月)に記載されているように、これらのエクストラクトは、しば しばゴムを処理するための低粘度および高粘度の芳香族エキステンダー油(arom atic extender oil)としての用途がある。ブライト・ストック(bright stock )の製造の間に脱アスファルト減圧残渣の溶媒精製により得られるブライト・ス トック・エクストラクト(BSE’s)も同様にゴム処理に有用であり、同様に インキ油としての用途がある。より軽質の芳香族エクストラクトと同様に、BS E’sは、大きな潜在的な用途をもたらす優秀な溶媒特性を有する。 溶媒抽出装置への原料としての用途を有することの外に、脱アスファルト装置 のラフィネートストリームには特殊油(スペシャルティ・オイル)としての別の 用途を見いだすことができる。性質に応じて、脱アスファルト油(DAO、deas phalted oil)として知られるこのストリームには、ゴム処理用のエキステンダ ー油として、インキ油としてなどの用途を見いだすことができる。 近年、多核芳香族化合物(polynuclear aromatics、 PNA’s)を含む種々 の潤滑油、中質留出油、芳香族油(芳香油)および他の炭化水素系生成物の使用 に関連して、人および実験動物においてこれらの化合物のあるものにさらされた 場合に腫瘍が発生することが判ったので、潜在的な危険性に関する問題が生じて いる。減圧蒸留から回収され、処理されてエンジンオイルおよび他の潤滑油に処 方 されるより高い沸点のフラクションのこれまでの研究により、実験動物(labora tory animals)に腫瘍を発生させる石油から誘導される物質の種類の相当確かな 様子が判っている。種々処理された油、例えば溶媒精製および苛酷な水素化処理 により処理されたものは、一般的に痕跡量のPNA’sを含むだけであると知ら れている。そのような場合、これらの物質は一般的に発癌性ではない:高いPN Aレベルの物質は発癌性であり、特に3またはそれ以上の環を含むそのような化 合物は発癌性である。 種々の芳香族油、DAO’s(脱アスファルト油)およびBSE’s(ブライ ト・ストック・エクストラクト)の使用に関して、米国特許第4,321,09 4号は、第2欄第9〜14行において、「多くの印刷インキ油は、これらはベン ゼンのような発癌性であると判っているか、あるいはトルエンおよび多環式化合 物のように発癌性であると信じられている芳香族炭化水素をある割合でまだ含ん でいる。明らかに、インキからこれらを除くことが健康上の理由により望ましい 。」と記載している。これらの問題点の結果として、もはや、多くの精製業者は 、これらの特殊な用途のために、DAO’sまたは芳香族エクストラクト(BS E’sを含む)を供給しようとはしない。これらの製品の販売を続ける精製業者 は、これらの製品を使用することに関連する潜在的な危険の要点を記載したラベ ルを供給する必要がある。これは、米国特許第4,321,094号および同第 4,519,842号から判るように、芳香族油によりこれまで満たされていた 用途に対する別の物質を開発または選択することに至らしめた。これらの代替溶 媒を使用することにより、しばしば、より高いコストおよび劣った最終製品品質 という問題点がもたらされる。 更に、米国特許第4,321,094号(この特許の発明者は本発明の共同発 明者でもある)に記載されているように、スペシャリティ・オイルとして使用さ れるある種の中質留出油は、工業的用途の性質上、人が相当さらされるという可 能性を有する。そのような直留中質留出油は700゜F(371℃)より低い温 度で沸騰し、典型的にはわずかに少量のPNA化合物を含むが、実験動物につい て実施したテストにおいては腫瘍を生じさせるとは考えられない。しかしながら 、 実験動物を使用する実験により、これはそうではないことが判った。 コールタールは、炭化(石炭乾留)またはコークス化として知られる石炭の分 解蒸留の間に生成する副生成物である。コールタールの組成および性質は炭化の 温度に主として依存し、原料として使用する石炭の性質にはそれほど依存しない 。コールタールは通常黒色の粘稠な液体または半固体であり、特徴的なナフタレ ンのような香りを有する。組成的には、コールタールは、炭化水素、フェノール ならびに複素環式酸素、硫黄および窒素化合物の組み合わせである。400を越 える化合物がコールタール中で同定され、恐らく10000もの多くのものが実 際には存在すると考えられている。 当業者に知られているように、種々のコールタールの成分の相対的な割合は、 高温プロセスにより製造されたものと比較した場合、低温プロセスにより製造さ れたタールにおいて非常に異なり、低温プロセスのものはフェノールおよびター ル酸の含量が多く、中質ないし軟質ピッチの含量が少ない。高温のコールタール は、石炭の高温(>700℃)炭化に関連するガスの冷却により得られる凝縮生 成物である。高温コールタールは2種に大別される:コークス加熱炉タール(co kes-oven tar)および連続垂直レトルト(CVR、continuous vertical-retort )タール。高炉(blast furnace)用のコークス加熱炉は最も高い温度(125 0〜1350℃)を使用し、他方、連続垂直レトルトにおいては家庭用コークス およびガスを製造するために少し低い温度(1000〜1100℃)が適用され る。 炭化温度を上げると、コールタールの芳香族性の程度は増え、パラフィンおよ びフェノールの含量は減少する。従って、コークス加熱炉タールは比較的少量の 脂肪族炭化水素を含み、他方、CVRタールはより多くの割合の直鎖または少し 分枝した鎖のものまたは少し分枝した鎖のパラフィンを含む(タールの低沸点フ ラクションにおいて約20%からより高級の留出油において5〜10%まで)。 コークス加熱炉タールは、300℃までにて留出するフラクション中約3%のフ ェノール性化合物を含む。他方、CVRタールは、20〜30%のフェノール性 化合物を含む。芳香族環および複素環の双方は、置換および非置換形態で生じる 。CVRタール中の芳香族化合物は、大部分アルキル誘導体であり、他方、コー ク ス加熱炉タールは非置換環を含む化合物から主として成る。 コールタールの多核芳香族炭化水素(PNA、polynuclear aromatic hydroca rbon)分布は、出発物質に比較的依存し、主として温度の関数である。PNA濃 度は、高温コールタールにおいては、典型的には25%を越えることがあり、ベ ンゾ[a]ピレン(benzo[a]pyrene)のレベルはしばしば0.5%を越える。