JPH08291091A - 回収メタノールの精製方法及び精製メタノール - Google Patents

回収メタノールの精製方法及び精製メタノール

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JPH08291091A
JPH08291091A JP12070095A JP12070095A JPH08291091A JP H08291091 A JPH08291091 A JP H08291091A JP 12070095 A JP12070095 A JP 12070095A JP 12070095 A JP12070095 A JP 12070095A JP H08291091 A JPH08291091 A JP H08291091A
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recovered
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alkali
activated carbon
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JP12070095A
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Fumiyuki Suzuki
文行 鈴木
Toru Ogura
徹 小倉
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステルの製造時に排除・回収される回
収メタノールから、写真感光乳剤等の調製の用途に使用
できる高純度のメタノールを得ることができる回収メタ
ノールの精製方法およびこの方法により得られる精製メ
タノールを提供する。 【構成】 芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルとグ
リコールとをエステル交換反応する際に排出・回収され
る回収メタノールに、アルカリを加えて加熱した後、蒸
留して蒸留メタノールとし、次いで該蒸留メタノールを
活性炭で処理することからなる回収メタノールの精製方
法およびこの方法により得られる精製メタノール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルを製造する
際に回収されるメタノールの精製方法及びこの方法によ
り得られる精製メタノールに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステルを製造する方法は、芳香族ジカルボン酸のジメチ
ルエステルとエチレングリコール等のグリコール(多価
アルコール)をエステル交換反応させることによりオリ
ゴマーを得、次いで重縮合反応を行なうエステル交換
法;及び芳香族ジカルボン酸とエチレングリコール等の
グリコールを直接エステル反応させることにより重縮合
反応を行なうエステル反応法に大別することができる。
前者のエステル交換法によってポリエステルを製造する
場合、例えば、ジメチルテレフタレートとエチレングリ
コールからポリエチレンテレフタレートを製造する場
合、あるいはナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル
とエチレングリコールからポリエチレンナフタレートを
製造する場合、上記芳香族ジカルボン酸のジメチルエス
テルとエチレングリコールとのエステル交換反応により
メタノールが副生する。このメタノールは、交換反応を
促進するよう反応槽内(反応系)から直ちに除去され
る。
【0003】エステル交換法によってポリエステルを製
造する場合に反応系外に除去され、回収された物質(回
収メタノール)には、メタノールの他に、ポリエステル
を製造する際の原料であるエチレングリコール等のグリ
コール類がかなりの割合で含まれている。また、メチル
アセテート、メトキシエタノール、エチレングリコール
モノアセテート、エチルベンゼン、キシレン類、アセト
アルデヒド等の脂肪族アルデヒドなど、さまざまな副生
物も含まれている。
【0004】このような回収メタノールの処理方法とし
ては産業廃棄物処理業者への売却、燃焼による熱回収な
どが、従来から行われている。最近ではポリエステル製
品のリサイクルが脚光を浴びてきたため、廃棄物とされ
