JPH08333696A - 金属多孔体の製造方法とその装置 - Google Patents

金属多孔体の製造方法とその装置

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JPH08333696A
JPH08333696A JP14089295A JP14089295A JPH08333696A JP H08333696 A JPH08333696 A JP H08333696A JP 14089295 A JP14089295 A JP 14089295A JP 14089295 A JP14089295 A JP 14089295A JP H08333696 A JPH08333696 A JP H08333696A
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JP
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metal
power feeding
plating
plating solution
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JP14089295A
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English (en)
Inventor
Masanori Tabei
正紀 田部井
Nobuo Matsuoka
宣夫 松岡
Kohei Chigira
恒平 千木良
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材の三次元網状組織にメッキ金属を均一に
電着させる。 【構成】 給電ロール4の上方に電着用金属2を設置
し、その上方にメッキ液供給用のノズル8を配置してい
る。基材Mをガイドロール5で支えて給電ロール4の上
周面に沿わせ、給電ロール4を一方向回転させつつ基材
Mを搬送し、ノズル8から噴出させたメッキ液を電着用
金属2に接触させつつ基材M上に供給する。電着用金属
3は陽極に、給電ロール4は陰極に給電し、メッキ液中
に溶出した金属イオンを基材Mに電着させる。電着処理
中、基材Mは給電ロール4上に密着して安定に支持さ
れ、負電荷に帯電してその三次元網状組織に均一に金属
が電着して金属多孔体が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニッケルカドミウム電
池,ニッケル水素電池,リチウムイオン電池などの各種
電池の電極や、フィルタ、触媒などの用途に用いる金属
多孔体の製造方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記の用途に用いられる金属多孔体に
は、基材としてスライスされたウレタンフォームシー
ト,不織布などが用いられる。ウレタンフォームシート
は、三次元網状組織の骨格を有しており、ウレタンフォ
ームシートの網状組織には、予め導電化処理が施され、
金属多孔体は、基材の網状組織を骨格としてその表面に
所定厚みにメッキ金属を電着させることによって得られ
る。不織布を基材に用いたときにもその要領は同じであ
る。得られた金属多孔体を電池の電極に用いるときに
は、電着金属を残して基材は焼却処理される。
【0003】基材の三次元網状組織へのメッキ金属の電
着処理は、一般のプレート,ワイヤなどへのメッキとは
異なり、三次元網状組織内にメッキ液を浸透させて網状
組織にメッキ金属を均一に電着させなければならない。
【0004】三次元網状組織の全組織に均一にメッキ金
属を連続的に電着させる有効な方法として電着処理を予
備電着処理と本電着処理との2段階処理を行う方法が知
られている。例えば特公昭57−39317号公報(先
行例1)には、骨格表面に導電処理を施したテープ状の
多孔体(基材)を回転されつつある金属給電ロールもし
くは環状の回転されつつある金属給電シートに第1槽の
メッキ浴中で密着させながら送り、第1槽にて0.1〜
数μの厚みに電着させ、次に第2槽にて両面から所定の
厚みまで10A/dm2以上の電流密度で電着させる方
法が紹介されている。この方法によるときには、第1槽
での電着処理によってテープ状の多孔体は骨格表面に二
次の導電化処理層を施されたことになり、そのため第2
槽では比較的高い電流密度の使用が可能となり、送り速
度は、第2槽における予定電着量に律速され、最終的に
