JPH08324686A - 繊維強化樹脂製二重殻タンク及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂製二重殻タンク及びその製造方法

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JPH08324686A
JPH08324686A JP7133714A JP13371495A JPH08324686A JP H08324686 A JPH08324686 A JP H08324686A JP 7133714 A JP7133714 A JP 7133714A JP 13371495 A JP13371495 A JP 13371495A JP H08324686 A JPH08324686 A JP H08324686A
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shell
tank
resin
fiber
outer shell
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JP7133714A
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Hirohide Nakagawa
裕英 中川
Mitsuo Okubo
光夫 大久保
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】繊維強化樹脂製の二重殻タンクにおいて、運搬
中での外殻の耐クラック性、土圧に対する全体の安定性
をよく充足させ得る繊維強化樹脂製二重殻タンク及びそ
の製造方法を提供する。 【構成】タンク胴本体としての繊維強化樹脂製内殻1と
該内殻よりも薄い繊維強化樹脂製外殻2との間に膜スペ
−サ3が介在され、内殻または外殻の少なくとも何れか
一方と膜スペ−サとの間が非接着とされている胴部を有
する。フィラメントワインデイング法または遠心成形法
により成形され、内殻と外殻とが同時に硬化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地下貯蔵タンクとして用
いる繊維強化樹脂製二重殻タンク及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】地下貯蔵タンクにおいては、環境保全
上、貯蔵液の漏れによる地質や地下水の汚染を防止する
ことが不可欠である。そこで、中間に間隙を有する二重
壁構造とし、またはタンク本体の内面に間隙を介してラ
イナ−を設け、その間隙に液検出手段を連通して貯蔵液
の漏れを早期に検出することが提案されている(強化プ
ラスチック製二重殻タンクについての消防庁危険物規
制、特表平5−505375号公報)。
【0003】これらの貯蔵タンクにおいては、内殻及び
外殻ともに繊維強化樹脂製とするか、内殻を鋼製とし外
殻を繊維強化樹脂製としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の貯蔵タンクにお
いては、地中に埋設して使用され、繊維強化樹脂製外殻
の厚みを薄くすると、埋戻し土や輪圧による不均一荷重
〔この荷重状態は図5の(イ)及び(ロ)を参照〕のた
めに間隙空気層がタンク胴周方向に沿い不均一に変形
し、これに伴い外殻が撓み変形して過酷な歪の発生が余
儀なくされる。
【0005】他方、外殻を厚くすると、運搬時での衝突
荷重に対する応力の緩和作用が低下し、運搬中に外殻に
クラックが発生し易くなる。また、外殻を厚くすると、
その外殻で土圧の大部分が支持されるから、前記クラッ
クの発生のもとでは、そのクラックを起点として全体破
壊が生じ易い。本発明の目的は、繊維強化樹脂製の二重
殻タンクにおいて、運搬中での外殻の耐クラック性、土
圧に対する全体の安定性をよく充足させ得る繊維強化樹
脂製二重殻タンク及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る一の繊維強
化樹脂製二重殻タンクは、タンク胴本体としての繊維強