たポリエステルに上記メタノールなどの副生物を加えて
解重合し、ポリエステルを再合成することも商業的な規
模で行われている。
【0005】従って、このような回収メタノールを、メ
タノールとして再使用するには、当然精製する必要があ
る。一般的には、メタノール以外の不純物は、精留によ
り除去することが可能である。この場合、メタノール純
度は容易に99.8%程度にできるので、通常の用途で
は、一般的に購入できる工業用メタノールと同様に使用
することができる。しかしながら、本発明の検討によれ
ば、このような蒸留メタノールを写真用感光材料、例え
ば写真感光乳剤等の調製に使用した場合、感光材料(ハ
ロゲン化銀等)が劣化して所定の性能を発揮できなくな
ることが判明した。これは、上記メタノール中には、ア
セトアルデヒドを主成分とする還元性物質が少なくとも
2ppm程度含まれており、この還元性物質が感光材料
と反応したためである。このような写真感光材料等の用
途に使用できるようにするには、メタノール中の還元性
物質アルデヒド類の濃度を0.5ppm未満に削減しな
ければならないことも明らかとなった。また、エチルベ
ンゼン等の非極性物質についても上記精留により精製し
たメタノール中に残留する場合がある。これらの物質
は、写真感光乳剤中で油滴となるため、これもほぼ完全
に除去しなければ、写真感光材料に利用することはでき
ない。しかしながら、上記蒸留による方法は、気液の平
衡を利用しているため、極めて微量の不純物(上記アル
デヒドあるいは非極性物質)を更に低減するためには効
率が悪く工業的な規模で適用することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、アセトア
ルデヒドを主成分とする還元性物質及び非極性物質を実
質的に含まない高純度のメタノールを、ポリエステルの
製造時に反応系外に排除され、集められた回収メタノー
ルから得るため、研究を重ねたきた。その結果、上記回
収メタノールを、予めアルカリの存在下に加熱してアセ
トアルデヒド等を高分子化(主としてアルドール縮合に
より二量体化する)し、次の蒸留によりこれらを高沸点
物質として除去し、さらに、エチルベンゼン等の非極性
物質を活性炭に吸着させることにより達成できることが
明らかとなった。従って本発明の目的は、ポリエステル
の製造時に排除・回収された回収メタノールから、写真
感光乳剤等の調製の用途にそのまま使用できる高純度の
メタノールを得ることができる回収メタノールの精製方
法を提供することである。また、本発明の目的は、上記
回収方法で得られるアセトアルデヒドを実質的に含まな
い精製メタノールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、芳香族ジカ
ルボン酸のジメチルエステルとグリコールとをエステル
交換反応する際に排出・回収された回収メタノールに、
アルカリを加えて加熱した後、蒸留して蒸留メタノール
とし、次いで該蒸留メタノールを活性炭で処理すること
からなる回収メタノールの精製方法によって達成するこ
とができる。
【0008】上記回収メタノールの精製方法の好ましい
態様は下記のとおりである。 1)上記方法によりアセトアルデヒドの含有量が1pp
m未満のメタノールを得る。 2)上記加熱を50〜90℃の範囲で行なう上記精製方
法。 3)上記アルカリとして、水酸化ナトリウム、ナトリウ
ムメトキシドまたは炭酸水素ナトリウムを使用する上記
精製方法。 4)蒸留メタノールの活性炭処理が、蒸留メタノールを
活性炭の層を通過させることにより行なわれる上記精製
方法。 5)活性炭として、粒状又は粉状のものを使用する上記
精製方法。 6)写真感光乳剤の調製に使用可能なメタノールを得る
上記精製方法。
【0009】また、上記目的は、芳香族ジカルボン酸の
ジメチルエステルとグリコールとをエステル交換反応す
る際に排出・回収された回収メタノールに、アルカリを
加えて加熱した後、蒸留して蒸留メタノールとし、次い
で該蒸留メタノールを活性炭で処理することより得られ
るアセトアルデヒドの含有量が1ppm未満の精製メタ
ノールにより達成することができる。上記精製メタノー
ルの好ましい態様は下記のとおりである。 1)アセトアルデヒドの含有量が、0.5ppm未満で
ある上記精製メタノール。
【0010】本発明の精製方法で使用される副生メタノ
ールを含む回収物(回収メタノール)は、ポリエステル
