JP3742170B2 - 耐久性評価装置および方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器等のように加熱状態と休止状態とが繰り返される機器等の耐久性を評価するための耐久性評価装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加熱状態と休止状態とが繰り返される機器、例えば熱交換器については、以下のような手順に従って開発が行われていた。すなわち、まず、設計段階においては、以前からの経験則に基づいて各種数値を決定する。その際に、安全性を見込んでいわゆるオーバースペックな設計とするのが一般的である。ここで、設計が経験則に基づいて行われるのは、特に疲労破壊に対する寿命については理論的な解析が非常に困難であり、計算による定量的な判断を下すことが不可能だったからである。設計終了後、設計された熱交換器が使用される環境を予測して、それに見合った耐久試験を行う。例えば、一般的な家庭用給湯器で用いられる熱交換器であれば、最高出力温度で1分間隔にて運転、停止を10万回繰り返す(所要期間は約5か月)。また、業務用機器に用いられる熱交換器であれば、運転、停止繰り返し回数は30万回である。そして、耐久試験の結果、問題が無ければ、開発を終了する。
【0003】
しかし、従来の開発手順においては、特に寿命に関しては経験則に基づく試行錯誤による判断しかできないため、論理的あるいは合理的に定量的な判断に基づいて熱交換器を開発することが不可能であるという問題点があった。また、経験則に基づく設計を行っている限りにおいては、過去の経験を生かすことができないような斬新な設計を行うことが不可能である。その結果、過去のものと変わりないような熱交換器しか設計されないこととなる。
【0004】
また、従来の開発手順においては、耐久試験の評価が非常に重要であるが、耐久試験には莫大な金銭的コスト、時間(家庭用給湯器で用いられる熱交換器であれば、約5か月)が費やされるという問題点がある。
【0005】
更に、従来の開発手順においては、寿命についての定量的に評価することができなかったため、耐久試験の信頼性についても完全なものではない。そのため設計に際しては、強度的な余裕を大幅に持たせたオーバースペックな設計にせざるを得なかった。
【0006】
これらの問題点に対処するために、本出願人は、先に提出した特願平7−72601号や特願平8−161580号において、高温耐久性を評価すべき機器についてのシミュレーションモデルを作成し、機器の加熱状態における温度分布と機器を構成する材料片の応力−歪み特性とに基づいて、熱応力解析によって、シミュレーションモデルの加熱状態における応力分布を求め、この応力分布と機器の寿命特性とに基づいて機器の高温耐久性を評価するシステムを提案している。システムによれば、機器の高温耐久性を定量的に評価することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記各特許出願において提案したシステムでは、給湯器に使用される熱交換器のような特定の機器を、高温耐久性の評価対象として、システム全体が設計されていた。そのため、ファンヒータやボイラ等、熱応力が発生する他の種類の機器について、同様に高温耐久性を評価する場合には、対象とする機器用のシステムを新たに構築する必要があった。そのため、複数種類の機器を評価対象とする場合には、複数のシステムやプログラムが必要になり、設備の規模およびコストが大きくなるという問題点があった。
【0008】
また、前記各特許出願において提案したシステムでは、コンピュータ(ワークステーション)によって、シミュレーションモデルの作成から高温耐久性の評価までの一連の動作を実行するようにしていた。そのため、このシステムを利用して高温耐久性の評価を行う場合には、必要なデータ、例えばシミュレーションモデルの作成に必要なデータを予め用意しておく必要があり、必要なデータが全て用意されていなければシステムを利用することができず、システムの一部の機能のみを利用することもできなかった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、設備の規模およびコストを大きくすることなく、種々の機器についての耐久性の評価を可能にすると共に、一部の機能のみの利用も可能にした耐久性評価装置および方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の耐久性評価装置は、熱交換器モデルを展開図に展開して得られる複数の主要面を示す主要面ファイルを熱交換器モデルの種類ごとに記憶する記憶手段と、耐久性を評価すべき熱交換器についての種類データおよび寸法データの入力を受け付ける受付手段と、耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成するモデル作成手段と、このモデル作成手段によって作成されたシミュレーションモデルの応力分布を求める応力解析手段と、この応力解析手段によって求められた応力分布と熱交換器の寿命特性とに基づいて熱交換器の耐久性を評価する評価手段とを備え、モデル作成手段、応力解析手段および評価手段が、プログラムされたコンピュータによって実現され、且つコンピュータが実行するプログラムのうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、交換可能なルーチンとして形成され、モデル作成手段は、受付手段が受け付けた種類データに対応した熱交換器モデルの主要面ファイルを記憶手段より読み出したのち、その主要面ファイルに受付手段が受け付けた寸法データを与えることにより耐久性を評価すべき熱交換器についての三次元座標のファイルを作成するようになっている。
【0011】
この耐久性評価装置では、モデル作成手段によって、耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルが作成され、応力解析手段によって、シミュレーションモデルの応力分布が求められ、この応力分布と熱交換器の寿命特性とに基づいて、評価手段によって、熱交換器器の耐久性が評価される。モデル作成手段、応力解析手段および評価手段は、プログラムされたコンピュータによって実現され、且つコンピュータが実行するプログラムのうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分は、交換可能なルーチンとして形成されているので、このルーチンを交換することで、種々の機器についての耐久性の評価が可能になる。また、プログラムのうちの交換可能なルーチンと他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットに従ってデータの受け渡しを行うことで、耐久性評価装置における一部の機能のみの利用も可能となる。
【0012】
