【発明の詳細な説明】
ポジ型放射線感応性混合物およびそれを使用して製造した記録材料
本発明は、
a)放射線に露出することにより強酸を形成する化合物、
b)少なくとも1個の、酸により開裂し得るC−O−CまたはC−O−Si結合
を含む化合物、および
c)水に不溶であるが、アルカリ水溶液中で溶解または少なくとも膨潤し得るバ
インダー
を含有するポジ型放射線感応性混合物およびそれを使用して製造した、フォトレ
ジストおよび電子部品に適当な、放射線感応性記録材料に関する。
照射により強酸を形成する化合物としては、特に、オニウム塩、例えばHSb
F6、HAsF6またはHPF6 [J.V.Crlvello、Polym.Eng.Scl., 23 (1983),95
3]の様な非求核性酸のジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウムおよびイオド
ニウム塩、がこれまで使用されている。その上、ハロゲン化合物、特にトリクロ
ロメチルトリアジン誘導体またはトリクロロメチルオキサジァゾール誘導体、o
−キノンジアジドスルホニルクロリド、o−キノンジアジド−4−スルホン酸エ
ステル、有機金属/有機ハロゲンの組合わせ、ビス−(スルホニル)
ジアゾメタン、スルホニルカルボニルジアゾメタン(DE−A 390087)
またはニトロベンジルトシレート[F.M. Houlian ら、SPIE Proc.,Adv. in Resls
t Techn.and Proc. 920 (1988), 67]がこれまで推奨されている。これらの化合
物は、ネガ型またはポジ型放射線感応性材料に使用されている。しかし、その様
な光分解性酸形成剤の使用にはある種の欠点があり、そのために様々な応用分野
における使用の可能性が著しく制限される。例えば、オニウム塩の多くは毒性で
ある。オニウム塩の溶解性は多くの溶剤において不十分であり、この理由からほ
んの少数の溶剤だけが被覆溶液の製造に適している。さらに、オニウム塩を使用
することにより異原子が導入されるが、ある種の異原子は好ましくなく、特にマ
イクロ平版印刷において処理上の問題を起こすことがある。その上、オニウム塩
は、光分解の際に非常に強い腐食作用を有するブレンステッド酸を形成する。こ
れらの酸は敏感な基材を攻撃するので、その様な混合物を使用すると好ましくな
い結果が生じる。すでに前に述べた様に、ハロゲン化合物およびキノンジアジド
スルホニルクロリドも、強い腐食作用を有するハロゲン化水素酸を形成する。そ
の上、その様な化合物は特定の基材上で寿命が限られており、これは、基材と(
a)の種類の化合物を含有する放射線感応性層との間に中間層を挿入することに
よって改良されてはいるが、このために好まし
くない欠点が増え、再現性が低下している(DE−A3621376=US−A
4840867)。
最近のF.M. Houlianらによる研究(SPIE 920,67(1988))では、ポジ型系に関し
て、上記の酸形成剤に加えて、露光による移動傾向の低いスルホン酸を形成する
ニトロベンジルトシレートを、特定の、酸に不安定なレジスト配合に使用できる
ことが示された。しかし、この場合に達成される感度およびフォトレジストの熱
安定性は不十分である。
化学放射線に露出することにより、α−スルホニルジアゾメタンは移動性の低
いスルホン酸を形成するが、これらの物質は熱安定性が不適当であり、UV領域
における吸収が望ましくないほど高い。DE−A 4111060に記載されて
いる式R−SO2−SO2−R′のジスルホンも、この領域で高い吸収を示す。さ
らに、これらの物質は、従来使用されている溶剤の多くに対する溶解性が低い。
ナフトキノン2−ジアジド 4−スルホン酸エステル、オキシムスルホン酸エ
ステル、1,2−ジスルホン、ビス(スルホニル)ジアゾメタン(DE−A 3
930086)およびスルホニルカルボニルジアゾメタン(DE−A 3930
087)を含有するレジスト配合もすでに開示されている。化学放射線に露出す
ることにより、これらの化合物はすべて腐食作用のないスルホン酸を形
成する。光化学反応は極めて良好な量子収量で進行する。しかし、該化合物を含
