JPH08271396A - 高温損傷耐久性評価方法及び装置 - Google Patents

高温損傷耐久性評価方法及び装置

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JPH08271396A
JPH08271396A JP7260195A JP7260195A JPH08271396A JP H08271396 A JPH08271396 A JP H08271396A JP 7260195 A JP7260195 A JP 7260195A JP 7260195 A JP7260195 A JP 7260195A JP H08271396 A JPH08271396 A JP H08271396A
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秀雄 和田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温損傷耐久性評価を正確且つ定量的に行
い、開発に関する各種コストを低く抑える。 【構成】 シミュレーションモデルを作成する手段(1
4)により高温損傷耐久性を評価するべき機器について
モデルを作成し、燃焼実験を行い各部の温度データを測
定し、熱伝導解析手段(26)により前記温度データを
作成されたシミュレーションモデルの対応する部分に代
入して温度分布を確定し、前記機器の各部分を構成する
材料片の引張り試験を行って得た応力・ひずみデータを
シミュレーションモデルの対応する部分に代入して応力
データを確定し、熱応力解析手段(30)により温度分
布及び前記応力データから加熱状態における応力分布を
確定し、加熱状態における応力分布及び高温損傷データ
とを用いて評価手段(38)により機器の高温損傷耐久
性を定量的に評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高温損傷耐久性の評価方
法及び装置に関し、より具体的には、熱交換器の様に加
熱運転と休止状態とが繰り返される機器の高温損傷に対
する寿命を評価するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】加熱される各種機器、例えば熱交換器の
開発現場においては、図11のフローチャートで示す様
な手順に従って、作業が行われていた。すなわち、設計
(ステップS1、S2)段階においては、以前からの経
験則に基づいて各種数値を決定する。その際に、安全性
を見込んで所謂オーバースペックな設計とするのが一般
的である。ここで設計が経験則に基づいて行われるの
は、特に疲労破壊に対する寿命については理論的な解析
が非常に困難であり、計算による定量的な判断を下すこ
とが不可能だったからである。
【0003】設計終了後(ステップS2がYES)、設
計された熱交換器が使用される環境を予測して、それに
見合った耐久試験を行う(ステップS3)。例えば、一
般的な家庭用給湯器で用いられる熱交換器であれば、最
高出力温度で1分間隔にて運転・停止を10万回繰り返
す(所要期間は約5か月)。また、業務用機器に用いら
れる熱交換器であれば、運転・停止繰り返し回数は30
万回である。そして耐久試験の結果、問題が無ければ
(ステップS4がYes)、開発が終了する(ステップ
S5)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の開発手
順において、特に寿命に関しては経験則に基づく試行錯
誤による判断しか出来ないため、論理的或いは合理的に
定量的な判断に基づいて熱交換器を開発することが不可
能である、という問題が存在する。
【0005】そして、経験則に基づく設計を行っている
限りにおいては、過去の経験を生かすことが出来ない様
な斬新な設計を行うことが不可能である。その結果、過
去のものと変わり無い様な熱交換器しか設計されないこ
ととなる。
【0006】また従来の開発手順においては耐久試験の
評価が非常に重要であるが、耐久試験には莫大な金銭的
コスト、時間(家庭用給湯器で用いられる熱交換器であ
れば、約5か月)が費やされる、という問題がある。
