JPH08277465A - スパッタ電極およびその製造方法 - Google Patents

スパッタ電極およびその製造方法

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JPH08277465A
JPH08277465A JP8280595A JP8280595A JPH08277465A JP H08277465 A JPH08277465 A JP H08277465A JP 8280595 A JP8280595 A JP 8280595A JP 8280595 A JP8280595 A JP 8280595A JP H08277465 A JPH08277465 A JP H08277465A
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stainless steel
electrode
transition metal
layer
sputter
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JP8280595A
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Yutaka Ishiwatari
裕 石渡
Yuji Fujimoto
裕二 藤本
Mitsuharu Hagiwara
満晴 萩原
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷却水と接する部分を全て単一の材料で構成
し、耐食性に優れたものとすることにある。 【構成】 対向電極と対向配置され、当該対向電極との
間でグロー放電によって生成されるガスイオンの衝突に
よるスパッタリング作用によって前記対向電極上にスパ
ッタ金属の累積層を形成するスパッタ電極において、冷
却水43の循環部分を除いて両端を閉塞状態とする円筒
状のステンレス鋼部46を有し、このステンレス鋼部の
表面に遷移金属被覆層47を介して遷移金属マトリクス
48中に希土類金属粒子49を分散させた複合金属層5
0を設けたスパッタ電極である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不活性ガス固定化用のス
パッタ電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年,スパッタリング現象を応用した金
属被覆は、金属材料,セラミック材料および有機材料の
表面改質に幅広く利用されている。例えば金属材料表面
をCr,Al等の耐食性に優れた金属で被覆したり、セ
ラミック材料や有機材料の表面を金属で被膜することに
より、導電性の付与や金属材料との接合等に供されてい
る。
【0003】一方、スパッタリング現象を応用した新し
い試みとして、不活性ガスの固定化法が検討されてい
る。これは、He,Ne,Ar,Kr,Xe等の不活性
ガスが化学的に安定であって、他の元素と化合物を作ら
ないことから、固体や液体といった処理しやすい状態に
することが難しく、スパッタリング時に形成されるスパ
ッタリング被覆中に不活性ガスイオンを閉じ込めてしま
おうとする考えである。
【0004】図6はこの種のスパッタリング現象を用い
た従来の不活性ガス固定化装置を示す構成図である。
【0005】この固定化装置は、大別して不活性ガスを
固定化する密閉容器型の対向電極1と、この対向電極1
内に当該対向電極1と対向して設置されるスパッタ電極
2とで構成されている。この対向電極1は、一端が開口
する筒状体をなし、その開口側端部が絶縁体3および陽
極フランジ4の順で接合され、この陽極フランジ4の端
部が陽極蓋5で閉塞され、密閉構造の固定化容器1aを
構成している。前記スパッタ電極2は、対向電極1に対
向する周壁をもつ一端開口の筒状のスパッタ電極本体2
aと、このスパッタ電極本体2aの開口側を閉塞し溶接
止めする電極蓋6とから構成され、この電極蓋6からス
パッタ電極2内に冷却水を循環供給する冷却用二重管7
が設けられている。
【0006】前記対向電極1は当該電極1外部に設置さ
れる対向電極電源8に接続され、一方、スパッタ電極2
は絶縁材9を介して対向電極1の陽極蓋5と電気的に絶
縁され、同様に外部に設置されるスパッタ電源10に接
続されている。
【0007】そして、固定化容器1aの陽極蓋5には、
容器内部に不活性ガスを導入する供給管11および容器
内部を真空ポンプにより真空排気する排気管12が設け
られている。
【0008】なお、固定化容器1aの外表面には、スパ
ッタリング現象によって生ずる加熱を防止するための冷
却配管13が螺旋状またはリング状に密着して巻装され
ている。
【0009】このような構成の不活性ガス固定化装置に
おいては、スパッタ電源10からスパッタ電極2に1K
V以上の負電圧が印加され、一方、対向電極電源8から
も対向電極1に1KV以下の負電圧が印加され、不活性
