JPH08291753A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JPH08291753A
JPH08291753A JP8063709A JP6370996A JPH08291753A JP H08291753 A JPH08291753 A JP H08291753A JP 8063709 A JP8063709 A JP 8063709A JP 6370996 A JP6370996 A JP 6370996A JP H08291753 A JPH08291753 A JP H08291753A
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adaptive
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combustion engine
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秀隆 牧
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修介 赤崎
Yusuke Hasegawa
祐介 長谷川
Yoichi Nishimura
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    • F02D41/1454Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases the characteristics being an oxygen content or concentration or the air-fuel ratio
    • F02D41/1456Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases the characteristics being an oxygen content or concentration or the air-fuel ratio with sensor output signal being linear or quasi-linear with the concentration of oxygen
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィードバック補正係数間に段差が生じて操
作量が急変するのを回避し、可変バルブタイミング機構
において高速側のバルブタイミングが選択されていると
きも、制御の安定性を確保しつつ燃料噴射ないし空燃比
の制御性を向上させる。 【解決手段】 適応制御則とそれより応答性において劣
るPID制御則などからフィードバック補正係数を演算
し、運転状態に応じていずれかを選択し、選択値に基づ
いて燃料噴射量を補正すると共に、高速側のバルブタイ
ミングが選択されているときは、PID制御則によるフ
ィードバック補正係数で補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内燃機関の燃料噴
射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃料噴射制御ないし空燃比制
御においては一般にPID制御則が用いられ、目標値と
制御量(制御対象出力)との偏差にP項(比例項)、I
項(積分項)およびD項(微分項)を乗じてフィードバ
ック補正係数(フィードバックゲイン)を求めている。
また近時は現代制御理論などを用いてフィードバック補
正係数を求めることも提案されているが、その場合に応
答性が比較的高いことから、運転状態によっては却って
制御量が発振し、制御の安定性が低下する場合がある。
【0003】そのため、例えば特開平4−209940
号公報記載の技術は、現代制御理論を用いて第1のフィ
ードバック補正係数を求めると共に、PI制御則を用い
てそれより応答性の劣る第2のフィードバック補正係数
を求め、燃焼が安定しない機関運転の減速時には第2の
フィードバック補正係数を用いて制御量を決定すること
を提案している。また同様の理由から、特開平5−52
140号公報記載の技術においても、空燃比センサが半
活性状態にあるときは、応答性の劣る第2のフィードバ
ック補正係数を用いて制御量を決定することを提案して
いる。
【0004】更に、本出願人も例えば特開平7−247
886号などにおいて、適応制御器を用いて燃料噴射量
を決定する技術を提案している
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両走行の
クルーズ時など所定の運転状態においては燃料供給が停
止(フューエルカット)され、図17に示すように、フ
ューエルカットの間では空燃比はオープンループ(O/
L)制御される。
【0006】そして、例えば理論空燃比となるべく燃料
供給が再開されると、予め実験で求めた特性に従ってフ
ィードフォワード系で決定された燃料供給量が供給され
て真の(あるいは実際の)空燃比(A/F)はリーン側
から14.7に急変するが、供給された燃料が燃焼して
空燃比センサまで到達するのにある程度の時間を要し、
空燃比センサ自体も検出遅れを有することから検出空燃
比は実際の空燃比通りにはならず、同図に破線で示すよ
うな値となり、比較的大きな差を生じる。
【0007】このとき、本出願人が先に提案した適応制
御則などの高応答の制御則を用いてフィードバック補正
係数(図にKSTRで示す)を決定すると、適応制御器は、
目標値と検出値の偏差を一挙に解消すべくフィードバッ
ク補正係数KSTRを決定する。しかし、この場合の差はセ
ンサの検出遅れなどに起因するものであり、検出値は真
の空燃比を示すものではない。それにもかかわらず、適
応制御器はこの比較的大きな差を一挙に吸収しようとす
ることから、図17に示す如く、KSTRが大きく発振し、
制御量も発振して制御の安定性が低下する。
【0008】従って、適応制御則などの高応答の制御則
およびPID制御則などの応答性の低い制御則を用いて
フィードバック補正係数(図にKLAFと示す) を決定し、
運転状態に応じて選択することが望ましい。しかしなが
ら、異なる制御則に基づいて決定されたフィードバック
補正係数を切り換えるときは、それぞれの特性が異なる
ことから、補正係数に段差が生じて操作量が急変し、制
御量が不安定となって制御の安定性が低下する恐れがあ
る。しかしながら、前記した従来技術においては、その
ような場合に何等対策するものではなかった。
【0009】更に、内燃機関がバルブタイミングを低速
側と高速側に切り換える、いわゆる可変バルブタイミン
グ機構を備えている場合、高速側のバルブタイミングが
選択されているときはバルブタイミングのオーバーラッ
プ量が大きいため、吸気が排気弁を通過して逃げる、い
わゆる吸気の吹き抜けと言う現象が生じる恐れがあり、
検出空燃比が安定しない恐れがある。従って、そのよう
な場合には適応制御則などの高応答の制御則が成立せ
ず、高応答の制御則に基づくフィードバック制御を継続
できない恐れがある。
【0010】従って、この発明の目的は、応答性におい
て異なる複数の制御則を用いてフィードバック補正係数
を決定し、運転状態に応じて滑らかに切り換えることに
よって制御の安定性を確保しつつ燃料噴射ないし空燃比
の制御性を向上させると共に、内燃機関がバルブタイミ
ングを低速側と高速側に切り換える、いわゆる可変バル
ブタイミング機構を備えている場合に高速側のバルブタ
イミングが選択されていて適応制御則などの高応答の制
御則に基づく制御が継続できないようなときでも、フィ
ードバック制御を継続できるようにした内燃機関の燃料
噴射制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、請求項1項にあっては、機関弁の作動状態を切
り換える機構を備えてなる内燃機関において、内燃機関
の排気する排気空燃比を含む運転状態を検出する運転状
態検出手段と、前記内燃機関の供給燃料量を決定する供
給燃料量決定手段と、前記供給燃料量を操作量として前
記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少なく
ともいずれかが目標値に一致するように第1の漸化式形
式の制御則を用いて第1のフィードバック補正係数を算
出する第1の算出手段と、前記供給燃料量を操作量とし
て前記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少
なくともいずれかが目標値に一致するように、応答性に
おいて前記第1の制御則より劣る第2の制御則を用いて
第2のフィードバック補正係数を算出する第2の算出手
段と、検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段
と前記第2の算出手段の出力のいずれかを選択し、それ
に基づいて前記供給燃料量を補正する供給燃料量補正手
段と、および前記機関弁の作動状態を少なくとも前記内