有するレジスト配合物は、248nmの波長の放射線をかなりの程度吸収する。こ
の波長の放射線に対する感度は、50〜100mJ/cm 2 の範囲にある。その様な
レジストでは、0.5μm以下のオーダーの大きさを有する実用的なパターンの
画像を形成することは不可能である。
さらに、β−ケトスルホンは照射によりスルフィン酸またはスルホン酸を生じ
ることが分かっている[Tsunookaら、J. Photopolym.Sci.Tech.4 (1991),239-242
、Tsunookaら、Macromol . Chem.,Rapid Comm.4 (1983), 539-541、Mclntoshら
、TetrahedronLetters 1967, 37]。
Langlerら[Can. J.Chem.65 (1978),903-907]は、べンジル置換されたβ−ジス
ルホン化合物の光化学的挙動を研究し、その研究の中で、放射線に露出すること
により、これらの化合物がまずべンジル基およびβ−ジスルホン基に分解するこ
とを発見した。後者は水素ラジカルを吸収し、その結果、中間体としてスルフィ
ン酸が形成され、次いでイオン性機構で二酸化硫黄を放出するので、後にスルホ
ンが残る。照射により、べンジルスルホンも同様にべンジル基およびスルホニル
基を形成し、次いでそこからスルフィン酸が形成される。照射をメタノールの代
わりにイソプロパノール中で行なうと、スルフ
ィン酸の収率が増加する。
この分野で広範囲な研究活動が行われているにもかかわらず、DUV領域(2
00〜300nm)における高い感度および高い解像度を有し、照射が短くても、
腐食作用がなく、(b)の種類の化合物を開裂させるだけの十分な強度を有する
酸を十分な量で放出し、しかも水性アルカリで現像できる様な放射線感応性ポジ
型記録材料を製造できる、放射線感応性混合物は現在知られていない。
そこで、本発明の目的は、酸を形成する化合物および酸により開裂し得る化合
物の組み合わせを基剤とし、光分解により酸を形成する化合物a)が、公知のあ
らゆる基材上でできるだけ安定しており、光反応生成物として腐食作用のない酸
を生じる様な、放射線感応性混合物を提案することである。
この目的は、下記のa)〜c)を含んでなるポジ型放射線感応性混合物により
達成される。
a)化学放射線に露出することにより酸を形成する化合物、
b)該酸により開裂し得る少なくとも1個のC−O−CまたはC−O−Si結合
を含有する化合物、および
c)水に不溶であるが、アルカリ水溶液中で溶解、または少なくとも膨潤し得る
重合体状バインダー
ここで化合物a)は、下記の式に相当する。
R1(−SO2−R2)n
(式中、
R1はn価の(C1〜C3)アルカン基であり、
R2は等しい、または異なったアリール、アラルキル、へテロアリールまたはへ
テロアラルキル基を表し、nは2〜4の整数である。)
R1は、好ましくはメチレン、1,1−エタンジイル、1,2−エタンジイル
、1,2−プロパンジイル、イソプロピリデン、1,3−プロパンジイル、メタ
ントリイル、1,1,1−エタントリイルまたは1,1,2−エタントリイルま
たは1,1,3,3−プロパンテトライルである。特に好ましくは、R1 は、
メチレン、1, 2ーエタンジイルまたは1,3−プロパンジイルである。
基R1は、特にアルキル、シクロアルキル、アリール、へテロアリールおよび
/またはアシル基により、置換されていてよい。好ましい置換基は直鎖または分
枝鎖の(C1〜C12)アルキル基である。
R2は、好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはべンジルで
ある。へテロアリールおよびヘテロアラルキルの中で、芳香族環系中にヘテロ原
子として窒素、酸素または硫黄原子を含有する基が好ましい。
基R2も、特に直鎖または分枝鎖の、(C1〜C4)アルキルまたは(C1〜C4
)アルコキシ基、アルコキシアルキル、アルカノイル、アルカノイルアミノ、カ
ルボキシ、アリール、アリールオキシ、アロイル、アロイ
ルアミノ、アラルコキシ、シアノ、ニトロ、またはフッ素、塩素および/または
臭素原子で置換されていてよい。(ヘテロ)アラルキル基中、これらの置換基は
一般的に芳香族部分に結合されている。
