JPH0843862A - エレクトロクロミック眼鏡レンズ - Google Patents

エレクトロクロミック眼鏡レンズ

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Publication number
JPH0843862A
JPH0843862A JP6174600A JP17460094A JPH0843862A JP H0843862 A JPH0843862 A JP H0843862A JP 6174600 A JP6174600 A JP 6174600A JP 17460094 A JP17460094 A JP 17460094A JP H0843862 A JPH0843862 A JP H0843862A
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JP
Japan
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lens
layer
resin layer
electrochromic
transparent resin
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Application number
JP6174600A
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English (en)
Inventor
Kuniharu Matsuda
国治 松田
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
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Publication of JPH0843862A publication Critical patent/JPH0843862A/ja
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量化、製品納期の短縮化、低コスト化、及
び外観性向上が可能なエレクトロクロミック眼鏡レンズ
を提供すること。 【構成】 眼鏡レンズ9上に少なくとも、第1電極層1
0、エレクトロクロミック層11、イオン導電層11、及び
第2電極層12を有するエレクトロクロミック素子を形成
してなるエレクトロクロミック眼鏡レンズにおいて、少
なくとも前記エレクトロクロミック素子の素子面を含む
前記レンズのレンズ面に透明樹脂層13,14 を設けたこと
を特徴とするエレクトロクロミック眼鏡レンズ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレクトロクロミック
素子(以下、ECDと呼ぶ場合がある)をレンズ表面に
設けて調光機能を持たせたエレクトロクロミック(以
下、ECと呼ぶ場合がある)眼鏡レンズに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のサングラス用眼鏡レンズには、透
過率(言い換えれば、着色濃度)が一定のものと可変な
ものがある。前者には、例えば、ブラウン、グレー、グ
リーンなどの色調を一様の濃度でレンズ全面に有する全
色レンズや、レンズの上半分の色が濃くて、レンズの下
側ほど色が薄くなるハーフレンズなどがある。これら
は、いずれも透過率が低いので周囲が暗い場所では見え
にくいという問題点がある。
【0003】そこで、この問題点を改善するために、周
囲が明るい場所では透過率を小さく暗い場所では透過率
を大きくできる透過率可変のサングラス用眼鏡レンズ
(後者)が開発された。後者には、レンズ基材にハロゲ
ン化銀を添加することにより、周囲光の強さに応じて自
動的にレンズの透過率が変化するようにしたもの(フォ
トクロ眼鏡レンズ)や、2枚の透明基板の間に液晶素子
及び偏光板を挟み込み、周囲光の強さに応じて自動的に
レンズの透過率を可変できるようにしたもの(液晶眼鏡
