JPH0841601A - 加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents
加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板及びその製造方法Info
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- JPH0841601A JPH0841601A JP6178823A JP17882394A JPH0841601A JP H0841601 A JPH0841601 A JP H0841601A JP 6178823 A JP6178823 A JP 6178823A JP 17882394 A JP17882394 A JP 17882394A JP H0841601 A JPH0841601 A JP H0841601A
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- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、加工性が優れ、且つ磁気特性が良
好な、超高速回転機、大幅な可変速機能を有する発電
機、及び揚水発電機のごとき超大型発電機などのロータ
ーに適した、優れた高抗張力無方向性電磁鋼板の製造に
ある。 【構成】 Si:2.5〜8.0%、B:0.0005〜0.01% 、Ni:0.3〜
6.0%を含む鋼板に、Siが2.0%以下の成分からなる
表層部を片面5%以上有し、且つ内表層成分の混合層を
片面で0.05%以上、5%以下有することを特徴とす
る加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板
及びその製造方法。 【効果】 本発明によれば、表面に低Si表層を有し且
つ境界部に混合層を存在させることで冷間圧延及び製品
打ち抜き時の割れ感受性を著しく改善でき、加工性と磁
気特性に優れた、従来より更に優れた高抗張力無方向性
電磁鋼板を製造できる。
好な、超高速回転機、大幅な可変速機能を有する発電
機、及び揚水発電機のごとき超大型発電機などのロータ
ーに適した、優れた高抗張力無方向性電磁鋼板の製造に
ある。 【構成】 Si:2.5〜8.0%、B:0.0005〜0.01% 、Ni:0.3〜
6.0%を含む鋼板に、Siが2.0%以下の成分からなる
表層部を片面5%以上有し、且つ内表層成分の混合層を
片面で0.05%以上、5%以下有することを特徴とす
る加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板
及びその製造方法。 【効果】 本発明によれば、表面に低Si表層を有し且
つ境界部に混合層を存在させることで冷間圧延及び製品
打ち抜き時の割れ感受性を著しく改善でき、加工性と磁
気特性に優れた、従来より更に優れた高抗張力無方向性
電磁鋼板を製造できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表層低Si、内層高抗
張力鋼、境界部に混合層を有する、加工性と磁気特性の
優れた高抗張力無方向性電磁鋼板に関する。
張力鋼、境界部に混合層を有する、加工性と磁気特性の
優れた高抗張力無方向性電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、回転機器に要求されていた回転数
は、高々10万rpm 程度であり、ローター(回転子)用
材料には積層された電磁鋼板が用いられてきた。最近2
0〜30万rpm もの超高速回転が要求されるようにな
り、ローターに加わる遠心力が、電磁鋼板の強度を上回
る可能性が出てきた。また、例えば最近の揚水発電機で
は、昼間と夜間の需要電力の変動に効率的に対応するた
めに、ローターの回転数を可変にできるようにしなけれ
ばならない。この場合にはさらに回転速度の変化に基づ
くローターに作用する遠心力変動に耐える強度を有する
必要がある。
は、高々10万rpm 程度であり、ローター(回転子)用
材料には積層された電磁鋼板が用いられてきた。最近2
0〜30万rpm もの超高速回転が要求されるようにな
り、ローターに加わる遠心力が、電磁鋼板の強度を上回
る可能性が出てきた。また、例えば最近の揚水発電機で
は、昼間と夜間の需要電力の変動に効率的に対応するた
めに、ローターの回転数を可変にできるようにしなけれ
ばならない。この場合にはさらに回転速度の変化に基づ
くローターに作用する遠心力変動に耐える強度を有する
必要がある。
【0003】このため超高速回転機或いは大幅な可変速
タイプ発電機には、通常電磁鋼板の代わりに十分な強度
を持つ鋳鋼製のソリッドローターが使用される。しかし
この場合、鋳鋼ブロックからローターを削り出すという
複雑な加工工程が必要になるためコストが高く、しかも
積層タイプに比べ渦電流損失が大きく、電動機の効率が
著しく低下するという問題点が生じている。
タイプ発電機には、通常電磁鋼板の代わりに十分な強度
を持つ鋳鋼製のソリッドローターが使用される。しかし
この場合、鋳鋼ブロックからローターを削り出すという
複雑な加工工程が必要になるためコストが高く、しかも
積層タイプに比べ渦電流損失が大きく、電動機の効率が
著しく低下するという問題点が生じている。
【0004】このようなニーズに対応して、最近では高
抗張力を有する無方向性電磁鋼板について検討され、い
くつか提案されている。例えば特開昭60−23842
1号公報には、Siを3.5〜7.0%と高め、さらに
Mn:0.1〜11.5%、Ni:0.1〜20.0
%、Co:0.5〜20.0%、Ti:0.05〜3.
0%、W:0.05〜3.0%、Mo:0.05〜3.
