JPH08335718A - 発光ダイオード - Google Patents

発光ダイオード

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JPH08335718A
JPH08335718A JP7141494A JP14149495A JPH08335718A JP H08335718 A JPH08335718 A JP H08335718A JP 7141494 A JP7141494 A JP 7141494A JP 14149495 A JP14149495 A JP 14149495A JP H08335718 A JPH08335718 A JP H08335718A
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JP
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light emitting
emitting diode
well
light
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JP7141494A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Imaizumi
充 今泉
Toshinori Sone
豪紀 曽根
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 2種以上の色に対応する波長を含む発光スペ
クトルを有する発光ダイオードを提供する。 【構成】 発光ダイオード10の活性層18は、井戸層
32の膜厚が異なるものとされることにより、発光波長
を異なるものとされた第1および第2の量子井戸36
a,36bから構成されるため、活性層18では、それ
ら第1および第2の量子井戸36a,36bのそれぞれ
に対応する波長の発光が生じることとなり、異なる2種
の色に対応する波長を含む、すなわち、独立した2つの
ピークを備えた発光スペクトルを有する発光ダイオード
10が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光ダイオードに関
し、特に、2種以上の色に対応する波長を含む発光スペ
クトルを有する発光ダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】化合物半導体から成る第1半導体層およ
び第2半導体層と、同様に化合物半導体から成り、それ
ら第1半導体層および第2半導体層との間に設けられた
発光層とを備え、それら第1半導体層と第2半導体層と
の間で通電することにより、その発光層から発光させる
形式の発光ダイオードが知られている。
【0003】
【発明が解決すべき課題】このような発光ダイオードの
種々の用途においては、2種以上の独立したピーク波長
を含む発光スペクトル、或いは2種以上の色に対応する
波長に跨がる広い半値幅の発光スペクトル(以下、本願
においては、特に区別する必要がない限り、これらをま
とめて「2種以上の色に対応する波長を含む発光スペク
トル」という)を有すると好都合な場合も多く、そのよ
うな発光ダイオードが望まれていた。
【0004】すなわち、例えば、プリンタ等の紙送り機
構を有する種々の装置において、送られた紙の端部位置
を検出等するために備えられる位置検出センサの発光素
子として点発光型の発光ダイオードを用いる場合には、
高出力が得られると共に製造が容易である等の理由か
ら、一般に赤外光を発生させるものが用いられている。
ところが、このような位置検出センサを装置に組み付け
るに際しては、発光ダイオードから発生する光が所定の
位置に照射されるようにその組付位置を調節する必要が
あり、不可視光である赤外光の照射位置を肉眼で確認す
ることができないことから組付作業が困難なものとなっ
ていた。可視光を発生させる発光ダイオードを用いれ
ば、このような問題は発生しないが、可視光を発生させ
る発光ダイオードでは、位置検出センサとして十分な高
出力を得ることが困難であった。
【0005】したがって、位置検出センサの組付作業時
の位置決めは例えば赤色光等の可視光によって行うこと
ができる一方、実際の位置検出は高出力の赤外光等の不
可視光で行うことが可能な、例えば2種以上の独立した
ピーク波長を含む発光スペクトルを有する発光ダイオー
ドが望まれるのである。
【0006】しかしながら、発光ダイオードにおいて