化樹脂製内殻と該内殻よりも薄い繊維強化樹脂製外殻と
の間に膜スペ−サが介在され、内殻または外殻の少なく
とも何れか一方と膜スペ−サとの間が非接着とされてい
る胴部を有することを特徴とする構成であり、本発明に
係る他の繊維強化樹脂製二重殻タンクにおいては、外殻
の厚みは1.5mm〜4mmとされる。
【0007】本発明に係る一の繊維強化樹脂製二重殻タ
ンクの製造方法は、回転中のマンドレルに材料を巻きつ
けることにより未硬化の内殻を形成し、該未硬化内殻上
に非接着性材料により膜スペ−サを形成し、この膜スペ
−サ上に上記マンドレルの回転のもとで材料を巻きつけ
ることにより未硬化の外殻を形成し、而るのち、内殻及
び外殻を同時に硬化させて胴部を製造することを特徴と
する構成である。
【0008】本発明に係る他の繊維強化樹脂製二重殻タ
ンクの製造方法は、回転中の筒型の内周面に材料を供給
して遠心力により未硬化の外殻を形成し、該未硬化外殻
の内周面に非接着性材料を塗布して膜スペ−サを形成
し、この膜スペ−サの内周面に上記筒型の回転のもとで
材料を巻きつけることにより未硬化の内殻を形成し、而
るのち、内殻及び外殻を同時に硬化させて請求項1また
は2記載の胴部を製造することを特徴とする構成であ
る。
【0009】以下、図面を参照しつつ本発明の構成を説
明する。図1は本発明に係る繊維強化樹脂製二重殻タン
クの一例を示す断面図である。図1において、1は繊維
強化樹脂製の内殻であり、実質的にそれ自体で外部荷重
(埋戻し土による荷重と輪圧による荷重)並びに内部荷
重(貯蔵液の水頭圧。通常、0.70kg/cm2の加
圧試験に合格すればよい)に耐え得る機械的強度に設計
されている。
【0010】2は繊維強化樹脂製の外殻、3は内殻1と
外殻2との間に介在された膜スペ−サであり、外殻2に
おいてはその厚みが上記の内殻1に較べて著しく薄くさ
れ、それ自体では上記外部荷重に対し原形をとどめ得な
いほど変形する低い撓み剛性(可撓性)とされており、
また、膜スペ−サ3と内殻1または外殻2の少なくとも
何れか一方との界面は摺動可能な非接着状態とされてい
る。
【0011】図1において、4は漏れ液検出管を示し、
図2の(ロ)に示すように、下端がタンク内底面に連結
されて上記の非接着界面とこの検出管とが連通されてお
り(図示の例では、タンク底面に孔411を開け、この
孔に検出管下端を挿入し、孔をプラスチック412で閉
じ、その外部をハンドレイアップによる繊維強化樹脂層
413により補強してある)、漏れ液体が浸透により非
接着界面を通路として漏れ液検出管の底部に移動してい
く。漏れ液検出管を上端から減圧することも可能であ
る。41は検出管4の底部に装着された漏れ液センサ−
である。
【0012】図1において、Aはタンク胴部を、Bは鏡
板部を、42はマンホ−ルを、43はタンクノズル(圧
入、吸引、通気用)をそれぞれ示している。上記の非接
着界面は後述するように、漏れ液の浸透通路として機能
し、図2の(ロ)に示すように、タンク内上部の気相部
aに対しては上記膜スペ−サ3を省略して外殻2と内殻
1とを接着すること、更には、外殻を省略することも可
能である。
【0013】上記の外殻2は後述するように、上記非接
着界面との協働作用によって衝撃集中荷重をその弾性変
形で吸収して応力集中を緩和するために、それ自体では
外部荷重に対し形状保持能力を有さないように設計され
ており、実質的に内殻1で外部荷重の全てが支持され
る。上記の鏡板部Bにおいては、胴部Aに較べ曲率半径
が大であるために胴部Aに較べて外部荷重が小さく、胴
部に先行して荷重破壊が生じる可能性は極めて少ないた
め、通常の単一殻とすることも可能である。
【0014】上記の繊維強化樹脂製外殻2は、それ自体
のみでは上記の外部荷重によって撓み変形して原形を保
ち得ない厚みとされている。而るに、上記の外部荷重の
分布がタンク外径により変化するから、外殻2の厚みは
タンク外径との関係から定められ、タンク外径の1/1
000〜2/1000程度とされ、請求項2記載の発明
では、1.5〜4mm、好ましくは、2〜3mmとされ
る(4mmを越えると、上記要件の充足が困難であり、
