JP3602638B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射制御ないし空燃比制御においては一般にPID制御則が用いられ、目標値と制御量(制御対象出力)との偏差にP項(比例項)、I項(積分項)およびD項(微分項)を乗じてフィードバック補正係数(フィードバックゲイン)を求めている。また近時は現代制御理論などを用いてフィードバック補正係数を求めることも提案されているが、その場合に応答性が比較的高いことから、運転状態によっては却って制御量が発振し、制御の安定性が低下する場合がある。
【0003】
そのため、例えば特開平4−209940号公報記載の技術は、現代制御理論を用いて第1のフィードバック補正係数を求めると共に、PI制御則を用いてそれより応答性の劣る第2のフィードバック補正係数を求め、燃焼が安定しない機関運転の減速時には第2のフィードバック補正係数を用いて操作量を決定することを提案している。また同様の理由から、特開平5−52140号公報記載の技術においても、空燃比センサが半活性状態にあるときは、応答性の劣る第2のフィードバック補正係数を用いて操作量を決定することを提案している。
【0004】
また本出願人も例えば特開平7−247886号などにおいて、適応制御器を用いて燃料噴射量を決定する技術を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで内燃機関の燃料噴射ないし空燃比のフィードバック制御において、上記したフィードバックループとは別にフィードバックループを付加して気筒間の空燃比ばらつきを低減しようとするとき、その付加したフィードバックループの応答性をどのように決定するかが問題となる。
【0006】
即ち、両者のフィードバックループのゲインが全体として高ければ系が発振する恐れが高くなる。他方、収束性の点ではゲインは高い方が望ましい。その点で付加したフィードバックループの応答性をどのように決定するかが問題となるが、上記した従来技術はそれについて答えるものではなかった。
【0007】
従って、この発明の目的は、内燃機関の燃料噴射ないし空燃比のフィードバック制御において応答性の異なる2種のフィードバック補正係数のいずれかを選択して第1のフィードバックループとし、それとは別にフィードバックループを付加して気筒間の空燃比ばらつきを低減すると共に、その付加したフィードバックループの応答性を適正に決定して制御性を向上させるようにした内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0008】
更には、第1のフィードバックループにおいて高応答のフィードバック補正係数を選択するとき、収束性は高いが発振しやすい不都合がある。特にオープンループ制御からフィードバック制御に復帰したときなど、それが顕著となる。また、それぞれの特性が異なることから、補正係数に段差が生じて操作量が急変し、制御量が不安定となって制御の安定性が低下する恐れがある。
【0009】
従って、この発明の付随的な目的は、第1のフィードバックループにおいて応答性において異なる複数の制御則を用いてフィードバック補正係数を決定し、運転状態に応じて滑らかに切り換えることによって制御の安定性を確保しつつ燃料噴射ないし空燃比の制御性を向上させるようにした内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1項にあっては、内燃機関の排気する排気空燃比を含む運転状態を検出する運転状態検出手段と、前記内燃機関の供給燃料量を決定する供給燃料量決定手段と、前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致するように第1の漸化式形式の制御則を用いて第1のフィードバック補正係数を算出する第1の算出手段と、前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致するように、応答性において前記第1の制御則より劣る第2の制御則を用いて第2のフィードバック補正係数を算出する第2の算出手段と、前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比の気筒間のばらつきが減少するように第3の気筒別のフィードバック補正係数を算出する第3の算出手段と、および検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段と前記第2の算出手段の出力のいずれかを選択し、それに基づいて前記供給燃料量を補正すると共に、前記第3の算出手段の出力に基づいて前記供給燃料量を補正する供給燃料量補正手段と、を備えると共に、前記第3の算出手段は、前記選択された第1または第2の算出手段の出力に応じて前記第3のフィードバック補正係数を算出するための制御定数を決定する如く構成した。
【0011】
請求項2項にあっては、前記運転状態検出手段が前記内燃機関の排気系集合部での排気空燃比を含む運転状態を検出するものであると共に、前記内燃機関の排気系集合部空燃比からなる出力変数と所定の値からなる入力変数とに基づいて各気筒の排気空燃比を状態変数として推定するオブザーバ、を備え、前記第3の算出手段は、前記オブザーバが推定した各気筒の排気空燃比に基づいて前記第3のフィードバック補正係数を算出する如く構成した。
【0012】
請求項3項にあっては、前記漸化式形式の制御則は、適応制御則である如く構成した。
【0013】
【作用】
請求項1項にあっては、供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致するように第1の漸化式形式の制御則を用いて第1のフィードバック補正係数を算出する第1の算出手段と、前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致するように、応答性において前記第1の制御則より劣る第2の制御則を用いて第2のフィードバック補正係数を算出する第2の算出手段と、前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比の気筒間のばらつきが減少するように第3の気筒別のフィードバック補正係数を算出する第3の算出手段と、および検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段と前記第2の算出手段の出力のいずれかを選択し、それに基づいて前記供給燃料量を補正すると共に、前記第3の算出手段の出力に基づいて前記供給燃料量を補正する供給燃料量補正手段と、を備えると共に、前記第3の算出手段は、前記選択された第1または第2の算出手段の出力に応じて前記第3のフィードバック補正係数を算出するための制御定数を決定する如く構成したので、気筒間の空燃比のばらつきを低減すると共に、付加したフィードバックループの応答性を可変にして制御性を向上させることができる。
【0014】
また切り換えによる段差を減少させながら切り換えることが可能となり、特にPID制御則などの低応答の制御則を用いて算出したフィードバック補正係数から適応制御則などの高応答の制御則を用いて算出したフィードバック補正係数への切り換えにあっても制御の安定制御の安定性を確保しつつ、燃料噴射ないし空燃比の制御性を向上させることができる。
【0015】
請求項2項にあっては、前記運転状態検出手段が前記内燃機関の排気系集合部での排気空燃比を含む運転状態を検出するものであると共に、前記内燃機関の排気系集合部空燃比からなる出力変数と所定の値からなる入力変数とに基づいて各気筒の排気空燃比を状態変数として推定するオブザーバ、を備え、前記第3の算出手段は、前記オブザーバが推定した各気筒の排気空燃比に基づいて前記第3のフィードバック補正係数を算出する如く構成したので、上記した作用、効果に加えて、空燃比を検出する構成を簡易にすることができる。
