JPH0829104A - 基礎ベース測定器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 基礎ベースのベース幅とベース厚を同時に、
しかも１人で測定可能とし、さらには正確な測定値が得
られて測定者による測定値のばらつきをなくすると共
に、短時間で測定可能とした基礎ベース測定器具を提供
する。 【構成】 所定形状の基板２と、この基板２の一方の面
で案内部材４により摺動自在に案内されその長手方向の
一端に長手方向に対して直角方向のフック部３ａを有す
る鉛直スケール３と、前記基板２の他方の面で案内部材
７により前記鉛直スケール３と直交する方向に摺動自在
に案内される水平スケール８と、前記基板２に設置して
鉛直スケール３及び水平スケール８がそれぞれ鉛直及び
水平方向を維持していることを目視するための水準器１
１とを具備したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鉄筋コンクリート建
物における基礎ベースのベース幅とベース厚を同時に測
定する時に用いられる基礎ベース測定器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】建物における基礎ベースは、地盤面下に
設置されて柱や壁等を支える役割を果たすので、基礎ベ
ース施工後の出来上がり検査は非常に重要である。この
検査では、１か所につき基礎ベースのベース幅とベース
厚をそれぞれ別々に測定し、１棟当り４か所から６か所
を検査することが通常行われている。

【０００３】図４に示すように、ベース幅Ｗの従来の測
定においては、指し金１３とコンベックス１４とを用
い、指し金１３を、長片が地面に対して垂直になるよう
にしてベース部１２ａの側面に当てた後、基礎立上がり
部１２ｂから指し金１３までを、コンベックス１４が水
平になるようにして測定している。

【０００４】また、図５に示すように、ベース厚Ｈの従
来の測定においては、同様に指し金１３とコンベックス
１４とを用い、指し金１３を、直角部の角がベース部１
２ａの上端縁に当たるようにして基礎立上がり部１２ｂ
の側面に当てた後、コンベックス１４の掛かり部１４ａ
を基礎ベース１２の底面に掛け、底面から指し金１３ま
でを、コンベックス１４が垂直になるようにして測定し
ている。あるいは、水平器とコンベックス１４とを用
い、水平器を、端部下面の角がベース部１２ａの上端縁
に当たるようにして基礎立上がり部１２ｂの側面に当て
た後、底面から水平器までを、同様にコンベックス１４
が垂直になるようにして測定している。

【０００５】このように、ベース幅とベース厚は別々に
測定され、しかも各測定は、指し金あるいは水平器を支
える者と、コンベックスで測定する者との２人１組で行
われている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
にしてベース幅を測定する場合、指し金が垂直になって
いるかどうか、また、コンベックスが水平になっている
かどうかは不正確であるので、正確な測定値が得られに
くいという問題点がある。

【０００７】また、上記のようにしてベース厚を測定す
る場合、コンベックスの掛かり部が小さく、掛かり部を
基礎ベースの底面に掛けるのが難しいので非常に面倒な
上、底面の角が欠けていた場合は、正確な測定値が得ら
れない。さらにこの場合も、コンベックスが垂直になっ
ているかどうか、また、基礎立上がり部が傾いている可
能性も考えると、指し金の短片が水平になっているかど
うかも不正確であるので、正確な測定値が得られにくい
という問題点がある。

【０００８】このように、指し金やコンベックスの水
平、垂直は、測定者の勘に頼る所が大きいので正確な測
定値は得られにくく、測定者により測定値のばらつきが
生じるという問題点がある。

【０００９】さらに、１か所につきベース幅とベース厚
を別々に測定し、しかも各測定を、２人１組で１棟当り
４か所から６か所は行うので、出来上がり検査を終わら
せるまでに長時間を要するという問題点がある。

【００１０】この発明は以上の問題点や事情に鑑みてな
されたものであり、基礎ベースのベース幅とベース厚を
同時に、しかも１人で測定可能とし、さらには正確な測
定値が得られて測定者による測定値のばらつきをなくす
ると共に、短時間で測定可能とした基礎ベース測定器具
を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為
に、この発明の基礎ベース測定器具は、所定形状の基板
と、この基板の一方の面で案内部材により摺動自在に案
内されその長手方向の一端に長手方向に対して直角方向
のフック部を有する鉛直スケールと、前記基板の他方の
面で案内部材により前記鉛直スケールと直交する方向に
摺動自在に案内される水平スケールと、前記基板に設置
して鉛直スケール及び水平スケールがそれぞれ鉛直及び
水平方向を維持していることを目視するための水準器と
を具備したものである。

