JPH0832616B2 - 水中油型エマルジョン - Google Patents

水中油型エマルジョン

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JPH0832616B2
JPH0832616B2 JP1218571A JP21857189A JPH0832616B2 JP H0832616 B2 JPH0832616 B2 JP H0832616B2 JP 1218571 A JP1218571 A JP 1218571A JP 21857189 A JP21857189 A JP 21857189A JP H0832616 B2 JPH0832616 B2 JP H0832616B2
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pressure homogenizer
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健次 下村
清資 上田
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は界面活性剤を使用することなく乳化させた水
中油型エマルジョンに関する。更に詳しくは乳化状態が
よく、安定性も良好であり、且つ非常に安全性に優れた
水中油型エマルジョンに関する。
〔従来の技術〕
界面活性剤は化粧料の乳化剤として使用されている
が、皮膚に対する安全性については十分とはいえない。
そこで界面活性剤を用いない乳化方法が種々研究され
ている。
その1つに合成ベントナイトを用いる乳化方法が知ら
れている。
ベントナイトは天然に存在する特殊コロイド性粘土で
あり、モンモリロン石を主とした粘土である。天然物で
は不純物が多く強固なゲルを形成しないが、金属の種類
を替え、純度をあげ白色化したケイ酸マグネシウム、リ
チウムすなわち合成ベントナイトを用いると、そのゲル
はチクソトロピー性が高く、化粧料に配合して用いるこ
とができる。
特開昭60-178803号公報にはソヂウム・モンロリロナ
イト水膨潤ゲル体を基礎化粧品クリーム類の水ベースと
して使用した基礎化粧品が記載されているが、ベントナ
イトを基礎化粧品に使用することは従来より公知である
ので、この公報はソヂウム・モンロリロナイト水膨潤ゲ
ル体と植物蛋白質を用いて油分を水中へ分散させるもの
と考えられる。
このように合成ベントナイトはゲル化剤として化粧料
に広く用いられているが、界面活性剤を配合せず合成ベ
ントナイトのみでエマルジョンを形成させる場合、エマ
ルジョンの粒子が粗く、経時的に固化する傾向があり、
また官能面でもきしみ感があり、製品として用いること
ができなかった。
一方、シリコン油は化粧料に広く利用されているが、
シリコン油は乳化しにくい物質とされ、合成ベントナイ
トと組み合わせて使用された例はなく、また通常2%未
満で用いるのが通例であった。
このように界面活性剤を配合しない水中油型エマルジ
ョンはさまざまな試みがなされてきたが、実際製品とし
て用いることのできる製品はなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記のように、界面活性剤を用いない水中油型エマル
ジョンは従来の技術として、作成することは不可能では
なかったが、従来の界面活性剤を用いない乳化化粧料は
製品として用いるためには、キメの細かさ、安定性、き
しみ感などの官能性、クリームのような物性等が不十分
であり、満足な結果が得られていない。
本発明の目的は、界面活性剤を使用することなく乳化
化粧料として安定であり、キメが細かく、きしみ感など
使用に当っての不快感がなく、クリームとしての物性に
おいて優れ、かつ皮膚に対して安全性が保証された超高
圧ホモジナイザーによる乳化に特に相関のよい水中油型
エマルジョンの処方を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、前記の課題を解決するため、化粧品に
利用できる数多くの物質について鋭意検討を行ったが、
解決するには到らなかった。
本発明者らは、米国特許第4,533,254号に基づく、キ
ャビテーション(圧力降下)、剪断力、衝撃力を用いて
乳化・分散・粉砕を行う超高圧ホモジナイザーである超
高圧ホモジナイザーが乳化力が強く、界面活性剤の使用
量を零または極めて少なくできて、安全性が高いことを
知見し、超高圧ホモジナイザーによる水中油型エマルジ
