JPH08313604A - 蓄電池の寿命診断方法および寿命診断装置 - Google Patents

蓄電池の寿命診断方法および寿命診断装置

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JPH08313604A
JPH08313604A JP7122333A JP12233395A JPH08313604A JP H08313604 A JPH08313604 A JP H08313604A JP 7122333 A JP7122333 A JP 7122333A JP 12233395 A JP12233395 A JP 12233395A JP H08313604 A JPH08313604 A JP H08313604A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ある程度劣化が進んだ蓄電池の寿命診断を行え
るようにする。 【構成】寿命診断装置5の測定端子を、診断対象の蓄電
池に接続し、スイッチ7をオンして短時間定電流放電を
行わせて放電電圧極小値を測定する。蓄電池の容量と放
電電圧極小値とは、高い相関を有しているので、測定し
た放電電圧極小値から予め求めている前記相関に基づい
て、診断対象の蓄電池の容量を推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蓄電池の容量、放電時
間、容量率、劣化度あるいは残存寿命を求めて蓄電池の
寿命を診断する寿命診断方法およびその診断方法を実施
するのに好適な寿命診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】繰り返し充放電が行われる蓄電池は、電
力所その他の建造物に設置される非常用予備電源、無停
電システム、車載並びに太陽光発電システム等様々な分
野に利用されている。そして、係る蓄電池の寿命は、蓄
電池の種類・型式により異なり、使用条件でも変わる。
従って寿命がきたならば、新品の蓄電池に交換する必要
があるが、上記のように使用条件や蓄電池そのものの性
能のばらつきなどにより、使用不能になる時期が一定で
はない。
【0003】したがって、均一に期間を定めて交換する
と、交換時期になる前に劣化して使用不能になったり、
或いは未だ使用に耐え得るうちに蓄電池を交換してしま
うことになり不経済となる。
【0004】そこで、最適な交換時期を検出するため
に、従来、蓄電池の寿命や劣化度を検知する方法として
種々のものが提案されており、その中の一つとして特開
平5−315015号に開示されたものがある。この公
報に開示された発明は、蓄電池表面温度と設置後経過年
数とを入力し、所定の演算式により劣化率を求めるよう
になっている。
【0005】そして具体的には、図29に示すように、
まず新品の蓄電池をシステムに設置した日付をメモリに
記憶させておく。その状態で、劣化係数演算指示があっ
たなら(ST01)、現在の時刻(日時)と、メモリに
記憶させておいた日付から設置後の経過年数を求める
(ST02)。一方、蓄電池の表面の温度を1時間に1
回測定しておき、設置時からの平均温度(t)を随時更
新しておき、係るtを下記式に代入しYbを求める(S
T03)。
【0006】Yb=a−b×log t (a,bは係数) そして、経過年数Yが、上記求めた劣化係数が1.0の
期間Ybよりも大きい場合には下記式に代入し劣化係数
を求める。なお、YがYb以下の場合には劣化係数fは
1.0となり劣化していないと判断する(ST04〜0
6)。
【0007】f=1−(c+d×tn)×(Y−Yb)m そして、劣化係数fが小さくなるほど劣化が進んでいる
ことになり、一定値以下になると交換時期になったと判
断するようにしている。なお、上記各式において、a,
b,c,d,n,mはそれぞれ定数であり、診断対象の
蓄電池の特性等により適宜決定されるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の装置では、以下に示す種々の問題を有してい
る。すなわち、蓄電池は、それぞれ固有の充電・放電特
性や内部抵抗等を有し、各蓄電池の特性は電池毎に異な
る。そして従来の方法は経過年数と温度というように絶
対値を入力条件としているため、各性能のばらつきを考
慮することができず、結局標準的な劣化度を推定演算す
るにすぎず、実際の測定対象の蓄電池の劣化度を求める
ことはできなかった。
【0009】また、設置後の経過年数を正確に知るため
には、新品の蓄電池を設置し、その時の日時を記憶して
おかなければならない。従って、すでに使用してある程
度劣化していたり、或いは使用不要になった蓄電池を誤
って実装してしまうと、さらにその時から一定期間は劣
化係数が1.0(劣化していない)を示すことになり、
必要な時に使用できない状態となる。
【0010】また、たとえ新品の蓄電池を用いたとして
も、劣化度を測定する診断装置の電源が停電等で落ちる
と、内部タイマが一時停止して正規の経過年数が得られ
なくなったり、記憶しておいた設置日時や温度のデータ
が書き替えられたり、消失するなど利用できなくなり、
誤判定をしてしまうおそれがある。さらに、設置以降1
時間おきに温度を測定し、それまでの平均温度を求めな
ければならず、その処理が煩雑となる。
【0011】また、劣化の度合いを知ることはできて
も、残存寿命期間を知ることはできなかった。
【0012】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、設置から現在までの経過状況が不要で、診断を
行う現在の状態で得られるデータに基づいて寿命を診断
することができ、すでに使用開始されて劣化が進んだ蓄
電池などに対しても寿命を正確に判断することができ、
また、蓄電池個々のばらつきに関係なく、短時間で診断
することができる蓄電池の寿命診断方法および寿命診断
装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明では、次のように構成している。
【0014】すなわち、本発明の寿命診断方法および寿
命診断装置は、蓄電池の容量、放電時間または容量率
を、寿命診断のための診断量として求めて寿命を診断す
るものである。
【0015】先ず、請求項第1項記載の本発明の寿命診
断方法は、予め、蓄電池の前記診断量と蓄電池を所定時
間定電流放電させた時の放電電圧極小値との相関を求
め、診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた時の
放電電圧極小値を測定し、測定された放電電圧極小値お
よび予め求めた前記相関に基づいて、前記診断対象の蓄
電池の診断量を推定するものである。
【0016】請求項第2項記載の本発明の寿命診断装置
は、蓄電池の電圧を検出する電圧検出手段と、診断対象
の蓄電池を所定時間定電流放電させた時の放電電圧極小
値から前記診断対象の蓄電池の前記診断量を推定する推
定手段とを備え、前記推定手段は、蓄電池の診断量と放
電電圧極小値との相関に基づいて、診断対象の蓄電池の
診断量を推定するものである。
【0017】請求項第3項記載の本発明の寿命診断方法
は、予め、蓄電池の前記診断量と蓄電池を所定時間定電
流放電させた放電終了直後の放電終了昇圧値との相関
を、複数の異なる温度においてそれぞれ求め、診断対象
の蓄電池を所定時間定電流放電させた放電終了直後の放
電終了昇圧値および温度を測定し、測定された放電終了
昇圧値、温度および予め求めた前記相関に基づいて、前
記診断対象の蓄電池の診断量を推定するものである。
【0018】請求項第4項記載の本発明の寿命診断装置
は、蓄電池の電圧を検出する電圧検出手段と、温度を検
