JPH0835976A - 集積型spmセンサーおよび変位検出回路 - Google Patents

集積型spmセンサーおよび変位検出回路

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JPH0835976A
JPH0835976A JP6169598A JP16959894A JPH0835976A JP H0835976 A JPH0835976 A JP H0835976A JP 6169598 A JP6169598 A JP 6169598A JP 16959894 A JP16959894 A JP 16959894A JP H0835976 A JPH0835976 A JP H0835976A
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cantilever
displacement
layer
integrated
spm sensor
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JP6169598A
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Katsuhiro Matsuyama
克宏 松山
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ピエゾ抵抗層の発熱に影響されることなく、正
確な変位量を検出できる集積型SPMセンサーを提供す
る。 【構成】集積型SPMセンサーは支持部14から延出し
たU字状のカンチレバー12を有している。カンチレバ
ー12は絶縁層22を中心に上下に対称的な積層構造と
なっている。絶縁層22の上下面にはそれぞれ同じ厚さ
のシリコン層20とシリコン層24が設けられている。
シリコン層24の下面とシリコン層20の上面にはそれ
ぞれ同じ厚さのピエゾ抵抗層26と28が形成されてい
る。ピエゾ抵抗層26と28は、たとえば、シリコン層
24の下面とシリコン層20の上面に所定の濃度でボロ
ンを打ち込むことにより形成される。ピエゾ抵抗層26
の先端部の下面には探針30が形成されている。探針3
0の先端部分を除いて、カンチレバー12と支持部14
の全体を覆う絶縁膜32が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型プローブ顕微鏡
(SPM; Scanning Probe Microscope)において使用され
る集積型SPMセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】ビニッヒ(Binnig)とローラー(Rohre
r)らによって発明された走査型トンネル顕微鏡(STM;
Scanning Tunneling Microscope)におけるサーボ技術
を始めとする要素技術を利用しながら、STMでは測定
し難い絶縁性の試料を原子オーダーの精度で観察するこ
とのできる顕微鏡として原子間力顕微鏡(AFM; Atomic
Force Microscope)が特開昭62ー130302におい
て提案されている。
【0003】AFMの構造はSTMに類似しており、走
査型プローブ顕微鏡の一つとして位置づけられる。AF
Mでは、カンチレバーの自由端に設けた鋭い突起部分
(探針部)を試料表面に近づけ、探針先端の原子と試料
表面の原子との間に働く相互作用力により変位するカン
チレバーの動きを電気的または光学的にとらえて測定し
つつ、試料をXY方向に走査するなどして、試料に対す
る探針部の位置を相対的に変化させる。これにより、カ
ンチレバーの動きに基づいて、試料表面の様々な位置に
おける高さ情報が得られ、この高さ情報を位置情報と合
わせて処理することで、試料の凹凸を表現した三次元像
等を構築することができる。
【0004】AFMでは、カンチレバーの変位を測定す
る変位測定センサーは、カンチレバーとは別途に設ける
のが一般的である。しかし最近では、カンチレバー自体
に変位を測定する機能を設けた集積型AFMセンサーが