【００１２】

【作用】上記のように構成された基礎ベース測定器具
は、鉛直スケールのフック部の直角部内側を基礎ベース
の底面の角に、また水平スケールの端部下面の角をベー
ス部の上端縁に当てた後、鉛直スケールが鉛直、水平ス
ケールが水平となるように水準器で確認しながら各スケ
ールの位置を微調整する。この時点で、水平スケールの
目盛りからベース幅が、また鉛直スケールの目盛りから
ベース厚がそれぞれ測定でき、１つの測定器具で両方と
も同時に測定可能となる。

【００１３】また、この基礎ベース測定器具は、上記の
ような状態でも片手で容易に支えられるので、１人で測
定可能となる。

【００１４】そして、水準器により鉛直スケールが鉛
直、水平スケールが水平となっているかどうかを確認で
きるので、正確な測定値が得られるようになる。

【００１５】

【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて説明
する。

【００１６】図１に示すように、この実施例の基礎ベー
ス測定器具１において、基板２は短辺と長辺が平行な台
状に形成され、且つ長辺の側端部に、基板２面に対して
直角となるような突出片２ａを有している。そして、突
出片２ａが突出していない平らな方の基板２面の短辺と
長辺付近にそれぞれ２つのねじ溝を、突出片２ａが突出
している方の基板２面の両側辺付近にそれぞれ２つのね
じ溝を、さらには突出片２ａ側の側辺付近にねじ孔を形
成している。

【００１７】この基板２の突起片２ａが突出していない
平らな方の面の短辺と長辺付近に、内側に鉛直スケール
３が摺接して入るように中間部が凸状に突出し、両端部
付近にねじ孔を形成した２つの案内部材４を、それぞれ
基板２からはみ出ないようにして前記のねじ溝に固定ね
じ４ａで螺着している。ここで、この案内部材４は、内
側に挿入する鉛直スケール３が基板２上に摺接し、その
長手方向が基板２の短辺及び長辺に対して直交して摺動
自在となるようにしている。また、案内部材４の１つに
は、中間部付近にねじ孔を形成している。

【００１８】この案内部材４と基板２との間に、長手方
向の一端に長手方向に対して直角方向のフック部３ａを
有する鉛直スケール３を、フック部３ａが基板２の短辺
側に位置し、且つ目盛り３ｂが目視できるようにして順
次挿入している。この鉛直スケール３は、前記のよう
に、長手方向に摺動自在に案内される。

【００１９】また、鉛直スケール３は、前記の案内部材
４に形成したねじ孔に螺合する鉛直スケール用ストッパ
ー５により固定できる。なお、この鉛直スケール用スト
ッパー５は、測定の際に鉛直スケール３を動かないよう
に固定できるので便利であるが、特に設けなくても問題
はない。

【００２０】そして、基板２に、鉛直スケール３の目盛
り３ｂを指示する鉛直スケール目盛り指示線６を形成し
ている。

【００２１】一方、図２に示すように、突出片２ａが突
出している方の基板２面の両側辺付近に、案内部材４と
同様な形状の２つの案内部材７を、それぞれ基板２から
はみ出ないようにして前記のねじ溝に固定ねじ７ａで螺
着している。ここで、この案内部材７は、内側に挿入す
る水平スケール８が基板２上に摺接し、鉛直スケール３
と直交する方向に摺動自在となるようにしている。

【００２２】この案内部材７と基板２との間に、水平ス
ケール８を、目盛り８ａが突出片２ａの方を向いて目視
できるようにして順次挿入している。この水平スケール
８は前記のように、長手方向に、且つ鉛直スケール３と
直交する方向に摺動自在に案内される。

【００２３】また、水平スケール８は、前記の基板２に
形成したねじ孔に、案内部材４を設けた側から螺合する
水平スケール用ストッパー９により固定できる。

【００２４】そして、基板２に、水平スケール８の目盛
りを指示する水平スケール目盛り指示線１０を形成して
いる。

【００２５】また、突出片２ａの外側面に水準器１１を
設置し、気泡１１ａを目視して鉛直スケール３及び水平
スケール８がそれぞれ鉛直及び水平方向を維持している
ことが確認できるようになっている。

【００２６】水準器１１以外の基礎ベース測定器具１の
素材としては、ステンレスやアルミニウム等の金属を用
いるのが望ましく、鉛直スケール３や水平スケール８
は、中空構造のものでもよい。また、基板２の形状も特
に限定されるものではない。なお、鉛直スケール３と水
平スケール８の目盛り３ｂ、８ａは、図１に示す実施例
のように、目盛りを印刷した金属製若しくは樹脂製のプ
レートをスケールに固着してもよいし、あるいは、スケ
ール本体に直接形成してもよい。

