JPH08301878A - 三フッ化ホウ素配位化合物およびオリゴヌクレオチドの合成方法 - Google Patents

三フッ化ホウ素配位化合物およびオリゴヌクレオチドの合成方法

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JPH08301878A
JPH08301878A JP12968395A JP12968395A JPH08301878A JP H08301878 A JPH08301878 A JP H08301878A JP 12968395 A JP12968395 A JP 12968395A JP 12968395 A JP12968395 A JP 12968395A JP H08301878 A JPH08301878 A JP H08301878A
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boron trifluoride
phosphoramidite
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benzimidazole
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JP12968395A
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English (en)
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Yoshihiro Hayakawa
芳宏 早川
Masaaki Hirose
雅朗 広瀬
Masanori Kataoka
正典 片岡
Ryoji Noyori
良治 野依
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な配位化合物およびそれを用いた核酸
化合物、特にオリゴヌクレオチドの優れた合成方法の提
供。 【構成】 ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素との
配位化合物および該化合物からなる核酸合成反応促進
剤。 【効果】 三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体
は酸素および湿気に対して安定であり室温保存が可能で
あるうえ、アセトニトリルに対する溶解性が高いという
優れた特性を有し、従来用いられていた核酸合成反応促
進剤に比較して遙かに優れた反応促進活性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンズイミダゾールと
三フッ化ホウ素との配位化合物およびそれを用いた核酸
化合物、特にオリゴヌクレオチドの合成方法に関するも
ので化学業界、医薬業界および農薬業界等で幅広く利用
されるものである。
【0002】
【従来の技術】オリゴヌクレオチドなどの核酸化合物を
合成するためのヌクレオシドの縮合方法としては、ジエ
ステル法、トリエステル法、ホスファイト法、ホスホロ
アミダイト法、H−ホスホネート法(丹羽峰雄著、DN
Aの化学合成法(化学と生物:実験ライン22)、広川書
店(1992年))およびチオホスファイト法(T. Yoshida、K.
Kimura、United States Patent 4,808,708(1989年))が
知られている。このうち、ホスホロアミダイト法は、自
動合成機を用いて行う合成方法として広く用いられてお
り、また、この合成方法においては、合成反応促進剤と
して1H-テトラゾールが通常用いられている。しかし、
アンチセンス核酸法など最近の核酸化学の進歩にともな
い、修飾核酸を用いるホスホロアミダイト法による合成
反応において、1H-テトラゾールを用いるのでは充分に
反応を促進できない場合が増えてきている。このため、
1H-テトラゾールにかわる反応促進剤として、5-(p-ニト
ロフェニル)-1H-テトラゾール(B. C. Froehler、M. D.
Matteucci、Tetrahedron Lett. 24巻 3171、1983年)、5
-エチルチオ-1H-テトラゾール(R. Vinayak、Nucleic Ac
idsSymp. Series 31 巻 165、1994年)などがこれまでに
報告されている。これらの試薬は、1H-テトラゾールの
5位の炭素に電子吸引基を導入することでアゾール環の
電子密度を低下させ、アゾールの酸性度を高めるように
設計されたものであるが、経済性や有機溶媒に対する溶
解性において問題を残しているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ホス
ホロアミダイト法における反応促進剤としての活性が1H
-テトラゾールよりも高く、有機溶媒に対する溶解性が
大であり、かつ経済性および簡便性を兼ね備えた新し
い、核酸合成反応促進剤、特にホスホロアミダイト法に
よるオリゴヌクレオチドの合成方法のための反応促進剤
を開発し、該促進剤を用いた核酸合成法、特にホスホロ
アミダイト法によるオリゴヌクレオチドの合成方法を提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決について鋭意研究の結果、新規なベンズイミダゾ
ールと三フッ化ホウ素の配位化合物がホスホロアミダイ
ト法の反応促進剤として優れていることを見出し本発明
を完成したのである。
【0005】すなわち、本発明は、次の三つの発明から
なるものである。 1) ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素との配位化合
物に関する発明。 2) ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素との配位化合
物からなることを特徴とする核酸合成反応促進剤に関す
る発明。 3) ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素との配位化合
物の存在下にヌクレオシドホスホロアミダイトまたはヌ
クレオシドホスホノアミダイトとヌクレオシドを反応さ
せることを特徴とするオリゴヌクレオチドの合成方法に
関する発明。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素との配位化合物
(以下三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体とい
う)は、下記構造式1で表すことが出来る化合物で、ル
イス塩基であるベンズイミダゾールの窒素上の孤立電子
対がルイス酸の空軌道に配位結合した化合物であり、ベ
ンズイミダゾールの解離可能な水素の酸性度がルイス酸
である三フッ化ホウ素との複合体形成によって上がって
いるのが特徴である。
【0007】
【式1】
【0008】本発明の三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾ
ール錯体は、三フッ化ホウ素エーテル錯化合物とベンズ
イミダゾールとをハロゲン化アルカン溶媒中、モル比
1:1で反応させることにより容易に得ることができ
る。この際、エーテルとしては、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフランなどを用いることができ、三フッ化ホ
ウ素を室温でエーテルに溶かすことによりそのエーテル
錯体を得ることができる。また、ハロゲン化アルカンと
しては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、
1,2-ジクロロエタンなどを用いることができる。このよ
うにして得られた三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール
錯体は酸素および湿気に対して安定であり室温保存が可
能であるうえ、アセトニトリルに対する溶解性が高いと
いう優れた特性を有する。
【0009】本発明の三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾ
ール錯体は、ホスホロアミダイト法によるヌクレオシド
