JP2002524607A - 多工程硫黄除去プロセス - Google Patents

多工程硫黄除去プロセス

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Abstract

(57)【要約】 炭化水素類の混合物から構成され、不都合な不純物として硫黄含有芳香族化合物を含む供給原料から硫黄含有量の少ない生成物を多工程プロセスで製造する。本プロセスは、(1)不純物の一部を高沸点硫黄含有生成物に転換するのに効果的なアルキル化条件に供給原料を暴露し、次いで(2)得られた生成物を低沸点画分と高沸点画分とに分離することを含む。低沸点画分は炭化水素類から構成され、供給原料に対して硫黄含有量が低い。高沸点画分は炭化水素類から構成され、非転換硫黄含有芳香族不純物と高沸点-硫黄含有生成物とを含む。次の工程はそれぞれ、(1)硫黄含有芳香族化合物のその含有量の少なくとも一部を高沸点硫黄含有生成物に転換するのに効果的な反応条件に先の段階からの高沸点画分を暴露し、次いで(2)得られた生成物を分別蒸留により低沸点炭化水素画分と高沸点硫黄含有アルキル化生成物を含む高沸点画分とに分離する、各段階を含む。本プロセスからの硫黄含有量の低い炭化水素生成物全体は、種々の工程からの低沸点画分から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の属する技術分野 本発明は、炭化水素類の混合物から構成され、不都合な不純物として硫黄含有
芳香族化合物(例えば、チオフェン性化合物及びベンゾチオフェン性化合物)を含
む供給原料から硫黄含有量の低い生成物を製造するプロセスに関する。特に本発
明は、これらの不純物をアルキル化により高沸点生成物に転換し、次いで分別蒸
留により高沸点生成物を除去することに関する多工程プロセスに関する。発明の背景 流動接触分解プロセス(fluidized catalytic cracking process)は、石油を所
望の燃料(例えば、ガソリン及びディーゼル燃料)に転換するのに常用される主た
る精製プロセスのひとつである。このプロセスでは、高分子量炭化水素供給原料
を流動状態または分散状態で熱微粉砕固体触媒粒子と接触させて低分子量生成物
に転換する。好適な炭化水素供給原料を通常約205℃〜約650℃の範囲で沸騰させ
、約450℃〜約650℃の範囲の温度で触媒と接触させる。好適な供給原料としては
、種々の鉱物油画分[例えば、軽質ガス油、重質ガス油、ワイドカットガス油(wi
de-cut gas oil)、真空ガス油、灯油類、デカント油(decanted oil)、残渣画分
、還元原油及びこれらの任意のものから誘導されるサイクル油(cycle oil)]並び
に、シェール油、オイル・サンド(tar sand)処理、及び石炭液化から誘導された
画分が挙げられる。流動接触分解プロセスからの生成物は、通常沸点をベースと
し、軽質ナフサ(約10℃〜約221℃の間で沸騰)、重質ナフサ(約10℃〜約249℃の
間で沸騰)、灯油(約180℃〜約300℃の間で沸騰)、軽質サイクル油(約221℃〜約3
45℃の間で沸騰)、及び重質サイクル油(約345℃を超える温度で沸騰)が挙げられ
る。
【0002】 流動接触分解プロセスは合衆国においてガソリン・プールの重要な役割を提供
するだけでなく、このプールで出現する硫黄の大部分も提供する。このプロセス
からの液体生成物中の硫黄は有機硫黄化合物の状態であり、これらの生成物を燃
料として使用する際に硫黄酸化物に転換する不都合な不純物である。これらの硫
黄酸化物は不快な大気汚染物質である。さらに、これらの硫黄酸化物は、有害な
エンジン燃焼放出物をより不快でないガスに転換するのを触媒するために自動車
で用いられる触媒コンバーター用に開発された多くの触媒を失活させてしまう。
従って、接触分解生成物の硫黄含有量をできるだけ低いレベルに減らすことが望
ましい。
【0003】 単に原油を蒸留することによって製造する直留ガソリン中の硫黄含有不純物は
、通常、分解ガソリン中に存在するものとは大きく異なる。直留ガソリン中の硫
黄含有不純物は主としてメルカプタン類及び硫化物を含むのに対し、分解ガソリ
ン中に存在する硫黄含有不純物はチオフェン、ベンゾチオフェンと、チオフェン
及びベンゾチオフェンの誘導体が多い。
【0004】 低硫黄生成物(low sulfur product)は、プロセスの供給原料またはプロセスの
生成物のいずれかを水素化処理する接触分解プロセスから慣用的に得られる。水
素化処理プロセスは触媒の存在下での水素による処理を包含し、硫黄含有不純物
中の硫黄を硫化水素に転換し、これを分離して元素硫黄に転換することができる
。あいにく、このタイプの処理には酸素供給源、高圧プロセス装置、高価な水素
化処理触媒、及び得られた硫化水素を元素硫黄に転換するための硫黄回収プラン
トが必要なため、通常、非常に高価である。さらに、水素化処理プロセスは、水
素化によってこれらを飽和炭化水素に転換することにより供給原料中のオレフィ
ン類を分解してしまうので都合が悪い。水素化処理によるオレフィン類の分解は
高価な水素を消費し、オレフィン類はガソリンのハイオクタン成分と同様に貴重
なので、水素化処理によるオレフィン類の分解は通常望ましくない。例えば、接
触分解プロセス由来のガソリン沸点範囲のナフサは、オレフィン含有量が高いた
め比較的オクタン価が高い。このような原料を水素化処理すると所望の脱硫に加
えてオレフィン含有量が減少し、脱硫の程度が増加するに連れて水素化処理生成
物のオクタン価が低下してしまう。
【0005】 米国特許第2,448,211号(Caesarら)は、触媒(例えば、活性天然クレーまたはシ
リカの合成吸着コンポジット)及び少なくとも1種の両性金属酸化物の存在下、
約140℃〜約400℃の温度でオレフィン性炭化水素類との反応によりチオフェン及
びその誘導体をアルキル化することができると開示する。好適な活性天然クレー
触媒としては、その上に塩化亜鉛またはリン酸が沈澱したクレー触媒が挙げられ
る。好適なシリカ-両性金属酸化物触媒としては、シリカと物質(例えば、アルミ
ナ、ジルコニア、セリア、及びトリア)との組合せが挙げられる。米国特許第2,4
69,823号(Hansfordら)は、三フッ化硼素を使用してチオフェン及びアルキルチオ
フェン類をアルキル化剤(例えば、オレフィン性炭化水素類、ハロゲン化アルキ
ル、アルコール及びメルカプタン)でアルキル化するのを触媒することができる
と示唆する。さらに、米国特許第2,921,081号(Zimmerschiedら)は、二酸化ジル
コニウム及びジルコニウムのハロゲン化物からなる群から選択されるジルコニウ
ム化合物と、オルトリン酸、ピロリン酸、及びトリリン酸からなる群から選択さ
れる酸とを混合することにより酸性固体触媒を製造することができると開示する
。Zimmerschiedらの特許は、そのような触媒の存在下、227℃の温度でチオフェ
ンをプロピレンでアルキル化することができるとも示唆する。
【0006】 米国特許第2,563,087号(Vesely)は、チオフェンを選択的にアルキル化し、次
いで得られたチオフェンアルキレートを蒸留分離することにより、芳香族炭化水
素類からチオフェンを除去することができると開示する。選択的アルキル化は、
チオフェン-汚染芳香族炭化水素とアルキル化剤とを混合し、次いで約−20℃〜
約85℃の慎重に制御した温度で該混合物をアルキル化触媒と接触させることによ
り実施する。好適なアルキル化剤としては、オレフィン類、メルカプタン類、鉱
酸エステル類、及びアルコキシ化合物(例えば、脂肪アルコール類、エーテル類
及びカルボン酸のエステル類)が挙げられている。好適なアルキル化触媒として
は、以下の(1)無水形で使用するのが好ましいフリーデル-クラフツハロゲン化金
属;(2)リン酸、好ましくはピロリン酸、またはそのような物質と硫酸との混合
物(硫酸対リン酸の容積比は約4:1未満である);及び(3)リン酸(オルトリン酸ま
たはピロリン酸)と、約400℃〜約500℃の温度でカ焼して、固体リン酸触媒と通
常称されるシリコ-リン酸結合物(silico-phosphoric acid combination)を形成
した珪酸を含む吸着材(例えば、珪藻土または珪酸を含むクレー)との混合物が挙
げられる。
【0007】 米国特許第5,171,916号(Leら)は、(1)結晶質メタロシリケート触媒を使用して
少なくとも1個のオレフィン性二重結合を有する脂肪族炭化水素でサイクル油の
ヘテロ原子含有芳香族成分をアルキル化し;次いで(2)分別蒸留により高沸点ア
ルキル化生成物を分離する、ことによる軽質サイクル油の品質向上プロセスに関
する。未転換軽質サイクル油は硫黄及び窒素含有量が少なく、高沸点アルキル化
生成物は合成アルキル化芳香族官能性流体ベースストック(base stock)として有
用であることが開示されている。
【0008】 米国特許第5,599,441号(Collinsら)は、(1)アルキル化領域でナフサと酸触媒
とを接触させてアルキル化剤としてナフサ中に存在するオレフィン類を使用して
チオフェン性化合物をアルキル化し;(2)アルキル化領域から廃液流を取り出し
;次いで(3)分別蒸留によりアルキル化領域廃液流からアルキル化チオフェン性
化合物を分離する、ことにより分解ナフサからチオフェン性硫黄化合物を除去す
るプロセスを開示する。該特許は、さらにオレフィン類を分解ナフサに添加して
プロセス用の追加のアルキル化剤とすることも開示する。発明の概要 約10℃〜約345℃の広範囲の温度または狭い範囲の温度で沸騰する炭化水素液
体を本明細書中、「炭化水素蒸留液(distillate hydrocarbon liquid)」と呼ぶ
。そのような流体は石油精製並びに、石炭液化及び油頁岩またはオイル・サンド
処理由来の生成物の精製に含まれることが多く、これらの液体は通常、炭化水素
類の複合混合物から構成される。例えば、軽質ナフサ、重質ナフサ、ガソリン、
灯油及び軽質サイクル油は全て炭化水素蒸留液である。
【0009】 精油所の炭化水素蒸留液には不都合な硫黄含有不純物が含まれることが多く、
これらは少なくとも部分的に除去しなければならない。水素化処理方法は効果的