燃機関の低速運転時に対応する第1の作動状態と高速運
転時に対応する第2の作動状態の間で切り換える機関弁
作動状態切り換え手段と、を備えると共に、前記供給燃
料量補正手段は、前記機関弁が前記第2の作動状態に切
り換えられるとき、前記第2の算出手段の出力を選択
し、それに基づいて前記供給燃料量を補正する如く構成
した。
【0012】請求項2項にあっては、前記機関弁作動状
態切り換え手段は前記機関弁を前記第2の作動状態に切
り換えるとき、前記供給燃料量補正手段が前記第2の算
出手段の出力を選択し、それに基づいて前記供給燃料量
を補正したことを確認してから行う如く構成した。
【0013】請求項3項にあっては、前記第2の制御則
は、比例項、積分項、微分項のいずれか1つを少なくと
も含むPID制御則である如く構成した。
【0014】請求項4項にあっては、前記漸化式形式の
制御則は、適応制御則である如く構成した。
【0015】
【作用】請求項1項にあっては、機関弁の作動状態を切
り換える機構を備えてなる内燃機関において、供給燃料
量を操作量として前記検出された排気空燃比および前記
供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致するよ
うに第1の漸化式形式の制御則を用いて第1のフィード
バック補正係数を算出する第1の算出手段と、前記供給
燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比および
前記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致す
るように、応答性において前記第1の制御則より劣る第
2の制御則を用いて第2のフィードバック補正係数を算
出する第2の算出手段と、検出された運転状態に応じて
前記第1の算出手段と前記第2の算出手段の出力のいず
れかを選択し、それに基づいて前記供給燃料量を補正す
る供給燃料量補正手段と、および機関弁の作動状態を少
なくとも前記内燃機関の低速運転時に対応する第1の作
動状態と高速運転時に対応する第2の作動状態の間で切
り換える機関弁作動状態切り換え手段と、を備えると共
に、前記供給燃料量補正手段は、前記機関弁が前記第2
の作動状態に切り換えられるとき、前記第2の算出手段
の出力を選択し、それに基づいて前記供給燃料量を補正
する如く構成したので、切り換えによる段差を減少させ
ながら切り換えることが可能となり、特に低応答の制御
則を用いて算出したフィードバック補正係数から高応答
の制御則を用いて算出したフィードバック補正係数への
切り換えにあっても制御の安定性を確保しつつ、燃料噴
射ないし空燃比の制御性を向上させることができる。更
に、可変バルブタイミング機構を備えている場合に高速
側のバルブタイミングが選択されているときも、吹き抜
けなどの影響による検出空燃比の不安定化によるフィー
ドバック補正係数の発散を防止することができ、適応制
御則などの高応答の制御則に基づく制御を継続すること
ができる。
【0016】制御性の向上について更に敷衍すると、供
給燃料量を操作量として検出された排気空燃比および前
記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致する
ように第1の漸化式形式の制御則を用いて第1のフィー
ドバック補正係数を算出する第1の算出手段を備えるこ
とから、制御対象が状態によって変化する場合でも収束
速度を自動的に調整することとなり、制御量が目標値へ
速やかに収束して収束性が向上する。
【0017】また操作量に外乱が加わって制御量が目標
値とずれた場合も、漸化式形式の制御則が制御対象の変
化として動作することにより、制御量が目標値に一致す
るようにフィードバック補正係数が決定されるので、外
乱に対するロバスト性も向上する。尚、フィードバック
補正係数は操作量に乗算されるものであっても加算され
るものであっても良い。
【0018】請求項2項にあっては、前記機関弁作動状
態切り換え手段は前記機関弁を前記第2の作動状態に切
り換えるとき、前記供給燃料量補正手段が前記第2の算
出手段の出力を選択し、それに基づいて前記供給燃料量
を補正したことを確認してから行う如く構成したので、
前記した作用、効果に加えて、第1の作動状態から第2
の作動状態に切り換えるときに運転状態が急変して検出
空燃比が不安定な値となることによってフィードバック
補正係数が不適切な値となることを確実に防止すること
ができる。
【0019】請求項3項にあっては、前記第2の制御則
は、P項、I項、D項のいずれか1つを少なくとも含む
PID制御則である如く構成したので、前記第1の制御
則により算出したフィードバック補正係数を用いて前記
供給燃料量を補正すると制御の安定性が低下するような
場合でも、制御の安定性を確保しつつ、燃料噴射ないし
空燃比の制御性を向上させることができる。
【0020】請求項4項にあっては、前記漸化式形式の
制御則は、適応制御則である如く構成したので、制御対
象が状態によって変化する場合でも収束速度を自動的に
調整することとなり、制御量が目標値へ速やかに収束し
て収束性が向上すると共に、操作量に外乱が加わって制
御量が目標値とずれた場合も、漸化式形式の制御則が制
御対象の変化として動作することにより、制御量が目標
値に一致するようにフィードバック補正係数が決定さ
れ、外乱に対するロバスト性を向上させることができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明
の実施の形態を説明する。
【0022】図1はこの発明に係る内燃機関の燃料噴射
制御装置を示す全体図である。
【0023】図において、符号10はOHC直列4気筒
の内燃機関を示しており、吸気管12の先端に配置され
たエアクリーナ14から導入された吸気は、スロットル
弁16でその流量を調節されつつサージタンク18と吸
気マニホルド20を経て、2個の吸気弁(図示せず)を
介して第1から第4気筒へと流入される。各気筒の吸気
弁(前記した機関弁。図示せず)の付近にはインジェク
タ22が設けられて燃料を噴射する。噴射されて吸気と
一体となった混合気は、各気筒内で図示しない点火プラ
グで点火されて燃焼してピストン(図示せず)を駆動す
る。
【0024】燃焼後の排気ガスは、2個の排気弁(前記
した機関弁。図示せず)を介して排気マニホルド24に
排出され、排気管26を経て触媒装置(三元触媒)28
で浄化されて機関外に排出される。上記で、スロットル
弁16はアクセルペダル(図示せず)とは機械的に切り
離され、パルスモータMを介してアクセルペダルの踏み
込み量および運転状態に応じた開度に制御される。ま
た、吸気管12には、スロットル弁16の配置位置付近
にそれをバイパスするバイパス路32が設けられる。
【0025】内燃機関10には、排気ガスを還流路12
1を介して吸気側に還流させる排気還流機構100が設
けられると共に、吸気系と燃料タンク36との間も接続
され、キャニスタ・パージ機構200が設けられるが、
その機構は本願の要旨と直接の関連を有しないので、説
明は省略する。
【0026】更に、内燃機関10は、いわゆる可変バル
ブタイミング機構300(図1にV/T と示す)を備え
る。可変バルブタイミング機構300は例えば、特開平
2−275,043号公報に記載されており、機関回転
数Neおよび吸気圧力Pbなどの運転状態に応じて後述
の如く、機関のバルブタイミングV/T を後述の如く低速
側と高速側の示す2種の特性LoV/T, HiV/Tの間で切り換
える。尚、このバルブタイミング特性の切り換えは、2
個の吸気弁の一方を休止させる動作を含む。
【0027】図1において内燃機関10のディストリビ
ュータ(図示せず)内にはピストン(図示せず)のクラ
ンク角度位置を検出するクランク角センサ40が設けら
れると共に、スロットル弁16の開度を検出するスロッ
トル開度センサ42、スロットル弁16下流の吸気圧力
Pb を絶対圧力で検出する絶対圧センサ44も設けられ
る。
【0028】また、内燃機関10の適宜位置には大気圧
Pa を検出する大気圧センサ46が設けられ、スロット
ル弁16の上流側には吸入空気の温度を検出する吸気温
センサ48が設けられると共に、機関の適宜位置には機
関冷却水温を検出する水温センサ50が設けられる。ま
た、油圧を介して可変バルブタイミング機構300の選
択するバルブタイミング特性を検出するバルブタイミン
グ(V/T )センサ52(図1で図示省略)も設けられ
る。更に、排気系において、排気マニホルド24の下流
で触媒装置28の上流側の排気系集合部には、広域空燃
比センサ54が設けられる。これらセンサ出力は、制御
ユニット34に送られる。
【0029】図2は制御ユニット34の詳細を示すブロ
ック図である。広域空燃比センサ54の出力は検出回路
62に入力され、そこで適宜な線型化処理が行われてリ
ーンからリッチにわたる広い範囲において排気ガス中の
酸素濃度に比例したリニアな特性からなる検出信号を出
力する(以下、この広域空燃比センサを「LAFセン
サ」と呼ぶ)。
【0030】検出回路62の出力は、マルチプレクサ6