は、発光層の伝導帯に遷移した電子が価電子帯に戻る際
の電子と正孔の再結合に基づいて光が生じることから、
その発光波長λ(nm)は発光層のバンドギャップエネル
ギ(伝導帯と価電子帯とのエネルギ準位差)Eg (eV)
から、下記 (1)式に従って決定される。そのため、発光
波長は、発光層を構成する化合物半導体の組成によって
一義的に決定され、単一波長ピークの発光を得ることし
かできなかったのである。 λ=1.24×103 /Eg ・・・ (1)
【0007】また、上記のような可視光と不可視光との
組み合わせの他、2種以上の色に対応する波長を含む広
い半値幅の発光スペクトルを有する発光ダイオードを得
ることができれば、必要に応じて種々の色の光を得るこ
とが容易となるが、上述のような理由から従来は単色光
しか得られず、異なる色の光を得るためには異なる発光
色の複数のダイオードを用意し、切り換えて用いなけれ
ばならないという問題があったのである。
【0008】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、2種以上の色に対応する
波長を含む発光スペクトルを有する発光ダイオードを提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、化合物半導体から成
る第1半導体層および第2半導体層と、化合物半導体薄
膜を積層した井戸層と障壁層とから成る量子井戸から構
成されてそれら第1半導体層および第2半導体層との間
に設けられた発光層とを備え、それら第1半導体層と第
2半導体層との間で通電することにより、その発光層か
ら発光させる形式の発光ダイオードであって、(a) 前記
発光層が、前記井戸層の膜厚が異なるものとされること
により、発光波長を異なるものとされた2組以上の前記
量子井戸から構成されていることにある。
【0010】
【作用および発明の効果】このようにすれば、発光ダイ
オードの発光層は、井戸層の膜厚が異なるものとされる
ことにより、発光波長を異なるものとされた2組以上の
量子井戸から構成される。そのため、発光層では、2組
以上の量子井戸のそれぞれに対応する波長の発光が生じ
ることとなり、2種以上の色に対応する波長を含む発光
スペクトルを有する発光ダイオードが得られるのであ
る。
【0011】すなわち、化合物半導体薄膜が積層されて
構成される量子井戸においては、井戸層にヘビーホール
とライトホールの量子準位が相互に異なる量子準位が形
成されることから、実質的なバンドギャップエネルギ
(すなわち、発光波長を決定するエネルギギャップの大
きさ)は材料固有の値から変化し、井戸層の膜厚をLw
としたとき、膜厚Lw の2乗に反比例する量子化準位エ
ネルギE(∝1/Lw2)として得られる。したがって、
発光波長は井戸層の膜厚Lw が厚くなるに従って長くな
ることとなって、その井戸層の膜厚が異なる2組以上の
量子井戸から発光層を構成することにより、2種以上の
発光波長を有する発光ダイオードが得られるのである。
【0012】なお、2組以上の量子井戸の井戸層の膜厚
を、相互に大きく異なるものとすれば、2つ以上の異な
るピーク波長を含む発光スペクトルが得られるが、反対
に井戸層の膜厚の差を小さく、例えば、略連続的に変化
させれば、2種以上の色に対応する波長に跨がる広い半
値幅の発光スペクトルが得られることとなる。
【0013】ここで、好適には、(b) 前記第1半導体
層、第2半導体層、および発光層は、何れも有機金属化
学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Dep
osition )法により結晶成長させられて形成されている
ものである。このようにすれば、MOCVD 法は高い精度で
発光層を構成する量子井戸の井戸層および障壁層を含む
各層の膜厚を制御できるため、特に複雑な操作を必要と
することなく、所望の膜厚の井戸層を有して所望の波長
の光を発生させ得る量子井戸を容易に形成でき、所望の
2種以上の色に対応する波長を含む発光スペクトルを有
する発光ダイオードが容易に得られる。
【0014】また、好適には、(c) 前記発光層を構成す
る前記量子井戸は、前記井戸層および前記障壁層が、混
晶比xが互いに異なるAlx Ga1-x As(但し、0≦x≦
1)単結晶から成るものである。このようにすれば、Al
x Ga1-x Asは、障壁層と井戸層のバンドギャップエネル
ギの差を十分大きくするために混晶比xを大きく異なる
ものとしても、格子定数の差は極めて小さいため、積層
