JP3641367B2 - アルカリ蓄電池容量残量推定法および容量推定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用中のバックアップ用アルカリ蓄電池の容量および残量を予測するためのアルカリ蓄電池容量残量推定法および容量推定装置に関するものである。
【0002】
なお、容量とは満充電状態から想定終止電圧に至るまで放電した場合の容量、残量とはある範囲まで放電した状態において規定終止電圧まであとどれくらい放電が可能かを示す容量の値を指している。容量は一定電流で放電した場合、電流×時間で求める。
【0003】
【従来の技術】
近年、通信サービスの多様化、大規模化が進行し、同時に高信頼性も要求されている。これに伴って多種多様な無停電給電システムの導入、あるいはバックアップ電源の適用が推進され、バックアップ用二次電池も大量に使用されるようになってきた。これらの装置、システムの信頼性確保のために、バックアップ用二次電池の残量表示、保守、適切な取り替え時期の把握が必要となってきた。
【0004】
従来の二次電池容量推定方法としては、試験電池を、端子電圧が規定の放電終止電圧に到達するまで定電流放電しその時間を求める方法がある。
【0005】
この方法では、電池の容量は正確に求めることができるが、長時間の測定となり、また、測定中に停電などのトラブルが生じると負荷装置への給電が不可能となるという欠点があった。
【0006】
別の方法としては、交流インピーダンスによる内部インピーダンスを測定したり、あるいは一定時間の定電流放電、または充電を行い、これに対する電圧応答を電流値で除した値を内部抵抗として用いて、あらかじめ取得しておいた内部抵抗、あるいはインピーダンスと電池容量との関係に適用し、電池容量を推定する。
【0007】
この方法では、比較的短時間で容量推定が可能となるが、あらかじめ試験対象となる各サイズ、各メーカ製電池の容量と内部インピーダンスとの関係を把握し、これを記憶しておく必要があり、膨大なデータ取得と記憶容量の確保が必要であった。さらには電池の改良ごとに新たなデータ取得と記録を実施する必要があるという欠点を有していた。
【0008】
さらに、これらの方法による欠点を改善するために、係数補正のみで多種類の電池に適用可能な汎用性の高い劣化判定基準式が考案された(特願平7−238363)。同方法では、短時間の放電、あるいは充電によって比較的簡単に容量推定が可能となる反面、判定のためには常に試験対象電池をあらかじめ満充電しておかなければならないという欠点を有していた。
【0009】
また、これらのバックアップ電池については容量推定法のみ提案されており、充電と放電とを頻繁に繰り返して使用するサイクル用電池に関するような残量推定は皆無であった。そのため、バックアップ電池の劣化状態が正しく把握されていないと、予想していた使用時間に満たないという不便も生じることがしばしば存在した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状を解決するため、任意の放電状態で短時間に容量推定が実施でき、同時に残量もまた推定できるアルカリ蓄電池容量残量推定法および容量推定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、アルカリ蓄電池(以下、セルと呼称)、または直列に複数個接続されたアルカリ蓄電池群(以下、組電池と呼称)に関して、試験対象セル、あるいは組電池をいったん休止状態においた後、一定電流値で短時間放電あるいは充電して、前記放電あるいは充電を実施する直前の休止状態の端子電圧と、前記放電あるいは充電を実施中の端子電圧との電圧差を、前記一定電流値で除して内部抵抗を求め、または、前記放電あるいは充電を実施中の端子電圧と、前記放電あるいは充電を実施した直後の休止状態の端子電圧との電圧差を、前記一定電流値で除して内部抵抗を求め、前記内部抵抗と休止状態における開回路電圧とを、容量と内部抵抗からなる劣化判定基準式を試験対象の新品電池の内部抵抗と公称容量によって係数補正した判定式に適用して、満充電からの放電可能容量Qを推定すると同時に、放電、あるいは充電前後の休止状態における開回路電圧を電圧−容量曲線に適用して算出した残量Qr0と未劣化品の容量QAと推定容量Qとから残量を推定するアルカリ蓄電池容量残量推定法と、データを管理するコンピュータと、蓄電池の試験条件をコントロールする充放電器とから構成され、該試験電池の容量および残量推定法における劣化判定式と電圧−容量関係式を演算する回路または機能を該コンピュータに内蔵して上記に記載する手順に従って試験セル、または組電池の容量および残量推定を行うことを特徴とする装置と、既存の無停電給電システムや二次電池充放電自動試験装置に組み込み、試験電池の容量および残量推定を行うための、試験データを収集管理し、かつ、上記に記載する電池容量および残量推定法に従って容量および残量推定値を求めるために演算を行うコンピュータと、必要ならば、該試験電池の試験条件を制御する電流制御器、または充放電制御器とから構成されるか、または、既設コンピュータに上記に記載した電池容量および残量推定法の手順を行う演算回路、または機能とを増設し搭載してなり、必要ならば、該電流制御器、または充放電制御器とから構成される容量および残量推定機能を提案するものである。
【0012】
本発明になる電池容量および残量推定法が高い精度で推定可能な理由は、電池劣化の進行によってセパレータ中の電解液の減少、正極、負極抵抗の増大、負極かつ物質の減少によって電池の内部抵抗が増大すること、また、放電の進行によって例えば負極カドミウムが水酸化カドミウムに変化し、電解液濃度が変化するが、これら劣化、放電深度が内部抵抗と密接に関係しているため、端子電圧、内部抵抗、容量の因子で構成される推定法の基準式および電圧−容量曲線が電池の特性をより正確に表現できているためと考えられる。
【0013】
なお、放電深度とは満充電状態から規定終止電圧までの完全放電状態に至るまで放電した場合を100%として、放電量の大きさ(放電の進み具合)を示すものである。Depth of DischargeからDODとも呼ばれる。記述としては定格容量に対する放電電気量の比率(%)である。逆に充電の進み具合を表す言葉は特になくSOC(State of Charge)がしばしば使用される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0015】
アルカリ蓄電池(以下、セルと呼称)、または直列に複数個接続されたアルカリ蓄電池群(以下、組電池と呼称)に関して、該セル、あるいは組電池の端子電圧をモニタしながらこれをいったん休止状態に置き、端子電圧Voc1 を記録した後、一定の電流値Iで短時間放電、あるいは充電を行い、その放電、充電直後の端子電圧V2 を記録してその電圧差
ΔV=Voc1 −V2
を放電、あるいは充電電流値で除した値Z
Z=ΔV/I
を内部抵抗として求め、
あるいは、一定の電流値Iで短時間放電、あるいは充電を行い、その放電、充電が終了し休止に入った直後の端子電圧Voc3 を記録してその電圧差
ΔV′=V2 −Voc3
を放電、あるいは充電電流値で除した値Z′
Z′=ΔV′/I
を内部抵抗として求め、
あらかじめ異なる劣化状態のセル特性から求めておいた劣化判定基準式の定数補正を実施してこれに適用して、該試験対象セル、あるいは組電池の満充電状態からの放電可能容量Qを推定すると同時に、