トルトネーゼ(M.Tortonese)らにより提案されてい
る。この集積型AFMセンサーは、たとえば「M.Torton
ese, H.Yamada, R.C.Barrett and C.F.Quate, "Atomic
force microscopy usinga piezoresistive cantileve
r", Transducers and Sensors '91」やPCT出願WO
92/12398に開示されている。
【0005】この集積型AFMセンサーは、測定原理に
圧電抵抗効果を利用しており、カンチレバー部には抵抗
層が設けられていて、この抵抗層には一定の電圧が印加
されている。探針先端が測定試料に近接すると、探針と
試料の間に働く相互作用によりカンチレバー部がたわ
み、カンチレバー部に歪みが生じ、この歪みの大きさに
応じて抵抗層の抵抗値が変化し、その結果として抵抗層
を流れる電流が変化する。つまり、抵抗層を流れる電流
はカンチレバーの歪み量に応じて変化する。したがっ
て、この集積型AFMセンサーでは、抵抗層を流れる電
流の変化を検出することにより、カンチレバー部の変位
量が求められる。
【0006】このような集積型AFMセンサーは構成が
極めて簡単で小型であることから、カンチレバー側を走
査するいわゆるスタンドアロン型のAFMを構成できる
ようになると期待されている。これまでのAFMでは、
試料をXY方向に動かすことによって、カンチレバー先
端の探針の相対位置を変化させているため、試料の大き
さが最大数cm程度に限られるが、スタンドアロン型の
AFMにはこのような制限がなく大きな試料も取り扱え
るという利点がある。
【0007】次に集積型AFMセンサーについて図6を
参照して説明する。まず製造方法について説明する。ス
タートウェハー100として、図6(A)に示すよう
に、シリコンウェハー110の上に酸化シリコンの分離
層112を介してシリコン層114を設けたもの、たと
えば貼り合わせウェハーを用意する。このシリコン層1
14の極表面にイオンインプランテーションによりボロ
ン(B)を打ち込んでピエゾ抵抗層116を形成し、図
6(D)の形状にパターニングした後、表面を酸化シリ
コン膜118で覆う。そしてカンチレバーの固定端側に
ボンディング用の穴をあけ、アルミニウムをスパッタリ
ングして電極120を形成する。さらに、シリコンウェ
ハー112の下側にレジスト層122を形成し、このレ
ジスト層をパターニングし開口を形成して図6(B)と
なる。続いて、オーミックコンタクトをとるための熱処
理をした後、レジスト層122をマスクとして湿式異方
性エッチングにより分離層112までエッチングし、最
後にフッ酸でカンチレバー部124下部の分離層112
をエッチングしてカンチレバー部124を形成して集積
型AFMセンサーが完成する。その側断面図を図6
(C)に、上面図を図6(D)に示す。
【0008】この集積型AFMセンサーを用いて変位量
測定を行なうための回路を図7に示す。図7に示すよう
に、ピエゾ抵抗カンチレバーの端子120には、直流定
電圧電源126と電流計測用のオペアンプ128が接続
されている。たとえば、直流定電圧電源126の電位を
+5Vとすれば、図の上側のピエゾ抵抗カンチレバーの
端子120の電位は+5Vに保たれる。もう一方のピエ
ゾ抵抗カンチレバーの端子120は、オペアンプの非反
転入力端子(+)がGND電位に保たれていることか
ら、GND電位に保たれる。
【0009】カンチレバー部124の先端が試料に接近
し、カンチレバー部124の先端と試料表面の原子間に
相互作用力が働くと、カンチレバー部124が変位す
る。これに応じてピエゾ抵抗層116の抵抗値が変化す
るため、カンチレバー部124の変位が二つの電極12
0の間に流れる電流信号として得られる。
【0010】また、最近ではカンチレバーのねじれ量
(LFM信号)を検出する機能も備えた集積型SPMセ
ンサーが提案されている。このような集積型SPMセン
サーは例えば特開平5−63547に開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述の集積型SPMセ
