JPH08275557A - 振動駆動装置および振動駆動装置の摩擦接触層の形成方法 - Google Patents

振動駆動装置および振動駆動装置の摩擦接触層の形成方法

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JPH08275557A
JPH08275557A JP7076031A JP7603195A JPH08275557A JP H08275557 A JPH08275557 A JP H08275557A JP 7076031 A JP7076031 A JP 7076031A JP 7603195 A JP7603195 A JP 7603195A JP H08275557 A JPH08275557 A JP H08275557A
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JP
Japan
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vibrating body
vibration
friction
contact layer
oxide film
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JP7076031A
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English (en)
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Atsushi Tamai
淳 玉井
Itsuki Fujimoto
一城 藤本
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Canon Inc
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の超音波モータの摩擦駆動部の寿命を向
上させる。 【構成】 電気−機械エネルギー変換素子への電気信号
を印加することにより、摩擦駆動部に振動を発生させる
振動体1と、該振動体1の摩擦駆動部に接触し、該振動
体の振動によって該振動体と相対移動部材2とを有する
振動駆動装置において、該振動体1と該部材2との少な
くともいずれか一方に酸化皮膜による摩擦層を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、振動発生素子からの振
動を受けて振動する振動子の振動駆動により該振動子に
圧接した移動体を相対的に移動させる例えば振動アクチ
ュエータ等に使用する振動駆動装置および振動駆動装置
の摩擦接触層の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平3−36970号公報に振
動体用材料としてステンレス鋼を使用した超音波モータ
がある。この例では焼入れ焼戻し処理により硬質にした
ステンレス鋼を用いれば、例えば移動体側の摩擦材とし
てアルマイトを用いたとき、著しく耐久性が向上したと
ある。しかし、近年、超音波モータ等の振動アクチュエ
ータには、高い発生トルクを要求される使用例が増加し
てきた。そのため、従来は充分だった耐久性も、摩擦部
分に大きな負荷を生じるため、充分とは言えなくなって
きている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の超音波モータに
おける耐久性を以下のようにしてテストした。
【0004】例えば、振動子側には焼入れ焼戻しにより
ビッカース硬さ700Hvに調質したJIS SUS4
40Cを用い、移動体側にはJIS A5056H34
(ビッカース硬さ100Hv)にアルマイト被膜(ビッ
カース硬さ440Hv)を70μmの厚さで形成したも
のを用いた。
【0005】そして、従来の約10倍の最大トルクを発
生することを狙って、摩擦駆動部、すなわちJIS S
US440Cとアルマイト被膜の接触部での圧接力を約
10倍に高めた超音波モータを試作した。
【0006】そして、この超音波モータを耐久試験する
と、SUS440C側の損傷は極めて少なかったが、ア
ルマイト被膜側は著しく摩耗が進み、結局超音波モータ
の寿命はアルマイト被膜によって決まってしまうことが
判明した。
【0007】このアルマイト被膜の硬さを増せば若干ア
ルマイト被膜の摩耗量が減少することも判明したが、形
成できるアルマイト被膜の硬さは実際のところビッカー