上記の短時間充電、あるいは放電を実施する前の休止時の端子電圧Voc1 、あるいは実施直後の休止時の端子電圧Voc3 を、あらかじめ求めておいた該試験対象の新品セルの電圧−容量曲線に適用して算出した残量(放電残時間)Qr0と上記短時間充電、あるいは放電によって推定された満充電状態からの放電可能容量Qと該試験対象セル、あるいは組電池の公称容量Qo とから、残量(放電残時間)Qr を
Qr =Qr0(Q/Qo )
によって推定する。
【0016】
本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】
本発明になる電池容量および残量推定法において、満充電状態からの放電可能容量を推定する方法には電池容量Qと内部抵抗Zとから構成される劣化判定基準式
Q=aln(Z)+b (a,bは定数、a<0) (1)
を基本的関係式として用いる。該基準式(1)については、満充電状態におけるニッケルカドミウム電池の内部抵抗Zの対数値と放電可能容量Qとが直線関係にあることを基本としている(N.Kato,etal.,J.Power Source,(1997))。この結果をもとにさらに検討を進めた結果、満充電からの放電可能容量が公称容量の70%を越えるような比較的劣化の進行していない電池には任意の放電深度にある電池にも適用可能なことが判明した。その根拠を図1によって示す。
【0018】
すなわち図1は、一定電流値にて一定時間放電するごとに測定した電圧応答ΔVの大きさを示した結果の一例を示した図であり、1−1は公称容量比100%の容量を持つ未劣化電池の各放電状態における電圧応答ΔVの大きさを示した曲線であり、1−2は同90%の場合の曲線であり、1−3は同80%の場合の曲線であり、1−4は同70%の場合の曲線であり、1−5は同60%の場合の曲線である。
【0019】
図1から明らかなように、公称容量比が80%以上の容量を持つ電池では、電圧応答の大きさΔVは放電状態によらずほぼ一定であることがわかる。
【0020】
従って、本発明において使用される上記劣化判定基準式(1)は、従来の満充電状態の電池に関わる内部抵抗Zと容量Qとの関係とはまったく異なった意味を持ち、適用領域が異なっていることがわかる。すなわち、満充電状態を含めた任意の放電状態における内部抵抗が上記劣化判定基準式(1)に適用可能であることになる。
【0021】
上記劣化判定基準式(1)は、係数a,bを試験対象セル、あるいは組電池の公称容量QA と内部抵抗ZA とによって変換され、
(QB は基準式作成のために用いたセルの容量)
となる劣化判定式として、満充電状態からの放電可能容量の推定に用いられる。
【0022】
なお、上記劣化判定式(2)の導出は以下の通りで行った。
【0023】
上記劣化判定基準式(1)を作成するのに用いた電池Bの容量をQB とし、同じく同式(1)を作成するのに用いた大幅に劣化した電池の容量は電池Aの容量の1/nであり、内部抵抗は電池Aのp倍であるとすると、
QB =aln(ZB )+b (21)
QB /n =aln(ZB )+[aln(p)+b] (22)
が成り立つ。
【0024】
ここで、試験対象電池の容量Qと内部抵抗Zの関係は
Q=a*ln(Z)+b*(a*、b*は定数、a*<0) (23)
が成り立っているとする。
【0025】
式(13)を構成する試験対象電池Aの容量をQA 、内部抵抗ZA とし同じく同式(1)を作成するのに用いた電池は、内部抵抗が電池Aのp倍である大幅に劣化電池で、その容量は電池Aの容量の1/mであるとすると、
QA =a*ln(ZA )+b* (24)
QA /m=a*ln(ZA )+[a*ln(p)+b*] (25)
となる。
【0026】
式(11)−式(12)から
QB [1−(1/n)]=−aln(p) (26)
式(14)−式(15)から
QA =[1−(1/m)]=−a*ln(p) (27)
式(16)/式(17)より
(QB /QA )[(1−1/n)/(1−1/m)=a/a*] (28)
n>>1、m>>1だから式(18)から
a*=a(QA /QB ) (29)
式(19)を式(14)に代入して
b*=QA −a(QA /QB )ln(ZA ) (30)
式(19)、式(20)を式(13)に代入して上記劣化判定式(2)を得ることができる。
【0027】
しかしながら、上記劣化判定式(2)は劣化状態の進行が進むと満充電状態の場合しか適用できなくなる。それは先に示した図1によって明らかである。
【0028】
すなわち、図1において、劣化が進行した公称容量比70%、および60%の容量の電池では、放電が進むにつれて、電圧応答の大きさΔVが大きくなってくる。特に、開回路電圧Vocが1.20V以下になるとΔVの増大は顕著であり、このままでは放電深度が深い状態の試験セル、あるいは組電池には劣化判定式 (2)が適用不可能である。
【0029】
そこで上記判定式(2)に代わる劣化判定式として、内部抵抗Zと開回路電圧Vとで表される容量Qの式、
Q=QA {[ln(Z)+dV−e]/(fV−g)} (3)
(d,e,f,gは定数)
を本発明では提案するものである。
【0030】
上記劣化判定式(3)は図1におけるような各放電深度での電圧応答の大きさΔVの結果を基本にして作成された関係式である。該判定式(3)における定数d,e,f,gは、試験対象セル、あるいは組電池に該当する未劣化品について、異なる4段階の放電深度まで放電させて求めた開回路電圧と内部抵抗の値と、公称容量から求めた容量QA からQ=QA として(3)式に適用し、これらを決定して用いる。
【0031】
以下に上記劣化判定式(3)の導出手順を概説する。
【0032】
電圧応答ΔVの対数と開回路電圧Vとの関係を図2に示す。図2に明らかなように、電圧応答ΔVの対数値と開回路電圧Vとの間には、極めて良い直線関係が得られる。
【0033】
図2において、2−1は公称容量比100%の容量を持つ未劣化電池の開回路電圧Vと電圧応答ΔVの関係を示した直線であり、2−2は同90%の場合の直線であり、2−3は同80%の場合の直線であり、2−4は同70%の場合の直線であり、2−5は同60%の場合の直線である。
【0034】
従って、内部抵抗Zと開回路電圧Vとの間には以下の関係式が成立する。
【0035】
ln(Z)=−jV+k (31)
(31)式において、係数jおよびkは電池の劣化度、すなわちQ/QA (QA は公称容量)に直線的に依存し、
j=−f(Q/QA )+d (32)
および
k=−g(Q/QA )+e (33)
となる。(32)、(33)を(31)に代入すると、
(35)式より上記劣化判定式(3)が求まる。
【0036】
該判定式(3)に、開回路電圧Voc1 、またたはVoc3 と、内部抵抗Z、またはZ′とを代入して算出した値Qを、満充電状態からの放電可能容量とする。
【0037】
劣化判定式(3)を式(2)の代わりに適用する条件は、試験対象セル、あるいは組電池の開回路電圧Voc1 、またはVoc3 と、劣化判定式(2)を用いて推定した満充電状態からの放電可能容量Qと、該当する未劣化品の容量QA との関係が実験データから判断して
Voc1 (Q/QA )<0.85×(セル数)
または、
Voc3 (Q/QA )<0.85×(セル数)
となる場合である。上記比が0.85×(セル数)以上の場合に劣化判定式(3)を用いると、劣化判定式(2)より推定値の誤差が大きくなってしまう場合があり好ましくない。
【0038】
本発明になる方法では、このようにして満充電状態からの放電可能容量Qを求めることが可能となるとともに、同時に、試験時の放電状態から後どの程度放電が可能かという残量も判定が可能である。