ンサーにおいては、電流値の変化に基づいて、ピエゾ抵
抗層全体の歪みによる抵抗値の変化が求められる。予め
求められている抵抗値の変化とZ方向の変位量の関係に
基づき、検出された抵抗値の変化からZ方向の変位量が
求められる。
【0012】測定中、ピエゾ抵抗層には常に電流が流さ
れる。このため、ピエゾ抵抗層の発する熱によって、例
えばこれを覆っている絶縁膜が膨張し、多層構造である
カンチレバーに歪みが生じる。従って、実際に検出され
る電流値は、カンチレバーのZ方向の変位による歪みの
他に熱の影響による歪みを含んだものとなっている。こ
の結果、測定により得られる像は、実際の表面形状とは
異なったものとなるという問題を有している。
【0013】また、上述の集積型SPMセンサーでは、
カンチレバーの変位すなわち反り量を検出することはで
きるが、カンチレバーの反る方向を検出することはでき
ない。すなわち、上述の集積型SPMセンサーは、斥力
による変位であるか、引力による変位であるかを判定す
る機能は有していない。本発明は、ピエゾ抵抗層の発熱
に影響されることなく、正確な変位量を検出できる集積
型SPMセンサーを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による集積型SP
Mセンサーは、支持部と、支持部から延びた柔軟なカン
チレバーとからなり、カンチレバーは中心の層に対して
同じ材料の層が上下に対称的に積層された積層構造体で
構成されており、積層構造体はカンチレバーの歪みに応
じて抵抗値が変化する同一形状の二つの抵抗層を含み、
抵抗層はカンチレバーの先端部において互いに一体化し
ている複数の帯状部を有している。
【0015】本発明による変位検出回路は、上記の集積
型SPMセンサーのそれぞれの抵抗層の所定の二本の帯
状部の末端部の間に一定の電圧を印加する電圧印加手段
と、所定の二本の帯状部の末端部を介して抵抗層の内部
に流れる電流を測定する手段と、それぞれの抵抗層の互
いに対応した二本の帯状部の末端部を介して抵抗層の内
部を流れる電流の差を調べる電流差検出手段と、電流差
検出手段で得られる電流の差に基づいてカンチレバーの
変位を求める変位検出手段とを備えている。
【0016】
【作用】上記の集積型SPMセンサーの上側の抵抗層の
二本の帯状部の末端部の間と、下側の抵抗層の二本の帯
状部の末端部の間には、同じ値の電圧が印加される。こ
れにより、上側の抵抗層と下側の抵抗層には同じ量の電
流が流れ、同じ量の熱が発せられる。カンチレバーは、
中心の層を基準として、その上側と下側で対称的な構造
となっているので、中心の層の上側と下側の膨張量は等
しい。このため、熱による膨張は、カンチレバーの変位
に影響を与えない。従って、抵抗層の発熱の影響を受け
ることなく、常に正確な変位が得られる。
【0017】
【実施例】次に図面を参照しながら本発明の実施例につ
いて説明する。 <第一実施例>第一実施例の集積型SPMセンサーを図
1と図2に示す。図1(A)は集積型SPMセンサーの
斜視図、図1(B)は図1(A)の1B−1B線による
断面図、図2(A)は集積型SPMセンサーの上面図、
図2(B)は集積型SPMセンサーの下面図である。
【0018】本実施例の集積型SPMセンサーは、図1
(A)に示すように、支持部14から延出したU字状の
カンチレバー12を有している。カンチレバー12は、
図1(B)に示すように、絶縁層22を中心にして、そ
の上下方向に対称的な積層構造となっている。絶縁層2
2の上下面には同じ厚さのシリコン層20とシリコン層
24がそれぞれ設けられている。シリコン層24の下面
とシリコン層20の上面には同じ厚さのピエゾ抵抗層2
6と28がそれぞれ形成されている。ピエゾ抵抗層26
と28は、たとえば、シリコン層24の下面とシリコン
層20の上面に所定の濃度でボロンを打ち込むことによ
り形成される。ピエゾ抵抗層26の先端部の下面には探
針30が形成されている。探針30の先端部分を除い
て、カンチレバー12と支持部14の全体を覆う絶縁膜
32が設けられている。
【0019】支持部14の下面には、図2(B)に示す