ス硬さで約500Hvが限界であり、また厚さの方も1
00μm程度が限界であるため、これ以上飛躍的な寿命
向上は極めて困難な状況であることが判明した。
【0008】そこで、アルマイトの代わりに移動体側に
ももっと硬さの高いもの、例えばJIS SUS440
Cを用いて実験した。すなわち、JIS SUS440
C(ビッカース硬さ700Hv)同士で摩擦駆動させ
た。
【0009】この結果は摩耗量が著しく減少し、超音波
モータの寿命は著しく向上した。実際、1万時間駆動さ
せた超音波モータにおいて、摩擦材の摩耗量すなわち摩
耗深さは約0.1μm以下でその表面が青味がかってい
るに過ぎない状態であった。本発明の目的は、従来の超
音波モータの摩擦駆動部の少なくとも一方に鉄系合金の
摩擦材を用いて摩擦係数を高めることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】本出願に係る
発明の目的を実現する構成は、請求項1に記載のよう
に、電気−機械エネルギー変換素子へ電気信号を引加す
ることにより摩擦駆動部に振動を発生させる振動体と、
該振動体の摩擦駆動部に接触し、該振動体の振動によっ
て該振動体と相対移動する部材とから成る振動駆動装置
において、該摩擦駆動部での高い接触摩擦係数により大
きな最大トルクを発生させるよう該振動体と該部材との
少なくともいずれか一方に酸化皮膜による摩擦層を形成
したことを特徴とした振動駆動装置にある。
【0011】この構成によれば、振動体と移動体との少
なくともいずれか一方に酸化皮膜を形成したので、実際
の接触はこの酸化皮膜でのみ起こる。その結果、長寿命
の振動アクチュエータ等の振動駆動装置を製作すること
ができる。
【0012】この理由を鉄系合金の一種であるステンレ
ス鋼を例にして考察してみると以下のようになる。
【0013】通常の大気中では、ステンレス鋼の表面に
は自然に形成されるクロム不動態皮膜がある。しかし、
この皮膜の厚さは約3nmと極めて薄いものである。そ
のため振動モータにおいて、駆動部はこの薄い皮膜は破
れて金属同士が摩擦接触していると考えられる。このと
きの摩擦係数は0.6程度である。そして、摩擦も激し
い。
【0014】一方、このクロム不動態皮膜の上にさらに
酸化皮膜(鉄酸化皮膜)を形成させたステンレス鋼同で
は、摩擦係数が低くなる。その理由は、この皮膜の剪断
強度がステンレス母材よりも低いため凝着部(物と物と
が接触しているとき、実際に接触しているのは面全体で
はなく、一部の凸部だけが真実接触している。その真実
接触部で凝着が生じて、それを剪断破壊する力が摩擦力
になる)の強度が低くなると考えられる。
【0015】通常、この剪断強度が低い物質はその硬さ
も低く、前記真実接触面積が大きくなり、結局摩擦係数
としては大きな差を生じないと考えられてきた。
【0016】しかし、酸化皮膜のように大気中で安定で
凝着性の低い膜があると摩擦係数は低下することがあ
る。しかし、接触と分離は表面だけで起こるので、大き
な摩耗に結びつく内部の金属的破壊は起こらない。
【0017】本発明の主旨は、酸化皮膜を自然に形成さ
れる厚さよりより厚く形成させることにより、高い耐摩
耗性を生み出すことをねらいとしている。
【0018】なお、本発明の鉄系合金とは一般構造用圧
延鋼材(JIS SS41等)から炭素鋼、炭素工具
鋼、合金工具鋼(高速度鋼も含む)の他ステンレス鋼を
含めたものを含む他、純鉄に酸化皮膜をつけたものも含
む。
【0019】また、請求項2に記載のように、請求項1
において、摩擦層は、鉄または鉄系合金であることを特
徴とする。
【0020】この構成によれば、高強度、高耐熱性で経
時変化の少ない摩擦材料を形成することができる。
【0021】そして、請求項3に記載のように、請求項
2において、鉄系合金はステンレス鋼であることを特徴
とする。
【0022】この構成によれば、振動体と該振動体と相
対移動する部材との精密な機械切削加工が可能であり熱
的化学的に安定な表面摩擦処理を行なうことができ、耐
摩耗性により超音波モータの寿命も長くなる。
【0023】なお、請求項4に記載のように、請求項1
乃至3のいずれかにおいて、酸化皮膜の厚さは約10n
m以上であることを特徴とする。
【0024】この構成によれば、酸化膜による厚い皮膜
のため、錆びが発生しにくく耐環境性が向上する。
【0025】さらに、本出願に係る発明の目的を実現す
る方法は、請求項5に記載のように、請求項1ないし4
のいずれかにおいて、酸化皮膜による摩擦層は、酸化性
を有する溶液に濡らす酸化溶液侵漬手段か、または約2