コ ークス化実験において、ベンゾ[a]ピレンの生成は700℃で始まり、温度と 共に増加することが認められた。1100℃において、コールタール中のベンゾ [a]ピレン含量は通常約0.2%である。 低温コールタールは、石炭の低温(<700℃)炭化に伴うガスの冷却により 得られる凝縮生成物である。これらは黒色で粘稠な液体であり、水より密度が大 きく、高温コールタールより芳香族性が小さい。芳香族炭化水素、通常、アルキ ル置換されたものの含量は、わずかに40〜50%である。低温コールタールは 、その留出油中に、30〜35%の非芳香族炭化水素および約30%のアルカリ 抽出可能フェノール性化合物も含む。 種々の広範囲のコールタール誘導生成物が存在し、それぞれは、特殊な用途の 特定の種類のものとして作用する。タール油またはクレオソートとしても知られ る留出油フラクションは、粗コールタールを分別蒸留することにより得られる。 クレオソートは主として材木の保存剤として使用される。また、クレオソートは 、動物または鳥用の防虫剤、動物用浸液(animal dip)、ダニ殺虫剤、殺菌剤、 除草剤および殺虫剤としても使用される。もう1つの生成物であるアントラセン 油は、半固体の緑〜茶色の結晶性物質である。アントラセン油は、コールタール の主蒸留から2つのフラクションで得られる。低沸点フラクション(軽質アント ラセン油)はフェナントレン、アントラセンおよびカルバゾールの含量が高い; 高沸点フラクションは(重質アントラセン油)はフルオランテンおよびピレンの 含量が高い。ベンゾ[a]ピレン濃度は、アントラセン油中0.01〜0.06 %の範囲である。 コールタールピッチは、コールタールの蒸留の間に生成する濃茶〜黒色のつや のある無定型残渣である。ピッチは、相互に反応して共融混合物を生成する多く の異なる化合物から構成される;従って、明らかな融点または結晶化温度を示さ ない。むしろ、軟化点により特徴付けられる。蒸留する程度に応じて、異なる軟 化点を有するピッチを得ることができる。ピッチはPNA’sならびにそのメチ ルおよびポリメチル誘導体、ならびに異核化合物(heteronuclear compound)を 含む。石炭を炭化してコークスおよび/またはガスを製造する場合、粗コールタ ールは副生成物の1つである。低温プロセスを使用して工業用加熱および家庭用 加熱に使用する固体の無煙燃料を製造する。 容易に理解できるように、製鉄にはコークスが必要であるので、コールタール の製造は、製鉄と密接に関連している。コールタールは、容易に入手でき、硫黄 含量が少なく、また、高い発熱量を有するので、平炉(open-hearth furnace) および高炉(blast furnace)を使用する製鉄工業の燃料として燃焼させるのに 適当である。高温コールタールおよび低温コールタールは、乾癬および他の慢性 の皮膚病の処理に典型的には使用される。コールタール製品は、クリーム、軟膏 、ペースト、ローション、浴用オイルおよびボディオイル、シャンプー、セッケ ンならびにゲルを含む多くの薬用ビヒクルにおいて用いられている。シャンプー は製品の中では最も重要である。コールタールのUSPグレードは、変性アルコ ール中において使用される。また、幾つかの表面被覆配合物は、種々の濃度でコ ールタールを含む。 コールタールピッチの主たる用途は、アルミニウム精錬電極用のバインダーと しての用途である。ピッチは、屋根ふき、表面被覆に使用され、また、ピッチコ ークスの製造および種々の他の用途のために使用される。ビチューメンは、より 有用な屋根ふき材料であるが、コールタールピッチもこの目的に使用される。屋 根ふきに使用する場合、コールタールピッチを加熱して約200℃で適用する。 また、コールタールピッチは表面被覆に使用される。重質アントラセン油により 通常溶かされる軟質ピッチである黒色ワニスは、工業的鉄鋼製品の保護被覆とし て、また、海洋使用に関連する付着防止塗料としても時には使用される。コーク ス加熱炉ピッチをアントラセン油により溶かすことにより製造されるパイプ被覆 用エナメルは、埋設管、ガス管および水道管を腐食から保護するために使用され る。全ての地中の石油用、ガス用および公営水道用のパイプラインの75%はコ ールタールエナメルにより被覆されている。また、コールタールピッチは、ブロ ック耐火物の壁に含浸して、それを強化するのに使用され、他方、非常に硬いピ ッチであるターゲットピッチは、粘土(クレイ)または石灰石充填材と共に使用 されて、射撃の練習に使用する脆性を有するクレーピジョンを製造するために使 用される。 また、低温ピッチは、道路用のバインダーとして使用される。ポリマーにより 変性されていてよいタール/ビチューメンブレンドは、表面仕上用バインダーと して使用される。コールタールピッチも8〜10%の中質〜軟質のコークス加熱 炉ピッチを含む無煙予備炭化ブリケットの製造に使用される。 高温ピッチ〜低軟化点ピッチをこしたアントラセン油または重質油により溶か して得られる精製タール(refined tar)は、樹脂(エポキシおよびポリウレタ ンを包含する)のエキステンダー(extender、増量剤)として使用される。その ような配合物は、貯蔵タンク、海洋パイプラインおよび橋梁のデッキ(床面)を 被覆するために使用する耐摩耗性、耐水性フィルムを製造するために使用される 。これらは、石油系燃料に対して非常に耐性を有する。軟質コールタールピッチ は、紙製の管に含浸させて、下水および汚水の輸送ならびに灌漑目的のためのピ ッチーファイバーパイプを製造する。 明らかなように、コールタール誘導製品には種々の多くの重要な用途が存在す る。しかしながら、近年では、多核芳香族化合物(PNA’s)を含む種々のコ ールタール誘導製品の使用は、これらのある種の化合物、特に高いPNAレベル を有する物質は、それに暴露された場合に人および実験動物に腫瘍を生じさせる と判っているので、潜在的な危険があるという問題が生じている。 石油系製品の相対的な変異原性を測定するために、複雑な炭化水素混合物にお けるそのような活性を調べる信頼性のある試験方法が必要である。炭化水素混合 物の発癌性活性指標との強い相関を示す非常に再現性のある方法が米国特許第4 ,499,187号に記載されている。この米国特許第4,499,187号に 記載されている炭化水素試料の試験から、変異原性指数(Mutagenicity Index、 MI) として知られる試料の特性を測定する。