JPH08303724A - ガス焼成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス焼成装置のガスバーナーに二次空気を必
要量のみ供給するようにして、外気導入に伴う焼成室内
の温度低下と湿度低下を防止する。 【構成】 焼成室内のバーナー管３は、バーナー管本体
２５とバーナー管本体２５を収容する二次空気を供給す
る二次空気供給管３０からなる。二次空気供給管３０に
供給された空気は、バーナー管本体２５のガス噴出用ス
リット２６の近傍を経て火炎ガイドスロット３１より出
る。これにより、ガスバーナーに対し二次空気を必要量
のみ供給することができる。また、ガス噴出用スリット
２６に対して両側より二次空気が供給されて安定した燃
焼が得られるとともにバーナー管本体２５が二次空気に
より冷却されバーナー管本体２５の熱歪が軽減される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガス焼成装置に係り、
特に、焼成室内に複数本のバーナを配設してなるパンや
菓子類を焼成するために適したガス焼成装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】焼成室内にガスバーナーを設けてなるガ
ス焼成装置としては、被焼成物を一定位置に載置して焼
成する定置型焼成装置、被焼成物を回転駆動されるラッ
ク上に載置して焼成する回転型焼成装置及び焼成室の入
口側から出口側に被焼成物を搬送するコンベヤ上に被焼
成物を載置して焼成する連続型焼成装置等が知られてい
る。

【０００３】図４は、従来のパンを焼成するための連続
型のガス焼成装置１００を示すもので、焼成室１０１内
に管状の上火バーナ１０７および下火バーナ１０８を複
数本配設し、その上下のバーナ１０７、１０８の間を焼
成すべきパン生地を移送するコンベヤ１０６を設けて成
るものである。

【０００４】焼成室１０１は一方の側にパン生地を搬入
するための搬入口１０２が、また、他方の側には焼成さ
れたパンを搬出するための搬出口１０３を有し、搬入口
１０２にはパン生地搬入用コンベヤ１０４が、また、搬
出口１０３にはパン搬出用コンベヤ１０５が設置されて
いる。

【０００５】焼成室１０１内は、コンベヤ１０６上の被
焼成物１１１の移送を許容する間隔を置いて設けられた
二つの仕切壁１１３、１１４によりＡ，Ｂ及びＣの三つ
の区域に区画されている。焼成室１０１の上部には、ガ
スの燃焼により生成した燃焼ガスを吸気する排気ダクト
１０９が取付けられており、排気ファン１１０により外
部に排出されるようになっている。

【０００６】パン生地の焼成においては、コンベヤ１０
４を利用して搬入口１０２より成型されたパン生地を焼
成室１０１内に導入し、コンベヤ１０６上に載せて焼成
室内を搬出口側へ搬送する。コンベア１０６により搬送
されるパン生地は、搬送される過程において燃焼するバ
ーナー１０７、１０８により加熱され、搬入口側から順
次、区画Ａ、区画Ｂ及び区画Ｃにおいて、予熱、焼成、
色付乾燥されて最終的に完成品として搬出口１０３より
焼成室１０１から取り出される。

【０００７】上火バーナー１０７及び下火バーナー１０
８には、ガスに適量の一次空気を混合した燃料ガスが配
管を経由して供給され、バーナー周辺の空気を二次空気
としてガスが燃焼する。燃焼によって生じた燃焼排ガス
は、排気ファン１１０の運転により吸気ダクト１０９よ
り吸引されて外部に排出される。燃焼ガスの排出に伴っ
て、燃焼室１０１内に、搬入口１０２及び搬出口１０３
より二次空気となる外気が導入される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】前述の構成になるガス
焼成装置においては、ガスの燃焼に必要な二次空気は、
焼成室１０１の搬入口１０２及び搬出口１０３から導入
されため、燃焼によって加熱される焼成室内の温度は外
気の導入によてその分温度が下げられることとなり熱効
率が悪くなるといった問題がある。

【０００９】また、パンの焼成においては、焼成室内の
湿度を適度にコントロールする必要があり、焼成室内の
湿度はパン生地から発生する水蒸気とガスの燃焼に伴っ
て発生する水蒸気により所定の湿度を得ているが、外気
の流入は焼成室内を乾燥させることとなり、湿度のコン
トロールを難しくしている。

【００１０】パン焼き用のガス焼成室は、大型のものと
なると、バーナーの本数が多くなり、各バーナに到達す
る二次空気の量は不均一となり、したがって、全バーナ
ーに必要最小限の二次空気の量を確保するためには、全
体としては余分に外気を導入しなければならず、その分
だけ焼成室内の温度を下げ、熱効率を悪くし、また、湿
度を下げることとなって、湿度コントロールが一層困難
になるといった問題があった。

