JPH0842451A - 高圧ガス圧縮機の弁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧ガス圧縮機の弁装置において、構造を簡
単にすることで、製造を容易にすると共にコストの低下
を図る。 【構成】 突出部２ａを備えたディスク２と、蟻溝を有
するように形成された板状ばね部材３と、吐出口４ａを
備えた固定部材４とで構成され、ディスク２と板状ばね
部材３とは、板状ばね部材３の弾発作用面３ａがディス
ク２の環状溝２ｂに嵌め込まれて係合している。そし
て、ガス流路６１の拡張部６２に、ディスク２の突出部
２ａを、排気を行う空間に連通しているガス流路口６１
ｂに案内として遊嵌し、板状ばね部材３の受圧部３ｂ
を、吸気を行う空間と連通しているガス流路口６１ｃに
向け、固定部材４をねじなどによって固定することによ
り、板状ばね部材３の受圧部３ｂの位置が固定されて傾
斜した連結部３ｃが歪み、この部分の歪み量に比例した
弾発力によってディスク２がガス流路口６１ｂを囲繞し
ている部材端面５に押圧され、これによりガス流路口６
１ｂが開口可能に封止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガスを高圧に圧縮する
圧縮機の弁装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ガスを高圧に圧縮する圧縮機としては、
圧縮段数の増加に従って往復圧縮部、すなわち、シリン
ダとピストンとによる圧縮部を高圧側になるほどシリン
ダとピストンの直径を細くすると共に、Ｌ型・Ｖ型・Ｗ
型・半星型・星型・対向釣り合い型などに配置して、各
圧縮部を所要の位相にずらせた行程で動作するように、
クランク軸に連結して連動することにより多段階の圧縮
動作を行う機構を電動機などの駆動源により運転する構
成が日本機械学会昭和４５年９月１５日「機械工学便
覧」第１０編第３０図〜第３２図などにより開示されて
いる。

【０００３】また、図４のように、４つの往復圧縮部１
０１・１０２・１０３・１０４を直交する軸１０５・１
０６上で往復運動するように配置し、往復圧縮部１０１
から順次に高圧化して往復圧縮部１０４を最終段の高圧
圧縮部とした多段圧縮装置１００が周知である（例え
ば、米国特許第４９３８３２７号明細書）。

【０００４】そして、上記多段圧縮装置１００において
は、図５・図６に示した構成の弁装置１が、吸気弁装置
１Ａ・排気弁装置１Ｂとしてガス流路６１の要所に設置
され、往復圧縮部１０１の圧縮室８１・往復圧縮部１０
２の圧縮室８２・往復圧縮部１０３の圧縮室８３・往復
圧縮部１０４の圧縮室８４が所要時に順次連通して、圧
縮排気できるようになっている。

【０００５】すなわち、排気する側の空間に連通してい
るガス流路口６１ｂを囲繞形成する部材端面５に、ディ
スク２を弾力のある薄いダイヤフラム７の中央部分によ
って押圧してガス流路口６１ｂを開口可能に封止してお
き、排気側空間に連通するガス流路６１ａの圧力が上昇
してダイヤフラム７がディスク２を部材端部５に押圧し
ている力より大きくなると、ディスク２がダイヤフラム
７の中央部を押し上げ、ディスク２の端面が部材端面５
から離間してガス流路口６１ｂが開口し、この開口部
と、ダイヤフラム７に設けた複数の渦巻き状の吐出口７
ａと、ダイヤフラム７を図面上方から押さえている固定
部材４の吐出口４ａを通ってガス流路６１ａのガスが排
気され、ガス流路６１ａの圧力が低下するとダイヤフラ
ム７の弾性力によってディスク２が部材端面５に押圧さ
れてガス流路口６１ｂが封止され、ガスの流れが止まる
ようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
においては、ダイヤフラムおよび固定部材の形状が複雑
であるため、加工が困難であるだけでなく、製造コスト
が高く付くと云った問題点があり、この点の解決が課題
となっていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記した従来技
術の課題を解決するためになされたもので、高圧ガス圧
縮機の排気を行う空間と吸気を行う空間とを連通するガ
ス流路の拡張部に設置して前記ガス流路を開閉する弁装
置であって、排気側空間に連通する排気側ガス流路口の
部材端面に押圧して前記排気側ガス流路口を開口可能に
封止するディスクと、前記ディスクの円周部分と係合し
て前記ディスクを前記部材端面に押圧させる板状ばね部
材と、前記排気側ガス流路口の背面側に設置して前記デ
ィスクが前記排気側ガス流路口から過剰に離間するのを
防止する固定部材とからなり、且つ、前記拡張部内にお
いてガスが前記排気側ガス流路口の側と吸気側空間に連
通する吸気側ガス流路口の側との間で移動自在に、前記
板状ばね部材と前記固定部材とを形成した高圧ガス圧縮
機の弁装置を提供する。