0%、Al:0.5〜13.0%の固溶体強化成分の1
種または2種以上を1.0〜20.0%含有させたスラ
ブを素材とし、熱延後、熱延板に100〜600℃の温
間圧延を繰り返して最終板厚に圧延し、焼鈍し、抗張力
が50kg/mm2 以上の高抗張力無方向性電磁鋼板を得て
いる。これは圧延の困難な高Si含有量としているの
で、面倒な温間圧延を必須としているが、圧延時に板破
断の発生が多くなる恐れがあり、生産性の低下、歩留り
の低下をもたらすなど改善の余地がある。
抗張力を有する無方向性電磁鋼板について検討され、い
くつか提案されている。例えば特開昭60−23842
1号公報には、Siを3.5〜7.0%と高め、さらに
Mn:0.1〜11.5%、Ni:0.1〜20.0
%、Co:0.5〜20.0%、Ti:0.05〜3.
0%、W:0.05〜3.0%、Mo:0.05〜3.
0%、Al:0.5〜13.0%の固溶体強化成分の1
種または2種以上を1.0〜20.0%含有させたスラ
ブを素材とし、熱延後、熱延板に100〜600℃の温
間圧延を繰り返して最終板厚に圧延し、焼鈍し、抗張力
が50kg/mm2 以上の高抗張力無方向性電磁鋼板を得て
いる。これは圧延の困難な高Si含有量としているの
で、面倒な温間圧延を必須としているが、圧延時に板破
断の発生が多くなる恐れがあり、生産性の低下、歩留り
の低下をもたらすなど改善の余地がある。
【0005】また、特開昭61−84360号公報で
は、Ni:8〜20%、Mo:0.2〜5.0%、A
l:0.1〜2.0%、Ti:0.1〜1.0%、C
r:1.0〜10.0%を含有する高速回転電動機用の
高抗張力軟磁性材料が提案されている。これは特にN
i,Crを多量に含有しているために極めて高価な材料
となる。
は、Ni:8〜20%、Mo:0.2〜5.0%、A
l:0.1〜2.0%、Ti:0.1〜1.0%、C
r:1.0〜10.0%を含有する高速回転電動機用の
高抗張力軟磁性材料が提案されている。これは特にN
i,Crを多量に含有しているために極めて高価な材料
となる。
【0006】さらに特開昭61−9520号公報では、
Si:2.5〜7.0%と、Ti:0.05〜3.0
%、W:0.05〜3.0%、Mo:0.05〜3.0
%、Ni:0.1〜20.0%、Al:0.5〜13.
0%の1種または2種以上を1.0〜20.0%含有す
る溶鋼を用いて、急冷凝固法により高抗張力無方向性電
磁鋼板を製造せんとするものである。これはプロセスが
特殊であるために、通常の電磁鋼板の製造設備では製造
できず、工業的に生産することが難しく、また加工性に
改善の余地があると考えられる。
Si:2.5〜7.0%と、Ti:0.05〜3.0
%、W:0.05〜3.0%、Mo:0.05〜3.0
%、Ni:0.1〜20.0%、Al:0.5〜13.
0%の1種または2種以上を1.0〜20.0%含有す
る溶鋼を用いて、急冷凝固法により高抗張力無方向性電
磁鋼板を製造せんとするものである。これはプロセスが
特殊であるために、通常の電磁鋼板の製造設備では製造
できず、工業的に生産することが難しく、また加工性に
改善の余地があると考えられる。
【0007】このように高抗張力無方向性電磁鋼板につ
いて提案されているが、抗張力の高い無方向性電磁鋼板
から、例えば超高速回転機や発電機のローターなどを製
作する際は、剪断や打ち抜き時に端面に微小クラックが
生じることがある。さらに製作時に熱処理を受け、鋼板
が脆化して伸び特性が著しく劣化し、所望のローターな
ど、製品の製造が難しいという問題がある。
いて提案されているが、抗張力の高い無方向性電磁鋼板
から、例えば超高速回転機や発電機のローターなどを製
作する際は、剪断や打ち抜き時に端面に微小クラックが
生じることがある。さらに製作時に熱処理を受け、鋼板
が脆化して伸び特性が著しく劣化し、所望のローターな
ど、製品の製造が難しいという問題がある。
【0008】従ってこの加工性を改善する手段として種
々の試みがなされているが、その1つとして特開平1−
162748号公報では、極低炭Si含有鋼に、Mn,
Niさらに必要に応じてCr,Mo,Cuの1種または
2種以上を含有させて高強度化し、Pを0.03%未満
に低減させると共にBを0.0005〜0.01%含有
させることで、加工性、磁気特性共に良好な高抗張力無
方向性電磁鋼板を得ることが提案されている。
々の試みがなされているが、その1つとして特開平1−
162748号公報では、極低炭Si含有鋼に、Mn,
Niさらに必要に応じてCr,Mo,Cuの1種または
2種以上を含有させて高強度化し、Pを0.03%未満
に低減させると共にBを0.0005〜0.01%含有
させることで、加工性、磁気特性共に良好な高抗張力無
方向性電磁鋼板を得ることが提案されている。
【0009】また軟加工性材料の改善策として、高Si
材の表面に加工性の良い低Si材で覆う方法がある。こ
の方法では、表層Siが3%以下、内層Siが3.2〜
10%の熱延板出発素材として良冷間圧延性・低鉄損無
方向性電磁鋼板を製造する方法を開示した特開昭51−
77521号公報や、表層Siが1.0%未満、内層S
iが1.0〜7.0%を有する鋼塊素材を用いて冷間圧
延性、及びスケール層の形成など表面性状の優れた高珪
素鋼板、及びその製造に関する特開昭63−11494
0号公報や、鋼塊中の珪素濃度が外層から内層に行くに
従い連続的或いは非連続的に高くなっている素材を用い
た磁気特性の良好な一方向性電磁鋼板の製造方法に関す
る特開昭54−127829号公報、また表層Si≦3
%、内層が3%<Si≦7%で結晶粒の〈100〉軸が
板面垂直方向に集積している磁気特性の優れた珪素鋼板
及びその製造方法に関する特開平3−140442号公