この式の特に適当な化合物は、ビス(ベンゼンスルホニル)メタン、ビス(ト
ルエン−4−スルホニル)−メタン、ビス(3,4−ジメチルベンゼンスルホニ
ル)メタン、ビス(3−メトキシベンゼンスルホニル)メタン、ビス(3−クロ
ロベンゼンスルホニル)メタン、ビス(4−クロロベンゼンスルホニル)メタン
、ビス(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)メタン、ビス(4−ブロモベン
ゼンスルホニル)メタン、ビス(4−フルオロベンゼンスルホニル)メタン、1
,1−ビス(ベンゼンスルホニル)エタン、1,2−ビス(ベンゼンスルホニル
)エタン、α,α−ビス(ベンゼンスルホニル)トルエン、2−ベンゼンスルホ
ニル−2−フェニルメタンスルホニルプロパン、2,2−ビス(フェニルメタン
スルホニル)プロパン、1,1,1−トリス(ベンゼンスルホニル)エタン、1
,1,1−トリス(4−ブロモべンゼンスルホニル)エタン、1,1,1−トリ
ス(トルエン−4−スルホニル)エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ク
ロロベンゼンスルホニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(4−ブロモ
ベンゼンスルホニル)プロパンおよび1,1,3,3−テトラキス(4−
tert−ブチルベンゼンスルホニル)プロパンである。
これらの化合物は、酸、主としてスルフィン酸を高量子収率で与え、その上、
熱的に十分安定している。この式の多くの化合物がすでに知られている。
これらの化合物は、当業者には公知の方法により製造することができる[F. K
lagesら、Chem.Ber. 97 (1964)、735 、G. Ferdlnandら、Liebigs Ann. Chem. 19
76,1713]。
本発明による混合物に使用される上記式の化合物は、驚くべきことに、放射線
に露出することにより、十分に強い酸を十分な量で形成する。この式の化合物が
、UV−2放射線、特に波長248nmの放射線、に露出した時も、これらの化合
物はこの波長領域でほんの僅かしか吸収しない(248nmにおける吸収は0.1
μm-1未満)ので、十分な量の酸を形成することは特に驚くべきことであった。
好ましいことに、この式の化合物は、すべてのレジスト成分の中で最も高いモル
吸収度を示す。
本発明による放射線感応性混合物は、感度が高いのが特徴である。この混合物
は、熱安定性が高く、原画の細部まで忠実な、非常に細かいパターンでも製造す
ることができる。照射の際に形成される酸には腐食作用がないので、この混合物
は敏感な基材にも使用できる。
像様照射するには、特に、190〜260nm、好ましくは200〜250nm、
のUV放射線が適当であるが、
電子線またはX線も適当である。
本発明の混合物は、酸形成剤として、上記式の様々な化合物を含むこともでき
る。さらに、他の酸形成剤も使用できる。その様な追加の酸形成剤は、例えば、
DE−A 4112971に記載されている2,4,6−トリス(2−ヒドロ
キシ−エトキシ)−1,3,5−トリアジンの多官能性スルホン酸エステルであ
る。さらに、1,2−ジスルホン、ビス(スルホニル)ジアゾメタンおよびスル
ホニルカルボニルジアゾメタンも適当である。しかし、その様な追加の酸形成剤
を含有する混合物は好ましくない。
本発明による混合物中の酸形成剤全体の比率、および上記式の化合物の比率も
、それぞれの場合に混合物中の不揮発成分の総重量に対して0.5〜25重量%
、好ましくは1〜10重量%、である。
本発明による放射線感応性混合物中の、酸により開裂し得る化合物b)として
は、下記のクラスの化合物から選択された化合物が特に適当であることが分かっ
ている。
a)少なくとも1個のオルトカルボン酸エステル基および/またはカルボキソア
ミドアセタール基を有し、また、重合体の性質をも有し、上記の基が主鎖中に、
または側基として存在し得る様な化合物、
b)主鎖中に反復するアセタールおよび/またはケタール基を含むオリゴマー状
または重合体状化合物、
c)少なくとも1個のエノール性エーテルまたはN−アシルイミノカーボネート
