JPH08271170A

JPH08271170A - プレート型熱交換器

Info

Publication number: JPH08271170A
Application number: JP7563095A
Authority: JP
Inventors: Kanji Otake; 幹治大武; Makoto Fujiwara; 誠藤原; Masayoshi Toyofuku; 正嘉豊福; Akira Fukushima; 亮福島; Akihiro Kawada; 章廣川田
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1995-03-31
Filing date: 1995-03-31
Publication date: 1996-10-18

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、複数のプレートを積層してプレー
トの間に流体通路を形成し、隣接する流体通路を流れる
流体間で熱交換を行うようにしたプレート型熱交換器に
関する。従来のプレート型熱交換器は、伝熱面プレート
に設けた凹凸の突起形状が円形で圧損が大きく、また流
体通路の急拡大、急縮小による圧損が大きく、さらに
は、伝熱性能も吸収冷凍機の溶液熱交換器としては満足
できるものではなかった。本発明は、低圧損型で高性能
・コンパクトな伝熱面を具えるプレート型熱交換器の提
供を目的とする。【構成】本発明は、伝熱面プレート１４に設ける凹凸
からなる突起を、溶液の流れ方向に長径を配置した楕円
錐台状の突起とし、入口ノズル、又は出口ノズルと伝熱
面プレートとの間に、溶液の流れ方向と直交する方向に
波形を設けた助走区画プレートを設けた。これにより、
上記目的が達成でき、吸収冷凍機の高ＣＯＰ化に寄与で
きるプレート型熱交換器とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱交換器内部に温度の
異なる臭化リチウム水溶液を導き、熱交換を行わせる吸
収冷凍機の溶液熱交換器、若しくは通常の熱交換器とし
て使用できるプレート型熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近の吸収冷凍機は、省エネルギー型の
機種に対する市場ニーズが高まり、高成績係数（Ｈｉｇ
ｈＣｏｅｆｆｉｃｉｅｎｔｏｆＰｅｒｆｏｒｍａ
ｎｃｅ：以下高ＣＯＰという）化、低コスト化、省電力
化、コンパクト化の時代に入ろうとしている。この吸収
冷凍機の高ＣＯＰ化の実現には、冷媒溶液の循環量を削
減し、循環ポンプを不要にすると共に、所要の熱交換量
を確保できる溶液熱交換器を採用する必要があり、その
ためには、低圧損型で、高性能・コンパクトな伝熱面の
開発が求められている。

【０００３】図６（ａ）は、従来溶液熱交換器として使
用されている、プレート型熱交換器の伝熱面を形成す
る、突起を設けたプレート１０の側面図である。図にお
いて、１は入口ノズル、２は出口ノズルである。また、
溶液入口ノズル１の下流側には、流量をより均一にし
て、偏流を少くして、入口ノズル１から流入した溶液
を、後述する伝熱面プレート４に流入させるためのガイ
ドとなるスペーサ６が配置されている。このスペーサ６
は、溶液の流れる方向に、プレート１０表面に波形を形
成したもので、これにより、溶液の流れに乱流を発生さ
せて、伝熱面プレート４における伝熱促進を行うととも
に、強度部材の役目を果たすようにしている。

【０００４】プレート１０を紙面の前方から押圧して凹
型を形成した円突起７、および紙面の後方から前方へ押
圧して凸形を形成した円突起８を設けた伝熱面プレート
４では、伝熱面プレート４を隔てた、反対側（紙面の後
方）の流体通路を流れる流体と、紙面の前方の伝熱面プ
レート４上を流れる溶液との間で熱交換して、吸収冷凍
機サイクルの中での顕熱回収の役目を果たすようにして
いる。

【０００５】また、伝熱面プレート４の積層構造は、図
６（ｂ）に示すように隣合う伝熱面プレート４の同じ位
置に、円突起（凹）７同士、もしくは、円突起（凸）８
同士が重なるように配置され、各突起７，８の頂上部同
士で紙面の前後方向に荷重を受け、隣接する流体通路間
に発生する圧力差に起因する、伝熱面プレート４の変形
をおさえる役目も果すようにしている。

