JPH0829062A - 直流アーク炉用炉底電極 - Google Patents

直流アーク炉用炉底電極

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JPH0829062A
JPH0829062A JP16693194A JP16693194A JPH0829062A JP H0829062 A JPH0829062 A JP H0829062A JP 16693194 A JP16693194 A JP 16693194A JP 16693194 A JP16693194 A JP 16693194A JP H0829062 A JPH0829062 A JP H0829062A
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Toshimichi Maki
敏道 牧
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直流アーク炉用炉底電極において、電極の補
修を容易に行うことが出来ると共に、電流の偏流をおこ
すことのない直流アーク炉用炉底電極を得る。 【構成】 炉底に備えられた基盤とこれに併設される支
持基盤とにより形成される冷却手段を備えた直流アーク
炉の支持基盤上に、板厚が30mm〜60mm且つ平均
電流密度が0.5A/mm2 以下となる断面積を有する
一体にて成る鋼製円筒を接合し、該鋼製円筒の内外を耐
火物で構成したことにより、過度なジュール熱を発生す
ることなく、偏流を生じても分散しやすくなる。 【効果】 電極の寿命が長くなり、操業中の電流に偏流
をおこすこともなく、電極の補修が極めて容易な直流ア
ーク炉用炉底電極が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製鋼用の直流アーク炉
用炉底電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は従来の直流アーク炉用炉底電極の
構造を示す断面図である。図6において、1は炉底部、
1aは炉底部に敷き詰められた耐火物、2,3は図示さ
れない電源よりの電力を受けて電流を流す導体、4は冷
却空気導入路4aを備えたターミナル、5は基盤、6は
支持基盤、7は支持基盤6を貫通して炉底に頭部を突出
しているコンタクトピン、8はコンタクトピン7の周囲
を不定形耐火物等により充填された電極ブロック、9は
黒鉛電極、11は溶鋼である。図6によって明らかなよ
うに従来の炉底電極の構造は、炉底部1のほぼ中央部に
多数(約200本)のコンタクトピン7とこれらを接合
する基盤5があり、基盤5は導体3及び導体2を介して
電源に連結されている。コンタクトピン7は電極ブロッ
ク8によって周囲を包まれ、この電極ブロック8を支持
基盤6が支えて炉底部1の中央部に設けられている。
【0003】従来の直流アーク炉底電極は前述した構造
であり、電流は導体2、導体3、ターミナル4、基盤5
からコンタクトピン7を経て黒鉛電極9に流れてアーク
となり、このアーク熱により鉄屑などの原料が溶かされ
て溶鋼11となり精錬操業が行われる。この時、冷却用
の空気は冷却空気導入路4aを抜けて基盤5と支持基盤
6の間を通りコンタクトピン7を冷却する。
【0004】前述した従来の直流アーク炉底電極は次の
ような問題があった。 (1)溶解時間の経過と共に電極ブロック8が損耗し残
厚が一定の厚み以下になると、交換しなければならな
い。このため電極ブロック8の損耗状態が一定程度に達
した時、炉を開放して200本を超える多数のコンタク
トピン7の継ぎ足しの補修が提案されているが、ピン本
数が多く現実的には非常に困難な作業であり、ピン7と
共に電極ブロック8全体の交換を行うのが通常であり電
極の寿命の延長に限界がある。 (2)直流アーク炉においては電気抵抗の変動で電流の
偏流が発生することがあり、偏流が発生すると偏流範囲
に存在するコンタクトピン7に電流が集中して流れるの
で電流密度が異常に高くなり、コンタクトピン7の内で
発生するジュール熱によりコンタクトピン7そのものや
