JPH0834094B2 - メタルハライドランプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、片封止形の気密容器を有するメタルハライ
ドランプに関する。

（従来の技術） メタルハライドランプは効率および／または演色性に
優れているため、最近では店舗等の陳列照明用の照明器
具にも採用されつつある。また、店舗等の照明器具は小
形化が要請されるため、メタルハライドランプの小形化
も要請されており、例えば150W級メタルハライドランプ
では、電極間距離が略６〜7mmの大きさのものが開発さ
れている。

しかしながら、従来一般に採用されている両封止形の
気密容器構造で電極間距離の短いメタルハライドランプ
は、成形に手間を要するとともに圧潰封止部が大きくな
るので思ったように小形化ができない。

小形化の要求に応えるために、特開昭60−232658号公
報に記載されているような片封止形のメタルハライドラ
ンプが提案されている。

第２図は、上記文献記載のランプに類似のランプの正
面図である。このランプは、石英ガラスからなる気密容
器11の長軸方向が管軸となり、この管軸と直交する短軸
方向の一端に圧潰封止部12が形成されている。そして、
気密容器11内で管軸方向に沿って離間して対向される一
対の電極13,13は共に圧潰封止部12に接続している。

電極13,13は、例えば電極軸14と電極コイル15とで構
成され、電極コイル15、15が管軸方向に沿って離間して
互いに対向され、電極軸部14、14は圧潰封止部12に封着
されたモリブデン（Mo）等の金属箔17,17にそれぞれ接
続されている。金属箔17,17はそれぞれ外部リード線18,
18に接続されている。

なお、気密容器11内には所定量のナトリウム、タリウ
ム、インジウム等の金属ハロゲン化物、水銀および始動
用希ガスからなる放電媒体が封入されている。

また、一対の電極軸は、平行して圧潰封止部に配設さ
れている。

このような構造であれば、両封止形の気密容器に比べ
て、圧潰封止部12が１個であるから比較的小さな放電空
間に対して相対的に大きな形状となる圧潰封止部の数が
少なくなり、気密容器の全体構造が小形化するものであ
る。

（発明が解決しようとする課題） メタルハライドランプは、ハロゲン化金属を十分蒸発
させること、すなわち所要の高い蒸気圧を得ることで、
良好な発光効率および／または演色性が得られる。そし
て、ハロゲン化金属の蒸気圧は最冷部温度に依存する。

前述の従来メタルハライドランプでは、最冷部は管軸
上における気密容器11の内面Ａに形成されやすい。した
がって、所要の蒸気圧を得るために、管軸上における気
密容器11の内面と電極軸14の背面との間の離間寸法ｘを
小さくして、内面Ａの温度を高める必要がある。

離間寸法ｘを小さくするには、圧潰封止部12内の各金
属箔17、17をなるべく圧潰封止部12の幅方向の両側に近
づければよい。しかし、金属箔17,17が圧潰封止部12の
両側に近づき過ぎると、石英ガラスの溶融流れが阻害さ
れ、良好な封着ができなくなるので不可である。これに
対して、圧潰封止部の幅を大きくすれば、溶融流れ阻害
の問題が解決するが、ランプの小形化の要請に応えるこ
とができない。

本発明は、演色性および／または発光効率を高めると
ともに、圧潰封止部の幅を大きくすることなく良好に圧
潰封止ができ、小形化の要請に応えることのできる片封
止形のメタルハライドランプを提供することを目的とす
る。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明のメタルハライドランプは、一端に圧潰封止部
を有する片封止形の気密容器と、圧潰封止部に封着され
た一対の金属箔と；一端が金属箔に接続され、圧潰封止
部を貫通して気密容器内に導入されるとともに、気密容
器内において末広がり状に拡開された一対の電極軸およ
び電極軸の先端部に互いに向かい合うように配設された
電極主体部を有する一対の電極と；電極軸の気密容器内
の基端部を包囲する耐火性絶縁被覆と、気密容器内に封
入された金属ハロゲン化物を含む放電媒体と；一端が金
属箔に接続され、圧潰封止部から気密容器外部に導出さ
れた外部導体と；を具備していることを特徴としてい
る。