【０００６】このような、入口ノズル１、出口ノズル
２、スペーサ６、および伝熱面プレート４を具えたプレ
ート１０を複数枚積層し、しかも、２枚のプレート１０
の間に形成された流体通路を流れる溶液、又は流体が外
部に洩れないようにパッキン９を介装して積層し、流体
通路が形成されたプレート型熱交換器では、入口ノズル
１から流入した溶液は、スペーサ６で伝熱面プレート４
を均等に流れるように分散されて、伝熱部プレート４に
流入し、上述したように、プレート１０を隔てた反対側
の流体通路を流れる流体と熱交換を行い、低温折返し部
３で紙面と直交する方向に流れ、次いで、流体の流れる
流体通路をはさんで形成された溶液の流体通路を逆方向
に流れ、出口ノズル２から出ていく。なお、図６（ａ）
において、５は高温折り返し部である。

【０００７】このような、プレート型熱交換器を吸収冷
凍機の溶液熱交換器として採用する場合、溶液熱交換器
の伝熱面プレート４に許容される圧損は、溶液ポンプが
設置された流体通路では、そのポンプの流量特性によ
り、又溶液ポンプの設置されない流体通路では、熱交換
器間の圧力差と流量の関係によりそれぞれ規定されるこ
ととなる。なお、最終のサイクル設定には、流量調整弁
を用いて制御するようにしている。

【０００８】しかし、近年動力の低減、コスト低減のた
めの溶液ポンプ吐出圧の低減、又は、ポンプ削減の要求
が高まっており、新型の吸収冷凍機では、従来の溶液熱
交換器では圧損が大きく、計画溶液循環量を流すことが
できず、又、所要循環量を確保するには、計画の交換熱
量が取れず、吸収冷凍機の高ＣＯＰを満足できないとい
う不都合が生じて来ている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の不都
合を解消するため、圧力損失が小さく、しかも伝熱性能
に秀れ、特に吸収冷凍機の高ＣＯＰに寄与できるプレー
ト型熱交換器を提供することを課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】このため、本発明のプレ
ート型熱交換器は次の手段とした。突起を設けた３枚以
上のプレートを積層して、そのうちの２枚のプレートで
形成される流体通路を複数列設けて、隣接する各流体通
路を流れる高温、および低温流体の間で熱交換を行うよ
うにしたプレート型熱交換器において、各流体通路に、
流体の流れ方向に長径を配置し、細長比を大きくして、
流体抵抗を小さくした、楕円錐台状の突起を形成した伝
熱面プレートと、出口ノズルおよび入口ノズルと伝熱面
プレートの終端および始端の間に、それぞれ配置され、
流体の流れと略直交する方向に連続する凹凸を設けた、
波形の突起を設け、流路の急拡大、急縮小による圧力損
失、および偏流を少くする助走区画プレートを設けた。

【００１１】なお、伝熱面プレートに形成される楕円錐
台状突起は、プレス型抜きで形成され、また、助走区画
プレートに設ける波形も同様にして形成され、その形
状、及び、大きさは、流体の圧損、伝熱性能、及び、プ
レートの変形に対する強度等の要因を考慮して決定する
ようにすれば良い。

【００１２】

【作用】低圧損で高性能な溶液熱交換器として使用され
るプレート型溶液熱交換器は、伝熱面プレートの突起形
状の適正化、及び出口ノズル、および入口ノズルと伝熱
面プレートの間で生じる出入口部の急拡大・急縮少圧
損、および偏流による圧損増加を防止することが重要で
ある。

