JPH08296247A - 地下外壁の防水工法 - Google Patents

地下外壁の防水工法

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JPH08296247A
JPH08296247A JP7125767A JP12576795A JPH08296247A JP H08296247 A JPH08296247 A JP H08296247A JP 7125767 A JP7125767 A JP 7125767A JP 12576795 A JP12576795 A JP 12576795A JP H08296247 A JPH08296247 A JP H08296247A
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淳吉 相臺
Hajime Ozeki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 地下建造物の外壁の外側に、山留め壁との間
に結露防止効果を有する防水層を形成する。 【構成】 地盤Gに凹設した垂直壁面に形成した山留め
壁1面全面に複数枚の非透水性の発泡シート2を部分固
定してその発泡シート敷設面を形成し、該発泡シート敷
設面の全面に、複数枚の多孔基材シート4を部分固定し
て多孔基材シート敷設面を形成し、その敷設面の全面に
緩凝固性のゴムアスファルトエマルジョンを吹付けて該
多孔基材シートの内部に含浸させ且つ凝固せしめたゴム
アスファルト防水層6を形成し、その防水層6の全面
に、樹脂モルタル8を介し又は介することなく、建造物
の地下外壁7を構築して成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地下外壁の防水工法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地中に構築される建造物の壁の防
水工法としては、作業スペースが充分にないために、殆
ど先やり施工が行われている。即ち、従来、外防水・先
やり施工による地下外壁の防水施工では、各種の工法に
よって構築された山留め壁の内側に防水層を形成するに
はアスファルト系防水シートや合成高分子系防水シート
を接着剤で貼り付ける方法が古くから行われている。最
近では、その山留め壁面に透水性を有する発泡シートを
介し又は介することなく防水層を形成した後、該防水層
の内側に、建造物の躯体コンクリートを打設して建造物
の外壁を構築している。この場合、該防水層の形成は、
不織布から成る多孔基材シートを該山留め壁に貼着した
後、その上からゴムアスファルト系エマルジョンと凝固
剤水溶液を同時に吹付けて形成することが行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、上記従来
の地下外壁の防水施工法では、山留め壁と建造物の地下
外壁との間の断熱性が殆どないため、該外壁の内側に結
露を生ずる不都合を伴った。また、従来のアスファルト
系防水シートや合成高分子系防水シートを接着剤で貼り
付ける方法では、防水シート同士の重ねを取る継手部分
は、水密性を確保するため入念に貼り合わせなければな
らないため繁雑であり、従って、工期も長くかかる。そ
して、この継手部分は経年変化により剥離し易く、この
部分から漏水する危険がある。また、従来のゴムアスフ
ァルト系エマルジョンと凝固剤水溶液とを同時に吹付け
た場合、該凝固剤水溶液は瞬結性であるので、ゴムアス
ファルト系エマルジョンとの接触混合により多孔基材シ
ートの表面で直ちにゴムアスファルト系エマルジョンの
凝固を生じてしまい、該多孔基材シートの厚さが厚くな
るにつれて、その内部に充分に浸透させることが困難と
なり、防水層が該多孔基材の表面にのみ形成された肉薄
の信頼性の低い防水層が形成されるにすぎない不都合が
あった。また、特に、多孔基材シート同士を重ね合わせ
た部分では、更に、その浸透が不充分となり、良好な防
水層を形成することができなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の不
都合を解消し、その施工作業が容易迅速に行うことがで
き、而も結露の防止された地下外壁の防水工法を提供す
るもので、地盤に形成した凹部の垂直壁面に山留め壁を
形成し、該山留め壁の全面に、非透水性の発泡シートを
部分固定して該発泡シート敷設面を形成し、次で、該発
泡シート敷設面の全面に、多孔基材シートを部分固定し
て基材シート敷設面を形成した後、該多孔基材シート敷
設面の全面に緩凝固性のゴムアスファルトエマルジョン
を吹付けて該多孔基材シートに含浸凝固した防水層を形
成し、次で、該防水層の全面に密着して地下外壁を形成
し、次で、該防水層の全面に密着して建造物の地下外壁
を構築することを特徴とする。
【0005】
【作用】該非透水性の発泡シートは、該山留め壁の全面
に部分固定するので、該山留め壁と該発泡シート敷設面
との間に、部分固定部を除いて、縦方向及び横方向に連
通する大面域の空隙が生ずるので、該山留め壁の外側の
地盤から該山留め壁を介して滲み出る水は、該空隙を通
して流下し、下方に設ける排水路から集水ピットに排出
される。一方、該発泡シートは、非透水性であるから、
大きい断熱性を有するので、その内側に形成される建造
物の地下外壁に結露を生ぜず、その建造物の室内は良好
な環境に保たれる。このように形成された該発泡シート
は山留め壁のような凸凹や粗面と異なり平坦面であるの
で、その平坦な発泡シート敷設面の全面の上面に該多孔
基材シートを平坦に施すことができ、その結果、その上