報が知られている。しかしながら内・表層Si量(加工
性)の差が大きい場合、冷間圧延時に境界部分からクラ
ックが生じ易い。
材の表面に加工性の良い低Si材で覆う方法がある。こ
の方法では、表層Siが3%以下、内層Siが3.2〜
10%の熱延板出発素材として良冷間圧延性・低鉄損無
方向性電磁鋼板を製造する方法を開示した特開昭51−
77521号公報や、表層Siが1.0%未満、内層S
iが1.0〜7.0%を有する鋼塊素材を用いて冷間圧
延性、及びスケール層の形成など表面性状の優れた高珪
素鋼板、及びその製造に関する特開昭63−11494
0号公報や、鋼塊中の珪素濃度が外層から内層に行くに
従い連続的或いは非連続的に高くなっている素材を用い
た磁気特性の良好な一方向性電磁鋼板の製造方法に関す
る特開昭54−127829号公報、また表層Si≦3
%、内層が3%<Si≦7%で結晶粒の〈100〉軸が
板面垂直方向に集積している磁気特性の優れた珪素鋼板
及びその製造方法に関する特開平3−140442号公
報が知られている。しかしながら内・表層Si量(加工
性)の差が大きい場合、冷間圧延時に境界部分からクラ
ックが生じ易い。
【0010】一方Siの混合領域を有する例としては、
連続鋳造中にSiまたはFe−Si粉を鋳型中心部にワ
イヤー添加して表層低Si、内層高Siの良冷間圧延性
・低鉄損一方向性電磁鋼板を製造する方法を開示した特
公昭58−37367号公報及び特開昭57−7527
4号公報があるが、これらの方法ではいずれも混合領域
が全板厚の10%以上と大き過ぎ、成分分離が不十分な
難点がある。
連続鋳造中にSiまたはFe−Si粉を鋳型中心部にワ
イヤー添加して表層低Si、内層高Siの良冷間圧延性
・低鉄損一方向性電磁鋼板を製造する方法を開示した特
公昭58−37367号公報及び特開昭57−7527
4号公報があるが、これらの方法ではいずれも混合領域
が全板厚の10%以上と大き過ぎ、成分分離が不十分な
難点がある。
【0011】以上のように加工性に優れた高抗張力無方
向性電磁鋼板や高Si無方向性電磁鋼板が種々提案され
ているが、さらに優れた高抗張力無方向性電磁鋼板を開
発するには、より一層の加工性改善策が必要となる。
向性電磁鋼板や高Si無方向性電磁鋼板が種々提案され
ているが、さらに優れた高抗張力無方向性電磁鋼板を開
発するには、より一層の加工性改善策が必要となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加工
性が優れ所望の製品が問題なく製作でき、且つ磁気特性
が優れた、超高速回転機、大幅な可変速機能を有する発
電機、及び揚水発電機のごとき超大型発電機などのロー
ターに適した、従来よりさらに優れた高抗張力無方向性
電磁鋼板及びその製造方法を提供することにある。
性が優れ所望の製品が問題なく製作でき、且つ磁気特性
が優れた、超高速回転機、大幅な可変速機能を有する発
電機、及び揚水発電機のごとき超大型発電機などのロー
ターに適した、従来よりさらに優れた高抗張力無方向性
電磁鋼板及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく種々検討した結果、板表層を極めて加工性
が優れた低Si鋼で覆い、且つ内・表層境界部の成分混
合層を存在させることで、加工性、特に冷間圧延性が著
しく改善されることを知った。すなわち内・表層部の加
工性が著しく異なる場合は、冷間圧延時に境界層にクラ
ックが生じるが、このような材料でも成分混合層を製品
板で0.05%以上有する場合にはクラックが生じるこ
となく、優れた冷間圧延性を有することが明らかとなっ
た。
を解決すべく種々検討した結果、板表層を極めて加工性
が優れた低Si鋼で覆い、且つ内・表層境界部の成分混
合層を存在させることで、加工性、特に冷間圧延性が著
しく改善されることを知った。すなわち内・表層部の加
工性が著しく異なる場合は、冷間圧延時に境界層にクラ
ックが生じるが、このような材料でも成分混合層を製品
板で0.05%以上有する場合にはクラックが生じるこ
となく、優れた冷間圧延性を有することが明らかとなっ
た。
【0014】本発明はこのような観点から完成されたも
のであり、その要旨とするところを、以下に示す。
(1)重量%で、 Si:2.0%以下、 B :0.0005%以下、 Ni:0.3%以下、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の無方向性電磁鋼成分からなる表層部を片
面5%以上有し、内層部の成分が Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の成分からなり、且つ、内表層成分の混合
層を片面で0.05%以上、5%以下有することを特徴
とする加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁
鋼板。 (2)内層成分が、重量%で、 Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、さらに Cr:5.0%以下、 Mo:5.0%以下、 Cu:0.4%以下の3元素の中の1種または2種以上
を含有し、残部通常公知の成分からなることを特徴とす
る前記(1)記載の加工性と磁気特性の優れた高抗張力
無方向性電磁鋼板。
のであり、その要旨とするところを、以下に示す。
(1)重量%で、 Si:2.0%以下、 B :0.0005%以下、 Ni:0.3%以下、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の無方向性電磁鋼成分からなる表層部を片
