JPH0826987A - アシルカルニチン含有製剤 - Google Patents
アシルカルニチン含有製剤Info
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- JPH0826987A JPH0826987A JP13715895A JP13715895A JPH0826987A JP H0826987 A JPH0826987 A JP H0826987A JP 13715895 A JP13715895 A JP 13715895A JP 13715895 A JP13715895 A JP 13715895A JP H0826987 A JPH0826987 A JP H0826987A
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- JP
- Japan
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- acylcarnitine
- carnitine
- metabolism
- serum
- acid
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- Pending
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- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 アシルカルニチンの代謝異常に関連して生じ
る症状を有する患者を治療又は予防する。 【構成】 アシルカルニチン又はその薬理的に許容され
る塩を含む製剤を経口又は非経口的に投与することによ
り、アシルカルニチンの代謝異常に基づく症状を改善又
は予防する。前記アシルカルニチンは、アセチルカルニ
チン、プロピオニルカルニチン、ブチリルカルニチン、
イソブチリルカルニチン、バレリルカルニチン、イソバ
レリルカルニチン、ヘキサノイルカルニチンなどであっ
てもよい。
る症状を有する患者を治療又は予防する。 【構成】 アシルカルニチン又はその薬理的に許容され
る塩を含む製剤を経口又は非経口的に投与することによ
り、アシルカルニチンの代謝異常に基づく症状を改善又
は予防する。前記アシルカルニチンは、アセチルカルニ
チン、プロピオニルカルニチン、ブチリルカルニチン、
イソブチリルカルニチン、バレリルカルニチン、イソバ
レリルカルニチン、ヘキサノイルカルニチンなどであっ
てもよい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アシルカルニチンの代
謝異常に基づいて生じる症状を有する患者を治療し、又
はそのような症状を改善ないし予防するための製剤に関
する。
謝異常に基づいて生じる症状を有する患者を治療し、又
はそのような症状を改善ないし予防するための製剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】ヒト細胞のエネルギーは、主にミトコン
ドリアにおいて解糖系と脂肪酸の代謝により生成し、カ
ルニチンはエネルギー代謝と関連していくつかの重要な
働きを担っている。すなわち、主なエネルギー源として
利用されている長鎖脂肪酸は、それ自身ではミトコンド
リア内膜を通過できないので、そのような長鎖脂肪酸を
ミトコンドリア内へ取り込むのに、遊離カルニチンは必
要である。また、解糖系の亢進や運動時の熱生産などに
より短鎖脂肪酸CoA/CoA比が高くなると、例え
ば、ピルビン酸脱水素酵素や分岐ケト酸脱水素酵素など
の種々の酵素活性が阻害されるが、遊離カルニチンは、
このような脂肪酸のβ酸化にて生じる短鎖脂肪酸CoA
(Coenzyme A)の異常な増加や解糖系亢進時のアセチル
CoAの増加を防止し、短鎖脂肪酸CoA/CoA比を
一定に保つ機能を有している。
ドリアにおいて解糖系と脂肪酸の代謝により生成し、カ
ルニチンはエネルギー代謝と関連していくつかの重要な
働きを担っている。すなわち、主なエネルギー源として
利用されている長鎖脂肪酸は、それ自身ではミトコンド
リア内膜を通過できないので、そのような長鎖脂肪酸を
ミトコンドリア内へ取り込むのに、遊離カルニチンは必
要である。また、解糖系の亢進や運動時の熱生産などに
より短鎖脂肪酸CoA/CoA比が高くなると、例え
ば、ピルビン酸脱水素酵素や分岐ケト酸脱水素酵素など
の種々の酵素活性が阻害されるが、遊離カルニチンは、
このような脂肪酸のβ酸化にて生じる短鎖脂肪酸CoA
(Coenzyme A)の異常な増加や解糖系亢進時のアセチル
CoAの増加を防止し、短鎖脂肪酸CoA/CoA比を
一定に保つ機能を有している。
【0003】このようなエネルギー代謝に重要な関係を
有する遊離カルニチンが減少すると、細胞機能異常や細
胞障害を引起すことが予想される。実際、脂肪酸と結合
していない遊離カルニチンの機能に着目し、一次および
/又は二次カルニチン減少症(細胞内遊離カルニチンの
減少や、遊離カルニチンとアシル結合型カルニチンとの
総和に基づくカルニチン減少)に起因する神経−筋症状
として多くの報告がなされているとともに、このような
症状を有する患者には遊離カルニチンの補充が有効であ
ることも示されている。
有する遊離カルニチンが減少すると、細胞機能異常や細
胞障害を引起すことが予想される。実際、脂肪酸と結合
していない遊離カルニチンの機能に着目し、一次および
/又は二次カルニチン減少症(細胞内遊離カルニチンの
減少や、遊離カルニチンとアシル結合型カルニチンとの
総和に基づくカルニチン減少)に起因する神経−筋症状
として多くの報告がなされているとともに、このような
症状を有する患者には遊離カルニチンの補充が有効であ
ることも示されている。
【0004】このように遊離カルニチンの機能は広く知
られており、遊離カルニチンの投与は、カルニチン減少
症の治療法として確立されている。しかし、脂肪酸が遊
離カルニチンに結合したアシルカルニチンに関してはあ