請求項4記載の耐久性評価装置は、熱交換器モデルを展開図に展開して得られる複数の主要面を示す主要面ファイルを熱交換器モデルの種類ごとに記憶する記憶手段と、耐久性を評価すべき熱交換器についての種類データおよび寸法データの入力を受け付ける受付手段と、耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成するモデル作成手段と、このモデル作成手段によって作成されたシミュレーションモデルの応力分布を求める応力解析手段と、この応力解析手段によって求められた応力分布と熱交換器の寿命特性とに基づいて熱交換器の耐久性を評価する評価手段とを備え、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、交換可能な部品として形成され、モデル作成手段は、受付手段が受け付けた種類データに対応した熱交換器モデルの主要面ファイルを記憶手段より読み出したのち、その主要面ファイルに受付手段が受け付けた寸法データを与えることにより耐久性を評価すべき熱交換器についての三次元座標のファイルを作成するようになっている。
【0013】
この耐久性評価装置では、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、交換可能な部品として形成されているので、この部品を交換することで、種々の熱交換器についての耐久性の評価が可能になる。また、交換可能な部品と他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットに従ってデータの受け渡しを行うことで、耐久性評価装置における一部の機能のみの利用も可能となる。
【0014】
請求項7記載の耐久性評価方法は、熱交換器モデルを展開図に展開して得られる複数の主要面を示す主要面ファイルを熱交換器モデルの種類ごとに記憶手段に記憶する記憶手順と、耐久性を評価すべき熱交換器についての種類データおよび寸法データの入力を受け付ける受付手順と、耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成するモデル作成手順と、このモデル作成手順によって作成されたシミュレーションモデルの応力分布を求める応力解析手順と、この応力解析手順によって求められた応力分布と熱交換器の寿命特性とに基づいて熱交換器の耐久性を評価する評価手順とをコンピュータによって実行するようにした耐久性評価方法である。モデル作成手順、応力解析手順および評価手順のうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分を、それぞれ、交換可能なルーチンとして形成し、モデル作成手順において、受け付けた種類データに対応した熱交換器モデルの主要面ファイルを記憶手段より読み出したのち、受け付けた寸法データをその主要面ファイルに与えることにより耐久性を評価すべき熱交換器についての三次元座標のファイルを作成するようになっている。
【0015】
この耐久性評価方法では、モデル作成手順によって、耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルが作成され、応力解析手順によって、シミュレーションモデルの応力分布が求められ、評価手順によって、応力分布と熱交換器の寿命特性とに基づいて熱交換器の耐久性が評価される。モデル作成手順、応力解析手順および評価手順を実行するコンピュータのうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分は、交換可能なルーチンとして形成されているので、ルーチンを交換することで、種々の熱交換器についての耐久性の評価が可能になる。また、プログラムのうちの交換可能なルーチンと他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットに従ってデータの受け渡しを行うことで、耐久性評価方法における一部の機能のみの利用も可能となる。
【0016】
なお、応力解析手段または応力解析手順は、例えば、熱交換器の加熱状態における温度分布と熱交換器を構成する材料片の応力−歪み特性とに基づいて、シミュレーションモデルの加熱状態における応力分布を求めるものでも良いし、熱交換器に作用する機械的な外力および拘束による応力分布を求めるものでも良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る耐久性評価装置の概略の構成を示す説明図である。なお、以下では、耐久性を評価すべき機器として、給湯器用の熱交換器を例にとって説明する。本実施の形態に係る耐久性評価装置は、本発明におけるモデル作成手段、熱応力解析手段および評価手段を実現する本発明におけるコンピュータに相当するワークステーション10を備えている。このワークステーション10には、有限要素法モデル作成プログラムが格納されたファイル11,熱伝導解析と熱応力解析を行う有限要素法プログラムが格納されたファイル12,熱交換器の種類分の主要面ファイルf1,f2,f3,…が格納されたファイル13,モデル対応の主要面ファイルが格納されるファイル14,要素データファイルが可能されるファイル15,温度分布ファイルが格納されるファイル16および応力分布ファイルが格納されるファイル17を記憶するための記憶手段が接続または内蔵されている。また、ワークステーション10には、加熱状態における熱交換器の温度データ等が入力されるようになっている。なお、有限要素法モデル作成プログラムが格納されたファイル11,有限要素法プログラムが格納されたファイル12および主要面ファイルが格納されたファイル13を記憶するための記憶手段は、IC(集積回路)メモリでも良いし、ハードディスク,磁気テープ,光ディスク等、コンピュータが読取可能な種々の記憶媒体でも良い。同様に、ファイル14〜17を記憶するための記憶手段も、書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、ICメモリ,ハードディスク,磁気テープ,光ディスク等のいずれでも良い。
【0019】
図2は、本実施の形態に係る耐久性評価装置の構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る耐久性評価装置は、前述のワークステーション10の他に、温度データ等をワークステーションに入力するための端末30を備えている。この端末30は例えばパーソナルコンピュータによって構成されている。
【0020】