の製造する工程における、エステル交換反応の際に反応
系外に除去され、集められた回収物である。上記ポリエ
ステルの製造は、例えば、下記のように行なわれる。ポ
リエステルの製造には、一般に芳香族ジカルボン酸のジ
メチルエステルとして、ジメチルテレフタレートもしく
はナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル(特に2,
6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル)が主に
使用される。他のジカルボン酸として、イソフタル酸、
フタル酸及びジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸及びその低級アルキルエステル(低級アルキル
としてはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ま
たはブチルが好ましく、特にメチルエステルが好まし
い);シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカ
ルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカ
ルボン酸及びその低級アルキルエステル(好ましいアル
キルは上記と同じ);及びアジピン酸、コハク酸、シュ
ウ酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂
肪族ジカルボン酸及びその低級アルキルエステル(好ま
しいアルキルは上記と同じ)を加えることができる。こ
れら酸成分は使用される全二塩基酸のうち20モル%未
満であり、好ましくは10モル%未満であり、5モル%
未満が特に好ましい。
【0011】また上記ポリエステルの製造には、グリコ
ールとして、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、p−キシレングリコー
ル、1,4シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノー
ルAのエチレンオキシサイド付加物、p,p’−ジフェ
ノキシスルフォン、1,4ビス(βヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ポリアルキレン(例、エチレン、
プロピレン)グリコール及びp−フェニレンビス(ジメ
チロールシクロヘキサン)などを単独でまたは混合して
使用することができる。一般にエチレングリコールが主
成分として使用される。
【0012】上記ポリエステルの製造は、エステル交換
反応及び重縮合反応により行なわれるが、それぞれの反
応において公知の触媒を使用することができる。エステ
ル交換反応の触媒としては、酢酸マグネシウム、酢酸カ
ルシウム、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カドミウ
ム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛等
が一般に使用される。これらは単独で使用しても、混合
して使用しても良い。
【0013】また、重縮合反応触媒には、三酸化アンチ
モン、五酸化アンチモン、三弗化アンチモン、酢酸アン
チモン、硫化アンチモン、アンチモントリブチレート、
アンチモンエチレングリコラート、アンチモン酸カリウ
ム、三塩化アンチモン、酢酸アンチモン、二酸化ゲルマ
ニウム、三酸化ゲルマニウム、酢酸マンガン、酢酸亜
鉛、酢酸鉛、安息香酸アルカリ金属塩、チタンアルコキ
シド(例、チタンブトキサイド)、及びチタン酸のアル
カリ金属塩が、一般に使用される。これらは単独で使用
しても混合で使用しても良い。更に、公知の熱安定剤、
酸化防止剤、着色剤やフィラー類を添加してもよい。
【0014】上記ポリエステルの製造は、上記材料を用
いて下記のように行なうことができる。図1を参照しな
がら説明する。図1には、本発明で使用することができ
る回分式のポリエステルの製造装置の概略図が示されて
いる。攪拌翼2及び加熱用コイル3を具備したエステル
交換反応槽(加熱ジャケット付)1に、触媒、熱安定剤
等を含むグリコールと芳香族ジカルボン酸メチルエステ
ルからなるスラリーを投入し、攪拌下240〜270℃
で約1〜6時間エステル交換反応を行う。その際蒸発す
