JPH08295913A - 溶融還元炉による低燐銑の製造方法 - Google Patents

溶融還元炉による低燐銑の製造方法

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JPH08295913A
JPH08295913A JP4337596A JP4337596A JPH08295913A JP H08295913 A JPH08295913 A JP H08295913A JP 4337596 A JP4337596 A JP 4337596A JP 4337596 A JP4337596 A JP 4337596A JP H08295913 A JPH08295913 A JP H08295913A
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義明 原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融還元炉の炭材充填層に上下2段に配設さ
れた複数の羽口より、酸素含有熱風と共に、酸化鉄を含
有する粉粒状鉱石類及び/又はダストを炭材充填層内に
吹き込み、酸化鉄を溶融還元して低燐銑を製造する。 【解決手段】 溶融還元炉の炭材充填層に上下2段に配
設された複数の羽口より、酸素含有熱風と共に、酸化鉄
を含有する粉粒状鉱石類及び/又はダストを炭材充填層
内に吹き込み、酸化鉄を溶融還元して銑鉄を製造するに
際し、前記羽口より酸素含有熱風と共に、粉粒状プラス
チック、廃油などの炭化水素系物質を補助燃料として吹
き込み、炉内を昇温して気化脱燐を促進させ、低燐銑を
効率よく製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融還元炉による
低燐銑の製造方法に関し、詳しくは、炭素系還元剤の充
填層に酸素含有熱風と共に酸化鉄を含有する粉粒状鉱石
及び/又はダストからなる酸化鉄原料を羽口から吹き込
み銑鉄を製造するに際しての脱燐技術に係わるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、銑鉄を多量に製造するには、塊
状の原料を必要とする高炉が用いられることが多い。し
かしながら、最近の原料事情により、酸化鉄または各種
の金属酸化物を含有する酸化鉄原料は、塊状のものが減
少し、粉状もしくは小粒状のものが多くなっており、そ
の傾向は益々増大すると考えられる。このため、通常、
粉粒状の鉄鉱石をDL式焼結機によって塊状の焼結鉱に
した後、高炉に装入している。しかし、粉粒状の鉄鉱石
を焼結する焼結機には莫大な設備投資を行う必要がある
ばかりでなく、焼結機の操業を維持、管理していくため
にも多大な費用が掛かり、高炉で製造する銑鉄のコスト
アップを余儀なくしている。
【0003】近年、低燐銑又は低燐鋼を製造するには、
高炉による溶銑製造時の低燐コークス利用、転炉の吹練
負荷を軽減するために行う溶銑の予備処理による脱燐あ
るいは製鋼工程内における脱燐処理等が一般に行われて
いる。それらプロセスのうち溶銑予備処理での脱燐に
は、新たに予備処理設備が必要となると共に、高炉出銑
樋やトピードカーの耐火物寿命を縮める等の問題点を伴
う。また、溶銑の予備処理や製鋼工程内における脱燐処
理は、次工程である転炉吹練や炉外脱硫処理に種々の負
担をかけるので、製銑又は製鋼のトータルプロセスとし
てみれば不経済となる。
【0004】さらに、高価な低燐コークスを使用する方
法も、経済的見地から不利なものである。たとえば、低
燐コークスの製造方法としては特開昭52-105920 号公報
に記載の従来技術があるが、この方法で製造したコーク
スは価格が高い。また低燐鋼を狙うためには、電解法と
いう製鉄技術もあるが、エネルギーコストが莫大なもの
となり、大量生産には適さない。
【0005】そこで近年、低燐コークス等の高価な炭材
を用いることなく、燐含有量が0.01重量%以下の低燐銑
を安価に大量生産する方法として、特開昭57-198205
号、特開昭58-77548号公報等の多くの公報に、炭材充填
層型の溶融還元炉を用いて溶銑を製造する方法が提案さ
れている。それは、図1に示すように炭材充填層型の溶
融還元炉1内に塊状コークス等の炭材を装入して形成し
た炭材充填層19に複数の羽口を、例えば炉腹部に上下2
段に設け、上段羽口4から酸素含有熱風として例えば高
温空気を吹き込むことで形成されるレースウェイ18の空
間に、同じ上段羽口4から酸化鉄を含有する粉粒状鉱石
及び/又はダストを酸化鉄原料として炉内に吹き込み、
製錬するものである。
【0006】このプロセスをさらに詳しく述べると、ま
ず、炭材充填層型の溶融還元炉1は、上段羽口4と下段
羽口5を備え、炉上方の炭材供給装置6からコークス等
の炭素系固体還元材(炭材)が供給され、炉内に炭材充
填層19を形成している。そして高温送風装置2から高温
空気が供給され、高温送風分配装置3によってこの高温
空気を上下2段の羽口4、5に分配する。粉粒状鉱石類