1.0より小さいまたはそれに等しいM Iを示す炭化水素混合物は、非発癌性であることが判っており、他方、約0.0 に等しいMIを示す試料は、完全に変異原性活性を有さないと判っている。 米国特許第5,034,119号は、還元した炭化水素原料からの非発癌性ブ ライト・ストック・エクストラクトおよび脱アスファルト油の製造方法を開示し ている。そのような非発癌性製品は、変位原性指数とブライト・ストック・エク ストラクトまたは脱アスファルト油の炭化水素の種類と相関のある物性との間の 関数的関係を確立し、達成された場合に約1.0より小さい変位原性指数を有す る製品をもたらす臨界的な物性レベルを決定することにより得られる。所望の物 性レベルを達成する製品ストリームが生成され得るようにプロセス条件を確立す る。次に、非発癌性ブライト・ストック・エクストラクトまたは脱アスファルト 油はそのように確立された条件を使用して処理される。 従来技術のこのような進展にもかかわらず、広範囲の石油系製品の変異原性を 減らす方法が必要とされている。 本発明によれば、多核芳香族化合物含有物質(polynuclear aromatic contain ing material)の変異原性(mutagenicity、突然変異誘発性)を減らす方法が提 供され、その方法は、アルキル化剤の存在下、初期の変異原性指数より低いレベ ルまで多核芳香族化合物含有物質の変異原性を減らすのに十分なアルキル化条件 下、ある初期変異原性指数を有する多核芳香族化合物含有物質を酸触媒と接触さ せる工程を含んで成る。 有利には、多核芳香族化合物含有物質はコールタール系物質である。 アルキル化剤は、オレフィン、アルコール、ハロゲン化物、エーテルおよびオ レフィン生成物質から成る群から選択してよい。 1つの態様では、アルキル化剤はオレフィン性炭化水素組成物であり、この場 合、アルキル化剤は、約8を越える炭素原子を含む長鎖オレフィン、約8より少 ない炭素原子を含む短鎖オレフィンならびにFCCガソリン、FCCオレフィン ストリーム、コーカーガスオイル(コーカー軽油、coker gas oil)、コーカー ナフサ、留出ガソリン(distillate gasoline)およびケロシンフラクションの ソース(source)から成る群から選択されるのが好ましい。 酸触媒は、プロトン酸、フリーデル−クラフツ(Friedel-Crafts)触媒および 酸化物触媒から成る群から選択してよい。好ましくは、酸化物触媒は、結晶メタ ロシリケート(金属シリケート)触媒であり、これは、好ましくは天然もしくは 合成ゼオライトまたは酸処理クレイ触媒である。酸処理クレイ触媒は、望ましく は酸性の官能性を有する無定型シリカ/アルミナ物質である。ゼオライト触媒は 、望ましくはゼオライトベータ(Beta)、USYまたはMCM−22である。 フリーデル−クラフツ触媒は、AlBr3、AlCl3、GaBr3、GaCl3 、FeCl3、SbCl5、ZrCl4、BF3、ZnCl2およびBiCl3から成 る群から選択されるのが好ましい。 アルキル化剤の多核芳香族化合物含有物質に対するモル比は、0.1:1〜5 :1の範囲内であることが好ましい。 多核芳香族化合物含有物質は、炭化水素質の精油工業のストリームである。精 油工業のストリームの未反応のフラクション(fraction、部分)は、精油工業の ストリームのアルキル化されたフラクションから分離するのが望ましい。 多核芳香族化合物含有物質は、3〜7個の環を有することが望ましい。 本発明は、コールタール系物質を包合する、多核芳香族化合物を含む変異原性 的(mutagenically)活性を有する石油系の物質を、アルキル化によって変異原 性(mutagenic)がより少なくなるように行えることを見出したことに基づくも のである。当業者によく知られているように、アルキル化は、分子にアルキル基 を付加または挿入することである。アルキル化反応には、いくつかの種類がある 。アルキル基による置換は、カチオン(カルボカチオン)、中性のフラグメント (フリーラジカル)またはアニオン(カルボアニオン)によって芳香族炭化水素 化合物が攻撃される結果として生じ得る。アルキル化反応のいくつかの種類の各 々について、特定の要件の組合せ、例えば、反応熱、反応速度、平衡条件、自由 エネルギーの変化(change)、触媒、装置などが存在する。 本発明の実施において、PNA(多核芳香族化合物)含有炭化水素混合物およ びコールタール系の物質を包含する芳香族炭化水素のアルキル化は、オレフィン 、 アルコール、ハロゲン化物、エーテルまたは任意のオレフィン生成試剤を用いて 行うことができるが、実用的な理由から一般にオレフィンが好ましい。適当な酸 触媒の存在下におけるオレフィンの芳香族炭化水素との相互作用は、アルキル化 の好ましい手段である。この種の方法は、親電子置換の1例である。攻撃する化 学種(species)はカルボカチオンであって、これは、プロトン酸、例えば、硫 酸、フッ化水素もしくはリン酸などからのプロトンの付加により、塩化アルミニ ウムおよびフッ化ホウ素を含むフリーデル−クラフツ(Friedel-Crafts)型の触 媒により、または酸化物触媒、例えばシリカ−アルミナもしくはゼオライト触媒 などにより、オレフィンから形成されるものである。 反応は次式によって表現することができる。 Xは、アニオン、例えば、SO4-、AlC14 -などを表している。得られるカ ルボカチオンは、次式においてR+で表される、電子が不足した化学種であって 、芳香環の電子の豊富な部位に付加する。生成する中間体は、プロトンを分離し て、アルキル化芳香族化合物と再生されたプロトンとを生しる。 本発明の実施に用いるのに適するアルキル化方法を選択する上で、総括的な反 応は、二段階からなるものとして考えることができる。第1の段階は、オレフィ ンからカルボカチオンを生成する段階であって、特定のオレフィンの性質および 、その活性を含む触媒の性質によって制御される。当業者に知られているように 、そのような場合に用いられる高い温度および触媒、例えば促進された塩化アル ミニウムなどを用いる場合、エチレンは、反応させるのが最も困難な低級オレフ ィンである。硫酸およびフッ化水素などの触媒は、一般に適当ではない。第3級 炭素炭素原子を有する低級オレフィン、例えばイソブチレンなどは、容易にアル キ ル化反応させることができるが、分子量がオクテンおよびそれ以上へと増大する につれて、アルキル化の容易さが低下し、副反応が優勢になることがしばしばあ る。