る副生物あるいはグリコール(通常エチレングリコー
ル)などの不純物を含むメタノールは、蒸発して蒸留塔
5を通過し、ついで冷却用熱交換器6で冷却されてメタ
ノール受槽7に回収される。尚、エステル交換反応の反
応の状態により、蒸発したメタノールの一部は、還流ラ
イン10を通って蒸留塔5に戻される場合もある。エス
テル交換反応槽1で得られた反応物は、フィルター4を
通過し、真空装置8を備えた重縮合反応槽9に送られ、
加熱下に減圧されて重合が行なわる。連続的に重合操作
を行なうには、一般に重縮合反応槽が、2〜3槽必要で
ある。このようにして得られたポリエステルは、例え
ば、ペレット化のためダイヘッドに送られる。上記ポリ
エステルの製造装置としては、回分式でも連続式でもよ
い。
【0015】上記メタノール受槽7に回収されたメタノ
ールは、本発明の精製方法により精製される。本発明の
精製方法で使用することができるアルカリとしては、水
酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸水素ナト
リウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、芳香族アミ
ン(例、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメ
チルアニリン、o−トルイジン及びα−ナフチルアミ
ン)などを挙げることができ、これらは単独で使用して
も、二種以上組み合わせて使用しても良い。さらに、上
記アルカリとして、強塩基性のイオン交換樹脂触媒など
も挙げることができる。これらの中で、水酸化ナトリウ
ム、ナトリウムメトキシドまたは炭酸水素ナトリウムが
好ましい。アルカリは水を含まないことが、後工程の蒸
留分離工程の効率上好ましい。
【0016】本発明で使用することができる活性炭とし
ては、植物系(木材、鋸屑、木炭、ヤシガラ炭、素炭な
ど);石炭系(泥炭、亜炭、褐炭、歴青炭、無煙炭な
ど)、石油系(石油残渣、硫酸スラッジ、オイルカーボ
ンなど);及びパルプ廃液、排水処理汚泥、合成樹脂廃
材又は有機質廃物などを原料として製造された活性炭を
挙げることができる。市販品として入手できる活性炭と
しては、例えば、クラレコールP型及びG型(クラレケ
ミカル(株)製)、コーワCL型及びCS型(興和
(株)製)、シラサギW型(武田薬品工業(株)製)、
ツルミコールG型(ツルミコール(株)製)、ゼオコー
ル(三井金属工業(株)製)及び細孔制御粒状活性炭
(例、HYG型、武田薬品工業(株)製)を使用するこ
とができる。 活性炭の形状は、ハンドリングの点から
は粒状が好ましいが、粉末、粒状いずれも使用できる。
【0017】前記メタノール受槽7に回収されたメタノ
ール(副生メタノールを含む回収物)は、上記材料を用
いて下記のように精製が行なわれる。図2を参照しなが
ら説明する。
【0018】ヒーター15で加熱し、攪拌翼14で攪拌
されている湯浴13中に、冷却用熱交換器11及び攪拌
翼12を備えた反応槽10を浸漬し、この反応槽10内
に、回収メタノールとアルカリを投入する。この混合物
を、60〜80℃で1〜3時間加熱還流を行なう。上記
回収メタノールは、メタノール(通常、70〜80重量
%)以外に、エチレングリコール等のグリコール成分を
主成分として、その他に、エチルベンゼン、メチルアセ
テート、メトキシエタノール、エチレングリコールモノ
アセテート、キシレン、アセトアルデヒド(数百pp
m)等が含まれている。これらは、メタノールとグリコ
ール類との反応、あるいは芳香族カルボン酸の分解等に
より生成するものと考えられる。前記のアルカリ存在下
の加熱により、回収メタノール中に含まれるアセトアル
デヒドが二量体化してアルドールに変化する(アルドー
ル縮合)。また、通常アセトアルデヒド以外のアルデヒ
ドを含んでいる場合も、そのアルデヒドと同一のアルデ
ヒド、異種のアルデヒドあるいはケトンと同様な反応を
起こして二量化する。さらに、これらの反応の繰り返し
により、これらのアルデヒド類は高分子化し沸点が高く
なる。従って、これらは次の蒸留により容易に除去可能
である。回収メタノール中に含まれるアセトアルデヒド
をアルドール縮合させるために必要なアルカリとして
は、アセトアルデヒドのモル数に対して0.5〜5倍の
モル数が一般に必要とされ、アセトアルデヒドに対して
0.8〜1.5倍のモル数が好ましい。アセトアルデヒ
