JPH08330642A - 圧電変換用強誘電体素子及び圧電変換検出器 - Google Patents

圧電変換用強誘電体素子及び圧電変換検出器

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JPH08330642A
JPH08330642A JP7132130A JP13213095A JPH08330642A JP H08330642 A JPH08330642 A JP H08330642A JP 7132130 A JP7132130 A JP 7132130A JP 13213095 A JP13213095 A JP 13213095A JP H08330642 A JPH08330642 A JP H08330642A
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JP
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piezoelectric conversion
electrode
crystal body
electrodes
short
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JP7132130A
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English (en)
Inventor
Masami Ohata
正巳 大畑
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Hokkaican Co Ltd
Original Assignee
Hokkaican Co Ltd
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Publication date
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】強誘電体の焦電性に基づく雑音信号を可能な限
り十分に排除することができる圧電変換用強誘電体素子
を提供する。 【構成】強誘電体から成る板状の結晶体2の分極軸方向
にほぼ平行な表裏面2a,2bに圧電変換用電極3a,
3bを固着した圧電変換用強誘電体素子1において、結
晶体2の分極軸方向にほぼ垂直に相対する面部2c,2
cを含む全外周面に短絡用電極4を固着した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電変換用強誘電体素
子及びそれを検出素子として用いた加速度センサ等の圧
電変換検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】ニオブ酸リチウム、ロッシェル塩等の強
誘電体から成る単結晶体、あるいは強誘電体セラミック
スから成る多結晶体は圧電性を有し、引張力や圧縮力、
剪断力等の応力を加えた時にそれに応じた電気出力を生
じる。このため、この種の強誘電体の結晶体は、圧電変
換用の素子として用いられ、さらに、その素子は、その
圧電変換特性を利用して、加速度、荷重等の物理量を測
定するための検出器の検出素子として使用されている。
【0003】この場合、前記圧電変換用の素子(以下、
圧電変換用強誘電体素子という)は、通常、例えば図1
7(a)に示すように板状に形成された強誘電体の結晶
体aの表面及び裏面に導体材料から成る一対の圧電変換
用電極b,bをそれぞれ蒸着等により固着することによ
り構成される。そして、例えば結晶体aの表面及び裏面
に平行な方向に剪断力を加えた時にそれに応じて圧電変
換用電極b,b間に生じる電気信号(電荷)を該圧電変
換用電極b,bを介して外部に出力する。尚、結晶体a
は、例えば単結晶体にあっては、そのインゴットをカッ
ティングして作成される。
【0004】また、強誘電体セラミックス等の多結晶体
を用いた圧電変換用強誘電体素子にあっては、図17
(b)に示すように結晶体cを超音波加工等によって円
筒形状に製造する場合もある。この場合、結晶体cが、
例えばその軸方向に剪断応力を加えた時にそれに応じて
結晶体cの径方向に電気信号を生じるように製造され、
その電気信号を外部に出力するための圧電変換用電極
d,dが結晶体cの内周面及び外周面に固着される。
【0005】さらに、前述したような圧電変換用強誘電
体素子を、加速度、荷重等の物理量を測定するための検
出器の検出素子として使用する検出器にあっては、加速
度、荷重等の物理量に応じた機械力を前記強誘電体素子
に付与し、それを該素子により電気信号に変換すること
により、該電気信号から間接的に加速度、荷重等の物理
量を測定する。
【0006】一方、前記強誘電体は、一般に、圧電性に
加えて焦電性という性質をもっており、この焦電性は、
強誘電体の温度のゆらぎ(温度変化)に応じて電気信号
を生じるという性質である。ところが、このような強誘
電体を前述のような圧電変換用強誘電体素子として使用
する場合、該素子に加わる応力に応じた電気信号に加え
て、上記の焦電性によって、温度変化に応じた電気信号
も生成される。そして、このような温度変化に応じた電
気信号は、それが圧電性に基づく電気信号に加わると、
圧電変換の上では雑音信号となるため好ましくない。
【0007】特に、前記圧電変換用強誘電体素子や、こ
れを用いた検出器を温度変化の比較的大きな環境下で使
用する場合には、上記の焦電性による雑音成分が多くな
って、応力や加速度、荷重等を検出する上で不都合を生
じる。
【0008】この場合、前記強誘電体にあっては、その
焦電性による電気信号は、該強誘電体の分極軸方向に生
じることが一般に知られている。このため、前記圧電変
換用強誘電体素子を作成する場合には、図17に示した
ように、一対の圧電変換用電極を固着する結晶体の電極
面が、分極軸方向に平行になるように結晶体を作成す
る。このようにすることで、原理的には、前記素子の圧
電変換用電極間に、強誘電体の焦電性に基づく電気信号
が生じるのが防止され、その焦電性に基づく雑音成分が
排除される。
【0009】しかしながら、本願発明の発明者等の知見
によれば、上記のように作成した圧電変換用強誘電体素
子であっても、特に温度変化の比較的大きな環境下で
は、強誘電体の焦電性に基づく電気信号が圧電変換用電
極間に加わるのを十分には排除することができず、応力
や加速度、荷重等を検出する上で支障をきたす程度に生
じてしまう場合が多々ある。この理由は、圧電変換用強
誘電体素子の結晶体を作成する際に、インゴットのカッ
ティング方位の精度等、該結晶体の製造精度や製造条件
等に起因して、実際上、圧電変換用電極を固着する電極
面を結晶体の分極軸方向に高精度で平行にすることは困
難であり、このため強誘電体の焦電性に基づく電気信号
が圧電変換用電極間に加わるのを十分には低減すること
ができないためと考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる不都合
を解消し、強誘電体の焦電性に基づく雑音信号を可能な
限り十分に排除することができる圧電変換用強誘電体素
子及びそれを用いた加速度センサ等の圧電変換検出器を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の圧電変換用強誘電体素子は、分極軸方向
に略平行な一対の電極面が形成された強誘電体から成る
結晶体と、該一対の電極面にそれぞれ固着された導体材
料から成る一対の圧電変換用電極とにより構成された圧
電変換用強誘電体素子において、前記結晶体の前記分極
軸方向に略垂直に相対する一対の面部を互いに短絡する
導体材料から成る短絡用電極を前記結晶体に固着し、該
短絡用電極を少なくとも前記一対の圧電変換用電極の一
方と絶縁して設けたことを特徴とする。
【0012】そして、前記結晶体は前記一対の電極面を
表裏面とする板状の結晶体であり、前記各圧電変換用電
極は、その周縁を前記各電極面の周縁から内側に離間さ
せて該電極面に固着され、前記短絡用電極は、前記分極
