JPH083051Y2 - パラボラアンテナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はたとえばカセグレンアンテナのように主反射
鏡に副反射鏡を対峙して設けてなるパラボラアンテナに
関する。

（従来の技術） 従来、この種のパラボラアンテナとしては、主反射鏡
を仰角軸のまわりに回動自由に支持すると共に、主反射
鏡に副反射鏡を対峙させ、該副反射鏡が主反射鏡と副反
射鏡との間に介装される支持部材にねじ等で固定的に取
り付けられている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述した従来のパラボラアンテナにお
いては、副反射鏡が主反射鏡に支持部材を介してねじ等
で固定的に取り付けられているので、主反射鏡が仰角軸
のまわりに回動すると、支持部材に作用する副反射鏡の
自重や支持部材の自重の作用方向が変化し、支持部材の
弾性変形量が主反射鏡の回動に応じて変化する。したが
って、主反射鏡の回動に従って、支持部材に取り付けら
れた副反射鏡が主反射鏡に対して相対的に回動して、主
反射鏡の軸に対して副反射鏡の軸がずれてしまうという
欠点がある。この副反射鏡の主反射鏡に対する相対変位
により生ずる副反射鏡の主反射鏡の放射軸との直交性の
悪化は、たとえばパラボラアンテナの放射パターンにお
けるサイドローブレベルの対称性を著しく損う等の重大
な欠陥を生じさせる。

本考案は、主反射鏡の仰角軸まわりの回動による主反
射鏡と副反射鏡との相対変位を補正することができ、主
反射鏡の軸と副反射鏡の軸とのずれを防止してたとえば
パラボラアンテナの放射パターンにおけるサイドローブ
レベルの対称性を良好に保持することができるパラボラ
アンテナを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記課題は、仰角軸の回りに回動される主反射鏡
と、一次放射器から放射される電波を前記主反射鏡に反
射し又は前記主反射鏡で反射された外来電波を前記一次
放射器に反射する副反射鏡と、前記主反射鏡を支点とし
て前記副反射鏡を支持し、該副反射鏡の反射面を前記主
反射鏡の反射面に対峙させる支持構造と、前記主反射鏡
が前記仰角軸回りに回動するとき前記副反射鏡及び支持
構造が受ける重力の方向の変化に応じて該支持構造の弾
性変形量が変動し、該弾性変形量の変動に応じ前記主反
射鏡の軸と前記副反射鏡の軸との間に生ずるずれを補正
する機構とを有し、前記支持構造は、前記主反射鏡の前
記仰角軸に平行な第１の軸の回りに揺動自在に前記副反
射鏡を支持するパラボラアンテナにおいて、 前記ずれ補正機構が、 前記主反射鏡の前記仰角軸に平行な第２の軸の回りに
回動自由に前記支持構造に回り対偶で保持された板状体
であり、前記第２の軸に対し偏在した重りが設けられて
おり、前記主反射鏡が回転しても前記重りに作用する重
力により空間に対し回動せず、案内溝が形成されたカム
板と、 前記支持構造に固定され、案内孔が設けられているア
ーム部材と、 前記案内溝で案内されるガイドピンを有し、前記案内
孔に摺動自在に挿通され、前記ガイドピンが前記案内溝
に案内されて摺動するのに応じて前記案内孔に案内され
て直進運動をするスライドアームと、 前記主反射鏡の前記仰角軸に平行な第３の軸の回りに
回動自在に前記スライドアームと前記副反射鏡とを連結
する機構とを備えてなり、 前記第１の軸は前記副反射鏡の軸上にあり、 前記案内孔の軸は、前記副反射鏡の軸に平行であって
該副反射鏡の軸から所定の距離にあり、 前記案内溝は、前記スライドアームの前記直進運動が
前記連結機構を介して前記副反射鏡に伝えられ、該副反
射鏡が前記第１の軸の回りの揺動をしたとき、前記支持
構造の前記弾性変形に応じて前記主反射鏡の軸と前記副
反射鏡の軸との間に生ずるずれを補正する形をなしてい
る ことを特徴とするパラボラアンテナ、及び 前記スライドアームと前記副反射鏡とを連結する機構
は、前記スライドアームの前記副反射鏡側の端に、該副
反射鏡の軸に直交する方向に長い形に、前記第３の軸方
向に貫通して設けられた溝部（10）と、該溝部（10）に
前記第３の軸方向に挿通されたピン（６）と、前記副反
射鏡の裏面構造であるマウント部（16）に固定されたブ
ラケット（８）とでなり、 前記ピン（６）は前記ブラケット（８）に回動自在に
挿通されている ことを特徴とする前記に記載のパラボラアンテナによ
り解決することができる。

