JPH08283620A - 抗菌性被膜用組成物 - Google Patents

抗菌性被膜用組成物

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JPH08283620A
JPH08283620A JP9064395A JP9064395A JPH08283620A JP H08283620 A JPH08283620 A JP H08283620A JP 9064395 A JP9064395 A JP 9064395A JP 9064395 A JP9064395 A JP 9064395A JP H08283620 A JPH08283620 A JP H08283620A
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antibacterial
composition
coating
coating composition
silver
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JP9064395A
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Hiroshi Kato
寛 加藤
Yukihira Haku
志平 白
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンからなる
金属イオンの少なくとも一種を放出する抗菌剤及び重合
性単量体を主成分とする被膜用組成物において、抗菌剤
を被膜用組成物の他の成分と別包装とする抗菌性被膜用
組成物。並びに、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンか
らなる金属イオンの少なくとも一種を放出する抗菌剤及
びビヒクルを主成分とする塗料用組成物において、抗菌
剤とビヒクルを別包装とする抗菌性塗料用組成物。 【効果】 抗菌性被膜や抗菌性塗膜の膜形成を安定的に
行なうことができ、該被膜や塗膜の性能を常に一定に保
つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌剤及び重合性単量
体を主成分とする抗菌性被膜用組成物、並びに抗菌剤及
びビヒクルを主成分とする抗菌性塗料用組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、抗菌性や防かび性を付与した製品
が注目されている。その中でも、銀イオンを有効成分と
した抗菌剤を添加した樹脂成型品やフィルムなどが抗菌
性能、安全性の面で優れており、既に実用化されてい
る。
【0003】例えば、特開昭63−265958号に
は、銀、銅及び亜鉛イオンを含有した抗菌性ゼオライト
を練り込んだ抗菌性樹脂組成物が開示されている。この
ような抗菌性粉末を練り込んだ樹脂製品では、抗菌性粉
末が高価なため大型の成型品を作る場合にはコスト高に
なること、及び樹脂が着色したり、抗菌性が不十分だっ
たりするという問題があった。
【0004】これに対して、樹脂成型品などの表面に抗
菌性の被膜や塗膜を形成する方法も開示されている。抗
菌性の被膜や塗膜を形成する場合には、前述の抗菌性粉
末を練り込んだ樹脂製品に比べて、コスト的に有利であ
り、しかも一般に被膜や塗膜はその厚みが薄いため着色
の問題も少ないと予想される。例えば、特開昭60−2
02162号には、銀、銅及び亜鉛イオンを含有した抗
菌性ゼオライト系固体粒子を含有してなる防腐、防かび
性の塗料組成物が開示されている。特開平5−1175
85号には、有機酸銅、もしくは、有機酸銀を含有した
ポリウレタン系の抗菌性樹脂塗料が開示されている。特
開平6−107972号には、紫外線硬化塗料の中に、
抗菌、抗かび性の無機質ゲルに銀イオンを含有した表面
積の大きい微粒子を混合した抗菌性塗料組成物が開示さ
れている。特開平6−264008号には、アルコキシ
シランの加水分解物と、抗菌性を有する銀の塩よりなる
防藻性透明塗膜形成用塗布液組成物が開示されている。
また、我々は、特定の金属錯体よりなる抗菌剤を用いた
抗菌性塗料組成物や抗菌性被膜用組成物を既に提案し
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの抗菌性の被膜
や塗膜を形成する方法では、樹脂成型品の内部にまで抗
菌剤を練り込まないので高価な抗菌剤の使用量が減らせ
るという利点があるが、以下に述べるような問題点が残
されている。
【0006】つまり、銀イオンは一般に光、特に紫外線
や水分、酸、アルカリ等に対して不安定であるため、抗
菌性被膜用組成物や抗菌性塗料用組成物の保存安定性に
問題があった。抗菌剤を添加した被膜用組成物や塗料用
組成物は、時間の経過と共に銀イオンが酸化や還元を受
けて、銀や酸化銀のコロイドが生成し、該組成物が着色
することが多い。このような銀や酸化銀のコロイドが生
成した抗菌性被膜用組成物や抗菌性塗料用組成物は、均
一な被膜や塗膜を形成できたとしても抗菌性能が低下し
たり、場合によっては、該組成物が相分離を起こし、均
一な被膜や塗膜を形成できなくなったりする場合があっ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく鋭意検討した結果、抗菌剤成分を被膜用
組成物の他の成分と別包装とすることによって、常に優
れた抗菌性を発揮することのできる抗菌性被膜用組成物
が得られることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、銀イオン、銅イオン及び
亜鉛イオンからなる金属イオンの少なくとも一種を放出