から吹付けられて形成される防水層を均一な厚さに形成
できる。このようにして形成した多孔基材シート敷設面
の全面に吹付けた緩凝固性のゴムアスファルトエマルジ
ョンは、徐々に凝固するので、その凝固するまでに該ゴ
ムアスファルトエマルジョンを該多孔基材シートの内部
に浸透させることができ、更には、該発泡シートの内側
面に達せしめることができ、この状態で凝固するので、
該発泡シートの敷設面と該該多孔基材シートと敷設面と
が該凝固した防水剤で全面的に結着され、該多孔基材シ
ートを芯材とした肉厚の防水層が形成される。この場
合、一般に、該多孔基材シートの敷設面の表面に防水被
膜が形成される。このように形成された防水層の全面に
地下構造物の外壁を形成するべく、コンクリートを打設
して、該防水層の内面に密着した地下外壁を構築するこ
とにより、本発明の防水施工を完了する。かくして、該
山留め壁と地下外壁との間に、堅牢な断熱層と防水層を
有する施工が容易に得られる。
【0006】更に、本発明によれば、必要に応じ、該防
水層を形成後、その表面に樹脂モルタル層を形成し、該
樹脂モルタルの全面に、上記のように地下外壁を密着さ
せて構築する。然るときは、該防水層の内側に直接外壁
を構築する場合に、そのコンクリートの打設作業によ
り、防水層の表面を傷付ける恐れを防止できる。
【0007】該緩凝固性のゴムアスファルトエマルジョ
ンとしては、アニオン系アスファルトエマルジョンを主
剤とし、これにゴムラテックス及び酸化亜鉛又は/及び
酸化マグネシウムを加えて成るゴムアスファルトエマル
ジョンと非イオン性ポリウレタン水分散液とを加えて成
る組成物Aと;アンモニウム塩の水溶液に、凝固緩衝剤
としてアルコールを配合して成る組成物Bとの混合液で
あり、これら液状の組成物Aと組成物Bは、使用直前に
混合して使用され、含有するアルコールによりアンモニ
ウム塩によるゴムアスファルトエマルジョンの凝固作用
を遅緩させることができる。
【0008】この場合、該組成物Aは、ゴムアスファル
トエマルジョンの固形分100重量部に対し非イオン性
ポリウレタン水分散液を固形分として0.2〜0.8重
量部を加えたものが好ましい。該非イオン性ポリウレタ
ン水分散液の添加量が0.2重量%未満では、吹付けら
れた混合液の粘度がやゝ低過ぎ、若干流出する傾向とな
り、また、凝固後の防水層の耐透水性がやゝ不充分とな
る傾向があり、反面、0.8重量%を越えると混合物の
粘度が高くなり過ぎ、多孔基材シート内部への浸透性が
低下する傾向がある。
【0009】また、樹脂モルタルとしては、セメントと
セメント100重量部に対して100乃至300重量部
配合された骨材と樹脂との混練物から成り、且つ骨材を
混合したセメント100重量部に対して樹脂を固形分と
して10乃至50重量部配合して成るものが好ましく、
樹脂の固形分が10重量部未満では、防水層との接着性
及びあとから打設されるコンクリート外壁との接着性が
低下する恐れがあると共に、樹脂モルタル層のひゞ割れ
を生ずる嫌いがある。一方、50重量部を越える場合
は、吹付けるときの粘度が高くなり過ぎ好ましくない。
【0010】
【実施例】次に、本発明の実施例を詳述する。先ず、地
盤Gに地表から所定の深さ及び空間に掘り下げて形成し
た凹所の垂直壁面に、常法により山留め壁を形成する。
山留め壁の構築は、従来から用いられている親杭横矢板
工法、矢板工法、柱列工法、連続工法などの各種の工法
があるが、夫々の特徴を有しており、土質、その他周囲
の条件によって適宜選択される。尚、山留め壁として杭
を使用した場合は、その杭列の各杭の内側は平坦面に形
成する。このように形成された山留め壁1の平坦な内側
全面に、所望の長さ、幅の少なくとも非透水性の、好ま
しくは更に柔軟性を有する発泡シート2の多数枚を用意
し、順次、隣同志の発泡シートの端縁部をつき合わせ、
或いは重ね合わせた状態で接着剤又は釘打ち、タッカー
などで部分固定して、発泡シート2の敷設面を形成す
る。該発泡シートは、独立気泡構造を有する非透水性で
あり、材質は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂
などの合成樹脂製或いは天然ゴム、スチレン・ブタジエ
ンゴムなどのゴム製などから任意選択され、公知の任意
の製造法で製造される。本発明で使用する上記の発泡シ
ートの厚さは、適度の断熱性、緩衝性などの点から、3
mm以上であることが好ましく、また取扱性、経済性を
も考慮すると、3〜10mm程度で、運搬に便利な大き
さの板状又は適宜の幅と長さをもつロール状のものが使
用上有利である。好ましくは、かゝる非透水性の他に柔
軟性を有する発泡シートを使用する。該発泡シートの該
山留め壁の内面への部分固定手段は、ホットメルト接着
剤、瞬間接着剤などの適当な接着剤を所定の間隔で横方
向及び縦方向に点状に施して、その上から発泡シートを
押圧貼着するか、該発泡シートを該山留め壁の内面に重
ねて横方向及び縦方向に所望の間隔を存して釘打ち、鋲
打ちなどで部分固定する。いずれにしても、安定な状態
に夫々の発泡シートを該山留め壁の内面に部分固定でき
れば良く、例えば、縦方向、横方向に20〜40cm程
度の間隔で固定すれば足りる。
【0011】発泡シートを部分固着するようにした理由
は、該山留め壁への取り付け作業を高能率に行うことが
できるようにしたことの他に、該山留め壁面と該発泡シ
ート敷設面との間に、該部分固定間に縦方向、横方向に
広い面域で互いに連通する空隙を形成せしめ、これら空
隙を地盤から湧出する地下水の排水通路として利用する
ためである。従って、該山留め壁面と該発泡シート敷設
面との間に形成された通過空隙の下端は、該建造物のコ