【0016】
請求項3項にあっては、前記漸化式形式の制御則は、適応制御則である如く構成したので、操作量に外乱が加わって制御量が目標値とずれた場合も、漸化式形式の制御則が制御対象の変化として動作することにより、制御量が目標値に一致するようにフィードバック補正係数が決定されるので、外乱に対するロバスト性も向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1はこの発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置を示す全体図である。
【0019】
図において、符号10はOHC直列4気筒の内燃機関を示しており、吸気管12の先端に配置されたエアクリーナ14から導入された吸気は、スロットル弁16でその流量を調節されつつサージタンク18と吸気マニホルド20を経て、2個の吸気弁(図示せず)を介して第1から第4気筒へと流入される。各気筒の吸気弁(図示せず)の付近にはインジェクタ22が設けられて燃料を噴射する。噴射されて吸気と一体となった混合気は、各気筒内で図示しない点火プラグで点火されて燃焼してピストン(図示せず)を駆動する。
【0020】
燃焼後の排気ガスは、2個の排気弁(図示せず)を介して排気マニホルド24に排出され、排気管26を経て触媒装置(三元触媒)28で浄化されて機関外に排出される。上記で、スロットル弁16はアクセルペダル(図示せず)とは機械的に切り離され、パルスモータMを介してアクセルペダルの踏み込み量および運転状態に応じた開度に制御される。また、吸気管12には、スロットル弁16の配置位置付近にそれをバイパスするバイパス路32が設けられる。
【0021】
内燃機関10には、排気ガスを還流路121を介して吸気側に還流させる排気還流機構100が設けられると共に、吸気系と燃料タンク36との間も接続され、キャニスタ・パージ機構200が設けられるが、その機構は本願の要旨と直接の関連を有しないので、説明は省略する。
【0022】
更に、内燃機関10は、いわゆる可変バルブタイミング機構300(図1にV/T と示す)を備える。可変バルブタイミング機構300は例えば、特開平2−275,043号公報に記載されており、機関回転数Neおよび吸気圧力Pbなどの運転状態に応じて機関のバルブタイミングV/T を図2に示す2種のタイミング特性LoV/T, HiV/Tの間で切り換える。但し、それ自体は公知な機構なので、これ以上の説明は省略する。尚、このバルブタイミング特性の切り換えには、2個の吸気弁の一方を休止する動作を含む。
【0023】
図1において内燃機関10のディストリビュータ(図示せず)内にはピストン(図示せず)のクランク角度位置を検出するクランク角センサ40が設けられると共に、スロットル弁16の開度を検出するスロットル開度センサ42、スロットル弁16下流の吸気圧力Pb を絶対圧力で検出する絶対圧センサ44も設けられる。
【0024】
また、内燃機関10の適宜位置には大気圧Pa を検出する大気圧センサ46が設けられ、スロットル弁16の上流側には吸入空気の温度を検出する吸気温センサ48が設けられると共に、機関の適宜位置には機関冷却水温を検出する水温センサ50が設けられる。また、油圧を介して可変バルブタイミング機構300の選択するバルブタイミング特性を検出するバルブタイミング(V/T )センサ52(図1で図示省略)も設けられる。更に、排気系において排気マニホルド24の下流で触媒装置28の上流側の排気系集合部には、広域空燃比センサ54が設けられる。これらセンサ出力は、制御ユニット34に送られる。
【0025】
図3は制御ユニット34の詳細を示すブロック図である。広域空燃比センサ54の出力は検出回路62に入力され、そこで適宜な線型化処理が行われてリーンからリッチにわたる広い範囲において排気ガス中の酸素濃度に比例したリニアな特性からなる検出信号を出力する(以下、この広域空燃比センサを「LAFセンサ」と呼ぶ)。
【0026】
検出回路62の出力は、マルチプレクサ66およびA/D変換回路68を介してCPU内に入力される。CPUはCPUコア70、ROM72、RAM74を備え、検出回路62の出力は所定のクランク角度(例えば15度)ごとにA/D変換され、RAM74内のバッファの1つに順次格納される。またスロットル開度センサ42などのアナログセンサ出力も同様にマルチプレクサ66およびA/D変換回路68を介してCPU内に取り込まれ、RAM74に格納される。
【0027】
またクランク角センサ40の出力は波形整形回路76で波形整形された後、カウンタ78で出力値がカウントされ、カウント値はCPU内に入力される。CPUにおいてCPUコア70は、ROM72に格納された命令に従って後述の如く制御値を演算し、駆動回路82を介して各気筒のインジェクタ22を駆動する。更に、CPUコア70は、駆動回路84,86,88を介して電磁弁90(2次空気量を調節するバイパス路32の開閉)、および排気還流制御用電磁弁122ならびにキャニスタ・パージ制御用電磁弁225を駆動する。
【0028】
図4はこの発明に係る制御装置の動作を示すフロー・チャートである。尚、図4のプログラムは所定クランク角度で起動される。
【0029】
この発明に係る装置にあっては図5ブロック図に示す如く、供給燃料量(図に基本噴射量Timと示す)を操作量として検出された排気空燃比(図にKACT(k) と示す)が目標空燃比(図にKCMD(k) と示す)に一致するように第1の漸化式形式の制御則(STR型の適応制御器。図にSTRコントローラと示す)を用いて第1のフィードバック補正係数(図にKSTR(k) と示す)を算出する第1の算出手段を設けた。
【0030】
それと共に、前記供給燃料量を操作量として検出された排気空燃比KACTが目標値KCMDに一致するように、応答性において前記第1の制御則より劣る第2の制御則、より具体的にはPID制御則からなるPIDコントローラ(図の左方にPIDと示す)を用いて第2のフィードバック補正係数KLAFを算出する第2の算出手段を設け、後述の如く検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段と前記第2の算出手段の出力のいずれかを選択し、それに基づいて前記供給燃料量Timを補正して出力噴射量Tout を求める如く構成した。
【0031】
更に、そのフィードバックループの内側に、同様にPID制御則からなるPIDコントローラ(図の右方に同様にPIDと示す)を用いて第3のフィードバック補正係数(図に#nKLAFと示す。n:気筒) を用いた第3のフィードバックループを設け、気筒間の空燃比ばらつきを低減するようにした。この第3のフィードバックループにあっては、各気筒の空燃比は、前記したLAFセンサ出力を入力して各気筒の排気空燃比を推定する前記したオブザーバの出力から求める。詳細は後述する。
【0032】
以下、説明すると、図4フロー・チャートでは先ずS10において検出した機関回転数Neおよび吸気圧力Pb などを読み出し、S12に進んでクランキングか否か判断し、否定されるときはS14に進んでフィードバック補正係数KFB を演算する。
【0033】
図6はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0034】