00℃以上の高温に加熱させる熱処理手段であることを
特徴とする。
【0026】この構成によれば、複雑な形状のプレス加
工成形された振動体や移動体に対し全表面に均一且つ容
易に酸化皮膜を自己形成することができ、効率の良い起
動トルクが得られ、従来に比して耐久性は向上する。
【0027】
【実施例】
(第1の実施例)図1は第1の実施例を示す。
【0028】本実施例は、図1の(a)に示すように、
振動駆動装置の一つとして円環型超音波モータを例にし
たもので、複数の溝部が形成された円環状の振動弾性体
1aの裏面側にリング1bを介して圧電素子3を接合し
て振動子1が形成され、また圧電素子3の接合面と反対
面は摩擦摺動部1aaになっている。
【0029】この円環型超音波モータでは、変位を拡大
するために振動子の端面に断面凹凸状に多数の突起が設
けられており、この突起は従来より切削または研削加工
により作製されており、その加工に多大の時間を費やし
ていた。
【0030】本実施例では13クロム系ステンレス板
(炭素0.4%、モリブデン1%)を用いて、プレス加
工により弾性振動体1aを図1の(b)に示すような形
状に成形し、焼入れ焼戻しによりビッカース硬さ700
Hvに調質した。この弾性振動体1aを沸騰した5%硫
酸溶液(H2 SO4 )中に浸漬し、その溶液中に少量の
硫化銅(CuSO4 ・5H2 O)結晶を投入した後、1
分程度してから前記弾性振動体1aを溶液中から取り出
し洗浄した。このとき、Cu2+イオンが酸化剤として作
用し、ステンレス鋼表面には厚い酸化皮膜が形成され
る。この弾性振動体1aを用いて超音波モータの振動子
1を構成した。
【0031】図1の(b)中、1bはステンレス鋼をプ
レス加工で打抜いたリングであり、このリング1bと前
記プレス成形による弾性振動体1aとをスポット溶接で
接合し、さらに、圧電素子3をこのリング1bに接着し
ている。
【0032】一方、図1の(c)に示す如く、黄銅管を
切削加工して作製したツバ付リング2bにはやはり前記
した13クロムステンレス板材(モリブデン含有)をプ
レス加工して作製した摩擦リング2aを接着して移動体
2を構成した。なお、この摩擦リング2aも熱処理によ
りビッカース硬さ700Hvに調質している。
【0033】このように弾性振動体1aの酸化皮膜が自
然に形成される厚さよりより厚く形成させることによ
り、実際の接触を酸化皮膜でのみ起こるようにして、耐
摩耗性を著しく向上できた。
【0034】実際、21gfcmの負荷を与えて回転さ
せておいたモータの摩耗材の摩耗率は、酸化皮膜を形成
させなかったものに比べて1/1000以下になった。
【0035】具体的には、500時間(約700kmの
距離を摺動)で僅か0.1μm程度であった。
【0036】(第2の実施例)図2は本発明に係る第2
の実施例を示す。
【0037】本実施例は棒状超音波モータに本発明のス
テンレス製摩擦材を採用した例である。この棒状超音波
モータにおいて、棒形状に形成された振動子10は、圧
電素子13を挟持する一方の振動弾性体11bに摩擦板
11aが固定され、また移動体であるロータ12を構成
するロータ本体12bにはステンレス製の接触リング1
2bが固定されていて、この摩擦板11aと接触リング
12bとが加圧接触している。
【0038】なお、この超音波モータの駆動原理を簡単
に説明すると、駆動用の圧電素子13に位相の異なる周
波電圧を印加すると、振動子10が直交する2軸方向に
屈曲し、その合成で摩擦板11aの表面に駆動用の楕円
運動が形成され、この摩擦板11aに加圧接触している
接触リング12bを介してロータ12が回転駆動され
る。
【0039】ステンレス製摩擦材である摩擦板11a
は、時効硬化型ステンレス板(クロム15%、ニッケル
7%、ケイ素4%、モリブデン1%)をバーリング加工
というプレス加工の一加工法で成形したものである。こ
の成形品を振動弾性体11bに圧入してその端面をラッ
プ処理している。
【0040】また、移動体であるロータ12側には、同
じくプレス加工で打抜きした前記同種のステンレスリン
グ板12aがロータ本体12bに接着されている。
【0041】なお、それぞれのステンレス成形品はプレ
ス加工後、時効硬化と酸化皮膜の形成を兼ねて500℃
の水蒸気中で1時間熱処理している。この熱処理により
ビッカース硬さは680Hvになり、同時に表面には黄
色を呈した厚い酸化皮膜が形成される。
【0042】この酸化皮膜も耐摩耗性、耐食性、に対し
て有効に作用する。実際この棒状超音波モータの耐久性
能も第1の実施例で示したものと略同等の結果を示し
