JPH08332933A - 車輌の挙動制御装置 - Google Patents

車輌の挙動制御装置

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JPH08332933A
JPH08332933A JP16470095A JP16470095A JPH08332933A JP H08332933 A JPH08332933 A JP H08332933A JP 16470095 A JP16470095 A JP 16470095A JP 16470095 A JP16470095 A JP 16470095A JP H08332933 A JPH08332933 A JP H08332933A
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braking force
state
wheel
braking
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Yoshiki Fukada
善樹 深田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車輌の走行状態に応じて最適の挙動制御効果
が得られるよう各輪の制動力を制御することにより車輌
の挙動を効果的に且効率的に制御する。 【構成】 車輌のオーバステア状態を検出し(ステップ
30)、オーバステア状態であるときには少なくとも旋
回外側前輪に制動力を付与する(ステップ110、13
0)挙動制御装置。カウンタステア状態を検出し(ステ
ップ40〜70)、カウンタステア状態であるときには
車輪に付与される制動力をカウンタステア状態に応じて
補正する(ステップ100、120)。特に大カウンタ
ステア状態であるときには制動力の付与を停止し(ステ
ップ90、140)又は全輪に最大の制動力を付与す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車輌の旋回
時に於けるドリフトアウトやスピンの如き好ましからざ
る挙動を抑制し低減する挙動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌の旋回時に於ける挙動を
制御する装置の一つとして、例えば特開平3−1127
56号公報に記載されている如く、操舵量変化速度及び
車速より目標ヨーレート変化速度を求め、検出されるヨ
ーレート変化速度が目標ヨーレート変化速度に一致する
よう旋回内側及び外側の車輪を制動するよう構成された
挙動制御装置が従来より知られている。
【0003】かかる挙動制御装置によれば、如何なる運
転操作状況に於いても実際のヨーレート変化速度が目標
ヨーレート変化速度に確実に一致して変化するので、車
輌固有のヨーレートの発生遅れをなくし、ヨーレートの
発生遅れに起因する異和感をなくすことができ、またコ
ーナが連続する山岳路に於いても高速のまま不安定感な
く走行することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に制動力の制御に
よる挙動制御の効果は車輌の走行状態によって異なる。
例えば車輌がオーバステア状態にある場合に於いて運転
者がカウンタステアすると、旋回外側前輪に制動力を付
与することにより発生するヨーモーメント(アンチスピ
ンモーメント)は操舵がカウンタステア状態にない場合
に比して小さくなり、ヨーモーメントの減少量はカウン
タステアの操舵角が大きいほど大きくなる。また車輌が
アンダステア状態にあるときには車輌に旋回補助ヨーモ
ーメントを与えることのみならず、車輌を減速させるこ
とによってもアンダステア状態を低減することができ
る。
【0005】しかるに上記公報に記載されている如き従
来の挙動制御装置に於いては、制動力の制御による挙動
制御の効果は上述の如く車輌の走行状態によって異なる
点が考慮されておらず、そのため車輌の走行状態に応じ
て最適の挙動制御効果を発揮させることができず、従っ
て必しも効果的に且つ効率的に挙動を制御することがで
きないという問題がある。
【0006】本発明は、従来の挙動制御装置に於ける上
述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主
要な課題は、車輌の走行状態に応じて最適の挙動制御効
果が得られるよう各輪の制動力を制御することにより、
車輌の挙動を効果的に且つ効率的に制御することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、車輌のオーバステア状態を検出す
る手段と、車輌のオーバステア状態が検出されたときに
は少なくとも旋回外側前輪に制動力を付与する自動ブレ
ーキ手段と、カウンタステア状態を検出する手段と、カ
ウンタステア状態が検出されたときには前記自動ブレー
キ手段により車輪に付与される制動力をカウンタステア
状態に応じて補正する手段とを有する車輌の挙動制御装
置(請求項1の構成)、車輌のオーバステア状態を検出
する手段と、車輌のオーバステア状態が検出されたとき
には少なくとも旋回外側前輪に制動力を付与する自動ブ
レーキ手段と、操舵角検出手段と、操舵角に基づき旋回
外側前輪に制動力を付与しても車輌の旋回方向とは逆方
向のヨーモーメントが発生しない大カウンタステア状態
であるか否かを判別する手段と、大カウンタステア状態
が判別されたときには前記自動ブレーキ手段による制動
力の付与を停止し又は前記自動ブレーキ手段により全輪
に最大の制動力を付与する手段とを有する車輌の挙動制
御装置(請求項2の構成)、又は車輌のアンダステア状
態を検出する手段と、車輌のアンダステア状態が検出さ
れたときには車輪に制動力を付与する自動ブレーキ手段
と、前記自動ブレーキ手段の作動開始時には減速よりも
旋回補助ヨーモーメントの発生を優先する制動力配分と
し、前記自動ブレーキ手段の作動開始時よりの時間の経
過につれて旋回補助ヨーモーメントよりも減速を優先す
る制動力配分とする制動力配分制御手段とを有する車輌
の挙動制御装置(請求項4の構成)によって達成され
る。
【0008】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、請求項2の構成に於いて、前輪の
駆動力を制御する手段と、大カウンタステア状態が判別