であり、炭化水素蒸留液由来の硫黄含有不純物を除去するのに通常使用される。
あいにく、水素化処理は高価なプロセスであり、高オレフィン性炭化水素蒸留液
で使用するのには通常十分ではない。従って、炭化水素蒸留液から硫黄含有不純
物を効果的に除去するための安価な方法が必要である。高オレフィン性であり、
不都合な不純物としてチオフェン性化合物及びベンゾチオフェン性化合物のいず
れをも含有する、流動接触分解プロセス由来の生成物などの炭化水素蒸留液から
硫黄含有不純物を除去するのに使用できるプロセスも必要である。
【0010】 有機硫黄化合物は、(1)アルキル化により硫黄化合物を高沸点生成物に転換し
;次いで(2)分別蒸留により該高沸点生成物を除去する、ことにより炭化水素蒸
留液から除去することができる。この種の硫黄除去プロセスを、本明細書中、「
アルキル化/分別脱硫プロセス」と呼ぶ。かかるプロセスは非常に有効であるが
、他のものよりも幾つかの供給原料について都合がよい。例えば、多量の芳香族
炭化水素類(例えば、接触分解プロセス由来のナフサ)を含有する供給原料に適用
する場合、ナフサ中の芳香族炭化水素のアルキル化は硫黄含有不純物の所望のア
ルキル化と競合する反応である。アルキル化芳香族炭化水素生成物のかなりの部
分が都合の悪いことに高沸点であり、高沸点アルキル化硫黄含有不純物と一緒に
プロセスにより除去されるため、芳香族炭化水素類のこの競合アルキル化は通常
望ましくない。幸い、多くの典型的な硫黄含有不純物は芳香族炭化水素類よりも
より迅速にアルキル化される。従って、硫黄含有不純物は限られてはいるが選択
的にアルキル化することができる。しかしながら、芳香族炭化水素類の競合アル
キル化のため、かなりの量の芳香族炭化水素類を同時且つ不都合に取り除くこと
なく、硫黄含有不純物を実質的に完全除去することは本質的に不可能である。
【0011】 アルキル化/分別脱硫プロセスの実施においてアルキル化剤としてオレフィン
またはオレフィン類の混合物を使用する場合、硫黄含有不純物の所望のアルキル
化と共に不都合な副反応としてオレフィン重合も競合する。副反応のため、オレ
フィン性アルキル化剤をポリマー副生成物に殆ど転換させずに硫黄含有不純物を
アルキル化生成物に高転換率で転換することは実行できないことが多い。ガソリ
ン沸点範囲のオレフィン性ナフサを脱硫し、得られた生成物をガソリンブレンド
用原料として使用する場合、このようなオレフィン類を失うことは非常に都合が
悪い。この例では、ハイオクタンであり、ガソリン沸点範囲にあるC6〜C10オレ
フィン類を過酷なアルキル化条件下で高-沸点ポリマー副生成物に転換し、それ
からガソリン成分として取り除く。
【0012】 本出願人は、アルキル化/分別脱硫プロセスによる硫黄含有芳香族不純物の除
去に暴露される供給原料由来の芳香族炭化水素の損失は、本プロセスを2つ以上
の一連の工程(stage)で実施することにより最小化し得ることを知見した。本出
願人は、不都合な副反応への転換によるC6〜C10オレフィン類の損失は一連の2
つ以上の工程を使用することによって最小化し得ることも知見した。本発明は、
供給原料を第1工程のアルキル化/分別脱硫プロセスにかけることによって(1)硫
黄含有量の低い低沸点画分と;(2)不純物として、供給原料由来の非アルキル化
で反応性の低い硫黄含有芳香族化合物を幾らか含む高沸点画分とを得ることを含
む。次のそれぞれの工程は、先の工程由来の高沸点画分をアルキル化/分別脱硫
プロセスにかけて、低沸点画分及び高沸点画分を得ることを含む。多工程プロセ
スからの硫黄含有量の低い生成物は、種々の工程からの低沸点画分から構成され
る。
【0013】 本発明の一態様は、供給原料から硫黄含有量の低い生成物を製造するプロセス
であって、前記供給原料はオレフィン類を含有する炭化水素類の混合物から構成
され、前記供給原料は不純物として硫黄含有芳香族化合物を含み;前記プロセス
は、 (a)第1の接触段階では、前記不純物の一部をオレフィン類のアルキル化により
高沸点硫黄含有物質に転換するのに有効な条件下で供給原料と酸性触媒とを接触
させ; (b)第1の分別段階では、沸点をベースとして前記第1の接触段階の生成物を (i)炭化水素類から構成され、前記供給原料に対して硫黄含有量が少ない第1の
画分と; (ii)炭化水素類から構成され、前記第1の画分よりも沸点が高く、不純物として
硫黄含有芳香族化合物を含む第2の画分と を含む少なくとも2つの画分に分別し; (c)硫黄含有量の低い第1の生成物流として該プロセスから前記第1の画分を回
収し; (d)アルコール類及びオレフィン類からなる群から選択される少なくとも1種の
物質から構成され、第2の画分中に任意のオレフィン類に加えて存在する二次ア
ルキル化剤と前記第2の画分とを混合することにより二次プロセス流を製造し; (e)第2の接触段階では、二次プロセス流の硫黄含有芳香族化合物の少なくとも
一部を高沸点硫黄含有物質に転換するのに効果的な条件下で二次プロセス流と酸
性触媒とを接触させ; (f)第2の分別段階では、沸点をベースとして前記第2の接触段階の生成物を分
別して、高沸点画分中の高沸点硫黄含有物質を除去して低沸点画分を生成し;次
いで (g)硫黄含有量の少ない第2の生成物流として第2の分別段階からの低沸点画分
を回収する ことを含む。
【0014】 本発明の目的は、副生成物の形成を最小化する改良アルキル化/分別脱硫プロ
セスを提供することである。
【0015】 本発明の目的は、オレフィン性アルキル化剤の重合由来の不都合なオリゴマー
類及びポリマー類の形成を最小化する改良アルキル化/分別脱硫プロセスを提供
することである。
【0016】 本発明の目的は、揮発性芳香族炭化水素類を顕著に損失することなく該炭化水
素類を含む供給原料に適用し得る改良アルキル化/分別脱硫プロセスを提供する
ことである。
【0017】 本発明の別の目的は、オレフィン性分解ナフサ由来のチオフェン性不純物及び
ベンゾチオフェン性不純物を効率的に除去する改良法であって、ナフサのオクタ
ンを顕著に減らさない該方法を提供することである。
【0018】 本発明のさらに別の目的は、炭化水素供給原料由来のチオフェン性不純物及び
ベンゾチオフェン性不純物を効率的に除去するための安価な方法を提供すること
である。発明の詳細な説明 本出願人は、炭化水素類の混合物から構成され、不都合な不純物としてチオフ
ェン性化合物及びベンゾチオフェン性化合物などの硫黄含有芳香族化合物を含む
供給原料から硫黄含有量の低い生成物を製造するプロセスを知見した。本発明は
、少なくとも2つの一連のアルキル化/分別脱硫工程の使用を含む。揮発性の高
い硫黄含有芳香族不純物の殆どを第1工程で除去し、次いで少なくとも1つの次
の工程で揮発性の低い硫黄含有芳香族不純物を除去する。
【0019】 本明細書中、「硫黄含有芳香族化合物」及び「硫黄含有芳香族不純物」なる用
語は、その芳香族環系に少なくとも1個の硫黄原子を含有する任意の芳香族有機
化合物を指す。かかる物質としては、チオフェン性化合物及びベンゾチオフェン
性化合物が挙げられ、かかる物質の例としては、チオフェン、2-メチルチオフェ
ン、3-メチルチオフェン、2,3-ジメチルチオフェン、2,5-ジメチルチオフェン、
2-エチルチオフェン、3-エチルチオフェン、ベンゾチオフェン、2-メチルベンゾ
チオフェン、2,3-ジメチルベンゾチオフェン、及び3-エチルベンゾチオフェンが
挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】 本発明の第1工程では、(1)不純物の一部を高沸点硫黄含有生成物に転換する
のに効果的なアルキル化条件に供給原料を暴露し、次いで;(2)分別蒸留により
得られた生成物を低沸点画分と高沸点画分とに分離する、ことを含む。低沸点画
分は炭化水素類から構成され、供給原料に対し硫黄含有量が低い。高沸点画分は
炭化水素類から構成され、非アルキル化硫黄含有芳香族不純物と高沸点硫黄含有
生成物も含む。第1工程のアルキル化段階では、反応性の高い不純物を分別蒸留
により分離し得る高沸点硫黄含有生成物に転換するのに効果的なアルキル化条件
に供給原料を暴露する。本出願人は、反応性の高い不純物は通常、チオフェン及
び種々の低分子量アルキル-置換チオフェン類などの揮発性の高い不純物である
ことを知見した。第1工程のアルキル化段階でのアルキル化条件は、これらが芳
香族炭化水素類の顕著なアルキル化や不都合なオレフィン重合を引き起こさずに
揮発性硫黄含有芳香族不純物の実質的なアルキル化を実施するのに十分に温和で
あるように選択することができる。
【0021】 第1工程のアルキル化生成物中の任意の低沸点芳香族炭化水素類及びオレフィ
ン性炭化水素類は低沸点画分中で分別蒸留することにより除去される。供給原料
中の反応性の高い硫黄含有芳香族不純物は通常、揮発性が高いため、これらの揮
発性の高い不純物の殆どは第1工程のアルキル化段階で高沸点物質に転換し、低
沸点画分は供給原料に対して硫黄含有芳香族不純物濃度が実質的に低い。高沸点
画分はアルキル化硫黄含有芳香族不純物と、第1工程のアルキル化段階でアルキ
ル化を受けなかった反応性の低い大部分の硫黄含有芳香族不純物も含む。非アル
キル化不純物としては通常、多置換チオフェン類、ベンゾチオフェン及び置換ベ
ンゾチオフェン類が挙げられる。
【0022】 本明細書中、第2工程と参照する本発明の次のそれぞれの工程は、(1)硫黄含
有芳香族化合物のその含有量の少なくとも一部を高沸点硫黄含有生成物に転換す
るのに効果的なアルキル化条件に先の工程からの高沸点画分を暴露し、次いで(2
)得られた生成物を低沸点画分と高沸点画分とに分別蒸留により分離する、こと
を含む。本発明の好ましい態様では、第2工程を1回だけ使用する。第2工程か
らの低沸点画分は炭化水素類から構成され、供給原料に対して硫黄含有量が低い
。第2工程からの高沸点画分は先のアルキル化段階からの高沸点硫黄含有生成物
から構成される。第2工程のアルキル化段階では、この工程への供給原料中の硫
黄含有芳香族不純物の少なくとも一部を分別蒸留により分離し得る高沸点硫黄含
有生成物に転換するのに効果的なアルキル化条件を使用する。第2工程への供給
原料中の硫黄含有芳香族不純物としては、先の単数または複数の工程からの非ア