供給装置7に貯蔵されている酸化鉄原料(粉粒状鉱石
類)及びフラックス供給装置8に貯蔵されているフラッ
クスは、粉粒体吹き込み装置9により粉粒体輸送管10を
経て、上段羽口4の前方に形成されるレースウェイ18の
空間で溶融する。この溶融物が下段羽口5まで滴下する
間に還元され、炉床に溶銑とスラグとして滞留し、溶銑
は出銑口12から、スラグは出滓口11から排出される。そ
の際、溶融還元炉1の炉頂から排出したガスは、排ガス
処理装置13で処理される。
【0007】本出願人は、この炉頂から装入された全て
の炭材が1700℃以上の高温領域を通過するので、この炉
に装入されたコークス等の炭材中にたとえば燐酸カルシ
ウムCa3P2O3 として存在する燐は、下記に示す(1) 、
(2) 及び(3) 式により説明する化学反応により脱燐され
ると考えていた。 (A) コークス中の燐は、高温のレースウェイ部分で
次の反応により還元される。
【0008】 Ca3 3 8 +5C→3CaO+2P+5CO ・・・(1) また、SiO2 が存在すると、燐酸カルシウムからの固
体還元剤C及びガスCOによる還元が容易になる。それ
は、前記コークス中の燐の還元が、SiO2 濃度が高い
領域で行われると、次の化学反応が起こり、脱燐が促進
されるからである。
【0009】 2Ca3 2 8 +3SiO2 +10C →3Ca2 SiO4 +4P+10CO ・・・(2) 2Ca3 2 8 +3SiO2 +10CO →3Ca2 SiO4 +4P+10CO2 ・・・(3) そこで、上段羽口から酸化鉄を含有する粉粒状の鉱石類
及び/又はダストからなる酸化鉄原料を装入するに際
し、酸化鉄原料中のSiO2濃度を大きくすることで、上段
羽口前のSiO2濃度を大きくし、前記(2) 、(3) の反応を
させることにより、脱燐反応はより促進される。そし
て、還元された燐は、炉内ガスと共に炉内を上昇する
が、温度の低下にともない一部はダスト等に付着し、ま
た一部はPN、PS、PO、PO2 等の化合物になって炉頂から
排ガスと共に抜け出し、レースウェイ下部のコークス中
の燐濃度は低下する。 (B) 酸化鉄原料(鉱石類)中に含まれている燐は、
前記炉の羽口先に形成されるレースウェイ近傍において
下記の(4) に示す化学反応式により還元されるため、レ
ースウェイ下部でコークス中の燐濃度は低下することに
なる。
【0010】 2Fe3 (PO4 2 +16CO→3Fe2 P+P+16CO2 ・・・(4) つまり、羽口から吹き込んだ酸化鉄原料は、レースウェ
イ部分で溶融し、前記(4) 式の反応により一部の燐は炉
内を上昇し、溶融物はコークス間を滴下しながら炉下部
に移動し、還元されて銑鉄となる。その際、前記(1) 式
の反応によってコークス中の燐濃度は低下しているの
で、滴下する間に溶融物がコークス中の燐を吸収する量
が少なく、溶銑中の燐濃度は低くなる。炉頂から装入さ
れた全ての炭材が炭材充填層における1700℃以上の領域
を通過する場合、燐と酸化鉄が共存するレースウェイ部
分では温度が十分高温なので、気体の燐は速やかに炉内
を上昇し、溶融物は粘度が小さくすぐに滴下するので、
溶銑中への燐のトラップはほとんど起きないのである。
【0011】なお、吹き込む酸化鉄の粒径が細かければ
細かいほど、個々の粒子の中心までの伝熱が速いため、
短時間で昇温し易く前記(4) 式の反応はよりスムーズに
行われる。また、高温であるほど粘度が小さくなるの
で、燐と溶銑との共存時間が短くなるため、溶銑中の燐
濃度が低下する。さらに、レースウェイに吹き込まれた
酸化鉄は、溶融し、吸熱反応で還元されるため、コーク
ス温度を低下させる方向に作用する。そこで、吹き込む
酸化鉄として不純物の少ないものを用い、不純物昇温の
ための無駄な熱量を小さくしたり、吸熱量の小さい酸化
鉄を用いたりすることにより、溶銑中の燐濃度の低下を
促進することも可能である。前記(B)で説明した酸化
鉄原料(鉱石類)から脱燐した燐も、温度の低下にとも
ない一部はダスト等に付着し、また、一部はP 、N 、P
S、PO、PO2 等の化合物になり炉頂から抜け出し、除去
されることになる しかしながら、炭材充填層型の溶融還元炉における製錬
領域は、レースウェイ空間とその下部の溶融物が滴下す
る部分が主体で、しかもこの製錬領域での反応の大半は
吸熱反応である。この熱を補償するため、下段羽口で炭
材を燃焼させ、送風熱量で補償する必要があった。ま
た、この炉で生産量を増やそうとして大量の酸化鉄原料
粉を羽口から吹き込んだ場合、レースウェイ部で大きな
吸熱反応が起こり、レースウェイ周辺の温度が1700℃以
下になってしまい、溶銑中の燐濃度が上昇する。そのた
め、多量の炭材を燃焼させて熱補償する必要があった。
【0012】さらに、下段羽口で多量の炭材コークスを
燃焼させると、上下羽口間の炭材の降下速度が速くな
り、融体の上下羽口間の滞留時間が短くなるので、未還
元のまま融体が滴下する。上下羽口間の滞留時間を確保
して還元を進めるためには、上下羽口間の距離を十分長