まり検討されておらず、多くの研究者たちはアシルカル
ニチンを長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への取り込み時
における一時的な物質とのみ理解している。実際、ミト
コンドリアから血清中に放出されたアシルカルニチン
は、尿中へ排泄されるが、腎におけるアシルカルニチン
の再吸収率は遊離カルニチンに比べて低いこと、また、
通常では、血清中の遊離カルニチン濃度はアシルカルニ
チン濃度より数倍高いが、尿中のカルニチン濃度に関し
ては、アシルカルニチンが遊離カルニチンに比して高値
であることが報告されており、生体における血清中アシ
ルカルニチンの生理的、生化学的意義は余り考えられて
いない。
られており、遊離カルニチンの投与は、カルニチン減少
症の治療法として確立されている。しかし、脂肪酸が遊
離カルニチンに結合したアシルカルニチンに関してはあ
まり検討されておらず、多くの研究者たちはアシルカル
ニチンを長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への取り込み時
における一時的な物質とのみ理解している。実際、ミト
コンドリアから血清中に放出されたアシルカルニチン
は、尿中へ排泄されるが、腎におけるアシルカルニチン
の再吸収率は遊離カルニチンに比べて低いこと、また、
通常では、血清中の遊離カルニチン濃度はアシルカルニ
チン濃度より数倍高いが、尿中のカルニチン濃度に関し
ては、アシルカルニチンが遊離カルニチンに比して高値
であることが報告されており、生体における血清中アシ
ルカルニチンの生理的、生化学的意義は余り考えられて
いない。
【0005】なお、特開平5−155766号公報に対
応するEP−A1−0517125には、アシル−L−
カルニチンを含む医薬組成物が開示されているものの、
骨折のために固定され、長期間動けない患者の筋緊張の
低下を回復させる目的で使用されている。特開平5−1
48200号公報に対応するEP−A1−051659
4には、アシル−L−カルニチン、特にイソバレリル−
L−カルニチンを、筋障害、神経退行変性(例えば、ア
ルツハイマー型老人性痴呆症など)の処置および肝臓、
骨格筋および心筋の蛋白質分解阻害のための治療剤とし
てのみ使用することが開示されている。しかし、これら
の治療剤の適応症状は、アシルカルニチンの代謝異常に
関連して生じる症状と異なる。
応するEP−A1−0517125には、アシル−L−
カルニチンを含む医薬組成物が開示されているものの、
骨折のために固定され、長期間動けない患者の筋緊張の
低下を回復させる目的で使用されている。特開平5−1
48200号公報に対応するEP−A1−051659
4には、アシル−L−カルニチン、特にイソバレリル−
L−カルニチンを、筋障害、神経退行変性(例えば、ア
ルツハイマー型老人性痴呆症など)の処置および肝臓、
骨格筋および心筋の蛋白質分解阻害のための治療剤とし
てのみ使用することが開示されている。しかし、これら
の治療剤の適応症状は、アシルカルニチンの代謝異常に
関連して生じる症状と異なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アシ
ルカルニチンの代謝異常に関連して生じる症状を有する
アシルカルニチン代謝異常症候群(Acylcarnitine Meta
bolic Dysfunction Syndrome, ACMDS )患者を治療又は
予防する上で有用な製剤を提供することにある。
ルカルニチンの代謝異常に関連して生じる症状を有する
アシルカルニチン代謝異常症候群(Acylcarnitine Meta
bolic Dysfunction Syndrome, ACMDS )患者を治療又は
予防する上で有用な製剤を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、種々のアシルカルニ
チン代謝異常症候群に関連した諸症状を有効かつ効率よ
く改善又は予防できる製剤を提供することにある。
チン代謝異常症候群に関連した諸症状を有効かつ効率よ
く改善又は予防できる製剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アシルカ
ルニチン(脂肪酸と結合しているカルニチン)の生理的
意義について検討したところ、アシルカルニチンは不要
物質としてただ単に排泄されるのではないことを見出だ
した。また、アシルカルニチンの一種である[11C]−
アセチルカルニチンをベンガルザルに投与して、ポジト
ロンエミッショントモグラフィー(PET)を用いてア
シルカルニチンの生体内代謝についてしらべたところ、
投与した[11C]−アセチルカルニチンは、生理的濃度
では腎臓への蓄積はみられるが、尿への排泄は投与2時
間後においても1%未満と少なく、骨格筋や心筋、肝、
膵、脳、腎、血液細胞などにも取り込まれることを見出
だした。また、このようなアシルカルニチンは、さまざ
まな組織(骨格筋や心筋、肝、膵、脳、腎、血液細胞な
ど)において、アセチルCoAの生成によるエネルギー
の供与だけでなく、アセチル基・メチル基の供与を行っ
ており、特に各組織の脂肪酸代謝や解糖系の代謝が様々
な原因(ストレス、肉体的・精神的疲労、感染症、悪性
腫瘍、自己免疫疾患、慢性疲労症候群、内分泌障害、血
栓症、塞栓症など)により障害された場合、脂肪酸や糖
(グルコース)の代替(リザーバー)として更に各組織
に取り込まれ、生理的に重要な役割を果たしている可能
性を見出だした。更に、アシルカルニチンの代謝異常に
より、従来報告されてきた一次性及び/又は二次性カル
ニチン減少症とは全く異なる種々の病態が出現するこ
と、このACMDSは、極めて多種多様な病因によって
引起こされる病態であり、そのACMDSを引起こした
原因の如何に拘らずACMDSによる様々な症状が引起
こされること、さらにこのような病態の治療や予防に
は、アシルカルニチン又はその塩の投与が有効であるこ
とを見いだし、本発明を完成した。