ワークステーション10は、熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成するモデル作成手段21と、このモデル作成手段21によって作成されたシミュレーションモデルに対応させて熱交換器の実際の加熱状態における温度データを設定する温度データ設定手段22と、この温度データ設定手段22によって設定された温度データと熱伝導特性とに基づいて、熱交換器の加熱状態における温度分布を求める熱伝導解析手段23と、この熱伝導解析手段23によって求められた温度分布と熱交換器を構成する材料片の応力−歪み特性とに基づいて、モデル作成手段21によって作成されたシミュレーションモデルの加熱状態における応力分布を求める熱応力解析手段24と、この熱応力解析手段24によって求められた応力分布の妥当性を検証する解析結果検証手段25と、熱交換器の寿命特性データを保持する寿命特性データ保持手段26と、熱応力解析手段24によって求められた応力分布と寿命特性データ保持手段26によって保持された寿命特性データとに基づいて熱交換器の耐久性を評価する耐久性評価手段27とを備えている。
【0021】
ワークステーション10は、図示しないが、CPU(中央処理装置),ROM(リード・オンリ・メモリ),RAM(ランダム・アクセス・メモリ)および入出力部を含み、RAMをワーキングエリアとして、内部あるいは外部の記憶手段に格納されたプログラムを実行することによって、上記各手段を実現するようになっている。特に、モデル作成手段21は、図1に示したファイル11に格納された有限要素法モデル作成プログラムを実行することによって実現され、熱伝導解析手段23および熱応力解析手段24は、図1に示したファイル12に格納された有限要素法プログラムを実行することによって実現される。有限要素法プログラムとしては、種々の市販されている熱伝導解析用あるいは熱応力解析用のシミュレーションプログラム(H.K.S.社販売のABAQUS等)を使用することが可能である。
【0022】
端末30は、サーモビューワ34や他の温度検出手段35によって検出された熱交換器の各部の温度データを、ワークステーション10に入力するのに適した形式となるように処理して、ワークステーション10の温度データ設定手段22に対して与える温度データ処理手段31と、引張試験機36によって熱交換器の各部分を構成する材料片の引張試験を行って得られたデータを入力し、熱交換器の各部分について応力−歪み特性(応力−歪み線図)を作成して、そのデータをワークステーション10の熱応力解析手段24に対して与える引張試験結果処理手段32と、歪み試験機37によって加熱状態における熱交換器の歪みを測定して得られたデータを入力し、そのデータをワークステーション10の解析結果検証手段25に対して与える歪み試験結果処理手段33とを備えている。
【0023】
本実施の形態では、図2に示したワークステーション10における各手段21〜27を実現するプログラムは、それぞれ、交換可能なルーチンとして形成されている。また、ワークステーション10が実行するプログラムのうち、交換可能なルーチンと他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットは統一されている。従って、各手段21〜27を実現するルーチンを、それぞれ、耐久性を評価すべき機器に適したものに交換することで、種々の機器についての耐久性の評価が可能になる。耐久性を評価すべき機器として、給湯器用の熱交換器以外の例としては、ガスエアコンの熱交換器,ガスや石油を使用するファンヒータの燃焼室,FF(Forced Flue)暖房機の熱交換器,水水熱交換器,ボイラ,セラミックヒータ,オイルヒータの熱交換器,電気ポット,炊飯器の釜等がある。これらの機器の耐久性を評価する場合には、各手段21〜27を実現するルーチンのうち、評価すべき機器に応じて処理内容が変更されるものについては、評価すべき機器に適したものに交換する。また、この場合、図1における主要面ファイル13も、評価すべき機器に対応した主要面ファイルに交換する。
【0024】
次に、耐久性を評価すべき機器が給湯器用の熱交換器である場合を例にとって、本実施の形態に係る耐久性評価装置の動作および本実施の形態に係る耐久性評価方法について説明する。
【0025】
図3は、本実施の形態に係る耐久性評価装置の全体の動作を示す流れ図である。この動作では、まず、モデル作成手段21によって、耐久性を評価すべき機器である熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成する(ステップS101)。次に、温度データ設定手段22によって、シミュレーションモデルに対応させて、温度データ処理手段31より送られた熱交換器の実際の加熱状態における温度データを設定する(ステップS102)。次に、設定された温度データと熱伝導特性とに基づいて、熱伝導解析手段23によって、熱交換器の加熱状態における温度分布を求める熱伝導解析を行う(ステップS103)。次に、熱伝導解析によって求められた温度分布と熱交換器を構成する材料片の応力−歪み特性とに基づいて、熱応力解析手段24によって、シミュレーションモデルの加熱状態における応力分布を求める熱応力解析を行う(ステップS104)。次に、解析結果検証手段25によって、熱応力解析によって求められた応力分布の妥当性を検証する解析結果検証を行う(ステップS105)。次に、熱応力解析によって求められた応力分布と寿命特性データ保持手段26によって保持された寿命特性データとに基づいて、耐久性評価手段27によって、熱交換器の耐久性(高温耐久性)を評価して(ステップS106)、動作を終了する。
【0026】
次に、図4の流れ図を参照して、図3におけるシミュレーションモデルの作成(ステップS101)について説明する。熱交換器を何万もの要素に分解する手法として具体的には、熱交換器の部品をメッシュ状に分解してそれぞれのメッシュを要素とすることが最も一般的である。しかしながら、前述の有限要素法プログラムのABAQUS等において、熱交換器を何万ものメッシュ状の要素に分解してそれぞれの要素データとして入力するためには、一般的には手作業で一つ一つの要素に対するコマンドを与えることになり実用的ではない。
【0027】
そこで、本実施の形態におけるモデル作成では、熱交換器モデルを複数の主要面に展開した主要面ファイルを、予めモデルの種類(水管巻き数)分だけ準備しておき(ステップS111)、解析の対象となる熱交換器モデルの種類データと熱交換器の大きさを特定する寸法データとを与える(ステップS112)ことで、解析の対象となる熱交換器の主要面ファイルを簡単に作成することができるようにしている。具体的には、モデルの種類に対応した主要面ファイルから、約250の主要面の4節点の3次元座標のファイルを作成する(ステップS113)。そして、その主要面ファイルの各主要面に対して、メッシュ(要素)に分解(展開)するための必要なデータ(分割数または要素サイズ)を与える(ステップS114)ことで、メッシュに分解された要素のデータファイルを作成する(S115)。具体的には、4節点座標と板厚を属性とする要素(メッシュ)データファイルまたは20個の積分点の座標を属性とする要素(メッシュ)データファイルを作成する。このようにして、本実施の形態では、有限要素法に必要な熱交換器モデルを要素に展開したデータファイルを比較的簡単に且つ短時間で生成することができるようになっている。
【0028】