（作用） 本考案によれば、主反射鏡が仰角軸まわりに回動する
と、カム板は常に地面に対してそのカム面が略一定位置
になるように保持されているので、カム板は支持構造に
対して相対回動する。カム板のカム面は主反射鏡の仰角
軸まわりの回動角に応じた副反射鏡の主反射鏡に対する
相対回動変位を与える形状となっており、かつ、カム板
のカム面は副反射鏡に機械的に接続されており、さらに
副反射鏡は支持構造に主反射鏡との相対変位方向と反対
方向に回動自由に支持されているので、主反射鏡の仰角
軸のまわりの回動に従って生ずる主反射鏡と副反射鏡と
の相対変位がカム板のカム面の形状に基づいて補正され
る。したがって、副反射鏡と主反射鏡との軸のずれを未
然に防止することが可能となり、当該軸ずれによる欠陥
たとえばパラボラアンテナの放射パターンにおけるサイ
ドローブレベルの対称性を著しく損なうことを未然に防
止することが可能となる。

（実施例） 以下に、第１図を参照して本考案の一実施例について
説明する。

図示しない主反射鏡の反射面には、外方に各々が先端
側で集合させられるように斜めに突出する本考案の支持
部材としての４本の支持柱１が設けられている。

各支持柱１の中間部には、各支持柱１を相互に架橋し
て接続するベース部２が取り付けられている。該ベース
部２には、ブラケット15が突出して設けられており、該
ブラケット15の先端部には、副反射鏡３のマウント部16
から突出された軸受部５が、ピン４を介して回動自由に
取り付けられている。ここで、４本の支持柱１、ベース
部２及びブラケット15が前述の支持構造をなしている。

このように副反射鏡３を回動自由に支持して、主反射
鏡が仰角軸のまわりに回動した際に、副反射鏡３が主反
射鏡に対して相対的に回動変位する方向と反対方向に副
反射鏡を回動させることができるようにしている。

前記ベース部２の一つの支持柱１に近接した位置に
は、中間部に案内孔９が形成されたアーム部材17が固定
されている。該案内孔９には、棒状のスライドアーム７
が摺動自由に遊挿されている。スライドアーム７の副反
射鏡３側には、溝部10が貫通して形成されており、該溝
部10内には、ピン６ががたがないように遊挿されてい
る。ピン６は副反射鏡３のマウント部16から突設された
ブラケット８に支持され、このピン６を介してスライド
アーム７と副反射鏡３とを連結している。また、スライ
ドアーム７の中間部には、ガイドピン11が突設されてい
る。

一方、前記ベース部２には、本考案のカム面を構成す
る案内溝13が形成された円板状のカム板12が回動自由に
支持されている。カム板12には、重鎮14が取り付けられ
ており、該重鎮14によって主反射鏡が回動しても、カム
板12が常時地面に対して案内溝13が略一定位置に保持さ
れるようになっている。また、案内溝13には、前記スラ
イドアーム７のガイドピン11ががたがないように遊挿さ
れている。

次に、本実施例の作動状態について説明する。主反射
鏡が第１図に示す矢印方向に回動すると、支持柱１は主
反射鏡の回動に伴って図中矢印方向に回動する。この主
反射鏡の回動に応じて支持柱１の自重や副反射鏡３の自
重の作用方向が変化するので、副反射鏡３の主反射鏡に
対する位置が相対的に変化しようとする。

しかしながら、本実施例では、カム板12が重鎮14によ
り常に地面に対して一定位置に鉛直状態を保持するよう
にされているので、主反射鏡、支持柱１の回動に伴っ
て、カム板12が支持柱１に対して相対的に回動する。し
たがって、スライドアーム７のガイドピン11は、カム板
12の案内溝13に沿って摺動して移動せしめられ、スライ
ドアーム７は案内孔９に沿って図中上下方向に移動させ
られる。

このスライドアーム７の移動により、副反射鏡３のマ
ウント部16を、スライドアーム７の溝部10及びピン６を
介して図中上下方向を移動させる。この移動変位は副反
射鏡３を軸受部５のピン４の回りに回動させる。

ここで、本実施例では、カム板12の案内溝13の形状
は、主反射鏡の仰角軸のまわりの回動角に応じた副反射
鏡３の主反射鏡に対する相対回動変位を与える形状とし
てあるので、副反射鏡３の回動変位は主反射鏡の回動に
伴なって副反射鏡３が主反射鏡に対して生ずる相対回動
変位に対応させることができる。このように回動変位を
対応させておくことで副反射鏡３の主反射鏡に対する相
対回動変位を容易に適切に補正することができ、副反射
鏡３と主反射鏡の軸とが相対変位することを未然に防止
することができる。

このように、本実施例では、カム板12の案内溝13を、
副反射鏡３の支持柱１の各仰角における弾性変形特性に
合わせた補正曲線としておくことにより、任意の仰角に
於て副反射鏡の傾き移動の補正が可能となり、かつ、そ
の補正はパラボラアンテナの仰角回動に対して連続的に
行なえることとなる。また、カム板12による回動補正を
行なったので、動力源や電気制御回路を必要としない簡
便なものとなる。