6およびA/D変換回路68を介してCPU内に入力さ
れる。CPUはCPUコア70、ROM72、RAM7
4を備え、検出回路62の出力は所定のクランク角度
(例えば15度)ごとにA/D変換され、RAM74内
のバッファの1つに順次格納される。またスロットル開
度センサ42などのアナログセンサ出力も同様にマルチ
プレクサ66およびA/D変換回路68を介してCPU
内に取り込まれ、RAM74に格納される。
【0031】またクランク角センサ40の出力は波形整
形回路76で波形整形された後、カウンタ78で出力値
がカウントされ、カウント値はCPU内に入力される。
CPUにおいてCPUコア70は、ROM72に格納さ
れた命令に従って後述の14制御値を演算し、駆動回路
82を介して各気筒のインジェクタ22を駆動する。更
に、CPUコア70は、駆動回路84,86,88を介
して電磁弁90(2次空気量を調節するバイパス路32
の開閉)、および排気還流制御用電磁弁122ならびに
キャニスタ・パージ制御用電磁弁225を駆動する。
【0032】図3は出願に係る制御装置の動作を示すフ
ロー・チャートである。尚、図3のプログラムは所定ク
ランク角度で起動される。
【0033】出願に係る装置にあっては図4ブロック図
に示す如く、供給燃料量(図に基本噴射量Timと示す)
を操作量として検出された排気空燃比(図にKACT(k) と
示す)が目標空燃比(図にKCMD(k) と示す)に一致する
ように第1の漸化式形式の制御則(STR型の適応制御
器。図にSTRコントローラと示す)を用いて第1のフ
ィードバック補正係数(図にKSTR(k) と示す)を算出す
る第1の算出手段を設けた。
【0034】それと共に、同様に前記供給燃料量を操作
量として検出された排気空燃比KACTが目標値KCMDに一致
するように、応答性において前記第1の制御則より劣る
第2の制御則、より具体的にはPID制御則からなるP
IDコントローラ(図にPIDと示す)を用いて第2の
フィードバック補正係数KLAF(k) を算出する第2の算出
手段を設け、後述の如く検出された運転状態に応じて前
記第1の算出手段と前記第2の算出手段の出力のいずれ
かを選択し、それに基づいて前記供給燃料量Timを補正
して出力噴射量Tout を求める如く構成した。
【0035】以下説明すると、先ずS10において検出
した機関回転数Neおよび吸気圧力Pb などを読み出
し、S12に進んでクランキングか否か判断し、否定さ
れるときはS14に進んでフューエルカットか否か判断
する。フューエルカットは、所定の運転状態、例えばス
ロットル弁開度が全閉位置にあり、かつ機関回転数が所
定値以上であるときに行われ、燃料供給が停止されて噴
射量はオープンループで制御される。
【0036】S14でフューエルカットではないと判断
されたときはS16に進み、検出した機関回転数Neと
吸気圧力Pbとからマップを検索して基本燃料噴射量T
imを算出する。次いでS18に進んでLAFセンサ54
の活性化が完了したか否か判定する。これは例えば、L
AFセンサ54の出力電圧とその中心電圧との差を所定
値(例えば0.4v)と比較し、差が所定値より小さい
とき活性化が完了したと判定することで行う。
【0037】活性化が完了したと判断されるときはS2
0に進んでLAFセンサ出力(検出値)を読み込み、S
22に進んで検出値から検出空燃比KACT(k)(k:離散系
のサンプル時刻)を求める。次いでS24に進んでフィ
ードバック補正係数KFB を演算する。
【0038】図5はその作業を示すサブルーチン・フロ
ー・チャートである。
【0039】以下説明すると、S100において目標空
燃比の変化量DKCMD 、即ち、目標空燃比の今回値KCMD
(k) と前回値KCMD(k-1) の差の絶対値が、基準値DKCMDR
EFより大きいか否か判断し、肯定されるときはS102
に進んでカウンタCの値を零にリセットし、S104に
進んで低応答フィードバック補正係数を演算する。ここ
で、低応答フィードバック補正係数は、PID制御則に
よる補正係数KLAFを意味する。以下、この補正係数を
「PID補正係数」と称する。
【0040】図6はその算出作業を示すサブルーチン・
フロー・チャートであり、先ずS200において前回、
即ち、図3フロー・チャートの前回処理時にフラグFK
STRのビットが1であったか否か判断する。このフラ
グFKSTRは後述の如く、適応制御則を用いて算出さ
れたフィードバック補正係数KSTR(以下この補正係数を
「適応補正係数」と言う)に基づいて燃料噴射量Tim
(供給燃料量)が補正されたとき、1にセットされる。
従って、ここでは、前回処理のとき燃料噴射量補正に適
応補正係数KSTRの方が用いられたか否かを判断すること
を意味する。
【0041】S200で肯定されたときはS202に進
み、適応補正係数の前回値KSTR(k-1) をPID補正係数
のI項の前回値KLAF(k-1) に書き替え(後述)、S20
4に進んでPID補正係数KLAF(k) を演算する。このP
ID制御則によるフィードバック補正係数KLAFは、以下
の通り演算する。
【0042】先ず、目標空燃比KCMDと検出空燃比KACTの
制御偏差DKAFを DKAF(k) =KCMD(k-d’) −KACT(k) と求める。上記でKCMD(k-d’): 目標空燃比(ここで
d’はKCMDがKACTに反映されるまでの無駄時間を示し、
よって無駄時間制御周期前の目標空燃比を意味する)、
KACT(k) :検出空燃比(今回制御周期の)を示す。尚、
演算の便宜のため、空燃比は目標値KCMDも検出値KACT
も、実際には、当量比、即ち、Mst/M=1/λで示し
ている(Mst:理論空燃比、M=A/F(A:空気消費
量、F:燃料消費量)、λ:空気過剰率)。
【0043】次いで、それに所定の係数を乗じてP項KL
AFP(k)、I項KLAFI(k)、およびD項KLAFD(k)を P項:KLAFP(k)=DKAF(k) ×KP I項:KLAFI(k)=KLAFI(k-1)+DKAF(k) ×KI D項:KLAFD(k)=(DKAF(k) −DKAF(k-1) )×KD と求める。
【0044】このようにP項は偏差に比例ゲインKPを乗
じて求め、I項は偏差に積分ゲインKIを乗じて得た値を
フィードバック補正係数のI項の前回値KLAFI(k-1)に加
算して求め、D項は偏差の今回値DKAF(k) と前回値DKAF
(k-1) の差に微分ゲインKDを乗じて求める。尚、各ゲイ
ンKP,KI,KDは、機関回転数と機関負荷に応じて求めら
れ、より具体的にはマップを用いて機関回転数Neと吸
気圧力Pbとから検索できるように設定しておく。最後
に、よって得た値を KLAF(k) =KLAFP(k)+KLAFI(k)+KLAFD(k) と合算してPID制御則によるフィードバック補正係数
の今回値KLAF(k) とする。尚、この場合、乗算補正によ
るフィードバック補正係数とするためのオフセット分で
ある1.0はKLAFI(k)に含まれているものとする(すな
わちKLAFI 項の初期値は1.0とする)。
【0045】上記でPID補正係数KLAFは、S202で
I項が書き替えられたとき、それを用いて算出される。
その理由は、適応補正係数KSTRからPID補正係数KLAF
に切り換えられるときはI項(積分項)が急激に変化す
る可能性があるが、このように適応補正係数KSTRの値を
用いてPID補正係数KLAFのI項の初期値を決定するこ
とにより、適応補正係数とPID補正係数の段差を小さ
く止めることができ、制御量の急変を防止して制御の安
定性を確保することができるからである。
【0046】次にS206に進んでPID補正係数KLAF
(k) をフィードバック補正係数KFBとし、続いてS20
8に進んでPID補正係数KLAFで噴射量補正がなされる
ことからフラグFKSTRのビットを0にリセットす
る。
【0047】即ち、オープンループ制御からフィードバ
ック制御に復帰したとき、例えばフューエルカット状態
からの復帰時のような場合、LAFセンサの検出遅れな
どから検出値が必ずしも真の値を示すとは限らないた
め、制御が不安定となる恐れあることから、低応答フィ
ードバック補正係数を制御に用いると共に、同様の理由
から目標空燃比の変化量が大きいとき、例えばスロット
ル全開増量状態から復帰したとき、リーンバーン制御か
ら理論空燃比制御に復帰したときは、低応答フィードバ
ック補正係数を制御に用いる。
【0048】図5フロー・チャートの説明に戻ると、S
100で否定されたときはS106に進み、前記したカ
ウンタCの値をインクリメントし、S108に進んでカ
ウンタ値Cが所定値CREF 以下か否か判断する。S10
8でカウンタ値が所定値CREF 以下と判断されるときは
目標空燃比KCMDが大きく変化してからの経過時間が短
く、燃焼が完了するまでの遅れやLAFセンサの検出遅
れを吸収できないとことから、S104に進むと共に、
S108でカウンタ値が所定値CREF 未満ではないと判
断されるときはS110に進んでフィードバック領域の
判別を行う。
【0049】図7はその領域作業を示すサブルーチン・