ルキル化硫黄含有芳香族不純物と、先の単数または複数の工程からのアルキル化
硫黄含有芳香族不純物も挙げられる。先の単数または複数の工程からのアルキル
化不純物は揮発性が十分に高いこともあり、分別蒸留で除去するのに十分に沸点
を上昇させるのにさらにアルキル化が必要であろう。さらに、非アルキル化不純
物のアルキル化は分別蒸留によって除去するのに必要である。
【0023】 本発明のプロセスの一態様では、第1工程への供給原料は硫黄含有芳香族不純
物の一つとしてベンゾチオフェンを含み、第2工程でアルキル化条件にかける前
記第1工程からの高沸点画分は前記ベンゾチオフェンを多量に含むだろう。
【0024】 本発明のプロセスからの全生成物はプロセスの種々の工程からの低沸点画分の
混合物から構成され、全生成物はプロセスへの供給原料に対して硫黄含有量が低
い。しかしながら、本プロセスの各工程からの低沸点画分は本プロセスの他の全
ての生成物流と独立して使用することができる別個の生成物流である。
【0025】 本発明の第1工程からの低沸点供給原料画分の蒸留終点は、相当量のベンゾチ
オフェンを蒸留する温度より低いように選択するのが望ましい。ベンゾチオフェ
ンの沸点は221℃であるため、通常この低沸点画分の蒸留終点は約221℃未満であ
るように選択する。しかしながら、本出願人は、ベンゾチオフェンは不純物とし
て通常存在する炭化水素蒸留液の幾つかの成分と低沸点共沸混合物を形成し得る
ことを知見した。そのような共沸混合物が形成するため、第1工程の画分の蒸留
終点は約199℃未満であるのが好ましく、約190℃未満であるのがより好ましい。
ベンゾチオフェン性化合物や、アルキル化するのが通常難しい特定の2,5-ジアル
キルチオフェン類などの数種の多置換チオフェン類を取り除くのに役立つため、
低沸点の第1工程の画分に望ましい蒸留終点は約135℃〜約221℃の範囲である。
低沸点の第1工程画分の非常に望ましい蒸留終点は、約150℃〜約190℃の範囲で
あろう。
【0026】 本発明の実施において、硫黄含有芳香族不純物の高沸点生成物への転換の主な
メカニズムは、これらの不純物のアルキル化剤によるアルキル化を含むと考えら
れる。例えば、チオフェンなどの硫黄含有芳香族化合物の単純アルキル化により
アルキル-置換チオフェンが得られる。このタイプの反応は、アルキル化剤とし
てプロペンを使用するチオフェンの2-イソプロピルチオフェンへの転換を示す以
下の等式に説明されている。
【0027】
【化1】
【0028】 むろん、チオフェンのモノアルキル化は硫黄原子に対してαまたはβのいずれか
で起きるが、ポリアルキル化も起きるものと考えられる。アルキル化プロセスに
より硫黄含有出発物質の水素原子をアルキル基と置換し、出発物質の分子量を対
応する分だけ増加させる。かかるアルキル化生成物の高分子量は、出発物質に対
し沸点をより高くするように影響する。
【0029】 本出願人は、揮発性の高い硫黄含有芳香族不純物の多くは、接触分解プロセス
由来のオレフィン性ナフサなどの在来型の精製所プロセス流で知見される揮発性
の低い硫黄含有芳香族不純物の多くと比較して、アルキル化基質としてずっと反
応性であることを知見した。実施例VIに記載するように、本出願人は、固体リン
酸触媒上204℃で1-ヘプテンによる酸触媒化アルキル化に対する相対的反応性が
以下の如く:チオフェン(84℃)>2-メチルチオフェン(113℃)>>ベンゾチオフ
ェン(221℃)>2,5-ジメチルチオフェン(137℃)>トルエン(111℃)>ベンゼン(80
℃)(但し、それぞれの化合物の沸点は丸括弧内に示す)であることを知見した。
チオフェン性化合物のアルキル化は、硫黄に対して直近のチオフェン環位置のひ
とつ(位置2及び5と識別される)で優先的に起きると考えられる。従って、2位置
も5位置も置換されている2,5-ジメチルチオフェンのようなチオフェンは、これ
らの位置の少なくとも一カ所が置換されてないチオフェン類よりも反応性が低い
ものと予測される。しかしながら、2位置または5位置のいずれかが非置換の殆ど
のチオフェン性化合物は、ベンゾチオフェンまたはアルキル-置換ベンゾチオフ
ェン類よりもずっと反応性であると考えられる。従って、本発明の段階的なプロ
セスは、揮発性の高い硫黄含有芳香族化合物が典型的により高い反応性であるこ
とをうまく利用する。
【0030】 本発明の各工程のアルキル化段階でのアルキル化条件は、硫黄含有芳香族不純
物の所望のアルキル化を実施し、芳香族炭化水素類のアルキル化及びオレフィン
重合などの不都合な副反応を最小化するために最適化することができる。非常に
好ましい態様では、この最適化では第1工程のアルキル化段階での温和なアルキ
ル化条件と第2工程でのアルキル化段階でのより強いアルキル化条件を使用する
。アルキル化プロセスの過酷さ(severity)を制御するために調節し得るパラメー
ターとしては、温度、触媒の選択、アルキル化剤のタイプ、及びアルキル化剤の
濃度が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】 例えば、第2工程のアルキル化段階で高温に対し第1工程のアルキル化段階で
低温を使用することにより、第2工程のアルキル化段階よりも第1工程のアルキ
ル化段階で温和なアルキル化条件を実施することができる。さらに、第2工程で
のアルキル化段階のアルキル化条件の過酷さを強める非常に望ましい方法として
は、低分子量アルキル化剤を添加することがある。例えば、3〜5個の炭素原子を
含有するオレフィン類は、添加するアルキル化剤として使用するのに非常に好ま
しい。そのような低分子量オレフィンは重合を受けるが、その重合により生成す
る副生成物の大部分はガソリン沸点範囲である揮発性オリゴマーを含むであろう
。即ち、生成物がガソリンブレンド用原料を目的とするものである場合、これら
のオリゴマーは生成物の所望のハイオクタン成分であり、これは高沸点硫黄含有
アルキル化生成物を分別により除去する際でも失われないであろう。本発明のこ
の態様において、第2工程のアルキル化段階でのアルキル化条件に暴露されるプ
ロセス流は、3〜5個の炭素原子のオレフィン類からなる群から選択される少なく
とも1種の物質から構成される添加アルキル化剤を約1〜約50容積%、好ましくは
約10〜約50容積%含むのが望ましい。
【0032】 第1工程のアルキル化段階でのアルキル化条件は反応性が高く、通常揮発性の
高い硫黄含有芳香族不純物を高沸点硫黄含有生成物に転換するためのものである
ので、この工程で温和なアルキル化条件を使用することは可能である。これらの
温和な反応条件により、芳香族炭化水素のアルキル化及びオレフィン重合などの
副反応は最小化する。従って、供給流中の揮発性芳香族炭化水素類(例えば、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びクメン)はこの第1工程では
殆ど転換しない。さらに、重合しても、貴重なオレフィン類は比較的殆ど失われ
ない。
【0033】 揮発性芳香族炭化水素類は、本発明の以下の第2工程への供給原料として使用
される第1工程の高沸点画分から実質的に除去される。これらの物質が存在しな
いため、第2工程のアルキル化段階に好ましいより強力なアルキル化段階に暴露
されることはない。
【0034】 本発明の実施で使用するのに好適なアルキル化剤としては、オレフィン類及び
アルコール類のいずれもが挙げられ、これらのアルキル化剤は3〜約20個の炭素
原子を含むのが好ましい。しかしながら、オレフィン類はアルコール類よりも通
常反応性が高く、より温和な反応条件下、主プロセスで使用することができるた
め、オレフィン類が通常好ましい。エチレン、メタノール及びエタノール等の物
質は、これらの反応性が比較的低いため、本発明の実施でアルキル化剤として大
抵の他のオレフィン類及びアルコール類よりも有用でない。
【0035】 アルキル化剤として使用するのに好適なオレフィン類としては、環式オレフィ
ン類、置換された環式オレフィン類、及び式I(式中、R1はヒドロカルビル基であ
り、R2はそれぞれ独立して、水素及びヒドロカルビル基からなる群から選択され
る)のオレフィン類が挙げられる。好ましくはR1はアルキル基であり、R2はそれ
ぞれ独立して水素及びアルキル基からなる群から選択される。
【0036】
【化2】
【0037】 好適な環式オレフィン類及び置換された環式オレフィン類の例としては、シクロ
ペンテン、1-メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、1-メチルシクロヘキセン
、3-メチルシクロヘキセン、4-メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロ
オクテン、及び4-メチルシクロオクテンが挙げられる。式Iのタイプの好適なオ
レフィン類の例としては、プロペン、2-メチルプロペン、1-ブテン、2-ブテン、
2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、2,3-ジメチル-1-
ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-2-ブテン、2-エチル-1-ブテン
、2-エチル-3-メチル-1-ブテン、2,3,3-トリメチル-1-ブテン、1-ペンテン、2-
ペンテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン
、2,4-ジメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、1,3-ヘキ
サジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2,4-ヘキサジエン、1-ヘプテ
ン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、及び4-オ
クテンが挙げられる。本出願人は、低分子量オレフィン類は、チオフェン性化合
物及びベンゾチオフェン性化合物のアルキル化で使用するのに対し反応性の高い
アルキル化剤である傾向があることを知見した。例えば、約10℃〜約249℃の沸