軸方向に略垂直に相対する一対の面部を含む前記板状の
結晶体の外周面にその全周長にわたって固着されている
ことを特徴とする。
【0013】さらに、前記一対の圧電変換用電極及び短
絡用電極は、前記板状の結晶体の全面に固着された導体
材料から成る電極皮膜を前記各電極面の周縁部の位置で
全周にわたって除去することにより形成されていること
を特徴とする。
【0014】また、前記結晶体は前記一対の電極面を表
裏面とする板状の結晶体であり、前記一対の圧電変換用
電極の一方は、一方の電極面に全面にわたって固着さ
れ、他方の圧電変換用電極は、その側縁が前記結晶体の
分極軸方向に略垂直に相対する一対の面部から離間する
位置で他方の電極面に固着され、前記短絡用電極は、前
記結晶体の分極軸方向に垂直に相対する一対の面部に前
記一方の圧電変換用電極と導通させて固着されているこ
とを特徴とする。
【0015】また、前記結晶体は、前記分極軸方向に略
平行な軸心を有し、且つ内周面及び外周面を前記一対の
電極面とした円筒形状の多結晶体であり、前記一対の圧
電変換用電極の一方は、前記円筒形状の結晶体の内周面
又は外周面の全周面に固着され、他方の圧電変換用電極
は、該円筒形状の結晶体の外周面又は内周面の両端から
離間した周面部に全周にわたって固着され、前記短絡用
電極は、前記円筒形状の結晶体の前記分極軸方向に略垂
直に相対する両端面に前記一方の圧電変換用電極と導通
させて固着されていることを特徴とする。
【0016】さらに、前記一対の圧電変換用電極及び短
絡用電極は、前記円筒形状の結晶体の全面に固着された
導体材料から成る電極皮膜を該結晶体の内周面及び外周
面のいずれか一方の両端部の位置で全周にわたって除去
することにより形成されていることを特徴とする。
【0017】また、前記結晶体は、前記分極軸方向を略
径方向とし、且つ両端面を前記一対の電極面とした円筒
形状の多結晶体であり、前記一対の圧電変換用電極は前
記円筒形状の結晶体の両端面の全面に固着され、前記短
絡用電極は、前記円筒形状の結晶体の内周面及び外周面
に一方の圧電変換用電極から離間した位置で他方の圧電
変換用電極に導通させて該内周面及び外周面の全周にわ
たって固着されていることを特徴とする。
【0018】また、本発明の圧電変換検出器は、前記の
目的を達成するために、分極軸方向に略平行な一対の電
極面が形成された強誘電体から成る結晶体と、該一対の
電極面にそれぞれ固着された導体材料から成る一対の圧
電変換用電極とにより構成された圧電変換用強誘電体素
子に、加速度、荷重等の測定対象物理量に応じた機械力
を付与することにより該測定対象物理量に応じた電気信
号を前記一対の圧電変換用電極間に生ぜしめ、該電気信
号により該測定対象物理量を検出する圧電変換検出器に
おいて、前記圧電変換用強誘電体素子の結晶体の前記分
極軸方向に略垂直に相対する一対の面部を互いに短絡す
る導体材料から成る短絡用電極を前記結晶体に固着し、
該短絡用電極を少なくとも前記一対の圧電変換用電極の
一方と絶縁して設けたことを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明の圧電変換用強誘電体素子によれば、前
記結晶体に固着された短絡用電極により、前記分極軸方
向に略垂直に相対する一対の面部が短絡されるため、前
記結晶体を構成する強誘電体の焦電性に基づく温度変化
に応じた電気信号が生じ難くなる。これにより、前記一
対の圧電変換用電極を固着した前記結晶体の電極面が前
記分極軸方向に略平行になっていることと併せて、前記
一対の圧電変換用電極間に強誘電体の圧電性によって生
じる電気信号に、雑音成分となる焦電性に基づく電気信
号が加わるのが防止される。尚、前記短絡電極は、前記
一対の圧電変換用電極のいずれか一方と絶縁されておれ
ば、他方の圧電変換用電極とは導通させておいてもよ
い。この場合には、該他方の圧電変換用電極と短絡電極
とは同電位となる。
【0020】前記結晶体が前記一対の電極面を表裏面と
する板状の結晶体であるときには、前記各圧電変換用電
極を、その周縁を前記各電極面の周縁から内側に離間さ
せて該電極面に固着し、前記結晶体の分極軸方向に略垂
直に相対する一対の面部を含む外周面にその全周長にわ
たって前記短絡電極を固着することが特に好ましい。こ
のようにすることで、結晶体の分極軸方向に略垂直に相
対する一対の面部を含む外周面の各部がわたって短絡電
極により短絡させることとなり、強誘電体の焦電性に基
づく電気信号の生成が大幅に抑制される。
【0021】この場合、前記一対の圧電変換用電極及び
短絡用電極は、例えば前記板状の結晶体の全面に固着さ
れた導体材料から成る電極皮膜を前記各電極面の周縁部
の位置で全周にわたって除去することにより容易に形成
される。すなわち、前記結晶体の表裏面の電極面に固着
された電極皮膜によって、前記一対の圧電変換用電極が
形成され、該結晶体の外周面に固着された電極皮膜によ
って、前記短絡電極が形成される。そして、前記各電極
面の周縁部の位置で全周にわたって除去することによ
り、前記一対の圧電変換用電極の周縁が短絡電極から離
間して該短絡電極から電気的に絶縁される。
【0022】尚、前記結晶体が板状の結晶体である場合
において、前記結晶体の分極軸方向に略垂直に相対する
一対の面部を互いに短絡させるためには、例えば前記一
対の圧電変換用電極の一方を、一方の電極面に全面にわ
たって固着すると共に、他方の圧電変換用電極を、その
側縁が前記結晶体の分極軸方向に略垂直に相対する一対
の面部から離間する位置で他方の電極面に固着し、前記
短絡用電極を、前記結晶体の分極軸方向に垂直に相対す
る一対の面部に前記一方の圧電変換用電極と導通させて
固着してもよい。このようにすると、前記結晶体の分極
軸方向に垂直に相対する一対の面部は、前記短絡用電極
及び一方の圧電変換用電極を介して短絡される。そし
て、他方の圧電変換用電極は、前記短絡電極を固着した
結晶体の分極軸方向に垂直に相対する一対の面部から離
間しているので、該短絡用電極から絶縁される。
【0023】また、前記結晶体が、前記分極軸方向に略
平行な軸心を有し、且つ内周面及び外周面を前記一対の
電極面とした円筒形状の多結晶体であるときには、前記
一対の圧電変換用電極の一方を、前記円筒形状の結晶体
の内周面又は外周面の全周面に固着すると共に、他方の
圧電変換用電極を、該円筒形状の結晶体の外周面又は内
周面の両端から離間した周面部に全周にわたって固着
し、前記短絡用電極を、前記円筒形状の結晶体の前記分
極軸方向に略垂直に相対する両端面に前記一方の圧電変
換用電極と導通させて固着する。このようにすることに
より、分極軸方向に略垂直に相対する結晶体の両端面が
それに固着された短絡電極と、該短絡電極と導通する前
記一方の圧電変換用電極とを介して短絡される。そし
て、前記他方の圧電変換用電極は、短絡用電極から離間
して絶縁される。
【0024】この場合、前記一対の圧電変換用電極及び
短絡用電極は、例えば前記円筒形状の結晶体の全面に固
着された導体材料から成る電極皮膜を該結晶体の内周面
及び外周面のいずれか一方の両端部の位置で全周にわた
って除去することにより容易に形成される。すなわち、
前記結晶体の内周面及び外周面の電極面に固着された電
極皮膜によって、前記一対の圧電変換用電極が形成さ
れ、該結晶体の両端面に固着された電極皮膜によって、
前記短絡電極が形成される。そして、該結晶体の内周面
及び外周面のいずれか一方の両端部の位置で全周にわた
って除去することにより、前記結晶体の内周面及び外周
面のいずれか一方に固着された圧電変換用電極が短絡電
極から絶縁される。また、他方の圧電変換用電極は前記
短絡電極と導通した状態に保持される。
【0025】尚、前記結晶体を円筒形状の多結晶体とし
た場合において、分極軸方向を該結晶体の径方向とした
場合には、前記一対の圧電変換用電極を固着する電極面
は、該結晶体の両端面となる。従って、この場合には、
分極軸方向に略垂直に相対する面部は結晶体の内周面及
び外周面であり、それらの内周面及び外周面を互いに短
絡するためには、該内周面及び外周面に短絡電極を固着