気密容器内の基端部とは、電極軸の気密容器内に導入
されている根本部分をいう。

金属ハロゲン化物としては、ナトリウム、タリウム、
インジウム等の金属とハロゲンとの金属ハロゲン化物で
あってもよい。

放電媒体としては、例えば金属ハロゲン化物、水銀、
始動用希ガスからなるものを使用することができる。

電極軸部は、材料がタングステンからなるものを使用
することができる。

電極主体部としては、例えば電極軸の先端に設けられ
たコイル状のものの使用を許容する。

耐火性絶縁被覆は、石英ガラスチューブによって形成
されるものに制約されない。すなわち、ガラスやセラミ
ックス等の粉末を電極軸に被着して電極軸部を覆うよう
にしたものであってもよい。

（作用） 電極軸は、気密容器内において末広がり状に拡開して
いるので、管軸上の電極軸の背面と気密容器の内面との
距離を任意に設定でき管壁の最冷部温度が高まる。最冷
部温度が高まることで、ハロゲン化金属の蒸気圧が高ま
る。

一方、金属箔間距離を石英の溶融流れを阻害するよう
な寸法に設定する必要がない。

また、電極軸の基端部間距離は小さくなるが、電極軸
の基端部は耐火性絶縁被覆によって包囲されているの
で、基端部間で不所望な放電が形成されるようなことは
ない。

（実施例） 第１図は、本発明の一実施例を示す一部断面側面図で
ある。

１は、気密容器で、例えば石英ガラスからなり内部に
形成される放電空間が楕円形をなしている。気密容器１
の長軸方向が管軸であり、この管軸と直交する短軸方向
の一端に圧潰封止部２が形成されている。圧潰封止部２
内にはMo等の金属箔7,7が封着されている。金属箔7,7の
放電空間側の端部にはタングステンワイヤからなる電極
軸部４、４の一端が接続され、さらに電極軸４、４は、
圧潰封止部２を貫通して気密容器１内、すなわち放電空
間に導入されている。

各電極軸４、４は、少なくとも気密容器１内の部分
は、放電空間内の基端部から末広がり状に拡開してい
る、すなわち電極軸部4,4は図示上下方向の軸線に対し
て角度θをなして傾斜している。

各電極軸４、４の先端部には、例えば熱容量を大きく
するための電極コイル部からなる電極主体部５、５が管
軸方向に沿って離間して互いに対向するように配設され
ている。

各電極軸部4,4の気密容器１内の基端部には、例えば
石英ガラスチューブ等からなる耐火性絶縁被覆10,10が
電極軸部４、４を包囲するように形成されている。

気密容器１内には、所定量のナトリウム、タリウム、
インジウム等からなる金属ハロゲン化物、水銀、および
始動用希ガスからなる放電媒体が封入されている。

各金属箔7,7には、それぞれリード線からなる外部導
体8,8が接続され、外部導体８、８は圧潰封止部２から
気密容器１の外部に導出されている。

［発明の効果］ 本発明によれば、一対の電極軸が、気密容器内におい
て末広がり状に拡開しているので、気密容器の管軸方向
の管壁温度を高めて、ハロゲン化金属を十分に蒸発させ
て、演色性および／または発光効率を高めることがで
き、しかも、圧潰封止部の幅を大きくすることなく、金
属箔の封着不良を抑え、良好に圧潰封止ができる。

併せて、電極軸部の気密容器内の基端部を包囲する耐
火性絶縁被覆を有するので、基端部開放電が抑えられ、
基端部間放電が原因となる電極軸部の折損、圧潰封止部
のクラックの発生が抑えられ、小形で長寿命の片封止形
のメタルハライドランプを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す一部断面正面図、第２
図は従来のメタルハライドランプを示す正面図である。 １……気密容器、 ２……圧潰封止部、 ３……電極、 ４……電極軸、 ５……電極主体部、 10……耐火性絶縁被覆。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 久則 神奈川県横須賀市船越町１丁目201番地１ 株式会社東芝横須賀工場内 (56)参考文献 特開 昭60−232658（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端に圧潰封止部を有する片封止形の気密
   容器と； 圧潰封止部に封着された一対の金属箔と； 一端が金属箔に接続され、圧潰封止部を貫通して気密容
   器内に導入されるとともに、気密容器内において末広が
   り状に拡開された一対の電極軸および電極軸の先端部に
   互いに向かい合うように配設された電極主体部を有する
   一対の電極と； 電極軸の気密容器内の基端部を包囲する耐火性絶縁被覆
   と； 気密容器内に封入された金属ハロゲン化物を含む放電媒
   体と； 一端が金属箔に接続され、圧潰封止部から気密容器外部
   に導出された外部導体と； を具備していることを特徴とするメタルハライドラン
   プ。