されたことにより前記自動ブレーキ手段による制動力の
付与を停止する場合には前輪の駆動力を増大させる手段
とを有するよう構成される(請求項3の構成)。
【0009】
【作用】車輌の挙動がオーバステア状態であるときには
旋回外側前輪に制動力を付与することにより車輌に対し
アンチスピンモーメント、即ち旋回方向とは逆方向のヨ
ーモーメントを与え、車輌のオーバステア状態を低減す
ることができる。しかし運転者によりカウンタステアが
行われると、旋回外側前輪に与えられる制動力が同一で
あってもアンチスピンモーメントはカウンタステアが行
われない場合に比して小さくなる。
【0010】例えば図14(A)は左旋回中の車輌の挙
動がオーバステア状態であるときにカウンタステアが行
われた状況を示しており、図示の如く左前輪の制動力を
Fとしカウンタステアの操舵角をθとし左右前輪のトレ
ッドをTr とし左右前輪の車軸と車輌の重心Oとの間の
車輌前後方向の距離をLf とすると、制動力Fにより車
輌に与えられるヨーモーメント(アンチスピンモーメン
ト)Mは下記の数1にて表わされる。この数1より解る
如く、カウンタステアの操舵角θの増大につれてヨーモ
ーメントMが漸次減少する。
【数1】 M=F{(Tr /2)* cosθ−Lf *sin θ}
【0011】上述の請求項1の構成によれば、車輌のオ
ーバステア状態が検出されたときには自動ブレーキ手段
により少なくとも旋回外側前輪に制動力が付与され、特
にカウンタステア状態が検出されたときには自動ブレー
キ手段により車輪に付与される制動力がカウンタステア
状態に応じて補正されるので、オーバステア状態の挙動
を制御するために最適のアンチスピンモーメントが発生
され、これにより車輌のオーバステア状態が効果的に且
つ効率的に低減される。
【0012】また上記数1より解る如く、カウンタステ
アの操舵角θが所定値になると、即ち旋回外側前輪の制
動力Fの方向が車輌の重心Oを通るようになると、ヨー
モーメントMが0になり、特に図14(B)に示されて
いる如く旋回外側前輪の制動力Fの方向が車輌の重心O
よりも車輌前方側を通るほどカウンタステアの操舵角が
大きくなると、ヨーモーメントMは負の値になり、制動
力Fにより旋回を助長する方向のヨーモーメントが車輌
に与えられるようになり、オーバステア状態が却って増
大してしまう。
【0013】上述の請求項2の構成によれば、旋回外側
前輪に制動力を付与しても車輌の旋回方向とは逆方向の
ヨーモーメントが発生しない大カウンタステア状態が判
別されたときには、自動ブレーキ手段による制動力の付
与が停止されるので、旋回外側前輪に制動力が付与され
車輌のオーバステア状態を助長する方向のヨーモーメン
トが発生されることが確実に防止され、或いは自動ブレ
ーキ手段により全輪に最大の制動力が付与されるので、
オーバステア状態を助長する方向の大きいヨーモーメン
トが発生されることを回避しつつ車輌ができるだけ速や
かに停止せしめられる。
【0014】特に上述の請求項3の構成によれば、大カ
ウンタステア状態が判別されたことにより自動ブレーキ
手段による制動力の付与が停止される場合には前輪の駆
動力が増大されるので、旋回外側前輪に制動力が付与さ
れ車輌のオーバステア状態を助長する方向のヨーモーメ
ントが発生されることが確実に防止されると共に、前輪
の駆動力によってアンチスピンモーメントが発生され、
これによりただ単に自動ブレーキ手段による制動力の付
与が停止される場合に比して車輌のオーバステア状態が
効果的に抑制される。
【0015】また車輌のアンダステア状態を低減するた
めには、車輌に旋回補助ヨーモーメントを与えること及
び車輌を減速させることの何れも有効であるが、前者は
車輌がオーバステア状態になる虞れがあり、後者は挙動
制御の初期にアンダステア状態を助長する虞れがある。
【0016】上述の請求項4の構成によれば、車輌のア
ンダステア状態が検出されたときには自動ブレーキ手段
により車輪に制動力が付与されるが、自動ブレーキ手段
の作動開始時には減速よりも旋回補助ヨーモーメントの
発生を優先する制動力配分とされることにより、まず車
輌の回頭性が向上され、自動ブレーキ手段の作動開始時
よりの時間の経過につれて旋回補助ヨーモーメントより
も減速を優先する制動力配分とされることにより、減速
によってアンダステア状態が低減されので、挙動制御の
初期にアンダステア状態が助長されたり挙動制御の後半
に車輌がオーバステア状態にされたりすることなく車輌
のアンダステア状態が効果的に且つ効率的に制御され
る。
【0017】
【好ましい実施態様】本発明の一つの好ましい実施態様
によれば、請求項1乃至3の構成に於いて車輌のオーバ
ステア状態を検出する手段は車輌の横すべりを表す物理
量に基づき車輌の挙動がオーバステア状態か否かを判別
するよう構成され、請求項4の構成に於いて車輌のアン
ダステア状態を検出する手段は車輌のヨーレートを表す
物理量に基づき車輌の挙動がアンダステア状態か否かを
判別するよう構成される。
【0018】また本発明の他の一つの好ましい実施態様
によれば、請求項2の構成に於いて大カウンタステア状
態であるか否かを判別する手段は、旋回外側前輪の制動
力の車輌横方向の成分による旋回方向のヨーモーメント
が旋回外側前輪の制動力の車輌前後方向の成分による旋
回方向とは逆方向のヨーモーメント以上であるか否かを
操舵角に基づき判別するよう構成される。
【0019】また本発明の他の一つの好ましい実施態様
によれば、請求項2の構成に於いて自動ブレーキ手段に
より全輪に最大の制動力を付与する手段は路面の摩擦係
数及び各輪の荷重に応じて各車輪が発生し得る最大の制
動力を付与するよう構成される。
【0020】また本発明の他の一つの好ましい実施態様
によれば、請求項4の構成に於いて減速よりも旋回補助
ヨーモーメントの発生を優先する制動力配分から旋回補
助ヨーモーメントよりも減速を優先する制動力配分への
制動力配分の変更は、(1)旋回内側前輪の制動力配分
を減少させると共に旋回外側前輪の制動力配分を増大さ
せること、(2)後輪側の制動力配分を減少させると共
に前輪側の制動力配分を増大させること、又は(3)上
述の(1)及び(2)の組合せにより達成される。
【0021】
【実施例】以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施
例について詳細に説明する。