【0007】さらに、従来は寿命についての定量的に評
価することが出来なかったため、耐久試験の信頼性につ
いても完全なものではない。そのため設計に際しては、
強度的な余裕を大幅に持たせたオーバースペックな設計
にせざるを得なかった。
【0008】これに対して、コンピュータによる高温損
傷耐久性シミュレーションを導入することが望まれてい
る。しかし、燃焼及びそれによる熱的な影響の解析は非
常に複雑であるため、完璧なシミュレーションは不可能
であった。
【0009】本発明は上記した従来技術の問題点に鑑み
て提案されたもので、例えば熱交換器の様な加熱される
機器について、その寿命を定量的に評価することが出来
る高温損傷耐久性評価方法及び装置の提供を目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の高温損傷耐久性
評価方法は、高温損傷耐久性を評価するべき機器につい
てシミュレーションモデルを作成する工程と、前記機器
の燃焼実験を行い各部の温度データを測定する工程と、
前記温度データを作成されたシミュレーションモデルの
対応する部分に代入して温度分布を確定せしめる熱伝導
解析工程と、前記機器の各部分を構成する材料片に対し
て引張り試験を行い各部分について応力・ひずみデータ
を得て作成されたシミュレーションモデルの対応する部
分に代入する工程と、熱伝導解析工程により得られた温
度分布及び前記応力・ひずみデータから加熱状態におけ
る応力分布を確定する熱応力解析工程と、該熱応力解析
工程により得られた前記機器の加熱状態における応力分
布と前記機器の高温損傷データとを用いて該機器の高温
損傷耐久性を定量的に評価する工程、とを含んでいる。
【0011】ここで、本明細書においては「シミュレー
ションモデル」なる文言は、例えば有限要素法モデル
(以下、「FEMモデル」と記載する)を意味するのが
好ましい。しかし、FEMモデルに限定されるものでは
なく、所謂コンピュータを用いて有効に実施されるシミ
ュレーションで利用可能なモデルであれば、全て該当す
る。すなわち、本発明は有限要素法を用いた解析につい
てのみ適用されるのではなく、種々の解析手法について
適用可能である。
【0012】また、前記「非加熱状態」なる文言は、材
料片が非線形材料から成る場合は加熱後における所謂
「休止状態」を意味しており、線形材料から成る場合に
は「機器が加熱される以前の状態(未加熱状態:初期状
態)」を意味している。
【0013】そして、材料片が非線形材料から成る場合
においては、加熱後の休止状態における温度分布を求め
る工程と、該(休止状態における)温度分布と前記熱応
力解析工程により得られた前記機器の加熱状態における
応力分布とにより休止状態における応力分布を求める工
程と、加熱状態における応力分布と休止状態における応
力分布とから応力振幅を求める工程とを含むのが好まし
い。
【0014】本発明の高温損傷耐久性評価方法の実施に
際して、高温損傷耐久性を評価するべき機器のひずみ測
定試験を行って該機器全体のひずみを実測する工程と、
前記熱応力解析工程により得られた前記機器の加熱状態
における応力分布と実測された前記機器全体のひずみと
を比較して前記熱応力解析工程の解析結果の妥当性を検
証する工程、を有するのが好ましい。
【0015】また上記温度データを測定する工程は、放
射温度計により行われる部分と、その他の温度データに
基づいて行われる部分とが存在し、熱伝導解析工程にお
いては、その測定結果及びそれにより求められる温度分
布がディスプレイの画面上に表示されるのが好ましい。
より詳細には、放射温度計により行われる温度データの
測定は、所謂「サーモビュアー」の使用が好ましい。そ
して、その他の温度データに基づいて行われる温度デー
タの測定は、例えばフィンや内部のガス温度等をその他
の温度データとして測定し、測定結果から熱伝達に関す
る係数を計算し、該係数を用いてその他の部分の温度を
決定することにより行われるのが好ましい。
【0016】本発明の高温損傷耐久性評価装置は、高温
損傷耐久性を評価するべき機器についてシミュレーショ
ンモデルを作成する手段と、前記機器の燃焼実験により