電極ブロック8の損耗を早め、直流アーク炉底電極の寿
命が短くなる原因となる。
【0005】この問題を解決するための技術として本願
発明に類似するものに、特公昭62−46183号公報
(以下、先行例1という)、特開平2−13785号公
報(以下、先行例2という)が挙げられる。
【0006】先行例1の技術は、直流アーク炉の炉底に
おいて、耐火性の高いマグネシヤ質耐火煉瓦製の電極ブ
ロック8をスタンプの上面に設置することにより、炉底
の寿命を1ケ月から2〜3ケ月に延長したものである。
【0007】先行例2の技術は、炉底電極の補修を行う
場合、溶損した炉底電極の上方の凹部に溶鋼を残して置
き、この溶鋼に浸漬させて予め製作しておいた上下に鋼
製ピンを突出した補修用電極部材を溶損した炉底電極の
上に載置し、さらに補修用電極部材の周囲に補修材をス
タンプ施工することにより、炉底電極の交換を不要とと
すると共に、補修時間を短縮するようにしたものであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】先行例1の技術では、
2〜3ケ月毎に炉底を冷却開放してスタンプ上面の電極
ブロックを交換するので、炉底電極の寿命は長くなる
が、炉がそのたびに冷却開放され操業が停止するので、
操業効率を下げる結果となる。
【0009】先行例2の技術は、予め製作しておいた補
修用電極部材を、残留している溶鋼に浸漬させて溶損し
た炉底電極の上に載置するため、補修用電極部材から下
に突出した多数の鋼製ピンと溶損した炉底電極の多数の
鋼製ピンとの間には溶鋼又はスラグが介在することがあ
る。この場合、スラグが介在するピンには電流が流れに
くくなるので、先行例2の方法で補修が行われた場合は
偏流を発生しやすい。その上、このようにしてピンに生
じた電気的偏流は他のピンへ分散することが難しく、偏
流によって発生する過度なジュール熱によりピンは局部
的にも損耗を起こし、更に電極の寿命を短くする原因に
なる。
【0010】本発明は、かかる問題点を解決するために
なされたもので、電極の補修を容易に行うことが出来る
と共に、電流の偏流をおこすことのない直流アーク炉用
炉底電極を得ることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、直流アーク炉
において、板厚が30〜60mmかつ平均電流密度が
0.5A/mm2 以下になる断面積を有してなる鋼製円
筒を炉底電極下部の支持基盤上に接合し、該鋼製円筒の
内外を耐火物で構成したことを特徴とする直流アーク炉
用炉底電極である。
【0012】
【作用】本発明の直流アーク炉用炉底電極においては、
電極導体に流れる平均電流密度が0.50A/mm2
下であるため、電極導体に過度なジュール熱を生じない
ので電極の損耗が少ない。
【0013】また、上部の黒鉛電極と炉底電極導体部と
の間にアークを発生させた際、下部の電極導体は鋼製円
筒型であるため、電流の偏流を生じることが少ない。ま
た、偏流を生じてもアークは円筒電極円周上を水平分散
して移動しやすく局部に留まることがない。このため、
局部的に過度なジュール熱が発生しないので、炉底電極
は局部的損耗を起こすことがない。
【0014】また、鋼製円筒の板厚を30〜60mmと
したのは、長時間の操業で鋼製円筒電極が消耗し、電極
の上端が周囲の電極ブロックより低くなって溝状に凹ん
で損傷した際、溝の幅が30mm以上とすることで補修
用鋼製円筒を挿入することが極めて容易になる。また、
60mm以下であることにより、スクラップ溶解や電極
導体自体の溶融に伴って発生した溶鋼がこの溝内を流動
しても、この溶鋼流動を低く抑えられ電極ブロックの損
傷が少ない。
【0015】更に、電極ブロックの損傷深さに応じて補
修用鋼製円筒電極を上記溝内に挿入して損傷した電極上
に載せ、円筒の内外に不定形耐火物を充填するだけで炉
底電極の補修は完了する。このため、コンタクトピンを
使用した従来型炉底電極に比べ、補修時間も大幅に短縮
される。
【0016】
【実施例】図1は本発明の一実施例である直流アーク炉
用炉底電極の構造を示す断面図、図2は図1のA−A断