なお、本実施例では、主反射鏡の仰角回動角度範囲を
略90°とした場合の例を示しているが、案内溝13をその
長さ方向に延長して設けることにより、俯角方向又は天
頂方向を越えて反対側に仰角を下げてゆく場合等主反射
鏡の仰角回動角度範囲が90°以上となった場合にも、副
反射鏡３の相対回動変位を補正することができるように
なる。また、主反射鏡の仰角回動角度範囲が90°に満た
ない場合には、案内溝13の長さを回動角度範囲に対応し
て短くすることで容易に対処することができる。

また、本実施例では、カム板12に重鎮14を取り付けて
カム板12を鉛直状態に保持するようにしているが、カム
板12の下周縁部を厚肉状とすることで、カム板12自体に
より重鎮14の役割を兼用させることができる。

また、本実施例では、カム板12の案内溝13の形状をト
レースしてスライドアーム７の溝部10とマウント部16に
支持されたピン６を介して副反射鏡３を直接駆動させる
ようにしているが、案内溝13の形状に応じて副反射鏡３
を回動させるものであれば、たとえばカム板12による移
動力をリンク機構を介して副反射鏡３を回動させる力に
増幅し変換するもの等周知の各種の伝達機構を採用する
ことができる。

（考案の効果） 以上に説明したように、本考案によれば、主反射鏡の
仰角軸のまわりの回動による主反射鏡と副反射鏡との相
対変位を補正することができ、主反射鏡の軸と副反射鏡
の軸とのずれを防止してたとえばパラボラアンテナの放
射パターンにおけるサイドローブレベルの対称性を良好
に保持することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の要部を示す正面図である。 １……支持性、２……ベース部、３……副反射鏡、４…
…ピン、５……軸受部、６……ピン、７……スライドア
ーム、８……ブラケット、９……案内孔、10……溝部、
11……ガイドピン、12……カム板、13……案内溝、14…
…重鎮、15……ブラケット、16……マウント部、17……
アーム部材。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】仰角軸の回りに回動される主反射鏡と、一
   次放射器から放射される電波を前記主反射鏡に反射し又
   は前記主反射鏡で反射された外来電波を前記一次放射器
   に反射する副反射鏡と、前記主反射鏡を支点として前記
   副反射鏡を支持し、該副反射鏡の反射面を前記主反射鏡
   の反射面に対峙させる支持構造と、前記主反射鏡が前記
   仰角軸回りに回動するとき前記副反射鏡及び支持構造が
   受ける重力の方向の変化に応じて該支持構造の弾性変形
   量が変動し、該弾性変形量の変動に応じ前記主反射鏡の
   軸と前記副反射鏡の軸との間に生ずるずれを補正する機
   構とを有し、前記支持構造は、前記主反射鏡の前記仰角
   軸に平行な第１の軸の回りに揺動自在に前記副反射鏡を
   支持するパラボラアンテナにおいて、 前記ずれ補正機構が、 前記主反射鏡の前記仰角軸に平行な第２の軸の回りに回
   動自由に前記支持構造に回り対偶で保持された板状体で
   あり、前記第２の軸に対し偏在した重りが設けられてお
   り、前記主反射鏡が回動しても前記重りに作用する重力
   により空間に対し回動せず、案内溝が形成されたカム板
   と、 前記支持構造に固定され、案内孔が設けられているアー
   ム部材と、 前記案内溝で案内されるガイドピンを有し、前記案内孔
   に摺動自在に挿通され、前記ガイドピンが前記案内溝に
   案内されて摺動するのに応じて前記案内孔に案内されて
   直進運動をするスライドアームと、 前記主反射鏡の前記仰角軸に平行な第３の軸の回りに回
   動自在に前記スライドアームと前記副反射鏡とを連結す
   る機構とを備えてなり、 前記第１の軸は前記副反射鏡の軸上にあり、 前記案内孔の軸は、前記副反射鏡の軸に平行であって該
   副反射鏡の軸から所定の距離にあり、 前記案内溝は、前記スライドアームの前記直進運動が前
   記連結機構を介して前記副反射鏡に伝えられ、該副反射
   鏡が前記第１の軸の回りの揺動をしたとき、前記支持構
   造の前記弾性変形に応じて前記主反射鏡の軸と前記副反
   射鏡の軸との間に生ずるずれを補正する形をなしている ことを特徴とするパラボラアンテナ。
2. 【請求項２】前記スライドアームと前記副反射鏡とを連
   結する機構は、前記スライドアームの前記副反射鏡側の
   端に、該副反射鏡の軸に直交する方向に長い形に、前記
   第３の軸方向に貫通して設けられた溝部（10）と、該溝
   部（10）に前記第３の軸方向に挿通されたピン（６）
   と、前記副反射鏡の裏面構造であるマウント部（16）に
   固定されたブラケット（８）とでなり、 前記ピン（６）は前記ブラケット（８）に回動自在に挿
   通されている ことを特徴とする請求項１に記載のパラボラアンテナ。