する抗菌剤及び重合性単量体を主成分とする抗菌性被膜
用組成物において、抗菌剤を被膜用組成物の他の成分と
別包装とすることを特徴とする抗菌性被膜用組成物であ
る。他の発明は、銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンか
らなる金属イオンの少なくとも一種を放出する抗菌剤及
びビヒクルを主成分とする抗菌性塗料用組成物におい
て、抗菌剤とビヒクルを別包装とすることを特徴とする
抗菌性塗料用組成物である。
【0009】本発明で用いられる抗菌剤は、銀イオン、
銅イオン及び亜鉛イオンからなる金属イオンの少なくと
も一種を放出する抗菌剤であれば特に制限されない。具
体的には、銀、銅及び亜鉛イオンを含有した抗菌性ゼオ
ライト、無機質ゲルに銀イオンを担持させた微粒子、溶
解性の銀含有ガラス、銀イオンを含んだリン酸ジルコニ
ウムなどの無機イオン交換体等の公知の抗菌剤の他に、
銀、銅及び亜鉛の金属塩や特開平6−92808号に記
載されているような金属錯体等が挙げられる。しかしな
がら、本発明の抗菌性被膜用組成物や抗菌性塗料用組成
物は液体であるため、用いる抗菌剤も液体である方が、
混合、分散が素早く容易である点において適している。
抗菌性ゼオライトなどの無機粉末を抗菌剤に用いた場合
には、抗菌性被膜用組成物や抗菌性塗料用組成物中で該
無機粉末が沈降したり、凝集したりするという問題があ
る。また、該組成物を用いて作製した抗菌性の被膜や塗
膜の透明性や滑択性に劣るという問題もある。これに対
して、銀、銅及び亜鉛の金属塩はアルコールなどの溶媒
に溶解させることによって液体として利用でき、また、
金属錯体の多くは液体であったり、アルコールなどの溶
媒に溶解し易いため適している。
【0010】さらに具体的に本発明で用いられる抗菌剤
について説明する。
【0011】まず、抗菌剤として用いる銀、銅及び亜鉛
の金属塩としては、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀等の銀
塩、塩化第一銅、塩化第二銅、硝酸銅、酢酸銅、過塩素
酸銅、硫酸銅等の銅塩、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜
鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛塩等が例示でき
る。これらの金属塩はそれ自身は固体であるが、エタノ
ールやイソプロパノールなどのアルコール類、ジエチル
エーテルなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、
さらに水等の溶媒に溶解させることによって、液体の抗
菌剤として用いることができる。
【0012】次に、抗菌剤として用いる金属錯体として
は、公知の銀、銅又は亜鉛金属の金属錯体が制限なく用
いることができる。金属錯体は、一般に金属配位基を有
する配位子が金属塩に配位して存在する。
【0013】金属配位基の好適な代表例として、H2
−、CH3N(H)−、2−ピリジル基、2−ピロリル
基、2−キノリル基、イミダゾイル基、HSー、CH3
Sー、2ーチエニル基、HOOCー等の単座配位子とな
りうるもの;H2N(CH22NH−、H2N(CH23
NH−、4−(2、2’−ビピリジル)基、5−(1、
10−フェナントロリル)基、HS(CH22Sー、5
(8ーヒドロキシキノリル)基等の二座配位可能なも
の;H2N(CH22NH(CH22NH−等の三座配
位可能なもの等を示すことができる。
【0014】このうち、取扱操作性などを考慮すると、
2N−、H2N(CH2)NH−、H2N(CH22NH
(CH22NH−、ピリジル基、2−キノリル基、イミ
ダゾイル基等が特に好ましい。
【0015】上記金属配位基を分子内に有した配位子を
具体的に例示すると、ピリジン、2ービニルピリジン、
4ービニルピリジン、2ーピリジルメタノール、2ーピ
リジンカルボン酸、イミダゾール、1ービニルイミダゾ
ール、4、5ーイミダゾールジカルボン酸、キノリン、
6ーキノリンカルボン酸、キノキサリン、エチレンジア
ミン、N、Nージエチルエチレンジアミン、パラーフェ
ニレンジアミン、2、2’ービピリジン、ジエチレント
リアミン等が挙げられる。
【0016】ところで、本発明の抗菌性被膜用組成物に
おいては、抗菌剤として用いる金属錯体の配位子は、前
記の金属配位基と共に分子内にアルコキシシリル基や重
合性不飽基などの重合反応性基を有していても良い。
【0017】例えば、重合反応性基がアルコキシシリル
基の場合を具体的に例示すれば、トリメトキシシリル
基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル
基、ジメチルメトキシシリル基、エチルジメトキシシリ
ル基、ジエチルメトキシシリル基、メチルジエトキシシ
リル基、ジメチルエトキシシリル基、エチルジエトキシ
シリル基、ジエチルエトキシシリル基等が挙げられる。
このうち好適なものを例示すれば、トリメトキシシリル
基とトリエトキシシリル基である。重合反応性基が重合
性不飽基の場合を具体的に例示すれば、ビニル基、アリ
ル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。
【0018】重合反応性基としてアルコキシシリル基を
あわせもつ配位子の代表例を具体的に挙げれば、2−
(トリメトキシシリル)エチル−2−ピリジン(以下、
TMSEPYDという)、N−[3−(トリエトキシシ
リル)プロピル]−4、5−ジヒドロイミダゾール(以
下、TESPIMDという)、H2N(CH23Si
(OCH33、H2N(CH22NH(CH23Si