すると共に、それを結晶体の両端面に固着された一対の
圧電変換用電極のいずれか一方のみに導通させる。これ
により、結晶体の内周面及び外周面は、それらに固着さ
れた短絡電極と、これに導通する一方の圧電変換用電極
とを介して互いに短絡される。
【0026】次に、本発明の圧電変換検出器によれば、
前記測定対象物理量に応じた電気信号を出力する前記圧
電変換用強誘電体素子の結晶体に前記短絡電極を固着し
たことにより、前述の本発明の圧電変換用強誘電体素子
の作用に従って、測定対象物理量の検出に際して雑音成
分となる焦電性に基づく電気信号が、測定対象物理量に
応じた電気信号に加わるのが防止される。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕本発明の圧電変換用強誘電体素子の第1実
施例を図1(a),(b)を参照して説明する。図1
(a)は本実施例の圧電変換用強誘電体素子の平面図、
図1(b)は図1(a)のI−I線断面図である。
【0028】図1(a),(b)を参照して、本実施例
の圧電変換用強誘電体素子1は、強誘電体から成る方形
板状の結晶体2と、結晶体2に固着された一対の圧電変
換用電極3及び短絡用電極4とにより構成されている。
【0029】結晶体2は、例えば強誘電体であるニオブ
酸リチウム(LiNbO3)単結晶体のインゴット(図示せ
ず)を、図1に示すように設定した空間座標系において
Xカット(X軸に垂直な面でカッティングすること。Y
軸に垂直な面でカッティングするYカットでもよい)す
ることにより、結晶体2の表裏面2a,2b(図1
(b)において上面及び下面)を形成し、それを方形状
に形成したものである。この場合、座標系は、そのZ軸
をニオブ酸リチウム単結晶体の分極軸方向に向けて設定
され、結晶体2の表裏面2a,2bはその分極軸方向
(Z軸方向)にほぼ平行とされている。
【0030】前記圧電変換用電極3a,3bは、結晶体
2の表裏面2a,2bを電極面2a,2bとしてそれぞ
れ該電極面2a,2bに薄膜状に固着されている。この
場合、圧電変換用電極3a,3bは、例えば導体材料で
ある銀(金やクロム、アルミニウム等でもよい)を蒸
着、メッキ及び焼き付けにより結晶体2の電極面(表裏
面)2a,2bに固着したものである。そして、上記蒸
着やメッキに際して、例えば結晶体2の電極面2a,2
bの周縁部を全周にわたってマスキングしておくことに
より、圧電変換用電極3a,3bは、その周縁が結晶体
2の電極面2a,2bの周縁から内側に離間するように
設けられている。
【0031】前記短絡用電極4は、結晶体2の外周面の
全面にその全周長にわたって薄膜状に固着されている。
これにより、結晶体2の分極軸方向(Z軸方向)にほぼ
垂直に相対する一対の面部2c,2cを含めて結晶体2
の外周面の全面がその全周長にわたって短絡用電極4に
より互いに短絡されている。尚、この短絡用電極4は、
圧電変換用電極3a,3bと同様に、導体材料である銀
等を蒸着、メッキ及び焼き付けにより結晶体2の外周面
に固着したものである。
【0032】かかる圧電変換用強誘電体素子1において
は、前記短絡用電極4を上記のように設けたことによっ
て、温度変化の比較的大きな環境下で使用した場合に、
圧電変換用電極3a,3b間に、強誘電体である結晶体
2の焦電性に基づく電気信号(以下、焦電出力という)
が加わるのが大幅に低減される。これについては、詳細
を後述する。
【0033】尚、本実施例の圧電変換用強誘電体素子1
は、ニオブ酸リチウム単結晶のXカット板を用いたが、
Yカット板(インゴットをY軸に垂直な面でカッティン
グしたもの)を用いてもよく、あるいは、剪断型圧電セ
ラミックスであってもよい。そして、このような圧電変
換用強誘電体素子1にあっては、その結晶体2に例えば
Z軸方向に剪断力を加えると、それに応じた電気信号が
ニオブ酸リチウム単結晶体である結晶体2の圧電性によ
って、圧電変換用電極3a,3b間に顕著に生じる。従
って、圧電変換用強誘電体素子1は、Z軸方向に加わる
剪断力をそれに応じた電気信号に変換して、それを圧電
変換用電極3a,3bから外部に取り出して検出する場
合に適する。尚、圧電セラミックスの場合、分極軸方向
だけが異方性をもつので、X軸、Y軸の区別はなくな
る。 〔実施例2〕次に、本発明の圧電変換用強誘電体素子の
第2実施例を図2(a),(b)を参照して説明する。
図2(a)は本実施例の圧電変換用強誘電体素子の平面
図、図2(b)は図2(a)のII−II線断面図であ
る。
【0034】本実施例の圧電変換用強誘電体素子5は、
前記実施例1のものと形状が相違するもので、その本体
部である結晶体2を円板形状に形成したものである。こ
の場合、結晶体2は、例えば実施例1と同様に、ニオブ
酸リチウム単結晶体のインゴット(図示せず)を、その
分極軸方向をZ軸方向としてXカット(Yカットでもよ
い)して作成され、その表裏面2a,2bが分極軸方向
とほぼ平行に形成されている。そして、実施例1のもの
と同様に、該結晶体2の表裏面の電極面2a,2bには
圧電変換用電極3a,3bを固着し、さらに、結晶体2
の分極軸方向にほぼ垂直に相対する一対の面部2c,2
c(この場合は円弧面となる)を含めて結晶体2の外周
面全面に、短絡用電極4を固着している。両圧電変換用
電極3a,3bは、その周縁が結晶体2の表裏面の電極
面2a,2bの周縁から内側に離間して、短絡用電極4
から絶縁されている。
【0035】かかる圧電変換用強誘電体素子5において
も、後述するように圧電変換用電極3a,3b間に焦電
出力が加わるのが低減される。 〔実施例3〕次に、本発明の圧電変換用強誘電体素子の
第3実施例を図3(a),(b)を参照して説明する。
図3(a)は本実施例の圧電変換用強誘電体素子の平面
図、図3(b)は図3(a)のIII−III線断面図
である。
【0036】本実施例の圧電変換用強誘電体素子6は、
前記実施例1のものと基本的構成は同一のもので、大略
方形板状に形成された結晶体2の分極軸方向にほぼ平行
な表裏面の電極面2a,2bに圧電変換用電極3a,3
bが固着され、該結晶体2の外周面にその全周長にわた
って短絡用電極4が固着されている。この場合、圧電変
換用電極3a,3bは、その周囲の結晶体2の表裏面の
電極面2a,2bの周縁部に全周にわたって形成された
傾斜した面取り部2am,2bmを介して結晶体2の外
周面の短絡用電極4と離間し、該短絡用電極4から絶縁
されている。
【0037】この圧電変換用強誘電体素子6は、次のよ
うに作成されている。すなわち、例えば実施例1と同様
に、ニオブ酸リチウム単結晶体のインゴット(図示せ
ず)を、その分極軸方向をZ軸方向としてXカット(Y
カットでもよい)することにより、方形板状の結晶体2
x(図3(b)に仮想線で示す)を作成し、それの全面
(表裏面及び外周面)に蒸着やメッキにより銀等から成
る電極皮膜2y(図3(b)に仮想線で示す)を固着す
る。そして、このように全面に電極皮膜2yを固着した
方形板状の結晶体2xの表裏面の周縁部(前記面取り部
2am,2bmの箇所)を図3に示すように全周にわた
って面取りすることにより、その周縁部の電極皮膜2y
を除去する。これにより、結晶体2の表裏面の電極面2
a,2bに圧電変換用電極3a,3bが形成されると共
に、結晶体2の外周面にその全周長にわたって圧電変換
用電極3a,3bと離間して絶縁された短絡用電極4が
形成される。このようにすることで、前記実施例1のも
のと同様の構成の圧電変換用強誘電体素子6を容易に作
成することができる。
【0038】そして、かかる圧電変換用強誘電体素子6
にあっても、後述するように圧電変換用電極3a,3b
間に焦電出力が加わるのが低減される。
【0039】尚、本実施例の圧電変換用強誘電体素子6
の結晶体2は、略方形板状のものとしたが、前記実施例
2のものと同様に、円板形状としてもよいことはもちろ
んである。この場合には、図2に示したような円板形状
の結晶体の全面に電極皮膜を固着した後、該結晶体の表
裏面の周縁部の位置で全周にわたって面取りして電極皮
膜を除去すればよい。 〔実施例4〕次に、本発明の圧電変換用強誘電体素子の
