JPH08333194A - 磁性細線の製造方法 - Google Patents

磁性細線の製造方法

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JPH08333194A
JPH08333194A JP13959095A JP13959095A JPH08333194A JP H08333194 A JPH08333194 A JP H08333194A JP 13959095 A JP13959095 A JP 13959095A JP 13959095 A JP13959095 A JP 13959095A JP H08333194 A JPH08333194 A JP H08333194A
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magnetic
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Akihiro Maesaka
明弘 前坂
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 短時間で広範囲にわたって微細な磁性細線を
形成することを可能とする。 【構成】 高配向性グラファイトよりなる基板の温度を
200℃以上とし、上記高配向性グラファイト基板上に
分子線エピタキシー法により磁性金属或いは磁性合金を
被着させる。なお、上記磁性金属はFe,Co,Niの
うちの少なくとも一種類以上であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性金属或いは磁性合金
よりなる細線を製造する磁性細線の製造方法に関する。
詳しくは基板の種類及び温度を規定することにより短時
間で広範囲にわたって磁性細線を形成することを可能と
する磁性細線の製造方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属材料及び磁性材料よりな
る薄膜をスパッタリング法,真空蒸着法或いは分子線エ
ピタキシー法(以下、MBE法と称する。)等の薄膜形
成手段により成膜する手法が実用化されている。特に磁
性材料薄膜は、磁気記録媒体や磁気ヘッドに応用されて
いる。
【0003】また、近年では、上記薄膜の形成の研究が
更に進み、磁性材料を原子レベルのオーダーで人工的に
積層させた人工格子膜の研究も進められている。このよ
うな人工格子膜においては、その構造に起因する新しい
物理現象やそれを利用した新材料,新製品の研究につい
ても報告されており、例えば積層構造から誘起される垂
直磁気異方性を利用した磁気記録媒体や巨大磁気抵抗を
応用した磁気センサー等が報告されている。
【0004】なお、上記のような人工格子膜を形成する
基板としては、ガラス基板や酸化マグネシウム,マイカ
等の基板が挙げられ、特にMBE法によりエピタキシャ
ル成長させて人工格子膜を形成する場合には、基板とし
て人工格子膜構成材料に対して濡れ性の良好なものを用
いることが好ましいとされており、このような基板を使
用すれば良好な積層構造が形成される。上記濡れ性は、
格子定数の整合性や化学的な結合力等に依存するもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さらに、最近では、膜
厚方向にのみ変調構造を有する一次人工格子膜の他に、
これを発展させて平面内の一方向にも変調を取り入れた
二次元人工格子膜構造、三次元人工格子膜構造、縞状細
線構造、ドット構造等のより複雑な構造を有する人工格
子膜や細線の開発に期待が寄せられている。
【0006】そして、このような種々の次元で変調され
た微細構造を有する磁性材料を使用した人工格子膜や細
線等においては、その構造から派生する新しい物理現象
を利用した新材料の創製や微細な構造を作製する技術を
応用して微小な素子及びデバイスの開発を行うことも期
待されている。
【0007】しかしながら、人工格子膜や細線を上記の
ような微小な素子及びデバイスとするべく、nmオーダ
ーで構造を制御することは現状では不可能である。すな
わち、人工格子膜や細線を製造する方法として検討され
ている集束させたイオンビームを用いた加工方法、電子
線リソグラフィーを用いた加工方法、イオンビーム励起
またはレーザービーム励起化学気相析出(CVD)を用
いた加工方法によってはnmオーダーで構造を制御する
事は不可能である。また、最近では、走査トンネル顕微