(OCH33(以下、TMSPEDAという)、H2
(CH22NH(CH22NH(CH23Si(OCH
33(以下、TMSPDETAという)、H2N(C
23Si(OC253、H2N(CH22NH(CH
23Si(OC253、H2N(CH22NH(C
22NH(CH23Si(OC253、H2N(CH
23Si(CH3)(OC252、H2N(CH22
H(CH23Si(CH3)(OC252、H2N(C
22NH(CH22NH(CH23Si(CH3
2(OC25)等がある。このうち、TMSEPYD、
TESPIMD、TMSPDETA、TMSPEDA等
が好ましく採用される。
【0019】重合反応性基として重合性不飽和基をあわ
せもつ配位子の代表例を具体的に挙げれば、2−ビニル
ピリジン(以下、2VPYという)、4−ビニルピリジ
ン(以下、4VPYという)、2ービニルキノリン、1
−ビニルイミダゾール(以下、1VIMDという)、ア
リルアミン(以下、ALAという)、アリル尿素、アク
リルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メ
タクリル酸アミド等がある。
【0020】金属錯体が配位する金属塩としては、硝酸
銀、酢酸銀、過塩素酸銀等の銀塩、塩化第一銅、塩化第
二銅、硝酸銅、酢酸銅、過塩素酸銅、硫酸銅等の銅塩、
塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜
鉛等の亜鉛塩等が例示できる。
【0021】具体的に金属錯体を例示すると、[Ag
(TMSEPYD)2]NO3、[Ag(TMSPIM
D)2]NO3、[Ag(TMSPDETA)2]NO3
[Ag(TMSPEDA)2]NO3、[Ag(2VP
Y)2]NO3、[Ag(4VPY)2]NO3、[Ag
(1VIMD)2]NO3、[Ag(ALA)2]NO3
の銀錯体、[Cu(TMSPDETA)2]Cl2、[C
u(TMSPEDA)2]Cl等の銅錯体、[Zn
(TMSPEDA)]Cl2等の亜鉛錯体が例示でき
る。
【0022】上述のように、金属錯体が重合性不飽和基
を有することによって、抗菌性被膜中の主成分である重
合性単量体と共重合もしくは反応によって結合するた
め、該被膜中に化学的に固定され、該被膜は、持続性の
高い抗菌性を示す。また、重合性単量体を主成分とする
被膜成分と金属錯体の相溶性が高いため、該金属錯体は
該抗菌性被膜中に分子オーダーで均一に分散するので、
金属錯体の濃度が高い場合でも変色し難く、耐候性も優
れるという特徴がある。
【0023】本発明の重合性単量体を主成分とする抗菌
性被膜用組成物においては、重合性単量体としてオルガ
ノアルコキシシラン化合物を、あるいは重合性単量体と
して重合性不飽和化合物を例示できる。
【0024】重合性単量体がオルガノアルコキシシラン
化合物である場合、その具体的化合物としては、メチル
トリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン等のジアルコキシシラン誘導体
やトリアルコキシシラン誘導体、テトラエトキシシラン
やテトラメトキシシランなどのテトラアルコキシシラン
化合物、さらに、両末端にアルコキシシラン誘導体を有
するジシラン誘導体などが例示される。これらは、コロ
イダルシリカ、酸等の触媒、エタノールやイソプロパノ
ール等の溶媒等と混合されて、一般に、ポリカーボネー
トやアクリル等の樹脂のハードコート剤として市販され
ている。これらハードコート剤は、基材の上に薄くコー
ティングして100℃前後で加熱することによって、ア
ルコキシシリル基を持った重合性単量体が加水分解と脱
水縮合反応を起こし硬化するものである。具体的に商品
名を例示すれば、TS−56H(トクヤマ製)、NSC
−2705(日本精化製)等を挙げることができる。
【0025】また、重合性単量体が重合性不飽和化合物
である場合、その具体的化合物としては、ポリエステル
アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリ
レート、シリコンアクリレート等のアクリル系のポリマ
−やオリゴマー、および、メチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート等の単官能アクリレートや多
官能アクリレート、さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、酢酸アリル、スチレン、クロロメチルスチレン
等が例示される。これらは、重合開始剤や場合によって
はアルコール等の溶媒と混合されて、一般に、紫外線や
熱によって硬化する塗料やハードーコート剤として市販
されている。具体的に商品名を例示すれば、サナスコー
トUS−40H(サン・アロー化学製)、フジハードH
O9257U(藤倉化成製)、ユニディック17−80
6(大日本インキ化学製)、セイカビームPHC X−
8(大日精化工業製)等を挙げることができる。
【0026】なお、上述のような重合性単量体がオルガ
ノアルコキシシラン化合物や重合性不飽和化合物の他に
も、エポキシ基と酸無水物またはエポキシ基とアミノ基
やアミド基をそれぞれ持った分子同士が反応する、いわ
ゆるエポキシ樹脂やイソシアネート基とアルコール基が
反応する、いわゆるウレタン樹脂など公知の被膜用組成
物なども挙げることができる。
【0027】抗菌性塗料用組成物においてその主成分で
あるビヒクルは、塗膜形成主要素、塗膜形成副要素、並
びに塗膜形成助要素より構成され、その種類は油性又は
水性いずれであっても良い。
【0028】塗膜形成主要素は、特に制限はなく、天然
植物油、天然樹脂、合成樹脂などの公知の塗膜形成主要