ンクリート床盤の下方に形成した集水ピットに、排水路
を介して連通するようにし、該湧水は、該集水ピットに
排出されるようにする。尚、該集水ピットに溜まった水
は、適時揚水ポンプなどで地上へ排出除去される。
【0012】更に、本発明によれば、該発泡シートは、
非透水性であるから、湧水が該発泡シート内部に侵入す
ることがないので、その内側に構築される建造物の外壁
の内側に結露を生じることを防止することができる。ま
た、該発泡シートが柔軟性を有するときは、該山留め壁
面に多少の凹凸面があっても、その外側面はこれに馴染
み、その内側面を平坦面に確保することができる。
【0013】本発明は、次で、該発泡シート敷設面の全
面に多孔基材シートを敷設し、これに防水剤を吹付けて
防水層を形成するようにしたので、従来の山留め壁に生
ずる凸凹面や粗面に直接アスファルト系防水シートや合
成高分子系防水シートを貼着して防水層を形成する場合
に生ずる継手部分の水密性の確保が難しく、入念に防水
シートを貼り合わせる煩わしさ、作業の非能率をもたら
した山留め壁に直接多孔基材シートを施す場合に生ずる
凸凹面による貼着の不良、これに防水剤を吹付けて形成
される防水層が凹凸面を生ずるなどの不都合を解消でき
る。即ち、本発明によれば、該山留め壁の内側全面の凸
凹面や粗面に施した発泡シートの内側面は、山留め壁面
と異なり平坦面であるので、その平坦面上に該多孔基材
シートを積層することができるので、その上から防水剤
を吹付けた場合、全面に亘り均一な厚さの防水層を容易
且つ迅速に形成することができる。
【0014】而も、該防水層と山留め壁との間に発泡シ
ートが介在するので、山留め壁のムーブメントに対し
て、該発泡シートが緩衝材の役目をなし、その緩衝作用
により、該防水層の破断などの事故を防止でき、防水性
能を長期間に亘り確保できる効果をもたらす。
【0015】該多孔基材シートとしては、無機繊維、有
機繊維を材料とし、0.5mm以上の厚さの織布、不織
布などから適宜選択使用される。例えば、ポリエステ
ル、ビニロン、ポリプロピレンなどの合成繊維を材料と
し、ニードルパンチ法により製造した厚さ2乃至5mm
程度の不織布、或いはポリエステル繊維などから成る繊
維密度が密な上下二層の布帛とこれら布帛の中間層とし
てモノフィラメントを接結糸で上下布帛を接結すると共
に、繊維密度が粗な空隙層を形成して成る三層構造シー
ト;或いはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ルなどの熱可塑性樹脂を、直径1mm程度のノズルから
溶融防糸し、これが冷却する迄にその糸条を三次元的に
屈曲変形させ且つ互いに部分的に溶着して製造した三次
元の網状シートなどを多孔基材シートとして使用する。
【0016】本発明の上記の所望の多孔基材シートの多
数枚を用意し、その夫々を該発泡シート敷設面の全面
に、順次、相隣る両側縁をつき合わせ或いは重合した状
態で、釘、タッカーによる鋲打ち又はホットメルト接着
剤などの点状付与などの固定部材で、適宜個所で部分固
定し、該発泡シート敷設面に該多孔基材シート敷設面を
仮着する。次で、このように形成された多孔基材シート
敷設面全面に、緩凝固性のゴムアスファルトエマルジョ
ンを吹付けて該多孔基材シートの内部に深く浸透させ、
好ましくは、該発泡シートの面に達するまで浸透させる
と共に、その表面に適当な肉厚層を形成し、緩徐に凝固
させて該発泡シート面に接着した該多孔基材シートを芯
材としたこれと一体の安定堅牢な防水層を形成する。
【0017】緩凝固性のゴムアスファルトエマルジョン
としては、アニオン系アスファルトエマルジョンを主剤
とし、これにゴムラテックス及び酸化亜鉛又は/及び酸
化マグネシウムを加えて成るゴムアスファルトエマルジ
ョンと非イオン性ポリウレタン水分散液とを加えて成る
組成物Aと;前記ゴムアスファルトエマルジョンの凝固
剤として、アンモニウム塩の水溶液に、凝固緩衝剤とし
てアルコールを配合して成る組成物Bとの混合液から成
り、防水施工に際し、使用直前に両組成物A,Bを混合
するようにする。
【0018】該組成物Aの主剤であるアニオン系アスフ
ァルトエマルジョンとしては、例えば、針入度40乃至
200のストレートアスファルトを、オレイン酸、リノ
ール酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩を乳化剤とし
て用い乳化させたものが挙げられる。これらのアニオン
系アスファルトエマルジョンは、通常、固形分が60乃
至80重量%のものに得られる。ゴムラテックスとして
は、例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレン・
ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどの
合成ゴム、天然ゴムなどを乳化させたもの、又はこれら
の乳化させた乳化液の混合したものが挙げられる。これ
らのゴムラテックスは、通常、固形分が40乃至60重
量%のものに得られる。
【0019】該アニオン系アスファルトエマルジョンに
添加される酸化亜鉛又は酸化マグネシウムの単独又はそ
の両者の混合物は、該アスファルトエマルジョン100
重量部(固形分換算)に対して0.8〜1.2重量部が
通常使用される。
【0020】該ゴムアスファルトエマルジョンは、通常
前記アニオン系アスファルトエマルジョン100重量部
(固形分換算)に対して、前記ゴムラテックス5乃至2
5重量部(固形分換算)を均質に混合して得る。本発明
に用いる非イオン性ポリウレタン水分散液は、既に知ら