の縮合によりオリゴヌクレオチドを合成する際の反応促
進剤として有効なものであるが、その他の核酸合成反応
の合成促進剤としても有効なものである。
【0010】本発明の三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾ
ール錯体を用いて、ヌクレオシドホスホロアミダイトま
たはヌクレオシドホスホノアミダイトとヌクレオシドを
反応させるヌクレオシドの縮合反応について説明する。
ヌクレオシドホスホロアミダイトとヌクレオシドを反応
させるヌクレオシドの縮合反応、すなわちホスホロアミ
ダイト法オリゴヌクレオチド合成反応は前記した様に公
知の方法であり、以下の構造式2に示される必要に応じ
て、保護基で保護されたヌクレオシドのアミダイト試薬
と構造式3で示される必要に応じて、保護基で保護され
たヌクレオシドとを有機溶媒中で反応させる方法であ
る。
【0011】
【式2】
【0012】
【式3】
【0013】上記構造式2と3で示される、必要に応じ
て保護基で保護されたヌクレオシドのアミダイト試薬お
よびヌクレオシドとしては、ホスホロアミダイト法オリ
ゴヌクレオチド合成反応で用いられている公知のものが
そのまま例示されるが、それらの一部を具体的に示すと
以下の様なものである。すなわち、構造式2と3におけ
るB1およびB2が、核酸塩基または必要に応じて保護基
で保護をした核酸塩基から、ピリミジン塩基の場合には
1位の水素が、またプリン塩基の場合には9位の水素が
除去されたものであり、核酸塩基としては、例えば、チ
ミンおよびウラシルが、また保護基で保護する必要のあ
る核酸塩基としては、例えば、シトシン、アデニン、お
よびグアニンなどホスホロアミダイト法で通常使用され
るものを挙げることができる。ここで、核酸塩基の保護
基としては、シトシンの4位やアデニンの6位のNに結
合させたアリルオキシカルボニル基、ベンジル基、フェ
ノキシアセチル基、第三ブチルフェノキシアセチル基、
グアニンの2位のNに結合させたイソブチリル基、アリ
ルオキシカルボニル基、フェノキシアセチル基、第三ブ
チルフェノキシアセチル基など、ホスホロアミダイト法
で通常使用されるものを挙げることができる。R1〜R6
についても、下記に例示される様なホスホロアミダイト
法で通常使用されるものが適用される。R1としては、
フェニル、フェノキシ、2-クロロフェノキシ、アリルオ
キシ、2-シアノエトキシ、メトキシ、エトキシ、イソプ
ロポキシ、2-(2-ピリジル)エチル、3-(3-ピリジル)プロ
ポキシ、3-(4-ピリジル)プロポキシ、4-(2-ピリジル)ブ
トキシ、5-(2-ピリジル)ペントキシ、2-(2,2'-ビビリジ
ル)エトキシなどである。R2としては、二つあるそれぞ
れが同じか異なっていてもよくまた環状化合物であって
もよく、例えばイソプロピル、O(CH2CH2)2、メチ
ル、エチル、プロピル、フェニルなどである。R3は、
HまたはOR7で、R7としては、アリルオキシカルボニ
ル、第三ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、ジ
フェニルメチルシリル、ジイソプロピルフェニルシリ
ル、メチル、フェニル、テトラヒドロピラニル、1-(メ
トキシ)-4-オキサシクロヘキシル、アセチル、ベンゾイ
ル、ピバロイル、p-トルエンスルホニルなどである。R
4としては、第三ブチルジメチルシリル、トリエチルシ
リル、ジフェニルメチルシリル、ジイソプロピルフェニ
ルシリル、メチル、フェニル、テトラヒドロピラニル、
1-(メトキシ)-4-オキサシクロヘキシル、アセチル、ベ
ンゾイル、ピバロイル、p-トルエンスルホニルなどであ
る。R5としては、アリルオキシカルボニル、ジメトキ
シトリチル、モノメトキシトリチル、第三ブチルジメチ
ルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリ
ル、ジイソプロピルフェニルシリル、メチル、フェニ
ル、テトラヒドロピラニル、1-(メトキシ)-4-オキサシ
クロヘキシル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、p-
トルエンスルホニルなどである。R6は、HまたはOR8
で、R8としては、アリルオキシカルボニル、第三ブチ
ルジメチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチ
ルシリル、ジイソプロピルフェニルシリル、メチル、フ
ェニル、テトラヒドロピラニル、1-(メトキシ)-4-オキ
サシクロヘキシル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイ
ル、p-トルエンスルホニルなどである。
【0014】ヌクレオシドホスホロアミダイトとヌクレ
オシドを反応させるヌクレオシドの縮合反応、すなわち
ホスホロアミダイト法オリゴヌクレオチド合成反応は前
記した様に有機溶媒中で行われており、使用される溶媒
としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロ
ニトリル等のアルキルニトリル類、ジクロロメタン、1,
1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロエ
タン等のハロゲン化アルキル、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類
などであり、本発明においてもホスホロアミダイト法で
使用可能な溶媒を用いて反応させることができる。反応
は、10℃から40℃、好ましくは15℃から35℃、
さらに好ましくは20℃から30℃の温度下で行われ
る。反応させる際のヌクレオシドホスホロアミダイトと
ヌクレオシドのモル比は、ヌクレオシドを1とすると、
ヌクレオシドホスホロアミダイトは1乃至10、好まし
くは1.2乃至2.0、さらに好ましくは1.5であり、
三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体の使用量も、
モル比で、ヌクレオシドを1として、1乃至30、好ま
しくは2乃至5、さらに好ましくは3である。
【0015】
【作用】ホスホロアミダイトとヌクレオシドの縮合反応
(0.1M溶液、室温)における反応促進能力を公知の1H
-テトラゾールおよび5-(p-ニトロフェニル)-1H-テトラ
ゾールと比較すると、例えば、本発明の促進剤が反応を
完結させる時間が6分であるのに対し公知のものはそれ
ぞれ90分、30分要するのであり、本発明の促進剤は
非常に優れた反応促進作用を示す。また、本発明の促進
剤は、一般的なホスホロアミダイトだけでなく、反応性
の低いフェニルホスホロアミダイト等を用いた縮合反応
においても優れた反応促進作用を示すものである。
【0016】
【実施例】以下実施例に基づいてより詳細に説明する。 1. 三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体の合成 ベンズイミダゾール(10g、80.46mmol)の塩化メチ
レン(500mL)溶液に三フッ化ホウ素エチルエーテル錯
化合物(10.4mL、80.46mmol)を滴下し、室温で1
0分攪拌した。生成した結晶を濾別し得られた結晶を塩
化メチレン(2L)で再結晶し、無色の結晶15.2g(収率
96%)を得た。下記の分析結果より該結晶は目的とす
る三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体であった。 融点:135−136℃ FTIR(KBr):3304、3156、2865、1
794、1618、1543、1503、1439、1
323、1294、1260、1146、1082、1
038、910、748、681、617cm-1 1 H NMR(CD3CN):7.65−7.91(m,4H,aro
matic protons)、8.65(s,1H,H-2)、8.95(s,1H,N
H)ppm11 B NMR(CD3CN):16.95(q,J=11.7Hz)ppm (11B NMRの基準はB(OCH3)3を0ppmにした。)13 C NMR(CD3CN):114.5、115.4、1
17.2、126.3、126.7、128.0、141.