1.5mm未満では肉厚のバラツキの範囲内となり、厚
み0の箇所の発生の畏れがある)。この繊維強化樹脂製
外殻2は、通常、ロ−ビングまたはチョップ強化樹脂の
単層で形成される。
【0015】上記の繊維強化樹脂製内殻1は、それ自体
で上記の外部荷重及び内部荷重(貯蔵液重量)に耐え得
る厚みに設計され、この繊維強化樹脂製内殻1にはロ−
ビングまたはチョップ強化樹脂層とレジンモルタル層と
の複合構造を使用することが好ましい。例えば、図2の
(ハ)に示すように、内側から順次に、耐食性を保証す
るための最内樹脂層11、ロ−ビングまたはチョップ強
化樹脂層12、レジンモルタル層13、ロ−ビングまた
はチョップ強化樹脂層14を有する複合構造を使用する
ことが好ましい。
【0016】上記繊維強化樹脂の強化繊維はロ−ビング
やロ−ビングを所定長さに切断したチョップの形態で使
用され、チョップの長さは通常、1/2〜4インチ、好
ましくは2インチ程度(経験上、高強度の発現が期待で
きる)とされる。強化繊維の材質としては、例えばガラ
ス繊維や炭素繊維等の無機繊維、例えばアラミド繊維や
ポリエステル繊維等の有機繊維が使用される。
【0017】上記レジンモルタルの骨材には、たとえ
ば、珪砂、山砂(硬質砂岩)、炭酸カルシウム、タル
ク、水酸化アルミニウム、廃棄プラスチックの粉砕材料
が使用され、特に、砂またはプラスチック粉砕材料が低
コストの割りには剛性を高くできて経済的に有利であ
る。砂を用いる場合は、樹脂との接着性を高めるために
シランカップリング処理を施すことが好ましい。この骨
材には、主骨材(粒子径1000〜5000μm)と細
骨材(粒子径500μm以下)と微粒材としての炭酸カ
ルシウム(粒子径約2μm)とを混合したものを使用す
ることが好ましい。
【0018】上記ロ−ビングまたはチョップ強化樹脂の
マトリックスやレジンモルタルの樹脂には、例えば、不
飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
が使用される。上記膜スペ−サ3の材質としては、熱可
塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リプロピレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリビニ
ルアルコ−ル、エチレン−ビニルアセテ−ト等の熱可塑
性樹脂フィルムもしくはシ−トが挙げられ、特に、内殻
または外殻との非接着性に優れたポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリビニルアルコ−ルのフィルムもしくはシ
−トが好ましく用いられる。これらは、通常、未硬化の
内殻上に巻き付けて膜スペ−サとして形成される。アク
リル系,ウレタン系,シリコン系,フッソ系等の塗料、
熱可塑性樹脂の溶剤溶解溶液、液状ポリビニルアルコ−
ル等の速乾性液は通常、スプレ−塗布に用いられ、特
に、内殻または外殻との非接着性に優れたシリコン系,
フッソ系等の塗料、液状ポリビニルアルコ−ル等が好ま
しく用いられる。
【0019】ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリビニ
ルアルコ−ル等の発泡シ−トも使用可能である。膜スペ
−サの厚みは、上記フィルム厚みまたはスプレ−による
塗布厚み(乾燥厚み)で通常0.03mm〜0.3m
m、発泡シ−ト厚みで通常3mm〜7mmとされる。上
記フィルムまたはシ−トの場合、少なくとも片面を剥離
処理しておくことも可能である。
【0020】上記タンクの胴部Aには、耐荷重の面から
は所定の間隔ごとに環状リブを設けることも可能である
が、タンク埋設の作業性の面からは、リブ無しの方が埋
戻し土砂のスム−ズな回り込みを促し得て有利である。
本発明に係る繊維強化樹脂製二重殻タンクを製造するに
は、鏡板が一体の左右タンク半片をフィラメントワイン
デイング法(回転速度は1rpm程度)または遠心成形
法(回転速度は数10rpm)により製作し、これらの
左右タンク半片をハンドレイアップ法等により接合して
もよいし、タンク胴体をフィラメントワインデイング法