基を含む化合物、
d)β−ケトエステルまたは−アミドの環状アセタールまたはケタール、
e)シリルエーテル基を含む化合物、
f)シリルエノール性エーテル基を有する化合物、
g)現像剤中に対する溶解度が0.1〜100g/lである、アルデヒドまたはケ
トンのモノアセタールまたはモノケタール、
h)第3級アルコールから誘導されるエーテル、
i)アルコール成分が第3級アルコール、アリルアルコールまたはべンジルアル
コールである、カルボン酸エステルおよび炭酸エステル、および
j)N,O−アセタール、特にN,O−ポリアセタール。
上記の酸により開裂し得る化合物の混合物を使用することもできる。上記の化
合物の中で、酸により開裂し得る少なくとも1個のC−O−C結合を含む化合物
、すなわち種類a)、b)、g)およびi)およびj)のクラスの化合物が特に
好ましい。種類b)の中では、特に重合体状アセタールを選ぶべきであり、種類
g)の酸により開裂し得る物質の中では、特に沸点が150℃を超える、好まし
くは200℃を超える、アルデヒドまたはケトンから誘導される化合物を選ぶべ
きである。酸により開裂し得る様々な化合物を含有する混合物は一般的に好
ましくない。
化合物b)(1種または2種以上)の比率は、それぞれの場合に放射線感応性
混合物中の固体の総重量に対して1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%
、である。
本発明による放射線感応性混合物は、少なくとも1種の、水には不溶であるが
、アルカリ水溶液に可溶であるか、または同溶液で少なくとも膨潤し得る重合体
状バインダーc)をさらに含有する。このバインダーは、特に、本発明による放
射線感応性混合物の他の成分と良好な相容性を有し、特に190〜300nmの波
長領域における自己吸収が非常に低い、すなわち高い透明度を有する、のが特徴
である。一般的に光活性成分としてナフトキノンジアジドとの組合わせで使用さ
れるノボラック縮合樹脂系のバインダーはこの条件に適合しない。ノボラック縮
合樹脂は、像様露光した後、非露光区域において水性アルカリ現像剤に対する溶
解度の低下を示すが、照射に望ましい短波長領域における、それらの自己吸収は
高すぎる。
しかし、ノボラック縮合樹脂は、バインダーとして適当な、透明度の高い他の
樹脂との混合物として使用できる。これに関して、混合比は、主としてノボラッ
ク樹脂と混合するバインダーの種類により左右される。特に、上記の波長領域に
おけるバインダーの自己吸収および放
射線感応性混合物の他の成分との混合性が非常に重要である。しかし、本発明の
放射線感応性混合物のバインダーは、一般的に、30重量%までの、特に20重
量%までの、ノボラック縮合樹脂を含有することができる。
適当なバインダーは、4−ヒドロキシスチレンおよびそのアルキル誘導体、例
えば3−メチル−4−ヒドロキシスチレンの単独重合体または共重合体、および
他のビニルフェノール、例えば3−ヒドロキシスチレンの、またはフェノール基
を有する芳香族化合物を含有する、アクリル酸のエステルまたはアミドの単独重
合体または共重合体である。重合性化合物、例えばスチレン、(メタ)アクリル
酸メチルまたはその他、をコモノマーとして使用できる。
例えばビニルトリメチルシランから誘導される、ケイ素を含むバインダーを使
用すると、プラズマ耐性の高い層が得られる。これらのバインダーの透明度は深
UV領域において一般に高いので、パターン化を改良することができる。
マレイミドの単独重合体または共重合体も同じく効果的に使用できる。該バイ
ンダーも深UV領域で高い透明度を発揮する。ここでも、好ましいコモノマーは
、スチレン、置換スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルシリル化
合物または(メタ)アクリル酸エステルである。
最後に、スチレンと、水性アルカリ溶液における溶解性を増加させるコモノマ
ーとの共重合体を追加して使用することも可能である。これには、例えば、無水
マレイン酸およびマレイン酸ハーフエステルが包含される。
上記のバインダーは、放射線感応性混合物の光学的品質を損なわなければ、互
