JPH0840390A - 船舶用自動操舵装置 - Google Patents

船舶用自動操舵装置

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Publication number
JPH0840390A
JPH0840390A JP17865294A JP17865294A JPH0840390A JP H0840390 A JPH0840390 A JP H0840390A JP 17865294 A JP17865294 A JP 17865294A JP 17865294 A JP17865294 A JP 17865294A JP H0840390 A JPH0840390 A JP H0840390A
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JP
Japan
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automatic steering
disturbance
steering device
adder
control
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Application number
JP17865294A
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English (en)
Inventor
Fuyuki Hane
冬希 羽根
Kenji Sugano
賢治 菅野
Toru Maeda
前田  徹
Tsurashi Yamamoto
貫志 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokimec Inc
Original Assignee
Tokimec Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 船舶のオートパイロットにおいて適応制御及
びカルマンフィルタ等の構成要素を使用するこなく、
不確かな変動量を含む自動操縦系の安定制御を確保し、
外乱成分を除去することを目的とする。 【構成】 船舶用自動操舵系において、不確かさを含む
一般化制御対象とオートパイロットとを組み合わせてH
∞制御問題に帰着させ、外乱から評価量までの伝達特性
のH∞ノルムを仕様γ(>0)以下になるように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は船舶用自動操舵装置の制
御系に関し、より詳細には斯かる制御系のオートパイロ
ットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図6に従来の船舶用自動操舵装置の制御
系のブロック図を示す。斯かる制御系を以下に単に自動
操舵系と称する。自動操舵系は第1の加算器11と自動
操舵装置即ちオートパイロット12と操舵機16と第2
の加算器13と船体14−1と船首方位検出器14−2
とを含む。
【0003】自動操舵系に入力信号φINとして設定針路
φIN=φC が入力される。加算器11は設定針路φC
船首方位φの偏差ERR=φC −φを求める。自動操舵
装置即ちオートパイロット12は斯かる偏差ERRを入
力して命令舵角δC を出力する。斯かる命令舵角δC
操舵機16に供給される。
【0004】操舵機16は舵角δを命令舵角δC に迅速
に追従させるためのサーボ機構を有し、1次遅れ要素に
相当する。船体14−1には風、波浪等の外乱dが作用
する。加算器13は操舵機16の出力信号である舵角δ
に角度換算した外乱dを加算する。船体14−1は船舶
の方位軸周りに回転する運動系であると考えることがで
きる。船体14−1は加算器13の出力信号を入力して
船首方位の角速度dφ/dtを出力する。
【0005】船首方位検出器14−2は船首方位の角速
度dφ/dtより船首方位φを演算する。船首方位検出
器14−2はジャイロコンパス、磁気コンパス等を含む
ものであってよい。斯かる船首方位φは加算器11にフ
ィードバックされる。加算器11の出力である偏差ER
Rがゼロになるように安定な閉ループが構成される。こ
のとき船首方位φは自動操舵系の出力信号φOUT =φと
して出力される。
【0006】実際には、自動操舵装置即ちオートパイロ
ット12は、様々な適応性が要求される。斯かる適応性