次に、図5ないし図10を参照して、上述のモデルの作成について詳しく説明する。図5は、給湯器等に使用される一般的な熱交換器40の斜視図である。熱交換器40は、フィン部41、内胴部42、スカート部43および水管部45を備えている。フィン部41と内胴部42は、斜面部44によって接続されている。このような熱交換器40は、上記の主要な構成はいずれのモデルでも同様であり、異なるのは、それぞれの寸法と水管の巻き数である。従って、本実施の形態では、この熱交換器40に対して、予め主要面に展開したファイルを水管の巻き数の種類分だけ用意することで、寸法と水管の巻き数を入力データとして与えれば対象となる熱交換器モデルの主要面ファイルを作成することができるようにしている。なお、全種類の主要面ファイルは、図1に示したファイル13に格納される。
【0029】
図5は、一例として水管の巻き数が2の場合の熱交換器について示したが、この場合における熱交換器モデルでは、例えば、図中に示した主要面M1〜M27に分解されて、その展開図があらかじめ用意されている。図6は、その展開図の一部を示したものであり、図5における正面から見た部分の主要面だけを示している。この図では、フィン部41は、上面M1と外側面M2に展開され、内胴部42はその側面が水管部45で分割された3つの面M10,M14,M18からなり、スカート部43は面M22となり、斜面部44は面M6となっている。
【0030】
例えば、水管の巻き数が3になると、内胴部42において水管部45によって分割される面は4つになる。従って、その場合は、別の種類の主要面ファイルを使用することになる。なお、具体的な熱交換器では、上面M1に該当する部分は、複数の放熱フィンとこのフィンを貫く水管とに更に展開される。
【0031】
ところで、熱交換器における展開された主要面の組み合わせの種類は、主に巻き数の種類分しか必要ないが、熱交換器の寸法によってその分解された主要面の大きさが異なってくる。そこで、図4におけるステップS112では、対象とする熱交換器モデルの高さ、内胴部42の長さL,幅W,高さH,板厚、フィン部41の長さL,幅W,高さH,板厚、スカート部43の長さL,幅W,高さH,板厚、水管位置、図示しないが水管のフィン部41への入管位置、フィンの枚数と板厚、フィンと水管の接続部等の、予め準備している主要面の展開図の大きさを確定するために必要なデータを与える。更に、モデルの種類データとして水管の巻き数も与える。
【0032】
その結果、種類データに従ってモデルの種類に対応する主要面ファイルが選択され、与えられた寸法に従って主要面の4節点の三次元座標データと板厚のデータを属性データとする主要面ファイルが生成される。なお、作成されたモデル対応の主要面ファイルは、図1におけるファイル14に格納される。
【0033】
図7は、その主要面ファイルのデータ構造を示す説明図である。主要面M1〜M28等は、それぞれが属する部分に分類され、各主要面M1〜M28等はその属性デ−タとして4節点の三次元座標データと板厚のデータとを有する。この主要面の数は、例えば250程度であり、これは熱交換器のモデルの詳細さに応じて決定される数である。更に、必要な場合には、内胴部、フィン外部、スカート部のコーナの半径や、水管のコーナの半径、水管の内胴体への接合部の幅等も主要面を確定するための入力データとして与えることもできる。主要面をどの程度の詳細さにするかにより与える入力データが異なることになる。この段階で、対象の熱交換器モデルの三次元形状が確定する。
【0034】
以上のようにして対象となる熱交換器モデルの主要面が特定されると、今度はその各主要面がメッシュ状に分割される。このメッシュが有限要素法での要素として取り扱われることになる。主要面をメッシュ状に分割する際、本実施の形態では、各主要面に対して、オペレータから分割数または要素サイズ(メッシュサイズ)がそれぞれ与えられる。
【0035】
図8は、一例として、主要面Mkを複数のメッシュに分割する場合の主要面とメッシュ(要素)との関係を示す説明図である。主要面Mkは、その4節点(k1、k2、k3、k4)の座標と板厚dとにより確定している。主要面Mkが単純な長方形の場合は、単純にその分割数を与えるだけで、簡単な演算により、図8の上部に示したような要素E1,E2,…,En,…に分解される。そして、各要素は、図8の下部に示したように例えば4つの節点ES1,ES2,ES3,ES4の座標と板厚dで特定される。
【0036】
主要面Mkをメッシュ(要素)に分解する際には、要素のサイズを与えることにより、演算により、分割された要素の4つの節点の座標と板厚dとが求められる。各主要面の大きさがそれぞれ異なる場合などは、分割される要素のサイズを与えることで、全体の要素の大きさを同程度に揃えることができ、有限要素法のプログラムにとってより好ましい場合がある。
【0037】
市販されている有限要素法のプログラムでは、4つの節点の座標と板厚が与えられると、それらの情報を各要素内部の積分点に変換することが行われる。すなわち、図8の下部に示したように、要素の属性データとして、要素内部の×印で示したような積分点50の座標に変換する。あるいは、4節点の座標と板厚に加えて、20個の積分点50の座標を属性データとして持つようにしても良い。このような積分点50を属性データとすることで、後で要素内の20個の点に対する温度データの貼り付けを容易に行うことができる。
【0038】
また、分割された要素について、図8の下部に示したように、4節点の座標と板厚ではなく、内部の×印で示したような積分点50の座標をその属性データとして、有限要素法プログラムに与えても良い。
【0039】
図9は、各要素E1,…,En,…の属性データとして4節点と板厚を有する場合の要素データファイルの一例を示す説明図である。各要素は、主要面の場合と同じように各部分毎に分類されている。このようにして要素データファイルが作成されると、熱交換器モデルはメッシュ状に分解された要素からなるモデルとなる。なお、作成された要素データファイルは、図1に示したファイル15に格納される。
【0040】
図10は、図9に示した要素データファイルに従って、コンピュータの画像処理により合成された熱交換器モデルを示す斜視図である。この図には、解析の対象となる熱交換器モデルの外部について要素に分解した様子を示しているが、要素データファイルには、内部のフィンとそのフィンを貫通している水管についても分解された要素が含まれる。
【0041】
一般に、ABAQUS等の有限要素法のプログラムでは、解析モデルを分解された要素として与えるとき、そのプログラムに適したコマンドに従って与えることが要求される場合がある。その場合は、図9の要素データファイルの属性データに従って、そのコマンドが所定のマクロプログラムにより生成され、有限要素法プログラムに適した形で要素のデータが与えられる。
【0042】