形成が容易であると共に格子歪に起因する結晶欠陥の発
生が生じ難く、劣化が生じ難い発光ダイオードを得るこ
とができる。
【0015】また、好適には、(d) 前記発光層は、前記
発光波長が可視域にある前記量子井戸と、前記発光波長
が不可視域にある前記量子井戸との双方を含むものであ
る。このようにすれば、発光ダイオードは可視光と不可
視光とを含む光を発生することとなるため、例えば、種
々のセンサ等に用いられた場合にも発光ダイオードから
発生した光の照射位置を確認しながらセンサの設置が可
能となる。例えば、発光ダイオードを点発光型に構成し
て前述のような位置検出センサに用いた場合には、位置
検出センサを組付けるに際してその位置決めを可視光を
基準として行うことが可能となって、装置への組付作業
が容易となる。このとき、高出力の可視光を得ることは
困難であるが、上記のような位置決め作業には照射位置
が確認できる程度に微弱な光が照射できれば十分である
ため、低出力であることは何ら差し支えないのである。
なお、上記可視光としては例えば赤色光が、不可視光と
しては例えば赤外光が好適に用いられる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。なお、以下の説明において、各部の寸法等は必
ずしも正確に描かれてはいない。
【0017】図1は、本発明の一実施例の点発光型の発
光ダイオード10の構成を示す図である。発光ダイオー
ド10は、例えば、 MOCVD法等によって、基板12上に
順次結晶成長させられたバッファ層14、第1クラッド
層16、活性層18、第2クラッド層20、バリア層2
2、キャップ層24、およびコンタクト層26と、基板
12の下面およびコンタクト層26の上面にそれぞれ蒸
着された下部電極28および上部電極30とから構成さ
れている。本実施例においては、上記第1クラッド層1
6および第2クラッド層20が第1半導体層および第2
半導体層に、活性層18が発光層にそれぞれ相当する。
【0018】上記基板12は、例えば 350μm 程度の厚
さのn-GaAs単結晶から成る化合物半導体であり、表面は
(100)面である。また、バッファ層14は、例えば 0.5
μm程度の厚さのn-GaAs単結晶から成る化合物半導体で
ある。
【0019】また、第1クラッド層16は、例えば、 2
μm 程度の厚さのn-Al0.45Ga0.55As単結晶から成る化合
物半導体であり、活性層18は、GaAs単結晶薄膜から成
る井戸層32a,32b,・・・,32k(以下、特に
区別しない場合は単に井戸層32という)と、Al0.55Ga
0.45As単結晶薄膜から成る障壁層34a,34b,・・
・,34l(以下、特に区別しない場合は単に障壁層3
4という)とが交互に積層されて、全体の厚さが例えば
642nm程度とされた所謂量子井戸36から成るものであ
る。
【0020】上記の活性層18は、図2にバンド構造を
詳しく示すように、第1クラッド層16および第2クラ
ッド層20にそれぞれ接して設けられた 200nm程度の厚
さの障壁層34aと34lとの間に、交互に積層された
10nm程度の厚さの障壁層34b〜34jおよび 5nm程度
の厚さの井戸層32a〜32jと、その井戸層32jに
続いて積層された 100nm程度の厚さの障壁層34kと、
井戸層32kとを備えて構成されている。すなわち、上
記井戸層32および障壁層34のうち、井戸層32a〜
32jおよび障壁層34a〜34kは井戸層32の厚さ
が 5nm程度とされた第1の量子井戸36aを構成し、井
戸層32kおよび障壁層34k,34lは、井戸層32
の厚さが 1.7nm程度とされた第2の量子井戸36bを構
成している。すなわち、活性層18は、井戸層32の膜
厚が異なるものとされた2組以上の量子井戸36a,3
6bから構成されており、第1の量子井戸36aは10層
の井戸層32を含み、第2の量子井戸36bは1層の井
戸層32のみを含んでいる。
【0021】上記井戸層32および障壁層34の厚さは
以下のようにして決定されたものである。すなわち、障
壁層34aおよび34lは、第1クラッド層16および
第2クラッド層20とのヘテロ障壁の影響が現れない程
度に十分厚く、 200nm程度とされている。また、第1の
量子井戸36aを構成する井戸層32a〜32kおよび
障壁層34a〜34kのうち、井戸層32a〜32k
は、量子化準位エネルギが赤外光の波長に対応するよう
に 5nm程度とされており、障壁層34b〜34jは、各
量子井戸の量子準位が互いに結合して多重量子井戸を形