ドをアルドール縮合させる際に、アルカリは主に触媒的
に作用するため、アルカリの量が少なくても処理時間を
長くすることにより反応を終了させることができるが、
長時間の処理は生産性が低下する。上記0.5倍のモル
数が一般に必要である。一方、アルカリを多量に使用す
ればするほど上記反応は速やかに進むが、廃アルカリ
(残渣)の量が多くなり、処理に時間がかかり、コスト
高となる。従って、上記5倍のモル数の量が一般に上限
である。実際の工程では、回収メタノール中のアセトア
ルデヒドを定量して、それとほぼ等モルのアルカリを使
用することが好ましい。すなわち、通常、同一の条件で
製造されるポリエステルで得られる回収メタノールは、
常にほぼ同量のアセトアルデヒド(アルデヒド類)を含
んでいるので、作業の効率化、コストダウンの観点か
ら、製造されるポリエステルの種類によりアルカリの添
加量を設定して、適宜アセトアルデヒドの定量を行なっ
て調整すれば良い。アルカリ加熱処理は上記のように攪
拌槽で行うことが好ましいが、回分式でも連続式でも良
い。またアルカリを充填層として、加熱下に連続的に処
理しても良い。
【0019】得られた反応物を、例えば30段のオルダ
ーショウ精留塔(例、還流比=2〜3の条件)を用い
て、常圧蒸留を行う。この蒸留で得られたものを全てに
ついて、次の活性炭処理を行なってもよいが、次の活性
炭処理を効率良く行なうためには、初留から約60〜8
0%留出するまでの蒸留物(メタノール)を蒸留メタノ
ールとして使用することが好ましい。上記アルカリ加熱
処理で生成したアルドール等の二量化物、及び高沸点物
質等は留出されないで残渣として残る。上記蒸留に使用
する蒸留装置は、回分式でも連続式でも良い。充填材
(例;ラッシヒリング、ポールリング、スルーザーパッ
キン、ディクソンパッキン)を充填した蒸留塔、棚段
(例;多孔板、ターボグリッド、フロートバルブ、ユニ
フラックス、フレキシブルトレー)を備えた蒸留塔
(例、オルダーショウ蒸留塔または精留塔)、または薄
膜式蒸発器(例;日立製作所(株)製のコントロ、日本
リファイン(株)のエルファイン、櫻製作所(株)製の
エバオレータ、ルワ(LUWA)製のフォーリングフィルムエ
バポレーター)でも良い。蒸留の条件は,還流を併用し
た精留(好ましい還流比:2から20)でも良いし、単
蒸留でも良い。蒸留メタノールを留出させた後の蒸留残
渣は、高濃度のアルカリを含んでいるので、これを回収
メタノールに加えて加熱、還流することができ、毎回新
しいアルカリを添加する必要はない。
【0020】上記蒸留されたメタノールは、前記アルド
ール、エチレングリコール等のグリコール成分、エチレ
ングリコールモノアセテート、メチルアセテート、メト
キシエタノール、キシレン等は除去されているが、エチ
ルベンゼン等の非極性物質が残存している。従って、こ
れらの非極性物質を除去するために次の活性炭処理を行
なう。次いで、こうして得られた蒸留メタノールを活性
炭により処理する。一般に、この処理は、蒸留メタノー
ルを、前記活性炭が充填されたカラムを通過させること
により行なうことができる。蒸留メタノールのカラム通
過量は、前記活性炭の充填量、形状、吸着性能等考慮し
て適宜設定される。例えば、1L(リットル)の蒸留メ
タノールを、活性炭(種類:シラサギW、粒状:0.5
〜8mm)充填カラム(高さ約30cm、直径5cm)
に、50〜100ml/時間の速度で通過させることに
より精製メタノールを得る。活性炭処理は攪拌槽を使用
した回分式でも良いし、充填層で連続的に処理しても良
い。活性炭処理温度は常温からメタノールの沸点までの
範囲が好ましく、非極性物質のみ吸着させ易くするに
は、特に40℃から60℃が好ましい。なお、上記処理
により吸着能力の低下した活性炭は、蒸気吹き込みや、
減圧加熱等の公知の方法でさせ再生することにより使用
することができる。
【0021】
【実施例】
[ポリエステルの製造]図1に示した回分式のポリエス
テル製造装置を用いて製造した。エステル交換反応槽1
に、酢酸アンチモン0.02重量部、エチレングリコー
ル40重量部及びテレフタル酸ジメチルエステル50重
量部からなるスラリーを投入し、240〜260℃で約
3時間エステル交換反応を行った。その際生成するエチ
レングリコールなどの不純物を含むメタノールは、蒸発
して蒸留塔5を通過し、冷却用熱交換器6で冷却されメ
タノール受槽7に回収された。こうして、回収メタノー