面5%以上有し、内層部の成分が Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の成分からなり、且つ、内表層成分の混合
層を片面で0.05%以上、5%以下有することを特徴
とする加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁
鋼板。 (2)内層成分が、重量%で、 Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、さらに Cr:5.0%以下、 Mo:5.0%以下、 Cu:0.4%以下の3元素の中の1種または2種以上
を含有し、残部通常公知の成分からなることを特徴とす
る前記(1)記載の加工性と磁気特性の優れた高抗張力
無方向性電磁鋼板。
【0015】(3)重量%で、 Si:2.0%以下、 B :0.0005%以下、 Ni:0.3%以下、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の無方向性電磁鋼成分からなる表層部を片
面5%以上有し、内層部の成分が Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の成分からなり、且つ、内表層成分の混合
層を片面で0.05%以上、5%以下有するスラブを熱
延し、冷間圧延し、700〜900℃で5秒〜15分間
の焼鈍を行うことを特徴とする加工性と磁気特性の優れ
た高抗張力無方向性電磁鋼板の製造方法。(4)スラブ
の内層成分が、重量%で、 Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、さらに Cr:5.0%以下、 Mo:5.0%以下、 Cu:0.4%以下の3元素の中の1種または2種以上
を含有し、残部通常公知の成分からなることを特徴とす
る前記(3)記載の加工性と磁気特性の優れた高抗張力
無方向性電磁鋼板の製造方法。(5)熱延板焼鈍を50
0〜1000℃で5秒〜15分間行うことを特徴とする
前記(3)または(4)記載の加工性と磁気特性の優れ
た高抗張力無方向性電磁鋼板の製造方法。
面5%以上有し、内層部の成分が Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の成分からなり、且つ、内表層成分の混合
層を片面で0.05%以上、5%以下有するスラブを熱
延し、冷間圧延し、700〜900℃で5秒〜15分間
の焼鈍を行うことを特徴とする加工性と磁気特性の優れ
た高抗張力無方向性電磁鋼板の製造方法。(4)スラブ
の内層成分が、重量%で、 Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、さらに Cr:5.0%以下、 Mo:5.0%以下、 Cu:0.4%以下の3元素の中の1種または2種以上
を含有し、残部通常公知の成分からなることを特徴とす
る前記(3)記載の加工性と磁気特性の優れた高抗張力
無方向性電磁鋼板の製造方法。(5)熱延板焼鈍を50
0〜1000℃で5秒〜15分間行うことを特徴とする
前記(3)または(4)記載の加工性と磁気特性の優れ
た高抗張力無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】
【作用】次に本発明を詳細に説明する。本発明の内表層
成分の混合層の役割について述べる。通常内表層部のS
i量の差が大きい、すなわち延性が著しく異なる場合
は、冷間圧延時に境界層にクラックが生じる。しかしこ
のような材料でも図1に示すように、内表層の成分混合
層を製品板で0.05%以上有する場合には、クラック
が生じることなく優れた冷間圧延性を有することがわか
った。またこの成分混合層によって、製品板の打ち抜き
性(割れ)改善効果も認められた。一方内表層の成分混
合層の厚みを製品板で5%以下と限定したのは、十分な
内表層の成分分離を確保するためである。なお、この成
分混合層の厚みは、下記の関係式を満足するSi濃度領
域で定義される。 CS+ 0.2×(CI−CS)≦境界層Si濃度≦CS+
0.8×(CI−CS) ここで CI:内層部Si濃度最大値 CS:表層部Si濃度最小値
成分の混合層の役割について述べる。通常内表層部のS
i量の差が大きい、すなわち延性が著しく異なる場合
は、冷間圧延時に境界層にクラックが生じる。しかしこ
のような材料でも図1に示すように、内表層の成分混合
層を製品板で0.05%以上有する場合には、クラック
が生じることなく優れた冷間圧延性を有することがわか
った。またこの成分混合層によって、製品板の打ち抜き
性(割れ)改善効果も認められた。一方内表層の成分混
合層の厚みを製品板で5%以下と限定したのは、十分な
内表層の成分分離を確保するためである。なお、この成
分混合層の厚みは、下記の関係式を満足するSi濃度領
域で定義される。 CS+ 0.2×(CI−CS)≦境界層Si濃度≦CS+
0.8×(CI−CS) ここで CI:内層部Si濃度最大値 CS:表層部Si濃度最小値
【0017】この出発素材である、高Si材の表面に加
工性の良い低Si材で覆い且つ内表層成分の混合層を製
品板で0.05%以上相当を有する冷延前素材を得るに
は、次のような方法がある。 (1)鋳造方向に垂直に鋳片全幅に静磁場を形成させ、
これを境界としてSi量の異なる溶鋼を供給すること
で、内表層成分の混合層を製品板で0.05%以上、5
%以下相当を有する連続鋼塊を得る。 (2)まず表層または内層に相当する部分を凝固させた
後、残りの部分を異なる成分材にて凝固させて、複層鋼
塊を得る。しかる後に鋼塊または熱延板の状態で100
0℃以上の温度で焼鈍しSiを拡散させ、製品板で0.
