JPH08301685A - 結晶成長装置および結晶成長方法 - Google Patents

結晶成長装置および結晶成長方法

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JPH08301685A
JPH08301685A JP10960295A JP10960295A JPH08301685A JP H08301685 A JPH08301685 A JP H08301685A JP 10960295 A JP10960295 A JP 10960295A JP 10960295 A JP10960295 A JP 10960295A JP H08301685 A JPH08301685 A JP H08301685A
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growth
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JP10960295A
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Takehiko Kawasaki
岳彦 川崎
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C30CRYSTAL GROWTH
    • C30BSINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
    • C30B7/00Single-crystal growth from solutions using solvents which are liquid at normal temperature, e.g. aqueous solutions

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 周囲の環境に影響を与えることなく、良質で
大粒径の結晶を簡便かつ安定的に形成できる結晶成長装
置及び結晶成長方法を提供する。さらに、結晶溶液の繰
り返し利用を可能とする。 【構成】 溶解槽、成長槽及びこれらの槽を接続する溶
液移送管、並びに保温手段Aを主要な構成とする結晶成
長装置において、溶解槽には蓋部Aを設け、成長槽には
蓋部B及び蒸気の開放部を設け、この開放部には保温手
段Bを備えた蒸気移送管の一方を接続し、この蒸気移送
管の他方は保温手段Cを備えた凝集槽へ接続し、さら
に、この凝集槽内の溶液を前記溶解槽へ供給する供給手
段Dを設けたことを特徴とする結晶成長装置。および、
前記結晶成長装置を用いた結晶成長方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶成長装置および結
晶成長方法に関する。特に、金薄膜の形成に有用な結晶
成長装置および結晶成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子デバイス等に用いられる種々の物質
の結晶は、その物質の蒸気・融解液・溶液等から析出・
成長させて形成する。この中で、溶液から結晶を析出・
成長させる方法では、一般に溶液冷却法と溶媒蒸発法が
用いられている。
【0003】溶液から結晶を析出・成長させる方法で
は、溶媒に対する物質の溶解度の温度依存性を利用した
方法が一般的である。温度が高いほど溶解度が大きい物
質の結晶の析出・成長には、一般に溶液冷却法が用いら
れている。この溶液冷却法は、飽和状態にある溶液の温
度を徐々に下げることで溶液を過飽和状態に移行させ、
結晶を析出・成長させる方法である。一方、温度が低い
ほど溶解度が大きい物質の結晶の析出・成長には、一般
に、飽和状態にある溶液の温度を徐々に上げることで溶
液を過飽和状態に移行させ、結晶を析出・成長させる方
法が用いられる。
【0004】上述の原理を適用した結晶成長装置J及び
その装置を用いた結晶成長方法が、特開平3−1703
90号公報に提案されている。図3に、この結晶成長装
置Jの概略図を示す。
【0005】図3の結晶成長装置Jは、第1槽として、
固体状の物質A(5)を溶解して高濃度の溶液を形成す
るための溶解槽(31)を上部に配置し、第2槽とし
て、前記高濃度の溶液から物質Aの結晶を析出・成長さ
せるための成長槽(32)を下部に配置する。溶解槽
(31)と成長槽(32)とは、溶液移送管(33)を
介して接続される。溶液の温度制御は、溶解槽(31)
の保温手段であるジャケット(34a)、及び成長槽
(32)の保温手段であるジャケット(34b)にそれ
ぞれ所定の温度の恒温水を流すことで各槽独立に行う。
なお、図3において、35a及び35bは蓋、36は円
筒濾紙等を用いたフィルタ、37は槽連結部、38は内
圧調整コックである。
【0006】このような結晶成長装置Jは、溶解槽(3
1)と成長槽(32)との溶液間に温度差を生じさせ、
物質の溶解量の差による溶液間の密度差を発生させるこ
とによって、溶解槽(31)の溶液を成長槽(32)へ
移送し、成長槽(32)の溶液を過飽和状態に移行さ
せ、物質Aの結晶を種結晶等の基材(6)上に析出・成
長させるものである。温度設定は、物質の溶解度が温度
が高いほど大きい場合は、溶解槽(31)の溶液の温度
を成長槽(32)の溶液の温度よりも高く保つ。一方、
物質の溶解度が温度が低いほど大きい場合には、溶解槽