【0039】
すなわち、上記の短時間充電、あるいは放電を実施する前の休止時の端子電圧Voc1 、あるいは実施直後の休止時の端子電圧Voc3 を、あらかじめ求めておいた該試験対象の新品セルの電圧−容量曲線に適用して算出した残量(放電残時間)Qr0と上記短時間充電、あるいは放電によって推定された満充電状態からの放電可能容量Qと該試験対象セル、あるいは組電池の未劣化品の容量QA とから、残量(放電残時間)Qr を
Qr =Qr0(Q/QA )
によって推定する
残量を推定するために使用する電圧−容量曲線は、試験対象の満充電状態におかれた新品セルの開回路端子電圧Vo を記録した後これを、0.1C、ないし0.2Cの電流率で30分以下の一定時間で放電し、これを1時間以上の休止状態におき休止時の最後に開回路端子電圧Voxを記録して、再び同一条件で放電させ、これを1.0V以下の電圧まで繰り返してVo とVoxとを、放電時間(放電容量)ごとにプロットして求める。
【0040】
なお、Cは、放電や充電の電流値の大きさを示す1つの値である。時間率という考え方があり、電流Iで終止電圧になるまで放電するのにt時間かかる場合、t時間率放電という言い方で電流値を表す。その時、電池の定格容量(公称容量)をCとして用いる。例えば、1Cという場合、1時間で放電を終了する1時間率放電を示す。定格容量が1Ahの電池の場合、1×2=2Aの電流値で放電したことになる。0.2Cと言えば、0.2×2=0.4Aの電流値で放電し、これは5時間率放電(放電に5時間かかる)になる。Cに公称容量の値を適用して、その前の数値をかけ算すれば電流値が求まる。
【0041】
上記電圧−容量曲線を求めるための放電条件は、0.2C以下0.1C以上であればこれに限定されることはないが、算出上0.1C,0.2Cが簡便であり好ましい。0.1C未満の放電では、該曲線を求めるために膨大な時間を要し、かつ試験中に電池の状態が放電以外の要素(特に自己放電)で変化してしまう可能性があり好ましくない。また、0.2Cを越える大きな電流率では、放電後の休止状態が不安定であり、電圧の誤差が大きくなり好ましくない。
【0042】
さらに放電時間を30分より長くすると、データ数の減少につながって、基準となる電圧−容量曲線の信頼性の低下をきたすことになり好ましくない。休止時間については1時間未満だと安定な休止状態に至らず電圧の誤差が大きくなり好ましくない。
【0043】
本発明になる電池容量および残量推定法では、試験対象となるアルカリ蓄電池(セル)、または直列に接続された複数個の組電池をいったん休止状態においた後、一定電流値で短時間放電してその端子電圧の変化を測定する。
【0044】
推定のために必要な充電、放電時間は1秒以下であることが好ましい。充電、または放電時間が1秒を超える長い時間では、端子電圧の変化に電池の内部抵抗だけでなく電解液中のイオンの拡散の遅れによる影響が強く含まれるようになり、この影響が判定誤差を大きくするので好ましくない。
【0045】
推定のために1秒以下の短時間充電を実施する場合、電流値は0.05C以上の電流率であることが好ましい。0.05Cより小さい電流率の充電電流では電圧変化が小さく端子電圧の読み取り誤差が大きくなって推定誤差の増大を招くことになり好ましくない。
【0046】
同様に、推定のために1秒以下の短時間放電を実施する場合、電流値は0.5C以上の電流率であることが好ましい。0.5Cより小さい電流率の放電電流では電圧変化が小さく端子電圧の読み取り誤差が大きくなって推定誤差の増大を招くことになり好ましくない。
【0047】
充電、あるいは放電前の端子電圧Voc1 は試験対象セル、あるいは組電池が休止状態におかれ充電、あるいは放電が開始される2秒以内の電圧であることが好ましい。充電、あるいは放電開始の2秒を超える以前の端子電圧では、試験電池の状態が変化し、充電、放電を実施した電池状態との関係が複雑となり好ましくない。
【0048】
また、充電、あるいは放電終了後に記録される端子電圧Voc3 は充電、あるいは放電終了後2秒以内の電圧であることがこのましい。2秒を超えた後の端子電圧では、試験電池内部の状態が大きく変化してしまい、Voc1 やV2 との関係が複雑となって誤差の増大をきたすので好ましくない。
【0049】
本発明になる電池容量および残量推定方法を適用して満充電状態からの放電可能容量および残量推定を行う装置は、データを管理するコンピュータと、電池の試験条件をコントロールする充放電器とから構成され、該電池容量および残量推定方法における劣化判定式、および電圧−容量曲線(関係式)をもとに演算する回路または機能を該コンピュータに内蔵して上記に記載する手順に従って試験セル、または組電池の容量および残量推定を行うことを特徴とする。
【0050】
該容量および残量推定装置の構成概念の一例を図3に示すが、試験制御、データ収集、電池容量および残量推定の実行機能が満足されれば、構成は何らこれに限定されるものではない。
【0051】
図3は1の試験対象セル、あるいは組電池を、12の試験装置に配置した概念の一例を示したものである。試験装置12は、該試験電池1を試験するために具体的な充電、放電の実行を行う充放電器2と、この充放電器の制御や記憶、記録を行うコンピュータ3で構成される。
【0052】
充放電器2は、定電流負荷装置4と定電流定電圧電源5、およびスイッチS1,S2とから構成されている。定電流負荷装置4は、試験電池1から供給される電流が一定の設定値に維持されるように負荷を変動させるものである。定電流定電圧電源5は充電、放電が一定の時間で規定されている場合に設定電圧に達するまでの間、定電流源として動作し、設定電圧に達した後は定電圧電源として動作する。
【0053】
コンピュータ3は、試験全体を制御するCPU6、充放電制御とデータ記録、さらには本発明の電池容量および残量推定法に関する劣化判定基準式や電圧−容量関係式(曲線)のプログラムがあらかじめ収納されているROM7の他、さらに該基準式から上記に記載した手順によって判定式を作成し、この劣化判定式と電圧−容量関係式に試験データを適用して容量および残量推定を行う作業用RAM8、およびプリンタ9、キーボード10、充放電状態や試験結果を表示する表示器11から構成される。
【0054】
ROM7に格納されているプログラムに従って、CPU6が充放電器2の定電流定電圧電源5、定電流負荷装置4、スイッチS1,S2、の装置全体を制御する。個々の特性試験に必要な設定値などはキーボード10によって入力される。
【0055】
コンピュータ3においては、あらかじめ設定された条件において試験の制御を行いながら、試験電池1の端子電圧、電流、さらに必要に応じて温度、湿度、電池歪みなどのデータを所定の時間間隔で測定し、記憶し、さらに記録する。また、得られた試験データに基準式を適用し、判定式を作成して試験対象セル、あるいは組電池の満充電状態からの放電可能容量を推定し、電圧−容量関係式に適用して残量推定を行う演算機能、さらに必要ならば試験データを一定時間毎にプロットする特性作成機能を具備している。
【0056】
本発明になるアルカリ蓄電池の容量および残量推定機能は、試験データを収集管理し、かつ、上記の手順に従って容量および残量推定値を求めるために演算を行うコンピュータと、必要ならば、該試験電池の試験放電条件を制御する放電電流制御器、または充放電制御器とから構成されるか、または、既設コンピュータに上記に記載した電池容量および残量推定法の手順を行う演算回路、または機能とを増設し搭載してなり、必要ならば、放電電流制御器、または充放電制御器とから構成され、既存の無停電給電システムや二次電池充放電自動試験装置に組み込んで、従来の機能な加えて試験対象電池の容量および残量推定を可能にする機能を付与することを特徴とするものである。