レンズ)や、ECDをレンズ表面に設けてレンズの透過
率を可変できるようにしたもの(EC眼鏡レンズ)など
がある。
【0004】フォトクロ眼鏡レンズには、透過率の変化
幅(調光幅)は十分に大きいが、透過率の変化速度(調
光速度)が遅いという問題点がある。そのため、暗い場
所から明るい場所に移動した場合に、しばらくの間は眩
しさを防ぐことができず、逆に、明るい場所から暗い場
所に移動した場合に、しばらくの間は暗くて見えにくい
という問題点がある。
【0005】液晶眼鏡レンズは、消色時でも透過率が5
0%以下であるため、明るさが十分でない。また、調光
速度が速すぎるために、暗い状態と明るい状態が交互に
繰り返して現れる周囲環境の場合に、瞳孔の調節が追い
つかず、目が疲れるという問題点がある。EC眼鏡レン
ズは調光幅が十分に大きく、調光速度も適度なものであ
り、フォトクロ眼鏡レンズや液晶眼鏡レンズのような問
題点はないが、素子レンズ上に設けたEC素子を保護す
るための封止が必要である。そのため、例えば、EC素
子面に封止レンズを接着して封止を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】EC眼鏡レンズに限ら
ず、眼鏡レンズの軽量化には、低比重のレンズ材料の選
択やレンズの薄肉化が必要となる。例えば、EC眼鏡レ
ンズの場合には、軽量化のために、素子レンズ及び封止
レンズの薄肉化を図っているが、過度に薄肉化すると、
各レンズの強度や形状精度を保持できなくなる。
【0007】各レンズの強度や形状精度を保持できない
と、封止を行うことが困難となり、また封止できた場合
でも一体レンズ(素子レンズと封止レンズの一体レン
ズ)が収差を持つことになるので、この一体レンズは実
用に供しない。従って、各レンズの薄肉化によるEC眼
鏡レンズの軽量化には限界があり、EC眼鏡レンズの軽
量化を進める上での問題点となっている。
【0008】次に、EC眼鏡レンズを単にサングラスと
して使用する場合には、EC眼鏡レンズの度数は0でよ
いが、視力を矯正する必要がある人が使用(装用)する
場合には、その人(装用者)の視力に合わせてレンズの
度数を変える加工(以下、度付き加工と呼ぶ)が必要で
ある。そこで、ECレンズを構成する素子レンズまたは
封止レンズに注文に応じて度付き加工を施すことにな
る。
【0009】素子レンズに度付き加工を施す場合には、
素子レンズを加工した後、素子レンズ上にECDを形成
する。ECDの形成は、蒸着などの真空薄膜形成法で行
う。この場合、経済効率を良くするために、一度の薄膜
形成処理(1バッチ)は、数十枚から百数十枚の単位で
行うことが要求される。しかし、顧客からの度付きEC
眼鏡レンズの注文数は、ECD形成能力と比較して少な
く、また注文は非定常的である。そのため、顧客から注
文を受けた後、素子レンズの度付き加工は直ちに行えて
も、ECD形成の1バッチを充当する顧客からの注文数
に達するには時間がかかり、顧客を長い間待たせる(製
品の納期が長くなる)ことになるという問題点がある。
【0010】また、封止レンズに度付き加工を施す場合
には、標準仕様の素子レンズにECDを形成した後、度
付き加工を施した封止レンズを接着する。ECDは、剥
き出しのままでは性能劣化がはやいので、ECD形成後
は短時間のうちに封止レンズを接着する必要がある。し
かも、封止レンズの度付き加工は顧客からの注文を待っ
て行う。
【0011】そのため、顧客から注文を受けた後、封止
レンズに度付き加工を施し、ECD形成の1バッチを充
当する顧客からの注文数に達するまで待ってECDを形
成し、その後度付き加工を施した封止レンズを接着する
必要があり、顧客を非常に長い間待たせる(製品の納期
が長くなる)ことになるという問題点がある。また、E
CDの性能は、封止レンズを素子レンズに接着した後で
ないと検査できない。そのため、素子レンズまたは封止
レンズに度付き加工を施して、両レンズを接着した後
で、仮にECDが検査によって不良であることがわかっ