(31)の溶液の温度を成長槽(32)の溶液の温度よ
りも低く保つ。また、溶液の密度が、溶液中の物質濃度
が大きくなるほど低くなる場合は、必要に応じて溶解槽
(31)を下側に、成長槽(32)を上側に配置して結
晶成長を行わせることができる。
【0007】その他の従来の結晶成長装置として、上述
の溶液冷却法の原理を適用した循環法と呼ばれる方法に
用いられる結晶成長装置Kがある(第4版実験化学講座
2、基本操作II(丸善)p.357)。図4に、結晶成
長装置Kの概略図を示す。この結晶成長装置Kは、第1
槽として、固体状の物質A(5)を溶解して高濃度の溶
液を形成するための溶解槽(41)と、第2槽として、
前記高濃度の溶液から物質Aの結晶を析出・成長させる
ための成長槽(42)とを左右に配置する。溶解槽(4
1)と成長槽(42)とは、ポンプ(44)を備えた溶
液移送管(43)、及び返送管(45)で接続される。
なお、46はナイロン製の布からなるフィルタ、47は
回転モーター、48は回転軸である。
【0008】この結晶成長装置Kは、溶解槽(41)と
成長槽(42)との溶液間に温度差を生じさせ、溶解槽
(41)の溶液に、より多くの物質(物質A(5))を
溶解させ、この溶液をポンプ(44)により成長槽(4
2)へ移送することによって、成長槽(42)の溶液を
過飽和状態に移行させ、物質Aの結晶を種結晶等の基材
(6)上に析出・成長させるものである。
【0009】溶媒に対する物質の溶解度の温度依存性に
よらない結晶成長方法としては、溶媒蒸発法が一般的で
ある。この方法は、飽和溶液から溶媒を蒸発させて、溶
液を過飽和状態に移行させ、結晶を析出・成長させる方
法である。装置としては、上部が解放した槽を1つ用い
るだけでよく、この1つの槽内で、物質Aを溶解し、次
いで溶媒を蒸発させて物質Aの結晶を析出・成長させ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来例における溶液冷却法においては、溶液温度を精
密に変化させることが必要であり、温度制御が難しかっ
た。
【0011】また、上述した従来例における、物質の溶
媒に対する飽和濃度の温度依存性を利用した、特開平3
−170390号公報に開示された結晶成長装置、及び
循環法に用いられる結晶成長装置は、いずれの装置にお
いても、第1槽と第2槽に温度水準の差を設ける必要が
あり両層をそれぞれ独立に温度制御しなければならない
上、両層の間を連結する溶液移送管部分の構造が複雑で
あり特にこの部分においては温度制御が難しかった。そ
のため、温度制御が不十分になることが多く、溶液移送
管部分では不要な結晶が析出したりして、長時間安定に
結晶成長を行うことは困難であった。
【0012】溶媒蒸発法においては、以下に示すような
問題があった。溶媒蒸発法では、結晶成長に用いる溶液
に含まれる揮発性成分が蒸発によって装置系外に排出さ
れる。例えばこの方法を、金錯体溶液から基板表面に単
結晶群からなる金薄膜を析出・形成させる場合(特開平
5−201793号公報)に適用すると、金錯体形成物
として主にヨウ化金・臭化金・塩化金等を用いるため、
結晶成長工程において、装置系外にヨウ素・臭素・塩素
等の非常に酸化性の強いハロゲンガス成分が排出される
という問題点があった。
【0013】また、この場合においては、非常に高価な
金を多量に含む溶液を結晶成長に用いるが、ヨウ素・臭
素・塩素等が大量に溶液系外に放出されて溶液組成が大
きく変化してしまうために、溶液の再利用が難しく、コ
スト高になるという問題もあった。
【0014】さらに、一般に溶媒蒸発法においては、結
晶成長が溶液の濃度が一定の値以上になったところで停
止してしまうため、大粒径の結晶を形成することには限
界があった。
【0015】そこで本発明の目的は、上記の問題を解決
し、装置内の溶液が循環する全ての箇所を所定の温度に
容易に制御することができ、且つ装置の構造および操作
が簡単であり、良質で大粒径の結晶を安定的に形成でき
る結晶成長装置、及びその装置を用いた結晶成長方法を
提供することである。さらに、周囲の環境に影響を与え
ず、結晶成長溶液を繰り返し利用しながら連続操作がで
きる結晶成長装置、及びその装置を用いた結晶成長方法
を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために種々の検討を行った結果、本発明を完
成した。すなわち本発明は第1の結晶成長装置として、
溶解槽、成長槽及びこれらの槽を接続する溶液移送管、
並びに保温手段Aを主要な構成とする結晶成長装置にお
いて、溶解槽には蓋部Aを設け、成長槽には蓋部B及び
蒸気の開放部を設け、この開放部には保温手段Bを備え
た蒸気移送管の一方を接続し、この蒸気移送管の他方は
保温手段Cを備えた凝集槽へ接続し、さらに、この凝集
槽内の溶液を前記溶解槽へ供給する供給手段Dを設けた
ことを特徴とする結晶成長装置に関する。
【0017】本発明は第2の結晶成長装置として、溶解
槽、成長槽及びこれらの槽を接続する溶液移送管、並び
に保温手段Aを主要な構成とする結晶成長装置におい
て、溶解槽及び成長槽のそれぞれに蓋部を設け、この成
長槽の内部おいて保温手段Cを備えた凝集槽を槽内溶液
の上方に設け、さらに、この凝集槽内の溶液を溶解槽へ
供給する供給手段Dを設けたことを特徴とする結晶成長
装置に関する。
【0018】また、本発明は第1の結晶成長方法とし