第4実施例を図4(a),(b)を参照して説明する。
図4(a)は本実施例の圧電変換用強誘電体素子の斜視
図、図4(b)は図4(a)のIV−IV線断面図であ
る。
【0040】本実施例の圧電変換用強誘電体素子7の本
体部である結晶体2は前記実施例1と同一の方形板状の
ものであり、その結晶体2の表裏面の電極面2a,2b
に圧電変換用電極3a,3bが固着され、結晶体2の分
極軸方向にほぼ垂直な面部2c,2cの全面にそれぞれ
短絡用電極4,4が固着されている。この場合、結晶体
2の裏面2bの圧電変換用電極3bは、該裏面2bの全
面にわたって固着され、短絡用電極4,4と一体に導通
されている。従って、結晶体2の分極軸方向にほぼ垂直
な面部2c,2cは、それらに固着された短絡用電極
4,4と圧電変換用電極3bとを介して互いに短絡され
ている。また、結晶体2の表面2aの圧電変換用電極3
aは、その両側縁が上記面部2c,2cから離間されて
おり、短絡用電極4,4から絶縁されている。尚、圧電
変換用電極3aの分極軸方向とほぼ平行な前後縁は、図
4(a)に示すように結晶体2の表面2aの前後辺部ま
で延設されている。
【0041】かかる圧電変換用強誘電体素子7にあって
も、分極軸方向にほぼ垂直な面部2c,2cが互いに短
絡されるため、後述するように圧電変換用電極3a,3
b間に焦電出力が加わるのが低減される。 〔実施例5〕次に、本発明の圧電変換用強誘電体素子の
第5実施例を図5(a),(b)を参照して説明する。
図5(a)は本実施例の圧電変換用強誘電体素子の斜視
図、図5(b)は図5(a)のV−V線断面図である。
【0042】本実施例の圧電変換用強誘電体素子8の本
体部である結晶体2は前記実施例1と同一の方形板状の
ものであり、その結晶体2の表裏面の電極面2a,2b
に圧電変換用電極3a,3bが固着されている。また、
結晶体2の外周面の分極軸方向にほぼ垂直な面部2c,
2cと、これらの面部2c,2cに直角に連なる一つの
面部2dとに、略コ字形に連続した短絡用電極4が固着
され、これにより、面部2c,2cが面部2dの箇所を
介して互いに短絡されている。この場合、圧電変換用電
極3a,3bは、短絡用電極4が固着された面部2c,
2c,2dから離間して該短絡用電極4から絶縁され、
また、結晶体2の外周面の短絡用電極4が固着されてい
ない面部2e側は、該面部2eの位置まで延設されてい
る。
【0043】かかる圧電変換用強誘電体素子8にあって
も、分極軸方向(Z軸方向)にほぼ垂直な面部2c,2
cが互いに短絡されるため、後述するように圧電変換用
電極3a,3b間に焦電出力が加わるのが低減される。 〔実施例6〕次に、本発明の圧電変換用強誘電体素子の
第6実施例を図6を参照して説明する。図6は本実施例
の圧電変換用強誘電体素子の一部を破断した斜視図であ
る。
【0044】本実施例の圧電変換用強誘電体素子9の本
体部である結晶体10は例えば多結晶体である強誘電体
セラミックスから円筒形状に形成したものである。この
場合、結晶体10は、例えばあらかじめ図6に示す分極
軸方向に電圧を付与して該分極軸方向に分極を生ぜしめ
た強誘電体セラミックス素材(図示せず)を、その分極
軸方向を軸心として超音波加工等によって円筒形状に加
工することにより作成されている。
【0045】そして、結晶体10の分極軸方向にほぼ平
行な内周面10a及び外周面10bを圧電変換用の電極
面として、該内周面10a及び外周面10bにそれぞれ
円筒薄膜状の圧電変換用電極11a,11bが蒸着やメ
ッキにより固着されている。さらに、分極軸方向にほぼ
垂直に相対する結晶体10の一対の面部である該結晶体
10の両端面10c,10c(図6の上下端面)には、
それらの全面に短絡用電極12,12が蒸着やメッキ等
によって固着されている。
【0046】この場合、外周面10bの圧電変換用電極
11bは、該外周面10bの全面にわたって固着され
て、短絡用電極12,12と一体に導通されており、こ
れにより、結晶体10の分極軸方向にほぼ垂直に相対す
る結晶体10の一対の面部(両端面)10c,10cが
短絡用電極12,12及び圧電変換用電極11bを介し
て互いに短絡されている。
【0047】また、内周面10aの圧電変換用電極11
aは、その両端(上下端)が結晶体10の両端面10
c,10cから離間する位置で、内周面10aの全周に
わたって固着されており、短絡用電極12,12から絶
縁されている。
【0048】かかる圧電変換用強誘電体素子9にあって
は、例えば結晶体10の軸心方向に剪断力を付与する
と、内周面10aに固着した圧電変換用電極11aと外
周面10bに固着した圧電変換用電極11bとの間にそ
の剪断力に応じた電気信号(電荷)が生じ、それを圧電
変換用電極11a,11bから外部に取り出すことで、
結晶体10の軸方向に加わった剪断力を検出することが
できる。
【0049】そして、この際、分極軸方向にほぼ垂直に
相対する結晶体10の一対の面部(両端面)10c,1
0cが短絡用電極12,12及び圧電変換用電極11b
を介して互いに短絡されていることによって、後述する
ように圧電変換用電極11a,11b間に焦電出力が加
わるのが低減される。 〔実施例7〕次に本発明の圧電変換用強誘電体素子の第
7実施例を図7を参照して説明する。図7は本実施例の
圧電変換用強誘電体素子の縦断面図である。
【0050】本実施例の圧電変換用強誘電体素子13
は、前記実施例6のものと基本的構成は同一のもので、
略円筒形状に形成された強誘電体セラミックスの結晶体
10の分極軸方向(軸心方向)にほぼ平行な内周面10
a及び外周面10bにそれぞれ圧電変換用電極11a,
11bが固着され、該結晶体10の分極軸方向にほぼ垂
直に相対する結晶体10の一対の面部である該結晶体1
0の両端面10c,10cには、短絡用電極12,12
が固着されている。外周面10bの圧電変換用電極11
bと短絡用電極12,12は、第6実施例と同様に一体
に導通され、これにより結晶体10の分極軸方向にほぼ
垂直に相対する結晶体10の一対の面部(両端面)10
c,10cが短絡用電極12,12及び圧電変換用電極
11bを介して互いに短絡されている。
【0051】そして、この場合、内周面10aの圧電変
換用電極11aは、該内周面10aの両端部にすり鉢状
に形成された面取り部10am,10amを介して短絡
用電極12,12と離間して該短絡用電極12,12か
ら絶縁されている。
【0052】この圧電変換用強誘電体素子13は、円筒
形状に形成された結晶体10x(図7に仮想線で示す)
の全面に銀等の電極皮膜10yを蒸着やメッキにより固
着した後、その内周面の両端部(面取り部10am,1
0amの箇所)を面取りして、その箇所の電極皮膜10
yを除去することにより作成したものである。このよう
にすることで、前記実施例6のものと同様の構成の圧電
変換用強誘電体素子13を容易に作成することができ
る。
【0053】そして、かかる圧電変換用強誘電体素子1
3にあっても、分極軸方向にほぼ垂直に相対する結晶体
10の一対の面部(両端面)10c,10cが短絡用電
極12,12及び圧電変換用電極11bを介して互いに
短絡されていることによって、圧電変換用電極11a,
11b間に焦電出力が加わるのが低減される。
【0054】尚、本実施例と前記実施例6のものとで
は、結晶体10の両端面10c,10cの短絡用電極1
2,12と外周面10bの圧電変換用電極11bとを導
通させるようにしたが、これと逆に、内周面10aの圧
電変換用電極11aと短絡用電極12,12とを導通さ
せ、外周面10bの圧電変換用電極11bと短絡用電極
12,12とを離間させて絶縁するようにしてもよい。 〔実施例8〕次に本発明の圧電変換用強誘電体素子の第
8実施例を図8を参照して説明する。図8は本実施例の
圧電変換用強誘電体素子の一部を破断した斜視図であ
る。
【0055】本実施例の圧電変換用強誘電体素子14の
本体部である結晶体15は、前記実施例6,7のものと
同様に、強誘電体セラミックスにより円筒形状に形成し
たものである。この場合、結晶体15の分極軸方向は、
該結晶体15の内周面15c及び外周面15d間に電圧