【0057】
従って、本発明になる該試験電池容量および残量推定機能は、できるだけ、既存装置、あるいはシステム本来の機能を損なったり、低下させないことで、容量および残量推定を行う。
【0058】
一例として無停電給電システムに本発明になる電池容量および残量推定機能を付与した構成概念を図4に示す。
【0059】
図4は本発明になる電池容量および残量推定機能のコンピュータ制御部を電力変換装置の内部に配置し、接続して構成された無停電給電システムの構成概念の一例を示したものである。
【0060】
図4において、1の試験セル、あるいは組電池と、13の交流、または直流電源と、14の電力変換装置と、15の負荷装置とによって無停電給電システムの基本構成をなしている。14の電力変換装置内には、主変換回路16が搭載されて、電源13からの交流、または直流電力を変換する。
【0061】
本発明における電池容量および残量推定機能は、コンピュータ3と定電流制御回路17と試験時に主回路から切り離すスイッチ18とで構成される。
【0062】
本発明の容量および残量推定機能を構成するコンピュータ3は、容量および残量推定のための放電、あるいは充電試験全体を制御するCPU6、試験制御とデータ記録、さらには本発明の電池容量および残量推定法に関する基準式、および関係式のプログラムがあらかじめ収納されているROM7の他、さらに該基準式を上記に記載した手順によって試験データに適用し判定式を作成して容量推定を行い、電圧−容量関係式に適用して残量推定を行う作業用RAM8、およびプリンタ9、キーボード10、放電状態や試験結果を表示する表示器11から構成される。表示器11は、使用上の利便性を考慮して該コンピュータ3の他に、電力変換装置14の壁面の作業者の認識しやすい部位にも取り付けることができる。
【0063】
なお、図4に示した構成概念はあくまで具体的な一例であって、上述した容量推定の機能を保持し、構成要素を完備していれば、無停電給電システム、あるいはそれ以外の装置に該容量推定機能を付与する構成は何らこれに限定されることはない。
【0064】
以下に、本発明になる電池容量および残量推定方法について実施例によって説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0065】
【実施例】
[実施例1]
非常灯に用いられていたトリクル単一ニッケルカドミウム電池(公称容量QB =4Ah)を回収するとともに、同型の新品電池を購入して、内部抵抗と容量とを評価した。
【0066】
実施した試験は、以下の通りである。
【0067】
すなわち、回収、または購入した各電池を電池充放電試験装置に設置して、0.1CmA(400mA)の電流値で16時間充電し、1時間休止の後、0.2CmA(800mA)の電流値で1.0Vまで放電し、1時間の休止を行う。これを2回繰り返し、3回目の放電を開始する直前の休止状態で、1.0CmA(4000mA)の電流値で10msecの短時間放電を行い、その電圧応答の大きさを測定した。電圧応答は、短時間放電を実施する直前と、短時間放電を終了する直前の端子電圧の差を採用した。この短時間放電の後、1時間の休止を置いて、0.2CmA(800mA)の定電流で1.0Vまで放電を行い、この容量を電池容量とした。電圧応答の大きさを電流値で除した値を内部抵抗とした。
【0068】
こうして測定した各電池の容量Qを内部抵抗Zの対数についてプロットすると良好な直線関係が得られ、その関係は
Q=−1291×ln(Z)+8490 (4)
となり、これを劣化判定基準式とした。
【0069】
次に、試験対象となるトリクル単三ニッケルカドミウム電池の3セル直列パック(公称容量600mAh)の新品を購入し、電流値は充電を0.1CmA(60mA)、放電を0.2CmA(120mA)、内部抵抗を求めるための短時間放電を1.0CmA(600mA)とした以外上記と同様の条件で試験を行い容量QA =642と内部抵抗ZA =65.25を求めた。これらの値をもとに、劣化判定基準式(4)の係数a=−1291とb=8490を補正して
なるトリクル単三ニッケルカドミウム電池の3セル直列パックの劣化判定式を得た。
【0070】
上記試験を実施した後、該電池パックを0.1CmA(60mA)で16時間充電した後、1時間休止を置き端子電圧Voc1 を測定してから、600mA、10msecの短時間放電を実施し、放電終了直前に端子電圧V2 を測定し上記方法と同様にして内部抵抗Z1 =(Voc1 −V2 )/600を求めた。その後、0.2CmA(120mA)で30分間(60mAh)放電してから、2時間の休止をおき、端子電圧Vocx を測定した後、再び600mA、10msecの短時間放電を実施し端子電圧Vx2を測定してこれを終了し、上記方法と同様にして内部抵抗Zx =(Vocx −Vx2)/600を求めた。
【0071】
この30分放電、2時間休止、端子電圧Vocx 測定、10msec放電、端子電圧Vx2測定の操作を放電時の電圧が3.0V(1.0V/セル)に至るまで繰り返した。放電電圧が3.0V(1.0V/セル)に至ると直ちに放電を終了し、2時間の休止ののち上記と同じ条件で内部抵抗を求めた。
【0072】
こうして求めた試験データのうち、4つの放電状態のデータを選択し、それぞれの短時間放電を実施する直前の休止電圧Vocx と、内部抵抗Zx と、上記QA =642とから
Q=QA {[ln(Z)+dV−e]/(fV−g)} (3)
(d,e,f,gは定数)
の定数d,e,f,gを算出し、
Q=642 × {[ln(Z)+15.1V−11.3]/(0.15V−0.208)} (6) なる別の劣化判定式を作成した。該判定式(6)は、
Voc1 (Q/QA )<2.55(0.85V×3セル) (7) となる場合に、上記劣化判定式(5)に代わって使用することにした。
【0073】
また、上記試験によって求めた放電における端子電圧が3.0Vに至る各放電状態の休止電圧Voc1 と満充電からの総放電量との関係、電圧−容量曲線をあらかじめプロットして、図5に示す残量算出のための基礎データを得た。
【0074】
図5は、該試験電池パックの残量を推定するために使用される基礎データであり、一例として、試験した電池パックの端子電圧Voc1 が図5に示した値である場合、その値を曲線に適用して満充電からの容量Q1 が求められ、初期容量QA との差、
Qr0=QA −Q1 (8)
Qr0を未劣化品の場合の残量とする。また、この残量を
100×(Qr0/QA ) (9)
として、パーセントで示すこともできる。
【0075】
こうして得られた劣化判定式(5)、および(6)、および電圧−容量の基礎データをもとに、回収したトリクル単一ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列、公称容量600mAh)の容量および残量推定を行った。
【0076】
回収した電池パックは、まず0.1CmA(60mA)で16時間充電し、1時間の休止を置く。端子電圧Voc1 を測定した後、1.0CmA(600mA)で10msecの短時間放電を行い、放電終了直前の電圧V2 を測定し、内部抵抗Z=ΔV/I=(Voc1 −V2 )/600を求める。
【0077】