2ppm 元素分析:実測値C=45.21、H=3.19、N=1
4.97 計算値C=45.21、H=3.25、N=15.07 溶解性(対アセトニトリル):2mol/L (1H-テトラゾール:0.5mol/L) (5-(p-ニトロフェニル)-1H-テトラゾール:0.13mol
/L)
【0017】2.ホスホロアミダイト類の合成 a) 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミジン 3'-(2-ク
ロロフェニル) N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト
の合成 下記構造式4で示される標記ホスホロアミダイトを以下
の手順で合成した。なお、下記構造式においてDMTr
はジメトキシトリチル基、Thはチミジン構造であるこ
とを示す。
【0018】
【式4】
【0019】三塩化リン(34mL、0.389mol)に対し
て−78℃で2-クロロフェノール(50g、0.389mo
l)およびトリエチルアミン(54mL、0.389mol)のジ
エチルエーテル(50mL)溶液を滴下し、一晩かけて室温
まで昇温した。生じた塩酸トリエチルアミン塩を無水条
件下で濾別した後、減圧下ジエチルエーテルを留去し
た。得られた粗生成物を真空蒸留に供し、無色液体(沸
点73℃/0.8mmHg)のジクロロ(2-クロロフェノキシ)
ホスフィン39.5g(0.233mol/収率60%)を得
た。ジクロロ(2-クロロフェノキシ)ホスフィン(41.7
g、0.246mol)に対してジイソプロピルアミン(49.
8g、0.492mol)ジエチルエーテル(50mL)溶液を0
℃、1時間かけて滴下し、室温まで昇温した。生じた塩
酸ジイソプロピルアミン塩を無水条件下で濾別した後、
減圧下ジエチルエーテルを留去した。得られた粗生成物
を真空蒸留に供し、無色液体(沸点120℃/1.0mmH
g)のクロロ(2-クロロフェノキシ)ジイソプロピルアミノ
ホスフィン35.9g(0.128mol/収率52%)を得
た。クロロ(2-クロロフェノキシ)ジイソプロピルアミノ
ホスフィンのNMRの測定結果は以下のとおりであっ
た。1 H NMR(CDCl3):1.17−1.40(m,12H,CH
(CH 3)2x2)、3.80−4.05(m,2H,CH(CH3)2x2)ppm31 P NMR(CDCl3):172.5ppm (標準は85
%リン酸) 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチルチミジン(245mg、0.
45mmol)の塩化メチレン(5mL)懸濁液にジイソプロピ
ルエチルアミン(0.35mL、2mmol)およびクロロ(2-ク
ロロフェノキシ)ジイソプロピルアミノホスフィン(14
8mg、0.528mmol)を加え、室温で12分攪拌した。
反応溶液を塩化メチレン(50mL)で希釈し、飽和食塩水
(20mL)で洗浄し、乾燥した。濃縮した後、得られた粗
生成物(350mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
(6g、ヘキサン/酢酸エチル/ジイソプロピルアミン=
1/1/痕跡量)で精製し、目的とする5'-O-p,p'-ジメ
トキシトリチル-チミジン 3'-(2-クロロフェニル) N,N-
ジイソプロピルホスホロアミダイト318mg(0.396
mmol/収率88%)を得た。 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミジン 3'-(2-クロロ
フェニル) N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイトの特
性 形状:無色アモルファス FTIR(KBr):3184、3063、2969、2
838、1694、1609、1584、1510、1
478、1399、1366、1252、1200、1
179、1127、1080、1032cm-1 UV(CH3OH):λmax 237nm(sh)、263nm(ε
=13000)1 H NMR(CDCl3):1.12−1.28(m,12H,CH
(CH 3)2x2) 、1.43(s,3H,CH3)、2.32−2.38(m,
1H,H-2')、2.50−2.57(m,1H,H-2')、3.32−
3.36(m,1H,H-5')、3.42−3.47(m,1H,H-5')、
3.692−3.83(m,2H,CH(CH3)2x2)、3.78(s,6H,
OCH3x2)、4.22−4.23(dd,J=2.0,8.8Hz,1H,H-
4')、4.84−4.87(m,1H,H-3')、6.38−6.43
(m,1H,H-1')、6.76−6.83(m,4H, protons ortho
to OCH3 of DMTr)、6.89−7.41(m,13H,aromatic
protons)、7.57、7.62(two singles,1H,H-6)、
8.29(br s,1H,NHCO)ppm31 P NMR(CDCl3):148.1、148.5ppm
【0020】同様の手順にて下記構造式5で示されるホ
スホロアミダイトを収率85%で合成した。
【0021】
【式5】
【0022】b) 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミ
ジン 3'-(2-クロロフェニル) モルホリノホスホロアミ
ダイトの合成 下記構造式6で示される標記ホスホロアミダイトを以下
の手順で合成した。なお、下記構造式においてDMTr
はジメトキシトリチル基、Thはチミジン構造であるこ
とを示す。
【0023】
【式6】
【0024】1H-テトラゾール(568mg、8.1mmol)、
モルホリン(0.78mL、8.9mmol)、2-クロロフェノー
ル(1.68mL)のアセトニトリル(10mL)溶液に5'-O-p,