を付与することで、図示のように結晶体15の軸心部か
ら放射状に該結晶体15の径方向に向けられている。
【0056】そして、分極軸方向とほぼ平行な結晶体1
5の両端面15a,15bを圧電変換用の電極面として
それらの両端面15a,15bの全面に圧電変換用電極
16a,16bが固着されている。さらに、結晶体15
の分極軸方向とほぼ垂直に相対する面部である内周面1
5c及び外周面15dには、円筒薄膜状の短絡用電極1
7c,17dが固着されている。この場合、短絡用電極
17c,17dの圧電変換用電極16a側の上端は、結
晶体15の上端面15aの位置まで延在して圧電変換用
電極16aと一体に導通されている。これにより、分極
軸方向とほぼ垂直に相対する内周面15c及び外周面1
5dが短絡用電極17c,17d及び圧電変換用電極1
6aを介して互いに短絡されている。また、短絡用電極
17c,17dの圧電変換用電極16b側の下端は、結
晶体15の下端面15bの圧電変換用電極16bから全
周にわたって離間され、該圧電変換用電極16bから絶
縁されている。
【0057】かかる圧電変換用強誘電体素子14にあっ
ても、分極軸方向にほぼ垂直に相対する結晶体15の内
周面15c及び外周面15dが短絡用電極17c,17
d及び圧電変換用電極16aを介して互いに短絡されて
いることによって、圧電変換用電極16a,16b間に
焦電出力が加わるのが低減される。
【0058】尚、本実施例では、短絡用電極17c,1
7dと圧電変換用電極16aとを導通させるようにした
が、これと逆に短絡用電極17c,17dと圧電変換用
電極16bとを導通させ、短絡用電極17c,17dと
圧電変換用電極16aとを離間させて絶縁するようにし
てもよい。また、圧電変換用電極16a及び16b共に
短絡用電極17c及び17dから離間絶縁させて、短絡
用電極17c及び17dをリード線で接続し、導通させ
てもよい。 〔焦電出力に関する実験について〕次に、前述の各実施
例1乃至8のうちのいくつかの実施例の圧電変換用強誘
電体素子について、本願発明者等が行った実験について
図9乃至図14を参照して説明する。図9は本実験にお
いて使用した装置のシステム構成図、図10乃至図14
は本実験による測定データを示す線図である。
【0059】まず、本実験において使用した装置構成を
簡単に説明する。図9を参照して、本実験装置は、電熱
ヒータ18を内蔵した恒温槽19と、この恒温槽19の
内部の収容部19aの温度を制御する温度コントローラ
20とを備え、該温度コントローラ20は、恒温槽19
に取付けられた温度センサ21により収容部19aの温
度を監視しつつ該収容部19aの温度を適宜の設定温度
に電熱ヒータ18を介して制御する。収容部19a内に
は、外来ノイズを排除するためのシールド容器22が収
容されている。このシールド容器22内には、前記圧電
変換用強誘電体素子1等、実験に際して作成した圧電変
換用強誘電体素子(図9では参照符号23を付する)を
恒温槽19の蓋19bを開けて収容し、該圧電変換用強
誘電体素子23の一対の圧電変換用電極にハンダ付けに
より取着された一対のリード線24,24を、閉じた蓋
19bと恒温槽19の本体部との間を通して外部に導出
するようになっている。そして、リード線24,24
は、圧電変換用強誘電体素子23の圧電変換用電極間の
出力を増幅するチャージアンプ25(プリアンプ)に接
続されており、該チャージアンプ25の出力側がレコー
ダ26やシンクロスコープ27に接続されている。この
場合、チャージアンプ25は、その低域遮断周波数が
0.003Hz、0.03Hz、0.3Hz及び3Hz
の4段に切換可能なもので、低域遮断周波数0.3Hz
は、この種の圧電変換用強誘電体素子23を使用する加
速度センサ等の検出器において通常的に必要とされる周
波数の下限である。尚、チャージアンプ25の高域特性
は100kHzで−0.5dBである。
【0060】このような装置を用いて、本願発明者等は
次のような実験を行った。
【0061】〔実験1〕前記実施例1の圧電変換用強誘
電体素子1(図1参照)を作成し、その圧電変換用電極
3a,3bにハンダ付けによりリード線24,24を取
着した。そして、その圧電変換用強誘電体素子1を、2
4°Cに温調制御された大気中から、あらかじめ150
°Cの内部温度に制御した恒温槽19内のシールド容器
22内に蓋19bを開けて収容した後、蓋19bを素早
く閉じて封入し、圧電変換用強誘電体素子1を恒温槽1
9内で昇温した。この時の圧電変換用強誘電体素子1の
出力の変化をレコーダ26に記録すると共にシンクロス
コープ27により観測した。レコーダ26に記録された
圧電変換用強誘電体素子1の出力の変化の様子を図10
に示す。
【0062】また、これと比較するために、前記図17
(a)に示した短絡用電極を備えない従来の圧電変換用
強誘電体素子を作成し、上記と同じ条件の基で同様の実
験を行った。この時、レコーダ26に記録された圧電変
換用強誘電体素子の出力の変化の様子を図11に示す。
【0063】尚、本実験1に使用した圧電変換用強誘電
体素子1は、前述の通りその結晶体2をニオブ酸リチウ
ム単結晶体のインゴットからその分極軸方向をZ軸方向
としてXカットによって作成し、それに圧電変換用電極
3a,3b及び短絡用電極4を固着したものである。作
成した圧電変換用強誘電体素子1のサイズは10×10
×0.3(mm)である。比較のために作成した従来の
圧電変換用強誘電体素子も同様である。
【0064】また、図10及び図11において、縦軸は
チャージアンプ25の出力電圧で、圧電変換用強誘電体
素子の出力電荷に比例した長さとなっている(単位はp
C(ピコクーロン))。図10を参照して明らかなよう
に、前記実施例1の圧電変換用強誘電体素子1にあって
は、それを恒温槽19内に収容した初期において、急激
な温度変化による結晶体2の焦電性によって、多少の焦
電出力(+側の最大値が4pC、−側の最小値が−6p
C)が圧電変換用電極3a,3b間に発生する様子が見
られるものの、その後は、ほとんど焦電出力が見られな
い(最大で0.5pC程度)。尚、図10の時間範囲T
での出力は、実施例1の圧電変換用強誘電体素子1を恒
温槽19内に収容した直後において圧電変換用強誘電体
素子1が揺れ動くことによって生じた圧電変換出力であ
る。
【0065】これに対して、図11を参照して明らかな
ように、前記図17(a)の従来の圧電変換用強誘電体
素子にあっては、比較的大きな正負の焦電出力(+側の
最大値が263pC、−側の最小値が−352pC)が
インパルス状に生成されており、このような焦電出力
は、当然、圧電変換による応力測定等に際しては好まし
くないノイズ成分となる。
【0066】このことから明らかなように、前記実施例
1のように結晶体1の外周面に短絡用電極4を固着する
ことが(図1参照)、温度変化に起因する圧電変換用電
極3a,3b間の焦電出力を低減する上で極めて有効で
あることが判る。このように、本発明の実施例のもので
焦電出力が低減する理由については後述する。
【0067】尚、本願発明者等は、前記チャージアンプ
25の低域遮断周波数を0.003Hz(入力時定数は
53秒)とした場合についても、上記と同様の昇温実験
(24°Cから150°Cへの昇温)を行った。この実
験によるデータはここでは図示を省略するが、この時の
圧電変換用強誘電体素子の出力は、実施例1の圧電変換
用強誘電体素子1にあっては、昇温初期を除いて緩やか
に漸増し(最大値は+300pC)、従来の圧電変換用
強誘電体素子にあっては、階段状に増加していく(最大
値は+2700pC)という現象を確認した。この現象
は、図10及び図11のデータと整合する。すなわち、
前述のようにチャージアンプ25の低域遮断周波数を
0.3Hz(入力時定数は0.53秒)とした場合の出
力は、チャージアンプ25の低域遮断周波数を0.00
3Hz(入力時定数は53秒)とした場合の出力を微分
したものとなる。このため、チャージアンプ25の低域
遮断周波数を0.003Hzとした場合に緩やかに漸増
する実施例1の圧電変換用強誘電体素子1の出力は、チ