いに混合できる。しかし、バインダーの混合物は好ましくない。
バインダーまたはバインダーの組合わせの、波長248nmの放射線に対する吸
収度は、好ましくは0.35μm-1未満、特に好ましくは0.25μm-1未満、で
ある。
バインダーまたはバインダーの紺合わせのガラス転位温度は、少なくとも12
0℃であるのが有利である。
バインダーの比率は、それぞれの場合に放射線感応性混合物の固体成分の総重
量に対して、一般的に1〜98.5重量%、好ましくは25〜90重量%、特に
好ましくは50〜80重量%、である。
最後に、本発明による放射線感応性混合物は、他の成分、例えば染料、顔料、
可塑剤、湿潤剤およびレベリング剤、をさらに含有することができる。特殊な必
要条件、例えば可撓性、密着性および光沢、を満たすためには、ポリグリコール
、セルロースエーテル、例えばエチルセルロース、の様な化合物を加えることが
できる。
基材に塗布する場合、本発明による放射線感応性混合
物を溶剤または溶剤の組合わせ中に溶解させるのが好ましい。この目的には、グ
リコール、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコール、およびそれ
らから誘導されるモノアルキルおよびジアルキルエーテル、特にモノメチルおよ
びジメチルエーテルおよびモノエチルおよびジエチルエーテル、脂肪族(C1〜
C6)カルボン酸および(C1〜C8)アルカノールまたは(C1〜C8)アルカン
ジオールまたは(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C8)アルカノールから誘導さ
れるエステル、例えば酢酸エチル、酢酸ヒドロキシエチル、酢酸アルコキシエチ
ル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、
特にプロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび酢酸アミル、エーテ
ル、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサン、ケトン、例えばメチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン、
N,N−ジアルキル−カルボキサミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミドお
よびN,N−ジメチルアセトアミド、およびヘキサメチルリン酸トリアミド、N
−メチル−ピロリジン−2−オンおよびブチロラクトンおよびこれらの混合物が
特に適当である。これらの中で、グリコールエーテル、脂肪族エステルおよびケ
トンが特に好ましい。
最終的には、溶剤または溶剤混合物の選択は、使用す
る塗布方法、望ましい層の厚さ、および乾燥条件によって決まる。また、溶剤は
使用する条件下で他の層成分に対して化学的に不活性でなければならない。
上記溶剤で製造した溶液は、固体含有量が一般的に5〜60重量%、好ましく
は10〜40重量%、である。
最後に、本発明は、基材、およびその基材上に配置された本発明による混合物
を含む放射線感応性層を実質的に含んでなる放射線感応性記録材料にも関する。
適当な基材には、キャパシター、半導体、多層プリント回路または集積回路を
構成または製造することができる、あらゆる材料を使用できる。特に、熱的酸化
および/またはアルミニウム被覆し、ドーピングすることもできる、シリコン基
材を挙げることができる。さらに、窒化ケイ素、ヒ化ガリウム、およびリン化イ
ンジウムなどの半導体技術で一般的な他の基材も可能である。これらの基材は、
熱的な前処理、表面粗面化、エッチングまたは薬品による前処理を行なって、望
ましい特性を改良する、例えば親水性を増加させる、ことができる。
基材表面に対する放射線感応性層の一体性および/または密着性を改良するた
めに、この層は密着促進剤を含有することができる。ケイ素または二酸化ケイ素
基材の場合、3−アミノプロピルトリエトキシシランまたはヘキサメチルジシラ
ザンなどのアミノシラン型の密着促進剤が適当である。