出する温度検出手段と、診断対象の蓄電池を所定時間定
電流放電させた放電終了直後の放電終了昇圧値および検
出温度から前記診断対象の蓄電池の前記診断量を推定す
る推定手段とを備え、前記推定手段は、蓄電池の診断量
と放電終了昇圧値との相関に基づいて、前記診断対象の
蓄電池の診断量を推定するものである。
【0019】請求項第5項記載の本発明の寿命診断方法
は、予め、蓄電池の前記診断量と蓄電池を所定時間定電
流放電させた放電終了後一定時間経過後の放電終了後電
圧値との相関を、複数の異なる温度においてそれぞれ求
め、診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた放電
終了後一定時間経過後の放電終了後電圧値および温度を
測定し、測定された放電終了後電圧値、温度および予め
求めた前記相関に基づいて、前記診断対象の蓄電池の診
断量を推定するものである。
【0020】請求項第6記載の本発明の寿命診断装置
は、蓄電池の電圧を検出する電圧検出手段と、温度を検
出する温度検出手段と、診断対象の蓄電池を所定時間定
電流放電させた放電終了後一定時間経過後の放電終了後
電圧値および検出温度から前記診断対象の蓄電池の前記
診断量を推定する推定手段とを備え、前記推定手段は、
蓄電池の診断量と放電終了後電圧値との相関に基づい
て、前記診断対象の蓄電池の診断量を推定するものであ
る。
【0021】請求項第7項記載の本発明の寿命診断方法
は、請求項第1項、第3項または第5項のいずれかに記
載の寿命診断方法において、直列接続されて組電池を構
成する各蓄電池の前記診断量をそれぞれ推定し、推定さ
れた診断量に基づいて、各蓄電池の模擬放電曲線をそれ
ぞれ求め、各蓄電池の模擬放電曲線を重ね合わせて前記
組電池の模擬放電曲線を求め、前記組電池の模擬放電曲
線に基づいて、前記組電池の診断量を推定するものであ
る。
【0022】請求項第8項記載の本発明の寿命診断装置
は、請求項第2項、第4項または第6項のいずれかに記
載の寿命診断装置において、直列接続されて組電池を構
成する各蓄電池の推定された前記診断量に基づいて、各
蓄電池の模擬放電曲線をそれぞれ作成する蓄電池模擬放
電曲線作成手段と、各蓄電池の模擬放電曲線を重ね合わ
せて前記組電池の模擬放電曲線を作成する組電池模擬放
電曲線作成手段と、前記組電池の模擬放電曲線に基づい
て、組電池の前記診断量を推定する組電池推定手段とを
備えている。
【0023】請求項第9項記載の本発明の寿命診断方法
は、請求項第1項、第3項または第5項のいずれかに記
載の寿命診断方法において、予め、加速劣化試験を行っ
て蓄電池の前記診断量の経時変化データを求め、診断対
象の蓄電池の推定された診断量および予め求めた前記診
断量の経時変化データに基づいて、加速劣化試験温度に
おける前記診断対象の蓄電池の残存寿命を求め、求めら
れた蓄電池の残存寿命から指定温度における残存寿命を
求めるものである。
【0024】請求項第10項記載の本発明の寿命診断装
置は、請求項第2項、第4項または第6項のいずれかに
記載の寿命診断装置において、推定された蓄電池の前記
診断量および加速劣化試験によって得られた診断量の経
時変化データに基づいて、加速劣化試験温度における蓄
電池の残存寿命を算出する残存寿命算出手段と、算出さ
れた蓄電池の残存寿命を、指定温度における残存寿命に
換算する残存寿命換算手段とを備えている。
【0025】請求項第11項記載の寿命診断方法は、請
求項第1項、第3項、第5項または第7項のいずれかに
記載の寿命診断方法において、推定された前記診断量か
ら劣化度を求めるものである。
【0026】請求項第12項記載の寿命診断装置は、請
求項第2項、第4項、第6項または第8項のいずれかに
記載の寿命診断装置において、推定された前記診断量か
ら劣化度を算出する劣化度算出手段を備えている。
【0027】
【作用】請求項第1項または第2項記載の本発明では、
蓄電池の診断量、例えば容量と蓄電池を所定時間定電流
放電させた時の放電電圧極小値との相関が非常に高いと
いう特性を利用し、診断対象の蓄電池の放電電圧極小値
を測定することにより、前記相関に基づいて、蓄電池の
診断量、例えば容量を推定できるものである。
【0028】請求項第3項または第4項記載の本発明で
は、蓄電池の診断量、例えば容量と蓄電池を所定時間定
電流放電させた放電終了直後の放電終了昇圧値との相関
が非常に高く、かつ、温度依存性を有するという点を利
用し、診断対象の蓄電池の放電終了昇圧値および温度を
測定することにより、前記相関に基づいて、蓄電池の診
断量、例えば容量を推定できるものである。
【0029】請求項第5項または第6項記載の本発明で
は、蓄電池の診断量、例えば容量と蓄電池を所定時間定
電流放電させた放電終了後一定時間経過後の放電終了後
電圧値との相関が、非常に高く、かつ、温度依存性を有
するという点を利用し、診断対象の蓄電池の放電終了後
電圧値および温度を測定することにより、前記相関に基
づいて、蓄電池の診断量、例えば容量を推定できるもの
である。
【0030】請求項第7項または第8項記載の本発明で
は、複数の蓄電池が直列接続されてなる組電池において
は、その電圧は、各蓄電池の電圧の総和(重ね合わせ)
となるという点を利用し、各蓄電池について推定した診
断量、例えば容量から各蓄電池についての模擬放電曲線
を求め、これらを重ね合わせることにより、組電池の模
擬放電曲線を求めることができ、この模擬放電曲線から
組電池の診断量、例えば容量を推定できるものである。
【0031】請求項第9項または第10項記載の本発明
では、蓄電池の寿命期間と温度との間には、アレニウス
の法則が成立するという点を利用し、加速劣化試験によ
って得られる蓄電池の診断量、例えば容量の経時変化デ
ータに、診断対象の蓄電池の推定された診断量、例えば
容量を照合することにより、加速劣化試験温度における
残存寿命を求めることができ、この残存寿命から、アレ
ニウスの法則を利用して指定温度における残存寿命を求
めることができる。
【0032】請求項第11項または第12項記載の本発
明では、推定された診断量、例えば容量から劣化度を算
出するので、蓄電池の寿命をより明確に把握できる。
【0033】
【実施例】以下、図面によって本発明の実施例について
詳細に説明する。
【0034】図1は、本発明の第1実施例に係る蓄電池
の寿命診断方法を実施するための寿命診断装置およびそ
の接続状態を説明するための概略構成図である。
【0035】同図において、1は浮動充電状態にある複
数の蓄電池2が直列接続されてなる組電池、3は図示し
ない常用電源からの交流電流を整流する整流器、4は負
荷、5は診断対象の蓄電池2に接続されて後述のように
蓄電池1の寿命を診断する蓄電池寿命診断装置である。
【0036】この実施例の蓄電池寿命診断装置5は、蓄
電池2を所定の短時間、この実施例では、10分間定電
流放電させた時の放電電圧の極小値から蓄電池2の診断
量、この実施例では容量を推定するとともに、劣化度を
推定するものであり、図2に示される構成を有してい
る。
【0037】すなわち、この蓄電池寿命診断装置5は、
診断対象となる蓄電池2の両端に接続される一対の測定
用端子6と、スイッチ7を有する接続部8と、電子負荷
を有する放電部9と、診断対象の蓄電池1の電圧を検出
する電圧検出部10と、接続部8のスイッチ7の開閉制
御を行うとともに、電圧検出部10の出力に基づいて、
後述のようにして蓄電池2の容量および劣化度を演算し
て出力する容量推定手段としての機能を有する演算処理
部11と、所定の入力操作を行うキーボード,マウス等
の操作部12と、演算処理部11からの診断結果を表示
するCRT,液晶ディスプレイ等からなる表示部13と
を備えている。
【0038】この蓄電池寿命診断装置5では、一対の測