たときには、再度、処方に合わせて度付き加工した素子
レンズまたは封止レンズを準備しなければならない。従
って、納期が更に長くなったり、再加工するためのコス
トが余分にかかるという問題点がある。
【0012】そこで、これらの問題点を解決するため
に、度数が0のECレンズ(ECDを形成した素子レン
ズに封止レンズを接着したもの)を前もって製造してお
き、このECレンズに顧客の注文に応じて度付きレンズ
を接着した度付きEC眼鏡レンズが開発された(特願平
3−328905参照)。しかし、この度付きEC眼鏡
レンズは、素子レンズと封止レンズからなる2枚構成の
ものよりも構成レンズ数が多いので、重量とレンズ厚さ
が増大する。この場合に、眼鏡レンズの重量が過大であ
ると、装用者は不快感のために長期の連続装用ができな
くなる。また、レンズ厚さが大きすぎると外観が見苦し
くなるという問題点がある。
【0013】本発明の目的は、軽量化、製品納期の短縮
化、低コスト化、及び外観性向上が可能なエレクトロク
ロミック眼鏡レンズを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は、第
一に「眼鏡レンズ上に少なくとも、第1電極層、エレク
トロクロミック層、イオン導電層、及び第2電極層を有
するエレクトロクロミック素子を形成してなるエレクト
ロクロミック眼鏡レンズにおいて、少なくとも前記エレ
クトロクロミック素子の素子面を含む前記レンズのレン
ズ面に透明樹脂層を設けたことを特徴とするエレクトロ
クロミック眼鏡レンズ(請求項1)」を提供する。
【0015】また、本発明は、第二に「眼鏡レンズ上に
少なくとも、第1電極層、第1エレクトロクロミック
層、イオン導電層、第2エレクトロクロミック層、及び
第2電極層を有するエレクトロクロミック素子を形成し
てなるエレクトロクロミック眼鏡レンズにおいて、少な
くとも前記エレクトロクロミック素子の素子面を含む前
記レンズのレンズ面に透明樹脂層を設けたことを特徴と
するエレクトロクロミック眼鏡レンズ(請求項2)」を
提供する。
【0016】また、本発明は、第三に「前記透明樹脂層
上にハードコート樹脂層を更に設けたことを特徴とする
請求項1又は2記載のエレクトロクロミック眼鏡レンズ
(請求項3)」を提供する。また、本発明は、第四に
「前記透明樹脂層がハードコート樹脂層であることを特
徴とする請求項1又は2記載のエレクトロクロミック眼
鏡レンズ(請求項4)」を提供する。
【0017】また、本発明は、第五に「前記透明樹脂層
を設けることにより前記レンズに度を付与してなること
を特徴とする請求項1〜4記載のエレクトロクロミック
眼鏡レンズ(請求項5)」を提供する。また、本発明
は、第六に「度付きレンズを接合したことを特徴とする
請求項1〜5記載のエレクトロクロミック眼鏡レンズ
(請求項6)」を提供する。
【0018】
【作用】本発明では、眼鏡レンズ上に形成したEC素子
の素子面を含む前記レンズのレンズ面に透明樹脂層を設
けた。即ち、本発明では、封止基板及び接着剤(封止基
板の接合用)を用いることなく、透明樹脂層によりEC
素子の封止を行っており、しかも封止部材である透明樹
脂層を非常に薄く形成することができるので、軽量化、
低コスト化、及び外観性向上が可能である。
【0019】また、本発明では、エレクトロクロミック
眼鏡レンズに度を付与する必要がある場合でも、素子レ
ンズに度付き加工を施す必要がなく、透明樹脂層の曲率
を調整することで対応できる。即ち、顧客からの度付き
EC眼鏡レンズの注文を受ける前に予め、複数(前記1
バッチ単位の数)の素子レンズにECDを形成し、透明
樹脂層により封止して素子劣化を防止しておき(作り溜
めしておく)、その後、注文を受けてから、再度透明樹
脂層を設け、しかも、透明樹脂層の曲率を調整すること
で顧客からの注文に応じた度を付与することができる。
【0020】そのため、素子レンズや封止レンズに度付
き加工を施す場合のように、顧客を長い間待たせる(製
品の納期が長くなる)ことがなく、製品納期の短縮化が