鏡(STM)を使用してnmオーダーで微細加工する方
法が挙げられているが、この方法では短時間で広範囲に
わたって加工を行うことが困難であり、生産性が良好で
はなく、これを補う他の技術が必要となる。
【0008】そこで本発明は従来の実情に鑑みて提案さ
れたものであり、短時間で広範囲にわたって微細な磁性
細線を形成する磁性細線の製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等は鋭意検討した結果、MBE法を使用し
て人工格子膜を形成する際の人工格子膜構成材料に対す
る基板の濡れ性の度合いを利用して細線を形成すること
が可能であることを見い出した。従来より、高配向性グ
ラファイト(以下、HOPGと称する。)を基板として
使用した場合、例えば金等の金属に対する上記基板の濡
れ性が良好ではなく、この基板上に人工格子膜を形成し
ようとすると、原子ステップ上に核成長し易く、膜が形
成され難いことが知られていた。そこで本発明者等は、
濡れ性の良好でないHOPGよりなる基板を使用してこ
の上に磁性材料をMBE法により被着させれば、磁性材
料がHOPGの原子ステップ上に選択的に被着すること
から短時間に広範囲にわたって磁性細線が形成されるこ
とを見い出した。
【0010】また、本発明者等がさらに検討を重ねた結
果、HOPGよりなる基板の温度を200℃以上とすれ
ば、磁性材料が原子ステップ上に被着し易くなり、磁性
細線が良好に形成されることを見い出した。
【0011】すなわち本発明の磁性細線の製造方法は、
高配向性グラファイトよりなる基板の温度を200℃以
上とし、上記高配向性グラファイト基板上に分子線エピ
タキシー法により磁性金属或いは磁性合金を被着させる
ことを特徴とするものである。
【0012】このとき、基板の温度が200℃未満であ
ると磁性金属或いは磁性合金が高配向性グラファイト基
板の原子ステップ上に被着し難くなり、磁性細線の形成
が難しくなる。
【0013】なお、上記本発明の磁性細線の製造方法に
おいては、磁性金属がFe,Co,Niのうちの少なく
とも一種類以上であることが好ましい。
【0014】
【作用】本発明の磁性細線の製造方法においては、高配
向性グラファイトよりなる基板の温度を200℃以上と
し、上記高配向性グラファイト基板上に分子線エピタキ
シー法により磁性金属或いは磁性合金を被着させるた
め、磁性金属或いは磁性合金に対して濡れ性の良好でな
い高配向性グラファイト基板の原子ステップ上に磁性金
属或いは磁性合金が選択的に被着し、その部分で結晶成
長が行われ、短時間で広範囲にわたって微細な磁性細線
が形成される。
【0015】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について実験結
果に基づいて説明する。
【0016】実験例1 先ず、HOPG基板を600℃で加熱しながら該基板上
に磁性金属であるNiをMBE法により10分間にわた
って被着させた。なお、Niの蒸発温度は1400℃と
した。基板の表面状態を原子間力顕微鏡(AFM)によ
り観察した結果を図1及び図2に模式的に示す。
【0017】図1及び図2から、基板上には幅数十nm
程度の微細なNiよりなる磁性細線が形成されているこ
とが確認された。これは、HOPG基板の原子ステップ
上にのみ選択的にNiが被着してこの部分に結晶成長が
起こったためと考えられる。さらに、このことから基板
表面のカッティング方位を制御したり、イオンビームや
電子線で基板上に局所的に傷をつけることにより原子ス
テップの位置を定めれば、任意の構造をもつ磁性細線の
作製が可能であることは十分に考えられる。
【0018】また、比較のために、HOPG基板の温度
を室温としてNiを蒸発温度1400℃でMBE法によ
り10分間被着させたところ、基板表面には、30nm
程度の大きさの結晶粒が全面にわたって島状に形成され
ていた。
【0019】さらに、HOPG基板の温度を変化させ、
それぞれにNiを蒸発温度1400℃でMBE法により
10分間被着させたところ、基板の温度が200℃より
も低いと、完全な細線が形成されないことがわかった。
例えば基板の温度を150℃としてNiをMBE法によ
り10分間被着させた場合、基板表面には不完全な細線
が形成された。
【0020】さらに、比較のために、基板としてHOP
G基板の代わりに酸化マグネシウム(以下、MgOと称
する。)基板を使用して上記基板を600℃で加熱しな
がら該基板上にNiをMBE法により10分間にわたっ