くする必要があり、設備的に炉高を高くする必要があっ
た。つまり、この炭材充填層型の溶融還元炉でコークス
中の燐を十分気化させるためには、設備費が嵩む炉高の
高い炉とし、かつ高価な炭材を多量に使用しなければな
らないという問題点があった。
【0013】そこで本出願人は、炭材充填層型溶融還元
炉の特性を生かして、燐含有量が0.05%以下の低燐銑を
安価に大量生産可能な方法として、特開平5-9527号公報
及び特開平5-247549号公報等に開示されている方法を提
案した。それは、炭材充填層型の溶融還元炉が高炉と異
なり、炉内に所謂軟化融着体が形成されず燐の炉内循環
が起きないので、低燐銑の製造に好ましいからである。
つまり、前記公報で明らかにしたように、炉内温度を高
温に調整することで気化脱燐が可能になるのである。こ
のように、本出願人が提案した炭材充填層型の溶融還元
炉は、将来のエネルギー源の枯渇問題を解決するばかり
でなく、燐含有量の低い銑鉄の製造にも好適である。
【0014】しかしながら、これまでに提案された炭材
充填層型の溶融還元炉を用いる製錬方法は、低燐銑製造
の観点からは未だに問題点を残している。すなわち、特
開平5-9527号公報に開示された従来技術においては、上
段羽口吹き込む酸化鉄原料として、FeO を20%以上含む
ものを必要とし、また特開平5-247549号公報に開示され
た従来技術においてはやはり、羽口から吹き込む酸化鉄
原料として、気化した燐が凝集した金属酸化物を必要と
する。このような酸化鉄原料は、金属酸化物鉱石として
一般的なものでなく、したがって、これらの溶融還元処
理プロセスは、酸化鉄原料の選択範囲が狭く、限られた
場合にしか使用できないという弱点があった。
【0015】前記のような特定の酸化鉄原料を使用でき
ない場合、従来の溶融還元炉に設けた羽口から吹き込ん
だ酸化鉄原料中の燐は、高温のレースウェイ内で気化さ
れるが、酸化鉄原料粉が十分に分散しない状態で溶融す
るため、レースウェイ内部で溶融還元が進行してしま
う。このため、生成したメタルに燐ガスが吸収され、結
果として所望の低燐銑を製造するのが困難である。この
ように、これまで提案された炭材充填層型の溶融還元炉
を用いる製錬方法は、低燐銑製造の観点からは未だ問題
点を残している。
【0016】ところで、可燃性固体廃棄物としてプラス
チックをゴミ焼却場で焼却しようとした場合、燃焼時の
発熱量が約7200kcal/kg と高く、焼却炉の耐火物を傷め
るため焼却処理できずに、埋め立て処理していた。近
年、プラスチックの埋め立て用地が無くなってきている
という事情から、プラスチックを高炉吹き込み用補助燃
料として使用する高炉の操業方法が提案され、例えば、
特公昭51-33493号公報に開示されている。この従来技術
は、プラスチックの粉砕物を重油と混合してスラリー状
にするか、もしくはプラスチック粉砕物を気体輸送する
ことにより、高炉の羽口から補助燃料として吹き込むも
のである。
【0017】しかしながら、当該公報に開示された高炉
にプラスチック粉砕物を補助燃料として使用する方法
は、産業廃棄物を処理することにのみ着目したものであ
り、低燐銑の製造に関して何らの記載もない。また、高
炉の融着帯において、プラスチック中の不純物が、融体
にほとんど吸収されてしまい、溶銑の品質を落とした
り、炉頂温度が200 ℃程度であるため、炉頂部で気化物
が凝固してしまい、炉外に排出しないという問題点もあ
り、実用するに至っていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】炭材充填層型の溶融還
元炉は、酸化鉄原料として鉄鉱石類の他に転炉吹練の際
に発生するダスト等、製鉄所から生じる各種ダストを利
用でき、さらに高価な電力あるいは強粘結炭を使用する
ことなく、比較的安価な弱粘結炭あるいは非粘結炭を使
用するので、益々エネルギーコストの上昇が危惧される
今後の溶銑の製造炉として期待できる。本発明は、かか
る事情に鑑みてなされたものであり、低燐コークス等の
高価な炭材を用いることなく、燐含有量が0.05重量%以
下の低燐銑を原料鉱石の品位によることなく安価に大量
生産することができる製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、鋭意研究を行い、本来脱燐に有利な炭材充
填層型の溶融還元炉が有する特性を活用するため、燐含
有量の少ない可燃性固体廃棄物である廃棄物プラスチッ
クを粉砕して補助燃料として使用することを端緒にし
て、種々実験を重ねた結果なされたものであり、補助燃
料として炭化水素系物質を羽口から炉内に吹き込むこと
を基本とするものである。すなわち、炭素系固体還元材
の充填層を形成した溶融還元炉に羽口から直接吹き込む
炭化水素系物質補助燃料として前記粉砕した廃棄物プラ
スチックの他、粉粒状の石炭材、又は廃油並びに重油等
の各種液体燃料を使用し、これらを単独に、あるいは適
宜に組み合わせることによって炉内での気化脱燐を促進