可能である。また、従来のように、封止を封止基板及び
接着剤を用いて行う場合には、EC素子を構成する薄膜
と封止基板及び接着剤との線膨張係数や縦弾性係数など
の諸特性が相違する(特に、プラスチック基板の場合に
は大きく相違する)ので、周囲の環境条件や使用態様に
よっては、EC素子に過大な応力が加わって、EC素子
が破壊されることがあった。
【0021】これに対して、本発明では封止基板及び接
着剤(封止基板の接合用)が不要であり、しかも封止部
材である透明樹脂層を非常に薄く形成することができる
ので特異な環境条件や使用態様においても、EC素子に
加わる応力が軽減されてEC素子の破壊を回避すること
ができる(EC眼鏡レンズの耐久性向上可能)。本発明
にかかる透明樹脂層上には、更にハードコート樹脂層を
設けることが好ましい(請求項3)。これにより、EC
素子面の保護がさらに強化される。なお、ハードコート
樹脂層を光硬化型にすれば、加熱によるEC素子の劣化
を回避できるので好ましい。但し、加熱硬化型ハードコ
ート樹脂層でも、加熱によるEC素子の劣化が小さいも
のの使用は好ましい。
【0022】本発明にかかる透明樹脂層をハードコート
樹脂層とすれば、EC素子面の保護をより強化すること
ができるので好ましい(請求項4)。前述したように、
本発明にかかる透明樹脂層を設けることにより、エレク
トロクロミック眼鏡レンズに度を付与することもできる
(請求項5)。即ち、透明樹脂層の硬化収縮などによる
変形を考慮することにより、硬化後の透明樹脂層の曲率
半径を任意に設定することができるので、例えば、エレ
クトロクロミック眼鏡レンズの入射面の曲率及び/又は
出射面の曲率を調整することにより、エレクトロクロミ
ック眼鏡レンズに任意の度数を持たせることができる。
【0023】また、請求項1〜5記載のエレクトロクロ
ミック眼鏡レンズに度付きレンズを接合することによっ
ても、エレクトロクロミック眼鏡レンズに任意の度数を
持たせることができる(請求項6)。本発明にかかる透
明樹脂層の材料としては、加熱によるEC素子の劣化を
回避できる光硬化型透明樹脂が好ましいが、加熱による
EC素子の劣化が小さいものであれば、加熱硬化型透明
樹脂の使用も好ましい。また、度付きレンズの接合に用
いる接着剤についても同様の材料が好ましい。
【0024】例えば、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、
アクリル系樹脂、酢酸ビニール系樹脂、変成ポリマー系
などの透明材料が好ましいが、これらに限定されるもの
ではない。本発明にかかるECDの積層構造は、特にど
れと限定されるものではないが、固体型ECDの構造と
して、例えば電極層/EC層/イオン導電層/電極層
のような4層構造、電極層/還元着色型EC層/イオ
ン導電層/可逆的電解酸化層/電極層のような5層構造
があげられる。
【0025】還元着色型EC層には、一般にWO3 ,M
oO3 等が使用される。イオン導電層には、例えば酸化
ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、
酸化ランタン、フッ化マグネシウム等が使用される。イ
オン導電層は、電子に対して絶縁体であるが、プロトン
(H+ )及びヒドロキシイオン(OH- )に対しては良
導体となる。EC層の着消色反応にはカチオンが必要と
され、H+ やLi+ をEC層その他に含有させる必要が
ある。H+ は初めからイオンである必要はなく、電圧が
印加された時にH+ が生じればよく、従ってH+ の代わ
りに水を含有させてもよい。この水は、非常に少なくて
十分であり、しばしば大気中から自然に侵入する水分で
も着消色する。
【0026】EC層とイオン導電層とは、どちらを上に
しても下にしてもよい。更にEC層に対して間にイオン
導電層を挟んで(場合により酸化着色性EC層ともな
る)可逆的電解酸化層ないし触媒層を配設してもよい。
このような層としては、例えば酸化ないし水酸化イリジ
ウム、同じくニッケル、同じくクロム、同じくバナジウ