れているものにデュポン社によって開発されたものがあ
る。これは、非イオン系の乳化剤を用い、末端イソシア
ネート基を有するプレポリマーを、水中に機械的に乳化
し、トリレンジアミンを鎖延長剤として使用し、粒子界
面で反応させて高分子化させるものである。また、バイ
エル社で開発されたものは、長鎖アルコールのアルキレ
ンオキサイド縮合物と水酸基の如き親水基を含有するア
ミンを、ポリウレタンプレポリマーと反応させることに
より非イオン性の分散液を得るものであるが、この場合
の固形分は50重量%程度のものが得られる。この方法
は、ポリマーの中に極性基を導入してポリマーを自己乳
化型にし、乳化剤を使用しないで水分散液を得るもので
あり、乳化剤を用いて機械的に分散して得られるものに
比べて粒子径が極めて小さく、而も均一なものが得られ
る。また、ポリウレタン水分散液の機械的安定性は、非
イオン性のものがイオン性のものに比して優れている。
更に、イオン性ポリウレタン水分散液は、何れも電解質
の存在に敏感であり、電解質を添加すると、水分酸液は
不安定になり凝固するものが多い。これに対して、非イ
オン性ポリウレタン水分散液は電解質の影響を殆ど受け
ない。本発明に用いる非イオン性ポリウレタン水分散液
としては、乳化剤を使用して作られたもの、自己乳化型
にし乳化剤を使用しないで作られたもの、何れも使用す
ることができるが、粒子の均一性及び機械的安定性など
の理由から後者を使用するのが好ましい。本発明では、
予めゴムアスファルトエマルジョンに非イオン性ポリウ
レタン水分散液を混合するが、粘度等の物性について、
長期に亘り変化がなく良好な貯蔵安定性を示すので、使
用前の保管中に変質をきたすことはない。
【0021】ゴムアスファルトエマルジョンに対する非
イオン性ポリウレタン水分散液の添加量は、ゴムアスフ
ァルトエマルジョン100重量部(固形分換算)に対し
非イオン性ポリウレタン水分散液の添加量は、0.2〜
0.8重量部(固形分換算)が好ましい。使用量が0.
2重量部未満では、混合液の粘度がやゝ低過ぎて、吹付
けられた混合液が基材シート内部に充分浸透するものの
若干流出する傾向があり、凝固後の防水層の耐透水性が
不充分となる恐れがある。一方、使用量が0.8重量部
を超えると、混合液の粘度が高くなり過ぎ、基材シート
内部への浸透性が低下する。
【0022】本発明において、該組成物Aの凝固剤とし
て用いるアンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、
炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどが挙げられ
る。これらは、凝固剤として何れも好適に使用すること
ができる。本発明では、かゝるアンモニウム塩の水溶液
は、通常30%水溶液として使用するが、水溶液の濃度
はこれに限定されるものではなく、適宜選択することが
できる。
【0023】本発明によれば、該アンモニウム水溶液
に、凝固緩衝剤としてアルコールを配合し、組成物Aと
混合したとき該ゴムアスファルトエマルジョンの凝固を
遅延させる組成物Bを作成するものであるが、該凝固緩
衝剤として用いるアルコールとしては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、
イソブチルアルコール、ノルマルオクチルアルコール、
イソオクチルアルコール、エチレングリコール、トリメ
チレングリコールル及びグリセリンなどのアルコール類
から選んだ少なくとも一種のアルコールが使用できる。
一般に、本発明に用いるアンモニウム塩の30%水溶液
とアルコールの配合割合は、容量比で9:1程度で良
い。
【0024】発明者らは、先に、従来見られたゴムアス
ファルトエマルジョンの凝固に際してもゴムラテックス
の分離を防止することができると言う利点があることを
見出した。即ち、ゴムアスファルトエマルジョンは、ア
スファルトエマルジョンにゴムラテックスを混合して得
られるが、両者の化学的性質が異なるので、この混合物
に凝固剤を添加して凝固させると、アスファルトエマル
ジョンとゴムラテックス固有の凝固速度によって両者は
別々に、即ち、アスファルトエマルジョンが前に凝固し
てしまい、ゴムラテックスが分離する。そこで、公知の
ものでは多孔質の無機質粉末を分散して存在させ、両者
の凝固速度を一致させる試みがなされているが、本発明
に使用するゴムアスファルトエマルジョンには非イオン
性ポリウレタン水分酸液が使用されているので、ゴムア
スファルトエマルジョンの凝固に際してのゴムラテック
スの分離は全くない。その理由として、非イオン性ポリ
ウレタン水分散液がアンモニウム塩によって増粘する性
質によりゴムアスファルトエマルジョン全体が増粘し、
この増粘現象が、ゴムアスファルトエマルジョンの凝固
に当たって、アスファルトエマルジョンの凝固した後の
ゴムラテックスの分離(移動)を阻止していると推定さ
れる。
【0025】本発明では、上記のゴムアスファルトエマ
ルジョンに上記の非イオン性ポリウレタン水分散液を加
えて成る組成物Aとアンモニウム水溶液に凝固緩衝剤を
加えた組成物Bは、施工する直前に、連続的に均一に混
合され、発泡シートの上に仮固定された基材シート面に
吹付けられるが、その配合割合は、容積比で組成物Aが
10〜20に対し組成物Bが1である。組成物Aが10
未満の場合は、凝固後の防水膜の収縮が大きく、防水層
に亀裂を生じ易く、20以上の場合には、未反応部分が
生じて造膜が不完全となり、均一な防水層が得られな
い。
【0026】かくして、該多孔基材シート敷設面全面
に、該組成物Aと該組成物Bとを上記のように混合され