以下説明すると、S100でフィードバック制御領域か否か判断する。これは図示しない別ルーチンで行われ、例えば全開増量時や高回転時、または排気還流機構が動作して運転状態が急変したときなどはオープンループで制御される。そしてS100で肯定されるときはS102に進んでPID制御則を用いてフィードバック補正係数KLAF(前記した第2のフィードバック補正係数)を演算する。以下、この補正係数を「PID補正係数」と称する。
【0035】
以下説明すると、先ず、目標空燃比KCMDと検出空燃比KACTの制御偏差DKAFを
DKAF(k) =KCMD(k−d’) −KACT(k)
と求める。上記でKCMT(k−d’) :目標空燃比(ここでd’はKCMDがKACAT に反映されるまでの無駄時間を示し、よって無駄時間制御周期前の目標空燃比を意味する)、KACT(k) :検出空燃比(今回制御周期の)を示す。尚、演算の便宜のため、空燃比は目標値KCMDも検出値KACTも実際には当量比、即ち、Mst/M=1/λで示している(Mst:理論空燃比、M=A/F(A:空気消費量、F:燃料消費量)、λ:空気過剰率)。
【0036】
次いで、それに所定の係数を乗じてP項(比例項)KLAFP(k)、I項(積分項)KLAFI(k)、およびD項(微分項)KLAFD(k)を
P項:KLAFP(k)=DKAF(k) ×KP
I項:KLAFI(k)=KLAFI(k−1)+DKAF(k) ×KI
D項:KLAFD(k)=(DKAF(k) −DKAF(k−1) )×KD
と求める。
【0037】
このようにP項は偏差に比例ゲインKPを乗じて求め、I項は偏差に積分ゲインKIを乗じて得た値をフィードバック補正係数のI項の前回値KLAFI(k−1)に加算して求め、D項は偏差の今回値DKAF(k) と前回値DKAF(k−1) の差に微分ゲインKDを乗じて求める。尚、各ゲインKP,KI,KDは、機関回転数と機関負荷に応じて求められ、より具体的にはマップを用いて機関回転数Neと吸気圧力Pbとから検索できるように設定しておく。最後に、よって得た値を
KLAF(k) =KLAFP(k)+KLAFI(k)+KLAFD(k)
と合算してPID制御則によるフィードバック補正係数の今回値KLAF(k) とする。尚、この場合、乗算補正によるフィードバック補正係数とするため、オフセット分である1.0はI項KLAFI(k)に含まれているものとする(即ち、I項KLAFI(k)の初期値は1.0とする)。
【0038】
図6フロー・チャートにおいては次いでS104に進んで適応制御則を用いてフィードバック補正係数KSTR(前記した第1のフィードバック補正係数)を算出する。以下この補正係数を「適応補正係数」と言う。
【0039】
これについて説明すると、先に図5に示した適応制御器は、本出願人が先に提案した適応制御技術を前提とする。それはSTR(セルフチューニングレギュレータ)コントローラからなる適応制御器とその適応(制御)パラメータ(ベクトル)を調整する適応(制御)パラメータ調整機構とからなり、STRコントローラは、燃料噴射量制御のフィードバック系の目標値と制御量(プラント出力)を入力し、適応パラメータ調整機構によって同定された係数ベクトルを受け取って出力を算出する。
【0040】
このような適応制御において、適応制御の調整則(機構)の一つに、I.D.ランダウらの提案したパラメータ調整則がある。この手法は、適応制御システムを線形ブロックと非線形ブロックとから構成される等価フィードバック系に変換し、非線形ブロックについては入出力に関するポポフの積分不等式が成立し、線形ブロックは強正実となるように調整則を決めることによって、適応制御システムの安定を保証する手法である。即ち、ランダウらの提案したパラメータ調整則においては、漸化式形式で表される調整則(適応則)が、上記したポポフの超安定論ないしはリヤプノフの直接法の少なくともいづれかを用いることでその安定性を保証している。
【0041】
この手法は、例えば「コンピュートロール」(コロナ社刊)No.27,28頁〜41頁、ないしは「自動制御ハンドブック」(オーム社刊)703頁〜707頁、” A Survey of Model Reference Adaptive Techniques − Theory and Ap−plications” I.D. LANDAU 「Automatica」Vol. 10, pp. 353−379, 1974、”Uni− fication of Discrete Time Explicit Model Reference Adaptive ControlDesigns” I.D.LANDAU ほか「Automatica」Vol. 17, No. 4, pp. 593−611, 1981 、および” Combining Model Reference Adaptive Controllers and Stochastic Self−tuning Regulators” I.D. LANDAU 「Automatica」Vol. 18, No. 1, pp. 77−84, 1982 に記載されているように、公知技術となっている。
【0042】
図示例の適応制御技術では、このランダウらの調整則を用いた。以下説明すると、ランダウらの調整則では、離散系の制御対象の伝達関数B(Z−1)/A(Z−1) の分母分子の多項式を数1および数2のようにおいたとき、パラメータ調整機構が同定する適応パラメータθハット(k) は、数3のようにベクトル(転置ベクトル)で示される。またパラメータ調整機構への入力ζ(k) は、数4のように定められる。ここでは、m=1、n=1、d=3の場合、即ち、1次系で3制御サイクル分の無駄時間を持つプラントを例にとった。
【0043】
【数1】
Figure 0003602638
【0044】
【数2】
Figure 0003602638
【0045】
【数3】
Figure 0003602638
【0046】
【数4】
Figure 0003602638
【0047】
ここで、数3に示される適応パラメータθハットは、ゲインを決定するスカラ量b0 ハット−1(k) 、操作量を用いて表現される制御要素BR ハット(Z−1, k)および制御量を用いて表現される制御要素Sハット(Z −1, k)からなり、それぞれ数5から数7のように表される。
【0048】
【数5】
Figure 0003602638
【0049】
【数6】
Figure 0003602638
【0050】
【数7】
Figure 0003602638
【0051】
パラメータ調整機構はこれらのスカラ量や制御要素の各係数を同定・推定し、前記した数3に示す適応パラメータθハットとして、STRコントローラに送る。パラメータ調整機構は、プラントの操作量u(i)および制御量y(j)(i,jは過去値を含む)を用いて目標値と制御量との偏差が零となるように適応パラメータθハットを算出する。適応パラメータθハットは、具体的には数8のように計算される。数8で、Γ(k) は適応パラメータの同定・推定速度を決定するゲイン行列(m+n+d次)、eアスタリスク(k) は同定・推定誤差を示す信号で、それぞれ数9および数10のような漸化式で表される。尚、数10においてD(z−1)は設計者が与える所望の漸近安定な多項式であり、この例では1に設定した。
【0052】
【数8】
Figure 0003602638
【0053】
【数9】
Figure 0003602638
【0054】
【数10】
Figure 0003602638
【0055】