て、揮発性の物質Bにより溶解度が増大する物質Aの結
晶成長方法において、前記のいずれかの結晶成長装置の
槽内に、物質Bとともに溶解した物質Aの高濃度溶液を
入れ、溶解槽内のこの溶液中へ固体状の物質Aを投入
し、さらに、少なくとも、この溶解槽へ凝集槽内の溶液
を適宜供給しながら、前記結晶成長装置槽内の溶液を所
定の温度に保つことによって、成長槽内の溶液中へ投入
した基材に物質Aの結晶を析出・成長させることを特徴
とする結晶成長方法に関する。
【0019】本発明は第2の結晶成長方法として、結晶
を析出・成長させた後、結晶が形成した基材を取り出
し、前記基材とは別の基材を成長槽内の溶液中へ投入す
ることによって、結晶が形成した基材を連続的に複数作
製する上記第1の結晶成長方法に関する。
【0020】本発明は第3の結晶成長方法として、結晶
を予め形成させた基材を、成長槽内の溶液中に投入する
ことによって、結晶をさらに成長させる前記第1又は第
2の結晶成長方法に関する。
【0021】以下、本発明を、図面を参照しながら詳細
に説明する。図1は、本発明の第1の結晶成長装置の一
例を示す概略図である。1は溶解槽、2は成長槽、3は
溶液移送管であり、これらに物質Aの溶液(4)が満た
されている。溶解槽(1)の溶液中には固体状の物質A
(5)、成長槽(2)の溶液中には基材(6)が投入さ
れている。溶解槽(1)には蓋部A(7)及び供給口
(8)が設けられ、成長槽(2)には蒸気の開放部
(9)及び蓋部B(10)が設けられている。前記蒸気
の開放部(9)には蒸気移送管(11)の一方が接続さ
れ、他方は凝集槽(12)に接続されている。さらに、
この凝集槽内の溶液(凝集液(16))を溶解槽(1)
へ供給する供給手段D(15)(供給管(13)及び供
給量制御装置(14))が設けられている。また、溶解
槽・成長槽・溶液移送管には保温手段A(17)が、蒸
気移送管には保温手段B(18)が、凝集槽には保温手
段C(19)がそれぞれ設けられている。保温手段Aに
よる加温によって、物質Aの溶液(4)の蒸発が促進さ
れる。なお、図1は保温手段A及びCが恒温槽の場合を
示しており、保温液の配管や保温液の供給装置等の付属
ユニットは図面から省略している。
【0022】本発明の第1の結晶成長装置は、溶解槽
(1)には蓋部A(7)を設け、成長槽(2)には蒸気
の開放部(9)を設ける。
【0023】このようにすることで、物質Aの溶液
(4)の蒸発量は成長槽側が大きくなり、この成長槽内
の溶液が過飽和状態となって基材(6)に物質Aの結晶
が析出・成長する。また、成長槽内の溶液量が減少し、
成長槽の液面が溶解槽の液面より低くなるため、溶解槽
内の溶液が溶液移送管を通って成長槽へ移動する。
【0024】溶解槽の蓋部A(7)は、溶解槽(1)と
は別々に構成し、開閉ができるようにすることが望まし
い。この蓋部Aは、溶解槽と一体成形されたものであっ
てもよいが、固体状の物質Aの添加操作や装置の洗浄・
メンテナンス等の点から別々に構成して脱着可能とした
ほうが好ましい。
【0025】一方、成長槽(2)には蒸気の開放部
(9)を設ける。図1は蓋部B(10)に設けた例を示
している。この開放部(9)は、場合によっては成長槽
自体に設けてもよい。この開放部(9)の大きさによっ
て、成長槽からの蒸発速度を調整したり、これにより溶
解槽から成長槽への溶液の移送速度を調整したりするこ
とができる。なお、蓋部B(10)は成長槽と一体成形
されたものであってもよいが、基材(6)の出し入れや
装置の洗浄・メンテナンス等の点から別々に構成して脱
着可能としたほうが好ましい。
【0026】また、蓋部など外気との接触により温度が
低下するおそれがある部分は、その部分の外側を断熱部
材等で覆うことが好ましい。
【0027】以上の構成にすることにより、成長槽・溶
解槽・溶液移送管内の溶液を所望の温度に制御できる保
温手段A(17)を設けることができる。この保温手段
Aは、成長槽・溶解槽・溶液移送管内の溶液全体を所望
の温度に制御できるものであれば特に制限されないが、
さらには長時間安定的に温度制御ができるものが望まし
い。このような保温手段Aとしては、保温液を循環する
恒温槽を用いることが好ましい。恒温槽の形状は、例え
ば図1に示すように、成長槽・溶解槽・溶液移送管が保
温液に十分に浸る形状が最も単純な構造で好適である。
保温手段の熱源は、所望の精度で保温液の温度の制御が
行えるものであれば適宜用いることができる。例えば、
電気ヒーターを用いることができる。保温液は、物質A
の溶液(4)の温度制御範囲より広い保温領域を有し、
揮発性が低く、熱的に安定であることが望ましい。例え
ば、水、又はシリコーンオイル等の油類を用いることが
できる。
【0028】本発明の第1の結晶成長装置は、前記蒸気
の開放部(9)に、保温手段B(18)を備えた蒸気移
送管(11)の一方を接続し、この蒸気移送管の他方
を、保温手段C(19)を備えた凝集槽(12)へ接続
する。このとき保温手段A、保温手段B及び保温手段C
のそれぞれによって、成長槽・溶解槽・溶液移送管内の
溶液の温度Ta、蒸気移送管の温度Tb及び凝集槽内の溶
液(凝集液(16))の温度Tcが、Tb≧Ta>Tcの関
係を満たすように保つ。
【0029】このようにすることで、物質Bを含有する
蒸気は、成長槽(2)の蒸気の開放部(9)から蒸気移
送管(11)を通って凝集槽(12)へ移動する。凝集