10A/dm2以上の電流密度でメッキしたことと同じ
になるという効果が強調されている。しかしながら、先
行例1の方法に関しては以下のような指摘がある。すな
わち、上記従来提供されている方法では、まず、第1槽
における二次の導電処理層のメッキ厚が0.1〜数ミク
ロン程度しか得られないため、次の第2槽における工程
で支持体なしにメッキ金属を電着できる程度に安定した
強度が得られず、そのため、第2槽へ送りメッキされる
多孔体は、第2槽浴中で波を打ったり湾曲したりして極
間距離を定めることが困難となり、両面のメッキ厚の不
均一や局部的な不均一を生じることとなる。
【0005】また、第1槽における二次導電処理を低電
流密度(数A/dm2)で行った後、第2槽で高電流密
度(10A/dm2)を用いると、低電流密度でメッキ
したメッキ金属粒度と高電流密度でメッキしたメッキ金
属粒度に差異が生じ、粒界に歪みを発生するため、粒界
強度が弱くなり、多孔体の強度も弱く、形状が不安定と
なって、第2槽における両面のメッキ厚の不均一や局部
的な不均一を助長する結果となる。
【0006】更に、イオンは必ず陽極側から陰極側へ流
れてメッキされるため、第1槽におけるメッキ方法で
は、多孔体における表層部と内層部における金属イオン
の供給度合の差が生じ、流速によって液をかなり強力に
多孔体にぶつけても液は陰極に当たって跳ね返り多孔体
を貫通しないため、金属イオンの供給度合は内層部にな
る程低くなって、孔内面への電着率の悪化を招き、ロー
ル及び給電金属シートに密着した側のメッキ厚と反対側
(密着していない側)のメッキ厚とが相違し、メッキ厚
の不均一や局部的不均一を益々助長することとなる、と
いうのである(特開平4−218693号(先行例2)
参照)。
【0007】そこで先行例2では、シート状多孔体をメ
ッキ槽内を水平状態として横断的に搬送し、該メッキ槽
内でメッキ液をシート状多孔体の水平面に対して略直角
方向の垂直方向上方からぶつけるように流速を持たせて
強制的に流し、10〜600A/dm2の高電流密度で
多孔体の両側表層部及び内層部の孔表面全体に1〜70
0μmの均一な厚さのメッキを施した後、連続的にロー
ルに巻き取る方法を提案し、この方法によるときには、
導電性付与処理後、低電流密度のストライクメッキの工
程を経ずに、直ちに高電流密度の本メッキにしているた
め、電着金属の粒度が非常に細かくなり、粒界強度が強
く密着性に優れたメッキが施されると共に、シート状多
孔体の両側表面部及び内層部の孔内面に均一な厚さで金
属メッキを施すことができる、という効果が強調されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発明者
らの実験によれば、先行例1の方法で得られた金属多孔
体について、メッキ厚の不均一や局部的不均一が生ずる
のは第1槽で使用する電流密度と、第2槽で使用する電
流密度との違いが原因であるとは考え難くく、むしろ、
電着処理がメッキ浴槽内での浸漬によることが原因であ
るように思われた。 1.メッキ浴槽内に基材を浸漬して電着処理を行うとき
には、電極としてメッキ金属片を収容したアノードバッ
グが用いられるが、メッキ浴中にアノードバッグを浸し
たままにメッキ処理を行うと、特公平5−2748号
(先行例3)が指摘するようにアノードバッグの陽極で
ある金属片からガス(水素)が発生し、このガスがアノ
ードバッグに蓄積され、この部分が電気抵抗となり、電
着量が減少し、メッキ厚の局部的不均一を生じる。特に
メッキ浴槽内で基材の上,下の電極にアノードバッグが
用いられたときに基材の下部からのメッキが部分的また
は全体的に減少し、上部からのメッキは変化しないので
基材は片面部分メッキまたは、片面メッキの状態とな
り、これが品質上大きな問題となるのは確かなようであ
る。 2.メッキ浴槽内に基材を浸漬して電着処理を行う場合
は、基材と給電ロールとの接触力は、基材のテンション
に伝るので基材の伸び及び接触電気抵抗が不均一になり
易く、したがって、電着金属量に不均一が生じる。
【0009】また、先行例2に指摘されているように先
行例1によれば、第2槽中で多孔体が波を打ったり湾曲
したりして極間距離を定めることが困難になるのも事実
のようである。この点、先行例2のように既メッキ多孔
体上に未メッキ多孔体を重ねた状態で第1段から第5段
のメッキ槽に順次搬送してメッキ処理を行えば、未メッ
キ多孔体の支持強度は増大するが、その支持強度には自