ルニチン(脂肪酸と結合しているカルニチン)の生理的
意義について検討したところ、アシルカルニチンは不要
物質としてただ単に排泄されるのではないことを見出だ
した。また、アシルカルニチンの一種である[11C]−
アセチルカルニチンをベンガルザルに投与して、ポジト
ロンエミッショントモグラフィー(PET)を用いてア
シルカルニチンの生体内代謝についてしらべたところ、
投与した[11C]−アセチルカルニチンは、生理的濃度
では腎臓への蓄積はみられるが、尿への排泄は投与2時
間後においても1%未満と少なく、骨格筋や心筋、肝、
膵、脳、腎、血液細胞などにも取り込まれることを見出
だした。また、このようなアシルカルニチンは、さまざ
まな組織(骨格筋や心筋、肝、膵、脳、腎、血液細胞な
ど)において、アセチルCoAの生成によるエネルギー
の供与だけでなく、アセチル基・メチル基の供与を行っ
ており、特に各組織の脂肪酸代謝や解糖系の代謝が様々
な原因(ストレス、肉体的・精神的疲労、感染症、悪性
腫瘍、自己免疫疾患、慢性疲労症候群、内分泌障害、血
栓症、塞栓症など)により障害された場合、脂肪酸や糖
(グルコース)の代替(リザーバー)として更に各組織
に取り込まれ、生理的に重要な役割を果たしている可能
性を見出だした。更に、アシルカルニチンの代謝異常に
より、従来報告されてきた一次性及び/又は二次性カル
ニチン減少症とは全く異なる種々の病態が出現するこ
と、このACMDSは、極めて多種多様な病因によって
引起こされる病態であり、そのACMDSを引起こした
原因の如何に拘らずACMDSによる様々な症状が引起
こされること、さらにこのような病態の治療や予防に
は、アシルカルニチン又はその塩の投与が有効であるこ
とを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の製剤は、アシルカルニ
チンの代謝異常に基づく症状を治療又は予防するための
製剤であって、アシルカルニチン又はその薬理的に許容
される塩を含んでいる。このアシルカルニチンは、例え
ば、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン、ブ
チリルカルニチン、イソブチリルカルニチン、バレリル
カルニチン、イソバレリルカルニチン、ヘキサノイルカ
ルニチンなどであってもよい。前記製剤は、経口又は非
経口的に投与可能である。
チンの代謝異常に基づく症状を治療又は予防するための
製剤であって、アシルカルニチン又はその薬理的に許容
される塩を含んでいる。このアシルカルニチンは、例え
ば、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン、ブ
チリルカルニチン、イソブチリルカルニチン、バレリル
カルニチン、イソバレリルカルニチン、ヘキサノイルカ
ルニチンなどであってもよい。前記製剤は、経口又は非
経口的に投与可能である。
【0010】本明細書において、「アシルカルニチンの
代謝異常に基づく症状」をアシルカルニチン代謝異常症
候群(Acyl carnitine Metabolic Dysfunction Syndrom
e :ACMDS)に関連して出現する病態、又は単にACMD
Sと称する場合がある。
代謝異常に基づく症状」をアシルカルニチン代謝異常症
候群(Acyl carnitine Metabolic Dysfunction Syndrom
e :ACMDS)に関連して出現する病態、又は単にACMD
Sと称する場合がある。
【0011】本発明のアシルカルニチン含有製剤は、ア
シルカルニチンの代謝異常に関連して生じる諸症状を有
する患者または前記症状を発現する可能性のあるヒト
(患者)の治療や予防、前記症状の改善、軽減及び/又
は予防や細胞機能異常の回復のために適用される。ま
た、前記アシルカルニチン含有製剤は、例えば、後記す
るような、ACMDSを引き起こす原因を有するヒト
(患者)など、血清アシルカルニチンが減少する可能
性、或いは、アシルカルニチンの代謝異常に基づく症状
を発現する可能性のあるヒト(患者)に対しても適用で
き、例えば前記症状の発現の予防にも有用である。アシ
ルカルニチン代謝異常症候群に関連した前記症状や病態
の特徴は、血清中アシルカルニチンが減少しているにも
拘らず、血清中遊離カルニチンは減少していない点にあ
る。このような症状や病態において、血清中遊離カルニ
チンは、正常範囲にある場合が多い。なお、enzymatic
cycling method (文献名:Takahashi M. et al. Clin.
Chem., 38, 958-959)により測定した血清遊離カルニチ
ンの正常範囲は、男性について45〜67μmol/L
程度、女性について33〜54μmol/L程度であ
り、血清アシルカルニチンの正常範囲は、男性について
9〜18μmol/L程度、女性について11〜20μ
mol/L程度である。アシルカルニチン代謝異常症候
群においては、ミトコンドリアにおけるアシルカルニチ
ン代謝異常が病態発現と密接に関連していると思われ
る。
シルカルニチンの代謝異常に関連して生じる諸症状を有
する患者または前記症状を発現する可能性のあるヒト
(患者)の治療や予防、前記症状の改善、軽減及び/又
は予防や細胞機能異常の回復のために適用される。ま
た、前記アシルカルニチン含有製剤は、例えば、後記す
るような、ACMDSを引き起こす原因を有するヒト
(患者)など、血清アシルカルニチンが減少する可能
性、或いは、アシルカルニチンの代謝異常に基づく症状
を発現する可能性のあるヒト(患者)に対しても適用で
き、例えば前記症状の発現の予防にも有用である。アシ
ルカルニチン代謝異常症候群に関連した前記症状や病態
の特徴は、血清中アシルカルニチンが減少しているにも
拘らず、血清中遊離カルニチンは減少していない点にあ
る。このような症状や病態において、血清中遊離カルニ
チンは、正常範囲にある場合が多い。なお、enzymatic
cycling method (文献名:Takahashi M. et al. Clin.