p'-ジメトキシトリチル-チミジン 3'-ビスモルホリダイ
ト(12.1mg、16.2mmol) のアセトニトリル(10m
L)溶液をキャニュラーを通して加え、室温で30分攪拌
した。反応溶液を酢酸エチル(150mL)で希釈し、飽和
食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥した。濃縮した後、得
られた粗生成物(13g)をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィ(150g、ヘキサン/酢酸エチル/モルホリン=
1/2/痕跡量) で精製し、目的とする5'-O-p,p'-ジメ
トキシトリチル-チミジン 3'-(2-クロロフェニル) モル
ホリノホスホロアミダイト11.25g(14.3mmol/収
率88%) を得た。 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミジン 3'-(2-クロロ
フェニル) モルホリノホスホロアミダイトの特性 形状:無色アモルファス FTIR(KBr):3167、3061、2955、2
839、1691、1608、1584、1510、1
476、1368、1254、1177、1111、1
034cm-1 UV(CH3OH):λmax 237nm(sh)、269nm(ε
=18800)1 H NMR(CDCl3):1.43(s,3H,CH3)、2.31
−2.41(m,1H,H-2')、2.48−2.66(m,1H,H-
2')、3.10−3.26(m,4H,N(CH 2CH2)2O)、3.34(d
d,J=3.7,10.6Hz,1H,H-5')、3.42−3.63(m,5H,H-
5',N(CH2CH2 )2O)、3.76(s,6H,OCH2x2)、4.17−
4.30(m,1H,H-4')、4.82−5.01(m,1H,H-3')、
6.39−6.48(m,1H,H-1')、6.65−6.86(m,4
H, protons ortho to OCH3 of DMTr)、6.95−7.4
0(m,13H,aromatic protons)、7.58、7.63(two s
inglets,1H,H-6) 、8.9−8.1(br s,1H,NHCO)ppm31 P NMR(CDCl3):140.9、141.4ppm
【0025】同様の手順にて下記構造式7で示されるホ
スホロアミダイトを収率58%で合成した。
【0026】
【式7】
【0027】c) N6-アリルオキシカルボニル-2'-O-t-
ブチルジメチルシリル-5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-
アデノシン 3'-アリルN,N-ジイソプロピルホスホロアミ
ダイトの合成 下記構造式8で示される標記ホスホロアミダイトを以下
の手順で合成した。なお、下記構造式においてTBDM
Sはt-ブチルジメチルシリル基、DMTrはジメトキシ
トリチル基、ADAOCはN6-アリルオキシカルボニルアデ
ノシン構造であることをを示す。
【0028】
【式8】
【0029】2'-O-t- ブチルジメチルシリル-5'-O-p,p'
-ジメトキシトリチル-アデノシン(3.0g、4.39mmo
l)のテトラヒドロフラン(THF)(20mL)溶液にトリメ
チルシリルイミダゾール(1.27mL、6.59mmol)を加
え、室温で10分攪拌した。反応溶液を酢酸エチル(1
50mL)で希釈し、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、乾
燥した。濃縮した後得られたトリメチルシリル体のTH
F(20mL)溶液に1.62N塩化tert-ブチルマグネシウ
ム(5.5mL、8.78mmol)THF溶液を滴下し、室温で
30分攪拌した。アリルオキシカルボニル-1-ヒドロキ
シベンゾトリアゾール(1.34g、6.95mmol)THF
溶液を滴下し室温で30分攪拌した。反応容器にメタノ
ール(5mL)を加え、酢酸エチル(150mL)で希釈し、飽
和塩化アンモニウム水溶液(100mL)、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗
浄し、乾燥した。濃縮した後得られた粗アリルオキシカ
ルボニル体(4.2g)を1Mクエン酸メタノール溶液(20
mL、20mmol)で30分処理し、反応溶液に水(50mL)
を加え、酢酸エチル(150mL)で抽出し、飽和塩化アン
モニウム水溶液(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥
した。濃縮した後得られた粗生成物(3.8g)をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィ(80g、ヘキサン/酢酸エチ
ル/トリエチルアミン=1/2/痕跡量)で精製し、目
的とする無色アモルファスのN6-アリルオキシカルボニ
ル-2'-O-t-ブチルジメチルシリル-5'-O-p,p'-ジメトキ
シトリチル-アデノシン1.60g(2.50mmol/収率5
7%)を得た。 N6-アリルオキシカルボニル-2'-O-t-ブチルジメチルシ
リル-5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-アデノシンの特性 TLC:Rf=0.43(ヘキサン/酢酸エチル=1/5) FTIR(KBr):3266、2932、2859、2
047、1761、1613、1510、1466、1
304、1254cm-1 UV(CH3OH):λmax 235nm(ε=21200) 、26
7nm(ε=15700)1 H NMR(CDCl3):0.03(s,3H,(CH3)2Si)、
0.10(s,3H,(CH3)2Si)、0.90(s,9H,(CH3)3C)、3.