ガスの固定化処理が行われる。すなわち、固定化容器1
a内のガス圧力と対向電極1およびスパッタ電極2に印
加される電圧とが所要の条件を満たしたとき、固定化容
器1a内の不活性ガスがイオン化することが知られてお
り、例えば固定化容器1aのガス圧力を10-1〜10-3
Torrに設定維持した状態で、対向電極1に1KV以下の
負電圧、またスパッタ電極2に1KV以上の負電圧を印
加すると、固定化容器1a内の不活性ガスはグロー放電
によってイオン化され、ガスイオンとなってスパッタ電
極2の方に電界加速され、スパッタ電極2の表面に衝突
する。このとき、スパッタ電極2からはスパッタ金属が
飛散され、対向する対向電極1側に飛んで対向電極1表
面に衝突し付着することにより、金属累積層14が形成
される。また、一部のガスイオンは対向電極1の方に直
接加速されて前記金属累積層14に注入される。
【0010】これによって、固定化容器1a内に導入さ
れる不活性ガスは、金属累積層14中に注入されて固定
化される。このような不活性ガスの固定化装置は、スパ
ッタ電極2が消耗、減肉され、対向電極1に不活性ガス
を注入した金属膜が累積されていく。そして、スパッタ
電極2が十分に消耗、減肉したとき、運転を終了する。
このようにスパッタリング現象を利用することにより、
化学的に安定な不活性ガスを固体状態で固定化すること
ができる。
【0011】ところで、スパッタ電極本体2aは、遷移
金属と希土類金属とを一定の割合で配合してなる構造と
することにより、効率良く不活性ガスの固定化を行える
ことが確認されている。そこで、本発明者らにおいて
は、粉末焼結プロセスによってスパッタ電極の表面に、
遷移金属マトリクス中に希土類金属粒子を均一に分散さ
せた複合金属層を設けることにより、注入効率が高く、
かつ、大形のスパッタ電極を低コストで製造できる方法
を既に提案している(特開平5−104346号)。
【0012】図7は熱間等方圧加圧法(HIP)を用い
た従来のスパッタ電極の製造方法である。
【0013】この製造方法は、同図(a)に示すように
ステンレス鋼製容器21の中央部分に遷移金属粉末22
を充填した後、その遷移金属粉末22の周囲に所定の割
合で混合した遷移金属粉末と希土類金属粒子との混合粉
末23を充填する(同図(b)参照)。このようにして
混合粉末23を充填したステンレス鋼製容器21は、真
空中で加熱することにより、脱ガス処理を行うととも
に、容器21の上部に上蓋24を被せて溶接することに
より、容器21の内部に遷移金属粉末22と混合粉末2
3とが真空封入される(同図(c)参照)。しかる後、
HIP装置内に真空封入後の容器25をセットし、加熱
および加圧処理によって焼結する(同図(d)参照)。
さらに、このHIP処理後、機械加工によって外側の容
器25を除去し、所定の寸法に仕上げることにより、同
図(e)に示すように中央部分を遷移金属単体26と
し、その単体26周囲に遷移金属マトリクス中に希土類
金属粒子を分散させてなる複合金属層27をもつスパッ
タ電極素材28が得られる。
【0014】図8は以上のような製造方法で得られるス
パッタ電極素材28を用いて製造したスパッタ電極2の
構成を模式的に表した図である。
【0015】このスパッタ電極2は、中央部分の遷移金
属単体部31に冷却用孔部を有するスパッタ電極本体2
aの上部開口部を電極蓋6で閉塞して溶接し、かつ、電
極蓋6を貫通し冷却用孔部に内挿するごとくステンレス
鋼製の冷却用二重管7を電極蓋6に溶接止めし、スパッ
タリングによって温度上昇する遷移マトリクス32中に
希土類金属粒子33を分散せしめた複合金属層34を冷
却する構造となっている。なお、スパッタ電極本体2a
の中央部分に遷移金属単体部31を設けた理由は、遷移
金属マトリクス32と希土類金属粒子33といった異な
った材料がスパッタ電極中央部分の冷却水35に接する
と、電気化学的な特性の違いから両者の間に電位差が生
じ、局部電池が形成され、希土類金属粒子33が選択的
に腐食するからである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図8に
示すスパッタ電極2は、その電極上部に電極蓋6が溶接
され、しかも当該電極蓋6がステンレス製の冷却用二重
管7と溶接されているので、電極蓋6としては、複合金
属層34と同じ材料である遷移金属で製作し、或いは冷
却用二重管7と同じ材料であるステンレス鋼で製作して
も、スパッタ電極2内部の冷却水35と接する部分には
遷移金属とステンレス鋼といった異材溶接部が形成さ
れ、その結果、遷移金属部31が選択的に腐食すること
がわかった。従って、遷移金属部31の選択的な腐食を
抑制するためには、異材溶接部をなくすことが有効であ
り、スパッタ電極2内側の遷移金属部31と電極蓋6と
を何れもステンレス鋼で製作することが考えられる。
【0017】このような観点から、スパッタ電極内部の
冷却水35と接する部分を全て異材溶接部の無いステン
レス鋼製にするためのスパッタ電極の構造およびその製