が要求される場合には次のようなものがある。 (1)船舶の操縦性が変化した場合。これは、例えば航
行速度が変化したり、積み荷状態が変化した場合であ
る。 (2)船舶の航行中に海象が変化した場合。これは、例
えば波浪、風雨等が生じた場合である。
【0007】オートパイロット12に斯かる適応性を付
与する方法の例として、例えばモデル規範適応系(MR
AS)、自己同期調節型制御系(STR)、外乱適応型
制御系(NADCON)等がある。ここでは、モデル規
範適応系(MRAS)について考える。モデル規範適応
系(MRAS)には比較的大きな針路の変更を行う変針
制御を目的とする制御系と比較的小さな針路の変更及び
その針路の保持を行う保針制御を目的とする制御系とが
ある。
【0008】図7を参照して、変針制御を目的とするモ
デル規範適応系(MRAS)のオートパイロット12を
説明する。このオートパイロット12はカルマンフィル
タ12−1と規範モデル12−2と2つの加算器12−
3、12−4と命令舵角演算部12−5と調節器12−
6とを含む。
【0009】カルマンフィルタ12−1は船首方位φに
含まれる外乱成分を除去し、自動操舵系に必要な状態信
号を推定演算する。規範モデル12−2は、自動操舵系
の閉ループ特性に所望の変針特性を付与するように機能
する。規範モデル12−2は設定針路φC を入力して所
望の船首方位φC ’を出力する。
【0010】第1の加算器12−3は設定針路φC とカ
ルマンフィルタ12−1より出力された推定船首方位
φ’との偏差を求め、それを誤差として命令舵角演算部
12−5に出力する。第2の加算器12−4はカルマン
フィルタ12−1より出力された推定船首方位φ’と規
範モデル12−2より出力された所望の船首方位φC
との偏差を求め、それを誤差として調節器12−6に出
力する。
【0011】調節器12−6は適応制御ゲインgを演算
し、それを命令舵角演算部12−5に出力する。斯かる
適応制御ゲインgは自動操舵系に所望の適応性を付与す
るように選択される。命令舵角演算部12−5は適応制
御ゲインgを用いて命令舵角δC を演算する。命令舵角
演算部12−5は、比例+積分+微分(PID)制御の
機能を有する。こうしてオートパイロット12より出力
される命令舵角δC によって自動操舵系は所望の変針特
性を得ることができる。
【0012】図8を参照して、保針制御を目的とするモ
デル規範適応系(MRAS)のオートパイロット12を
説明する。このオートパイロット12はカルマンフィル
タ12−1’と規範モデル12−2’と2つの加算器1
2−3、12−4と命令舵角演算部12−5と調節器1
2−6’とを含む。
【0013】この例では、規範モデル12−2’は命令
舵角δC をフィードバック入力して所望の船首方位
φC ’を演算する。調節器12−6’は操縦特性のパラ
メータを適応同定し、それをカルマンフィルタ12−
1’と規範モデル12−2’に供給する。調節器12−
6’は斯かる適応同定したパラメータより制御ゲイン
g’を演算し、命令舵角演算部12−5にフィードバッ
クする。制御ゲインg’は次のような評価関数JAPを最
小化する最適制御則に基づいて計算される。
【0014】
【数1】
【0015】ここで、∫O t は時間tに関する0からt
までの積分、φは船首方位、δC は命令舵角、λは重み
である。
【0016】評価関数は、船首方位φと命令舵角δC
釣り合いを設定することができるから、自動操舵系の経
済面の評価にも利用することができる。こうしてオート
パイロット12において、調節器12−6’によって船
舶の操縦特性のパラメータが適応同定され、斯かるパラ
メータによってカルマンフィルタ12−1’が改善さ
れ、命令舵角演算部12−5の制御ゲインg’を最適化
することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
オートパイロット12は、次のような課題を有する。 (1)適応制御系のアルゴリズムでは、多く場合、信号
と外乱の比(SN比)が極めて大きくないと所定の同定
精度を得ることができない。所定の同定精度を得るため
には、例えば、同定時の海象が極めて穏やかで且つ大き
な船体運動の条件が必要である。また斯かるアルゴリズ
ムは外乱を含まない信号を条件としているため、実用に
際しては複雑な工夫を要する。このアルゴリズムは、外
乱が存在する場合に、適応同定したパラメータの収束解