ように、絶縁膜32に開けたコンタクトホールを介して
ピエゾ抵抗層26の端部に電気的に接触している電極3
4と36が設けられている。同様に、支持部14の上面
には、図2(A)に示すように、絶縁膜32に開けたコ
ンタクトホールを介してピエゾ抵抗層28の端部に電気
的に接触している電極38と40が設けられている。コ
ンタクトホールは、コンタクトホール間のピエゾ抵抗層
26と28の抵抗値が互いに等しくなる位置すなわちピ
エゾ抵抗層26と28の先端からの長さが等しい位置に
形成されている。
【0020】電極34には正電圧源42が接続されてお
り、電極36には負電圧源44が接続されている。電極
36と負電圧源44の間には電流計46が設けられてい
る。また、電極38には正電圧源48が接続されてお
り、電極40には負電圧源50が接続されている。正電
圧源42と正電圧源48は、等しい正電位たとえば+3
Vの電位をそれぞれ電極34と38に与える。同様に、
負電圧源44と負電圧源50は、等しい負電位たとえば
−3Vの電位をそれぞれ電極36と40に与える。
【0021】測定の際に探針30と試料の間に静電力が
発生しないようにすることを考慮すると、試料の電位は
通常は0であるから、探針30の電位は0であることが
好ましい。従って、探針30の電位が0となるように、
電極34に与える正電位と電極36に与える負電位は、
その絶対値が等しいことが好ましい。
【0022】探針30の変位量は、抵抗層26に流れる
電流値と探針30の変位量との関係を実験的に予め求め
ておき、この関係(特性)に基づき、電流計46から出
力される電流値から求められる。
【0023】測定の間、ピエゾ抵抗層26とピエゾ抵抗
層28には同じ値の電流が流れる。この結果、絶縁層2
2を基準として、その上側と下側とでは等しく膨張す
る。従って、絶縁膜32やシリコン層20と24等の熱
による膨張は、上側と下側で相殺されるため、カンチレ
バー12に歪みを生じさせない。従って、電流計46か
ら出力される電流値(変位信号)は、熱による膨張の影
響を含んでいないものとなる。結果として、長時間にわ
たり安定に高分解能の測定が行なえるようになる。
【0024】本実施例では、上側と下側のピエゾ抵抗層
に電位を与えるための正電圧電源と負電圧電源とがそれ
ぞれ別々に設けられているが、これらは共用してもよ
い。また、変位検出のための電流計46を下側のピエゾ
抵抗層26に設けたが、上側のピエゾ抵抗層28に設け
てもよい。されに、カンチレバーの形状としてU字状の
ものをあげて説明したが、別の形状であってもよい。
【0025】<第二実施例>第二実施例の集積型SPM
センサーと変位検出回路を図3に示す。図中の集積型S
PMセンサーは第一実施例で説明したものと同一であ
り、図3(A)は集積型SPMセンサーの上面とその周
辺回路を示し、図3(B)は集積型SPMセンサーの下
面とその周辺回路を示している。
【0026】電極34には正電圧源42が接続されてお
り、電極36には負電圧源44が接続されている。電極
36と負電圧源44の間には電流計46が設けられてい
る。また、電極38には正電圧源48が接続されてお
り、電極40には負電圧源50が接続されている。電極
40と負電圧源50の間には電流計52が設けられてい
る。正電圧源42と正電圧源48は、等しい正電位たと
えば+3Vの電位をそれぞれ電極34と38に与える。
同様に、負電圧源44と負電圧源50は、等しい負電位
たとえば−3Vの電位をそれぞれ電極36と40に与え
る。
【0027】測定の際に探針30と試料の間に静電力が
発生しないようにすることを考慮すると、試料の電位は
通常は0であるから、探針30の電位は0であることが
好ましい。従って、探針30の電位が0となるように、
電極34に与える正電位と電極36に与える負電位は、
その絶対値が等しいことが好ましい。
【0028】本実施例では、下側のピエゾ抵抗層26を
流れる電流すなわち電流計46で検出される電流をi1
、上側のピエゾ抵抗層28を流れる電流すなわち電流
計52で検出される電流をi2 とし、カンチレバー12