または遠心成形法により製作し、鏡板をハンドレイアッ
プ法やスプレイアップ法により製作し、前記胴体の両端
に鏡板をハンドレイアップ法等により接合してもよい。
【0021】上記鏡板には、胴部と同様に内郭−膜スペ
−サ−外殻からなる二重殻鏡板を用いることができ、こ
の場合、胴部の非接着界面と鏡板の非接着界面との連通
は、少なくともタンク底部の胴部と鏡板部とのコ−ナで
行えわれていればよく、また、この連通は全体の硬化後
での加工により行うこともできる。図3の(イ)乃至図
3の(ホ)は前記請求項3の発明に係る繊維強化樹脂製
二重殻タンクの製造方法の一例の作業手順を示してい
る。
【0022】図3の(イ)において、bは予め形成した
繊維強化樹脂製の鏡板である。この鏡板bには、単一殻
のものの使用も可能であるが、上記した繊維強化樹脂製
内殻と該内殻よりも薄い繊維強化樹脂製外殻との間に膜
スペ−サを介在させ、内殻または外殻の少なくとも何れ
か一方と膜スペ−サとの間を非接着とした二重殻鏡板を
使用することが望ましい。この二重殻鏡板のタンク内上
部の気相部に当たる部分に対しては、膜スペ−サを省略
し、内殻と外殻とを接着することもできる。この鏡板の
製作には、スプレ−アップ法や回転成形法を使用でき
る。
【0023】図3の(イ)において、51はマンドレル
であり、このマンドレル51の一端に上記の成形鏡板b
を取付けたうえで、図3の(ロ)に示すように、マンド
レルを回転させて未硬化材料1aの巻き付けにより未硬
化内殻を形成し、更にマンドレル回転のもとで膜スペ−
サ用材3aを供給して未硬化内殻上に膜スペ−サを形成
し、更にマンドレル回転のもとで膜スペ−サ上に未硬化
材料2aの巻き付けにより未硬化外殻を形成し、次い
で、図3の(ハ)において、内殻及び外殻を同時に加熱
により硬化させ、而るのち、脱型並びにトリミングを行
ってタンク半片を製作する。
【0024】次いで、図3の(ニ)に示すように、左右
2箇の半片A1,A2をマンホ−ル、タンクノズル、検知
管等を取付けたうえで図3の(ホ)に示すように、ハン
ドレアップ法等により接合し(cで示している)、これ
にてタンクの製造を終了する。タンク内上部の気相部に
当たる部分の膜スペ−サを省略する場合、上記膜スペ−
サの形成時において、マンドレルの回転を停止のうえ、
シ−ト状膜スペ−サ材をタンク内上部の気相部に当たる
部分を除き縦添して膜スペ−サを形成すればよい。
【0025】上記繊維強化樹脂製内殻は図2の(ハ)に
より説明した通り、図3の(ロ)において、不織布、サ
−フェスマット、その他の樹脂保有率の高い伸縮性テ−
プ11を巻付け、その巻付け層に樹脂を滴下含浸させて
樹脂リッチ層を形成し、その上に樹脂含浸ロ−ビング1
21をチョップ(ロ−ビングを1/2〜4インチ長さに
切断したもの)を散布しつつ巻付け、その上にロ−ビン
グクロステ−プまたはスダレテ−プ122を巻付け、こ
の巻付け層に既に設けた樹脂リッチ層及び樹脂含浸ロ−
ビング層の余剰樹脂を含浸させ(以上の一連の形成を一
連形成と称する)、更に、支持テ−プ上にレジンモルタ
ルを均したレジンモルタルキャリア13をレジンモルタ
ルを内側にして巻き付けると共に支持テ−プを除去して
レジンモルタル層を形成し、更に、上記した一連形成1
21,122を行い、その形成層の最外面を紫外線照射
で硬化させ(樹脂に予め紫外線架橋剤を配合してあ
る)、更に、膜スペ−サ用フィルム3aの巻き付け、膜
スペ−サ用シ−トのロ−ル巻き、膜スペ−サ用液のスプ
レイ塗装等により膜スペ−サを形成し、更に、上記した
一連形成(ただし、ロ−ビングクロステ−プまたはスダ
レテ−プを巻付けは省略)2aを行うことにより形成す
ることができる。
【0026】上記の例に対し、タンク胴部を製作し、マ
ンホ−ル、タンクノズル、検知管等を取付け、上記予め
製作した鏡板を胴部両端にハンドレアップ法等により取
着することにより請求項3の発明を実施することもでき
る。図4の(イ)乃至図4の(ホ)は前記請求項4の発
明に係る繊維強化樹脂製二重殻タンクの製造方法の一例
の作業手順を示している。
【0027】図4の(イ)において、61は回転筒型で
