JPH083337A - プリプレグ - Google Patents

プリプレグ

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JPH083337A
JPH083337A JP13001495A JP13001495A JPH083337A JP H083337 A JPH083337 A JP H083337A JP 13001495 A JP13001495 A JP 13001495A JP 13001495 A JP13001495 A JP 13001495A JP H083337 A JPH083337 A JP H083337A
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Shu Sugano
周 菅野
Hiroshi Honjo
浩 本荘
Tokuyuki Kaneshiro
徳幸 金城
Yasushi Kano
育志 狩野
Shoichi Maruyama
正一 丸山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】200℃以上の高温で連続使用できる電気絶縁
線輪用プリプレグを提供する。 【構成】絶縁シートと絶縁性補強材とをp−(2,3−
エポキシプロポキシ)フェニル基を3個以上含む多官能
エポキシ樹脂100〜50重量部と50重量部以下の2
官能エポキシ樹脂及びフェノール樹脂硬化剤を含む組成
物で接着したプリプレグ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はp−(2,3−エポキシ
プロポキシ)フェニル基を3個以上含む多官能エポキシ
樹脂を用いた絶縁層を有するプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、絶縁処理技術の進歩は著しく、な
かでも無溶剤型熱硬化性樹脂組成物の含浸方式は、
(1)電気的信頼性が高く、(2)熱放散性が良好であ
り、(3)耐湿性が優れている、等の観点から車両用直
流電動機、一般産業用直流電動機などの過酷な条件下で
使用する高電圧回転機製造分野で急速に発展してきた。
最近、回転電機などの電気機器の大容量化,小型軽量化
が進むに従い、H種(180℃)以上で連続運転できる
ような絶縁システムの開発が強く望まれている。このよ
うな回転機コイル含浸用無溶剤型熱硬化性樹脂組成物に
必要な条件は、(1)コイル含浸が容易にできるように
低粘度である(含浸時、10ポアズ以下)、(2)加熱
硬化過程でボイド(空隙)が生じないように揮発分を発
生しない、(3)電気,機械的特性が良好である、
(4)絶縁基材との相性が良好である。(5)高耐熱性
であり、即ち短期及び長期熱劣化特性が180℃以上を
示すものである、ことである。
【0003】一般に樹脂の低粘度化と高耐熱性化との間
には分子構造的に相反する傾向があり、樹脂の分子設計
が困難である。回転電機コイル含浸用無溶剤型熱硬化性
樹脂組成物としては、通常、特公昭60−5210号公報等に
記載されているような汎用2官能エポキシ樹脂と酸無水
物からなるエポキシ樹脂組成物が挙げられる。しかし、
該エポキシ樹脂組成物を含浸,加熱硬化した回転機コイ
ルは、F種(155℃)以上で長時間使用すると機械的,
電気絶縁性が低下し始めるため、H種以上で用いること
ができない。一般に無溶剤型熱硬化性樹脂組成物の耐熱
性を上げる方法としては、マレイミドなどのように分子
構造中にヘテロ環を導入する方法が主流となっている。
しかし、ヘテロ環を分子構造中に導入すると、粘度が高
くなり、低粘度化と高耐熱性を同時に満足するものが無
い。そこで、マレイミドをエポキシ樹脂と組合わること
により、低粘度化を図ろうとする検討がなされている
が、耐熱性が低下したり、貯蔵中に沈殿が生じたり、刺
激臭がするという問題が有った。
【0004】最近、特公昭57−13571号公報,特公昭57
−14763号,特開昭61−252224号公報,特公昭62−1648
号公報,特公昭62−44767 号公報,特開昭64−4615号公
報,特開平1−4615 号公報等に記載されている酸無水物
硬化型の三官能以上の多官能エポキシ樹脂組成物は比較
的低コスト、硬化前低粘度でかつ硬化後耐熱性が優れて
いることから注目されている。特開昭59−12061 号公報
には、4官能エポキシ樹脂を用いたプリプレグ型マイカ
シートが開示されている。このマイカシートは通常、導
体に巻回され、そのまま硬化して絶縁層を形成するため
に使用される。
【0005】車両用直流電動機,一般産業用直流電動機
などの過酷な条件下で使用する高電圧回転機の高電圧コ
イルには、マイカが不可欠である。しかし、マイカ単独
では強度が無く、導体に巻回すことができない。そこ
で、マイカとガラスクロスやカプトン等のフイルム補強
材とをバインダで接着裏打ちする必要がある。従来、そ
のようなバインダとして汎用2官能エポキシ樹脂,フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹
脂が用いられていた。しかし、前記樹脂をバインダとす
る絶縁基材を導体に巻回した後、熱硬化性樹脂組成物、
特に前記の多官能エポキシ樹脂組成物を含浸,加熱硬化
して得られる電気絶縁線輪は、絶縁層に剥離が生じて、
熱伝導率が低下し、電気絶縁線輪の温度が急上昇し、絶
縁破壊を起こすという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記状況を鑑
みなされたものであり、その目的は200℃以上の高温
で連続使用できる電気絶縁線輪用プリプレグを提供する
ことにある。
【0007】絶縁層の剥離の原因を種々検討した結果、
絶縁基材のバインダとして汎用2官能エポキシ樹脂ある
いはフェノールノボラック型エポキシ樹脂を使用した場
合、バインダの耐熱性が不足し、熱硬化性樹脂組成物、
特に多官能エポキシ樹脂組成物を含浸,加熱硬化する
際、絶縁層が劣化し、接着性が低下すると共にガスが発
生することに起因することが分かった。また、シリコー
ン樹脂をバインダとする絶縁基材を用いた場合、絶縁層