像様露光するのに特に適当な放射線源は、ハロゲン化金属ランプ、カーボンア
ークランプ、キセノンランプおよび水銀蒸気ランプである。レーザー光線、電子
線またはX線などの高エネルギー放射線で露光してもよい。しかし、波長が19
0〜260nmの光を照射できるランプ、すなわち特にキセノンランプおよび水銀
蒸気ランプ、が特に好ましい。さらに、レーザー光源、例えばエキシマーレーザ
ー、特にそれぞれ248または193nmで放射するKrFまたはArFレーザー
、も使用できる。放射線源は、上記の波長領域で十分な放射を行なうものでなけ
ればならない。
感光性層の厚さはその応用目的によって異なる。厚さは一般的に0.1〜10
0μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは約1.0μm、である。
放射線感応性記録材料は、放射線感応性混合物を、例えばスプレー、フローコ
ーティング、ローリング、スピンコーティングおよびイマーションコーティング
により、基材に塗布して製造するのが有利である。次いで、溶剤を蒸発により除
去し、放射線感応性層を基材の表面上に残す。溶剤除去は、その層を150℃ま
での温度に加熱して促進することができる。しかし、混合物を上記の方法により
、まず一時的支持体に塗布し、そこから圧力および高温をかけて最終的な基材に
転写することもできる。一時的基材としては、原則的に、基材として使用できる
すべての材料を使用することができる。次いで、その層に像様照射する。続いて
、その層を、層の照射された区域を溶解して除去する現像剤溶液で処理し、画像
照射で使用した原画の画像を基材表面に残す。
適当な現像剤は、特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属および/またはアン
モニウムイオンのケイ酸塩、メタケイ酸塩、水酸化物、リン酸水素塩またはリン
酸二水素塩、炭酸塩または炭酸水素塩を含有する水溶液、およびアンモニアその
他である。金属イオンを含まない現像剤が好ましい。現像剤溶液中の該物質の含
有量は、現像剤溶液の重量に対して、一般的に0.1〜15重量%、好ましくは
0.5〜5重量%、である。所望により、層の可溶区域の剥離を促進する湿潤剤
を現像剤に少量加えることもできる。
本発明による放射線感応性混合物は、特に190〜300nmの波長の光で照射
する場合に高い感光性を示すので、平版印刷工程を使用する集積回路または個別
の電子部品の製造に使用する。同時に、現像されたレジスト層は、その後に続く
処理工程のためのマスクとして役立つ。その様な工程は、例えば、層基材のエッ
チング、層基材中へのイオン注入、あるいは層基材上への金属または他の物質の
被覆が含まれる。
下記の諸例により本発明を説明するが、本発明を制限するものではない。例中
では、pbwは重量部を、pbvは
休積部を表す。重量部と体積部の関係はグラムと立法センチメートルの関係に等
しい。合成例
1,1,3,3−テトラキス(4−クロロベンゼンスルホニル)プロパン
ヒス(4−クロロベンゼンスルホニル)メタン7.2pbwをエタノール150p
bv中に分散させる。次いで37%濃度のホルマリン溶液1.4pbvおよびピペリ
ジン2滴を順次加える。次いで反応混合物を室温で3時間攪拌する。生じた沈殿
物を吸引濾別し、エタノールで洗浄し、空気中で乾燥させる。生成物の融点は2
36〜237゜Cである。元素分析により、下記の値が得られた。
計算値: C 43.7% H 2.7% S 17.2% Cl 19.1%
実測値: C 43.7% H 2.7% S 16.9% Cl 19.2%
上記式の他のテトラキススルホニルアルカンも同様に製造できる。例1
下記のものから被覆溶液を調製した。
25pbwの、平均分子量が約32,000[ゲル・パーミエーション・クロマト
グラフィー(GPC)により測定]の、スチレンと4−ヒドロキシスチレン(2
0/80)の共重合体、
10.7pbwの、3,4−ジメトキシベンズアルデヒドビス(フェノキシエチル
)アセタールおよび
0.33pbwの、1,1,3,3−テトラキス(4−クロロベンゼンスルホニル
)−プロパンを
100pbwの、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に導入。