27(dd,J=3.7,10.6Hz,1H,H-5')、3.53(dd,J=3.7,1
0.9Hz,1H,H-5')、3.79(s,6H,OCH3x2)、4.15−4.
38(m,2H,H-3'andH-4')、4.71(d,J=5.7Hz,2H,CH2=C
HCH 2)、4.95(t,J=4.9Hz,1H,H-2')、5.30(dd,J=1.
0,10.2Hz,1H,cis-CH 2=CHCH2)、5.42(dd,J=1.0,17.2H
z,1H,trans-CH2=CHCH2)、5.82−6.03(m,3H,H-1'a
ndCH2=CHCH2)、6.73(d,J=7.6Hz,4H, protons ortho
to OCH3 of DMTr)、7.15−7.45(m,9H,aromatic p
rotons of DMTr)、8.05(s,1H,H-2)、8.61(s,1H,H
-8)ppm N6-アリルオキシカルボニル-2'-O-t-ブチルジメチルシ
リル-5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-アデノシン(31
3mg、0.488mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液に1H
-テトラゾール(17mg、0.244mmol)、ジイソプロピ
ルアミン(38μL、0.269mmol)を加え、室温で10
分攪拌した後、アリルオキシビス(ジイソプロピルアミ
ノ)ホスフィン(225μL)を加え、室温で30分攪拌し
た。反応溶液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和食
塩水(20mL)で洗浄し、乾燥した。濃縮した後、得られ
た粗生成物(440mg)をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィ(10g、ヘキサン/酢酸エチル/ジイソプロピルア
ミン=2/1/痕跡量)で精製し、目的とするN6-アリル
オキシカルボニル-2'-O-t-ブチルジメチルシリル-5'-O-
p,p'-ジメトキシトリチル-アデノシン 3'-アリルN,N-ジ
イソプロピルホスホロアミダイト404mg(0.49mmol
/収率88%)を得た。 N6-アリルオキシカルボニル-2'-O-t-ブチルジメチルシ
リル-5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-アデノシン 3'-ア
リルN,N-ジイソプロピルホスホロアミダイトの特性 形状:無色アモルファス TLC:Rf=0.48(ヘキサン/酢酸エチル=1/1) FTIR(KBr):2964、2047、1765、1
611、1510、1464、1364、1304、1
252cm-1 UV(CH3OH):λmax 236nm(ε=16500) 、26
7nm(ε=14100)1 H NMR(CDCl3):0.04(s,3H,(CH3)2Si)、
0.11(s,3H,(CH3)2Si)、0.91(s,9H,(CH3)3C)、1.
23−1.51(m,12H,CH(CH 3)2x2) 、3.53−3.62
(m,1H,H-5')、3.72−3.90(m,3H,H-5',CH(CH3)2x
2)、3.92(s,6H,OCH3x2)、4.10−4.46(m,2H,CH
2=CHCH 2O)、4.57−4.71(m,2H,H-3'and H-4') 、
4.71(d,J=5.7Hz,2H,CH2=CHCH2)、4.98(t,J=4.9H
z,1H,H-2')、5.17−5.55(m,5H,CH2=CHCH 2OCO,cis
-CH 2=CHCH2OCO,CH 2=CHCH2O)、5.63(dd,J=1.0,17.4H
z,1H,trans-CH 2=CHCH2OCO)、5.82−6.34(m,3H,H-
1'and CH2=CHCH2x2)、7.01(d,J=7.6Hz,4H, protons
ortho to OCH3 of DMTr)、7.41−7.73(m,9H,arom
atic protons of DMTr)、8.37、8.39(two single
ts,1H,H-2)、8.45(br s,1H,NHCO)、8.85、8.8
7(two singlets,1H,H-8)ppm31 P NMR(CDCl3):148.9、151.1ppm
【0030】d) 2'-O-t-ブチルジメチルシリル-5'-O-
p,p'-ジメトキシトリチルウリジン 3'-アリルN,N-ジイ
ソプロピルホスホロアミダイトの合成 下記構造式9で示される標記ホスホロアミダイトを以下
の手順で合成した。なお、下記構造式においてTBDM
Sはt-ブチルジメチルシリル基、DMTrはジメトキシ
トリチル基、Urはウリジン構造であることを示す。
【0031】
【式9】
【0032】2'-O-t-ブチルジメチルシリル-5'-O-p,p'-
ジメトキシトリチルウリジン(1.6g、2.52mmol)の
アセトニトリル(2mL)溶液に1H-テトラゾール(89mg、
1.27mmol)、ジイソプロピルアミン(200μL、1.
40mmol)を加え、室温で10分攪拌した後、アリルオ
キシビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィン(0.94m
L)を加え、室温で30分攪拌した。反応溶液を酢酸エチ
ル(100mL)で希釈し、飽和食塩水(100mL)で洗浄
し、乾燥した。濃縮した後、得られた粗生成物(1.9g)
をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(40g、ヘキサン
/酢酸エチル/ジイソプロピルアミン=2/1/痕跡
量)で精製し、目的とする2'-O-t-ブチルジメチルシリル
-5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-ウリジン 3'-アリルN,
N-ジイソプロピルホスホロアミダイト1.77g(2.09
mmol/収率83%)を得た。2'-O-t-ブチルジメチルシリ
ル-5'-O-p,p'-ジメトキシトリチルウリジン 3'-アリル
N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイトの特性 形状:無色アモルファス TLC:Rf=0.42(ヘキサン/酢酸エチル=1/1) FTIR(KBr):3192、3061、2965、2
932、2858、1696、1611、1510、1
460、1379、1302、1254、1182、1
032cm-1 UV(CH3OH):λmax 231nm(ε=26500) 、26
3nm(ε=16900)1 H NMR(CDCl3):0.05(s,3H,(CH3)2Si)、
0.12(s,3H,(CH3)2Si)、0.91−1.12(m,9H,(C
H3)3C)、3.53−3.62(m,2H,H-5',5")、3.92(s,
6H,OCH3x2)、4.10−4.46(m,2H,CH2=CHCH 2O)、4.