の強度が不足すると共に低分子シリコーンガスが発生す
ることが分かった。
【0008】本発明の目的は、熱硬化性樹脂組成物、特
に多官能エポキシ樹脂組成物を含浸,加熱硬化する際絶
縁層に剥離が生ぜず、しかも200℃以上の高温で連続
使用できる電気絶縁線輪用プリプレグを提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、絶縁シ
ートと絶縁性補強材とをp−(2,3−エポキシプロポ
キシ)フェニル基を3個以上含む多官能エポキシ樹脂1
00〜50重量部と50重量部以下の2官能エポキシ樹
脂及びフェノール樹脂硬化剤を含む組成物で接着したプ
リプレグによって達成される。
【0010】本発明において、バインダ樹脂の前記多官
能エポキシ樹脂100〜50重量部に対し2官能エポキ
シ樹脂を50重量部以下の範囲で使用する。前者は単独
で用いることができる。また、前者を80〜55重量部
とし、後者を20〜45重量部の混合系で用いることに
より、得られる絶縁層の耐熱性と強靱性が優れている。
【0011】一方、含浸樹脂は前記多官能エポキシ樹脂
50重量部以下と2官能エポキシ樹脂100〜50重量
部の範囲で使用する。2官能エポキシ樹脂単独でも用い
られるが、特に前者を20〜45重量部とし、後者を8
0〜55重量部の混合系で用いると、ワニスが低粘度で
含浸作業が容易で、しかも硬化物の耐熱性,電気的特
性,機械的特性が優れている。
【0012】
【作用】p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル
基を3個以上含む多官能エポキシ樹脂をバインダとする
プリプレグを導体に巻回した後、熱硬化性樹脂組成物、
特に多官能エポキシ樹脂組成物または熱硬化性ポリイミ
ド樹脂あるいはそれらの混合物を含浸,加熱硬化する
と、バインダの劣化,接着性の低下を生じない為に、絶
縁層に剥離が生ぜず、しかも得られた高電圧電気絶縁線
輪は、200℃以上の高温で連続使用できる。
【0013】更に、含浸用熱硬化性樹脂組成物として多
官能エポキシ樹脂組成物を用いると、得られた絶縁層
は、p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル基を
3個以上含む多官能エポキシ樹脂バインダと前記多官能
エポキシ樹脂組成物が一体となり、前記多官能エポキシ
樹脂組成物単独硬化物より、多官能エポキシ樹脂成分が
多いため耐熱性が向上する。
【0014】本発明に用いられる絶縁基材としてマイカ
シート,ポリイミドシート、などがある。マイカとして
は、例えば、未焼性軟質マイカ,焼性軟質マイカ,未焼
性硬質マイカ,焼性硬質マイカ,合成マイカ,アラミッ
ド混抄マイカ等がある。
【0015】本発明に用いられる絶縁性補強材として
は、前記絶縁基材を補強できるものであれば特に制限は
無い。そのような具体的な例としては、例えば、ガラス
繊維,アラミッド,アラミッド混抄紙,ポリアミドイミ
ド,ポリエステル,ポリイミドエーテル,ポリエーテル
エーテルケトン,ポリエーテルスルフォン,ポリフエニ
レンスルフイド,ポリパラバン酸あるいは、ポリイミド
フイルム等がある。このうち、ガラス繊維,ポリイミド
フイルムが耐熱性の観点から好ましい。
【0016】前記絶縁基材と補強材とをp−(2,3−
エポキシプロポキシ)フェニル基を3個以上含む多官能
エポキシ樹脂バインダまたは該多官能エポキシ樹脂と2
官能エポキシ樹脂との混合物あるいは更に硬化剤を含む
組成物で接着したプリプレグは、シート状でもテープ状
でも任意の形状で使用できるが、特に断らなければ、本
発明ではこれらを総称してプリプレグと呼ぶ。
【0017】本発明においてp−(2,3−エポキシプ
ロポキシ)フェニル基を3個以上含む多官能エポキシ樹
脂とは、p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル
基を3個以上含む化合物であれば、特に制限は無い。そ
のような化合物としては例えばビスフェノールAのノボ
ラック型エポキシ樹脂,ビスフェノールFのノボラック
型エポキシ樹脂,ビスフェノールADのノボラック型エ
ポキシ樹脂、一般式
【0018】
【化1】
【0019】(式中、Rはアルキレン基又はアラルキレ
ン基である)で表わされる多官能エポキシ樹脂、例えば
【0020】
【化2】
【0021】1,1,3−トリス[p−(2,3−エポ
キシプロポキシ)フェニル]ブタン、
【0022】
【化3】
【0023】1,1,2,2−テトラキス[p−(2,
3−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン、
【0024】
【化4】
【0025】トリス[p−(2,3−エポキシプロポキ
シ)フェニル]メタン、
【0026】
【化5】
【0027】1,1,3,3−テトラキス[p−(2,
3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、
【0028】
【化6】
【0029】1,1,3−トリス[p−(2,3−エポ
キシプロポキシ)フェニル]プロパン、
【0030】
【化7】
【0031】あるいは
【0032】
【化8】
【0033】あるいは
【0034】
【化9】
【0035】等の3官能以上の多官能エポキシ樹脂が用
いられている。このうち、耐熱性の観点から、トリス
[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]メタ
ン、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロ
ポキシ)フェニル]ブタンが有用である。
【0036】又、本発明のバインダのp−(2,3−エ
ポキシプロポキシ)フェニル基を3個以上含む多官能エ
ポキシ樹脂に絶縁基材に可撓性などの作業性を付与する
目的で必要に応じて汎用の2官能性エポキシ樹脂を添加
することができる。
【0037】そのような2官能エポキシ樹脂としてビス
フェノールAのジグリシジルエーテル,ビスフェノール
Fのジグリシジルエーテル,ビスフェノールADのジグ