【００２７】また、目盛り指示手段としては、目盛りの
読取位置を指示すればどのようなものでもよく、目盛り
指示線６、１０を基板２上に直接形成してもよいし、あ
るいは、先端が鋭角になった金属製あるいは樹脂製のプ
レート等を設けてもよい。

【００２８】そして、案内部材４、７も、各スケール
３、８が基板２に摺接して長手方向に摺動すれはよいの
で、中間部が不連続で、スケールを左右から挟むように
したものでもよく、またこれをスケールの長手方向に幅
を広げたものでもよい。さらに、案内部材４、７の基板
２への固着手段も、この実施例のように、基板２にねじ
溝を形成して固定ねじ４ａ、７ａで螺着するのに代え
て、基板２に溶接してもよく、特に限定されるものでは
ない。

【００２９】また、各スケール３、８の基板２との摺動
面における形状については、スケールに、その長手方向
に凹部を形成し、これに嵌合するように基板２に凸部を
形成してもよいし、またこの逆でもよい。あるいは、ス
ケールが丸ごと嵌合するような凹部を基板２に形成して
もよく、特に限定されるものではない。

【００３０】また、鉛直スケール用ストッパー５と水平
スケール用ストッパー９は、測定者が操作しやすいよう
に両方共鉛直スケール３の側に設けるのが望ましく、水
平スケール用ストッパー９は、基板２に形成したねじ孔
に螺合して背面から水平スケール８を固定している。一
方、鉛直スケール用ストッパー５は、案内部材４に形成
したねじ孔に螺合して鉛直スケール３を固定している。
なお、案内部材４に、前記のような鉛直スケール３を左
右から挟むように形成したものを用いた場合は、中間部
が空いているので、鉛直スケール３の長手方向の中心線
上付近にねじ孔を形成し、鉛直スケール３に鉛直スケー
ル用ストッパー５を設けてもよい。

【００３１】さらに、図１に示す実施例では、水準器１
１は基板２に設けた突出片２ａに設置しているが、鉛直
スケール３及び水平スケール８がそれぞれ鉛直及び水平
方向を維持していることを目視できればよいので、突出
片２ａを設けなくてもよく、水準器１１の設置箇所は特
に限定されるものではない。

【００３２】この実施例の基礎ベース測定器具１の使用
に際しては、図３に示すように、鉛直スケール３のフッ
ク部３ａを基礎ベース１２の底面に当て、水準器１１に
より鉛直スケール３の鉛直、水平スケール８の水平を確
認しながら、水平スケール８の端部下面の角をベース部
１２ａの上端縁に当てて各スケール３、８の位置を微調
整した後、必要に応じて鉛直スケール用ストッパー５と
水平スケール用ストッパー９とで各スケール３、８を固
定する。これによって、水平スケール８の目盛り８ａか
らベース幅Ｗが、また鉛直スケール３の目盛り３ｂから
ベース厚Ｈがそれぞれ測定でき、両方とも同時に測定で
きる。

【００３３】なお、上記のような操作を行うには１人で
充分であり、また片手で容易に支えられるので、１人で
測定できる。その上、目盛りを読み取ってからの測定値
のメモ等も１人でできる。

【００３４】

【発明の効果】この発明の基礎ベース測定器具は、以上
説明したように構成されているので、以下に記載される
ような効果を有する。

【００３５】基礎ベースのベース幅とベース厚が、１つ
の測定器具で同時に測定でき、しかも１人で測定できる
ので、従来煩雑であった測定が容易になると共に、短時
間でできるようにもなる。したがって、基礎ベース施工
後の出来上がり検査にかかる時間の短縮が計れる。

【００３６】そして、水準器を備えているので正確な測
定値が得られるようになり、従来のような測定者による
測定値のばらつきがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】基礎ベース測定器具の実施例の斜視図である。

【図２】基礎ベース測定器具の実施例の背面図である。

【図３】基礎ベース測定器具の実施例の使用状態を示す
説明図である。

【図４】従来のベース幅の測定方法を示す説明図であ
る。

【図５】従来のベース厚の測定方法を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 基礎ベース測定器具 ２ 基板 ３ 鉛直スケール ４、７ 案内部材 ８ 水平スケール １１ 水準器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定形状の基板と、この基板の一方の面
   で案内部材により摺動自在に案内されその長手方向の一
   端に長手方向に対して直角方向のフック部を有する鉛直
   スケールと、前記基板の他方の面で案内部材により前記
   鉛直スケールと直交する方向に摺動自在に案内される水
   平スケールと、前記基板に設置して鉛直スケール及び水
   平スケールがそれぞれ鉛直及び水平方向を維持している
   ことを目視するための水準器とを具備した基礎ベース測
   定器具。