て被着させた。なお、Niの蒸発温度は1400℃とし
た。上記基板表面を原子間力顕微鏡により観察したとこ
ろ、MgO基板表面にはNiよりなる薄膜が全面にわた
って形成されていた。
【0021】これは、上記MgO基板はNiと格子定数
が近く、Niに対して濡れ性が非常に良好であり、上記
基板上においてエピタキシャル成長が起こり、平坦なN
iよりなる薄膜が形成されたためと考えられる。
【0022】さらにまた、比較のために、基板としては
HOPG基板を使用し、スパッタリング法やEB蒸着法
を使用し、基板温度を600℃としてNiを被着させ
た。そして、上記基板表面を観察したところ、磁性細線
は形成されていなかった。
【0023】従って、これらの結果から、HOPGより
なる基板の温度を200℃以上とし、上記HOPG基板
上にMBE法により磁性金属を被着させれば、磁性金属
に対して濡れ性の良好でないHOPG基板の原子ステッ
プ上に磁性金属が選択的に被着し、その部分で結晶成長
が行われ、短時間で広範囲にわたって微細な磁性細線が
形成されることが確認された。
【0024】なお、上記MBE法においては、スパッタ
リング法やEB蒸着法等に比べて成膜速度が1桁以上遅
いため、加熱した基板上において準熱平衡状態が実現さ
れて、磁性金属と基板のぬれの効果が顕著となり、磁性
細線の形成が容易となる。
【0025】実験例2 また、HOPG基板の温度を600℃とし、Niの蒸発
温度を1400℃として、上記基板上にNiをMBE法
により被着させる被着時間を変更してNiの被着を行っ
てみた。上記被着時間と形成される磁性細線の幅の関係
を図3に示す。なお、図3中横軸は被着時間を示し、縦
軸は磁性細線の幅を示す。図3の結果から、形成される
磁性細線の幅は被着時間と略比例関係にあることがわか
った。すなわち、被着時間を2分程度に短時間とすれ
ば、従来の加工技術では到底形成不可能であった幅10
nm程度のNiよりなる磁性細線の製造が可能であるこ
とが確認された。
【0026】実験例3 さらに、Niの代わりにFe,Co等の強磁性の磁性金
属を使用して、HOPG基板を600℃で加熱しながら
該基板上に各金属を蒸発温度1400℃としてMBE法
により10分間にわたって被着させたところ、いずれも
再現性良好に磁性細線を形成することができた。
【0027】さらにまた、磁性金属の代わりに磁性合金
を使用しても、磁性細線を形成することが可能である。
なお、上記磁性合金としては、Cu2 MnAl(ホイス
ラー合金)やGd,Tb,Dy等の希土類金属を含む合
金等が挙げられる。
【0028】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁性細線の製造方法においては、高配向性グラファ
イトよりなる基板の温度を200℃以上とし、上記高配
向性グラファイト基板上に分子線エピタキシー法により
磁性金属或いは磁性合金を被着させるため、磁性金属或
いは磁性合金に対して濡れ性の良好でない高配向性グラ
ファイト基板の原子ステップ上に磁性金属或いは磁性合
金が選択的に被着し、その部分で結晶成長が行われ、短
時間で広範囲にわたって微細な磁性細線が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Niを被着させた基板表面の一例を示す模式図
である。
【図2】Niを被着させた基板表面の一例を拡大して示
す模式図である。
【図3】被着時間と磁性細線の幅の関係を示す特性図で
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高配向性グラファイトよりなる基板の温
    度を200℃以上とし、上記高配向性グラファイト基板
    上に分子線エピタキシー法により磁性金属或いは磁性合
    金を被着させることを特徴とする磁性細線の製造方法。
  2. 【請求項2】 磁性金属がFe,Co,Niのうちの少
    なくとも一種類以上であることを特徴とする請求項1記
    載の磁性細線の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019524982A (ja) * 2016-05-26 2019-09-05 ジョルゲンソン,ロビー Iiia族窒化物成長システムおよび方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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