成するように10nm程度とされている。また、第1の量子
井戸36aと第2の量子井戸36bとの境界に位置する
障壁層34kは、第1の量子井戸36aの量子準位と第
2の量子井戸36bの量子準位とが互いに影響を及ぼし
合うことがないように比較的厚く、100nm程度とされて
いる。また、第2の量子井戸36bの井戸層32kは、
量子化準位エネルギが赤色光の波長に対応するように
1.7nm程度とされている。
【0022】上記のような量子井戸36においては、井
戸層32にヘビーホールとライトホールの量子準位が相
互に異なる量子準位が形成されることから、実質的なバ
ンドギャップエネルギは、井戸層32の膜厚をLw とし
たとき、膜厚Lw の2乗に反比例する量子化準位エネル
ギE(∝1/Lw2)として得られることが知られてい
る。すなわち、量子井戸構造の活性層18においては、
発光波長は井戸層32の膜厚によって決定されることか
ら、赤外光に対応する井戸層32の膜厚および赤色光に
対応する井戸層32の膜厚がそれぞれ決定されているの
である。
【0023】図1に戻って、前記第2クラッド層20
は、例えば厚さが 2.5μm 程度のp-Al 0.45Ga0.55As単結
晶から成る化合物半導体である。すなわち、第1クラッ
ド層16、活性層18、および第2クラッド層20はダ
ブルヘテロ構造とされており、これにより、活性層18
での注入キャリア密度が高められて、高い発光効率が得
られるようにされている。このため、第1クラッド層1
6および第2クラッド層20の厚さは、注入キャリアを
十分に閉じ込めることができるように比較的厚くされて
いるのである。
【0024】また、バリア層22は、例えば厚さが1.0
μm 程度のn-Al0.20Ga0.80As単結晶から成る化合物半導
体、キャップ層24は、例えば厚さが2.0 μm 程度のn-
Al0. 10Ga0.90As単結晶から成る化合物半導体、コンタク
ト層26は、例えば厚さが0.1 μm 程度のn-GaAs単結晶
から成る化合物半導体である。
【0025】これらバリア層22乃至コンタクト層26
は、何れもn型半導体であるが、図1に斜線で示される
範囲は例えばZnが拡散されることによりp型半導体に反
転されており、バリア層22においては、中央の斜線部
すなわち電流狭窄部38のみが通電可能とされて、電流
狭窄構造が形成されている。そのため、下部電極28お
よび上部電極30間に電圧を印加したとき、バリア層2
2乃至コンタクト層26においては、図の斜線部分のみ
を通って電流が流れることとなり、活性層18の上記電
流狭窄部38の直下のみが専ら通電されて発光させられ
る。なお、キャップ層24およびコンタクト層26は、
バリア層22のZn拡散領域の中央部直上に位置する部分
が、例えばエッチング等によって例えば直径20〜100 μ
m 程度の円形に除去されており、この除去部分に活性層
18から発生した光を射出する発光窓40が形成されて
いる。
【0026】また、下部電極28は、例えば、基板12
の下面全面にその基板12側から順にAu−Ge合金、Niお
よびAuが積層されたものであり、上部電極30は、例え
ば、上記発光窓40を除く部分にAu−Zn合金およびAuが
積層されたものである。これら下部電極28および上部
電極30は何れもオーミック電極であり、前記コンタク
ト層26は、上部電極30とオーミックコンタクトを取
るために設けられているものである。
【0027】以上のように構成された発光ダイオード1
0は、例えば上部電極30から下部電極28に向かって
通電することにより、前記電流狭窄部38を通る経路で
電流が流れ、これにより活性層32のその電流狭窄部3
8の直下の部分が発光させられ、発光窓40から射出さ
れる。
【0028】このとき、発光ダイオード10の活性層1
8は、前述のように井戸層32の膜厚が異なる第1およ
び第2の量子井戸36a,36bから構成されているた
め、図3に発光ダイオード10の発光スペクトルを示す
ように、それぞれの量子井戸36a,36bの量子化準
位エネルギに対応する波長の光、すなわち、波長 800nm
程度の赤外光および波長 670nm程度の赤色光が同時に発
光窓42から射出されることとなる。なお、赤色光の発
光強度は 0.1mW程度であり、図から明らかなように赤外
光の発光強度に比較して小さいが、これは、前述のよう
に、第2の量子井戸36bが井戸層32を1層のみ含む
ものであると共に、赤色光の発光エネルギがGaAsの間接
遷移発光エネルギに近いことによるものである。