ずから限界があり、支持強度が不足するときには、基材
である未メッキ多孔体が波を打ったり、湾曲したりして
メッキ厚の不均一が生ずるであろうし、まして、柔軟
で、破れ易い基材のみを搬送してメッキ金属の電着処理
を行うことはできない。
【0010】本発明の目的は、柔軟で破れ易い基材を安
定に支えて基材の三次元網状組織にメッキ金属を均一に
電着させる金属多孔体の製造方法とその方法に使用する
装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による金属多孔体の製造方法においては、導
電性が付与された基材の少なくとも一部を陰極上に支え
て連続送りを与えつつ基材の上方からメッキ液を供給
し、基材の三次元網状組織の骨格表面にメッキ金属を電
着させる金属多孔体の製造方法であって、メッキ液の供
給は、陽極である電着用金属に接触させながら陰極に支
えられた領域の基材の上方から落下させて行い、メッキ
液を基材に含浸させ、メッキ液が含浸した基材を陰極に
密着させて陰極に給電するものである。
【0012】また基材上に供給されたメッキ液を基材が
陰極から離れて無支持となった領域で基材の三次元網状
組織を通して流出させるものである。
【0013】また基材上に供給されたメッキ液を基材上
で堰止め、基材の三次元網状組織を通して堰き止められ
たメッキ液を流出させるものである。
【0014】また基材上で堰き止められたメッキ液の液
圧をもって基材を陰極に密着させて給電するものであ
る。
【0015】また本発明による金属多孔体の製造装置に
おいては、搬送機構と、電着用金属と、メッキ液供給機
構とを有する金属多孔体の製造装置であって、搬送機構
は、基材の一定領域を支え、一方向に転回して基材を搬
送する給電ロールまたは給電無端コンベアであり、陰極
に給電され、給電ロールは、金属製の回転ロールであ
り、給電無端コンベアは、一方向に転回する対のプーリ
間に金属製の無端ベルトを掛け渡したものであり、電着
用金属は、給電ロールまたは給電無端コンベアに上方に
配設されたものであり、陽極に給電され、メッキ液供給
機構は、電着用金属を通して搬送機構上に支えられて移
動する基材にメッキ液を落下させるものである。
【0016】また搬送機構と、電着用金属と、メッキ液
供給機構と、液溜めを有する金属多孔体の製造装置であ
って、搬送機構は、基材の一定領域を支え、一方向に転
回して基材を搬送する給電ロールまたは給電無端コンベ
アであり、陰極に給電され、電着用金属は、給電ロール
または給電無端コンベアに上方に配設されたものであ
り、陽極に給電され、メッキ液供給機構は、電着用金属
に接触させつつメッキ液を流下させ、搬送機構上に支え
られて移動する基材にメッキ液を供給するものであり、
液溜めは、基材を支える搬送機構の前後の少なくとも一
方で上方から供給されたメッキ液を堰き止めて基材上に
メッキ液を滞留させる部分である。
【0017】また搬送機構の給電ロールまたは給電無端
コンベアに組合されたガイドロールは、給電ロールまた
は給電無端コンベア上の基材を抑えてその搬送方向を規
制するものであって、堰を兼ね、上方から供給されたメ
ッキ液を堰き止めて液溜めを形成するものである。
【0018】また搬送機構の給電ロールまたは給電無端
コンベアは、基材の搬送方向に沿って2段以上直列に配
列されたものであり、前後の給電ロール間または給電無
端コンベア間に1個のガイドロールが配設され、前後の
給電ロール間または給電無端コンベア間に配設されたガ
イドロールは、前段の給電ロールまたは給電無端コンベ
アの排出側ガイドロールと、後段の給電ロールまたは給
電無端コンベアの搬入側ガイドロールとを兼ね、且つ上
方から供給されたメッキ液を堰き止めて各段の給電ロー
ルまたは給電無端コンベアに支えられた基材上に液溜め
を形成するものである。
【0019】またドレンを有し、ドレンは、基材より離
れて流下したメッキ液を受入れるものであり、メッキ液
供給機構は、ドレン内のメッキ液を汲み上げて基材上に
供給するものであり、給電ロールまたは給電無端コンベ
アは、ドレン内に溜められるメッキ液の液面上方に支持
されたものである。
【0020】
【作用】導電化処理が施された基材は、搬送機構の給電
ロールまたは給電無端コンベア上に支えられ、該給電ロ
ールまたは給電無端コンベアの転回によって一方向に搬
送される。搬送機構は陰極であり、基材は搬送機構に密
着して負電荷に帯電する。陽極である電着用金属は、給
電ロールの直上に設置され、陽極を通してメッキ液が基