定用端子6を、浮動充電状態にある診断対象の蓄電池2
に接続し、接続部8のスイッチ7をオンすることによ
り、蓄電池1に放電部9の電子負荷が接続され、電子負
荷に一定の放電電流が流れるようになっている。
【0039】なお、操作部12は、単に診断開始命令を
与えるだけであれば、押しボタンその他のスイッチ類で
もよい。またこの表示部13は、容量あるいは劣化度を
数値或いは所定のアルファベット等の記号で表示する場
合には、LED等からなるセグメント方式の表示装置に
することもできる。さらには、一定の容量あるいは劣化
度にきたことを知らせるようにした場合には、1または
複数個の発光ランプでもよい。また表示部13に替え
て、或るいはそれと併設してブザーなどの音声出力装置
を設け、音声により診断結果を伝えるようにしてもよ
い。
【0040】ここで、上記演算処理部11の機能を説明
する前に、本装置の動作原理について説明する。
【0041】図3は、単セルとしての蓄電池を短時間、
この例では、10間定電流放電させて10分間放電を休
止したときの放電特性を示すものであり、同図(A)
は、放電電圧を、同図(B)は、放電電流をそれぞれ示
している。
【0042】なお、この図3および以下の各実施例にお
いては、蓄電池を、据置鉛蓄電池CS−130とし、放
電電流を10時間率電流としている。
【0043】この特性は、T0〜T1の10分間を定電
流放電し、T1〜T2の10分間を放電停止して開放状
態としたときのものである。
【0044】同図(A)に示されるように、放電電圧
は、放電開始後急に電圧降下して極小値Vminとなった
後、徐々に電圧が上昇し、放電を停止した直後には、急
激に電圧が上昇した後、電圧が徐々に上昇している。
【0045】このように放電開始後に電圧が極小となる
点を、放電電圧極小値あるいは極小電圧値と称するが、
このように放電電圧が極小を示すのは、未活性状態の蓄
電池を放電によって活性化させることにより生じるもの
であり、このため、この短時間放電を活性化放電とも称
する。
【0046】図4は、蓄電池の測定容量(残存容量)と
上述の放電電圧極小値との関係を示す特性図である。
【0047】同図から明らかなように、容量と放電電圧
極小値との相関は、非常に高く、容量が大きいほど放電
電圧極小値は大きくなる傾向がある。
【0048】この相関には、温度依存性がないので、上
述の従来例のように、温度をパラメータとする必要がな
く、温度の測定が不要である。
【0049】この実施例では、以上の関係を利用して、
診断対象の蓄電池2を短時間定電流放電させた時の放電
電圧極小値を測定し、この放電電圧極小値から蓄電池2
の容量、あるいは、規格容量値に対する劣化度を推定す
るようにしている。
【0050】すなわち、この実施例の寿命診断方法で
は、診断対象の蓄電池2と同じ種類・型式である据置鉛
蓄電池CS−130について、図4に示される蓄電池の
容量と蓄電池を短時間定電流放電させた時の放電電圧極
小値との相関を、予め求めて後述の容量推定式を作成
し、診断対象となる蓄電池2を短時間定電流放電させた
時の放電電圧極小値を測定し、この測定された放電電圧
極小値から前記容量推定式に従って容量を算出し、さら
に、この推定容量から劣化度を算出するのである。
【0051】なお、劣化度は、次式で算出される。
【0052】劣化度={1−(推定容量値)/(規格容
量値)}×100 ここで、図4の相関を求めるための手順を説明する。
【0053】先ず、図3に示されるように、10分間定
電流放電させて10分間放電を休止し、その後、定電流
放電を再開し、放電電圧が終止電圧に達するまでの放電
時間を測定し、この放電時間と放電電流との積として容
量を算出し、また、併せて放電電圧極小値を求めるもの
である。なお、初期の定電流放電は、10分間と短時間
であり、初期の定電流放電の容量は、無視することがで
きる。
【0054】次に、このようにして得られた図4の相関
から容量推定式を作成する手順を説明する。
【0055】この実施例では、容量を、高容量、中容
量、低容量および極小容量の4つの部分に区分し、各区
分における測定データから直線回帰分析を行った。
【0056】下記の表1に、各容量区分における測定デ
ータ、回帰分析の結果得られた4つの直線の式および境
界となる交点の座標(放電電圧極小値)を示している。
【0057】
【表1】
【0058】このようにして予め容量推定式、すなわ
ち、4つの直線の式を求め、その後、診断対象の蓄電池
2を10分間定電流放電させた時の放電電圧極小値を測
定し、その測定値を、対応する容量推定式に代入して推
定容量を算出し、さらに、この推定容量から規格容量値
に対する劣化度を算出するのである。
【0059】次に、この実施例の寿命診断方法を実施す
るための蓄電池寿命診断装置5の具体的な構成および動
作を、さらに詳細に説明する。
【0060】図5は、図2の蓄電池寿命診断装置5の演
算処理部11の構成を示すブロック図であり、演算処理
部11は、電圧検出部10から与えられた電圧データを
蓄積し、放電時電圧極小値を抽出する放電電圧極小値抽
出部14と、抽出された放電電圧極小値を、上述の容量
推定式に代入して推定容量を算出する容量算出部15
と、算出された容量から劣化度を算出して表示部13に
出力する劣化度算出部16と、操作部12の操作に応じ
て、放電電圧極小値抽出部14に対して電圧値の取り込
みを指令するとともに、接続部8のスイッチ7の開閉を
制御する制御部17とを備えている。
【0061】劣化度算出部16は、算出した劣化度を表
示部13に対して出力するが、一定の基準以上、例えば
20%以上になった場合には、表示とともに図示省略し
た出力装置に対して警報発生命令を出力し、音声で交換
時期にきたことを知らせられるようになっている。
【0062】また、制御部17は、操作部16からの診
断開始命令を受けて接続部8のスイッチ7をオンすると
ともに、放電電圧極小値抽出部14に電圧の取り込みを
指令し、測定終了以降にスイッチ7をオフし、その後、
電圧の取り込みを停止させる。
【0063】次に演算処理部全体の処理機能について、
図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0064】まず前提として診断対象の蓄電池2を、上
述のように据置鉛蓄電池CS−130とし、放電電流を
10時間率電流としている。
【0065】蓄電池寿命診断装置5の測定端子6が、浮
動充電状態にある診断対象のいずれか蓄電池2に接続さ
れて操作部12から所定の入力(測定開始命令)を受け
ると(ステップn1)、接続部8のスイッチ7をオンし
て定電流放電を開始するとともに、電圧の測定を開始し
(ステップn2)、所定時間、この実施例では、10分
が経過したか否かを判断し(ステップn3)、経過した
ときには、接続部8のスイッチ7をオフして定電流放電
を終了し(ステップn4)、所定時間、この実施例で
は、10分が経過したか否かを判断し(ステップn
5)、経過したときには、電圧の測定を終了し(ステッ
プn6)、測定された電圧から放電電圧極小値を抽出し
(ステップn7)、上述の容量推定式に代入して推定容
量を算出し(ステップn8)、算出された推定容量から
劣化度を算出し(ステップn9)、表示部13に出力し
て終了する(ステップn10)。
【0066】以上のようにして推定された容量と、測定
された容量との比較による評価結果を、下記の表2に示
す。
【0067】
【表2】
【0068】表2に示されるように、絶対誤差の最大値
は、9.022[Ah]であり、これを、下記式で定義
される誤差率[%]で評価すると、6.94[%]とな
り、非常の確度の高い推定結果であることが分かる。
【0069】誤差率={|(推定容量)−(測定容量)