させることに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0020】すなわち、請求項1記載の本発明は、炭素
系固体還元剤の充填層に少なくとも上下2段に配設され
た複数の羽口より酸素含有熱風を吹き込むと共に、前記
複数の羽口のうち最上段に位置する羽口又は最上段羽口
を含む選択した羽口より酸化鉄を含有する粉粒状鉱石類
及び/又はダストを酸化鉄原料として前記充填層内に吹
き込み、前記酸化鉄原料中の酸化鉄を溶融還元して銑鉄
を製造する方法において、前記複数の羽口のうち選択し
た羽口より酸素含有熱風と共に、炭化水素系物質からな
る補助燃料を吹き込むことを特徴とする溶融還元炉によ
る低燐銑の製造方法である。
【0021】請求項2記載の本発明は、複数の羽口のう
ち選択した羽口から酸素含有熱風と共に炭化水素物質か
らなる補助燃料を、酸化鉄原料より上方位置になるよう
に炉内に吹き込むことを特徴とする請求項1記載の溶融
還元炉による低燐銑の製造方法である。請求項3記載の
本発明は、炭化水素系物質からなる補助燃料が、粉粒状
のプラスチック及び/又は石炭材からなる固体燃料であ
ることを特徴とする請求項1又は2記載の溶融還元炉に
よる低燐銑の製造方法である。
【0022】請求項4記載の本発明は、粉粒状のプラス
チック及び/又は石炭材からなる固体燃料の粒度を3m
m以下とすることを特徴とする請求項3記載の溶融還元
炉による低燐銑の製造方法である。請求項5記載の本発
明は、炭化水素質物質からなる補助燃料が液体燃料であ
ることを特徴とする請求項1又は2記載の溶融還元炉に
よる低燐銑の製造方法である。
【0023】請求項6記載の本発明は、液体燃料が廃油
であることを特徴とする請求項5記載の溶融還元炉によ
る低燐銑の製造方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】従来は、炭素系固体還元材の充填
層が形成され、炉腹下部に高温の酸素含有熱風(空気又
は酸素富化空気)を吹き込む少なくとも上下2段に設け
た複数の羽口を有する炭材充填層型の溶融還元炉を用い
て、羽口より酸素含有熱風と共に、酸化鉄を含有する粉
粒状の鉱石類及び/又はダストを酸化鉄原料として充填
層内に吹き込み、酸化鉄原料中の酸化鉄を溶融還元して
銑鉄を製造していた。しかし、前述のように従来の操業
では、羽口から吹き込んだ酸化鉄原料中の燐が高温のレ
ースウェイ内で気化されるが、レースウェイ内部で溶融
還元により生成したメタルが存在するため、気化した燐
の大部分がメタルに溶解し、溶銑の脱燐を不十分なもの
にしていた。
【0025】これに対して本発明によれば、少なくとも
上下2段に設けた羽口から酸素含有熱風と共に酸化鉄を
含有する粉粒状の鉱石類及び/又はダストと同時に補助
燃料として炭化水素系物質を吹き込むので、原料粉中の
燐が高温のレースウェイ内で気化している状態で、酸化
鉄原料粉と混合した炭化水素系物質が燃焼し、ガス容積
が増加する。その結果、ガス中に気化状態で存在する燐
はレースウェイ内から押し出され、炉内を速やかに上昇
するので、燐とメタルとの接触時間が短くなる。さら
に、炭化水素系物質が燃焼して急激にガス容積が増える
ことは、ガス相中の燐分圧の低下をもたらすので、ガス
相と溶融メタルが接触している場合でも、ガス相中から
燐が溶融メタルに移行するのを抑制する。
【0026】特に、炭化水素系物質が酸化鉄原料粉に混
合し易いように吹き込むことにより、炭化水素系物質が
酸化鉄原料粉と混合した状態で燃焼するため、酸化鉄原
料粉が従来より高温になり、酸化鉄原料粉中の燐が気化
し易く、ガス容積の増大と相まって燐ガスと溶融メタル
との分離がより効果的に行われ、従来のように溶融メタ
ルが気化した燐を吸収することなく炉内を降下し、溶銑
中の燐濃度の低減が達成できる。
【0027】なお、少なくとも上下2段に配設された複
数の羽口のうち、最上段に位置する羽口に酸化鉄原料粉
を吹き込むのが有利である。これは、最上段に位置する
羽口から酸素含有熱風と一緒に吹き込まれた酸化鉄原料
粉が、炉内で炭化水素系物質の燃焼による発熱により高
温下のレースウェイ部で溶融還元され、気化した燐が速
やかに炉の上方に上昇するので復燐することなく炉外に
排出されるからである。そして、残りの酸化鉄原料粉
は、炉内を降下する間に下段側に配設された羽口から吹
き込まれる酸素含有熱風あるいは炭化水素物質により溶
融還元が促進される。複数の羽口から酸化鉄原料粉や炭
化水素系物質を吹き込むかどうかは、炉高、羽口数(3
段以上も可能)、酸化鉄原料粉等の操業上の諸条件を考
慮して定める。
【0028】前述のように本発明では、羽口からの酸素
含有熱風に加え、炭化水素系物質を吹き込むようにした
ので、羽口の前方に形成されるレースウェイの内部で鉱
石類やダスト等の酸化鉄原料粉と炭化水素系物質との混
合と炭化水素系物質の燃焼により気化脱燐が円滑に行わ
れるようになる。補助燃料となる炭化水素系物質は、廃