リシジルエーテル,水添化ビスフェノールAにジグリシ
ジルエーテル、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)ノ
ナデカンのジグリシジルエーテル、4,4′−ビス
(2,3−エポキシプロピル)ジフェニルエーテル、
3,4−エポキシクロヘキシルメチル−(3,4−エポ
キシ)シクロヘキサンカルボキシレート、4−(1,2
−エポキシプロピル)−1,2−エポキシシクロヘキサ
ン、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5
−スピロ(3,4−エポキシ)−シクロヘキサン−m−
ジオキサン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキ
シルメチル−4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサン
カルボキシレート等があり、2官能性エポキシ樹脂であ
れば特に制限が無い。このうち、耐熱性の観点からビス
フェノールAのジグリシジルエーテル,ビスフェノール
Fのジグリシジルエーテル,ビスフェノールADのジグ
リシジルエーテルが有用である。
【0038】前記多官能エポキシ樹脂と2官能エポキシ
樹脂の配合割合は、特に制限は無いが、多官能エポキシ
樹脂100重量部に対し2官能性エポキシ樹脂を0〜5
0重量部以下配合することができる。好ましくは20〜
45重量部配合すれば、耐熱性を損なわずに柔軟性のあ
るプリプレグを得ることができる。多官能エポキシ樹脂
が多くなると、絶縁基材が固くなる傾向に有り、逆に2
官能性エポキシ樹脂が多くなると耐熱性が低下する傾向
にある。尚、絶縁基材が固い場合は溶剤で絶縁基材を軟
化してから使用しても良い。
【0039】絶縁基材のバインダに熱硬化性樹脂組成物
の耐熱性を向上させる目的で硬化剤,硬化触媒,硬化助
触媒を添加しても良い。
【0040】そのような硬化剤としては通常の多官能エ
ポキシ樹脂の硬化剤であれば特に制限は無い。シエルフ
ライフを考えると、硬化剤としてはフェノール樹脂が好
ましい。フェノール樹脂としてはフェノール性水酸基を
二個以上有していれば特に制限は無い。
【0041】そのようなフェノール樹脂としては、例え
ば、フェノールノボラック,クレゾールノボラック,キ
シレゾールノボラック,ビスフェノールAのノボラッ
ク,ビスフェノールFのノボラック,ビスフェノールA
Dのノボラック,ポリ−p−ビニルフェノール,レゾー
ル型フェノール等が有り、単独若しくはその混合物が挙
げられる。
【0042】また、硬化触媒,硬化助触媒は、多官能エ
ポキシ樹脂と硬化剤との反応を加速させる働きが有れ
ば、特に制限は無い。
【0043】そのような化合物としては、例えば、トリ
メチルアミン,トリエチルアミン,テトラメチルブタン
ジアミン,トルエチルレンジアミン等の3級アミン類,
ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノペンタノー
ル,トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−
メチルモルフォリン等のアミン類、又、セチルトリメチ
ルアンモニウムブロマイド,セチルトリメチルアンモニ
ウムクロライド,セチルトリメチルアンモニウムアイオ
ダイド,ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド,
ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド,ドデシル
トリメチルアンモニウムアイオダイド,ベンジルジメチ
ルテトラデシルアンモニウムクロライド,ベンジルジメ
チルテトラデシルアンモニウムブロマイド,アリルドデ
シルトリメチルアンモニウムブロマイド,ベンジルジメ
チルステアリルアンモニウムブロマイド,ステアリルト
リメチルアンモニウムクロライド,ベンジルジメチルテ
トラデシルアンモニウムアセチレート等の第4級アンモ
ニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダ
ゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシ
ルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾー
ル、1−ブチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチ
ルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1
−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノ
エチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−アジン−2
−メチルイミダゾール、1−アジン−2−ウンデシルイ
ミダゾール等のイミダゾール類,アミンとオクタン酸亜
鉛やコバルト等との金属塩、1,8−ジアザ−ビシクロ
(5,4,0)−ウンデセン−7、N−メチル−ピペラ
ジン,テトラメチルブチルアニジン,トリエチルアンモ
ニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチ
ルテトラフェニルボレート、1,8−ジアザ−ビシクロ
(5,4,0)−ウンデセン−7−テトラフェニルボレ
ート等のアミンテトラフェニルボレート,トリフェニル
ホスフイン,トリフェニルホスホニウムテトラフェニル
ボレート,アルミニウムトリアルキルアセトアセテー
ト,アルミニウムトリスアセチルアセトアセテート,ア
ルミニウムアルコラート,アルミニウムアシレート,ソ
ジウムアルコラートなどが挙げられる。このような硬化
触媒は、バインダに対して、通常0.01 〜5重量%添
加するのが一般的である。
【0044】絶縁基材のバインダ含量は特に制限は無い
が乾燥後の絶縁材料即ちプリプレグの全体重量基準で3
〜40重量%、特に5〜30重量%が好ましい。バイン
ダ含量が多くなると熱硬化性樹脂組成物の含浸量が少な