について何ら精度を保証することができない欠点があっ
た。
【0018】(2)適応制御を用いる場合、信号に含ま
れる外乱成分を除去しなければならないので、カルマン
フィルタ12−1が用いられる。カルマンフィルタ12
−1の性能は、SN比、その内部にある運動モデル及び
そのパラメータの妥当性に依存する。例えば、SN比が
小さい場合にはフィルタ作用を強く機能させなければな
らないから応答が悪くなり、運動モデルとそのパラメー
タの設定に誤差がある場合には斯かる誤差がフィルタさ
れた信号に新たな外乱成分として付加されることとな
る。
【0019】(3)数1の式によって表される評価関数
は外乱項を含まないから、外乱が存在する運航では評価
関数の値JAPが正確であるかどうか不明である。 (4)従来の自動操舵系において、各要素は独立的に機
能するように設定されるが実際は相互に干渉する。従っ
て、外乱に対する自動操縦系の安定性及びその性能を正
確に把握することが困難であり、所望の結果を得ること
ができない。
【0020】本発明は斯かる点に鑑み、船舶の操縦性の
変化に対して、オートパイロット12を含む自動操舵系
の不安定性を除去することを目的とする。
【0021】本発明は斯かる点に鑑み、外乱に対してオ
ートパイロット12を含む自動操舵系の安定性を確保す
ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明によると、例えば
図1に示すように、設定針路に対する船首方位の偏差を
指示する信号を入力して命令舵角を出力する自動操舵装
置を閉ループによって制御するように構成された船舶用
自動操舵装置において、不確かさを有する制御対象であ
る一般化制御対象と上記自動操舵装置とを組み合わせて
H∞制御問題に帰着させ、上記一般化制御対象におい
て、外乱から評価量までの伝達特性のH∞ノルムを仕様
以下にすることを特徴とする。
【0023】本発明によると、船舶用自動操舵装置にお
いて、上記一般化制御対象は、外乱に対する偏差が定常
状態でゼロとなるような特性を有する評価量を含むこと
を特徴とする。
【0024】本発明によると、船舶用自動操舵装置にお
いて、上記一般化制御対象は、命令舵角に含まれる外乱
成分を除去するような特性を有する評価量を含むことを
特徴とする。
【0025】本発明によると、船舶用自動操舵装置にお
いて、上記一般化制御対象は船体及び船首方位検出器を
一体化した制御対象を含むことを特徴とする。
【0026】
【作用】本発明によると、自動操舵系をH∞制御として
扱い、オートパイロットの課題をH∞制御問題に帰着さ
せることによって解決する。自動操舵系を自動操舵装置
即ちオートパイロット12と一般化制御対象100の2
つの要素より構成する。一般化制御対象100は、不確
かさを有する船体14−1と船首方位検出器14−2を
一体化した制御対象14を含む。
【0027】本発明によると次のような手順を含む。 (1)制御対象14を状態空間表現によって定式化す
る。斯かる式は、状態量x、制御量u、外乱w、観測出
力yによって定量的に表される。制御対象14は不確か
な変動量を含む。斯かる不確かな変動量として、船速、
積み荷状態等がある。こうして、制御対象14の不確か
な変動量は定量化される。 (2)次に評価量zを規定する。斯かる評価量zは状態
量xと制御量uによって表され、自動制御装置12の性
能等を示す。 (3)次に、外乱項wから評価量zまでの伝達特性をH
∞ノルムによって表し、外乱項の影響の度合いを定量的
に示す。 (4)最後に斯かる伝達特性を設定する。本例では外乱
項wから評価量zまでの伝達関数のH∞ノルムをγ(>
0)以下に設定する。
【0028】次にオートパイロットをH∞制御問題とし
て取り扱う。一般化制御対象100は外乱項wから評価
量zまでの伝達特性を有する。H∞制御問題は以下の2
つの設計仕様を満足する補償器、即ちオートパイロット
12を求める問題となる。
【0029】(1)オートパイロット12の伝達関数K
(s)は、不確かな変動量を含む制御対象14の伝達関
数P(s)を含む閉ループ系を内部安定化する。 (2)一般化制御対象の伝達関数G(s)のH∞ノルム
は定数γ(>0)より小さい。即ち、‖G‖∞<γ
【0030】この仕様(1)はオートパイロット12の
設計における基本仕様である自動操舵系の安定性を保証
するもので、仕様(2)はオートパイロット12の性能
を一般化制御対象の伝達関数G(s)の仕様として規定
するものである。