また数9中のλ1(k) ,λ2(k) の選び方により、種々の具体的なアルゴリズムが与えられる。例えば、λ1(k) =1,λ2(k) =λ(0<λ<2)とすると漸減ゲインアルゴリズム(λ=1の場合には最小自乗法)、λ1(k) =λ1(0<λ1<1),λ2(k) =λ2(0<λ2<λ)とすると可変ゲインアルゴリズム(λ2=1の場合には重み付き最小自乗法)、λ1(k) /λ2(k) =σとおき、λ3(k) が数11のように表されるとき、λ1(k) =λ3(k) とおくと固定トレースアルゴリズムとなる。また、λ1(k) =1,λ2(k) =0のとき固定ゲインアルゴリズムとなる。この場合は数9から明らかな如く、Γ(k) =Γ(k−1) となり、よってΓ(k) =Γの固定値となる。燃料噴射ないし空燃比などの時変プラントには、漸減ゲインアルゴリズム、可変ゲインアルゴリズム、固定ゲインアルゴリズム、および固定トレースアルゴリズムのいずれもが適している。尚、数11において、trΓ(0) はΓの初期値のトレースである。
【0056】
【数11】
Figure 0003602638
【0057】
ここで、図5にあっては、前記したSTRコントローラ(適応制御器)と適応パラメータ調整機構とは燃料噴射量演算系の外におかれ、検出空燃比KACT(k) が目標空燃比KCMD(k−d’) (ここでd’は前述の如くKCMDがKACTに反映されるまでの無駄時間)に適応的に一致するように動作してフィードバック補正係数KSTR(k) を演算する。即ち、STRコントローラは、適応パラメータ調整機構によって適応的に同定された係数ベクトルθハット(k) を受け取って目標空燃比KCMD(k−d’)に一致するようにフィードバック補償器を形成する。
【0058】
基本噴射量Timに各種補正項が乗算されて要求噴射量Tcyl が求められ、演算されたフィードバック補正係数KSTR(k) は要求噴射量Tcyl(k)に乗算され、補正された燃料噴射量が出力燃料噴射量Tout(k)として制御プラント(内燃機関)に供給される。
【0059】
このように、適応補正係数KSTR(k) および検出空燃比KACT(k) が求められて適応パラメータ調整機構に入力され、そこで適応パラメータθハット(k) が算出されてSTRコントローラに入力される。STRコントローラには入力として目標空燃比KCMD(k) が与えられ、検出空燃比KACT(k) が目標空燃比KCMD(k−d’)に一致するように漸化式を用いてフィードバック補正係数KSTR(k) を算出する。
【0060】
フィードバック補正係数KSTR(k) は、具体的には数12に示すように求められる。
【0061】
【数12】
Figure 0003602638
【0062】
前述の如く、検出空燃比KACT(k) と目標空燃比KCMD(k) とは、図6フロー・チャートのS102で先に説明したPID制御則による制御器(PID)にも入力され、排気系集合部の検出空燃比と目標空燃比との偏差を解消すべくPID制御則に基づいてPID補正係数KLAF(k) が算出される。適応制御則による適応補正係数KSTRとPID制御則によるPID補正係数KLAFは、図5の切換機構400を介していずれか一方が燃料噴射量の演算に用いられる。
【0063】
ここで、STRコントローラとPIDコントローラの平行演算について説明を補足すると、数8ないし数10に示した適応パラメータ調整機構は、中間変数ζ(k−d) 、即ち、u(k) =KSTR(k) およびy(k) =KACT(k) の現在値と過去値をひとまとめにしたベクトルを入力し、その因果関係から適応パラメータθハット(k) を算出している。ここで用いるu(k) は、実際に燃料噴射量演算に用いるフィードバック補正係数である(S118で後述)。次回の制御サイクルで適応制御を行わずにPID制御を行う状態では、このフィードバック補正係数にPID補正係数KLAFを用いる。
【0064】
ここで、PID制御を行っている場合に、適応パラメータ調整機構に入力するu(k) を適応補正係数KSTR(k) からKLAF(k) に置換して適応パラメータ調整機構に入力しても、燃料噴射制御に用いたフィードバック補正係数に応じた制御出力、即ち、KACT(k+d’)が出力されるため、入出力の因果関係が成立し、適応パラメータ調整機構は適応パラメータθハット(k) を発散させることなく、演算することができる。
【0065】
このとき、数12にこのθハット(k) を入力すると、KSTR(k) が演算される。このKSTR(k) の演算は、KSTR(k−i) =KLAF(k−i) と置換して演算したKSTR(k) でも良い(i=1,2,3)。
【0066】
このように、PIDコントローラが動作しているときも適応補正係数KSTR(k) は演算可能であり、そのときのPID補正係数KLAF(k) と適応補正係数KSTRは略一致する。また、それによってPID補正係数KLAF(k) から適応補正係数KSTR(k) に切り換える際に、PID補正係数KLAF(k) と適応補正係数KSTR(k) とは略一致した値となり、円滑な切り換えとなる。
【0067】
図6フロー・チャートにおいては次いでS106に進んで高応答のフィードバック補正係数(適応補正係数KSTR)と低応答のフィードバック(PID補正係数KLAF)のうち、いずれを用いてフィードバック制御を実行すべき領域なのか判別する。
【0068】
図7はその領域判別作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0069】
以下説明すると、先ずS200において前回、即ち、図4フロー・チャートの前回起動時(前回制御周期)にオープンループで制御されていたか否か判断する。ここで、肯定されたときはS202に進み、低応答のフィードバック補正係数(PID補正係数KLAF)を用いてフィードバック制御を行うべき領域(以下「低応答フィードバック領域」と言う)とする。
【0070】
これは、オープンループ制御からの突入時は前述したような理由から高応答のフィードバック制御を行わない方が良いためである。尚、オープンループ制御からの突入時に所定期間、例えば5TDC、低応答フィードバック制御を行っても良く、その場合はS200の後にその期間であれば継続的にS202に進むような判断ステップを設ければ良い。
【0071】
S200で否定されるときはS204に進んで検出した機関冷却水温Twが所定値TWSTRON 未満か否か判断する。ここで、所定値TWSTRON は比較的低水温に設定され、検出した機関冷却水温Twが所定値TWSTRON 未満と判断されるときはS202に進んで低応答フィードバック領域とする。これは、低水温時には燃焼が安定せず、失火などを生じる危険があって安定した検出値KACTが得られないからである。尚、図示は省略するが、水温が異常に高いときも同様の理由から低応答フィードバック領域とする。
【0072】
S204で検出した機関冷却水温Twが所定値TWSTRON 未満ではないと判断されるときはS206に進み、検出した機関回転数Neが所定値NESTRLMT以上か否か判断する。ここで、所定値NESTRLMTは比較的高回転数であり、S206で検出した機関回転数Neが所定値NESTRLMT以上と判断されるときはS202に進んで低応答フィードバック領域とする。これは、高回転時は演算時間が不足しがちであると共に、燃焼も安定しないからである。
【0073】
S206で検出した機関回転数Neが所定値NESTRLMT未満と判断されるときはS208に進んでアイドル時にあるか否か判断し、肯定されるときはS202に進んで低応答フィードバック領域とする。これは、アイドル時は運転状態がほぼ安定しており、適応制御則のような高いゲインを必要としないからである。
【0074】
S208でアイドル時ではないと判断されるときはS210に進んで低負荷域にあるか否か判断し、肯定されるときはS202に進んで低応答フィードバック領域とする。これは、低負荷域では燃焼が安定しないためである。
【0075】