Chem., 38, 958-959)により測定した血清遊離カルニチ
ンの正常範囲は、男性について45〜67μmol/L
程度、女性について33〜54μmol/L程度であ
り、血清アシルカルニチンの正常範囲は、男性について
9〜18μmol/L程度、女性について11〜20μ
mol/L程度である。アシルカルニチン代謝異常症候
群においては、ミトコンドリアにおけるアシルカルニチ
ン代謝異常が病態発現と密接に関連していると思われ
る。
【0012】なお、長期的な全身疲労感、倦怠感、微
熱、リンパ節腫脹、筋肉痛、関節痛、精神神経症状など
を基本的な症状とする慢性疲労症候群(chronic fatigu
e syndrome, CFS)の患者では、血清中の遊離カルニ
チンは正常であるにも拘らず、アシルカルニチンが減少
していると報告されている(「臨床科学」29巻6号,
663-668 (1993)およびClinical Infectious Disease
s, 18(suppl 1) S62-S67(1994) )。しかし、慢性疲労
症候群の患者のみならず、アシルカルニチン代謝異常に
基づく病態の患者の治療や予防に、アシルカルニチン又
はその塩の投与が有用であることは知られていない。
熱、リンパ節腫脹、筋肉痛、関節痛、精神神経症状など
を基本的な症状とする慢性疲労症候群(chronic fatigu
e syndrome, CFS)の患者では、血清中の遊離カルニ
チンは正常であるにも拘らず、アシルカルニチンが減少
していると報告されている(「臨床科学」29巻6号,
663-668 (1993)およびClinical Infectious Disease
s, 18(suppl 1) S62-S67(1994) )。しかし、慢性疲労
症候群の患者のみならず、アシルカルニチン代謝異常に
基づく病態の患者の治療や予防に、アシルカルニチン又
はその塩の投与が有用であることは知られていない。
【0013】ACMDSを引起こす原因としては、肉体
的・精神的疲労、ストレス、感染症(ウイルス、細菌、
真菌、リケッチア、原虫など)、サイトカイン(例え
ば、インターフェロンα,β,γ、インターロイキン1
(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、腫瘍
壊死因子α(TNFα)など)による異常、悪性腫瘍、
内分泌疾患、種々の代謝異常、自己免疫疾患などの免疫
異常、慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome, C
FS)、慢性炎症性疾患、血栓症・塞栓症、神経・筋疾
患、精神科的疾患、薬物使用、中毒などが認められてお
り、ACMDSを併発している場合には、原疾患による
症状に加えて、ACMDSによる前記症状も付加されて
いる。現在のところ、ACMDSという概念が確立して
いないため、ACMDSにより付加されている症状も、
原疾患に伴なう一連の症状として考えられている。
的・精神的疲労、ストレス、感染症(ウイルス、細菌、
真菌、リケッチア、原虫など)、サイトカイン(例え
ば、インターフェロンα,β,γ、インターロイキン1
(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、腫瘍
壊死因子α(TNFα)など)による異常、悪性腫瘍、
内分泌疾患、種々の代謝異常、自己免疫疾患などの免疫
異常、慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome, C
FS)、慢性炎症性疾患、血栓症・塞栓症、神経・筋疾
患、精神科的疾患、薬物使用、中毒などが認められてお
り、ACMDSを併発している場合には、原疾患による
症状に加えて、ACMDSによる前記症状も付加されて
いる。現在のところ、ACMDSという概念が確立して
いないため、ACMDSにより付加されている症状も、
原疾患に伴なう一連の症状として考えられている。
【0014】ACMDSに基づく症状や病態としては、
全身の細胞機能異常に関連する症状、例えば、全身倦怠
感、頭痛、関節痛、微熱、睡眠過剰や不眠などの睡眠異
常、めまい、羞明、視野暗点、健忘、過敏、錯乱、思考
障害、注意集中不能、知覚障害、運動障害(運動麻痺、
運動失調など)、抑うつなどの精神神経症状、食欲不
振、眼のかすみや乾燥症状、消化器症状(腹痛、悪心、
下痢、便秘など)、口腔乾燥、寝汗、呼吸器症状(咳、
呼吸困難、息切れ、咽頭痛、胸痛など)、循環器症状
(不整脈、頻脈、徐脈、動悸、胸痛、ショック状態、高
血圧、低血圧などの血圧異常)、頻尿、乏尿、湿疹、白
血球機能異常(NK活性の低下、リンパ球機能異常、単
球機能異常など)、赤血球の形態異常などが挙げられ
る。
全身の細胞機能異常に関連する症状、例えば、全身倦怠
感、頭痛、関節痛、微熱、睡眠過剰や不眠などの睡眠異
常、めまい、羞明、視野暗点、健忘、過敏、錯乱、思考
障害、注意集中不能、知覚障害、運動障害(運動麻痺、
運動失調など)、抑うつなどの精神神経症状、食欲不
振、眼のかすみや乾燥症状、消化器症状(腹痛、悪心、
下痢、便秘など)、口腔乾燥、寝汗、呼吸器症状(咳、
呼吸困難、息切れ、咽頭痛、胸痛など)、循環器症状
(不整脈、頻脈、徐脈、動悸、胸痛、ショック状態、高
血圧、低血圧などの血圧異常)、頻尿、乏尿、湿疹、白
血球機能異常(NK活性の低下、リンパ球機能異常、単
球機能異常など)、赤血球の形態異常などが挙げられ
る。
【0015】アシルカルニチン代謝異常症候群の患者に
おいて、アシルカルニチンが減少している理由は明確で
はないが、
おいて、アシルカルニチンが減少している理由は明確で
はないが、
【0016】食物からのカルニチンの摂取不足 肝臓又は腎臓におけるカルニチン生成の欠乏 などが考えられる。しかし、これらの理由は、ACMD
S患者において、遊離カルニチン量は正常なので否定さ
れる。そこで、次のような理由が考えられる。 カルニチントランスフェラーゼ−1(CAT−1)の
欠乏、 ミトコンドリアにおける脂肪酸β酸化の障害、 解糖系の代謝や脂肪酸β酸化により生成するアセチル