て吹付けられると、その多孔基材シートに吹付けられた
混合液、即ち、緩凝固性のゴムアスファルトエマルジョ
ン中の非イオン性ポリウレタン水分酸液は、アンモニウ
ム塩により、徐々に増粘し顕著な増粘が認められるまで
に数分かゝる。従って、増粘の初期段階で該混合液は多
孔基材シート内部に充分浸透し、更に、該多孔基材シー
トの下地である発泡シートの表面にまで到達させること
ができる。かくして、該多孔基材シートに充分浸透した
混合液は、更に増粘するので、基材シート内部に溜まり
外へ流出することがなく、また、その表面に付着した混
合液は流下することがない。この状態で、その後ゴムア
スファルトエマルジョンの凝固が開始される。その凝固
の進行は次のようにして行われる。即ち、ゴムアスファ
ルトエマルジョンに含まれる酸化亜鉛又は/及び酸化マ
グネシウムとアンモニウム塩が反応して金属アンモニウ
ム錯塩が生成し、同時にpHの低下によって金属イオン
が遊離するが、この遊離した金属イオンがゴムアスファ
ルトエマルジョン中の乳化剤と反応して金属石鹸を生
じ、これが不溶性となるのでエマルジョンの吸着層の性
質が変化して、エマルジョン不安定化が促進され凝固に
至るものである。同様にして非イオン性ポリウレタン水
分酸液も凝固する。また、上記したように、ゴムアスフ
ァルトエマルジョンに非イオン性ポリウレタン水分酸液
を加えていることによって組成物Aと組成物Bを混合し
た際に組成物Aの粘度が増加するため、アスファルトエ
マルジョンとゴムラテックスの凝固速度の違いから生じ
るアスファルトエマルジョン凝固後のゴムラテックスの
分離を防止できて極めて良好なゴムアスファルトエマル
ジョン防水層を形成することができる。また、上記のア
ルコール類は、凝固の緩衝剤として作用し、アスファル
トエマルジョンの一方的且つ急速な凝固を抑制し、緩や
かな凝固を行わせるものである。
【0027】該緩凝固のゴムアスファルトエマルジョン
の吹付けは、タンクに組成物Aと組成物Bを所定の配合
割合で投入混合したものを供給パイプを介して通常の吹
付け用ガンより吹付けるか、後記する図3に示すガンに
直接組成物Aと組成物Bとを圧入、混合して吹付けるよ
うにする。
【0028】このようにして、該多孔基材シートの全面
において、内部に充分浸透し且つその発泡シート敷設面
全面に到達し、この状態で凝固することにより、該多孔
基材シート敷設面全面が該発泡シート敷設面全面に防水
剤層で結着する一方、その多孔基材シートの表面に1〜
数mm程度の被膜が形成された安定堅牢な防水層が形成
される。その後、その防水層の内側において、常法によ
り建造物の外壁をコンクリート打設により形成し、該防
水層の内側内面に密着した外壁を構築する。かくして、
外壁の外側に防水施工層が構成される。
【0029】上記の本発明の実施例では、防水層の内側
面に密接する外壁をコンクリートを打設し構築するとき
は、その打設の際に該防水層面が損傷される恐れがあ
る。本発明の他の実施例は、該防水層を形成した後、そ
の内側面全面に樹脂モルタル層を形成し、その後、該樹
脂モルタル層の内側面に密着した外壁をコンクリート打
設により構築する。かくして、コンクリート打設の際の
該防水層の損傷が防止されると共に、更に防水性の向上
した防水施工体が得られる。樹脂モルタルに用いるセメ
ントとしては、ポルトランドセメント、アルミナセメン
ト、マグネシアセメントなどが挙げられる。これらのう
ちで、ポルトランドセメントが一般的に使用される。セ
メントに混合される骨材としては、寒水粉や硅砂などが
用いられ、その配合量はセメント1に対して1乃至3程
度が一般である。セメントに混合される樹脂としては、
アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョ
ンなどの合成樹脂エマルジョンが挙げられ、必要に応
じ、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、クロロプレ
ンゴムラテックス、天然ゴムラテックスなども配合でき
る。その配合量としては、前記の骨材を混合したセメン
ト100重量部に対し、樹脂の固形分として10乃至5
0重量部である。施工では作業性の点からモルタルガン
で吹付け塗装するのが好ましく、樹脂の固形分が10重
量部未満では防水層に対する接着性及び後から打設され
るコンクリートとの接着性が低下する恐れがあり、ま
た、亀裂を生じ易くなるので好ましくない。一方、50
重量部を超えると吹付けする際の粘度が高くなり過ぎ好
ましくない。樹脂モルタルの吹付け量は、1.5乃至
4.5Kg/m3 程度で、樹脂モルタル層の乾燥後の厚
さとしては1乃至3mm程度が好ましい。
【0030】次に、本発明の実施例を添付図面図1〜図
3に基づいて説明する。 実施例1 地盤Gを所定の深さ空間に掘り下げて形成した建造物構
築用凹所の垂直壁面に沿い、ソイルパイル柱列工法によ
り山留め壁1を形成する。該山留め壁1を形成する一列
に並ぶ杭1aの内側は、予め切削された平担面1bの山
留め壁面が形成されている。かくして形成された高さ3
m、横方向の長さ10mの山留め壁の内側面全面に、厚
さ4mm、幅1m、長さ3mの非透水性で且つ柔軟性を
有するポリエチレン製の発泡シート2(日立化成工業株
式会社製;商品名ハイエチレンS)を10枚用意し、そ
の各発泡シート2の長さ方向を山留め壁の上端部より下
方に向けて垂直に、釘3打ちにより部分固定した。釘打
ち個所は、例えば、上下左右方向に約20〜40cmの
間隔とした。このようにして10枚の発泡シート2を相
隣る同士の端縁部を突き付けた状態で敷設した。次で、
このように形成した発泡シート敷設面の全面に厚さ2.