該電池パックを2時間休止した後、0.2CmA(120mA)で開回路電圧Voc1 が3.60V(1.20V/セル)以上3.75V(1.25V/セル)未満となるまで放電する。1時間の休止後、上記と同様の手順で端子電圧Voc1 、内部抵抗Zを測定する。
【0078】
さらに2時間休止した後、0.2CmA(120mA)の電流値で開回路電圧Voc1 が3.30V(1.10V/セル)以上3.60V(1.20V/セル)未満となるまで放電し、同様にして2時間休止の後、端子電圧Voc1 と内部抵抗を測定する。
【0079】
こうして測定した端子電圧Voc1 と内部抵抗を関係式(7)を考慮して劣化判定式(5)または(6)に代入し、満充電からの放電可能容量Qを算出した。
【0080】
さらに、該試験電池パックは、0.2CmA(120mA)で端子電圧3.0V(1.0V/セル)まで放電し、満充電からの総容量を求め、これを実測容量Qm とした。推定容量Qと実測容量Qm とから、
Err=100×(Q−Qm )/Qm (10)
を算出し、これを誤差Errとした。
【0081】
結果を図6に示す。
【0082】
図6は実測した満充電状態からの放電可能容量に対する、上記(10)の関係によって求めた誤差を示した図である。図6において、白丸は満充電状態での試験電池パックの測定結果であり、四角は端子電圧Voc1 が3.60V以上3.75V未満の放電状態にある試験電池パックの測定結果であり、黒丸は端子電圧Voc1 が3.30V以上3.60V未満の放電状態にある試験電池パックの測定結果である。
【0083】
図6に明らかなように、測定対象となった電池パックのあらゆる容量(劣化状態)に対し、本発明になる方法により推定した満充電からの放電可能容量は、実測した容量に比べて誤差±15%以内と良好な推定精度であることが判った。
【0084】
さらに、端子電圧Voc1 の値を図5に示す電圧−容量曲線(関係)に適用し、上記図5に示した電圧−容量の関係から(8)式によって得られた残量Qr0と、これに劣化判定式(5)および(6)によって得られた満充電からの放電可能推定容量Qと初期容量QA とから
Qr =Qr0(Q/QA ) (11)
によって試験電池の残量を推定した。これを上記に示した方法で測定した実測残量Qrmと比較し、
Err(r) =100×(Qr −Qrm)/Qrm (12)
として誤差を求めた。
【0085】
結果を図7に示す。図7は試験した異なる劣化状態にある3個の電池パックについて、実測残量に対する(12)式で求めた推定残量の誤差Err(r) の結果を示したものである。
【0086】
図7に示したように、各放電状態で測定した推定残量は、実測値に比べて±10%以内の誤差であり、本発明になる方法により、高精度で残量が推定可能であることが判った。
【0087】
[実施例2]
実施例1において試験した電池パックの結果を用い、各放電状態での端子電圧Voc1 と実施例1における劣化判定式(5)および(6)から求めた、満充電からの放電可能容量推定Qの判定精度の検討を実施した。
【0088】
劣化判定式(6)の使用基準となる、試験電池パックの端子電圧Voc1 と未劣化品の容量QA と劣化判定式(5)から求めた推定容量Qとの関係、
J=Voc1 (Q/QA ) (13)
の値を変えて判定誤差の大きさを調べた。
【0089】
結果を図8に示す。
【0090】
図8は、上記実施例1に示した劣化判定式(6)を使用する判断基準である、式(13)によって求めた値Jに対する誤差範囲を示したものである。
【0091】
図8から明らかなように、Jの値が2.55未満で劣化判定式(6)を使用した場合の推定容量の実測容量に対する誤差は、Jの値が2.55以上で同(6)式を使用した場合に比べて小さくなり良好な精度で容量推定が可能になることがわかった。
【0092】
[実施例3]
トリクル単三ニッケルカドミウムセル(公称容量600mAh)の残量を推定するために、電圧−容量曲線を作成した。
【0093】
試験対象の未劣化品10セルについて、これをいったん0.1CmA(60mA)で16時間充電した後、開回路端子電圧Vocを記録し、これを図11に示す条件で放電し、休止状態におき、休止時の最後に開回路端子電圧Vocx を記録して、再び同一条件で放電させ、これを1.0V以下の電圧まで繰り返してVocとVocx とを、放電時間(放電容量)ごとにプロットした。
【0094】
トリクル単三ニッケルカドミウムセル(公称容量600mAh)を100セル回収し、0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電した後、実施例1と同様にして満充電状態からの放電可能容量を推定するとともに、実施例1と同様にして、開回路端子電圧Voc1 と推定容量Qをそれぞれの未劣化品セルについて作成した上記電圧−容量曲線に各10セルずつ適用して残量Qr を推定するとともに、実測残量Qrmも併せて求めた。(12)式によって推定誤差を算出し、その絶対値の最大値を図11に示した。
【0095】
図11に示した絶対誤差の最大値から明らかなように、電圧−容量曲線を作成する放電の条件は、0.1CmA(60mA),0.2CmA(120mA)の電流率、各放電の時間は0.5時間以下が好ましく、また各放電後の休止時間は1時間以上であることが好ましいことがわかった。
【0096】
[実施例4]
実施例1に用いたのと同様の5つのトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列)新品を購入し、上記実施例1において求めた劣化判定基準式 (4)から劣化判定式を導いた。
【0097】
すなわち、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0V(1.0V/セル)まで放電し、1時間休止を行う。この充放電を2回繰り返し、さらに、同じ条件で充電し休止した。放電を実施する前に、端子電圧Voc1 を測定し、電流値1.0CmA(600mA)で、図12に示した時間tだけ短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電を行い、この放電から容量QA を求めた。内部抵抗ZA はZA =(Voc1 −V2 )/600から求めた。これらの値をもとに、劣化判定基準式(4)の係数a=−1291とb=8490を補正して劣化判定式(2)の係数a′,b′を以下の式で決定、図12に示す値を得た。
【0098】
a′=a(QA /QB ) (14)
b′=QA −a(QA /QB )ln(ZA ) (15)
その後、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した。続いて、端子電圧Voc1 を測定し、電流率1.0CmA(600mA)で、図12に示した時間tだけ短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で30分間放電し、2時間の休止をおいた。2時間休止が完了すると端子電圧を測定し放電深度xにおける開回路電圧Vocx とした。そして再び同条件の短時間放電を実施、端子電圧Vx2を測定して短時間放電を終了した。
【0099】
放電中の端子電圧が3.0V(1.0V/セル)に到達するまで、この30分間放電、2時間休止、端子電圧Vocx 測定、短時間放電、端子電圧Vx2測定の手順を繰り返した。これらの各放電深度xにおけるVocx とZx =(Vocx −Vx2)/Iと容量QA から別の劣化判定式(3)の係数d,e,f,gを決定、図12に示す値を得た。