以上のようにして熱交換器モデルが作成されたら、そのモデルについて、加熱時における要素毎の温度の変化を求める。そのためには、実際に作成した熱交換器の実機を加熱状態にし、その温度分布を求めて、図2における温度データ設定手段22によって、要素データファイルの各要素に追加の属性データとして与える。各要素の温度を測定する方法としては、比較的簡単に温度分布のデータを得るために、サーモビューワ34を利用することが好ましい。サーモビューワ34は、加熱したモデルの表面から放射される輻射熱(または放射熱)を検知し、その分布を表すために、分割された各部分の輻射熱データを生成し、この輻射熱データに基づいて、生成表示画面上にその温度分布を色分けして表示するものである。従って、その輻射熱データを、図9に示した要素データファイルに追加の属性データとして与えることができる。
【0043】
なお、フィン内部のようにサーモビューワ34によって温度を測定することが困難な部分の温度については、例えば、加熱状態における熱交換器の主要な点についてのみ、熱電対、温度ゲージ、データロガー等の他の温度検出手段35を利用して測定し、測定された各点の温度を与えることで、図2における熱伝導解析手段23により、熱伝導特性と有限要素法のプログラムによる熱伝導解析によって、全ての要素の温度データを演算により求めることができる。
【0044】
図11は、サーモビューワ34の表示出力の一例を示す説明図である。図8において、より濃い部分は高い温度を意味し、薄い部分は低い温度を意味する。熱交換器モデルは内部のバーナで加熱され、その上部のフィン部において高い温度が検出され、その下部の内胴部やスカート部では比較的低い温度が検出されている。また、水管部では内部に水が循環することから非常に低い温度が検出されている。
【0045】
このようなサーモビューワ34によって検出された温度分布のデータを、要素データファイルに追加の属性データとして与える場合、外部表面に位置するフィン外部、内胴部、スカート部、水管部に対しては、そのままサーモビューワ34によって検出された温度分布のデータを補完法等により主要面毎に貼り付けることができる。例えば、図5および図6に示した主要面M2(フィン外部側面)に対して、サーモビューワ34によって検出された同じ面の輻射熱データを、その4節点に対応させるようにして各要素の温度データとすることができる。サーモビューワ34によって検出された主要面M2の輻射熱データが図9における要素データの数より少ないときには、補完法によりその足りない要素の温度データを求めることができる。逆に、サーモビューワ34によって検出された主要面M2の輻射熱データが図9における要素データの数より多いときには、輻射熱データを間引くことで対応する位置の要素の温度データとすることができる。
【0046】
フィン内部のようにサーモビューワ34によって温度を測定することが困難な部分の温度については、前述のように、測定された各点の温度と熱伝導特性と有限要素法のプログラムによる熱伝導解析によって求めた温度データを、追加の属性データとして与える。
【0047】
次に、図2における熱応力解析手段24によって、有限要素法による熱応力解析を行う。これについて、図12を参照して説明する。図12(a)は、上述のように温度データが要素の属性データとして、20個の積分点毎に与えられた場合における要素Enのデータ構造を示している。このように、サーモビューワ34等によって測定された外部の温度データや主要な点の温度データと、熱伝導特性に基づいて演算された内部の温度データとにより、各要素に温度データが与えられたことで、熱交換器モデルの温度分布がデータとして求められたことになる。この温度分布のデータからなる温度分布ファイルは、図1におけるファイル16に格納される。
【0048】
その後は、図12(b)に示したように、各部品の持つ温度に対する歪み特性F=f(m,T)(部品mと温度Tの関数)を、材料の持つ特性と板厚等から測定して得て、その歪み特性Fにより各要素の歪み量ε(=温度上昇による膨張後のサイズ/元のサイズ)を求める。
【0049】
次に、図12(c)に示したように、引張試験機36によって熱交換器の各部品の材料片毎に測定して得た、温度を変数とする応力−歪み特性(応力−歪み曲線)に従って、各要素に与えられる応力σ(kg/mm2 )を求める。これらの演算は、いずれもABAQUS等の有限要素法を利用したプログラムにより容易に求めることができる。
【0050】
次に、図2における解析結果検証手段25によって、熱応力解析によって求められた応力分布の妥当性を検証する解析結果検証を行う。具体的には、歪み試験機37により、加熱された熱交換器について歪み試験を行い、その試験結果を歪み試験結果処理手段33によって処理して、ワークステーション10の解析結果検証手段25に送る。解析結果検証手段25は、熱応力解析の際に求まった歪みと実測された歪みとを比較して、両者に顕著な差異が無ければ、熱応力解析によって求められた応力分布が妥当であると判断する。
【0051】
なお、この解析結果検証は、行った方が望ましいが、省略しても良い。解析結果検証を省略する場合には、図2における解析結果検証手段25,歪み試験結果処理手段33,歪み試験機37および図3における解析結果検証(ステップS105)が省かれる。
【0052】
次に、休止状態(非加熱状態)についても各要素に与えられる応力を求め、加熱状態における応力と休止状態における応力との差(振幅)を求め、材料毎に、熱交換器の運転,休止を繰り返したときに応力振幅が最大となる要素の応力振幅(最大応力振幅)を抽出することにより、解析の対象となった熱交換器の寿命を知ることができる。
【0053】
図13は、線形の特性を持つ材料の応力−歪み曲線の一例を示したものである。線形の特性を持つ材料の場合、加熱する以前の初期状態▲1▼における応力と加熱後の休止状態▲3▼における応力は等しい。従って、応力振幅は、加熱状態▲2▼における応力と初期状態▲1▼における応力との差と等しい。
【0054】
これに対し、図14に非線形の特性を持つ材料の応力−歪み曲線の一例を示したように、非線形の特性を持つ材料の場合には、初期状態▲1▼における応力と加熱後の休止状態▲3▼における応力は等しくならない。また、図15に示したように、耐久試験等に際しては、温度が初期状態▲1▼における温度まで下がる以前に次の加熱が開始されるサイクルとなって、線形材料であっても初期状態▲1▼における応力と加熱後の休止状態▲3▼における応力とは一致しない材料もある。図14に示した非線形の特性を持つ材料の場合や、図15に示したような材料の場合には、高温損傷に対する耐久性の判定基準である応力振幅としては、加熱状態▲2▼における応力と休止状態▲3▼における応力との差を採用するべきである。そのため、最大応力振幅を決定するに先立って、休止状態における応力分布を求めている。
【0055】