くなり、耐熱性が低下する傾向にある。又、バインダ含
量が少ないと、接着性が低下し、絶縁基材が剥がれ、導
体に巻回しづらくなる傾向にある。
【0045】本発明における熱硬化性樹脂組成物は、前
記2官能エポキシ樹脂100〜50重量部と前記3官能
以上のエポキシ樹脂50重量部を含有し充分に低粘度で
あり、作業性良くコイル含浸が可能で、かつ硬化後H種
以上の耐熱性を示す。この場合、多官能エポキシ樹脂と
2官能エポキシ樹脂の配合割合は、特に制限は無いが、
2官能エポキシ樹脂100重量部に対して多官能性エポ
キシ樹脂を50重量部以下、特に45〜20重量部配合
することが好ましい。多官能エポキシ樹脂が多くなる
と、硬化前粘度が高くなると共に硬化後固く脆くなる傾
向に有り、逆に2官能性エポキシ樹脂が多くなると粘度
が低下するが、耐熱性が低下する傾向にある。
【0046】又、(a)ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン,(b)ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン,(c)ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン,(d)トリス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン,
(e)テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン
の少なくとも二種類以上の多価フェノールの混合物とエ
ピクロルヒドリンとを反応させて得られる多官能エポキ
シ樹脂も硬化前低粘度で作業性が良好で、しかも硬化後
高耐熱性を有することから有用である。尚、トリス(4
−ヒドロキシフェニル)アルカンとしては、トリス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン,トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン,トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン,トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン,トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン,トリ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン,トリス(4−
ヒドロキシフェニル)オクタン,トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)ノナン等がある。また、トリス(4−ヒド
ロキシジメチルフェニル)メタンなどのトリス(4−ヒ
ドロキシフェニル)アルカン誘導体を用いても良い。
【0047】テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ア
ルカンとしては、テトラキス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン,テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン,テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン,テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン,テ
トラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン,テトラ
キス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン,テトラキス
(4−ヒドロキシフェニル)オンタン,テトラキス(4−
ヒドロキシフェニル)ノナン等がある。また、テトラキ
ス(4−ヒドロキシジメチルフェニル)メタンなどのテ
トラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン誘導体を
用いても良い。
【0048】本発明の2種類以上の多価フェノールは、
耐熱性の観点から、少なくともトリス(4−ヒドロキシ
フェニル)アルカン又はテトラキス(4−ヒドロキシフ
ェニル)アルカンを含むことが望ましい。
【0049】本発明に用いられる酸無水物とは、一般的
な酸無水物で有れば特に制限は無い。そのような化合物
としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸,ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸,メチルテトラヒドロ無水フタル酸,
テトラヒドロ無水フタル酸,ナジック酸無水物,メチル
ナジック酸無水物,ドデシル無水コハク酸,無水コハク
酸,オクタデシル無水コハク酸,無水マイイン酸,ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが有り、単独若
しくはその混合物が挙げられる。このうち、耐熱性の観
点からナジック酸無水物,メチルナジック酸無水物を含
有することが好ましい。
【0050】本発明の含浸用熱硬化性樹脂組成物として
酸無水物硬化エポキシ樹脂組成物を用いる場合、多官能
エポキシ樹脂組成物バインダが硬化剤を含有しない時、
得られた絶縁層はp−(2,3−エポキシプロポキシ)
フェニル基成分が多くなり、酸無水物とエポキシ基の当
量比がずれて耐熱性が低下するため、酸無水物を熱硬化
性樹脂組成物である酸無水物硬化エポキシ樹脂組成物に
多量に添加して最終的に絶縁層中の酸無水物とエポキシ
基の当量比を0.9から1.1程度になるように調節しな
ければならない。即ち、熱硬化性樹脂組成物に低粘度の
酸無水物を多量に添加できるため、熱硬化性樹脂組成物
自体が低粘度になり作業性が良好になる、あるいは高粘
度のp−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル基成