棄物プラスチック、石炭等を粉砕して粉粒状にした固体
燃料、あるいは廃油、重油等の液体燃料が使用できる。
炭化水素系物質は配管輸送が可能で、レースウェイ内で
燃焼できるものであれば固体燃料、液体燃料を問わず使
用可能である。なお、プラスチック、石炭等の固体燃料
はキャリアガスと共に配管輸送するため粉砕して3mm
以下にするのが好ましい。石炭を使用する場合、非粘炭
等の安価なものを利用できる。
【0029】以下、本発明を補助燃料となる炭化水素系
物質として、まず固体燃料である粉砕した廃棄物プラス
チックを使用する場合、次に液体燃料である廃油を使用
する場合について溶銑の気化脱燐作用を説明し、脱燐効
果が確実に達成できる理由について補足説明する。図1
は、炭材充填層型の溶融還元炉1を用いて溶銑を製造す
る方法を示しており、炉体の構成そのものは従来と同様
である。すなわち、溶融還元炉1の炉腹下部に上段羽口
4と下段羽口5を備え、炉上方の炭材供給装置6から炭
素系固体還材として代表的な炭材として塊状のコークス
が供給され、炉内に炭材充填層19を形成している。炭材
充填層19を形成する炭材コークスは、図2に示す炉内コ
ークスの降下方向16のように炉中心部に向くもの、炉内
周辺部に向くものなど様々な状態で降下し、一様ではな
い。そして、高温送風装置2から酸素含有熱風として高
温空気あるいは高温酸素富化空気が供給され、高温送風
分配装置3から高温空気供給管21を介して、たとえば高
温空気を上下2段の羽口4、5に分配し、羽口4、5か
らそれぞれ炉内に吹き込まれる。このようにして羽口
4、5から炉内に引き込まれた高温空気は高温のレース
ウェイ18を形成する。
【0030】粉粒状鉱石類供給装置7に貯蔵されている
粉粒状鉄鉱石類(酸化鉄原料)とフラックス供給装置8
に貯蔵されている造滓材としてのフラックスは、粉粒体
吹き込み装置9から粉粒体輸送管10を経て、上段羽口4
から炉内に吹き込まれる。上段羽口より炉内に吹き込ま
れた酸化鉄原料及びフラックスは、上段羽口4の前方に
形成される高温のレースウェイ18の空間で溶融する。
【0031】一方、3mm以下の粒度に粉砕処理された
プラスチック供給装置14内の粉粒状のプラスチックは、
プラスチック吹き込み装置15の作動によりプラスチック
吹き込み管20を介して上段羽口4と下段羽口5に供給さ
れ、高温空気供給管21から供給される高温空気と一緒に
炉内に吹き込まれる。なお、吹き込みを行うプラスチッ
クの粒度を3mm以下としたのは、実用している羽口
4、5やプラスチック吹き込み管20の径、気送流量等と
の関係で詰まりが生じないで円滑な吹き込みを行うため
である。
【0032】上段羽口4から高温空気及び酸化鉄原料と
共に炉内に吹き込まれたプラスチックは、その発熱量が
7200kcal/kg と大きく炉内で燃焼して強力に発熱し、そ
の輻射熱で酸化鉄粉中の燐を気化させる。また、この熱
量は、上段羽口4より下方へ降下する全ての炭材コーク
スを1700℃以上にする補助熱量として用いられる。この
ため、上段羽口4より下部へ降下する全ての炭材コーク
スを、従来のプラスチックを吹き込まなかった場合より
高温に加熱するため、気化脱燐がいっそう促進するので
ある。
【0033】また、下段羽口5から高温空気と一緒に吹
き込んだプラスチックは、燃焼して上段羽口4より下方
へ降下する全てのコークスを、1700℃以上にするための
熱補償に用いられる。そしてプラスチックが燃焼するこ
とにより炉下部での炭材の消費量が減り、上下段羽口
4、5間の融体の降下速度が遅くなり、上下段羽口4、
5間の距離が短くても酸化鉄が十分に還元されるため炉
高を従来よりも低くすることができる。
【0034】さらに、図2において下段羽口5から吹き
込まれた高温空気は、レースウェイを形成し、さらにガ
スの上昇方向17に示すように炉内を上昇するが、レース
ウェイ18から離れていて1700℃以上の領域を通過しない
炉中心部からのコークスの降下量が減り、レースウェイ
部を通るコークスが増え、酸化鉄の還元が促進される。
コークスのみの使用では、コークス燃焼後に灰分が炉芯
に溜まり操業上の支障となるが、プラスチックの燃焼は
灰分を生じないので、その代替え分だけ、前記炉芯への
灰分の堆積が緩和され、炉操業の安定化に寄与すること
になる。
【0035】以下、本発明の実施の態様を具体的に説明
する。図1及び図2に示すように炭材充填層型の溶融還
元炉1を用いてクロムを含有した銑鉄の製造試験を実施
した。試験に供した溶融還元炉の仕様は、次の通りであ
る。 炉内径:1.8mφ 炉高 :4m 羽口数:上段3本、下段3本(2段) 羽口径:30mm まず、前記の溶融還元炉に炉頂より、炭材供給装置6を
介して3mの高さに平均粒径15mmのコークスを装入
し、充填層を形成した。そして、上段羽口4より、原料
として鉄鉱石粉(平均値C:4.7 重量%、T.Fe:62.4重
量%、FeO :31.8 重量%、SiO2:0.8重量%、T.Cr:6.2
重量%、MnO :4.0重量%、Al2O3:1.1 重量%、その他の