フロー・チャートである。
【0050】以下説明すると、先ずS300において前
回、即ち、図3フロー・チャートの前回起動時(前回制
御周期)にオープンループで制御されていたか否か判断
する。フューエルカット時にオープンループ制御される
ことは先に触れたが、それ以外にも、例えば全開増量時
や高回転時、または排気還流機構が動作して運転状態が
急変したときなどは、オープンループ制御とされる。従
って、そのような運転状態にないときが、フィードバッ
ク制御領域とされる。
【0051】S300で肯定されるときはS302に進
み、低応答のフィードバック補正係数(PID補正係数
KLAF)を用いてフィードバック制御を行うべき領域(以
下「低応答フィードバック領域」と言う)とする。
【0052】これは、オープンループ制御からの突入時
は前述したような理由から高応答のフィードバック制御
を行わない方が良いためである。尚、オープンループ制
御からの突入時に所定期間、例えば5TDC、低応答フ
ィードバック制御を行っても良く、その場合はS300
の後にその期間であれば継続的にS302に進むような
判断ステップを設ければ良い。
【0053】S300で肯定されるときはS304に進
んで検出した機関冷却水温Twが所定値TWSTRON 未満か
否か判断する。ここで、所定値TWSTRON は比較的低水温
に設定され、検出した機関冷却水温Twが所定値TWSTRO
N 未満と判断されるときはS302に進んで低応答フィ
ードバック領域とする。これは、低水温時には燃焼が安
定せず、失火などを生じる危険があって安定した検出値
KACTが得られないからである。尚、図示は省略するが、
水温が異常に高いときも同様の理由から低応答フィード
バック領域とする。
【0054】S304で検出した機関冷却水温Twが所
定値TWSTRON 未満ではないと判断されるときはS306
に進み、検出した機関回転数Neが所定値NESTRLMT以上
か否か判断する。ここで、所定値NESTRLMTは比較的高回
転数であり、S306で検出した機関回転数Neが所定
値NESTRLMT以上と判断されるときはS302に進んで低
応答フィードバック領域とする。これは、高回転時は演
算時間が不足しがちであると共に、燃焼も安定しないか
らである。
【0055】S306で検出した機関回転数Neが所定
値NESTRLMT以上ではないと判断されるときはS308に
進んでアイドル時にあるか否か判断し、肯定されるとき
はS302に進んで低応答フィードバック領域とする。
これは、アイドル時は運転状態がほぼ安定しており、適
応制御則のような高いゲインを必要としないからであ
る。
【0056】S308でアイドル時ではないと判断され
るときはS310に進んで低負荷域にあるか否か判断
し、肯定されるときはS302に進んで低応答フィード
バック領域とする。これは、低負荷域では燃焼が安定し
ないためである。
【0057】S310で低負荷域にはないと判断される
ときはS312に進んで可変バルブタイミング機構にお
いてHi V/T(高速側のバルブタイミング)が選択されて
いるか否か判断し、肯定されるときはS302に進んで
低応答フィードバック領域とする。
【0058】ここで、図8フロー・チャートを参照して
可変バルブタイミング機構の指令値の算出について説明
する。
【0059】先ず図8のS400において機関回転数N
eおよび吸気圧力Pbを読み込み、S402に進んで読
み込んだ機関回転数Neと吸気圧力PbとからROM7
2に格納されたマップを検索してバルブタイミングゾー
ンを決定する。尚、この決定には機関冷却水温度Twな
どを加味しても良い。
【0060】図9はその特性を示す特性図であり、バル
ブタイミングゾーンは図示の如く、機関回転数Neと吸
気圧力Pbとから切り換えポイントを介して低速側のバ
ルブタイミングLo V/T(前記した第1の作動状態)と高
速側のバルブタイミングHi V/T(前記した第2の作動状
態)に二分される。ここで、切り換えポイントは、機関
負荷(吸気圧力Pb)が低いほど高回転側に移行するよ
うに設定される。S402において読み出した値からい
ずれのバルブタイミングが選択されるべきか判断され
る。
【0061】次いでS404に進んで決定されたバルブ
タイミングが高速側のHi V/Tか低速側のLo V/Tか否か判
断し、低速側と判断されるときはS406に進んで低速
側のLo V/Tに切り換え指令する。他方、S404におい
て高速側と判断されるときはS408に進み、高速側の
Hi V/Tに切り換え指令する。
【0062】図7フロー・チャートの説明に戻ると、S
312では図8フロー・チャートのS406,S408
に示す可変バルブタイミング機構の制御ユニットのバル
ブタイミング指令を通じて参照して判断する。そして高
速側のHi V/T指令と判断されるときは、低応答フィード
バック領域とする。
【0063】これについて説明すると、高速側のバルブ
タイミングが選択されているときはバルブタイミングの
オーバラップ量が大きいため、吸気が排気弁を通過して
逃げる、いわゆる吸気の吹き抜けと言う現象が生じる恐
れがあり、安定した検出値KACTを期待し得ないからであ
る。また高回転時にはLAFセンサの検出遅れも無視し
難くなる。
【0064】即ち、図示した適応制御においては、後述
の如く、u(k) =KSTR(k) とKACT(k) の因果関係から、
適応パラメータθハット(k) を求めるため、比較的正確
な検出値KACTが毎制御周期ごとにサンプリングできない
と、成立しない可能性がある。よって、高速側のHi V/T
時には低応答フィードバック領域とし、後述の如くPI
D補正係数KLAFを用いることとする。
【0065】更に、低速側のLo V/Tから高速側のHi V/T
へ切り換えられるとき、内燃機関の運転状態が急変する
ため、検出値KACTが不安定となりやすい。この状態でフ
ィードバック補正係数を適応補正係数KSTRからPID補
正係数KLAFに変更すると、フィードバック補正係数は応
答性が高いため、不安定となった検出値KACTに基づいて
不適切な値を示すことがある。その値のときにPID補
正係数KLAFに変更すると、前述の如くKLAFI 項=KSTR(k
-1) と置換することから、PID補正係数KLAFが不適切
な値から開始する恐れがある。
【0066】他方、PID制御は適応制御に比較して応
答性が低く、不適切な値から適切な値に収束するまで、
適応制御に比べると、時間がかかる。更に、バルブタイ
ミングの変更は全ての気筒について同時に行われるとは
限らず、過渡状態などでは気筒間でバルブタイミングが
一時的に異なる場合も生じ得る。
【0067】この問題を解決するために、この実施の形
態においては、Hi V/Tへの切り換え指令が出力されたと
きは、先ずフィードバック補正係数をPID補正係数KL
AFに変更する。そして可変バルブタイミング機構の制御
ユニットにあっては噴射量補正がPID補正係数KLAFに
基づいてなされたことを確認してから、Hi V/Tへの切り
換えを実行するようにした。
【0068】図10を参照して具体的に説明する。尚、
このフロー・チャートによる処理は、実際には図5フロ
ー・チャートの処理が終了した後に行なう。
【0069】先ずS410で、図8フロー・チャートに
より決定されたV/T 指令が、Hi V/T側かLo V/T側かを判
断し、Lo V/T側と判断されるときはS412に進んで図
示しない油圧回路をLo V/T側に制御する。他方、S41
0でHi V/T側と判断されるときはS414に進んで、噴
射量補正が高応答フィードバック補正係数(適応補正係
数KSTR)で行なわれていることを示すフラグFKSTR
のビットが1か否か判断する。S414で肯定されると
きはフィードバック補正係数がPID 補正係数KLAFに変更
されていないことからS412に進んで図示しない油圧
回路をLo V/T側に制御する。
【0070】S414で否定されるときはフィードバッ
ク補正係数がPID補正係数KLAFに変更されていること
からS416に進んで噴射量補正が低応答フィードバッ
ク補正係数(PID補正係数KLAF)で行われてから所定
TDC数、即ち、所定の期間燃焼が行われたことを確認
してS418に進み、図示しない油圧回路をHi V/T側に
制御する。
【0071】以上のようにバルブタイミングの切り換え
制御と、フィードバック補正係数の選択を関連させて行
なうことで、低速側のLo V/Tから高速側のHi V/Tへの切
り換えは、実際にフィードバック補正係数が、PID補
正係数に変更され、更にそれに基づいて所定のTDC数
の間燃焼が行われたことを確認してから行なわれるた
め、前述したような問題を解決でき、結果として制御の
安定性が向上する。
【0072】図7フロー・チャートの説明に戻ると、S
312で否定されるときはS314に進み、検出した空
燃比KACTが所定値a未満か否か判断し、肯定されるとき
はS302に進むと共に、否定されるときはS316に
進んで検出した空燃比KACTが所定値bより大きいか否か
判断し、肯定されるときはS302に進むと共に、否定