ョン化に特に相関のよい乳化剤の処方を鋭意探索した結
果、界面活性剤を用いることなく、合成ベントナイトと
シリコン油との適当量の組み合わせが、特に超高圧ホモ
ジナイザーとの相関が良好なことを見出し、本発明を完
成した。
即ち本発明は合成ベントナイトを0.1〜5.0重量%とシ
リコン油を2〜30重量%を配合し界面活性剤を全く配合
しない処方を超高圧ホモジナイザーを用いて乳化してな
る水中油型エマルジョンである。
合成ベントナイトについては前記の通りであるが、シ
リコン油とはジメチルポリシロキサン、メチルフェニル
ポリシロキサン等一般にシリコン油と呼ばれる原料であ
ればよく、重合度すなわち粘度は特に限定はなく、他の
原料との組み合わせ、出来上りの製品の目的により選択
すればよい。
合成ベントナイトの分散はなかなか容易ではなく、超
高圧ホモジナイザーを利用することによって容易に均一
にできる。
また化粧品全体の乳化の際に、全体を超高圧ホモジナ
イザーを通して乳化することによって、極めて微細粒子
とし合成ベントナイトの配合量も減少させ得て、きしみ
感を減少させ、乳化の安定性を高めることができる。
さらに超高圧ホモジナイザーを利用することによっ
て、ゲル強度が上昇し、合成ベントナイトの配合量が少
なくてすみ、コスト面ばかりでなく、化粧品使用の官能
面でも優位である。
そしてまた、この乳化には界面活性剤を用いていない
ので物理的に粒子を細かくすることも大きな要因である
ので、超高圧ホモジナイザーの強い乳化力が特に効果が
あり、この相乗効果が本発明の特徴である。
シリコン油を添加することによって、粒子が細かくな
り、増粘作用を生じ、合成ベントナイトの配合量も少な
くてすむ。
このように合成ベントナイトとシリコン油を組み合わ
せることによって、シリコン油が持つのびのよさに加
え、合成ベントナイトの配合量の減少により同物質がも
つきしみ感が減少し、粘度の機構がゲルによるもの以外
にシリコン油による増粘要素が入るためと、粒子の細か
さによって乳化の安定性が改良され、且つ物性も改良さ
れる。従ってこの処方の乳化に超高圧ホモジナイザーを
特に用いることにより、界面活性剤を全く用いることな
く、安定で、安全な水中油型エマルジョンが得られた。
脂肪酸は炭素数が12から22の範囲であれば用いること
ができる。
合成ベントナイトの配合量は他の原料、乳化法、分散
法に影響されるが、化粧料全体に対しては0.1〜5.0重量
%であるが、水相に占める割合は1〜5重量%が適当で
ある。
シリコン油、合成ベントナイト以外の原料は、油性原
料については特に制限はなく、液体油では流動パラフィ
ン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油、サフラワー
油、ミンク油、ミリスチン酸ミリスチル、トリグリセラ
イド等、固体油としてはパラフィン、セレシン、みつろ
う、ゲイロウ、脂肪酸、高級アルコール等であり、その
他、添加薬剤、香料、防腐剤、酸化防止剤等を配合す
る。
これらの原料を目的により選択するが、水中油型エマ
ルジョンとして固脂の量比は製品の物性に影響するの
で、水相の量は当然油相の量より多いがその配合量は目
的に合わせて調整する。
水性原料は、合成ベントナイトのゲル強度が変化する
ので、その配合は製品の物性に影響する。
まず、多価アルコールであるが、たとえばゲル強度の
高い順番に記述するとグリセリン、1,3ブチレングリコ
ール、PEG1000になる。
これらを量や製品使用用途により、単独或は2種以上
併用して最適な条件を選択する。
又、ゲル形成には電解質の濃度が影響し、イオンの種
類によって最適な条件が異なるので、イオンの種類と量
を選択すれば、合成ベントナイトの使用量が少なくてす
む。
しかしながら、電解質の添加は、上記のような効果を
示すが、本発明の効果に影響はないので、かならずしも
添加する必要はないが、添加した方が合成ベントナイト
の配合量が減量でき、よりよい。
また、PHは5.5以下になると凝集を起すので、これ以
下のPHでは安定な製品は得られない。
しかしながら合成ベントナイトがPH緩衝作用があり、
またこれを水溶液にしたときPH8.5前後になるので特別P
Hに影響を与える原料を配合しないときPHの調整は必要
ない。
さらに水溶性高分子も種類によってはゲルを破壊する
ものもあり、ここで有効な水溶性高分子は例えば、カル
ボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙
げられる。