57−4.71(m,2H,H-3'and H-4') 、4.71(d,J=5.7
Hz,2H,CH2=CHCH 2)、4.98(t,J=4.9Hz,1H,H-2')、5.
17−5.55(m,5H,CH2=CHCH 2OCO,cis-CH 2=CHCH2OCO,C
H 2=CHC2O)、5.63(dd,J=1.0,17.4Hz,1H,trans-CH 2=CH
CH2OCO)、5.82−6.34(m,3H,H-1'and CH2=CHCH 2x
2)、7.01(d,J=7.6Hz,4H, protons ortho to OCH3of
DMTr)、7.41−7.73(m,9H,aromatic protons of D
MTr)、8.37、8.39(twosinglets,1H,H-2)、8.4
5(br s,1H,NHCO)、8.85、8.87(two singlets,1
H,H-8)ppm31 P NMR(CDCl3):148.5、149.7ppm
【0033】同様の手順にて下記構造式10で示される
ホスホロアミダイトを収率86%で合成した。
【0034】
【式10】
【0035】e) 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミ
ジン 3'-フェニルN,N-ジイソプロピルホスホノアミダイ
トの合成 下記構造式11で示される標記ホスホノアミダイトを以
下の手順で合成した。なお、下記構造式においてDMT
rはジメトキシトリチル基、Thはチミジン構造であるこ
とを示す。
【0036】
【式11】
【0037】5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミジン
(1.5g、2.75mmol)の塩化メチレン(10mL)懸濁液
に1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(1.2mL、
8.25mmol)、クロロフェニルジイソプロピルホスホノ
アミダイト(1.00g、4.13mmol)を加え、室温で攪
拌した。12時間後、反応溶液を塩化メチレン(150m
L)で希釈し、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥し
た。濃縮した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィ(60g、ヘキサン/酢酸エチル/ジイ
ソプロピルアミン=2/1/痕跡量)で精製し、目的と
する5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミジン 3'-フェ
ニルN,N-ジイソプロピルホスホノアミダイト1.27g
(1.45mmol/収率61%)を得た。 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミジン 3'-フェニル
N,N-ジイソプロピルホスホノアミダイトの特性 形状:無色アモルファス TLC:Rf=0.30(ヘキサン/酢酸エチル=2/1) FTIR(KBr):2965、1694、1609、1
510、1464、1364、1252、1179、1
036cm-1 UV(CH3OH):λmax 235nm(ε=25700) 、26
7nm(sh)1 H NMR(CDCl3):0.94−1.19(m,12H,CH
(CH 3)2x2)、1.32、1.34(two singlets,3H,6-C
H3)、2.24−2.32(m,1H,H-2')、2.47−2.52
(m,1H,H-2')、3.17−3.43(m,4H,H-5'x2,CH(CH3)2
x2)、3.67、3.69(two singlets,6H,OCH3x2) 、
4.14−4.17(m,1H,H-4')、4.72−4.85(m,1
H,H-3')、6.40−6.47(m,1H,H-1')、6.67−6.
75(m,4H, protons ortho to OCH3 of DMTr)、7.13
−7.49(m,9H, aromatic protons ofDMTr)、7.5
6、7.58(two singlets,1H,H-6)、8.4−8.7(br
s,1H,NHCO)ppm31 P NMR(CDCl3):117.4ppm 元素分析:実測値C=68.70、H=6.72、N=
5.56 計算値C=68.70、H=6.70、N=5.60
【0038】3.ホスホロアミダイトあるいはホスホノ
アミダイトとヌクレオシドの縮合反応上記の様にして得
たホスホロアミダイトあるいはホスホノアミダイトとヌ
クレオシドとを以下の様にして縮合反応させた。ホスホ
ロアミダイトあるいはホスホノアミダイト(0.03mmo
l)、ヌクレオシド(0.02mmol)および反応促進剤(0.
06mmol)の混合物をアセトニトリル(0.5mL)に溶解
し、室温で5分攪拌した後、1.5M t-ブチルハイドロ
パーオキサイドトルエン溶液(0.05mmol、0.075m
mol)を加え、2分攪拌した。ヌクレオシドとしては、3'
-O-アリルオキシカルボニルチミジン(A)と3'-O-ベンゾ
イルチミジン(B)を用いた。収率は反応溶液に内部標準
としてトリフェニルホスフィンオキシド(0.1M アセト
ニトリル溶液、0.2mL、0.02mmol)を加えた溶液の
31P NMRを測定し、トリフェニルホスフィンオキシ
ドのピークと生成物のピークの積分面積比より検量線を
用いて決定した。単離収率は反応スケールを5倍にし、
粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(6g、ヘ
キサン/酢酸エチル/ジイソプロピルアミン=1/2/
痕跡量)で精製単離し決定した。
【0039】a) デオキシリボヌクレオシドホスホロア
ミダイトとヌクレオシドの縮合反応 エステル部位およびアミド部位のアルキル基の種類が異
なるホスホロアミダイト5−9とヌクレオシド10およ
び11との縮合反応を、反応促進剤として三フッ化ホウ
素−ベンズイミダゾール錯体と公知の1H-テトラゾール
を用いて行い、両促進剤の能力を比較したところ以下の
とおりであった。
【0040】
【表1】
【0041】表1における収率は31P NMRでの測定
値および単離収率(括弧内)を表示しものであり、アミ
ダイトは構造式の番号で示し、生成物a、b、cは下記
構造式12で表せるヌクレオシド二量体である。
【0042】
【式12】
【0043】表1から明らかな様に、いずれの反応の場
合にも三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体の反応
促進能力が1H-テトラゾールのそれに優れる。特に三フ
ッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体の優位性は反応性
の低いモルホリダイトやo-クロロフェニルエステルであ
る7、4、6において顕著に現れている。なお、三フッ
化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体を用いた反応におい
て脱トリチル化は起こらず、また生成物中およびヌクレ
オシド二量体の窒素、酸素、リン原子への三フッ化ホウ
素の配位はみられなかった。
【0044】生成物のうちcのo-クロロフェニル 5'-O-
p,p'- ジメトキシトリチル-チミジル(3'→5')3'-アリル
オキシカルボニルチミジンの特性 TLC:Rf=0.55(ヘキサン/酢酸エチル=1/5)1 H NMR(CDCl3):1.23−1.42(m,3H,CH3x
3)、1.99−2.36(m,3H,H-2'x3)、2.60−2.8
1(m,1H,H-2')、3.22−3.48(m,2H,H-5',5")、3.