材上に供給される。
【0021】基材は搬送機構上に支えられ、ガイドロー
ルは、基材を搬送機構上に密着させる方向に作用し、基
材は給電ロール上に安定に支持される。基材上に供給さ
れたメッキ液は基材の層内に浸透し、メッキ液を含浸し
た基材はより強く搬送機構に密着して陰極に給電され、
メッキ金属は、基材の網状組織に均等に電着して金属多
孔体を形成する。
【0022】電着金属が基材の三次元網状組織に均等に
付着する理由は必ずしも明らかではないが、陰極である
搬送機構に接する基材の面の負電荷の帯電量が大きいた
め、搬送機構に接する基材の面の電着量が大きく、電着
の進行とともに陽極に面する側の基材の面に電着が及
び、基材が給電ロールの周上に接している時は、基材内
部の網状組織層内を周上に添ってメッキ液が流れ、ま
た、基材が搬送機構から離されるときにはメッキ液が基
材の層内を透過するため、金属イオンが厚み方向に対し
て、均一に充分に供給され、電着金属が厚み方向の全組
織に析出して基材の全層にわたり電着量は均一になるも
のと考えられる。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を図によって説明す
る。図1において、本発明装置は基本的に搬送機構1
と、電着用金属2と、メッキ液給液機構3との組合せか
らなるものである。搬送機構1は、一方向に転回送りが
与えられる給電ロール4であり、ガイドロール5と組合
され、給電ロール4は、金属製の回転ロールであって、
基材の厚みに対して十分な大きさを有し、一方向に回転
駆動され、陰極に給電されるものである。
【0024】ガイドロール5は、給電ロール4の回転方
向に対し、その前後の位置に設置され、基材を上方から
抑えてこれを給電ロール4の上周面に沿わせて搬送方向
を規制するためのものである。電着用金属2は、ニッケ
ル片,銅片などであり、いわゆる“アノードケース”と
称する網籠に収容されたものである。電着用金属は、陽
極に給電され、給電ロール4の直上に設置されている。
【0025】メッキ液給液機構3は、タンク6内のメッ
キ液をポンプ7で吸引し、これを電着用金属2に向けて
直上から噴射するノズル8を有している。ノズル8から
噴射されたメッキ液は、給電ロール4上に供給され、給
電ロール4から落下してドレン9に集められ、ドレン9
からポンプ7で汲み上げて再びノズル8に供給される。
給電ロール4は、ドレン9内に溜められるメッキ液の液
面より上方に設置されている。給電ロール4がドレン9
内のメッキ液中に浸されると、給電ロール4にメッキ金
属が析出する機会が多くなって好ましくない。
【0026】実施例において、電着用金属2に陽極を、
給電ロール4に陰極をそれぞれ給電し、前後のガイドロ
ール5,5で抑えて導電化処理を施した基材Mを給電ロ
ール4の上周面に沿わせ、ノズル8よりメッキ液を噴出
させるとともに給電ロール4を一方向に転回させて電着
処理を開始する。
【0027】基材Mは、無膜のポリウレタンフォームシ
ートである。好ましくは、2枚のポリウレタンフォーム
シートをフレームラミネート法により積層一体化してシ
ート内部の空洞化や組織の疎密の発生を防止する。基材
はこれに限らず、三次元網状組織を有する繊維不織布,
紙不織布のほか、独立孔を有するラス状あるいはパンチ
状及びその他の金属網,樹脂網などを使用でき、強度保
持のために特別な補強対策を施す必要はない。
【0028】導電化処理は、基材の三次元網状組織の全
表面に導電材料を塗布あるいは含浸、その他の方法によ
って施与する処理である。導電材料には、グラファイ
ト,カーボンブラックなどのカーボンあるいはポリアセ
チレン,ポリアニリン,ポリピロール,ポリチオフエ
ン,ポリパラフェニレンなどの電導性樹脂,金属粉又は
これらの混合物を使用する。導電化処理は、導電材料を
基材に塗布,含浸させて塗着するほか、無電解メッキの
ように化学的に金属を基材表面に還元析出させる方法、
イオンプレーティング法、スパッタリング法等によって
施与してもよい。基材にカーボン繊維や金属繊維の不織
布などを用いたときには、導電化処理されたものとして
扱うことができる。
【0029】実施例においては、導電化処理された基材
Mは、給電ロール4に接触して負電荷に帯電し、特に給
電ロール4に直接接触する基材Mの面は負電荷の帯電量
が大きいために、基材Mの層内に浸透したメッキ液中の
金属イオンが多量に析出し、導電性が増し、逐次上層へ
の金属析出量を増大させる。