第2の段階においては、カルボカチオンが、芳香核上の電子を最も獲得し得 る位置を優先的に攻撃する。環に置換基が存在すると、誘起的機構(inductivem echanism)および共役的機構(conjugative mechanism)を含む二つの方法によ って、電子の獲得性が変わり得る。この理由のために、トルエン中のメチル基は 親電子置換に有利であり;塩素置換基は置換を更に困難にし;ニトロ基はアルキ ル基による置換を実際に不可能にする。 上述のように、芳香族炭化水素の環アルキル化(ring alkylation)に用いる のに適する触媒は、酸の三つのカテゴリー: (a)プロトン酸、 (b)フリーデル−クラフツ触媒および (c)酸化物触媒 からなる。 プロトン酸触媒の活性に関しては、以下の順序: HF>H2SO4>H3PO4>C25SO3H で低下することが知られている。しかしながら、理解できるように、触媒の選択 は活性のみに基づくのではなく、他の種々の考察にも基づくものである。工業的 には、リン酸またはその変性種、シリコホスホリック(silicophosphoric)(固 体リン酸)が、プロペンとベンゼンとを反応させてイソプロピルベンゼンを生成 する反応に工業的に用いられる。ケイリン酸(silicophosphoric acid)が、エ チルベンゼンを生成するベンゼンの気相でのエチル化を触媒することも知られて いるが、アルキル化に伴って副反応、例えば骨格異性化などが起るので、この触 媒を使用して、より高級なアルケンと反応させることは勧められない。 硫酸は、ベンゼンのエチル化を触媒せず、また、プロペンとベンゼンからイソ プロピルベンゼンを生成する反応にとっても満足できるものではない。しかしな がら、硫酸は、より高級なアルケンによるベンゼンのアルキル化用の触媒として は効果的な触媒である。硫酸のスルホン化および酸化特性のため、ケイリン酸に より触媒されるアルキル化反応が60〜350℃の温度で行われるのに対して、 この触媒の存在下におけるアルキル化は25℃以下の温度で行われる。フッ化水 素は、ブテンおよびそれより高級なアルケンとベンゼンとのアルキル化に有効な 触媒であることが知られている。温度の制御は硫酸を用いる場合ほど重要ではな く、触媒は容易に回収され得る。 典型的なフリーデル−クラフツ触媒の活性に関しては、以下の順: AlBr3>AlCl3>GaBr3>GaCl3>FeCl3,SbCl5>Zr Cl4>BF3> ZnCl2>BiCl3 で低下することが知られている。完全に無水の金属ハロゲン化物は、芳香族炭化 水素のアルキル化用の触媒として不活性であることが知られており、助触媒を必 要とする。HClもしくはHBr、アルキルハロゲン化物または少量のアルコー ルもしくは水の添加は、金属ハロゲン化物を活性化する。ハロゲン化水素の機能 はアルケンと反応してアルキルハロゲン化物を生成することであり、アルキルハ ロゲン化物は金属ハロゲン化物の存在下で、活性化されたアルキル複合体を生成 することができる。 本発明の実施に用いることが意図される酸化物触媒は、固体構造を有する不均 一系触媒、例えば結晶性メタロシリケート触媒などである。結晶性物質に含まれ るものは、ゼオライトおよびクレイ(clay)、ならびに酸性官能性(acidic fun ctionality)を有する無定形シリカ/アルミナ物質である。当業者に知られてい るように、シリカ−アルミナ触媒は、エチレンおよびプロペンによるベンゼンの アルキル化に使用されている。多くの結晶性アルミニウムケイ酸塩(ゼオライト )は、ベンゼンならびに他の芳香族炭化水素および炭化水素混合物のアルキル化 に使用されている。 ゼオライトとして知られる多孔質結晶性物質は、整列した多孔性の結晶メタロ シリケート、通常、アルミノシリケートであって、シリカとアルミナなどの周期 表第IIIA族元素の酸化物との堅固な三次元骨格構造として最もよく表現すること ができ、そこで四面体は、酸素原子を共有することにより橋かけ(架橋)されて いる。ゼオライトは、合成および天然産出結晶性アルミノシリケートのいずれの ものも、一般的構造式: M2/nO・Al23・ySiO2・ZH2O [式中、Mはカチオンであり、nはそのカチオンの原子価、yはシリカのモル数 であり、そしてzは水のモル数である。] を有する。 合成ゼオライトにおいては、既知のカチオン交換技術を用いて、アルミニウム および/またはケイ素のいずれをも完全に或いは部分的に、他の金属、例えばゲ ルマニウム、鉄、クロム、ガリウムなどにより置換することができる。意図され る合成結晶性シリケートゼオライトの代表的例には、大孔(ラージポア、largep ore)Y型ゼオライト、例えばUSY、REYなど、およびゼオライト・ベータ (Beta)として知られるもう1つの大孔結晶性シリケートが含まれ、これは米国 特許第3,308,069号および再発行米国特許第28,341号に最も充分 に記載されている。意図される他の触媒は、中間孔(medium pore)触媒として 特徴付けられる。合成されたものであって、この(本発明)の方法に用いること ができる他の合成ゼオライトがある。これらのゼオライトは、それらの独特のX 線粉末回折データによって特徴付けることができる。以下の表は、適すると考え られるゼオライト触媒の代表的な例およびそれらのゼオライトについて記載して いる対応する特許の記載の幾つかのものを示しているだけである。 本発明の方法に用いられる特に適当なゼオライト触媒は、MCM−22として 名付けられた多孔性の結晶性メタロシリケートである。この触媒は、米国特許第 4,954,325号により完全に詳細に記載されており、MCM−22ゼオラ イトの合成方法およびその合成の好ましい方法の記載はそれらを参照されたい。 しかしながら、簡単には、MCM−22は、以下のモル範囲を有する組成を有す る: X23:(n)YO2 [式中、Xは、3価元素例えばアルミニウム、ホウ素、鉄および/またはガリウ ムである。Xはアルミニウムであることが好ましい。Yは、4価元素、例えばケ イ素および/またはゲルマニウムであり、ケイ素であることが好ましい。nは、 少なくとも約10、通常約10〜150、より通常には約10〜60であり、一 層通常的な場合では約20〜約40である。] ゼオオライトMCM−22は、合成形態では、無水状態において、YO2のn モル当りの酸化物のモル数の点から見て、式: (0.005−0.1)Na2O:(1−4)R:X23:nYO2 [式中、Rは有機成分である。] を有する。