CoAとカルニチンの結合障害、ミトコンドリアにおけ
る短鎖脂肪酸CoAから短鎖脂肪酸カルニチン(アシル
カルニチン)への転移異常や脂肪酸代謝系における短鎖
脂肪酸CoA生産能の低下 ミトコンドリア内膜のアシルカルニチン通過障害など
のミトコンドリア内での障害、 血清アシルカルニチンの他の組織、臓器への蓄積又は
取り込み。
S患者において、遊離カルニチン量は正常なので否定さ
れる。そこで、次のような理由が考えられる。 カルニチントランスフェラーゼ−1(CAT−1)の
欠乏、 ミトコンドリアにおける脂肪酸β酸化の障害、 解糖系の代謝や脂肪酸β酸化により生成するアセチル
CoAとカルニチンの結合障害、ミトコンドリアにおけ
る短鎖脂肪酸CoAから短鎖脂肪酸カルニチン(アシル
カルニチン)への転移異常や脂肪酸代謝系における短鎖
脂肪酸CoA生産能の低下 ミトコンドリア内膜のアシルカルニチン通過障害など
のミトコンドリア内での障害、 血清アシルカルニチンの他の組織、臓器への蓄積又は
取り込み。
【0017】なお、健常人と比較した場合、アシルカル
ニチン代謝異常症候群の患者では、尿中への遊離カルニ
チンおよびアシルカルニチンの排出量の増加は認められ
ないことから、アシルカルニチンの減少は尿への排出に
起因するものではないと思われる。
ニチン代謝異常症候群の患者では、尿中への遊離カルニ
チンおよびアシルカルニチンの排出量の増加は認められ
ないことから、アシルカルニチンの減少は尿への排出に
起因するものではないと思われる。
【0018】本発明の製剤は、アシルカルニチン又はそ
の塩を含んでいる。アシルカルニチンとしては、炭素数
2〜12程度の直鎖状又は分岐鎖状アシル基を有するカ
ルニチン、例えば、アセチルカルニチン、プロピオニル
カルニチン、ブチリルカルニチン、イソブチリルカルニ
チン、バレリルカルニチン、イソバレリルカルニチン、
ピバロイルカルニチン、ヘキサノイルカルニチン、ラウ
ロイルカルニチンなどのが含まれる。
の塩を含んでいる。アシルカルニチンとしては、炭素数
2〜12程度の直鎖状又は分岐鎖状アシル基を有するカ
ルニチン、例えば、アセチルカルニチン、プロピオニル
カルニチン、ブチリルカルニチン、イソブチリルカルニ
チン、バレリルカルニチン、イソバレリルカルニチン、
ピバロイルカルニチン、ヘキサノイルカルニチン、ラウ
ロイルカルニチンなどのが含まれる。
【0019】好ましいアシルカルニチンには、炭素数2
〜6程度(好ましくは炭素数2〜4程度)のアシル基を
有するアシルカルニチンが含まれ、特にアセチルカルニ
チン、プロピオニルカルニチン、なかでもアセチルカル
ニチンが好ましい。このようなアシルカルニチンは一種
又は二種以上使用できる。
〜6程度(好ましくは炭素数2〜4程度)のアシル基を
有するアシルカルニチンが含まれ、特にアセチルカルニ
チン、プロピオニルカルニチン、なかでもアセチルカル
ニチンが好ましい。このようなアシルカルニチンは一種
又は二種以上使用できる。
【0020】前記アシルカルニチンは、分子内塩を形成
してもよく、薬理的に許容される酸との塩として使用し
てもよい。薬理的に許容される塩を形成する酸には、例
えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸
などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオ
ロ酢酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、
乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、没食
子酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエ
ンスルホン酸などの有機酸が含まれる。このような塩も
一種又は二種以上使用できる。
してもよく、薬理的に許容される酸との塩として使用し
てもよい。薬理的に許容される塩を形成する酸には、例
えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸
などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオ
ロ酢酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、
乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、没食
子酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエ
ンスルホン酸などの有機酸が含まれる。このような塩も
一種又は二種以上使用できる。
【0021】このようなアシルカルニチン又はその塩
は、アシルカルニチン代謝異常症候群に関連して出現し
てくる病態・症状・細胞機能不全に対する治療又は予防
効果が高く、投与により血液中および細胞中のアセチル
カルニチン濃度を上昇させ、細胞内ミトコンドリアにお
けるアシルCoA/CoA比を調整でき、また、脳や骨
格筋、心筋、肝細胞、膵臓、腎臓など様々な細胞へエネ
ルギーだけでなく、アセチル基やメチル基の供与を行う
ことにより、アシルカルニチン代謝異常症候群を有効に
治療又は予防できる。また、アシルカルニチン又はその
塩は、低毒性であり安全性が高い。そのため、ヒトなど
の哺乳動物のための安全な治療剤又は予防剤として利用
できる。
は、アシルカルニチン代謝異常症候群に関連して出現し
てくる病態・症状・細胞機能不全に対する治療又は予防
効果が高く、投与により血液中および細胞中のアセチル
カルニチン濃度を上昇させ、細胞内ミトコンドリアにお
けるアシルCoA/CoA比を調整でき、また、脳や骨
格筋、心筋、肝細胞、膵臓、腎臓など様々な細胞へエネ
ルギーだけでなく、アセチル基やメチル基の供与を行う
ことにより、アシルカルニチン代謝異常症候群を有効に
治療又は予防できる。また、アシルカルニチン又はその
塩は、低毒性であり安全性が高い。そのため、ヒトなど
の哺乳動物のための安全な治療剤又は予防剤として利用