【0030】基材M上には常時メッキ液が供給され、給
電ロール4への基材の搬入側及び搬出側のガイドロール
5,5はメッキ液の堰として作用して基材M上に液溜め
11が形成され、堰き止められたメッキ液は、その液圧
で床材を給電ロール4に密着させつつ基材Mの層を透過
してドレン9に落下するために、特に搬出側においては
メッキ液は、導電化の進んだ基材Mの全層に十分に浸透
してその網状組織にメッキ金属の電着が進行して金属多
孔体が形成される。
【0031】なお、図2のように両ガイドロール5,5
は、ドレン9の立上り部分10に軸支され、液溜め11
は、ドレン9の立上り部分10と、両ロール5,5とに
囲まれた空間に形成されるものであり、液溜め11内の
メッキ液の殆どは基材の三次元網状組織の層を透過して
流出する。
【0032】図3は、給電ロール4a,4b,4cを前
後3段に連設した例である。この例では隣接相互の給電
ロール4a,4b又は4b,4c間に配設される1本の
ガイドロール5は、基材M上に供給されたメッキ液の堰
となり、さらに前段の給電ロールの搬出側と、後段の給
電の搬入側とに共用できる。
【0033】給電ロールを2段以上連設し、各段の給電
ロールを経由して基材の金属メッキ処理を連続的に行え
ば初段の給電ロール4a上の基材Mへの電着金属の電着
量が僅かであっても、メッキ金属の僅かな量の電着によ
って基材Mの導電化が急速に進行し、第2段,第3段の
給電ロール4b,4c上では基材への金属の電着量が加
速度的に増大するため、電着処理の高速化が可能とな
る。なお、実施例では堰として、ガイドロールを示した
が、これに限らず可撓性のカーテンや、仕切板等を垂下
しその下端でメッキ液を堰き止める。これを堰とするこ
ともできる。
【0034】図4〜図6は、搬送機構に給電無端コンベ
アを使用する例である。給電無端コンベアは、ゴムロー
ルを用いた一対のプーリ12a,12b間に金属製の無
端ベルト13を掛け渡したものであり、一方のプーリ1
2aの回転により無端ベルト13は一方向に転回して基
材Mを搬送する点は先の実施例と同じである。
【0035】図4は、大小のプーリ12a,12bを上
下段に配設し、両プーリ12a,12b間に無端ベルト
13を掛け渡したものであり、基材Mは陰極である上段
プーリ12aの周上を周回する無端ベルト13の円周面
に沿って搬送される間に電着用金属2を通してメッキ液
が供給され、基材への電着が行われる点並びに基材Mを
無端ベルト13に沿わせるガイドローラ5が堰となって
基材上にメッキ液の液溜めが形成される点は図1に示す
実施例と同じである。
【0036】図5は、基材の搬送ラインの前後に一対の
プーリ12a,12bを配設し、両プーリ12a,12
b間に金属製の無端ベルト13を掛け渡した例である。
この例では、無端ベルト13の水平面に沿って基材が搬
送される間に上方からメッキ液の供給を受けて電着処理
が行われ、基材を屈曲させずにメッキ金属を電着でき
る。
【0037】図6は、斜め上下にプーリ12a,12b
を配設し、両プーリ12a,12b間に跨って無端ベル
ト13を斜めに掛け渡した例である。この例では基材は
無端ベルト13の斜面に沿って上傾方向に移動する間に
電着処理が行われ、上方から供給されるメッキ液は、基
材上をその下傾方向に流れ、これが基材を陰極である無
端ベルト13へ密着させる力として作用することにな
る。
【0038】給電無端コンベアを搬送機構に用いたとき
には、陰極である無端ベルトの配置の仕方により、その
曲面,水平面,傾斜面上で基材を支えて電着処理を行う
ことができ、プーリにはメッキ金属が析出せず、無端ベ
ルトにメッキ金属が付着したときにはこれを容易に交換
できる。
【0039】基材の搬送ラインに沿って、給電無端コン
ベアを2以上連設する要領は先の実施例と同じである。
前後の給電無端コンベア間に配置されたガイドローラ
は、液溜めの堰であり、前段のコンベアに対しては基材
の搬入側ガイドローラとなり、後段のコンベアに対して
は基材の搬入側ガイドローラとなる。以下に本発明の実
施例を示す。
【0040】(実施例)下記の仕様の金属多孔体製造装
置を用いて導電化処理後の基材に電着処理を行った。 給電ロール 直径1000mmφ 給電ロールの数 3段 給電ロールのピッチ間隔 1050cm
【0041】上記仕様の装置を用い、送り速度10m/
Hに設定し、予め導電化処理したウレタンフォーム(厚
み1.7mm,幅1000mm)を基材とし、電流密度
1900A/m2を通電して電着処理を行い、目付量平