酸化物20.6重量%)を1.2 t/hr、CaO 、SiO2からなる造
滓材(フラックス)を0.2 t/hr、粉砕したプラスチック
を0.5t/hr の条件で吹き込んだ。
【0036】その際、使用した搬送気体は、高温送風装
置2で製造した温度800 ℃の高温空気又は酸素富化空気
で、高温送風分配装置3を経て吹き込まれた。プラスチ
ックの粒度は最大3mm、平均2mmでさらに、下段羽口か
らは、前記プラスチックのみを、高温空気と共に0.5 t/
hr吹き込んだ。その他の送風条件を表1に示す。なお、
プラスチックの供給は、その供給装置14からプラスチッ
ク吹き込み装置15を介して行い、鉄鉱石粉やフラックス
も、別途設けたそれらの供給装置7、8から供給され
た。操業は順調に行われ、表2に示す化学組成の銑鉄と
スラグとを、出銑口12及び出滓口11から排出することが
できた。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】次に、同一の設備で同じ酸化鉄原料を使
い、プラスチック吹き込み量とコークス充填量とを変え
た場合の試験操業を行い、その結果を表3に示す。な
お、表3には、プラスチックを吹き込まない比較例も示
し、それと本発明に係る低燐銑の製造方法を用いた実施
例1〜4の場合とを比較した。なお、上段羽口4と下段
羽口5とに吹き込むプラスチックの割合は、それぞれ等
分の50%にした。
【0040】
【表3】
【0041】表3から明らかなように、本発明例では、
全て溶銑温度の上昇が見られ、前述したプラスチックの
吹き込みによる局所的な充填層内温度の上昇があったこ
とを示唆している。そして、溶銑中の燐濃度は、プラス
チック吹き込み量の増加に伴い低下し、脱燐が円滑に行
われた。また、コークス比も同様に低減し、燃料コーク
スの代替に一役かっていた。なお、下段羽口でのコーク
ス消費を抑える意味で、プラスチック以外の微粉炭等の
固体の粉粒状炭化水素系物質を単独又は組み合わせて使
用してもよい。
【0042】次に、本発明を補助燃料となる炭化水素系
物質として、各種生産工場で使用した廃油を液体燃料と
して使用する場合につき、溶銑の気化脱燐作用を説明
し、脱燐効果が確実に達成できる理由について説明す
る。図3は、炭材充填層型の溶融還元炉1を用いて溶銑
を製造する方法を示しており、溶融還元炉1の構造は前
記図1、図2に示したものと同じである。すなわち、溶
融還元炉1の炉腹下部に上段羽口4と下段羽口5を備
え、炉上方の炭材供給装置6から炭素系固体還元材(炭
材)として塊状のコークスが供給され、炉内に炭材充填
層19を形成しながら炭材コークスは、炉内を降下する。
そして、高温送風装置2から酸素含有熱風として高温空
気又は高温酸素富化空気が供給され、高温送風分配装置
3によって分配される。分配された高温空気又は高温酸
素富化空気は、高温空気供給管21を介して上下2段の羽
口4、5に供給され、上下段羽口4、5からそれぞれ炉
内に吹き込まれる。このようにして上下段羽口4、5か
ら炉内に引き込まれた高温空気又は高温酸素富化空気は
炉内にレースウェイ18を形成する。
【0043】粉粒状鉱石類供給装置7に貯蔵されている
粉粒状鉄鉱石類及び/又はダスト(以下、酸化鉄原料と
いう)とフラックス供給装置8に貯蔵されている造滓材
としてのフラックスは、粉粒体吹き込み装置9により粉
粒体輸送管10を経て、上段羽口4から炉内に吹き込まれ
る。上段羽口4から炉内に吹き込まれた酸化鉄及びフラ
ックスは、上段羽口4の前方に形成される高温のレース
ウェイ18の空間で溶融する。
【0044】一方、液体燃料としての廃油燃料は、液体
燃料供給装置22から液体燃料吹き込み管23を介して上段
羽口4に供給され炉内に吹き込まれる。上段羽口4から
高温空気(又は高温酸素富化空気)及び酸化鉄原料と共
に炉内に吹き込まれた廃油燃料は、レースウェイ18で燃
焼して発熱し、その輻射熱で酸化鉄原料中の燐を気化さ
せる。また、この熱量は、上段羽口4より下方へ降下す
る全ての炭材コークスを1700℃以上にする補助熱量とし
て用いられる。このため、上段羽口4より下部へ降下す
る全ての炭材コークスを、従来の廃油燃料を吹き込まな
かった場合より高温に加熱するため、気化脱燐がいっそ
う促進する。
【0045】さらに、高温送風装置2から高温送風分配
装置3により、高温空気供給管21を介して下段羽口5に
吹き込まれた高温空気又は高温酸素富化空気は、レース
ウェイ18を形成し、炉内を上昇するが、レースウェイ18
から離れていて1700℃以上の領域を通過しない炉中心部
からのコークスの降下量が減り、レースウェイ部を通る
コークスが増え、酸化鉄の還元が促進される。コークス
のみの使用では、コークス燃焼後に灰分が炉芯に溜まり
操業上の支障となるが、廃油燃料の燃焼は灰分を生じな
いので、その代替分だけ、前記炉芯への灰分の堆積が緩
和され、炉操業の安定化に寄与することになる。
【0046】以下、本発明を上下2段に配設した羽口の
うち上段羽口4又は下段羽口5から液体燃料として炭化