ャージアンプ25の低域遮断周波数を0.3Hzとした
場合には、それが微分されることで図10に示したよう
にさほど変動を生じないものとなる。これに対して、チ
ャージアンプ25の低域遮断周波数を0.003Hzと
した場合に階段状に増加する従来の圧電変換用強誘電体
素子の出力は、チャージアンプ25の低域遮断周波数を
0.3Hzとした場合には、階段状の出力が微分される
ことで図11に示したようにインパルス状の出力とな
る。
【0068】〔実験2〕本願発明者等は、前記実施例1
の圧電変換用強誘電体素子1(図1参照)と、前記実施
例3の圧電変換用強誘電体素子6(図3参照)と、前記
実施例4の圧電変換用強誘電体素子7(図4参照)とを
それぞれ2個ずつ(実施例3のものは3個)作成して前
記リード線24,24を取付け、そのそれぞれについ
て、前記実験装置の恒温槽19内で、100°C、15
0°C、200°Cの3種類の温度に加熱した後、各圧
電変換強誘電体素子1,6,7を24°Cに温調制御さ
れた大気中に素早く取り出して降温した。そして、この
時の各圧電変換用強誘電体素子1,6,7の出力を前記
チャージアンプ25(低域遮断周波数:0.3Hz)及
びレコーダ26、シンクロスコープ27を用いて前記実
験1と同様に計測した。この場合の各圧電変換用強誘電
体素子1,6,7の結晶体の作成方法や材質は前記実験
1のものと同じでありサイズは10×10×0.5(m
m)である。
【0069】そして、かかる実験においてレコーダ26
により得られたデータを基に、各圧電変換用強誘電体素
子1,6,7の焦電出力の+側の最大値と−側の最小値
を求め、さらにそれらの最大値及び最小値の絶対値の和
を焦電出力の度合いを示すパラメータとして求めた。そ
れをグラフ化したものを各種類の圧電変換用強誘電体素
子1,6,7について図12乃至図14に示す。
【0070】また、これと比較するために前記図17
(a)に示した従来の圧電変換用強誘電体素子を2個作
成し、それについても、上記と同じ条件下で同様の実験
を行った。サイズや材質は実施例1,3,5のものと同
一である。そして、この時、得られたデータに基づいて
焦電出力の最大値及び最小値の絶対値の和を求め、それ
を図12乃至図14に併せてグラフ化して示した。
【0071】尚、図12乃至図14において、縦軸は、
焦電出力の最大値(+側)及び最小値(−側)の絶対値
の和、横軸は前記の降温による温度変化分である。本実
験では、降温による温度変化は、76°C(100°C
−24°C)、126°C(150°C−24°C)、
176°C(200°C−24°C)の3種類である。
【0072】図12及び図13を参照して明らかなよう
に、結晶体2の外周面のその全面にわたって短絡用電極
4を固着した前記実施例1及び3のもの(図1及び図3
参照)では、従来のものに較べて温度変化による焦電出
力が大幅に低減することが判る。
【0073】また、図14を参照して明らかなように、
結晶体2の分極軸方向にほぼ垂直に相対する面部2c,
2c同士のみを互いに短絡した前記実施例4のもの(図
4参照)においては、実施例1及び3のものに較べて焦
電出力は大きくなるものの、従来のものに較べると焦電
出力が低減することが判る。
【0074】尚、図12乃至図14に見られるように、
同じ種類の圧電変換用強誘電体素子であっても、焦電出
力は多少のばらつきを生じている。
【0075】このように前記実施例1,3,4の圧電変
換用強誘電体素子1,6,7において従来のものに較べ
て焦電出力が低減する理由は次のように考えられる。す
なわち、前記図17(a)を参照して、温度変化による
焦電出力は基本的には結晶体aの分極軸方向に生じるの
で、従来のものでは、結晶体aの圧電変換用電極b,b
を固着した表裏面の電極面が分極軸方向に完全に平行で
あれば原理的には圧電変換用電極b,b間に焦電出力は
生じないはずである。しかるに、結晶体aの製造精度等
に起因して、結晶体aの表裏面の電極面は必ずしも分極
軸方向に完全に平行にならず、このために、圧電変換用
電極b,b間に前記図11や図12乃至図14に示した
ように温度変化による焦電出力が生じるものと考えられ
る。
【0 【0076】これに対して、前記実施例4の圧電変換用
強誘電体素子7(図4参照)においては、焦電出力が生
じる分極軸方向にほぼ垂直な結晶体2の面部2c,2c
が短絡電極4及びこれと導通する圧電変換用電極3bに
より短絡されているため、温度変化による焦電出力の発
生が抑制され、それによって、圧電変換用電極3a,3
b間に焦電出力が生じるのが従来のものに較べて低減す
るものと考えられる。このことは、焦電出力が生じる分
極軸方向にほぼ垂直な結晶体の面部同士を互いに短絡し
た構成を有する前記実施例5のもの(図5参照)や、さ
らには、強誘電体セラミックスの多結晶体により結晶体
を円筒形に形成した前記実施例6乃至8のもの(図6乃
至図8参照)についても同様であり、分極軸方向にほぼ
垂直な結晶体の面部同士を互いに短絡することで焦電出
力が低減する。
【0077】但し、例えば前記実施例4のもの(図4参
照)において、短絡電極4により短絡した面部2c,2
cは、やはり、製造精度等に起因して分極軸方向と完全
に垂直になっているとは限らず、このために、該面部2
c,2c同士のみを短絡した実施例4のものにおいて
は、該面部2c,2cと直交しない方向の焦電出力成分
が抑制されず、それによって、図14に示したようにあ
る程度の焦電出力が圧電変換用電極3a,3b間に生じ
るものと考えれる。
【0078】これに対して、前記実施例1及び3のもの
では、分極軸方向にほぼ垂直な面部2c,2cを含めて
結晶体の全外周面が短絡電極4によって短絡されている
ため(図1及び図3参照)、分極軸方向にほぼ垂直な面
部2c,2cに直交しない方向の焦電出力成分もその発
生が抑制され、これによって、前記図12及び図13に
示したように、焦電出力が大幅に低減するものと考えら
れる。このことは、短絡電極4を結晶体2の全外周面に
固着した前記実施例2のものにおいても同様であり、圧
電変換用電極3a,3b間の焦電出力を大幅に低減する
ことができる。
【0079】尚、前記実施例1乃至5のものにおいて
は、結晶体2をニオブ酸リチウム単結晶体を、その分極
軸方向をZ軸としてXカットすることにより作成した
が、Yカット(Y軸に垂直な面でカットすること)によ
り結晶体を作成するようにしてもよい。この場合には、
図1乃至図5に記載したX軸がY軸に置き換えられ、Y
軸が−X軸に置き換えられ、電極等の構成は、図1乃至
図5のものと同一でよい。そして、この場合には結晶体
の厚みに沿って剪断力を加えたときに、圧電性によって
圧電変換用電極間に顕著な電気信号が生成される。
【0080】また、前記実施例1乃至5のものにおいて
は、結晶体2をニオブ酸リチウム単結晶体により構成し
たが、これに限らず、タンタル酸リチウム単結晶体等、
他の強誘電体を用いてもよい。さらには、強誘電体セラ
ミックス等の多結晶体を用いることも可能である。 〔圧電変換検出器の実施例〕次に、本発明の圧電変換検
出器の一例を図15を参照して説明する。図15は本実
施例の圧電変換検出器の説明的断面図である。
【0081】同図を参照して、本実施例の圧電変換検出
器28は、加速度センサであり、基体29と、該基体2
9上に固設されたハウジング30とを備え、ハウジング
30内には、例えば前記実施例1の圧電変換用強誘電体
素子1が4個収容されている。
【0082】基体29の中央部には、ハウジング30内
に向かって導体材料から成る支柱31が突設され、この
支柱31の上部には、該支柱31から両側に水平方向に
延在する導体材料から成るロッド32がその中央部に形
成されたネジ部32xを介して支柱31に螺着されてい
る。この螺着により、支柱31とロッド32とは電気的
に導通されている。
【0083】支柱31から両側に突出した上記ロッド3
2の突出部32a,32aには、それぞれ2個の圧電変
換用強誘電体素子1,1がそれらの中央部に穿設された
取付穴33を介して垂直姿勢で外挿され、さらに、これ
らの圧電変換用強誘電体素子1,1の間で電極板34が