の変位に対応した信号(変位信号Is )はi2 −i1 で
得られる。変位信号Is の正負と大きさを調べることに
より、変位量に加えて変位の方向も調べられる。以下、
その原理について図4を参照して説明する。
【0029】図4(B)に示すように、探針30の先端
が試料18の表面から十分に離れている場合、カンチレ
バー12には反りがなく、下側のピエゾ抵抗層26に流
れる電流i1 と上側のピエゾ抵抗層28に流れる電流i
2 は等しく、従って変位信号Is =0である。
【0030】探針30が試料18に近づき、探針先端と
試料表面の間に引力が発生すると、図4(A)に示すよ
うに、カンチレバー12は試料18に近づく方向に反
る。このとき、下側のピエゾ抵抗層26の方が上側のピ
エゾ抵抗層28よりも歪み量が小さいので、下側のピエ
ゾ抵抗層26に流れる電流i1 の方が上側のピエゾ抵抗
層28に流れる電流i2 よりも小さくなる。従って、変
位信号Is は正となり、その絶対値が変位量に対応した
ものとなる。
【0031】探針30が更に試料18に近づき、今度は
探針先端と試料表面の間に斥力が発生すると、図4
(C)に示すように、カンチレバー12は試料18から
離れる方向に反る。このとき、下側のピエゾ抵抗層26
の方が上側のピエゾ抵抗層28よりも歪み量が大きいの
で、下側のピエゾ抵抗層26に流れる電流i1 の方が上
側のピエゾ抵抗層28に流れる電流i2 よりも大きくな
る。従って、変位信号Isは負となり、その絶対値が変
位量に対応したものとなる。
【0032】したがって、変位信号Is の正負によりカ
ンチレバー12の変位方向が分かり、変位信号Is の大
きさ(絶対値)により、予め求めておいた変位信号Is
と探針30の変位量との関係に基づき、カンチレバー1
2の変位量が分かる。
【0033】このように、本実施例では、上側と下側の
ピエゾ抵抗層の歪み量すなわち抵抗値の差に基づいて変
位信号を得ているため、カンチレバーの変位量に加えて
変位方向も求められる。また、ピエゾ抵抗層に流れる電
流に乗ったノイズは上側と下側の間で差をとった際に相
殺されるので、ノイズの影響が少なくなり、高い検出感
度が得られる。さらに、第一実施例と同様に、熱による
膨張が上側と下側で相殺されるので、熱に影響されるこ
となく安定に高分解能の測定を行なえる。
【0034】本実施例では、変位信号Is をIs =i2
−i1 で定義したが、Is =i1 −i2 と定義してもよ
い。この場合、変位信号Is の正負とカンチレバーの変
位方向の関係は上記の説明とは逆になる。
【0035】<第三実施例>第三実施例の集積型SPM
センサーと変位検出回路を図5に示す。図5(A)は集
積型SPMセンサーの上面とその周辺回路を示してお
り、図5(B)は集積型SPMセンサーの下面とその周
辺回路を示している。
【0036】本実施例では、集積型SPMセンサーのカ
ンチレバー12がE字状の形状をしている。その積層構
造すなわち断面構造は、第一実施例で説明した集積型S
PMセンサーと全く同じである(図1(B)参照)。下
側のピエゾ抵抗層26の三本の帯状部の末端部はそれぞ
れ電極60,62,64に電気的に接続されている。両
側の電極62と64にはそれぞれ電流計66と68が接
続されている。中央の電極60には正電位が与えられ、
両側の電極62と64には電流計66と68を介して負
電位が与えられる。電極60に与えられる正電位と電極
62と64に与えられる負電位は、探針30の電位が0
になるように、その絶対値が等しいことが好ましい。同
様に、上側のピエゾ抵抗層28の三本の帯状部の末端部
はそれぞれ電極70,72,74に電気的に接続されて
いる。両側の電極72と74にはそれぞれ電流計76と
78が接続されている。中央の電極70には正電位が与
えられ、両側の電極72と74には電流計76と78を
介して負電位が与えられる。電極70に与えられる正電
位は電極60に与えられる電位に等しく、電極72と7
4に与えられる負電位は電極62と64に与えられる電
位に等しく設定される。具体的に述べるならば、たとえ
ば、電極60と電極70に+3Vの電位が与えられ、電
極62と電極64と電極72と電極74に−3Vの電位