均580〜620g/cm2の金属多孔体を製造した。
得られた金属多孔体にエポキシ樹脂を含浸させてこれを
固化し、切断面を観察して基材の網状組織に付着するメ
ッキ金属のメッキ厚を測定した。
【0042】測定は基材の上層部分,中央部分,下層部
分の3個所を選定し、各部分における平均メッキ厚を算
出した。測定結果は次のとおりである。 上層部分のメッキ厚 平均32mm 中央部分のメッキ厚 平均29mm 下層部分のメッキ厚 平均31mm
【0043】以上の結果に明らかなとおり、基材の層厚
方向のメッキ金属の厚みには殆ど差がなく、全層にわた
って均等にメッキ金属が電着して金属多孔体が形成でき
ることが証明された。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明によるときには、陰
極となる給電ロールまたは給電無端ロールを搬送機構と
して搬送機構上に基材を支え、且つメッキ液を上方から
供給しつつ電着処理を行うため、メッキ液を含浸した基
材を搬送機構に密着させて安定に支持でき、電着処理中
に波打つことがなく、均等な電着処理を行うことができ
る。しかも、基材は陰極である搬送機構に密着させるた
め、有効に負電荷に帯電させることが可能となり、電着
金属の析出量を増大できる。
【0045】また、搬送機構の前後に配置されたガイド
ロールは、基材上に供給されたメッキ液の堰となり、メ
ッキ液の液溜めが基材上に形成され、堰止められたメッ
キ液は、基材を陰極である搬送機構に圧接させるととも
に搬送機構を離れて無支持となった基材の三次元網状組
織の層を基材に透過して流出するため、基材の全層にメ
ッキ液が十分に接触し、メッキ金属の電着速度を急速に
進行させて全層に均等にメッキ金属を付着できる。
【0046】また、本発明装置によれば、給電ロールま
たは給電無端コンベアをメッキ液中に浸漬させるもので
はないため、給電ロールや給電無端コンベアのベルトへ
の金属付着量が少なく、メンテナンスが容易である。
【0047】また、本発明によれば、電着用金属に、い
わゆるアノードケースを用いても、これがメッキ液中に
浸漬されているものではないために、先行例3が解決し
ようとする課題としている水素ガスの発生が基材への金
属の電着を妨げるような問題は一切生じない。電着用金
属は、常にメッキ液供給を受けて金属イオンがメッキ液
中に溶出し、多量の金属イオンを含むメッキ液を基材に
供給して電着効率を高めることができる。
【0048】本発明は、複数の給電ロールまたは給電無
端コンベアを直列に配列し、各給電ロール上で順次基材
の電着処理を行えば、各段の電着処理によって基材の導
電性が加速度的に増大するため、大電流を使用して高速
で電着処理を行うことができる。しかし、本発明は、他
の形式の電着装置と組合せて使用することも勿論でき
る。例えば電着処理を二次導電化処理又は予備電着処理
と、本電着処理とに分割して行うときに、本発明装置
は、予備電着(二次電着)処理用,本電着処理用のいず
れにも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】搬送機構に給電ロールを用いた本発明の構成を
示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】搬送機構に給電ロールを用いた本発明の実施例
を示す図である。
【図4】搬送機構に給電無端コンベアを用いた実施例を
示す図である。
【図5】搬送機構に給電無端コンベアを用いた他の実施
例を示す図である。
【図6】搬送機構に給電無端コンベアを用いたさらに他
の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 搬送機構 2 電着用金属 3 メッキ液供給機構 4(4a,4b,4c) 給電ロール 5 ガイドロール 6 タンク 7 ポンプ 8 ノズル 9 ドレン 10 立上り部分 11 液溜め 12a,12b プーリ 13 無端ベルト

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性が付与された基材の少なくとも一
    部を陰極上に支えて連続送りを与えつつ基材の上方から
    メッキ液を供給し、基材の三次元網状組織の骨格表面に
    メッキ金属を電着させる金属多孔体の製造方法であっ
    て、 メッキ液の供給は、陽極である電着用金属に接触させな
    がら陰極に支えられた領域の基材の上方から落下させて