槽では、物質B及び溶媒が、前記条件に設定された比較
的低温の凝集液(16)中に回収される。したがって、
装置系外にヨウ素・臭素・塩素等の非常に酸化性の強い
ハロゲンガス成分等(物質B成分)が排出されることな
く結晶成長が行える。
【0030】凝集液(16)としては物質Bが溶解する
液体を用いる。例えば物質Bとしてヨウ素や臭素を用い
た場合は、エタノール等の水溶性有機溶剤、又はこれら
と水との混合溶液を用いることができる。物質Bとして
塩素を用いた場合は、水、前記水溶性有機溶剤又はこれ
らの混合液を用いることができる。これらの液体に物質
Bを溶解して用いてもよい。
【0031】保温手段B(18)としては、通常の配管
に使用される電器ヒータ等の保温手段を用いることがで
きる。また保温手段C(19)としては、保温手段Aと
同様な恒温槽を用いることができる。
【0032】本発明の第1の結晶成長装置には、さら
に、前記凝集槽内の溶液(凝集液(16))を溶解槽へ
供給する供給手段D(15)を設ける。
【0033】これにより物質Bを再利用することがで
き、その結果、物質Aの溶液(4)中の物質Bの濃度低
下を抑制することができる。すなわち、凝集槽で回収さ
れて再び溶解槽へ添加された物質Bは、固体状の物質A
(5)を溶解させ、新たに物質Aの溶液(4)を形成す
る。また、溶解槽へ凝集液を供給することにより次の効
果が得られる。(a)溶解槽の液面を、成長槽の液面に
対する所望の位置より低くなりすぎないように調整でき
る。これにより、溶解槽から成長槽への溶液の移送が安
定して行われる。(b)蒸発した溶媒が回収・再利用で
きるため、装置系外から溶媒の補充を行わなくても、長
時間、連続して結晶成長を行うことができる。
【0034】供給手段D(15)としては、図1に示す
ように供給管(13)及び供給量制御装置(14)から
なる供給手段を用いることができる。この供給量制御装
置(14)としては、送液量が制御できる送液ポンプ等
が挙げられる。
【0035】本発明の第1の結晶成長装置には、さら
に、凝集槽へ液体を供給する供給手段E(不図示)を設
けてもよい。供給手段Eとしては、例えば、液体の貯蔵
容器、供給管及び供給量制御装置からなる供給手段を用
いることができる。供給量制御装置としては、送液量が
制御できる送液ポンプ等が挙げられる。供給される溶液
としては、前記の物質Bを溶解する溶液、あるいは物質
Bを含む溶液を用いることができる。
【0036】図2は、本発明の第2の結晶成長装置の一
例を示す概略図である。201は溶解槽、202は成長
槽、203は溶液移送管であり、これらに物質Aの溶液
(4)が満たされ、溶解槽(201)の溶液中には固体
状の物質A(5)、成長槽(202)の溶液中には基材
(6)が投入されている。溶解槽(201)には蓋部A
(207)及び供給口(208)が設けられ、成長槽
(202)には蓋部C(210)及び給出口が設けられ
ている。この成長槽の内部において、槽内溶液(4)の
液面上方に、保温手段C(219)を備えた凝集槽(2
12)が設けられている。さらに、この凝集槽内の溶液
(凝集液(16))を溶解槽へ供給する供給手段D(2
15)(供給管(213)及び供給量制御装置(21
4))が設けられている。また、溶解槽・成長槽・溶液
移送管には保温手段A(217)が、凝集槽には保温手
段C(219)がそれぞれ設けられている。保温手段A
による加温によって、物質Aの溶液(4)の蒸発が促進
される。なお、図2は保温手段A及びCが恒温槽の場合
を示しており、保温液の配管や保温液の供給装置等の付
属ユニットは図面から省略している。
【0037】また、蓋部など外気との接触により温度が
低下するおそれがある部分は、その部分の外側を断熱部
材等で覆うことが好ましい。
【0038】本発明の第2の結晶成長装置は、その成長
槽(202)の内部おいて保温手段C(219)を備え
た凝集槽(212)を槽内溶液(4)の上方に設ける。
【0039】凝集液(16)としては物質Bが溶解する
液体を用いる。例えば物質Bとしてヨウ素、臭素又は塩
素を用いた場合は、メタノール・エタノール等のアルコ
ールなどの水溶性有機溶剤、又はこれらと水との混合溶
液を用いることができる。これらの液体に物質Bを溶解
して用いてもよい。
【0040】保温手段C(219)としては、成長槽内
で用いることができるようにした以外は第1の結晶成長
装置に用いた保温手段C(19)と同様なものを用いる
ことができる。この保温手段C(219)及び前記保温
手段A(217)によって、凝集槽内の溶液(凝集液
(16))の温度Tc、成長槽・溶解槽・溶液移送管内
の溶液の温度Taが、Ta>Tcの関係を満たすように保
つ。
【0041】このようにすることによって、物質Bを含
有する蒸気は、装置系外に排出されることなく、凝集槽
の凝集液(16)中に回収される。また、物質Aの溶液
(4)の蒸発量は成長槽側が大きくなり、溶液が過飽和
状態となって基材(6)に物質Aの結晶が析出・成長す
る。また、成長槽の溶液量が減少し、成長槽の液面が溶
解槽の液面より低くなるため、溶解槽の溶液が溶液移送
管を通って成長槽へ移動する。
【0042】本発明の第2の結晶成長装置には、さら
に、前記凝集槽内の溶液(凝集液(16))を溶解槽へ
供給する供給手段D(215)を設ける。供給手段D
(215)としては、図2に示すように供給管(21
3)及び供給量制御装置(214)からなる供給手段を