垂直姿勢で突出部32aに外挿されている。そして、ロ
ッド32の各端部には、導体材料から成る負荷重量体3
5が支柱31との間に2個の圧電変換用強誘電体素子
1,1と電極板34とを挟持するようにして装着されて
いる。
【0084】さらに詳細には、支柱31の右側におい
て、支柱31寄りの圧電変換用強誘電体素子1は、その
一対の圧電変換用電極3a,3bのうち、例えば圧電変
換用電極3bを接地極として支柱31側に向けてロッド
32の突出部32aに外挿され、さらに、支柱31との
間に介装された導体材料から成るスペーサ36を介して
圧電変換用電極3bが支柱31に接触されて電気的に導
通されている。
【0085】この支柱31寄りの圧電変換用強誘電体素
子1の圧電変換用電極3a側には、導体材料から成るス
ペーサ37を介して前記電極板34が互いに接触・導通
するようにしてロッド32の突出部32aに外挿されて
いる。また、突出部32aの端部寄りの圧電変換用強誘
電体素子1は、その圧電変換用電極3aを電極板34側
に向けて突出部32aに外挿されると共に、該電極板3
4との間に介在された導体材料から成るスペーサ38を
介して電極板34に接触・導通されている。さらに、負
荷重量体35は、突出部32aの端部寄りの圧電変換用
強誘電体素子1の圧電変換用電極3bとの間に導体材料
から成るスペーサ39を介在させて該突出部32aの端
部に外挿されると共に、該端部に形成されたネジ部32
bに螺着されたナット40によって、支柱31側に向か
って締付・固定されている。これにより、支柱31と負
荷重量体35との間に圧電変換用強誘電体素子1,1及
び電極板34が、スペーサ36〜39を介して相互に接
触しつつ挟持されている。そして、負荷重量体35は、
ナット40の締付により、ロッド32を介して支柱31
に導通し、さらに、これらの支柱31及び負荷重量体3
5には、それらの間の圧電変換用強誘電体素子1,1の
圧電変換用電極3b,3bがスペーサ36,39を介し
て導通される。また、圧電変換用強誘電体素子1,1の
圧電変換用電極3a,3aが電極板34にスペーサ3
7,38を介して導通される。かかる構成は支柱31の
左側においても同様である。
【0086】尚、各圧電変換用強誘電体素子1、電極板
34及びスペーサ36〜39はロッド32との間にクリ
アランス41を有し、各圧電変換用強誘電体素子1の圧
電変換用電極3a、電極板34及びこれらの間のスペー
サ37,38はロッド32と電気的に絶縁されている。
また、スペーサ36〜39は、各圧電変換用強誘電体素
子1の外周面に形成された前記短絡用電極4が電極板3
4や支柱31、負荷重量体35等に接触することがない
ようにするためのものである。
【0087】各電極板34は、支柱31の上面部に設け
た端子42にリード線42aを介して接続されている。
そして、支柱31には、端子42の位置から基体29の
内部にかけて挿通孔43が穿設されており、端子42か
ら導出されたリード線44が、その挿通孔42内に支柱
31と絶縁した状態で挿通されている。さらに、このリ
ード線44は、基体29の側面部に前記挿通孔43と連
通して形成された開口45を介して外部に導出されてい
る。
【0088】尚、基体29の下面部には、それを適所に
取り付けるためのネジ穴29aが形成されている。
【0089】かかる圧電変換検出器(加速度センサ)2
8においては、それに上下方向の振動が加わると、その
振動加速度に応じた垂直方向の剪断力が負荷重量体35
により各圧電変換用強誘電体素子1に加わり、それに応
じた電気信号(電荷)が各圧電変換用強誘電体素子1の
圧電変換用電極3a,3b間に前記結晶体1の圧電性に
よって生じる。この場合、支柱31の左右の電極板34
から左右各一対づつの圧電変換用強誘電体素子1,1の
出力を加算した形の電気信号がリード線43,44を外
部に出力され、その電荷を検出することで、圧電変換検
出器(加速度センサ)28に作用した加速度が検出され
る。
【0090】そして、本実施例の圧電変換検出器(加速
度センサ)28においては、各圧電変換用強誘電体素子
1の結晶体2には前述のようにその外周面全体に短絡用
電極4が設けられているため、温度変化による焦電出力
が、加速度の検出に際して得られる電気信号にノイズ成
分として加わるのが大幅に低減する。このため、本実施
例の圧電変換検出器(加速度センサ)28を温度変化の
比較的大きな環境下で使用しても、加速度の検出を精度
よく行うことができる。
【0091】次に、本発明の圧電変換検出器の他の例を
図16を参照して説明する。図16は本実施例の圧電変
換検出器の説明的断面図である。
【0092】本実施例の圧電変換検出器46は、前記実
施例4の圧電変換用強誘電体素子7を用いて構成した加
速度センサであり、基本構造は図15の加速度センサと
同一である。以下、図15のものと異なる構成のみを説
明し、他の同一構成のものについては、同一の参照符号
を付して詳細な説明を省略する。
【0093】本実施例の圧電変換検出器46において
は、支柱31寄りの圧電変換用強誘電体素子7は、その
前記短絡用電極4と一体に導通された圧電変換用電極2
bがスペーサを介さずに直接的に支柱31に接触され、
また、負荷重量体45寄りの圧電変換用強誘電体素子7
は、その前記短絡用電極4と一体に導通された圧電変換
用電極2bがスペーサを介さずに直接的に負荷重量体4
5に接触されている。他の構成は、図15のものと全く
同一である。
【0094】かかる圧電変換検出器46(加速度セン
サ)においても図15のものと全く同様に上下方向の加
速度が検出される。そして、各圧電変換用強誘電体素子
7の結晶体2には前述のように短絡用電極4,4が設け
られているため、温度変化による焦電出力が、加速度の
検出に際して得られる電気信号にノイズ成分として加わ
るのが低減する。このため、本実施例の圧電変換検出器
(加速度センサ)46においても、それを温度変化の比
較的大きな環境下で使用しても、加速度の検出を精度よ
く行うことができる。
【0095】尚、以上説明した圧電変換検出器の各実施
例においては、前記実施例1,4の圧電変換用強誘電体
素子1,7を用いた場合について説明したが、前記実施
例2,3,5において説明した圧電変換用強誘電体素子
を使用することも可能であることはもちろんであり、さ
らには、前記実施例6乃至8において説明したような円
筒形の圧電変換用強誘電体素子を用いて、加速度センサ
を構成することも可能である。
【0096】また、図15及び図16の実施例において
は、加速度センサを例にとって説明したが、これに限ら
ず、荷重検出器等、圧電変換用強誘電体素子を使用して
構成される他の種類の圧電変換検出器においても本発明
を適用することができることはもちろんである。
【0097】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
の圧電変換用強誘電体素子によれば、その本体部の結晶
体に、その分極軸方向に略垂直に相対する一対の面部を
互いに短絡する短絡用電極を少なくとも一方の圧電変換
用電極と絶縁して固着したことによって、強誘電体の焦
電性に基づく雑音信号を抑制して、その雑音信号が圧電
変換用電極間に加わるのを低減することができ、温度変
化の比較的大きな環境下であっても圧電性による所望の
電気信号を精度よく検出することができる。
【0098】そして、このような効果は、結晶体を板状
に形成した場合、あるいは強誘電体セラミックス等の多
結晶を用いて円筒形又は板状に形成した場合のいずれで
あっても、その分極軸方向や形状に則して的確に短絡用
電極を固着することで奏することができる。
【0099】特に、結晶体を板状に形成した場合に、そ
の分極軸方向に略垂直に相対する一対の面部を含む結晶
体の外周面にその全周長にわたって短絡電極を固着した
ことによって、焦電性に基づく雑音信号を大幅に低減す
ることができ、該圧電変換用強誘電体素子を使用した測
定等を温度変化の大きな環境下でも高精度で行うことが
できる。
【0100】さらに、結晶体を板状に形成し、あるい
は、分極軸方向を略軸心方向として円筒形状に形成した