ルを得た。
【0022】上記回収メタノールを、ガスクロマトグラ
フィー(GCカラム:ガスクロパック55、検出器:F
ID)により分析した結果、以下の成分を有するもので
あった。 メタノール:76.0重量%、 エチレングリコール:20.2重量%、 エチルベンゼン:0.8重量%、 メチルアセテート:0.3重量%、 メトキシエタノール:0.2重量%、 エチレングリコールモノアセテート:0.2重量%、 キシレン:0.1重量%、 アセトアルデヒド300ppm、 その他:2.2重量%
【0023】[実施例1] アルカリ還流加熱 図2に示す反応槽1に、回収メタノール100重量部と
ナトリウムメトキシドのメタノール溶液0.15重量部
(ナトリウムメトキシド/メタノール=28/72(重
量比)を使用))を投入する。ナトリウムメトキシド
は、回収メタノール中のアセトアルデヒドと等モル数用
いた。この混合物を、70℃で2時間還流下に加熱し
た。 蒸留 で得られた反応混合物を、30段のオルダーショウ精
留塔を用いて70℃で還流比2から3にて常圧蒸留を行
った。この蒸留で、初留から70%留出までの蒸留物
(メタノール)70重量部を採取した。これを蒸留メタ
ノールとした。 活性炭処理 得られた蒸留メタノールを、層高約30cm、直径5c
mの活性炭充填カラム(活性炭:武田薬品工業(株)製
のシラサギW、粒状サイズ0.5〜8mm)に50ml
/時間の速度で通過させた。こうして精製メタノールを
得た。
【0024】[実施例2]実施例1において、ナトリウ
ムメトキシド溶液の代わりにナトリウムメトキシドと同
じモル数の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例
1と同様にして精製メタノールを得た。
【0025】[実施例3]実施例1において、ナトリウ
ムメトキシド溶液の代わりにナトリウムメトキシドと同
じモル数の炭酸水素ナトリウムを使用した以外は、実施
例1と同様にして精製メタノールを得た。
【0026】[比較例1]実施例1において、蒸留の
処理のみを行なって精製メタノールを得た。
【0027】[蒸留メタノール及び精製メタノールの評
価方法] (1)グリコール類、副生物等の不純物の検出 ガスクロマトグラフィー(GCカラム:カスクロパック
55、検出器:FID)により、同定及び定量を行なっ
た。 (2)アセトアルデヒドの検出 蒸留又は精製メタノール5mlメスフラスコに取り、純
水で10倍に希釈した後、希釈溶液から0.5mlを取
って50ml三角フラスコに移し、0.5%MBTH・
HCl(3−メチル−2−ベンゾチアゾリンヒドラゾン
・HCl)水溶液を0.5ml加えた。これに栓をして
軽く振盪後、30分間放置した。次に得られた溶液に
0.2%FeCl3 水溶液を2.5ml加え、栓をして
軽く振盪後、5分間放置してからアセトンを20ml加
えて希釈し、サンプルを調製した。このサンプルを吸光
度計のセルに注ぎ入れ、750nmから500nmの間
をスキャンして吸光度を測定した。約660nmの吸光
度がアルデヒド濃度と対応する。表中の”なし”は、上
記検出限界の0.5ppm未満であることを意味する。 (3)還元性の評価 蒸留又は精製メタノールを純水で50%に希釈したもの
と、硝酸銀の2%水溶液にアンモニアの10%水溶液を
沈殿が消失するまで加えた試験液(トレイン氏試薬)と
を、10:1(重量比)で混合したものを、20℃の暗
所に20分間静置し、直径25mmの硬質試験管に入れ
て観察し、白濁しないものを合格とし、白濁したものを
不合格とした。 (4)写真感光乳剤への使用の可否 蒸留又は精製メタノール試料を用いて写真感光乳剤を調
製し、これを塗布した写真感光材料を試作し、その感度
の低下の有無により使用の可否を評価した。上記評価結
果を下記の表1に示す。
【0028】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 蒸留 精製 蒸留 精製 蒸留 精製 蒸留 ──────────────────────────────────── (1) 不純物(エチル 0.6% 1ppm 0.6% 1ppm 0.6% 1ppm 0.6% ベンゼン)の検出 ──────────────────────────────────── (2) アセトアルデヒド なし なし なし なし なし なし 4ppm ──────────────────────────────────── (3) 還元性 合格 合格 合格 合格 合格 合格 不合格 ──────────────────────────────────── (4) 写真感光乳剤 不可 可 不可 可 不可 可 不可 への使用の可否 ────────────────────────────────────