た。
【0043】また、摩擦面での加圧接触力が大きくなる
程、酸化皮膜は厚くしないと本発明の狙いは達成出来な
い。そこで酸化皮膜の種々の厚さのものを用いて同様の
試験を行ったところ、本実施例の超音波モータ(圧接圧
力4メガパスカル)で10nm以上必要であることが判
明した。なお、酸化皮膜の厚さは偏光解析法(エリプソ
メトリー)で測定した。
【0044】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、振動体
と該振動体と相対移動する部材との少なくともいずれか
一方に酸化皮膜を形成したので、長寿命の振動アクチュ
エータを製作することができる。
【0045】請求項2に記載の発明によれば、高強度、
高耐熱性で経時変化の少ない摩擦材料を形成することが
できる。
【0046】請求項3に記載の発明によれば、振動体と
移動体との精密な機械切削加工が可能であり熱的化学的
に安定な表面摩擦処理を行なうことができ、耐摩耗性に
より超音波モータの寿命も長くなる。
【0047】請求項4に記載の発明によれば、酸化によ
る厚い皮膜のため、錆びが発生しにくく耐環境性が向上
する。
【0048】請求項5に記載の発明によれば、複雑な形
状のプレス加工成形された振動体や該振動体に対し相対
移動する部材に対し全表面に均一且つ容易に酸化皮膜を
自己形成でき、効率の良い起動トルクが得られ、従来に
比して耐久性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】円環型振動波モータの第1の実施例を示し、
(a)は分解斜視図、bは要部拡大斜視図、(c)はロ
ータの断面図
【図2】棒状超音波モータの第2の実施例を示し、
(a)は断面図、bは要部断面図を示す。
【符号の説明】
1…振動子 1a…弾性振動体 1b…リング 2…移動体(ロータ) 2a…摩擦リング 2b…ツバ付リング 3…圧電素子 10…振動子 11a…弾性振動体 11b…摩擦板 12…移動体(ロータ) 12a…接触リング 12b…ロータ本体 13…圧電素子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気−機械エネルギー変換素子へ電気信
    号を引加することにより摩擦駆動部に振動を発生させる
    振動体と、該振動体の摩擦駆動部に接触し、該振動体の
    振動によって該振動体と相対移動する部材とからなる振
    動駆動装置において、該振動体と該部材との少なくとも
    いずれか一方に酸化皮膜による摩擦接触層を形成したこ
    とを特徴とした振動駆動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、摩擦接触層は、鉄ま
    たは鉄系合金であることを特徴とする振動駆動装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、鉄系合金はステンレ
    ス鋼であることを特徴とする振動駆動装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    摩擦接触層を形成する酸化皮膜の厚さは約10nm以上
    であることを特徴とする振動駆動装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかにおいて、酸
    化皮膜による摩擦接触層は、酸化性を有する溶液に濡ら
    す酸化溶液侵漬手段か、または約200℃以上の高温に
    加熱させる熱処理手段で形成されることを特徴とする振
    動駆動装置の摩擦接触層の形成方法。
JP7076031A 1995-03-31 1995-03-31 振動駆動装置および振動駆動装置の摩擦接触層の形成方法 Pending JPH08275557A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006271034A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Nikon Corp 振動波モータ

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006271034A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Nikon Corp 振動波モータ

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