素が用いられる。代表的な塗膜形成主要素として、亜麻
仁油、えの油、しなきり油、大豆油などの油脂、セラッ
クやロジン等の天然樹脂、エステルガム、硬化ロジン、
脱色セラック等の天然樹脂加工品、ニトロセルロース、
エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース等のセルロー
ス、フッソ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系
樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホ
ン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン
樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート
樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ABS樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム系樹脂、ウレ
タン樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、水
溶性樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、エチルシリケー
ト及びポリスチレン樹脂などの合成樹脂、ポリウレタン
硬化剤、エポキシ硬化剤、芳香族ポリアミンの等の硬化
剤、グリシジンエステル、メタクリル酸グリシジル、ス
チレン等の架橋剤等を挙げることができる。
【0029】塗膜形成副要素は、塗膜の形成を助け、性
能向上を図る目的で用いられるもので、可塑剤、乾燥
剤、効果剤、分散剤、皮張り防止剤、増粘剤、平滑剤、
たれ防止剤、難燃剤、つや消し剤、界面活性剤、紫外線
吸収剤などであり、これら公知の塗膜形成副要素を目的
に応じて取捨選択して用いることができる。
【0030】更に必要に応じて顔料・染料も使用するこ
とができる。顔料には、例えば、チタン白、亜鉛華、鉛
白、等の白色顔料、カーボンブラック、鉄黒、銅・クロ
ム系ブラック等の黒顔料、べんがら、モリブデートオレ
ンジ、不溶性アゾ顔料等の赤色系顔料、黄鉛、黄色酸化
鉄、チタンイエロー等の黄色顔料、クロムグリーン、コ
バルトグリーン、塩素化フタロシアニングリーン等の緑
色顔料、群青、紺青、コバルトブルー等の青色顔料、コ
バルトバイオレット、マンガンバイオレット、ジオキサ
ンジンバイオレット等の紫色顔料、亜鉛末、亜酸化鉛、
ストロンチウムクロメート等の防錆顔料、塗料用アルミ
ニウム顔料、ブロンズ粉顔料、ニッケル粉等金属粉顔
料、カオリン、クレー、けい藻土、タルク、硅砂、石英
粉、重炭酸カルシウム、ウオラストナイト等の体質顔
料、蛍光顔料、ガラスビーズ、真珠光沢顔料、白雲母、
硅酸アルミニウム等がある。また、染料には塩基性染
料、直接染料、酸性染料、含金属錯塩染料等がある。
【0031】塗膜形成助要素は、溶剤や希釈剤等の揮発
成分であり、親油性有機溶媒、親水性有機溶媒、水など
公知の塗膜形成助要素を限定なく用いることができる。
【0032】本発明の抗菌性塗料用組成物において、上
記塗膜形成主要素、塗膜形成副要素及び塗膜形成助要素
の構成成分の配合は、目的に応じて任意に変えることが
できる。また、本発明の抗菌性塗料用組成物の形態には
特に制限はなく、溶液型、エマルジョン型及び粉体型い
ずれでも良い。更に、本発明の塗料は如何なる機構によ
り硬化するタイプでもよく、具体的には酸化重合型、湿
気硬化型、触媒硬化型及びポリオール硬化型などがあ
る。
【0033】抗菌性被膜用組成物及び抗菌性塗料用組成
物において、抗菌剤の含有量は、抗菌性を発揮する範囲
内であれば、特に限定されるものではなく、経済性、環
境への汚染などを勘案して適宜決定することができる。
抗菌性被膜及び抗菌性塗膜中の金属イオンの濃度は、高
ければ高いほど抗菌性能も高くなるが、抗菌性被膜や塗
膜が着色し易くなる傾向も見られる。また、経済性、環
境への配慮等を勘案すると金属イオンの濃度はなるべく
低く抑えた方が良い。したがって、抗菌性被膜用組成物
及び抗菌性塗料用組成物の固形分中に占める金属イオン
の濃度は、金属換算した重量比で10〜5000ppm
の範囲、好ましくは50〜1000ppm、さらに好ま
しくは100〜500ppmの範囲が特に好ましい。
【0034】金属イオンとしては、銀イオン、銅イオン
及び亜鉛イオンの少なくとも一種類が含まれていれば抗
菌性は発揮される。しかしながら、3種類の金属イオン
のうち銀イオンが最も高い抗菌性を示すため、銀イオン
の占める割合は80%以上、さらに好ましくは90%以
上であることが望ましい。
【0035】ところで、本発明の抗菌性被膜用組成物に
おいては、抗菌剤と被膜用組成物の他の成分とを、ま
た、抗菌性塗料用組成物においては、抗菌剤とビヒクル
とを別包装とすることが必要である。
【0036】銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンは、一
般に、紫外線等の光、水分、酸やアルカリ、酸化剤や還
元剤及び温度履歴等に対して必ずしも安定であるとは言
えない。そのため、抗菌剤を添加した後の被膜用組成物
や塗料用組成物の保存安定性には問題がある。すなわ
ち、抗菌剤を添加した被膜用組成物や塗料用組成物は、
時間の経過と共に銀イオンが酸化や還元を受けて、銀や
酸化銀のコロイドが生成し、該組成物が着色することが
多い。このような銀や酸化銀のコロイドが生成した抗菌
性被膜用組成物や抗菌性塗料組成物は、たとえ均一な被