されたときはS318に進んで高応答のフィードバック
補正係数(適応補正係数KSTR)を用いてフィードバック
制御を行うべき領域(以下「高応答フィードバック領
域」と言う)とする。
【0073】即ち、空燃比がリーンもしくはリッチのと
きは適応制御のような高応答の制御は行わない方が良い
ため、所定値a,bを適宜設定することで、その判別を
するようにした。尚、この作業は、検出空燃比に代えて
目標空燃比を比較しても良い。
【0074】図5フロー・チャートの説明に戻ると、次
いでS112に進んで高応答フィードバック領域か否か
判断し、否定されるときはS104に進むと共に、肯定
されるときはS114に進んで前回フラグFKSTRの
ビットが0であったか否か判断する。肯定されるとき、
即ち、前回PID制御則によりフィードバック補正係数
が算出されたときはS116に進んで検出空燃比KACTが
所定下限値KACTLMTL(例えば0.95)以上か否か判断
し、肯定されるときはS118に進んで所定上限値KACT
LMTH(例えば1.05)以下か否か判断する。
【0075】S116ないしS118で否定されるとき
はS104に進むと共に、S118でも肯定されるとき
はS120に進んで高応答フィードバック補正係数、よ
り具体的には適応制御則によるフィードバック補正係数
KSTR(k) を演算する。即ち、検出当量比が1.0付近に
あるときPID制御から適応制御に切り換えるようにし
て制御の安定性を確保する。
【0076】図11フロー・チャートは、その適応補正
係数KSTR(k) の算出作業を示すサブルーチン・フロー・
チャートである。
【0077】最初にS500において図3フロー・チャ
ートの前回処理時に前記フラグFKSTRのビットが0
であったか、換言すれば前回の補正にPID補正係数KL
AFが用いられたか否か判断する。そしてS500で肯定
されたときはS502の処理(後述)を経てS504に
進み、適応補正係数KSTRを算出する。
【0078】以下これについて説明すると、先に図4に
示した適応制御器は、本出願人が先に提案した適応制御
技術を前提とする。それはSTR(セルフチューニング
レギュレータ)コントローラからなる適応制御器とその
適応(制御)パラメータ(ベクトル)を調整する適応
(制御)パラメータ調整機構とからなり、STRコント
ローラは、燃料噴射量制御のフィードバック系の目標値
と制御量(プラント出力)を入力し、適応パラメータ調
整機構によって同定された係数ベクトルを受け取って出
力を算出する。
【0079】このような適応制御において、適応制御の
調整則(機構)の一つに、I.D.ランダウらの提案し
たパラメータ調整則がある。この手法は、適応制御シス
テムを線形ブロックと非線形ブロックとから構成される
等価フィードバック系に変換し、非線形ブロックについ
ては入出力に関するポポフの積分不等式が成立し、線形
ブロックは強正実となるように調整則を決めることによ
って、適応制御システムの安定を保証する手法である。
即ち、ランダウらの提案したパラメータ調整則において
は、漸化式形式で表される調整則(適応則)が、上記し
たポポフの超安定論ないしはリヤプノフの直接法の少な
くともいずれかを用いることでその安定性を保証してい
る。
【0080】この手法は、例えば「コンピュートロー
ル」(コロナ社刊)No.27,28頁〜41頁、ない
しは「自動制御ハンドブック」(オーム社刊)703頁
〜707頁、" A Survey of Model Reference Adaptive
Techniques - Theory and Ap-plications" I.D. LANDA
U 「Automatica」Vol. 10, pp. 353-379, 1974、"Uni-f
ication of Discrete Time Explicit Model Reference
Adaptive ControlDesigns" I.D.LANDAU ほか「Automat
ica」Vol. 17, No. 4, pp. 593-611, 1981、および" Co
mbining Model Reference Adaptive Controllers and S
tochasticSelf-tuning Regulators" I.D. LANDAU 「Aut
omatica」Vol. 18, No. 1, pp. 77-84, 1982 に記載さ
れているように、公知技術となっている。
【0081】図示例の適応制御技術では、このランダウ
らの調整則を用いた。以下説明すると、ランダウらの調
整則では、離散系の制御対象の伝達関数B(Z-1)/A
(Z-1) の分母分子の多項式を数1および数2のようにお
いたとき、パラメータ調整機構が同定する適応パラメー
タθハット(k) は、数3のようにベクトル(転置ベクト
ル)で示される。またパラメータ調整機構への入力ζ
(k) は、数4のように定められる。ここでは、m=1、
n=1、d=3の場合、即ち、1次系で3制御サイクル
分の無駄時間を持つプラントを例にとった。
【0082】
【数1】
【0083】
【数2】
【0084】
【数3】
【0085】
【数4】
【0086】ここで、数3に示される適応パラメータθ
ハットは、ゲインを決定するスカラ量b0 ハット-1(k)
、操作量を用いて表現される制御要素BR ハット(Z-1,
k)および制御量を用いて表現される制御要素Sハット
(Z -1, k)からなり、それぞれ数5から数7のように表
される。
【0087】
【数5】
【0088】
【数6】
【0089】
【数7】
【0090】パラメータ調整機構はこれらのスカラ量や
制御要素の各係数を同定・推定し、前記した数3に示す
適応パラメータθハットとして、STRコントローラに
送る。パラメータ調整機構は、プラントの操作量u
(i)および制御量y(j)(i,jは過去値を含む)
を用いて目標値と制御量との偏差が零となるように適応
パラメータθハットを算出する。適応パラメータθハッ
トは、具体的には数8のように計算される。数8で、Γ
(k) は適応パラメータの同定・推定速度を決定するゲイ
ン行列(m+n+d次)、eアスタリスク(k) は同定・
推定誤差を示す信号で、それぞれ数9および数10のよ
うな漸化式で表される。尚、数10においてD(z-1
は設計者が与える所望の漸近安定な多項式で、この例で
は1に設定した。
【0091】
【数8】
【0092】
【数9】
【0093】
【数10】
【0094】また数9中のλ1(k) ,λ2(k) の選び方
により、種々の具体的なアルゴリズムが与えられる。例
えば、λ1(k) =1,λ2(k) =λ(0<λ<2)とす
ると漸減ゲインアルゴリズム(λ=1の場合には最小自
乗法)、λ1(k) =λ1(0<λ1<1),λ2(k) =
λ2(0<λ2<λ)とすると可変ゲインアルゴリズム
(λ2=1の場合には重み付き最小自乗法)、λ1(k)
/λ2(k) =σとおき、λ3が数11のように表される
とき、λ1(k) =λ3(k) とおくと固定トレースアルゴ
リズムとなる。また、λ1(k) =1,λ2(k) =0のと
き固定ゲインアルゴリズムとなる。この場合は数9から
明らかな如く、Γ(k) =Γ(k-1) となり、よってΓ(k)
=Γの固定値となる。燃料噴射ないし空燃比などの時変
プラントには、漸減ゲインアルゴリズム、可変ゲインア
ルゴリズム、固定ゲインアルゴリズム、および固定トレ
ースアルゴリズムのいずれもが適している。尚、数11
においてtrΓ(0) はΓの初期値のトレースである。
【0095】
【数11】
【0096】ここで、図4にあっては、前記したSTR
コントローラ(適応制御器)と適応パラメータ調整機構
とは燃料噴射量演算系の外におかれ、検出空燃比KACT
(k) が目標空燃比KCMD(k-d’) (ここでd’は前述の如
くKCMDがKACTに反映されるまでの無駄時間)に適応的に
一致するように動作してフィードバック補正係数KSTR
(k) を演算する。即ち、STRコントローラは、適応パ
ラメータ調整機構によって適応的に同定された係数ベク
トルθハット(k) を受け取って目標空燃比KCMD(k-d’)
に一致するようにフィードバック補償器を形成する。演
算されたフィードバック補正係数KSTR(k) は基本噴射量
Timに乗算され、補正された燃料噴射量が出力燃料噴射
量Tout(k)として制御プラント(内燃機関)に供給され
る。
【0097】このように、適応補正係数KSTR(k) および
検出空燃比KACT(k) が求められて適応パラメータ調整機
構に入力され、そこで適応パラメータθハット(k) が算
出されてSTRコントローラに入力される。STRコン
トローラには入力として目標空燃比KCMD(k) が与えら
れ、検出空燃比KACT(k) が目標空燃比KCMD(k-d')に一致
するように漸化式を用いて適応補正係数KSTR(k) を算出
する。
【0098】適応補正係数KSTR(k) は、具体的には数1
2に示すように求められる。
【0099】
【数12】
【0100】前述の如く、検出空燃比KACT(k) と目標空
燃比KCMD(k) とは、図5フロー・チャートのS104で