できる。
【0022】アシルカルニチンはそのまま投与できると
ともに、製剤全体に対するアシルカルニチン又はその塩
の含有量は、特に制限されず、通常の製剤と同様の範囲
から選択でき、例えば、アシルカルニチン換算で、製剤
全体の10〜90重量%程度であってもよい。アシルカ
ルニチン又はその塩の投与量は、アシルカルニチンの種
類、投与経路、年齢、アシルカルニチン代謝異常症候群
における疾患の種類や程度などにより異なるが、経口投
与の場合、通常、成人1日当り、0.1〜30g、好ま
しくは1〜10g程度であってもよく、2〜6g程度で
ある場合が多い。1日当りの投与回数は特に制限され
ず、一回又は数回に別けて投与できる。本発明の製剤
は、経口的又は非経口的(例えば、坐剤、皮下注射、筋
肉注射、静脈内注射など)に投与できる。
ともに、製剤全体に対するアシルカルニチン又はその塩
の含有量は、特に制限されず、通常の製剤と同様の範囲
から選択でき、例えば、アシルカルニチン換算で、製剤
全体の10〜90重量%程度であってもよい。アシルカ
ルニチン又はその塩の投与量は、アシルカルニチンの種
類、投与経路、年齢、アシルカルニチン代謝異常症候群
における疾患の種類や程度などにより異なるが、経口投
与の場合、通常、成人1日当り、0.1〜30g、好ま
しくは1〜10g程度であってもよく、2〜6g程度で
ある場合が多い。1日当りの投与回数は特に制限され
ず、一回又は数回に別けて投与できる。本発明の製剤
は、経口的又は非経口的(例えば、坐剤、皮下注射、筋
肉注射、静脈内注射など)に投与できる。
【0023】投与剤形としては、錠剤、散剤、細粒剤、
顆粒剤、丸剤、坐剤、カプセル剤などの固形剤;溶液
剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤、輸液などの液
剤が挙げられる。
顆粒剤、丸剤、坐剤、カプセル剤などの固形剤;溶液
剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤、輸液などの液
剤が挙げられる。
【0024】経口用固形製剤の調製には、慣用の成分、
例えば、コーンスターチなどのデンプン、乳糖、ショ
糖、マンニトールなどの糖類、結晶セルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ケイ酸などの賦形剤;ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエー
テル、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、デキストリ
ン、ペクチンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウ
ム、タルク、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤;カ
ルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤、崩
壊助剤、安定剤、着色剤などが使用できる。
例えば、コーンスターチなどのデンプン、乳糖、ショ
糖、マンニトールなどの糖類、結晶セルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ケイ酸などの賦形剤;ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエー
テル、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、デキストリ
ン、ペクチンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウ
ム、タルク、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤;カ
ルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤、崩
壊助剤、安定剤、着色剤などが使用できる。
【0025】液剤の調製には、液剤の種類に応じて、慣
用の成分、例えば、水、エチルアルコール、エチレング
リコール、グリセリン、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステルなどの界面活性剤、ブドウ糖、アミノ
酸、無痛化剤、溶解補助剤、緩衝剤、着色剤、保存剤、
甘味料などが使用できる。
用の成分、例えば、水、エチルアルコール、エチレング
リコール、グリセリン、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステルなどの界面活性剤、ブドウ糖、アミノ
酸、無痛化剤、溶解補助剤、緩衝剤、着色剤、保存剤、
甘味料などが使用できる。
【0026】上記剤形の製剤は、前記アシルカルニチン
又はその塩及び必要により上記添加成分を用い、流動造
粒、転動造粒、噴霧造粒などの造粒、混合、滅菌などの
常法に従って製造することができる。
又はその塩及び必要により上記添加成分を用い、流動造
粒、転動造粒、噴霧造粒などの造粒、混合、滅菌などの
常法に従って製造することができる。
【0027】
【発明の効果】本発明の製剤は、アシルカルニチン又は
その塩を含んでいるため、アシルカルニチンの代謝異常
に関連して生じる症状を治療又は予防する上で有用であ
る。また、炭素数2〜4のアシル基を有するアシルカル
ニチンまたはその薬理的に許容される塩を含む製剤や、
経口又は非経口的に投与可能な製剤を用いると、種々の
アシルカルニチン代謝異常症候群に関連する種々の症状
を有効かつ効率よく改善又は予防できる。
その塩を含んでいるため、アシルカルニチンの代謝異常
に関連して生じる症状を治療又は予防する上で有用であ
る。また、炭素数2〜4のアシル基を有するアシルカル
ニチンまたはその薬理的に許容される塩を含む製剤や、
経口又は非経口的に投与可能な製剤を用いると、種々の
アシルカルニチン代謝異常症候群に関連する種々の症状