あり、支持ロ−ラ62の駆動により回転される。60は
筒型の一端開口より筒型内に挿入されて往復移動される
片持ち式の可動杆を、63は可動杆の先端に支持された
ロ−ビングカッタ−を、64は同じく樹脂スプレイノズ
ルを、65は同じく膜スペ−サ用液スプレイノズルを、
66は同じくレジンモルタル搬送スクリユ−をそれぞれ
示している。
【0028】図4の(ロ)において、bは前記と同様の
予め製作した鏡板であり、この鏡板bを筒型61の他端
開口に取付け、筒型61を回転させ、まず可動杆を前進
移動させつつカッタ−63によりロ−ビングを所定長さ
に切断すると共に樹脂スプレイノズル64で樹脂液を散
布して筒型内面に未硬化の繊維強化樹脂製外殻〔図4の
(ハ)の2〕を遠心形成し、次いで、可動杆60を帰り
移動させつつ膜スペ−サ用液スプレイノズル65で速硬
化性のスペ−サ製膜液、例えばポリビニルアルコ−ル液
を塗布して膜スペ−サ〔図4の(ハ)の3〕を形成し、
好ましくは、この膜スペ−サを硬化させたうえで、再度
可動杆60を前進移動させ、その移動中カッタ−63に
よりロ−ビングを所定長さに切断すると共に樹脂スプレ
イノズル64で樹脂液を散布し、この散布の後にスクリ
ユ−でレジンモルタル66を吐出供給し未硬化の繊維強
化樹脂層〔図4の(ハ)の12〕を遠心形成すると共に
その内面にレジンモルタル層〔図4の(ハ)の13〕を
遠心成形し、更に、可動杆を帰り移動させつつカッタ−
63によりロ−ビングを所定長さに切断すると共に樹脂
スプレイノズル64で樹脂液を散布して未硬化の繊維強
化樹脂層〔図4の(ハ)の14〕を遠心成形し、かくし
て、上記未硬化の繊維強化樹脂層12とレジンモルタル
層13と未硬化の繊維強化樹脂層14との複合層からな
る未硬化の繊維強化樹脂製内殻1を遠心成形し、更に必
要に応じ内殻内周面に防食層としての樹脂層を樹脂液の
スプレイにより形成し(遠心力により樹脂が充分な量で
浮上してくるときは、省略する)、次いで、内殻及び外
殻を同時に加熱により硬化させ、而るのち、脱型並びに
トリミングを行ってタンク半片を製作する。
【0029】次いで、図4の(ニ)に示すように左右2
箇の半片をマンホ−ル、タンクノズル、検知管等を取付
けたうえで、図4の(ホ)に示すように、ハンドレアッ
プ法等により接合し、これにてタンクの製造を終了す
る。上記において、可動杆60を固定とし、筒型61を
往復移動させることも可能である。
【0030】上記の請求項4の発明に係る繊維強化樹脂
製二重殻タンクの製造方法の例においても、タンク内上
部の気相部に当たる部分の膜スペ−サを省略する場合
は、上記スペ−サ製膜液の塗布時、マンドレルの回転を
停止したうえで、スペ−サ製膜液をタンク内上部の気相
部に当たる部分を除いて塗布すればよい。また、タンク
胴部を製作し、マンホ−ル、タンクノズル、検知管等を
取付け、上記予め製作した鏡板を胴部両端にハンドレア
ップ法等により取着することにより請求項4の発明を実
施することもできる。
【0031】
【作用】繊維強化樹脂は材質的に強くても、衝撃集中荷
重に対しては応力集中によるクラックの発生が往々に経
験されている。しかし、本発明に係る繊維強化樹脂製二
重殻タンクにおいては、外殻を薄い繊維強化樹脂殻で形
成し、かつタンク本体である繊維強化樹脂製内殻に非接
着界面を介して摺動可能に支持してあるから、荷重の集
中作用点において外殻がその低剛性(可撓性)と摺動性
のために容易に変形して応力の発生が抑制・緩和され、
クラックの発生がよく防止される。
【0032】地中に可撓性の管状体を埋設した場合、埋
戻し土による荷重は図5の(イ)のように、輪圧による
荷重は図5の(ロ)に示すように、それぞれ不均等荷重
になる〔図5の(イ)及び図5の(ロ)において、P1
は土被り土圧、P2は輪圧、2αは半力支承角であ
る〕。而るに、かかる不均等荷重のもとでは、薄い外殻
とタンク本体である内殻との間に間隙があると、その間
隙の空間内において外殻が不均等に撓み変形して、しわ
が発生するときと同じような挙動でクラックが発生し易
い。しかし、本発明に係る二重殻タンクにおいては、内