このようにして、応力振幅は求まったならば、図2における耐久性評価手段27によって、高温損傷に対する耐久性が評価される。この場合、熱交換器の部品を構成する材料が予め分かっており、その材料における応力振幅と寿命との関係を示す寿命特性(疲労曲線)も各種データが揃っている。従って、例えば図16に示したように、縦軸に応力振幅、横軸に運転・休止の繰り返し回数をとった寿命特性データを、予め図1における寿命特性データ保持手段26に記憶しておき、評価の対象となる熱交換器における応力振幅から、図15に示した寿命特性データを用いて、その応力振幅に対応する限界繰り返し回数を求めることができる。なお、図16において、符号Nf−1〜4は素材の種類を表している。そして、例えば、限界繰り返し回数が10万回を越えていれば、家庭用製品も用いられる熱交換器としての高温損傷耐久性は十分にあると評価することができる。
【0056】
ここで、図16について説明を加える。仮に応力振幅が8.36kg/mm2 であれば、図16において符号Nf−3で示される耐久性を有する素材製の部品であれは、約32万回の運転・休止の繰り返しに耐えることもできるので、家庭用としてはもちろん、業務用製品に用いられる熱交換器としても耐久性は十分にあると評価される。また、図16において符号Nf−1で示される耐久性を有する素材製の部品であれば約65万回の運転・休止の繰り返しに耐えることができるので、業務用としての耐久性は十分であると評価される。
【0057】
これに対して、図16において符号Nf−4で示す耐久性を有する素材製の部品の場合は、限界繰り返し回数が10万回を越えているため家庭用としては十分な耐久性を有すると判定されるが、30万回には達していないので、その耐久性が業務用製品に用いられる熱交換器としては不十分であると評価される。
【0058】
このように、本実施の形態における耐久性の判定は、図15のような寿命特性データから得られた限界繰り返し回数が所定の回数(例えば家庭用熱交換器ならば10万回、業務用熱交換器ならば30万回)を越えているか否かという定量的な判定であるため、非常に正確である。従って、本実施の形態によれば、適切な構造の熱交換器が設計されたかどうか、また改善すべき箇所はどこか等の情報を実際に何万回かの加熱と休止の繰り返し実験を行うことなく、シミュレーションによって得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る耐久性評価装置および方法によれば、モデル作成手段21,温度データ設定手段22,熱伝導解析手段23,熱応力解析手段24,解析結果検証手段25および耐久性評価手段27を、1台のコンピュータ(ワークステーション10)によって実現し、図3に示したモデル作成(ステップS101)から耐久性評価(ステップS106)までの一例の処理を1台のコンピュータ(ワークステーション10)によってスタンドアロンで実行するようにしたので、安価に耐久性評価のためのシステムを構築できると共に、システムの構築が簡易になり、接続ミス等のミスが発生しにくくなり、更に、複数台のワークステーション間におけるデータ転送がなくなるので、処理時間を短縮することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る耐久性評価装置および方法によれば、耐久性を評価すべき機器についてのシミュレーションモデルを、比較的簡単な操作により、数万個の要素に分解して、適正な入力データを作成することができる。従って、有限要素法を利用したコンピュータプログラムによる熱応力解析を行う場合、その入力データの準備工程を比較的簡単な工程で短時間で完了することができ、現実的な熱応力解析のシミュレーションを可能にすることができる。更に、有限要素法により解析モデルの要素毎の応力振幅とその寿命特性を、コンピュータシミュレーションにより求めることができ、設計段階での耐久性評価を比較的容易に且つ短時間で行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る耐久性評価装置および方法では、図2に示したワークステーション10における各手段21〜27を実現するプログラム(言い換えると、図3における各ステップS101〜S106を実行するプログラム)は、それぞれ、交換可能なルーチンとして形成されている。従って、各手段21〜27を実現するルーチンを、それぞれ、耐久性を評価すべき機器に適したものに交換することで、種々の機器についての耐久性の評価が可能になる。
【0062】
図17には、給湯器用の熱交換器以外の機器の一例として、ファンヒータの燃焼室についてのモデル作成例を示す。このファンヒータの燃焼室の場合は、図17に示したように、ファンヒータの燃焼室のモデルを、各平面に対応する主要面M1,M2,…に分解する。その後の処理は、給湯器用の熱交換器の場合と同様である。
【0063】
また、本実施の形態に係る耐久性評価装置および方法では、耐久性を評価すべき機器が同じ場合であっても、各手段21〜27を実現するルーチンを交換することで、解析内容を修正、変更することも可能となる。
【0064】
また、本実施の形態に係る耐久性評価装置および方法では、ワークステーション10が実行するプログラムのうちの交換可能なルーチンと他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットを統一したので、このフォーマットに従ってデータの受け渡しを行うことで、耐久性評価装置における一部の機能のみの利用も可能となる。例えば、主要面ファイルが用意されていない機器の耐久性を評価したい場合には、図2におけるモデル作成手段21によって自動的をモデルを作成することはできないが、人間が手書きでモデルを作成することは可能である。この場合、人間が作成したモデルのデータを、モデル作成手段21が温度データ設定手段22に引き渡すデータのフォーマットに従って、温度データ設定手段22に引き渡せば、図2におけるモデル作成手段21以外の機能を利用して、機器の耐久性を評価することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態に係る耐久性評価装置および方法では、各手段21〜27を実現するルーチンを交換することで、機能を大幅な変更も可能であり、例えば、熱応力の解析ではなく、部品組み込み時に発生する応力や他の部品から与えられる応力等の機械的な外力および拘束による応力の解析を行うように、解析内容を変更することも可能となる。機械的な外力および拘束による応力の解析を行うようにした場合のワークステーション10の構成の一例を図18に示す。この構成は、図2におけるモデル作成手段21を、耐久性を評価すべき機器に対応したモデル作成手段61に変更し、図2における熱応力解析手段24を機械的な外力および拘束による応力の解析を行う機械的応力解析手段64に変更し、図2における寿命データ保持手段26および耐久性評価手段27も、それぞれ耐久性を評価すべき機器および機械的な外力および拘束による応力に対応した寿命データ保持手段66および耐久性評価手段67に変更すると共に、図2における温度データ設定手段22,熱伝導解析手段23および解析結果検証手段25を省き、モデル作成手段61と機械的応力解析手段64の間、および機械的応力解析手段64と耐久性評価手段67との間でデータの受け渡しを行うようにしたものである。