68(s,6H,OCH3x2)、4.03−4.58(m,4H,H-4'x2,H-
5',5")、4.50−4.63(m,2H,CH2=CHCH 2)、5.01
−5.38(m,4H,H-3'x2,CH 2=CHCH2)、5.73−5.87
(m,1H,CH2=CHCH2)、6.10−6.19(m,1H,H-1')、6.
22−6.31(m,1H,H-1')、6.68−6.78(m,4H, p
rotons ortho to OCH3 of DMTr)、6.96−7.89(m,
16H,aromatic protons of DMTr,H-5,H-6 of cytidine,H
-6of thymidine)、8.08(s,1H,NHCO)、8.59(s,1H,
NHCO)ppm31 P NMR(CDCl3):−0.98、−0.97ppm
【0045】b) リボヌクレオシドホスホロアミダイト
とヌクレオシドの縮合反応 2'-O-t-ブチルジメチルシリル基の立体障害のために反
応性の低下した前記構造式8および9で示されるホスホ
ロアミダイトと下記3種のヌクレオシドC、D、Eの縮
合反応を、反応促進剤として三フッ化ホウ素−ベンズイ
ミダゾール錯体と公知の1H-テトラゾールおよび5-エチ
ルチオテトラゾールを用いて行い、それらの促進剤の能
力を比較したところ以下のとおりであった。なお、反応
はヌクレオシド(1当量)、アミダイト(1.2当量)およ
び促進剤(2.4当量)を5分間反応させた。
【0046】
【表2】
【0047】用いた3種のヌクレオシドC、D、Eは以
下のものである。 ヌクレオシドC:2',3',N6-トリアリルオキシカルボニ
ル-アデノシン ヌクレオシドD:2',3',N4-トリアリルオキシカルボニ
ル-シチジン ヌクレオシドE:2',3'-ジアリルオキシカルボニル-ウ
リジン
【0048】表1における収率は31P NMRでの測定
値および単離収率(括弧内)を表示しものであり、生成
物d、e、f、gは下記構造式13で表せるヌクレオシ
ド二量体である。
【0049】
【式13】
【0050】表2から明らかな様に、三フッ化ホウ素−
ベンズイミダゾール錯体を用いた場合ほぼ定量的に目的
生成物が得られたのに対し、公知の1H-テトラゾールお
よび5-エチルチオテトラゾールを用いた場合はいずれも
低い収率でしか得られなかった。
【0051】生成物のうちのeのアリルN6-アリルオキ
シカルボニル-2'-O-t-ブチルジメチルシリル-5'-O-p,p'
-ジメトキシトリチル-アデニル(3'→5')N4,2',3'(トリ
ス-アリルオキシカルボニル)シチジンの特性 TLC:Rf=0.55(ヘキサン/酢酸エチル=1/5)1 H NMR(CDCl3):0.05(s,3H,(CH3)2Si)、
0.12(s,3H,(CH3)2Si)、0.95−1.08(m,9H,(C
H3)3C)、3.62−4.95(m,2H,H-5',5")、3.90(s,
6H,OCH3x2)、4.62−5.13(m,14H,CH2=CHCH 2x5,H-
4'x2,H-5',5")、5.32−5.38(m,1H,H-3')、5.5
0−5.78(m,13H,H-2'x2,H-3',CH 2=CHCH2)、6.08
−6.42(m,7H,H-1'x2,CH2=CHCH2x5)、7.06−7.1
9(m,4H, protons ortho to OCH3 of DMTr)、7.41−
7.82(m,10H,aromatic protons of DMTr)、8.07、
8.39(two doublets,J=7.6Hz,1H,H-6)、8.35−
8. 42(br s,1H,NHCO)、8.55、8.56(two singl
ets,1H,H-2)、8.63−8.81(br s,1H,NHCO)、8.8
2、8.84(two singlets,1H,H-8)ppm31 P NMR(CDCl3):−0.87、−0.44ppm
【0052】c) ヌクレオシドフェニルホスホロアミダ
イトとヌクレオチドの縮合反応 三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体は反応性の低
い前記構造式11で示されるフェニルホスホノアミダイ
トの活性化にも有効である。該ホスホノアミダイトと
3',N4-ジアリルオキシカルボニル-シチジンの縮合は室
温5分で完結し、t-ブチルハイドロパーオキサイドによ
る酸化を経て、下記構造式14で示されるホスホノジエ
ステルを収率95%で与えた。こらに対し、1H-テトラ
ゾールを用いる反応では同条件下縮合収率は62%であ
り、反応完了までに約2時間を要した。
【0053】
【式14】
【0054】d) 三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール
錯体を用いるオリゴヌクレオチドの固相合成 反応容器(尖形管)を減圧下で加熱乾燥(約400℃)した
後、アルゴン置換し、その中へヌクレオシド(0.2μmo
l)を担持したCPG(controlled pore glass)を入れた
後、合成に用いる試薬を順次作用させた。縮合の段階で
三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体およびアミダ
イトを固体およびアモルファスの状態で尖形管に入れ、
新鮮な乾燥アセトニトリル(0.1mL)を加えて反応を行
わせた。その他の試薬は全て市販品を用い、シリンジを
通して注入、排出した。その合成サイクルは以下の表3
に示したとおりであり、合成は全て1μmolスケールで
行った。
【0055】
【表3】 注:促進剤は三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体(7mg)又は1H-テト ラゾール(3mg)であり合成は全て0.2μmolスケールであった。