    行い、メッキ液を基材に含浸させ、メッキ液が含浸した
    基材を陰極に密着させて陰極に給電することを特徴とす
    る金属多孔体の製造方法。
  2. 【請求項2】 基材上に供給されたメッキ液を基材が陰
    極から離れて無支持となった領域で基材の三次元網状組
    織を通して流出させることを特徴とする請求項1に記載
    の金属多孔体の製造方法。
  3. 【請求項3】 基材上に供給されたメッキ液を基材上で
    堰止め、基材の三次元網状組織を通して堰き止められた
    メッキ液を流出させることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の金属多孔体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基材上で堰き止められたメッキ液の液圧
    をもって基材を陰極に密着させて給電することを特徴と
    する請求項3に記載の金属多孔体の製造方法。
  5. 【請求項5】 搬送機構と、電着用金属と、メッキ液供
    給機構とを有する金属多孔体の製造装置であって、 搬送機構は、基材の一定領域を支え、一方向に転回して
    基材を搬送する給電ロールまたは給電無端コンベアであ
    り、陰極に給電され、 給電ロールは、金属製の回転ロールであり、 給電無端コンベアは、一方向に転回する対のプーリ間に
    金属製の無端ベルトを掛け渡したものであり、 電着用金属は、給電ロールまたは給電無端コンベアに上
    方に配設されたものであり、陽極に給電され、 メッキ液供給機構は、電着用金属を通して搬送機構上に
    支えられて移動する基材にメッキ液を落下させるもので
    あることを特徴とする金属多孔体の製造装置。
  6. 【請求項6】 搬送機構と、電着用金属と、メッキ液供
    給機構と、液溜めを有する金属多孔体の製造装置であっ
    て、 搬送機構は、基材の一定領域を支え、一方向に転回して
    基材を搬送する給電ロールまたは給電無端コンベアであ
    り、陰極に給電され、 電着用金属は、給電ロールまたは給電無端コンベアに上
    方に配設されたものであり、陽極に給電され、 メッキ液供給機構は、電着用金属に接触させつつメッキ
    液を流下させ、搬送機構上に支えられて移動する基材に
    メッキ液を供給するものであり、 液溜めは、基材を支える搬送機構の前後の少なくとも一
    方で上方から供給されたメッキ液を堰き止めて基材上に
    メッキ液を滞留させる部分であることを特徴とする金属
    多孔体の製造装置。
  7. 【請求項7】 搬送機構の給電ロールまたは給電無端コ
    ンベアに組合されたガイドロールは、給電ロールまたは
    給電無端コンベア上の基材を抑えてその搬送方向を規制
    するものであって、堰を兼ね、上方から供給されたメッ
    キ液を堰き止めて液溜めを形成するものであることを特
    徴とする請求項5又は6に記載の金属多孔体の製造装
    置。
  8. 【請求項8】 搬送機構の給電ロールまたは給電無端コ
    ンベアは、基材の搬送方向に沿って2段以上直列に配列
    されたものであり、前後の給電ロール間または給電無端
    コンベア間に1個のガイドロールが配設され、 前後の給電ロール間または給電無端コンベア間に配設さ
    れたガイドロールは、前段の給電ロールまたは給電無端
    コンベアの排出側ガイドロールと、後段の給電ロールま
    たは給電無端コンベアの搬入側ガイドロールとを兼ね、
    且つ上方から供給されたメッキ液を堰き止めて各段の給
    電ロールまたは給電無端コンベアに支えられた基材上に
    液溜めを形成するものであることを特徴とする請求項7
    に記載の金属多孔体の製造装置。
  9. 【請求項9】 ドレンを有し、 ドレンは、基材より離れて流下したメッキ液を受入れる
    ものであり、 メッキ液供給機構は、ドレン内のメッキ液を汲み上げて
    基材上に供給するものであり、 給電ロールまたは給電無端コンベアは、ドレン内に溜め
    られるメッキ液の液面上方に支持されたものであること
    を特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の金属
    多孔体の製造装置。
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