NaおよびRの成分は、それらが結晶化の際に存在する結果として、 ゼオライトと組合せられており、既知の後結晶化方法(post-crystallization m ethod)によって容易に除去することができる。 適当な天然産ゼオライトの代表例には、ホージャサイト、モルデナイト、シャ バサイト型のゼオライト、例えばエリオナイト、オフレタイト、グメリナイトお よびフェリエライトが含まれる。 クレイ触媒、即ち、結晶性シリケートのもう1つの種類は、構造式: Al23SiO2・xH2O により一般化される水和アルミニウムシリケートである。適当なクレイの典型的 な例は、活性を増大させるために酸処理されており、ハロイサイト、カオリナイ トおよびモンモリロナイトからなるベントナイトから作られる。これらの触媒は 、既知の方法で合成することができ、市販されている。 本発明において使用するのに適する触媒には、着目している転化方法の温度お よび反応条件に対するゼオライトの耐性を向上させるものであると知られる種々 の既知の物質を組み合わせることができる。これらの物質には、触媒的に活性な 他の物質、例えば、他の天然もしくは合成の結晶性シリケート、または不活性物 質、例えば、触媒の圧潰強さを向上させることが知られているクレイもしくは触 媒にとってのバインダーとして働くクレイなどが含まれる。触媒は、多孔性マト リックスと複合化してもよい。多孔性マトリックス材料は当該技術分野において よく知られており、触媒の押出しを容易にするために使用するのが有利な材料で ある。 触媒は、水蒸気安定化(steam stabilization)技術により処理することがで きる。これらは、米国特許第4,663,492号、同第4,594,146号 、同第4,522,929号および同第4,429,176号に記載されている 既知の方法である。 PNA(多核芳香族化合物)含有フィード原料であって、コールタール系物質 であってもよいものは、上に示したような、任意のオレフィン、アルコール、ハ ロゲン化物、エーテルまたは任意のオレフィン生成試剤であってよいアルキル化 剤の存在下で、アルキル化反応に付される。含まれるものは、原料のPNAと反 応しうる少なくとも1つのオレフィン性二重結合を有する任意の脂肪族炭化水素 である。適当なアルキル化剤には、長鎖または短鎖オレフィンが含まれる。「長 鎖」オレフィンという用語は、オレフィンが約8個またはそれ以上の炭素原子、 更に特に8〜24個の炭素原子を有することを意味する。「短鎖」オレフィンと いう用語は、炭化水素が8個より少ない炭素原子、更に特に約5個より少ないこ とを有することを意味するのに用いられる。一般に、ここで意図されるオレフィ ンは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含んでおり、1−オレフィンまたは 2−オレフィンであってよい。オレフィンは、直鎖であっても分枝していてもよ い。 本発明の方法においては、アルキル化生成物により達成することが求められる 最終的な特性に応じて、短鎖または長鎖のオレフィンが好ましい場合がある。例 えば、長鎖オレフィン、即ち、8個以上の炭素原子を有するオレフィンは、より 高い粘度指数(VI)を有する、機能的な流体フラクションをつくるために好まし い。より高い粘度指数(VI)は、長鎖アルキル基がもたらす品質を機能的な流体 潤滑油に与える。長鎖オレフィンソース(源)は、軽質オレフィン(C2=〜C5 =)から、オレフィンの二量化およびオリゴマー化反応を介して誘導することが できる。 オレフィン性炭化水素フラクションは、アルキル化剤として、非常に効果的に 使用することができる。意図されるオレフィン性炭化水素フラクションには、F CC装置からのオレフィンストリーム、例えば軽質オレフィン(C3−C4)など 、およびFCCガソリンフラクションが含まれる。好ましいオレフィン性フィー ド原料には、コーカー生成物、例えばコーカーナフサ、コーカー軽油、留出油ガ ソリンおよびケロシンなどが含まれる。 本発明により利益が得られるフィード原料に関しては、米国特許第5,034 ,119号に開示されているように、3〜7環の多核芳香族化合物(PNA)は 、ある石油系製品の変異原性活性(mutagenic activity)に関与することが判っ ており、そのようなPNA(多核芳香族化合物)をかなりのレベルで有するそれ らの物質はそれ自体、そのようなフィード原料に包含される。生物学的に活性な 3〜7環のPNAは、一般に、640〜1000゜F(338〜538℃)の沸 点範囲内にあると考えられている。 米国特許第4,499,187号に開示された、修正されたエイムス・アッセ イ(Modified Ames Assay)は、石油由来の炭化水素混合物の潜在的な発癌性の 活性を迅速かつ信頼性をもって測定できるので、物質の相対的変異原性の測定に 用いることが特に好ましい。米国特許第4,499,187号に開示されている よう に、変異原性指数(mutagenicity index、MI)は、相対的な変異原性の潜在力 を等級付けするものである。MIは、変異原性についての投与量応答曲線(dose response curve)の勾配である。上に示したように、非発ガン性物質は、約1 .0に等しいかそれ未満のMIを示し、発ガン性を全く有さない物質は約0.0 に等しいMIを示すことが知られている。 本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明はこれらの例に全く限定 されない。 本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明はこれらの例に全く限定 されない。 実施例1 この実施例は、C4フリーデル−クラフツ・アルキル化によってベンゾ[a] ピレン(BaP)の変異原性が低下し得ることを説明するものである。 BaP100mgの4つのアリコートを、別々の20×150mmのネジ蓋式試験 管(screw-top tube)に入れ、二硫化炭素(CS2)5mlに溶解させた。これら の各試験管に、塩化tert-ブチル1.0mlを加えて充分に混合した。次に、塩化 アルミニウム(AlCl3)10〜15mgを各試験管に加えて、室温で穏やかに 混合して反応を進行させた。1番目の試験管での反応は1時間進行させ、2番目 の試験管での反応は2時間、3番目の試験管での反応は3時間、そして4番目の 試験管での反応は4時間進行させた。