造方法としては、図7(a)に示すようなスパッタ電極
2の中央部に遷移金属粉末22を充填する代わりに、
(1)ステンレス鋼製のパイプもしくは丸棒を設置する
か、(2)遷移金属粉末部分にステンレス鋼の粉末を充
填し、その外側に混合粉末23を充填し焼結することに
より、ステンレス鋼部と一体化するか、(3)或いは円
筒形の複合金属層34と冷却用二重管7とを有するステ
ンレス部を別々に作り、溶接等によって接合することが
考えられる。
【0018】一方、発明者らの実験によれば、複合金属
層34を形成する遷移金属マトリクス32と希土類金属
粒子33との界面に反応層が生じる。この反応層は硬
く、脆い金属間化合物層であり、スパッタリング特性や
加工性を著しく低下させることがわかった。従って、こ
の金属間化合物の形成はできるだけ抑制する必要があ
る。
【0019】因みに、図9は、HIP装置を用いてNi
粉末(遷移金属)とY粒子(希土類金属)との混合粉末
を種々の温度で焼結した後、反応層(金属間化合物層)
の厚さと焼結体の相対密度(焼結体の密度/その材料の
真密度×100)の値を示す特性図である。この図から
反応層の厚さは、700°C付近から急激に増大する傾
向を示すことから、HIP処理によるNiとYとの混合
粉末の焼結温度としては700°C以下が好ましいこと
がわかる。
【0020】しかし、HIP処理温度が600°C以下
の場合には焼結が十分に起こらないために相対密度が低
く、焼結体の強度が低下する。ゆえに、焼結後の相対温
度は95%以上、できれば98%以上が好ましい。
【0021】以上の結果から、遷移金属粉末32と希土
類金属粉末33との混合粉末の焼結温度としては、60
0°C〜700°Cが適正と考えられる。
【0022】しかし、前述する(1)〜(3)により述
べたスパッタ電極内部の冷却水35と接する部分を全て
異材溶接部の無いステンレス鋼製にするためのスパッタ
電極の構造を用い、かつ、600°C〜700°Cとい
う低い複合金属層34の焼結温度としたとき、次のよう
な結果が得られた。
【0023】前記(1)の場合には複合金属層34は緻
密化するが、ステンレス鋼製のパイプと複合金属層とが
全く接合しなかった。
【0024】前記(2)の場合には複合金属層34は同
じく緻密化するが、遷移金属粉末に比べてステンレス鋼
粉末の焼結温度が著しく高いために、ステンレス鋼粉末
は全く焼結しなかった。
【0025】前記(3)の場合にはスパッタリングによ
り温度が上昇する複合金属層34の温度を冷却用二重管
7内を流れる水で効率良く冷却するためには、ステンレ
ス鋼製のパイプの外表面と複合金属層内表面とが全て面
で接触する必要があり、このような接合状態を溶接によ
り得ることは不可能である。従って、拡散接合やろう付
け等の接合方法を用いる必要があるが、何れも600°
C〜700°Cという接合温度では良好な接合面を得る
ことができなかった。
【0026】請求項1の発明は上記実情に鑑みてなされ
たもので、耐食性に優れたスパッタ電極を提供すること
を目的とする。
【0027】請求項3の発明は、複合金属層の支持の
他、スパッタ電極の交換およびメンテナンスに有効なス
パッタ電極を提供することを目的とする。
【0028】請求項4の発明は、耐食性に優れ、かつ、
ステンレス鋼部材と混合粉末で形成される複合金属層と
を良好なる接合状態とするスパッタ電極の製造方法を提
供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1および請求項2に対応する発明は、対向電
極と対向配置され、当該対向電極との間でグロー放電に
よって生成されるガスイオンの衝突によるスパッタリン
グ作用によって前記対向電極上にスパッタ金属の累積層
を形成するスパッタ電極において、冷却水の循環部分を
除いて両端を閉塞状態とする円筒状のステンレス鋼部を
有し、このステンレス鋼部の表面に遷移金属からなる母
相中に希土類金属粒子を分散させた複合金属層を設けた
スパッタ電極である。
【0030】なお、ステンレス鋼部は、上部の直径と下
部の直径とを同一のものとしてもよいが、また上部の直
径が下部の直径よりも小さくなるようにテーパー状に形
成してもよい。
【0031】次に、請求項3に対応する発明は、対向電
極と対向配置され、この対向電極との間でグロー放電に
よって生成されるガスイオンの衝突によるスパッタリン
グ作用によって前記対向電極上にスパッタ金属の累積層
を形成するスパッタ電極において、上部の直径が下部の
直径よりも小さくなるようにテーパー状に形成され、か
つ、冷却水の循環部分を除いて両端を閉塞状態とする円
筒状のステンレス鋼部を有し、このステンレス鋼部の表
面に、内側にテーパー状を有するステンレス鋼を介して
遷移金属からなる母相中に希土類金属粒子を分散させた
複合金属層を設けたスパッタ電極である。
【0032】さらに、請求項4ないし請求項7に対応す
る発明は、中央部にステンレス鋼部材を配置し、このス