【００１１】本発明は上記問題点に鑑みなされたもの
で、ガス焼成装置の各バーナに必要最小限の量の二次空
気を均一に供給するようにして熱効率を高め、且つ、焼
成装置の焼成室内部の湿度を適度に保持することができ
るガス焼成装置を提供することを課題とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】焼成室内にバーナーを配
置し、該バーナーにガスと一次空気との混合ガスを供給
して燃焼させるガス焼成装置において、該バーナーは二
重管方式を採用、内部パイプはガス噴出用スリットが形
成されガスー空気の混合ガスが供給されるバーナー管本
体と、火炎ガイドスロットが形成され、該ガス噴出用ス
リットに二次空気を供給する二次空気供給管を備え、該
バーナー管本体はガス噴出用スリットが前記二次空気供
給管の火炎ガイドスロットに一定間隔を置いて並列する
ように二次空気供給管内部に設置することを特徴とす
る。

【００１３】

【作用】本発明によれば、二次空気供給管よりバーナー
のガス噴出口近傍に燃焼に必要な二次空気が必要最小限
の量だけ供給される。これにより、安定した炎と均一な
燃焼が得られ、焼成室内の温度分布を均一にすることが
できる。また、焼成室内に導入される二次空気に起因し
て生ずる温度降下による熱効率の悪化を抑制することが
できる。更に、焼成室内の湿度が過度に低下することを
抑制することができ、理想的な焼成状態を得ることがで
きる。

【００１４】また、二次空気がバーナー管本体のガス噴
出用スリットの両側から供給されスムースな混合ガスと
の混合が得られ、より安定した燃焼が得られる。更に、
バーナー管本体は常に二次空気に晒されることになって
二次空気により冷却され、燃焼によるバーナー管本体の
熱歪が軽減される。

【００１５】

【実施例】図１乃至図３は本発明の一実施例にかかるパ
ン焼成用のガス焼成装置１を示す。図１はガス焼成装置
の全体構成を示す。 焼成室２には、上部及び下部にそ
の長手方向の軸に直交する向きで、それぞれ、多数本の
バーナー管３が上火バーナー３₁ 及び下火バーナー３₂
として配設されている。

【００１６】焼成室２内には、また、上火バーナー３₁
と下火バーナー３₂ との中間位置に、焼成すべきパン生
地の成型品８を搬送するコンベヤ４が設けられている。
焼成室２は、図４に示したものと同様に、内部は、搬
入口側より、コンベヤ４の移送方向の順に、予熱区域
Ａ，焼成区域Ｂ及び色付乾燥区域Ｃの３区域に上下の仕
切り壁（図示せず）によって区画されている。

【００１７】焼成室２の天井にはガスの燃焼に伴って生
じる燃焼ガスを排出する排気ダクト５が設けられ、排気
ファン６により燃焼ガスを吸引排気するようになってい
る。各バーナー管３には分岐管１０₁ を有するガスライ
ン１０を通してガスが分配供給される。なお、ガスライ
ン１０の上流には装置不使用時にガスを遮断する遮断弁
１１及びガス圧を大気圧に保持するゼロガバナー１２が
取付けられている。

【００１８】ガスライン１０の分岐管１０₁ から各バー
ナー管３には混合器１４を経由して配管接続され、この
経路途中には電磁弁１３が取付けられている。上記混合
器１４は、空気ライン１５の分岐管１５₁ に接続されて
おり、ターボ送風機１６により各混合器１４に一次空気
としての空気を送り込むようになっている。各混合器１
４においてはガスライン１０からのガスを吸引し、ガス
と燃焼用空気としての一次空気との混合気体が各バーナ
ー管３に供給される。

【００１９】空気ライン１５の各分岐管１５₁ には分岐
接続部１７が設けられており、二次空気供給ライン１８
₂ が混合器１４に接続されるライン１８₁ と分岐して後
述する各バーナー管３に配設された二次空気供給管３０
にオリフィス１９を介して接続されている。

【００２０】空気ライン１５には、バーナーに供給する
空気量を制御して燃焼強度を調整し、燃焼室内の温度を
制御するための制御弁２０が設けられている。制御弁２
０は、焼成室２内に取り付けられた温度センサー２３か
らの検出信号に基づいて作動する温度調節計２１によっ
て制御される。

【００２１】図２及び図３はバーナー管３の詳細を示す
ものである。バーナー管３は、側部にガス噴出用スリッ
ト２６が形成されたバーナー管本体２５とバーナー管本
体２５を内部に収容して外筒部となる二次空気供給管３
０により構成される。バーナー管本体２５のガス噴出用
スリット２６には、複数の波型薄板からなる、ガスの燃
焼による炎を整形するための炎孔リボン２７が装着され
ピン２８により固定されている。