殻と外殻との間が膜スペ−サで埋められているから、外
殻の撓み変形をよく防止でき、クラックの発生を回避で
きる。そして、外殻においても、内殻による保護のため
にクラックの発生を排除できる。
【0033】本発明に係る二重殻タンクにおいては、外
部荷重が実質的に全て内殻に作用するが、前記したよう
に、この内殻に対し全体破壊の起点となるクラックの発
生を事前に排除できるから、全体として優れた耐荷重強
度を発現させることができる。更に、万一液体漏れが生
じても、その漏洩液体を非接着界面に沿い浸透作用によ
り移動させて検知管の底部に導くことができ、漏れの早
期検知も可能である。
【0034】
【実施例】
〔実施例1〕図3の(イ)乃至図3の(ホ)により説明
した請求項3の発明の実施例であり、予め形成した二重
鏡板bをマンドレル51の一端に取付け、全周にわたり
膜スペ−サを形成することにより実施した。
【0035】タンク半片の寸法は、口径2mm、長さ3
mmである(従って、タンク全長は6mm)。熱硬化性
樹脂には、イソ系不飽和ポリエステル樹脂100部(重
量部、以下同じ),メチルエチルケトンパ−オキシド硬
化剤1.5部に促進剤を添加した配合を使用し、強化繊
維にはガラスロ−ビング(番手4500g/km)を2
0本揃えたものを使用し、チョップはロ−ビング5本を
1インチに切断しつつ散布した。レジンモルタルの骨材
には、主骨材珪砂(1000〜5000μm)と細骨材
珪砂(500μm以下)と微粒材としての炭酸カルシウ
ム(約2μm)との混合物を使用し、膜スペ−サには厚
み0.03mmのポリエチレンテ−プを使用した。
【0036】二重殻構造には図2の(ハ)に示したもの
を使用した。図2の(ハ)において、サ−フェイスマッ
ト樹脂リッチ層11上の樹脂含浸ロ−ビング・チョップ
層と前記ロ−ビングを3〜5mm間隔で管軸方向に繊維
が並ぶように1000mm巾で巻き付けて施したスダレ
巻きのとの併用層12の厚みを3mm(樹脂含浸ロ−ビ
ング層と樹脂含浸チョップ層の厚み比は1:1。ロ−ビ
ングはフ−プ巻き)とし、モルタルレジン層13の厚み
を11mm、モルタルレジン層13の樹脂重量含有率を
11%とし、スダレ巻き(前記と同様ロ−ビングを3〜
5mm間隔で管軸方向に繊維が並ぶように1000mm
巾で巻き付け)と樹脂含浸ロ−ビング・チョップ層との
併用層14の厚みを3mmとし、膜スペ−サ3は上記ポ
リエチレンテ−プの一層巻き付けにより形成し、樹脂含
浸ロ−ビング・チョップ層2の厚みは3mmとした。
【0037】上記併用層14の樹脂には紫外線硬化剤を
添加し、光量(60w/cm)×30秒の紫外線を照射
してその樹脂含浸ロ−ビング・チョップ層表面を硬化さ
せたうえで、上記ポリエチレンテ−プの巻き付けを行っ
た。マンドレルの回転速度は約1rpmとし、1箇のタ
ンク片の硬化終了までの作業時間は40分であり、内郭
全体の硬化後に外殻を硬化形成する場合のほぼ1/2の
時間であった。
【0038】タンク半片を製作後、2箇のタンク半片を
樹脂含浸ガラスマットのハンドレイアップで接合し、容
量20kリットルのタンクを製作した。内圧0.98k
g/cm2の内圧加圧試験を行ったところ、合格であっ
た。 〔実施例2〕図4の(イ)乃至図4の(ホ)により説明
した請求項4の発明の実施例であり、予め成形した二重
鏡板bを筒型61の一端に取付け、全周にわたり膜スペ
−サを形成することにより実施した。
【0039】タンク半片の寸法は、口径2mm、長さ3
mmである(従って、タンク全長は6mm)。筒型の回
転速度は20rpmとした。熱硬化性樹脂、チョップ、
レジンモルタルの骨材には、実施例1と同じものを使用
し、膜スペ−サ材にはポリビニルアルコ−ル樹脂液を使
用した。樹脂とチョップとのスプレイにより吹き付けに
より樹脂含浸チョップ層の未硬化外殻を形成したのち、
ポリビニルアルコ−ル樹脂液をスプレイ塗布し、温度6
0℃の熱風を10分間吹き込んで乾燥させて厚み0.0
5mmのポリビニルアルコ−ル膜を形成した。更に、樹
脂含浸チョップ層−レジンモルタル層−樹脂含浸チョッ
プ層の複合層からなる厚み16mmの未硬化内殻を形成
し、約1時間で脱型可能な硬度にまで硬化させた。脱型