この塗布溶液を、細孔径0.2μmのフィルターを通して濾過し、密着促進剤
(ヘキサメチルジシラザン)で前処理したウエーハー上に速度3000回転/分
でスピンコーティングした。ホットプレート上、120℃で1分間乾燥した後、
1.21μmの層厚が得られた。
この記録材料を、原画の下で、キセノン/水銀蒸気ランプ(248nm)のUV
放射線を使用し、51 mJ/cm2のエネルギーで像様露光し、次いでホットプレー
ト上、80℃で1分間の露光後焼き付けを行った。
この記録材料を0.15Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像し
た。60秒間の現像後、急勾配なレジスト縁部を有する、欠陥の無いマスク画像
が得られ、1.0μmまでのパターンも精確に解像された。走査電子顕微鏡検査
により、レジスト輪郭の縁部が基材表面に対して事実上垂直であることが確認さ
れた。例2
例1と同様に被覆したウエハーを、原画の下で、KrF−エキシマーレーザー
(248nm)のUV放射線を使用し、49 mJ/cm2のエネルギーで照射した。
先の例と同様にオリジナルに忠実な原画の画像が得られ、1μm
未満のパターンも解像された。例3
下記のものから被覆溶液を調製した。
25pbwの、平均分子量が約16,500g/molの、3−メチル−4−ヒドロキシ
スチレンと4−ヒドロキシスチレン(2:1)の共重合体、
10.7pbwの、ベンズアルデヒドおよびN−プロピルカルバミン酸2−ヒドロ
キシエチルから製造された、平均分子量5000g/molのN,O−ポリアセター
ルおよび
0. 66pbwのビス(3−クロロベンゼンスルホニル)メタンを
100pbwのプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート中に導入。
この被覆溶液を、細孔径0.2μmのフィルターを通して濾過し、密着促進剤
(ヘキサメチルジシラザン)で前処理したウエーハー上に速度3500回転/分
でスピンコーティングした。ホットプレート上、120℃で1分間乾燥した後、
1.07μmの層厚が得られた。
この記録材料を、原画の下で、KrFエキシマーレーザー(248nm)のUV
放射線を使用し、33 mJ/cm2のエネルギーで像様露光し、次いで、60℃で1
分間熱的な後処理を行なった。
次いで、0.27Nの水酸化テトラメチルアンモニウ
ム水溶液を使用して現像した。60秒後、照射区域が残留物を残さずに除去され
た。細部まで精確で、急勾配なレジスト縁部を有する、原画の画像が得られた。
線および溝の解像度は、0.35μmまでであった。例4
下記のものから被覆溶液を調製した。
25pbwの、平均分子量が約17,000g/molの、3−メチル−4−ヒドロキシ
スチレンの単独重合体、
10.7pbwの、ベンズアルデヒドおよびブチル−4−ヒドロキシブチルアミド
から製造された、平均分子量6000g/molのポリアセタールおよび
0. 66pbwの2,2−ビス(フェニルメタンスルホニル)プロパンを
100pbwのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に導入。
この被覆溶液を、細孔径0.2μmのフィルターを通して濾過し、密着促進剤
(ヘキサメチルジシラザン)で前処理したウエーハー上に速度3000回転/分
でスピンコーティングした。ホットプレート上、120℃で1分間乾燥した後、
1.10μmの層厚が得られた。
この被覆ウエハーを、原画の下、キセノン/水銀蒸気ランプ(248nm)のU
V放射線を使用し、35mJ/cm2のエネルギーで像様露光し、次いで、60℃で1
分間熱的な後処理を行なった。
次いで、0.27Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を使用して現像
した。60秒後、照射区域が残留物を残さずに除去された。細部まで精確で、長
方形のレジスト縁部を有する、原画の画像が得られた。0.7μm未満の大きさ
を有する細部まで精確に再現された。暗浸蝕(dark erosion)は20nm未満であっ
た。例5