不溶性添加薬剤も前記のような注意をして配合する必
要がある。
〔実施例〕
以下に実施例によって、本発明を更に具体的に説明す
るが、本発明は、この実施例によって何等限定されるも
のではない。
(実施例1)エモリエントクリーム1 (重量%) Aスクワラン 16.0 セタノール 2.0 ベヘニルアルコール 2.0 ジメチルポリシロキサン(100cps) 10.0 A合計 30.0 B合成ベントナイト 1.0 精製水 48.8 1,3ブチレングリコール 20.0 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2 B合計 70.0 合成ベントナイトを精製水によく分散した後、AとB
それぞれを計量し、約70℃に加温し、超高圧ホモジナイ
ザー(700kg/cm2)を用いて、水中油型エマルジョンと
した。
この実施例1のクリームについての、粒子の大きさ、
官能“のび”、官能“きしみ”、安定性についての判定
結果を、実施例2,3,4,5,6、比較例1の結果と共に後記
第1表に示す。
(実施例2)エモリエントクリーム2 (重量%) Aスクワラン 25.0 ミリスチン酸イソプロピル 2.0 オリーブ油 2.0 カプリルカプロン酸トリグリセライド 3.0 セタノール 3.0 メチルフェニルポリシロキサン 5.0 酸化防止剤 0.2 A合計 40.2 B合成ベントナイト 1.5 精製水 45.1 グリセリン 3.5 プロピレングリコール 7.0 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2 B合計 57.3 C胎盤抽出液 2.0 D香料 0.5 合成ベントナイトを精製水によく分散した後、AとB
それぞれを計量し、約70℃に加温し、Bを撹拌しつつ、
A,C,Dを加えて超高圧ホモジナイザーで(700kg/cm2)ク
リームとした。
(実施例3)乳液 (重量%) Aスクワラン 10.0 オリーブ油 1.0 2−エチルヘキサン酸トリグリセライド 5.0 セタノール 1.0 ゲイロウ 1.0 ミツロウ 0.5 メチルフェニルポリシロキサン 2.0 ジメチルポリシロキサン(100cps) 3.0 酸化防止剤 0.2 A合計 23.7 B合成ベントナイト 2.0 精製水 59.1 グリセリン 8.0 ジプロピレングリコール 5.0 カルボキシメチルセルロース(1.0%PH8.0 NaOH中和水
溶液) 2.0 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2 B合計 76.3 合成ベントナイトを精製水によく分散した後、AとB
それぞれを計量し、約70℃に加温し、A,Bを超高圧ホモ
ジナイザーで(700kg/cm2)水中油型乳液とした。
(実施例4)クリーム 実施例1の合成ベントナイトの量を0.5重量%に減少
し、精製水の量を49.3重量%にし、合成ベントナイトを
精製水に分散するのに超高圧ホモジナイザー(700kg/cm
2)を用いて作成したクリーム。
(実施例5)クリーム 実施例1の合成ベントナイトの量を0.5重量%に減少
し、精製水の量を49.3%にし、AとBの混合物を乳化の
際、超高圧ホモジナイザー(700kg/cm2)を用いて作成
したクリーム。
(実施例6)クリーム 実施例1のセタノールをベヘニルアルコールで置き換
えて作成したクリーム。
(比較例1)クリーム 実施例1のジメチルポリシロキサンを流動パラフィン
に置き換え、作成したクリーム。
実施例1、実施例4、実施例5及び実施例6は基本処
方は同じである。
実施例4と実施例5は実施例1の合成ベントナイトの
量を半分に減量してあり、超高圧ホモジナイザーを製造
過程で利用しない場合は乳液状になり、粒子も粗い。
また実施例6は実施例1に比較して、若干官能、粒子
径で落ちるが、比較例1に比較するとこれらは良好であ
ると言わざるを得ない。
〔安全性試験〕:対照として油分がほぼ同じ市販のクリ
ーム3点を用いた。
方法 (1)細胞毒性試験 カバーガラスの入った6cmのシャレーにEagle MEM
(牛胎児血清20%)培地を5mlづつ分注する。
JTC-17細胞浮遊液(30万個)を添加し5%CO2、36
℃、48時間培養する。
緩衝液PBS(−)(NaCl 8g、KCl 0.2g、Na2PO4 1.1
5g、KH2PO4 0.2gを含む緩衝液)で2度洗浄 緩衝液PBS(−)で希釈した試料3mlを加え、36℃、
60分間培養する。
Eagle MEM(牛胎児血清20%)培地を7mlづつ分注
し、5%CO2、36℃、48時間培養する。