7mm(目付量300g/m2 )、長さ3m、幅1mの
ポリエステル長繊維不織布(東洋紡績社製;商品名ボラ
ンス430IN)から成る多孔基材シート4を12枚用
意し、各多孔基材シート4を、その長さ方向を山留め壁
の上端部より下方に向けて垂直にタッカーにより貼り付
けた。この場合、鋲5打ち個所は上下左右方向に約20
〜40cm間隔とした。また、相隣るシート4同士の端
縁部は150mmの重ねを取った。次に、このように形
成した多孔基材シート敷設面の全面に、緩凝固性のゴム
アスファルトエマルジョンを吹付けガンにより吹付けて
該多孔基材シートの内部に充分に浸透して凝固し且つそ
の表面に適度の被覆層を形成されて凝固した防水層6を
形成した。該緩凝固性のゴムアスファルトエマルジョン
は次のように調製された組成物Aと組成物Bの混合液で
ある。即ち、アニオン系アスファルトエマルジョンの固
形分100重量部に対し、スチレン・ブタジエンゴムラ
テックスの固形分10重量部及び酸化亜鉛0.8重量部
を加えて成るゴムアスファルトエマルジョン(固形分6
5重量%)に非イオン性ポリウレタン水分散液(バイエ
ル社製;商品名ボルチゲルL75N,固形分65重量
%)を、ゴムアスファルトエマルジョン固形分100重
量部に対し、非イオン性ポリウレタン水分酸液固形分
0.2重量部の割合で均一に混合した組成物A380K
gを調製し、タンク内に用意する一方、140Kg及び
硫酸アンモニウムの30%水溶液にエタノールを10:
1の割合で混合して成る組成物B25Kgを調製し、別
のタンク内に用意し、該組成物Aは、エアー駆動式プラ
ンジャーポンプを用い、該組成物Bはダイヤフラム式エ
アレスポンプを用いて夫々汲み上げ、図3に示す吹付け
ガンに別々に導き、且つ該組成物Aと該組成物Bとを例
えば10:1の比率で混合せしめた状態で、該多孔基材
シート面に吹付けた。吹付けを終わって10分経過後、
吹付けられた前記の嵩高不織布から成る多孔基材シート
4の状況を観察した結果、吹付け後の凝固はかなり進行
していることが判ったが、吹付け液は該多孔基材シート
の内部にまで充分且つ均一に浸透しており、而も該多孔
基材シートが重なる発泡シートの表面にまで達し且つ凝
固したゴムアスファルトエマルジョンを介して良好に接
着していた。また、一旦浸透した吹付け液は、外へ流出
した形跡は全くなかった。かくして、該多孔基材シート
の内部に充分に含浸凝固し且つその表面を被覆した該多
孔基材シートを芯材とした安定強固なゴムアスファルト
防水層6が形成されていることを確認した。
【0031】図3は、前記の吹付けガン12を示し、該
吹付けガン12には、組成物A用タンクに接続する組成
物A用流通管12aと該組成物A用流通管12a内に先
端部を挿入装着された組成物B流通管12bとの二重構
造から成り、その前方で両組成物が混合されてその先端
のノズル12cから、組成物Aと組成物Bとが所定の割
合で混合された混合液、即ち、緩凝固性のゴムアスファ
ルトエマルジョンが吹出すように構成されている。13
は、開閉調節弁を示す。混合液の吹付け量は、4.5K
g/m3 で行い、30m2 の壁面全体に吹付けるのに1
35Kgを要した。次で、このように多孔基材シート4
の内部に含浸し且つ凝固して一体に被覆結着されて形成
した防水層6の内側に、コンクリートを打設して地下構
造物の外壁7を該防水層6に密着させて構築して本発明
の防水施工を終了する。図1及び図2示の実施例では、
該防水層6をコンクート打設による損傷を防止するた
め、該防水層6の全面にアクリル樹脂エマルジョン(固
形分50重量%)(三井東圧化学社製;商品名プレノト
ップ)及びセメントを重量比で1:1の割合で混合した
樹脂モルタル8を1.5Kg/m2 吹付けて厚さ約1m
mの樹脂モルタル層8を形成した後、その内側に外壁7
を構築した場合を示す。かくして、外側が防水された且
つ結露を生じない良好な外壁をもつ建造物が得られる
が、地盤Gから湧出する水は、該山留め壁1とこれに部
分固定された発泡シート2との間に形成された上下左右
に連通する空隙9を流下し、該空隙9の下端と連結して
形成した排水路10を介して床部11下方の集水ピット
14に排出されるようにしたので、防水効果は良好に維
持される。15は、防水シートを示す。
【0032】実施例2 実施例1で用いた厚さ4mmの発泡ポリエチレンシート
製発泡シートの代わりに、厚さ10mm、幅1m、長さ
3mの発泡ポリエチレンシート(日立化成工業社製;商
品名ハイエチレンEF3010N)を、山留め壁の全面
に実施例1と同じようにして釘打ちする代わりにエチレ
ン・酢ビ系ホットメルト接着剤を介して部分固定して貼
り付けた。更に、実施例1で用いた嵩高不織布から成る
多孔基材に代えて、厚さ7.5mm(単位面積当たりの
質量570g/m2 )、幅1m、長さ3mのポリエステ
ル繊維製の繊維密度が密な上下二層の布帛を、モノフィ
ラメントを接結糸として中間に繊維密度が粗な空隙層を
形成させた三層構造シート(東洋紡績社製;商品名コス
モレベル)から成る多孔基材シートを10枚用意し、こ
れらをタッカー打ちする代わりにエチレン・酢ビ系ホッ
トメルト接着剤で相隣るシート同士の端縁部を突き付け