得られた該機器各部の温度データを前記シミュレーショ
ンモデルの対応する部分に代入して温度分布を確定する
熱伝導解析手段と、前記機器の各部分を構成する材料片
の引張り試験により得られた該材料片の各々の応力・ひ
ずみデータを前記シミュレーションモデルに代入して前
記機器の非加熱状態における応力分布を確定する手段
と、温度分布及び非加熱状態における応力分布から加熱
状態における応力分布を確定する熱応力解析手段と、該
熱応力手段により得られた前記機器の加熱後の応力分布
と前記機器の高温損傷データにより該機器の高温損傷耐
久性を評価する評価手段、とを含んでいる。
【0017】ここで、高温損傷耐久性を評価するべき機
器のひずみ測定試験により得られた該機器全体の実測ひ
ずみと、前記熱応力解析手段により得られた前記機器の
加熱後の応力分布とを比較して、前記熱応力解析手段の
解析結果の妥当性を検証する検証手段を含んでいるのが
好ましい。
【0018】
【作用】上記した様な構成を具備する本発明によれば、
高温損傷耐久性を評価するべき機器(例えば熱交換器)
についてシミュレーションモデル(例えばFEMモデ
ル)を作成する。次に、その機器の燃焼実験を行って該
機器の各部における温度データを測定し、該温度データ
を作成されたシミュレーションモデルの対応する部分に
代入する。ここで、温度データの測定を放射温度計によ
り行った部分については、その測定結果をディスプレイ
の画面上に直接的に表示すれば良い。一方、放射温度計
で測定出来ない部分については、熱伝達に関する係数を
求め、該係数により当該測定出来ない部分の温度を計算
する。
【0019】そして温度データの代入は、上述した様に
求められた測定結果と、前記シミュレーションモデルと
をディスプレイ上で重ね合わせることが可能であり、あ
るいは手入力によって行われる。そして、シミュレーシ
ョンモデルに全ての温度データを代入すれば(例えばF
EMモデルを用いた場合には、所謂「節点」毎に重ね合
わせる)、高温損傷耐久性を評価するべき機器の全体に
亘る温度分布が確定する。
【0020】温度分布が確定したならば、評価の対象と
なる機器の非加熱状態における応力分布を確定する。そ
のため、燃焼実験が行われた機器の各部分を構成する材
料片を採取し、該材料片の引張り試験を行って、応力−
ひずみ線図を作成する。そして各部分の材料片の該応力
−ひずみ線図から得られる応力のデータを、シミュレー
ションモデルの対応する部分に代入する。これにより、
前記機器の応力データの入力が完了する。
【0021】そして、加熱された際の温度分布と応力デ
ータに基づいて、高温損傷耐久性(或いは寿命)評価の
対象となる機器が加熱された場合における応力分布を推
測或いは解析する(熱応力解析工程)。ここで、前記機
器全体のひずみ測定試験を行って該機器全体のひずみを
実測し、該実測ひずみと熱応力解析工程により得られた
前記機器の加熱状態における応力分布とを比較対照すれ
ば、熱応力解析工程の解析結果の妥当性を検証すること
が出来る。
【0022】次に加熱状態における応力分布と非加熱状
態における応力分布により、機器の各部分における加熱
状態の応力と非加熱状態の応力との差を求める。この応
力差は、熱交換器の運転状態(加熱)の応力と停止状態
(非加熱)の応力との差であり、運転・停止を繰り返し
た場合における応力振幅である。この応力振幅と、運転
・停止の繰り返し回数との特性(すなわち応力振幅−寿
命曲線)とを用いれば、求められた応力振幅において
は、寿命となる繰り返し回数(限界繰り返し回数)が何
回程度であるかが求まる。
【0023】応力振幅の決定に必要な非加熱状態におけ
る応力分布は、材料片が線形材料であれば、当該材料片
における非加熱状態の応力は、加熱される以前の段階に
おける応力(初期応力)に等しい。従って、線形材料で
あれば上述した引張り試験により得られた応力データか
ら、そのまま非加熱状態における応力分布が求められる
のである。一方、非線形材料の場合は、加熱される以前
の段階における応力と、加熱後における休止状態の応力
とは同一ではない。そのため、非加熱状態における応力
として休止状態の応力を求める必要がある。非線形材料