【0100】
このようにして作成した2つの劣化判定式に基づいて、回収したトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列、公称容量600mAh)50パックについて各10パックずつそれぞれの未劣化品から作成した判定式に適用し、実施例1と同様にして容量推定と実際の容量測定を行った。
【0101】
図12に結果を示す。すなわち、図12には、測定した推定容量Qと実測容量Qm とから得られた誤差の絶対値の最大を示しており、短時間放電時間tが1秒以下では誤差が小さく高精度の容量推定を行えることが明らかとなった。
【0102】
[実施例5]
実施例1に用いたのと同様の5つのトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列)新品を購入し、上記実施例1において求めた劣化判定基準式 (4)から劣化判定式を導いた。
【0103】
すなわち、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0V(1.0V/セル)まで放電し、1時間休止を行う。この充放電を2回繰り返し、さらに、同じ条件で充電し休止した。放電を実施する前に、端子電圧Voc1 を測定し、図13に示す各電流値Iで、10msecの間短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電を行い、この放電から容量QA を求めた。内部抵抗ZA はZA =(Voc1 −V2 )/Iから求めた。これらの値をもとに、劣化判定基準式(4)の係数a=−1291とb=8490を補正して劣化判定式(2)の係数a′,b′を以下の式で決定、図13に示す値を得た。
【0104】
a′=a(QA /QB ) (14)
b′=QA −a(QA /QB )ln(ZA ) (15)
その後、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した。続いて、端子電圧Voc1 を測定し、図13に示す各電流率で、10msecの間短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で30分間放電し、2時間の休止をおいた。2時間休止が完了すると端子電圧を測定し放電深度xにおける開回路電圧Vocx とした。そして再び10msec短時間放電を実施、端子電圧Vx2を測定して短時間放電を終了した。
【0105】
放電中の端子電圧が.3.0Vに到達するまで、この30分間放電、2時間休止、端子電圧Vocx 測定、10msec短時間放電、端子電圧Vx2測定を繰り返した。これらの各放電深度xにおけるVocx とZx =(Vocx −Vx2)/Iと容量QA から別の劣化判定式(3)の係数d,e,f,gを決定、図13に示す値を得た。
【0106】
このようにして作成した2つの劣化判定式に基づいて、図3に示す、本発明になる容量および残量判定機能を具備した充放電試験装置を使用して、回収したトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列、公称容量600mAh)50パックについて実施例1と同様にして各未劣化品から作成した劣化判定式に10パックずつ適用し、容量推定と実際の容量測定を行った。
【0107】
図13に結果を示す。すなわち、図13には、測定した推定容量Qと実測容量Qm とから得られた誤差の絶対値の最大を示しており、10msec短時間放電の電流値が0.5CmA以上では誤差が小さく高精度の容量推定を行えることが明らかとなった。
【0108】
[実施例6]
実施例1に用いたのと同様の5つのトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列)新品を購入し、上記実施例1において求めた劣化判定基準式 (4)から劣化判定式を導いた。
【0109】
すなわち、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電し、1時間休止を行う。この充放電を2回繰り返し、さらに、同じ条件で充電し休止した。放電を実施する前に、端子電圧Voc1 を測定し、図14に示す各電流値Iで、10msecの間短時間充電し、該充電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電を行い、この放電から容量QA を求めた。内部抵抗ZA はZA =(V2 −Voc1 )/Iから求めた。これらの値をもとに、劣化判定基準式 (4)の係数a=−1291とb=8490を補正して劣化判定式(2)の係数a′,b′を以下の式で決定、図14に示す値を得た。
【0110】
a′=a(QA /QB ) (14)
b′=QA −a(QA /QB )ln(ZA ) (15)
その後、該電池パックの端子電圧Voc1 を測定し、図14に示す各電流率で、10msecの間短時間充電し、該充電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.1CmA(60mA)の電流率で1時間充電し、1時間の休止した。1時間休止が完了すると端子電圧を測定し充電状態Xにおける開回路電圧Vocx とした。そして再び10msec短時間放電を実施、端子電圧Vx2を測定して短時間放電を終了した。
【0111】
充電の総時間が16時間に到達するまで、この1時間放電、1時間休止、端子電圧Vocx 測定、10msec短時間充電、端子電圧Vx2測定を繰り返した。これらの各充電状態XにおけるVocx とZx =(Vx2−Vocx )/Iと容量QA から別の劣化判定式(3)の係数d,e,f,gを決定、図14に示す値を得た。
【0112】
このようにして作成した2つの劣化判定式を適用した、図3に示す、本発明になる容量および残量判定機能を具備した充放電試験装置を使用して、回収したトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列、公称容量600mAh)50パックを各10パックずつ適用して、実施例1に示した短時間放電の代わりに、電流率が図14に示す値で短時間充電を行う以外は実施例1と同様の手順で容量推定と実際の容量測定を行った。
【0113】
図14に結果を示す。すなわち、図14には、測定した推定容量Qと実測容量Qm とから得られた誤差の絶対値の最大を示しており、10msec短時間放電の電流値が0.05CmA以上では誤差が小さく高精度の容量推定を行えることが明らかとなった。
【0114】
[実施例7]
実施例1に用いたのと同様の5つのトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列)新品を購入し、上記実施例1において求めた劣化判定基準式 (4)から劣化判定式を導いた。
【0115】
すなわち、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電し、1時間休止を行う。この充放電を2回繰り返し、さらに、同じ条件で充電し休止した。放電開始2秒前に、端子電圧Voc1 を測定し、1.0CmA(600mA)の電流率で、10msecの間短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電を行い、この放電から容量QA を求めた。内部抵抗ZA はZA =(V2 −Voc1 )/Iから求めた。これらの値をもとに、劣化判定基準式(4)の係数a=−1291とb=8490を補正して劣化判定式(2)の係数a′,b′を以下の式で決定、下記に示す値を得た。