た状態として、前記の発泡シート敷設面に部分固定で貼
り付け、更に、各相隣る多孔基材シート同士の端縁部の
突き付けにした目地に沿って、該目地が中心に位置し、
その両端縁部に跨がって、厚さ2mm、幅200mm、
長さ3mの帯状の不織布シート(東洋紡績社製;商品名
ボランス4211N)を、エチレン・酢ビ系ホットメル
ト接着剤で点貼りして固定し、該目地を塞いだ。次で、
アニオン系アスファルトエマルジョンの固形分100重
量部に対し、スチレン・ブタジエンゴムラテックスの固
形分20重量部及び酸化マグネシウム1.2重量部を加
えて成るゴムアスファルトエマルジョン(固形分64重
量%)に非イオン性ポリウレタン水分散液(バイエル社
製;商品名ボルチゲルL75N,固形分50重量%)
を、ゴムアスファルトエマルジョン固形分100重量部
に対し非イオン性ポリウレタン水分散液固形分0.8重
量部の割合で均一に混合した組成物A350Kgと炭酸
アンモニウムの30%水溶液にエタノールルを10:1
の割合で混合して成る組成物B19Kgとを用意して、
前記の多孔基材シート敷設面全面に、前記の吹付けガン
を使用して実施例1と同じようにして吹付けた。上記の
場合の組成物Aと組成物Bの混合比率は20:1で、且
つ吹付け量は13Kg/m2 で行った。30m2 の壁面
全体に吹付けるのに390Kgを要した。このようにし
て、発泡シート敷設面上に多孔基材シートを芯材とする
一体の強固なゴムアスファルト防水層を作製した。上記
の吹付けが終了後10分経過してから、吹付けされた多
孔基材シートの状況を観察した結果、吹付け後の凝固は
かなり進行していることが判ったが、吹付け液は三層構
造の多孔基材シート内部にまで充分且つ均一に浸透して
居り、而も該多孔基材シートの裏面及びその下側の発泡
シートの表面にまで達した状態で凝固し、かくして、多
孔基材シートが凝固したゴムアスファルトを介して該発
泡シートに良好に接着した而も該多孔基材シートの表面
を被覆したゴムアスファルト防水層が形成されていた。
また、該多孔基材シートに一旦浸透した吹付け液は、外
へ流出した形跡は全くなかった。次で、このように形成
された上記の防水層の上に、実施例1と同じようにして
厚さ約1mmの樹脂モルタル層を形成し、その内側にこ
れに密着した外壁を形成し防水施工を完了した。
【0033】実施例3 実施例1において、ゴムアスファルトエマルジョン固形
分100重量部に対し、非イオン性ポリウレタン水分散
液固形分0.1重量部の割合で混合した組成物Aを用い
る他は、全て実施例1と同じ方法でゴムアスファルト防
水層を形成した。吹付けを終わって10分経過後、吹付
けされた多孔基材シートの状況を観察した結果、吹付け
後の凝固はかなり進行していることが判った。また、吹
付け液は多孔基材シート内部にまで充分且つ均一に浸透
して居り、而も該多孔基材シートの裏面及びその下側の
発泡シートの表面にまで達し、凝固したゴムアスファル
トを介して良好に接着していた。但、一旦浸透した吹付
け液が、外へ若干流出した形跡が見られた。 実施例4 実施例1において、ゴムアスファルトエマルジョン固形
分100重量部に対し、非イオン性ポリウレタン水分散
液固形分0.9重量部の割合で混合した組成物Aを用い
る他は、全て実施例1と同じ方法でゴムアスファルト防
水層を形成した。吹付けを終わって10分経過後、吹付
けされた多孔基材シートの状況を観察した結果、吹付け
後の凝固はかなり進行していることが判った。また、吹
付け液は多孔基材シート内部にまで充分且つ均一に浸透
していて、浸透した吹付け液が外へ流出した形跡は全く
が見られなかった点で実施例1と同じであったが、該多
孔基材シートの裏面及びその下側の発泡シートの表面に
まで到達しないで、部分的に未浸透の白い部分が部分的
に若干残っていた点で実施例1と相違した。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、地中に山留め壁を形成
し、山留め壁の内側全面に非透水性の発泡シートを部分
固着して敷設し、次でその表面全面に多孔基材シートを
敷設固定した後、この多孔基材シート敷設面全面に緩凝
固性のゴムアスファルトエマルジョンを吹付けてその防
水層を形成し、その内側に該防水層に密着して建造物の
外壁を構築するようにしたので、該山留め壁と外壁との
間に防水施工が容易になし得られる。
【0035】また、山留め壁と非透水性の発泡シート敷
設面との間に縦横に連通する間隙路が形成されるので、
地盤から山留め壁を介して湧出する水は、該間隙路を介
して流下し、排水路を介し集水ピットへ排出せしめるこ
とができる。
【0036】また、発泡シートは、非透水性であるの
で、地下外壁の内側に結露を生ずることを防止でき、建
造物の室内の環境を良好に保つことができる。
【0037】また、山留め壁は、平滑面に形成しても粗
面且つ凸凹面を有するので、この上面に該発泡シートを
重ねて、その内側面を防水層形成用の下地とすることに
より、平坦で且つ均一な厚さを有する防水層を形成する
ことができる。
【0038】また、上記のように防水層は、山留め壁に
重ねた発泡シートを介して形成するので、山留め壁のム