先に説明したPID制御則による制御器(PID)にも
入力され、排気系集合部の検出空燃比KACT(k) と目標空
燃比KCMD(k-d')との偏差を解消すべくPID制御則に基
づいてPID補正係数KLAF(k) が算出される。適応制御
則による適応補正係数KSTRとPID制御則によるPID
補正係数KLAFは、図4の切換機構400を介していずれ
か一方が燃料噴射量の演算に用いられる。
【0101】図11フロー・チャートの説明に戻ってS
502の処理を述べると、適応補正係数KSTRは本来的に
は前述の如く数6のように求めるが、S500で肯定さ
れるときは前回制御周期ではPID補正係数KLAFが補正
に用いられたことを意味する。そして後述の如く、PI
D補正係数KLAFが補正に用いられるとき、適応補正係数
KSTRは1.0に固定される。従って、適応補正係数KSTR
による燃料噴射量補正が再開されたとき、適応補正係数
KSTRの値が1.0から大きく外れると、制御量が不安定
になる。
【0102】前記したように、STRコントローラを構
成する、ゲインを決定するスカラ量bo ハット-1(k) 、
操作量を用いた制御要素BR ハット(Z-1,k)、およ
び制御量を用いた制御要素Sハット(Z-1,k)は、そ
れぞれ数5ないし数7のように表されるが、S502に
示すようにゲインを決定するスカラ量をPID補正係数
の前回値KLAF(k-1) で除算しておくと、数13に示すよ
うに、その第1項は1となっていることから、第2項KL
AF(k-1) の値が今回の適応補正係数KSTR(k) となる。そ
れによってPID補正係数KLAFから適応補正係数KSTRへ
の切り換えを滑らかに行うことができる。
【0103】
【数13】
【0104】次にS506に進んで、適応補正係数KSTR
をフィードバック補正係数KFB とし、続いて適応補正係
数KSTRで噴射量補正がなされることからフラグFKST
Rのビットを1にセットして、図5フロー・チャートに
戻り処理を終了する。
【0105】図3フロー・チャートに戻ると、次いでS
26に進んで基本燃料噴射量Timに、目標空燃比補正係
数KCMDM (目標空燃比KCMD(当量比)に吸入空気の充填
効率補正を施して得る値)と求めたフィードバック補正
係数KFB と各種補正係数KTOTALとを乗算して補正すると
共に、加算項TTOTALを加算して補正し、先に述べたよう
に出力燃料噴射量Tout を決定する。次いでS28に進
んで出力燃料噴射量Tout を操作量としてインジェクタ
22に出力する。
【0106】ここで、各種補正係数KTOTALは水温補正な
ど乗算で行う各種の補正係数の積算間を意味し、加算項
TTOTALは気圧補正など加算値で行う補正係数の合算値を
示す(但し、インジェクタの無効時間などは出力燃料噴
射量Tout の出力時に別途加算されるので、これに含ま
れない)。
【0107】尚、S18で否定されたときは空燃比がオ
ープンループ制御となるので、S30に進んでフィード
バック補正係数KFB の値を1.0とし、S26に進んで
出力燃料噴射量Tout を求める。またS12でクランキ
ングと判断されたときはS32に進んでクランキング時
の燃料噴射量Ticr を検索し、S34に進んで検索値に
基づいて始動モードの式に従って出力燃料噴射量Tout
を算出すると共に、S14でフューエルカットと判断さ
れたときは、S36に進んで出力燃料噴射量Tout を零
とする。
【0108】この実施の形態においてはフューエルカッ
トから復帰するときなど、空燃比のオープンループ制御
が終了してフィードバック制御が再開された場合、空燃
比センサの活性化が確認されてからしばらくはPID制
御則に基づいてフィードバック補正係数を決定するよう
にした。従って、供給された燃料が燃焼するまでに時間
を要する、ないしはセンサ自体が検出遅れを有すること
から検出された空燃比と実際の空燃比との間に比較的大
きい差があるとき、高応答の適応制御則によるフィード
バック補正係数を用いることがなく、結果として制御量
を不安定にして、制御の安定性を低下させることがな
い。
【0109】他方、検出値が安定したときは、高応答の
適応制御則によるフィードバック補正係数を用いて目標
空燃比と検出空燃比との制御偏差を一気に吸収させるべ
く動作させ、制御の収束性を向上させることができる。
特に、実施の形態においてはフィードバック補正係数が
基本値に乗算されて操作量が決定されるように制御の収
束性が向上させられているので、一層好適に制御の安定
性と収束性とをバランスさせることができる。
【0110】更に、内燃機関がバルブタイミングを低速
側と高速側に切り換える、いわゆる可変バルブタイミン
グ機構を備えている場合、高速側のバルブタイミングが
選択されているときはPID補正係数KLAFに基づいて燃
料量を補正するようにしたので、吸気の吹き抜けが生じ
て検出空燃比が安定しない事態が生じてもフィードバッ
ク補正係数が不適切な恐れとなることがない。更に、P
ID補正係数KLAFに基づいて燃料量が補正されるのを確
認してから高速側のバルブタイミングに切り換えるよう
にしたので、フィードバック補正係数が不適切な値とな
るのを一層確実に防止することができる。
【0111】図12は、この発明に係る装置の第2の実
施の形態を示す、図5と同様のフィードバック補正係数
KFB 演算のサブルーチン・フロー・チャートである。
【0112】第2の実施の形態においては、STRコン
トローラとPIDコントローラとを平行して動作させ、
適応補正係数KSTRとPID補正係数KLAFとを平行して演
算するようにした。
【0113】このSTRコントローラとPIDコントロ
ーラの平行演算について説明を補足すると、数8ないし
数10に示した適応パラメータ調整機構は、中間変数ζ
(k-d) 、即ち、u(k) =KSTR(k) およびy(k) =KACT
(k) の現在値と過去値をひとまとめにしたベクトルを入
力し、その因果関係から適応パラメータθハット(k) を
算出している。ここで用いるu(k) は、実際に燃料噴射
量演算に用いるフィードバック補正係数である。適応制
御を行わずにPID制御を行う状態では、このフィード
バック補正係数にPID補正係数KLAFを用いる。
【0114】ここで、PID制御を行っている場合に、
適応パラメータ調整機構に入力するu(k) を適応補正係
数KSTR(k) からKLAF(k) に置換して適応パラメータ調整
機構に入力しても、燃料噴射制御に用いたフィードバッ
ク補正係数に応じた制御出力、即ち、KACT(k+d) が出力
されるため、入出力の因果関係が成立し、適応パラメー
タ調整機構は適応パラメータθハット(k) を発散させる
ことなく、演算できる。
【0115】このとき、数12にこのθハット(k) を入
力すると、KSTR(k) が演算される。このKSTR(k) の演算
は、KSTR(k-i) =KLAF(k-i) と置換して演算したKSTR
(k) でも良い(i=1,2,3)。
【0116】このように、PIDコントローラが動作し
ているときも適応補正係数KSTRは演算可能であり、その
ときのPID補正係数KLAFと適応補正係数KSTRは略一致
する。また、それによってPID補正係数KLAFから適応
補正係数KSTRに切り換える際に、PID補正係数KLAFと
適応補正係数KSTRとは近似した値となり、円滑な切り換
えとなる。
【0117】上記を前提として第2の実施の形態を図1
2フロー・チャートを参照して説明すると、先ずS60
0でフィードバック制御領域か否か判断する。先に触れ
たフューエルカット時の他、高回転、全開増量、ないし
は高水温などにより運転状態が変化したようなときは燃
料噴射はオープンループで制御される。
【0118】S600で肯定されるときはS602に進
んでPID補正係数KLAFを第1の実施の形態と同様の手
順で演算し、次いでS604に進んで適応補正係数KSTR
を第1の実施の形態と同様の手順で演算する。続いてS
606 に進んでフィードバック領域を判別する。これも
第1の実施の形態の図7に示した手順と同様に行われ
る。
【0119】そしてS608に進んで高応答フィードバ
ック領域か否か判断し、肯定されるときはS610に進
んで適応補正係数KSTRをフィードバック補正係数KFB と
し、続いてS612に進んで先に第1の実施の形態の図
6フロー・チャートのS202で行ったと同様にフィー
ドバック補正係数KFB をI項KLAFI とする。次いでS6
14に進んで適応補正係数KSTRで噴射量補正がなされる
ことからフラグFKSTRのビットを1にセットする。
【0120】他方、S608で高応答領域ではないと判
断されるときはS616に進んでPID補正係数KLAFを
フィードバック補正係数KFB とし、S618に進んでフ
ィードバック補正係数KFB をプラント入力u(k) とし、
STRコントローラに入力する(図4に示す)。これ
は、STR領域ではないときもSTRコントローラは演
算を継続することから、PID補正係数KLAFを演算に使
用させるためである。次いでS620に進んでフラグF