S210で低負荷域にはないと判断されるときはS212に進んで可変バルブタイミング機構においてHi V/T(高速側のバルブタイミング)が選択されているか否か判断し、肯定されるときはS202に進んで低応答フィードバック領域とする。これは、高速側のバルブタイミングが選択されているときはバルブタイミングのオーバラップ量が大きいため、吸気が排気弁を通過して逃げる、いわゆる吸気の吹き抜けと言う現象が生じる恐れがあり、安定した検出値KACTを期待し得ないからである。また、高回転時にはLAFセンサの検出遅れも無視し難くなる。
【0076】
尚、ここで高速側のバルブタイミングが選択されているか否かの判断は、実際に高速側のバルブタイミングが選択されているか否かを判断するのみならず、図示しない可変バルブタイミング機構の制御ユニットで低速側から高速側への切り換え指令がなされているか否かをも適宜なフラグを参照することで行う。即ち、バルブタイミングの変更は全ての気筒について同時に行われるとは限らず、過渡状態などでは気筒間でバルブタイミングが一時的に異なる場合が生じるからである。換言すれば、バルブタイミングの高速側への切り換え時にあっては、低応答フィードバック領域と判断されてPID補正係数を用いてフィードバック制御がなされたのを確認した上で、可変バルブタイミング機構の制御ユニットでは高速側への切り換えを行うようにする。
【0077】
S212で否定されるときはS214以降に進み、検出した空燃比KACTが所定値a未満か否か判断し、肯定されるときはS202に進むと共に、否定されるときはS216に進んで検出した空燃比KACTが所定値bより大きいか否か判断し、肯定されるときはS202に進むと共に、否定されたときはS218に進んで高応答のフィードバック補正係数(適応補正係数KSTR)を用いてフィードバック制御を行うべき領域(以下「高応答フィードバック領域」と言う)とする。即ち、空燃比がリーンもしくはリッチのときは適応制御のような高応答の制御は行わない方が良いため、所定値a,bを適宜設定することで、その判別をするようにした。尚、この作業は、検出空燃比に代えて目標空燃比を比較しても良い。
【0078】
図6フロー・チャートに戻ると、次いでS108に進んで高応答フィードバック領域か否か判断し、肯定されるときはS110に進んで適応補正係数KSTRをフィードバック補正係数KFB とし、S112に進んでフィードバック補正係数KFB をI項KLAFI とする。その理由は、次回の制御周期で適応補正係数KSTRからPID補正係数KLAFに切り換えられるときはI項(積分項)が急激に変化する可能性があるが、このように適応補正係数KSTRの値を用いてPID補正係数KLAFのI項の初期値を決定することにより、適応補正係数とPID補正係数の段差を小さく止めることができて操作量の急変を防止して制御の安定性を確保することができるからである。次いでS114に進んで適応補正係数KSTRで噴射量補正がなされることからフラグFKSTRのビットを1にセットする。
【0079】
他方、S108で高応答領域ではないと判断されるときはS116に進んでPID補正係数KLAFをフィードバック補正係数KFB とし、S118に進んでフィードバック補正係数KFB をプラント入力u(k) とし、STRコントローラに入力する(図5に示す)。これは、STR領域ではないときもSTRコントローラは演算を継続することから、PID補正係数KLAFを演算に使用させるためである。次いでS120に進んでフラグFKSTRのビットを0にリセットする。
【0080】
またS100でフィードバック領域ではないと判断されるときはS122に進んでフィードバック領域ではなくなってから所定期間が経過したか否か判断し、否定されるときはS124に進んでI項の前回値KLAFI(k−1)を今回値KLAFとし、即ち、I項をホールドし、S126に進んで同様に、適応制御器の内部変数(中間変数)を前回値、即ち、適応制御時の最後の値をホールドする。
【0081】
ここで、プラント入力uは図5に示す如く、ζの演算に用いられるが、そのとき現在値u(k) のみならず、その過去値u(k−1) なども用いられる。従って、S126のu(k−i) のiは、その現在値および過去値を総称する意味で用い、S126ではu(k) ,u(k−1) ,u(k−2) ,u(k−3) 、より正確にはu(k−1) ,u(k−2) ,u(k−3) ,u(k−4) をホールドすることを意味する。尚、適応パラメータθハットとゲイン行列Γは、単に前回値をホールドする。尚、適応パラメータθハットとゲイン行列Γがマップ値としてメモリなどに格納されているような場合には、ホールド値に代えてマップ値を用いても良い。また図示は省略したが、KSTR,KACTも適応制御時の最後の値をホールドする。尚、KACTと入力u(k−i)をひとまとめにしてζとしてホールドさせても良いことは言うまでもない。
【0082】
次いで、S128に進んでフィードバック補正係数KFB の値を1.0とする。即ち、フィードバック制御を行わないこととし、S130に進んでフラグFKSTRのビットを0にリセットする。
【0083】
他方、S122でフィードバック領域ではなくなってから所定期間が経過したと判断されるときはS132に進んでI項KLAFI の値を1.0(初期値)とし、S134に進んでプラント入力u、適応パラメータθハットおよびゲイン行列Γの値を所定値、例えば初期値とする。ここで、プラント入力uについて初期値はより具体的には、u(k) =u(k−1) =u(k−2) =u(k−3) =1とおく。
【0084】
これについて説明すると、一旦アクセルペダルが戻されて減速し、フューエルカットされてオープンループ制御に移行した後、ほどなくアクセルペダルが再び踏まれて加速する、即ち、フィードバック制御に復帰することは、しばしば経験される。このように短時間で再びフィードバック制御に復帰するときは、STRコントローラの非作動領域前後の内燃機関の状態がほとんど変化せず、過去の燃焼履歴との因果関係が当然成立しているからである。
【0085】
従って、このような一過性の領域の変更の場合には適応制御器の内部変数をホールドすることで適応制御の連続性が保たれ、初期状態などに不要に戻ることなく、適応制御が実行されて制御安定性が向上する。その意味で、S122で述べた所定時間は過去の燃焼履歴との因果関係が成立する範囲の時間に設定する。
【0086】
他方、所定時間以上の時間が経過したときは、適応制御非作動領域前後の内燃機関の状態が大きく変化していることが予想されるため、S134で内部変数を所定値、例えば初期値に戻すようにした。尚、θハット(k−1) の初期値およびu(k) (=KSTR(k) )を内燃機関の運転領域ごとにメモリに格納しておき、その値を用いてθハット(k−1) およびζ(k−d) の過去値としても良い。そうすることによって、適応制御再開時の制御性をさらに向上させることができる。更には、θハット(k) を運転領域ごとに学習しても良い。
【0087】
図4フロー・チャートに戻ると、次いでS16に進んでフィードバック制御領域か否か判断し、肯定されるときはS18に進んで所定のタイミングでLAFセンサ出力をサンプリングして検出空燃比KACT(k) を求める。前記した如く、LAFセンサ出力は所定のクランク角度ごとにA/D変換されてRAM74内のバッファに順次格納されるが、このステップではタイミングマップ(図示せず)を機関回転数Ne、吸気圧力Pbおよび選択されているバルブタイミング特性から検索して当該運転状態で最適な値を検出する。
【0088】
ここで、タイミングマップは、機関回転数Neが低く、ないしは吸気圧力Pbが高いほど、早いクランク角度でサンプリングした値を選択するように設定される。またバルブタイミング特性については、高速側のHi V/Tが選択されているときは、低速側のLo V/Tよりも早いクランク角度でサンプリングした値を選択するように設定される。尚、この作業ブロックを図5に「Sel−VOBSV 」と示す。