【0022】図1は本発明による挙動制御装置の第一の
実施例の制動装置を電気式制御装置と共に示す概略構成
図である。
【0023】図1に於いて、制動装置10は運転者によ
るブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレー
キオイルを第一及び第二のポートより圧送するマスタシ
リンダ14を有し、第一のポートは前輪用のブレーキ油
圧制御導管16により左右前輪用のブレーキ油圧制御装
置18及び20に接続され、第二のポートは途中にプロ
ポーショナルバルブ22を有する後輪用のブレーキ油圧
制御導管24により左右後輪用のブレーキ油圧制御装置
26及び28に接続されている。また制動装置10はリ
ザーバ30に貯容されたブレーキオイルを汲み上げ高圧
のオイルとして高圧導管32へ供給するオイルポンプ3
4を有している。高圧導管32は各ブレーキ油圧制御装
置18、20、26、28に接続され、またその途中に
はアキュムレータ36が接続されている。
【0024】各ブレーキ油圧制御装置18、20、2
6、28はそれぞれ対応する車輪に対する制動力を制御
するホイールシリンダ38FL、38FR、38RL、38RR
と、3ポート2位置切換え型の電磁式の制御弁40FL、
40FR、40RL、40RRと、リザーバ30に接続された
低圧導管42と高圧導管32との間に設けられた常開型
の電磁式の開閉弁44FL、44FR、44RL、44RR及び
常閉型の電磁式の開閉弁46FL、46FR、46RL、46
RRとを有している。それぞれ開閉弁44FL、44FR、4
4RL、44RRと開閉弁46FL、46FR、46RL、46RR
との間の高圧導管32は接続導管48FL、48FR、48
RL、48RRにより制御弁40FL、40FR、40RL、40
RRに接続されている。
【0025】制御弁40FL及び40FRはそれぞれ前輪用
のブレーキ油圧制御導管16とホイールシリンダ38FL
及び38FRとを連通接続し且つホイールシリンダ38FL
及び38FRと接続導管48FL及び48FRとの連通を遮断
する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管16と
ホイールシリンダ38FL及び38FRとの連通を遮断し且
つホイールシリンダ38FL及び38FRと接続導管48FL
及び48FRとを連通接続する第二の位置とに切替わるよ
うになっている。同様に40RL及び40RRはそれぞれ後
輪用のブレーキ油圧制御導管24とホイールシリンダ3
8RL及び38RRとを連通接続し且つホイールシリンダ3
8RL及び38RRと接続導管48RL及び48RRとの連通を
遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管2
4とホイールシリンダ38RL及び38RRとの連通を遮断
し且つホイールシリンダ38RL及び38RRと接続導管4
8RL及び48RRとを連通接続する第二の位置とに切替わ
るようになっている。
【0026】制御弁40FL、40FR、40RL、40RRが
第二の位置にある状況に於いて開閉弁44FL、44FR、
44RL、44RR及び開閉弁46FL、46FR、46RL、4
6RRが図示の状態に制御されると、ホイールシリンダ3
8FL、38FR、38RL、38RRは制御弁40FL、40F
R、40RL、40RR及び接続導管48FL、48FR、48R
L、48RRを介して高圧導管32と連通接続され、これ
によりホイールシリンダ内の圧力が増圧される。逆に制
御弁が第二の位置にある状況に於いて開閉弁44FL、4
4FR、44RL、44RRが閉弁され開閉弁46FL、46F
R、46RL、46RRが開弁されると、ホイールシリンダ
は制御弁及び接続導管を介して低圧導管42と連通接続
され、これによりホイールシリンダ内の圧力が減圧され
る。更に制御弁が第二の位置にある状況に於いて開閉弁
44FL、44FR、44RL、44RR及び開閉弁46FL、4
6FR、46RL、46RRが閉弁されると、ホイールシリン
ダは高圧導管32及び低圧導管42の何れとも遮断さ
れ、これによりホイールシリンダ内の圧力がそのまま保
持される。
【0027】かくして制動装置10は、制御弁40FL、
40FR、40RL、40RRが第一の位置にあるときにはホ
イールシリンダ38FL、38FR、38RL、38RRにより
運転者によるブレーキペダル12の踏み込み量に応じた
制動力を発生し、制御弁40FL、40FR、40RL、40
RRの何れかが第二の位置にあるときには当該車輪の開閉
弁44FL、44FR、44RL、44RR及び開閉弁46FL、
46FR、46RL、46RRを開閉制御することにより、ブ
レーキペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制動力に
拘わりなくその車輪の制動力を制御し得るようになって
いる。
【0028】制御弁40FL、40FR、40RL、40RR、
開閉弁44FL、44FR、44RL、44RR及び開閉弁46
FL、46FR、46RL、46RRは後に詳細に説明する如く
電気式制御装置50により制御される。電気式制御装置
50はマイクロコンピュータ52と駆動回路54とより
なっており、マイクロコンピュータ52は図1及び図2
には詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット
(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ラン
ダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置と
を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接
続された一般的な構成のものであってよい。
【0029】マイクロコンピュータ52の入出力ポート
装置には車速センサ56より車速Vを示す信号、実質的
に車体の重心に設けられた横加速度センサ58より車体
の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ60より
車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ62より
操舵角θを示す信号、車輪速センサ64FL、64FR、6