KSTRのビットを0にリセットする。
【0121】またS600でフィードバック領域ではな
いと判断されるときはS622に進んでフィードバック
領域ではなくなってから所定期間が経過したか否か判断
し、否定されるときはS624に進んでI項の前回値KL
AFI(k-1)を今回値KLAFとし、即ち、I項をホールドし、
S626に進んで同様に、適応制御器の内部変数(中間
変数)を前回値、即ち、適応制御時の最後の値をホール
ドする。
【0122】ここで、プラント入力uは図4に示す如
く、ζの演算に用いられるが、そのとき現在値u(k) の
みならず、その過去値u(k-1) なども用いられる。従っ
て、S626のu(k-i) のiは、その現在値および過去
値を総称する意味で用い、S626ではu(k) ,u(k-
1) ,u(k-2) ,u(k-3) 、より正確にはu(k-1) ,u
(k-2) ,u(k-3) ,u(k-4) をホールドすることを意味
する。尚、適応パラメータθハットとゲイン行列Γは、
単に前回値をホールドする。尚、図示は省略したが、KS
TR,KACTも適応制御時の最後の値をホールドする。尚、
KACTと入力u(k-i)をひとまとめにしてζとしてホールド
させても良いことは言うまでもない。
【0123】次いで、S628に進んでフィードバック
補正係数KFB の値を1.0とする。即ち、フィードバッ
ク補正を行わないこととし、S630に進んでフラグF
KSTRのビットを0にリセットする。
【0124】他方、S622でフィードバック領域では
なくなってから所定期間が経過したと判断されるときは
S632に進んでI項KLAFI の値を1.0(初期値)と
し、S634に進んでプラント入力u、適応パラメータ
θハットおよびゲイン行列Γの値を所定値、例えば初期
値とする。ここで、プラント入力uについて初期値はよ
り具体的には、u(k) =u(k-1) =u(k-2) =u(k-3)
=1とおく。
【0125】これについて説明すると、一旦アクセルペ
ダルが戻されて減速し、フューエルカットされてオープ
ンループ制御に移行した後、ほどなくアクセルペダルが
再び踏まれて加速する、即ち、フィードバック制御に復
帰することは、しばしば経験される。このように短時間
で再びフィードバック制御に復帰するときは、STRコ
ントローラの非作動領域前後の内燃機関の状態がほとん
ど変化せず、過去の燃焼履歴との因果関係が当然成立し
ているからである。
【0126】従って、このような一過性の領域の変更の
場合には適応制御器の内部変数をホールドすることで適
応制御の連続性が保たれ、初期状態などに不要に戻るこ
となく、適応制御が実行されて制御安定性が向上する。
その意味で、S622で述べた所定期間は過去の燃焼履
歴との因果関係が成立する範囲の時間に設定する。
【0127】他方、所定期間以上の時間が経過したとき
は、適応制御非作動領域前後の内燃機関の状態が大きく
変化していることが予想されるため、S634で内部変
数を所定値、例えば初期値に戻すようにした。尚、θハ
ット(k-1) の初期値およびu(k) (=KSTR(k) )を内燃
機関の運転領域ごとにメモリに格納しておき、その値を
用いてθハット(k-1) およびζ(k-d) の過去値としても
良い。そうすることによって、適応制御再開時の制御性
をさらに向上させることができる。更には、θハット
(k) を運転領域ごとに学習しても良い。
【0128】第2の実施の形態は上記の如く、STRコ
ントローラとPIDコントローラとを平行して動作さ
せ、適応補正係数KSTRとPID補正係数KLAFとを、その
内部要素を互いに置換しながら平行して演算するように
したので、適応補正係数KSTRからPID補正係数KLAFへ
の、ないしはその逆の切り換えを一層滑らかに行うこと
ができる。また、その切り換えも任意のタイミングで行
うことができて一層適切に切り換えることができると共
に、切り換え時の空燃比のスパイクなどが発生すること
がなく、燃料噴射ないし空燃比の制御性を向上させるこ
とができる。
【0129】図13および図14は、この発明に係る装
置の第3の実施の形態を示すブロック図およびフィード
バック補正係数KFB の更に別の演算例を示すサブルーチ
ン・フロー・チャートである。
【0130】第3の実施の形態の場合、図13に示す如
く、PIDコントローラを除去し、第1の実施の形態の
STRコントローラに加えて第2のSTRコントローラ
を設けた(第1の実施の形態のSTRコントローラに相
当するものを「STRコントローラ1」、第2のSTR
コントローラを「STRコントローラ2」と称する)。
【0131】そして、STRコントローラ1の決定する
フィードバック補正係数(第1の適応補正係数KSTRと言
う)と、STRコントローラ2の決定するフィードバッ
ク補正係数(第2の適応補正係数KSTRL と言う)につい
て、その応答性の大小を KSTR>KSTRL とした。即ち、STRコントローラ2の決定する第2の
適応補正係数KSTRL の方が相対的にゲインが小さく、従
って制御の応答性が低いようにした。
【0132】ここで、STRコントローラ1,2のゲイ
ンの高低は、使用アルゴリズムを可変ゲインアルゴリズ
ムと固定ゲインアルゴリズムと相違させることで行う。
即ち、高ゲイン側は可変ゲインアルゴリズムとして収束
性を高めると共に、低ゲイン側を固定ゲインアルゴリズ
ムとして前出のゲイン行列のΓを低ゲインに設定し、安
定性を高めるようにする。また、より簡単に、両方とも
固定ゲインアルゴリズムとしてゲイン行列を相違させて
も良い。その場合はSTRコントローラ1のゲイン行列
Γ>STRコントローラ2のゲイン行列Γとすれば良
い。
【0133】図14は第3の実施の形態の動作を示すフ
ロー・チャートである。尚、図14は第2の実施の形態
の図12に類似し、同一のステップであれば、特に断ら
ない限り、図12と同様の処理が行われる。
【0134】以下説明すると、S700においてフィー
ドバック制御領域か否か判断し、肯定されるときはS7
04およびS706に進み第2の適応補正係数KSTRL と
第1の適応補正係数KSTRを従前の実施の形態で説明した
と同様の手順で演算し、S708に進んでフィードバッ
ク領域判別を行い、S710に進んで高応答フィードバ
ック領域か否か判断し、肯定されるときはS712に進
んで第1の適応補正係数KSTRをフィードバック補正係数
KFB とし、S714に進んでフラグFKSTRのビット
を1にセットする。
【0135】またS710で高応答フィードバック領域
にないと判断されるときはS716に進んで第2の適応
補正係数KSTRL をフィードバック補正係数KFB とし、S
718に進んでフラグFKSTRのビットを0にリセッ
トする。
【0136】他方、S700でフィードバック制御域に
ないと判断されるときはS720に進んで第2の実施の
形態の図12フロー・チャートの場合と同様に所定時間
が経過したか否か判断し、否定されるときはS722に
進んで第2の実施の形態の図12フロー・チャートの場
合と同様に内部変数の前回値をホールドする。尚、この
とき内部変数は第1の適応補正係数KSTRと第2の適応補
正係数KSTRL との両方について行う。
【0137】次いでS724に進んでフィードバック補
正係数KFB の値を1.0とし、S726に進んでフラグ
FKSTRのビットを0にリセットする。またS720
で肯定されるときはS728に進んで内部変数を所定値
(初期値)に設定する。尚、ここで内部変数のうち、プ
ラント入力u(k-i) 、適応パラメータθハット(k-1)お
よびゲイン行列Γ(k-1) の所定値は、第1、第2の適応
補正係数KSTR, KSTRLで異なるものとする(但し、ゲイ
ン行列Γ(k-1) を除くと同一値でも良い)。
【0138】第3の実施の形態は上記の如く、同様に適
応制御則でありながら応答性において異なる2種の制御
則を用いてフィードバック補正係数を平行的に算出し、
運転状態に応じてそのいずれかを選択するようにしたの
で、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができ
る。
【0139】図15および図16はこの発明に係る装置
の第4の実施の形態を示すフロー・チャートである。
【0140】第4の実施の形態は、第3の実施の形態と
同様に、STRコントローラを2個設けて2種の適応制
御則に基づいて低応答フィードバック補正係数と高応答
フィードバック補正係数を算出するようにした。即ち、
第1の実施の形態の図6および図11に示した構成に代
えるものである。
【0141】具体的には、図15フロー・チャートにお
いてS800において第3の実施の形態と同様の手順で
低応答側の第2の適応補正係数KSTRL が演算されると共
に、図16フロー・チャートのS900において高応答
側の第1の適応補正係数KSTRを従前の実施の形態で説明
したと同様の手順で演算される。尚、残余のS802以
下およびS902以下の処理は第1の実施の形態と相違
しない。
【0142】第4の実施の形態は上記の如く構成したの