面の平面図、図3は図1のB−B断面の平面図を示す。
これらの図において、符号の1〜9及び11は前記従来
装置の図6と同一のものである。10は併設された基盤
5と支持基盤6とを結ぶ連結柱、5aは冷却空気導入路
4aから流入した冷却空気を有効に流すため基盤5上に
作られた整流板、12は支持基盤6に結合されて一体を
なす鋼製円筒電極で、板厚が30mm〜60mm且つ平
均電流密度が0.5A/mm2 以下となる断面積を有す
るように作られた円筒型炉底電極である。図2に示すよ
うに、この鋼製円筒電極12の内外をマグネシヤ質耐火
物で充填して電極ブロック8で固めた構造となってい
る。
【0017】この発明の直流アーク炉用炉底電極の構造
は上述の如くであるから、電流は導体2、導体3、ター
ミナル4、基盤5から連結柱10を経て支持基盤6を介
して鋼製円筒電極12に流れ、これが黒鉛電極9との間
にアークを形成し、このアーク熱によりスクラップが溶
かされて溶鋼11となり精錬操業が行われる。この時図
3で示すように、冷却用の空気は冷却空気導入路4aか
ら連結柱10で作られた基盤5と支持基盤6との間隙を
整流板5aに誘導されて通り抜け、支持基盤6を冷却す
ると共に支持基盤6を介して鋼製円筒電極12を冷却す
る。
【0018】図4は、電流密度を0.30〜0.60A
/mm2 の範囲で変化させた場合の円筒型電極導体の温
度を計算したもので、横軸は基盤底面からの電極導体の
高さ(距離)、縦軸はこの高さにおける電極導体の温度
を示す。
【0019】伝熱計算の条件として、円筒電極導体の外
径は2000mm、板厚が45mm、高さは1000m
mの鋼製で、円筒電極導体の温度を長手方向の一次元モ
デルで計算した。溶鋼温度は1650℃とし、この溶鋼
温度による電極上方からの溶鋼による熱伝導および電流
によって電極内に発生するジュール熱を考慮し、円筒電
極と耐火物間の熱伝導はないものとし、炉底の基盤は空
冷されている条件で計算した。
【0020】図4において、曲線Aは電流密度0.30
A/mm2 、曲線Bは0.40A/mm2 、曲線Cは
0.50A/mm2 、曲線Dは0.60A/mm2 の伝
熱計算結果を示す。図4より、電流密度が0.30A/
mm2 では基盤底面からの高さが増大するに従い、ほぼ
直線的に導体温度は上昇しているが、電流密度が0.4
0A/mm2 では、基盤底面からの高さ(距離)の変化
する割合に比べ電極導体温度の増加の割合が大きく、上
記直線関係より少し逸脱している。電流密度が0.50
A/mm2 の曲線Cでは上記傾向は著しくなり、基盤底
面からの高さHが750mm〜950mm範囲の電極導
体上部の温度は溶鋼温度1650℃より僅かに高くなっ
ている。更に、電流密度が0.60A/mm2 の曲線D
においては、基盤底面からの高さが450mm〜950
mmの広い範囲にわたり電極導体上部の温度が溶鋼温度
1650℃より高い。
【0021】上記伝熱計算結果は、以下の様に理解でき
る。まず、電極導体上端部に近ずく程、溶鋼からの熱影
響が増大するので電極導体温度は増加する。また、電流
密度の増加に従って、電極導体内で発生するジュール熱
も増加するので電極導体温度は増大する。加えて、電気
抵抗は金属導体温度が高い程増大するので、電極導体上
部で発生するジュール熱は増加する。そのため、電極導
体上部の温度は鋼製電極導体の融点(一般には、純鉄の
融点1530℃より低い)を越えているため、アーク溶
解中、電流密度が高くなるほど上部導体は広範囲に溶融
する。
【0022】ここで、曲線Cの電流密度0.50A/m
2 を限度とすれば、電極導体高さと温度とはほぼ直線
関係が保たれており、電極導体上部が広範囲に渡り溶融
することがないので、電極導体内部まで一度に損傷を受
けることがなく電極損耗速度を低く抑えられる。
【0023】同時に、平均電流密度が0.50A/mm
2 以下であると、電極導体の内外を構成する耐火物の温
度上昇も低く抑えられるので電極ブロック耐火物の損耗
も低減できる。
【0024】本発明の効果を確認するため、実機直流ア
ーク炉において平均電流密度が0.3A/mm2 、0.