|/(公称容量)}×100 なお、上記した実施例では、測定対象の蓄電池2として
据置鉛蓄電池を用いたが、本発明はこれに限ることな
く、その他種々のタイプの蓄電池に適用できる。また、
放電電流は、10時間率電流に限らず、定電流放電時間
も10分に限らず、放電電圧極小値が得られるような時
間を設定すればよい。また、放電休止時間も10分間に
限らない。
【0070】また、測定対象の蓄電池2は、浮動充電状
態であったけれども、本発明は、浮動充電状態の蓄電池
に限らないのは勿論である。
【0071】また、操作部12からの入力は、測定開始
命令のみの場合に限らない。すなわち、本装置におい
て、複数種類の測定条件に応じることができるようにし
た場合、その測定条件(放電電流値、測定時間)の設定
入力等をするようにしても良い。
【0072】なお、かかる場合には、放電部9の電子負
荷への放電電流も可変となるようにし、操作部12での
設定値に応じて演算処理部11から電子負荷に放電電流
値についての制御信号が出力されることになる。
【0073】さらにまた、上記した実施例では、容量の
推定を、回帰直線によって算出したけれども、本発明は
これに限ることなく、図4の相関を近似できるならば、
他の関数(指数関数、2次関数、3次関数等)を用いて
もよい。さらには、そのような演算処理によるものでは
なく、図4のようなデータをマップとして演算処理部1
1内に記憶しておき、ルックアップテーブル方式を用い
て、補間・推定するようにしてもよい。さらには、ファ
ジィメンバシップ関数やニューラルネットワークを用い
て推定するようにしてもよい。
【0074】なおまた、上記した実施例では、操作部1
2からの入力に基づいて診断を開始するようにしたが、
本発明はこれに限ることなく、例えば本装置を蓄電池2
に常時取り付け、定期的(例えば1ケ月毎等)に測定を
行うようにすれば、操作命令開始のための操作部12は
不要となる。
【0075】また、上述の実施例では、診断量として容
量を用いたけれども、本発明の他の実施例として、容量
に代えて、定電流放電を持続する時間である放電時間
(=容量[Ah]/放電電流[A])、あるいは、容量
の規格容量に対する割合である容量率(={容量[A
h]/規格容量[Ah]}×100)を用いてもよい。
【0076】この場合には、図4の相関のグラフの縦
軸、推定式の算出および評価等を、放電時間あるいは容
量率に置換し、診断の結果を、放電時間あるいは容量率
で表示するようにしてもよい。特に、ユーザが放電時間
を知りたい場合あるいは異なった規格容量の蓄電池に適
用する場合には、容量は容量率で正規化できるので、便
利である。なお、容量率と劣化度との関係は、次式で示
される。
【0077】 容量率[%]=100[%]−劣化度[%] 図7は、本発明の第2実施例の寿命診断方法を実施する
ための寿命診断装置およびその接続状態を説明するため
の概略構成図であり、図8は、その寿命診断装置の構成
図であり、上述の第1実施例に対応する部分には、同一
の参照符号を付す。
【0078】この実施例では、蓄電池2を短時間定電流
放電させた放電終了直後の放電終了昇圧値から蓄電池2
の容量および劣化度を推定するものであり、蓄電池2の
容量と前記昇圧値との相関は、温度依存性があるため
に、この実施例の寿命診断装置51は、診断対象の蓄電
池2に装着されて蓄電池2の温度を検出する温度検出部
18を有しており、この温度検出部18で検出された蓄
電池温度を演算処理部111へ入力して後述のように処
理するようにしている。
【0079】ここで、上記演算処理部111の機能を説
明する前に、本装置の動作原理について説明する。
【0080】蓄電池を短時間定電流放電させ、その後放
電を休止したときの放電特性は、上述の図3に示されて
いる。この図3(A)に示されるように、定電流放電を
停止した直後は、電圧が急激に上昇することが分かる。
この昇圧は、蓄電池の内部抵抗分の電圧が回復するため
に生じるものであり、この昇圧値Vupを、放電終了昇圧
値と称する。
【0081】図9は、複数の異なる温度において、蓄電
池の測定容量(残存容量)と上述の放電終了昇圧値との
関係を示す特性図である。この実施例では、放電終了昇
圧値として、放電終了後、例えば、1秒経過までに昇圧
した電圧値としている。
【0082】同図から明らかなように、容量と放電終了
昇圧値との相関は、非常に高く、容量が大きいほど放電
終了昇圧値は小さくなる傾向がある。また、温度が低い
ほど、放電終了昇圧値が小さくなる傾向がある。
【0083】この実施例では、以上の関係を利用して、
短時間定電流放電させた放電終了直後の放電終了昇圧値
およびその時の温度を測定し、この放電終了昇圧値から
容量、あるいは、劣化度を推定するようにしている。
【0084】このため、この実施例の寿命診断方法で
は、図9に示される蓄電池の容量と蓄電池を短時間定電
流放電させた放電終了直後の放電終了昇圧値との相関
を、複数の異なる温度において、予め求めておき、診断
対象となる蓄電池2を短時間定電流放電させた放電終了
昇圧値およびその蓄電池2の温度を測定し、前記相関に
基づいて、容量を推定し、さらに、この推定容量から劣
化度を推定するのである。
【0085】なお、測定容量と放電終了昇圧値との相関
を求める手順は、異なる温度について行う以外は、測定
容量と放電電圧極小値との相関を求める第1実施例と基
本的に同様であるので、その説明は、省略する。
【0086】次に、この実施例の寿命診断方法を実施す
るための蓄電池寿命診断装置51の具体的な構成および
動作を、さらに詳細に説明する。
【0087】図10は、図8の蓄電池寿命診断装置51
の演算処理部111の構成を示すブロック図であり、こ
の実施例の演算処理部111は、電圧検出部10から与
えられた電圧値に基づいて放電終了昇圧値を抽出する放
電終了昇圧値抽出部19と、温度検出部18からの測定
の開始温度および終了温度から平均温度を算出する平均
温度算出部40と、予め求められた図9に示されるよう
な相関データが格納されたルックアップテーブルメモリ
20と、抽出された放電終了昇圧値と平均温度と前記ル
ックアップテーブルメモリ20の相関データとに基づい
て、推定容量を算出する容量算出部151と、算出され
た容量から劣化度を算出して表示部13に出力する劣化
度算出部16と、操作部12の操作に応じて、放電終了
昇圧値抽出部19および平均温度算出部40に対して電
圧値および温度の取り込みを指令するとともに、接続部
8のスイッチ7の開閉を制御する制御部171とを備え
ている。
【0088】次に演算処理部全体の処理機能について、
図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0089】まず、蓄電池寿命診断装置51の測定端子
6が、診断対象の蓄電池2に接続されるとともに、温度
検出部18が蓄電池2に装着された後、操作部12から
所定の入力(測定開始命令)を受けると(ステップn2
1)、接続部8のスイッチ7をオンして定電流放電を開
始するとともに、電圧および温度の測定を開始し(ステ
ップn22)、所定時間、この実施例では、10分が経
過したか否かを判断し(ステップn23)、経過したと
きには、接続部8のスイッチ7をオフして定電流放電を
終了し(ステップn24)、放電終了後、所定時間、こ
の実施例では、10分が経過したか否かを判断し(ステ
ップn25)、経過したときには、電圧および温度の測
定を終了し(ステップn26)、測定された電圧から放
電終了昇圧値を抽出するとともに、平均温度を算出し
(ステップn27)、この放電終了昇圧値および平均温
度からルックアップテーブルメモリ20の相関データを
用いて推定容量を補間演算して算出し(ステップn2
8)、算出された推定容量から劣化度を算出し(ステッ