【0031】尚、本発明に関して、以下の文献が参考に
なろう。詳細は斯かる文献を参照されたい。 (1)「第3回操縦性シンポジウム」テキスト、日本造
船学会試験水槽委員会、243/279(1982年) (2)「SIC夏期セミナー’92 −新しい制御理論
に基づく自動操舵系設計法−」テキスト、(社)計測自
動制御学会、1992年、 (3)“構造的と非構造的不確かさを同時にもつシステ
ムの2次安定化補償器の一構成法”、申鉄龍、田村捷
利、計測自動制御学会論文集、vol.29、No.1
0、1171/1175(1993年)
【0032】
【実施例】以下に図1〜図5を参照して本発明の実施例
について説明する。尚図1〜図5において図6〜図8の
対応する部分には同一の参照符号を付してその詳細な説
明は省略する。
【0033】図1は本発明による船舶用自動操舵装置の
制御系即ち自動操舵系のブロック図を示す。斯かる自動
操舵系は第1の加算器11と自動操舵装置即ちオートパ
イロット12と第2の加算器13と制御対象14と第3
の加算器15とを含む。制御対象14は図6に示した船
体14−1と船首方位検出器14−2を一体化したもの
である。尚、操舵機16を省略したのは、操舵機16の
応答はこの自動操舵系の応答に比べて1桁程度速いので
その動特性を無視することができるからである。
【0034】自動操舵系に入力信号として設定針路φIN
が入力される。第1の加算器11は設定針路φINと船首
方位φOUT の偏差ERR=φIN−φOUT を求める。自動
操舵装置即ちオートパイロット12は斯かる偏差ERR
を入力して命令舵角δC を出力する。斯かる命令舵角δ
C は第2の加算器13に供給される。
【0035】第2の加算器13は命令舵角δC より角度
換算の外乱dを減算し、その結果を制御対象14に出力
する。第3の加算器15は制御対象14の出力信号φよ
り船首方位検出器14−2の検出外乱dV を減算して、
船首方位φOUT を生成する。斯かる船首方位検出器14
−2の検出外乱dV は図6のブロック図には示されず、
ここで新た追加されたものである。
【0036】船首方位φOUT は第1の加算器11にフィ
ードバックされる。加算器11の出力である偏差ERR
がゼロになるように安定な閉ループが構成される。この
とき船首方位φOUT は自動操舵系の出力信号として出力
される。
【0037】次に本発明による手法を順に説明する。本
発明によると次のような手順を含む。 (1)制御対象14を状態空間表現によって定式化す
る。斯かる式は、状態量x、制御量u、外乱w、観測出
力yによって定量的に表される。制御対象14は不確か
な変動量を含む。斯かる不確かな変動量として、船速、
積み荷状態等がある。こうして、制御対象14の不確か
な変動量は定量化される。 (2)次に評価量zを規定する。斯かる評価量zは状態
量xと制御量uによって表され、自動制御装置12の性
能等を示す。 (3)次に、外乱項wから評価量zまでの伝達特性をH
∞ノルムによって表し、外乱項の影響の度合いを定量的
に示す。 (4)最後に斯かる伝達特性を設定する。本例では外乱
項wから評価量zまでの伝達関数のH∞ノルムをγ(>
0)以下に設定する。
【0038】以下に斯かる手順を説明する。制御対象1
4の伝達関数P(s)は次のように表される。
【0039】
【数2】P(s)=KS /〔s(sTS +1)〕
【0040】KS は旋回ゲイン、TS は時定数であり、
両者は船体14−1の操縦性指数である。sはラプラス
演算子である。分母の因数にsが含まれるのは、船首方
位検出器14−2の積分特性による。
【0041】制御対象14を状態空間で表すと次のよう
になる。
【0042】
【数3】 dx/dt=〔A+ΔA〕x+〔B+ΔB〕u+Ew1 y=Cx+Nw2
【0043】ここで、xは制御対象14の状態量、uは
制御量、w1 、w2 はそれぞれ(プラント)外乱及び検
出外乱、yは観測出力である。これらは次のように表さ
れる。
【0044】
【数4】x≡〔φ、dφ/dt〕T u≡δC1 ≡d w2 ≡dV y ≡ERR
【0045】また、A、B、Cは、それぞれ、状態行
列、入力行列及び観測行列である。右肩の添字Tは転置
行列を表す。
【0046】
【数5】
【0047】ΔA、ΔBは、それぞれ、不確かさの状態
行列及び不確かさの入力行列であり、不確かさの変動量
を表す。
【0048】
【数6】
【0049】E、Nは外乱入力行列で、次のように表さ
れる。