【0116】
−174=a(QA /QB )
1368=QA −a(QA /QB )ln(ZA )
その後、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した。続いて、放電開始2秒前に、端子電圧Voc1 を測定し、1.0CmA(600mA)の電流率で、10msecの間短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で30分間放電し、2時間の休止をおいた。2時間休止が完了すると次の放電開始2秒前に、端子電圧を測定し放電深度xにおける開回路電圧Vocx とした。そして再び10msec短時間放電を実施、端子電圧Vx2を測定して短時間放電を終了した。
【0117】
放電中の端子電圧が3.0Vに到達するまで、この30分間放電、2時間休止、端子電圧Vocx 測定、10msec短時間放電、端子電圧Vx2測定を繰り返した。これらの各放電深度xにおけるVocx とZx =(Vocx −Vx2)/Iと容量QA から別の劣化判定式(3)の係数d,e,f,gを決定、それぞれ、d=15.1、e=−11.3、f=0.15、g=0.208を得た。
【0118】
このようにして作成した2つの劣化判定式に基づいて、回収したトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列、公称容量600mAh)10パックについて端子電圧測定を短時間放電前の所定の時間に実施した他は、実施例1と同様にして、容量推定と実際の容量測定を行った。
【0119】
図9に結果を示す。すなわち、図9には、端子電圧Voc1 測定を短時間放電開始前に実施した時間と誤差範囲との関係を示した図である。図9から明らかなように、測定した推定容量Qと実測容量Qm とから得られた誤差は、短時間放電開始前の2秒以内の端子電圧測定を実施した場合、開始前2秒を越える時間で端子電圧を測定する場合に比べて、誤差が小さくなり高精度の容量推定を行えることが判った。
【0120】
[実施例8]
実施例1に用いたのと同様の5つのトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列)新品を購入し、上記実施例1において求めた劣化判定基準式 (4)から劣化判定式を導いた。
【0121】
すなわち、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電し、1時間休止を行う。この充放電を2回繰り返し、さらに、同じ条件で充電し休止した。次に1.0CmA(600mA)の電流率で、10msecの間短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定し、該放電終了後2秒経過の時点の端子電圧Voc3 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で3.0Vまで放電を行い、この放電から容量QA を求めた。内部抵抗ZA はZA =(V2 −Voc1 )/Iから求めた。これらの値をもとに、劣化判定基準式(4)の係数a=−1291とb=8490を補正して劣化判定式(2)の係数a′,b′を以下の式で決定、以下に示す値を得た。
【0122】
−174=a(QA /QB )
1370=QA −a(QA /QB )ln(ZA )
その後、該電池パックを0.1CmA(60mA)の電流率で16時間充電し、1時間休止した。続いて、1.0CmA(600mA)の電流率で、10msecの間短時間放電し、該放電を終了する直前の端子電圧V2 を測定し、該放電終了後2秒経過の時点の端子電圧Voc3 を測定した。1時間の休止をおいた後、0.2CmA(120mA)の電流率で30分間放電し、2時間の休止をおいた。2時間休止が完了すると再び10msec短時間放電を実施、端子電圧Vx2を測定して短時間放電を終了し、終了後2秒経過で端子電圧を測定し放電深度xにおける開回路電圧Vocx とした。
【0123】
放電中の端子電圧が3.0Vに到達するまで、この30分間放電、2時間休止、10msec短時間放電、端子電圧Vx2測定、端子電圧Vocx 測定の操作を繰り返した。これらの各放電深度xにおけるVocx とZx =(Vx2−Vocx )/Iと容量QA から別の劣化判定式(3)の係数d,e,f,gを決定、それぞれ、d=15.0、e=−11.4、f=0.15、g=0.210を得た。
【0124】
このようにして作成した2つの劣化判定式を適用した、図3に示す、本発明になる容量および残量判定機能を具備した充放電試験装置を使用して、回収したトリクル単三ニッケルカドミウム電池パック(3セル直列、公称容量600mAh)10パックについて端子電圧測定を短時間放電終了後の所定時間経過で実施した他は、実施例1と同様にして、容量推定と実際の容量測定を行った。
【0125】
図10に結果を示す。すなわち、図10は、端子電圧Voc3 測定を実施した短時間放電終了後所定時刻と誤差範囲との関係を示した図である。
【0126】
図10から明らかなように、測定した推定容量Qと実測容量Qm とから得られた誤差は、短時間放電終了後の2秒以内の端子電圧Voc3 測定を実施した場合、終了後2秒を越える時間で端子電圧Voc3 を測定する場合に比べて、誤差が小さくなり高精度の容量推定を行えることが判った。
【0127】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、短時間で満充電状態からの放電可能容量、および残量が比較的高精度で推定でき、無停電給電システムなどバックアップ電源の高信頼化と効率的なメンテナンス実施が期待できることになり大きな貢献を果たすことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になるニッケルカドミウム電池の容量を推定する判定式作成のための試験データであり、各放電深度(容量)と短時間放電に対する応答電圧ΔVとの関係を示したデータ図である。
【図2】 本発明になるニッケルカドミウム電池の容量を推定する判定式作成のための試験データであり、開回路電圧Vと短時間放電に対する応答電圧ΔVとの関係を示したデータ図である。
【図3】 本発明になるニッケルカドミウム電池の容量および残量を推定する機能を搭載した充放電試験装置の一例を示す構成概念図である。
【図4】 本発明になるニッケルカドミウム電池の容量および残量推定機能を搭載した無停電給電システムの一例を示す構成概念図である。
【図5】 本発明の実施例1における残量推定に用いる容量と電圧の関係を示した基礎データの特性図である。
【図6】 本発明の実施例1の結果を示した図であり、各放電状態における判定容量の実測容量に対する誤差を示した特性図である。
【図7】 本発明の実施例1の結果を示した図であり、各放電状態における判定残量の実測残量に対する誤差を示した特性図である。
【図8】 本発明の実施例2の結果を示した図であり、劣化判定使用の判断基準値Jと推定容量誤差との関係を示す特性図である。
【図9】 本発明の実施例7の結果を示した図であり、端子電圧Voc1 測定時刻と推定容量誤差との関係を示した特性図である。
【図10】 本発明の実施例8の結果を示した図であり、端子電圧Voc3 測定時刻と推定容量誤差との関係を示した特性図である。