騰範囲を有する接触分解プロセス由来の重質ナフサにアルキル化/分別脱硫プロ
セスを適用する場合、本出願人は、ナフサの成分として存在するオレフィン類、
低分子量C5及びC6オレフィン類が高分子量C7+オレフィン類よりも反応性である
ことを知見した。本出願人は、3〜5個の炭素原子を含むオレフィン類は、本発明
の第2工程のアルキル化段階でアルキル化剤として使用するのに非常に満足でき
るものであることも知見した。これら3〜5個の炭素原子のオレフィン類はアルキ
ル化剤として非常に反応性であるだけでなく、重合副生成物も与えるが、これら
は高分子量オレフィン類によってできる副生成物よりも通常それほど不都合では
ない。上述の如く、3〜5個の炭素原子のオレフィン類の重合によりできた副生成
物は、少なくとも一部は6〜10個の炭素原子を含み、ガソリン沸点範囲である揮
発性の二量体及び三量体を含む。従って、生成物をガソリンブレンド用原料とし
て使用する場合には、これらの揮発性オリゴマーは生成物の望ましいハイオクタ
ン成分であり、十分に沸点が低いので高沸点硫黄含有アルキル化生成物を分別に
より除去する際に失われない。
【0038】 本発明の実施において第1工程のアルキル化段階でアルキル化剤として使用す
るのに好ましいオレフィン類としては、約7〜約15個の炭素原子を含むオレフィ
ン類が挙げられる。上述の如く、これらのオレフィン類は3〜6個の炭素原子を含
む低分子量オレフィン類よりも幾分反応性が低いという傾向がある。従って、こ
れらは第1工程のアルキル化段階で非常に反応性の高い硫黄含有芳香族不純物と
混合して使用するアルキル化剤として用いるのに非常に適している。さらに、多
数の炭素原子を含むアルキル化剤は、通常、より少数の炭素原子を含むアルキル
化剤よりも高沸点のアルキル化生成物を与えるであろう。
【0039】 モノアルキル化チオフェン側鎖のそれぞれの炭素原子毎にチオフェンの沸点84
℃が約25℃高くなると大まかに見積もることができる。例えば、2-オクチルチオ
フェンの沸点は259℃であるが、これは8個の炭素アルキル基のそれぞれの炭素原
子についてチオフェンの沸点を23℃上昇させることに相当する。従って、本発明
の第1のアルキル化工程でのC7〜C15オレフィンによるチオフェンのモノアルキ
ル化により、通常、約210℃の初留点を有する高沸点画分の成分として分別蒸留
により容易に除去し得る十分に高い沸点を有する硫黄含有アルキル化生成物が得
られる。対照的に、4個の炭素のオレフィンである2-メチルプロペンをアルキル
化剤として使用する場合、モノアルキル化によりチオフェンを2-t-ブチルチオフ
ェン(沸点164℃)に転換し、ジアルキル化によりジ-t-ブチルチオフェン(沸点約2
24℃)を与える。従って、4個の炭素原子のオレフィンによるジアルキル化は、約
210℃の初留点を有する高沸点画分の成分として分別蒸留により除去し得る高沸
点アルキル化物質にチオフェンを転換するのに必要である。
【0040】 本発明の実施においてアルコールまたはアルコール類の混合物をアルキル化剤
として使用する場合、第2及び第3アルコール類は第1アルコール類よりも通常
より反応性であり、より温和な反応条件で使用することができるため、第1アル
コール類よりも非常に好ましい。3〜5個の炭素原子を含むアルコール類が通常好
ましい。
【0041】 本発明の実施で使用し得る供給原料は、炭化水素類の混合物から構成され、例
えば、チオフェン性化合物及びベンゾチオフェン性化合物などの硫黄含有芳香族
不純物を少量含む。さらに、供給原料は液体から構成され、約345℃以下、好ま
しくは約249℃以下の蒸留終点であるのが望ましい。所望により、供給原料は約2
21℃以下の蒸留終点であってもよい。好ましくは、供給原料は約79℃未満の初留
点を有する。好適な供給原料としては、例えば、天然ガス液体、ナフサ、軽質ガ
ス油、重質ガス油、及びワイド-カットガス油などの石油精製時に通常含まれる
炭化水素類並びに、石炭液化及びオイル・シェールまたはオイル・サンドの処理
から誘導される炭化水素画分の種々の複合混合物のいずれをも含み得る。好まし
い供給原料としては、炭化水素供給原料の接触分解またはコーキングから得られ
るオレイン性ナフサが挙げられる。
【0042】 接触分解生成物は本発明の目的で使用するのに非常に好ましい供給原料である
。この種の好ましい供給原料としては、例えば、軽質ナフサ、重質ナフサ及び軽
質サイクル油などの約345℃未満で沸騰する液体が挙げられる。しかしながら、
接触分解プロセスからの揮発性生成物の全産出分を本発明の供給原料として使用
し得ると考えられる。接触分解生成物はオレフィン含有量が比較的高く、通常、
本発明の第1のアルキル化工程で任意の追加のアルキル化剤を添加する必要がな
いので、望ましい供給原料である。さらに、硫黄含有芳香族化合物(例えば、チ
オフェン性化合物及びベンゾチオフェン性化合物)は接触分解生成物の硫黄含有
不純物の主成分であることが多いので、これらの不純物は本発明の手段により容
易に除去される。例えば、石油から誘導したガス油の流動接触分解からの典型的
な軽質ナフサは約60重量%以下のオレフィン類と約0.5重量%以下の硫黄を含むこ
とができ、大部分の硫黄はチオフェン性化合物及びベンゾチオフェン性化合物の
形態である。本発明の実施で使用するための好ましい供給原料は接触分解生成物
から構成され、さらに少なくとも1重量パーセントのオレフィン類から構成され
る。非常に好ましい供給原料は接触分解生成物から構成され、さらに少なくとも
5重量パーセントのオレフィン類から構成される。かかる供給原料は蒸留により
単離される接触分解プロセス由来の揮発性生成物の一部であってもよい。
【0043】 本発明の実施において、供給原料は不純物として硫黄含有芳香族化合物を含む
。本発明の一態様において、供給原料は不純物としてチオフェン性化合物及びベ
ンゾチオフェン性化合物のいずれをも含む。所望によりこれらの硫黄含有芳香族
化合物の少なくとも約50%以上を本発明の実施において高沸点硫黄含有物質に転
換することができる。本発明の一態様において、供給原料はベンゾチオフェンを
含み、ベンゾチオフェンの少なくとも約50%をアルキル化により高沸点硫黄含有
物質に転換し、分別により除去する。
【0044】 オレフィン類またはアルコール類により硫黄含有芳香族化合物のアルキル化を
触媒作用し得る任意の酸性物質を、本発明の実施において触媒として使用するこ
とができる。液体酸(例えば、硫酸)を使用することができるが、固体酸触媒が特
に望ましく、そのような固体酸触媒としては固体支持体上に担持された液体酸が
挙げられる。固体酸触媒は、通常、そのような物質と供給原料とを接触させ易い
ので、液体触媒よりも好ましい。例えば、供給流は、好適な温度で固体粒状酸性
触媒の1つ以上の固定床内を簡単に通過させることができる。所望により異なる
酸性触媒を本発明の種々のアルキル化工程で使用することができる。例えば、ア
ルキル化条件の過酷さは活性のやや弱い触媒を使用することによって第1工程の
アルキル化段階で加減することができ、活性のやや強い触媒を第2工程のアルキ
ル化段階で使用することもできる。
【0045】 本発明の一態様では、本発明の工程の少なくともひとつで蒸留カラム反応器を
使用する。例えば、固体酸触媒の1つ以上の粒状固定床を蒸留カラム中のカラム
パッキンとして使用することができる。触媒を蒸留カラムに挿入することにより
、カラムは蒸留カラム反応器になる。結果として、本発明の工程の酸触媒アルキ
ル化段階は、蒸留カラム内の好適な反応条件下でその工程への供給流を触媒と接
触させることにより得られた生成物を分別蒸留するのと同時に実施することがで
きる。
【0046】 本発明の実施で使用するのが好適な触媒は、酸性ポリマー樹脂、担持された酸
、及び酸性無機酸化物などの物質から構成することができる。好適な酸性ポリマ
ー樹脂の例としては、当業者に公知で市販されているポリマー性スルホン酸樹脂
が挙げられる。Amberlyst(登録商標)35(Rohm and Haas製)はかかる物質の典型
例である。
【0047】 触媒として有用な担持酸としては、固体(例えば、シリカ、アルミナ、シリカ-
アルミナ、酸化ジルコニウムまたはクレー)上に担持されているブロンステッド
酸(例えば、リン酸、硫酸、硼酸、HF、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸、及びジヒドロキシフルオロ硼酸)及びルイス酸(例えば、BF3、BCl3 、AlCl3、AlBr3、FeCl2、FeCl3、ZnCl2、SbF5、SbCl5及びAlCl3とHClとの組合
せ)が挙げられるが、これらに限定されない。担持された液体酸を使用する場合
には、担持触媒は、通常、所望の液体酸と所望の担体とを混合し、次いで乾燥す
ることにより製造する。リン酸と担体とを混合することにより製造する担持触媒
が非常に好ましく、本明細書中、固体リン酸触媒と呼ぶ。これらの触媒は非常に
効果的でコストが安いため好ましい。本明細書中、その全体が参照として含まれ
る米国特許第2,921,081号(Zimmerschiedら)は、酸化ジルコニウム及びジルコニ
ウムのハロゲン化物からなる群から選択されるジルコニウム化合物と、オルトリ
ン酸、ピロリン酸及びトリリン酸からなる群から選択される酸とを混合すること
による固体リン酸触媒の製造を開示する。本明細書中、その全体が参照として含
まれる米国特許第2,120,702号(Ipatieffら)は、リン酸と珪酸含有物質とを混合
することによる固体リン酸触媒の製造を開示する。最後に、本明細書中、その全
体が参照として含まれる英国特許第863,539号は、珪藻土(diatomaceous earthま
たはkieselguhr)などの固体珪酸含有物質上にリン酸を付着させることによる固
体リン酸触媒の製造も開示する。
【0048】 珪藻土上にリン酸を付着させることによって製造する固体リン酸に関しては、
触媒は(1)珪藻土上に担持された1種以上の遊離リン酸(例えば、オルトリン酸、
ピロリン酸及びトリリン酸)と;(2)単数または複数種類の酸と珪藻土との化学反