【0089】
次いでS20に進んで前記したオブザーバを介して各気筒の排気空燃比を求める。
【0090】
ここで、オブザーバによる空燃比推定について簡単に説明する。
【0091】
先ず、1個のLAFセンサの出力から各気筒の空燃比を精度良く分離抽出するためには、LAFセンサの検出応答遅れを正確に解明する必要がある。そこで、とりあえずこの遅れを1次遅れ系と擬似的にモデル化し、図8に示す如きモデルを作成した。ここでLAF:LAFセンサ出力、A/F:入力A/F、とすると、その状態方程式は下記の数13で示すことができる。
【0092】
【数13】
Figure 0003602638
【0093】
これを周期ΔTで離散化すると、数14で示すようになる。図9は数14をブロック線図で表したものである。
【0094】
【数14】
Figure 0003602638
【0095】
従って、数14を用いることによってセンサ出力より真の空燃比を求めることができる。即ち、数14を変形すれば数15に示すようになるので、時刻kのときの値から時刻k−1のときの値を数16のように逆算することができる。
【0096】
【数15】
Figure 0003602638
【0097】
【数16】
Figure 0003602638
【0098】
具体的には数14をZ変換を用いて伝達関数で示せば数17の如くになるので、その逆伝達関数を今回のLAFセンサ出力LAFに乗じることによって前回の入力空燃比をリアルタイムに推定することができる。図10にそのリアルタイムのA/F推定器のブロック線図を示す。
【0099】
【数17】
Figure 0003602638
【0100】
続いて、上記の如く求めた真の空燃比に基づいて各気筒の空燃比を分離抽出する手法について説明すると、先願でも述べたように、排気系の集合部の空燃比を各気筒の空燃比の時間的な寄与度を考慮した加重平均であると考え、時刻kのときの値を、数18のように表した。尚、F(燃料量)を制御量としたため、ここでは『燃空比F/A』を用いているが、後の説明においては理解の便宜のため、支障ない限り「空燃比」を用いる。尚、空燃比(ないしは燃空比)は、先に数17で求めた応答遅れを補正した真の値を意味する。
【0101】
【数18】
Figure 0003602638
【0102】
即ち、集合部の空燃比は、気筒ごとの過去の燃焼履歴に重みC(例えば直近に燃焼した気筒は40%、その前が30%...など)を乗じたものの合算で表した。このモデルをブロック線図であらわすと、図11のようになる。
【0103】
また、その状態方程式は数19のようになる。
【0104】
【数19】
Figure 0003602638
【0105】
また集合部の空燃比をy(k)とおくと、出力方程式は数20のように表すことができる。
【0106】
【数20】
Figure 0003602638
【0107】
上記において、u(k)は観測不可能のため、この状態方程式からオブザーバを設計してもx(k)は観測することができない。そこで4TDC前(即ち、同一気筒)の空燃比は急激に変化しない定常運転状態にあると仮定してx(k+1)=x(k−3)とすると、数21のようになる。
【0108】
【数21】
Figure 0003602638
【0109】
よって、数22で示される状態方程式と出力方程式にてx(k)を観察する通常のカルマンフィルタの問題に帰着する。その荷重行列Q,Rを数23のようにおいてリカッチの方程式を解くと、ゲイン行列Kは数24のようになる。
【0110】
【数22】
Figure 0003602638
【0111】
【数23】
Figure 0003602638
【0112】
【数24】
Figure 0003602638
【0113】
これよりA−KCを求めると、数25のようになる。
【0114】
【数25】
Figure 0003602638
【0115】
一般的なオブザーバの構成は図12に示されるようになるが、今回のモデルでは入力u(k)がないので、図13に示すようにy(k)のみを入力とする構成となり、これを数式で表すと数26のようになる。
【0116】
【数26】
Figure 0003602638
【0117】
ここでy(k)を入力とするオブザーバ、即ちカルマンフィルタのシステム行列は数27のように表される。
【0118】
【数27】
Figure 0003602638
【0119】
今回のモデルで、リカッチ方程式の荷重配分Rの要素:Qの要素=1:1のとき、カルマンフィルタのシステム行列Sは、数28で与えられる。
【0120】
【数28】
Figure 0003602638
【0121】
図14に上記したモデルとオブザーバを組み合わせたものを示す。これにより集合部空燃比より各気筒の空燃比を的確に抽出することができる。
【0122】
オブザーバによって集合部空燃比より各気筒空燃比を推定することができたことから、PIDなどの制御則を用いて空燃比を気筒別に制御することが可能となる。具体的には図13のオブザーバによるフィードバック部分のみ抽出した図15に示すように、センサ出力(集合部空燃比)と目標空燃比とからPID制御則を用いて集合部フィードバック補正係数KLAFを求めると共に、オブザーバ推定値#nA/Fから気筒毎のフィードバック補正係数#nKLAF (n:気筒)を求める。
【0123】
気筒毎のフィードバック補正係数#nKLAF はより具体的には、集合部空燃比を気筒毎のフィードバック補正係数#nKLAF の全気筒についての平均値の前回演算値で除算して求めた目標値とオブザーバ推定値#nA/Fとの偏差を解消するようにPID則を用いて求める。
【0124】
これにより、各気筒の空燃比は集合部空燃比に収束し、集合部空燃比は目標空燃比に収束することとなって、結果的に全ての気筒の空燃比が目標空燃比に収束する。ここで、各気筒の燃料噴射量#nTout (インジェクタの開弁時間で規定される)は、
#nTout =Tcyl ×#nKLAF ×KLAF
で求められる(ここでTcyl は要求燃料噴射量を示す)。
【0125】
尚、上記で、PID制御則による気筒毎のフィードバック補正係数#nKLAF の算出手法自体は、先にPID補正係数KLAFについて述べたと同様である。即ち、先ず目標空燃比KCMD(k−d’)と検出空燃比KACT(k) に基づいてオブザーバが推定した各気筒空燃比#nA/Fとの制御偏差DKAFを求め、次いでそれに所定の係数を乗じてP項(比例項)#nKLAFP(k) 、I項(積分項)#nKLAFI(k) 、およびD項(微分項)#nKLAFD(k) を
P項:#nKLAFP(k) =DKAF(k) ×KP
I項:#nKLAFI(k) =#nKLAFI(k−1) +DKAF(k) ×KI
D項:#nKLAFD(k) =(DKAF(k) −DKAF(k−1) )×KD
と求め、次いで合算して今回値#nKLAF(k)とする。
【0126】
先と同様に、前記した制御定数たる比例ゲインKP、積分ゲインKIおよび微分ゲインKDは機関回転数と機関負荷に応じて求められ、より具体的にはマップを用いて機関回転数Neと吸気圧力Pbとから検索できるように設定しておく。尚、これについては後述する。
【0127】
上記を前提として図4の説明に戻ると、次いでS22に進んで前記したフラグFKSTRのビットが1にセットされているか否か、即ち、フィードバック補正係数として適応補正係数KSTRを用いるか否か判断する。そして肯定されるときはS24に進み、高応答フィードバック補正係数(適応補正係数KSTR)用の各気筒空燃比補正係数#nKLAFの制御定数、即ち、KP, KI, KDゲインマップを検出した機関回転数と機関負荷とから検索する。他方、S22で低応答のフィードバック補正係数(PID補正係数KLAF)が選択されたと判断されるときはS26に進んで低応答用の制御定数を同様の手順で検索する。