【００１３】本発明では、伝熱面の突起に、従来の円突
起に代えて、形状抵抗で従来型の円突起に勝り、低圧損
にできる楕円錐台状を採用したことにより、狭隘な流体
通路としても、低圧損化が図れるとともに流速増加に伴
う、伝熱性能向上が図れる。また、流れの方向と直交す
る方向に波をうつ、波形を形成した流れの助走区間プレ
ートを、出口ノズル、および入口ノズルと伝熱面プレー
トの間に設置したことにより、出入口の急拡大・急縮小
ならびに、偏流を防止でき、低圧損化および伝熱性能の
向上が図れるようになる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明のプレート型熱交換器の実施例
を図面にもとづき説明する。図１は、本発明のプレート
型熱交換器の一実施例を示す側面図、図２は、図１に示
す矢視Ａ−Ａ拡大断面図と、該断面図の平面図、図３
は、図１に示す伝熱面プレートの拡大斜視図である。な
お、図６と同一構成部品には、同一符号を付して詳細説
明は省略する。

【００１５】図１において、積層してプレート型熱交換
器を形成するプレート３０は、助走区間プレート９と、
伝熱面プレート１４を同一のプレートに形成したものか
らなる。この伝熱面プレート１４上には、溶液の流れ方
向と同一方向に、その長径の方向を向けて、２種類の大
きさの異なる大楕円突起１７、小楕円突起１８が設けら
れている。

【００１６】これらの突起１７，１８は、図２に示すよ
うに、伝熱面プレート１４の一側に、それぞれ形成され
る流体通路Ａ１１，流体通路Ｂ１２に、同一形状の突起
が突出する様に、突起１７，１８が配置されている。ま
た、大楕円突起１７、小楕円突起１８の平面配列は、図
１，図３に示すように、交互に配置されている。さら
に、伝熱面プレート１４の積層構造は、従来同様、隣り
合うプレート３０の同じ位置に、大楕円突起１７同士、
もしくは、小楕円突起１８同士が配置され、突起の頂上
部同士で荷重を受け、流体通路Ａ１１、および流体通路
Ｂ１２間の圧力差に起因する変形を押さえる役目もはた
している。

【００１７】また、入口ノズル２１の水室１３と伝熱面
プレート１４の入口端、および伝熱面プレート１４の出
口端と出口ノズル２２の水室１３の間に形成される助走
区間プレート１９には、急激な流路の急拡大・急縮小を
防止し、かつ、溶液の偏流を防止するガイドとなるスペ
ーサー１６が配置されている。ガイドスペーサ１６は、
入口ノズル２１から伝熱面プレート１４へ流入する、又
は伝熱プレート１４から出口ノズル２２へ流出する溶液
の流れと直交する方向に波形が形成されている。

【００１８】そして、例えば高温の溶液は、入口ノズル
２１よりプレート３０の紙面前方に形成された流体流路
Ｂ１２に入り助走区間プレート１９を通って伝熱面プレ
ート４を通り出口ノズル２２より出る。また、低温の溶
液は、入口ノズル２３よりプレート３０の紙面後方に形
成された流体流路Ａ１１に入り紙面後方の伝熱面プレー
ト１４を通り出口ノズル２４より出る。

【００１９】そして、プレート３０の表側の高温流体通
路Ｂの伝熱面プレート１４には小楕円錐台状の突起１８
が、またプレート３０の裏側の低温流体通路Ｂの伝熱面
プレート１４には、大楕円錐台状の突起１７が、それぞ
れ突出して設けられて、さらに、図示省略したが伝熱面
プレート１４と出口ノズル２２の間、すなわち図１の右
側にも図１の左側に図示したものと同方向に波形を形成
したスペーサ１６が設けられている。なお、スペーサ１
６の角度は４５°にされている。