応から誘導されるリン酸珪素(silicon phosphate)とを含むものと考えられる。
無水リン酸珪素はアルキル化触媒として不活性であると考えられるが、触媒的に
活性であるオルトリン酸とポリリン酸との混合物を製造するためにこれらを加水
分解することができるとも考えられる。この混合物の詳細な組成は、触媒が暴露
される水の量に依存する。実質的に無水炭化水素供給原料と共に使用する際に固
体リン酸アルキル化触媒を満足できる活性レベルに保持するためには、イソプロ
ピルアルコールなどの少量のアルコールを供給原料に添加して触媒を十分な水和
レベルに保持すると都合がよい。アルコールは触媒との接触により脱水され、生
成した水が触媒を水和すると考えられる。触媒が殆ど水を含まなければ、コーキ
ングの結果直ちに失活してしまうような非常に高い酸性度である傾向があり、さ
らに触媒は良好な物理的結着性を持たないであろう。さらに触媒を水和すると、
その酸性度が低下し、コークス形成により直ちに失活する傾向が減少する。しか
しながら、そのような触媒を過度に水和すると触媒が軟化し、物理的に凝集して
固定床反応器中で大きな圧力低下を引き起こす。従って、固体リン酸触媒には最
適水和レベルがあり、この水和レベルは、反応条件、基質、及びアルキル化剤の
関数である。本発明は固体リン酸触媒に限定されるものではないが、本出願人は
供給原料中の水の濃度が約50〜約1,000ppmの範囲であると通常十分であり、この
水はイソプロピルアルコールなどのアルコールの形態で都合良く提供できること
を知見した。
【0049】 触媒として有用な酸性無機酸化物としては、アルミナ、シリカ-アルミナ、天
然及び合成ピラークレー(pillared clay)、並びに天然及び合成ゼオライト(例え
ば、ファウジャサイト;faujasites、モルデナイト、L、オメガ、X、Y、ベータ
、及びZSMゼオライト)が挙げられるが、これらに限定されない。非常に好適なゼ
オライトとしては、ベータ、Y、ZSM-3、ZSM-4、ZSM-5、ZSM-18及びZSM-20が挙げ
られる。所望によりゼオライトは無機酸化物マトリックス物質(例えば、シリカ-
アルミナ)中に含ませることができる。実際、平衡分解触媒(equilibrium cracki
ng catalyst)は、本発明の実施における酸触媒として使用することができる。
【0050】 触媒は、種々の物質、例えば、ルイス酸(例えば、BF3、BCl3、SbF5及びAlCl3)
、非ゼオライト固体無機酸化物(例えば、シリカ、アルミナ及びシリカ-アルミナ
)、並びに大孔(large pore)結晶質モレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト、
ピラークレー及びアルミノリン酸塩)の混合物を含むことができる。
【0051】 固体触媒を使用する場合には、使用するプロセス工程で反応体と迅速且つ効果
的に接触できる物理的形態であるのが望ましい。本発明はこれに限定されるもの
ではないが、固体触媒は粒子の最大直径が約0.1mm〜約2cmの範囲の平均値を有す
る粒状形であるのが好ましい。例えば、約0.1mm〜約2cmの平均直径を有する触媒
の実質的に球状ビーズを使用することができる。或いは、触媒は約0.1mm〜約1cm
の範囲の直径及び約0.2mm〜約2cmの範囲の長さを有する棒状で使用することがで
きる。
【0052】 本発明の実施で使用する供給原料は、硫黄含有芳香族不純物に加えて、不純物
として窒素-含有有機化合物を含むことがある。典型的な窒素-含有不純物の多く
は有機塩基であり、場合により本発明の単数または複数種類の酸性触媒を失活さ
せることがある。そのような失活が知見される場合には、酸性触媒と接触する前
に塩基性窒素-含有不純物を除去することによって失活しないようにすることが
できる。これらの塩基性不純物を本発明の実施で使用する前に供給原料から除去
すると最も都合がよい。本発明で使用するのに非常に好ましい供給原料は、接触
分解プロセスにより生成したナフサから塩基性窒素-含有不純物を除去すること
により製造した処理済みナフサから構成される。
【0053】 塩基性窒素-含有不純物は、任意の慣用法により除去することができる。かか
る方法は通常酸性物質との処理を含み、慣用法としては、酸の水溶液による洗浄
及び酸性触媒に先だって配置される保護床の使用などの方法が挙げられる。効果
的な保護床の例としては、A-ゼオライト、Y-ゼオライト、L-ゼオライト、モルデ
ナイト、フッ化アルミナ(fluorided alumina)、新しい分解触媒、平衡分解触媒
及び酸性ポリマー樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。保護床方法を使
用する場合、保護床を再生することができるような方法で2つの保護床を使用す
るのが望ましいが、供給原料を予備加熱し、酸性触媒を保護するために他のもの
も使用される。分解触媒を使用して塩基性窒素-含有不純物を除去する場合、か
かる不純物を除去する触媒能力が失活したら、かかる物質を接触分解装置の再生
装置で再生することができる。酸性洗浄液を使用して塩基性窒素-含有化合物を
除去する場合、供給原料を好適な酸の水溶液で処理する。そのような使用に好適
な酸としては、塩酸、硫酸及び酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。水
溶液中の酸の濃度は重要ではないが、約0.5〜約30重量%の範囲を好都合に選択す
る。例えば、2重量%硫酸水溶液を使用して、接触分解プロセス由来の重質ナフサ
から塩基性窒素含有化合物を除去することができる。
【0054】 本発明の実施において、硫黄含有芳香族不純物を高沸点硫黄含有物質へ所望の
転換率で転換するのに効果的な温度及び時間で、それぞれの工程のアルキル化段
階への供給原料を酸性触媒と接触させる。しかしながら、本発明の第1工程のア
ルキル化段階のアルキル化条件が単数または複数の第2工程でのアルキル化条件
よりも温和であり、これによって第1工程のアルキル化段階でより低い温度及び
/またはより短い接触時間を使用することができるような方法で、温度及び接触
時間を選択することができると考えられる。本発明の特定のアルキル化段階の如
何に拘わらず、接触温度は約50℃を超え、好ましくは100℃を超え、より好まし
くは125℃を超える。接触は、約50℃〜約350℃、好ましくは約100℃〜約350℃、
より好ましくは約125℃〜約250℃の範囲の温度で通常実施する。むろん、最適温
度は使用する酸性触媒、選択した単数または複数種類のアルキル化剤、単数また
は複数種類のアルキル化剤の濃度、及び除去すべき硫黄含有芳香族不純物の性質
の関数である。
【0055】 プロセスの工程を蒸留カラム反応器で実施する場合、蒸留カラム反応器を操作
する圧力によって、蒸留カラム反応器中で酸性触媒と反応体とを接触させる温度
と蒸留温度のいずれをも制御することができる。圧力が上昇するにつれて、蒸留
カラム反応器中で分別蒸留を実施するためには高温が必要である。
【0056】 任意の所望量のアルキル化剤を本発明の実施で使用することができる。しかし
ながら、アルキル化段階での硫黄含有不純物量に対して多量のアルキル化剤を使
用すると、アルキル化条件の過酷さを強め、酸性触媒との接触時に硫黄含有芳香
族不純物の高沸点硫黄含有生成物へのより迅速且つ完全な転換を促進することが
できる。従って、アルキル化剤の濃度は、本発明の種々の工程でのアルキル化段
階でのアルキル化条件の過酷さを制御するのに使用し得る変数のひとつである。
しかしながら、任意の特定のアルキル化段階への供給流は、該供給流中の硫黄含
有芳香族不純物の量に対してモルベースで少なくとも等しいアルキル化剤量を含
むのが望ましい。所望により、アルキル化剤対硫黄含有芳香族不純物のモル比は
少なくとも5以上であることができる。例えば、過酷なアルキル化条件が望まし
い第2工程のアルキル化段階では、供給流は3〜5個の炭素原子を含むオレフィン
類約10〜約50容積%から構成されていてもよい。好ましい態様では、オレフィン
性アルキル化剤を使用し、第1工程のアルキル化段階への供給流中のオレフィン
類のモル濃度は第2工程のアルキル化段階への供給流中のオレフィン類のモル濃
度よりも少ない。
【0057】 本発明の実施において、アルキル化段階への供給流は任意の好適な圧力で酸性
触媒と接触させることができる。しかしながら、約0.01〜200気圧の範囲の圧力
が望ましく、約1〜約100気圧の範囲の圧力が好ましい。供給流を単に触媒床を通
して流す場合、供給流が液体である圧力を使用するのが通常好ましい。しかしな
がら、本発明の工程を蒸留カラム反応器で実施する場合、蒸留カラム反応器中で
固体酸触媒と供給流とが接触する温度及び圧力は、(1)問題となるアルキル化段
階に対して過酷さが好適である反応条件を提供するのに温度が十分に高く;且つ
(2)所望の分別蒸留が起きるように選択する。
【0058】 蒸留カラム反応器を本発明のひとつ以上の工程で使用する場合、固体酸触媒は
任意の慣用の方法で蒸留カラム反応器内に設置し、反応器の単数または複数の接
触領域中に配置することができる。例えば、触媒は慣用の蒸留カラムのトレー上
または、蒸留カラム反応器内のひとつの領域から別の領域へ液体流路を提供する
少なくとも1つの水路内に配置することができる。それぞれが接近可能であり、
蒸留カラム反応器を停止することなく酸性固体触媒を置換する仕事を独立して実
施することができるように、所望により蒸留カラム反応器の主構造の外部にその
ような水路を配置することができる。記載の如く、ひとつの水路内で失活即ち消
費された触媒を置換若しくは再生し、また、追加の単数若しくは複数の水路によ
り蒸留カラム反応器の連続操作をすることができるように、触媒を含むそのよう
な水路を少なくとも2つ使用するのが通常望ましい。或いは、水路は、隣接する
トレーに接続し、慣用の蒸留カラム内の液体流路を提供する降水管の形態をとる
ことができる。蒸留カラム反応器内に触媒を保持するための降水管の使用につい
ては、本明細書中、その全体が参照として含まれる米国特許第3,629,478号(Haun
schild)及び同第3,634,534号(Haunschild)に記載されている。好ましい態様では