4RL、64RRより対応する車輪の車輪速VFL、VFR、V
RL、VRRを示す信号が入力されるようになっている。尚
横加速度センサ58等は車輌の左旋回方向を正として横
加速度等を検出するようになっている。
【0030】またマイクロコンピュータ52のROMは
後述の如く図2の制御フロー及び図3に示されたグラフ
に対応するマップを記憶しており、CPUは上述の種々
のセンサにより検出されたパラメータに基づき後述の如
く種々の演算を行って車輌の挙動がオーバステア状態で
あるか否かを判別し、また操舵状態がカウンタステア状
態であるか否かを判別し、それらの判別結果に応じて各
輪の目標制動力を演算し、その演算結果に基づき各輪の
制動力を制御して車輌の旋回挙動を安定化させるように
なっている。
【0031】次に図2に示されたフローチャートを参照
して第一の実施例による車輌の旋回挙動制御の概要につ
いて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる
制御は図には示されていないイグニッションスイッチの
閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行され
る。
【0032】まずステップ10に於いては車速センサ5
6により検出された車速Vを示す信号等の読込みが行わ
れ、ステップ20に於いては横加速度Gy と車速V及び
ヨーレートγの積V*γとの偏差Gy −V*γとして横
加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vydが演算さ
れ、この横加速度の偏差Vydが積分されることにより車
体の横すべり速度Vy が演算され、車体の前後速度Vx
(=車速V)に対する車体の横すべり速度Vy の比Vy
/Vx として車体のスリップ角βが演算される。また車
体のスリップ角βの微分値として車体のスリップ角速度
βd が演算される。
【0033】ステップ30に於いては、a及びbをそれ
ぞれ正の定数として車体のスリップ角β及びスリップ角
速度βd の線形和a*β+b*βd (スピン状態量)が
演算されると共に、スピン状態量の絶対値が基準値βc
(正の定数)を越えているか否かの判別、即ち車輌がス
ピン状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行わ
れたときにはステップ140へ進み、肯定判別が行われ
たときにはステップ40へ進む。
【0034】ステップ40に於いては例えば横加速度G
y 又はヨーレートγが正であるか否かの判別により、車
輌が左旋回状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別
が行われたときにはステップ50に於いて係数Sが1に
設定され、否定判別が行われたときにはステップ60に
於いて係数Sが−1に設定される。ステップ70に於い
ては係数Sと操舵角θとの積が正であるか否かの判別、
即ち操舵が旋回方向のステア状態にあるか否かの判別が
行われ、肯定判別が行われたときにはステップ80に於
いて係数Kが1に設定される。
【0035】ステップ70に於いて否定判別、即ち操舵
がカウンタステア状態にある旨の判別が行われたときに
はステップ90に於いて操舵角θの絶対値θa が大カウ
ンタステア状態判別の基準値θc を越えているか否かの
判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ1
40へ進み、否定判別が行われたときにはステップ10
0に於いて補正係数Kが下記の数2に従って設定され
る。尚このステップ70に於ける大カウンタステア状態
の判別は上述の数1の右辺が負であるか否かの判別、換
言すれば tanθa >Tr /(2Lf )であるか否かの判
別により行われてもよい。
【数2】 K=1/( cosθa −(2Lf /Tr ) sinθa )
【0036】ステップ110に於いてはスピン状態量a
*β+b*βd の絶対値に基づき図3に示されたグラフ
に対応するマップより目標スリップ率Rs が演算され、
ステップ120に於いては補正後の目標スリップ率Rsa
がRs *Kとして演算され、ステップ130に於いては
補正後の目標スリップ率Rsaに基づき旋回外側前輪の制
動力が制御される。
【0037】例えばVinを旋回内側前輪の車輪速として
下記の数3に従って旋回外側前輪の目標車輪速Vwtが演
算され、デューティ比Dr が下記の数4に従って演算さ
れる。尚下記の数4に於いて、Vout は旋回外側前輪の
車輪速であり、Kp 及びKdは車輪速フィードバック制
御に於ける比例項及び微分項の比例定数である。
【0038】
【数3】Vwt=(1−Rsa)*Vin
【数4】Dr =Kp *(Vout −Vwt)+Kd *d(V
out −Vwt)/dt
【0039】更にステップ130に於いては旋回外側前
輪の制御弁40FL又は40FRに対し制御信号が出力され
ることによってその制御弁が第二の位置に切換え設定さ
れると共に、同じく旋回外側前輪の開閉弁に対しデュー
ティ比Dr に対応する制御信号が出力されることにより
旋回外側前輪のホイールシリンダ38FL又は38FRに対
するアキュームレータ圧の給排が制御され、これにより
旋回外側前輪の制動圧が制御される。
【0040】この場合デューティ比Dr が負の基準値と
正の基準値との間の値であるときには旋回外側前輪の上
流側の開閉弁が第二の位置に切換え設定され且つ下流側
の開閉弁が第一の位置に保持されることにより、対応す
るホイールシリンダ内の圧力が保持され、デューティ比
が正の基準値以上のときには旋回外側前輪の上流側及び
下流側の開閉弁が図1に示された位置に制御されること
により、対応するホイールシリンダへアキュームレータ
圧が供給されることによって該ホイールシリンダ内の圧
力が増圧され、デューティ比が負の基準値以下であると
きには旋回外側前輪の上流側及び下流側の開閉弁が第二
の位置に切換え設定されることにより、対応するホイー
ルシリンダ内のブレーキオイルが低圧導管42へ排出さ
れ、これにより該ホイールシリンダ内の圧力が減圧され
る。
【0041】ステップ140に於いては旋回外側前輪へ
の制動力の付与が停止されることにより挙動制御が終了
される。尚この場合、補正後の目標スリップ率Rsaが0
でないときには旋回外側前輪へ制動力を付与しつつRsa