テンレス鋼部材の周囲に遷移金属粉末と希土類金属粒子
との混合粉末を充填し、熱間静水加圧法またはホットプ
レス法による加圧焼結法により、前記ステンレス鋼部に
前記混合粉末を一体化するスパッタ電極の製造方法であ
る。
【0033】なお、ステンレス鋼部材は、その前処理と
して表面にNi,Cr,Cu等の遷移金属被覆層が形成
される。
【0034】また、熱間静水加圧法またはホットプレス
法による遷移金属粉末と希土類金属粒子との混合粉末の
焼結温度としては、600°C以上、700°C以下と
するものである。
【0035】さらに、表面に遷移金属被覆層を設けたス
テンレス鋼部材は、不活性ガス中もしくは真空雰囲気中
で600°C以上、かつ、1000°C以下の温度拡散
熱処理を行い、かつ、ステンレス鋼部材の表面に被覆す
る遷移金属被覆層の厚さは、10μm以上とするもので
ある。
【0036】
【作用】従って、請求項1および請求項2に対応する発
明は、以上のような手段を講じたことにより、中央部に
位置し、かつ、冷却水に接する部分を円筒状のステンレ
ス鋼部とし、その外側に遷移金属マトリクス中に希土類
金属粒子を分散せしめた複合金属層を設けているので、
冷却水と接する部分を全て単一の材料(ステンレス鋼)
で構成可能となり、従来のような異材溶接部に起因する
局部腐食の不具合を改善できる。
【0037】また、表面に遷移金属被覆層を設けたステ
ンレス鋼部の上部直径と下部直径とを同じ大きさにし、
スパッタリング作用を行ったとき、中央のステンレス鋼
部と複合金属層との間の接合部(遷移金属被覆層)で大
きな熱応力が作用し、接合部分の剥離によって複合金属
部の落下の可能性を考えておく必要があるが、ステンレ
ス鋼部の上部の直径を下部の直径よりも小さくすれば、
ステンレス鋼部に複合金属層が支持された状態となり、
接合部の剥離による複合金属層の脱落を確実に防止でき
る。
【0038】次に、請求項3に対応する発明は、上部の
直径が下部の直径よりも小さくなるようにテーパー状に
形成された円筒状のステンレス鋼部の表面に、内側にテ
ーパー状を有するステンレス鋼を介して遷移金属からな
る母相中に希土類金属粒子を分散させた複合金属層を設
けたので、ステンレス鋼部とその外側のステンレス鋼と
を接合する溶接施工およびその接合部分の非破壊検査が
容易であり、しかも内側電極となるステンレス鋼部に外
側電極となるステンレス鋼に形成される複合金属層がテ
ーパーを利用して確実に支持され、スパッタ電極の交換
時にも外側電極を交換するだけで済み、メンテナンス性
やコストの面で有利である。
【0039】さらに、請求項4ないし請求項7に対応す
る発明は、中央部に位置するステンレス鋼部材の表面に
前処理として遷移金属被覆層を設け、真空もしくは不活
性ガス雰囲気中で例えば600°C〜900°Cの拡散
熱処理を施すことにより、ステンレス鋼部材と遷移金属
被覆層の界面に拡散層が形成されるので、ステンレス鋼
部材の表面に被覆層を強固に接合でき、その結果、後工
程で行うHIP処理に際しても遷移金属被覆層の剥離が
ない良好な接合状態を得ることが可能である。さらに、
遷移金属被覆層を有するステンレス鋼部材の周囲に遷移
金属粉末と希土類金属粒子とからなる混合粉末を充填
し、600°C〜700°Cという低温でHIPにより
焼結することにより、スパッタリング特性や機械加工性
に大きな影響を及ぼす金属間化合物層の形成を抑制した
緻密な複合金属層が得られ、かつ、遷移金属どうしが同
温度でも良好に接合できることから、ステンレス鋼部材
の表面の遷移金属被覆層と複合金属層との結合も同時に
起こる。
【0040】この遷移金属被覆層と複合金属層との接合
は、HIP処理時の高圧(200MPa )の等方圧力によ
り複合金属層が遷移金属被覆層に押し付けられることか
ら、欠陥や剥離がなく、両者が面で接触する接合体とな
り、複合金属層の冷却効率の点でも優れている。
【0041】また、ステンレス鋼部材と遷移金属被覆層
の界面に形成される拡散層の厚さは拡散熱処理温度が高
く、処理時間が長いほど厚くなる傾向を示すが、拡散層
は比較的脆く、同時に結晶粒も成長するので、あまり厚
くなると強度が低下する。そこで、拡散熱処理温度とし
ては600°C〜900°Cとし、またその厚さとして
は50μm以下が好ましい。一方、このような拡散層が
成長し、複合金属層に達するとステンレス鋼部材の主要
成分である例えばCrが希土類金属粒子と反応し、脆い
金属間化合物を形成し、機械的特性やスパッタリング特
性に悪影響を及ぼす。従って、遷移金属被覆層の厚さは
拡散熱処理により生じる拡散層の厚さ以上が必要であ
り、その値は上記適正拡散熱処理条件から10μm以上
である。
【0042】一方、遷移金属被覆層の厚さが厚くなる
と、被覆コストが高くなるだけでなく、被覆に発生する
内部応力が増加するので、被覆工程中に遷移金属被覆層
が剥離する可能性が高くなるので、過度の厚膜化は好ま
しくなく、拡散層の2倍程度の厚さに制御することが好