【0029】要するに、本実施例によれば、発光ダイオ
ード10の活性層18は、井戸層32の膜厚が異なるも
のとされることにより、発光波長を異なるものとされた
第1および第2の量子井戸36a,36bから構成され
るため、活性層18では、それら第1および第2の量子
井戸36a,36bのそれぞれに対応する波長の発光が
生じることとなり、異なる2種の色に対応する波長を含
む、すなわち、独立した2つのピークを備えた発光スペ
クトルを有する発光ダイオード10が得られるのであ
る。
【0030】しかも本実施例によれば、第1クラッド層
16、第2クラッド層20、および活性層18を含む発
光ダイオード10の各層は、何れも MOCVD法により結晶
成長させられて形成されていることから、活性層18を
構成する量子井戸36a,36bの井戸層32および障
壁層34を含む各層の膜厚を高い精度で制御できるた
め、特に複雑な操作を必要とすることなく、所望の膜厚
の井戸層32を有して所望の波長の光を発生させ得る量
子井戸36を容易に形成でき、赤外光と赤色光の2つの
発光波長を有する発光ダイオード10が容易に得られ
る。
【0031】また、活性層18を構成する量子井戸36
は、井戸層32および障壁層34が、GaAsおよびAl0.55
Ga0.45Asすなわち混晶比xが互いに異なるAlx Ga1-x As
単結晶から構成されているため、このように両層32,
34の混晶比xの差を0.55と十分大きくしてバンドギャ
ップエネルギの差を十分大きくしても、格子定数の差は
極めて小さく、積層形成が容易であると共に格子歪に起
因する結晶欠陥の発生が生じ難いことから、発光ダイオ
ード10の劣化が生じ難くされる。すなわち、図4に示
されるように、Alx Ga1-x Asにおいては、混晶比xが変
化した場合に、バンドギャップエネルギは変化するが、
格子定数は殆ど変化しないのである。
【0032】また、本実施例によれば、活性層18は、
赤色光すなわち可視域の発光波長を有する第2の量子井
戸36bと、赤外光すなわち不可視域の発光波長を有す
る第1の量子井戸36aとの双方を含むものであるた
め、例えば、種々のセンサ等に用いられた場合にも発光
ダイオード10から発生した光の照射位置を確認しなが
らセンサの設置が可能となる。したがって、本実施例の
ような点光源型の発光ダイオード10が、プリンタ等の
紙送り機構を有する装置において送られた紙の端部位置
を検出する位置検出センサに用いられた場合には、位置
検出センサの位置決めを赤色光すなわち可視光を基準と
して行うことが可能となって、装置への組付作業が容易
となる。
【0033】なお、前記の図3に示されるように、赤色
光の発光強度は比較的小さいが、上記のような位置決め
作業では光の照射位置が確認できれば十分であるため、
発光は微弱であっても差し支えないのである。
【0034】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の説明において、前述の実施例と共通する部分
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】図5は、他の実施例の全面発光型の発光ダ
イオード42の構成を示す図である。発光ダイオード4
2は、例えば MOCVD法等によって基板12上に順次結晶
成長させられたバッファ層14、第1クラッド層16、
活性層44、第2クラッド層20、コンタクト層26と
を備えている。本実施例においては、活性層44が発光
層に相当する。
【0036】上記の活性層44は、図6にバンド構造を
詳しく示すように、例えば厚さが 4〜10nm程度のGaAs単
結晶薄膜から成る井戸層46a,・・・,46t(以
下、特に区別しない場合は単に井戸層46という)と、
例えば厚さが 5nm程度のAl0.55Ga0.45As単結晶薄膜から
成る障壁層48b,・・・,48t(以下、特に区別し
ない場合は単に障壁層48という)とが交互に積層され
ると共に、例えば厚さが200nm程度のAl0.55Ga0.45As単
結晶薄膜から成る障壁層48a,48uによりこれら井
戸層46a〜46tおよび障壁層48b〜48tが挟ま
れた状態で、全体の厚さが例えば 635nm程度とされたも
のである。なお、上記障壁層48a,48uの膜厚は、
注入キャリアが活性層44内に留まるように十分厚くさ
れている。
【0037】上記の井戸層46は、第1クラッド層16
側から第2クラッド層20側に向かうに従って段階的に
厚さが小さくされており、活性層44は、井戸層46の
膜厚が異なる4種の量子井戸50a,50b,50c,