が漸次0まで低減されることにより制動力が漸減され
る。
【0042】かくして第一の実施例に於いては、ステッ
プ20に於いて車体のスリップ角β及びスリップ角速度
βd が演算され、ステップ30に於いてこれらに基づき
車輌がスピン状態あるか否かの判別が行われ、車輌がス
ピン状態にはないときには挙動制御中である場合にはス
テップ140に於いて挙動制御が終了された後ステップ
10へ戻る。従ってこの場合にはステップ40〜130
は実行されず、これにより各車輪の制動圧がマスタシリ
ンダ圧、従ってブレーキペダル12の踏込み量に応じて
制御される。
【0043】これに対し車輌がスピン状態になると、ス
テップ30に於いて肯定判別が行われ、ステップ40〜
70に於いて操舵がカウンタステア状態にあるか否かの
判別が行われ、操舵がカウンタステア状態にあるときに
はステップ100に於いて補正係数Kが演算され、ステ
ップ120に於いて目標スリップ率Rs が補正係数Kに
て増大補正され、これにより操舵がカウンタステア状態
にあるときにも車輌のスピン状態が効果的に且つ効率的
に制御される。
【0044】更に車輌がスピン状態になり運転者により
大カウンタステア状態の操舵が行われると、ステップ3
0に於いて肯定判別が行われ、ステップ70に於いて否
定判別が行われ、ステップ90に於いて肯定判別が行わ
れ、ステップ140に於いて挙動制御が終了されること
により、旋回外側前輪への制動力の付与が停止され、こ
れにより旋回外側前輪に制動力を付与することに起因す
る旋回助長方向のヨーモーメントが車輌に与えられるこ
とが確実に防止される。
【0045】図4は第二の実施例に於ける挙動制御ルー
チンを示すフローチャートである。尚図4に於いて、図
2に示されたステップに対応するステップには図2に於
いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付さ
れている。
【0046】この実施例に於いては、ステップ30に於
いて車輌がスピン状態にない旨の判別が行われたときに
はステップ140へ進み、挙動制御が終了されるが、ス
テップ90に於いて肯定判別、即ち操舵状態が大カウン
タステア状態にある旨の判別が行われたときにはステッ
プ150に於いて四輪に対し最大の制動力が与えられる
ことにより四輪がフル制動される。尚この場合、路面の
摩擦係数μが例えば車輌の横加速度Gy の絶対値として
演算され、又は車輌の前後加速度をGx としてGy2+G
x2の平方根として演算され、また例えば車輌の横加速度
Gy 及び前後加速度Gy より各輪の荷重を演算し、これ
らに基づき各輪が発生し得る最大の制動力を演算し、各
輪のホイールシリンダの圧力がかくして演算される最大
の制動力に応じて制御されることが好ましい。
【0047】かくして第二の実施例によれば、車輌がス
ピン状態にある状況に於いて運転者により大カウンタス
テア状態の操舵が行われると、ステップ30に於いて肯
定判別が行われ、ステップ70に於いて否定判別が行わ
れ、ステップ90に於いて肯定判別が行われ、ステップ
140に於いて四輪がフル制動されることにより、旋回
外側前輪に制動力が付与されることに起因する旋回助長
方向のヨーモーメントが車輌に与えられることが確実に
防止されると共に、車輌ができるだけ速やかに停止せし
められる。
【0048】図5は前輪駆動車に適用された本発明によ
る挙動制御装置の第三の実施例を示す概略構成図、図6
は図5に示された実施例の制動装置を電気式制御装置と
共に示す概略構成図である。
【0049】図5に於いて、2FL、2FR、2RL、2RRは
それぞれ左右前輪及び左右後輪を示しており、これらの
車輪の制動力は制動装置10の油圧回路3によりホイー
ルシリンダ38FL、38FR、38RL、38RRの制動圧が
制御されることによって制御されるようになっている。
後に詳細に説明する如く、油圧回路3はブレーキペダル
12の踏み込み操作に応じて又は電気式制御装置50の
マイクロコンピュータ52によって制御されることより
ホイールシリンダ38FL、38FR、38RL、38RRの制
動圧を制御する。
【0050】操舵輪であり駆動輪でもある左右前輪2FL
及び2FRは、図には示されていないステアリングホイー
ルの回転に応じて操舵され、またエンジン4の出力がト
ランスミッション5を介して駆動軸6FL及び6FRへ伝達
されることによって駆動される。エンジン4の出力はア
クセルペダル7の踏み込み量に応じてマイクロコンピュ
ータ52によりスロットルバルブ8を駆動するスロット
ルアクチュエータ9が制御されることによって制御さ
れ、これにより左右前輪2FL及び2FRの駆動力が制御さ
れる。
【0051】図6に詳細に示されている如く、制動装置
10は第一及び第二の実施例に於ける制動装置と同一で
あるが、この実施例の電気式制御装置50のマイクロコ
ンピュータ52の入出力ポート装置にはアクセルペダル
センサ66よりアクセルペダル7の踏み込み量Accp を
示す信号も入力されるようになっている。またマイクロ
コンピュータ52のROMは後述の如く図7及び図8の
制御フロー及び図9のグラフに対応するマップを記憶し
ており、CPUは上述の種々のセンサにより検出された
パラメータに基づき後述の如く種々の演算を行って車輌
の挙動がオーバステア状態であるか否かを判別し、また
操舵状態がカウンタステア状態であるか否かを判別し、
それらの判別結果に応じて各輪の目標制動力を演算し、
その演算結果に基づき各輪の制動力を制御すると共に必
要に応じて左右前輪の駆動力を制御することにより車輌
の旋回挙動を安定化させるようになっている。
【0052】次に図7に示されたフローチャートを参照
して第三の実施例による車輌の旋回挙動制御の概要につ
いて説明する。尚図7に示されたフローチャートによる
制御も図には示されていないイグニッションスイッチの
閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行され
る。また図7に於いて、図2に示されたステップに対応
するステップには図2に於いて付されたステップ番号と
同一のステップ番号が付されている。
【0053】この実施例のステップ80に於いては補正
係数Kが1に設定されると共にスロットル開度の補正値
Ts が0に設定され、ステップ100に於いては補正係
数Kが上述の数2に従って演算されると共にスロットル