の場合における休止状態の応力は、熱応力解析工程によ
り解析された加熱された場合における応力分布と、休止
状態における機器の温度分布とにより求められる。そし
て、求められた休止状態の応力と、熱応力解析工程で求
められた過熱状態の応力との差異から、応力振幅が計算
されるのである。
【0024】この様にして応力振幅が求められたなら
ば、熱交換器設計において設定された使用回数(例え
ば、一般家庭用の熱交換器では10万回、業務用では3
0万回)が、限界繰り返し回数以下であるならば、当該
熱交換器は十分な高温損傷耐久性を有していると判断さ
れ、限界繰り返し回数が設定使用回数を下回っていれ
ば、高温損傷耐久性が不足すると判断される。その結
果、従来は経験則により定性的に判断されてきた寿命或
いは高温損傷耐久性の判断が、定量的に判断されること
となる。そのため、寿命或いは高温損傷耐久性の判断の
信頼性が飛躍的に向上するのである。
【0025】また、代入されるデータは全て実際の実験
結果であるため、従来の各種シミュレーションに比較し
て、精度が桁違いに高くなる。同様に、材質による相違
を考慮した寿命或いは高温損傷耐久性の判断が可能とな
ることから、材質開発についても適用することが出来る
のである。
【0026】これに加えて耐久試験が不要となるため、
それに費やされていた金銭的或いは時間的コストが節約
される。換言すれば、短時間に低価格にて熱交換器等の
加熱される機器の開発が完了する。
【0027】さらに、経験則に基づくこと無く、定量的
な評価が下されるため、過去の事例にとらわれない斬新
な設計が可能となる。
【0028】
【実施例】以下、図1−5を用いて本発明の1実施例に
ついて説明する。この実施例においては、設計するべく
機器は熱交換器であり、シミュレーションモデルとして
FEMモデルを用いている。
【0029】先ず、高温損傷耐久性を評価するべき機器
についてシミュレーションモデルを作成する手段である
FEMモデル作成手段14(図1)により、図3におい
て全体を符号16で示す様な、熱交換器(実機は図示せ
ず)のFEMモデルを作成する(図2のステップS
1)。ここで、FEMモデル作成手段14は、本発明で
行われる各種解析の準備及び結果処理を行うためのプリ
・ポスト用ワークステーション(図1の符号12)で構
成されるが、図1では該ワークステーション12の一部
分として図示する。
【0030】次に、熱交換器の実機による燃焼試験を行
い(図2のステップS2)、熱交換器各部の温度データ
を放射温度計により測定可能な箇所については、その測
定結果をディスプレイの画面上に表示する(図6のステ
ップS31、S32)。この実施例では図1で示す様
に、サーモビュアー17によりディスプレイを有する端
末18へ熱画像データが送られ、該端末18の熱画像デ
ータ処理手段20により処理されて、図4において符号
22で示す様な熱画像データが作成される。
【0031】一方、当該熱交換器において放射温度計で
は測定出来ない箇所については、熱電対、温度ゲージ、
データロガー等を用いてフィンや内部のガス温度等の様
なその他のデータを計測し(図6:ステップS33)、
このデータから熱伝達に関する係数を計算して(ステッ
プS34)、該係数と放射温度計等で計測された箇所の
温度等を用いて温度の推定或いは解析を行うのである。
なお、ステップS33で求めたデータをそのまま温度分
布を決定するのに用いる場合も存在する。
【0032】次に、解析用ワークステーション24(図
1)により、熱交換器の温度分布を確定せしめる熱伝導
解析工程を行う(図2のステップS4)。ここで図1に
おいては、熱伝導解析手段26がワークステーション2
4の一部分として図示されている。そしてステップS4
は、図3及び図4において、FEMモデル16の節点1
6−1、16−2、16−3、16−4に、全体を符号
22で示す熱画像データの対応する部分の熱画像データ
22−1、22−2、22−3、22−4を代入するこ
とによって行うことも可能であり、手入力で行うことも
可能である。より具体的には、サーモビュアー17にデ
ィスプレイ画面上に表示された測定結果と、FEMモデ
ル16とを重ね合わせて合成することにより、FEMモ