膜や塗膜を形成できたとしても該被膜の抗菌性能が低下
したり、着色する場合がある。また、場合によっては、
該組成物が相分離を起こし、均一な被膜や塗膜を形成で
きなくなってしまう場合もある。そこで、抗菌性被膜用
組成物においては、抗菌剤と被膜用組成物の他の成分と
を、また、抗菌性塗料用組成物においては、抗菌剤とビ
ヒクルとを別包装とすることによって、上記問題点が解
決できる。つまり、抗菌性被膜や抗菌性塗膜を形成する
直前に、抗菌剤と他の成分とを混合することによって、
抗菌性被膜や抗菌性塗膜の性能を常に一定に保つことが
できる。
【0037】抗菌性被膜用組成物及び抗菌性塗料用組成
物の可使時間は、それぞれの組成物に含まれる成分にも
よるため一概には言えないが、数時間から数週間であ
る。特に、抗菌性被膜用組成物の重合性単量体がオルガ
ノアルコキシシラン化合物である場合、2時間から12
時間程度と可使時間は短い。該組成物には、水や触媒と
して酸を含んでいるため、銀イオンのコロイド化が速い
ものと考えられる。また、抗菌性被膜用組成物の重合性
単量体が重合性不飽和化合物の一種であるアクリル系の
紫外線硬化型ハードコート剤などでも、可使時間が2時
間から12時間程度と短いものもある。このように可使
時間が短い理由は、酸化能や還元能を有したモノマーや
オリゴマーあるいはその他の添加剤を含有しているため
ではないかと予想される。一方、抗菌性塗料用組成物に
おいても、可使時間が短いものがある。特に、エマルジ
ョン系塗料と呼ばれている、樹脂のエマルジョンを水に
分散させた系統の塗料では一般に可使時間が短い。
【0038】上記のように可使時間の短い被膜用組成物
や塗料用組成物においては、抗菌剤を被膜用組成物や塗
料用組成物に混合した後、可使時間以内に被膜や塗膜を
形成すれば良い。
【0039】こうして調製された本発明の抗菌性被膜用
組成物及び抗菌性塗料用組成物は、そのまま、もしくは
溶剤で粘度調整した後、スプレー塗装、ディップコー
ト、ローラー塗装、刷毛塗り、スピンコート等により、
被塗物体に塗装し、必要に応じて、乾燥、紫外線硬化、
熱硬化、湿気による硬化等の硬化手段により抗菌性被膜
を形成して用いられる。
【0040】また、スプレー塗装等においては、抗菌剤
を含む液体と被膜用組成物または塗料用組成物を含む液
体とを、それぞれ別々にスプレーノズルの直前まで導
き、それぞれが一定の比率で混合されるように調節しな
がら、両液を混合しながらスプレーするという方法も好
適に採用される。
【0041】本発明の抗菌性被膜用組成物及び抗菌性塗
料用組成物を用いて形成した抗菌性被膜や抗菌性塗膜の
厚みは、厚くても良いが、経済性等を勘案すると0.1
〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好
ましくは1〜20μmの範囲が好適である。
【0042】本発明の抗菌性被膜用組成物及び抗菌性塗
料用組成物は、構成成分の一方の被膜用組成物や塗料用
組成物に透明なものを採用し、もう一方の抗菌剤に液体
で分散性の良いものを採用すれば、透明な抗菌性被膜や
塗膜を得ることができる。
【0043】本発明の抗菌性被膜用組成物及び抗菌性塗
料用組成物は、抗菌性を必要とする種々の分野で利用す
ることができ、その被膜や塗膜を形成する対象物及び用
途は限定されない。具体的な対象物としては、プラスチ
ック、紙、布、金属、木材、ガラス、セラミックス、セ
メント等が挙げられる。用途の例としては、病院、学
校、一般住宅、食品工場、倉庫などの内外装用塗料、浴
室、トイレまたは台所の壁、天井、床等の防かびを主な
目的とする塗装、抗菌防かび性を付与したプラスチック
製品、家具等の木製品、飲料缶、パイプ等の金属製品等
の防菌防かび用被膜等がある。
【0044】プラスチック製品や木製品、金属製品等多
くのものは着色や保護コーティングの目的で塗装をする
場合があるが、本発明の抗菌性被膜や塗膜は最終製品の
最表面に該被膜や塗膜を形成することによって、抗菌性
の効果を最も発揮することができる。なお、従来よりプ
ラスチックの表面硬度の向上や木材の保護コーティング
等の目的で、製品の最表面に被膜や塗膜を形成させる場
合があるが、このような場合には、該被膜や塗膜を本発
明の抗菌性被膜用組成物や抗菌性塗料用組成物で行うこ
とによって、抗菌性という新たな機能を付加できる。つ
まり、本発明の抗菌性被膜及び塗膜は、従来公知公用と
なっている被膜用組成物や塗料用組成物の本来の目的を
損なうことなく、抗菌性という新たな機能を付加する技
術であると言える。
【0045】本発明の抗菌性被膜用組成物及び抗菌性塗
料用組成物の抗菌性の評価は、公知の方法で行うことが
できる。例えば、繊維製品衛生加工協議会の抗菌防臭加
工評価試験法である菌数測定法やシェークフラスコ法、
日本防菌防黴学会の抗菌加工を施した繊維製品の細菌生
育抑制試験法、アメリカのAATCC Test Me
thodのAgar Plate Method及び織
物の抗菌加工の評価方法、JISの黴抵抗性試験方法
(JIS Z 2911)、防黴効力試験方法等があ
る。
【0046】
【発明の効果】銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンは、
一般に、紫外線等の光、水分、酸やアルカリ、酸化剤や
還元剤及び温度履歴等に対して不安定であるため、抗菌
剤を添加した後の被膜用組成物や塗料組成物の保存安定
性には問題があり、時間の経過と共に銀イオンが酸化や
還元を受けて、銀や酸化銀のコロイドが生成し、該被膜
の抗菌性能が低下したり、場合によっては、該組成物が
相分離を起こし、均一な被膜や塗膜を形成できなくなっ
てしまう場合もある。