【0128】
これについて説明すると、適応補正係数KSTRはPID補正係数KLAFに比較して制御性が高いため、目標値への収束性が良い。各気筒フィードバックの目標値は前記の如くKACTの各気筒平均値、より正確には集合部空燃比を補正係数#nKLAF の平均値(前回演算値)で除算して求められるが、ここで適応補正係数KSTRを用いたときの検出空燃比を図16に示す。そのときの各気筒フィードバックの目標値は、図17に示すようになる。一方、PID補正係数KLAFを用いたときの検出空燃比および目標値は、図18および図19に示すようになる。この場合、PID補正係数KLAFの方が適応補正係数KSTRに比較して目標値の変動が大きい。
【0129】
この実施の形態では、集合部フィードバックと各気筒フィードバックの2重ループとなっている。供給燃料量から検出空燃比までの応答は機関の運転領域ごとに変化するので、機関の応答性およびフィードバックの応答性も機関の運転領域ごとに変化する。
【0130】
適応補正係数KSTRはPID補正係数KLAFよりも応答性が高いため、適応補正係数KSTRが用いられるときは、PID補正係数KLAFが用いられるときよりも、気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF のゲインを大きくすることが考えられる。これは適応補正係数KSTRにより各気筒フィードバックの目標値が安定しているため、気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF のゲインを大きくして収束性を高めるためである。換言すれば、PID補正係数KLAFが用いられるときは、応答性が低いことから、気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF のゲインを小さくすることになる。一つには、各気筒フィードバックの目標値が適応制御補正係数KSTRでフィードバックを行っているときよりも安定しないため、気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF のゲインを上げない方が良いとも考えられるからでもある。尚、このように設定するときは、検出空燃比と各気筒フィードバックの目標値が、図16ないし図19に示すような関係にあるときである。
【0131】
一般的にはフィードバック系の応答性が高くなりすぎると、発振領域に入る。よって、前出の特性とは逆に、適応補正係数KSTRが用いられているときは、PID補正係数KLAFを用いているときより気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF のゲインを小さくすることも考えられる。これは二重ループとなっているフィードバック系全体のゲインが高くなりすぎて、発振状態になることを防止するためである。またPID補正係数KLAFを用いて制御を行っているときは、気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF のゲインを大きくしても、二重ループとなっているフィードバック系全体のゲインが高くなりすぎることがなく、安定するとも考えられる。
【0132】
以上述べた特性は、機関が高回転高負荷のときと低負荷、特にアイドルのときでは相違する。つまり、同じ補正係数を用いて制御を行っていても、機関負荷、機関回転数に応じて気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF のゲインを大きくすべき場合と小さくすべき場合が存在する。またこれらの特性は実験等により設定することが可能である。
【0133】
従って、この実施の形態においては、排気系集合部フィードバックループの適応補正係数KSTRとPID補正係数KLAFについてKP, KI, KDゲインマップを別々に設定しておき、フィードバック補正係数KFB として選択された方の補正係数に相当するマップを選択して検出した機関回転数と機関負荷とから検索するようにした。即ち、気筒ごとのフィードバック補正係数の応答性を可変にして制御の安定性を向上させるようにした。尚、マップを別々に設定することなく、1種のマップから検索した値を選択された補正係数で補正するようにしても良い。
【0134】
図4フロー・チャートの説明に戻ると、S22で適応補正係数KSTRがフィードバック補正係数KFB として選択されたと判断してS24でそれに対応するマップを検索されたときは次いでS28に進み、検索値に基づいて前記した手法で気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF を算出する。
【0135】
他方、S22でPID補正係数KLAFが選択されたと判断されてS26でそれに対応するマップを検索されたときは次いでS30に進み、検索値に基づいて同様に気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF を算出し、S32に進んでその学習値#nKLAFstyを算出する。これは例えば、前回値と今回値の加重平均値を求めることで行う。算出値は後述の如くオープンループ制御のときに使用される。尚、S28の後ではなくS30の後で行うのは、オープンループ制御のときに使用する値としては、低応答の補正係数が使用されるときに算出した気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF の方が適していると考えられるからである。
【0136】
次いでS34に進んで図示の如く、基本燃料噴射量Timに目標空燃比補正係数KCMDM(目標空燃比KCMD( 当量比) に吸入空気の充填効率補正を施して得る値) と各種補正係数KTOTALとを乗算して要求燃料噴射量Tcyl(k)を求め、次いでS36に進んで求めた要求燃料噴射量Tcyl(k)に集合部のフィードバック補正係数KFB と気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF(k)を乗じて出力燃料噴射量#nTout(k)を決定し、次いでS38に進んで出力燃料噴射量#nTout(k)を操作量としてインジェクタ22に出力する。
【0137】
ここで、各種補正係数KTOTALは水温補正など乗算で行う各種の補正係数の積算値を意味する。尚、他に気圧補正など加算値で行う補正係数の合計値である加算項TTOTALもあるが、省略した。またインジェクタの無効時間などは出力燃料噴射量#nTout(k)の出力時に別途加算される。
【0138】
尚、S16で否定されたときはオープンループ制御となり、S40に進んで気筒ごとのフィードバック補正係数#nKLAF には前記した学習値を使用し、S34に進んで要求燃料噴射量Tcyl(k)を算出する。またS12でクランキングと判断されたときはS42に進んでクランキング時の燃料噴射量をTicr を検索し、S44に進んで検索値に基づいて始動モードの式に従って出力燃料噴射量#nTout を算出する。
【0139】
この実施の形態においては上記の如く気筒間の空燃比のばらつきを低減させると共に、そのフィードバック補正係数#nKLAF の制御定数を排気系集合部のフィードバック補正係数KFB の種類に応じて決定するようにしたので、制御の安定性を向上させることができる。
【0140】