用いることができる。この供給量制御装置(214)と
しては、送液量が制御できる送液ポンプ等が挙げられ
る。
【0043】これにより物質Bを再利用することがで
き、その結果、物質Aの溶液(4)中の物質Bの濃度低
下を抑制することができる。すなわち、凝集槽で回収さ
れて再び溶解槽へ添加された物質Bは、固体状の物質A
(5)を溶解させ、新たに物質Aの溶液(4)を形成す
る。また、溶解槽へ凝集液を供給することにより次の効
果が得られる。(a)溶解槽の液面を、成長槽の液面に
対する所望の位置より低くなりすぎないように調整でき
る。これにより、溶解槽から成長槽への溶液の移送が安
定して行われる。(b)蒸発した溶媒が回収・再利用で
きるため、装置系外から溶媒の補充を行わなくても、長
時間、連続して結晶成長を行うことができる。
【0044】また、凝集槽の外周部や保温液の配管は、
断熱部材等で覆うことが好ましい。
【0045】本発明の第1又は第2の結晶成長装置には
攪拌手段を設けてもよい。この攪拌手段により、装置内
の溶液の濃度ムラを抑えることができる。また、固体状
の物質Aを十分に速く溶解することができる。例えば、
攪拌翼タイプの攪拌手段を溶解槽に設けることができ
る。攪拌手段は攪拌翼タイプに制限されず、溶液を均一
に攪拌できるものであればよい。また、成長槽にも、結
晶成長を妨げない範囲内で攪拌手段を設けてもよい。
【0046】以下、本発明の結晶成長装置を用いた結晶
成長方法について説明する。本発明の第1の結晶成長方
法は、揮発性の物質Bにより溶解度が増大する物質Aの
結晶成長方法において、本発明の上記第1又は第2の結
晶成長装置の槽内に、物質Bとともに溶解した物質Aの
溶液(4)を入れ、溶解槽内のこの溶液中へ固体状の物
質A(5)を投入し、さらに、少なくとも、この溶解槽
へ凝集槽内の溶液(凝集液(16))を適宜供給しなが
ら、前記結晶成長装置槽内の溶液を所定の温度に保つこ
とによって、成長槽内の溶液中へ投入した基材(6)に
物質Aの結晶を析出・成長させることを特徴とする結晶
成長方法である。
【0047】まず、本発明の結晶成長装置の溶解槽・成
長槽・溶液移送管に、物質Bの添加により溶解度が増大
された物質Aの溶液(4)を入れる。この溶液(4)
は、溶解槽あるいは成長槽内で調製してもよい。
【0048】次に、溶解槽には固体状の物質A(5)
を、成長槽には基材(6)を投入し、そして保温手段A
により溶解槽・成長槽・溶液移送管を一定の温度に保
ち、物質Aの溶液(4)を均一に保温する。
【0049】このときの温度設定は、本発明の第1の結
晶成長装置を用いた場合は、保温手段A、保温手段B及
び保温手段Cのそれぞれによって、成長槽・溶解槽・溶
液移送管内の溶液の温度Ta、蒸気移送管の温度Tb及び
凝集槽内の溶液(凝集液(16))の温度Tcが、Tb≧
Ta>Tcの関係を満たすように保つ。本発明の第2の結
晶成長装置を用いた場合は、保温手段A及び保温手段C
によってTa>Tcの関係を保つようにする。
【0050】基材(6)としては、シリコンウエハ等の
基板、あるいは物質A等の種結晶を用いることができ
る。
【0051】固体状の物質A(5)は、所定の条件に従
って、例えば溶解速度や溶解量を考慮して、その大きさ
・形状・数を設定する。
【0052】保温により物質Aの溶液(4)の蒸発が開
始したら、供給手段D(15)によって、適宜、凝集槽
内の溶液(凝集液(16))を溶解槽へ供給する。
【0053】以上のようにすることで、成長槽では、物
質B成分と溶媒が蒸発し、そのため物質Aの溶液(4)
が過飽和状態となり、基材(6)の表面上に物質Aの結
晶が析出・成長する。蒸発した物質Bと溶媒は、凝集槽
内の凝集液(16)中へ回収される。この回収された物
質Bは、凝集液とともに溶解槽へ供給される。これによ
って、物質Aの溶液(4)中の物質Bの濃度の低下が抑
制され、溶解槽内においては、供給された物質Bにより
固体状の物質A(5)の溶解が促進される。さらに、物
質Aの溶液(4)は溶液移送管(3)を通って成長槽へ
移動する。この溶液の移動は次のようにして行われる。
溶解槽では、前記凝集液が供給されるため、溶解槽の溶
液量が増大する。一方、成長槽では、溶解槽からよりも
大きな速度で溶液の蒸発が起きるため、成長槽の溶液量
が減少する。すなわち、溶解槽の液面が成長槽の液面よ
り高くなるため、溶解槽の溶液が溶液移送管を通って成
長槽へ移動する。
【0054】本発明の第1の結晶成長装置において凝集
槽へ液体を供給する供給手段Eを設けている場合は、必
要により、この供給手段Eによって前記の物質Bを溶解
する溶液、あるいは物質Bを含む溶液を凝集槽へ供給し
てもよい。
【0055】本発明の第2の結晶成長方法は、結晶を析
出・成長させた後、結晶が形成した基材を取り出し、前
記基材とは別の基材を成長槽内の溶液中に投入すること
によって、結晶が形成した基材を連続的に複数作製する
前記第1の結晶成長方法である。
【0056】本方法は、1つの基材に析出・成長させる
所定量以上(過剰量)の固体状の物質A(5)を溶解槽
に投入することによって、結晶が形成した基材を連続的
に複数作製することができる。
【0057】結晶が形成した基材を連続的に複数作製す
る際、過剰量の固体状の物質Aの溶解を促進するため
に、物質Bを適宜、溶解槽へ供給してもよい。この物質
Bの供給は、物質Bが溶解した凝集液(16)を、供給
手段Dにより溶解槽へ供給することにより行える。な