50dから構成されている。第1の量子井戸50aの井
戸層46a〜46eは厚さが10nm程度に、第2の量子井
戸50bの井戸層46f〜46jは厚さが 8nm程度に、
第3の量子井戸50cの井戸層46k〜46oは厚さが
6nm程度に、第4の量子井戸50dの井戸層46p〜4
6tは厚さが 4nm程度にされている。すなわち、活性層
44は、井戸層46の膜厚が異なるものとされた2組以
上の量子井戸50から構成されており、何れの量子井戸
50a,50b,50c,50dも 5層の井戸層46を
含んでいる。なお、前述のように量子井戸50の発光波
長は井戸層46の膜厚に依存するものであり、上記の第
1〜第4の量子井戸50a,50b,50c,50dの
井戸層46の膜厚は、それぞれ 850nm程度, 830nm程
度, 810nm程度, 770nm程度の波長の光に対応するよう
に定められている。
【0038】図5に戻って、第2クラッド層20は、前
述の発光ダイオード10の場合と同様にp-Al0.45Ga0.55
As単結晶から成るものであるが、厚さは例えば 5.0μm
程度やや厚くされている。これは、上部電極30(すな
わちプラス電極)から活性層42へ向けて十分電流が広
がるようにするためである。なお、本実施例において
は、キャップ層24は設けられておらず、第2クラッド
層20の上に直接コンタクト層26が設けられている。
【0039】以上のように構成された発光ダイオード4
2は、前述の実施例と同様に下部電極28および上部電
極30間に電圧を印加されることにより、活性層42か
ら発生した光がコンタクト層26の上面の上部電極30
が設けられている部分を除く全面から射出される。この
際の発光スペクトルを図7に示す。上述のように、本実
施例においては4種の波長に対応する第1〜第4の量子
井戸50a,50b,50c,50dから活性層44が
構成されているため、コンタクト層26側から射出され
る光は、図に示されるようにP1 〜P4 の4つのピーク
波長を有するものとなっており、それら4つのピーク波
長が比較的近接している波長であることから、発光ダイ
オード40は、 100nm程度と比較的広い半値幅を有する
発光スペクトルを有している。
【0040】要するに、本実施例においても、発光ダイ
オード42の活性層44は、井戸層46の膜厚が異なる
ものとされることにより、発光波長を異なるものとされ
た第1〜第4の量子井戸50a,50b,50c,50
dから構成されるため、活性層44では、それら第1〜
第4の量子井戸50a,50b,50c,50dのそれ
ぞれに対応する波長の発光が生じることとなり、前述の
実施例と同様に、異なる2種以上の色に対応する波長を
含む発光スペクトルを有する発光ダイオード42が得ら
れるのである。
【0041】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0042】例えば、実施例においては、2つの独立し
たピークを備えた発光スペクトルを有する発光ダイオー
ド10、および半値幅の広い発光スペクトルを有する発
光ダイオード42に本発明が適用された場合について説
明したが、例えば、相互に比較的大きく異なる波長に対
応する膜厚の井戸層32,46を備えた3つ以上の量子
井戸から活性層18,44を構成することにより、3つ
以上の独立したピークを備えた発光スペクトルを有する
ように構成しても良く、或いは、発光ダイオード42に
おいて、井戸層46の膜厚を狭い範囲(例えば 6.0〜1
0.0nm程度)で変化させ、或いは反対に更に広い範囲
(例えば 2.0〜12.0nm程度)で変化させることにより、
図7に示される発光スペクトルよりも半値幅が狭い、或
いは広い発光スペクトルを有する発光ダイオード42を
得ることもできる。
【0043】また、実施例の発光ダイオード10におい
ては、井戸層32の膜厚が 5.0nm程度の第1の量子井戸
36aをその井戸層32が10層含まれるように構成す
る一方、井戸層32の膜厚が 1.7nm程度の第2の量子井
戸36bを1層のみの井戸層32から構成したが、これ
らの井戸層32の層数は必要とする発光特性に対応して
適宜変更される。
【0044】また、井戸層32,46の膜厚は、必要な
発光色に応じて適宜変更される。例えば、発光ダイオー
ド10において一層短波長の可視光を必要とする場合に
は、井戸層32kの膜厚を一層薄くすれば良い。
【0045】また、実施例においては、活性層18,4
4をGaAs/Al0.55Ga0.45Asから構成したが、この活性層