ーブメントに対して該発泡シートは緩衝作用をするの
で、防水層の破断を防止でき、防水層を良好な状態に長
期に亘り維持できる。
【0039】また、緩凝固性のゴムアスファルトエマル
ジョンを発泡シートに重ねた該多孔基材シートに吹付け
るので、該吹付け液は凝固するまでに該多孔基材シート
の内部まで含浸でき、該多孔基材を芯材としたこれに一
体で肉厚の耐剥離性の安定強固なゴムアスファルト防水
層を形成することができる。
【0040】この場合、該緩凝固性のゴムアスファルト
エマルジョンを請求項2記載の組成物A及び組成物Bの
混合液から成り且つ該組成物Aとしてゴムアスファルト
の固形分100重量部に対し非イオン性ポリウレタン水
分散液を固形分0.2〜0.8重量部を加えたものであ
るときは、これを該多孔基材シートに吹付けて該シート
内部に充分浸透せしめることができると共に一旦含浸し
た混合液は流水することなく、良好な防水層を形成する
ことができる。
【0041】更に、本発明によるときは、該防水層を形
成した後、その表面全面に樹脂モルタル層を形成すると
きは、該防水層に損傷を与えることなくその内側にコン
クリート打設により建造物の外壁を構築することができ
ると共に、外壁外側の防水性を更に向上せしめることが
できる。
【0042】この場合、該樹脂モルタルを、骨材を混合
したセメント100重量部に対し樹脂の固形分を10〜
50重量部を配合するときは、吹付けを容易にすると共
にひゞ割れのない而も該防水層と外壁のコンクリートと
の接着性の良好な樹脂モルタル層を形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水施工法を示す実施例の一部を裁除
した斜面図である。
【図2】図1示の実施例の断面図である。
【図3】本発明に使用する1例の吹付けガンの正面図で
ある。
【符号の説明】
1 山留め壁 2 非透水性の
発泡シート 3 釘 4 多孔基材シ
ート 5 タッカー 6 防水層 7 外壁 8 樹脂モルタ
ル層 9 連通用間隙 G 地盤

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤に形成した凹部の垂直壁面に山留め
    壁を形成し、該山留め壁の全面に、非透水性の発泡シー
    トを部分固定して該発泡シート敷設面を形成し、次で、
    該発泡シート敷設面の全面に、多孔基材シートを部分固
    定して基材シート敷設面を形成した後、該多孔基材シー
    ト敷設面の全面に緩凝固性のゴムアスファルトエマルジ
    ョンを吹付けて該多孔基材シートに含浸凝固した防水層
    を形成し、次で、該防水層の全面に密着して地下外壁を
    形成し、次で、該防水層の全面に密着して建造物の地下
    外壁を構築することを特徴とする地下外壁の防水工法。
  2. 【請求項2】 地盤に形成した凹部の垂直壁面に山留め
    壁を形成し、該山留め壁の全面に、非透水性の発泡シー
    トを部分固定して該発泡シート敷設面を形成し、次で、
    該発泡シート敷設面の全面に、多孔基材シートを部分固
    定して基材シート敷設面を形成した後、該多孔基材シー
    ト敷設面の全面に緩凝固性のゴムアスファルトエマルジ
    ョンを吹付けて該多孔基材シートに含浸凝固した防水層
    を形成し、次で、該防水層の全面に、樹脂モルタル層を
    形成し、次で、該樹脂モルタル層の全面に密着して建造
    物の地下外壁を構築することを特徴とする地下外壁の防
    水工法。
  3. 【請求項3】 該緩凝固性のゴムアスファルトエマルジ
    ョンは、アニオン系アスファルトエマルジョンを主剤と
    し、これにゴムラテックス及び酸化亜鉛又は/及び酸化
    マグネシウムを加えて成るゴムアスファルトエマルジョ
    ンとに非イオン性ポリウレタン水分散液とを加えて成る
    組成物Aと;アンモニウム塩の水溶液に、凝固緩衝剤と
    してアルコールを配合して成る組成物Bとの混合液であ
    る請求項1又は2記載の地下外壁の防水工法。
  4. 【請求項4】 該組成物Aは、ゴムアスファルトエマル
    ジョンの固形分100重量部に対し非イオン性ポリウレ
    タン水分散液を固形分として0.2〜0.8重量部を加
    えて成る請求項3記載の地下外壁の防水工法。
  5. 【請求項5】 該樹脂モルタルは、セメントとセメント
    100重量部に対して100乃至300重量部配合され
    た骨材と樹脂との混練物から成り、且つ骨材を混合した
    セメント100重量部に対して樹脂を固形分として10
    乃至50重量部配合して成る請求項2記載の地下外壁の
    防水工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100566643B1 (ko) * 2005-11-23 2006-03-31 주식회사 토펙엔지니어링 건축사사무소 건축지하구조물 보호를 위한 외벽 보호대의 설치구조
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