プn29)、表示部13に出力して終了する(ステップ
n30)。
【0090】なお、この実施例においても、上述の第1
実施例における各種変形例を同様に適用できるのは、勿
論である。
【0091】図12は、本発明の第3実施例の寿命診断
方法を実施するための寿命診断装置およびその接続状態
を説明するための概略構成図であり、図13は、その寿
命診断装置の構成図であり、上述の第2実施例に対応す
る部分には、同一の参照符号を付す。
【0092】この実施例では、蓄電池を短時間定電流放
電させた放電終了後の放電終了後電圧値から蓄電池の容
量および劣化度を推定するものであり、蓄電池の容量と
前記放電終了後電圧値との相関は、温度依存性があるた
めには、この実施例の寿命診断装置52は、第2実施例
と同様に、診断対象の蓄電池2に装着されて蓄電池2の
温度を検出する温度検出部18を有しており、この温度
検出部18で検出された蓄電池温度を演算処理部112
へ入力して後述のように処理するようにしている。
【0093】ここで、上記演算処理部112の機能を説
明する前に、本装置の動作原理について説明する。
【0094】蓄電池を短時間定電流放電させ、その後放
電を休止したときの放電特性は、上述の図3に示されて
いる。この図3(A)に示されるように、定電流放電を
停止した直後は、電圧が急激に上昇し、その後浮動充電
電圧に漸近して到達する。この漸近する途中の電圧を、
放電終了後電圧値Vendと称する。
【0095】図14は、複数の異なる温度において、蓄
電池の測定容量(残存容量)と上述の放電終了後電圧値
との関係を示す特性図であり、この実施例では、放電終
了後電圧値としては、放電終了後、10分経過後の電圧
を用いている。
【0096】同図から明らかなように、容量と放電終了
後電圧値との相関は、非常に高く、容量が大きいほど放
電終了後電圧値は大きくなる傾向がある。また、温度が
高いほど、放電終了昇圧値が大きくなる傾向がある。
【0097】この実施例では、以上の関係を利用して、
短時間定電流放電させた放電終了後の放電終了後電圧値
およびその時の温度を測定し、この放電終了後電圧値か
ら容量、あるいは、劣化度を推定するようにしている。
【0098】このため、この実施例の寿命診断方法で
は、図14に示される蓄電池の容量と蓄電池を短時間定
電流放電させた放電終了後の放電終了後電圧値との相関
を、複数の異なる温度において、予め求めておき、診断
対象となる蓄電池2を短時間定電流放電させた放電終了
後電圧値およびその蓄電池2の温度を測定し、前記相関
に基づいて、容量を推定し、さらに、この推定容量から
劣化度を推定するのである。
【0099】なお、測定容量と放電終了後電圧値との相
関を求める手順は、測定容量と放電終了昇圧値との相関
を求める第2実施例と基本的に同様であるので、その説
明は、省略する。
【0100】次に、この実施例の寿命診断方法を実施す
るための寿命診断装置の具体的な構成および動作を、さ
らに詳細に説明する。
【0101】図15は、図13の蓄電池寿命診断装置5
2の演算処理部112の構成を示すブロック図であり、こ
の実施例の演算処理部112は、電圧検出部10から与
えられた電圧値に基づいて放電終了後電圧値を抽出する
放電終了後電圧値抽出部21と、温度検出部18からの
測定の開始温度および終了温度から平均温度を算出する
平均温度算出部40と、予め求められた図14に示され
るような相関データが格納されたルックアップテーブル
メモリ22と、抽出された放電終了後電圧値と平均温度
と前記ルックアップテーブルメモリ22の相関データと
に基づいて、推定容量を算出する容量算出部152と、
算出された容量から劣化度を算出して表示部13に出力
する劣化度算出部16と、操作部12の操作に応じて、
放電終了後電圧値抽出部21および平均温度算出部40
に対して電圧値および温度の取り込みを指令するととも
に、接続部8のスイッチ7の開閉を制御する制御部17
2とを備えている。
【0102】次に演算処理部全体の処理機能について、
図16に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0103】まず、蓄電池寿命診断装置52の測定端子
6が、診断対象の蓄電池2に接続されるとともに、温度
検出部18が蓄電池2に装着された後、操作部12から
所定の入力(測定開始命令)を受けると(ステップn3
1)、接続部8のスイッチ7をオンして定電流放電を開
始するとともに、電圧および温度の測定を開始し(ステ
ップn32)、所定時間、この実施例では、10分が経
過したか否かを判断し(ステップn33)、経過したと
きには、接続部8のスイッチ7をオフして定電流放電を
終了し(ステップn34)、放電終了後、所定時間、こ
の実施例では、10分が経過したか否かを判断し(ステ
ップn35)、経過したときには、電圧および温度の測
定を終了し(ステップn36)、測定された電圧から放
電終了後電圧値を抽出し(ステップn37)、この放電
終了後電圧値および測定温度からルックアップテーブル
メモリ22の相関データを用いて推定容量を算出し(ス
テップn38)、算出された推定容量から劣化度を算出
し(ステップn39)、表示部13に出力して終了する
(ステップn40)。
【0104】なお、この実施例においても、上述の第1
実施例における各種変形例を同様に適用できるのは、勿
論である。
【0105】図17は、本発明の第4実施例の寿命診断
方法を実施するための寿命診断装置およびその接続状態
を説明するための概略構成図であり、図18は、その寿
命診断装置の構成図であり、上述の第1実施例に対応す
る部分には、同一の参照符号を付す。
【0106】上述の各実施例では、単セルとしての蓄電
池2の容量を推定したけれども、この実施例は、蓄電池
2が複数直列に接続されてなる組電池1の容量を推定す
るものである。
【0107】この実施例では、先ず、第1実施例と同様
にして、組電池1を構成する各蓄電池2について容量を
順次推定し、この容量から各蓄電池2について、模擬放
電曲線を順次作成し、各模擬放電曲線を重ね合わせて組
電池1についての模擬放電曲線を作成し、この模擬放電
曲線を用いて、後述のように組電池1の容量を推定する
のである。
【0108】ここで、組電池1を構成する各蓄電池2の
容量から組電池1の容量を推定する手順を説明する。
【0109】各蓄電池2の容量から各蓄電池2の模擬放
電曲線を形成するのであるが、放電曲線とは、定電流放
電時の電圧の時間的変化を示す曲線をいい、放電開始電
圧と放電開始から放電終止電圧に到達するまでの放電時
間とに基づいて、放電曲線を近似する関数、この実施例
では、楕円関数で模擬することができ、これを模擬放電
曲線という。
【0110】この模擬放電曲線は、次のような手順で作
成される。
【0111】まず、放電開始電圧は、第1実施例の短時
間定電流放電の放電終了直前の電圧とし、放電時間は、
蓄電池2の推定容量から次式で算出される。
【0112】 放電時間[h]=容量[Ah]/放電電流[A] この放電開始電圧および放電時間を、下記の楕円関数に
入力することにより、模擬放電曲線の関数が得られる。
【0113】
【数1】
【0114】図19は、このようにして作成された蓄電
池2の模擬放電曲線f1を示しており、短時間定電流放
電および放電停止を含む測定領域も併せて示している。
なお、この図19において、VendCは単セルとして
の蓄電池の放電終止電圧、t0は測定開始時刻、tmは
測定終了時刻、teは推定容量より算出される放電時間
をそれぞれ示している。
【0115】このようにして、各蓄電池2について、模
擬放電曲線をそれぞれ作成する。
【0116】組電池1は、各蓄電池2を直列接続したも