デルの節点へ熱画像データが代入される。なお図1を簡
略化するため、データの流れはラインSL−1、LAN
−1、LAN−2により代表して表示してある。
【0033】熱交換器の温度分布が確定したならば(ス
テップS4完了)、引張り試験機28(図1)により熱
交換器の各部分を構成する材料片の引張り試験を行い
(図2のステップS5)、その試験結果を信号伝達ライ
ンSL−2を介して引張試験結果処理手段30へ送り、
各部分について応力−ひずみ線図を作成して(ステップ
S6)、応力・ひずみデータを得る。そして、この各部
分についての応力・ひずみデータをFEMモデル16の
対応する部分に代入する。ここで、材料片が線形材料で
あり、高温損傷を判定するに際して応力の挙動が線形で
あると考えられるのであれば、該応力・ひずみデータに
より非加熱状態における熱交換器の応力分布が確定され
る。
【0034】次に、ステップS6の応力データ及びステ
ップS4で確定した温度分布を用いて、解析用ワークス
テーション14により(図1では熱応力解析手段30が
ワークステーション14の一部分として示されてい
る)、加熱状態における応力分布を確定する(ステップ
S7)。
【0035】ステップS7で確定された加熱状態におけ
る応力分布は、実機を加熱した状態で各部分の応力を計
測したものでは無く、加熱状態における温度分布と非加
熱状態における応力分布とから、シミュレーションによ
り推定されたものである。従って、これが実際に加熱さ
れた熱交換器における応力分布と同一であるという保証
は、ステップS7完了の段階で100%保証することは
困難である。換言すれば、ステップS7で確定された加
熱状態における応力分布が信頼出来るものであるか否か
のチェックが必要である。そのため、ひずみ試験機32
により、加熱された交換機についてひずみ試験を行い
(ステップS8)、その試験結果を信号伝達ラインSL
−2を介してひずみ試験結果処理手段34へ送出して、
加熱された実機のひずみを検出する(ステップS9)。
ここでステップS6で作成した応力−ひずみ線図を用い
れば、ステップS7で求まった加熱された熱交換器にお
ける応力分布からひずみが計算される。このひずみとス
テップS9で検出されたひずみとを比較して、両者に顕
著な差異が無ければ、ステップS7で求まった加熱され
た熱交換器における応力分布の妥当性が証明される(ス
テップS10)。
【0036】非加熱状態における応力分布と、ステップ
S7の結果である加熱状態における応力分布とを比較す
れば、加熱前と加熱後の応力の差異が求まる。この差異
は加熱によって発生する変動であり、熱交換器の運転・
休止を繰り返した場合における応力変動或いは応力振幅
(最大応力振幅)に該当する。換言すれば、これにより
最大応力振幅が求まるのである(ステップS11)。
【0037】もしも材料片が線形材料であれば、ステッ
プS6に関連して説明した様に、加熱する以前の応力或
いは初期応力と、非加熱状態の応力とは同義である。す
なわち、図7において、加熱する以前の初期状態を符号
「1」、加熱状態を符号「2」、加熱後の休止状態を符
号「3」示すと、初期状態1と休止状態3とは完全に一
致しており、それぞれの応力σ1とσ3は等しい。従っ
て、ステップS6の応力・ひずみデータから非加熱状態
の応力が一義的に導き出される。
【0038】これに対して、材料片が非線形材料であれ
ば応力は図8で示す様な特性を示し、状態1と状態3と
は一致せず、ステップS6の応力・ひずみデータと非加
熱状態の応力とは一致しない。また図9で示す様に、耐
久試験等に際しては、1サイクルの間に温度T3が初期
温度T1まで下がる以前に次回の加熱が行われるので、
線形材料であっても初期応力と休止状態の応力とは一致
しない場合が多い。この様な非線形材料にあっては、高
温損傷に対する耐久性の判定基準である応力振幅として
は、加熱状態の応力と休止状態の応力との差異を採用す
るべきである。
【0039】そのため、図10で示す様に、最大応力振
幅を決定する(ステップS11)に先立って、ステップ
S20において休止状態の応力分布を求めている。具体
的には、ステップS3及びS4と同様の過程にて休止状