18,44を構成する化合物半導体の混晶比や種類は適
宜変更される。例えば、Alx Ga1-x Asの混晶比xを0.55
よりも大きく或いは小さくしても良く、或いは、GaAs/
GaAsP 、InGaAs/InGaAsP 等から活性層18,44を構
成しても良い。
【0046】また、基板12、第1、第2クラッド層1
6,20等を構成する化合物半導体の種類や厚さ等も適
宜変更される。
【0047】また、第1クラッド層16と基板12との
間に反射層を備えれば、活性層18,44で発生して基
板12側へ向かう光もコンタクト層26側から取り出さ
れることとなるため、一層高い効率の発光ダイオード1
0,42を得ることができる。
【0048】また、実施例においては、 MOCVD法によっ
て発光ダイオード10,42の各層を形成したが、例え
ば、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitax
y)法等によって各層を形成しても良い。
【0049】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の発光ダイオードの構成を示
す図である。
【図2】図1の発光ダイオードの活性層のバンド構造を
模式的に示す図である。
【図3】図1の発光ダイオードの発光スペクトルを示す
図である。
【図4】AlGaAs系化合物半導体の格子定数とバンドギャ
ップエネルギの関係を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例の発光ダイオードの構成を
示す図である。
【図6】図5の発光ダイオードの活性層のバンド構造を
模式的に示す図である。
【図7】図5の発光ダイオードの発光スペクトルを示す
図である。
【符号の説明】
10,42:発光ダイオード 16:第1クラッド層(第1半導体層) 18,44:活性層(発光層) 20:第2クラッド層(第2半導体層) 32,46:井戸層 34,48:障壁層 36,50:量子井戸

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化合物半導体から成る第1半導体層およ
    び第2半導体層と、化合物半導体薄膜を積層した井戸層
    と障壁層とから成る量子井戸から構成されて該第1半導
    体層および該第2半導体層との間に設けられた発光層と
    を備え、該第1半導体層と該第2半導体層との間で通電
    することにより、該発光層から発光させる形式の発光ダ
    イオードであって、 前記発光層が、前記井戸層の膜厚が異なるものとされる
    ことにより、発光波長を異なるものとされた2組以上の
    前記量子井戸から構成されていることを特徴とする発光
    ダイオード。
  2. 【請求項2】 前記第1半導体層、第2半導体層、およ
    び発光層は、何れも有機金属化学気相成長法により結晶
    成長させられて形成されているものである請求項1の発
    光ダイオード。
  3. 【請求項3】 前記発光層を構成する前記量子井戸は、
    前記井戸層および前記障壁層が、混晶比xが互いに異な
    るAlx Ga1-x As単結晶(但し、0≦x≦1)から成るも
    のである請求項1の発光ダイオード。
  4. 【請求項4】 前記発光層は、前記発光波長が可視域に
    ある前記量子井戸と、前記発光波長が不可視域にある前
    記量子井戸との双方を含むものである請求項1の発光ダ
    イオード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002049121A1 (fr) * 2000-12-11 2002-06-20 Mitsubishi Cable Industries, Ltd. Element lumineux a longueurs d'onde multiples
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DE102004001823B3 (de) * 2004-01-08 2005-09-01 Humboldt-Universität Zu Berlin Licht emittierende Halbleitervorrichtungen mit veränderbarer Emissionswellenlänge
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