を有効かつ効率よく改善又は予防できる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0029】なお、遊離カルニチンおよびアシルカルニ
チンの測定には、enzymatic cycling method(文献名Ta
kahashi M et al. Clin. Chem., 38, 958-959 (1992))
を利用した。
チンの測定には、enzymatic cycling method(文献名Ta
kahashi M et al. Clin. Chem., 38, 958-959 (1992))
を利用した。
【0030】実施例1 (1)ヒト血清中のアシルカルニチンの主成分がアセチ
ルカルニチンであるため、アセチルカルニチンのアセチ
ル基をラジオアイソトープ(11C)を用いて標識し、2
匹のサルに静脈内投与し、その動態をポジトロンエミッ
ショントモグラフィー(PET)により調べた。コント
ロールとしてラジオアイソトープ(11C)標識酢酸を用
いた。
ルカルニチンであるため、アセチルカルニチンのアセチ
ル基をラジオアイソトープ(11C)を用いて標識し、2
匹のサルに静脈内投与し、その動態をポジトロンエミッ
ショントモグラフィー(PET)により調べた。コント
ロールとしてラジオアイソトープ(11C)標識酢酸を用
いた。
【0031】その結果、コントロールとしてのラジオア
イソトープ(11C)標識酢酸は、速やかに血液から消失
し、脳には殆ど取り込まれなかった。これに対して、約
14.4重量%の[11C]標識アセチルカルニチンは、
投与40分後にも血液中に残存し、投与2時間後におけ
る尿中への排泄は、1重量%未満であった。また、[11
C]標識アセチルカルニチンの多くは腎へ集積したが、
一部は膵、心筋、肝にも認められ、投与した[11C]標
識アセチルカルニチンのうち、約12.7重量%のアセ
チルカルニチンが筋組織に、約0.8重量%のアセチル
カルニチンが脳組織へ取り込まれていた。
イソトープ(11C)標識酢酸は、速やかに血液から消失
し、脳には殆ど取り込まれなかった。これに対して、約
14.4重量%の[11C]標識アセチルカルニチンは、
投与40分後にも血液中に残存し、投与2時間後におけ
る尿中への排泄は、1重量%未満であった。また、[11
C]標識アセチルカルニチンの多くは腎へ集積したが、
一部は膵、心筋、肝にも認められ、投与した[11C]標
識アセチルカルニチンのうち、約12.7重量%のアセ
チルカルニチンが筋組織に、約0.8重量%のアセチル
カルニチンが脳組織へ取り込まれていた。
【0032】(2)血清中のアシルカルニチンの生理的
意義について、経口投与による血液中アシルカルニチン
の上昇を測定することにより調べた。すなわち、アシル
カルニチンとしてアセチルカルニチンを用い、健常人3
名について早朝空腹時に2gの投与を行なった。その結
果は、アシルカルニチン濃度は投与後1時間後に上昇
し、投与前に比べて投与3時間後には平均25.3%の
上昇が認められた。
意義について、経口投与による血液中アシルカルニチン
の上昇を測定することにより調べた。すなわち、アシル
カルニチンとしてアセチルカルニチンを用い、健常人3
名について早朝空腹時に2gの投与を行なった。その結
果は、アシルカルニチン濃度は投与後1時間後に上昇
し、投与前に比べて投与3時間後には平均25.3%の
上昇が認められた。
【0033】ACMDS患者5名に、上記と同様にして
アセチルカルニチンを継続的に経口投与したところ、1
〜3日後に症状の改善が認められた。
アセチルカルニチンを継続的に経口投与したところ、1
〜3日後に症状の改善が認められた。
【0034】(3)ACMDS患者5名に、アセチルカ
ルニチン4g/日(一回2g、1日2回:朝、夕食後に
服用)を14日間経口投与し、投与前後における免疫力
の変化の指標としてNK活性を調べたところ、下記のよ
うに、アセチルカルニチン投与により、NK活性の明ら
かな増加が認められた。 投与前のNK活性:E:T=10:1 15.6±7.3%, E:T=
20:1 26.9±11.0% 投与後のNK活性:E:T=10:1 29.4±11.0%, E:T=
20:1 44.3±22.6%
ルニチン4g/日(一回2g、1日2回:朝、夕食後に
服用)を14日間経口投与し、投与前後における免疫力
の変化の指標としてNK活性を調べたところ、下記のよ
うに、アセチルカルニチン投与により、NK活性の明ら
かな増加が認められた。 投与前のNK活性:E:T=10:1 15.6±7.3%, E:T=
20:1 26.9±11.0% 投与後のNK活性:E:T=10:1 29.4±11.0%, E:T=
20:1 44.3±22.6%
【0035】(4)ACMDS患者5名に、アセチルカ
ルニチン4g/日(1回2g、1日2回:朝、夕食後に
服用)を14日間経口投与し、臨床症状の変化について
検討したところ、投与開始2日目より全身倦怠感、微
熱、筋肉痛、関節痛、精神神経症状(集中力の低下、思
考力の低下等)などの改善がみられる症例が認められ、
投与開始14日目には5例全てに臨床症状の改善が認め
られた。なお、投与中止後は改善していた症状が悪化
し、再び投与前の状態に帰する症例もみられた。
ルニチン4g/日(1回2g、1日2回:朝、夕食後に
服用)を14日間経口投与し、臨床症状の変化について
検討したところ、投与開始2日目より全身倦怠感、微
熱、筋肉痛、関節痛、精神神経症状(集中力の低下、思
考力の低下等)などの改善がみられる症例が認められ、
投与開始14日目には5例全てに臨床症状の改善が認め
られた。なお、投与中止後は改善していた症状が悪化
し、再び投与前の状態に帰する症例もみられた。
【0036】製剤例1 乳糖77重量部、ヒドロキシプロピルセルロース10重
量部、軽質無水ケイ酸1重量部、ステアリン酸マグネシ
ウム2重量部およびアセチルカルニチン10重量部を均
一に混合した後、混合物を圧縮成形し、錠剤を得る。
量部、軽質無水ケイ酸1重量部、ステアリン酸マグネシ
ウム2重量部およびアセチルカルニチン10重量部を均
一に混合した後、混合物を圧縮成形し、錠剤を得る。