ましい。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0044】先ず、本発明者らは、ステンレス鋼と遷移
金属との組合わせについて種々の条件の下に接合試験を
行ったところ、遷移金属がほぼ真密度まで緻密化し、か
つ、希土類金属と顕著なる反応層を形成しない、600
°C〜700°Cという温度ではステンレス鋼と遷移金
属とは全く接合しないが、遷移金属と遷移金属との組合
わせの場合に良好な接合状態となることを見出した。
【0045】図1はかかる試験結果を踏まえて実現され
た本発明に係わるスパッタ電極の一実施例を示す断面構
造図である。
【0046】このスパッタ電極は、一端部に開口部を形
成する筒状のスパッタ電極本体41と、このスパッタ電
極本体41の一端開口部を閉塞して気密に溶接固定する
電極蓋42と、この電極蓋42からスパッタ電極本体4
1内に冷却水43を循環供給する冷却用二重管44が貫
通されている。
【0047】前記スパッタ電極本体41は、中央部分に
位置し、かつ、一端部に開口部,つまり冷却用孔部45
が形成されたステンレス鋼部46を有し、このステンレ
ス鋼部46の外表面にはメッキ,CVD,PVD,溶射
等によって遷移金属被覆層47が設けられ、さらに遷移
金属被覆層47の外側には遷移金属粉末と希土類金属粒
子とからなる混合粉末を充填してHIP処理により焼結
することにより、遷移金属マトリクス48中に希土類金
属粒子49を分散混合してなる複合金属層50が形成さ
れている。
【0048】なお、この複合金属層50は、遷移金属被
覆層47を介してステンレス鋼部46に強固に結合され
ているが、その強固な接合状態を作り出した理由は、H
IP処理時にステンレス鋼部46からCr,Fe等のス
テンレス鋼の主要成分が遷移金属被覆層47に拡散され
て拡散層51を形成するととともに、残存する残留被覆
層52自体も焼結することにより緻密化し、接合強度が
強化されたためである。
【0049】従って、スパッタ電極本体41としては、
ステンレス鋼部46に遷移金属被覆層47を介して複合
金属層50が一体となり、そのうち遷移金属被覆層47
が、ステンレス鋼部46側には拡散層51、複合金属層
50側には緻密化された残留被覆層52をもつ二重構造
となっている。
【0050】そして、前記ステンレス鋼部46の上部に
は前述したようにステンレス鋼製の電極蓋42が溶接さ
れ、この電極蓋42を貫通する冷却用二重管44も当該
電極蓋42に溶接するので、冷却水43に接する部分が
全てステンレス鋼で形成され、異材溶接部の無い耐食性
に優れたスパッタ電極を作ることができる。
【0051】しかしながら、製作したスパッタ電極本体
41を切断し接合状態を調べてみると、ステンレス鋼部
46の遷移金属被覆層47との界面で部分的な剥離が見
受けられた。その原因を分析してみると、HIP処理に
よる複合粉末の焼結過程において、焼結により複合粉末
の体積が収縮するとともにHIP処理時の高い圧力によ
るステンレス製容器の変形により、遷移金属被覆層47
に大きな変形応力が作用し、ステンレス鋼部46と遷移
金属被覆層47との界面に拡散層51が形成される前に
被覆層47の剥離を生じるためであることが判明した。
【0052】そこで、このような遷移金属被覆層47の
剥離を防止する手段としては、HIP処理前にステンレ
ス鋼部46の表面に遷移金属被覆層47を施し、安価な
拡散熱処理例えば真空中または不活性ガス雰囲気中で6
00°C以上の温度で熱処理を行えば、ステンレス鋼部
46に遷移金属被覆層47が強固に接合させることがわ
かった。
【0053】従って、以上のようなスパッタ電極によれ
ば、冷却水に接する部分をステンレス鋼部46とし、そ
の外側に遷移金属マトリクス48中に希土類金属粒子4
9を分散させた複合金属層50を設けたことにより、ス
パッタ電極内の冷却水に接する部分は全て単一の材料
(ステンレス鋼)で構成でき、異材溶接部に起因する局
部腐食を著しく改善できる。
【0054】また、中央部位置のステンレス鋼部46の
表面に遷移金属による被覆層47を設け、真空もしくは
不活性ガス雰囲気中で600°C〜900°Cの拡散熱
処理を施すことにより、ステンレス鋼部46と被覆層4
7との界面に拡散層51が形成されるので、ステンレス
鋼部46の表面に被覆層47を強固に接合でき、その結
果、後工程であるHIP処理に際しても被覆層47の剥
離がない良好な接合状態を得ることが可能である。
【0055】次に、本発明に係わるスパッタ電極の製造
方法の一実施例について図2を参照して説明する。
【0056】この図2はスパッタ電極を製造する工程を
説明する図であって、具体的には,スパッタ電極内部の
冷却用孔部45および上部に溶接する電極蓋42よりも
大きな径を有した丸棒状のステンレス鋼部材46aの表
面に電解メッキにより厚さ50μmのNi被覆層47を
形成する(同図a参照)。その後、Niを被覆したステ
ンレス鋼部材46aに対し、圧力1×10-5Torr以下の
真空中で800°C,1時間の熱処理(イ)を施すこと