【0047】そこで、抗菌性被膜用組成物においては、
抗菌剤と被膜用組成物の他の成分とを、また、抗菌性塗
料用組成物においては、抗菌剤とビヒクルとを別包装と
することによって、上記問題点が解決できる。つまり、
抗菌性被膜や抗菌性塗膜を形成する直前に、抗菌剤と他
の成分とを混合することによって、抗菌性被膜や抗菌性
塗膜の膜形成を安定的に行なうことができると共に、抗
菌性被膜や抗菌性塗膜の性能を常に一定に保つことがで
きる。
【0048】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例により制限されるもの
ではない。
【0049】1.試料作製 本発明の抗菌性被膜用組成物または抗菌性塗料用組成物
を約50×50mmのポリカーボネート板やアクリル板
にディップコート、バーコーターまたはスプレーで塗布
し、各々の硬化条件に合わせて被膜や塗膜を作製し、試
料とした。また、同様にして抗菌剤を添加しない被膜や
塗膜も作製し、比較用試料とした。被膜及び塗膜の厚さ
は表面粗さ計を用いて測定した。
【0050】2.抗菌性試験 普通ブイヨン培地で35℃で16時間振盪培養した試験
菌の培養液をリン酸緩衝液で20000倍に希釈し、試
験菌液とした。菌種は特に断わらない限りは大腸菌を用
いた。次に、シャーレの中に置いた試料の表面に、上記
の菌液1mlを約50個の液滴にして等間隔に滴下し
た。シャーレに蓋をして、25℃で24時間保存した。
保存後の試料を取りだし、9mlの液体培地で洗いだ
し、その洗いだし液中の生菌数を寒天培地を用いた混釈
平板培養法により測定した。生菌数は試料当りに換算し
た。
【0051】3.透明性の評価 本発明の被膜や塗膜の透過率(波長589nm)を分光
光度計を用いて測定し、透明性を評価した。
【0052】実施例1 先ず、抗菌剤として用いる銀錯体を次のようにして合成
した。
【0053】ドライボックス中で、硝酸銀35.68g
を2−(トリメトキシシリル)エチル−2−ピリジン
(以下、TMSEPYDと略す)95.48gに加え
て、3時間攪拌したところ、均一な淡黄色溶液が得られ
た。この淡黄色溶液は、ICP分析(誘導結合プラズマ
発光分光分析装置、SPS1200A、セイコー電子工
業製)及びCHN元素分析の結果より、[Ag(TMS
EPYD)2]NO3から予想される元素分析の値に一致
した。即ち、それぞれの値は、Ag;17.2%(理論
値17.27%)、Si;9.0%(理論値8.99
%)、C;38.34%(理論値38.46%)、H;
5.55%(理論値5.49%)N;6.76%(理論
値6.73%)であった。
【0054】更に、この化合物の13C−NMRスペクト
ルの各ピークの位置を示すケミカルシフトは、銀イオン
に配位していないTMSEPYDのそれらに比べて、表
1のようにシフトしていた。表1で各ピークの位置を示
すケミカルシフトは、測定試料の溶媒に用いた(C
32COのケミカルシフト(ロングレンジ多重線)で
ある206.5ppmを基準として求めた。
【0055】
【表1】
【0056】以上の分析結果より、得られた化合物は、
ピリジン環中の窒素が銀イオンに配位し、[Ag(TM
SEPYD)2]NO3の化学構造を有する銀錯体である
ことがわかった。
【0057】ついで、次のようにして抗菌性被膜用組成
物を調製した。まず、表2に示す被膜用組成物を調製
し、固形分濃度が30%になるように溶媒のイソプロパ
ノールで希釈し、次いで上記組成のアルコキシシリル基
の加水分解に必要な当量の0.05規定の塩酸水溶液を
室温で添加して、1日放置熟成した後、硬化触媒とし
て、酢酸ナトリウム/酢酸(1/10重量比)を換算量
に対して2重量%加えて調整した。なお、コロイダルシ
リカは、触媒化成製のOSCAL(商品名、シリカ含有
量30重量%、粒径10〜20μm、溶媒イソプロパノ
ール)を使用した。次に、上記被膜用組成物の固形分に
対して、銀の濃度が300ppmになるように[Ag
(TMSEPYD)2]NO3を加え、抗菌性被膜用組成
物を調製した。
【0058】
【表2】
【0059】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアリルジグリコールカーボネート板にディッ
プコートし、120℃で3時間硬化させることにより抗
菌性被膜を形成した試料を作製した。この時の膜厚は約
2μmであった。
【0060】上記抗菌性被膜の評価結果を表4に示す。
【0061】比較例1 抗菌剤として用いる銀錯体を全く添加しないで実施例1
と同様に被膜を作製した。結果を表4に示す。
【0062】比較例2 実施例1と同様にして、抗菌性被膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから10時間後には黄変し、
24時間後には茶褐色に変色し、一部相分離が認められ
た。10時間後の組成物を用いて実施例1と同様にして
抗菌性被膜を形成した試料を作製し、評価した。評価結
果を表4に示す。なお、24時間後の組成物では、もは
や満足な抗菌性被膜を形成することはできなかった。
【0063】実施例2 重合性単量体がオルガノアルコキシシラン化合物である
透明被膜用組成物として、市販のプラスチックレンズ用
ハードコート液(トクヤマ製、製品名;TS−56H。
固形分濃度23%)を用い、該ハードコート液に、抗菌
剤としてイソプロパノールに溶解させた硝酸銀を加えて
良く混合し、抗菌性被膜用組成物を調製した。該組成物
は均一な溶液となった。なお、該組成物中の全固形分に
対する銀の濃度は300ppmであった。
【0064】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアリルジグリコールカーボネート板にディッ
プコートし、120℃で3時間硬化させることにより抗
菌性被膜を形成した試料を作製した。この時の膜厚は約
4μmであった。
【0065】上記抗菌性被膜の評価結果を表4に示す。
【0066】比較例3 抗菌剤としての硝酸銀を全く添加しないで実施例2と同
様に被膜を作製した。結果を表4に示す。
【0067】比較例4 実施例2と同様にして、抗菌性被膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから10時間後には黄変し、
24時間後には茶褐色に変色し、一部相分離が認められ
た。10時間後の組成物を用いて実施例2と同様にして
抗菌性被膜を形成した試料を作製し、評価した。評価結
果を表4に示す。なお、24時間後の組成物では、もは
や満足な抗菌性被膜を形成することはできなかった。
【0068】実施例3 先ず、抗菌剤として用いる銀錯体を次のようにして合成
した。
【0069】ドライボックス中で、硝酸銀17gを2−
ビニルピリジン(以下、2VPYと略す)21gに加え
て、3時間攪拌したところ、粘性があり均一な淡黄色溶
液を得た。
【0070】分析の結果、得られた化合物は、ピリジン
環中の窒素が銀イオンに配位し、[Ag(2VP
Y)2]NO3の化学構造を有する銀錯体であることがわ
かった。
【0071】ついで、次のようにして抗菌性被膜用組成
物を調製した。まず、表3に示す組成からなる被膜用組
成物を調製し、さらに、光重合開始剤として、1−ヒド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトンを3重量%添加し
た。固形分濃度が40%になるように溶媒のイソプロパ
ノールで希釈した。次に、上記被膜用組成物の固形分に
対して、銀の濃度が300ppmになるように[Ag
(2VPY)2]NO3を加え、抗菌性被膜用組成物を調
製した。
【0072】
【表3】
【0073】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアクリル板にバーコーターを用いて塗布し、
キセノンランプを光源とした紫外線照射装置を用いて2
分間紫外線を照射し、塗布膜を硬化させることにより抗
菌性被膜を形成した試料を作製した。この時の膜厚は約
4μmであった。
【0074】上記抗菌性被膜の評価結果を表4に示す。
【0075】比較例5 抗菌剤として用いる銀錯体を全く添加しないで実施例3
と同様に被膜を作製した。結果を表4に示す。
【0076】比較例6 実施例3と同様にして、抗菌性被膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから24時間後ではやや黄変
が認められた程度であった。3週間後には一部茶褐色の
微粒子が容器の側面や低部に認められた。3週間後の組
成物を用いて実施例3と同様にして抗菌性被膜を形成し
た試料を作製し、評価した。評価結果を表4に示す。
【0077】実施例4 重合性単量体が重合性不飽和化合物である透明被膜用組
成物として、市販のプラスチック用保護コート液(サン
アロー化学製、商品名;サナスコートUS−40H。固
形分濃度40%)を用いた以外は実施例3と同様にして
抗菌性被膜用組成物を調製した。なお、該組成物中の全
固形分に対する銀の濃度は300ppmであった。該組
成物は均一な溶液となった。
【0078】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアクリル板にバーコーターを用いて塗布し、
キセノンランプを光源とした紫外線照射装置を用いて2
分間紫外線を照射し、塗布膜を硬化させることにより抗
菌性被膜を形成した試料を作製した。この時の膜厚は約
4μmであった。
【0079】上記抗菌性被膜の評価結果を表4に示す。
【0080】比較例7 抗菌剤として用いる銀錯体を全く添加しないで実施例4
と同様に被膜を作製した。結果を表4に示す。
【0081】比較例8 実施例4と同様にして、抗菌性被膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから2時間後にはやや黄変が
認められ、5時間後には茶褐色の沈殿が生成した。2時
間後の組成物を用いて実施例4と同様にして抗菌性被膜
を形成した試料を作製し、評価した。評価結果を表4に
示す。なお、5時間後の組成物では、もはや満足な抗菌
性被膜を形成することはできなかった。
【0082】実施例5 抗菌剤としてイソプロパノールに溶解させた硝酸銀を用
いた以外は実施例4と同様にして抗菌性被膜用組成物を
調製した。
【0083】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアクリル板にバーコーターを用いて塗布し、
キセノンランプを光源とした紫外線照射装置を用いて2
分間紫外線を照射し、塗布膜を硬化させることにより抗
菌性被膜を形成した試料を作製した。この時の膜厚は約
4μmであった。
【0084】上記抗菌性被膜の評価結果を表4に示す。
【0085】比較例9 実施例5と同様にして、抗菌性被膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから2時間後にはやや黄変が
認められ、5時間後には茶褐色の沈殿が生成した。2時
間後の組成物を用いて実施例4と同様にして抗菌性被膜
を形成した試料を作製し、評価した。評価結果を表4に
示す。なお、5時間後の組成物では、もはや満足な抗菌
性被膜を形成することはできなかった。
【0086】実施例6 抗菌剤としてイソプロパノールに溶解させた硝酸銀、硝
酸銅及び硝酸亜鉛(金属のモル比で、8:1:1)を用