05%以上、5%以下相当の内表層成分の混合層を形成
させる。 (3)2種の鋼成分3層構造の熱延板を、圧延圧着法で
製造する。この際熱延板の状態で1000℃以上の温度
で焼鈍しSiを拡散させ、製品板で0.05%以上、5
%以下相当の内表層成分の混合層を形成させる。
工性の良い低Si材で覆い且つ内表層成分の混合層を製
品板で0.05%以上相当を有する冷延前素材を得るに
は、次のような方法がある。 (1)鋳造方向に垂直に鋳片全幅に静磁場を形成させ、
これを境界としてSi量の異なる溶鋼を供給すること
で、内表層成分の混合層を製品板で0.05%以上、5
%以下相当を有する連続鋼塊を得る。 (2)まず表層または内層に相当する部分を凝固させた
後、残りの部分を異なる成分材にて凝固させて、複層鋼
塊を得る。しかる後に鋼塊または熱延板の状態で100
0℃以上の温度で焼鈍しSiを拡散させ、製品板で0.
05%以上、5%以下相当の内表層成分の混合層を形成
させる。 (3)2種の鋼成分3層構造の熱延板を、圧延圧着法で
製造する。この際熱延板の状態で1000℃以上の温度
で焼鈍しSiを拡散させ、製品板で0.05%以上、5
%以下相当の内表層成分の混合層を形成させる。
【0018】次に本発明における鋼成分の限定理由及び
熱間圧延以降の製造方法について述べる。内層Siは固
有抵抗を高めて鉄損を良くするため2.5%以上とす
る。一方、Si量が多過ぎると、熱延板の曲げ性、冷間
圧延時の割れなどの加工性の劣化を招くので上限を8.
0%以下にした。表層Siは冷延時の表面及び境界部の
割れ防止のため、2.0%以下、好ましくは1.0%以
下とする。
熱間圧延以降の製造方法について述べる。内層Siは固
有抵抗を高めて鉄損を良くするため2.5%以上とす
る。一方、Si量が多過ぎると、熱延板の曲げ性、冷間
圧延時の割れなどの加工性の劣化を招くので上限を8.
0%以下にした。表層Siは冷延時の表面及び境界部の
割れ防止のため、2.0%以下、好ましくは1.0%以
下とする。
【0019】Bは粒界破断を防止する作用があり、また
Pの低減と相乗して脆化を防止する。このため内層Bの
下限は0.0005%とする。しかしBの含有量が多く
なり過ぎると逆に脆化するため、上限を0.01%とす
る。一方表層は加工性を良くするため、極力高純鋼とす
べくBは0.0005%以下とする。
Pの低減と相乗して脆化を防止する。このため内層Bの
下限は0.0005%とする。しかしBの含有量が多く
なり過ぎると逆に脆化するため、上限を0.01%とす
る。一方表層は加工性を良くするため、極力高純鋼とす
べくBは0.0005%以下とする。
【0020】Niは磁気特性を劣化させることなく、強
度を高めるのに有効である。このため、内層Niは0.
3%以上とする。しかし含有量が多くなり過ぎると磁束
密度を低下させるので、6.0%以下とする。一方表層
は加工性を良くするため、極力高純鋼とすべくBは0.
3%以下とする。
度を高めるのに有効である。このため、内層Niは0.
3%以上とする。しかし含有量が多くなり過ぎると磁束
密度を低下させるので、6.0%以下とする。一方表層
は加工性を良くするため、極力高純鋼とすべくBは0.