【図11】 本発明に係る電圧−容量曲線を求めるための放電、休止条件の一例を示す説明図である。
【図12】 本発明に係る短時間放電の時間と容量推定誤差の一例を示す説明図である。
【図13】 本発明に係る短時間放電の電流率と容量推定誤差の一例を示す説明図である。
【図14】 本発明に係る短時間充電の電流率と容量推定誤差の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 試験対象セル、あるいは組電池
2 充放電器
3 コンピュータ
4 定電流負荷装置
5 定電流定電圧電源
6 CPU
7 ROM
8 RAM
9 プリンタ
10 キーボード
11 表示器
12 充放電試験装置本体
13 交流、直流電源
14 電力変換装置
15 負荷装置
16 主変換回路
17 定電流制御回路
18 スイッチ
S1,S2 充放電切り換えスイッチ
Claims (6)
- アルカリ蓄電池(以下、セルと呼称)、または直列に複数個接続されたアルカリ蓄電池群(以下、組電池と呼称)に関して、
試験対象セル、あるいは組電池をいったん休止状態においた後、一定電流値で短時間放電あるいは充電して、
前記放電あるいは充電を実施する直前の休止状態の端子電圧と、前記放電あるいは充電を実施中の端子電圧との電圧差を、前記一定電流値で除して内部抵抗を求め、
または、前記放電あるいは充電を実施中の端子電圧と、前記放電あるいは充電を実施した直後の休止状態の端子電圧との電圧差を、前記一定電流値で除して内部抵抗を求め、
前記内部抵抗と休止状態における開回路電圧とを、容量と内部抵抗からなる劣化判定基準式を試験対象の新品電池の内部抵抗と公称容量によって係数補正した判定式に適用して、満充電からの放電可能容量Qを推定すると同時に、放電、あるいは充電前後の休止状態における開回路電圧を電圧−容量曲線に適用して算出した残量Qr0と未劣化品の容量QAと推定容量Qとから残量を推定することを特徴とするアルカリ蓄電池容量残量推定法。 - セル、あるいは組電池の端子電圧をモニタしながらこれをいったん休止状態に置き、端子電圧Voc1 を記録した後、一定の電流値Iで短時間放電、あるいは充電を行い、その放電、充電直後の端子電圧V2 を記録してその電圧差
ΔV=Voc1 −V2
を放電、あるいは充電電流値で除した値Z
Z=ΔV/I
を内部抵抗として求め、
あるいは、一定の電流値Iで短時間放電、あるいは充電を行い、その放電、充電が終了し休止に入った直後の端子電圧Voc3 を記録してその電圧差
ΔV′=V2 −Voc3
を放電、あるいは充電電流値で除した値Z′
Z′=ΔV′/I
を内部抵抗として求め、
あらかじめ異なる劣化状態のセル特性から求めておいた劣化判定基準式の定数補正を実施してこれに適用して、該試験対象セル、あるいは組電池の満充電状態からの放電可能容量Qを推定すると同時に、
上記の短時間充電、あるいは放電を実施する前の休止時の端子電圧Voc1 、あるいは実施直後の休止時の端子電圧Voc3 を、あらかじめ求めておいた該試験対象の新品セルの電圧−容量曲線に適用して算出した残量(放電残時間)Qr0と上記短時間充電、あるいは放電によって推定された満充電状態からの放電可能容量Qと該試験対象セル、あるいは組電池の公称容量Qo とから、残量(放電残時間)Qr を
Qr =Qr0(Q/Qo )
によって推定することを特徴とする請求項1記載のアルカリ蓄電池容量残量推定法。 - 試験対象セル、あるいは組電池の満充電状態からの放電可能容量を求める方法において、算出の基本となる劣化判定基準式が、内部抵抗Zの対数と容量Qとから構成される式
Q=aln(Z)+b (a,bは定数、a<0) (1)
であり、該基準式(1)の定数a,bについて、試験対象セルあるいは組電池の新品(未劣化品)の容量QAとZA=ΔV/Iの内部抵抗ZAとを用いて、
a→a(QA/QB)
b→QA−a(QA/QB)ln(ZA)
(QBは基準式作成のために用いた満充電からの放電可能容量が公称容量の70%を越えるような比較的劣化の進行していないセルの容量)
となるように変換した式、
を劣化判定式として用い、該判定式(2)に、内部抵抗Z、またはZ′を代入して算出した値Qを、満充電状態からの放電可能容量とし、
さらに、試験対象セル、あるいは組電池の開回路電圧Voc1 、またはVoc3 と、上記劣化判定式(2)において算出したQの値と、該当する未劣化品の容量QAとの関係が
Voc1 (Q/QA)<0.85×(セル数)
または、
Voc3 (Q/QA)<0.85×(セル数)
となる場合には、このQ値を用いずに、劣化判定式(2)の代わりに、内部抵抗Zと開回路電圧Vとで表される容量Qの式、
Q=QA{[ln(Z)+dV−e]/(fV−g)} (3)
(d,e,f,gは定数)
について、定数d,e,f,gを、未劣化品について異なる4段階の放電深度まで放電させて求めた開回路電圧と内部抵抗の値と、Q=QAとから決定してこれを用い、該判定式(3)に、開回路電圧Voc1 、またはVoc3 と、内部抵抗Z、またはZ′とを代入して算出した値Qを、満充電状態からの放電可能容量とし、
一方、残量を推定するために使用する電圧−容量曲線は、試験対象の満充電状態におかれた新品セルの開回路端子電圧Vo を記録した後これを、0.1C、ないし0.2Cの電流率で30分以下の一定時間で放電し、これを1時間以上の休止状態におき休止時の最後に開回路端子Voxを記録して、再び同一条件で放電させ、これを1.0V以下の電圧まで繰り返してVo とVoxとを、放電時間(放電容量)ごとにプロットして求めた曲線であることを特徴とする請求項2記載のアルカリ蓄電池容量残量推定法。 - 請求項2記載のアルカリ蓄電池容量残量推定法において、試験対象セル、あるいは組電池の満充電状態からの放電可能容量を求めるために実施される端子電圧の記録と、充電、あるいは放電条件に用いられる、充電、あるいは放電前の端子電圧Voc1 は、試験対象セル、あるいは組電池が休止状態におかれ充電、あるいは放電が開始される2秒以内の電圧であり、
充電は0.05C以上の電流率で実施され、
放電は0.5C以上の電流率で実施され、
充電、あるいは放電時間がともに1秒以下であり、
充電、あるいは放電中に記録される端子電圧V2 は、充電、あるいは放電終了直前の電圧であり、
充電、あるいは放電終了後に記録される端子電圧Voc3 は充電、あるいは放電終了後2秒以内の電圧であることを特徴とするアルカリ蓄電池容量残量推定法。 - データを管理するコンピュータと、アルカリ蓄電池の試験条件をコントロールする充放電器とから構成され、請求項2記載のアルカリ蓄電池容量残量推定法における適用基準式および電圧−容量曲線を演算する回路または機能を該コンピュータに内蔵して請求項2記載のアルカリ蓄電池容量残量推定法の手順に従って試験対象セル、または組電池の容量および残量推定を行うことを特徴とするアルカリ蓄電池容量推定装置。
- 試験データを収集管理し、かつ、請求項2記載のアルカリ蓄電池容量残量推定法に従って容量および残量推定値を求めるために演算を行うコンピュータと、該試験セル、あるいは組電池の試験放電、あるいは充電条件を制御する電流制御器、または充放電制御器とから構成されるか、
または、既設コンピュータに請求項2記載のアルカリ蓄電池容量残量推定法の手順を行う演算回路、または機能とを増設して搭載してなり、かつ、該電流制御器、または充放電制御器とから構成されることを特徴とするアルカリ蓄電池容量推定装置。
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