、固体酸触媒を蒸留カラム用のパッキンとして使用し、分別を触媒の存在下で少
なくとも一部実施する。例えば、固体酸触媒は、ペレット、ロッド、リング、サ
ドル、ボール、不規則片、シート、チューブ、螺旋の形態を取ることができ、バ
ッグ内に包装、または網若しくは金網上に付着させることができる。蒸留カラム
反応器内のパッキン物質としての触媒の使用は、本明細書中、その全体が参照と
して含まれる米国特許第4,232,177号(Smith)、同第4,242,530号(Smith)、同第4,
307,254号(Smith)及び同第4,336,407号(Smith)に記載されている。
【0059】 本発明は、炭化水素供給原料の硫黄含有芳香族不純物を比較的少容積の高沸点
物質に濃縮する方法を示す。濃縮することにより、硫黄をより容易且つ低コスト
で処分することができ、この処分には任意の慣用法を使用することができる。例
えば硫黄含有量があまり望ましくない場合にこの物質を重油にブレンドすること
ができる。あるいは、元の供給原料の容積に対して少ないため、比較的低コスト
で効率的に水素化処理することができる。
【0060】 本発明の非常に好ましい態様は、硫黄含有不純物を含む炭化水素供給原料の流
動接触分解から得られる炭化水素生成物由来の硫黄含有芳香族化合物を除去する
ために使用することを含む。流動接触分解プロセスでは、高分子量炭化水素流体
または蒸気を通常、流動床反応器または長い垂直パイプ(riser)反応器中の熱微
粉砕触媒粒子と接触させて、この触媒-炭化水素混合物を自動車用ガソリン及び
蒸留燃料(distillate fuel)中に通常存在する種類の低分子量炭化水素類への分
解が所望の程度で起きるのに十分な時間及び温度で、流動状態または分散状態で
保持する。
【0061】 流動接触分解プロセスにおける選択炭化水素供給原料の転換は、転換時間をせ
いぜい約10秒間に限定する転換温度及び流動速度で反応領域において分解触媒と
の接触により実施する。転換温度は約430℃〜約700℃が望ましく、約450℃〜約6
50℃が好ましい。次いで、炭素質物質またはコークスの失活量を含む分解触媒と
炭化水素蒸気とを含む、反応領域からの流出液(effluent)を分離領域に移す。炭
化水素蒸気は分離領域で消費された分解触媒から取り出され、沸点をベースとし
てこれらの物質分離用の分離器(fractionator)に運ばれる。これらの揮発性炭化
水素生成物は、通常、約430℃〜約650℃の範囲の温度で分離器に入り、分離に必
要な熱を全て供給する。
【0062】 炭化水素類の接触分解では、非揮発性炭素質物質またはコークスが幾らか触媒
粒子上に付着する。コークスが分解触媒上に蓄積するに連れて、分解触媒の活性
及びガソリンブレンド用原料を製造するための触媒の選択性が低下する。しかし
ながら、触媒からコークスを殆ど除去することによってその元の触媒活性の大部
分を取り戻すことができる。これは、再生領域または再生装置中で空気などの分
子酸素-含有再生ガスで、触媒のコークス付着物を燃焼し尽くすことにより実施
する。
【0063】 広範囲のプロセス条件を流動接触分解プロセスの実施で使用することができる
。ガス油供給原料を使用する通常の場合では、処理比(throughput ratio)即ち、
全供給流対新しい供給流の容積比は、約1.0〜約3.0を変動し得る。軽質物質また
はコークスの形成により大気圧で約221℃を超える沸点の炭化水素の百分率の減
少として転換率が定義される場合、転換率レベルは約40%〜約100%を変動し得る
。反応器中の触媒対油の重量比は、流動分散液が約15〜約320キログラム/m3の範
囲の密度を有するように約2〜約20の範囲を変動し得る。流動速度は、約3.0〜約
30メートル/秒の範囲を変動し得る。
【0064】 流動接触分解プロセスで使用するのに好適な炭化水素供給原料は、有機硫黄化
合物の状態で約0.2〜約6.0重量パーセントの硫黄を含むことができる。好適な供
給原料としては、例えば、軽質ガス油、重質ガス油、ワイドカットガス油、真空
ガス油、ナフサ類、デカント油、残渣画分及びこれらの任意のものから誘導され
たサイクル油並びに、合成油、石炭液化、シェール油及びオイル・サンド処理か
ら誘導された硫黄含有炭化水素画分などの硫黄含有石油画分が挙げられるが、こ
れらに限定されない。これらの供給原料の任意のものを単独または任意の所望の
組合せで使用することができる。
【0065】 本発明には多くの形態の態様が考えられようが、特定の態様を図1に示す。但
し、この開示は例示される態様に本発明を限定するものではない。
【0066】 図1を参照して、不純物として有機硫黄化合物を含有するガス油を流動接触分
解プロセスで触媒により分解し、このプロセスからの揮発性生成物をライン1か
ら蒸留カラム2へ通す。約60℃〜約211℃の範囲で沸騰する供給原料をライン3
経由で蒸留カラム2から回収する。この供給原料は、不純物としてチオフェン性
化合物及びベンゾチオフェン性化合物のいずれをも含み、約5〜約25重量%の範囲
のオレフィン含有量を有する。約60℃未満の沸点を有する低沸点物質を蒸留カラ
ム2からライン4経由で回収し、約221℃を超える沸点を有する高沸点物質をラ
イン5経由で回収する。
【0067】 供給原料をライン3に通し、酸性触媒を含むアルキル化反応器6に導入する。
供給原料を反応器6に通し、そこで供給原料は該供給原料中のオレフィンによる
アルキル化によってチオフェン性不純物及びベンゾチオフェン性不純物の少なく
とも一部を高沸点硫黄含有物質に転換するのに効果的な反応条件下で酸性触媒と
接触する。チオフェン性不純物及びベンゾチオフェン性不純物の中でも通常最も
反応性である揮発性の高いチオフェン性不純物のかなりの部分が反応器6でアル
キル化される。アルキル化反応器6からの生成物をライン7経由で排出し、蒸留
カラム8に通してそこでこれらの生成物を分別蒸留する。約177℃の初留点を有
し、非アルキル化硫黄含有不純物及びアルキル化硫黄含有不純物のいずれをも含
有する炭化水素混合物をライン9経由で蒸留カラム8から回収する。第1の供給
原料画分の硫黄含有量に対して硫黄含有量が低く、約177℃の蒸留終点を有する
低沸点画分をライン10経由で蒸留カラム8から回収する。所望により、ライン
10からのこの低沸点画分を低硫黄ガソリンブレンド用原料として使用すること
ができる。
【0068】 蒸留カラム8からの高沸点画分をライン9に通し、ライン11を通して導入さ
れるプロペン約10〜約50容積%と混合する。得られた混合物をライン13経由で
アルキル化反応器12に導入する。
【0069】 アルキル化反応器12は酸性触媒を含み、ライン13から供給原料としてこの
反応器に入る混合物は、その混合物中のオレフィンによるアルキル化によって混
合物中のチオフェン性不純物及びベンゾチオフェン性不純物の一部を高沸点硫黄
含有物質に転換するのに効果的な反応条件下で酸性触媒と接触する。アルキル化
反応器12からの生成物をライン14経由で排出し、蒸留カラム15内を通し、
そこでこれらの生成物を分別蒸留する。約221℃の初留点を有し、高沸点アルキ
ル化チオフェン性生成物及びベンゾチオフェン性生成物を含有する高沸点画分を
蒸留カラム15からライン16を通して回収する。所望により、この高沸点物質
をその硫黄含有量の少なくとも一部を除去するための水素化処理装置に運搬する
。ライン13を通して反応器12に導入された混合物に対して硫黄含有量が低い
低沸点画分をライン17経由で蒸留カラム15から回収する。ライン17を通し
て排出された低沸点画分は約221℃の蒸留終点であり、過剰のプロペンを除去し
た後は、約177℃〜約221℃で沸騰する物質から主に構成され、これはガソリンブ
レンド用原料として使用することができる。
【0070】 以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するもの
ではない。実施例I 約61℃〜約226℃の範囲で沸騰するナフサ供給原料は、(1)硫黄含有不純物を含
んでいたガス油供給原料の流動接触分解由来の生成物を分別蒸留し;次いで(2)
ドラムミキサー中で流出物を2重量%硫酸水溶液で洗浄する、ことにより得た。マ
ルチカラムガスクロマトグラフィー法を使用してナフサ供給原料を分析すると、
重量ベースでパラフィン類12.67%、オレフィン類20.36%、ナフテン類11.93%、芳
香族成分50.89%、及び未確認のC12+高沸点物質4.14%を含んでいることが判明し
た。蛍光X-線分光学により測定したナフサの全硫黄含有量は1,644ppmであり、こ
の硫黄含有量の約90%(即ち、1,480ppm)はチオフェン、チオフェン誘導体、ベン
ゾチオフェン及びベンゾチオフェン誘導体(集合的にチオフェン性/ベンゾチオフ
ェン性硫黄と言う)の形態であった。チオフェン性/ベンゾチオフェン性でなかっ
た硫黄含有成分(例えば、メルカプタン類、スルフィド類及びジスルフィド類)は
全て177℃未満の沸点であった。ナフサは全窒素含有量が8ppmであり、塩基性窒
素含有量は5ppm未満であった。
【0071】 第1工程では、ナフサ供給原料をイソプロピルアルコール670ppmと混合し、得
られた混合物を温度204℃、圧力34気圧、及び液体の1時間当たりの空間速度1.0
/時間で、珪藻土(UOP製、商品名SPA-2)上の12〜18メッシュの固体リン酸触媒の
固定床と接触させた。少量のイソプロピルアルコールを使用して触媒活性を保持
し、触媒との接触時にアルコールが脱水されて、得られた水200ppmによって触媒
の水和が十分なレベルに保持できた。さらに、イソプロピルアルコールはアルキ
ル化剤として供給原料中のオレフィン類を補った。触媒床は20cm3の容積であり
、1.58cm内径のチューブラステンレススチール製反応器中、不活性アルミナパッ
キンの2つの床の間に保持した。反応器の全内部加熱容積は約80cm3で、縦方向
に保持した。得られた生成物を分別蒸留より2つの画分:(1)177℃の蒸留終点を
もつ第1の画分として生成物の70%;及び(2)177℃の初留点を有する第2の画分
として生成物の30%、とに分離した。本明細書中、第1の画分を「177℃-(−)第