場合に、該結晶体の全面に固着した電極皮膜を適宜の箇
所で除去して所望の圧電変換用電極及び短絡用電極を形
成することによって、前述の効果を奏する圧電変換用強
誘電体素子を極めて簡単に作成することができる。
【0101】また、本発明の圧電変換検出器によれば、
前述の効果を奏する圧電変換用強誘電体素子を用いるこ
とによって、焦電性による雑音信号が圧電変換用電極間
に加わるのを低減することができるため、加速度や荷重
等の測定対象物理量を、温度変化の比較的大きな環境下
であっても圧電変換用強誘電体素子の出力信号により精
度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の圧電変換用強誘電体素子の第
1実施例の平面図、(b)は図1(a)のI−I線断面
図。
【図2】(a)は本発明の圧電変換用強誘電体素子の第
2実施例の平面図、(b)は図2(a)のII−II線
断面図。
【図3】(a)は本発明の圧電変換用強誘電体素子の第
3実施例の平面図、(b)は図3(a)のIII−II
I線断面図。
【図4】(a)は本発明の圧電変換用強誘電体素子の第
4実施例の斜視図、(b)は図4(a)のIV−IV線
断面図。
【図5】(a)は本発明の圧電変換用強誘電体素子の第
5実施例の斜視図、(b)は図5(a)のV−V線断面
図。
【図6】本発明の圧電変換用強誘電体素子の第6実施例
の一部を破断した斜視図。
【図7】本発明の圧電変換用強誘電体素子の第7実施例
の縦断面図。
【図8】本発明の圧電変換用強誘電体素子の第8実施例
の一部を破断した斜視図。
【図9】本発明の圧電変換用強誘電体素子の実施例に係
わる実験に使用した装置のシステム構成図。
【図10】図9の装置による実施例の圧電変換用強誘電
体素子の実験における測定データ示す線図。
【図11】図9の装置による従来の圧電変換用強誘電体
素子の実験における測定データ示す線図。
【図12】図9の装置による実施例1の素子及び従来素
子の実験データを示す線図。
【図13】図9の装置による実施例3の素子及び従来素
子の実験データを示す線図。
【図14】図9の装置による実施例4の素子及び従来素
子の実験データを示す線図。
【図15】本発明の圧電変換検出器(加速度センサ)の
一例の説明的断面図。
【図16】本発明の圧電変換検出器(加速度センサ)の
他の例の説明的断面図。
【図17】従来の圧電変換用強誘電体素子を説明するた
めの説明図。
【符号の説明】
1,5,6,7,8,9,13,14…圧電変換用強誘
電体素子、2,10…結晶体、3a,3b,11a,1
1b,16a,16b…圧電変換用電極、4,12,1
7c,17d…短絡用電極、2y,10y…電極皮膜、
28,46…圧電変換検出器。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分極軸方向に略平行な一対の電極面が形成
    された強誘電体から成る結晶体と、該一対の電極面にそ
    れぞれ固着された導体材料から成る一対の圧電変換用電
    極とにより構成された圧電変換用強誘電体素子におい
    て、前記結晶体の前記分極軸方向に略垂直に相対する一
    対の面部を互いに短絡する導体材料から成る短絡用電極
    を前記結晶体に固着し、該短絡用電極を少なくとも前記
    一対の圧電変換用電極の一方と絶縁して設けたことを特
    徴とする圧電変換用強誘電体素子。
  2. 【請求項2】前記結晶体は前記一対の電極面を表裏面と
    する板状の結晶体であり、前記各圧電変換用電極は、そ
    の周縁を前記各電極面の周縁から内側に離間させて該電
    極面に固着され、前記短絡用電極は、前記分極軸方向に
    略垂直に相対する一対の面部を含む前記板状の結晶体の
    外周面にその全周長にわたって固着されていることを特
    徴とする請求項1記載の圧電変換用強誘電体素子。
  3. 【請求項3】前記一対の圧電変換用電極及び短絡用電極
    は、前記板状の結晶体の全面に固着された導体材料から
    成る電極皮膜を前記各電極面の周縁部の位置で全周にわ
    たって除去することにより形成されていることを特徴と
    する請求項2記載の圧電変換用強誘電体素子。
  4. 【請求項4】前記結晶体は前記一対の電極面を表裏面と
    する板状の結晶体であり、前記一対の圧電変換用電極の
    一方は、一方の電極面に全面にわたって固着され、他方
    の圧電変換用電極は、その側縁が前記結晶体の分極軸方
    向に略垂直に相対する一対の面部から離間する位置で他
    方の電極面に固着され、前記短絡用電極は、前記結晶体
    の分極軸方向に垂直に相対する一対の面部に前記一方の
    圧電変換用電極と導通させて固着されていることを特徴
    とする請求項1記載の圧電変換用強誘電体素子。
  5. 【請求項5】前記結晶体は、前記分極軸方向に略平行な
    軸心を有し、且つ内周面及び外周面を前記一対の電極面
    とした円筒形状の多結晶体であり、前記一対の圧電変換
    用電極の一方は、前記円筒形状の結晶体の内周面又は外
    周面の全周面に固着され、他方の圧電変換用電極は、該
    円筒形状の結晶体の外周面又は内周面の両端から離間し
    た周面部に全周にわたって固着され、前記短絡用電極
    は、前記円筒形状の結晶体の前記分極軸方向に略垂直に
    相対する両端面に前記一方の圧電変換用電極と導通させ
    て固着されていることを特徴とする請求項1記載の圧電
    変換用強誘電体素子。
  6. 【請求項6】前記一対の圧電変換用電極及び短絡用電極
    は、前記円筒形状の結晶体の全面に固着された導体材料
    から成る電極皮膜を該結晶体の内周面及び外周面のいず
    れか一方の両端部の位置で全周にわたって除去すること
    により形成されていることを特徴とする請求項5記載の
    圧電変換用強誘電体素子。
  7. 【請求項7】前記結晶体は、前記分極軸方向を略径方向
    とし、且つ両端面を前記一対の電極面とした円筒形状の
    多結晶体であり、前記一対の圧電変換用電極は前記円筒
    形状の結晶体の両端面の全面に固着され、前記短絡用電
    極は、前記円筒形状の結晶体の内周面及び外周面に一方
    の圧電変換用電極から離間した位置で他方の圧電変換用
    電極に導通させて該内周面及び外周面の全周にわたって
    固着されていることを特徴とする請求項1記載の圧電変
    換用強誘電体素子。
  8. 【請求項8】分極軸方向に略平行な一対の電極面が形成
    された強誘電体から成る結晶体と、該一対の電極面にそ
    れぞれ固着された導体材料から成る一対の圧電変換用電
    極とにより構成された圧電変換用強誘電体素子に、加速
    度、荷重等の測定対象物理量に応じた機械力を付与する
    ことにより該測定対象物理量に応じた電気信号を前記一
    対の圧電変換用電極間に生ぜしめ、該電気信号により該
    測定対象物理量を検出する圧電変換検出器において、前
    記圧電変換用強誘電体素子の結晶体の前記分極軸方向に
    略垂直に相対する一対の面部を互いに短絡する導体材料
    から成る短絡用電極を前記結晶体に固着し、該短絡用電
    極を少なくとも前記一対の圧電変換用電極の一方と絶縁
    して設けたことを特徴とする圧電変換検出器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010182356A (ja) * 2009-02-04 2010-08-19 Nhk Spring Co Ltd 圧電素子の電極構造、圧電素子の電極形成方法、圧電アクチュエータ及びヘッドサスペンション
JP2011043442A (ja) * 2009-08-21 2011-03-03 Hiroshima Univ 変動荷重検出パッド及びこれを用いた変動荷重検出板、分布型変動荷重検出板、並びに変動荷重検出装置

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