【0066】
機械的応力解析手段64は、モデル作成手段61によって作成されたモデルに対して、運転状態と休止状態のそれぞれにおける荷重条件および拘束条件を設定し、運転状態と休止状態のそれぞれについての応力分布を求めて応力振幅を求める。このように応力振幅が求まったならば、耐久性評価手段67は、寿命特性データ保持手段66によって保持された寿命特性データを用いて、機械的な外力および拘束による応力に対する耐久性を評価する。
【0067】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る耐久性評価装置について説明する。本実施の形態に係る耐久性評価装置は、図2におけるモデル作成手段21,温度データ設定手段22,熱伝導解析手段23,熱応力解析手段24,解析結果検証手段25および耐久性評価手段27を、それぞれ各手段を実現するようにプログラムされた1チップマイクロコンピュータで構成し、寿命特性データ保持手段26をICメモリで構成したものである。本実施の形態における1チップマイクロコンピュータおよびICメモリは、本発明における交換可能な部品に対応する。本実施の形態における1チップマイクロコンピュータおよびICメモリは、例えばワークステーション10内に収納される単一の基板上に着脱可能に装着されるようになっている。ワークステーション10本体,1チップマイクロコンピュータおよびICメモリは互いにバスを介して接続され、1チップマイクロコンピュータおよびICメモリは、ワークステーション10本体によって制御されるようになっている。
【0068】
本実施の形態では、図2における各手段21〜27を実現する1チップマイクロコンピュータやICメモリを交換することによって、第1の実施の形態において各手段21〜27を実現するルーチンを交換するのと同様の効果を奏する。本実施の形態におけるその他の構成,動作および効果は第1の実施の形態と同様である。
【0069】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、例えば、図2におけるワークステーション10内の各手段21〜27のうちの複数の手段または図3における複数のステップを単位として、交換可能な一つのルーチンまたは部品を構成しても良い。また、本発明におけるコンピュータとしては、ワークステーション10に限らず、パーソナルコンピュータ等でも良い。また、図2における各手段21〜27は、複数台のワークステーションやパーソナルコンピュータで分担して実現しても良い。
【0070】
また、図2における端末30内の各手段31〜33についても、それぞれを交換可能な一つのルーチンまたは部品で構成しても良い。
【0071】
また、本発明におけるシミュレーションモデルは、有限要素法モデルであることが好ましいが、有限要素法モデルに限定されるものではなく、コンピュータを用いて有効に実行されるシミュレーションで利用可能なモデルであれば良い。同様に、本発明における熱応力解析は、有限要素法を利用したものに限らない。また、熱伝導解析を行わなくとも、実測によって全ての要素の温度データが得られる場合には、図2における熱伝導解析手段23および図3における熱伝導解析(ステップS103)を省いても良い。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし3のいずれかに記載の耐久性評価装置によれば、モデル作成手段、応力解析手段および評価手段が、プログラムされたコンピュータによって実現され、且つコンピュータが実行するプログラムのうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、交換可能なルーチンとして形成されているので、このルーチンを交換することで、設備の規模およびコストを大きくすることなく、種々の熱交換器についての耐久性の評価が可能になると共に、プログラムのうちの交換可能なルーチンと他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットに従ってデータの受け渡しを行うことで、耐久性評価装置における一部の機能のみの利用も可能となるという効果を奏する。
【0073】
また、請求項4ないし6のいずれかに記載の耐久性評価装置によれば、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、交換可能な部品として形成されているので、この部品を交換することで、設備の規模およびコストを大きくすることなく、種々の熱交換器についての耐久性の評価が可能になると共に、交換可能な部品と他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットに従ってデータの受け渡しを行うことで、耐久性評価装置における一部の機能のみの利用も可能となるという効果を奏する。
【0074】
また、請求項7ないし9のいずれかに記載の耐久性評価方法によれば、モデル作成手順、応力解析手順および評価手順を、プログラムされたコンピュータによって実行すると共に、コンピュータが実行するプログラムのうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分を、交換可能なルーチンとして形成したので、このルーチンを交換することで、設備の規模およびコストを大きくすることなく、種々の熱交換器についての耐久性の評価が可能になると共に、プログラムのうちの交換可能なルーチンと他の部分とのデータの受け渡しのフォーマットに従ってデータの受け渡しを行うことで、耐久性評価方法における一部の機能のみの利用も可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る耐久性評価装置の概略の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示した耐久性評価装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示した耐久性評価装置の全体の動作を示す流れ図である。
【図4】図3におけるシミュレーションモデルの作成について説明するための流れ図である。
【図5】給湯器等に使用される一般的な熱交換器の斜視図である。
【図6】図5に示した熱交換器のモデルの主要面の展開図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における主要面ファイルのデータ構造を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における主要面とメッシュ(要素)との関係を示す説明図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における要素データファイルの一例を示す説明図である。