【0050】
【数7】
【0051】またこれらの行列の要素a、Δa、b、Δ
bは次のように表される。
【0052】
【数8】a≡−1/TS Δa≡α|a| b≡KS /TS Δb≡β|b|
【0053】α、βは不確かさの変動範囲を定める定数
である。尚、行列C、E、Nに含まれる不確かさは、不
確かさの行列ΔA、ΔBに比べて小さいため無視するこ
ととする。
【0054】次に評価量zを状態量x及び制御量uによ
って次のように表す。
【0055】
【数9】z=C1 x+D12
【0056】係数C1 12は次のように表される。
【0057】
【数10】
【0058】このときzT zを演算すると次のようにな
る。
【0059】
【数11】zT z=xT 1 T 1 x+uT 12 T 12
u=φ2 +λδC 2
【0060】即ち、数1の式の評価式と同一の式が得ら
れた。
【0061】次に、外乱項wから評価量zまでの伝達特
性をH∞ノルムを用いて表す。外乱項wから評価量zま
での伝達関数をGとし、z=Gwとする。
【0062】
【数12】
【0063】
【0064】
【数13】w≡〔w1 、w2 T
【0065】ここに、‖‖∞はH∞ノルム、‖‖2 はL
2 ノルムである。
【0066】
【数14】
【0067】この式はエネルギの大きさが一定である全
ての外乱入力が閉ループの自動操舵系に加えられた場合
の評価量の最大値を示す。斯かる評価量は小さいほうが
好ましいから、斯かる評価量の最大値は最悪値を規定し
ている。
【0068】最後に、伝達関数G(s)の仕様を規定す
る。伝達関数G(s)のH∞ノルムを定数γ(>0)よ
り小さく規定する。
【0069】
【数15】‖G‖∞<γ
【0070】このとき数14の式は次のような関係とな
る。
【0071】
【数16】‖z‖2 2<γ2 ‖w‖2 2
【0072】以上の記述をもう一度まとめると次のこと
を表している。 (1)数3の式は制御対象14の状態空間表現である
が、不確かな変動量を定量的に設定し且つ外乱項の存在
入力を規定している。 (2)数9の式は評価量z、即ちオートパイロット12
の性能等を定義し、数12の式は外乱項wから評価量z
までの伝達特性の性能を規定している。
【0073】本発明によるオートパイロット12は、不
確かさを有する制御対象14において、従来のオートパ
イロット12の問題点であった複雑な相互干渉を有する
適応制御、カルマンフィルタを用いずに重要な要因であ
る外乱項から評価量までの伝達特性、即ちオートパイロ
ット12の性能がγ以下になる仕様を満足する。
【0074】次に、本発明のオートパイロット12をH
∞制御問題に適用する。自動操舵系を外乱項から評価量
までの伝達特性を有する一般化制御対象とオートパイロ
ット12よりなる制御系として考える。上述の伝達関数
G(s)は一般化制御対象の伝達関数である。尚、H∞
制御問題の詳細は、上述の文献(3)を参照されたい。
【0075】本例では、H∞制御問題とは与えられた定
数γ>0に対して、以下の2つの設計仕様を満足する補
償器、即ちオートパイロット12を求める問題である。
【0076】(1)オートパイロット12の伝達関数K
(s)は、不確かな変動量を含む制御対象14の伝達関
数P(s)を含む閉ループ系を内部安定化する。 (2)一般化制御対象の伝達関数G(s)のH∞ノルム
は定数γ(>0)より小さい。即ち、‖G‖∞<γ
【0077】この仕様(1)はオートパイロット12の
設計における基本仕様である自動操舵系の安定性を保証
するもので、仕様(2)はオートパイロット12の性能
を一般化制御対象の伝達関数G(s)の仕様として規定
するものである。
【0078】以下に一般化制御対象の伝達関数G(s)
を求める。一般化制御対象は、不確かさを含む制御対象
14(数3の式)と評価量(数9の式)を含み、それを
状態空間表現すると次のようになる。
【0079】
【数17】dx/dt=〔A+ΔA〕x+B1 w+〔B
2 +ΔB2 〕u z=C1 x+D12u y=C2 x+D21
【0080】ここで、
【0081】
【数18】B1 ≡〔E,0〕 B2 ≡B ΔB2 ≡ΔB C2 ≡C D21≡〔0,N〕
【0082】更に不確かさの変動量は、
【0083】
【数19】〔ΔA,ΔB〕≡HF(t)〔E1 ,E2
【0084】
【数20】
【0085】数18の式及び数19の式より、一般化制
御対象は、次のように表される。
【0086】
【数21】