【0037】製剤例2 製剤例1の混合物をカプセルに充填することにより、カ
プセル剤を得る。
プセル剤を得る。
Claims (7)
- 【請求項1】 アシルカルニチンまたはその薬理的に許
容される塩を含み、アシルカルニチンの代謝異常に基づ
く症状を治療又は予防するための製剤。 - 【請求項2】 前記アシルカルニチンの代謝異常に基づ
く症状が、血清遊離カルニチン量が減少していないにも
拘らず、血清アシルカルニチン量が減少しているアシル
カルニチン代謝異常症候群の患者に認められる症状であ
る請求項1記載のアシルカルニチン含有製剤。 - 【請求項3】 血清遊離カルニチン量が減少していない
にも拘らず、血清アシルカルニチン量が減少しているア
シルカルニチン代謝異常症候群患者に投与し、アシルカ
ルニチン代謝異常症候群患者を治療するための製剤であ
る請求項1記載のアシルカルニチン含有製剤。 - 【請求項4】 アシルカルニチンが、アセチルカルニチ
ン、プロピオニルカルニチン、ブチリルカルニチン、イ
ソブチリルカルニチン、バレリルカルニチン、イソバレ
リルカルニチンおよびヘキサノイルカルニチンから選ば
れた少なくとも一種である請求項1記載のアシルカルニ
チン含有製剤。 - 【請求項5】 炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状アシ
ル基を有するアシルカルニチンまたはその薬理的に許容
される塩を含む請求項1記載のアシルカルニチン含有製
剤。 - 【請求項6】 経口又は非経口的に投与可能な請求項1
記載のアシルカルニチン含有製剤。 - 【請求項7】 アセチルカルニチンまたはその薬理的に
許容される塩を含み、血清遊離カルニチン量が、男性に
ついて45〜67μmol/L、女性について33〜5
4μmol/Lより減少していないにも拘らず、血清ア
シルカルニチン量が、男性について9〜18μmol/
L、女性について11〜20μmol/Lの正常範囲未
満に減少しているアシルカルニチン代謝異常症候群の患
者に認められる症状を治療又は予防するための製剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13715895A JPH0826987A (ja) | 1994-05-12 | 1995-05-10 | アシルカルニチン含有製剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12443894 | 1994-05-12 | ||
JP6-124438 | 1994-05-12 | ||
JP13715895A JPH0826987A (ja) | 1994-05-12 | 1995-05-10 | アシルカルニチン含有製剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0826987A true JPH0826987A (ja) | 1996-01-30 |
Family
ID=26461117
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13715895A Pending JPH0826987A (ja) | 1994-05-12 | 1995-05-10 | アシルカルニチン含有製剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0826987A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006347935A (ja) * | 2005-06-15 | 2006-12-28 | Masanori Ogata | 炎症性サイトカインの産生が関与する疾患の予防及び/又は治療のための医薬 |
WO2008149802A1 (ja) | 2007-05-31 | 2008-12-11 | Suntory Holdings Limited | アンドログラホリドを有効成分とする抗疲労剤及び経口組成物 |
US9609884B2 (en) | 2007-03-15 | 2017-04-04 | Suntory Holdings Limited | Anti-fatigue agent |
US9895375B2 (en) | 2006-03-15 | 2018-02-20 | Suntory Holdings Limited | Compositions containing riboflavin and sesamin-class compounds |
-
1995
- 1995-05-10 JP JP13715895A patent/JPH0826987A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006347935A (ja) * | 2005-06-15 | 2006-12-28 | Masanori Ogata | 炎症性サイトカインの産生が関与する疾患の予防及び/又は治療のための医薬 |
US9895375B2 (en) | 2006-03-15 | 2018-02-20 | Suntory Holdings Limited | Compositions containing riboflavin and sesamin-class compounds |
US9609884B2 (en) | 2007-03-15 | 2017-04-04 | Suntory Holdings Limited | Anti-fatigue agent |
EP3342409A1 (en) | 2007-03-15 | 2018-07-04 | Suntory Holdings Limited | Anti-fatigue agent |
WO2008149802A1 (ja) | 2007-05-31 | 2008-12-11 | Suntory Holdings Limited | アンドログラホリドを有効成分とする抗疲労剤及び経口組成物 |
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