により、Ni被覆層47のステンレス鋼部材46a側に
はステンレス鋼の主要成分であるCr,Feが拡散さ
れ、ステンレス鋼部材46aの表面には厚さ約20μm
の拡散層51が強固な接合状態で形成される。
【0057】さらに、被覆層47の表面に残留したNi
被覆層52も焼結が進み、緻密化するとともに、接合強
度が向上する(同図b参照)。
【0058】このような方法によって製作されたステン
レス鋼部材46aは、HIP処理に供するために、ステ
ンレス鋼製容器55の内底部に溶接により固定した後、
その隙間部分に遷移金属粉末と希土類金属粒子との混合
粉末56を充填する(同図c参照)。
【0059】その後、真空中で脱ガス後、同図(d)に
示すように同じくステンレス鋼製上蓋57を容器55上
端部に溶接することにより、内部を真空とした真空封入
容器58とした後、HIP処理に供する(同図(e)参
照)。そして、HIP処理後の素材は、機械加工によっ
て外側のステンレス鋼製容器55を除去し、必要に応じ
て素材の外径および内径を加工し、スパッタ電極素材5
9を得る。
【0060】このスパッタ電極素材59は、中心部がス
テンレス鋼部46aとなり、その外側が複合金属層50
になっており、両者が強固に接合された状態となってい
る(同図(f)参照)。
【0061】以上のようにして得られたスパッタ電極素
材59は、図1に示すように機械加工によって中央部分
のステンレス鋼部46a(46)に冷却用孔部45を加
工するとともに、このステンレス鋼部46aの上部にス
テンレス鋼製の電極蓋42、さらに当該電極蓋42に同
じくステンレス鋼製の冷却用二重管44を溶接すること
により、冷却水に接する部分が全てステンレス鋼で構成
され、異材溶接部のないスパッタ電極を製造できる。
【0062】従って、以上のように図2の工程によって
製造されたスパッタ電極素材59を用いて作られる図1
に示すスパッタ電極によれば、中央部分をステンレス鋼
部46とすることにより、冷却水43と接触するスパッ
タ電極本体41、電極蓋42および冷却用二重管44を
全てステンレス鋼で構成でき、これにより異材溶接部が
無いことから局部電池の形成による選択的腐食が完全に
回避できる。
【0063】また、この製造方法においては、スパッタ
電極本体41の中央部分に位置するステンレス鋼部46
の表面に接合性に優れたNi被覆層47を設け、高温の
拡散熱処理を施すことにより、両者の界面に拡散層51
を形成するので、接合強度の向上を図ることができ、後
工程であるHIP処理に際しても、Ni被覆層47の剥
離を完全に防止できる。さらに、Ni被覆層47を有し
たステンレス鋼部46の周囲に複合金属層50を形成す
るNi粉末48とY粉末49との混合粉末をHIP処理
により、高温,高圧の条件化で焼結することにより、混
合粉末がNi被覆層47に押し付けられるので、Ni被
覆層47と複合金属層50の界面においても高い接合強
度を得ることができる。なお、このようにステンレス鋼
部46の表面にNi被覆層47を設けることにより、複
合金属層50を形成するNiマトリクス48とY粒子4
9との反応がほとんど生じないような600°C〜70
0°Cという比較的低いHIP処理温度で、ステンレス
鋼部46と複合金属層50を強固に接合できるととも
に、両者が面の状態で接触、接合されたスパッタ電極を
製造できる。
【0064】因みに、図3はステンレス鋼の表面をNi
で被覆した後、種々の温度で拡散熱処理を施した後、N
i(遷移金属)とY(希土類金属)との混合粉末を60
0°CでHIPにより焼結、結合した試験片の引張試験
の結果を示す図である。さらに、具体的には、スパッタ
電極の製造方法と同様に棒状ステンレス鋼部材46aの
周囲にNi粉末を充填し、実際のスパッタ電極の金属複
合層50を形成するNi粉末48とY粉末49とが脆い
金属間化合物を形成しない上限の温度である600°C
でHIP処理した試験体の接合強度を測定した結果であ
る。
【0065】この図から明らかなように、ステンレス鋼
部材46aの表面を遷移金属であるNi被覆層47を被
覆しなかった試験体は、全て引張試験前にステンレス鋼
とNi焼結体である複合金属層50との界面で破断し
た。また、ステンレス鋼の表面にNi被覆層47を被覆
した後、拡散熱処理を施した後にHIP処理した試験体
は、結合強度がかなり高い値を示しているが、拡散熱処
理温度が低い場合,例えば400°C,500°C等の
場合には接合強度がかなり低いものも認められ、これら
試験体の多くの破断位置はステンレス鋼とNi焼結体で
あるNi被覆層47との界面であった。
【0066】一方、600°C以上で拡散熱処理を施し
た試験体は、何れも高い引張強度を示すことから、拡散
熱処理温度としては、600°C以上の温度が必要であ
ることがわかる。しかし、拡散熱処理温度が900°C
以上になると、強度が若干低下する傾向があり、これは
拡散層の成長と被覆層の結晶粒の成長とによるものであ
り、好ましくは600°C〜900°Cが適正な拡散熱