お、供給手段Eを備えた本発明の第1の結晶成長装置を
用いた場合は、この供給手段Eによって物質Bの溶液を
凝集液(16)へ追加してもよい。
【0058】本発明の第3の結晶成長方法は、結晶を予
め形成させた基材を、成長槽内の溶液中に投入すること
によって、さらに結晶を成長させる前記第1又は第2の
結晶成長方法である。
【0059】すなわち、第3の結晶成長方法の一つは、
結晶を予め形成させた基材を、再び成長槽内の溶液中に
投入すること以外は、第1の結晶成長方法と同様にして
行うものである。これにより、さらに大粒径の結晶を形
成させることができる。
【0060】もう一つの第3の結晶成長方法は、結晶を
予め形成させた基材を複数作製しておき、これらの基材
を用いて第2の結晶成長方法を行うものである。これに
より大粒径の結晶が形成した基材を連続的に複数作製す
ることができる。
【0061】本発明の第1、第2及び第3の結晶成長方
法は、物質Bが揮発性であり、さらに物質Aが物質Bと
結合して錯体を形成する場合に好適である。物質Bは、
物質Aと結合して物質Aの錯体を形成することによっ
て、物質Aの溶解度を増大させる。さらには、この錯体
が溶媒の蒸発とともに分解して、物質B成分が溶液から
蒸発することが望ましい。
【0062】本発明の結晶成長方法は、物質Aとして種
々の物質の結晶成長に適用可能であるが、特に金の結晶
成長(金薄膜の形成)に最適である。物質Aとしては、
通常、金単体を用いるが、金化合物、例えばAuI、A
uI3等の金のハロゲン化物を用いてもよい。その他
[AuI4-等の金とハロゲンとの錯体を溶液中で十分
に形成する金化合物を用いることができる。このような
金錯体溶液から、単結晶群からなる金薄膜を基板表面に
形成する方法が特開平5−201793号公報に開示さ
れている。この方法は本発明の方法による金の結晶成長
に適用できる。
【0063】以下、本発明の結晶成長装置を用いて、上
記の金錯体溶液から金薄膜を基板表面に形成する方法に
ついて説明する。
【0064】金薄膜を基板表面に形成する上記の方法
は、溶液中に含まれるヨウ素等のハロゲン元素の濃度が
増大するほど金の溶解度が増大することを利用して、結
晶成長を行う。すなわち、物質Aとしては金または金化
合物を、物質Aの溶解度を増大させる物質Bとしてはヨ
ウ素等のハロゲン元素を用いて結晶成長を行う。
【0065】上記方法において、物質Bとしてはハロゲ
ン元素が好ましいが、中でもより好ましいものはヨウ
素、臭素、塩素である。これらは、ハロゲン単体とハロ
ゲン化合物との併用、あるいは2種類以上のハロゲン単
体やハロゲン化合物を併用してもよい。
【0066】溶媒は、水、メタノール・エタノール等の
アルコールなどの水溶性有機溶剤、又はこれらの水溶性
有機溶剤と水との混合溶液を用いることができる。
【0067】次に、図1の装置を用い、物質Bがヨウ素
である場合を例にとり、本発明の方法の操作例を説明す
る。まず、蒸留水にヨウ化カリウム及びヨウ素を溶解さ
せ、この溶液へ金を投入して溶解させる。この溶液を装
置内に注ぎ、溶解槽(1)、溶液移送管(3)および成
長槽(2)を満たす。固体状の物質A(5)としてワイ
ヤ形状等の金(5)を溶解槽内の溶液中に投入し、成長
槽内の溶液中へは基板(6)を投入する。
【0068】凝集槽(12)へは、凝集液(16)とし
てエタノール等の水溶性の有機溶剤を入れる。この有機
溶剤にヨウ素を溶解してもよい。
【0069】次いで、溶解槽・溶液移送管・成長槽を保
温手段A(17)によって一定の温度Taに保つ。30
〜100℃のいずれかの温度で一定に保つことが望まし
い。このとき、保温手段B及びCにより、それぞれ蒸気
移送管の温度Tb及び凝集液の温度Tcを、Tb≧Ta>T
cの関係となるように保つ。Tbは、50〜120℃の範
囲にあることが望ましい。Tcは、5〜50℃の範囲に
あることが望ましい。
【0070】蒸発が開始したら、凝集液(16)を、供
給手段D(15)によって溶解槽(1)へ適宜供給す
る。溶解槽の溶面が成長槽の液面に対する所望の位置よ
り高くなりすぎないように調整する。供給手段Eを備え
ている場合は、前記有機溶剤、又は物質Bを含有した溶
液を、必要により適宜、凝集槽へ供給する。
【0071】以上のようにして、例えば1〜10日間、
結晶成長を行うことにより、基板上に、基板の面内方向
の粒径が平均で100μm〜2mm程度の平板状単結晶群
からなる金薄膜が形成する。さらに長時間の結晶成長を
行うことで、より大型の平板状単結晶からなる金薄膜を
得ることができる。
【0072】金薄膜が形成した基板を取り出した後、金
薄膜が形成してない別の基板を成長槽の溶液に投入して
上記の操作を続けると、再び金薄膜が形成した基板を作
製することができる。
【0073】また、金薄膜が成長した基板を取り出した
後、この一度取り出した、金薄膜が形成した基板を、再
び成長槽内の溶液中に投入して上記結晶成長操作を続け
ると、基板上のそれぞれの結晶がさらに成長した、より
大型の平板状単結晶からなる金薄膜を得ることができ
る。
【0074】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらに限定するものではない。
【0075】実施例1 図1の概略図に示す結晶成長装置を作製した。1は溶解
槽、2は成長槽、3は溶液移送管であり、これらに物質
Aの溶液(4)を入れ、溶解槽(1)の溶液中には固体