【図10】図9に示した要素データファイルに従ってコンピュータの画像処理により合成された熱交換器モデルを示す斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるサーモビューワの表示出力の一例を示す説明図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態における熱応力解析について説明するための説明図である。
【図13】線形の特性を持つ材料の応力−歪み曲線の一例を示す特性図である。
【図14】非線形の特性を持つ材料の応力−歪み曲線の一例を示す特性図である。
【図15】耐久試験等における加熱,休止サイクルを示す説明図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態における寿命特性データの一例を示す特性図である。
【図17】ファンヒータの燃焼室についてのモデル作成例を示す斜視図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る耐久性評価装置の他の使用形態における構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
10 ワークステーション
11〜17 ファイル
21 モデル作成手段
22 温度データ設定手段
23 熱伝導解析手段
24 熱応力解析手段
25 解析結果検証手段
26 寿命特性データ保持手段
27 耐久性評価手段

Claims (9)

  1. 熱交換器モデルを展開図に展開して得られる複数の主要面を示す主要面ファイルを熱交換器モデルの種類ごとに記憶する記憶手段と、
    耐久性を評価すべき熱交換器についての種類データおよび寸法データの入力を受け付ける受付手段と、
    前記耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成するモデル作成手段と、
    このモデル作成手段によって作成されたシミュレーションモデルの応力分布を求める応力解析手段と、
    この応力解析手段によって求められた応力分布と前記熱交換器の寿命特性とに基づいて前記熱交換器の耐久性を評価する評価手段とを備え、
    前記モデル作成手段、応力解析手段および評価手段のうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、交換可能なルーチンとして形成され
    前記モデル作成手段は、前記受付手段が受け付けた種類データに対応した熱交換器モデルの主要面ファイルを前記記憶手段より読み出したのち、その主要面ファイルに前記受付手段が受け付けた寸法データを与えることにより前記耐久性を評価すべき熱交換器についての三次元座標のファイルを作成する
    ことを特徴とする耐久性評価装置。
  2. 前記応力解析手段は、前記熱交換器の加熱状態における温度分布と前記熱交換器を構成する材料片の応力−歪み特性とに基づいて、前記モデル作成手段によって作成されたシミュレーションモデルの加熱状態における応力分布を求める
    ことを特徴とする請求項1記載の耐久性評価装置。
  3. 前記応力解析手段は、前記熱交換器に作用する機械的な外力および拘束による応力分布を求める
    ことを特徴とする請求項1記載の耐久性評価装置。
  4. 熱交換器モデルを展開図に展開して得られる複数の主要面を示す主要面ファイルを熱交換器モデルの種類ごとに記憶する記憶手段と、
    耐久性を評価すべき熱交換器についての種類データおよび寸法データの入力を受け付ける受付手段と、
    前記耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成するモデル作成手段と、
    このモデル作成手段によって作成されたシミュレーションモデルの応力分布を求める応力解析手段と、
    この応力解析手段によって求められた応力分布と前記熱交換器の寿命特性とに基づいて前記熱交換器の耐久性を評価する評価手段とを備え、
    評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、交換可能な部品として形成され
    前記モデル作成手段は、前記受付手段が受け付けた種類データに対応した熱交換器モデルの主要面ファイルを前記記憶手段より読み出したのち、その主要面ファイルに前記受付手段が受け付けた寸法データを与えることにより前記耐久性を評価すべき熱交換器についての三次元座標のファイルを作成する
    ことを特徴とする耐久性評価装置。
  5. 前記応力解析手段は、前記熱交換器の加熱状態における温度分布と前記熱交換器を構成する材料片の応力−歪み特性とに基づいて、前記モデル作成手段によって作成されたシミュレーションモデルの加熱状態における応力分布を求める
    ことを特徴とする請求項4記載の耐久性評価装置。
  6. 前記応力解析手段は、前記熱交換器に作用する機械的な外力および拘束による応力分布を求める
    ことを特徴とする請求項4記載の耐久性評価装置。
  7. 熱交換器モデルを展開図に展開して得られる複数の主要面を示す主要面ファイルを熱交換器モデルの種類ごとに記憶手段に記憶する記憶手順と、
    耐久性を評価すべき熱交換器についての種類データおよび寸法データの入力を受け付ける受付手順と、
    前記耐久性を評価すべき熱交換器についてのシミュレーションモデルを作成するモデル作成手順と、
    このモデル作成手順によって作成されたシミュレーションモデルの応力分布を求める応力解析手順と、
    この応力解析手順によって求められた応力分布と前記熱交換器の寿命特性とに基づいて前記熱交換器の耐久性を評価する評価手順と
    をコンピュータによって実行するようにした耐久性評価方法であって、
    前記モデル作成手順、応力解析手順および評価手順のうち、評価すべき熱交換器に応じて処理内容が変更される部分が、それぞれ、交換可能なルーチンとして形成され、
    前記モデル作成手順において、受け付けた種類データに対応した熱交換器モデルの主要面ファイルを前記記憶手段より読み出したのち、受け付けた寸法データをその主要面ファイルに与えることにより前記耐久性を評価すべき熱交換器についての三次元座標のファイルを作成する
    ことを特徴とする耐久性評価方法。
  8. 前記応力解析手順は、前記熱交換器の加熱状態における温度分布と前記熱交換器を構成する材料片の応力−歪み特性とに基づいて、前記モデル作成手順によって作成されたシミュレーションモデルの加熱状態における応力分布を求める
    ことを特徴とする請求項7記載の耐久性評価方法。
  9. 前記応力解析手順は、前記熱交換器に作用する機械的な外力および拘束による応力分布を求める
    ことを特徴とする請求項7記載の耐久性評価方法。
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