処理温度であると確認された。
【0067】次に、本発明に係わるスパッタ電極および
その製造方法の他の実施例について説明する。
【0068】図1および図2に示す実施例では、電極内
部の冷却水と接する部分をステンレス鋼部46とし、そ
の表面に焼結性,結合性に優れた遷移金属被覆層47を
設けることにより、ステンレス鋼部46の周囲に遷移金
属被覆層47を介して低温で遷移金属マトリクス48中
に希土類金属粒子49を分散させた複合金属層50を強
固に接合する構造とした。
【0069】ところで、このようなスパッタ電極におい
ては、スパッタ電極本体41の表面部がスパッタリング
反応により300°C〜400°Cに上昇し、内部は冷
却水43によって常温近くに冷却される。その結果、ス
パッタ電極本体41は、半径方向に温度勾配を有し、し
かも中央部分のステンレス鋼部46と表面側の複合金属
層50とでは熱膨脹率が異なるので、接合部には熱応力
が作用する可能性がある。
【0070】そこで、本発明の他の実施例としては、図
4に示すように、中央部分に位置するステンレス鋼部6
1として、上部から下部側に向かって直径が大きくなる
ようなテーパーを形成することにより、ステンレス鋼部
61と複合金属層50とが剥離可能な状態となっても、
複合金属層50が脱落せず、ステンレス鋼部61に当該
複合金属層50が支持されるような構造とする。
【0071】このようなスパッタ電極についても、図2
に示す製造方法によって同様に製造可能であることは言
うまでもない。
【0072】また、上記実施例および図4に示す実施例
においては、スパッタ電極本体41が電極蓋42と溶接
され、さらに当該電極蓋42が冷却用二重管44と溶接
され、スパッタ電極本体41が冷却用二重管44によっ
て上部から吊下された状態で支持されることになる。従
って、スパッタ電極本体41を安全な状態で支持するた
めには、前述する2か所の溶接部分の健全性が重要にな
ってくる。
【0073】このような観点から、電極蓋42と冷却用
二重管44との溶接部は構造的にも溶接施工が容易であ
り、かつ、非破壊検査も可能であるが、スパッタ電極本
体41と電極蓋42との溶接部は大きな溶け込み深さが
必要であり、その非破壊検査も難しい。
【0074】そこで、さらに、構造上の改良を加えてな
るスパッタ電極は、図5に示すように、中央部分に位置
し、かつ、テーパー形状の内側電極62を作り、この内
側電極62と電極蓋42とを溶接し、さらに電極蓋42
と冷却用二重管44とを溶接する。そして、この内側電
極62の外側に同じくテーパー形状を有するステンレス
鋼63、遷移金属被覆層47および複合金属層50から
なる外側電極64を形成する。内側テーパー形状のステ
ンレス鋼63と遷移金属被覆層47と外側の複合金属層
50とは図2に示す本発明に係わるステンレス鋼と遷移
金属との接合方法を用いて両者を接合することにより、
円筒形状の外側電極64を製造する。そして、テーパー
状の内側電極62とテーパー状の外側電極64とを接合
すれば、内側電極62に外側電極64を支持することが
できる。
【0075】このようなスパッタ電極の構造を用いるこ
とにより、ステンレス鋼部とその外側のステンレス鋼と
を接合する溶接施工およびその接合部分の非破壊検査が
容易であり、しかも内側電極となるステンレス鋼部に外
側電極となるステンレス鋼に形成される複合金属層がテ
ーパーを利用して確実に支持され、スパッタ電極の交換
時にも外側電極を交換するだけで済み、メンテナンス性
やコストの面で有利である。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような種々の効果を奏する。
【0077】請求項1の発明においては、冷却水に接す
る部分を円筒状のステンレス鋼部とするとともに、その
外側に遷移金属マトリクス中に希土類金属粒子を分散せ
しめた複合金属層を設けているので、冷却水と接する部
分を全て単一の材料(ステンレス鋼)で構成可能とな
り、耐食性に優れたスパッタ電極を実現できる。
【0078】請求項2の発明においては、ステンレス鋼
部の上部の直径を下部の直径よりも小さくすることによ
り、ステンレス鋼部と複合金属層との間の接合部分に剥
離が生じても、複合金属層の脱落を防止できる。
【0079】請求項3の発明では、内側電極となるテー
パー状のステンレス鋼部の表面に、外側電極となる内側
にテーパー状を有するステンレス鋼に遷移金属被覆層お
よび複合金属層を設けたので、内側電極に複合金属層を
確実に支持でき、さらにスパッタ電極の交換およびメン
テナンスが非常に容易になる。
【0080】請求項4ないし請求項8の発明では、耐食
性に優れ、かつ、ステンレス鋼部材と混合粉末で形成さ
れる複合金属層とを良好なる接合状態を作り出すことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる活性ガスの固定化装置に用いら
れるスパッタ電極の一実施例を示す断面構造図。