のであり、したがって、組電池1の電圧は、各蓄電池電
圧の重ね合わせ(総和)となる。また、放電時において
も、いずれの蓄電池2にも同一電流が流れるので、重ね
合わせの原理が成立する。
【0117】つまり、各蓄電池2の模擬放電曲線を重ね
合わせることにより、組電池1の模擬放電曲線を作成す
ることができ、この模擬放電曲線から組電池1の容量を
算出できることになる。
【0118】すなわち、図20に示されるように、各蓄
電池2の模擬放電曲線f1〜fnを重ね合わせて組電池
1についての模擬放電曲線Fを作成する。この組電池1
の模擬放電曲線が、組電池1の放電終止電圧VendA
に到達するまでの時間(組電池の放電時間)を算出し、
この組電池1の放電時間に放電電流を乗じることによ
り、組電池1の容量を算出するのである(容量[Ah]
=放電電流[A]×放電時間[h])。
【0119】次に、この実施例の寿命診断方法を実施す
るための蓄電池寿命診断装置53の具体的な構成および
動作を、さらに詳細に説明する。
【0120】図21は、図17の蓄電池寿命診断装置5
3の演算処理部113の構成を示すブロック図である。
【0121】この実施例の演算処理部113は、電圧検
出部10から与えられた電圧値に基づいて放電電圧極小
値および放電開始電圧を抽出する放電電圧抽出部23
と、抽出された放電電圧極小値から第1実施例と同様に
して推定容量を算出する蓄電池容量算出部24と、算出
された蓄電池容量から劣化度を算出して表示部13に出
力する劣化度算出部16と、算出された蓄電池容量およ
び放電電圧抽出部23からの上述の放電開始電圧に基づ
いて、蓄電池2の模擬放電曲線を作成する蓄電池模擬放
電曲線作成部25と、各蓄電池2についての測定が終了
した後の操作部12の操作に応じた制御部173の出力
に応答して、各蓄電池2の模擬放電曲線から組電池1の
模擬放電曲線を作成する組電池模擬放電曲線作成部26
と、この組電池1の模擬放電曲線から上述のようにして
組電池1の容量を算出する組電池容量算出部27と、算
出された組電池1の容量からその劣化度を算出して表示
部13に出力する劣化度算出部28と、操作部12の操
作に応じて、各蓄電池2についての電圧の取り込みを放
電電圧抽出部23に対して指令するとともに、接続部8
のスイッチ7の開閉を制御する制御部173とを備えて
いる。
【0122】次に演算処理部全体の処理機能について、
図22に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0123】まず、蓄電池寿命診断装置53を、蓄電池
2に接続して、第1実施例と同様に、蓄電池2の容量お
よび劣化度を算出し、これを、組電池1を構成するすべ
ての蓄電池2に対して行い(ステップn41)、各蓄電
池2の模擬放電曲線を作成し(ステップn42)、各放
電曲線を重ね合わせて組電池1の模擬放電曲線を作成し
(ステップn43)、組電池1の容量および劣化度を算
出し(ステップn44)、表示部13に出力して終了す
る(ステップn45)。
【0124】この実施例では、蓄電池寿命診断装置53
の測定用端子6を、各蓄電地2に接続して測定したけれ
ども、本発明の他の実施例として、測定用端子6を自動
接続切替装置に接続し、この切替装置を介して各蓄電池
2に順次自動的に接続するようにしてもよい。
【0125】この第4実施例では、各蓄電池2の容量を
推定するのに、第1実施例を適用したけれども、本発明
の他の実施例として、第2実施例あるいは第3実施例、
さらには、第1〜第3実施例を組み合わせて用いてもよ
い。
【0126】この実施例では、放電曲線を楕円関数で模
擬したけれども、放電曲線を近似できるならば、他の関
数(指数関数、2次関数、3次関数等)を用いてもよ
い。さらには、放電曲線のデータをマップとして演算処
理部113に記憶しておき、ルックアップテーブル方式
を用いて、補間・算出するようにしてもよい。
【0127】上述の実施例では、組電池1の容量を推定
したけれども、本発明の他の実施例として、組電池1の
放電時間あるいは容量率を推定するようにしてよい。
【0128】図23は、本発明の第5実施例の寿命診断
方法を実施するための寿命診断装置およびその接続状態
を説明するための概略構成図であり、図24は、その寿
命診断装置の構成図であり、上述の第1実施例に対応す
る部分には、同一の参照符号を付す。
【0129】上述の各実施例では、蓄電池2あるいは組
電池1の容量を推定したけれども、この実施例は、蓄電
池2の残存寿命を推定するものである。
【0130】すなわち、この実施例では、予め加速劣化
試験を行って蓄電池2の容量の経時変化の曲線を求め、
上述の第1実施例と同様にして推定した蓄電池2の容量
を、前記経時変化曲線と照合して残存寿命を算出し、そ
の残存寿命を、アレニウスの法則を利用して、常温など
の指定温度での残存寿命に換算するものである。
【0131】このため、先ず、加速劣化試験を行って図
25に示される容量の経時変化曲線を求める。
【0132】この図25は、70°Cにおいて、浮動充
電状態とされた蓄電池を、適当な日数が経過する度に、
常温に戻して容量を測定することにより、得られたもの
である。
【0133】この図25に示されるように、容量は、最
初急激に増大しているが、その後多少の増減はあるが、
徐々に減少する傾向にあり、寿命となる容量(規格容量
値の約80%)付近では、容量の減少が急激となる。
【0134】このように容量の経時変化は、複雑である
が、蓄電池の種類、型式等が同一であれば、ほとんど同
様になると考えられる。
【0135】そこで、上述の第1実施例を適用して蓄電
池2の容量を推定し、この推定容量を、図25の容量の
経時変化曲線に照合すると、経過日数が得られることに
なり、この日数を、寿命となる容量までの経過日数から
差し引くことより、70°Cにおける残存寿命が算出さ
れることになる。
【0136】この残存寿命を、常温などの指定温度にお
ける残存寿命にするために、アレニウスの法則を利用す
る。
【0137】アレニウスの法則とは、ある変数kの自然
対数lnkと絶対温度の逆数1/Tとは、良好な直線関
係を示すという経験法則である。
【0138】蓄電池の寿命期間と、蓄電池自体(あるい
は厳密ではないが環境)の温度との間にもアレニウスの
法則が成立することが、例えば、UPS用シール蓄電池
の寿命評価に関する研究,新神戸電機(株),工藤彰彦
他,電子情報通信学会技術研究報告,Vol.87,No.35
9,pp.47-53,1988年、シール形据置鉛蓄電池の寿命表
示装置,湯浅時報,No.7,April,pp.29-36,1992年
などの文献のデータからも明らかである。
【0139】そこで、上述の加速劣化試験を、異なる温
度、例えば、60°Cで行い、その温度の寿命期間と、
上述の70°Cにおける寿命期間とに基づいて、図26
に示される寿命期間の温度特性図を作成することができ
る。なお、この図26では、横軸は、絶対温度の逆数で
はなく、記載の温度範囲において直線で近似可能である
ため摂氏温度としている。
【0140】この図26の特性から、例えば、55°C
における寿命期間1年は、常温における寿命期間の10
年余りに相当することが分かる。
【0141】したがって、上述の70°Cの加速劣化試
験で推定した蓄電池の残存寿命期間を、例えば、常温で
の残存寿命期間に変換することができる。
【0142】この残存寿命期間の換算は、次の換算式に
よって行うことができる。
【0143】DLT=t0exp(k*T) t0=ln(t)−k*Texp 但し、 exp:指数関数 DLT:残存寿命期間 t:加速劣化試験温度Texp[°C]での残存寿命期
間 t0:0°Cでの残存寿命期間 k:温度係数(寿命期間の温度特性における直線の傾