1工程生成物」と呼び、第2の画分を「177℃-(+)第1工程生成物」と呼ぶ。分
析によって、177℃-(−)第1工程生成物はチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫
黄を約211ppmしか含んでいないことが判明した。対照的に、177℃-(+)第1工程
生成物は、チオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄を約4,439ppm含み、このチオ
フェン性/ベンゾチオフェン性硫黄の約1,198ppmは177℃〜221℃の範囲の沸点を
有する物質の状態であった。
【0072】 177℃-(+)第1工程生成物をプロペン10容積%及びイソプロピルアルコール670
ppmと混合し、得られた混合物を第2工程の供給原料として使用した。第2工程
では、第2工程の供給原料を第1工程について上述したのと同一反応条件及び反
応器を使用して、珪藻土(UOP製、商品名SPA-2)上の12〜18メッシュの固体リン酸
触媒の固定床と接触させた。得られた生成物をガスクロマトグラフィーにより沸
点をベースとして分別し、硫黄化学ルミネセンス検出器を使用して画分の硫黄含
有量を測定した。この分析法を使用して、生成物を2つの画分:(1)221℃の蒸留
終点を有する第1の画分;及び(2)221℃の初留点を有する第2の画分、とに分離
した。本明細書中、第1の画分を「221℃-(−)第2工程生成物」と呼び、第2の
画分を「221℃-(+)第2工程生成物」と呼ぶ。221℃未満の沸点を有する第2工
程の供給原料中のチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄の約17%が、221℃-(+)
第2工程生成物中にある高沸点物質に転換したことが知見された。221℃-(−)第
2工程生成物は、チオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄を約994ppm含んでいた
。対照的に221℃-(+)第2工程生成物はチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄
を約29,600ppm含んでいた。
【0073】 プロセスからの低硫黄生成物の全体は、177℃-(−)第1工程生成物と221℃-(
−)第2工程生成物との混合物からなっていた。この低硫黄生成物は全体でチオ
フェン性/ベンゾチオフェン性硫黄425ppmを含み、これは元のナフサ供給原料中
のチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄の72%が除去されたことに対応する。さ
らに、低硫黄生成物の全体は元のナフサ供給原料の重量をベースとして96.4%の
収率で得られた。従って、元のナフサ供給原料の3.6重量%が221℃-(+)第2工程
生成物の形態で硫黄沸点且つ高硫黄含有量物質に転換したことになる。221℃-(
+)第2工程生成物はチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄2.96重量%を含んで
いた。この実施例Iの結果を表Iにまとめた。実施例II 上記実施例Iに記載のナフサ供給原料のサンプルをイソプロピルアルコール670
ppmと混合し、得られた混合物を実施例Iに記載のタイプの反応器中、温度204℃
、圧力34気圧、及び液体の1時間当たりの空間速度1.0/時間で、珪藻土(UOP製、
商品名SPA-2)上の12〜18メッシュの固体リン酸触媒の固定床と接触させた。得ら
れた生成物をガスクロマトグラフィーにより沸点をベースとして分別し、硫黄化
学ルミネセンス検出器を使用して画分の硫黄含有量を測定した。
【0074】
【表1】
【0075】 この分析方法を使用して、生成物を2つの画分:(1)221℃以下で沸騰する第1の
画分;及び(2)221℃を超えて沸騰する第2の画分、とに分離した。本明細書中、
第1の画分を「221℃-(−)生成物」と呼び、第2の画分を「221℃-(+)生成物」
と呼ぶ。ナフサ中のチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄の約66.7重量%が、22
1℃-(+)生成物中に現れる高沸点物質に転換したことが知見された。221℃-(−)
生成物は、チオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄を567ppm含み、221℃-(+)生
成物はチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄を1.75重量%含んでいた。さらに、
低硫黄生成物の全体は元のナフサ供給原料の重量をベースとして94.0%の収率で
得られた。従って、元のナフサ供給原料の6.0重量%が221℃-(+)生成物の状態で
高沸点且つ高硫黄含有量物質に転換した。この実施例IIの結果を表Iにまとめる
【0076】 この実施例IIのアルキル化方法は、ナフサ供給原料のチオフェン性成分及びベ
ンゾチオフェン性成分の単一工程アルキル化を含み、該段階ではアルキル化剤は
ナフサ供給原料中に本質的に存在するオレフィン類からなる。この実施例IIの単
一段階アルキル化方法と実施例Iの二工程アルキル化方法とを比較すると、(1)生
成物はチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄含有量が低いこと;及び(2)ナフサ
出発物質を二工程プロセスにかけると重量損失が非常に少ないため、二工程方法
は非常に満足できるものであることが解る。実施例III 上記実施例Iに記載のナフサ供給原料のサンプルをプロペン10容積%及びイソプ
ロピルアルコール670ppmと混合し、得られた混合物を実施例Iに記載のタイプの
反応器中、温度204℃、圧力34気圧、及び液体の1時間当たりの空間速度1.0/時
間で、珪藻土(UOP製、商品名SPA-2)上の12〜18メッシュの固体リン酸触媒の固定
床と接触させた。得られた生成物をガスクロマトグラフィーにより沸点をベース
として分別し、硫黄化学ルミネセンス検出器を使用して画分の硫黄含有量を測定
した。この分析方法を使用して、生成物を2つの画分:(1)221℃以下で沸騰する
第1の画分;及び(2)221℃を超えて沸騰する第2の画分、とに分離した。本明細
書中、第1の画分を「221℃-(−)生成物」と呼び、第2の画分を「221℃-(+)生
成物」と呼ぶ。ナフサ中のチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄の約70.4重量%
が、221℃-(+)生成物中に現れる高沸点物質に転換したことが知見された。221
℃-(−)生成物は、チオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄を537ppm含み、221℃-
(+)生成物はチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄を1.22重量%含んでいた。22
1℃-(−)生成物は元のナフサ供給原料の重量をベースとして91.0%の収率で得ら
れた。さらに、高沸点且つ高硫黄含有物質の9.0重量%が221℃-(+)生成物の状態
で得られた。この実施例IIIの結果を表Iにまとめる。
【0077】 この実施例IIIのアルキル化方法は、ナフサ供給原料のチオフェン性及びベン
ゾチオフェン性成分の単一段階アルキル化を含み、該段階ではアルキル化剤はナ
フサ供給原料中に本質的に存在するオレフィン類と添加プロペンとからなる。こ
の実施例IIIの単一段階アルキル化方法の結果と実施例Iの二工程アルキル化方法
とを比較すると、(1)生成物はチオフェン性/ベンゾチオフェン性硫黄含有量が低
いこと;及び(2)ナフサ出発物質を二工程プロセスにかけると所望の揮発性生成
物の収量が多いため、二工程方法は非常に満足できるものであることが解る。実施例IV 流動接触分解プロセスにより製造した典型的な重質ナフサ中に知見される種々
の有機化合物の濃度及びタイプの代表例として選択したモデル化合物をブレンド
することにより合成供給原料を製造した。合成供給原料の組成を表IIに示す。
【0078】 合成供給原料をイソプロピルアルコール1,730ppmと混合し、得られた混合物を
、温度204℃、圧力54気圧、及び液体の1時間当たりの空間速度4.0/時間で、珪
藻土(UOP製、商品名SPA-2)上の12〜18メッシュの固体リン酸触媒の固定床と接触
させた。合成供給原料を使用して較正したキャピラリーガスクロマトグラフィー
を使用して、得られた生成物を分析した。分析時、ベンゼン、トルエン、チオフ
ェン、エチルチオフェン及びベンゾチオフェンが以下の量:ベンゼン(4.49重量%
)、トルエン(0.68重量%)、チオフェン(89.83重量%)、エチルチオフェン(78.37重
量%)及びベンゾチオフェン(34.34重量%)で高沸点物質に転換したことが知見され
た。これらの結果を図2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】 この実施例は、チオフェン及びエチルチオフェンがベンゾチオフェンよりもより
容易にオレフィン類によりアルキル化されたことを示す。さらに、この実施例の
結果は、チオフェン及びエチルチオフェンは、ベンゼン及びトルエンのアルキル
化が殆ど起きないような十分に温和な条件下でオレフィン類により高収率でアル
キル化され得ることを示す。実施例V 上記実施例VIに記載の合成供給原料をプロペン20容積%及びイソプロピルアル
コール1,730ppmと混合し、得られた混合物を、温度204℃、圧力54気圧、及び液
体の1時間当たりの空間速度4.0/時間で、珪藻土(UOP製、商品名SPA-2)上の12〜
18メッシュの固体リン酸触媒の固定床と接触させた。キャピラリーガスクロマト
グラフィーを使用して得られた生成物を分析すると、ベンゼン、トルエン、チオ
フェン、エチルチオフェン及びベンゾチオフェンが以下の量:ベンゼン(70.31重
量%)、トルエン(61.13重量%)、チオフェン(96.51重量%)、エチルチオフェン(89.