3%以下とする。
【0021】Cは、0.01%を超えると磁気時効が生
じ、磁気特性が著しく劣化するので、0.01%以下と
するが、0.005%以下だとさらに良い。Mnは抗張
力を高めると共に、固有抵抗を高め鉄損を低下させ、さ
らに鋼板の脆化防止の作用があるが、0.1%未満では
これらの効果が少なく、一方含有量が多くなると鋼溶製
が困難になり、また磁束密度が低下するので6.0%以
下とする。
じ、磁気特性が著しく劣化するので、0.01%以下と
するが、0.005%以下だとさらに良い。Mnは抗張
力を高めると共に、固有抵抗を高め鉄損を低下させ、さ
らに鋼板の脆化防止の作用があるが、0.1%未満では
これらの効果が少なく、一方含有量が多くなると鋼溶製
が困難になり、また磁束密度が低下するので6.0%以
下とする。
【0022】Pは抗張力を高める効果の著しい元素であ
るが、鋼板からローター、鉄芯などの鉄片を打ち抜き、
または剪断したとき、その切断端面に微小クラックの発
生を防止し、あわせてその後の製品作成時に加熱作用を
受け、例えば150℃以上に加熱されても脆化がなく、
十分な伸び特性を得るために内・表層共に0.03%以
下とする。
るが、鋼板からローター、鉄芯などの鉄片を打ち抜き、
または剪断したとき、その切断端面に微小クラックの発
生を防止し、あわせてその後の製品作成時に加熱作用を
受け、例えば150℃以上に加熱されても脆化がなく、
十分な伸び特性を得るために内・表層共に0.03%以
下とする。
【0023】Alは、Siと同様に鋼の固有抵抗を高め
て鉄損を向上させると共に、鋼の脱酸のために添加する
元素であるが、1.5%を超えると鋼が脆化するので
1.5%を上限とする。S,Nは、含有量が多くなると
不純物を生成し、磁気特性を劣化させる元素であるた
め、それぞれ上限を40ppm とするが、20ppm 以下だ
とさらに良い。以上のC,Mn,P,Al,S,Nは、
目的が内・表層共通のため、同一範囲とする。
て鉄損を向上させると共に、鋼の脱酸のために添加する
元素であるが、1.5%を超えると鋼が脆化するので
1.5%を上限とする。S,Nは、含有量が多くなると
不純物を生成し、磁気特性を劣化させる元素であるた
め、それぞれ上限を40ppm とするが、20ppm 以下だ
とさらに良い。以上のC,Mn,P,Al,S,Nは、
目的が内・表層共通のため、同一範囲とする。
【0024】さらに必要に応じて、内層部にCr,M
o,Cuの1種または2種以上を含有させる。これらは
いずれも磁気特性を劣化することなく、強度を高める作
用がある。このためCrは5.0%以下、Moは5.0
%以下、Cuは0.4%以下の範囲で含有される。これ
らの成分範囲を超えると著しく磁束密度が劣化する。
o,Cuの1種または2種以上を含有させる。これらは
いずれも磁気特性を劣化することなく、強度を高める作
用がある。このためCrは5.0%以下、Moは5.0
%以下、Cuは0.4%以下の範囲で含有される。これ
らの成分範囲を超えると著しく磁束密度が劣化する。
【0025】熱間圧延後は冷間圧延するか、或いは磁気
特性の向上をさらに図る必要がある場合には、熱延板焼
鈍を500〜1000℃で5秒〜15分間にて行い、そ
の後冷間圧延する。熱延板焼鈍を上記温度、時間の範囲
で行うのは、500℃より低温または5秒より短いと磁
気特性をより高める焼鈍効果が現れないためであり、一
方1000℃または15分を超えると結晶粒が粗大化し
過ぎ、冷延で板破断を生じることがあり、最終製品の強
度を低下させる。
特性の向上をさらに図る必要がある場合には、熱延板焼
鈍を500〜1000℃で5秒〜15分間にて行い、そ
の後冷間圧延する。熱延板焼鈍を上記温度、時間の範囲
で行うのは、500℃より低温または5秒より短いと磁
気特性をより高める焼鈍効果が現れないためであり、一
方1000℃または15分を超えると結晶粒が粗大化し
過ぎ、冷延で板破断を生じることがあり、最終製品の強
度を低下させる。
【0026】冷間圧延後は700〜900℃で5秒〜1
5分間の焼鈍を行う。その理由は700℃または5秒未
満では、鉄損の低下と磁束密度の向上を図る十分な焼鈍
効果が現れず、また圧延組織が残ったり平坦度が改善さ
れないまま残る。900℃または15分を超えると結晶
粒が粗大化するため強度が低下し、高抗張力鋼板となら
ない。この冷延板の焼鈍においては、必要によっては脱
炭雰囲気として脱炭を行っても差しつかえない。
5分間の焼鈍を行う。その理由は700℃または5秒未
満では、鉄損の低下と磁束密度の向上を図る十分な焼鈍
効果が現れず、また圧延組織が残ったり平坦度が改善さ
れないまま残る。900℃または15分を超えると結晶
粒が粗大化するため強度が低下し、高抗張力鋼板となら
ない。この冷延板の焼鈍においては、必要によっては脱
炭雰囲気として脱炭を行っても差しつかえない。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例を挙げて説明する。 〔実施例1〕鋳造方向に垂直に鋳片全幅に静磁場を形成
させ、これを境界として表1に示す鋼成分を含有する溶
鋼を供給することで、表2に示す複層条件を有する連続
鋼塊A,B,Cを得た。鋼塊DとEは、単一成分の溶鋼
を供給する通常の方法で作成した。次にこれらの鋼塊を
加熱し熱間圧延で1.8mm厚の熱延板とし、さらに熱延
板焼鈍を950℃で2分間行った後、0.50mmの製品
厚みまで100℃予熱後冷間圧延した。この冷間圧延性
についての評価結果を、表3に示す。
させ、これを境界として表1に示す鋼成分を含有する溶
鋼を供給することで、表2に示す複層条件を有する連続
鋼塊A,B,Cを得た。鋼塊DとEは、単一成分の溶鋼
を供給する通常の方法で作成した。次にこれらの鋼塊を
加熱し熱間圧延で1.8mm厚の熱延板とし、さらに熱延
板焼鈍を950℃で2分間行った後、0.50mmの製品
厚みまで100℃予熱後冷間圧延した。この冷間圧延性
についての評価結果を、表3に示す。
【0028】本発明の範囲に入る鋼塊A,Bの場合、鋼
塊Eと同様に冷間圧延時に割れの発生はなかった。一方
成分混合層厚の小さい比較材Cでは、冷間圧延時に板の
剥離が生じ、材料評価を中止した。この剥離部分を調査
したところ、内表層境界部で発生していた。また比較材
Dは、冷間圧延時に板表面に多数の割れが生じたため、
材料評価を中止した。
塊Eと同様に冷間圧延時に割れの発生はなかった。一方
成分混合層厚の小さい比較材Cでは、冷間圧延時に板の
剥離が生じ、材料評価を中止した。この剥離部分を調査