【０００８】

【作用】板状ばね部材がディスクを排気側空間に連通す
るガス流路口の部材端面に所定の力で押圧してこのガス
流路口を封止するので、吸気を行う空間から排気を行う
空間にガスが流れることがないのはもちろん、排気する
空間から吸気する空間にも排気する空間の圧力が前記所
定の圧力に達しない限りガスが流れることはないが、ピ
ストンによる圧縮などによって排気側空間の圧力が前記
所定の圧力に達すると、前記ディスクが部材端面から離
れて前記ガス流路口が開口するので、排気すべき空間か
ら吸気すべき空間にガスが流れる。

【０００９】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の一実施例をさ
らに詳細に説明する。なお、図１〜図３において前記図
４〜図６における符号と同一符号で示した部分は、図４
〜図６で説明した同一符号の部分と同じ機能を持つ部分
である。

【００１０】図１〜図３に例示した本発明になる弁装置
１は、片面に円柱状の突出部２ａを備えたディスク２
と、蟻溝を有するように形成された板状ばね部材３と、
吐出口４ａを備えた固定部材４とで構成されている。

【００１１】ディスク２と板状ばね部材３とは、板状ば
ね部材３の弾発作用面３ａがディスク２の円周部分に設
けた環状溝２ｂに嵌め込まれて係合している。そして、
ガス流路６１の所要の拡張部６２において、ディスク２
の突出部２ａを、排気を行う空間にガス流路６１ａを介
して連通しているガス流路口６１ｂに案内として遊嵌
し、板状ばね部材３の受圧部３ｂを、ガス流路口６１ｂ
の背面側に設けられ、吸気を行う空間にガス流路６１ｄ
を介して連通しているガス流路口６１ｃに向け、固定部
材４を図示しないねじなどによって固定することによ
り、板状ばね部材３の受圧部３ｂの位置が固定されて傾
斜した連結部３ｃが歪み、この部分の歪み量に比例した
弾発力によってディスク２がガス流路口６１ｂを囲繞し
ている部材端面５に押圧され、これによりガス流路口６
１ｂが開口可能に封止される。

【００１２】なお、ディスク２および部材端面５の接触
面は何れも鏡面加工されており、ディスク２が板状ばね
部材３の弾発力によって部材端面５に押圧された時、接
触面の気密性が確保できるようになっている。

【００１３】また、板状ばね部材３は、ディスク２を所
要の応力で押圧することができるように、例えば材質を
変更したり、断面寸法を変更するなどして形成される。

【００１４】上記構成の弁装置１は、例えば図４に示し
た多段圧縮装置１００の吸気弁装置１Ａ・排気弁装置１
Ｂなどとして、ガス流路６１の開閉に使用される。

【００１５】例えば、弁装置１が圧縮室８３に連通する
ガス流路６１の拡張部６２ａ・６２ｂに図３のように設
置されていると、圧縮室８３に対して拡張部６２ａの弁
装置１が吸気弁装置として機能し、拡張部６２ｂの弁装
置１が排気弁装置として機能する。

【００１６】すなわち、ピストン６が後退して圧縮室８
３の圧力が低下した時に、前行程の往復圧縮部１０２の
圧縮室８２から所定の圧力のガスがガス流路６１ａに供
給されて、拡張部６２ａにおける弁装置１の板状ばね部
材３がディスク２を部材端面５に押圧している力を上回
るガス圧が、ガス流路６１ａの側から作用すると、ディ
スク２が部材端面５より離れてガス流路口６１ｂが開口
し、圧縮室８２から供給されてガス流路６１ａにある高
圧のガスがガス流路口６１ｂを通って拡張部６２ａに入
り、さらに固定部材４の吐出口４ａとガス流路口６１ｃ
とガス流路６１ｄとを経由して圧縮室８３に流入するの
で、拡張部６２ａの弁装置１が吸気弁装置として機能す
る。

【００１７】この時、拡張部６２ｂの弁装置１おいては
板状ばね部材３による弾性力によってディスク２が部材
端面５に押圧され、ガス流路口６１ｂを封止しているの
で、圧縮室８３から次行程の往復圧縮部１０４の側にガ
スが流れ出ることはない。

【００１８】一方、ピストン６が前進して圧縮室８３の
圧力が所定圧、例えば２０ＭＰａにまで上昇して拡張部
６２ｂにおける弁装置１の板状ばね部材３がディスク２
を部材端面５に押圧している力を上回ると、ディスク２
が部材端面５より離れてガス流路口６１ｂが開口するの
で、圧縮室８３において圧縮された高圧ガスがガス流路
６１ａ・ガス流路口６１ｂを通って拡張部６２ｂに入
り、さらに固定部材４の吐出口４ａとガス流路口６１ｃ
とガス流路６１ｄとを通って次行程の往復圧縮部１０４
に流れるので、拡張部６２ｂの弁装置１が吸気弁装置と
して機能する。