【００２０】上記した大楕円突起１７、および小楕円突
起１６の突起形状の選定に当たっては、流線型形状を考
えた場合、抵抗係数（ＣＤ値）は、数１で表すことがで
き、

【００２１】

【数１】

【００２２】抵抗係数（ＣＤ値）は、流線型支柱長さ
（ｔ）と最大厚さ（ｄ）の比、ｔ／ｄ＝０．２５〜０．２９の時、最小値ＣＤ＝０．０６を取り、かつ計画のレイノルズ数の範囲では、摩擦抵抗
が充分に小さいことから、疑似流線型の楕円錐台状突起
で、長短の径の比を約４と定め、プレートの変形がその
流路面積に比べて、充分小さくなる接触面積を確保する
ように、例えば、（１）大突起：頂部長径２２．５ｍｍ、短径５．０ｍｍ底部長径２５．０ｍｍ、短径８．０ｍｍ（２）小突起：頂部長径１１．０ｍｍ、短径２．０ｍｍ底部長径１３．５ｍｍ、短径５．０ｍｍの突起形状を定めるようにした。

【００２３】以上の説明したように、本実施例のプレー
ト型熱交換器は、低圧損型の大小の楕円錐台状突起１
７，１８を伝熱面プレート１４に配置して、水室１３の
出入口構造に出入口急拡大・急縮小の低減、偏流防止を
目的に、助走区間プレート１９を設けていることから、
低圧損型で、伝熱性能が向上する。

【００２４】本実施例の突起形状を採用した、伝熱面プ
レートを用いた要素試験装置を製作し、水マノメーター
を用いた圧損計測試験、及び、実液を用いた伝熱性能評
価試験を実施した結果、図４，図５に示す結果が得られ
た。すなわち、図４に示すように、伝熱面プレート１４
の圧損は、無次元整理を行った同一レイノズル数Ｒｅの
摩擦係数λベースで、２倍以下に低減することができ、
プレート型熱交換器全体としても、３割以上圧損を削減
することができる。また、図５に示すように、計画レイ
ノズル数Ｒｅ範囲で、従来の伝熱性能以上を示す熱貫流
率ｖが、得られることを確認した。これにより、実機プ
レート型熱交換器でも、計画通りの性能を発揮するもの
と考えられる。

【００２５】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明のプレー
ト型熱交換器によれば、特許請求の範囲に示す構成によ
り、圧力損失が小さく、しかも伝熱性に秀れ、特に、吸
収冷凍機における高ＣＯＰに寄与できる熱交換器とする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のプレート型熱交換器の一実施例を示す
プレート側面図、

【図２】図１に示す矢視Ａ−Ａ断面図と、楕円錐状突起
の平面図、

【図３】図１の楕円錐状突起の斜視図、

【図４】図１に示す実施例のＲｅ数と摩擦係数の相関
図、

【図５】図１に示す実施例のＲｅ数と熱貫流率の相関
図、

【図６】従来のプレート型熱交換器のプレートを示す図
で、図６（ａ）は、プレート側面図、図６（ｂ）は、図
６（ａ）のプレートを積層したときの斜視図である。

【符号の説明】

１入口ノズル２出口ノズル３低温折返し部４伝熱面プレート５高温折返し部６スペーサ７円突起（凹）８円突起（凸）９パッキン１０プレート１１流体通路Ａ（低温側）１２流体通路Ｂ（高温側）１４伝熱面プレート１６スペーサ１７大楕円突起（楕円錐台状突起）１８小楕円突起（楕円錐台状突起）１９助走区画プレート２１入口ノズル（高温側）２２出口ノズル（高温側）２３入口ノズル（低温側）２４出口ノズル（低温側）３０プレート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者福島亮兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目１番１号三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者川田章廣兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目１番１号三菱重工業株式会社高砂製作所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】突起を設けた少くとも３枚のプレートを
積層して、前記プレートで隔離した高温側および低温側
の流体を隣接させて流す流体通路をそれぞれ形成し、両
流体間で熱交換を行うプレート型熱交換器において、前
記流体通路内の前記流体の流れ方向に細長比を大きくし
た楕円錐台状の突起が形成された伝熱面プレートと、前
記流体の出口ノズルおよび入口ノズルと前記伝熱面プレ
ートの間に設けられ、前記流体の流れと略直交する方向
に波形の突起を形成した助走区画プレートを設けたこと
を特徴とするプレート型熱交換器。