【0087】ここで、εは十分小さい正の定数である。
また、外乱、評価量は次のようになる。
【0088】
【数22】
【0089】wX 、zX は新たに定義した量である。
【0090】ここで数21の式と数17の式を比較す
る。数17の式では外乱項wから評価量zまでのH∞制
御問題であるが、数21の式では一般化制御対象の中に
仕様γが含まれる。
【0091】
【0092】
【数23】
【0093】図2に本発明による第1の例の構成を示
す。本例によると、自動操舵系は一般化制御対象100
と自動操舵装置即ちオートパイロット12を含む。一般
化制御対象100は数21の式によって表される。一般
化制御対象100の要素の行列は次のように表される。
【0094】
【数24】
【0095】ここで、Iは単位行列、添字−1は逆行列
である。上述の文献(3)より、オートパイロット12
は次の3つの条件を満たす。 (1)次のリカッチの式が準正定解X≧0をもつ。
【0096】
【数25】
【0097】(2)次のリカッチの式が準正定解Y≧0
をもつ。
【0098】
【数26】
【0099】(3)λMAX (XY)<1 ここに、λMAX は実数の固有値の最大値を表す。オート
パイロット12の伝達関数K(s)は次の式によって表
される。
【0100】
【数27】K(s)=CC (sI−AC -1C
【0101】ここで、行列AC 、BC 、CC は次のよう
に表される。
【0102】
【数28】
【0103】
【0104】
【0105】
【数29】
【0106】
【0107】
【数30】T(s)≡P(s)K(s)/〔1−P
(s)K(s)〕
【0108】
【0109】
【数31】
【0110】
【0111】このとき、オートパイロット12は数23
の式の関係を満たすから、H∞ノルムで表すと、次の関
係を満たす。
【0112】
【数32】
【0113】これを周波数域で表すと次のようになる。
【0114】
【数33】
【0115】になる。ここで、ωは周波数、jは虚数単
位である。
【0116】図4に伝達関数T(s)のボード線図を示
す。縦軸はゲイン、横軸は周波数ω(rad/s)であ
る。
【0117】
【0118】尚、図4において、TR は操舵機16の等
価1次遅れ要素の時定数である。伝達関数T(s)は操
舵機16の応答周波数より低い周波数領域において、重
み関数WT (s)によって制限されていることがわか
る。伝達関数T(s)はωT1=1よりωTR =1に到
る範囲の外乱周波数にて減衰特性を有するため、操舵機
16の不要な操作が減少する。
【0119】尚、図4において、時定数は次のような関
係にある。
【0120】
【数34】T1 >TR >T2
【0121】
【0122】
【数35】
【0123】
【0124】以上より、本発明によると、オートパイロ
ット12は従来の自動操舵装置の問題点を定量化した仕
様に変換され、その仕様と不確かな変動量を含む制御対
象14を含む一般化制御対象100にH∞制御を適用す
る。それによって、制御対象14に対する自動操舵系の
安定性が保証され、且つ外乱dに起因して操舵機16に
不要な操作が生ずることを除去することができる。
【0125】
【発明の効果】本発明によると、自動操舵系に含まれる
不確かな量を定量的な変動幅として取扱うことによって
自動操舵系の安定性が保証される利点がある。
【0126】本発明によると、オートパイロット12は
H∞制御に適用して設定されるから、自動操舵系の閉ル
ープ系の安定性を「陽」に意識することなく、所与の又
は所望の仕様を重み関数として取り込み、それによって
周波数整形することができる利点がある。
【0127】本発明によると、オートパイロット12は
線形要素のみで構成されるから、オートパイロット12
の構成を極めて簡単にすることができる利点がある。
【0128】本発明によると、評価量を適当に調節する
ことによって所望の特性や性能を有する自動操舵系を構
築することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動操舵系を示すブロック図であ
る。
【図2】本発明による自動操舵系をH∞制御問題に帰着
させた第1の例のブロック図である。
【図3】本発明による自動操舵系をH∞制御問題に帰着
させた第2の例のブロック図である。
【図4】本発明による重み関数のボード線図である。
【図5】本発明による自動操舵系をH∞制御問題に帰着
させた第3の例のブロック図である。
【図6】従来の自動操舵系を示すブロック図である。