5A/mm2 、0.6A/mm2 の3水準でスクラップ
を長期間溶解する試験を実施し、溶解時間当たりの平均
電極損傷速度を調査した。ここで、円筒の外径は200
0mm、板厚が45mm、高さは1000mmの鋼製円
筒電極を使用し、円筒内外の耐火物材質としてマグネシ
ア質耐火物を使用した。この結果、0.3A/mm2
場合の損傷速度指数を1.0とすると、0.5A/mm
2 では1.2、0.6A/mm2 では3.0を得た。ま
た、従来のピンタイプの炉底電極で観察された特定のピ
ンに損傷が集中する、いわゆる局部的な損傷は0.3〜
0.6A/mm2 の範囲で認められなかった。
【0025】損傷した電極補修方法として、電極ブロッ
クの損傷深さに応じた長さの補修用鋼製円筒電極を溝内
に挿入して損傷した電極上に載せた。その後、円筒の内
外にマグネシア質の不定形耐火物を充填し炉底電極の補
修を完了した。この結果、コンタクトピンを使用した従
来型炉底電極に比べ、補修時間は大幅に短縮できた。
【0026】上記電極補修方法の他に、図5に示すよう
に、溝状損傷を生じた電極ブロック8を鋼製円筒12の
上端が現れるまでなだらかな凹状に削りとり、その後消
耗した高さに合わせて補修用鋼製円筒12aを載置し、
次いで、この補修用鋼製円筒12aを包んで内外に補修
用耐火物8aを充填することによる補修方法を採用して
も良い。この方法によっても補修時間も大幅に短縮でき
る。
【0027】
【発明の効果】この発明は上述したとおり、直流アーク
炉用炉底電極を流れる平均電流密度が0.5A/mm2
以下の断面積を有し、板厚が30mm〜60mmの鋼製
円筒型とすることにより、炉底電極寿命の向上が図れる
と共に、操業中の電流に偏流を起こすこともなく、電極
の補修が極めて容易な直流アーク炉用炉底電極を得るこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である直流アーク炉用炉底電
極の断面図である。
【図2】図1のA−A断面の平面図である。
【図3】図1のB−B断面の平面図である。
【図4】電流密度による電極導体深さと温度との関係を
示す曲線図である。
【図5】電極継ぎ足し補修過程を示す円筒型炉底電極の
断面図である。
【図6】従来の直流アーク炉用炉底電極の構造を示す断
面図である。
【符号の説明】
1.炉底部 2.導体 3.導体 4.ターミナル 4a.冷却空気導入路 5.基盤 5a.整流板 6.支持基盤 7.コンタクトピン 8.電極ブロック 8a.補修用耐火物 9.黒鉛電極 10.連結柱 11.溶鋼 12.鋼製円筒電極 12a.補修用鋼製円筒電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流アーク炉において、板厚が30〜60
    mmかつ平均電流密度が0.5A/mm2 以下になる断
    面積を有してなる鋼製円筒を炉底電極下部の支持基盤上
    に接合し、該鋼製円筒の内外を耐火物で構成したことを
    特徴とする直流アーク炉用炉底電極。
JP16693194A 1994-07-19 1994-07-19 直流アーク炉用炉底電極 Expired - Fee Related JP2962150B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11201650A (ja) * 1998-01-06 1999-07-30 Takuma Co Ltd 電気溶融炉の炉壁構造及び炉体冷却方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11201650A (ja) * 1998-01-06 1999-07-30 Takuma Co Ltd 電気溶融炉の炉壁構造及び炉体冷却方法

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