いた以外は実施例4と同様にして抗菌性被膜用組成物を
調製した。
【0087】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアクリル板にバーコーターを用いて塗布し、
キセノンランプを光源とした紫外線照射装置を用いて2
分間紫外線を照射し、塗布膜を硬化させることにより抗
菌性被膜を形成した試料を作製した。この時の膜厚は約
4μmであった。
【0088】上記抗菌性被膜の評価結果を表4に示す。
【0089】比較例10 実施例6と同様にして、抗菌性被膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから2時間後にはやや黄変が
認められ、5時間後には茶褐色の沈殿が生成した。2時
間後の組成物を用いて実施例4と同様にして抗菌性被膜
を形成した試料を作製し、評価した。評価結果を表4に
示す。なお、5時間後の組成物では、もはや満足な抗菌
性被膜を形成することはできなかった。
【0090】実施例7 アクリル樹脂を主成分とする市販のスプレー塗料(商品
名;水性スプレー(クリヤー)、カンペハピオ製)を塗
膜用組成物として用いた。該組成物には、ビヒクルを構
成する塗膜形成主要素として合成樹脂(アクリル)を含
み、塗膜形成助要素として水、有機溶剤を含んだもので
ある。
【0091】該組成物に、抗菌剤としてイソプロパノー
ルに溶解させた硝酸銀を加えて良く混合し、抗菌性被膜
用組成物を調製した。該組成物は均一な溶液となった。
なお、該組成物中の全固形分に対する銀の濃度は300
ppmであった。
【0092】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアクリル板にスプレーを用いて塗布し、空気
中で一昼夜乾燥させ、抗菌性塗膜を形成した試料を作製
した。この時の膜厚は約7μmであった。
【0093】上記抗菌性塗膜の評価結果を表4に示す。
【0094】比較例11 抗菌剤を全く添加しないで実施例7と同様に塗膜を作製
した。結果を表4に示す。
【0095】比較例12 実施例7と同様にして、抗菌性塗膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから24時間後ではやや黄変
が認められた程度であった。1週間後には一部茶褐色の
微粒子が容器の側面や低部に認められた。1週間後の組
成物を用いて実施例7と同様にして抗菌性塗膜を形成し
た試料を作製し、評価した。評価結果を表4に示す。
【0096】実施例8 アクリル樹脂を主成分とする市販のスプレー塗料(商品
名;ヒットスプレー(クリヤー)、カンペハピオ製)を
塗料用組成物として用いた。該組成物には、ビヒクルを
構成する塗膜形成主要素として合成樹脂(アクリル)を
含み、塗膜形成助要素として有機溶媒を含んだものであ
る。
【0097】該組成物に、抗菌剤としてイソプロパノー
ルに溶解させた硝酸銀を加えて良く混合し、抗菌性被膜
用組成物を調製した。該組成物は均一な溶液となった。
なお、該組成物中の全固形分に対する銀の濃度は300
ppmであった。
【0098】上記抗菌性被膜用組成物を調製してから1
時間以内にアクリル板にスプレーを用いて塗布し、空気
中で一昼夜乾燥させ、抗菌性塗膜を形成した試料を作製
した。この時の膜厚は約5μmであった。
【0099】上記抗菌性塗膜の評価結果を表4に示す。
【0100】比較例13 抗菌剤を全く添加しないで実施例8と同様に塗膜を作製
した。結果を表4に示す。
【0101】比較例14 実施例8と同様にして、抗菌性塗膜用組成物を調製し
た。該組成物は、調製してから24時間後でも変化は認
められなかった。3週間後にはやや黄変が認められた。
3週間後の組成物を用いて実施例8と同様にして抗菌性
塗膜を形成した試料を作製し、評価した。評価結果を表
4に示す。
【0102】
【表4】
【0103】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンから
    なる金属イオンの少なくとも一種を放出する抗菌剤及び
    重合性単量体を主成分とする抗菌性被膜用組成物におい
    て、抗菌剤を被膜用組成物の他の成分と別包装とするこ
    とを特徴とする抗菌性被膜用組成物。
  2. 【請求項2】 銀イオン、銅イオン及び亜鉛イオンから
    なる金属イオンの少なくとも一種を放出する抗菌剤及び
    ビヒクルを主成分とする抗菌性塗料用組成物において、
    抗菌剤とビヒクルを別包装とすることを特徴とする抗菌
    性塗料用組成物。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005255792A (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Shinto Paint Co Ltd 塗料組成物
JP2009035621A (ja) * 2007-08-01 2009-02-19 Nobumasa Okuda シリコーン塗料組成物とその製造方法
CN102076745A (zh) * 2008-07-17 2011-05-25 W.L.戈尔有限公司 包含离子型含氟聚合物和抗微生物反荷离子的复合物的抗微生物涂层
CN104877411A (zh) * 2015-05-20 2015-09-02 苏州市贝克生物科技有限公司 一种医用防水杀菌涂料及其制备方法
JP2017137448A (ja) * 2016-02-05 2017-08-10 国立大学法人徳島大学 コーティング組成物

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