で、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができ
る。
【0143】尚、第3および第4の実施の形態ではST
Rコントローラを2個用意する構成としたが、STRコ
ントローラを1個のみ使用し、固定ゲインアルゴリズム
を使用し、ゲインの高低をΓの設定値を変えることで行
っても良い。
【0144】また第1および第2の実施の形態において
PID制御の例を示したが、各ゲインKP, KI, KDを適宜
設定することで、PI制御とすることも、I項のみによ
る制御とすることも自由である。即ち、ここで言うPI
D制御は、その一部のゲイン項を有すれば成立する。
【0145】また第1ないし第4の実施の形態では目標
値を空燃比としたが、燃料噴射量を目標値としても良
い。
【0146】また第1ないし第4の実施の形態において
フィードバック補正係数KSTRないしKLAFを乗算係数
(項)として求めたが、加算項であっても良い。
【0147】また第1ないし第4の実施の形態でスロッ
トル弁をパルスモータで作動したが、アクセルペダルと
機械的にリンクさせ、アクセルペダルの踏み込みに応じ
て作動させても良い。
【0148】また第1ないし第4の実施の形態において
適応制御器としてSTRを例にとって説明したが、MR
ACS(モデル規範型適応制御)を用いても良い。
【0149】
【発明の効果】請求項1項にあっては、切り換えによる
段差を減少させながら切り換えることが可能となり、特
に低応答の制御則を用いて算出したフィードバック補正
係数から高応答の制御則を用いて算出したフィードバッ
ク補正係数への切り換えにあっても制御の安定制御の安
定性を確保しつつ、燃料噴射ないし空燃比の制御性を向
上させることができる。更に、可変バルブタイミング機
構を備えている場合に高速側のバルブタイミングが選択
されているときも、吹き抜けなどの影響による検出空燃
比の不安定化によるフィードバック補正係数の発散を防
止することができ、適応制御則などの高応答の制御則に
基づく制御を継続することができる。
【0150】請求項2項にあっては、前記した作用、効
果に加えて、第1の作動状態から第2の作動状態に切り
換えるときに運転状態が急変して検出空燃比が不安定な
値となることによってフィードバック補正係数が不適切
な値となることを確実に防止することができる。
【0151】請求項3項にあっては、前記第1の制御則
により算出したフィードバック補正係数を用いて前記供
給燃料量を確保しつつ補正すると制御の安定性が低下す
るような場合でも、制御の安定性を確保しつつ、燃料噴
射ないし空燃比の制御性を向上させることができる。
【0152】請求項4項にあっては、制御対象が状態に
よって変化する場合でも収束速度を自動的に調整するこ
ととなり、制御量が目標値へ速やかに収束して収束性が
向上すると共に、操作量に外乱が加わって制御量が目標
値からずれた場合も、漸化式形式の制御則が制御対象の
変化として動作することにより、制御量が目標値に一致
するようにフィードバック補正係数が決定され、外乱に
対するロバスト性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置を
全体的に示す概略図である。
【図2】図1の装置の制御ユニットの構成を詳細に示す
ブロック図である。
【図3】図1の装置の動作を示すフロー・チャートであ
る。
【図4】図1の装置の動作を機能的に示すブロック図で
ある。
【図5】図3フロー・チャートのフィードバック補正係
数KFB の演算作業を示すサブルーチン・フロー・チャー
トである。
【図6】図5フロー・チャートの低応答フィードバック
補正係数(PID補正係数KLAF)の演算作業を示すサブ
ルーチン・フロー・チャートである。
【図7】図5フロー・チャートのフィードバック領域の
判別作業を示すサブルーチン・フロー・チャートであ
る。
【図8】可変バルブタイミング機構の制御ユニットの動
作であるバルブタイミングゾーン判別作業を示すフロー
・チャートである。
【図9】図8フロー・チャートに示す制御のバルブタイ
ミング特性を示す説明図である。
【図10】可変バルブタイミング機構の制御ユニットの
動作であるバルブタイミング切り換え制御を示すフロー
・チャートである。
【図11】図5フロー・チャートの高応答フィードバッ
ク補正係数(適応補正係数KSTR)の演算作業を示すサブ
ルーチン・フロー・チャートである。
【図12】この発明の第2の実施の形態を示す、図5と
同様のフィードバック補正係数KFB の演算作業を示すサ
ブルーチン・フロー・チャートである。
【図13】この発明の第3の実施の形態を示す、図4と
同様のブロック図である。
【図14】第3の実施の形態のフィードバック補正係数
KFB の演算作業を示すサブルーチン・フロー・チャート
である。
【図15】この発明の第4の実施の形態を示す、図6と
同様の低応答フィードバック補正係数の演算作業を示す
サブルーチン・フロー・チャートである。
【図16】この発明の第4の実施の形態を示す、図11
と同様の高応答フィードバック補正係数の演算作業を示
すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図17】フューエルカットから燃料供給を再開したと
きの空燃比の検出遅れを示すタイミング・チャートであ
る。
【符号の説明】
10 内燃機関 22 インジェクタ 34 制御ユニット 54 広域空燃比センサ(LAFセンサ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 要一 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関弁の作動状態を切り換える機構を備
    えてなる内燃機関において、 a.内燃機関の排気する排気空燃比を含む運転状態を検
    出する運転状態検出手段と、 b.前記内燃機関の供給燃料量を決定する供給燃料量決
    定手段と、 c.前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気
    空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目
    標値に一致するように第1の漸化式形式の制御則を用い
    て第1のフィードバック補正係数を算出する第1の算出
    手段と、 d.前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気
    空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目
    標値に一致するように、応答性において前記第1の制御
    則より劣る第2の制御則を用いて第2のフィードバック
    補正係数を算出する第2の算出手段と、 e.検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段と
    前記第2の算出手段の出力のいずれかを選択し、それに
    基づいて前記供給燃料量を補正する供給燃料量補正手段
    と、 および f.前記機関弁の作動状態を少なくとも前記内燃機関の
    低速運転時に対応する第1の作動状態と高速運転時に対
    応する第2の作動状態の間で切り換える機関弁作動状態
    切り換え手段と、を備えると共に、前記供給燃料量補正
    手段は、前記機関弁が前記第2の作動状態に切り換えら
    れるとき、前記第2の算出手段の出力を選択し、それに
    基づいて前記供給燃料量を補正することを特徴とする内
    燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】 前記機関弁作動状態切り換え手段は前記
    機関弁を前記第2の作動状態に切り換えるとき、前記供
    給燃料量補正手段が前記第2の算出手段の出力を選択
    し、それに基づいて前記供給燃料量を補正したことを確
    認してから行うことを特徴とする請求項1項記載の内燃
    機関の燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第2の制御則は、比例項、積分項、
    微分項のいずれか1つを少なくとも含むPID制御則で
    あることを特徴とする請求項1項または2項記載の内燃
    機関の燃料噴射制御装置。
  4. 【請求項4】 前記漸化式形式の制御則は、適応制御則
    であることを特徴とする請求項1項ないし3項のいずれ
    かに記載の記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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JP2017153224A (ja) * 2016-02-24 2017-08-31 株式会社アドテックス モータ制御装置およびモータ制御方法

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