試料は、ガスクロマトグラフ(GC)およ び水素炎イオン化検出器(FID)を用いて分析した。下記の表1に、生成物の 分布およびアルキル化反応生成物についての変異原性指数を示す。 表から判るように、変異原性の高い化合物、ベンゾ[a]ピレンの高い変異原性 指数を、C4フリーデル−クラフツ・アルキル化によって実質的に低下させるこ とができる。 実施例2 この実施例は、C3フリーデル−クラフツ・アルキル化が、実施例2において 使用した物質と同様の性質を有するフルフラール・エクストラクト(抽出物)の 変異原性をかなり低下することを説明するものである。この実施例のフルフラー ル抽出物もかなりのレベルの変異原性PNA(多核芳香族化合物)を含んでいた 。 フルフラール抽出物100mgの試料を、20×150mmのネジ蓋式試験管に入 れ、二硫化炭素(CS2)5m1に溶解させた。これに塩化イソプロピル1.0ml を加えて充分に混合した。次に、塩化アルミニウム(A1C13)15〜25mg を試験管に加えて、激しく混合した。この試験管を室温で23時間攪拌して、反 応を進行させた。試料は、ガスクロマトグラフ(GC)および水素炎イオン化検 出器(FID)を用いて分析し、反応の程度を評価した。アルキル化前のフルフ ラール抽出物の変異原性指数は9.1であり、一方、アルキル化生成物の変異原 性指数は5.3であった。 ここでも、相当変異原性である多核芳香族化合物(PNA)を含有する試料の 変異原性指数は、フリーデルークラフツ・アルキル化によって実質的に減少した 。 実施例3 この実施例は、ある潤滑油精油所ストリームのフルフラール抽出物について、 C4フリーデル−クラフツ・アルキル化によって達成された変異原性の低下にお ける利益を説明するものである。フルフラール抽出物は、変異原性多核芳香族化 合物(PNA)をかなりのレベルで含有していた。 フルフラール抽出物100mgの試料を、20×150mmのネジ蓋式試験管に入 れ、二硫化炭素(CS2)5m1に溶解させた。これに塩化tert−ブチル1 .0mlを加えて充分に混合した。次に、塩化アルミニウム(AlCl3)15〜 25mgを試験管に加えた。この試験管を室温で6時間攪拌して、反応を進行させ た。試料は、ガスクロマトグラフ(GC)および水素炎イオン化検出器(FID )を用いて分析し、反応の程度を評価した。アルキル化前のフルフラール抽出物 の変異原性指数は10.4であり、一方、アルキル化生成物の変異原性指数は1 .0未満であった。 ここでも、かなりの変異原性を有する試料(この場合は、フルフラール抽出物 )の変異原性指数は、C4フリーデル−クラフツ・アルキル化によって実質的に 低下した。 実施例4 この実施例は、ある種のプロパン脱アスファルト化減圧蒸留残油のフルフラー ル抽出物(通常、ブライトストック・エクストラクト(BSE(bright stockex tract))と呼ばれる)について、C4フリーデルークラフツ・アルキル化により 変異原性が低下するという利益を説明するものである。BSEには、通常、かな りのレベルの変異原性多核芳香族化合物(PNA)が含まれている。 BSE試料1gを20×150mmのネジ蓋式試験管に入れ、二硫化炭素(CS 2)5m1に溶解させた。これに塩化tert-ブチル1.0mlを加えて充分に混合した 。次に、塩化アルミニウム(AlCl3)15〜25mgを試験管に加えた。この 試験管を室温で48時間攪拌して、反応を進行させた。アルキル化前のBSEの 変異原性指数は1.7であり、一方、アルキル化生成物の変異原性指数は0.2 であった。 これと同じ実験において、BSE1gをジメチルスルホキシド(DMSO)に よって抽出し、そのDMSO抽出物を水およびシクロヘキサンによって逆抽出( back-extract)して、BSEのPNAが豊富な画分を分離した。抽出残油の50 mgのアリコートを、上述したBSEと同様の条件でアルキル化した。アルキル化 前のBSE抽出物の変異原性指数は32であり、一方、アルキル化生成物の変異 原性指数は0.2であった。 実施例5 この実施例は、シリカにより担持されたAlCl2触媒およびオレフィンを使 用するアルキル化反応により、BaPの変異原性がかなり低下することを説明す るものである。 BaPの試料50mgを5mlのネジ蓋式反応バイアルに入れ、二硫化炭素(CS2 )3mlに溶解させた。シリカによって担持された二塩化アルミニウム(SiO2 −AlCl2)約260mgをこのバイアルに加え、バイアルをドライアイス−ア セトン浴中で冷却して、2−ペンテン45μl(2モル当量)を加えた。油浴中 で反応混合物を、115℃で0.5時間加熱した。冷却後、2−ペンテンを更に 45μl加え、更に4時間反応を進行させた。 試料は、ガスクロマトグラフ(GC)および水素炎イオン化検出器(FID) を用いて分析し、反応の程度を評価した。GC/FID分析によれば、出発物質 であるBaPの約98%が、BaPの種々のモノ−、ジ−およびトリ−C5異性 体の種々の混合物に転化されたことが示された。C5アルキル化BaP反応生成 物の変異原性指数は0.4であった。 実施例6 この実施例は、MCM−22ゼオライト触媒およびオレフィンを使用するアル キル化反応が、上記各実施例1〜5のようなBaPをアルキル化する能力を有し ており、従って、その変異原性活性をかなり減少させることを説明するものであ る。 MCM−22触媒は、米国特許第4,954,325号の実施例11に記載さ れた方法に従って調製された。BaP50mgの2つのアリコートを、別々の5m1 のネジ蓋式反応容器に入れ、二硫化炭素(CS2)3mlに溶解させた。MCM− 22触媒約100mgを各バイアルに加え、バイアルをドライアイス−アセトン浴 中で冷却した後、イソブチレン約10モル当量を加えた。一方のバイアル内での 反応は108℃で4時間進行させた。他方のバイアル内での反応は175℃で0 .5時間行わせた。 GC/FID分析によって試料を分析し、そのクロマトグラムを実施例1のク ロマトグラムと比較した。108℃/4時間の反応の生成物の分布は、BaPの 74%が、実施例1において観察されたものと同じモノ−およびジ−C4アルキ ル化生成物(表1を参照のこと)に転化されたことを示した。175℃/0.5 時間の反応の生成物の分布は、BaPの73%が、実施例1において観察された ものと同じモノ−およびジ−C4アルキル化生成物(表1を参照のこと)に転化 されたことを示した。