【0056】上記の方法によりCPG上に担持されたチ
ミジン(0.2μmmol)(構造的には下記構造式15でしめ
される)を出発物質とし、シアノエチルホスホロアミダ
イト6をモノマー単位に用いて、促進剤として三フッ化
ホウ素−ベンズイミダゾール錯体を用いて合成したとこ
ろ、各ステップの平均縮合率96.2%、通算収率70.8
%(トリチル発色定量による)で(Tp)9Tを合成することが
できた。
【0057】
【式15】
【0058】トリチル発色定量は、脱トリチル化の操作
の際、採取した反応溶液を濃縮し、過塩素酸−メタノー
ル(3:1)溶液(25mL)で希釈し、可視−紫外吸収ス
ペクトルにおいて398nmの吸収の測定し、前のフラク
ションとの比により収率を求める方法である。
【0059】また、前記と同じくCPG上に担持された
チミジンを出発原料としてフェニルホスホノアミダイト
24をモノマー単位として、同様にして反応させたとこ
ろ、下記構造式16のTp(Ph)T を縮合収率92%で合成
できた。なお、1H-テトラゾールを用いた場合の収率は
76%であった。
【0060】
【式16】
【0061】4.各種促進剤による縮合反応比較 5'-O-p,p'-ジメトキシトリチル-チミジン 3'-(2-クロロ
フェニル)モルホリノホスホロアミダイト(78.8mg、
0.1mmol)、3'-O-t-ブチルジメチルシリル-チミジン
(78.3mg、0.2mmol)、促進剤(0.2mmol)およびト
リフェニルホスフィンオキシド(27.2mg、0.1mmol)
の混合物をアセトニトリル(0.1mL)に溶解し、反応溶液
を無水条件下でキャニュラーを通してNMR測定用チュ
ーブへすばやく移し、31P NMRを測定し、各時間に
おける生成物および出発物の収率をトリフェニルホスフ
ィンオキシドのピークと生成物のピークの積分面積比よ
り検量線を用いて決定した。促進剤として三フッ化ホウ
素−ベンズイミダゾール錯体、1H-テトラゾール、5-(p-
ニトロフェニル)-1H-テトラゾールおよび5-エチルチオ-
1H-テトラゾールを用いた場合の縮合収率の変化を図1
に、原料消費率を図2に示した。図において、白丸は本
発明の三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体、黒丸
は1H-テトラゾール、黒四角は5-(p-ニトロフェニル)-1H
-テトラゾール、白三角は5-エチルチオ-1H-テトラゾー
ルを用いた場合をそれぞれ示している。これらの図から
三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体を用いる反応
は、他の促進剤を用いる反応に比べて著しく速く、収率
も高いことが明らかである。
【0062】
【発明の効果】本発明の三フッ化ホウ素−ベンズイミダ
ゾール錯体からなる核酸合成反応促進剤は、従来用いら
れていた核酸合成反応促進剤に比較して かに優れた反
応促進活性、特にホスホロアミダイト法によるオリゴヌ
クレオチドの合成方法における反応促進活性に優れ、各
種のオリゴヌクレオチドをより一層優位に合成すること
を可能とする優れた効果を奏するものであるばかりでな
く、本発明の核酸合成反応促進剤は、酸素および湿気に
対して安定であり室温保存が可能であるうえ、アセトニ
トリルに対する溶解性が高いという優れた特性を有し、
使用を容易にするという効果も併せ奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、各種促進剤を用いたホスホロアミダイ
トとヌクレオシドの反応収率を時間と対比した図であ
る。
【図2】図2は、各種促進剤を用いたホスホロアミダイ
トとヌクレオシドの反応における原料消費率の変化を示
した図である。図1、図2のいずれにおいても、白丸は
三フッ化ホウ素−ベンズイミダゾール錯体、黒丸は1H-
テトラゾール、黒四角は5-(p-ニトロフェニル)-1H-テト
ラゾール、白三角は5-エチルチオ-1H-テトラゾールを用
いた場合をそれぞれ示している。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素と
    の配位化合物。
  2. 【請求項2】 ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素と
    の配位化合物からなることを特徴とする核酸合成反応促
    進剤。
  3. 【請求項3】 ベンズイミダゾールと三フッ化ホウ素と
    の配位化合物の存在下にヌクレオシドホスホロアミダイ
    トまたはヌクレオシドホスホノアミダイトとヌクレオシ
    ドを反応させることを特徴とするオリゴヌクレオチドの
    合成方法。
JP12968395A 1995-04-28 1995-04-28 三フッ化ホウ素配位化合物およびオリゴヌクレオチドの合成方法 Pending JPH08301878A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000075157A1 (en) * 1999-06-03 2000-12-14 Abbott Laboratories Oligonucleotide synthesis with lewis acids as activators

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WO2000075157A1 (en) * 1999-06-03 2000-12-14 Abbott Laboratories Oligonucleotide synthesis with lewis acids as activators

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