ム、同じくルテニウム、同じくロジウム等があげられ
る。これらの物質は、イオン導電層または透明電極層中
に分散されていてもよいし、逆にそれらを分散していて
もよい。
【0027】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
【実施例1】図1は、本実施例のEC眼鏡レンズを製造
する工程を示す説明図である。なお、図2(概略断面
図)に、同じ製造工程により製造したEC眼鏡レンズを
示す。先ず、ECDを形成した素子レンズ1をスピンコ
ータ3に固定し、該素子レンズ1上に、光(紫外線)硬
化型透明樹脂(封止樹脂)液(商品名スリーボンド304
2)2を垂らして(図1(a))、スピンコートにより
樹脂液を素子レンズ1の一面(上面)全面に薄く塗布し
た後、光源5からの光(紫外線)照射により樹脂液を硬
化させて透明樹脂層(封止樹脂層)4を形成した(図1
(b))。
【0029】次に、透明樹脂層4上に、光硬化型ハード
コート用樹脂液(商品名スリーボンド3070)6を垂らし
て(図1(c))、スピンコートにより樹脂液を透明樹
脂層4の全面に薄く塗布した後、光源8からの光(紫外
線)照射により樹脂液を硬化させてハードコート樹脂層
(耐擦か性向上のための透明樹脂層)7を形成した(図
1(d))。ハードコート樹脂層7上に、さらにクリア
コート層を形成してもよい。
【0030】素子レンズとしてプラスチックレンズを用
い、従来の封止基板(プラスチック)及び接着剤(封止
基板の接合用)を用いて封止した場合には、EC眼鏡レ
ンズ1枚あたりの重量が約6.8 グラムであったが、本実
施例では約3.4 グラムに軽量化できた。また、封止基板
(プラスチック)及び接着剤(封止基板の接合用)が不
要であり、しかも透明樹脂層(封止樹脂層)4を薄く
(約2〜4μm)形成できたので、軽量化、低コスト
化、外観性向上、耐久性向上、及び製品納期の短縮化が
可能であった(作用の欄参照)。
【0031】本実施例のEC眼鏡レンズを対象に冷熱サ
イクルテスト(「−20°Cに1時間放置⇔80°Cに1時
間放置」を3サイクル)を行ったところ、全く異常は見
られなかった。本実施例のEC眼鏡レンズをECD駆動
機能を有する眼鏡枠Aに枠いれしたECサングラスを装
用したところ、良好な外観及び調光機能を示した。ま
た、長時間装用しても不快感はなかった。さらに、長期
間使用しても透明樹脂層(封止樹脂層)4、ハードコー
ト樹脂層7及びクリアコート層の剥離やレンズの割れは
全く発生しなかった。
【0032】
【実施例2】本実施例では、ECDを形成した素子レン
ズ15を素子面が上側になるように成形下型(ガラス製
の型)17内に載置して、素子面上に光硬化型透明樹脂
(封止樹脂)液(商品名ロックタイト349)を垂らし、透明な成
形上型(ガラス製の型)17'を載せて加圧し、樹脂液を
素子レンズ15の一面(上面)全面に薄く塗布した後、
成形上型17' の上側に位置する光源からの光(紫外線)
照射により樹脂液を硬化させて透明樹脂層(封止樹脂
層)16を形成した(図3参照)。
【0033】即ち、本実施例では、成形型の形状により
透明樹脂層(封止樹脂層)16の曲率を設定して、EC
眼鏡レンズに所定の度を付与している。そのため、素子
レンズや封止レンズに度付き加工を施す場合のように、
顧客を長い間待たせる(製品の納期が長くなる)ことが
なく、製品納期の短縮化が可能であった。
【0034】また、封止基板及び接着剤(封止基板の接
合用)が不要であり、しかも透明樹脂層(封止樹脂層)
16を薄く(素子レンズの頂点部で100 μm以下、20〜
100μmが適当) 形成できたので、軽量化、低コスト
化、外観性向上、耐久性向上、及び製品納期の短縮化が
可能であった(作用の欄参照)。なお、前記成形上型は
光源からの光に対して透明なものであればガラス製に限
らない。また、加熱硬化型透明樹脂液により透明樹脂層
を形成する場合には、型が透明である必要はない。ま
た、透明樹脂層(封止樹脂層)16上に、ハードコート
樹脂層(耐擦か性向上のための透明樹脂層)を形成し、