水素系物質である廃油燃料を吹き込む場合についての実
施態様を具体的に説明する。図3に示すように炭材充填
層型の溶融還元炉1を用いてクロムを含有した銑鉄の製
造試験を実施した。
【0047】試験に供した炭材充填粗型の溶融還元炉1
の仕様は、次の通りである。 炉内径:1.8 mφ 炉高 :4m 羽口径:30mm 羽口数:上段3本、下段3本、計6本(2段) 充填コークス粒子径:10〜30mm、平均15mm まず、前記の溶融還元炉1に炉頂より、炭材供給装置6
を介して炉内に3mの高さに平均粒径15mmのコーク
スを装入し、炭材充填層19を形成した。そして、上段羽
口4より、酸化鉄原料として鉄鉱石粉(T.Fe:54.1重量
%、M.Fe:15.0、FeO :28.9 重量%、SiO2:3.1重量%、
T.Cr:7.0 重量%、CaO :2.4重量%、Al 2O3:1.2 重量
%、MgO:0.8 重量%、P:0.03重量%)を1.2 t/hr、Ca
O 、SiO2からなる造滓材(フラックス)を0.24又は0.22
t/hr、廃油燃料を0.5 又は0.8t/hrの条件で吹き込ん
だ。廃油燃料の元素成分は、C:83.81 重量%、H:1
2.68 重量%、P:0.01重量%以下、S:0.70重量%、
Fe:0.01%以下である。
【0048】その際、使用した搬送気体は、高温送風装
置2で製造した温度800 ℃の高温酸素富化空気(O2:30
%)及び高温空気(O2:24%)で、高温送風分配装置3
を経て上段羽口4から前記高温酸素富化空気を吹き込
み、下段羽口5から前記高温空気を吹き込んだ。その他
の操業条件を表4に、溶融還元により製造した溶銑成
分、スラグ成分を表5に示す。なお、上段羽口4に対す
る液体燃料供給装置22に貯蔵した廃油燃料の供給は、液
体燃料供給装置22から液体燃料吹き込み管23を介して行
い、鉄鉱石粉やフラックスも、別途設けたそれらの供給
装置7、8から粉粒体輸送管10を介して供給された。操
業は順調に行われ、表5に示す化学成分の銑鉄とスラグ
を、それぞれ出銑口12及び出滓口11から排出することが
できた。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】前記表4に示す操業条件で、上段羽口4か
ら酸化鉄原料粉と一緒に廃油燃料を吹き込んだときの廃
油燃料吹き込み量(kg/t-pig)と溶銑中燐濃度(重量
%)との関係を図4に示す。図4より明らかなように上
段羽口4から炉内に吹き込む廃油燃料が増加するほど炉
外に出銑中の燐濃度が低くなる。図5の(B)に、内径
30mmを有する上段羽口4の内周面の両サイドに沿うよう
に酸化鉄原料吹き込みランス24を臨ませ、また上段羽口
4の中央部に液体燃料吹き込みランス25を臨ませる。
【0052】そして、廃油燃料吹き込み量を65kg/t-pig
として中央部に臨ませた液体燃料吹き込みランス25を、
上段羽口4内で吹き込み位置を矢印で示すように上下方
向に0 〜30mmの範囲で変更して廃油燃料を炉内に吹き込
むと、溶銑脱燐にどのような影響を及ぼすかを実験し
た。その結果、図5の(A)に廃油燃料吹き込み位置と
溶銑中の燐濃度(重量%)との関係に示すように、上段
羽口4内で液体燃料吹き込みランス25を下側から上側に
位置が移動するに連れて溶銑中の燐濃度が低くなること
が判明した。これは上段羽口4内から廃油燃料を吹き込
む場合に液体燃料吹き込みランス25の吹き込み位置を上
部にすれば気化脱燐が効率よく行われることを示してい
る。
【0053】次に、同一の設備で同じ原料を使い、廃油
燃料吹き込み量とコークス充填量とを変えた場合の試験
操業を行い、その結果を表6に示す。なお、表6には、
廃油燃料を吹き込まない比較例も示し、それと本発明に
係る低燐銑の製造方法を用いた実施例5〜8の場合とを
比較した。
【0054】
【表6】
【0055】表6から明らかなように、本発明例では、
全て溶銑温度の上昇が見られ、前述した廃油燃料の吹き
込みによる局所的な炭材充填層内の温度上昇があったこ
とを示唆している。そして、溶銑中の燐濃度は、廃油燃
料吹き込み量の増加に伴い低下し、脱燐が円滑に行われ
た。また、コークス比も同様に低減し、燃料コークスの
代替に一役かっていた。なお、下段羽口での充填層のコ
ークス消費を抑える意味で、廃油燃料以外の重油等の液
体燃料さらには微粉炭等の固体燃料の粉粒状炭化水素系
物質を単独又は組み合わせて使用してもよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、炭
材充填層型の溶融還元炉を用いて炉内での気化脱燐の促
進により、低燐銑を安価で、かつ容易に大量生産するこ
とが可能になる。また、溶融還元時に十分な熱を与える
ことができるため、溶銑温度の上昇及びスラグ比の低下
があり、出銑が容易に行えるようになった。さらに、従
来より処理に困っていた可燃性固体廃棄物であるプラス
チックあるいは廃油を有効に処理でき、社会環境上の効