【００２２】二次空気供給管３０はその長手方向に沿っ
て火炎ガイドスロット３１が形成され、また、円周方向
に４か所バーナー管本体２５を固定するためにボルトを
挿入するためのボルト挿入穴３２₁ 〜３２₄ が長手方向
に一定間隔で形成されている。

【００２３】尚、バーナー管本体２５及び二次空気供給
管３０はそれぞれ図１に示される混合器１４及び二次空
気供給ライン１８₂ に接続され、それらの先端部は共に
閉塞されている。図２及び図３に示すように、バーナー
管本体２５は二次空気供給管３０の内部に配置され、ガ
ス噴出用スリット２６と二次空気供給管３０の火炎ガイ
ドスロット３１とが一定間隔を維持して並列するように
配置される。

【００２４】バーナー管本体２５は、二次空気供給管３
０のボルト挿入穴３２₁ 〜３２₄ にボルト３３を挿入
し、ナット３４により所定のボルト３３の挿入位置で固
定するとにより固定される（図３においては、４本のボ
ルトのうち一本のみを示している）。バーナー管本体２
５を収容した二次空気供給管３０には支持板３５が嵌挿
されており、この支持板３５により焼成室内に設けられ
ている取付け部材（図示せず）に固定される。

【００２５】尚、二次空気供給管３０のガス導入口側に
はガスの着火のための着火電極３６が、また、先端側に
は、ガスが着火しているか否かを検知する炎検出電極３
７が取付けられている。着火電極３６は、図１に示すイ
グニッショントランス３７の高電圧の供給を受けてガス
の点火を行うものであるが、炎検出電極３７によって、
バーナーの先端まで着火が行われた否かが検出され、も
し、着火が確実に行われていない場合には、フレームリ
レー３８が働いて電磁弁１３を遮断するようになってお
り、装置の安全性が高められている。

【００２６】次に、上記構成のガス焼成装置の動作を図
１乃至図３と共に説明する。先ず、上火バーナー３₁ 及
び下火バーナー３₂ への燃料ガスの供給はガスライン１
０の遮断弁１１を開にしてガスライン１０にガスを供給
すると共にターボ送風機１６を動作させて空気ライン１
５に空気を送り込む。

【００２７】空気ライン１５に送り込まれた空気は、各
バーナー管３に対応した分岐管１５ ₁ に分岐して供給さ
れる。そして、分岐接続部１７において、一次空気ライ
ン１８₁ と二次空気ライン１８₂ に分岐する。ここで、
一次空気と二次空気の流量の割合は、二次空気ラインの
オリフィス１９による流体抵抗値を所定の値に設定する
ことにより設定される。二次空気の一次空気に対する流
量比は、通常１／６以下に設定される。

【００２８】一次空気ライン１８₁ の空気は、混合器１
４をを通り、ここで、ガスライン１０により供給される
ガスを吸引混合し、ガスと一次空気との混合ガスは上下
のバーナー管３のバーナー管本体２５に送り込まれる。
一方、二次空気ライン１８₂ に送られた空気は、各バー
ナー管本体２５を内部に収容する二次空気供給管３０に
供給される。

【００２９】図３に示すように、二次空気供給管３０の
バーナー管本体２５の周囲の空間に供給された空気は、
バーナー管本体２５のガス噴出用スリット２６の近傍を
経て火炎ガイドスロット３１に向かって流れることとな
り、二次空気がバーナー管本体２５のガス噴出用スリッ
ト２６の周辺に供給されてガスの燃焼に供され、各バー
ナーに対して均一な二次空気が供給される。

【００３０】二次空気は、図３中矢印で示すように、ガ
ス噴出用スリット２６の両側より供給されることでスム
ースな混合ガスとの混合が可能となり、より安定した燃
焼が得られる。バーナー管本体２５のガス噴出用スリッ
ト２６から出るガスと一次空気との混合ガスは、二次空
気供給管３０からの二次空気の供給を受けて燃焼可能と
なり、その状態で着火電極３６のスパークにより点火さ
れると、燃焼が開始する。

【００３１】パンの焼成においては、図１に於いて、焼
成室２内のコンベヤ４上に焼成すべきパン生地８を載せ
たトレイ７を搬入口（図示せず）より導入する。パンの
焼成は、図４にて説明した方法と同様な方法で、焼成室
の搬入口より搬出口へコンベヤ４により移送する過程に
おいて、予熱、焼成、色付乾燥の各工程が夫々のの区画
で行われることで達成される。