分を熱硬化性樹脂組成物に多量に添加できるため、耐熱
性が向上する利点がある。又、多官能エポキシ樹脂組成
物バインダが硬化剤を含有しているとき、得られた絶縁
層はp−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル基成
分が多くなるため、熱硬化性樹脂組成物硬化物より耐熱
性が向上する利点がある。
【0051】本発明の含浸用熱硬化性樹脂組成物を硬化
させるとき、必要に応じて、硬化触媒を熱硬化性樹脂組
成物あるいは絶縁基材に添加しても良い。硬化触媒は、
多官能エポキシ樹脂と硬化剤との反応を加速させる働き
が有れば、特に制限は無い。そのような化合物として
は、例えば、トリメチルアミン,トリエチルアミン,テ
トラメチルブタンジアミン,トリエチレンジアミン等の
3級アミン類,ジメチルアミノエタノール,ジメチルア
ミノペンタノール,トリス(ジメチルアミノメチル)フ
ェノール、N−メチルモルフオリン等のアミン等、又、
セチルトリメチルアンモニウムブロマイド,セチルトル
メチルアンモニウムクロライド,セチルトリメチルアン
モニウムアイオダイド,ドデシルトリメチルアンモニウ
ムブロマイド,ドデシルトルメチルアンモニウムクロラ
イド,ドデシルトリメチルアンモニウムアイオダイド,
ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライ
ド,ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムブロマ
イド,アリルドデシルトリメチルアンモニウムブロマイ
ド,ベンジルジメチルステアリルアンモニウムブロマイ
ド,ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド,ベ
ンジルジメチルテトラデシルアンモニウムアセチレート
等の第4級アンモニウム塩、2−メチルイミダゾール、
2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾー
ル、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチル−4−
エチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−プ
ロピル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−
メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フエニル
イミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾ
ール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾー
ル、1−アジン−2−メチルイミダゾール、1−アジン
−2−ウンデシル等のイミダゾール類,アミンとオクタ
ン酸亜鉛やコバルト等との金属塩、1−8−ジアザ−ビ
シクロ(5,4,4)−ウンデセン−7,N−メチル−
ピペラジン,テトラメチルブチルグアニジン,トリエチ
ルアンモニウムテトラフエニルボレート、2−エチル−
4−メチルテトラフェニルボレート、1,8−ジアザ−
ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7−テトラフェ
ニルボレート等のアミンテトラフェニルボレート,トリ
フェニルホスフイン,トリフェニルホスホニウムテトラ
フェニルボレート,アルミニウムトリアルキルアセトア
セテート,アルミニウムトリスアセチルアセトアセテー
ト,アルミニウムアルコラート,アルミニウムアシレー
ト,ソジウムアルコラートなどが挙げられる。
【0052】このような硬化触媒は、熱硬化性樹脂組成
物に対して、通常0.01 〜5重量%添加するのが一般
的である。尚、前記硬化触媒は、熱硬化性樹脂組成物に
添加して使用しても良いし、含浸に先立ち予め絶縁基材
に添加しておいても良い。
【0053】その他、必要に応じて希釈剤としてシクロ
ヘキセンビニルモノオキシド,オクチレンオキシド,ブ
チルグリシジルエーテル,スチレンオキシド,フェニル
グリシジルエーテル,グリシジルメタクリレート,アリ
ルグリシジルエーテル等のモノエポキシ樹脂等を添加し
ても良い。しかし、一般に希釈剤は粘度を下げる効果は
あるものの、耐熱性も低下するので、少量に抑えるべき
である。
【0054】また、充填剤としては、シリカ粉,石英ガ
ラス粉,アルミナ粉等の外、水和アルミナ,水和マグネ
シウム,炭酸カルシウム,ケイ酸ジルコニウム,ケイ酸
カルシウム,タルク,クレー,マイカ,ガラス繊維粉等
を添加することもできる。
【0055】本発明のプリプレグは、各種回転電機の絶
縁線輪の製造に適用できる。例えば直流機,誘導電動
機,交流発電機,同期電動機などがあり、それらのステ
ータコイル,アーマチユアコイル,界磁コイルなどの製
造に適用できる。
【0056】通常回転電機を製造している工場において
は、いくつかの耐熱グレードの回転機を製造している。
例えば最も耐熱グレードの高いC種にあっては定格で2
00℃以上の運転温度で運転されるものであり、次いで
H種は180℃以上、F種は150℃以上となってい
る。
【0057】通常、絶縁線輪のバインダならびに絶縁基
材の耐熱グレード及び含浸樹脂の耐熱グレードを考慮し
て、それぞれ最適の組合せを選択していた。従ってワニ
スも複数種用意することが必要であったため、ワニスタ
ンクも複数用意し、しかもそれぞれワニスの特性に応じ
て管理する必要があった。
【0058】本発明のプリプレグによれば、絶縁層に含
浸すべきワニスの耐熱性がC種の特性を持つものであれ
ば、バインダ及び絶縁基材の特性及びバインダの硬化条
件を選定することにより、所望の耐熱グレードの絶縁線
輪を得ることができる。従ってワニスを単一のものとす
ることができ、ワニス管理の単純化,コスト低減に貢献
することができる。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0060】なお、例中で用いたエポキシ樹脂,硬化