き) T:指定温度[°C] Texp:加速劣化試験温度 なお、上述の換算式のkおよびt0は、図26の直線の
傾きおよび切片として求めることができる。
【0144】したがって、この実施例では、予め加速劣
化試験を行って図25の容量の経時変化曲線を求めると
ともに、図26の直線の傾きおよび切片を求め、診断対
象の蓄電池2の容量を、上述の第1実施例を適用して算
出し、この算出した容量を、図25の容量の経時変化曲
線に照合して加速劣化試験温度における残存寿命期間を
算出し、この残存寿命期間を、上述の換算式に代入し
て、常温等の指定温度における残存寿命期間を算出する
のである。
【0145】次に、この実施例の寿命診断方法を実施す
るための寿命診断装置の具体的な構成および動作を、さ
らに詳細に説明する。
【0146】図27は、図24の蓄電池寿命診断装置5
4の演算処理部114の構成を示すブロック図である。
【0147】この実施例の演算処理部114は、電圧検
出部10から与えられた電圧値に基づいて放電電圧極小
値を抽出する放電電圧極小値抽出部14と、図25の容
量の経時変化データが格納されたルックアップテーブル
メモリ29と、抽出された放電電圧極小値から第1実施
例と同様にして推定容量を算出する容量算出部15と、
算出された容量およびルックアップテーブルメモリ29
の経時変化データから加速劣化試験温度における残存寿
命を算出する残存寿命算出部30と、算出された残存寿
命期間を、操作部12の操作に応じて制御部174から
与えられる指定温度における残存寿命期間に、上述の換
算式を用いて換算して表示部13に出力する残存寿命換
算部31と、操作部12の操作に応じて、放電電圧極小
値抽出部14に対して指令するとともに、接続部8のス
イッチ7のの開閉を制御する制御部174とを備えてい
る。
【0148】次に演算処理部全体の処理機能について、
図28に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0149】蓄電池寿命診断装置54の測定端子6が、
診断対象の蓄電池2に接続されて操作部12から所定の
入力(測定開始命令)を受けると(ステップn51)、
接続部8のスイッチ7をオンして定電流放電を開始する
とともに、電圧の測定を開始し(ステップn52)、所
定時間、この実施例では、10分が経過したか否かを判
断し(ステップn53)、経過したときには、接続部8
のスイッチ7をオフして定電流放電を終了し(ステップ
n54)、測定された電圧から放電電圧極小値を抽出し
(ステップn55)、第1実施例の容量推定式に代入し
て推定容量を算出し(ステップn56)、算出された推
定容量およびルックアップテーブルメモリ29の容量の
経時変化データから加速劣化試験温度における残存寿命
期間を算出し(ステップn57)、この残存寿命期間
を、上述の換算式に従って指定温度における残存寿命期
間に換算し(ステップn58)、表示部13に出力して
終了する(ステップn59)。
【0150】なお、この実施例では、単セルとしての蓄
電池2の残存寿命期間を算出したけれども、本発明の他
の実施例として、組電池1の残存寿命期間を算出するよ
うにしてもよい。すなわち、この場合には、第4実施例
を適用して組電池1の容量を推定し、図25の容量の経
時変化データおよび上述の換算式を用いて上述と同様し
て組電池1の指定温度における残存寿命期間を算出する
のである。
【0151】また、この実施例では、第1実施例を適用
して蓄電池2の容量を推定したけれども、本発明の他の
実施例として、第2実施例、第3実施例あるいはそれら
を組み合わせて容量を推定してもよい。
【0152】この実施例では、容量の経時変化データ
を、ルックアップテーブルメモリ29に格納して残存寿
命期間を補間演算したけれども、本発明の他の実施例と
して、図25の経時変化データを近似できるならば、関
数(指数関数、2次関数、3次関数等)で近似して算出
するようにしてもよい。さらに、この経時変化データ
は、蓄電池が新品である当初のデータは、必要なく、劣
化が懸念される時期からのデータのみを用いるようにし
てもよい。
【0153】上述の実施例では、診断量として容量を用
いて残存寿命を求めたけれども、本発明の他の実施例と
して、容量に代えて、放電時間あるいは容量率を用いて
もよい。この場合には、図25の経時変化のグラフの縦
軸等を、放電時間あるいは容量率に置換して適用するこ
とになる。
【0154】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、個々の蓄
電池の定電流放電時あるいは放電終了後の電圧を測定
し、それに基づいて、診断量、例えば容量を求めるの
で、蓄電池個々の特性にばらつきがあったとしても正確
な寿命診断が可能となる。
【0155】また、定電流放電は、短時間でよく、例え
ば、通信用補助電源、無停電電源などの用途のための電
池に対しても利用可能である。
【0156】さらに、請求項第1項または第2項記載の
本発明によれば、温度補正をすることなく、診断量、例
えば容量を求めることができる。
【0157】また、請求項第7項または第8項記載の本
発明によれば、複数の蓄電池を直列接続されてなる組電
池の診断量、例えば容量を求めることができる。
【0158】さらに、請求項第9項または第10項記載
の本発明によれば、診断量のみならず、指定温度におけ
る残存寿命を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す図である。
【図2】図1の蓄電池寿命診断装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【図3】蓄電池の短時間定電流放電の特性を示す図であ
る。
【図4】蓄電池の容量と放電電圧極小値との相関を示す
図である。
【図5】図2の演算処理部の構成を示すブロック図であ
る。
【図6】第1実施例の動作説明に供するフローチャート
である。
【図7】本発明の第2実施例を示す図である。
【図8】図7の蓄電池寿命診断装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【図9】蓄電池の容量と放電終了昇圧値との相関を示す
図である。
【図10】図8の演算処理部の構成を示すブロック図で
ある。
【図11】第2実施例の動作説明に供するフローチャー
トである。
【図12】本発明の第3実施例を示す図である。
【図13】図12の蓄電池寿命診断装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図14】蓄電池の容量と放電終了後電圧値との相関を
示す図である。
【図15】図13の演算処理部の構成を示すブロック図
である。
【図16】第3実施例の動作説明に供するフローチャー
トである。
【図17】本発明の第4実施例を示す図である。
【図18】図17の蓄電池寿命診断装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図19】蓄電池の模擬放電曲線を示す図である。
【図20】組電池の模擬放電曲線を示す図である。
【図21】図18の演算処理部の構成を示すブロック図
である。
【図22】第4実施例の動作説明に供するフローチャー
トである。
【図23】本発明の第5実施例を示す図である。
【図24】図23の蓄電池寿命診断装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図25】加速劣化試験による蓄電池の容量の経時変化
を示す図である。
【図26】蓄電池の寿命期間の温度特性図である。
【図27】図24の演算処理部の構成を示すブロック図
である。
【図28】第5実施例の動作説明に供するフローチャー
トである。