ハードコート樹脂層上に、さらにクリアコート層を形成
してもよい。
【0035】本実施例の度付きEC眼鏡レンズを対象に
冷熱サイクルテスト(「−20°Cに1時間放置⇔80°C
に1時間放置」を3サイクル)を行ったところ、全く異
常は見られなかった。本実施例の度付きEC眼鏡レンズ
をECD駆動機能を有する眼鏡枠Aに枠いれしたECサ
ングラスを装用したところ、良好な外観、調光機能及び
視力矯正機能を示した。また、長時間装用しても不快感
はなかった。さらに、長期間使用しても透明樹脂層(封
止樹脂層)16、ハードコート樹脂層及びクリアコート
層の剥離やレンズの割れは全く発生しなかった。
【0036】
【実施例3】図4は、本実施例のEC眼鏡レンズの製造
工程を示す説明図である。なお、図5(概略断面図)
に、同様の工程により製造したEC眼鏡レンズを示す。
先ず、ECDを形成した素子レンズ19をスピンコータ
21に固定し、該素子レンズ19上に、光硬化型ハード
コート用透明樹脂(封止樹脂)液(商品名スリーボンド
3070)20を垂らして(図4(a))、スピンコートに
より樹脂液を素子レンズ19の一面全面に薄く塗布した
後、光源23からの光(紫外線)照射により樹脂液を硬
化させて透明樹脂層(封止樹脂層兼ハードコート層)2
2を形成した(図4(b))。
【0037】なお、透明樹脂層22上に、さらにクリア
コート層を形成してもよい。素子レンズとしてプラスチ
ックレンズを用い、従来の封止基板(プラスチック)及
び接着剤(封止基板の接合用)を用いて封止した場合に
は、EC眼鏡レンズ1枚あたりの重量が約6.8 グラムで
あったが、本実施例では約3.2 グラムに軽量化できた。
【0038】また、封止基板(プラスチック)及び接着
剤(封止基板の接合用)が不要であり、しかも透明樹脂
層(封止樹脂層)22を薄く(約2μm)形成できたの
で、軽量化、低コスト化、外観性向上、耐久性向上、及
び製品納期の短縮化が可能であった(作用の欄参照)。
本実施例のEC眼鏡レンズを対象に冷熱サイクルテスト
(「−20°Cに1時間放置⇔80°Cに1時間放置」を3
サイクル)を行ったところ、全く異常は見られなかっ
た。また、本実施例のEC眼鏡レンズは、従来の封止を
行ったEC眼鏡レンズよりも使用環境温度の上限を約5
5°C高くすることができた。
【0039】本実施例のEC眼鏡レンズをECD駆動機
能を有する眼鏡枠Aに枠いれしたECサングラスを装用
したところ、良好な外観及び調光機能を示した。また、
長時間装用しても不快感はなかった。さらに、長期間使
用しても透明樹脂層(封止樹脂層)22及びクリアコー
ト層の剥離やレンズの割れは全く発生しなかった。
【0040】
【実施例4】図6は、本実施例の度付きEC眼鏡レンズ
の概略断面図である。本実施例の度付きEC眼鏡レンズ
は、実施例1と同じEC眼鏡レンズに度付きレンズ35
を接着剤(商品名スリーボンド3042)34により接合し
たものである。度付きレンズ35は、ハードコート層や
クリアコート層を形成してもよい。
【0041】また、封止基板(プラスチック)及び接着
剤(封止基板の接合用)が不要であり、しかも透明樹脂
層(封止樹脂層)33を薄く(約2〜4μm)形成でき
たので、軽量化、低コスト化、外観性向上、耐久性向
上、及び製品納期の短縮化が可能であった(作用の欄参
照)。本実施例のEC眼鏡レンズを対象に冷熱サイクル
テスト(「−20°Cに1時間放置⇔80°Cに1時間放
置」を3サイクル)を行ったところ、全く異常は見られ
なかった。また、本実施例のEC眼鏡レンズは、従来の
封止を行ったEC眼鏡レンズよりも使用環境温度の上限
を約45°C高くすることができた。
【0042】本実施例のEC眼鏡レンズをECD駆動機
能を有する眼鏡枠Aに枠いれしたECサングラスを装用
したところ、良好な外観、調光機能及び視力矯正機能を
示した。また、長時間装用しても不快感はなかった。さ
らに、長期間使用しても透明樹脂層(封止樹脂層)3
3、接着剤34、ハードコート層及びクリアコート層の
剥離やレンズの割れは全く発生しなかった。