態における機器の応力分布を決定し、当該温度分布と、
ステップS7の熱応力解析工程により解析された加熱状
態の応力分布とにより、休止状態の応力分布が求められ
るのである。そして、ステップS7で求まった加熱状態
の応力(応力分布)と、ステップS20で求まった休止
状態の応力(応力分布)との差異を求めれば、加熱と休
止とを繰り返す場合における応力振幅が求まるのであ
る。
【0040】応力振幅が求まったならば、線形材料も非
線形材料も同一の工程により高温損傷に対する耐久性が
評価される。この場合、熱交換器の部品を構成する材料
は予め分かっており、その材料における最大応力振幅と
寿命との特性(疲労曲線)も各種データが揃っている。
従って、例えば図5で示す様な応力振幅−寿命曲線を予
め解析準備手段36(図1)に記憶しておき(ステップ
S12)、評価の対象となるべき熱交換器における応力
振幅から、図5で示す特性曲線を用いて、その応力振幅
に対応する限界繰り返し回数を求める。そして、限界繰
り返し回数が10万回を越えていれば、家庭用製品に用
いられる熱交換器としての高温損傷耐久性は十分にあ
る、と評価することが出来る(高温損傷耐久性評価工
程:図2のステップS13)。この様な評価は、図1に
おいて符号38で示す解析結果処理手段により行われ
る。
【0041】ステップS13の高温損傷耐久性評価工程
について更に説明すれば、仮に応力振幅が8.36Kg
/mm2 であれば、図5において符号Nf−3で示す高
温損傷特性を有する素材製の部品であれば約32万回の
運転・休止の繰り返しに耐えることが出来るので、家庭
用としては勿論、業務用製品に用いられる熱交換器とし
ても高温損傷耐久性は十分にある、と評価される。ま
た、図5において符号Nfで示す高温損傷特性を有する
素材製の部品であれば約65万回の運転・休止の繰り返
しに耐えることが出来るので、業務用としての高温損傷
耐久性は十分であると、評価される。
【0042】これに対して、図5において符号Nf−4
で示す高温損傷特性を有する素材製の部品の場合は、限
界繰り返し回数が10万回を越えているため家庭用製品
としては十分な高温損傷耐久性を有すると判定される
が、30万回には達していないので、その高温損傷耐久
性は業務用製品に用いられる熱交換器としては不十分で
あると評価される。
【0043】ここで図示の実施例による判定は、図5の
様な高温損傷曲線から得られた限界繰り返し回数が所定
の回数(例えば家庭用熱交換器ならば10万回、業務用
熱交換器ならば30万回)を越えているか否かという定
量的な判定であるため、非常に正確である。
【0044】図示の実施例においては、設計するべく機
器は熱交換器であり、シミュレーションモデルとしてF
EMモデルを用いた有限要素法による解析について説明
されているが、これに限定する趣旨では無い旨を付記す
る。
【0045】
【発明の効果】本発明の作用効果を以下に列挙する。 (1) 高温損傷耐久性評価を定量的に行うことが出来
る。 (2) 放射温度計の画面データをそのまま利用して解
析することが出来るため、解析にかかる労力が省力化さ
れる。 (3) 数値化された合理的な判断に基づく高温損傷耐
久性評価を基準として、熱交換器等を設計することが可
能である。 (4) 試作から高温損傷耐久性の評価までの時間が短
縮されるので、開発に伴う時間的、金銭的な負担が軽減
され、開発が容易になる。 (5) 材質を考慮した開発が可能となる。 (6) 定量的な評価が行われることから、開発に関す
るデータベースの構築が容易となる。 (7) 従来の経験則に基づく開発では成し得なかった
斬新な設計が可能である。
【0046】(8) 線形材料であっても、非線形材料
であっても、正確且つ容易に評価が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示すブロック図。
【図2】線形材料の場合において、図1の実施例を用い
た高温損傷耐久性評価の工程を示す流れ図。
【図3】図示の実施例で使用されるFEMモデルの一例
を示す図。
【図4】図示の実施例で使用される熱画像データの一例
を示す図。
【図5】図示の実施例の高温損傷耐久性評価に際して用