固定、染色し判定する。
判定基準 〔1〕細胞数による判定 Score 0:Controlと同じ Score 1:Controlとほぼ同じ (僅に染色濃度が劣る) Score 2:Controlの2/3位 (肉眼でも分かる程度に減少) Score 3:Controlのほぼ半分 (大幅に減少) Score 4:Controlの1/3位 (細胞数はごく僅か) Score 5:細胞を認めない (全く、または殆ど認めない) 〔2〕細胞形態による判定 Score 0:正常像 Score 1:異常細胞が僅かに認められる (正常細胞が80%以上) Score 2:異常細胞が認められる (正常細胞が50%〜80%位) Score 3:異常細胞が多数認められる (正常細胞が20%〜50%位) Score 4:殆ど異常細胞である (正常細胞が10%位) Score 5:正常細胞を認めない 結果を第2表に示す。なお第2表の%は培養液中の試
料濃度を示す。
表示の仕方は最初の数字は細胞数による判定結果を、
括弧内の数字は細胞形態による判定結果を示す。
(2)人クローズドパッチテスト プラスター(フィンチャンバー)に検体を塗布し、
上腕内側部に貼布し24時間放置する。
プラスターを剥離除去し1時間放置する。
(判定方法) 虫眼鏡付蛍光燈を用いて肉眼で判定する。
(判定基準) 刺激率=(刺激点の合計/総人数)×100 結果を第3表に示す。
(3)ウサギクローズドパッチテスト 日本白色種ウサギ6羽を用いる。背部皮膚を電気バリ
カンで刈毛し、動物用パッチテスト 創膏に検体を0.2m
l滴下し皮膚に24時間貼布する。判定は貼布除去後、1,2
4,48,72時間目に以下の基準で行う。
(判定基準) 紅斑 Score 0:紅斑なし Score 1:ごく軽度な紅斑(やっと認められる程度) Score 2:明らかな紅斑 Score 3:中程度から強い紅斑 Score 4:深紅色の強い紅斑に軽い痂皮形成 (障害は深部に) 浮腫 Score 0:浮腫なし Score 1:ごく軽度な浮腫(やっと認められる程度) Score 2:明らかな浮腫(周囲と明らかに区別可能) Score 3:中程度の浮腫(1mm程盛り上がっている) Score 4:強い浮腫(1mm以上盛り上がり、周囲にも広が
る) 結果を第4表に示す。
(4)モルモット連続塗布試験 ハートレー系白色モルモット6匹を用い、背部およ
び側腹部皮膚を電気バリカンおよびシェーバーで除毛
し、綿棒で直径2cmの面積内に塗布する。
この塗布を1日1回3日間連続して実施する。
(判定) (判定基準) 紅斑と浮腫を行うが、ウサギクローズドパッチテスト
と同じ。
累積刺激指数は72Hr後、96Hr後、168Hr後のScoreの平
均値である。
結果を第5表に示す。
〔結果〕
(1)細胞毒性試験 (2)人クローズドパッチテスト (3)ウサギクローズドパッチテスト (4)モルモット連続塗布試験 〔発明の効果〕 本発明によれば、界面活性剤を使用することなく、ク
リーム、乳液等の水中油型エマルジョン化粧料を製造し
得るばかりでなく、従来の界面活性剤を用いない化粧料
がキメが粗く、乳化も不安定で、使用官能においてのび
が少く、きしみ感があったのに対して、キメが細かく、
乳化も安定であり、官能においてものびがよく、きしみ
感がないなど化粧品として優れた性質を保持している。
界面活性剤を使用していないので、皮膚に対する安全
性において優れている。合成ベントナイト、シリコン油
共に夫々単独では化粧料の原料として使用されてきてお
り、安全性については長年の実績による保証がある。シ
リコン油を従来より多量に使用するについても、安全性
試験に示されるように細胞毒性試験、人及びウサギクロ
ーズドパッチテスト、モルモット連続塗布試験により安
全性が立証されている。
従って本発明の化粧料は界面活性剤を使用しない化粧
料として優れたものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成ベントナイトを0.1〜5.0重量%とシリ
    コン油を2〜30重量%配合し、界面活性剤を全く含有し
    ない処方を超高圧ホモジナイザーを用いて乳化してなる
    水中油型エマルジョン。
JP1218571A 1989-08-28 1989-08-28 水中油型エマルジョン Expired - Lifetime JPH0832616B2 (ja)

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