剤,硬化触媒の略号は下記のとおりである。
【0061】(1)YL−931(油化シエルエポキシ社
製,商品名):1,2,2−テトラキス[p−(2,3
−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン。エポキシ当
量192 (2)YL−932(油化シエルエポキシ社製,商品
名):1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプ
ロポキシ)フェニル]メタン。エポキシ当量161 (3)YL−933(油化シエルエポキシ社製,商品
名):1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプ
ロポキシ)フェニル]ブタン。エポキシ当量196 (4)DER−7342(ダウケミカル社製,商品名):
トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニ
ル]メタン。エポキシ当量162 (5)157S65(油化シエルエポキシ社製,商品名):ビス
フェノールAのノボラック型エポキシ。エポキシ当量1
98 (6)DER−332(ダウケミカル社製,商品名):ビ
スフェノールAのジグリシジルエーテル。エポキシ当量
175 (7)CEL−2021(ダイセル社製,商品名):3,
4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキ
シ)シクロヘキサンカルボキシレート。エポキシ当量1
38 (8)E−807(油化シエルエポキシ社製,商品名):
ビスフェノールFのジグリシジルエーテル。エポキシ当
量170 (9)MHAC−P(日立化成製,商品名):メチルナジ
ック酸無水物。酸無水物当量178 (10)HN−5500(日立化成製,商品名):メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸。酸無水物当量168 (11)HN−2200(日立化成製,商品名):メチルテ
トラヒドロ無水フタル酸。酸無水物当量166 (12)BTPP−K(北興化学製,商品名):トリフェニ
ルブチルホスフインテトラフェニルボレート (13)PX−48T(日本化学工業製,商品名)
【0062】
【化10】
【0063】(14)2E4MZ(四国化成製,商品名):
2−エチル−4−メチルイミダゾール (15)2E4MZ−K(北興化学製,商品名):2−エチ
ル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート (16)TPP(北興化学製,商品名):トリフェニルホス
フイン (17)TPP−K(北興化学製,商品名):トリフェニル
ホスフインテトラフエニルボレート (18)IOZ(日立化成製,商品名):2−エチル−4−
メチルイミダゾールとオクタン酸亜鉛との塩 (19)C11Z−AZINE(四国化成製,商品名):1
−アジン−2−ウンデシルイミダゾール (20)TEA−K(北興化学製,商品名):トリエチルア
ミンテトラフェニルボレート (21)2E4MZ−CN(四国化成製,商品名):1−シ
アノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール (22)PN−フェノールノボラック。水酸基当量85 (23)PSF(郡栄化学製,商品名):フェノールノボラ
ック。水酸基当量106 (24)レジンM(丸善石油製,商品名):ポリp−ビニル
フェノール。水酸基当量120 (25)VH4150(大日本インキ製,商品名):ビスフェノー
ルAのノボラック。水酸基当量118 (26)CN(三菱油化製):クレゾールノボラック。水酸
基当量120 (27)RN(日立化成製):レゾール型フェノール。水酸
基当量107 (28)BMI:4,4′−ジフェニルメチンビスマレイミ
ド (29)DAPPI(三井東圧社製,商品名):2,2−ビ
ス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロ
パン (30)DABF(大阪曹達社製):ジアリルビスフェノー
ルF (31)TAIC(日本化成社製):トリアリルイソシアヌ
レート 実施例1 (1)絶縁基材の作製 p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル基を3個
以上含む多官能エポキシ樹脂としてYL−933を用
い、全体として不揮発分50%になるようにメチルエチ
ルケトンで濃度調節してバインダ溶液を用意した。次
に、上記バインダ溶液を用い、未焼成軟質集成マイカシ
ートとガラスクロスとを貼りあわせ、かつ溶剤揮散を行
った。得られたガラス裏打ちマイカテープ(絶縁基材)
中のバインダ含有が不揮発分で、5,20及び30重量
%(絶縁基材全重量を基準とする)の3種を作製した。
この絶縁基材を切断して、幅25mmのテープを得た。
【0064】(2)熱硬化性樹脂組成物の作製 温度計,撹拌器,滴下ロート及び反応水回収装置を付け
た反応器に、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン;105g、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;105gとエピクロルヒドリン;925gを仕込
み、加熱撹拌しながら8wt%水酸化ナトリウム水溶
液;175gを2時間かけて滴下した。反応中、水とエ
ピクロルヒドリンとが反応物から蒸留され、エピクロル
ヒドリンだけを反応器に戻すようにし、反応混合物中の
水の濃度を5wt%以下にするようにした。
【0065】水酸化ナトリウム水溶液滴下終了後、更に
15分間加熱を続けて水を完全に除去してから、未反応
エピクロルヒドリンを留去した。粗生成物から食塩の分
離を容易にするために、トルエン;約55gを加えて粗
生成物を溶解し、濾過して食塩を除いた。その後、17
0℃,2mmHgで加熱・減圧してトルエンを完全に留去
してそれぞれ淡黄色のエポキシ当量171のエポキシ樹
脂を得た。