いられる応力振幅−寿命曲線の一例を示す図。
【図6】温度データを測定する工程を具体的に表現した
フローチャートを示す図。
【図7】線形材料の応力特性を示す応力−ひずみ線図。
【図8】非線形材料の応力特性を示す応力−ひずみ線
図。
【図9】耐久試験における加熱特性を示す特性図。
【図10】非線形材料の場合において、図1の実施例を
用いた高温損傷耐久性評価の工程を示す流れ図。
【図11】従来技術における開発手順を示す流れ図。
【符号の説明】
12・・・プリ・ポスト用ワークステーション 14・・・FEMモデル作成手段 16・・・熱交換器(実機は図示せず)のFEMモデル 16−1、16−2、16−3、16−4・・・FEM
モデルの節点 17・・・サーモビュアー 18・・・端末 20・・・熱画像データ処理手段 22、22−1、22−2、22−3、22−4・・・
熱画像データ 24・・・解析用ワークステーション 26・・・熱伝導解析手段 SL−1、SL−2・・・信号伝達ライン LAN−1、LAN−2・・・LAN回線(信号伝達ラ
イン) 28・・・引張り試験機 30・・・引張試験結果処理手段 32・・・ひずみ試験機 34・・・ひずみ試験結果処理手段 36・・・解析準備手段 38・・・解析結果処理手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温損傷耐久性を評価するべき機器につ
    いてシミュレーションモデルを作成する工程と、前記機
    器の燃焼実験を行い各部の温度データを測定する工程
    と、前記温度データを作成されたシミュレーションモデ
    ルの対応する部分に代入して温度分布を確定せしめる熱
    伝導解析工程と、前記機器の各部分を構成する材料片に
    対して引張り試験を行い各部分について応力・ひずみデ
    ータを得て作成されたシミュレーションモデルの対応す
    る部分に代入する工程と、熱伝導解析工程により得られ
    た温度分布及び前記応力・ひずみデータから加熱状態に
    おける応力分布を確定する熱応力解析工程と、該熱応力
    解析工程により得られた前記機器の加熱状態における応
    力分布と前記機器の高温損傷データとを用いて該機器の
    高温損傷耐久性を定量的に評価する工程、とを含むこと
    を特徴とする高温損傷耐久性評価方法。
  2. 【請求項2】 高温損傷耐久性を評価するべき機器のひ
    ずみ測定試験を行って該機器全体のひずみを実測する工
    程と、前記熱応力解析工程により得られた前記機器の加
    熱状態における応力分布と実測された前記機器全体のひ
    ずみとを比較して前記熱応力解析工程の解析結果の妥当
    性を検証する工程、を含む請求項1の高温損傷耐久性評
    価方法。
  3. 【請求項3】 高温損傷耐久性を評価するべき機器につ
    いてシミュレーションモデルを作成する手段と、前記機
    器の燃焼実験により得られた該機器各部の温度データを
    前記シミュレーションモデルの対応する部分に代入して
    温度分布を確定する熱伝導解析手段と、前記機器の各部
    分を構成する材料片の引張り試験により得られた該材料
    片の各々の応力・ひずみデータを前記シミュレーション
    モデルに代入し、前記温度分布及び応力・ひずみデータ
    から加熱状態における応力分布を確定する熱応力解析手
    段と、該熱応力手段により得られた前記機器の加熱後の
    応力分布と前記機器の高温損傷データにより該機器の高
    温損傷耐久性を評価する評価手段、とを含むことを特徴
    とする高温損傷耐久性評価装置。
  4. 【請求項4】 高温損傷耐久性を評価するべき機器のひ
    ずみ測定試験により得られた該機器全体の実測ひずみ
    と、前記熱応力解析手段により得られた前記機器の加熱
    後の応力分布とを比較して、前記熱応力解析手段の解析
    結果の妥当性を検証する検証手段を含む請求項3の高温
    損傷耐久性評価装置。
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