【0043】
【実施例5】本実施例の度付きEC眼鏡レンズを製造す
るために先ず、透明な成形下型(ガラス製の型)38’
内に光硬化型透明樹脂液(商品名ロックタイト349)を垂らし、
その上からECDを形成した素子レンズ36を素子面が
上側になるように載置して、樹脂液を素子レンズ36の
下面全面に薄く塗布した。
【0044】次に、素子面上に光硬化型透明樹脂(封止
樹脂)液(商品名スリーボンド3042) を垂らし、透明な
成形上型(ガラス製の型)38を載せて加圧し、樹脂液
を素子面全面に薄く塗布した後、成形上型38の上側に
位置する光源、及び成形下型38’の下側に位置する光
源からの光(紫外線)照射により樹脂液をそれぞれ硬化
させて、ECDを形成した素子レンズ36の両面に透明
樹脂層37、37’を形成した(図7参照)。
【0045】即ち、本実施例では、成形型の形状により
透明樹脂層37、37’の曲率を設定して、EC眼鏡レ
ンズに所定の度を付与している。そのため、素子レンズ
や封止レンズに度付き加工を施す場合のように、顧客を
長い間待たせる(製品の納期が長くなる)ことがなく、
製品納期の短縮化が可能であった。
【0046】また、封止基板及び接着剤(封止基板の接
合用)が不要であり、しかも透明樹脂層37、37’を
薄く(素子レンズの頂点部で100 μm以下、20〜100 μ
mが適当) 形成できたので、軽量化、低コスト化、外観
性向上、耐久性向上、及び製品納期の短縮化が可能であ
った(作用の欄参照)。なお、前記成形型は光源からの
光に対して透明なものであればガラス製に限らない。ま
た、透明樹脂層37、37’上に、ハードコート樹脂層
(耐擦か性向上のための透明樹脂層)を形成し、ハード
コート樹脂層上に、さらにクリアコート層を形成しても
よい。
【0047】本実施例の度付きEC眼鏡レンズを対象に
冷熱サイクルテスト(「−20°Cに1時間放置⇔80°C
に1時間放置」を3サイクル)を行ったところ、全く異
常は見られなかった。本実施例の度付きEC眼鏡レンズ
をECD駆動機能を有する眼鏡枠Aに枠いれしたECサ
ングラスを装用したところ、良好な外観、調光機能及び
視力矯正機能を示した。また、長時間装用しても不快感
はなかった。さらに、長期間使用しても透明樹脂層(封
止樹脂層)37、37’、ハードコート樹脂層及びクリ
アコート層の剥離やレンズの割れは全く発生しなかっ
た。
【0048】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、軽量化、
製品納期の短縮化、低コスト化、耐久性及び外観性向上
が可能なエレクトロクロミック眼鏡レンズを提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1のEC眼鏡レンズを製造する工程を
示す説明図である。
【図2】は図1に示す製造工程により製造したEC眼鏡
レンズの別の例を示す概略断面図である。
【図3】は実施例2の度付きEC眼鏡レンズを製造する
方法を示す概略断面図である。
【図4】は実施例3のEC眼鏡レンズを製造する工程を
示す説明図である。
【図5】は図4に示す製造工程により製造したEC眼鏡
レンズの別の例を示す概略断面図である。
【図6】は実施例4の度付きEC眼鏡レンズの概略断面
図である。
【図7】は実施例5の度付きEC眼鏡レンズを製造する
方法を示す概略断面図である。
【図8】は各実施例のEC眼鏡レンズを枠入れしたEC
サングラスである。
【符号の説明】
A・・・眼鏡枠 B・・・EC眼鏡レンズ C・・・ECD着色用スイッチ D・・・ECD消色用スイッチ 1・・・ECDを形成した素子レンズ 2・・・透明樹脂液(例えば、光硬化型透明樹脂液) 3・・・スピンコータ 4・・・透明樹脂
層 5・・・光源(透明樹脂液硬化用) 6・・・ハードコ
ート用樹脂液 7・・・ハードコート樹脂層 8・光源(ハードコ
ート用樹脂液硬化用) 9・・・素子レンズ 10・・・下部電極
層 11・・・EC層(イオン 導電層を含む) 12・・・上部電極