【0066】前記エポキシ樹脂;100.0重量部、酸
無水物硬化剤MHAC−P;104.1重量部及び硬化触媒
2E4MZ−CN;1.021 重量部を配合して、熱硬
化性樹脂組成物を得た。
【0067】(3)電気絶縁線輪の作製 前記(1)の絶縁基材の導体上に巻回後、前記(2)の熱硬
化性樹脂組成物を真空加圧含浸し、100℃/10時間
+150℃/3時間+230℃/10時間加熱して、硬
化した。このようにして得た電気絶縁線輪の絶縁層に
は、剥離が認められなかった。次に、耐水,耐熱性試験
を下記の方法で行った。測定に供した電気絶縁線輪の1
部を切断した斜視図を図1に示す。導体1上に絶縁層2
が巻装された熱硬化性樹脂組成物が含浸硬化されて一体
化されている。
【0068】(a)耐熱性試験 270℃で24時間、次いで40℃で24時間、RH9
5%の条件における加熱及び吸湿試験を1サイクルとし
て10サイクルまで行い、各サイクル毎にtanδ 及び絶
縁抵抗を測定し、表1に示した。
【0069】(b)短時間耐熱性試験 前記電気絶縁線輪から絶縁層のみを切りだし、50mm×
50mmの試験片を用いて、270℃/10日間熱劣化後
の重量変化率を測定し、表1に示した。
【0070】(c)耐水性試験 前記電気絶縁線輪の絶縁層のテープ巻回方向にそって、
絶縁層のみ幅10mm,長さ60mmの試験片を切りだし、
支点間距離40mmで2点支持、中央部荷重による曲げ強
度を25℃で測定した。同様に、前記試験片を40℃の
水中に24時間浸漬した後の曲げ強度を測定した。
【0071】実施例2〜6 未焼性軟質集成マイカの代わりに焼性軟質集成マイカ芳
香族ポリアミドフイブリッド入集成マイカ,焼性硬質集
成マイカ,未焼性硬質集成マイカ、又は未焼性合成マイ
カを用いた以外、実施例1と全く同様にして、絶縁基材
及び電気絶縁線輪を作製し、耐熱性試験,短時間耐熱性
試験及び耐水性試験を行った。
【0072】実施例7〜25 バインダとしてp−(2,3−エポキシプロポキシ)フェ
ニル基を3個以上含む多官能エポキシ樹脂としてYL−
933の代わりにTL−932,YL−931,DER
−7342,157S65,実施例1で得られたトリス(4−
ヒドロキシフェニル)メタン及びビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンとエピクロルヒドリンとの反応性生
成物であるエポキシ樹脂、YL−933とDER−33
2との混合物(重量比で5,2,1,0.7,0.5の5
種類)、2E4MZ−Kを重量で5,2,1,0.5,
0.1,0.01% 添加したYL−933,TPP−K
を重量で0.1%添加したYL−933,IOZを重量
で0.1%添加したYL−933,PX−48Tを重量で
0.1% 添加したYL−933、及びC11Z−AZINE
を重量で0.1% 添加したYL−933を用いた以外、
実施例1と全く同様にして、絶縁基材及び電気絶縁線輪
を作製し、耐熱性試験,短時間耐熱性試験及び耐水性試
験を行った。
【0073】実施例26〜30 補強材としてガラスクロスの代わりにポリイミドフイル
ム,ポリイミドエーテルフイルム,ポリエーテルケトン
フイルム,ポリパラバンサンフイルム,アラミツド混抄
紙を用いた以外、実施例1と全く同様にして、絶縁基材
及び電気絶縁線輪を作製し、耐熱性試験,短時間耐熱性
試験及び耐水性試験を行った。
【0074】比較例1〜5 バインダとしてYL−933の代わりにDER−33
2,E−807,DEN−438,CEL−2021又
はシリコーン樹脂を用いた以外、実施例1と全く同様に
して、絶縁基材及び電気絶縁線輪を作製し、耐熱性試
験,短時間耐熱性試験及び耐水性試験を行った。
【0075】実施例31〜49 熱硬化性樹脂組成物として表7〜表10記載の熱硬化性
樹脂組成物を用いた以外、実施例1と全く同様にして、
絶縁基材及び電気絶縁線輪を作製し、耐熱性試験,短時
間耐熱性試験及び耐水性試験を行った。
【0076】実施例50 バインダ中にC11Z−AZINEを重量で5%添加
し、熱硬化性樹脂組成物の硬化触媒を抜いた以外、実施
例1と同様にして、絶縁基材及び電気絶縁線輪を作製
し、耐熱性試験,短時間耐熱性試験及び耐水性試験を行
った。
【0077】実施例51 絶縁基材をC11Z−AZINEメタノール溶液にデイ
ツプした後、風乾し、C11Z−AZINEを重量で1
%担持し、熱硬化性樹脂組成物の硬化触媒を抜いた以
外、全く実施例1と同様にして、絶縁基材及び電気絶縁
線輪を作製し、耐熱性試験,短時間耐熱性試験及び耐水
性試験を行った。
【0078】実施例52〜60 バインダに硬化剤として表11〜表12記載のフェノー
ル樹脂,硬化触媒を添加した以外、実施例1と全く同様
にして、絶縁基材及び電気絶縁線輪を作製し、耐熱性試
験,短時間耐熱性試験及び耐水性試験を行った。
【0079】実施例61〜63 バインダに硬化剤として表13記載のフェノール樹脂,
硬化触媒を添加した以外、実施例1と全く同様にして、
絶縁基材及び電気絶縁線を作製し、耐熱性試験,短時間
耐熱性試験及び耐水性試験を行った。
【0080】比較例6〜7 バインダとしてYL−933の代わりにDEN−438
を用いた以外、実施例61,63と全く同様にして、絶
縁基材及び電気絶縁線輪を作製し、耐熱性試験,短時間
耐熱性試験及び耐水性試験を行った。
【0081】以上述べた実施例及び比較例の実験条件及
び実験結果を表1ないし表14に示した。
【0082】実施例64 バインダの硬化条件を代えて、同一のワニスでF種,H
種,C種の絶縁線輪を製作した。
【0083】実施例1で得られた電気絶縁線輪の誘電正
接tanδ の温度特性を、温度(℃,横軸)とtanδ
(%,縦軸)との関係のグラフとして図2に示す。図2
において、Aは絶縁の初期の特性曲線、Bは上記実施例
1の250℃で1000時間加熱後の特性曲線である。
【0084】又、図3に本発明の電気絶縁線輪の耐熱寿
命を、温度(℃,横軸)と耐熱寿命(h,縦軸)との関
係をグラフとして示す。
【0085】図3に示すように、米国規格IEEE.N
o.275に準拠したモータレット試験による耐熱寿命に
おいても、高耐熱性を示し、200℃以上でも使用可能