また、フューエルカットから復帰するときなど、空燃比のオープンループ制御が終了してフィードバック制御が再開された場合、しばらくはPID制御則に基づいてフィードバック補正係数を決定するようにしたので、制御量を不安定にして、制御の安定性を低下させることがない。他方、検出値が安定したときは、高応答の適応制御則によるフィードバック補正係数を用いて目標空燃比と検出空燃比との制御偏差を一気に吸収させるべく動作させ、制御の収束性を向上させることができる。
【0141】
更に、STRコントローラとPIDコントローラとを平行して動作させ、適応補正係数KSTRとPID補正係数KLAFとを、その内部要素を互いに置換させながら平行して演算するようにしたので、適応補正係数KSTRからPID補正係数KLAFへの、ないしはその逆の切り換えを任意のタイミングで滑らかに行うことができ、燃料噴射ないし空燃比の制御性を向上させることができる。
【0142】
尚、上記実施の形態においてPID制御の例を示したが、各ゲインKP, KI, KDを適宜設定することで、PI制御とすることも、I項のみによる制御とすることも自由である。即ち、ここで言うPID制御は、その一部のゲイン項を有すれば成立する。
【0143】
また上記目標値を空燃比としたが、燃料噴射量を目標値としても良い。
【0144】
また上記実施の形態においてフィードバック補正係数KSTRないしKLAFを乗算係数(項)として求めたが、加算項であっても良い。
【0145】
また上記実施の形態でスロットル弁をパルスモータで作動したが、アクセルペダルと機械的にリンクさせ、アクセルペダルの踏み込みに応じて作動させても良い。
【0146】
また上記実施の形態において適応制御器としてSTRを例にとって説明したが、MRACS(モデル規範型適応制御)を用いても良い。
【0147】
尚、上記実施の形態では排気系集合部に設けた単一の空燃比センサの出力を用いているが、それに限られるものではなく、気筒ごとに空燃比センサを設けて検出した空燃比から気筒ごとに空燃比フィードバック制御を行っても良い。
【0148】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、気筒間の空燃比のばらつきを低減すると共に、付加したフィードバックループの応答性を可変にして制御性を向上させることができる。
【0149】
請求項2項にあっては、上記した作用、効果に加えて、空燃比を検出する構成を簡易にすることができる。
【0150】
請求項3項にあっては、操作量に外乱が加わって制御量が目標値とずれた場合も、漸化式形式の制御則が制御対象の変化として動作することにより、制御量が目標値に一致するようにフィードバック補正係数が決定されるので、外乱に対するロバスト性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1の内燃機関に設けられた可変バルブタイミング機構のバルブタイミング特性を示す特性図である。
【図3】図1の装置の制御ユニットの構成を詳細に示すブロック図である。
【図4】図1の装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図5】図1の装置の動作を機能的に示すブロック図である。
【図6】図4フロー・チャートのフィードバック補正係数KFB の演算作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図7】図6フロー・チャートのフィードバック領域の判別作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図8】図5ブロック図のオブザーバを説明するもので、先の出願で述べた空燃比センサ(LAFセンサ)の検出動作をモデル化した例を示すブロック図である。
【図9】図8に示すモデルを周期ΔTで離散化したモデルを示す説明図である。
【図10】前記空燃比センサの検出挙動をモデル化した真の空燃比推定器を示すブロック図である。
【図11】図1の内燃機関の排気系の挙動を示すモデルを表すブロック図である。
【図12】一般的なオブザーバの構成を示すブロック図である。
【図13】図5ブロック図のオブザーバの構成を示すブロック図である。
【図14】図11に示すモデルと図13に示すオブザーバを組み合わせた構成を示すブロック図である。
【図15】図5ブロック図のフィードバック制御を示すブロック図である。
【図16】図1の装置の動作においてフィードバック補正係数KFB の中の適応補正係数KSTRを用いたときの検出空燃比の挙動を示すタイミング・チャートである。
【図17】図1の装置の動作において適応補正係数KSTRを用いたときの各気筒フィードバックの目標値を示すタイミング・チャートである。
【図18】図1の装置の動作においてPID補正係数KLAFを用いたときの検出空燃比の挙動を示すタイミング・チャートである。
【図19 】図1の装置の動作においてPID補正係数KLAFを用いたときの各気筒フィードバックの目標値を示すタイミング・チャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
22 インジェクタ
34 制御ユニット
54 広域空燃比センサ(LAFセンサ)

Claims (3)

  1. a.内燃機関の排気する排気空燃比を含む運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    b.前記内燃機関の供給燃料量を決定する供給燃料量決定手段と、
    c.前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致するように第1の漸化式形式の制御則を用いて第1のフィードバック補正係数を算出する第1の算出手段と、
    d.前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比および前記供給燃料量の少なくともいずれかが目標値に一致するように、応答性において前記第1の制御則より劣る第2の制御則を用いて第2のフィードバック補正係数を算出する第2の算出手段と、
    e.前記供給燃料量を操作量として前記検出された排気空燃比の気筒間のばらつきが減少するように第3の気筒別のフィードバック補正係数を算出する第3の算出手段と、および
    f.検出された運転状態に応じて前記第1の算出手段と前記第2の算出手段の出力のいずれかを選択し、それに基づいて前記供給燃料量を補正すると共に、前記第3の算出手段の出力に基づいて前記供給燃料量を補正する供給燃料量補正手段と、
    を備えると共に、前記第3の算出手段は、前記選択された第1または第2の算出手段の出力に応じて前記第3のフィードバック補正係数を算出するための制御定数を決定することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記運転状態検出手段が前記内燃機関の排気系集合部での排気空燃比を含む運転状態を検出するものであると共に、
    g.前記内燃機関の排気系集合部空燃比からなる出力変数と所定の値からなる入力変数とに基づいて各気筒の排気空燃比を状態変数として推定するオブザーバ、
    を備え、前記第3の算出手段は、前記オブザーバが推定した各気筒の排気空燃比に基づいて前記第3のフィードバック補正係数を算出することを特徴とする請求項1項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記漸化式形式の制御則は、適応制御則であることを特徴とする請求項1項または2項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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