【図7】従来のモデル規範適応系(MRAS)を用いた
自動操舵装置(オートパイロット)の構成を示す図であ
る。
【図8】従来のモデル規範適応系(MRAS)を用いた
自動操舵装置(オートパイロット)の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
11 加算器 12 自動操舵装置(オートパイロット) 13 加算器 14 制御対象 14−1 船体 14−2 船首方位検出器 15 加算器 16 操舵機 100,100′,100″ 一般化制御対象
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】本発明は斯かる点に鑑み、外乱によるオー
トパイロット12を含む自動操舵系の不用な舵機操作を
減少させることを目的とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】KS は旋回力を示すゲイン、TS 追従安
定性を示す時定数であり、両者は船体14−1の操縦性
指数である。sはラプラス演算子である。分母の因数に
sが含まれるのは、船首方位検出器14−2の積分特性
による。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正内容】
【0088】
【数22】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 貫志 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株式 会社トキメック内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 設定針路に対する船首方位の偏差を指示
    する信号を入力して命令舵角を出力する自動操舵装置を
    閉ループによって制御するように構成された船舶用自動
    操舵装置において、 不確かさを有する制御対象である一般化制御対象と上記
    自動操舵装置とを組み合わせてH∞制御問題に帰着さ
    せ、上記一般化制御対象において、外乱から評価量まで
    の伝達特性のH∞ノルムを仕様以下にすることを特徴と
    する船舶用自動操舵装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の船舶用自動操舵装置にお
    いて、 上記一般化制御対象は、外乱に対する偏差が定常状態で
    ゼロとなるような特性を有する評価量を含むことを特徴
    とする船舶用自動操舵装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の船舶用自動操舵装
    置において、 上記一般化制御対象は、命令舵角に含まれる外乱成分を
    除去するような特性を有する評価量を含むことを特徴と
    する船舶用自動操舵装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の船舶用自動操
    舵装置において、 上記一般化制御対象は船体及び船首方位検出器を一体化
    した制御対象を含むことを特徴とする船舶用自動操舵装
    置。
JP17865294A 1994-07-29 1994-07-29 船舶用自動操舵装置 Pending JPH0840390A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014012491A (ja) * 2012-07-05 2014-01-23 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 船体の位置制御装置及び方法並びにプログラム
JP2015520464A (ja) * 2012-06-19 2015-07-16 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションInternational Business Machines Corporation ヘッド・アクチュエータを正確に位置決めするためのテープ・ドライブおよび方法
JP2016008038A (ja) * 2014-06-26 2016-01-18 東京計器株式会社 船舶用自動操舵装置

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