であることが分かった。
【0086】実施例65〜68 バインダ及び硬化条件を表15記載の様に代えた以外、
同一の含浸ワニスで実施例52と全く同様にして電気絶
縁線輪を製作した。
【0087】得られた電気絶縁線輪の米国規格IEE
E.No.275に準拠したモータレット試験による耐熱
寿命の温度依存性を図4に示す。図4において、Aは実
施例65、Bは実施例66、Cは実施例67、Dは実施
例68の試験結果である。
【0088】図4からF種以上のバインダ,絶縁基材及
び硬化条件を選定することにより同一の含浸ワニスを用
いてF種,H種,C種の耐熱グレードの電気絶縁線輪を
製作できることが分かる。即ち、同一の含浸ワニスを用
いても耐熱グレードが低いものは、安価なバインダ,絶
縁基材を選定し、経済的な硬化条件を採用し、逆に、耐
熱グレードが高いものは、高価なバインダ,絶縁基材を
選定し、より高温長時間を要する硬化条件を採用すれば
良い。
【0089】同一の含浸ワニスを用いて耐熱グレードが
異なる電気絶縁線輪を製作できる為、耐熱グレードに応
じて多数の含浸ワニスを保管する必要がなく、生産工場
における含浸ワニス管理が著しく簡略化することがで
き、又生産コストを大幅に削減することができる。
【0090】実施例69〜73 マイカを除き、補強材としての表16記載のシートを用
いた以外、全く表6の実施例26と同様にして、絶縁基
材及び電機絶縁線輪を作製し、耐熱性試験,短時間耐熱
性試験及び耐水性試験を行い、その結果を表16に示し
た。絶縁基材として本願の樹脂組成物をバインダとした
ポリイミドシート,ポリバラバン酸シート,ポリアラミ
ッドシートも優れている。
【0091】実施例74〜78 表17記載のバインダ及び硬化触媒を用いた以外、全く
実施例1の(1)絶縁基材の作製と同様にしてガラス裏
打ちマイカプリプレグテープ(絶縁基材)を得た。得ら
れたガラス裏打ちマイカプリプレグテープ(絶縁基材)
中のバインダ含有量が不揮発分で、42重量%(絶縁基
材全重量を基準とする)であった。この絶縁基材を切断
して、幅25mmのテープを得た。この絶縁基材を導体上
に巻回して100℃/10時間+150℃/3時間+2
30℃/10時間加圧加熱して、硬化した。このように
して得た電気絶縁線輪の絶縁層には、剥離は認められな
かった。次に、耐熱性試験,短時間耐熱性試験及び耐水
性試験を行い、その結果を表17に示した。表17から
本願のプリプレグテープは電気絶縁線輪の絶縁に優れて
いることが分かる。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
【表10】
【0102】
【表11】
【0103】
【表12】
【0104】
【表13】
【0105】
【表14】
【0106】
【表15】
【0107】
【表16】
【0108】
【表17】
【0109】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のプリプレ
グは、従来の汎用2官能エポキシ樹脂あるいはフェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂をバインダとするプリプレ
グと異なり、電気絶縁線輪の絶縁層に剥離を生ぜず、2
00℃以上の高温で連続使用可能である。
【0110】本発明の新しい知見により、種々の耐熱グ
レードの絶縁線輪を生産する工場にあって、ワニスを実
質的に単一のものとすることにより、ワニスの維持管理
を大幅に簡単化し、ひいては生産コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気絶縁線輪の1部を切断した斜視図。
【図2】本発明の絶縁線輪のtanδ 温度特性を示すグラ
フ。
【図3】本発明の絶縁線輪の耐熱寿命特性を示すグラ
フ。
【図4】本発明の絶縁線輪の耐熱寿命の温度依存性を示
すグラフ。
【符号の説明】
1…導体、2…絶縁基材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 17/60 B 0550−5G H01F 27/32 Z H02K 3/30 (72)発明者 金城 徳幸 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 狩野 育志 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 丸山 正一 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁シートと絶縁性補強材とをp−(2,
    3−エポキシプロポキシ)フェニル基を3個以上含む多
    官能エポキシ樹脂100〜50重量部と50重量部以下
    の2官能エポキシ樹脂を含む組成物で接着したことを特
    徴とするプリプレグ。
  2. 【請求項2】絶縁シートと絶縁性補強材とをp−(2,
    3−エポキシプロポキシ)フェニル基を3個以上含む多
    官能エポキシ樹脂100〜50重量部と50重量部以下
    の2官能エポキシ樹脂,フェノール樹脂硬化剤及び硬化
    触媒を含む組成物で接着したことを特徴とする請求項1
    記載のプリプレグ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001316450A (ja) * 2000-05-01 2001-11-13 Mitsubishi Rayon Co Ltd エポキシ樹脂組成物
JP2012038681A (ja) * 2010-08-11 2012-02-23 Hitachi Ltd ドライマイカテープ及びこれを用いた電気絶縁線輪
JP2017516437A (ja) * 2014-03-11 2017-06-15 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft 絶縁テープ、電気機械用の電気絶縁体としての当該絶縁テープの使用、電気絶縁体及び絶縁テープの製造方法

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