果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチックを吹き込む炭材充填
層型の溶融還元炉を付帯装置と共に示す説明図である。
【図2】本発明に係るプラスチックを吹き込む炭材充填
層型の溶融還元炉における炉内コークスの降下領域を示
す説明図である。
【図3】本発明に係る廃油燃料を吹き込む炭材充填層型
の溶融還元炉を付帯装置と共に示す説明図である。
【図4】廃油燃料吹き込み量(kg/t-pig)と溶銑中の燐
濃度(重量%)との関係を示すグラフである。
【図5】廃油燃料吹き込み位置と溶銑中の燐濃度(重量
%)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 溶融還元炉 2 高温送風装置 3 高温送風分配装置 4 上段羽口 5 下段羽口 6 炭材供給装置 7 粉粒状鉱石類供給装置 8 フラックス供給装置 9 粉粒体吹き込み装置 10 粉粒体輸送管 11 出滓口 12 出銑口 13 排ガス処理装置 14 プラスチック供給装置 15 プラスチック吹き込み装置 16 炉内コークスの降下方向 17 ガスの上昇方向 18 レースウェイ 19 炭材充填層 20 プラスチック吹き込み管 21 高温空気供給管 22 液体燃料供給装置 23 液体燃料吹き込み管 24 酸化鉄原料吹き込みランス 25 液体燃料吹き込みランス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 望 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 長田 泰 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素系固体還元剤の充填層に少なくとも
    上下2段に配設された複数の羽口より酸素含有熱風を吹
    き込むと共に、前記複数の羽口のうち最上段に位置する
    羽口または最上段羽口を含む選択した羽口より酸化鉄を
    含有する粉粒状鉱石類及び/又はダストを酸化鉄原料と
    して前記充填層内に吹き込み、前記酸化鉄原料中の酸化
    鉄を溶融還元して銑鉄を製造する方法において、前記複
    数の羽口のうち選択した羽口より酸素含有熱風と共に、
    炭化水素系物質からなる補助燃料を吹き込むことを特徴
    とする溶融還元炉による低燐銑の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数の羽口のうち選択した羽口から酸素
    含有熱風と共に炭化水素物質からなる補助燃料を、酸化
    鉄原料より上方位置になるように炉内に吹き込むことを
    特徴とする請求項1記載の溶融還元炉による低燐銑の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 炭化水素系物質からなる補助燃料が、粉
    粒状のプラスチック及び/又は石炭材からなる固体燃料
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の溶融還元
    炉による低燐銑の製造方法。
  4. 【請求項4】 粉粒状のプラスチック及び/又は石炭材
    からなる固体燃料の粒度を3mm以下とすることを特徴
    とする請求項3記載の溶融還元炉による低燐銑の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 炭化水素質物質からなる補助燃料が液体
    燃料であることを特徴とする請求項1又は2記載の溶融
    還元炉による低燐銑の製造方法。
  6. 【請求項6】 液体燃料が廃油であることを特徴とする
    請求項5記載の溶融還元炉による低燐銑の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008274310A (ja) * 2006-11-24 2008-11-13 Michitaka Sato 高炉操業方法
JP2016099089A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 Jfeスチール株式会社 製鉄原料の製造方法および鉄系含油スラッジの処理方法
JP2018043915A (ja) * 2016-09-15 2018-03-22 株式会社北匠 リンの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008274310A (ja) * 2006-11-24 2008-11-13 Michitaka Sato 高炉操業方法
JP2016099089A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 Jfeスチール株式会社 製鉄原料の製造方法および鉄系含油スラッジの処理方法
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