状の物質A(5)を、成長槽(2)の溶液中には基材
(6)を投入した。溶解槽(1)には蓋部A(7)及び
供給口(8)を設け、成長槽(2)には蒸気の開放部
(9)及び蓋部B(10)を設けた。前記蒸気の開放部
(9)には蒸気移送管(11)の一方を接続し、他方は
凝集槽(12)に接続した。さらに、この凝集槽内の凝
集液(16)を溶解槽(1)へ供給する供給手段D(1
5)(供給管(13)及び供給量制御装置(14))を
設けた。また、溶解槽・成長槽・溶液移送管には保温手
段A(17)を、蒸気移送管には保温手段B(18)
を、凝集槽には保温手段C(19)をそれぞれ設けた。
保温手段A及びCは恒温槽であり、保温液はシリコーン
オイルを使用した。保温手段Bは、通常の配管に使用さ
れる電器ヒーターを用いた。なお、図面中、保温液の配
管や保温液の供給装置等の付属ユニットは省略してい
る。また図面中では省略したが、蓋部A・Bなど外気と
の接触により温度が低下するおそれがある部分は、その
部分の外側を断熱部材で覆った。
【0076】実施例2 図2の概略図に示す結晶成長装置を作製した。201は
溶解槽、202は成長槽、203は溶液移送管であり、
これらに物質Aの溶液(4)を入れ、溶解槽(201)
の溶液中には固体状の物質A(5)を、成長槽(20
2)の溶液中には基材(6)を投入した。溶解槽(20
1)には蓋部A(207)及び供給口(208)を設
け、成長槽(202)には蓋部C(210)及び給出口
を設けた。この成長槽の内部であって、槽内溶液(4)
の液面上方に、保温手段C(219)を備えた凝集槽
(212)を設けた。さらに、この凝集槽内の凝集液
(16)を溶解槽へ供給する供給手段D(215)(供
給管(213)及び供給量制御装置(214))を設け
た。また、図面中では省略したが凝集槽の外周部及び保
温液の配管は断熱部材で覆った。溶解槽・成長槽・溶液
移送管には保温手段A(217)を、凝集槽には保温手
段C(219)をそれぞれ設けた。保温手段A及びCは
恒温槽であり、保温液はシリコーンオイルを使用した。
なお、図面中、保温液の配管や保温液の供給装置等の付
属ユニットは省略している。また図面中では省略した
が、蓋部A・Bなど外気との接触により温度が低下する
おそれがある部分は、その部分の外側を断熱部材で覆っ
た。
【0077】実施例3 実施例1の結晶成長装置を用いて金の結晶成長を行っ
た。本実施例の方法は、溶液中に含まれるヨウ素の濃度
が増大するほど金の溶解度が増大することを利用したも
のであり、物質Aが金、物質Bがヨウ素、物質Aの溶液
(4)がヨウ素を含む金錯体溶液の場合の例である。
【0078】蒸留水1リットルにヨウ化カリウム80g
及びヨウ素12gを溶解し、この溶液に金粉末を4g投
入して溶解させた(物質Aの溶液(4))。この溶液
(4)を分取し、溶解槽(1)・成長槽(2)・溶液移
送管(3)に満たした。次いで、固体状の物質A(5)
として金のワイヤ20gを溶解槽内に投入し、基板
(6)としてシリコンウエハを溶解槽に投入した。凝集
槽(12)には、凝集液(16)としてエタノールを入
れた。
【0079】次に、溶解槽・成長槽・溶液移送管の装置
本体および凝集槽を、それぞれ、保温手段A及びC内で
循環しているそれぞれのシリコーンオイル中に浸し(図
1参照)、凝集槽を一定の温度に保った。溶解槽・成長
槽・溶液移送管内の溶液温度Taを75℃、蒸気移送管
の温度Tbを85℃、凝集槽内の溶液(凝集液(1
6))の温度Tcを20℃に設定した。これにより、成
長槽から25ml/hの速度で溶液が蒸発することを確認し
た。なお、ここで蒸発する成分は、溶液中のヨウ素成分
・水・エタノールであり、このヨウ素成分・水・エタノ
ールを含む蒸気は、全て蒸気移送管(11)を通って凝
集槽(12)へ移送された。凝集槽では蒸気が冷却さ
れ、凝集液(16)であるエタノール中にヨウ素成分・
水・エタノールが回収された。
【0080】蒸発が開始した後、供給手段D(15)に
よって流速5ml/hで、上記凝集液(16)を溶解槽へ連
続的に滴下した。
【0081】以上のようにして10日間、結晶の析出・
成長を行ったところ、シリコンウエハ上には、シリコン
ウエハの面内方向の直径が平均で約2mmの平板状単結晶
群からなる金薄膜が形成していた。
【0082】実施例4 実施例3の方法を実施し、金薄膜が形成したシリコンウ
エハを取り出した後、別のシリコンウエハ(金薄膜が形
成していない)を成長槽へ投入した。一方で、凝集槽に
回収された量の凝集液を、溶解槽へ供給し、実施例3と
同様にして再び結晶の析出・成長を行った。その結果、
実施例3と同様の平板状単結晶群からなる金薄膜がシリ
コンウエハ上に形成していた。
【0083】実施例5 実施例3の方法で予め作製した金薄膜が形成したシリコ
ンウエハを、成長槽に投入し、実施例3と同様にして再
び結晶の析出・成長を行った。その結果、シリコンウエ
ハ上のそれぞれ結晶が再び成長し、実施例3の結晶より
大型の平板状単結晶群からなる金薄膜が形成した。
【0084】実施例6 実施例2の結晶成長装置を用いた以外は、実施例3の方
法と同様にして結晶成長を行った。なお、Taは75
℃、Tcは20℃に設定し、成長槽からの溶液の蒸発量
は25ml/hであった。また、供給手段D(215)の流
速は5ml/hとした。その結果、実施例3と同様の平板状
単結晶群からなる金薄膜がシリコンウエハ上に形成して
いた。