【0029】本発明の精製方法(実施例1〜3)により
得られたメタノールは、アセトアルデヒドが検出され
ず、還元性も示さず、また非極性不純物も含まれていな
いので写真感光乳剤に使用できる高純度のメタノールで
あることが分かる。比較例1のメタノールは、活性炭処
理を行なっていないので非極性不純物であるエチルベン
ゼンが残存しており、また予めアルカリ加熱を行なって
いないので、アセトアルデヒドも残存しており写真感光
乳剤には使用することはできない。比較例1のメタノー
ルを、さらに活性炭処理を行なった場合は非極性不純物
はなくなるが、予めアルカリ加熱を行なっていないの
で、アセトアルデヒドが1ppm以上残存しており、写
真感光乳剤には使用することはできない。尚、実施例1
〜3及び比較例1において蒸留メタノール中にはメチル
アセテート、メトキシエタノール、エチレングリコール
モノアセテート及びキシレンは検出されなかった。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法により、ポリエステル製造
時に生成するさまざまな副生物及びグリコール等の原料
を含んだメタノールを、アルカリで加熱処理した後、蒸
留し、更に活性炭処理することによって、非極性不純物
及びアルデヒドが完全に除去され、写真用感光材料等の
調製にも使用可能な程度に高純度に精製することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるメタノールを回収すること
ができるポリエステルの製造装置の一例の概略図であ
る。
【図2】ポリエステル製造装置から回収されたメタノー
ルに、アルカリを加えて加熱する装置の概略図である。
【符号の説明】
1 エステル交換反応槽(加熱ジャケット付) 2 攪拌翼 3 加熱用コイル 4 フィルター 5 蒸留塔 6 冷却用熱交換器 7 メタノール受槽 8 真空装置 9 重縮合槽 10 反応槽 11 冷却用熱交換器 12 メタノール攪拌翼 13 湯浴 14 攪拌翼 15 ヒーター 16 還流ライン 17 還流調整バルブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸のジメチルエステル
    とグリコールとをエステル交換反応する際に排出・回収
    される回収メタノールに、アルカリを加えて加熱した
    後、蒸留して蒸留メタノールとし、次いで該蒸留メタノ
    ールを活性炭で処理することからなる回収メタノールの
    精製方法。
  2. 【請求項2】 芳香族ジカルボン酸のジメチルエステル
    とグリコールとをエステル交換反応する際に排出・回収
    される回収メタノールに、アルカリを加えて加熱した
    後、蒸留して蒸留メタノールとし、次いで該蒸留メタノ
    ールを活性炭で処理することより得られるアセトアルデ
    ヒドの含有量が1ppm未満の精製メタノール。
JP12070095A 1995-04-20 1995-04-20 回収メタノールの精製方法及び精製メタノール Withdrawn JPH08291091A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998049216A1 (en) * 1997-04-30 1998-11-05 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. Purification of by-product stream in preparation of polytrimethylene terephthalate
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CN116785741A (zh) * 2023-07-11 2023-09-22 新泰市华宝化工科技有限公司 一种对氯苯甲腈生产用提纯装置

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