が与えられる。
【0037】電流計66で検出される電流値をi1 、電
流計68で検出される電流値をi2、電流計76で検出
される電流値をi3 、電流計78で検出される電流値を
i4とすると、試料表面に垂直な方向におけるカンチレ
バー12の変位を示す変位信号たとえばAFM信号は
(i3 +i4 )−(i1 +i2 )で与えられ、カンチレ
バー12のねじれを示すねじれ信号たとえばLFM信号
は(i3 −i4 )−(i1 −i2 )で与えられる。この
ようにして得られる変位信号は、正負が変位の方向に対
応し、その絶対値が変位の量を示している。また、ねじ
れ信号は、正負がねじれの方向に対応し、その絶対値が
ねじれ量を示している。
【0038】本実施例によれば、ピエゾ抵抗層の発熱に
影響されることなく、カンチレバーの変位の方向とその
大きさに加えて、カンチレバーのねじれの方向とその大
きさが正確に測定できる。変位信号とねじれ信号は、上
側と下側のピエゾ抵抗層に乗ったノイズが互いに相殺さ
れているので、感度の良いものとなっている。
【0039】以上、実施例に沿って本発明について説明
したが、本発明は上述した実施例に限るものではなく、
発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々多くの変形
が可能である。
【0040】ここで、本発明の要旨をまとめると以下の
ようになる。 1.支持部と、支持部から延びた柔軟なカンチレバーと
からなり、カンチレバーは中心の層に対して同じ材料の
層が上下に対称的に積層された積層構造体で構成されて
おり、積層構造体はカンチレバーの歪みに応じて抵抗値
が変化する同一形状の二つの抵抗層を含み、抵抗層はカ
ンチレバーの先端部において互いに一体化している複数
の帯状部を有している、集積型SPMセンサー。
【0041】2.前項1において、カンチレバーの先端
部に探針が設けられている、集積型SPMセンサー。 3.前項1または前項2において、抵抗層が二本の帯状
部を有している、集積型SPMセンサー。
【0042】4.前項1または前項2において、抵抗層
が三本の帯状部を有している、集積型SPMセンサー。 5.前項1の集積型SPMセンサーのそれぞれの抵抗層
の所定の二本の帯状部の末端部の間に一定の電圧を印加
する電圧印加手段と、所定の二本の帯状部の末端部を介
して抵抗層の内部に流れる電流を測定する電流測定手段
と、電流測定手段で得られる電流値に基づいてカンチレ
バーの歪みを求める歪検出手段とを備えている変位検出
回路。
【0043】6.前項3の集積型SPMセンサーのそれ
ぞれの抵抗層の二本の帯状部の末端部の間に一定の電圧
を印加する電圧印加手段と、二本の帯状部の末端部を介
して抵抗層の内部に流れる電流を測定する電流測定手段
と、電流測定手段で得られる電流値に基づいてカンチレ
バーの歪みを求める歪検出手段とを備えている変位検出
回路。
【0044】7.前項6において、電流測定手段は、そ
れぞれの抵抗層の一方の帯状部の末端部に電気的に接続
された電流計を含んでいる、集積型SPMセンサー。 8.前項6または前項7において、歪検出手段が、試料
表面に垂直な方向に関するカンチレバーの変位の方向と
量を検出する変位検出手段を有している、集積型SPM
センサー。
【0045】9.前項8において、変位検出手段は、そ
れぞれの抵抗層を流れる電流の電流値の差を求める手段
を有している、集積型SPMセンサー。 10.前項4の集積型SPMセンサーの抵抗層の中央の
帯状部の末端部と両側の帯状部の末端部との間にそれぞ
れ一定の電圧を印加する電圧印加手段と、中央の帯状部
の末端部と両側の帯状部の末端部を介して抵抗層の内部
に流れる電流を測定する電流測定手段と、電流測定手段
で得られた電流値に基づいてカンチレバーの歪みを求め
る歪検出手段とを備えている変位検出回路。
【0046】11.前項10において、電流測定手段
は、それぞれの抵抗層の両側の帯状部の末端部に電気的
に接続された電流計を含んでいる、集積型SPMセンサ
ー。 12.前項10または前項11において、歪検出手段