したところ、内表層境界部で発生していた。また比較材
Dは、冷間圧延時に板表面に多数の割れが生じたため、
材料評価を中止した。
【0029】次にこれらの冷延板A,B,Eを1050
℃で30秒仕上げ焼鈍を行い、磁気測定及び打ち抜き性
評価を行った。結果は表3に示すように、本発明材A,
Bでは、比較材Eよりも優れた低鉄損特性を得た。また
製品打ち抜き性は、本発明材である成分混合層を有する
A,B材では割れが認められず良好であった。
℃で30秒仕上げ焼鈍を行い、磁気測定及び打ち抜き性
評価を行った。結果は表3に示すように、本発明材A,
Bでは、比較材Eよりも優れた低鉄損特性を得た。また
製品打ち抜き性は、本発明材である成分混合層を有する
A,B材では割れが認められず良好であった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】〔実施例2〕鋳造段階で表層または内層に
相当する部分を凝固させた後、残りの部分を異なる成分
材にて凝固させて、表4,5に示す鋼成分、複層条件を
有する複層鋼塊F,Gを得た。次にこれらの鋼塊を加熱
し熱間圧延で1.8mm厚の熱延板とし、さらに熱延板焼
鈍を950℃で2分間行った後、0.50mmの製品厚み
まで100℃予熱後冷間圧延した。この冷間圧延性につ
いての評価結果を、表6に示す。
相当する部分を凝固させた後、残りの部分を異なる成分
材にて凝固させて、表4,5に示す鋼成分、複層条件を
有する複層鋼塊F,Gを得た。次にこれらの鋼塊を加熱
し熱間圧延で1.8mm厚の熱延板とし、さらに熱延板焼
鈍を950℃で2分間行った後、0.50mmの製品厚み
まで100℃予熱後冷間圧延した。この冷間圧延性につ
いての評価結果を、表6に示す。
【0034】本発明の範囲に入る鋼塊Fの場合、冷間圧
延時に割れの発生はなかった。一方成分混合層厚が小さ
い比較材Gでは、冷間圧延時に板の剥離が生じ、材料評
価を中止した。この剥離部分を調査したところ、内表層
境界部を発生していた。次に冷延板Fを1050℃で3
0秒仕上げ焼鈍を行い、磁気測定を行った。結果は表6
に示すように、本発明材Fでは、優れた低鉄損特性を得
た。また製品打ち抜き性は、本発明材である成分混合層
を有するF材では割れが認められず良好であった。
延時に割れの発生はなかった。一方成分混合層厚が小さ
い比較材Gでは、冷間圧延時に板の剥離が生じ、材料評
価を中止した。この剥離部分を調査したところ、内表層
境界部を発生していた。次に冷延板Fを1050℃で3
0秒仕上げ焼鈍を行い、磁気測定を行った。結果は表6
に示すように、本発明材Fでは、優れた低鉄損特性を得
た。また製品打ち抜き性は、本発明材である成分混合層
を有するF材では割れが認められず良好であった。
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】〔実施例3〕表7,8に示す2種の鋼成分
3層構造の1.8mm厚の熱延板H,Iを、圧延圧着法で
製造した。さらに熱延板焼鈍を950℃で2分間行った
後、0.50mmの製品厚みまで100℃予熱後冷間圧延
した。この冷間圧延性についての評価結果を、表9に示
す。
3層構造の1.8mm厚の熱延板H,Iを、圧延圧着法で
製造した。さらに熱延板焼鈍を950℃で2分間行った
後、0.50mmの製品厚みまで100℃予熱後冷間圧延
した。この冷間圧延性についての評価結果を、表9に示
す。
【0039】本発明の範囲に入る熱延板Hの場合、冷間
圧延時に割れの発生はなかった。一方比較材Iでは、成
分混合層厚が不足していたため冷間圧延時に板の剥離が
生じ、材料評価を中止した。この剥離部分を調査したと
ころ、内表層境界部で発生していた。次に冷延板Hを1
050℃で30秒仕上げ焼鈍を行い、磁気測定を行っ
た。結果は表9に示すように、本発明材Hでは、優れた
低鉄損特性を得た。また製品打ち抜き性は、本発明材で
ある成分混合層を有するH材では断面に微小割れが認め
られたがほぼ良好であった。
圧延時に割れの発生はなかった。一方比較材Iでは、成
分混合層厚が不足していたため冷間圧延時に板の剥離が
生じ、材料評価を中止した。この剥離部分を調査したと
ころ、内表層境界部で発生していた。次に冷延板Hを1
050℃で30秒仕上げ焼鈍を行い、磁気測定を行っ
た。結果は表9に示すように、本発明材Hでは、優れた
低鉄損特性を得た。また製品打ち抜き性は、本発明材で
ある成分混合層を有するH材では断面に微小割れが認め
られたがほぼ良好であった。
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、高Si抗張力材の表面
を加工性の良い低Si材で覆い且つ内表層成分の混合層
を製品板で0.05%以上、5%以下有することによっ
て、冷間圧延性及び製品打ち抜き性などの加工性が優
れ、且つ良好な磁気特性を有する、従来よりさらに優れ
た高抗張力無方向性電磁鋼板を製造することができる。
を加工性の良い低Si材で覆い且つ内表層成分の混合層
を製品板で0.05%以上、5%以下有することによっ
て、冷間圧延性及び製品打ち抜き性などの加工性が優
れ、且つ良好な磁気特性を有する、従来よりさらに優れ
た高抗張力無方向性電磁鋼板を製造することができる。
【図1】冷間圧延時の割れ性と内表層境界部の成分混合
層厚みとの関係を示したグラフである。
層厚みとの関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/08 38/58 H01F 1/16
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、 Si:2.0%以下、 B :0.0005%以下、 Ni:0.3%以下、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の無方向性電磁鋼成分からなる表層部を片
面5%以上有し、内層部の成分が Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の成分からなり、且つ、内表層成分の混合
層を片面で0.05%以上、5%以下有することを特徴
とする加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁
鋼板。 - 【請求項2】 内層成分が、重量%で、 Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 さらに Cr:5.0%以下、 Mo:5.0%以下、 Cu:0.4%以下の3元素の中の1種または2種以上