ここでも、実施例1との比較により、モノ−およびジ−C4 アルキル化BaP生成物に78%の転化率で転化された表1の反応が、BaP の変異原性指数(MI)の値28からかなり減少した変異原性指数(MI)の値 3.5を有している。 本発明を好ましい態様例によって説明したが、当業者には容易に理解できるよ うに、本発明の要旨から離れることなく、変更および変形例を用いることができ ることが理解されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,JP,KR,NO,N Z (72)発明者 ロイ、ティモシー・アーマンド アメリカ合衆国 08540 ニュージャージ ー、プリンストン、ターヒューン・ロード 149番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.多核芳香族化合物含有物質の変異原性を減らす方法であって、アルキル化 剤の存在下、初期の変異原性指数より低いレベルまで多核芳香族化合物含有物質 の変異原性を減らすのに十分なアルキル化条件下、ある初期変異原性指数を有す る多核芳香族化合物含有物質を酸触媒と接触させる工程を含んで成る方法。 2.アルキル化剤は、オレフィン、アルコール、ハロゲン化物、エーテルおよ びオレフィン生成物質から成る群から選択される請求の範囲第1項記載の方法。 3.アルキル化剤はオレフィン性炭化水素組成物である請求の範囲第2項記載 の方法。 4.アルキル化剤は、約8を越える炭素原子を含む長鎖オレフィン、約8より 少ない炭素原子を含む短鎖オレフィンならびにFCCガソリン、FCCオレフィ ンストリーム、コーカーガスオイル、コーカーナフサ、留出ガソリンおよびケロ シンフラクションのソースから成る群から選択される請求の範囲第3項の記載の 方法。 5.酸触媒は、プロトン酸、フリーデルークラフツ触媒および酸化物触媒から 成る群から選択される請求の範囲第4項の方法。 6.酸化物触媒は、結晶金属シリケート触媒である請求の範囲第5項記載の方 法。 7.結晶金属シリケート触媒は、天然もしくは合成ゼオライトまたは酸処理ク レイ触媒である請求の範囲第6項記載の方法。 8.酸処理クレイ触媒は、酸官能性を有する無定型シリカ/アルミナ物質であ る請求の範囲第7項記載の方法。 9.ゼオライト触媒は、ゼオライト・ベータ、USYまたはMCM−22であ る請求の範囲第7項記載の方法。 10.フリーデル−クラフツ触媒は、AlBr3、AlCl3、GaBr3、G aCl3、FeCl3、SbCl5、ZrCl4、BF3、ZnCl2およびBiCl3 から成る群から選択される請求の範囲第5項記載の方法。 11.アルキル化剤の多核芳香族化合物含有物質に対するモル比は、0.1: 1〜5:1の範囲内である請求の範囲第1項記載の方法。 12.多核芳香族化合物含有物質は炭化水素質の精製プロセスのストリームで ある請求の範囲第1項記載の方法。 13.精製プロセスのストリームの未反応フラクションを精製プロセスのスト リームのアルキル化フラクションから分離する工程を更に含む請求の範囲第12 項記載の方法。 14.多核芳香族化合物含有物質は、3〜7の環を有する請求の範囲第1項記 載の方法。 15.多核芳香族化合物含有物質は、コールタール系物質である請求の範囲第 1項記載の方法。
JP6512195A 1992-11-06 1993-11-05 アルキル化により多核芳香族物質の突然変異原性を減らす方法 Pending JPH08503215A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US97239892A 1992-11-06 1992-11-06
US97603092A 1992-11-13 1992-11-13
US976,030 1992-11-13
US972,398 1992-11-13
PCT/US1993/010594 WO1994011326A1 (en) 1992-11-06 1993-11-05 Process for reducing polynuclear aromatic mutagenicity by alkylation

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08503215A true JPH08503215A (ja) 1996-04-09

Family

ID=27130554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6512195A Pending JPH08503215A (ja) 1992-11-06 1993-11-05 アルキル化により多核芳香族物質の突然変異原性を減らす方法

Country Status (10)

Country Link
EP (1) EP0667840B1 (ja)
JP (1) JPH08503215A (ja)
KR (1) KR100289139B1 (ja)
AT (1) ATE193877T1 (ja)
AU (1) AU670660B2 (ja)
DE (1) DE69328873T2 (ja)
DK (1) DK0667840T3 (ja)
NO (1) NO951770L (ja)
NZ (1) NZ258324A (ja)
WO (1) WO1994011326A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014057640A1 (ja) * 2012-10-10 2014-04-17 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 トランクピストン型ディーゼル機関用潤滑油組成物

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102653674B (zh) * 2011-03-03 2016-01-13 中国石油化工股份有限公司 一种驱油用表面活性剂的制备方法及产品

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4368343A (en) * 1980-09-18 1983-01-11 Kotlyarevsky Izrail L Process for producing high-vacuum oils
GB2084177B (en) * 1980-09-18 1984-11-07 Inst Khim Kinetiki I Gorenia S Process for producing high-vacuum oils