【図29】従来の寿命診断装置の作用を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 組電池 2 蓄電池 3 温度スイッチ 5,51,52,52,54 蓄電池寿命診断
装置 10 電圧検出部 11,111,112,113,114 演算処理部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴川 優治 京都府京都市右京区花園土堂町10番地 オ ムロン株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蓄電池の容量、放電時間または容量率
    を、寿命診断のための診断量として求めて寿命を診断す
    る蓄電池の寿命診断方法において、 予め、蓄電池の前記診断量と蓄電池を所定時間定電流放
    電させた時の放電電圧極小値との相関を求め、 診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた時の放電
    電圧極小値を測定し、 測定された放電電圧極小値および予め求めた前記相関に
    基づいて、前記診断対象の蓄電池の診断量を推定するこ
    とを特徴とする蓄電池の寿命診断方法。
  2. 【請求項2】 蓄電池の容量、放電時間または容量率
    を、寿命診断のための診断量として求めて寿命を診断す
    る蓄電池の寿命診断装置において、 蓄電池の電圧を検出する電圧検出手段と、 診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた時の放電
    電圧極小値から前記診断対象の蓄電池の前記診断量を推
    定する推定手段とを備え、 前記推定手段は、蓄電池の診断量と放電電圧極小値との
    相関に基づいて、診断対象の蓄電池の診断量を推定する
    ことを特徴とする蓄電池の寿命診断装置。
  3. 【請求項3】 蓄電池の容量、放電時間または容量率
    を、寿命診断のための診断量として求めて寿命を診断す
    る蓄電池の寿命診断方法において、 予め、蓄電池の前記診断量と蓄電池を所定時間定電流放
    電させた放電終了直後の放電終了昇圧値との相関を、複
    数の異なる温度においてそれぞれ求め、 診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた放電終了
    直後の放電終了昇圧値および温度を測定し、 測定された放電終了昇圧値、温度および予め求めた前記
    相関に基づいて、前記診断対象の蓄電池の診断量を推定
    することを特徴とする蓄電池の寿命診断方法。
  4. 【請求項4】 蓄電池の容量、放電時間または容量率
    を、寿命診断のための診断量として求めて寿命を診断す
    る蓄電池の寿命診断装置において、 蓄電池の電圧を検出する電圧検出手段と、 温度を検出する温度検出手段と、 診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた放電終了
    直後の放電終了昇圧値および検出温度から前記診断対象
    の蓄電池の前記診断量を推定する推定手段とを備え、 前記推定手段は、蓄電池の診断量と放電終了昇圧値との
    相関に基づいて、前記診断対象の蓄電池の診断量を推定
    することを特徴とする蓄電池の寿命診断装置。
  5. 【請求項5】 蓄電池の容量、放電時間または容量率
    を、寿命診断のための診断量として求めて寿命を診断す
    る蓄電池の寿命診断方法において、 予め、蓄電池の前記診断量と蓄電池を所定時間定電流放
    電させた放電終了後一定時間経過後の放電終了後電圧値
    との相関を、複数の異なる温度においてそれぞれ求め、 診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた放電終了
    後一定時間経過後の放電終了後電圧値および温度を測定
    し、 測定された放電終了後電圧値、温度および予め求めた前
    記相関に基づいて、前記診断対象の蓄電池の診断量を推
    定することを特徴とする蓄電池の寿命診断方法。
  6. 【請求項6】 蓄電池の容量、放電時間または容量率
    を、寿命診断のための診断量として求めて寿命を診断す
    る蓄電池の寿命診断装置において、 蓄電池の電圧を検出する電圧検出手段と、 温度を検出する温度検出手段と、 診断対象の蓄電池を所定時間定電流放電させた放電終了
    後一定時間経過後の放電終了後電圧値および検出温度か
    ら前記診断対象の蓄電池の前記診断量を推定する推定手
    段とを備え、 前記推定手段は、蓄電池の診断量と放電終了後電圧値と
    の相関に基づいて、前記診断対象の蓄電池の診断量を推
    定することを特徴とする蓄電池の寿命診断装置。
  7. 【請求項7】 請求項第1項、第3項または第5項のい
    ずれかに記載の寿命診断方法において、 直列接続されて組電池を構成する各蓄電池の前記診断量
    をそれぞれ推定し、 推定された診断量に基づいて、各蓄電池の模擬放電曲線
    をそれぞれ求め、 各蓄電池の模擬放電曲線を重ね合わせて前記組電池の模
    擬放電曲線を求め、 前記組電池の模擬放電曲線に基づいて、前記組電池の診
    断量を推定することを特徴とする蓄電池の寿命診断方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項第2項、第4項または第6項のい
    ずれかに記載の寿命診断装置において、 直列接続されて組電池を構成する各蓄電池の推定された
    前記診断量に基づいて、各蓄電池の模擬放電曲線をそれ
    ぞれ作成する蓄電池模擬放電曲線作成手段と、 各蓄電池の模擬放電曲線を重ね合わせて前記組電池の模
    擬放電曲線を作成する組電池模擬放電曲線作成手段と、 前記組電池の模擬放電曲線に基づいて、組電池の前記診
    断量を推定する組電池推定手段と、 を備えることを特徴とする蓄電池の寿命診断装置。
  9. 【請求項9】 請求項第1項、第3項または第5項のい
    ずれかに記載の寿命診断方法において、 予め、加速劣化試験を行って蓄電池の前記診断量の経時
    変化データを求め、 診断対象の蓄電池の推定された診断量および予め求めた
    前記診断量の経時変化データに基づいて、加速劣化試験
    温度における前記診断対象の蓄電池の残存寿命を求め、 求められた蓄電池の残存寿命から指定温度における残存
    寿命を求めることを特徴とする蓄電池の寿命診断方法。
  10. 【請求項10】 請求項第2項、第4項または第6項の
    いずれかに記載の寿命診断装置において、 推定された蓄電池の前記診断量および加速劣化試験によ
    って得られた診断量の経時変化データに基づいて、加速
    劣化試験温度における蓄電池の残存寿命を算出する残存
    寿命算出手段と、 算出された蓄電池の残存寿命を、指定温度における残存
    寿命に換算する残存寿命換算手段と、 を備えることを特徴とする蓄電池の寿命診断装置。
  11. 【請求項11】 請求項第1項、第3項、第5項または
    第7項のいずれかに記載の寿命診断方法において、 推定された前記診断量から劣化度を求めることを特徴と
    する蓄電池の寿命診断方法。
  12. 【請求項12】 請求項第2項、第4項、第6項または
    第8項のいずれかに記載の寿命診断装置において、 推定された前記診断量から劣化度を算出する劣化度算出
    手段を備えることを特徴とする蓄電池の寿命診断装置。
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