を含有し、残部通常公知の成分からなることを特徴とす
る請求項1記載の加工性と磁気特性の優れた高抗張力無
方向性電磁鋼板。 - 【請求項3】 重量%で、 Si:2.0%以下、 B :0.0005%以下、 Ni:0.3%以下、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の無方向性電磁鋼成分からなる表層部を片
面5%以上有し、内層部の成分が Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 残部通常公知の成分からなり、且つ、内表層成分の混合
層を片面で0.05%以上、5%以下有するスラブを熱
延し、冷間圧延し、700〜900℃で5秒〜15分間
の焼鈍を行うことを特徴とする加工性と磁気特性の優れ
た高抗張力無方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 スラブの内層成分が、重量%で、 Si:2.5〜8.0%、 B :0.0005〜0.01%、 Ni:0.3〜6.0%、 C :0.01%以下、 Mn:0.1〜6.0%、 P :0.03%以下、 Al:1.50%以下、 さらに Cr:5.0%以下、 Mo:5.0%以下、 Cu:0.4%以下の3元素の中の1種または2種以上
を含有し、残部通常公知の成分からなることを特徴とす
る請求項3記載の加工性と磁気特性の優れた高抗張力無
方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 熱延板焼鈍を500〜1000℃で5秒
〜15分間行うことを特徴とする請求項3または4記載
の加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6178823A JPH0841601A (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | 加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6178823A JPH0841601A (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | 加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0841601A true JPH0841601A (ja) | 1996-02-13 |
Family
ID=16055293
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6178823A Withdrawn JPH0841601A (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | 加工性と磁気特性の優れた高抗張力無方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0841601A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1679386A1 (en) * | 2003-10-06 | 2006-07-12 | Nippon Steel Corporation | High-strength magnetic steel sheet and worked part therefrom, and process for producing them |
JP2020090720A (ja) * | 2018-12-07 | 2020-06-11 | Jfeスチール株式会社 | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
CN111448330A (zh) * | 2017-12-12 | 2020-07-24 | 杰富意钢铁株式会社 | 多层型电磁钢板 |
-
1994
- 1994-07-29 JP JP6178823A patent/JPH0841601A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1679386A1 (en) * | 2003-10-06 | 2006-07-12 | Nippon Steel Corporation | High-strength magnetic steel sheet and worked part therefrom, and process for producing them |
EP1679386A4 (en) * | 2003-10-06 | 2009-12-09 | Nippon Steel Corp | HIGH RESISTANCE MAGNETIC STEEL SHEET AND WORKPIECE MANUFACTURED FROM SUCH SHEET, AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME |
US8097094B2 (en) | 2003-10-06 | 2012-01-17 | Nippon Steel Corporation | High-strength electrical steel sheet and processed part of same |
CN111448330A (zh) * | 2017-12-12 | 2020-07-24 | 杰富意钢铁株式会社 | 多层型电磁钢板 |
EP3725906A4 (en) * | 2017-12-12 | 2020-10-21 | JFE Steel Corporation | MULTILAYER ELECTROMAGNETIC STEEL SHEET |
US11335485B2 (en) | 2017-12-12 | 2022-05-17 | Jfe Steel Corporation | Multilayer electrical steel sheet |
JP2020090720A (ja) * | 2018-12-07 | 2020-06-11 | Jfeスチール株式会社 | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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