開度の補正値Ts が0に設定される。またステップ14
0に於いては旋回外側前輪への制動力の付与が停止され
ることにより挙動制御が終了され、補正後の目標スリッ
プ率Rsaが0に漸次低減されると共にスロットル開度の
補正値Ts が0に設定される。
【0054】更にステップ90に於いて肯定判別、即ち
操舵が大カウンタステア状態である旨の判別が行われた
ときにはステップ160に於いて旋回外側前輪に対する
制動力の付与が終了され、ステップ170に於いてスロ
ットル開度の補正値Ts がKs を正の一定の定数として
スピン状態量a*β+*βd の絶対値と係数Ks との積
に設定される。
【0055】次に図8に示されたフローチャートを参照
して第三の実施例に於けるスロットル開度制御の概要に
ついて説明する。図8に示されたフローチャートによる
制御は所定時間毎の割り込みにより実行される。
【0056】まずステップ210に於いてはアクセルペ
ダルセンサ66により検出されたアクセルペダル7の踏
み込み量Accp を示す信号の読み込みが行われ、ステッ
プ220に於いては踏み込み量Accp に基づき図9に示
されたグラフに対応するマップよりスロットル開度Top
が演算される。
【0057】ステップ230に於いてはステップ220
に於いて演算されたスロットル開度Topと図7に示され
た挙動制御ルーチンにより演算されたスロットル開度の
補正値Ts との和として補正後のスロットル開度Topが
演算され、ステップ240に於いてはスロットルアクチ
ュエータ9へ制御信号が出力されることによりスロット
ルバルブ8の開度が補正後のスロットル開度Topa に制
御される。
【0058】かくしてこの第三の実施例によれば、車輌
がスピン状態にある状況に於いて運転者により大カウン
タステア状態の操舵が行われると、ステップ30に於い
て肯定判別が行われ、ステップ70に於いて否定判別が
行われ、ステップ90に於いて肯定判別が行われ、ステ
ップ160に於いて旋回外側前輪に制動力が付与される
ことが停止され、これにより旋回外側前輪に制動力が付
与されることに起因する旋回助長方向のヨーモーメント
が車輌に与えられることが確実に防止されると共に、ス
テップ170に於いてスロットル開度の補正値Ts がス
ピン状態量a*β+*βd の絶対値と係数Ks との積に
設定され、図8のステップ230に於いてスロットル開
度が補正値Ts だけ増大補正され、大カウンタステア状
態にある左右前輪の駆動力が増大され、これにより操舵
が大カウンタステア状態にあるときにも車輌のスピン状
態が効果的に且つ効率的に制御される。
【0059】図10はドリフトアウトを抑制するよう構
成された本発明による挙動制御装置の第四の実施例の制
動装置を電気式制御装置と共に示す概略構成図である。
【0060】図10に詳細に示されている如く、制動装
置10は第一乃至第三の実施例に於ける制動装置と同一
であるが、この実施例の電気式制御装置50のマイクロ
コンピュータ52の入出力ポート装置には車体の横加速
度Gy を示す信号は入力されず、圧力センサ68よりマ
スタシリンダ圧Pm を示す信号が入力されるようになっ
ている。またマイクロコンピュータ52のROMは後述
の如く図11の制御フロー及び図12、図13のグラフ
に対応するマップを記憶しており、CPUは上述の種々
のセンサにより検出されたパラメータに基づき後述の如
く種々の演算を行って車輌の挙動がアンダステア状態で
あるか否かを判別し、その判別結果に応じて各輪の目標
制動力を演算し、その演算結果に基づき各輪の制動力を
制御することにより車輌の旋回挙動を安定化させるよう
になっている。
【0061】次に図11に示されたフローチャートを参
照して第四の実施例による車輌の旋回挙動制御の概要に
ついて説明する。尚図11に示されたフローチャートに
よる制御も図には示されていないイグニッションスイッ
チの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行さ
れる。
【0062】この実施例のステップ310に於いては車
速センサ56により検出された車速Vを示す信号等の読
込みが行われ、ステップ320に於いてはKh をスタビ
リティファクタとし、Lをホイールベースとして下記の
数5に従って基準ヨーレートγc が演算されると共に、
Tを時定数としsをラプラス演算子として下記の数6に
従って目標ヨーレートγt が演算される。
【0063】
【数5】γc =V*θ*(1+Kh *V2 )*L
【数6】γt =γc /(1+T*s)
【0064】ステップ330に於いてはヨーレート偏差
Δγ、即ち目標ヨーレートγt の絶対値と車輌の実ヨー
レートγの絶対値との偏差|γt |−|γ|が演算さ
れ、ステップ340に於いてはヨーレート偏差Δγが基
準値γc (正の定数)を越えているか否かの判別、即ち
車輌がドリフトアウト状態にあるか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはステップ430へ進
み、肯定判別が行われたときにはステップ350へ進
む。
【0065】ステップ350に於いてはヨーレート偏差
Δγに基づき図12に示されたグラフに対応するマップ
より全制動力Ft が演算され、ステップ360に於いて
は下記の数7に従って内輪の制動力配分Wi が演算さ
れ、ステップ370に於いては内輪の制動力配分Wi に
基づき図13に示されたグラフに対応するマップより後
輪の制動力配分Wr が演算される。
【数7】Wi =(Tct−Tc )/Tct
【0066】ステップ380に於いては下記の数8に従
って四輪の目標制動力Fj (j=fo(旋回外側前輪)、
fi(旋回内側前輪)、ro(旋回外側後輪)、ri(旋回内
側後輪))が演算される。
【数8】 Ffo=Ft *(1−Wi )*(1−Wr ) Ffi=Ft *Wi *(1−Wr ) Fro=Ft *(1−Wi )*Wr Fri=Ft *Wi *Wr
【0067】ステップ390に於いては圧力センサ68
により検出されたマスタシリンダ圧Pm 及び各輪の開閉
弁等へ供給される制御信号に基づき各輪のホイールシリ
ンダ38i(i=FL、FR、RL、RR)の制動圧Pi が推定
され、ステップ380に於いて演算された各輪の目標制
動力に基づき各輪のホイールシリンダ38iの目標制動
圧Ptiが図には示されていないマップより演算され、ま