【図2】本発明に係わるスパッタ電極の製造工程を示す
模式図。
【図3】本発明の基本データとなる表面に遷移金属を被
覆したステンレス鋼の拡散熱処理温度とステンレス鋼と
遷移金属(Ni)との接合強度と関係図。
【図4】本発明に係わるスパッタ電極の他の実施例を示
す断面構造図。
【図5】本発明に係わるスパッタ電極の他の実施例を示
す断面構造図。
【図6】スパッタリングを利用した不活性ガス固定化装
置の横断面図。
【図7】従来のスパッタ電極の製造工程を示す模式図。
【図8】従来のスパッタ電極の断面構造図。
【図9】HIP処理温度と遷移金属(Ni)の焼結温度
および遷移金属(Ni)と希土.e金属(Y)界面の反
応層厚さの関係図。
【符号の説明】
41…スパッタ電極本体、42…電極蓋、43…冷却
水、44…冷却用二重管、46…ステンレス鋼部、47
…遷移金属被覆層、48…遷移金属マトリクス、49…
希土類金属粒子、50…複合金属層、51…拡散層、5
2…残留被覆層、46a…ステンレス鋼部材、59…ス
パッタ電極素材、61…ステンレス鋼部、62…内側電
極、63…ステンレス鋼、64…外側電極。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向電極と対向配置され、当該対向電極
    との間でグロー放電によって生成されるガスイオンの衝
    突によるスパッタリング作用によって前記対向電極上に
    スパッタ金属の累積層を形成するスパッタ電極におい
    て、 冷却水の循環部分を除いて両端を閉塞状態とする円筒状
    のステンレス鋼部を有し、このステンレス鋼部の表面に
    遷移金属からなる母相中に希土類金属粒子を分散させた
    複合金属層を設けたことを特徴とするスパッタ電極。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼部は、その上部の直径が下
    部の直径よりも小さくなるようにテーパー状に形成した
    ことを特徴とする請求項1記載のスパッタ電極。
  3. 【請求項3】 対向電極と対向配置され、この対向電極
    との間でグロー放電によって生成されるガスイオンの衝
    突によるスパッタリング作用によって前記対向電極上に
    スパッタ金属の累積層を形成するスパッタ電極におい
    て、 上部の直径が下部の直径よりも小さくなるようにテーパ
    ー状に形成され、かつ、冷却水の循環部分を除いて両端
    を閉塞状態とする円筒状のステンレス鋼部を有し、この
    ステンレス鋼部の表面に、内側にテーパー状を有するス
    テンレス鋼を介して遷移金属からなる母相中に希土類金
    属粒子を分散させた複合金属層を設けたことを特徴とす
    るスパッタ電極。
  4. 【請求項4】 中央部にステンレス鋼部材を配置し、こ
    のステンレス鋼部材の周囲に遷移金属粉末と希土類金属
    粒子との混合粉末を充填し、熱間静水加圧法またはホッ
    トプレス法による加圧焼結法により、前記ステンレス鋼
    部に前記混合粉末を一体化することを特徴とするスパッ
    タ電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 ステンレス鋼部材は、その前処理として
    表面にNi,Cr,Cu等の遷移金属被覆層を設けたこ
    とを特徴とする請求項4記載のスパッタ電極の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 熱間静水加圧法またはホットプレス法に
    よる遷移金属粉末と希土類金属粒子との混合粉末の焼結
    温度は、600°C以上、700°C以下とすることを
    特徴とする請求項4記載のスパッタ電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 表面に遷移金属被覆層を設けたステンレ
    ス鋼部材は、不活性ガス中もしくは真空雰囲気中で60
    0°C以上、かつ、1000°C以下の温度拡散熱処理
    を行うことを特徴とする請求項4または請求項5記載の
    スパッタ電極の製造方法。
  8. 【請求項8】 ステンレス鋼部材の表面に被覆する遷移
    金属被覆層の厚さは、10μm以上とすることを特徴と
    する請求項4または請求項5記載のスパッタ電極の製造
    方法。
JP8280595A 1995-04-07 1995-04-07 スパッタ電極およびその製造方法 Pending JPH08277465A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI414620B (zh) * 2008-12-23 2013-11-11 Oc Oerlikon Balzers Ag 射頻濺鍍配置

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