層 13・・・透明樹脂層(ここでは、封止樹脂層) 14・・・ハードコート樹脂層 15・・・ECD を形
成した素子レンズ 16・・・透明樹脂層(ここでは、封止樹脂層) 17・・・成形下型 17' ・・成形上型 18・・・パッキン 19・・・ECD を形
成した素子レンズ 20・・・透明樹脂液(ここでは、ハードコート用樹脂
液) 21・・・スピンコータ 22・・・透明樹脂層(ここでは、ハードコート樹脂層) 23・・・光源(ハードコート用樹脂液硬化用) 24・・・素子レンズ 25・・・下部電極
層 26・・・EC層(イオン 導電層を含む) 27・・・上部電極
層 28・・・透明樹脂層(ここでは、ハードコート樹脂層) 29・・・素子レンズ 30・・・下部電極
層 31・・・EC層(イオン 導電層を含む) 32・・・上部電極
層 33・・・透明樹脂層(ここでは、封止樹脂層) 34・・・接着剤 35・・・度付きレ
ンズ 36・・・ECD を形成した素子レンズ 37・・・透明樹脂層(ここでは、封止樹脂層) 38・・・成形上型 38' ・・成形下型 39・・・パッキン 40・・・光源(透
明樹脂液硬化用) 40' ・・光源(透明樹脂液硬化用) 以 上

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 眼鏡レンズ上に少なくとも、第1電極
    層、エレクトロクロミック層、イオン導電層、及び第2
    電極層を有するエレクトロクロミック素子を形成してな
    るエレクトロクロミック眼鏡レンズにおいて、 少なくとも前記エレクトロクロミック素子の素子面を含
    む前記レンズのレンズ面に透明樹脂層を設けたことを特
    徴とするエレクトロクロミック眼鏡レンズ。
  2. 【請求項2】 眼鏡レンズ上に少なくとも、第1電極
    層、第1エレクトロクロミック層、イオン導電層、第2
    エレクトロクロミック層、及び第2電極層を有するエレ
    クトロクロミック素子を形成してなるエレクトロクロミ
    ック眼鏡レンズにおいて、 少なくとも前記エレクトロクロミック素子の素子面を含
    む前記レンズのレンズ面に透明樹脂層を設けたことを特
    徴とするエレクトロクロミック眼鏡レンズ。
  3. 【請求項3】 前記透明樹脂層上にハードコート樹脂層
    を更に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエ
    レクトロクロミック眼鏡レンズ。
  4. 【請求項4】 前記透明樹脂層がハードコート樹脂層で
    あることを特徴とする請求項1又は2記載のエレクトロ
    クロミック眼鏡レンズ。
  5. 【請求項5】 前記透明樹脂層を設けることにより前記
    レンズに度を付与してなることを特徴とする請求項1〜
    4記載のエレクトロクロミック眼鏡レンズ。
  6. 【請求項6】 度付きレンズを接合したことを特徴とす
    る請求項1〜5記載のエレクトロクロミック眼鏡レン
    ズ。
JP6174600A 1994-07-26 1994-07-26 エレクトロクロミック眼鏡レンズ Pending JPH0843862A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009545015A (ja) * 2006-07-28 2009-12-17 クロモジェニクス・アクチボラーグ 湾曲したエレクトロクロミックデバイスの製造方法
JP2015096879A (ja) * 2013-11-15 2015-05-21 株式会社リコー エレクトロクロミック装置及びその製造方法
JP2018010106A (ja) * 2016-07-13 2018-01-18 株式会社リコー エレクトロクロミック装置及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光装置

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