たデューティ比Driが下記の数9に従って演算される。
尚下記の数9に於いて、Kpp及びKpdは制動圧のフィー
ドバック制御に於ける比例項及び微分項の比例定数であ
る。
【数9】Dri=Kpp*(Pi −Pti)+Kpd*d(Pi
−Pti)/dt
【0068】またステップ390に於いては制動圧が増
減されるべき車輪の制御弁40i に対し制御信号が出力
されることによってその制御弁が第二の位置に切換え設
定されると共に、その車輪の旋回外輪の開閉弁に対しデ
ューティ比Driに対応する制御信号が出力されることに
よりホイールシリンダ38iに対するアキュームレータ
圧の給排が制御され、これにより制動圧が増減されるこ
とによって制動力が目標制動力に制御される。
【0069】ステップ400に於いてはタイマーのカウ
ント値Tc がΔTインクリメントされ、ステップ440
に於いてはカウント値Tc が正の基準値Tctを越えてい
るか否かの判別が行なわれ、否定判別が行なわれたとき
にはステップ310へ戻り、肯定判別が行なわれたとき
にはステップ420に於いて四輪の目標制動力Fj が漸
次0に低減されることによって挙動制御が終了されると
共に、カウント値Tcが0に設定される。
【0070】かくして第四の実施例に於いては、ステッ
プ320及び330に於いてヨーレート偏差Δγが演算
され、ステップ340に於いてヨーレート偏差Δγに基
づき車輌がドリフトアウト状態にあるか否かの判別が行
なわれ、ステップ350に於いてヨーレート偏差Δγに
応じて全制動力Ft が演算され、ステップ360及び3
70に於いてそれぞれ内輪の制動力配分Wi 及び後輪の
制動力配分Wr が演算され、ステップ380に於いてこ
れらの配分に応じて各輪の目標制動力Fj が演算され、
ステップ390に於いて各輪の制動力が目標制動力Fj
になるよう制御される。
【0071】特にドリフトアウトに対する挙動制御の初
期には内輪の制動力配分Wi 及び後輪の制動力配分Wr
が高く設定されることにより、内輪の制動力による旋回
方向のヨーモーメント及び後輪の横力低下による旋回方
向のヨーモーメントが発生され、これによりドリフトア
ウト状態を応答性よく低減することができ、また挙動制
御の後半には内輪の制動力配分Wi 及び後輪の制動力配
分Wr が低く設定されることにより、過剰なヨーモーメ
ントに起因してオーバステア状態(スピン状態)になる
ことを確実に防止しつつ車輌を減速させてドリフトアウ
ト状態を適切に低減することができる。
【0072】更に車輌が実際にドリフトアウト状態にな
い場合には、ステップ340に於いて否定判別が行わ
れ、従ってステップ350〜410が実行されることな
くステップ310へ戻り、これにより各車輪の制動圧が
マスタシリンダ圧、従ってブレーキペダル12の踏込み
量に応じて制御される。
【0073】特に図示の実施例によれば、内輪の制動力
配分Wi 及び後輪の制動力配分Wrが時間の経過と共に
漸次低減されるので、例えば挙動制御の初期には内輪に
制動力が与えられ、挙動制御の後半には外輪に制動力が
与えられるよう旋回内外輪の制動力が制御される場合に
比して、挙動制御中に於ける車輌の挙動の不自然な変化
を確実に防止することができる。
【0074】尚図示の実施例に於いては、内輪の制動力
配分Wi 及び後輪の制動力配分Wrの両方が時間の経過
と共に漸次低減されるようになっているが、これらの一
方の制動力配分のみが漸次変化されてもよく、また左右
前輪の制動力は挙動制御の初期には内輪に制動力が与え
られ、挙動制御の後半には外輪に制動力が与えられるよ
う制御されてもよい。
【0075】以上に於いては本発明を特定の実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施
例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0076】例えば上述の第一乃至第三の実施例に於い
ては、車輌の挙動がオーバステア状態であるか否かの判
別は、車体のスリップ角β及びスリップ角速度βd の線
形和の絶対値が基準値を越えているか否かにより行われ
るようになっているが、車輌の挙動がオーバステア状態
であるか否かの判別はオーバステア状態を示す任意の状
態量に基づき判別されてよい。
【0077】また上述の第一乃至第三の実施例に於いて
は、車輌の挙動がスピン状態であるときには旋回外側前
輪にのみ制動力が与えられるようになっているが、旋回
内側前輪にも制動力が与えられ、内輪の制動力と外輪の
制動力との差により車輌にアンチスピンモーメントが与
えられてもよい。
【0078】また上述の第四の実施例に於いては、圧力
センサ68により検出されたマスタシリンダ圧Pm 及び
各輪の開閉弁等へ供給される制御信号に基づき各輪のホ
イールシリンダ38i(i=FL、FR、RL、RR)の制動圧
Pi が推定され、数8に従って演算された各輪の目標制
動力に基づき各輪のホイールシリンダの目標制動圧Pti
が演算され、圧力フィードバック制御により各輪の制動
圧が制御されようになっているが、各輪のホイールシリ
ンダの制動圧Pi は圧力センサにより検出されてもよ
く、また例えば超音波などを利用する対地車速センサに
より対地車速が検出され、対地車速を基準にして各輪の
目標スリップ率が演算され、各輪の制動圧が目標スリッ
プ率に基づき制御されてもよい。
【0079】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、車輌のオーバステア状態
が検出されたときには自動ブレーキ手段により少なくと
も旋回外側前輪に制動力が付与され、特にカウンタステ
ア状態が検出されたときには自動ブレーキ手段により車
輪に付与される制動力がカウンタステア状態に応じて補
正されるので、オーバステア状態の挙動を制御するため
の最適のアンチスピンモーメントを発生させ、これによ
り車輌のオーバステア状態を効果的に且つ効率的に低減
することができる。
【0080】また請求項2の構成によれば、旋回外側前
輪に制動力を付与しても車輌の旋回方向とは逆方向のヨ
ーモーメントが発生しない大カウンタステア状態が判別
されたときには、自動ブレーキ手段による制動力の付与
が停止されるので、旋回外側前輪に制動力が付与される
ことによって車輌のオーバステア状態を助長する方向の
ヨーモーメントが発生されることを確実に防止すること
ができ、或いは自動ブレーキ手段により全輪に最大の制