時まで筒型の回転を続け、この脱型時までの作業時間
は、上記の硬化時間1時間と全形成時間約30分とのほ
ぼ1時間30分あった。
【0040】タンク半片の製作後は、実施例1と同様、
2箇のタンク半片を樹脂含浸ガラスマットのハンドレイ
アップで接合し、容量20kリットルのタンクを製作し
た。内圧0.98kg/cm2の内圧加圧試験を行った
ところ、合格であった。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、運搬時でのクラックを
排除して耐荷重性を満足に発現させ得、しかも、貯蔵液
の漏れを事前に検知できる繊維強化樹脂製二重殻タンク
を提供できる。そして、請求項3並びに4の発明によれ
ば、かかる繊維強化樹脂製二重殻タンクを内殻と外殻の
同時硬化により充分に短時間で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る繊維強化樹脂製二重殻タンクの一
例を示す断面図である。
【図2】図2の(イ)は図1における検出管の下端部を
示す図面、図2の(ロ)は図1におけるタンク内気層部
での二重殻構造を示す図面、図2の(ハ)は図1におけ
るタンク胴部の二重殻構造を示す図面である。
【図3】請求項3記載のタンクの製造方法に係る発明の
一例を示す説明図であり、図3の(イ)はマンドレルに
成形鏡板を取り付けた段階を、図3の(ロ)はマンドレ
ルへの材料巻付け時の段階を、図3の(ハ)は硬化後の
段階を、図3の(ニ)はタンク片接合直前の段階を、図
3の(ホ)はタンク片接合後の段階をそれぞれ示してい
る。
【図4】請求項4記載のタンクの製造方法に係る発明の
一例を示す説明図であり、図4の(イ)は好適に用いら
れる製造装置を、図4の(ロ)は筒型内への材料供給段
階を、図4の(ハ)はタンクの二重殻構造を、図4の
(ニ)はタンク片接合直前の段階を、図4の(ホ)はタ
ンク片接合後の段階をそれぞれ示している。
【図5】図5の(イ)は管状体を地中に埋設した場合に
おける埋戻し土による荷重状態を、図5の(ロ)は同じ
く輪圧による荷重状態をそれぞれ示す説明図である。
【符号の説明】
1 内殻 2 外殻 3 膜スペ−サ 4 検出管 51 マンドレル 61 筒型

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンク胴本体としての繊維強化樹脂製内殻
    と該内殻よりも薄い繊維強化樹脂製外殻との間に膜スペ
    −サが介在され、内殻または外殻の少なくとも何れか一
    方と膜スペ−サとの間が非接着とされている胴部を有す
    ることを特徴とする繊維強化樹脂製二重殻タンク。
  2. 【請求項2】外殻の厚みが1.5mm〜4mmである請
    求項1記載の繊維強化樹脂製二重殻タンク。
  3. 【請求項3】回転中のマンドレルに材料を巻きつけるこ
    とにより未硬化の内殻を形成し、該未硬化内殻上に非接
    着性材料により膜スペ−サを形成し、この膜スペ−サ上
    に上記マンドレルの回転のもとで材料を巻きつけること
    により未硬化の外殻を形成し、而るのち、内殻及び外殻
    を同時に硬化させて請求項1または2記載の胴部を製造
    することを特徴とする繊維強化樹脂製二重殻タンクの製
    造方法。
  4. 【請求項4】回転中の筒型の内周面に材料を供給して遠
    心力により未硬化の外殻を形成し、該未硬化外殻の内周
    面に非接着性材料を塗布して膜スペ−サを形成し、この
    膜スペ−サの内周面に上記筒型の回転のもとで材料を巻
    きつけることにより未硬化の内殻を形成し、而るのち、
    内殻及び外殻を同時に硬化させて請求項1または2記載
    の胴部を製造することを特徴とする繊維強化樹脂製二重
    殻タンクの製造方法。
JP7133714A 1995-05-31 1995-05-31 繊維強化樹脂製二重殻タンク及びその製造方法 Pending JPH08324686A (ja)

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