47重量%)及びベンゾチオフェン(84.06重量%)で高沸点物質に転換したことが知見
された。これらの結果を図2に示す。
【0081】 この実施例Vで使用したオレフィンアルキル化剤は高濃度であったため、アル
キル化条件は上記実施例IVで使用したアルキル化条件よりもずっと過酷であった
。この実施例は、実施例Vのより過酷な反応条件下では、ベンゾチオフェンがオ
レフィン類により高収率でアルキル化され得たことを示す。しかしながら、より
過酷なアルキル化条件ではベンゼン及びトルエン(芳香族炭化水素類)が高い転換
率でアルキル化生成物になる。実施例VI チオフェン0.499g、2-メチルチオフェン0.522g、2,5-ジメチルチオフェン0.50
1g、ベンゾチオフェン0.518g、ベンゼン0.509g、トルエン0.614g及び1-ヘプテン
10.014gをデカン87.015gに溶解することにより合成供給原料を製造した。合成供
給原料50gを、粉砕して10〜20メッシュサイズにふるった珪藻土(UOP製、商品名S
PA-2)上の固体リン酸触媒25gと混合した。反応混合物のオンラインサンプリング
用のディップレッグ(dip leg)を備えた100cm3撹拌オートクレーブ反応器に得ら
れた混合物を設置し、この混合物を204℃及び54.4気圧、窒素下、500rpmで撹拌
した。定期的に撹拌を停止して、触媒を沈澱させ、液体を約2g取り出すことによ
って、反応混合物をサンプリングした。それぞれのサンプルを種々の反応体の濃
度変化を測定するためにガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた分析
データを使用して、供給原料中の種々の芳香族化合物の1-ヘプテンによるアルキ
ル化に関して表IIIに記載したアルキル化速度定数を計算した。これらの速度定
数を計算する際に、アルキル化反応は使用した大過剰のオレフィン性アルキル化
剤のため芳香族基質において疑似-一次であると考えられた。それぞれの速度定
数は、xが基質濃度である場合の時間の関数としてln(1−x)としてプロットした
実験データの直線回帰により適合した直線の傾きから誘導した。合成供給原料の
種々の芳香族成分の沸点を表IIIに示す。これらの結果は、揮発性チオフェン性
化合物(例えば、チオフェン及び2-メチルチオフェン)は揮発性の低いベンゾチオ
フェンよりもずっと反応性であることを示す。
【0082】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一態様の略図である。
【図2】 図2は、プロペンを添加した場合と添加しない場合の両方における、C5〜C8
レフィン類でのアルキル化によるベンゼン、トルエン、チオフェン、エチルチオ
フェン及びベンゾチオフェンの高沸点生成物への転換率の比較を示す図である。
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月1日(2001.2.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 プラドハン,ヴィヴェク・アール アメリカ合衆国イリノイ州60504,オーロ ラ,エイヴォンデイル・レイン 743,ア パートメント ナンバー75 (72)発明者 リーガン,ウィリアム・ジェイ アメリカ合衆国イリノイ州60540,ネイパ ーヴィル,アポマトックス・サークル 886 (72)発明者 キャントン,ロジャー・エイチ アメリカ合衆国イリノイ州60540,ネイパ ーヴィル,サウス・ライト・ストリート 856 Fターム(参考) 4H029 DA01 DA03 DA04

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 供給原料から硫黄含有量の低い生成物を製造するプロセスであ
    って、前記供給原料はオレフィン類を含有する炭化水素類の混合物から構成され
    、前記供給原料は不純物として硫黄含有芳香族化合物を含み;前記プロセスは、 (a)第1の接触段階では、前記不純物の一部をオレフィン類のアルキル化により
    高沸点硫黄含有物質に転換するのに有効な条件下で供給原料と酸性触媒とを接触
    させ; (b)第1の分別段階では、沸点をベースとして前記第1の接触段階の生成物を (i)炭化水素類から構成され、前記供給原料に対して硫黄含有量が少ない第1の
    画分と; (ii)炭化水素類から構成され、前記第1の画分よりも沸点が高く、不純物として
    硫黄含有芳香族化合物を含む第2の画分と を含む少なくとも2つの画分に分別し; (c)硫黄含有量の低い第1の生成物流として該プロセスから前記第1の画分を回
    収し; (d)アルコール類及びオレフィン類からなる群から選択される少なくとも1種の
    物質から構成され、第2の画分中に任意のオレフィン類に加えて存在する二次ア
    ルキル化剤と前記第2の画分とを混合することにより二次プロセス流を製造し; (e)第2の接触段階では、二次プロセス流の硫黄含有芳香族化合物の少なくとも
    一部を高沸点硫黄含有物質に転換するのに効果的な条件下で二次プロセス流と酸
    性触媒とを接触させ; (f)第2の分別段階では、沸点をベースとして前記第2の接触段階の生成物を分
    別して、高沸点画分中の高沸点硫黄含有物質を除去して低沸点画分を生成し;次
    いで (g)硫黄含有量の少ない第2の生成物流として第2の分別段階からの低沸点画分
    を回収する ことを含む該プロセス。
  2. 【請求項2】 前記供給原料のオレフィン含有量が硫黄含有芳香族化合物のオ
    レフィン含有量に対してモルベースで少なくとも等しい、請求項1に記載のプロ
    セス。
  3. 【請求項3】 前記供給原料のオレフィン含有量が約5〜約25重量%である、請
    求項1に記載のプロセス。
  4. 【請求項4】 前記供給原料が接触分解プロセス由来のナフサから構成される
    、請求項1に記載のプロセス。
  5. 【請求項5】 前記供給原料が接触分解プロセスにより生成したナフサから塩
    基性-窒素含有不純物を除去することにより製造した処理済みナフサから構成さ
    れる、請求項1に記載のプロセス。
  6. 【請求項6】 前記第1の分別段階からの第1の画分が約135℃〜約221℃の範
    囲の蒸留終点を有する、請求項1に記載のプロセス。
  7. 【請求項7】 前記第1の分別段階からの前記第1の画分は約150℃〜約190℃
    の範囲の蒸留終点を有する、請求項6に記載のプロセス。
  8. 【請求項8】 前記供給原料は約79℃未満の初留点を有し、約249℃以下の蒸
    留終点を有する、請求項1に記載のプロセス。
  9. 【請求項9】 前記供給原料は約345℃以下の蒸留終点を有する、請求項1に
    記載のプロセス。
  10. 【請求項10】 前記二次アルキル化剤が3〜5個の炭素原子を含むオレフィン
    類からなる群から選択される少なくとも1種の物質から構成される、請求項1に
    記載のプロセス。
  11. 【請求項11】 前記供給原料中のオレフィン類のモル濃度は前記二次プロセ
    ス流よりも低い、請求項10に記載のプロセス。
  12. 【請求項12】 前記二次プロセス流が3〜5個の炭素原子を含むオレフィン類
    約10〜約50容積%から構成される、請求項10に記載のプロセス。
  13. 【請求項13】 前記二次アルキル化剤が3〜20個の炭素原子を含むアルコー
    ル類からなる群から選択される少なくとも1種の物質から構成される、請求項1
    に記載のプロセス。
  14. 【請求項14】 前記第2の接触段階で使用する温度が前記第1の接触段階よ
    りも高い、請求項1に記載のプロセス。
  15. 【請求項15】 前記第1の接触段階の酸性触媒が前記第2の接触段階の酸性
    触媒と異なる、請求項1に記載のプロセス。
  16. 【請求項16】 固体リン酸触媒を前記第1の接触段階及び前記第2の接触段
    階の少なくとも一方の酸性触媒として使用する、請求項1に記載のプロセス。
  17. 【請求項17】 前記第1の接触段階及び前記第1の分別段階を蒸留カラム反
    応器中で実施する、請求項1に記載のプロセス。
  18. 【請求項18】 前記第2の接触段階及び前記第2の分別段階を蒸留カラム反
    応器中で実施する、請求項1に記載のプロセス。
  19. 【請求項19】 供給原料が前記硫黄含有芳香族化合物の1種としてベンゾチ
    オフェンを含有し、前記第1の分別段階からの第2の画分が前記ベンゾチオフェ
    ンの大部分を包含する、請求項18に記載のプロセス。
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