【0085】結晶状態の評価 実施例3〜6の方法により作製したそれぞれの平板状金
単結晶群からなる金薄膜を、位相差顕微鏡、走査型トン
ネル顕微鏡、及び原子間力顕微鏡により観察を行った。
その結果、それぞれの平板状金単結晶群は、結晶の成長
過程で発生する1段が1原子層に相当する数段のステッ
プのみが観察され、それ以上の大きな段差や穴は確認さ
れなかった。また、結晶の異常成長等に起因する欠陥は
見られなかった。したがって、本発明の結晶成長装置を
用いた本発明の方法によれば、表面の平滑性が非常に高
い良質な平板状金単結晶群、及びこの結晶群なる金薄膜
が形成可能である。
【0086】
【発明の効果】本発明の結晶成長装置は、その溶解槽・
成長槽・溶液移送管の構造が単純であるため、これら装
置内の溶液が循環する全ての箇所を所望の温度に容易に
制御することができる。そのため、良質な結晶(金薄
膜)を安定的に形成できる。
【0087】本発明の結晶成長装置によれば、この装置
を用いた本発明の方法によって、良質な結晶(金薄膜)
が安定的に得られる他、長時間、連続的に結晶成長が行
え、その結果、大粒径の結晶(大粒径の結晶からなる金
薄膜)を形成できる。
【0088】本発明の結晶装置によれば、揮発性の物質
Bを装置系外に排出することがないため、周囲の環境に
影響を与えないで結晶成長を行うことができる。
【0089】本発明の結晶装置によれば、一度蒸発した
溶液を回収して再利用するすることができるため、長時
間・連続して、さらには繰り返し結晶成長を行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の結晶成長装置の一例を示す概略
図である。
【図2】本発明の第2の結晶成長装置の一例を示す概略
図である。
【図3】従来の結晶成長装置の概略図である。
【図4】従来の結晶成長装置の概略図である。
【符号の説明】
1、201、31、41 溶解槽 2、202、32、42 成長槽 3、203、33、43 溶液移送管 4 物質Aの溶液 5 固体状の物質A 6 基材 7、207 蓋部A 8、208 供給口 9 蒸気の開放部 10 蓋部B 11 蒸気移送管 12、212 凝集槽 13、213 供給管 14、214 供給量制御装置 15、215 供給手段D 16 凝集液 17、217 保温手段A 18 保温手段B 19、219 保温手段C 34a、34b ジャケット 35a、35b、49 蓋 36、46 フィルタ 37 槽連結部 38 内圧調整コック 44 ポンプ 45 返送管 47 回転モーター 48 回転軸 210 蓋部C
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 18/42 C23C 18/42

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解槽、成長槽及びこれらの槽を接続す
    る溶液移送管、並びに保温手段Aを主要な構成とする結
    晶成長装置において、溶解槽には蓋部Aを設け、成長槽
    には蓋部B及び蒸気の開放部を設け、この開放部には保
    温手段Bを備えた蒸気移送管の一方を接続し、この蒸気
    移送管の他方は保温手段Cを備えた凝集槽へ接続し、さ
    らに、この凝集槽内の溶液を前記溶解槽へ供給する供給
    手段Dを設けたことを特徴とする結晶成長装置。
  2. 【請求項2】 溶解槽、成長槽及びこれらの槽を接続す
    る溶液移送管、並びに保温手段Aを主要な構成とする結
    晶成長装置において、溶解槽及び成長槽のそれぞれに蓋
    部を設け、この成長槽の内部おいて保温手段Cを備えた
    凝集槽を槽内溶液の上方に設け、さらに、この凝集槽内
    の溶液を溶解槽へ供給する供給手段Dを設けたことを特
    徴とする結晶成長装置。
  3. 【請求項3】 揮発性の物質Bにより溶解度が増大する
    物質Aの結晶成長方法において、請求項1又は2記載の
    結晶成長装置の槽内に、物質Bとともに溶解した物質A
    の溶液を入れ、溶解槽内のこの溶液中へ固体状の物質A
    を投入し、さらに、少なくとも、この溶解槽へ凝集槽内
    の溶液を適宜供給しながら、前記結晶成長装置槽内の溶
    液を所定の温度に保つことによって、成長槽内の溶液中
    へ投入した基材に物質Aの結晶を析出・成長させること
    を特徴とする結晶成長方法。
  4. 【請求項4】 結晶を析出・成長させた後、結晶が形成
    した基材を取り出し、前記基材とは別の基材を成長槽内
    の溶液中へ投入することによって、結晶が形成した基材
    を連続的に複数作製する請求項3記載の結晶成長方法。
  5. 【請求項5】 結晶を予め形成させた基材を、成長槽内
    の溶液中に投入することによって、さらに結晶を成長さ
    せる請求項3又は4記載の結晶成長方法。
  6. 【請求項6】 物質Aが金である請求項3、4又は5記
    載の結晶成長方法。
  7. 【請求項7】 物質Bがヨウ素ある請求項6記載の結晶
    成長方法。
  8. 【請求項8】 物質Bが臭素である請求項6記載の結晶
    成長方法。
  9. 【請求項9】 物質Bが塩素である請求項6記載の結晶
    成長方法。
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