【００３２】本実施例によるガス焼成装置の焼成室２内
でのガスの燃焼は、燃焼に必要な二次空気を、バーナー
管本体２５のガス噴出用スリット２６に向けて供給する
ように構成しているため、二次空気を、燃焼に必要な量
のみを供給すればよく、焼成室２内に余分な空気を導入
することを避けることができる。そして、各バーナー管
に二次空気の供給通路を設けて二次空気を必要量だけ供
給するようにしているため、安定した炎の燃焼状態を得
ることができる。これにより、ターン・ダウン・レシオ
（ＴＤＲ：燃焼の最大・最小比）を大きくすることが可
能となり、燃焼の幅広い制御が可能となる。また、各バ
ーナーの燃焼を均一することができ、焼成室内の各区画
内での温度分布を均一に保つことができる。また、焼成
室内に過度の外気が流入することを抑制することができ
る結果、温度低下に伴う熱効率の悪化と、湿度の低下を
抑制することができる。

【００３３】更に、バーナー管本体２５の外周部は二次
空気の流路となっているため、二次空気によってバーナ
ー管本体は冷却されることとなり、バーナーの燃焼によ
るバーナー管本体２５の熱歪が軽減される利点を有す
る。以上の通り、パン焼成装置として理想的な焼成状態
を得ることができ、燃料費を従来のもに比し３０％〜４
０％下げることが可能となる。

【００３４】尚、上記実施例は、本発明を連続型のガス
焼成装置に適用した例であるが、本発明は連続型の焼成
装置に限らず、固定型や回転型の焼成装置にも適用でき
ることは言うまでもない。また、上記実施例において
は、二次空気供給管３０は、バーナー管本体２５に一次
空気を供給する空気パイプラインから分岐接続したパイ
プラインに接続したものであるが、二次空気供給管を、
一次空気の供給ラインとは別個の独立した空気供給ライ
ンに接続することも可能である。

【００３５】

【発明の効果】上述のように、本発明のガス焼成装置に
よれば、焼成室内によるガスの燃焼に必要な二次空気を
各バーナーに配管を通して送り込むようにしたため、燃
焼室内で均一な燃焼状態を達成することができ、温度分
布を均一にすることが可能となる。また、二次空気を各
バーナーに対して必要最小限の量だけ供給するようにし
たため、外気導入による温度低下を防ぐことができ、し
たがって、熱効率を高めることができる。さらに、外気
導入による湿度の変化が抑制されるため、焼成室内での
湿度制御が容易となる。

【００３６】また、二次空気は、図３中矢印で示すよう
に、ガス噴出用スリット２６の両側より供給することで
スムースな混合ガスとの混合が可能となり、より安定し
た燃焼が得られる。更に、バーナー管本体２５の外周部
は二次空気の流路となっているため、二次空気によって
バーナー管本体は冷却されることとなり、バーナーの燃
焼によるバーナー管本体２５の熱歪が軽減される利点を
有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るパン焼成用のガス焼成
装置の全体構成を示す図である。

【図２】バーナーの拡大図である。

【図３】図２中Ａ−Ａ線の縦断正面図である。

【図４】従来のパン焼成用ガス焼成装置の概略構成図で
ある。

【符号の説明】

１ ガス焼成装置 ２ 焼成室 ３ バーナー管 ４ コンベヤ ５ 排気ダクト １０ ガスライン １４ 混合器 １５ 空気ライン １９ オリフィス ２０ 制御弁 ２３ 温度センサー ２５ バーナー管本体 ２６ ガス噴出用スリット ２７ 炎孔リボン ３０ 二次空気供給管 ３１ 火炎ガイドスロット ３２ ボルト挿入穴 ３３ ボルト ３４ ナット ３５ 支持板 １０２ 搬入口 １０３ 搬出口 １０６ コンベヤ １０７ 上火バーナー １０８ 下火バーナー １０９ 吸気ダクト １１３、１１４ 仕切壁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 焼成室内にバーナーを配置し、該バーナ
   ーにガスと一次空気との混合ガスを供給して燃焼させる
   ガス焼成装置において、該バーナーは、ガス噴出用スリ
   ットが形成され、ガスと一次空気の混合ガスが供給され
   るバーナー管本体と、火炎ガイドスロットが形成され、
   該ガス噴出用スリットに二次空気を供給する二次空気供
   給管を備え、該バーナー管本体は、前記ガス噴出用スリ
   ットが前記二次空気供給管の前記火炎ガイドスロットに
   一定間隔をおいて並列するように前記二次空気供給管内
   部に配置されたことを特徴とするガス焼成装置。