GB2168378B (en) * 1984-11-28 1988-06-29 Nippon Oil Co Ltd Synthetic oils
EP0528096B1 (en) * 1991-08-21 1998-05-27 Solutia Europe N.V./S.A. Catalytic process for the selective alkylation of polycyclic aromatic compounds

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014057640A1 (ja) * 2012-10-10 2014-04-17 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 トランクピストン型ディーゼル機関用潤滑油組成物
CN104837970A (zh) * 2012-10-10 2015-08-12 吉坤日矿日石能源株式会社 筒状活塞型柴油机用润滑油组合物
JPWO2014057640A1 (ja) * 2012-10-10 2016-08-25 Jxエネルギー株式会社 トランクピストン型ディーゼル機関用潤滑油組成物

Also Published As

Publication number Publication date
AU5591494A (en) 1994-06-08
AU670660B2 (en) 1996-07-25
DK0667840T3 (da) 2000-10-23
NO951770D0 (no) 1995-05-05
WO1994011326A1 (en) 1994-05-26
DE69328873T2 (de) 2001-03-15
EP0667840A4 (en) 1996-04-03
EP0667840A1 (en) 1995-08-23
NZ258324A (en) 1996-08-27
DE69328873D1 (de) 2000-07-20
ATE193877T1 (de) 2000-06-15
KR100289139B1 (ko) 2001-05-02
NO951770L (no) 1995-07-05
EP0667840B1 (en) 2000-06-14
KR950704214A (ko) 1995-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5171916A (en) Light cycle oil conversion
US6048451A (en) Sulfur removal process
CA2237068C (en) Biodegradable high performance hydrocarbon base oils
JP2001508829A (ja) 触媒蒸留による硫黄の除去
Di Carlo et al. Composition and visbreakability of petroleum residues
BRPI0620232A2 (pt) processo para produzir um combustìvel destilado ou um componente de lubrificante
JP2002524607A (ja) 多工程硫黄除去プロセス
US5488193A (en) Process for reducing polynuclear aromatic mutagenicity by alkylation
US4171260A (en) Process for reducing thiophenic sulfur in heavy oil
US6010617A (en) Process for producing non-carcinogenic coal-tar-derived products
Pujro et al. Reactivity of the saturated, aromatic and resin fractions of ATR resids under FCC conditions
US5017279A (en) Multistep process for the manufacture of novel polyolefin lubricants from sulfur containing thermally cracked petroleum residua
JPH08503215A (ja) アルキル化により多核芳香族物質の突然変異原性を減らす方法
US5370787A (en) Thermal treatment of petroleum residua with alkylaromatic or paraffinic co-reactant
US3405054A (en) Refinery process stream anti-foulant
EP0376637B1 (en) Process for the manufacture of polyolefin lubricants from sulfur-containing thermally cracked petroleum residua
US4755275A (en) Electrical insulating oil
Mota et al. Mechanism of aromatic hydrocarbon formation in FCC naphtha
CA1232562A (en) Method of processing thermal-cracked oil distillates
Gibson et al. The use of dual function catalysts in isomerization of high molecular weight n–paraffins
US4629817A (en) Transfer of cycloalkyl groups by transalkylation of aromatics
US2425747A (en) Lubricating oil composition
Kapoor et al. Compositional and Structural Studies of V1SBROKEN Residues
CA2248159C (en) Sulfur removal process
CA2581692C (en) Sulfur removal process