【００１９】この時、拡張部６２ａの弁装置１おいては
板状ばね部材３による弾性力と、ピストン６の前進によ
って上昇した圧縮室８３の圧力によってディスク２が部
材端面５に押圧され、ガス流路口６１ｂを封止している
ので、圧縮室８３から前行程の往復圧縮部１０２の側に
ガスが流れ出ることはない。

【００２０】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱
しない範囲で各種の変形実施が可能である。

【００２１】例えば、板状ばね部材３の受圧部３ｂを放
射状に三方または四方に設ける構成としたり、固定部材
４の吐出口４ａの個数を変更したり、吐出口４ａを他の
形状にすることも可能である。

【００２２】また、排気側のガス流路口６１ｃを、吸気
側のガス流路口６１ｂの背面にではなく拡張部６２の側
面に設けても良いし、また、ディスク２と板状ばね部材
３とが係合し、弁装置１が定位置に設置可能な構成であ
るため、弁装置１の設置方向は任意に選定できる。

【００２３】また、本発明の弁装置を組込む高圧ガス圧
縮機についての制限も特にない。

【００２４】

【発明の効果】本発明は上記したように、高圧ガス圧縮
機の排気を行う空間と吸気を行う空間とを連通するガス
流路の拡張部に設置して前記ガス流路を開閉する弁装置
において、排気側空間に連通する排気側ガス流路口の部
材端面に押圧して前記排気側ガス流路口を開口可能に封
止するディスクと、前記ディスクの円周部分と係合して
前記ディスクを前記部材端面に押圧させる板状ばね部材
と、吸気側空間に連通する吸気側ガス流路口の側に設置
して前記ディスクが前記吸気側ガス流路口の側に過剰に
移動するのを防止する固定部材とからなり、且つ、前記
拡張部内においてガスが前記吸気側ガス流路口の側と前
記排気側ガス流路口の側との間で移動自在に、前記板状
ばね部材と前記固定部材とを形成した高圧ガス圧縮機の
弁装置であるので、構造がシンプルであり、したがって
製造が容易であり、且つ、コストの大幅な低減が可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】断面図で示す一実施例の説明図である。

【図２】平面図で示す一実施例の説明図である。

【図３】一実施例を多段圧縮装置に適用した説明図であ
る。

【図４】多段圧縮装置の説明図である。

【図５】断面図で示す従来技術の説明図である。

【図６】平面図で示す従来技術の説明図である。

【符号の説明】

１ 弁装置 １Ａ 吸気弁装置 １Ｂ 排気弁装置 ２ ディスク ２ａ 突出部 ２ｂ 環状溝 ３ 板状ばね部材 ３ａ 弾発作用面 ３ｂ 受圧部 ３ｃ 連結部 ４ 固定部材 ４ａ 吐出口 ５ 部材端面 ６ ピストン ７ ダイヤフラム ７ａ 吐出口 ６１・６１ａ ガス流路 ６１ｂ・６１ｃ ガス流路口 ６１ｄ ガス流路 ６２・６２ａ・６２ｂ 拡張部 ８１・８２・８３・８４ 圧縮室 １００ 多段圧縮装置 １０１・１０２・１０３・１０４ 往復圧縮部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000196680 西部瓦斯株式会社 福岡県福岡市博多区千代１丁目17番１号 (72)発明者 田島 祥人 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 金井 一男 千葉県習志野市袖ケ浦６−９−６ (72)発明者 小林 明文 大阪府大阪市中央区平野町４丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 服部 学 愛知県名古屋市昭和区川名本町４−３−７ (72)発明者 吉田 時男 福岡県福岡市博多区千代１丁目17番１号 西部瓦斯株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高圧ガス圧縮機の排気を行う空間と吸気
   を行う空間とを連通するガス流路の拡張部に設置して前
   記ガス流路を開閉する弁装置であって、排気側空間に連
   通する排気側ガス流路口の部材端面に押圧して前記排気
   側ガス流路口を開口可能に封止するディスクと、前記デ
   ィスクの円周部分と係合して前記ディスクを前記部材端
   面に押圧させる板状ばね部材と、前記排気側ガス流路口
   の背面側に設置して前記ディスクが前記排気側ガス流路
   口から過剰に離間するのを防止する固定部材とからな
   り、且つ、前記拡張部内においてガスが前記排気側ガス
   流路口の側と吸気側空間に連通する吸気側ガス流路口の
   側との間で移動自在に、前記板状ばね部材と前記固定部
   材とを形成したことを特徴とする高圧ガス圧縮機の弁装
   置。