が、試料表面に垂直な方向に関するカンチレバーの変位
の方向と量を求める変位検出手段と、カンチレバーの長
手軸周りのねじれの方向と量を求めるねじれ検出手段と
を有している、集積型SPMセンサー。
【0047】13.前項12において、変位検出手段
は、一方の抵抗層の中央の帯状部の末端部と両側の帯状
部の末端部の間に流れる電流の電流値の和と、他方の抵
抗層の中央の帯状部の末端部と両側の帯状部の末端部の
間に流れる電流の電流値の和との差を求める手段を有
し、ねじれ検出手段は、一方の抵抗層の中央の帯状部の
末端部と両側の帯状部の末端部の間に流れる電流の電流
値の差と、他方の抵抗層の中央の帯状部の末端部と両側
の帯状部の末端部の間に流れる電流の電流値の差との差
を求める手段を有している、集積型SPMセンサー。
【0048】
【発明の効果】本発明の集積型SPMセンサーによれ
ば、抵抗層の発熱に影響されることなく、カンチレバー
の変位が正確に測定できる。さらに本発明の変位検出回
路も組み合わせると、カンチレバーの変位の量に加えて
変位の方向も分かる変位信号が得られる。この変位信号
は、上側と下側の抵抗層に乗ったノイズが相殺されてい
るのでノイズが少なく、したがって検出感度の向上に大
きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例の集積型SPMセンサーの斜視図と
側断面図である。
【図2】第一実施例の集積型SPMセンサーの上面図と
下面図である。
【図3】第二実施例の集積型SPMセンサーと変位検出
回路の構成を示す図である。
【図4】カンチレバーの変位の方向と変位信号の正負の
関係を説明する図である。
【図5】第三実施例の集積型SPMセンサーと変位検出
回路の構成を示す図である。
【図6】従来の集積型SPMセンサーの製造工程を説明
する図である。
【図7】従来の集積型SPMセンサーにおいて変位を測
定する回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
12…カンチレバー、14…支持部、26,28…ピエ
ゾ抵抗層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持部と、支持部から延びた柔軟なカン
    チレバーとからなり、カンチレバーは中心の層に対して
    同じ材料の層が上下に対称的に積層された積層構造体で
    構成されており、積層構造体はカンチレバーの歪みに応
    じて抵抗値が変化する同一形状の二つの抵抗層を含み、
    抵抗層はカンチレバーの先端部において互いに一体化し
    ている複数の帯状部を有している、集積型SPMセンサ
    ー。
  2. 【請求項2】 請求項(1)に記載の集積型SPMセン
    サーのそれぞれの抵抗層の所定の二本の帯状部の末端部
    の間に一定の電圧を印加する電圧印加手段と、所定の二
    本の帯状部の末端部を介して抵抗層の内部に流れる電流
    を測定する電流測定手段と、電流測定手段で得られる電
    流値に基づいてカンチレバーの歪みを求める歪検出手段
    とを備えている変位検出回路。
JP6169598A 1994-07-21 1994-07-21 集積型spmセンサーおよび変位検出回路 Withdrawn JPH0835976A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100418881B1 (ko) * 2001-05-23 2004-02-19 엘지전자 주식회사 Afm 용 고감도 압전저항 캔틸레버
JP2014528591A (ja) * 2011-10-14 2014-10-27 エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ (ウ・ペ・エフ・エル)Ecole Polytechnique Federalede Lausanne (Epfl) ナノスケール運動検出器(MotionDetector)

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