動力が付与されるので、オーバステア状態を助長する方
向の大きいヨーモーメントが発生されることを回避しつ
つ車輌をできるだけ速やかに停止させることができる。
【0081】また請求項3の構成によれば、大カウンタ
ステア状態が判別されたことにより自動ブレーキ手段に
よる制動力の付与が停止される場合には前輪の駆動力が
増大されるので、旋回外側前輪に制動力が付与されるこ
とによって車輌のオーバステア状態を助長する方向のヨ
ーモーメントが発生されることを確実に防止することが
できると共に、大カウンタステア状態にある前輪に駆動
力を与えることによってアンチスピンモーメントを発生
させ、これによりただ単に自動ブレーキ手段による制動
力の付与が停止される場合に比して車輌のオーバステア
状態を効果的に抑制することができる。
【0082】また請求項4の構成によれば、車輌のアン
ダステア状態が検出されたときには自動ブレーキ手段に
より車輪に制動力が付与されるが、自動ブレーキ手段の
作動開始時には減速よりも旋回補助ヨーモーメントの発
生を優先する制動力配分とされることにより、まず車輌
の回頭性が向上され、自動ブレーキ手段の作動開始時よ
りの時間の経過につれて旋回補助ヨーモーメントよりも
減速を優先する制動力配分とされることにより、減速に
よってアンダステア状態が低減されので、挙動制御の初
期にアンダステア状態が助長されたり挙動制御の後半に
車輌がオーバステア状態にされたりすることなく車輌の
アンダステア状態を効果的に且つ効率的に制御すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による挙動制御装置の第一の実施例の制
動装置を電気式制御装置と共に示す概略構成図である。
【図2】第一の実施例に於ける挙動制御ルーチンを示す
フローチャートである。
【図3】スピン状態量a*β+b*βd の絶対値と目標
スリップ率Rs との間の関係を示すグラフである。
【図4】第二の実施例に於ける挙動制御ルーチンを示す
フローチャートである。
【図5】前輪駆動車に適用された本発明による挙動制御
装置の第三の実施例を示す概略構成図である。
【図6】第三の実施例の制動装置を電気式制御装置と共
に示す概略構成図である。
【図7】第三の実施例に於ける挙動制御ルーチンを示す
フローチャートである。
【図8】第三の実施例に於けるスロットル開度制御ルー
チンを示すフローチャートである。
【図9】アクセルペダル踏み込み量Accp とスロットル
開度Topとの間の関係を示すグラフである。
【図10】ドリフトアウトを抑制するよう構成された本
発明による挙動制御装置の第四の実施例の制動装置を電
気式制御装置と共に示す概略構成図である。
【図11】第四の実施例に於ける挙動制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図12】スピン状態量a*β+b*βd の絶対値と全
制動力Ft との間の関係を示すグラフである。
【図13】内輪の制動力配分Wi と後輪の制動力配分W
r との間の関係を示すグラフである。
【図14】左右前輪がカウンタステア状態にある状況に
於いて旋回外側前輪に制動力が与えられることにより生
じる旋回抑制方向のヨーモーメントを示す説明図
(A)、及び左右前輪が大カウンタステア状態にある状
況に於いて旋回外側前輪に制動力が与えられることによ
り生じる旋回助長方向のヨーモーメントを示す説明図
(B)である。
【符号の説明】
3…油圧回路 4…エンジン 5…トランスミッション 10…制動装置 14…マスタシリンダ 18、20、26、28…ブレーキ油圧制御装置 34…オイルポンプ 38FL、38FR、38RL、38RR…ホイールシリンダ 40FL、40FR、40RL、40RR…制御弁 44FL、44FR、44RL、44RR…開閉弁 46FL、46FR、46RL、46RR…開閉弁 50…電気式制御装置 56…車速センサ 58…横加速度センサ 60…ヨーレートセンサ 62…操舵角センサ 64FL〜64RR…車輪速センサ 66…アクセルペダルセンサ 68…圧力センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輌のオーバステア状態を検出する手段
    と、車輌のオーバステア状態が検出されたときには少な
    くとも旋回外側前輪に制動力を付与する自動ブレーキ手
    段と、カウンタステア状態を検出する手段と、カウンタ
    ステア状態が検出されたときには前記自動ブレーキ手段
    により車輪に付与される制動力をカウンタステア状態に
    応じて補正する手段とを有する車輌の挙動制御装置。
  2. 【請求項2】車輌のオーバステア状態を検出する手段
    と、車輌のオーバステア状態が検出されたときには少な
    くとも旋回外側前輪に制動力を付与する自動ブレーキ手
    段と、操舵角検出手段と、操舵角に基づき旋回外側前輪
    に制動力を付与しても車輌の旋回方向とは逆方向のヨー
    モーメントが発生しない大カウンタステア状態であるか
    否かを判別する手段と、大カウンタステア状態が判別さ
    れたときには前記自動ブレーキ手段による制動力の付与
    を停止し又は前記自動ブレーキ手段により全輪に最大の
    制動力を付与する手段とを有する車輌の挙動制御装置。
  3. 【請求項3】請求項2の車輌の挙動制御装置に於いて、
    前輪の駆動力を制御する手段と、大カウンタステア状態
    が判別されたことにより前記自動ブレーキ手段による制
    動力の付与を停止する場合には前輪の駆動力を増大させ
    る手段とを有していることを特徴とする車輌の挙動制御
    装置。
  4. 【請求項4】車輌のアンダステア状態を検出する手段
    と、車輌のアンダステア状態が検出されたときには車輪
    に制動力を付与する自動ブレーキ手段と、前記自動ブレ
    ーキ手段の作動開始時には減速よりも旋回補助ヨーモー
    メントの発生を優先する制動力配分とし、前記自動ブレ
    ーキ手段の作動開始時よりの時間の経過につれて旋回補
    助ヨーモーメントよりも減速を優先する制動力配分とす
    る制動力配分制御手段とを有する車輌の挙動制御装置。
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