下記のものから被覆溶液を調製した。
25pbwの、平均分子量が約15,000g/mol(GPC)の、3−メチル−4−
ヒドロキシスチレンと4−ヒドロキシスチレン(モル比1:1)の共重合体、
10. 7pbwの、7,7−ビスヒドロキシメチル−1−ノナノール1 molをオ
ルトギ酸トリメチル1 molと縮合させて製造したポリオルトエステルおよび
0. 44 pbwの1,1,1−トリス(4−ブロモベンゼンスルホニル)エタ
ンを
100pbwのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に導人。
この被覆溶液を、細孔径0. 2μmのフィルターを通して濾過し、密着促進
剤(ヘキサメチルジシラザン)で前処理したウエーハー上に速度3500回転/
分でスピンコーティングした。ホットプレート上、120℃で1分間乾燥した後
、1.03μmの層厚が得られた。
この被覆ウエハーを、原画の下、キセノン/水銀蒸気ランプ(248nm)のU
V放射線を使用し、43mJ/cm2のエネルギーで像様露光し、次いで、ホットプレ
ート上、70℃で1分間熱的な後処理を行なった。
次いで、0.17Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を使用して現像
した。21℃で60秒後、照射区域が残留物を残さずに除去された。細部まで精
確な原画の画像が得られた。線および溝は1μm未満のオーダーの大きさまで精
確に再現された。例6
下記のものから被覆溶液を調製した。
25pbwの、平均分子量が約16,500g/mol(GPC)の、3−メチル−4−
ヒドロキシスチレンと4−ヒドロキシスチレン(2:1)の共重合体、
10. 7pbwの、ベンズアルデヒドおよびN−プロピルカルバミン酸2−ヒド
ロキシエチルから製造された、平均分子量5000g/molのポリN,O−アセタ
ールおよび
0. 66 pbwの1,2−ビス(ベンゼンスルホニル)エタンを
100pbwのプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート中に導入。
この被覆溶液を、細孔径0.2μmのフィルターを通して濾過し、密着促進剤
(ヘキサメチルジシラザン)で
前処理したウエーハー上に速度3500回転/分でスピンコーティングした。ホ
ットプレート上、120℃で1分間乾燥した後、1.07μmの層厚が得られた
。
この記録材料を、原画の下で、KrFエキシマーレーザー(248nm)のUV
放射線を使用し、27 mJ/cm2のエネルギーで像様露光し、次いで、ホットプレ
一卜上、60℃で1分間熱的な後処理を行なった。
次いで、0.27Nの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を使用して現像
した。21℃で60秒後、照射区域が残留物を残さずに除去された。細部まで精
確で、急勾配なレジスト縁部を有する、原画の画像が得られた。線および溝は、
0.4μmのオーダーの大きさまで精確に再現された。例7および8(比較例)
例5のレジストを、そこで使用した酸形成化合物を、同量のトリフェニルスル
ホニウムヘキサフルオロリン酸塩(例7)または2−ニトロベンジルトシレート
(例8)で置き換えて配合した。
56mJ/cm2(例7)または78mJ/cm2(例8)のエネルギーで、248nmで照
射し、例1と同様に現像した後、得られたレジスト画像は、実用的な画像形成、
したがって使用可能なパターン形成をしていなかった。比較例7により得られた
レジスト画像は、照射区域にレジストの残留物が微量付着していた。比較例8に
より得られたレジスト画像では、パターンの表面が接続していた。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 レシエルト,ホルスト
ドイツ連邦共和国オーベル‐ヒルベルスハ
イム、アム、プフイングストボルン、16
(72)発明者 パウロウスキー,ゲオルク
ドイツ連邦共和国ウイースバーデン、フリ
ッツ‐カルレ‐シュトラーセ、34
(72)発明者 フクス,ユルゲン
ドイツ連邦共和国フレールスハイム、フレ
ールスハイマー、シュトラーセ、40